説明

電極プローブ、電極プローブ導入用グリッド、および、電極プローブ製造方法

【課題】自由に配列や位置決めが可能であり、S/N比の高い生体電気信号を得ることができる電極プローブ、電極プローブ導入用グリッド、および、電極プローブの製造方法を提供する。
【解決手段】電極プローブ100は、ベース部10と、一または複数の電極20と、電極に接続された一または複数の配線30と、ベース部10に付された金属箔と、を備え、電極プローブ製造方法は、一または複数の電極および電極に接続された一または複数の配線を含む回路を基板上に作成する第一の工程と、回路が作成された基板に、金属箔を付す第二の工程と、金属箔が付された基板をレーザ微細加工装置で切り出すことにより、ベース部を形成する第三の工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極プローブ、電極プローブ導入用グリッド、および、電極プローブ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脳や脊髄等の生体組織に電極針を刺入し、神経系の情報の計測や神経系への情報入力を行う電極プローブが開発されている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、ミシガン大学で開発された、いわゆるミシガンプローブについて、プローブの先端が剣山型のものや1本のもの等が開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、フレキシブルな高分子素材からなる2枚の絶縁基板にはさまれた、複数のプローブ導体により形成されたプローブ電極と、プローブ電極に接続された電気的配線と、プローブ導体をはさむ絶縁基板に形成されたスルーホールにより各プローブ導体の一部を露出することにより形成された記録パッドを備える多チャンネル型フレキシブル神経プローブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4406697号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】バイオリサーチセンター株式会社、“ミシガンプローブはじめました。”、[online]、掲載年月日不明、バイオリサーチセンター株式会社、[平成22年3月9日検索]、インターネット<URL:http://www.brck.co.jp/Product/PDF/17321360_Catalog.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のミシガンプローブや特許文献1に記載の多チャンネル型フレキシブル神経プローブ等の電極プローブは、微弱な生体の電気活動信号を検出する際に、外部から混入するノイズに極めて弱く、S/N比が低いという問題があった。
【0008】
また、従来の電極プローブでは、配列が固定化された電極を手動にて位置決めしており、自由な配列や精密な深度等の調整が難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、自由に配列や位置決めが可能であり、S/N比の高い生体電気信号を得ることができる電極プローブ、および、電極プローブ導入用グリッド、電極プローブ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するため、本発明の電極プローブは、ベース部と、一または複数の電極と、上記電極に接続された一または複数の配線と、上記ベース部に付された金属箔と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記金属箔は、磁性体であること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記電極と上記配線の間に、上記電極からの電気信号を増幅するプリアンプを更に備えたこと、を特徴とする。
【0013】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記ベース部は、ポリイミド素材を含むこと、を特徴とする。
【0014】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記金属箔は、上記電極および上記配線に接触しない位置に設置されたこと、を特徴とする。
【0015】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記金属箔は、上記電極の裏側の上記ベース部に設置されたこと、を特徴とする。
【0016】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記ベース部は、1本の先端突起を有すること、を特徴とする。
【0017】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記電極同士は、幅50〜5000μmであること、を特徴とする。
【0018】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記複数の上記電極は、2〜20個の上記電極であること、を特徴とする。
