説明

電極伝導度算出システム及び電極伝導度算出方法

【課題】種々の粉体材料によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができるシステムを提供する。
【解決手段】電極の構成についての情報である電極構成情報に基づいて、当該電極を構成すべく選択された材料の粒子によって構成される微細構造をモデル化し、モデル化された前記微細構造に基づいて前記選択された材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出し、前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して、予め収集しておいた、電極を構成する材料の特性についての情報である材料特性情報を適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池電極の設計支援システム及び電池電極の設計支援方法に関する。より具体的には、本発明は、電極を構成する材料の特性についての情報である材料特性情報と電極の構成についての情報である電極構成情報とに基づいて、当該電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出システム及び電極伝導度算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池を始めとする二次電池は、例えば、携帯端末(携帯電話、スマートフォン等)、ラップトップ型コンピュータ、カメラ、及びビデオ等の小型電子機器の電源として、並びに昨今急速に普及しつつある電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等の駆動源であるモータのエネルギー源として、益々その用途が広がってきている。また、次世代の大容量電池の1つとして、全固体電池に対する期待が益々高まってきている。
【0003】
何れの用途においても、これらの二次電池が使用される機器及び設備における小型化、高機能化、高性能化、及び信頼性の向上に対する市場からの要求は高まる一方であり、これに伴い、二次電池に対する小型化、大容量化、及び高信頼性化の要求もまた益々高まっている。即ち、二次電池においては、従来にも増して、より一層の性能向上が求められている。
【0004】
ところで、二次電池の電極の中には、例えば、セラミック材料の粉体や金属(例えば、ニッケル等)の微粒子からなる粉体等によって構成される複雑な構造(粉体構造)を有するものが知られている。かかる粉体を構成する粒子の充填率や粒径分布等の微細構造は、かかる粉体からなる構造(粉体構造)の電子伝導度やイオン伝導度に影響を及ぼし、結果として、かかる粉体構造を有する電極を備える二次電池の電池性能や電池抵抗に少なからぬ影響を及ぼすことが知られている。
【0005】
従って、種々の粉体材料によって構成される粉体構造全体としての実効電子伝導度や実効イオン伝導度(以降、「実効電気伝導度」と総称する場合がある)をシミュレーションによって予め見積もることができれば、優れた電池性能や電池抵抗を有する二次電池の電極材料として好適な粉体材料を見出す上で非常に有益である。
【0006】
しかしながら、当該技術分野においては、種々の粉体材料によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができるシミュレーション方法は未だ見出されていないのが実情である。具体的には、粉体構造全体としての実効電気伝導度を正確に解析するには、粉体を構成する粒子の各々のバルク内での電子伝導度やイオン伝導度(以降、「電気伝導度」と総称する場合がある)のみならず、これらの粒子が互いに接触する界面(接触界面)における界面抵抗をも考慮する必要がある。従って、粉体構造全体としての実効電気伝導度を正確に解析するには、粉体を構成する粒子の接触界面を正確に特定する必要がある。そこで、従来技術においては、粉体構造全体としての実効電気伝導度を解析しようとする場合、粉体を構成する粒子の接触界面を人間が1つ1つ定義した上で、シミュレーションツール等を利用して、粉体構造全体としての実効電気伝導度を見積もっていた。
【0007】
しかしながら、実際の粉体構造は非常に複雑である。従って、接触界面の特定には、例えば、膨大な作業工数が必要であったり、誤って特定された接触界面が多発したりする問題が発生し、粉体構造全体としての実効電気伝導度を正確に解析することは非常に困難であった。
【0008】
即ち、当該技術分野においては、種々の粉体材料の粒子によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができる技術に対する継続的な要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−203000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のように、当該技術分野においては、種々の粉体材料によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができるシステムが強く求められている。
【0011】
本発明は、かかる要求に応えるために為されたものである。より具体的には、本発明の1つの目的は、種々の粉体材料の粒子によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができるシステムを提供することである。また、本発明のもう1つの目的は、種々の粉体材料の粒子によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記1つの目的は、
電極を構成する活物質材料の特性についての情報である材料特性情報と電極の構成についての情報である電極構成情報とに基づいて当該電極の全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出システムであって、
前記材料特性情報が、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含み、
前記電極構成情報が、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含み、そして
活物質材料についての前記材料特性情報を格納する特性情報記憶手段と、
前記電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報を入力するための構成情報入力手段と、
前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する電極構造モデル化手段と、
前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する界面抽出手段と、
前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出手段と、
を備える電極伝導度算出システムによって達成される。
【0013】
また、本発明の上記もう1つの目的は、
電極を構成する活物質材料の特性についての情報である材料特性情報と電極の構成についての情報である電極構成情報とに基づいて当該電極の全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出方法であって、
前記材料特性情報が、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含み、
前記電極構成情報が、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含み、そして
活物質材料についての前記材料特性情報を格納する特性情報記憶手段と、
電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報を入力するための構成情報入力手段と、
前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する電極構造モデル化手段と、
前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する界面抽出手段と、
電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出手段と、
