説明

電子黒板システム

【目的】 消去直前の画像を再度表示媒体へ書込み可能とするとともに、媒体表面に付着したインクやゴミを消去できる電子黒板。
【構成】 表示媒体1の硬質層に圧接され、表示媒体1の走行により付着したインクやゴミを剥離するブレード23を有するクリーニング手段28を備える。自動書き込み手段14により表示媒体1の感熱着色層に画像を書き込む前に、このクリーニング手段28でインクやゴミを剥離する。また、クリーニング手段28と自動消去手段22で画像を消去する前に、消去される画像を光学系読取手段33で読み取って記憶しておく。この記憶された画像は自動書き込み手段14により表示媒体1の感熱着色層に書き込むことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人手により直接画像を書き込むことが可能な黒板(ホワイトボード)としての機能をもち、かつ人手を介さず画像を書き込んで表示し、表示した画像を消去可能で、表示媒体上の画像を光学的に読み取って、用紙等の印刷媒体に印刷することが可能な電子黒板システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電子黒板システムとして、本願出願人によって開示された特開昭64−34799号がある。これは、電子黒板装置に具備される大型の表示媒体を、手書き用の所定の筆記具により文字や図形等の画像を書き込むことが可能で、かつ書き込んだ画像を布等で払拭することにより消去可能な硬質層と、信号による画像の書き込みと消去が可能な自動表示層を有し、複数の画面を持つ構造として、この表示媒体を走行可能となるように支持し、更にこの表示媒体に画像データに基づいて信号により画像を自動的に書き込むサーマルヘッド等の自動書き込み手段と、この自動書き込み手段により表示媒体に書き込まれた画像を消去するクーラまたはヒータ等の消去手段を備えたものである。
【0003】その作用としては、外部入力装置により資料の画像を光学的に読み取らせ、画像データとして電子黒板装置に入力させると、その画像データは記憶部に記憶されるとともに自動書き込み手段に転送され、この自動書き込み手段により前記画像データに基づく信号が表示媒体の自動表示層に与えられて表示媒体に画像が自動的に書き込まれる。
【0004】この画像に補足や修正を加える場合は、マーカ等の筆記具により加筆する。また、前記記憶部の画像データは印刷部に転送され、この画像データに基づいて印刷部により印刷媒体に画像が印刷される。ここで、加筆された画像を印刷する場合は、その画像を光学読取手段により読み取り、画像データとして印刷部に転送されることで行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の電子黒板システムであると、記憶部にデータが記憶されていない表示媒体の画像をオペレータが誤って消去してしまった場合、再度外部入力装置により資料の画像を読み取らせて表示させたり、筆記具により加筆しなければならず、手間が掛かるという問題がある。
【0006】また、加筆されたインクは布等を用いて手で払拭しなければならず、さらにインクを布等で払拭しても、表示媒体の硬質層にはインク粉が残り、この状態で自動書き込み手段で書き込んだり自動消去手段で消去すると、これら自動書き込み手段や自動消去手段に残ったインク粉が付着し品質を低下させるという問題がある。
【0007】本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、画像の消去動作時に消去される直前の画像を光学系読取手段で読み取って記憶しておき、必要に応じて記憶した画像を再度表示媒体に書き込み可能とするとともに、自動書き込み手段および自動消去手段の手前にクリーニング手段を設けて、表示媒体の硬質層表面に付着しているインクやゴミを消去可能な電子黒板システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明は、電子黒板装置と、この電子黒板装置が接続され、電子黒板装置に画像データを出力可能で、かつ電子黒板装置から画像データを入力される少なくとも1台の外部入出力装置からなり、前記電子黒板装置は、手書き用の所定の筆記具により画像を書き込み可能で、この書き込まれた画像を払拭して消去可能な硬質層と熱の印加により信号画像の書き込みおよび消去が可能な感熱着色層を有する熱可逆性の表示媒体と、この表示媒体を走行させる走行手段と、前記表示媒体に書き込まれた画像を光学的に読み取る光学系読取手段と、前記外部入出力装置から送られてくる画像データおよび前記光学系読取手段で読み取った画像データを記憶する記憶手段と、前記表示媒体の感熱着色層に熱の印加により信号画像を書き込む自動書き込み手段と、前記表示媒体の感熱着色層に書き込まれた信号画像を熱の印加により消去する自動消去手段と、前記表示媒体の硬質層に手書き用の筆記具で書き込まれた画像を消去するクリーニング手段を設けたものである。