【0019】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記電極は、直径10〜1000μmであること、を特徴とする。
【0020】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記電極と上記プリアンプとの間は、100μm〜10cmの配線で接続されること、を特徴とする。
【0021】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記電極は、丸型、角型、または短冊形の形状を有すること、を特徴とする。
【0022】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記電極は、金、白金、または、白金イリジウムその他の白金合金により表面処理されていること、を特徴とする。
【0023】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記ベース部は、厚さ20〜500μmであること、を特徴とする。
【0024】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記金属箔は、鉄を含むこと、を特徴とする。
【0025】
また、本発明の電極プローブは、上記記載の電極プローブにおいて、上記金属箔は、厚さが10〜200μmであること、を特徴とする。
【0026】
また、本発明の電極プローブ導入用グリッドは、上記記載の電極プローブの径よりも大きな内径の孔を有し、非磁性体の筒状の構造を有すること、を特徴とする。
【0027】
また、本発明の電極プローブ製造方法は、一または複数の電極、および、上記電極に接続された一または複数の配線を含む回路を基板上に作成する第一の工程と、上記回路が作成された上記基板に、金属箔を付す第二の工程と、上記金属箔が付された上記基板をレーザ微細加工装置で切り出すことにより、ベース部を形成する第三の工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、電極プローブは、ベース部と、一または複数の電極と、電極に接続された一または複数の配線と、ベース部に付された金属箔と、を備えるので、自由に配列や位置決めが可能であり、金属箔による磁気シールド効果によりS/N比の高い生体電気信号を得ることができる、という効果を奏する。
【0029】
また、本発明の電極プローブによれば、金属箔は、磁性体であるので、磁力により電極プローブを正確に位置決めすることができる、という効果を奏する。
【0030】
また、本発明の電極プローブによれば、電極と配線の間に、電極からの電気信号を増幅するプリアンプを更に備えたので、外部ノイズの影響を最小限にしながら電気信号を増幅させることができる、という効果を奏する。
【0031】
また、本発明の電極プローブによれば、ベース部は、ポリイミド素材を含むので、電極プローブがフレキシブルとなって脳や体の動きに対して追従することができ、組織の破壊、出血、炎症を抑制することができる、という効果を奏する。
【0032】
また、本発明の電極プローブによれば、金属箔は、電極および配線に接触しない位置に設置されるので、磁気シールド効果を好適に発揮して、ノイズを軽減することができる、という効果を奏する。
【0033】
また、本発明の電極プローブによれば、金属箔は、電極の裏側のベース部に設置されるので、磁気シールド効果をより好適に発揮して、ノイズを軽減することができる、という効果を奏する。
【0034】
また、本発明の電極プローブによれば、ベース部は、1本の先端突起を有するので、個々の電極プローブを異なる深度で配置することができ、また、不要となった電極プローブを個別に抜去することができる、という効果を奏する。
【0035】
また、本発明の電極プローブによれば、電極同士は、幅50〜5000μmであるので、近接する神経細胞等からの電気信号の分布を取得することができる、という効果を奏する。
【0036】
また、本発明の電極プローブによれば、複数の電極は、2〜20個の電極であるので、マルチチャンネル電極を実現することができる、という効果を奏する。
【0037】
また、本発明の電極プローブによれば、電極は、直径10〜1000μmであるので、神経細胞の電気信号を個別に好適に取得することができる、という効果を奏する。
【0038】
また、本発明の電極プローブによれば、電極とプリアンプとの間は、100μm〜10cmの配線で接続されるので、電極からの電気信号を金属箔によりノイズを軽減しながら、プリアンプに伝達することができる、という効果を奏する。
【0039】
また、本発明の電極プローブによれば、電極は、丸型、角型、または短冊形の形状を有するので、各形状に応じて電気信号を取得ないし刺激することができる、という効果を奏する。
【0040】
また、本発明の電極プローブによれば、電極は、金、白金、または、白金イリジウムその他の白金合金により表面処理されているので、電解質を有する生体内でも腐食することなく長期の記録または刺激が可能となる、という効果を有する。
【0041】
また、本発明の電極プローブによれば、ベース部は、厚さ20〜500μmであるので、神経組織等の損傷を抑制しながら電極プローブを刺入することができる、という効果を奏する。
