説明

電極パッド

【課題】無駄がなく適切な大きさの電極を、よく密着して貼り付けることができる電極パッドを提供することを目的とする。
【解決手段】柔軟な材質の絶縁シート(10)の中央部に細いくびれ部(10a)を形成し、くびれ部を介して二つの主要部(10b、10c)が一体的に接続した形状とする。各主要部の裏側には2枚の導電性の電極シート(13、14)を貼り、両電極シート間をくびれ部により電気的に絶縁した状態で、各電極シートの上を電導性粘着ゲル層(17、18)で被覆する。これらの電極シートにはEMS電流を印加すべき給電端子(15、16)の先端を絶縁シートを貫いてその表側に突出する。電極シートの一方(13)は横長楕円形に形成し、他方(14)は丸形に形成する。また、主要部にはスリット(20〜23)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に貼り付けて使用し、人体に微弱な電流を流すための可撓性の電極パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に貼り付けて使用される可撓性の電極としては、低周波治療器の電極、心電図や脳波等の検査用電極、イオントフォレシス用の電極などが知られている。このような電極は皮膚に貼り付けられるため、皮膚の凹凸や皮脂などにより剥がれ落ちやすい。
【0003】
皮膚への貼付性能や密着性を向上させた電極として特許文献1が知られている。この特許文献1に記載の電気治療用電極パッドは、電導性の可撓シートと非電導性の可撓シートとを重ねて全体を十文字形状としたものであり、このような十文字型の電気治療用電極パッドは、ひざやひじなどに巻き回すことにより好適に密着して取り付けることができる。
【0004】
しかし、面状の部位に貼り付けたときの密着性は必ずしも好適なものではなかった。また、巻き回すための長さが必要となるため、電極が大きなものになってしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2001-299937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、無駄がなく適切な大きさの電極を、よく密着して貼り付けることができる電極パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1記載の電極パッドは、柔軟な材質の絶縁シートの中央部に細いくびれ部を形成し、くびれ部を介して二つの主要部が一体的に接続した形状とし、各主要部の裏側に2枚の導電性の電極シートを貼り、両電極シート間をくびれ部により電気的に絶縁した状態で、各電極シートの上を電導性粘着ゲル層で被覆し、これらの電極シートにEMS電流を印加すべき給電端子の先端を絶縁シートを貫いてその表側に突出して成る。
また、請求項2記載の電極パッドは、前記電極シートの一方を横長楕円形に形成し、他方を丸形に形成したことを特徴とする。
また、請求項3記載の電極パッドは、前記主要部にスリットを形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電極パッドによれば、絶縁シートを、中央部に細いくびれ部を形成し、くびれ部を介して二つの主要部を一体的に形成していることにより、電極パッドを皮膚に貼り付けて給電端子よりEMS電流を印加して筋肉を収縮させても、筋肉の収縮の妨げとなることがなく、また皮膚の動きにつれて電極パッドが浮きあがらず、よく密着して剥がれ落ちにくい。
【0008】
また、2つの電極を細いくびれ部を介して一体的に形成していることにより、2枚の電極を扱うよりも取り扱いやすいと共に、2つの電極はくびれ部を介して絶縁され、短絡することがない。
【0009】
また、電極シートの一方を横長楕円形に形成し、他方を丸形に形成したことにより、横長楕円形の一方の電極シートは目元や口元に好適に貼り付けられると共に丸形の他方の電極シートは頬に好適に貼り付けられて、目元や口元などのしわの生じやすい箇所を好適にトリートメントすることができる。
【0010】
また、前記主要部にスリットを形成したことにより、筋肉の収縮に伴う皮膚の動きをスリットがよく吸収して、皮膚の動きにつれて浮きが生じることがなく、よく密着して剥がれ落ちにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る電極パッドについて、図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本発明に係る電極パッドの断面図であり、図2は、電極パッドの裏面を示す図である。
【0012】
電極パッド1は、図1に断面図で示すように、1枚の絶縁シート10の裏面に電極部11、12を形成してなる。電極部11、12は、絶縁シート10の裏面に電極シート13、14を設けると共に、両電極シート13、14をそれぞれ電導性の粘着ゲル層17、18で覆って形成している。また、両電極シート13、14とそれぞれ電気的に接続した端子15、16を絶縁シート10の表面側に突設する。
【0013】
