説明

電子EASタグの検出および方法

電子物品監視(EAS)タグを検出および失効化するための電子回路、装置、および方法であって、コイルは、電流電磁場に曝されると、電流を誘導し、また、電磁気タグ信号を送信するために使用される。同調キャパシタは、コイルと導電する。同調キャパシタおよびコイルは、電磁気タグ信号の送信のための共振を確立する。蓄電キャパシタは、コイルと導電する。蓄電キャパシタは、コイルから誘導電流を受電する。また、電子回路、装置、および方法は、コイルからの誘導電流を整流するための第1のダイオードと、EASタグ状態を判定するためのプロセッサとを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子物品監視(EAS)システムに関し、特にEASシステムのためのタグ失効化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EASシステムは、制御領域からのアイテムの不正な持ち出しを防止するように設計される。典型的EASシステムでは、制御領域の出口に位置する電磁場と相互作用するように設計されるタグが、保護される物品に取り付けられる。タグが、電磁場即ち「検査区域(interrogation zone)」に持ち込まれる場合、タグの存在が検出され、適切な措置がとられる。小売店等の制御領域に対し、EASタグの検出のためにとられる適切な措置は、アラームの発生であってもよい。いくつかの種類のEASタグは、保護される物品に取り付けられたままであるが、タグが検出領域においてもはや検出可能ではないように、タグの特徴を変更する失効化デバイスによって、制御領域からの許可された持ち出しに先立って失効化される。
【0003】
EASタグ失効化デバイスの大部分は、小売環境における販売時点情報管理(POS)ステーションに隣接する場所等、特定の場所に固定される。物品が購入され、どんな理由であれ、取り付けられたEASタグがPOSステーションに隣接する失効化装置において失効化されない場合、EASタグは、店舗出口でアラームを発生させることになる。その後、EASタグを失効化するために、物品は、POSステーションに隣接する失効化装置まで持ち帰らなければならず、混乱および顧客を困惑させる。手持ち式バーコードスキャナの一部である「ブート失効化装置」としても知られるEASタグのための手持ち式失効化装置が周知であるが、交互極性の受動消磁磁石のみから成る。これらのデバイスは、有効タグの存在または失効化の試みが成功したのかどうかのフィードバックをユーザに提供しない。全機能搭載近接型手持ち式失効化装置は、失効化において優れているが、追加重量、製造および購入費、ならびに複雑性を代償とする。
ブート失効化装置を有する典型的手持ち式バーコードスキャナは、受動デバイスであって、EASタグを失効化するために、接触または非常に近接しなければならない。供給元タグ付け(供給元、例えば、物品の製造業者におけるEASセキュリティタグの適用)の利用が増加すると、EASタグは、アイテム上またはそのパッケージ内のいずれかの場所に配置されるであろう。タグがアイテム上またはそのパッケージ内のいずれかの場所に隠されている場合、ユーザはタグを見ることができないため、ユーザは、物品に付随するEASタグがすべて失効化されているのかどうか判定することができない場合がある。したがって、現在のブート失効化装置の別の制限は、ユーザが、EASタグが失効化されているのか、または有効なままであるのかについて、ブート失効化装置からフィードバックを受けることがないことである。多くの場合、ユーザは、付随するEASタグをすべて失効化することを期待して、製品またはそのパッケージを複数回手持ち式失効化装置に「擦り付ける」であろう。またある時には、ユーザは、失効化のために、重厚または大型の箱を持ち上げ、強力な卓上失効化装置を使用することを余儀なくされるであろう。これは、販売時に時間がかかり、余計な努力を必要とする。結果として、EASタグが失効化されると表示されるユーザ観測可能フィードバックを伴うブート失効化装置等、改良されたEAS失効化デバイスの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、電子物品監視(EAS)タグ検出、失効化、およびEASタグ有効化状態表示のための回路、装置、ならびに方法を有利に提供する。
【0005】
一つの態様によれば、本発明は、電子物品監視(EAS)デバイスのための電子回路を提供する。電子回路は、電磁場に曝されると、電流を誘導するコイルを含む。また、コイルは、電磁気タグ信号を送信するためにも使用される。同調キャパシタは、コイルと導電する。同調キャパシタおよびコイルは、電磁気タグ信号の送信のための共振を確立する。蓄電キャパシタは、コイルと導電する。蓄電キャパシタは、電子機器へのその後の電力供給のために、コイルから誘導電流を受電する。