を備える電極伝導度算出システムにおいて、
種々の活物質材料についての前記材料特性情報を前記特性情報記憶手段に予め格納しておき、
前記構成情報入力手段により、前記電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報が入力され、
前記電極構造モデル化手段により、前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化し、
前記界面抽出手段により、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出し、
前記電極伝導度算出手段により、前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する、
電極伝導度算出方法によって達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、種々の粉体材料の粒子によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができるシステム及び方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1つの実施態様に係る電極伝導度算出システムの概略構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の1つの実施態様に係る電極伝導度算出システムが備える電極構造モデル化手段によって周期的境界を設定してモデル化された電極の微細構造の単位領域を表す模式図である。
【図3】本発明の1つの実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいて実行される各種処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前述のように、本発明は、種々の粉体材料の粒子によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができるシステムを提供することを1つの目的とする。
【0017】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、電極の構成についての情報である電極構成情報に基づいて、当該電極を構成すべく選択された材料の粒子によって構成される微細構造をモデル化し、モデル化された前記微細構造に基づいて前記選択された材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出し、前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して、予め収集しておいた、電極を構成する材料の特性についての情報である材料特性情報を適用して、電極全体としての電気伝導度を算出することにより、電極全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
【0018】
即ち、本発明の第1の実施態様は、
電極を構成する活物質材料の特性についての情報である材料特性情報と電極の構成についての情報である電極構成情報とに基づいて当該電極の全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出システムであって、
前記材料特性情報が、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含み、
前記電極構成情報が、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含み、そして
活物質材料についての前記材料特性情報を格納する特性情報記憶手段と、
前記電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報を入力するための構成情報入力手段と、
前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する電極構造モデル化手段と、
前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する界面抽出手段と、
前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出手段と、
を備える電極伝導度算出システムである。
【0019】
上記のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システムは、電極を構成する活物質材料の特性についての情報である材料特性情報と電極の構成についての情報である電極構成情報とに基づいて当該電極の全体としての電気伝導度を算出する。
【0020】
材料特性情報は、電極を構成する活物質材料として使用することができる活物質材料の特性についての情報であり、具体的には、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含む。活物質材料の粒子のバルク伝導度とは、活物質材料の粒子のバルク内における電子伝導やイオン伝導に由来する電気伝導度である。粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗とは、活物質材料の粒子と粒子との接触界面における電子伝導やイオン伝導に由来する電気伝導度である。前述のように、活物質材料の粉体構造全体としての実効電気伝導度を正確に解析するには、粉体構造を構成する活物質材料の個々の粒子のバルク内における電子伝導度やイオン伝導度のみならず、これらの粒子が互いに接触する界面(接触界面)における界面抵抗をも考慮する必要がある。尚、活物質材料のバルク伝導度及び界面抵抗は、例えば、交流インピーダンス法等の周知の方法によって測定することができる。
【0021】
電極構成情報は、電極の構成についての情報であり、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含む。電極の形状及び大きさとは、電極を構成すべく選択された活物質材料によって構成される電極の形状及び当該形状の各部分の寸法等である。電極を構成すべく選択された活物質材料の種類とは、活物質材料として使用される物質を特定する情報であり、例えば、活物質材料としてセラミックス材料の粉体を使用する場合は当該セラミックス材料の物質名や組成式等、活物質材料として金属の粉体を使用する場合は当該金属の元素名等を指す。また、電極を構成すべく選択された活物質材料の粒径とは、例えば、当該活物質材料の粒子の直径若しくは半径、又は等価球の直径若しくは半径を指す。更に、電極を構成すべく選択された活物質材料の充填率とは、例えば、当該活物質材料によって構成される電極における当該活物質材料の粒子が占める体積率を指す。
【0022】
上記のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システムは、
活物質材料についての前記材料特性情報を格納する特性情報記憶手段と、
前記電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報を入力するための構成情報入力手段と、
前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する電極構造モデル化手段と、
前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する界面抽出手段と、
前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出手段と、
を備える。
【0023】
特性情報記憶手段は、電極を構成する活物質材料として使用することができる活物質材料についての前記材料特性情報を格納する。具体的には、特性情報記憶手段は、例えば、本実施態様に係る電極伝導度算出システムに含まれるコンピュータが備えるデータ記憶手段であってもよい。かかるデータ記憶手段としては、例えば、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)、及びフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、ブルーレイディスク等の種々のデータ記憶手段を挙げることができる。また、特性情報記憶手段によって格納される活物質材料についての材料特性情報は、例えば、1つ以上のデータテーブル、構造化データ、データベース等の種々のデータ格納形態において、個々の活物質材料を特定可能な状態で格納することができる。
