電極カテーテル
【課題】標的となる生体組織を広い範囲で均一に、しかも正確に安定して焼灼することができる電極カテーテルを提供すること。
【解決手段】カテーテルチューブ6の遠位端部に装着してある第1電極11と、第1電極11に対してカテーテルチューブ6の長手方向に沿って所定間隔で離れて配置され、第1電極11とは異なる電圧が印加される第2電極13と、を有する焼灼用電極カテーテルである。第1電極11と第2電極13との間には、第1電極11または第2電極13に電気的に接続され、生体組織との接触面積が第1電極11または第2電極13に比較して小さくなる疎ら電極15がカテーテルの遠位端部外周に形成してある。
【解決手段】カテーテルチューブ6の遠位端部に装着してある第1電極11と、第1電極11に対してカテーテルチューブ6の長手方向に沿って所定間隔で離れて配置され、第1電極11とは異なる電圧が印加される第2電極13と、を有する焼灼用電極カテーテルである。第1電極11と第2電極13との間には、第1電極11または第2電極13に電気的に接続され、生体組織との接触面積が第1電極11または第2電極13に比較して小さくなる疎ら電極15がカテーテルの遠位端部外周に形成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に挿入して、標的組織細胞を加温壊死させる電極カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジオ波焼灼用術は、患者の負担が少ない低侵襲治療法として、肝臓がん、乳がん、肺がん、軟骨疾患、心臓頻拍などの治療に広く用いられている。治療器具としては、血管内壁および心臓内壁に血管経由でアプローチする器具と、それ以外に大別される。肝臓がん、肺がん、軟骨組織治療用などには、直針状単一電極や複数本の展開電極を有するモノポーラ型焼灼用電極カテーテルが用いられる。モノポーラ型焼灼用カテーテルでは、組織と接触する電極の温度や通電中のインピーダンスを計測して、体表面に貼られた対極板との間に流す高周波電力の流し方を制御している。
【0003】
標的組織を安全に安定して少ない回数で加熱壊死させる(焼灼する)ためには、体内に挿入するカテーテルの電極が焼灼組織の焦げにより組織への通電が阻害されないようにして、電極付近のなるべく広範囲の組織を焼灼できるようにすることが必要である。展開電極では複数の電極を展開することにより、発熱点を分散させ、直針状の単一電極では電極針の内側に氷冷した生理的食塩水を循環させて電極表面温度が上がり過ぎないようにして、術中の標的組織の温度やインピーダンスを計測して高周波電力の流し方の工夫することと併せて電極面での焦げ付きを防止してきた。
【0004】
こうした従来技術のうち、展開電極では予め癖付けされた複数の電極を収納筒から標的組織内で展開するため、展開される電極の広がりは組織状態により変動するうえ焼灼範囲は電極近傍に限られるから、電極の広がりの変動により変動し、標的組織に焼灼残りを生ずる問題があった。また、電極冷却式の直針状の単一電極では電極位置の変動は無いが、冷却により失われる熱を補って焼灼するため大きな電力を必要とするうえ、冷却システムと電力制御システムの統合制御などの複雑な制御システムとなってしまうという問題があった。
【0005】
なお、下記の特許文献1に示すように、カテーテルの遠位端部に、少なくとも一対の電極を配置し、これらの電極間に接触する生体組織に高周波電流を流し、電極に接触する生体組織を焼灼するバイポーラ型焼灼用電極カテーテルが知られている。バイポーラ型焼灼用電極カテーテルによれば、モノポーラ型焼灼用電極カテーテルに比較して、消費電力を少なくすることが可能である。
【0006】
しかしながら、従来のバイポーラ型焼灼用電極カテーテルでは、カテーテルの遠位端部に設けられた一対の電極間に接触する生体組織において、部分的に通電密度が高い部分と低い部分とが生じ、局所的に加熱し過ぎてしまう部分が生じやすいという課題を有している。
【特許文献1】特表2002−507924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、標的となる生体組織を広い範囲で均一に、しかも正確に安定して焼灼することができる電極カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電極カテーテルは、
カテーテルチューブの遠位端部に装着してある第1電極と、
前記第1電極に対して前記カテーテルチューブの長手方向に沿って所定間隔で離れて配置され、前記第1電極とは異なる電圧が印加される第2電極と、を有し、
前記第1電極と第2電極との間には、前記第1電極または第2電極に電気的に接続され、生体組織との接触面積が前記第1電極または第2電極に比較して小さくなる疎ら電極が前記カテーテルの遠位端部外周に形成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電極カテーテルは、一対の第1および第2電極間に、高周波電圧を印加することが可能なバイポーラ型電極カテーテルなので、対極板が不要で焼灼に必要な電力は小さくて済み、電極間に位置する生体組織を効率的に焼灼することができる。また、本発明に係る電極カテーテルでは、第1電極と第2電極との間に疎ら電極が形成してあるために、両電極間に接する生体組織への通電密度が平準化して、広い範囲の生体組織に対して、均一な高周波通電が可能になると共に、局所的な過熱を防止することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る電極カテーテルでは、電極面積あたりの高周波電力量を一定限度以下にするように抑えることで、一対の電極間に接する生体組織の焦げ付きまでの時間を延長でき、電極への焦げ付きによる焼灼不良を防止することができる。
【0011】
好ましくは、前記第1電極に接続してある前記疎ら電極は、前記生体組織との接触面積が前記第2電極に向けて徐々に小さくなるように形成してある。あるいは、好ましくは、前記第2電極に接続してある前記疎ら電極は、前記生体組織との接触面積が前記第1電極に向けて徐々に小さくなるように形成してある。このように、一方の電極から他方の相手側の電極に向けて、接触面積を徐々に小さくすることで、両電極間に接する生体組織への通電密度が平準化され、広い範囲の生体組織に対して、均一な高周波通電が可能になると共に、局所的な過熱を防止することができる。
【0012】
前記疎ら電極の形態としては、特に限定されず、たとえば所定間隔で配置されたリング状電極の集合であっても良く、当該リング状電極の幅が徐々に異なるようにしても良い。あるいは、前記疎ら電極が、ドット状電極であり、当該ドット状電極の間隔および/または大きさが徐々に異なるようにしても良い。あるいは、前記疎ら電極が、前記第1電極または第2電極から前記カテーテルチューブの長手方向に沿って延びる先細状電極であっても良い。
【0013】
好ましくは、前記カテーテルチューブの内側には、内チューブが前記カテーテルチューブの長手方向に沿って配置してあり、
前記内チューブの遠位端開口が、前記第1電極の内側に向けて配置してあり、
前記内チューブの内部には、冷却用流体が流通し、前記遠位端開口から流出するように構成してある。
【0014】
内チューブの遠位端開口から第1電極の内側に向けて冷却用流体を流出させることで、特に第1電極を冷却することが可能になる。第1電極の内側を冷却した冷却用流体は、第2電極の内側も通りカテーテルチューブの近位端側に戻されるため、第2電極も冷却される。このため、本発明の電極カテーテルでは、両電極への生体組織の焦げ付きを効果的に防止することができる。
【0015】
第1電極への高周波電圧の供給経路としては、特に限定されないが、前記内チューブが、長手方向に沿って延びる第1導電性部分を有し、前記第1導電性部分を通して、前記第1電極に電圧を供給してもよい。このように構成することで、内チューブとは別に配線を設ける必要がなくなり、カテーテルの細径化と部品点数の削減に寄与する。
【0016】
前記カテーテルチューブの近位端には、ハンドルが接続してあり、
前記ハンドルには、前記内チューブの内部に冷却用流体を送り込むためのインポート用流路と、前記遠位端開口から流出する冷却用流体が前記カテーテルチューブと前記内チューブとの間の流路を通してハンドル側に戻るアウトポート流路とが形成してあり、
前記アウトポート流路には、前記インポート流路からの冷却用流体の一部がエジェクターの駆動用流体として流れ込むようになっていてもよい。
【0017】
このように構成することで、吸引装置などを用いることなく、遠位端開口から流出する冷却用流体を、カテーテルチューブと前記内チューブとの間の流路を通してハンドル側のアウトポート流路へ、自動的に吸引することが可能になる。
【0018】
前記遠位端開口は、前記内チューブの内径よりも絞られており、当該遠位端開口を冷却用流体が吹き出す際に、冷却用流体が膨張することで周囲から熱を奪うようになっていてもよい。冷却用流体としては、冷却用気体が好ましい。遠位端開口を冷却用気体が吹き出す際に、冷却用気体が膨張することで周囲から熱を奪うことができ、簡単なシステムでカテーテルの遠位端を冷却することができる。
【0019】
前記カテーテルチューブが、長手方向に沿って延びる第2導電性部分を有し、当該第2導電性部分を通して、前記第2電極に電圧が供給されてもよい。このように構成することで、カテーテルチューブとは別に配線を設ける必要がなくなり、カテーテルの細径化と部品点数の削減に寄与する。
【0020】
好ましくは、前記第2導電性部分が、前記カテーテルチューブに埋め込まれた導電性補強線である。この場合には、配線となる第2導電性部分が、カテーテルチューブを補強することになり、さらに部品点数の削減に寄与する。
【0021】
第1電極、第2電極および疎ら電極の形成方法としては、特に限定されないが、たとえば第2電極および当該第2電極に接続する疎ら電極は、前記カテーテルチューブに埋め込まれた導電性補強線の外周に被覆してある絶縁被膜が除去された部分に形成してあってもよい。
【0022】
また、前記第1電極および当該第1電極に接続する疎ら電極は、前記カテーテルチューブの遠位端に電気絶縁状態で接続された中空の導電性キャップの外周に被覆してある絶縁被膜が除去された部分に形成してあっても良い。
【0023】
本発明によれば、圧縮ガスの通気のような簡単な内部冷却でも安定して標的となる生体組織を焼灼でき、複雑なフィードバックシステムを必要としない簡便なラジオ波焼灼用カテーテルを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電極カテーテルを含むシステム全体の概略図、
図2は図1に示すII部の要部拡大断面図、
図3は図2に示す電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図、
図4は図2に示すIV−IV線に沿う要部断面図、
図5は図2に示すV−V線に沿う要部断面図、
図6は図2に示すVI−VI線に沿う要部断面図、
