説明

電極キャップのためのマガジン

本発明は、溶接電極の電極キャップのためのマガジンに関するものであり、特にマガジン・ヘッド(1)と、前記マガジン・ヘッド(1)に連結されるチェンジャ・マガジン(2)とから構成される溶接ロボットの溶接トングに関するものである。急動作用連結ユニット(4および4a)はチェンジャ・マガジン(2)をマガジン・ヘッド(1)に連結するために提供され、少なくとも1つの連動ガイド装置(5および5a)はマガジン・ヘッド(1)上およびチェンジャ・マガジン(2)上に配置される。供給用に利用できるように保たれる電極キャップ(3)は、電極キャップ(3)の形状に対応する輪郭を有し、チェンジャ・マガジン(2)の縦軸に平行に、および、マガジン・ヘッド(1)におけるそれへの関係において同一の位置に設計された2つの蓋ガイド(11)のチェンジャ・マガジン(2)において貯蔵される。前記蓋ガイド(11)は、電極キャップ(3)の接触面が互いに斜めに向かい合うように、チェンジャ・マガジン(2)およびマガジン・ヘッド(1)において斜めにオフセットで導入され、マガジン閉塞メカニズム(8)は、マガジン・ヘッド(1)に面しているチェンジャ・マガジン(2)側に配置され、チェンジャ・マガジン(2)から離れて面しているマガジン・ヘッド(1)の側は、アクセス方向に置かれる電極キャップ(3)開口の最大の直径を露出させるために、溶接トングのアクセス方向において十分に開口(12)の形で開かれる。前記位置に電極キャップ(3)を固定するため、少なくとも1つの型締顎板(6)は、各々の蓋ガイドのために、マガジン・ヘッド(1)の各々の運搬用開口(12)に隣接して、および、マガジン・ヘッドのハウジングで配置され、圧力板(7)はそれぞれの他の開口(12)で対向して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接棒の電極キャップのためのマガジンに関するものであり、特に、溶接ロボットの溶接トングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車産業において、特に、自動化された生産ラインで自動車本体を製造する際に金属シートおよびストリップを連結するためにスポット溶接は頻繁に使われる方法である。
【0003】
スポット溶接プロセスにおいて自動車本体のパーツを連結する目的を有する溶接ロボットを用いることは、通常の手順である。これらの溶接ロボットは溶接トングを備え、各々のトング顎板は、スポット溶接電極、いわゆる電極キャップを備える。
【0004】
これらの溶接トングは、一緒に溶接されるように適当な位置にあるシート・プレートに近づく。一緒に溶接されるシートに関する溶接トングの正確な位置決め、および、互いに関するシートの配置は、自動化されたコンピュータ支援プロセスによって実行される。そのような自動化された生産ラインにより、高速の固定サイクルおよび中断されない溶接動作が生み出される。
【0005】
電極キャップの接触面が互いに溶接される自動車本体シート部分と接触するので、そのようなプロセスにおいて使用される電極キャップは激しい損傷を受けてしまう。
【0006】
そのような溶接プロセスの間、電流は電極の間で、したがって一緒に溶接されてすでに密着した自動車本体シートを通じて流れる。
【0007】
電極キャップの接触面は、溶接プロセスが生じる領域の変化を受ける。例えば、電極は多くの場合、接触面の端領域で熱くなり、接触面を構築し増加させる材料を変えて、溶接状態を変えてしまう。
【0008】
そのような変化による不経済なトラッキングを避け、電流の強さを制御するため、電極キャップは、それらに適用される荷重および生じる損傷に従い定期的に再び機械加工される。
【0009】
ほとんどの場合、同じ1つの溶接トングに相互作用する電極は同一の摩耗結果を示すので、定期的かつ同時に機械にかけることによってそれらを再加工する必要性がある。
【0010】
しかしながら、多くの機械加工動作の後、電極キャップで消費される材料は、それらが交換されなければならないほど、激しく減少される。これは、溶接電極アダプタからすり切れた電極キャップを引っ張ることによって実行される。
【発明の概要】
【0011】