【0024】
構成情報入力手段は、本実施態様に係る電極伝導度算出システムに対して、前記電極構成情報を入力するための手段である。具体的には、構成情報入力手段は、例えば、本実施態様に係る電極伝導度算出システムに含まれるコンピュータが備える入力ポート等を介して当該コンピュータに前記電極構成情報を入力するためのデータ入力手段であってもよい。かかるデータ入力手段としては、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル(タッチパネルディスプレイを含む)、イメージスキャナ、バーコードリーダ等の種々のデータ入力手段を挙げることができる。また、構成情報入力手段によって入力される電極構成情報は、例えば、1つ以上のデータテーブル、構造化データ、データベース等の種々のデータ格納形態において、個々の活物質材料を特定可能な状態で、前述のようなデータ記憶手段に一時的に又は所定の期間に亘って格納してもよい。
【0025】
電極構造モデル化手段は、前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する。具体的には、電極構造モデル化手段は、前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、例えば、配置された形状データを有限体積法によって離散化することにより、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化するデータ処理手段であってもよい。
【0026】
かかるデータ処理手段としては、例えば、本実施態様に係る電極伝導度算出システムに含まれるコンピュータを挙げることができる。この場合、上記のように前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化するデータ処理を当該コンピュータが備える中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)に実行させるためのアルゴリズムが記述されたプログラムを前述のようなデータ記憶手段に格納しておき、前記電極構成情報に基づいて電極の微細構造をモデル化しようとする際に、当該プログラムに従って、対応するデータ処理を当該CPUに実行させることができる。
【0027】
界面抽出手段は、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する。具体的には、界面抽出手段は、例えば、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造における活物質材料の粒子の配置及び粒径に基づいて、互いに接触している粒界の部分を特定し、斯くして特定された粒界の部分を接触界面として抽出するデータ処理手段であってもよい。
【0028】
前述の電極構造モデル化手段と同様に、かかるデータ処理手段としては、例えば、本実施態様に係る電極伝導度算出システムに含まれるコンピュータを挙げることができる。この場合、上記のように前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出するデータ処理を当該コンピュータが備えるCPUに実行させるためのアルゴリズムが記述されたプログラムを前述のようなデータ記憶手段に格納しておき、前記微細構造に基づいて接触界面を抽出しようとする際に、当該プログラムに従って、対応するデータ処理を当該CPUに実行させることができる。
【0029】
以上のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、上述のように、予め定められたアルゴリズムに従って、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造が電極構成情報に基づいてモデル化され、且つ選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面が前記微細構造に基づいて抽出される。従って、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、従来技術におけるように、電極を構成する活物質材料の粒子の接触界面を人間が1つ1つ定義する必要が無く、接触界面の抽出において人間の主観的な判断が求められない。その結果、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、例えば、接触界面の抽出において、膨大な作業工数が必要であったり、誤って特定された接触界面が多発したりする問題が軽減又は解消される。
【0030】
次いで、電極伝導度算出手段は、前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する。このように、活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造のモデル化及び当該微細構造における接触界面の抽出が完了した後に実行される、当該微細構造及び接触界面に対して既知の材料特性情報を適用して電極全体としての電気伝導度を算出するプロセスは、従来技術と基本的には同様である。
【0031】
具体的には、電極伝導度算出手段は、先ず、前記選択された活物質材料についてのバルク伝導度及び界面抵抗を特性情報記憶手段から読み出す。前述のように、特性情報記憶手段によって格納される活物質材料についての材料特性情報は、個々の活物質材料を特定可能な状態で、特性情報記憶手段に格納されている。従って、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、構成情報入力手段によって入力される電極構成情報に含まれる、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類に基づいて、対応する活物質材料のバルク伝導度及び界面抵抗を特性情報記憶手段から確実に読み出すことができる。
【0032】
電極伝導度算出手段は、上記のように読み出された活物質材料のバルク伝導度及び界面抵抗を、電極構造モデル化手段によってモデル化された微細構造に含まれる活物質材料の粒子及び界面抽出手段によって抽出された当該粒子同士の接触界面に対してそれぞれ適用して、構成情報入力手段によって入力される電極構成情報に対応する微細構造を有する電極の全体としての電気伝導度を算出する。加えて、電極伝導度算出手段は、当該電極全体としての電流密度をも算出することができる。この際、電極構造モデル化手段によってモデル化された微細構造において、電極を構成すべく選択された活物質材料の粒子によって占められている領域以外の領域は、電解質によって占められているものとする(即ち、電解質の充填率[vol%]=100−活物質材料の充填率[vol%])。
【0033】
尚、上記電気伝導度(及び電流密度)の算出においては、例えば、以下の式(1)乃至(3)に示すモデル式を利用することができる。
【0034】
【数1】

【0035】
上記式(1)は輸送方程式であり、式中、xは離散点の間の距離を表し、φは電位[V]を表し、Γは拡散係数を表し(但し、この場合は電極全体としての電気伝導度を表す)、そしてSはソース項を表す(但し、この場合はゼロ(0)である)。また、上記式(2)は上記微細構造に作用する電場E[V/m]を表す式である。更に、上記式(3)は電流方程式であり、式中、Jは電極全体としての電流密度[A/m]を表し、σはバルク伝導度[S/m]を表す。
【0036】
尚、上記電気伝導度(及び電流密度)の算出においては、電極を構成すべく選択された活物質材料の粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗が、界面抽出手段によって抽出された接触界面に対して適用される。この際、活物質材料の粒子の接触界面から所定の距離以内の領域に対して界面抵抗を適用してもよく、あるいは活物質材料の粒子内の領域に対して、接触界面からの距離に応じた重み付けをしつつ、これらの領域の抵抗値(伝導度)に界面抵抗を反映させてもよい。具体的には、活物質材料の粒子の接触界面から所定の距離以内の領域の伝導度は、例えば、以下の式(4)によって表すことができる。
【0037】
【数2】

【0038】