図7は図1に示すハンドルの要部断面図、
図8は本発明の他の実施形態に係るハンドルの要部断面図、
図9は本発明の実施形態に係る電極カテーテルの要部拡大断面図、
図10は図9に示す電極カテーテルの要部斜視図、
図11および図12はその他の実施形態に係る電極カテーテルの要部斜視図、
図13(A)〜図13(G)は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図、
図14は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図である。
図15は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける第1電極の先端形状を示す要部側面図である。
第1実施形態
【0025】
図1に示す本実施形態に係る電極カテーテル2は、たとえば肝臓がんの患部、乳がんの患部、肺がんの患部、軟骨組織の患部などの焼灼すべき生体組織部分を焼灼するための焼灼治療などに用いられる電極カテーテルである。本実施形態に係る電極カテーテル2は、体内に挿入されるカテーテルチューブ6と、このカテーテルチューブ6の近位端に設けられたハンドル4とを有する。
【0026】
カテーテルチューブ6の内部には、図2に示すように、内チューブ8が長手方向に沿ってカテーテルチューブ6の内周面に接着などで固定してあるが、必ずしも固定する必要はない。カテーテルチューブ6の遠位端には、内部が中空で弾丸形状の金属製キャップ10の近位端が接着剤などで接合してある。
【0027】
カテーテルチューブ6と内チューブ8との間の隙間には、カテーテルチューブ6の長手方向に沿って流路6aが形成され、その流路6aは、金属製キャップ10の内側中空部10aに連通している。内チューブ8の遠位端開口には、絞りチューブ16が固定してあり、内チューブ8の流路8aを通して圧送される圧縮空気をキャップ10の中空部10aに向けて吹き出すようになっている。絞りチューブ16から吹き出された圧縮空気は、中空部10aで断熱膨張されて周囲から熱を奪い、キャップ10の内側と、その周辺を冷却しつつ、流路6aを通して、図1に示すハンドル4へと戻るようになっている。
【0028】
金属製キャップ10の外周は、金属表面が露出しており、第1電極11を構成する。カテーテルチューブ6は、本実施形態では、チューブ6の長手方向に沿って配置された導電線12を外側絶縁層6bおよび内側絶縁層6cで被覆された導電線補強チューブで構成してある。導電線12は、コイル状に巻回してあっても良く、あるいは、チューブ状に編み込まれていても良く、いずれにしてもチューブ6の補強作用を有すると共に、本実施形態では、下述する第2電極13および疎ら電極15への導電線となる。
【0029】
外側絶縁層6bおよび内側絶縁層6cは、たとえばポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、PEEK、PPS、PTFE、FET、シリコン樹脂などのプラスチック材料で構成される。ただし、カテーテル2が血管内に挿入される場合には、カテーテルチューブ6の外側絶縁層6bの素材としては、抗血栓性の可撓性樹脂が好ましく、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどで構成されることが好ましい。
【0030】
本実施形態では、カテーテルチューブ6の遠位端部において、外側絶縁層6の一部が除去され、編み込まれた導電線12の表面が露出し、その部分にめっき処理あるいは金属リングが装着され、リング状電極12aから成る第2電極13と、リング状電極12bの集合で構成される疎ら電極15とが形成される。
【0031】
この実施形態では、第2電極13および疎ら電極15は、カテーテル2の長手方向に沿って所定間隔で配置されたリング状電極の集合であり、図2および図3に示すように、リング状電極の幅が第2電極13から第1電極11に向けて徐々に小さくなるようになっている。これらのリング状電極から成る第2電極13および疎ら電極15は、導電線12を通して電気的に接続され、同じ電圧が印加される。
【0032】
内チューブ8は、この実施形態では、SUS304、SUS316などのステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金、マグネシウム合金、クロム鋼、貴金属合金などの金属材料などで構成してあり、その遠位端が導電性接着剤14あるいはロー付けなどによりキャップ10の内周に接合してある。そのため内チューブ8とキャップ10とは電気的にも接続され、内チューブ8を通して、キャップ10からなる第1電極11に、第2電極13と対を成す高周波電圧が印加されるようになっている。
【0033】
図1および図7に示すように、カテーテルチューブ6の近位端には、ハンドル4が接合してあり、内チューブ8の近位端もハンドル4に接合してある。図7に示すように、内チューブ8の近位端側では、内チューブ8の外周に絶縁被覆層8bが形成してあり、内チューブ8の内周側流路8aは、ハンドル4の近位端に形成してあるインポート用流路26に連通している。
【0034】
インポート用流路26には、図1に示す冷却用チューブ27が接続してあり、そこから図7に示す内チューブ8の内部流路8aに冷却用圧縮空気を送り込むようになっている。内部流路8a内に送り込まれた圧縮空気は、内チューブ8を通して、その遠位端に設けられた絞りチューブ16からキャップ10の内部10aに向けて吹き出され、そこで膨張して、周囲から熱を奪い、第1電極11、疎ら電極15および第2電極13の内部を順次冷却する。冷却後の空気は、カテーテルチューブ6の流路6aを通して、ハンドル4に戻され、ハンドル4に形成してあるアウトポート流路40に接続してある排出チューブ41(図1参照)を通して外部に排出される。
【0035】
なお、図1に示す冷却用チューブ27の途中には、制御弁28が具備してあり、図2に示す中空部10aあるいは流路6aの内部に具備してある圧力センサ(図示せず)が所定圧力以上にならないように制御している。所定圧力としては、特に限定されないが、たとえば大気圧である。すなわち、流路6aを負圧にすることで、カテーテルチューブ6や電極11,13,15などに欠陥があったとしても、流路6a内の流体が外部に漏れることを有効に防止することができる。流路6aを負圧にするには、図1に示すチューブ41を通して流路6a内の流体を吸引すればよい。
【0036】
ハンドル4の内部において、内チューブ8には、導電線24が接続してあると共に、カテーテルチューブ6の導電線12には導電線22が接続してある。これらの導電線22および24は絶縁されてケーブル20に導かれ、ケーブル20を通して、図1に示す高周波発生器30に接続される。
【0037】
高周波発生器30からコード20、導電線22および24、内チューブ8と導電線12を通して、第1電極11および疎ら電極15と第2電極13との間に接触している生体組織に高周波電流を流して焼灼治療を行う。
【0038】
図2〜図6に示すカテーテルチューブの外径は、特に限定されないが、好ましくは0.8〜3mmである。カテーテル2を体内に挿入するとき標的となる生体組織以外の生体の損傷を小さくして、挿入の抵抗を小さくしたり、カテーテルをアプローチする誘導管路の通過性を改善するには小さいほど有利である。しかしながら、小さすぎると押し込み力が小さくなり、内径も必然的に小さくなる結果、冷却用流体の流路断面積が小さくなって、電極11,13,15を冷却する流体が十分に流れなくなる傾向にある。
【0039】
なお、細径化を図りながら押し込み性を向上させると共に、流路断面積を大きくするために、カテーテルの近位端から遠位端に向かって、外径を段階的あるいは連続的に小さくする工夫をしても良い。逆に遠位端外径を電極よりも近位側で縮径することで、電極留置中の移動を防止しても良い。カテーテルチューブ6の内径は、流路断面積を大きくとるために大きいほうがいいが、取り扱い時の変形や破壊を防止できる材料に応じた肉厚を確保しなければならない。
【0040】
内チューブ8の内径は0.02mm以上で、肉厚は0.005mm以上である、遠位端付近の開孔径を流入管で最小とするように絞ると圧縮気体を冷却用流体として使った場合に断熱膨張による冷却効果が期待できるようになる。この場合でも最小内径で0.01mmより小さくすることは閉塞による危険が多く避けることが好ましい。
【0041】
内チューブ8の外径は、カテーテルチューブ6の内部に、内チューブ8との間で十分な流路断面の流路6aを形成し、且つ、内チューブ8の内部にも十分な流路断面の流路8aを形成するように決定される。具体的には、内チューブ8の外径は、カテーテルチューブ6の内径との間の流路断面積が内チューブ内流路断面積より大きいように選択される。冷却用流体として圧縮気体ないしは液化気体を用いる場合は、流路6aの断面積が、内チューブ8の流路8aの断面積の10倍程度となるように、内チューブ8の外径が選択される。なお、内チューブ8の外径は、必要に応じて施されるチューブ外面の絶縁被覆を含んで決定される。
【0042】
カテーテルチューブ6の長さは、標的となる生体部位へのアプローチ法に応じて必要な長さであり、100mmから2500mm程度があり得る。
【0043】
図3に示すように、カテーテル2の長手方向に沿う第1電極11の長さL1は、図1に示す高周波発生器30から第1電極11に供給される高周波電力が、電極面積当たり、5W/mm2 以内となるように決定され、特に限定されないが、好ましくは1〜10mmである。この長さL1が短すぎると、電極面積が小さくなって電極面積あたりの電力量が5W/m2を超えて焦げ付きを起こしやすくなる傾向にあり、長すぎると、電極の長手方向の電力密度勾配が大きくなって焼灼ムラを起こしやすくなる傾向にある。
【0044】
また、カテーテル2の長手方向に沿う第2電極13の幅L2aは、疎ら電極15と組み合わされて決定され特に限定されないが、好ましくは0〜10mmである。第2電極13の幅L2aが0でも良いのは、疎ら電極15の一部として、第2電極13が配置されても良いからである。なお、第2電極13の幅L2aが長すぎると、電極の長手方向の電力密度勾配が大きくなって、焼灼ムラを起こしやすくなる傾向にある。第2電極13の幅L2aと疎ら電極15の幅L2bの合計は、図1に示す高周波発生器30から第1電極11および疎ら電極15に供給される合計の高周波電力が、電極面積当たり、5W/mm2 以内となるように決定される。
【0045】
カテーテル2の長手方向に沿う疎ら電極15の幅L2bは、第1電極11の長さL1に対して、10〜1000%の長さであることが好ましい。この疎ら電極15の幅L2bが小さすぎると、本発明の作用効果が小さく、幅L2bが大きすぎると、L1、L3、L2a及びL2bの合計が大きくなり、焼灼ムラを起こしやすくなる傾向にある。
【0046】
カテーテル2の長手方向に沿う疎ら電極15の最遠位端と第1電極11との間の絶縁距離L3は、好ましくは3〜30mmである。この距離L3が短すぎると、焦げ付きを起こしやすくなる傾向にあり、長すぎると、焼灼が不十分となる傾向にある。