【0042】
また、本発明の電極プローブによれば、金属箔は、鉄を含むので、鉄を含むステンレス鋼や純鉄等により、磁気シールド効果を発揮しながら、磁力により移動制御を行うことが可能となる、という効果を奏する。
【0043】
また、本発明の電極プローブによれば、金属箔は、厚さが10〜200μmであるので、神経組織等の損傷を抑制しながら電極プローブを刺入することができる、という効果を奏する。
【0044】
また、本発明の電極プローブ導入用グリッドは、上記記載の電極プローブの径よりも大きな内径の孔を有し、非磁性体の筒状の構造を有するので、自由に配列した電極プローブを適切に組織内に導入することができる、という効果を奏する。
【0045】
また、本発明の電極プローブ製造方法は、一または複数の電極、および、電極に接続された一または複数の配線を含む回路を基板上に作成する第一の工程と、回路が作成された基板に、金属箔を付す第二の工程と、金属箔が付された基板をレーザ微細加工装置で切り出すことにより、ベース部を形成する第三の工程と、を含むので、上述の機能を有する電極プローブを好適に作成することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の電極プローブの正面図を一例として示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態の電極プローブの断面図を一例として示す図である。
【図3】図3は、電極プローブの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、電極プローブ100が導入された組織を一例として模式的に示した図である。
【図5】図5は、磁力を用いて電極プローブ100を導入するための導入用グリッド200の一例を示す図である。
【図6】図6は、電極プローブ100を装填した導入用グリッド200の顕微鏡写真を示す図である。
【図7】図7は、本実施例の電極プローブの一例を示す設計図である。
【図8】図8は、本実施例の電極プローブの先端部分を、クリップの大きさと比較した写真図である。
【図9】図9は、本実施例の電極プローブを、十円玉の大きさと比較した写真図である。
【図10】図10は、本実施例の電極プローブの先端付近を拡大した写真図である。
【図11】図11は、本実施例の電極プローブ全体を示す写真図である。
【図12】図12は、本実施例の電極プローブを用いて、サル大脳皮質補足運動野(表層1mm下(superficial))における電気活動を記録した結果を示す図である。
【図13】図13は、本実施例の電極プローブを用いて、サル大脳皮質補足運動野(表層3.7mm下(deep))における電気活動を記録した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に、本発明にかかる、電極プローブ、電極プローブ導入用グリッド、および、電極プローブ製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。特に、以下の実施の形態においては、本発明の電極プローブを、神経細胞の生体電気信号取得のために用いる例について説明することがあるが、本実施の形態はこれに限られず、ブレインマシンインターフェースとしての電気信号入力のために用いてもよいものである。
【0048】
[本発明の実施の形態の概要]
以下、本発明の実施の形態の概要について図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態の電極プローブの正面図を一例として示す図であり、図2は、本発明の実施の形態の電極プローブの断面図を一例として示す図である。
【0049】
本実施の形態は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。すなわち、図1および図2に示すように、本実施の形態の電極プローブ100は、ベース部10と、電極20と、電極20に接続された配線30と、ベース部10に付された金属箔40と、を備える。また、図1および図2に示すように、電極プローブ100は、プリアンプ50を更に備えてもよい。
【0050】
電極20は、一個または複数個の任意の個数であり制限はないが、例えば2〜20個であってもよい。なお、図1および図2に示す本実施の形態では、電極が2個の場合(電極20−1,20−2)を一例として示すが、本発明はこれに限られず、2個以外の場合においても同様に適用可能である。なお、図1および図2に示すように、電極20−1は、配線30−1に接続され、更にプリアンプ50を介して、配線35−1に接続されている。また、電極20−2は、配線30−2に接続され、更にプリアンプ50を介して、配線35−2に接続されている。
【0051】
また、電極20は、好適には、幅50〜5000μmの間隔で配置されており、一つの電極20は、好適には直径10〜1000μmであり、丸型、角型、または短冊形等の形状を有する(図1の例では丸型)。また、電極20は、腐食しないよう好適には、金、白金、または、白金イリジウムその他の白金合金により表面処理(めっき)されている。
【0052】