式中、σ′は活物質材料の粒子の接触界面から所定の距離以内の領域の伝導度[S/m]を表し、σは活物質材料の粒子のバルク伝導度[S/m]を表し、Rは界面抵抗[Ω/m]を表し、そしてΔxは接触界面からの距離[m]を表す。
【0039】
ここで、図1に示すブロック図を参照しながら、本実施態様に係る電極伝導度算出システムの構成の一例について改めて説明する。図1は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係る電極伝導度算出システムの概略構成を表すブロック図である。図1に示すように、電極伝導度算出システム10は、
電極を構成する活物質材料として使用することができる種々の活物質材料についての材料特性情報を格納する特性情報記憶手段50と、
電極伝導度算出システム10に対して電極構成情報を入力するための構成情報入力手段20と、
構成情報入力手段20によって入力された前記電極構成情報に基づいて、電極を構成すべく選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する電極構造モデル化手段30と、
前記電極構造モデル化手段30によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する界面抽出手段40と、
前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段50から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出手段60と、
を備える。
【0040】
上記において、材料特性情報は、前述のように、電極を構成する活物質材料として使用することができる活物質材料の特性についての情報であり、具体的には、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含む。電極構成情報は、前述のように、電極の構成についての情報であり、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含む。
【0041】
特性情報記憶手段50は、前述のように、例えば、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、ROM、RAM、HDD、FD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、ブルーレイディスク等の種々のデータ記憶手段の何れであってもよい。また、材料特性情報は、例えば、1つ以上のデータテーブル、構造化データ、データベース等の種々のデータ格納形態において、個々の活物質材料を特定可能な状態で、特性情報記憶手段50に格納することができる。
【0042】
構成情報入力手段20は、前述のように、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル(タッチパネルディスプレイを含む)、イメージスキャナ、バーコードリーダ等の種々のデータ入力手段の何れであってもよい。また、電極構成情報は、例えば、1つ以上のデータテーブル、構造化データ、データベース等の種々のデータ格納形態において、個々の活物質材料を特定可能な状態で、前述のようなデータ記憶手段に一時的に又は所定の期間に亘って格納してもよい。
【0043】
電極構造モデル化手段30、界面抽出手段40、及び電極伝導度算出手段60は、前述のように、例えば、本実施態様に係る電極伝導度算出システムに含まれるコンピュータ等のデータ処理手段であってもよい。この場合、前述のように、例えば、それぞれの手段が実行すべきデータ処理を本実施態様に係る電極伝導度算出システムに含まれるコンピュータが備えるCPUに実行させるためのアルゴリズムが記述されたプログラムを前述のようなデータ記憶手段に格納しておき、それぞれの手段が実行すべきデータ処理を実行しようとする際に、当該プログラムに従って、対応するデータ処理を当該CPUに実行させることができる。
【0044】
尚、図1に示す実施態様においては、電極伝導度算出手段60によって算出される電極全体としての電気伝導度は、出力データ70として出力される。出力データ70の出力形態は特に限定されるものではない。即ち、出力データ70は、例えば、データファイルとして前述のようなデータ記憶手段に格納されてもよく、印刷物として例えばプリンタ等の印刷手段から出力されてもよく、又は例えばディスプレイ等の表示手段によって表示されてもよい。
【0045】
また、図1に示す本実施態様に係る電極伝導度算出システムの各構成要素は、例えば、1つのコンピュータにおいて実装されていてもよく、あるいは複数のコンピュータに分散されて実装されていてもよい。後者の場合、各々のコンピュータ間でのデータの授受は、例えばFD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、ブルーレイディスク等の記録媒体を介して行ってもよい。より好ましくは、各々のコンピュータは、例えばTCP/IP等の通信プロトコルに準じて、例えばイーサネット等(イーサネットは登録商標)のネットワークを介して、相互に通信可能な状態で、互いに接続されており、各々のコンピュータ間でのデータの授受は、当該ネットワークを介して行われることが望ましい。
【0046】
以上のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、上述のように、予め定められたアルゴリズムに従って、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造が電極構成情報に基づいてモデル化され、且つ選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面が前記微細構造に基づいて抽出される。従って、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、従来技術におけるように、電極を構成する活物質材料の粒子の接触界面を人間が1つ1つ定義する必要が無く、接触界面の抽出において人間の主観的な判断が求められない。その結果、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、例えば、接触界面の抽出において、膨大な作業工数が必要であったり、誤って特定された接触界面が多発したりする問題が抑制されるので、種々の粉体材料によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができる。
【0047】
ところで、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、前述のように、電極構造モデル化手段が、前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する。この場合、前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、例えば、配置された形状データを有限体積法によって離散化することにより、計算時間を短縮したり、解析精度を高めたりすることができる。
【0048】
従って、電極構造モデル化手段は、前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、例えば、前記離散化により、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化することがより好ましい。
【0049】
即ち、本発明の第2の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様に係る電極伝導度算出システムであって、
前記電極構造モデル化手段が、前記電極構成情報に基づき、配置された形状データを有限体積法によって離散化することによって、前記微細構造をモデル化する、
電極伝導度算出システムである。
【0050】
上記のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、電極構造モデル化手段が、前記電極構成情報に基づき、配置された形状データを有限体積法によって離散化することによって、前記微細構造をモデル化する。これにより、本実施態様に係る電極伝導度算出システムによれば、計算時間を短縮したり、解析精度を高めたりすることができる。
【0051】