【0047】
疎ら電極15におけるリング状電極12bの幅は、第2電極13から第1電極11に向けて、徐々に小さくなることが好ましい。これらのリング状電極12b相互間の隙間幅は、一定でも良いが、第2電極13から第1電極11に向けて徐々に大きくなるようにしても良い。または、これらのリング状電極12bのそれぞれの幅は同じにして、これらのリング状電極12b相互間の隙間幅を、第2電極13から第1電極11に向けて徐々に大きくなるようにしても良い。いずれにしても、第2電極13に接続してある疎ら電極15は、生体組織との接触面積が第1電極11に向けて徐々に小さくなるように形成してある。
【0048】
本実施形態に係る電極カテーテル2は、第1電極11および第2電極13の間に、高周波電圧を印加することが可能なバイポーラ型電極カテーテルなので、焼灼に必要な電力は小さくて済み、電極11および13間に接触して位置する生体組織を効率的に焼灼することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る電極カテーテル2では、第1電極11と第2電極13との間に、第2電極13と同電位の疎ら電極15が形成してあるために、第1電極11と第2電極13との間に接する生体組織への通電密度が平準化される。そのために、比較的に広い範囲の生体組織に対して、均一な高周波通電が可能になると共に、局所的な過熱を防止することができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る電極カテーテル2では、電極面積あたりの高周波電力量を一定限度以下にするように抑えることで、一対の電極11および13の間に接する生体組織の焦げ付きまでの時間を延長でき、電極への焦げ付きによる焼灼不良を防止することができる。
【0051】
さらに本実施形態では、内チューブ8の遠位端には絞りチューブ16が具備してあり、その遠位端開口から第1電極11の内側に向けて圧縮空気を膨張させて吹き出すことで、第1電極11、疎ら電極15および第2電極13を順次冷却することが可能になる。このため、本実施形態の電極カテーテル2では、電極11,13,15への生体組織の焦げ付きを効果的に防止することができる。
【0052】
本実施形態によれば、圧縮ガスの通気のような簡単な内部冷却でも安定して標的となる生体組織を焼灼でき、複雑なフィードバックシステムを必要としない簡便なラジオ波焼灼用カテーテルを実現することができる。
第2実施形態
【0053】
本実施形態では、図7に示すハンドル4の代わりに、図8に示すハンドル4aを用いている以外は、上述した第1実施形態と同様な構成と作用効果を有し、以下の説明では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0054】
図8に示すように、内チューブ8の内部流路に連通するインポート用流路26aの途中には、制御弁52が装着してある。この制御弁52は、図1に示す制御弁28と同じ機能を有する。
【0055】
また、この実施形態では、ハンドル4aに形成してあるカテーテルチューブ6の流路6aを通してハンドル側に戻るアウトポート流路40aには、インポート流路26aからの冷却用流体の一部がエジェクター部50の構造においてエジェクターの駆動用流体として50の構造で流れ込むようになっている。
【0056】
このような構成によれば、特別の吸引装置などを用いることなく、図2に示す絞りチューブ16を通して吹き出された空気を、カテーテルチューブ6の流路6aを通してハンドル4aのアウトポート流路40aへ自動的に吸引することが可能になる。
【0057】
さらに、この実施形態では、合成樹脂などで構成されたハンドル4aの内部に、図1に示す高周波発生器30を組み込むための内部空間54も形成してある。このように構成することで、装置全体の小型化やコンパクト化を図ることができる。
第3実施形態
【0058】
本実施形態では、図2に示す第1電極11、第2電極13および疎ら電極15の代わりに、図9および図10に示す第1電極110、第2電極13および疎ら電極150を形成している以外は、上述した第1実施形態と同様な構成と作用効果を有し、以下の説明では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0059】
図9および図10に示すように、カテーテルチューブ6の遠位端には、絶縁被覆層102で被覆された細長いバルーン形状の導電性キャップ100が接合してある。この導電性キャップ100の近位端は、第1実施形態と同様に、導電性内チューブ8に接続してある。導電性キャップ100は、たとえば金属製である。
【0060】
内チューブ8の遠位端には、第1実施形態と同様に、絞りチューブ16が固定してあり、そこから、キャップ100の先端内面の中空部100aに向けて圧縮空気が膨張して吹き出すようになっている。
【0061】
カテーテルチューブ6の遠位端の一部では、外側絶縁層6bが除去され、導電線12が露出し、そこにめっき処理あるいは金属リングを装着することで、第2電極13が形成してある。この実施形態では、第2電極13には、疎ら電極が接続されていないことから、この第2電極13の幅L2は、この第2電極の電極面積が、第1実施形態における第1電極11の電極面積と等しくなるように決定される。
【0062】
キャップ100の外周に形成してある絶縁被覆層102は、キャップの遠位端に位置する部分で完全に除去してあり、キャップ100の導電性表面が露出し、第1電極110を形成している。また、第1電極110の近位端側では、絶縁被覆層102がリング状に所定間隔で除去されて、リング状電極100aの集合からなる疎ら電極150が形成してある。この疎ら電極150は、キャップ100を通して第1電極110と同電位に設定される。
【0063】
疎ら電極150を構成するリング状電極100aは、第1電極110から第2電極13に向けて、徐々に幅が狭く形成してある。各リング状電極100a間の隙間は、絶縁層102が残っている部分に相当し、その幅は、一定であるが、第2電極13に向けて徐々に広くしても良い。また、各リング状電極100aの幅を同じにして、各リング状電極100a間の隙間を第2電極13に向けて徐々に広くしても良い。
第4実施形態
【0064】
本実施形態は、図10に示す第3実施形態の変形例であり、以下に示す以外は、上述した第3実施形態と同様な構成と作用効果を有し、以下の説明では、第3実施形態と異なる部分について説明する。
【0065】
図11に示すように、この実施形態では、第1電極110と同電位に設定される疎ら電極150aを、絶縁被覆層102に形成してあるドット状孔に対応するドット状電極100bの集合で構成してある。そして、ドット状電極100bの間隔が、第2電極13に向けて徐々に広くなるように配置してある。
【0066】
さらに本実施形態の変形例として、ドット状電極100bの大きさを、第2電極13に向けて徐々に小さくなるようにしてもよい。いずれにしても、第1電110極に接続してある疎ら電極150aは、生体組織との接触面積が第2電極13に向けて徐々に小さくなるように形成してある。
第5実施形態
【0067】
本実施形態は、図11に示す第4実施形態の変形例であり、図12に示すように、疎ら電極150bを構成するドット状電極100cの形状を、円形ではなく、四角形にしてあるが、その他の形状であっても良い。その他のこうせいおよび作用効果は上述し実施形態と同様である。
第6実施形態
【0068】
図13に示すように、本実施形態は、上述した第1〜第5実施形態の組み合わせを含む疎ら電極15,150の変形例であり、以下に示す以外は、上述した実施形態と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0069】
図13(A)に示す実施形態は、図2に示す実施形態と図9に示す実施形態の組み合わせであり、第1電極110に接続する疎ら電極150と、第2電極13に接続する疎ら電極15が、カテーテルの遠位端部に同時に形成してある。
【0070】
図13(B)に示す実施形態では、第1電極110に接続される疎ら電極150aを、図11に示すようなドット状電極とし、第2電極13に接続される疎ら電極15aも同様にドット状電極にしてある。
【0071】
図13(C)に示す実施形態では、第1電極110に接続される疎ら電極150bを、周方向に沿ってジグザグ形状の先細状電極とし、第2電極13に接続される疎ら電極15bも同様に周方向に沿ってジグザグ形状の先細状電極にしてある。
【0072】
図13(D)に示す実施形態では、第1電極110に接続される疎ら電極150cを、第2電極13に向けて長手方向に沿って延びる単一の先細状電極とし、第2電極13に接続される疎ら電極15cも同様に長手方向に沿って第1電極110に向けて延びる単一の先細状電極にしてある。この実施形態の場合には、カテーテルの長手方向に沿った方向では、疎ら電極150cと疎ら電極15cとが重なるが、これらは、斜め方向間隔L3で絶縁されているので問題ない。
【0073】
図13(E)に示す実施形態では、第1電極110aおよび第2電極13が周方向の一部にのみ形成してある。同様に、これらにそれぞれ接続される疎ら電極150dおよび15dも周方向の一部にのみ形成してある。この実施形態の場合には、カテーテルの遠位端部において、周方向の一部でのみ焼灼治療を行うことができる。
【0074】
図13(F)に示す実施形態では、第1電極110および第2電極13の他に、第2電極13からカテーテルの長手方向に沿って近位端側に、第3電極210を形成し、第2電極13と第3電極210との間にも、それぞれ疎ら電極15eおよび250を形成してある。第3電極210およびその疎ら電極250には、第1電極110と同電位の高周波電圧が印加される。
【0075】
図13(G)に示す実施形態は、図13(F)に示す実施形態のさらに変形例であり、第2電極13および第3電極210の他に、第3電極210からカテーテルの長手方向に沿って近位端側に、第4電極310を形成し、第3電極250と第4電極310との間にも、それぞれ疎ら電極250aおよび350を形成してある。第4電極310およびその疎ら電極350には、第2電極13と同電位の高周波電圧が印加される。同様にして、さらに電極の数を増やすことも可能である。
図14に示す実施形態は、図13(D)に示す実施形態の変形例であり、それぞれ単一の先細状の疎ら電極150cと疎ら電極15cとを相互に向き合わせてある。また、本発明では、図13および図14に示す変形例のさらに異なる組み合わせが考えられる。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。たとえば、電極を構成するキャップ10,100は、体内で腐食しない材質であることが好ましく、白金、イリジウム、レニウム、金など、およびこれらの合金、並びにステンレスが好ましく用いられる。
【0077】