【0006】
別の態様によれば、本発明は、EASタグを検出および失効化するための装置を提供する。装置は、バーコードスキャナおよび無線識別(RFID)スキャナ/リーダのうちの少なくとも一つに取り付け可能な筐体を含む。電子回路は、筐体内に位置する。少なくとも一つのユーザ観測可能インジケータは、電子回路によって制御される。ユーザ観測可能インジケータは、筐体に取り付けられ、タグ失効化状態を提供する。例示的インジケータは、視覚(LED等)および/または可聴(圧電デバイスまたはスピーカー等)インジケータとすることができる。
【0007】
さらに別の態様によれば、本発明は、電子物品監視(EAS)タグの失効化状態を生成するための方法を提供し、ここで電子回路の蓄電装置は、誘導的に充電される。蓄電装置内に蓄電される電力を使用して、電子回路を動作させる間、少なくとも一つのEASタグとの通信が確立される。EASタグと通信する間、蓄電装置の誘導充電は、無効にされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明、ならびに付随する利点、およびその特長は、下記の発明を実施するための形態とともに添付図面を参照することにより、より容易により完全に理解することができ、その図面は以下の通りである。
【図1】図1は本発明の原則により構成されたアイテムのバーコードをスキャンし、EASタグを失効化するためのEASシステムの図である。
【図2】図2は図1のEASシステムとともに使用し、本発明の原則に従い構成されたブート失効化装置の斜視図である。
【図3】図3は本発明の原則により構成されたブート失効化装置の例示的電子回路の回路図である。
【図4】図4は本発明の原則により図3に示される電子回路のための例示的論理プロセスを示すフローチャートである。
【図5】図5は本発明の原則に従う、例示的タグ検出および失効化プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
同様の参照番号が同様の要素を示す図面を参照すると、本発明の原則に従い構成された例示的なシステムの図が図1に示されており、このシステムは一般的に「100」として示される。電子物品監視(EAS)システム100は、制御領域(図示せず)のアクセス地点における「検査区域」としても知られるシステム検出区域を生成する監視システムを含む。検査区域に進入すると、有効EASタグは、区域内で外乱を生成し、EASシステム100の受信機によって検出される。EASシステム100等のEASシステムは、非常に低い電磁周波数から無線周波数範囲までに及ぶ。これらの異なる周波数は、動作に影響を及ぼす特性を確立する役割を果たす。EASシステム100は、手持ち式バーコードスキャナ102と、ブート失効化装置104とを含む。本実施形態では、ブート失効化装置104は、バーコードスキャナ102の先端部分106近傍に取り付けられ、銃型(gun type)スキャナとして示される。当然ながら、ブート失効化装置104の配置は、銃型バーコードスキャナ102の先端106に制限されず、種々の場所、例えば、銃型バーコードスキャナ102のハンドル部分の一端に沿って、搭載することもできる。
さらに、ブート失効化装置104は、銃型スキャナに制限されず、タグ除去装置またはRFIDスキャナ(RFIDリーダとしても知られる)等の他のEAS手持ち式失効化装置およびデバイスに取り付けることもできる。EASシステム100は、アイテム110上またはそのパッケージ内のいずれかの場所に位置する一つ以上のセキュリティラベルまたはEASタグ108をさらに含む。EASタグ108は、必ずしも、アイテム110の外表面上に位置しない供給元タグであることができる。EASシステム100は、バーコードスキャナ102および/またはブート失効化装置104の電源を再充電するための充電パッド(図示せず)をさらに含むことができる。例えば、充電パッドは、POS精算ステーションにおける卓上価格スキャナとともに配置することができる。
動作時に、スキャナ102が精算のためにアイテム110をスキャンすると、ブート失効化装置104は、EASタグ108を同時に失効化することができる。例えば、スキャナ102の先端106がラベル108に押し付けられるまたは近接すると、ブート失効化装置104は、EASタグ108を失効化することができる。ブート失効化装置104は、携帯用手持ち式スキャナ102に取り付けられるため、大型、かさばる、または重厚な商品上のラベルあるいはEASタグの失効化を容易にする。例えば、大型の箱内の大型ワイドスクリーンテレビおよび/またはショッピングカート上のいくつかの箱の飲料水等の商品が、重すぎるまたはかさばりすぎるため、店員が卓上失効化装置上に置くことができない場合である。本例では、ブート失効化装置104を備える手持ち式スキャナ102は、店員が箱を持ち上げ、卓上失効化装置上に置き、タグ108を失効化する必要なく、これらの箱内または表面上に位置するタグ108を失効化する便宜性を提供する。