また、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、前述のように、界面抽出手段が、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する。具体的には、界面抽出手段は、例えば、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造における活物質材料の粒子の配置及び粒径等に基づいて、互いに接触している粒界の部分を特定し、斯くして特定された粒界の部分を接触界面として抽出することができる。
【0052】
ところで、上記のように、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出するに当たっては、有限要素法を利用することが有用である。有限要素法は、解析対象となる物体を多数の細かい要素に分割(メッシュ化)し、解析対象をこれらの要素の集合体として近似して、当該集合体に対して成立する方程式を解く手法である。
【0053】
具体的には、界面抽出手段による接触界面の抽出に当たっては、電極構造モデル化手段によってモデル化された微細構造を多数の細かい要素に分割(メッシュ化)し、斯くして分割された個々の要素を画定する面(メッシュ構成面。以降、「フェイス」とも称する)の各々につき、予め定められた条件(後に説明する)に照らして、活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当するか否かを判定することにより、当該微細構造における接触界面を抽出することができる。
【0054】
即ち、本発明の第3の実施態様は、
本発明の前記第1又は第2の実施態様の何れかに係る電極伝導度算出システムであって、
前記界面抽出手段が、前記微細構造をメッシュ化し、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じである場合に、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定し、特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する、
電極伝導度算出システムである。
【0055】
上記のように、本実施態様においては、前記界面抽出手段が、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された微細構造をメッシュ化する。微細構造をメッシュ化する処理は、例えば、熱流体解析ソフトウェア等、有限要素法を利用する各種解析ツールが備える機能を利用して実行することができる。
【0056】
次に、前記界面抽出手段は、斯くしてメッシュ化された微細構造において、メッシュを構成する面であるフェイス(メッシュ化により分割された個々の要素を画定する面)の各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当するか否か、及び当該フェイスの一方の側に存在する材料と他方の側に存在する材料とが同じであるか否か、について判定する。かかる判定処理は、例えば、前述のような各種解析ツールによって算出される個々のフェイスに関連するデータを引数として上記のような判定に対応する演算を行う関数を定義し、当該関数の戻り値に基づいて実行することができる。
【0057】
かかる判定の結果、前記界面抽出手段は、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであると判定されたフェイスを、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として特定する。更に、前記界面抽出手段は、斯くして特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出することができる。
【0058】
即ち、本実施態様においては、個々のフェイスが、活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当すると判定されるための条件は、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであることである。上記のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、上述のようにソフトウェアや関数を利用して、微細構造のメッシュ化、予め定められた条件に基づく個々のフェイスの判定等の処理を行うことができる。従って、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、接触界面の抽出処理をより一層効率的且つ正確に行うことができる。
【0059】
ところで、活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造は、前述のように、非常に複雑である。例えば、同じ活物質材料且つ同じ充填率とした場合であっても、実際の電極の微細構造における個々の粒子の配置状況は様々であり、また1つの電極の微細構造内でも場所によって個々の粒子の配置状況は異なっている。従って、同じ活物質材料且つ同じ充填率とした場合であっても、実際の電極の微細構造における個々の粒子の配置状況には著しい多様性があると言うことができる。
【0060】
しかしながら、上記のように多様性に富んだ微細構造を、そのまま想定してモデル化しようとすると、モデル化そのものに要する演算負荷が過大となるばかりか、モデル化された微細構造における接触界面の抽出や、電極全体としての電気伝導度や電流密度の算出に要する演算負荷もまた過大なものとなる虞がある。このような複雑な系や無限に大きい系の各種解析やシミュレーションを行う際の演算負荷を小さくする手法として、周期的境界を設定することが有効である。
【0061】
そこで、電極構造モデル化手段によって、構成情報入力手段によって入力された電極構成情報に基づいて、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する際にも、周期的境界を設定することが望ましい。具体的には、電極構造モデル化手段によって、構成情報入力手段によって入力された電極構成情報に基づいて、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する際に、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造における活物質材料の粒子の配置が周期的であると仮定し、周期的な粒子の配置の一周期分に相当する単位領域についてモデル化を行う。これにより、当該モデル化に伴う演算負荷を著しく低減することができる。
【0062】
従って、本発明の第4の実施態様は、
本発明の前記第2の実施態様に係る電極伝導度算出システムであって、
前記電極構造モデル化手段が、周期的境界を設定して前記微細構造をモデル化する、
電極伝導度算出システムである。
【0063】
上記のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、電極構造モデル化手段によって、構成情報入力手段によって入力された電極構成情報に基づいて、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する際に、周期的境界を設定する。これにより、電極の微細構造全体を上記単位領域の繰り返しであり、また上記単位領域の1つの周期的境界がその対向するもう1つの周期的境界と繋がっているものとみなすことができる。従って、電極構造モデル化手段によって、構成情報入力手段によって入力された電極構成情報に基づいて、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する際に、当該モデル化に伴う演算負荷を著しく低減することができる。
【0064】
ところで、上記のように前記電極構造モデル化手段が前記微細構造をモデル化する際に周期的境界を設定する場合、電極の微細構造のモデル化、及びモデル化された微細構造に基づく電極伝導度や電流密度の算出は、周期的境界によって区画される単位領域に対して行われる。ところが、上記のように、個々の単位領域においては、単位領域の1つの周期的境界がその対向するもう1つの周期的境界と繋がっているものとみなすことができる。同様に、単位領域の周期的境界に活物質材料の粒子の断面が含まれる場合があるが、この断面は、その対向するもう1つの周期境界に含まれる活物質材料の粒子の断面と繋がっているとみなすことができる。従って、界面抽出手段は、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する際に、周期的境界が接触境界として抽出されないようにする必要がある。