【0009】そして、前記クリーニング手段により表示媒体の硬質層に手書き用の筆記具で書き込まれた画像を消去した後、その消去面に前記自動書き込み手段により表示媒体の感熱着色層に信号画像を書き込む制御手段を設けることとする。また、前記クリーニング手段と自動消去手段により消去される直前の画像を前記光学系読取手段で読み取り、この画像データを記憶する消去画像記憶手段と、この消去画像記憶手段に記憶した画像データを自動書き込み手段により表示媒体の感熱着色層に書き込む制御手段を設けることとする。
【0010】さらに、前記記憶手段および前記消去画像記憶手段に記憶された画像データを、前記表示媒体の画面より縮小された表示媒体とは別個の印刷媒体に印刷する印刷手段と、この印刷手段により印刷媒体に印刷される画像データを拡大あるいは縮小する拡大・縮小手段を設けることとする。また、前記自動書き込み手段により表示媒体に書き込まれる画像データを拡大あるいは縮小する拡大・縮小手段を設けることとする。
【0011】
【作用】上述した構成を有する本発明は、表示媒体に自動書き込み手段により画像を書き込む際、まずクリーニング手段により表示媒体の硬質層に手書き用の筆記具で書き込まれた画像や表示媒体の硬質層に付着したゴミを消去した後、その消去面に自動書き込み手段により熱可逆性表示媒体の感熱着色層に画像を書き込む。
【0012】また、クリーニング手段と自動消去手段により画像を消去する場合、クリーニング手段と自動消去手段により消去される直前の画像を光学系読取手段で読み取り、この画像データを消去画像記憶手段に記憶しておき、必要に応じて消去画像記憶手段に記憶した画像データを自動書き込み手段により表示媒体の感熱着色層に書き込む。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して実施例を説明する。図1R>1は本発明の第1の実施例の電子黒板システムにおける電子黒板装置を示す斜視図、図2は図1のZ−Z断面矢視図である。図において、1はエンドレス状で熱可逆性の表示媒体、2はローラ、3はプラテンローラで、ローラ2とプラテンローラ3とは平行に配置され、表示媒体1がこのローラ2とプラテンローラ3とに巻きかけられている。4はローラ2とプラテンローラ3との間の表示媒体1の内側に配置された受け台である。
【0014】5はプラテンローラ3と同軸上に配置されたギヤ、6はギヤ5とかみ合うモータギヤで、このモータギヤ6はモータ7の回転軸に固着されている。モータ7を駆動すると、この駆動力がモータギヤ6からギヤ5に伝達されてプラテンローラ3が回転し、表示媒体1が矢印A方向あるいは矢印B方向に走行する。
【0015】8は表示媒体1を挟んでプラテンローラ3と対向配置されたサーマルヘッド、9はサーマルヘッド8が固着されたヘッド取付板である。9aはヘッド取付板9の回転中心となる軸で、プラテンローラ3と平行な軸線を有する。10はカムで、このカム10の先端部10aがヘッド取付板9の突起部9bと接触する。
【0016】10bはカム10の回転中心となる軸、10cは軸10bが回転中心となるように軸10bの周囲のカム10に形成されたギヤ部、11はギヤ部10cとかみ合うモータギヤ、12はモータギヤ11が回転軸に固着されたモータ、13はサーマルヘッド8をプラテンローラ3に押し付ける圧縮コイルばねであり、これら各部品から自動書き込み手段14が構成されている。
【0017】図3は自動書き込み手段14の動作を示す断面矢視図で、この構成により、モータ12を駆動してモータギヤ11を矢印a方向に回転させると、カム10が軸10bを中心に矢印c方向に回転し、カム10の先端部10aがヘッド取付板9の突起部9bを押す。これにより、圧縮コイルばね13に抗してヘッド取付板9が軸9aを中心に矢印e方向に回転して、サーマルヘッド8はプラテンローラ3から離れる。ここで、モータ12の駆動力は圧縮コイルばね13のばねエネルギーに打ち勝つ程強いものを選定している。
【0018】この状態からモータ12を前記とは逆に駆動してモータギヤ11を矢印b方向に回転させると、カム10が軸10bを中心に矢印d方向に回転し、カム10の先端部10aがヘッド取付板9の突起部9bから離れる。これにより、圧縮コイルばね13に蓄えられたばねエネルギーによりヘッド取付板9が軸9aを中心に矢印f方向に回転して、サーマルヘッド8はプラテンローラ3に押し付けられる。