【0010】
図2は、図1の手持ち式ブート失効化装置104をさらに詳細に示す。本実施形態では、ブート失効化装置104は、外側筐体202を含み、開口204および電子コンパートメント206を画定する。ブート失効化装置104の外側筐体202は、プラスチックまたは金属を含む、任意の好適な材料から成ることができる。筐体202の電子コンパートメント206は、EASタグ検出、EASタグ失効化、およびEASタグ失効化状態生成のための電子回路300(図3)を配置するための領域を提供する。電子コンパートメント206は、筐体202の統合部分、筐体202内の陥凹領域、または筐体202と嵌合するように配列された別個の保護構造であることができる。電子回路300は、図2に示される電子コンパートメント206内に統合することができ、または電子回路300は、独立型デバイスであって、電子コンパートメント206と分離することができる。開口204は、スキャナ102(図1)のための非閉塞スキャンウィンドウを提供する。故に、スキャナ102が、アイテム110のバーコードをスキャンするために、スキャンビーム、例えば、レーザビームを生成するとき、ビームが、ブート失効化装置104によって遮断または覆い隠されることはない。
【0011】
ブート失効化装置104は、一つ以上の失効化状態インジケータ208、210をさらに含む。本実施形態では、インジケータ208は、発光ダイオード(LED)等の視覚インジケータであって、および/またはインジケータ210は、音響信号、発信音、あるいは可聴音を生成するスピーカー等の聴覚インジケータである。例えば、有効EASタグ108が検出されると、ブート失効化装置104上の緑色LED208は、ユーザに警告する一方、スピーカー210は、発信音、例えば、「ビープ音」を発生し、タグ108の失効化が試みられたことを示してもよい。そのような発信音後の静粛および/またはLED非点灯は、EASタグ108の失効化が成功したことを含意する。状態インジケータ208および210は、振動子、LED、スピーカー等を含む、任意の種類の表示方法であることが可能であることが意図される。失効化状態インジケータは、筐体202、筐体202内の陥凹領域、または筐体202と嵌合するように配列された別個の保護構造に統合あるいは固定可能なユーザ観測可能インジケータであることができる。
【0012】
図3を参照すると、ブート失効化装置104(図2)とともに使用可能なEASシステムのための例示的電子回路300を表す回路図が示される。電子回路300は、電子コンパートメント206(図2)に位置し、ブート失効化装置104内に統合され、EASタグ失効化およびEASタグ失効化状態表示を行うことができる。電子回路300および電子コンパートメント206は、電子回路300がブート失効化装置104内に容易に統合されるように、充分小型である。
【0013】
例示的な電子回路300は、充電/送受信コイル304に連結された磁石302を含む。磁石302および充電/送受信コイルコイル304が、充電パッドまたは卓上失効化装置の電磁場に配置されると、交流電流(AC)が充電/送受信コイル304内で誘導される。誘導されたAC電流は、蓄電スーパーキャパシタ308および/または小型の任意選択のバッテリ310を充電するために、AC電流を自動的に整流し、一方向電流、すなわち、直流電流(DC)を生成するシリコン制御整流器(SCR)ダイオード等のダイオード306によって整流される。本実施形態では、SCRダイオード306は、AC線間電圧から可変DC電圧を生成するために使用され、かつ電力切替、位相制御、バッテリ充電、および変換回路のために使用される4層ソリッドステートデバイスであることができる。加えて、SCRダイオード306は、電子回路300の一定の出力電流または電圧を維持するために使用される。本実施形態では、スーパーキャパシタおよび/または任意選択のバッテリ310等の蓄電キャパシタ308は、互いに並列に接続され、いずれか一方が、電子回路300のための電源として、選択的に機能することができる。上述のように、電子回路300の一実施形態は、誘導充電方法を使用してその電源を充電するため、バッテリ310は任意選択である。
【0014】