【0065】
具体的には、界面抽出手段による接触界面の抽出に当たっては、前述のように、電極構造モデル化手段によってモデル化された微細構造をメッシュ化して多数の細かい要素に分割し、斯くして分割された個々の要素を画定する面であるフェイスの各々につき、予め定められた条件(後に説明する)に照らして、活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当するか否かを判定する。この際に周期的境界に該当するフェイスが接触境界として抽出されないように、当該判定条件を修正する必要がある。
【0066】
即ち、本発明の第5の実施態様は、
本発明の前記第4の実施態様に係る電極伝導度算出システムであって、
前記界面抽出手段が、前記微細構造をメッシュ化し、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであり且つ当該フェイスが前記周期的境界に該当しない場合に、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定し、特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する、
電極伝導度算出システムである。
【0067】
上記のように、本実施態様においては、前記界面抽出手段が、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された微細構造をメッシュ化し、斯くしてメッシュ化された微細構造において、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当するか否か、及び当該フェイスの一方の側に存在する材料と他方の側に存在する材料とが同じであるか否か、に加えて、当該フェイスが前記周期的境界に該当するか否か、について判定する。かかる判定処理は、例えば、前述のような各種解析ツールによって算出される個々のフェイスに関連するデータを引数として上記のような判定に対応する演算を行う関数を定義し、当該関数の戻り値に基づいて実行することができる。
【0068】
かかる判定の結果、前記界面抽出手段は、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであり且つ当該フェイスが前記周期的境界に該当しないと判定されたフェイスを、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として特定する。更に、前記界面抽出手段は、斯くして特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出することができる。
【0069】
即ち、本実施態様においては、個々のフェイスが、活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当すると判定されるための条件は、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであり且つ当該フェイスが前記周期的境界に該当しないことである。上記のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、上述のようにソフトウェアや関数を利用して、周期的境界を設定してモデル化された微細構造のメッシュ化、予め定められた条件に基づく個々のフェイスの判定等の処理を行うことができる。従って、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいては、接触界面の抽出処理をより一層効率的且つ正確に行うことができる。
【0070】
ここで、図2に示す模式図を参照しながら、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおける界面抽出手段による接触界面の抽出手法の一例について改めて説明する。図2は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係る電極伝導度算出システムが備える電極構造モデル化手段によって周期的境界を設定してモデル化された電極の微細構造の単位領域を表す模式図である。図2に示すように、当該単位領域は、例えば、熱流体解析ソフトウェア等、有限要素法を利用する各種解析ツールが備える機能を利用して、既にメッシュ化されている。
【0071】
図2においては、メッシュ化により分割された単位領域の個々の要素を画定する面であるフェイスを、それぞれの種類に応じて、実線、破線、及び点線によって表している。具体的には、活物質材料の粒界又は周期的境界に該当するフェイスは実線で、活物質材料の粒子によって占められている領域における粒界には該当しないフェイスは破線で、そして活物質材料の粒子によって占められている領域以外の(電解質によって占められている)領域におけるフェイスは点線で、それぞれ表されている。
【0072】
また、上記のように実線で表される活物質材料の粒界又は周期的境界に該当するフェイスは、更に4つの種類に分けられる。1つ目の実線は、周期的境界には該当せず、フェイスの両側の材料が活物質材料(同じ)であるフェイスである。このフェイスは、活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する。2つ目の実線は、周期的境界に該当し、フェイスの両側の材料が活物質材料(同じ)であるフェイスである。このフェイスは、当該微細構造のモデル化において周期的境界を設定したために実線で表される種類に分類されたものであり、本来であれば、上述の破線によって表されるフェイスと同様に、活物質材料の粒子内のフェイスである。3つ目の実線は、周期的境界には該当せず、フェイスの両側の材料が異なるフェイスである。このフェイスは、活物質材料の粒子と電解質との界面に該当する。4つ目の実線は、周期的境界に該当し、フェイスの両側の材料が電解質(同じ)であるフェイスである。このフェイスもまた、当該微細構造のモデル化において周期的境界を設定したために実線で表される種類に分類されたものであり、本来であれば、上述の点線によって表されるフェイスと同様に、電解質によって占められている領域内のフェイスである。
【0073】
以上のように6種類に分類される図2に示すフェイスの一覧を以下の表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
即ち、本実施態様においては、構成情報入力手段によって入力された、電極の形状及び大きさ、並びに電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含む電極構成情報に基づいて、電極構造モデル化手段が、周期的境界を設定して、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造の単位領域をモデル化する。次に、界面抽出手段が、例えば、熱流体解析ソフトウェア等、有限要素法を利用する各種解析ツールが備える機能を利用して、当該単位領域をメッシュ化する。次いで、界面抽出手段は、斯くしてメッシュ化された単位領域の個々の要素を画定する面であるフェイスの各々につき、上記表1に列挙した種々のフェイスの何れに該当するかを判定する。当該判定の結果、前述の1つ目の実線に該当するフェイスを活物質材料の粒子の接触界面として特定する。換言すれば、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであり且つ当該フェイスが前記周期的境界に該当しない場合に、選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定する。そして、界面抽出手段は、斯くして特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する。
【0076】
以上、本発明の幾つかの実施態様に係る電極伝導度算出システムについて説明してきたが、前述のように、本発明のもう1つの目的は、種々の粉体材料の粒子によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができる方法を提供することである。