ベース部10は、例えば高分子材料等を含む絶縁体であり、例えば、図2に示すように、配線30,35等が表面に露出しないよう被覆し絶縁する。なお、図2は、配線30−1に沿って切断された場合の断面図を表しているので、電極20−2に接続される配線30−2,35−2は図示されていないが、同様にベース部10による絶縁体で覆われている。ここで、ベース部10の素材は、ポリイミド素材等のフレキシブルな素材であってもよい。
【0053】
また、ベース部10は、図1に示すように、1本の先端突起を有するものでもよい。より具体的には、ベース部10は、図示の如く、組織内に挿入される先端から根元までが同じ太さで構成されてもよい。なお、ベース部10は、好適には厚さ20〜500μmである。
【0054】
配線30,35は、銅線、銀線、金線、白金線、白金合金線等の導体であり、一つの電極20に対して1本の配線30,35が直接または間接的に接続されている。すなわち、配線30,35は、電極20からの電気信号を伝達し、または、電極20へ電気信号を伝達する機能等を有する。なお、図示しないが、配線35は、電極プローブ100を用いた電気信号の計測時または印加時において、計測器(メインアンプ内蔵型データ記録装置等)や電圧印加装置等に接続される。
【0055】
金属箔40は、導体である金属からなり、より好適には磁性体であって、図2に示すように、ベース部10に付される。例えば、金属箔40は、電極20および配線30,35に接触しない位置に設置されており、より具体的には、図2に示すように電極20の裏側のベース部10に設置される。なお、金属箔40は、好適には鉄を含み、例えばステンレス鋼または純鉄の薄膜であってもよく、また、厚さ約10〜200μmであってもよい。なお、金属箔40が付される部分は、図2に示すような電極20の裏側のみに限らず、電極20からプリアンプ50までの配線30の裏側全体にわたって付してもよく、また、電極20に接続されない限り、電極20と同じ側(表側)に付してもよい。ここで、金属箔40は、接着、圧着、貼着、蒸着、または固着等により付してもよい。
【0056】
プリアンプ50は、電気信号の増幅器であって、例えば、電極20から配線30を介して伝達される電気信号を増幅し、増幅した電気信号を配線35へ伝達する機能を有する。ここで、プリアンプ50は、インピーダンス変換を行って、配線35に伝達される電気信号が、外部からのノイズの影響を受けないよう(S/N比を向上させるよう)インピーダンスを低減させてもよい。ここで、電極20とプリアンプ50との間は、例えば、100μm〜10cmの配線30で接続される。なお、プリアンプ50は、(機械的なコネクタや配線を介在させることなく)電極20と一体として構成してもよく、別構成としてもよい。
【0057】
以上が、本実施の形態の電極プローブの概要である。
【0058】
[電極プローブの製造方法]
以下に、電極プローブの製造方法の一例について説明する。ここで、図3は、電極プローブの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0059】
図3に示すように、一または複数の電極、および、電極に接続された配線を含む回路を基板上に作成する(ステップSA−1)。一例として、市販の最も薄いタイプである20μm厚ポリイミド等のフレキシブル基板を準備し、この基板上にマルチチャンネル微小電極パターン(複数の電極とそれを繋ぐ配線のパターン)を銅配線方法により作成する。このステップSA−1における回路作成方法としては、デジタルカメラ等製造の際に通常使用される公知の方法(フレキシブルプリント基板作成技術等)を用いてもよい。なお、電極は、配線等の銅パターンの上に、金または白金または白金合金を形成させてもよい。また、回路上にプリアンプを更に接続してもよい。
【0060】
つぎに、回路が作成された基板に、鉄等を含む金属箔を付す(ステップSA−2)。例えば、基板に金属箔を、接着、圧着、貼着、蒸着、または固着等により付してもよい。なお、金属箔は、電極および配線には接触しない位置に設置されるよう、より具体的には、電極面の裏側(裏面)に設置してもよく、例えば、電極面の裏面(反対面)に、磁性金属箔を接着する。磁性金属箔の厚さは、好適には10〜500μmであり、下記の実験例では100μmの純鉄箔を使用した。また、金属箔とポリイミド等の基板との接着方法としては、フレキシブル基板用の通常の接着剤と圧着方法を適用してもよい。
【0061】
そして、金属箔が付された基板をレーザ微細加工装置(レーザカッター等)で切り出すことにより、ベース部を形成する(ステップSA−3)。すなわち、回路作成後の基板(ポリイミド等)に金属箔を付した後、微細レーザ加工装置にて切り出し、ベース部を成型する(ベース部の幅を形作る)。レーザ微細加工装置を用いて、金属箔とポリイミド薄膜を同時にレーザで切断するために、公知の集積回路製造技術や半導体製造技術を用いることができる。例えば、電極プローブの先端部から基部までの間(脳脊髄等の組織中に入る部分および組織内への導入(位置決め)用グリッドまでの間)は、200μmであり、レーザによるパターン形成後の厚さは、40μmである。
【0062】
そして、パリレン等の絶縁素材で基板全体をコーティングし、絶縁する(ステップSA−4)。
【0063】