絶縁シート10はくびれ部10aによって二つの主要部10b、10cを一体的に接続した瓢箪型に形成されており、このくびれ部10aを挟んで一方の主要部10bに第1の電極部11を形成し、他方の主要部10cに第2の電極部12を形成する。くびれ部10aを挟むことにより、二つの電極部11、12を一枚に形成すると共に両電極部11、12を互いに絶縁している。
【0014】
本実施形態の絶縁シート10としては、例えば顔に貼付けるために使用するものは、図2において縦方向の全長が約80mm、第1の電極部11の横方向の全幅が約70mm、第2の電極部12の横方向が全長約50mmの大きさに形成するとよい。
【0015】
絶縁シート10の材質としては、厚さが0.1〜0.7mm程度の不織布や軟質の合成樹脂シートなどが使用される。例えば、厚さが0.5mm程度の不織布は十分な強度を備えると共に適度な柔軟性を有し、皮膚の動きに追従して剥がれにくい。
【0016】
絶縁シート10の裏面に形成された電極シート13、14は、カーボン粉末やグラファイト粉末などを含有する電導性の樹脂材、電導性を有するフィルムや塗料、金属粉末を含有するペースト材などにより形成される。
【0017】
端子15、16は、それぞれピン15a、16aと鍔15b、16bを有しており、絶縁シート10に形成した通孔10bにピン15a、16aを裏面側から挿通して、絶縁シート10の表面側にピン15a、16aを突出させ、鍔15b、16bとその周囲の電極シート13、14に電導性の粘着フィルム15c、16cを貼付けて固定する。
【0018】
鍔15b、16bは、ピン15a、16aの抜け止め作用に加え、絶縁シート10の裏面に形成した電極シート13、14と端子15、16との電気的接続を確保する作用を備えている。この給電端子15、16は黄銅などの金属により形成する。
【0019】
この電極シート13、14を覆うように電導性の粘着ゲル層17、18を被覆して電極部11、12を形成する。本実施形態において、第1の電極部11は帯状で弧状に湾曲した形状に形成している。また、第2の電極部12は略丸形に形成している。
【0020】
絶縁シート10の主要部10b、10cと第1の電極部11及び第2の電極部12の、図2において左右方向略中央に、それぞれ縦方向にスリット20、21を形成する。また、絶縁シート10のくびれ部10aの第2の電極部12の側にも左右に一対のスリット22、23を形成する。
【0021】
このスリット20、21は、例えば電極パッド1が上記した全長80mm、全幅70mmの大きさの場合、10〜15mmの長さに形成するとよい。また、スリット22、23は、絶縁シート10の外縁から略丸形の第2の電極部12のほぼ中央に向かって5〜10mmの長さに形成するとよい。
【0022】
スリットは、上記した位置だけでなく、例えば図2において第2の電極の左右側縁に、主要部10cの外周から丸形の第2の電極部12の略中央に向かって形成してもよい。また、くびれ部10aの第1の電極部11の側にスリットを形成してもよい。
【0023】
次に、電極パッドに取り付けるEMS本体について図3及び図4を参照して説明する。図3はEMS本体を裏面から見た斜視図であり、図4はEMS本体を正面から見た斜視図である。
【0024】
EMS本体3の裏面には一対のホック端子30、31が設けられている。このホック端子30、31を電極パッド1の給電端子15、16に係合してEMS本体3と電極パッド1とを電気的に接続する。また、EMS本体3の裏面には電池収容部32が形成されており、キャップ33を開閉してこの電池収容部32に不図示の小型のボタン電池を収容して電源となす。
【0025】
EMS本体3の表面には2つのボタンスイッチ34、35からなる操作部36が設けられている。図4において奥側のボタンスイッチ34は電源スイッチを兼ねるDOWNスイッチで、スイッチを押すことにより電流の出力レベルを1段階下げることができると共に、長押しすることにより電源のオンオフ操作が行える。
【0026】
手前側のボタンスイッチ35は動作モードの変更スイッチを兼ねるUPスイッチで、スイッチを押すことにより出力レベルを1段階上げることができると共に、長押しすることにより動作モードの変更操作が行える。EMS本体3の電源のオンオフの状態や動作モードの状態はLED37の点滅によって表示する。
【0027】
本実施形態のEMS本体3は長円形に形成されており、厚さが10mm程度、長径方向の長さが40mm程度、短径方向の長さが20mm程度である。この小型のEMS本体3を電極パッド1に取り付けた状態で、適用したい箇所に電極パッド1を貼り付けて使用する。
【0028】
次に、本発明に係る電極パッド1の使用態様について、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、電極パッドを顔に適用した状態を示す斜視図である。
【0029】
本発明に係る電極パッド1を使用する際には、まず、電極パッド1の給電端子15、16のピン15a、16aにEMS本体3のホック端子30、31を係合して、EMS本体3と電極パッド1とを電気的に接続する。
【0030】