【0077】
そこで、前述のような本発明の幾つかの実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいて実行される電極伝導度算出方法としての幾つかの実施態様につき、以下に列挙する。但し、前述のような本発明の幾つかの実施態様に係る電極伝導度算出システム及び当該システムにおいて実行される電極伝導度算出方法についての説明において既に詳細に述べた内容と重複する事項については、説明を割愛す場合がある。
【0078】
即ち、本発明の第6の実施態様は、
電極を構成する活物質材料の特性についての情報である材料特性情報と電極の構成についての情報である電極構成情報とに基づいて当該電極の全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出方法であって、
前記材料特性情報が、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含み、
前記電極構成情報が、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含み、そして
活物質材料についての前記材料特性情報を格納する特性情報記憶手段と、
電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報を入力するための構成情報入力手段と、
前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する電極構造モデル化手段と、
前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する界面抽出手段と、
電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出手段と、
を備える電極伝導度算出システムにおいて、
種々の活物質材料についての前記材料特性情報を前記特性情報記憶手段に予め格納しておき、
前記構成情報入力手段により、前記電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報が入力され、
前記電極構造モデル化手段により、前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化し、
前記界面抽出手段により、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出し、
前記電極伝導度算出手段により、前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する、
電極伝導度算出方法である。
【0079】
更に、図3に示すフローチャートを参照しながら、本実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいて実行される各種処理のフローの一例について改めて説明する。図3は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係る電極伝導度算出システムにおいて実行される各種処理の流れを示すフローチャートである。
【0080】
図3に示すように、本実施態様に係る電極伝導度算出方法においては、
電極を構成する活物質材料として使用することができる種々の活物質材料についての材料特性情報が、特性情報記憶手段に予め格納されており、
ステップS10において、構成情報入力手段により、電極伝導度算出システムに対して電極構成情報が入力され、
ステップS20において、電極構造モデル化手段により、ステップS10において入力された電極構成情報に基づいて、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造がモデル化され、
ステップS30において、界面抽出手段により、ステップS20においてモデル化された微細構造に基づいて、選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面が抽出され、
ステップS40において、電極伝導度算出手段により、選択された活物質材料についての材料特性情報が特性情報記憶手段から読み出され、読み出された材料特性情報が、モデル化された微細構造及び抽出された接触界面に対して適用され、
ステップS50において、電極伝導度算出手段により、モデル化された微細構造及び抽出された接触界面に対して適用された材料特性情報を用いて、電極全体としての電気伝導度が算出される。
【0081】
上記において、材料特性情報は、前述のように、電極を構成する活物質材料として使用することができる活物質材料の特性についての情報であり、具体的には、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含む。電極構成情報は、前述のように、電極の構成についての情報であり、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含む。また、特性情報記憶手段、構成情報入力手段、電極構造モデル化手段、界面抽出手段、及び電極伝導度算出手段の詳細については、電極伝導度算出システムについての説明において前述した通りである。更に、電極伝導度算出手段によって算出される電極全体としての電気伝導度の出力形態もまた、前述のように、特に限定されるものではない。加えて、図3のフローチャートに示す本実施態様に係る電極伝導度算出方法における各ステップの実行フローはあくまでも1つの例示であり、本発明の目的を達成することができる限り、個々のステップの実行単位や実行順序についての種々の変形例が存在し得る。
【0082】
本発明に係る電極伝導度算出方法のより好ましい実施態様としては、例えば、本発明に係る電極伝導度算出システムについて前述した種々の実施態様と同様の実施態様を挙げることができる。
【0083】
即ち、本発明の第7の実施態様は、
本発明の前記第6の実施態様に係る電極伝導度算出方法であって、
前記電極構造モデル化手段が、前記電極構成情報に基づき、配置された形状データを有限体積法によって離散化することによって、前記微細構造をモデル化する、
電極伝導度算出方法である。
【0084】
また、本発明の第8の実施態様は、
本発明の前記第6又は第7の実施態様の何れか1つに係る電極伝導度算出方法であって、
前記界面抽出手段が、前記微細構造をメッシュ化し、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じである場合に、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定し、特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する、
電極伝導度算出方法である。
【0085】
更に、本発明の第9の実施態様は、
本発明の前記第7の実施態様に係る電極伝導度算出方法であって、
前記電極構造モデル化手段が、周期的境界を設定して前記微細構造をモデル化する、
電極伝導度算出方法である。
【0086】
加えて、本発明の第10の実施態様は、
本発明の前記第9の実施態様に係る電極伝導度算出方法であって、
前記界面抽出手段が、前記微細構造をメッシュ化し、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであり且つ当該フェイスが前記周期的境界に該当しない場合に、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定し、特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する、
電極伝導度算出方法である。
【0087】
以上のように、本実施態様に係る電極伝導度算出システム及び電極伝導度算出方法においては、予め定められたアルゴリズムに従って、選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造が電極構成情報に基づいてモデル化され、且つ選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面が前記微細構造に基づいて抽出される。従って、本実施態様に係る電極伝導度算出システム及び電極伝導度算出方法においては、従来技術におけるように、電極を構成する活物質材料の粒子の接触界面を人間が1つ1つ定義する必要が無く、接触界面の抽出において人間の主観的な判断が求められない。その結果、本実施態様に係る電極伝導度算出システム及び電極伝導度算出方法においては、例えば、接触界面の抽出において、膨大な作業工数が必要であったり、誤って特定された接触界面が多発したりする問題が抑制されるので、種々の粉体材料によって構成される粉体構造全体としての実効電気伝導度を効率的且つ正確に見積もることができる。