電子回路300は、例えば、5Vのバス電圧源Vとして、キャパシタ308および/またはバッテリ130を使用し、分圧器312を通して分圧および調整される。分圧器312は、抵抗器316と直列に接続されるツェナーダイオード314を含み、プロセッサ電圧、例えば、ツェナーダイオード314全体で3.3Vを提供するように動作する。一般に、ツェナーダイオード314は、電圧が、「ツェナー電圧」としても知られる定格降伏電圧よりも大きいと、従来のダイオードと同様の順方向だけではなく、逆方向にも電流を流すことが可能である。ツェナーダイオード314は、大幅に減少した降伏電圧を有し、電子回路300にかかる電圧を調整する。任意選択の線形調整器318を使用して、ツェナーダイオード供給電圧両端間のバス電圧をデジタル信号プロセッサ(DSP)320を作動するために好適な電圧範囲、例えば、1.8Vから3.3Vに調整および/または低減あるいは降下することができる。
【0015】
DSP320は、電子回路300との信号のやりとりの制御および処理を提供する。一実施形態では、DSP320は、定期的に低電力モードから「覚醒(wakes up)」し、送信機ドライバ322および共振キャパシタ324(キャパシタ324およびコイル304は、共振回路を形成する)を介して、充電/送受信機コイル304を通して電流を伝達し、タグ108への送信のためのパルス検査信号を生成する。本実施形態では、送信されるパルスは、36/30Hz繰り返し率において(それぞれ、60/50HzローカルAC電源周波数に対し)1.5ms未満のパルス幅でバーストを有する音響磁気周波数58kHzであることができ、そのように選択されることによって、既存の60/50HzのEASシステムへの干渉を最小限にする。上記に概説されたように、音響磁気システムが磁気周波数信号を58kHzでパルス状のパターンで送信すると、送信信号は、検出区域内の音響磁気タグに電源を発生させる。送信信号パルスが終了すると、タグ108は、独特の周波数信号を発することによって応答する。タグ信号は、送信される信号として、同一周波数、例えば58kHzであることができる。パルスとパルスの間の送信機ドライバ322がオフになる期間、受信機326は、タグ108によって送信される応答信号を受信または検出することができる。受信機326は、タグ108の応答信号を増幅およびフィルタリングする。受信機326は、タグ108の応答信号をDSP320のアナログ/デジタル(A/D)コンバータにさらに伝える。
【0016】
DSP320は、タグ108から受信した応答信号をデジタル的にフィルタリングして、応答信号のスペクトルを分析し、タグ108のプロファイルを取得する。また、DSP320は、タグ108からの応答信号を確認し、適切なタグ署名、例えば、送信機と同期するための対応する規定特徴を有し、適切なレベルの増幅で、および正しい繰り返し率の適切な周波数を有することを確実にする。連続的測定に対しこれらの基準が存在する場合、タグ108が検出されている可能性が高い。この一意的タグ署名によって、本発明の音響磁気技術駆動電子回路300は、幅広い監視範囲、高いタグ検出率、および誤報警報に対する相対的電磁波耐性をもたらすことができる。タグ108が検出されると、DSP320は、インジケータをトリガし、LED328を発光する、あるいは圧電複合変換器またはスピーカー等の音響変換器330にパルスを送信することによって、ユーザに警報する。LED328またはスピーカー330は、DSP320に直接接続することができる。
【0017】
伝達モードの際、SCR306は、伝達される電流がスーパーキャパシタ308に流入するのを防止する。電子回路300がタグから応答を受信しない期間の間、電子回路300は、その電源を充電する準備ができている。充電/送受信機コイル304および同調キャパシタ(または、共振回路構成要素)324は、電磁気信号送信ならびに誘導充電の両方のために使用されるため、電子回路300は、約58kHzで動作する卓上失効化装置によって、または58kHzを数kHz上回るもしくは下回る周波数で動作する充電パッドによって、充電可能である。一般に、この周波数範囲は、EASシステム周波数と干渉しないが、キャパシタ308を充電するために、依然として好適である。
【0018】
動作時に、電子回路300は、一時的に有効化し、EASタグを検索し、状態信号をユーザに提供する。標準的音響磁気卓上失効化装置および/または充電パッドから生成されるエネルギーを使用することによって、電子回路300は、自己作動することができ、したがって、バッテリまたはバッテリ交換を必要とせず、電子回路300は、完全に環境的に密封されたユニットとなることができる。音響磁気システムは、典型的には、磁気周波数信号を58kHzでパルス状のパターンで送信する。送信信号は、検出区域内の音響磁気EASタグに電源を発生させる。送信信号パルスが終了すると、EASタグが応答し、単一の非常に独特の周波数信号を発する。EASタグ信号は、典型的には、送信機信号と同一周波数であるが、設計要件に従って変化してもよい。バッテリの充電は、音響磁気卓上失効化装置および/または充電パッドからの誘導結合によって行われる。