電極パッド1の第1の電極部11は弧状に湾曲した形状に形成されており、図5に示すように、この第1の電極部11を目下に沿って貼り付ける。電極パッド1をこのように貼り付けてEMS本体3の電源を入れると、電極パッド1を介して微弱な電流を皮膚に流すと、電流により筋肉が刺激をうけて収縮運動を始める。図5に示すように電極パッド1を取り付けることにより、眼輪筋や頬骨筋を刺激することができる。
【0031】
眼輪筋を刺激することにより、目元のシワの発生を抑えると共にシワを軽減させる。また、頬骨筋を刺激することにより頬のたるみをとり、シワの発生を抑える。
【0032】
電極パッド1は、図6に示すように、第1の電極部11を口元のほうれい線に沿って貼り付けてもよい。このように電極パッド1を取り付けることにより、口輪筋や頬骨筋を刺激することができる。口輪筋を刺激することにより、口元のシワの発生を抑えると共にシワを軽減させる。また、口輪筋と共に頬骨筋を刺激することにより頬のたるみをとり、ほうれい線が深くなるのを抑える。
【0033】
上記のごとく構成した電極パッド1は、以下に述べる効果を奏する。
【0034】
本発明に係る電極パッドによれば、両電極部を絶縁シートのくびれ部を挟んで配置すると共に当該くびれ部と両電極部のそれぞれにスリットを形成したことにより、このくびれ部とスリットとにより皮膚の凹凸を十分に吸収することができて、起伏のある皮膚表面に電極パッドを貼り付けても浮きがなく、よく密着して剥がれ落ちにくい。
【0035】
また、EMSの作動中に皮膚が微動しても、スリットとくびれ部とにより皮膚の微動を十分に吸収して電極パッドが浮くことがなく、十分な密着性を保つことができるため剥がれ落ちにくい。
【0036】
また、二つの電極を一枚の絶縁シート上に形成していることにより、二枚の電極を扱うよりも取り扱い易く、また確実に絶縁状態を保つことができる。
【0037】
また、第1の電極部を帯状に形成すると共に、両端部を外向きに突き出して弧状に湾曲したことにより、目元及び口元に特に好適に使用可能な電極パッドとなる。そして、スリットやくびれ部により十分な密着性を有しているため、顔のように皮脂が多く、また皮膚が動きやすい部分に貼り付けても剥がれ落ちることがない。
【0038】
上記した実施形態のごとく、小型のEMS本体を電極パッドに直接取り付けて使用しても電極パッドが十分に皮膚に密着して強固に貼り付けられ剥がれ落ちることがなく、小型のEMS本体を電極パッドに直接取り付けて使用可能であることにより、EMS本体と電極パッドとを電気的に接続するリード線等が不要なため、このようなリード線の取り回しの不便さがなく、電極パッドを貼り付けてマッサージ等を行いながら、家事やエクササイズのための運動などの他の作業を行っても邪魔になることがない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る電極パッドの断面図である。
【図2】本発明に係る電極パッドの裏面を示す図である。
【図3】電極パッドに取り付けて使用するEMS本体を裏面から見た斜視図である。
【図4】電極パッドに取り付けて使用するEMS本体を正面から見た斜視図である。
【図5】電極パッドを顔に適用した使用状態を示す図である。
【図6】電極パッドを顔に適用した別の使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 電極パッド
10 絶縁シート
10a くびれ部
11 第1の電極部
12 第2の電極部
13 第1の電極シート
14 第2の電極シート
15 第1の給電端子
15a ピン
15b 鍔
16 第2の給電端子
16a ピン
16b 鍔
17、18 電導性粘着ゲル層
20〜23 スリット
3 EMS本体
30、31 ホック端子
32 電池収容部
33 キャップ
34、35 ボタンスイッチ
36 操作部
37 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な材質の絶縁シートの中央部に細いくびれ部を形成し、くびれ部を介して二つの主要部が一体的に接続した形状とし、各主要部の裏側に2枚の導電性の電極シートを貼り、両電極シート間をくびれ部により電気的に絶縁した状態で、各電極シートの上を電導性粘着ゲル層で被覆し、これらの電極シートにEMS電流を印加すべき給電端子の先端を絶縁シートを貫いてその表側に突出して成る電極パッド。
【請求項2】
前記電極シートの一方を横長楕円形に形成し、他方を丸形に形成したことを特徴とする請求項1記載の電極パッド。
【請求項3】
前記主要部にスリットを形成したことを特徴とする請求項1記載の電極パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−264088(P2008−264088A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108651(P2007−108651)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000114628)ヤーマン株式会社 (31)
【Fターム(参考)】