【0019】そして、サーマルヘッド8とプラテンローラ3との間に表示媒体1が挟み込まれているので、モータ7によりプラテンローラ3を矢印g方向に回転させると、表示媒体1が順次受け台4側へ送られ、これと同時にサーマルヘッド8により印字を行うことができる。ここで、本実施例における熱可逆性を有する表示媒体としては、例えば本願出願人により特開平3−200935号(特願平1−344064号)で開示したものに硬質層を設けて形成したものであり、以下表示媒体1について説明する。
【0020】図4は表示媒体1の断面図であり、基板1a,着色層1b,記録層1cからなる感熱着色層1dと、表示媒体1の表面となる硬質層1eから構成される。硬質層1eは、フェルトペン等により書き込まれたり、後述するクリーニング手段で消去できるように、透明または半透明のアクリル系のUV硬化剤あるいはフッ素フィルムから構成されている。
【0021】図5は上記構成の熱可逆性の表示媒体1の温度に対する透明度変化のヒステリシス曲線を、縦軸に透過率,横軸に温度をとって示したものである図5からも理解できるように、本実施例の熱可逆性の表示媒体1は、これを70℃から商品名「アスマー(旭化成工業製)」(記録層1cに含まれるスチレン・ブタジエン共重合体の一例)の溶融点温度である120℃までの範囲内の温度に熱した場合、記録層1cが透明状となって記録層1cの下の着色層1bの色(ここでは赤色)を示し、これを、そのまま室温(約25℃)まで冷却すると、赤色が見えた状態のままになる。
【0022】さらにこの実施例の熱可逆性の表示媒体1は、これを57℃〜68℃の範囲内の温度に熱した場合、記録層1cが不透明状態(すなわち白色状態)となって着色層1bの赤色は見えなくなり、これをそのまま室温で冷却すると不透明状態に固定される。これにより、実施例の熱可逆性の表示媒体1を63℃の温度に加熱し、これを室温まで冷却してこの熱可逆性の表示媒体1による白色画面を構成させ、次に70℃〜120℃の温度範囲内の温度に加熱したサーマルヘッド8によりこの白色画面の所定部分を加熱して印字すれば、印字部分のみ着色層1bの赤色が見え、それ以外の部分が白色のままとなり、背景部が白色で印字部が赤色で構成される画像が得られる。
【0023】また、画像形成後にこの熱可逆性の表示媒体1を再度後述するヒートローラにより63℃に加熱すると再び白色画面となるこのように、本実施例に用いられる熱可逆性の表示媒体1は、画像形成および画像消去を繰り返し行うことができ、しかも記録層1cを透明化させる温度が70℃〜120℃と広いので、透明記録法による画像形成が容易である。
【0024】次に熱可逆性の表示媒体1に上記したように熱の印加で記録した画像を熱の印加で消去する自動消去手段について説明する。15は表示媒体1の表面側と対向配置されるヒートローラ、16はヒートローラ15を回転可能に支持するヒートローラ支持体で、ヒートローラ15はプラテンローラ3と平行な軸を有して回転可能となっている。
【0025】16aはヒートローラ支持体16の回転中心となる軸、17はヒートローラ支持体16をヒートローラ15が表示媒体1から離れる方向に回転させる駆動力を発生するプランジャマグネット、18はプランジャマグネット17とヒートローラ支持体16とを連結する連結棒である。19はヒートローラ支持体16をヒートローラ15が表示媒体1に押し付けられる方向に回転させる引張コイルばねである。
【0026】20は表示媒体1の内側に位置して表示媒体1を挟んでヒートローラ15と対向配置されるゴムローラ、21はゴムローラ20の上端部とプラテンローラ3の上端部との間に掛けられたベルトで、これら各部品から自動消去手段22が構成される。図6は自動消去手段22の動作を示す断面矢視図で、モータ7の駆動によりプラテンローラ3が回転すると、その駆動力がベルト21を介してゴムローラ20にも伝達され、ゴムローラ20はプラテンローラ3と同方向に回転する。このとき、ゴムローラ20の円周速度はプラテンローラ3の円周速度と同一になるように、各ローラの径を設定している。
【0027】プランジャマグネット17が駆動されると、連結棒18が矢印h方向に引っ張られ、これにより引張コイルばね19に抗してヒートローラ支持体16は軸16aを中心に矢印i方向に回転してヒートローラ15は表示媒体1から離れた位置に保持される。プランジャマグネット17の駆動を停止すると、ヒートローラ支持体16は引張コイルばね19に引っ張られて矢印j方向に回転し、ヒートローラ15は表示媒体1を挟んでゴムローラ20に押し付けられる。
【0028】この状態で、プラテンローラ3を矢印g方向に回転させると、ゴムローラ20も同方向に回転し、図示しない加熱手段によりヒートローラ15の表面を63℃に加熱しておけば、ヒートローラ15とゴムローラ20との間に挟まっている表示媒体1の感熱着色層1dに記録された画像は白色に戻されて消去されることになる。