【0088】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施態様について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0089】
10…電極伝導度算出システム、20…構成情報入力手段、30…微細構造モデル化手段、40…界面抽出手段、50…特性情報記憶手段、60…電気伝導度算出手段、及び70…出力データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を構成する活物質材料の特性についての情報である材料特性情報と電極の構成についての情報である電極構成情報とに基づいて当該電極の全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出システムであって、
前記材料特性情報が、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含み、
前記電極構成情報が、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含み、そして
活物質材料についての前記材料特性情報を格納する特性情報記憶手段と、
前記電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報を入力するための構成情報入力手段と、
前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する電極構造モデル化手段と、
前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する界面抽出手段と、
前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出手段と、
を備える電極伝導度算出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電極伝導度算出システムであって、
前記電極構造モデル化手段が、前記電極構成情報に基づき、配置された形状データを有限体積法によって離散化することによって、前記微細構造をモデル化する、
電極伝導度算出システム。
【請求項3】
請求項1又は2の何れか1項に記載の電極伝導度算出システムであって、
前記界面抽出手段が、前記微細構造をメッシュ化し、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じである場合に、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定し、特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する、
電極伝導度算出システム。
【請求項4】
請求項2に記載の電極伝導度算出システムであって、
前記電極構造モデル化手段が、周期的境界を設定して前記微細構造をモデル化する、
電極伝導度算出システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電極伝導度算出システムであって、
前記界面抽出手段が、前記微細構造をメッシュ化し、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであり且つ当該フェイスが前記周期的境界に該当しない場合に、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定し、特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する、
電極伝導度算出システム。
【請求項6】
電極を構成する活物質材料の特性についての情報である材料特性情報と電極の構成についての情報である電極構成情報とに基づいて当該電極の全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出方法であって、
前記材料特性情報が、活物質材料の粒子のバルク伝導度及び粒子間での接触界面における電気抵抗値である界面抵抗を含み、
前記電極構成情報が、電極の形状及び大きさ、電極を構成すべく選択された活物質材料の種類、粒径、及び充填率を含み、そして
活物質材料についての前記材料特性情報を格納する特性情報記憶手段と、
電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報を入力するための構成情報入力手段と、
前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化する電極構造モデル化手段と、
前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出する界面抽出手段と、
電極全体としての電気伝導度を算出する電極伝導度算出手段と、
を備える電極伝導度算出システムにおいて、
種々の活物質材料についての前記材料特性情報を前記特性情報記憶手段に予め格納しておき、
前記構成情報入力手段により、前記電極伝導度算出システムに対して前記電極構成情報が入力され、
前記電極構造モデル化手段により、前記構成情報入力手段によって入力された前記電極構成情報に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子によって構成される電極の微細構造をモデル化し、
前記界面抽出手段により、前記電極構造モデル化手段によってモデル化された前記微細構造に基づいて、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面を抽出し、
前記電極伝導度算出手段により、前記選択された活物質材料についての材料特性情報を特性情報記憶手段から読み出し、前記読み出された材料特性情報を前記微細構造及び前記抽出された接触界面に対して適用して、電極全体としての電気伝導度を算出する、
電極伝導度算出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電極伝導度算出方法であって、
前記電極構造モデル化手段が、前記電極構成情報に基づき、配置された形状データを有限体積法によって離散化することよって、前記微細構造をモデル化する、
電極伝導度算出方法。
【請求項8】
請求項6又は7の何れか1項に記載の電極伝導度算出方法であって、
前記界面抽出手段が、前記微細構造をメッシュ化し、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じである場合に、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定し、特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する、
電極伝導度算出方法。
【請求項9】
請求項7に記載の電極伝導度算出方法であって、
前記電極構造モデル化手段が、周期的境界を設定して前記微細構造をモデル化する、
電極伝導度算出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電極伝導度算出方法であって、
前記界面抽出手段が、前記微細構造をメッシュ化し、メッシュを構成する面であるフェイスの各々につき、当該フェイスが前記選択された活物質材料の粒子の粒界に該当し且つ当該フェイスの一方に存在する材料と他方に存在する材料とが同じであり且つ当該フェイスが前記周期的境界に該当しない場合に、前記選択された活物質材料の粒子が互いに接触する接触界面に該当する面として当該フェイスを特定し、特定されたフェイスの集合として接触界面を抽出する、
電極伝導度算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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