また、本発明では、カテーテルチューブ6は、導電線編み込みチューブ以外に、SUS304,316、などのステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金、マグネシウム合金、クロム鋼、貴金属合金などの金属チューブで構成されても良い。あるいは、チューブ6は、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、PEEK、PPS、PTFE、FETなどのプラスチック材料で構成されても良い。さらには、チューブ6は、金属コイルや金属ブレード、繊維の組網体をプラスチック管に積層したもの、繊維や金属との複合プラスチック材料などから目的に応じて使い分けられる。
【0078】
ただし、上述したように、第2電極13の電導路を兼ねるには金属材料を用いるカテーテルチューブ6が好ましい。また、直接に生体に刺して標的部位に電極部を置くには電気絶縁被覆を施した金属管がカテーテルチューブ6として好ましい。さらに、曲がりくねった誘導管や誘導ワイヤーに沿わせて標的部位に電極部を置くには導電線を巻き込み積層したプラスチック管が好ましい。
【0079】
カテーテルチューブ6は、遠位端から近位端まで、同一材料であっても異種材料であってもいいが、第1電極11と第2電極13とは電気的に絶縁されていることが必須である。該絶縁物はプラスチック材料、ゴム材料、セラミック材料など、電気絶縁材料として公知の材料が使用される。
【0080】
カテーテルチューブ6の肉厚は、金属材料で構成される場合には0.01mm以上、プラスチック材料では0.05mm以上、これらの複合材料や繊維強化プラスチック材料では両者の間以上を要する。
【0081】
第1および第2電極は、電気絶縁被覆した金属細管の電気絶縁被覆の1部を剥離したり、金属線補強のプラスチック管の金属線外側プラスチックを一部除去して金属線表面を露出させたり、さらには金属露出部に鍍金したり、金属環を被せて外套露出部と導通させたりして形成してもよい。
【0082】
電極の形状は、第1電極11,110にあっては、半球状や砲丸状ないしは鏃状先端を含むあるいは含まない円筒状、近位電極は円筒上であるものが、焼妁の方向性を出さない目的には適合する。一方、焼妁の方向性を出す場合には周方向の一部を電極とするようにする。
さらに図15に示すように第1電極110の先端が嘴状に伸びた滑らかな曲線で構成される先端絞り形状とすると、カテーテルを患部に挿入するときの挿入抵抗を減じることができる。本形状の軸方向の断面の表面曲線は先端部から手元に向かって漸進的に周方向に広がる曲線(x)と、これに続いて手元部径に収束する漸近的曲線(y)の合成曲線となるが、x+yの軸方向長さは絞り基点外径(z)の2倍から20倍の範囲である。2倍より小さいと挿入抵抗低減の効果が発揮しにくくなり、20倍を超えると電極が長くなり過ぎて焼灼ムラを引き起こす。x:yの比は1:10から10:1の範囲で選択される。
【0083】
相手電極に向かって電極面積を減じてゆく構造としては、電極を相手電極に向かって楔型にする構造や、絶縁被覆した電極の絶縁被覆を小さな円状スポットとして除去し、相手極に向かって周あたりの該スポット数を減少したり、スポット系を小さくしたりする構造がある。
【0084】
図1に示すケーブル20の途中には、電力制限回路を設け、電極面積あたりの電力量が5W/mm2 未満であるようにように高周波電力を抑えてもよい。電極面積あたりの電力量は、電極の冷却能力が大きいときは大きく、冷却能力の小さいときは小さくするが、5〜6気圧の圧縮空気を冷却用気体とする場合は、1W/mm2 程度が安定して広い焼妁範囲を確保できる。電圧は電極間の電弧の発生を防止するのに200V程度を上限とすると良い。
【0085】
冷却用流体として使うことのできる圧縮気体は、通常医療施設に配管されている空気のほか、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム、窒素などの無機気体、メタン、エタン、プロパンなどの有機気体などが使える。プロパン、ブタン、フロンなどの液化ガスは冷却効果が大きい。もちろん冷水や氷冷生理的食塩水などの液体であってもいいが、圧縮気体が好ましい。
【0086】
さらに、図1に示す高周波発生器30は高周波発振回路を有するものでもいいし、アンテナと高周波増幅回路と電源で構成され、外部の高周波発振器から無線で高周波を受け取り増幅使用するものであってもいい。本発明のカテーテルに温度センサーを搭載したり、高周波発生器にインピーダンス信号を発信する回路を設けても良く、これらの値を表示したり記録するシステムを加えても良い。
【0087】
本発明のカテーテルシステムで制御されるのは電極面積あたりの電力量のみであって、術者はカテーテルの対電極のうち小さいほうの電極面積に応じた最大電力量を設定し、冷却用流体を適当量流すだけで、安全に、しかも安定に標的組織を焼妁できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る電極カテーテルを含むシステム全体の概略図である。
【図2】図2は図1に示すII部の要部拡大断面図である。
【図3】図3は図2に示す電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図である。
【図4】図4は図2に示すIV−IV線に沿う要部断面図である。
【図5】図5は図2に示すV−V線に沿う要部断面図である。
【図6】図6は図2に示すVI−VI線に沿う要部断面図である。
【図7】図7は図1に示すハンドルの要部断面図である。
【図8】図8は本発明の他の実施形態に係るハンドルの要部断面図である。
【図9】図9は本発明の実施形態に係る電極カテーテルの要部拡大断面図である。
【図10】図10は図9に示す電極カテーテルの要部斜視図である。
【図11】図11はその他の実施形態に係る電極カテーテルの要部斜視図である。
【図12】図12はその他の実施形態に係る電極カテーテルの要部斜視図である。
【図13】図13(A)〜図13(G)は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図である。
【図14】図14は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図である。
【図15】図15は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける第1電極の先端形状を示す要部側面図である。
【符号の説明】
【0089】
2… 電極カテーテル
4… ハンドル
6… カテーテルチューブ
8… 内チューブ
10,100… キャップ
11,110… 第1電極
12… 導電線
12a,12b… リング状電極
13… 第2電極
15,15a,15b,15c,15d,15e,… 疎ら電極
150,150a,150b,150c,150d,250,250a,350… 疎ら電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に挿入して、標的組織細胞を加温壊死させる電極カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジオ波焼灼用術は、患者の負担が少ない低侵襲治療法として、肝臓がん、乳がん、肺がん、軟骨疾患、心臓頻拍などの治療に広く用いられている。治療器具としては、血管内壁および心臓内壁に血管経由でアプローチする器具と、それ以外に大別される。肝臓がん、肺がん、軟骨組織治療用などには、直針状単一電極や複数本の展開電極を有するモノポーラ型焼灼用電極カテーテルが用いられる。モノポーラ型焼灼用カテーテルでは、組織と接触する電極の温度や通電中のインピーダンスを計測して、体表面に貼られた対極板との間に流す高周波電力の流し方を制御している。
【0003】
標的組織を安全に安定して少ない回数で加熱壊死させる(焼灼する)ためには、体内に挿入するカテーテルの電極が焼灼組織の焦げにより組織への通電が阻害されないようにして、電極付近のなるべく広範囲の組織を焼灼できるようにすることが必要である。展開電極では複数の電極を展開することにより、発熱点を分散させ、直針状の単一電極では電極針の内側に氷冷した生理的食塩水を循環させて電極表面温度が上がり過ぎないようにして、術中の標的組織の温度やインピーダンスを計測して高周波電力の流し方の工夫することと併せて電極面での焦げ付きを防止してきた。
【0004】
こうした従来技術のうち、展開電極では予め癖付けされた複数の電極を収納筒から標的組織内で展開するため、展開される電極の広がりは組織状態により変動するうえ焼灼範囲は電極近傍に限られるから、電極の広がりの変動により変動し、標的組織に焼灼残りを生ずる問題があった。また、電極冷却式の直針状の単一電極では電極位置の変動は無いが、冷却により失われる熱を補って焼灼するため大きな電力を必要とするうえ、冷却システムと電力制御システムの統合制御などの複雑な制御システムとなってしまうという問題があった。
【0005】
なお、下記の特許文献1に示すように、カテーテルの遠位端部に、少なくとも一対の電極を配置し、これらの電極間に接触する生体組織に高周波電流を流し、電極に接触する生体組織を焼灼するバイポーラ型焼灼用電極カテーテルが知られている。バイポーラ型焼灼用電極カテーテルによれば、モノポーラ型焼灼用電極カテーテルに比較して、消費電力を少なくすることが可能である。
【0006】
しかしながら、従来のバイポーラ型焼灼用電極カテーテルでは、カテーテルの遠位端部に設けられた一対の電極間に接触する生体組織において、部分的に通電密度が高い部分と低い部分とが生じ、局所的に加熱し過ぎてしまう部分が生じやすいという課題を有している。
【特許文献1】特表2002−507924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、標的となる生体組織を広い範囲で均一に、しかも正確に安定して焼灼することができる電極カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電極カテーテルは、
カテーテルチューブの遠位端部に装着してある第1電極と、
前記第1電極に対して前記カテーテルチューブの長手方向に沿って所定間隔で離れて配置され、前記第1電極とは異なる電圧が印加される第2電極と、を有し、
前記第1電極と第2電極との間には、前記第1電極または第2電極に電気的に接続され、生体組織との接触面積が前記第1電極または第2電極に比較して小さくなる疎ら電極が前記カテーテルの遠位端部外周に形成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電極カテーテルは、一対の第1および第2電極間に、高周波電圧を印加することが可能なバイポーラ型電極カテーテルなので、対極板が不要で焼灼に必要な電力は小さくて済み、電極間に位置する生体組織を効率的に焼灼することができる。また、本発明に係る電極カテーテルでは、第1電極と第2電極との間に疎ら電極が形成してあるために、両電極間に接する生体組織への通電密度が平準化して、広い範囲の生体組織に対して、均一な高周波通電が可能になると共に、局所的な過熱を防止することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る電極カテーテルでは、電極面積あたりの高周波電力量を一定限度以下にするように抑えることで、一対の電極間に接する生体組織の焦げ付きまでの時間を延長でき、電極への焦げ付きによる焼灼不良を防止することができる。