【0029】次に表示媒体1の硬質層1eの表面にフェルトペン等の筆記具で加筆されたインク画像を剥離により消去するクリーニング手段について説明する。23はゴム,プラスチック等からなり、弾性を有する板状のクリーニングブレード、23a,23bはブレード23の短手方向の両端に長手方向に延在するエッジ部、24はクリーニングブレード23が接着等より貼り付けられたブレード支持板で、クリーニングブレード23はその短手方向において、その両端側がブレード支持板24から均等にはみ出すように貼り付けられている。
【0030】24a,24bはブレード支持板24の回転中心となる軸、24cは軸24aが回転中心となるように軸24aの周囲のブレード支持板24に形成されたギヤ部、25はギヤ部24cとかみ合うモータギヤ、26はその回転軸にモータギヤ25が固着されたモータである。24dはブレード支持板24に突出形成したセンサレバー部、27はセンサレバー部24dを検知するホームセンサで、これら各部品からクリーニング手段28が構成される。そして、このクリーニング手段28は自動書き込み手段14と自動消去手段22との間に配置されている。
【0031】図7はクリーニング手段28の動作を示す断面矢視図で、モータ26を駆動するとその駆動力がモータギヤ25からギヤ部24cに伝達され、ブレード支持板24が回転する。ここで、図7(a)に示すようにモータ26を駆動してブレード支持板24を軸24a,24cを中心に矢印k方向に回転させると、クリーニングブレード23の一方のエッジ部23aが表示媒体1の硬質層1eに圧接し、この状態で表示媒体1を矢印A方向に走行させることで、表示媒体1の硬質層1e表面のインク画像は、クリーニングブレード23のエッジ部23aにより剥離される。また、図7(b)に示すように、モータ26を駆動してブレード支持板24を軸24a,24cを中心に矢印l方向に回転させると、クリーニングブレード23の他方のエッジ部23bが表示媒体1の硬質層1eに圧接し、この状態で表示媒体1を矢印B方向に走行させることで、表示媒体1の硬質層1e表面のインク画像は、クリーニングブレード23のエッジ部23bにより剥離される。なお、センサレバー部24dをホームセンサ27で検知することでクリーニングブレード23の回転位置を検知可能である。
【0032】次に筆記媒体1の画像を光学的に読み取る光学系読取手段について説明する。29は表示媒体1の画像を光学的に読み取るイメージセンサ、30はイメージセンサ29に像を結ばせる集光レンズ、31は表示媒体1上の読み取り位置に光を照射する光源、32は光源31から照射されて表示媒体1の読み取り位置で反射した光を集光レンズ30に導くミラーであり、これら各部品から光学系読取手段33が構成される。そして、この光学系読取手段33による読み取り位置は自動書き込み手段14とクリーニング手段28との間に配置されている。
【0033】図8は本実施例による電子黒板システムの制御系を示すブロック図である。なお、この図8においては、一点鎖線で囲まれた構成で電子黒板装置を形成し、その他は外部入出力装置である。図において、34は装置全体を制御する制御回路で、マイクロプロセッサ等で構成されており、後述するすべての回路がこの制御回路34に接続されている。
【0034】画像処理部35は光源31により表示媒体1の読み取り位置を照射してイメージセンサ29に到達した反射光を電気信号に変換して、予め定められた方式によりその電気信号をアナログ信号に組み立て、さらにこの信号の増幅を行い、アナログ信号をデジタル信号に変換して2値化するものである。モータ/マグネット駆動部36は、モータ7,モータ12,モータ27,プランジャマグネット17および後述するプリンタ手段の紙送りモータを駆動する。
【0035】センサドライバレシーバ37は、ホームセンサ27を駆動し、その出力波形を受け取り、点灯部37は光源31の点灯,消灯を行う。ヒータドライバ38は、ヒートローラ15を一定温度を保つように駆動する。操作部39は、表示媒体1への画像の書き込みや消去の指示、表示媒体1の移動指示,表示媒体1の画像を後述するプリンタ手段に複写させる指示,外部入出力装置からの画像入力や外部入出力装置の画像出力指示および消去画像の表示媒体1への再表示指示等を入力できるものとなっている。
【0036】なお、本実施例の電子黒板装置内部にはプリンタ手段40が設けられており、このプリンタ手段40はサーマルヘッド41とこのサーマルヘッド41と対向配置されたプラテンローラ42と、このプラテンローラ42を回転駆動するモータ43およびサーマルヘッド41により画像が印刷される感熱用紙44から構成されている。
【0037】45は外部入出力装置の一例としてのイメージスキャナで、印刷物の文字や絵画を読み取って電気信号に変換し、この画像データをインターフェース(I/F)46を介して電子黒板装置に送るものである。47aは外部入出力装置としてのファクシミリ装置(FAX)で、印刷物の文字や絵画を読み取って電気信号に変換し、この画像データを電話回線,I/F46を介して電子黒板装置に送り、また、電子黒板装置からI/F46,電話回線を介して送られてきた画像データを媒体に印刷するものである。