【0019】
動作時に、ブート失効化装置104がEASタグ108から応答を受信すると、電子コンパートメント206内に位置する電子回路300は、EASタグ108が失効化されているかどうかを検出し、任意の種類の表示方法を使用して、EASタグ108に対する失効化状態インジケータを表示する。例えば、ブート失効化装置104は、EASタグ108の失効化状態を示すために、ブート失効化装置104に統合される少なくとも一つのインジケータを含むこともできる。図2は、ブート失効化装置104の底に埋め込まれた電子コンパートメント206を示すが、これは例証目的のためであって、電子コンパートメント206は、本発明の範囲および精神から逸脱せず、任意の構成でブート失効化装置104に統合することができる。
【0020】
卓上失効化装置あるいは充電パッドの電磁場エネルギーを使用して、スーパーキャパシタ308を誘導的に充電し、および/または電子回路300を作動させることによって、電子回路300を充電する方法は、ハードタグ除去装置、EAS二重チェッカー、バーコードスキャナ等、他の販売時点情報管理(POS)機器に拡大することもできる。周知の58kHz送信充電パッドの例は、電子回路300を充電するために使用可能な検出信号を継続的に送信する卓上失効化装置である。一実施形態では、小型バッテリをブート失効化装置104に追加して、検出範囲を拡大し、デバイス性能の一貫性を向上させることができる。別の実施形態では、電子回路300を充電する方法は、ブート失効化装置104の磁石302および充電/送受信機コイル304の相対運動を使用して、再充電を発生させる。例えば、ユーザがブート失効化装置104を震盪すると、ブート失効化装置104に連結される磁石302は、充電/送受信機コイル304に対し、比較的小領域内を移動するように搭載することができる。この震盪が生じると、充電/送受信機コイル304および音響磁気磁石302の誘導結合によって充電が発生し、それによって、スーパーキャパシタ308を誘導的に充電する。加えて、低蓄電、すなわち、キャパシタ308または任意選択のバッテリ310の低充電は、電子回路300によって検出され、タグ失効化インジケータと異なる独特のパターンのLED点滅または可聴アラーム等の低バッテリ状態インジケータをトリガすることができる。
【0021】
図4は、EASタグを検出および失効化し、タグ失効化状態インジケータを生成するための電子回路300の例示的動作400を示すフローチャートである。ステップS402では、誘導されるAC電流は、誘導充電によって生成される。ステップS404では、誘導されるAC電流は、ダイオード306によって整流される。次に、ステップS406では、整流されたAC電流は、蓄電スーパーキャパシタ308を充電することができる。バス電圧は、ステップS408で生み出される。ステップS410では、線形調整器312が、電圧を供給し、DSP320を作動させる。任意選択の線形調整器312は、供給電圧を降下し、同時に伝達される電流がスーパーキャパシタ308内に逆流するのを防止する。ステップS412では、DSP320は、定期的に低電力モードから「覚醒」し、EASタグへ送信/EASタグから受信する信号を処理する。ステップS414では、DSP320は、送信機ドライバ322(ステップS414)および共振キャパシタ324を含む共振回路(ステップS416)を介して、送信/受信コイルを通して電流を送信し、EASタグ108への送信のための検査信号を生成する。ステップS418では、標的タグ108が電子回路300の検査信号に応答しない場合、または電子回路がEASタグ108を検出していない場合、プロセスは、ステップS402に戻ることができる。別様に、EASタグ108からの応答がある場合、受信機回路は、ステップS420で応答信号を受信し、応答および応答内に含まれる任意の関連タグの処理のために、DSP320へ応答信号を伝える。処理のためにタグ応答信号をDSP320へ伝える前に、受信機回路328は、タグ応答信号を増幅およびフィルタリングする(ステップS420)。再び、DSP320は、タグ応答信号を処理し、タグ応答信号が有効であって、失効化の準備ができているかどうかを判断し、そうである場合、失効化信号をタグ108に送信する(ステップS422)。タグ応答信号が有効であると、回路300は、上記で論じられる、可視表示(例えば、緑色LED)、または可聴トーン(例えば、「ビープ音」)等の任意のインジケータの種類を使用して、タグ状態表示を生成する(ステップS424)。コイル304を介して、タグ108に送信されるタグ検査信号およびタグ失効化信号は、本明細書では、集合的に電磁気タグ信号と称される。