そして、レーザ微細加工装置を用いたレーザ処理により、電極先端部(電位を測定するための電極部分)のパリレン膜による絶縁を破る(ステップSA−5)。なお、ステップSA−4の状態で完成品(製品)とし、利用者の目的に応じて、完成した電極先端部の絶縁をレーザにて破ることにより、電極の数や、形(球形、楕円形、矩形)、サイズ(直径100μm〜数μmなど)が自由にデザイン変更できるよう構成してもよい。
【0064】
以上が、電極プローブの製造方法の一例である。
【0065】
[電極プローブの導入方法]
つづいて、以上のように製造された電極プローブを、脳脊髄等の組織内に導入(位置決め)する方法について説明する。ここで、図4は、電極プローブ100が導入された組織を一例として模式的に示した図である。なお、図4の斜線部分は、電極の反対面に付された金属箔を表している。
【0066】
図4に示すように、術者等の利用者は、電極プローブ100を、脳や脊髄のような柔軟な生体組織に、電極プローブ100を刺入する。なお、図4では、5本の電極プローブ100−1〜5を、様々な深さで刺入した場合を例に図示しているが、利用者は、電極プローブ100の本数、配置(レイアウト)、深さを自由に決定することができる。
【0067】
(1.磁力を使用する場合)
磁力により電極プローブ100を誘導する場合について説明する。電極プローブ100の先端には磁性金属箔が付されているので、位置決めのために磁力を用いることができ、電極プローブ先端の計測点(電極)と神経組織との位置合せが、磁力を用いて遠隔的に操作可能となる。すなわち、図4に示すように、例えば永久磁石や電磁石等の磁場発生装置を用いて、電極プローブ100の深さ等を自由に調整することができる。ここで、図5は、磁力を用いて電極プローブ100を導入するための導入用グリッド200の一例を示す図である。
【0068】
図5に示すように、導入用グリッド200は、電極プローブ100の径よりも大きな内径(例えば、直径200〜500μm)の孔を有し、非磁性体金属(例えば、チタン)製の筒状の構造を有している。そして、この導入用グリッド200の孔に、電極プローブ100を装填して、導入(位置決め)に使用する。すなわち、導入(位置決め)に際しては、図5に示すように、組織を介した挿入方向側に配置させた磁場発生装置から磁場を発生させて、導入用グリッド200から組織内に電極プローブ100が誘導されるよう制御する。ここで、図6は、電極プローブ100を装填した導入用グリッド200の顕微鏡写真を示す図である。
【0069】
図6の写真の例では、導入用グリッド200には、直径300μmの孔が縦横5mm角のプレートに160個穿たれている。図6では1本の導入用グリッド200が孔に装填されているが、この導入用グリッド200を用いれば最大160本の電極プローブ100を、脳等の組織内に刺入可能となる。そして、160本の電極プローブ100を刺入したとすると、1本の電極プローブに3チャンネル(電極3個)ある場合には、480チャンネルの同時記録が可能となる。また、装填する孔を選択することで、縦横方向の配列を術者が自由に決定することも可能となる。これにより、不要な電極プローブを刺入することなく、脳脊髄等の組織に無用な損傷を与えずに済む。また、上述の磁場発生装置からの磁場をゼロにした後、術者等の利用者が、電極プローブ100を引き上げることにより、自由に電極の深さを調整することも可能である。
【0070】
(2.磁力を使用しない場合)
磁力を用いずに導入(位置決め)する場合について説明する。磁力を用いずに電極プローブ100を導入(位置決め)する場合、カテーテルや中空誘導針等の内腔に電極プローブ100を装填しておき、内腔から電極プローブ100を目的位置に進めた後、誘導針(またはカテーテル)を除去して電極プローブ100のみを残留させる。
【0071】
(3.電気信号の計測または入力)
以上のように、電極プローブ100を組織内に配置した後、電極プローブ100と、計測器(メインアンプ内蔵型データ記録装置等)や電圧印加装置等とを、非特許文献1と同様に、コネクタ等を介して接続する(例えば、コネクタは、以下のURLに記載される市販コネクタを用いてもよい。http://www.hirose.co.jp/products/H205SeriesGaiyou.aspx?c1=FH19C%2fFH19SC&c3=3)。
【0072】
そして、電極プローブ100が、計測器(メインアンプ内蔵型データ記録装置等)や電圧印加装置等に接続されると、神経細胞からの電気信号の計測や、神経細胞への電気信号の入力刺激が可能となる。なお、電極位置を引き上げながら連続記録を行ってもよい。
【0073】
(4.電極プローブの抜去)
電極プローブ100は、剣山型のマルチチャネルプローブとは異なり、1本ごとに独立した構成であるので、不要となった電極プローブ100は組織から抜き去ることが可能である。例えば、特定の電極が不良となったり、感染症などが発生すれば、原因となっている電極プローブ100を個別に抜去することが可能である。すなわち、全ての電極を抜去しなくとも、記録不要となった不良電極や、感染などの不都合が生じた電極のみを、個別に抜去することができる。これにより、ヒトを含む動物への負担軽減や、感染危険の軽減、脳組織破壊の軽減を図ることができる。
【0074】
以上で、本実施の形態における電極プローブの導入方法の説明を終える。
[実施例]