【0038】47bは外部入出力装置としてのパーソナルコンピュータ(パソコン)、48は外部入出力装置の記憶手段であるフロッピーディスク(FDD),ハードディスク(HDD)および光ディスク等のメモリ装置、49は外部入出力装置としてのプリンタ装置であり、これらはI/F46を介して電子黒板装置と接続されており、各外部入出力装置は電子黒板装置との間で画像データの送受信を行うことが可能である。
【0039】セレクタ50は表示媒体1の画像をイメージセンサ29で読み取って画像処理部35で処理したデータと、外部入出力装置を構成するイメージスキャナ45,FAX47a,パソコン47b,メモリ装置48からI/F46を介して得たデータを選択してメモリ51に送る。そして、メモリ51ではセレクタ50を介して送られてきたデータを記憶する。
【0040】そしてメモリ51に記憶された画像データにより、自動書き込み手段14で表示媒体1に画像の書き込みが行われる。消去画像記憶メモリ52は自動消去手段22,クリーニング手段28により表示媒体1の画像を消去する際に、光学系読取手段33で画像の読み取りを行い、これを一旦記憶するものである。
【0041】ズーム回路53はメモリ51あるいは消去画像メモリ52に記憶されている画像データにより自動書き込み手段14あるいはプリンタ手段40で印刷する際に、印刷される画像が指定した割合で拡大あるいは縮小されるように、画像データを変換するものである。印字制御部54はズーム回路53からデータを受けて、このデータを制御回路35からの指示により自動書き込み手段14のサーマルヘッド8あるいはプリンタ手段40のサーマルヘッド41に送信して印刷を行わせるとともに、印字濃度の調整の制御を行うものである。
【0042】なお、上記したように、各外部入出力装置から送られてくる画像データをI/F46,セレクタ50を介してメモリ51に記憶させるとともに、メモリ51に記憶されている画像データをセレクタ50とI/F46を介して各外部入出力装置に送信することができる。したがって、外部入出力装置のイメージスキャナ45,FAX47a,パソコン47bあるいはメモリ装置48等から送られてくる画像データをI/F46,セレクタ50を介してメモリ51に記憶し、自動書き込み手段14によりこの記憶した画像データを表示媒体1の感熱着色層1dに書き込むことが可能である。
【0043】また、感熱着色層1dに書き込まれた画像や、硬質層1eにフェルトペン等の筆記具で書き込まれた画像、さらには感熱着色層1dに書き込まれた画像と硬質層1eに書き込まれた画像との合成画像を光学系読取手段33で読み取って画像データをメモリ51に記憶し、さらに外部入出力装置にこの画像データを送信して、パソコン47bによる画面上への表示、FAX47aあるいはプリンタ49による印刷媒体への印刷表示、さらにはメモリ装置48への記憶が可能である。
【0044】なお、外部入出力装置の内、例えばイメージスキャナ45やメモリ装置48、あるいはFAX47a等を電子黒板装置内部に設けてもよい。以下、上述した構成を有する電子黒板システムの動作について説明する。なお、サーマルヘッド8,ヒートローラ15およびクリーニングブレード23は、通常図2に示す位置をホームポジションとしている。
【0045】すなわち、サーマルヘッド8は圧縮コイルばね13に抗してプラテンローラ3から離れた状態、ヒートローラ15はプランジャマグネット17が駆動されて表示媒体1から離れた状態、そして、クリーニングブレード23は両方のエッジ部23a,23bが表示媒体1から離れるように表示媒体1と平行となる状態である。
<自動書き込み動作>まず、操作部39からの指示により制御回路34はI/F46とセレクタ50を介して外部入出力装置、例えばイメージスキャナ45から送られてくる画像データをメモリ51に記憶する。次にモータ/マグネット駆動部36を駆動し、モータ26を駆動してブレード支持板24を矢印k方向に回転させて、クリーニングブレード23のエッジ部23aを表示媒体1に圧接させる。
【0046】次にモータ7を駆動してプラテンローラ3を矢印g方向に回転させて表示媒体1を矢印A方向に走行させると、表示媒体1の硬質層1e表面のフェルトペン等の筆記具によるインク画像やゴミが、クリーニングブレード23のエッジ部23aにより剥離され次々に消去される。エッジ部1aが表示媒体1の圧接されている位置からサーマルヘッド8までの距離をL1 として、消去開始から表示媒体1がL1 だけ走行したところで、モータ12を駆動してカム10を矢印d方向に回転させ、圧縮コイルばね13によりサーマルヘッド8を表示媒体1を挟んでプラテンローラ3に押し付ける。