【0011】
好ましくは、前記第1電極に接続してある前記疎ら電極は、前記生体組織との接触面積が前記第2電極に向けて徐々に小さくなるように形成してある。あるいは、好ましくは、前記第2電極に接続してある前記疎ら電極は、前記生体組織との接触面積が前記第1電極に向けて徐々に小さくなるように形成してある。このように、一方の電極から他方の相手側の電極に向けて、接触面積を徐々に小さくすることで、両電極間に接する生体組織への通電密度が平準化され、広い範囲の生体組織に対して、均一な高周波通電が可能になると共に、局所的な過熱を防止することができる。
【0012】
前記疎ら電極の形態としては、特に限定されず、たとえば所定間隔で配置されたリング状電極の集合であっても良く、当該リング状電極の幅が徐々に異なるようにしても良い。あるいは、前記疎ら電極が、ドット状電極であり、当該ドット状電極の間隔および/または大きさが徐々に異なるようにしても良い。あるいは、前記疎ら電極が、前記第1電極または第2電極から前記カテーテルチューブの長手方向に沿って延びる先細状電極であっても良い。
【0013】
好ましくは、前記カテーテルチューブの内側には、内チューブが前記カテーテルチューブの長手方向に沿って配置してあり、
前記内チューブの遠位端開口が、前記第1電極の内側に向けて配置してあり、
前記内チューブの内部には、冷却用流体が流通し、前記遠位端開口から流出するように構成してある。
【0014】
内チューブの遠位端開口から第1電極の内側に向けて冷却用流体を流出させることで、特に第1電極を冷却することが可能になる。第1電極の内側を冷却した冷却用流体は、第2電極の内側も通りカテーテルチューブの近位端側に戻されるため、第2電極も冷却される。このため、本発明の電極カテーテルでは、両電極への生体組織の焦げ付きを効果的に防止することができる。
【0015】
第1電極への高周波電圧の供給経路としては、特に限定されないが、前記内チューブが、長手方向に沿って延びる第1導電性部分を有し、前記第1導電性部分を通して、前記第1電極に電圧を供給してもよい。このように構成することで、内チューブとは別に配線を設ける必要がなくなり、カテーテルの細径化と部品点数の削減に寄与する。
【0016】
前記カテーテルチューブの近位端には、ハンドルが接続してあり、
前記ハンドルには、前記内チューブの内部に冷却用流体を送り込むためのインポート用流路と、前記遠位端開口から流出する冷却用流体が前記カテーテルチューブと前記内チューブとの間の流路を通してハンドル側に戻るアウトポート流路とが形成してあり、
前記アウトポート流路には、前記インポート流路からの冷却用流体の一部がエジェクターの駆動用流体として流れ込むようになっていてもよい。
【0017】
このように構成することで、吸引装置などを用いることなく、遠位端開口から流出する冷却用流体を、カテーテルチューブと前記内チューブとの間の流路を通してハンドル側のアウトポート流路へ、自動的に吸引することが可能になる。
【0018】
前記遠位端開口は、前記内チューブの内径よりも絞られており、当該遠位端開口を冷却用流体が吹き出す際に、冷却用流体が膨張することで周囲から熱を奪うようになっていてもよい。冷却用流体としては、冷却用気体が好ましい。遠位端開口を冷却用気体が吹き出す際に、冷却用気体が膨張することで周囲から熱を奪うことができ、簡単なシステムでカテーテルの遠位端を冷却することができる。
【0019】
前記カテーテルチューブが、長手方向に沿って延びる第2導電性部分を有し、当該第2導電性部分を通して、前記第2電極に電圧が供給されてもよい。このように構成することで、カテーテルチューブとは別に配線を設ける必要がなくなり、カテーテルの細径化と部品点数の削減に寄与する。
【0020】
好ましくは、前記第2導電性部分が、前記カテーテルチューブに埋め込まれた導電性補強線である。この場合には、配線となる第2導電性部分が、カテーテルチューブを補強することになり、さらに部品点数の削減に寄与する。
【0021】
第1電極、第2電極および疎ら電極の形成方法としては、特に限定されないが、たとえば第2電極および当該第2電極に接続する疎ら電極は、前記カテーテルチューブに埋め込まれた導電性補強線の外周に被覆してある絶縁被膜が除去された部分に形成してあってもよい。
【0022】
また、前記第1電極および当該第1電極に接続する疎ら電極は、前記カテーテルチューブの遠位端に電気絶縁状態で接続された中空の導電性キャップの外周に被覆してある絶縁被膜が除去された部分に形成してあっても良い。
【0023】
本発明によれば、圧縮ガスの通気のような簡単な内部冷却でも安定して標的となる生体組織を焼灼でき、複雑なフィードバックシステムを必要としない簡便なラジオ波焼灼用カテーテルを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電極カテーテルを含むシステム全体の概略図、
図2は図1に示すII部の要部拡大断面図、
図3は図2に示す電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図、
図4は図2に示すIV−IV線に沿う要部断面図、
図5は図2に示すV−V線に沿う要部断面図、
図6は図2に示すVI−VI線に沿う要部断面図、
図7は図1に示すハンドルの要部断面図、
図8は本発明の他の実施形態に係るハンドルの要部断面図、
図9は本発明の実施形態に係る電極カテーテルの要部拡大断面図、
図10は図9に示す電極カテーテルの要部斜視図、
図11および図12はその他の実施形態に係る電極カテーテルの要部斜視図、
図13(A)〜図13(G)は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図、
図14は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図である。
図15は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける第1電極の先端形状を示す要部側面図である。
第1実施形態
【0025】
図1に示す本実施形態に係る電極カテーテル2は、たとえば肝臓がんの患部、乳がんの患部、肺がんの患部、軟骨組織の患部などの焼灼すべき生体組織部分を焼灼するための焼灼治療などに用いられる電極カテーテルである。本実施形態に係る電極カテーテル2は、体内に挿入されるカテーテルチューブ6と、このカテーテルチューブ6の近位端に設けられたハンドル4とを有する。
【0026】
カテーテルチューブ6の内部には、図2に示すように、内チューブ8が長手方向に沿ってカテーテルチューブ6の内周面に接着などで固定してあるが、必ずしも固定する必要はない。カテーテルチューブ6の遠位端には、内部が中空で弾丸形状の金属製キャップ10の近位端が接着剤などで接合してある。
【0027】
カテーテルチューブ6と内チューブ8との間の隙間には、カテーテルチューブ6の長手方向に沿って流路6aが形成され、その流路6aは、金属製キャップ10の内側中空部10aに連通している。内チューブ8の遠位端開口には、絞りチューブ16が固定してあり、内チューブ8の流路8aを通して圧送される圧縮空気をキャップ10の中空部10aに向けて吹き出すようになっている。絞りチューブ16から吹き出された圧縮空気は、中空部10aで断熱膨張されて周囲から熱を奪い、キャップ10の内側と、その周辺を冷却しつつ、流路6aを通して、図1に示すハンドル4へと戻るようになっている。
【0028】
金属製キャップ10の外周は、金属表面が露出しており、第1電極11を構成する。カテーテルチューブ6は、本実施形態では、チューブ6の長手方向に沿って配置された導電線12を外側絶縁層6bおよび内側絶縁層6cで被覆された導電線補強チューブで構成してある。導電線12は、コイル状に巻回してあっても良く、あるいは、チューブ状に編み込まれていても良く、いずれにしてもチューブ6の補強作用を有すると共に、本実施形態では、下述する第2電極13および疎ら電極15への導電線となる。
【0029】
外側絶縁層6bおよび内側絶縁層6cは、たとえばポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、PEEK、PPS、PTFE、FET、シリコン樹脂などのプラスチック材料で構成される。ただし、カテーテル2が血管内に挿入される場合には、カテーテルチューブ6の外側絶縁層6bの素材としては、抗血栓性の可撓性樹脂が好ましく、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどで構成されることが好ましい。
【0030】
本実施形態では、カテーテルチューブ6の遠位端部において、外側絶縁層6の一部が除去され、編み込まれた導電線12の表面が露出し、その部分にめっき処理あるいは金属リングが装着され、リング状電極12aから成る第2電極13と、リング状電極12bの集合で構成される疎ら電極15とが形成される。
【0031】
この実施形態では、第2電極13および疎ら電極15は、カテーテル2の長手方向に沿って所定間隔で配置されたリング状電極の集合であり、図2および図3に示すように、リング状電極の幅が第2電極13から第1電極11に向けて徐々に小さくなるようになっている。これらのリング状電極から成る第2電極13および疎ら電極15は、導電線12を通して電気的に接続され、同じ電圧が印加される。
【0032】
内チューブ8は、この実施形態では、SUS304、SUS316などのステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金、マグネシウム合金、クロム鋼、貴金属合金などの金属材料などで構成してあり、その遠位端が導電性接着剤14あるいはロー付けなどによりキャップ10の内周に接合してある。そのため内チューブ8とキャップ10とは電気的にも接続され、内チューブ8を通して、キャップ10からなる第1電極11に、第2電極13と対を成す高周波電圧が印加されるようになっている。
【0033】
図1および図7に示すように、カテーテルチューブ6の近位端には、ハンドル4が接合してあり、内チューブ8の近位端もハンドル4に接合してある。図7に示すように、内チューブ8の近位端側では、内チューブ8の外周に絶縁被覆層8bが形成してあり、内チューブ8の内周側流路8aは、ハンドル4の近位端に形成してあるインポート用流路26に連通している。
【0034】