新規な、消費されていない電極キャップで溶接電極アダプタを供給するために一般に単純な設計のマガジンが使用される。マガジンは、定位置において溶接トングが新規な電極キャップを取るのを補助し、一緒に溶接トングの顎板を押すことによって溶接電極アダプタの適所にそれらを定めるように配置される。マガジンを溶接トングに届くことができる定位置に配置する必要があるので、マガジンはそれらの位置から離れることができず、したがって、溶接作業部位でマガジンの手動による補充するのを必要とすることになる。
【0012】
通常、安全の理由のために作動中のロボットの動作の範囲に人間が存在するまたは進入することができず、適当なプロセスの間補充することができないので、溶接プロセスは中断されなければならない。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この不都合を防ぐため、マガジンの交換が試みられた。しかしながら、これは、新規なマガジンを設置する度ごとに溶接トング運動の座標が再プログラムされなければならないのでプロセスは中断されなければならないという事実において改良点ではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、可能な限り公知の解決法の問題点を回避し、特にそのプロセスの信頼性および安全性の維持を確実にする電極キャップのマガジンを提供する必要条件に基づくものである。
【発明の効果】
【0015】
この必要条件は、請求項1から7において示される本発明の装置によって本発明によって満たされ;システムは、図1から6および以下の実施態様の例において表される(限定的なものとして解釈されるものではない)。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、その分離された状態における本発明のマガジンを示す;
【図2】図2は、その連結された状態における本発明のマガジンを示す;
【図3】図3は、マガジン・ヘッド1を示す;
【図4】図4は、多くのサイズのチェンジャ・マガジンを示す;
【図5】図5は、チェンジャ・マガジンの断面図を示す。
【図6】図6は、チェンジャ・マガジンの縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のマガジンは、マガジン・ヘッド1およびチェンジャ・マガジン2から構成されている。急動作用連結ユニット(4および4a)は、型締装置4がマガジン・ヘッド1上に位置し、型締フック4aがチェンジャ・マガジン2上に位置するようにチェンジャ・マガジン2をマガジン・ヘッド1に連結するために提供される。そのような配置は、チェンジャ・マガジン2に適用される力と同じ方向を有する型締装置4で作動する力がマガジン・ヘッド1の方へ導かれ、したがってその機能的位置を意味するような合理的な技術的目的を有する。
【0018】
少なくとも1つのガイド・ユニットは、マガジン・ヘッド1およびチェンジャ・マガジン2が2つの半組立部品が連結される時に定位置において保持されるのを確実にするために配置される。この実施態様の設計において、ガイド・ユニットは、少なくとも1つのガイド心棒5aがガイド・ブッシュ5に係合するのを確実にするような形状を有する。
【0019】
2つのガイド部、ガイド・ブッシュ5およびガイド心棒5aは、互いに容易に係合されてそれにもかかわらず互いに関するマガジン・ヘッド1およびチェンジャ・マガジン2の定位置が維持されるような好ましい形態および寸法公差を有する。
【0020】
供給用に利用できるように保たれる電極キャップは2つの蓋ガイド11におけるチェンジャ・マガジン2に貯蔵され、蓋ガイドはチェンジャ・マガジン2の縦軸に平行に、および、マガジン・ヘッド1のそれへの関係において同一の位置に設計される。蓋ガイド11は、電極キャップの接触面が互いに斜めに向かい合うようにチェンジャ・マガジン2およびマガジン・ヘッド1に斜めにオフセットされて導入される。
【0021】
電極キャップ3の開口が外側の方へ面するチェンジャ・マガジン2およびマガジン・ヘッド1の電極キャップ3のこの配置により、溶接トングが、電極キャップ3をピックアップするために電極キャップ3へそれらの電極アダプタと係合することができる。チェンジャ・マガジン2およびマガジン・ヘッド1の断面における蓋ガイド11の斜めにオフセットされた配置は、2つの蓋ガイドの分割した壁の壁厚に加えて、対向して配置した2つの蓋の高さよりも装置の高さが低いので、完全なユニットの最小のサイズを達成するために選択された。
【0022】