【0047】この状態で、メモリ51に記憶されている画像データをズーム回路53により所定の大きさの画像データに縮小あるいは拡大し、この画像データを印刷制御部54を介してサーマルヘッド8に送る。サーマルヘッド8とプラテンローラ3との間に表示媒体1が挟まっているので、表示媒体1には順次サーマルヘッド8により前記画像データを印刷しながら送られる。
【0048】印刷が終了するとモータ15を前記とは反対に駆動してカム10を矢印c方向に回転させ、圧縮コイルばね13に抗してサーマルヘッド8を表示媒体1から離す。また、モータ26を前記とは反対に駆動してブレード支持板24を矢印l方向に回転させて、クリーニングブレード23のエッジ部23aを表示媒体1から離し、クリーニングブレード23が表示媒体1と平行になるようにして終了する。
【0049】なお、上記距離L1 はあらかじめわかっているので、表示媒体1の印刷終端位置がクリーニングブレード23のエッジ部23aを通過したらクリーニングブレード23のエッジ部23aを表示媒体1から離し、印刷が終了した時点でサーマルヘッド8を表示媒体1から離すこととしてもよい。
<画像読み取り/コピー動作>操作部39からコピーの指示を受けると、点灯部37を介して光源31を点灯する。次にモータ7を駆動してプラテンローラ3を回転させ、表示媒体1を矢印B方向に走行させる。
【0050】そして、読み取り位置からイメージセンサ29に到達した表示媒体1の画像は、横方向は1本のラインとして電気信号として変換され、縦方向としてはプラテンローラ3の回転速度、すなわち、表示媒体1の走行速度に同期した縦方向の電気信号として画像が構成され、画像処理部35,セレクタ50を介してメモリ51に記憶される。
【0051】さらに、メモリ51に記憶された画像データは、ズーム回路53,印刷制御部54を介してサーマルヘッド41に出力される。制御回路34はこの出力信号に合わせてモータ/マグネット駆動部36を介してモータ43を駆動し、プラテンローラ42を回転させて感熱用紙44に印刷が行われる。
<自動消去動作>操作部39により画像消去が指示されると、制御回路34はモータ/マグネット駆動部36を介してモータ26を駆動し、ブレード支持板24を矢印l方向に回転させてクリーニングブレード23のエッジ部23bを表示媒体1に圧接する。
【0052】次にモータ7を駆動して表示媒体1を矢印B方向に走行させると、表示媒体1の硬質層1e表面のインク画像やゴミがクリーニングブレード23のエッジ部23bにより剥離され次々消去される。エッジ部1bが表示媒体1に圧接されている位置からヒートローラ15までの距離をL2 として、消去開始から表示媒体1をこのL2 走行させたところで、モータ/マグネット駆動部36を介してプランジャマグネット17の駆動を停止すると、引張コイルばね19によりヒートローラ15は表示媒体1を挟んでゴムローラ20に押し付けられる。
【0053】この状態でさらにプラテンローラ3を回転させると表示媒体1は矢印B方向に走行するとともにベルト21によりゴムローラ20もプラテンローラ3と同方向に回転し、ゴムローラ20とヒートローラ15との間に挟まれている表示媒体1は所定の温度(ここでは前記したように63℃)に加熱されたヒートローラ15により次々に白色に戻されて消去されながら矢印B方向に送られる。
【0054】以上のようにして、クリーニングブレード23により表示媒体1の硬質層1e表面に加筆されたインク画像が消去され、ヒートローラ15により感熱着色層1dにサーマルヘッド8により印刷された画像を消去することができる。消去が終了したら、プランジャマグネット17を駆動してヒートローラ15を表示媒体1から離し、モータ26を駆動してブレード支持板24を矢印k方向に回転させて、クリーニングブレード23のエッジ部23bを表示媒体1から離し、クリーニングブレード23が表示媒体1と平行になるようにして終了する。
【0055】ここで、上記自動消去動作において、ヒートローラ15とクリーニングブレード23の手前に光学系読取手段33による画像読み取り位置があるので、ヒートローラ15とクリーニングブレード23により消去される前の画像を光学系読取手段33によって読み取り、制御回路34はこの読み取った画像を画像処理部35で処理して消去画像メモリ52に記憶する。
【0056】これにより、表示媒体1の画像は消去画像メモリ52に記憶されながら、ヒートローラ15とクリーニングブレード23により消去される。したがって、オペレータが誤って消去指示を出しても、消去された画像は消去画像メモリ52に残っているので、操作部39からの復帰印刷指示により、消去画像メモリ52からの画像データをズーム回路53でサーマルヘッド8により印刷できるデータに変換して印刷制御部54に送り、このデータをサーマルヘッド8に送り前記した自動書き込み動作により消去された表示媒体1にもう一度印刷する。
