説明

電極保護膜形成剤

【課題】 高電圧、高容量であり、充放電サイクル性能及び高温貯蔵特性に優れたリチウム二次電池用電解液又はリチウムイオンキャパシタ用電解液を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物(B)を含有する電極保護膜形成剤(A)。
【化1】


[式中、T〜T3はそれぞれ独立に特定の一般式で表されるアルケニル基、炭素数1〜12の飽和炭化水素基、又は炭素数6〜12の芳香族基であり、T〜T3のうち少なくとも1個は特定の一般式で表される置換基である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池又はリチウムイオンキャパシタに有用な電極保護膜形成剤および該電極保護膜形成剤を含有する電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電気製品の軽量化・小型化に伴い、高いエネルギー密度を持つリチウム二次電池の開発が進められている。また、リチウム二次電池の適用分野の拡大に伴い、電池特性の改善も要望されている。
【0003】
リチウム二次電池の正極としては、LiCoO等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO等のリチウムマンガン複合酸化物等が用いられている。このような正極材料を使用するリチウム二次電池においては、正極表面ではエチレンカーボネートやジメチレンカーボネートなどの溶媒が分解して、酸化分解生成物が堆積し、正極材のリチウムカチオンの吸収を阻害して放電負荷特性が低下することによりサイクル特性が充分でないという問題があった。
【0004】
そこで、正極におけるこうした溶媒の酸化分解を抑制し、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させる目的で、正極で作用すると考えられる種々の添加剤を電解液に含有させることが提案されている。
【0005】
具体的に、特許文献1には、メチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド等の芳香族スルフィドを添加することで、正極表面上で芳香族スルフィドが電解液より優先して酸化され、酸化生成物が負極に拡散及び還元されて、元のスルフィド体に戻るという反応を繰り返すことにより、溶媒の酸化分解が抑制され、保存特性、充放電サイクル特性等を改善することが開示されている。
【0006】
特許文献2には、アリール基又は複素環基を置換基として有するスルフィド化合物を添加することで、正極表面上で発生する活性酸素等の強酸化性の化学種に、このスルフィド化合物が優先的に反応し、溶媒の酸化分解を抑制することで、充放電繰り返しによる放電容量の低下を抑制することが開示されている。さらに、酸化された一部は正極上に付着し、放電時に還元されて元に戻り、また一部は負極に拡散されることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−320779号公報
【特許文献2】特開平10−64591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2のようなスルフィド化合物は、それ自体がラジカルに分解してしまい、電解液や電極との反応によってサイクル特性を低下させてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物(B)を含有する電極保護膜形成剤(A);(A)を含有する電解液;電解液を含むリチウム二次電池又はリチウムイオンキャパシタである。
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、T〜T3はそれぞれ独立に下記一般式(2)で表されるアルケニル基(a11)、下記一般式(3)で表されるアルケニル基(a12)、炭素数1〜12の飽和炭化水素基、又は炭素数6〜12の芳香族基であり、T〜T3のうち少なくとも1個は下記一般式(2)で表される置換基又は下記一般式(3)で表される置換基である。]
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、Rは直結又は炭素数1〜3のアルキレン基であり、Q、Q及びQは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1若しくは2のフルオロアルキル基、フェニル基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基である。]
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基であり、Qは水素原子又はハロゲン原子であり、Q、Q及びQは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1若しくは2のフルオロアルキル基、フェニル基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基である。]
【発明の効果】
【0016】
本発明の電極保護膜形成剤(A)は、高電圧下の電極表面での電解液の分解を抑制し、充放電サイクル特性及び高温貯蔵特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の電極保護膜形成剤(A)は、分子内に電解重合性部位としてアルケニル基(a1)を少なくとも1個有するリン酸エステル化合物(B)を必須成分とする。これにより、正極に電解重合によって保護膜を形成することで、電池のサイクル特性を大幅に改善する。また、多くのエステル結合を有するため、リチウムイオン伝導性が高く皮膜形成によるイオン移動抵抗の上昇がほとんどない。
【0018】
本発明における必須成分のリン酸エステル化合物(B)としては、アルケニル基(a1)を少なくとも1個有する一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物(B)があげられる。
一般式(1)におけるT〜T3は、それぞれ独立に一般式(2)で表されるアルケニル基、一般式(3)で表されるアルケニル基、炭素数1〜12の飽和炭化水素基、又は炭素数6〜12の芳香族基であり、T〜T3のうち少なくとも1個は一般式(2)で表される置換基又は一般式(3)で表される置換基である。
【0019】
一般式(1)における炭素数1〜12の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−へキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基及びn−ドデシル基等が挙げられる。
【0020】
一般式(1)における炭素数6〜12の芳香族基としては、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、2、4、6−トリメチルフェニル基及び4−フェニルフェニル基等が挙げられる。
【0021】
一般式(1)が有するアルケニル基(a1)としては、一般式(2)で表されるアルケニル基(a11)又は一般式(3)で表されるアルケニル基(a12)が挙げられる。
【0022】
一般式(2)における炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基及び1,3−プロピレン基等が挙げられる。直結の場合とは、連結基であるRを介在することなく、リン酸エステル基とアルケニル基が直接連結された場合である。これらの内、充放電サイクル特性の観点から好ましいのは直結又はメチレン基であり、更に好ましくは、リン酸エステル基とアルケニル基が直接連結された場合である。
【0023】
一般式(2)における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基及びt−ブチル基等が挙げられる。
【0024】