蓋ガイド11の断面は、最小の力で電極キャップ3の運搬を可能にし、さらに蓋ガイド11内部で、特にチェンジャ・マガジン2とマガジン・ヘッド1との間の連結点で蓋3が詰まるのを防ぐように設計される。これは、十分な公差を有して電極キャップ3と同じ形状に蓋ガイド11を設計することによって達成される。
【0023】
これにより、チェンジャ・マガジン2およびマガジン・ヘッド1の蓋ガイド11も電極キャップ3の形状によって互いに適合するべきであるという必要条件が生成される。好みによって、マガジン・ヘッド1およびチェンジャ・マガジン2は、一体化された蓋ガイド11も含む輪郭から設計される。この部分は、異なる長さのマガジンの製造のための各々のマガジンの必要な長さに切断される。
【0024】
マガジン・ヘッド1およびチェンジャ・マガジン2の蓋ガイド11は、シートメタルから好みにより製造されるロック機構で閉じられる。マガジン・ロック8および8aの反対側のチェンジャ・マガジン2の側部は、好みにより、同一のメカニズムによって閉じられる。マガジン・ヘッド1に面するチェンジャ・マガジン2側にマガジン・ロック8は、配置される。このマガジン・ロック8は、マガジン・ヘッドの方へそれらを押すためにチェンジャ・マガジンの電極キャップに適用される力の応用によって電極キャップ3がプラグを差し込まれていないチェンジャ・マガジンから押し出されることを防ぐ。
【0025】
実施態様によれば、このマガジン・ロック8は、チェンジャ・マガジン2において貯蔵され、固定レバー8aにより好ましくはばね式蓋供給装置9によってマガジン・ヘッド1の方へ押される電極キャップ3を保持するために設計される。
【0026】
固定レバー8aは、電極キャップ3が出ることができない程度まで蓋ガイド11の開口を減らすためにばね動作によって好ましくは配置される。チェンジャ・マガジン2がマガジン・ヘッド1に配置される場合、マガジン閉鎖メカニズム8の固定レバー8aは、固定レバー8aによって適用されるばねの力に対して作用するマガジン・ヘッド1に配置されるガイドによって、マガジン・ヘッド1に面している蓋ガイド11の開口が開かれて、電極キャップ3がマガジン・ヘッドの蓋ガイド11に変えることができる位置に動かされる。
【0027】
電極キャップ3は、チェンジャ・マガジン2から離れて面しているマガジン・ヘッド1側の溶接トングの電極アダプタへ動かされる。このため、蓋ガイド11は、その開口がアクセス方向に置かれて1つの溶接蓋3の最大の直径を露出させるように溶接トングのアクセス方向において十分に開かれる。前記位置に電極キャップ3を固定するため、少なくとも1つの型締顎板6は、各々の蓋ガイドのために配置される。
【0028】
本実施態様においてばね式であるこれらの型締顎板6は、電極アダプタの係合によってピックアップされるまで電極キャップ3を固定する。正しい位置における溶接トングの閉鎖動作によって電極アダプタが電極キャップ3において導入されると、電極キャップ3は、マガジン・ヘッド1によって蓋ガイド11の進路の方向に蓋ガイド11から引っ張られる。型締顎板6に適用されるばねの力は克服され、電極キャップ3は解放される。
【0029】
好みにより、圧力板7は、マガジン・ヘッド1において対向するそれぞれの運搬用開口12において配置される。前記圧力板7は、ピックアップされた電極キャップ3を特定の力で電極アダプタに押圧する、新規な蓋3がまだ補充されていない溶接トングの第2の脚部のための反対の軸受のように作用する。
【実施例1】
【0030】
第1のステップによって図において示されるように、マガジン・ヘッド1から、溶接トングが電極キャップ3上からピックアップされる場合、底部に位置する圧力板7は、溶接トングが閉鎖された場合、その上に電極を有しない電極アダプタの反対の軸受として作用する;他のステップでは、電極キャップは、その上に電極を有しない第2の下部の電極アダプタのためにピックアップされ、溶接トングの閉鎖は、上の圧力板7が反対の軸受として作用するという効果を有している。
【0031】