インポート用流路26には、図1に示す冷却用チューブ27が接続してあり、そこから図7に示す内チューブ8の内部流路8aに冷却用圧縮空気を送り込むようになっている。内部流路8a内に送り込まれた圧縮空気は、内チューブ8を通して、その遠位端に設けられた絞りチューブ16からキャップ10の内部10aに向けて吹き出され、そこで膨張して、周囲から熱を奪い、第1電極11、疎ら電極15および第2電極13の内部を順次冷却する。冷却後の空気は、カテーテルチューブ6の流路6aを通して、ハンドル4に戻され、ハンドル4に形成してあるアウトポート流路40に接続してある排出チューブ41(図1参照)を通して外部に排出される。
【0035】
なお、図1に示す冷却用チューブ27の途中には、制御弁28が具備してあり、図2に示す中空部10aあるいは流路6aの内部に具備してある圧力センサ(図示せず)が所定圧力以上にならないように制御している。所定圧力としては、特に限定されないが、たとえば大気圧である。すなわち、流路6aを負圧にすることで、カテーテルチューブ6や電極11,13,15などに欠陥があったとしても、流路6a内の流体が外部に漏れることを有効に防止することができる。流路6aを負圧にするには、図1に示すチューブ41を通して流路6a内の流体を吸引すればよい。
【0036】
ハンドル4の内部において、内チューブ8には、導電線24が接続してあると共に、カテーテルチューブ6の導電線12には導電線22が接続してある。これらの導電線22および24は絶縁されてケーブル20に導かれ、ケーブル20を通して、図1に示す高周波発生器30に接続される。
【0037】
高周波発生器30からコード20、導電線22および24、内チューブ8と導電線12を通して、第1電極11および疎ら電極15と第2電極13との間に接触している生体組織に高周波電流を流して焼灼治療を行う。
【0038】
図2〜図6に示すカテーテルチューブの外径は、特に限定されないが、好ましくは0.8〜3mmである。カテーテル2を体内に挿入するとき標的となる生体組織以外の生体の損傷を小さくして、挿入の抵抗を小さくしたり、カテーテルをアプローチする誘導管路の通過性を改善するには小さいほど有利である。しかしながら、小さすぎると押し込み力が小さくなり、内径も必然的に小さくなる結果、冷却用流体の流路断面積が小さくなって、電極11,13,15を冷却する流体が十分に流れなくなる傾向にある。
【0039】
なお、細径化を図りながら押し込み性を向上させると共に、流路断面積を大きくするために、カテーテルの近位端から遠位端に向かって、外径を段階的あるいは連続的に小さくする工夫をしても良い。逆に遠位端外径を電極よりも近位側で縮径することで、電極留置中の移動を防止しても良い。カテーテルチューブ6の内径は、流路断面積を大きくとるために大きいほうがいいが、取り扱い時の変形や破壊を防止できる材料に応じた肉厚を確保しなければならない。
【0040】
内チューブ8の内径は0.02mm以上で、肉厚は0.005mm以上である、遠位端付近の開孔径を流入管で最小とするように絞ると圧縮気体を冷却用流体として使った場合に断熱膨張による冷却効果が期待できるようになる。この場合でも最小内径で0.01mmより小さくすることは閉塞による危険が多く避けることが好ましい。
【0041】
内チューブ8の外径は、カテーテルチューブ6の内部に、内チューブ8との間で十分な流路断面の流路6aを形成し、且つ、内チューブ8の内部にも十分な流路断面の流路8aを形成するように決定される。具体的には、内チューブ8の外径は、カテーテルチューブ6の内径との間の流路断面積が内チューブ内流路断面積より大きいように選択される。冷却用流体として圧縮気体ないしは液化気体を用いる場合は、流路6aの断面積が、内チューブ8の流路8aの断面積の10倍程度となるように、内チューブ8の外径が選択される。なお、内チューブ8の外径は、必要に応じて施されるチューブ外面の絶縁被覆を含んで決定される。
【0042】
カテーテルチューブ6の長さは、標的となる生体部位へのアプローチ法に応じて必要な長さであり、100mmから2500mm程度があり得る。
【0043】
図3に示すように、カテーテル2の長手方向に沿う第1電極11の長さL1は、図1に示す高周波発生器30から第1電極11に供給される高周波電力が、電極面積当たり、5W/mm2 以内となるように決定され、特に限定されないが、好ましくは1〜10mmである。この長さL1が短すぎると、電極面積が小さくなって電極面積あたりの電力量が5W/m2を超えて焦げ付きを起こしやすくなる傾向にあり、長すぎると、電極の長手方向の電力密度勾配が大きくなって焼灼ムラを起こしやすくなる傾向にある。
【0044】
また、カテーテル2の長手方向に沿う第2電極13の幅L2aは、疎ら電極15と組み合わされて決定され特に限定されないが、好ましくは0〜10mmである。第2電極13の幅L2aが0でも良いのは、疎ら電極15の一部として、第2電極13が配置されても良いからである。なお、第2電極13の幅L2aが長すぎると、電極の長手方向の電力密度勾配が大きくなって、焼灼ムラを起こしやすくなる傾向にある。第2電極13の幅L2aと疎ら電極15の幅L2bの合計は、図1に示す高周波発生器30から第1電極11および疎ら電極15に供給される合計の高周波電力が、電極面積当たり、5W/mm2 以内となるように決定される。
【0045】
カテーテル2の長手方向に沿う疎ら電極15の幅L2bは、第1電極11の長さL1に対して、10〜1000%の長さであることが好ましい。この疎ら電極15の幅L2bが小さすぎると、本発明の作用効果が小さく、幅L2bが大きすぎると、L1、L3、L2a及びL2bの合計が大きくなり、焼灼ムラを起こしやすくなる傾向にある。
【0046】
カテーテル2の長手方向に沿う疎ら電極15の最遠位端と第1電極11との間の絶縁距離L3は、好ましくは3〜30mmである。この距離L3が短すぎると、焦げ付きを起こしやすくなる傾向にあり、長すぎると、焼灼が不十分となる傾向にある。
【0047】
疎ら電極15におけるリング状電極12bの幅は、第2電極13から第1電極11に向けて、徐々に小さくなることが好ましい。これらのリング状電極12b相互間の隙間幅は、一定でも良いが、第2電極13から第1電極11に向けて徐々に大きくなるようにしても良い。または、これらのリング状電極12bのそれぞれの幅は同じにして、これらのリング状電極12b相互間の隙間幅を、第2電極13から第1電極11に向けて徐々に大きくなるようにしても良い。いずれにしても、第2電極13に接続してある疎ら電極15は、生体組織との接触面積が第1電極11に向けて徐々に小さくなるように形成してある。
【0048】
本実施形態に係る電極カテーテル2は、第1電極11および第2電極13の間に、高周波電圧を印加することが可能なバイポーラ型電極カテーテルなので、焼灼に必要な電力は小さくて済み、電極11および13間に接触して位置する生体組織を効率的に焼灼することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る電極カテーテル2では、第1電極11と第2電極13との間に、第2電極13と同電位の疎ら電極15が形成してあるために、第1電極11と第2電極13との間に接する生体組織への通電密度が平準化される。そのために、比較的に広い範囲の生体組織に対して、均一な高周波通電が可能になると共に、局所的な過熱を防止することができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る電極カテーテル2では、電極面積あたりの高周波電力量を一定限度以下にするように抑えることで、一対の電極11および13の間に接する生体組織の焦げ付きまでの時間を延長でき、電極への焦げ付きによる焼灼不良を防止することができる。
【0051】
さらに本実施形態では、内チューブ8の遠位端には絞りチューブ16が具備してあり、その遠位端開口から第1電極11の内側に向けて圧縮空気を膨張させて吹き出すことで、第1電極11、疎ら電極15および第2電極13を順次冷却することが可能になる。このため、本実施形態の電極カテーテル2では、電極11,13,15への生体組織の焦げ付きを効果的に防止することができる。
【0052】
本実施形態によれば、圧縮ガスの通気のような簡単な内部冷却でも安定して標的となる生体組織を焼灼でき、複雑なフィードバックシステムを必要としない簡便なラジオ波焼灼用カテーテルを実現することができる。
第2実施形態
【0053】
本実施形態では、図7に示すハンドル4の代わりに、図8に示すハンドル4aを用いている以外は、上述した第1実施形態と同様な構成と作用効果を有し、以下の説明では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0054】
図8に示すように、内チューブ8の内部流路に連通するインポート用流路26aの途中には、制御弁52が装着してある。この制御弁52は、図1に示す制御弁28と同じ機能を有する。
【0055】
また、この実施形態では、ハンドル4aに形成してあるカテーテルチューブ6の流路6aを通してハンドル側に戻るアウトポート流路40aには、インポート流路26aからの冷却用流体の一部がエジェクター部50の構造においてエジェクターの駆動用流体として50の構造で流れ込むようになっている。
【0056】
このような構成によれば、特別の吸引装置などを用いることなく、図2に示す絞りチューブ16を通して吹き出された空気を、カテーテルチューブ6の流路6aを通してハンドル4aのアウトポート流路40aへ自動的に吸引することが可能になる。
【0057】
さらに、この実施形態では、合成樹脂などで構成されたハンドル4aの内部に、図1に示す高周波発生器30を組み込むための内部空間54も形成してある。このように構成することで、装置全体の小型化やコンパクト化を図ることができる。
第3実施形態
【0058】
本実施形態では、図2に示す第1電極11、第2電極13および疎ら電極15の代わりに、図9および図10に示す第1電極110、第2電極13および疎ら電極150を形成している以外は、上述した第1実施形態と同様な構成と作用効果を有し、以下の説明では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0059】
図9および図10に示すように、カテーテルチューブ6の遠位端には、絶縁被覆層102で被覆された細長いバルーン形状の導電性キャップ100が接合してある。この導電性キャップ100の近位端は、第1実施形態と同様に、導電性内チューブ8に接続してある。導電性キャップ100は、たとえば金属製である。
【0060】
内チューブ8の遠位端には、第1実施形態と同様に、絞りチューブ16が固定してあり、そこから、キャップ100の先端内面の中空部100aに向けて圧縮空気が膨張して吹き出すようになっている。
【0061】
カテーテルチューブ6の遠位端の一部では、外側絶縁層6bが除去され、導電線12が露出し、そこにめっき処理あるいは金属リングを装着することで、第2電極13が形成してある。この実施形態では、第2電極13には、疎ら電極が接続されていないことから、この第2電極13の幅L2は、この第2電極の電極面積が、第1実施形態における第1電極11の電極面積と等しくなるように決定される。
【0062】