つづいて、上述した実施の形態における実施例について、図7〜図13を参照して説明する。ここで、まず、本実施例の繊維状構造体が開発された背景について説明する。
【0075】
従来、脳脊髄内の神経細胞の電気活動の観察方法の非侵襲的方法としては脳波がある。しかし、脳波を計測する場合には、直径数センチメートル程度の領域の神経活動を漠然と把握できるにすぎず、個々の神経細胞の電気活動や、神経細胞グループ単位の電気活動を記録することは不可能であった。
【0076】
そのため、個々の神経細胞の電気活動や、神経細胞グループ単位の電気活動を記録するためには、脳脊髄内に電極プローブ(金属針またはシリコン製)を刺入する必要がある。多くの神経細胞活動情報を同時に得るためには、複数の電極をもつプローブ(マルチチャンネル電極プローブ)を脳に刺入して、マルチチャンネル電極による同時記録を行う必要がある。
【0077】
従来のマルチチャンネル電極プローブの多くは、マルチチャンネル型のミシガンプローブに代表されるように、生け花の剣山のような形状となっている(非特許文献1参照)。しかし、剣山型の電極プローブは、先端(記録部位)こそ細いものの、基部(あるいは基板接合部)は極めて太いために刺入部位において脳脊髄組織は大きく破壊されることになる。そのため、脳脊髄の表面あるいは脳脊髄のごく浅い領域(大脳皮質浅部等)の神経細胞記録のみにしか従来のマルチチャンネル電極プローブは適用することができなかった。また、剣山型電極プローブの場合には、電極配列を術者が自由に選択することは不可能であり、記録が不要な脳部分をも電極針が傷つけることは避けられなかった。また、電極の長さは全て同一であるため、脳脊髄組織の様々な深さ(部位)の情報を同時に得ることはできなかった。また、従来の剣山型のマルチチャンネル電極プローブのうち、一部の電極でも不良となったり感染症等の原因となったりすると、電極プローブの全ての電極を除去するか、多少の合併症を無視して測定を継続する以外になかった。
【0078】
さらに、これらの剣山型電極プローブは、金属製やシリコン製のため硬く柔軟性を欠いており、横方向の力に弱く折れ易い。咀嚼等の運動による頭や体の動きや拍動のために脳等の組織は常に激しく動いているのであり、従来の剣山型電極が刺入された脳脊髄は電極プローブにより常に傷つけられているといえる。この機械的損傷が常に電極周囲に加わるため、電極に接している神経細胞が破壊され、あるいは種々の炎症細胞や脂質などの血液成分(局所に炎症も生じるため、グリア細胞や血液由来細胞が局所に集まってくる(グリオーシス)。)により電極が被覆される。このため、従来のマルチチャンネル電極プローブでは、大脳皮質の表層のみについて数日程度しか電気活動を記録することができなかった。また、折れた電極プローブ先端が脳内に残存すれば、感染、炎症、てんかん等の原因にもなり極めて危険な状況となる。
【0079】
また、ミシガンプローブは、プリアンプを用いるが、構造上、電極とプリアンプの間の距離は最低でも数センチメートル〜数十センチメートルに達し、必然的に電極とプリアンプの間には電線とコネクタが介在する。そのため、ミシガンプローブでは電極とプリアンプ間でノイズが混入することは避けられなかった。
【0080】
以上をまとめると、理想的な電極プローブの条件として以下の事項が挙げられる。
1.長期間、脳脊髄組織に留置・電気活動記録が可能であること
2.刺入にともなう脳損傷が軽微であること(厚み、幅が可能な限り小さいこと)
3.脳脊髄内の電極部分(刺入部分)は、柔軟性に富み、脳の動きに追従できること
4.個々の電極プローブに、複数の電極が配置されていること(微小電極化により脳脊髄組織損傷も軽減されるため)
5.術者が必要な電極の配置、本数、深さを自由に(手術時に)決められること(無用な脳脊髄損傷を防ぐ。)なお、脳深部の電気活動を長期間記録できる方法は、従来実用化されておらず、脳深部の電気活動記録(例えば視床、大脳基底核における)が実現すれば、痛みの制御、精密な運動制御、精神疾患の治療など応用範囲は極めて広くなる。
6.電極を長期間留置できること
7.電極の深さを刺入後にも変更、抜去できること
すなわち、全ての電極を除去しなくとも、記録不能となった不良電極、感染などの不都合が生じた電極のみを抜去可能であること
8.脳脊髄内の神経活動(local field potentia:LFP、単一神経細胞電位など)を長期間、安定記録できること
9.神経活動の記録のみならず、電気刺激電極としても使用できること 例えば、治療効果が期待される電気刺激、またはブレインマシンインターフェース(brain machine interface)としても使用できること
10.周囲からのノイズ耐性があること(電灯線、他の電子機器などの外部からのノイズに対する耐性)
【0081】
本実施例の電極プローブは、上記種々の問題点や理想条件に鑑みて本願発明者らによる鋭意検討の結果開発されたものであって、ベース部と、複数の電極と、電極に接続された複数の配線と、ベース部に付された磁性金属箔と、電極からの電気信号を増幅するプリアンプと、を備える。ここで、図7は、本実施例の電極プローブの一例を示す設計図であり、図8は、本実施例の電極プローブの先端部分を、クリップの大きさと比較した写真図である。
【0082】