【0057】上記したように、本実施例の電子黒板システムにおいては、自動書き込み動作、コピー動作、自動消去動作および消去画面に復帰印刷動作を行うことが可能である。図9は本発明の第2の実施例における電子黒板システムの電子黒板装置の断面矢視図である。
【0058】100は筆記媒体で、この筆記媒体100は複数画面分の長さを有する長尺状で、1画面分の長さを残してその両端をローラ101,102に巻きつけたものである。そして、一方のローラから筆記媒体100を繰り出しながら他方のローラに繰り出した分の筆記媒体100を巻き取ることで筆記媒体100を走行させる。
【0059】なお、この第2の実施例において、筆記媒体100およびこれを走行させる機構以外の構成は上記第1の実施例と同じであるので、ここではその説明を省略する。また、上記構成を有する第2の実施例においても、第1の実施例で説明した自動書き込み動作、コピー動作、自動消去動作および消去画面に復帰印刷動作を行うことが可能である。
【0060】図10は第2の実施例の動作例を示す説明図で、この第2の実施例においては、筆記媒体100が複数画面分の長さを有しているので、それぞれの頁に第1の実施例で説明した自動書き込み動作あるいは筆記具による加筆により画像を書き込むことが可能である。例えば図10(a)に示すように、103は第1頁に書き込まれた画像、104は第2頁に書き込まれた画像、105は第3頁に書き込まれた画像、106は第4頁に書き込まれた画像であり、これら複数頁に跨がった画像を光学系読取手段33で次々読み取ってメモリ51に記憶し、次にこの記憶したデータをズーム回路53で縮小して印刷制御部54に送り、図10(b)に示すように表示媒体1の空き頁にサーマルヘッド8によりまとめて書き込むように制御を行うことが可能である。なお、空き頁がない場合は、自動消去動作により不要な画像の消去を行って空き頁を作成すればよい。
【0061】このように1頁に複数頁、この第2に実施例においては4頁分のデータをまとめて表示可能であるので、一度に複数頁分のデータを見ることができ、会議の効率を上げることが可能である。上記した第1および第2の実施例において、筆記具として先端を70℃〜120℃に加熱した熱ペンを用いれば、この熱ペンにより筆記媒体1の感熱層に筆記可能で、また先端部に適度な面積有する消去部材を形成し、この消去部材の先端部を63℃に加熱して表示媒体1に押し付ければ感熱層を白色に戻すことができる。
【0062】なお、本発明の用途としては電子黒板装置のみでなく、パソコンやイメージスキャナから画像を表示媒体に拡大印刷できることから、電子掲示板,公告板,OHP装置、または表示媒体の画像をパソコン等に出力できることから、大型の画像入出力装置としての用途も考えられる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、電子黒板装置と、この電子黒板装置が接続された少なくとも1台の外部入出力装置からなり、前記電子黒板装置は、手書き用の筆記具による画像の書き込みおよび消去が可能な硬質層と熱の印加により信号画像の書き込みおよび消去が可能な感熱着色層を有する熱可逆性の表示媒体と、この表示媒体を走行させる走行手段と、前記表示媒体に書き込まれた画像を光学的に読み取る光学系読取手段と、前記外部入出力装置から送られてくる画像データおよび前記光学系読取手段で読み取った画像データを記憶する記憶手段と、前記表示媒体の感熱着色層に熱の印加により信号画像を書き込む自動書き込み手段と、前記表示媒体の感熱着色層に書き込まれた信号画像を熱の印加により消去する自動消去手段と、前記表示媒体の硬質層に手書き用の筆記具で書き込まれた画像を消去するクリーニング手段を設けたものである。
【0064】そして、前記クリーニング手段により表示媒体の硬質層に手書き用の筆記具で書き込まれた画像を消去した後、その消去面に前記自動書き込み手段により表示媒体の感熱着色層へ信号画像を書き込む制御手段を設けることとする。これにより、表示媒体の表面のインクやゴミを消去した後、自動書き込み手段による画像の書き込みが行われるので、自動書き込み手段を汚すことがなく、自動消去手段で消去する際にも表示媒体の表面のインクやゴミで自動消去手段を汚すことがなくなり、画像品質が向上するという効果がある。
【0065】また、前記クリーニング手段と自動消去手段により消去される直前の画像を光学系読取手段で読み取り、この画像データを記憶する消去画像記憶手段と、この消去画像記憶手段に記憶した画像データを自動書き込み手段により熱可逆性表示媒体の感熱着色層に書き込む制御手段を設けることとする。これにより、誤って表示媒体上の画像データを消去しても、この消去した画像データは記憶されているので、再度データの入力や筆記を行うことなく表示画面上に表示可能で、誤って消去したデータの復帰に手間が掛からないという効果がある。