【0022】
図5は、EASタグ108を失効化するための例示的方法を示すフローチャート500である。ステップS502では、EASタグ失効化およびEASタグ検出状態表示のための電子回路300は、所定のイベントの発生に応じて有効化される。電子回路300の有効化が終了すると、電子回路300は、検査信号を生成することによって、EASタグ108を検索する(ステップS504)。正しく送信される検査周波数を受信すると、タグ108が共振し、検出することができる。音響磁気タグのための典型的検査周波数は、約58kHzであって、本明細書ではこれを実施例として使用する。ステップS506では、電子回路300は、EASタグ108から関連するタグデータを有する共振応答を受信する。ステップS508では、電子回路300は、関連するタグデータを有する応答信号を処理し、種々の属性に対し関連するタグデータを検証することによって、応答信号が有効EASタグ信号であるかどうか判定する。例えば、応答信号は、適切なスペクトル成分を有していなければならず、予測される連続的ウィンドウで受信されなければならない。応答信号が有効EASタグ信号であるとDSP320によって判定される場合、DSP320は、特定の動作モードに依存して、失効化を開始、またはEASタグの検出を表示してもよい。ステップS508では、EASタグが検出されると、ブート失効化装置104の電子回路300は、LED328の点灯またはスピーカー330による聴覚発信音の発生等、EASタグ状態インジケータを有効化することによって、EASタグ108の検出された状態を示す(ステップS510)。電子回路300が信号をタグ108へ送信またはタグ108から受信しない時間の間、電子回路300は、蓄電スーパーキャパシタ308または任意選択のバッテリ310を介して、充電あるいは再充電することができる(ステップS512)。注目すべきことは、充電/再充電がステップS512として示されるが、充電は、タグ検出サイクルの任意のアイドル時点で生じることが可能であることを理解されたい。
【0023】
本発明は、電子物品監視システムにおいて物品に取り付けられるタグを検出、検出されたタグを失効化、およびタグ状態表示を生成するための携帯用回路、装置、および方法を、有利に提供ならびに画定する。
【0024】
本発明の実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはハードウェアおよびソフトウェア要素の両方を含む実施形態の形態をとることができる。当業者は、本発明は特に図示されて本明細書に上述されたものには限定されないことを理解するであろう。さらに、上記で相容れないことが記述されていない限り、全ての添付図面は原寸に比例していないことに留意すべきである。上記の教示に照らして、以下の請求項のみによって制限される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、種々の変更および変形が考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子物品監視(EAS)デバイスのための電子回路であって、
電磁場に曝されると電流を誘導し、かつ、電磁気タグ信号を送信するコイルと、
前記コイルと導電する同調キャパシタであって、前記同調キャパシタおよび前記コイルは、前記電磁気タグ信号の送信のための共振を確立する同調キャパシタと、
前記コイルと導電し、前記コイルから前記誘導電流を受電する蓄電キャパシタとを備える電子回路。
【請求項2】
前記コイルおよび前記蓄電キャパシタと導電する第1のダイオードをさらに備え、この第1のダイオードは、前記コイルからの誘導電流を整流する請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記蓄電キャパシタおよび第1のダイオードと導電する分圧器をさらに備え、前記分圧器は、プロセッサ電圧を与える請求項2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記分圧器と導電する線形電圧調整器をさらに備え、前記線形調整器は、前記プロセッサ電圧を調整する請求項3に記載の電子回路。
【請求項5】
前記蓄電キャパシタによって作動するプロセッサをさらに含み、このプロセッサは、EASタグからの応答信号を処理する請求項2に記載の電子回路。
【請求項6】
前記プロセッサは、EASタグ状態を判定する請求項5に記載の電子回路。
【請求項7】
前記プロセッサは、送信許可制御信号を生成し、前記送信許可制御信号は、前記コイルの前記電磁気タグ信号送信時、前記第1のダイオードの動作を制御し、前記蓄電キャパシタによる前記誘導電流の受電を失効化する請求項5に記載の電子回路。