図7および図8に示すように、ベース部は、厚さ約20〜40μmのポリイミド(化学薬品に耐性のあるカプトン(登録商標))等のフレキシブルな素材でできており、脳脊髄の動きに追従することにより脳脊髄へのダメージを最小限とすることができる。また、電極プローブの根本部分も先端部と同じ幅であり、深く刺入してもダメージが少なく脳深部刺入可能である。組織損傷や炎症が少ないため、慢性脳脊髄内等の長期記録が可能となり、また、視床や基底核などの脳深部活動も長期記録可能となる。すなわち、本実施例の電極プローブは、厚さが先端部よりも基部で薄く、しかも極めて柔軟であるため、脳の揺れにも追従可能であるため、脳深部への適応が可能であり、長期間脳障害を最小限にしつつ留置記録が可能となるものである。なお、ベース部(電極部)の幅は、半導体製造技術を用いて、レーザーカッターにより正確に切断成形したものである。
【0083】
電極面の裏側には、厚さ約100μmの純鉄箔の磁性金属箔が付されており、外来ノイズ軽減効果(磁気シールド効果)を有するので、従来のマルチチャンネル電極に比べて格段にシグナル/ノイズ比が向上する。すなわち、裏面に磁性金属箔を貼ることにより、磁場や商業電源からの雑音混入レベルを6デシベル以上低下させるという利点があり、精度の高い電気活動信号が記録可能となる。また、磁性金属箔が磁性体であるので、磁力を使用して、このフレキシブル(柔軟)な電極プローブを、脳脊髄組織内に移動・配置することができる。すなわち、磁性金属箔の存在により、臓器組織の外あるいは臓器組織に刺入した磁石(磁性体)により電極先端部を臓器組織(脳脊髄、肝臓や腎臓などの実質臓器、心筋)の特定部位に正確に配置することができる。
【0084】
プリアンプは、TSSOP(Thin Shrink Small−Outline Package)表面実装型のオペアンプ(operational amplifier)等であり、一例として、Analog Devices社製の製品番号AD8544,8618等を用いてもよい。このプリアンプによる生体の電気活動信号(電圧)増幅は、金属箔による磁気シールド効果により、一層正確になるので、メインアンプは、脳から(例えば1m以上)離れた位置に設置することも可能となる。すなわち、重量や発熱が大きく消費電力量が多いメインアンプの装着部位に制約がなくなり、設置自由度が大幅に向上する。ここで、図9は、以上のように構成された本実施例の電極プローブを、十円玉の大きさと比較した写真図であり、図10は、本実施例の電極プローブの先端付近を拡大した写真図である。図11は、本実施例の電極プローブ全体を示す写真図である。
【0085】
図9および図10に示すように、本実施例の電極プローブは、先端に3つの電極を有する多チャンネル電極として構成し、先端の幅は200μmであり極めて細い。なお、電極の数は任意に変更可能である。また、図9では、先端部が黒くなっているが、これは裏面の純鉄箔が透けて見えるためである。この純鉄箔の存在によって、磁力により電極部分を脳脊髄組織等に侵入させることが可能となる。なお、脳脊髄の表面に鉄箔を貼って使用する場合等は、鉄箔なしのタイプを製造してもよい。図11の全体写真図に示すように、細い先端部分は、脳内挿入部分となり、電極から導かれた配線は、アンプ一体化部分でプリアンプに接続され、発生する電気信号を増幅させる。ここで、図12は、本実施例の電極プローブを用いて、サル大脳皮質補足運動野(表層1mm下(superficial))における電気活動を記録した結果を示す図であり、図13は、同サル大脳皮質補足運動野(表層3.7mm下(deep))における電気活動を記録した結果を示す図である。なお、上図は、各チャンネルにおける脳波を示し、下図は、周波数分布を示している。また、図の中央右よりの縦線は、サル上肢運動の動作開始時点を示し、この時点における事象関連脱同期(event−related desynchronization)を表している。
【0086】
図12に示すように、本実施例の電極プローブは、従来の電極プローブと同様に、1mm程度の浅い部位に刺入して、脳波記録が可能であるとともに、図13に示すように、従来の電極プローブでは脳組織を破壊するような深さ3.7mmの深い部位にも刺入することができ、出血や炎症を抑制するため深部の長期記録が可能となる。
【0087】
以上、本実施例の電極プローブによれば、脳脊髄神経活動の長期測定が可能な多チャンネル電極を実現することができる。また、磁場制御により脳深部に設置することができ、長期間の記録が可能なマルチチャンネル型微小電極を実現することができる。また、プリアンプを電極と一体型として作成可能であり、両者を体内に埋設可能であるため、配線が皮膚を貫くことがなく、感染の危険が小さくなる、という効果を奏する。この他、本実施例の電極プローブによれば、上述の理想条件を満たす、理想的な電極プローブを提供することができる。
【0088】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0089】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0090】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0091】