【0066】さらに、前記記憶手段および前記消去画像記憶手段に記憶された画像データを、前記表示媒体の画面より縮小された表示媒体とは別個の印刷媒体に印刷する印刷手段と、この印刷手段により印刷媒体に印刷される画像データを拡大あるいは縮小する拡大・縮小手段を設けることで、現在表示されていない画像を見ることができるという効果を有する。
【0067】また、前記自動書き込み手段により表示媒体に書き込まれる画像データを拡大あるいは縮小する拡大・縮小手段を設けることで、例えば1頁に複数頁分のデータを表示可能で、表示媒体を走行させることなく複数頁分のデータを見ることができ、会議等の効率を上げることが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の電子黒板システムにおける電子黒板装置を示す斜視図である。
【図2】図1のZ−Z断面矢視図である。
【図3】自動書き込み手段の動作を示す断面矢視図である。
【図4】表示媒体の断面図である。
【図5】表示媒体の温度に対する透明度変化のヒステリシス曲線を示す説明図である。
【図6】自動消去手段の動作を示す断面矢視図である。
【図7】クリーニング手段の動作を示す断面矢視図である。
【図8】本実施例による電子黒板システムの制御系を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施例における電子黒板システムの電子黒板装置の断面矢視図である。
【図10】第2の実施例の動作例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 表示媒体
14 自動書き込み手段
22 自動消去手段
28 クリーニング手段
33 光学系読取手段
40 プリンタ手段
51 メモリ
52 消去画像記憶メモリ
53 ズーム回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子黒板装置と、この電子黒板装置が接続され、電子黒板装置に画像データを出力可能で、かつ電子黒板装置から画像データを入力される少なくとも1台の外部入出力装置からなり、前記電子黒板装置は、手書き用の所定の筆記具により画像を書き込み可能で、この書き込まれた画像を払拭して消去可能な硬質層と熱の印加により信号画像の書き込みおよび消去が可能な感熱着色層を有する熱可逆性の表示媒体と、この表示媒体を走行させる走行手段と、前記表示媒体に書き込まれた画像を光学的に読み取る光学系読取手段と、前記外部入出力装置から送られてくる画像データおよび前記光学系読取手段で読み取った画像データを記憶する記憶手段と、前記表示媒体の感熱着色層に熱の印加により信号画像を書き込む自動書き込み手段と、前記表示媒体の感熱着色層に書き込まれた信号画像を熱の印加により消去する自動消去手段と、前記表示媒体の硬質層に手書き用の筆記具で書き込まれた画像を消去するクリーニング手段を設けたことを特徴とする電子黒板システム。
【請求項2】 前記クリーニング手段により表示媒体の硬質層に手書き用の筆記具で書き込まれた画像を消去した後、その消去面に前記自動書き込み手段により表示媒体の感熱着色層に信号画像を書き込む制御手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の電子黒板システム。
【請求項3】 前記クリーニング手段と自動消去手段により消去される直前の画像を前記光学系読取手段で読み取り、この画像データを記憶する消去画像記憶手段と、この消去画像記憶手段に記憶した画像データを自動書き込み手段により表示媒体の感熱着色層に書き込む制御手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の電子黒板システム。
【請求項4】 前記記憶手段および前記消去画像記憶手段に記憶された画像データを、前記表示媒体の画面より縮小された表示媒体とは別個の印刷媒体に印刷する印刷手段と、この印刷手段により印刷媒体に印刷される画像データを拡大あるいは縮小する拡大・縮小手段を設けたことを特徴とする請求項1および請求項3記載の電子黒板システム。
【請求項5】 前記自動書き込み手段により表示媒体に書き込まれる画像データを拡大あるいは縮小する拡大・縮小手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の電子黒板システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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