マガジンの補充の高さをモニタするため、この装置に対応している制御用機器を備えることは合理的である。実施態様によって連結10に配置される近接センサを利用しているモニタ装置の提供が提案される。この構成では、オペレータにセンサが第1の蓋3の欠如を検出するとマガジン2を変えるようなリクエストを有する信号を伝えることができる。オペレータは、いくつかの電極キャップがマガジン・ヘッドにある間にもマガジン2を変える準備をすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マガジン・ヘッド(1)と、該マガジン・ヘッド(1)に連結されるチェンジャ・マガジン(2)とから構成され、急動作用連結ユニット(4および4a)は該チェンジャ・マガジン(2)を該マガジン・ヘッド(1)に連結するために提供され、少なくとも1つの連動ガイド装置(5および5a)は該マガジン・ヘッド(1)上および該チェンジャ・マガジン(2)上に配置され、供給用に利用できるように保たれる電極キャップ(3)は、2つの蓋ガイド(11)の該チェンジャ・マガジン(2)において貯蔵され、該ガイドは、該電極キャップ(3)の形状に対応する輪郭を有し、該チェンジャ・マガジン(2)の縦軸に平行に、および、該マガジン・ヘッド(1)におけるそれへの関係において同一の位置に設計され、該蓋ガイド(11)は、該電極キャップ(3)の接触面が互いに斜めに向かい合うように、該チェンジャ・マガジン(2)および該マガジン・ヘッド(1)において斜めにオフセットで導入され、マガジン閉塞メカニズム(8)は、該マガジン・ヘッド(1)に面している該チェンジャ・マガジン(2)側に配置され、該チェンジャ・マガジン(2)から離れて面している該マガジン・ヘッド(1)の側はアクセス方向に置かれる該電極キャップ(3)の開口の最大の直径を露出させるために、溶接トングのアクセス方向において十分に開口(12)の形で開かれ、該位置に該電極キャップ(3)を固定するために少なくとも1つの型締顎板(6)は、各々の蓋ガイドのために、該マガジン・ヘッド(1)の各々の運搬用開口(12)に隣接して、および、該マガジン・ヘッドのハウジングで配置され、圧力板(7)はそれぞれの他の開口(12)で対向して配置されることにより特徴付けられる、溶接電極の電極キャップのためのマガジン、特に溶接ロボットの溶接トングのためのマガジン。
【請求項2】
前記ガイド装置(5および5a)がガイド・ブッシュ(5)と該ガイド・ブッシュ(5)に係合しているガイド心棒(5a)とから構成されていることにより特徴付けられる、請求項1記載のマガジン。
【請求項3】
前記ガイド・ブッシュ(5)および前記ガイド心棒(5a)は、容易に係合されるが、それにもかかわらず、互いに関する前記マガジン・ヘッド(1)および前記チェンジャ・マガジン(2)の定位置が維持されるように設計されることにより特徴付けられる、請求項4記載のマガジン。
【請求項4】
前記チェンジャ・マガジン(2)において供給用に利用できるように保たれ、好ましくはばね式蓋供給装置(9)によって前記マガジン・ヘッド(1)の方へ押される電極キャップ(3)は、固定レバー(8a)により前記チェンジャ・マガジン(2)において保持されるように前記マガジン・ロック(8)が設計されることにより特徴付けられる、請求項1記載のマガジン。
【請求項5】
前記固定レバー(8a)がばね式であり、前記蓋ガイド(11)の出口開口は、前記電極キャップ(3)が出ることができないような程度に減らされることにより特徴付けられる、請求項6記載のマガジン。
【請求項6】
前記チェンジャ・マガジン(2)および前記マガジン・ヘッド(1)の前記蓋ガイド(11)は、それらを動かすためにほとんど力を必要とせず、それらの詰まりが前記蓋ガイド(11)において、および、特に該チェンジャ・マガジン(2)と該マガジン・ヘッド(1)との間の連結点で防止されるようにそのプロセスで使用される前記電極キャップ(3)の形状に適応する断面を有することにより特徴付けられる、請求項1記載のマガジン。
【請求項7】
少なくとも1つのセンサが前記チェンジャ・マガジン(2)の補充の高さをモニタするために提供されることにより特徴付けられる、請求項1記載のマガジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−514182(P2013−514182A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543502(P2012−543502)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007144
【国際公開番号】WO2011/082734
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(511201129)ブロイアー システムテクニク ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】