また、電極プローブ100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0092】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上詳述に説明したように、本発明によれば、自由に配列や位置決めが可能であり、S/N比の高い生体電気信号を得ることができる電極プローブ、電極プローブ導入用グリッド、および、電極プローブ製造方法を提供することができるので、電極プローブを治療や検査等に用いる医療・福祉や製薬や創薬や生物学研究や臨床検査等の分野のみならず、電極プローブをブレインマシンインターフェースとして用いる運動補助・介護ロボットの制御の分野等においても極めて有用である。
【符号の説明】
【0094】
100 電極プローブ
10 ベース部
20 電極
30,35 配線
40 金属箔
50 プリアンプ
200 導入用グリッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、一または複数の電極と、上記電極に接続された一または複数の配線と、上記ベース部に付された金属箔と、を備えたことを特徴とする電極プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の電極プローブにおいて、
上記金属箔は、磁性体であること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電極プローブにおいて、
上記電極と上記配線の間に、上記電極からの電気信号を増幅するプリアンプを更に備えたこと、を特徴とする電極プローブ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記ベース部は、ポリイミド素材を含むこと、を特徴とする電極プローブ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記金属箔は、上記電極および上記配線に接触しない位置に設置されたこと、を特徴とする電極プローブ。
【請求項6】
請求項5に記載の電極プローブにおいて、
上記金属箔は、上記電極の裏側の上記ベース部に設置されたこと、を特徴とする電極プローブ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記ベース部は、1本の先端突起を有すること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記電極同士は、幅50〜5000μmであること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記複数の上記電極は、2〜20個の上記電極であること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記電極は、直径10〜1000μmであること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項11】
請求項3に記載の電極プローブにおいて、
上記電極と上記プリアンプとの間は、100μm〜10cmの配線で接続されること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記電極は、丸型、角型、または短冊形の形状を有すること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記電極は、金、白金、または、白金イリジウムその他の白金合金により表面処理されていること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記ベース部は、厚さ20〜500μmであること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記金属箔は、鉄を含むこと、を特徴とする電極プローブ。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一つに記載の電極プローブにおいて、
上記金属箔は、厚さが10〜200μmであること、を特徴とする電極プローブ。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一つに記載の電極プローブの径よりも大きな内径の孔を有し、非磁性体の筒状の構造を有すること、を特徴とする電極プローブ導入用グリッド。
【請求項18】
電極プローブ製造方法であって、
一または複数の電極、および、上記電極に接続された一または複数の配線を含む回路を基板上に作成する第一の工程と、
上記回路が作成された上記基板に、金属箔を付す第二の工程と、
上記金属箔が付された上記基板をレーザ微細加工装置で切り出すことにより、ベース部を形成する第三の工程と、
を含むことを特徴とする電極プローブ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−130519(P2012−130519A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285034(P2010−285034)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(504136993)独立行政法人国立病院機構 (37)