キャップ100の外周に形成してある絶縁被覆層102は、キャップの遠位端に位置する部分で完全に除去してあり、キャップ100の導電性表面が露出し、第1電極110を形成している。また、第1電極110の近位端側では、絶縁被覆層102がリング状に所定間隔で除去されて、リング状電極100aの集合からなる疎ら電極150が形成してある。この疎ら電極150は、キャップ100を通して第1電極110と同電位に設定される。
【0063】
疎ら電極150を構成するリング状電極100aは、第1電極110から第2電極13に向けて、徐々に幅が狭く形成してある。各リング状電極100a間の隙間は、絶縁層102が残っている部分に相当し、その幅は、一定であるが、第2電極13に向けて徐々に広くしても良い。また、各リング状電極100aの幅を同じにして、各リング状電極100a間の隙間を第2電極13に向けて徐々に広くしても良い。
第4実施形態
【0064】
本実施形態は、図10に示す第3実施形態の変形例であり、以下に示す以外は、上述した第3実施形態と同様な構成と作用効果を有し、以下の説明では、第3実施形態と異なる部分について説明する。
【0065】
図11に示すように、この実施形態では、第1電極110と同電位に設定される疎ら電極150aを、絶縁被覆層102に形成してあるドット状孔に対応するドット状電極100bの集合で構成してある。そして、ドット状電極100bの間隔が、第2電極13に向けて徐々に広くなるように配置してある。
【0066】
さらに本実施形態の変形例として、ドット状電極100bの大きさを、第2電極13に向けて徐々に小さくなるようにしてもよい。いずれにしても、第1電110極に接続してある疎ら電極150aは、生体組織との接触面積が第2電極13に向けて徐々に小さくなるように形成してある。
第5実施形態
【0067】
本実施形態は、図11に示す第4実施形態の変形例であり、図12に示すように、疎ら電極150bを構成するドット状電極100cの形状を、円形ではなく、四角形にしてあるが、その他の形状であっても良い。その他のこうせいおよび作用効果は上述し実施形態と同様である。
第6実施形態
【0068】
図13に示すように、本実施形態は、上述した第1〜第5実施形態の組み合わせを含む疎ら電極15,150の変形例であり、以下に示す以外は、上述した実施形態と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0069】
図13(A)に示す実施形態は、図2に示す実施形態と図9に示す実施形態の組み合わせであり、第1電極110に接続する疎ら電極150と、第2電極13に接続する疎ら電極15が、カテーテルの遠位端部に同時に形成してある。
【0070】
図13(B)に示す実施形態では、第1電極110に接続される疎ら電極150aを、図11に示すようなドット状電極とし、第2電極13に接続される疎ら電極15aも同様にドット状電極にしてある。
【0071】
図13(C)に示す実施形態では、第1電極110に接続される疎ら電極150bを、周方向に沿ってジグザグ形状の先細状電極とし、第2電極13に接続される疎ら電極15bも同様に周方向に沿ってジグザグ形状の先細状電極にしてある。
【0072】
図13(D)に示す実施形態では、第1電極110に接続される疎ら電極150cを、第2電極13に向けて長手方向に沿って延びる単一の先細状電極とし、第2電極13に接続される疎ら電極15cも同様に長手方向に沿って第1電極110に向けて延びる単一の先細状電極にしてある。この実施形態の場合には、カテーテルの長手方向に沿った方向では、疎ら電極150cと疎ら電極15cとが重なるが、これらは、斜め方向間隔L3で絶縁されているので問題ない。
【0073】
図13(E)に示す実施形態では、第1電極110aおよび第2電極13が周方向の一部にのみ形成してある。同様に、これらにそれぞれ接続される疎ら電極150dおよび15dも周方向の一部にのみ形成してある。この実施形態の場合には、カテーテルの遠位端部において、周方向の一部でのみ焼灼治療を行うことができる。
【0074】
図13(F)に示す実施形態では、第1電極110および第2電極13の他に、第2電極13からカテーテルの長手方向に沿って近位端側に、第3電極210を形成し、第2電極13と第3電極210との間にも、それぞれ疎ら電極15eおよび250を形成してある。第3電極210およびその疎ら電極250には、第1電極110と同電位の高周波電圧が印加される。
【0075】
図13(G)に示す実施形態は、図13(F)に示す実施形態のさらに変形例であり、第2電極13および第3電極210の他に、第3電極210からカテーテルの長手方向に沿って近位端側に、第4電極310を形成し、第3電極250と第4電極310との間にも、それぞれ疎ら電極250aおよび350を形成してある。第4電極310およびその疎ら電極350には、第2電極13と同電位の高周波電圧が印加される。同様にして、さらに電極の数を増やすことも可能である。
図14に示す実施形態は、図13(D)に示す実施形態の変形例であり、それぞれ単一の先細状の疎ら電極150cと疎ら電極15cとを相互に向き合わせてある。また、本発明では、図13および図14に示す変形例のさらに異なる組み合わせが考えられる。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。たとえば、電極を構成するキャップ10,100は、体内で腐食しない材質であることが好ましく、白金、イリジウム、レニウム、金など、およびこれらの合金、並びにステンレスが好ましく用いられる。
【0077】
また、本発明では、カテーテルチューブ6は、導電線編み込みチューブ以外に、SUS304,316、などのステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金、マグネシウム合金、クロム鋼、貴金属合金などの金属チューブで構成されても良い。あるいは、チューブ6は、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、PEEK、PPS、PTFE、FETなどのプラスチック材料で構成されても良い。さらには、チューブ6は、金属コイルや金属ブレード、繊維の組網体をプラスチック管に積層したもの、繊維や金属との複合プラスチック材料などから目的に応じて使い分けられる。
【0078】
ただし、上述したように、第2電極13の電導路を兼ねるには金属材料を用いるカテーテルチューブ6が好ましい。また、直接に生体に刺して標的部位に電極部を置くには電気絶縁被覆を施した金属管がカテーテルチューブ6として好ましい。さらに、曲がりくねった誘導管や誘導ワイヤーに沿わせて標的部位に電極部を置くには導電線を巻き込み積層したプラスチック管が好ましい。
【0079】
カテーテルチューブ6は、遠位端から近位端まで、同一材料であっても異種材料であってもいいが、第1電極11と第2電極13とは電気的に絶縁されていることが必須である。該絶縁物はプラスチック材料、ゴム材料、セラミック材料など、電気絶縁材料として公知の材料が使用される。
【0080】
カテーテルチューブ6の肉厚は、金属材料で構成される場合には0.01mm以上、プラスチック材料では0.05mm以上、これらの複合材料や繊維強化プラスチック材料では両者の間以上を要する。
【0081】
第1および第2電極は、電気絶縁被覆した金属細管の電気絶縁被覆の1部を剥離したり、金属線補強のプラスチック管の金属線外側プラスチックを一部除去して金属線表面を露出させたり、さらには金属露出部に鍍金したり、金属環を被せて外套露出部と導通させたりして形成してもよい。
【0082】
電極の形状は、第1電極11,110にあっては、半球状や砲丸状ないしは鏃状先端を含むあるいは含まない円筒状、近位電極は円筒上であるものが、焼妁の方向性を出さない目的には適合する。一方、焼妁の方向性を出す場合には周方向の一部を電極とするようにする。
さらに図15に示すように第1電極110の先端が嘴状に伸びた滑らかな曲線で構成される先端絞り形状とすると、カテーテルを患部に挿入するときの挿入抵抗を減じることができる。本形状の軸方向の断面の表面曲線は先端部から手元に向かって漸進的に周方向に広がる曲線(x)と、これに続いて手元部径に収束する漸近的曲線(y)の合成曲線となるが、x+yの軸方向長さは絞り基点外径(z)の2倍から20倍の範囲である。2倍より小さいと挿入抵抗低減の効果が発揮しにくくなり、20倍を超えると電極が長くなり過ぎて焼灼ムラを引き起こす。x:yの比は1:10から10:1の範囲で選択される。
【0083】
相手電極に向かって電極面積を減じてゆく構造としては、電極を相手電極に向かって楔型にする構造や、絶縁被覆した電極の絶縁被覆を小さな円状スポットとして除去し、相手極に向かって周あたりの該スポット数を減少したり、スポット系を小さくしたりする構造がある。
【0084】
図1に示すケーブル20の途中には、電力制限回路を設け、電極面積あたりの電力量が5W/mm2 未満であるようにように高周波電力を抑えてもよい。電極面積あたりの電力量は、電極の冷却能力が大きいときは大きく、冷却能力の小さいときは小さくするが、5〜6気圧の圧縮空気を冷却用気体とする場合は、1W/mm2 程度が安定して広い焼妁範囲を確保できる。電圧は電極間の電弧の発生を防止するのに200V程度を上限とすると良い。
【0085】
冷却用流体として使うことのできる圧縮気体は、通常医療施設に配管されている空気のほか、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム、窒素などの無機気体、メタン、エタン、プロパンなどの有機気体などが使える。プロパン、ブタン、フロンなどの液化ガスは冷却効果が大きい。もちろん冷水や氷冷生理的食塩水などの液体であってもいいが、圧縮気体が好ましい。
【0086】
さらに、図1に示す高周波発生器30は高周波発振回路を有するものでもいいし、アンテナと高周波増幅回路と電源で構成され、外部の高周波発振器から無線で高周波を受け取り増幅使用するものであってもいい。本発明のカテーテルに温度センサーを搭載したり、高周波発生器にインピーダンス信号を発信する回路を設けても良く、これらの値を表示したり記録するシステムを加えても良い。
【0087】
本発明のカテーテルシステムで制御されるのは電極面積あたりの電力量のみであって、術者はカテーテルの対電極のうち小さいほうの電極面積に応じた最大電力量を設定し、冷却用流体を適当量流すだけで、安全に、しかも安定に標的組織を焼妁できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る電極カテーテルを含むシステム全体の概略図である。
【図2】図2は図1に示すII部の要部拡大断面図である。
【図3】図3は図2に示す電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図である。
【図4】図4は図2に示すIV−IV線に沿う要部断面図である。
【図5】図5は図2に示すV−V線に沿う要部断面図である。
【図6】図6は図2に示すVI−VI線に沿う要部断面図である。