【請求項8】
電子物品監視(EAS)タグを検出および失効化するための装置であって、バーコードスキャナおよびRFIDスキャナのうちの少なくとも一つに取り付け可能な筐体と、
前記筐体内に位置する電子回路と、
前記電子回路によって制御される少なくとも一つのユーザ観測可能インジケータであって、前記筐体に取り付けられ、タグ失効化状態を提供する少なくとも一つのユーザ観測可能インジケータとを備える装置。
【請求項9】
前記電子回路は、
電磁場に曝されると電流を誘導し、かつ、電磁気タグ信号を送信するコイルと、
前記コイルと導電する同調キャパシタであり、この同調キャパシタおよび前記コイルは、前記電磁気タグ信号の送信のための共振を確立する同調キャパシタと、
前記コイルと導電し、前記コイルから前記誘導電流を受電する蓄電キャパシタとを含む請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記電子回路は、前記コイルおよび前記蓄電キャパシタと導電する第1のダイオードをさらに含み、第1のダイオードは、前記コイルからの誘導電流を整流する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記電子回路は、前記蓄電キャパシタおよび第1のダイオードと導電する分圧器をさらに含み、前記分圧器は、プロセッサ電圧を提供する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記電子回路は、前記分圧器と導電する線形電圧調整器をさらに含み、前記線形調整器は、前記プロセッサ電圧を調整する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記電子回路は、プロセッサを含み、前記プロセッサは、EASタグから受信した応答信号を処理し、前記応答に基づいて、前記少なくとも一つのユーザ観測可能インジケータを制御する、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、EASタグ失効化状態を判定する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つのユーザ観測可能インジケータは、タグ状態の可視表示を提供する発光ダイオード(LED)である、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
電子物品監視(EAS)タグのタグ検出状態を生成する方法であって、
電子回路の蓄電装置を誘導的に充電し、
前記蓄電装置内に蓄電された電力を使用して、前記電子回路を動作している間に、少なくとも一つのEASタグと通信し、
前記少なくとも一つのEASタグと通信している間に、前記蓄電装置の前記誘導充電を失効化することを含む方法。
【請求項17】
前記少なくとも一つのEASタグとの前記通信は、タグ検査信号の送信を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記タグ検査信号への応答に基づくタグ状態の判定をさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記判定されたタグ状態に基づいて、ユーザ観測可能EASタグ検出表示を生成することをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記蓄電装置の前記誘導充電の無効化は、整流ダイオードを無効化することを含む請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−528392(P2010−528392A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510292(P2010−510292)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/006478
【国際公開番号】WO2008/153703
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(592192642)センサーマティック・エレクトロニクス・コーポレーション (92)
【氏名又は名称原語表記】SENSORMATIC ELECTORONICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6600 Congress Avenue,Boca Raton,Florida 33487,United State of America
【Fターム(参考)】