【図7】図7は図1に示すハンドルの要部断面図である。
【図8】図8は本発明の他の実施形態に係るハンドルの要部断面図である。
【図9】図9は本発明の実施形態に係る電極カテーテルの要部拡大断面図である。
【図10】図10は図9に示す電極カテーテルの要部斜視図である。
【図11】図11はその他の実施形態に係る電極カテーテルの要部斜視図である。
【図12】図12はその他の実施形態に係る電極カテーテルの要部斜視図である。
【図13】図13(A)〜図13(G)は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図である。
【図14】図14は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける電極の配置を示す要部側面概略図である。
【図15】図15は本発明の他の実施形態に係る電極カテーテルにおける第1電極の先端形状を示す要部側面図である。
【符号の説明】
【0089】
2… 電極カテーテル
4… ハンドル
6… カテーテルチューブ
8… 内チューブ
10,100… キャップ
11,110… 第1電極
12… 導電線
12a,12b… リング状電極
13… 第2電極
15,15a,15b,15c,15d,15e,… 疎ら電極
150,150a,150b,150c,150d,250,250a,350… 疎ら電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルチューブの遠位端部に装着してある第1電極と、
前記第1電極に対して前記カテーテルチューブの長手方向に沿って所定間隔で離れて配置され、前記第1電極とは異なる電圧が印加される第2電極と、を有し、
前記第1電極と第2電極との間には、前記第1電極または第2電極に電気的に接続され、生体組織との接触面積が前記第1電極または第2電極に比較して小さくなる疎ら電極が前記カテーテルの遠位端部外周に形成してあることを特徴とする電極カテーテル。
【請求項2】
前記第1電極に接続してある前記疎ら電極は、前記生体組織との接触面積が前記第2電極に向けて徐々に小さくなるように形成してある請求項1に記載の電極カテーテル。
【請求項3】
前記第2電極に接続してある前記疎ら電極は、前記生体組織との接触面積が前記第1電極に向けて徐々に小さくなるように形成してある請求項1または2に記載の電極カテーテル。
【請求項4】
前記疎ら電極が、所定間隔で配置されたリング状電極の集合であり、当該リング状電極の幅が徐々に異なる請求項1〜3のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項5】
前記疎ら電極が、ドット状電極であり、当該ドット状電極の間隔および/または大きさが徐々に異なる請求項1〜3のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項6】
前記疎ら電極が、前記第1電極または第2電極から前記カテーテルチューブの長手方向に沿って延びる先細状電極である請求項1〜3のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルチューブの内側には、内チューブが前記カテーテルチューブの長手方向に沿って配置してあり、
前記内チューブの遠位端開口が、前記第1電極の内側に向けて配置してあり、
前記内チューブの内部には、冷却用流体が流通し、前記遠位端開口から流出するように構成してある請求項1〜6のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項8】
前記内チューブが、長手方向に沿って延びる第1導電性部分を有し、
前記第1導電性部分を通して、前記第1電極に電圧を供給する請求項7に記載の電極カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルチューブの近位端には、ハンドルが接続してあり、
前記ハンドルには、前記内チューブの内部に冷却用流体を送り込むためのインポート用流路と、前記遠位端開口から流出する冷却用流体が前記カテーテルチューブと前記内チューブとの間の流路を通してハンドル側に戻るアウトポート流路とが形成してあり、
前記アウトポート流路には、前記インポート流路からの冷却用流体の一部がエジェクターの駆動用流体として流れ込むようになっている請求項7または8に記載の電極カテーテル。
【請求項10】
前記遠位端開口は、前記内チューブの内径よりも絞られており、当該遠位端開口を冷却用流体が吹き出す際に、冷却用流体が膨張することで周囲から熱を奪うようになっている請求項7〜9のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項11】
前記カテーテルチューブが、長手方向に沿って延びる第2導電性部分を有し、当該第2導電性部分を通して、前記第2電極に電圧が供給される請求項1〜10のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項12】
前記第2導電性部分が、前記カテーテルチューブに埋め込まれた導電性補強線である請求項11に記載の電極カテーテル。
【請求項13】
前記第2電極および当該第2電極に接続する疎ら電極は、前記カテーテルチューブに埋め込まれた導電性補強線の外周に被覆してある絶縁被膜が除去された部分に形成してある請求項12に記載の電極カテーテル。
【請求項14】
前記第1電極および当該第1電極に接続する疎ら電極は、前記カテーテルチューブの遠位端に電気絶縁状態で接続された中空の導電性キャップの外周に被覆してある絶縁被膜が除去された部分に形成してある請求項1〜13のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項15】
前記第1電極の遠位端側先端が嘴状に伸びた滑らかな曲線で構成される先端絞り形状であることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項1】
カテーテルチューブの遠位端部に装着してある第1電極と、
前記第1電極に対して前記カテーテルチューブの長手方向に沿って所定間隔で離れて配置され、前記第1電極とは異なる電圧が印加される第2電極と、を有し、
前記第1電極と第2電極との間には、前記第1電極または第2電極に電気的に接続され、生体組織との接触面積が前記第1電極または第2電極に比較して小さくなる疎ら電極が前記カテーテルの遠位端部外周に形成してあることを特徴とする電極カテーテル。
【請求項2】
前記第1電極に接続してある前記疎ら電極は、前記生体組織との接触面積が前記第2電極に向けて徐々に小さくなるように形成してある請求項1に記載の電極カテーテル。
【請求項3】
前記第2電極に接続してある前記疎ら電極は、前記生体組織との接触面積が前記第1電極に向けて徐々に小さくなるように形成してある請求項1または2に記載の電極カテーテル。
【請求項4】
前記疎ら電極が、所定間隔で配置されたリング状電極の集合であり、当該リング状電極の幅が徐々に異なる請求項1〜3のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項5】
前記疎ら電極が、ドット状電極であり、当該ドット状電極の間隔および/または大きさが徐々に異なる請求項1〜3のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項6】
前記疎ら電極が、前記第1電極または第2電極から前記カテーテルチューブの長手方向に沿って延びる先細状電極である請求項1〜3のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルチューブの内側には、内チューブが前記カテーテルチューブの長手方向に沿って配置してあり、
前記内チューブの遠位端開口が、前記第1電極の内側に向けて配置してあり、
前記内チューブの内部には、冷却用流体が流通し、前記遠位端開口から流出するように構成してある請求項1〜6のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項8】
前記内チューブが、長手方向に沿って延びる第1導電性部分を有し、
前記第1導電性部分を通して、前記第1電極に電圧を供給する請求項7に記載の電極カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルチューブの近位端には、ハンドルが接続してあり、
前記ハンドルには、前記内チューブの内部に冷却用流体を送り込むためのインポート用流路と、前記遠位端開口から流出する冷却用流体が前記カテーテルチューブと前記内チューブとの間の流路を通してハンドル側に戻るアウトポート流路とが形成してあり、
前記アウトポート流路には、前記インポート流路からの冷却用流体の一部がエジェクターの駆動用流体として流れ込むようになっている請求項7または8に記載の電極カテーテル。
【請求項10】
前記遠位端開口は、前記内チューブの内径よりも絞られており、当該遠位端開口を冷却用流体が吹き出す際に、冷却用流体が膨張することで周囲から熱を奪うようになっている請求項7〜9のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項11】
前記カテーテルチューブが、長手方向に沿って延びる第2導電性部分を有し、当該第2導電性部分を通して、前記第2電極に電圧が供給される請求項1〜10のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項12】
前記第2導電性部分が、前記カテーテルチューブに埋め込まれた導電性補強線である請求項11に記載の電極カテーテル。
【請求項13】
前記第2電極および当該第2電極に接続する疎ら電極は、前記カテーテルチューブに埋め込まれた導電性補強線の外周に被覆してある絶縁被膜が除去された部分に形成してある請求項12に記載の電極カテーテル。
【請求項14】
前記第1電極および当該第1電極に接続する疎ら電極は、前記カテーテルチューブの遠位端に電気絶縁状態で接続された中空の導電性キャップの外周に被覆してある絶縁被膜が除去された部分に形成してある請求項1〜13のいずれかに記載の電極カテーテル。
【請求項15】
前記第1電極の遠位端側先端が嘴状に伸びた滑らかな曲線で構成される先端絞り形状であることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の電極カテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−12145(P2010−12145A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176858(P2008−176858)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】
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