一般式(2)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
炭素数1又は2のフルオロアルキル基としては、メチル基又はエチル基上の1〜5個の水素原子をフッ素原子に置換したものが挙げられ、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基及びペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0025】
一般式(2)における炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びイソプロポキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n―プロポキシカルボニル基及びイソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
【0026】
一般式(2)で表されるアルケニル基(a11)としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、イソペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基及びイソヘキセニル基等が挙げられる。
、Q、Q及びQの好ましい組み合わせとしては、以下の(1)〜(6)が挙げられる。
(1)R=直結、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=水素原子
(2)R=直結、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=メチル基
(3)R=直結、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=エチル基
(4)R=直結、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=フェニル基
(5)R=メチレン基、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=エトキシ基
(6)R=メチレン基、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=エトキシカルボニル基
これらの組み合わせの内、更に好ましいのは(1)又は(2)の組み合わせであるビニル基又は1−プロペニル基である。
【0027】
【化4】

一般式(3)におけるR3 は炭素数1〜3のアルキレン基であり、Qは水素原子又はハロゲン原子であり、Q、Q及びQは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1若しくは2のフルオロアルキル基、フェニル基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基である。
【0028】
一般式(3)における炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基及び1,3−プロピレン基等が挙げられる。これらの内、充放電サイクル特性の観点から好ましいのはエチレン基である。
【0029】
一般式(3)における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基及びt−ブチル基が挙げられる。
【0030】
一般式(3)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
一般式(3)における炭素数1又は2のフルオロアルキル基としては、メチル基又はエチル基上の水素原子の1〜5個をフッ素原子に置換したものが挙げられ、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基及びペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0031】
一般式(3)における炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びイソプロポキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n―プロポキシカルボニル基及びイソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
【0032】
一般式(3)におけるR、Q、Q、Q及びQの好ましい組み合わせとしては、以下の(1)〜(6)が挙げられる。
(1)R=メチレン基、Q=フッ素原子、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=水素原子
(2)R=メチレン基、Q=フッ素原子、Q=水素原子、Q=メチル基、Q=水素原子
(3)R=メチレン基、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=水素原子
(4)R=メチレン基、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=メチル基
(5)R=メチレン基、Q=フッ素原子、Q=水素原子、Q=エトキシ基、Q=水素原子
(6)R=メチレン基、Q=水素原子、Q=水素原子、Q=エトキシカルボニル基、Q=水素原子
これらの組み合わせの内、更に好ましいのは(1)の組み合わせである。
【0033】
リン酸エステル化合物(B)の具体例としては、リン酸トリビニル、リン酸トリス(1-プロペニル)、リン酸トリス(1-ブテニル)、リン酸(1-プロペニル)ジビニル、リン酸(1-ブテニル)ジビニル、リン酸ビス(1-プロペニル)ビニル、リン酸ビス(1-ブテニル)ビニル、リン酸メチルジビニル、リン酸エチルジビニル、リン酸メチルビス(1-プロペニル)、リン酸エチルビス(1-プロペニル)、リン酸ジメチルビニル、リン酸ジメチル(1-プロペニル)、リン酸ジエチルビニル及びリン酸ジエチル(1-プロペニル)等が挙げられる。
【0034】
本発明におけるリン酸エステル化合物(B)の合成法としてクロロエチルリン酸の脱塩酸反応やオキシ塩化リンに対する各種アルコラートの求核置換反応等を挙げることができるがこれらに限定するものではない。
【0035】
本発明の電極保護膜形成剤(A)は、充電時にリチウム二次電池内の電極表面においてアルケニル基が電解重合することで保護膜を形成する。電極表面に保護膜を形成することによって非水溶媒が電極表面で分解するのを抑制し、充放電サイクル特性を大幅に改善する。
【0036】
本発明の電極保護膜形成剤(A)は、ビニルオキシ基若しくは1−プロペニルオキシ基を有する脂肪族炭化水素化合物(D1)、又はビニルオキシ基若しくは1−プロペニルオキシ基を有するオリゴエーテル化合物(D2)を含有してもよい。
【0037】
電極保護膜形成剤(A)における化合物(D1)又は(D2)の含有割合は、充放電サイクル特性及び高温貯蔵特性の観点から、電極保護膜形成剤の全重量に基づいて好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0.05〜5重量%である。
【0038】
ビニルオキシ基若しくは1−プロペニルオキシ基を有する脂肪族炭化水素(D1)又はビニルオキシ基若しくは1−プロペニルオキシ基を有するオリゴエーテル化合物(D2)は正極保護膜形成剤として機能する。即ち、化合物(D1)又は(D2)は正極で溶媒の分解を抑制する保護膜を形成する。この保護膜が、高電圧下の電極表面での電解液の分解を抑制し、充放電サイクル特性を向上させる。
【0039】
ビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を有する脂肪族炭化水素(D1)としては、炭素数2〜20の直鎖又は分岐のアルカン(エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、オクタデカン及びエイコサン等)の1つ以上の水素原子がビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基で置換された化合物、炭素数2〜20の直鎖又は分岐のアルケン(エチレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、オクタデセン及びエイコセン等)の1つ以上の水素原子をビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基で置換された化合物及び炭素数3〜20のシクロアルカン(シクロヘキサン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロヘキセン及びシクロドデセン等)又はシクロアルケン(シクロヘキセン及びシクロデセンなど)の1つ以上の水素原子をビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基で置換された化合物が挙げられる。
ビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を有するオリゴエーテル化合物(D2)としては、オキシアルキレン基(オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基等)の繰り返し単位の数が1〜10であるポリオキシアルキレンの1つ又は2つの末端水酸基をビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基で置換された化合物である。
【0040】
これらの内、充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、両末端にビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を有する炭素数4〜10の直鎖アルカン化合物(D11)、ビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を2つ以上有するシクロヘキサン誘導体(D12)及び両末端にビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を有するオリゴエーテル化合物(D21)であり、更に好ましいのは、ビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を2つ以上有するシクロヘキサン誘導体である。
【0041】
両末端にビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を有する炭素数4〜10の直鎖アルキル化合物(D11)としては、一般式(4)で示される化合物等が挙げられる。
−CH=CH−O−(CH−O−CH=CH−R (4)
一般式(4)におけるR及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、pは4〜10の整数である。
【0042】
一般式(4)で示される化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,7−ヘプタンジオールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、1,10−デカンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオール(1−プロペニル)ビニルエーテル、1,5−ペンタンジオール(1−プロペニル)ビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオール(1−プロペニル)ビニルエーテル、1,7−ヘプタンジオール(1−プロペニル)ビニルエーテル、1,8−オクタンジオール(1−プロペニル)ビニルエーテル、1,9−ノナンジオール(1−プロペニル)ビニルエーテル、1,10−デカンジオール(1−プロペニル)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジ(1−プロペニル)エーテル、1,5−ペンタジオールジ(1−プロペニル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールジ(1−プロペニル)エーテル、1,7−ヘプタンジオールジ(1−プロペニル)エーテル、1,8−オクタンジオールジ(1−プロペニル)エーテル、1,9−ノナンジオールジ(1−プロペニル)エーテル及び1,10−デカンジオールジ(1−プロペニル)エーテル等が挙げられる。これらは市販品を入手することができる。
【0043】
これらの内、充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、R及びRがそれぞれ水素原子であり、かつpが6〜8の整数である化合物である。
【0044】
ビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を2つ以上有するシクロヘキサン誘導体(D12)の具体例としては、1,2−ビス(1−プロペノキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(1−プロペノキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(1−プロペノキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(1−プロペノキシメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(ビニロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ビニロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ビニロキシメチル)シクロヘキサン及び1,3,5−トリス(ビニロキシメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらは市販品を入手することができる。
【0045】
両末端にビニルオキシ基又は1−プロペニルオキシ基を有するオリゴエーテル化合物(D21)としては、一般式(5)で示される化合物等が挙げられる。
−CH=CH−O−(CO)−CH=CH−R (5)
一般式(5)におけるR及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、qは1〜5の整数である。
【0046】
一般式(5)で示される化合物の具体例としては、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコール(1−プロペニル)ビニルエーテル、ジエチレングリコール(1−プロペニル)ビニルエーテル、トリエチレングリコール(1−プロペニル)ビニルエーテル、テトラエチレングリコール(1−プロペニル)ビニルエーテル、ペンタエチレングリコール(1−プロペニル)ビニルエーテル、エチレングリコールジ(1−プロペニル)エーテル、ジエチレングリコールジ(1−プロペニル)エーテル、トリエチレングリコールジ(1−プロペニル)エーテル、テトラエチレングリコールジ(1−プロペニル)エーテル及びペンタエチレングリコールジ(1−プロペニル)エーテル等が挙げられる。これらは市販品を入手することができる。
【0047】
これらの内、充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、R及びRが水素原子であり、かつqが2又は3である化合物である。
【0048】
本発明のリチウム二次電池電解液は、電極保護膜形成剤(A)、非水溶媒(E)及び電解質(F)を含有してなり、更にルイス塩基(C)を含有するのが好ましい。
【0049】
ルイス塩基(C)としては、アザクラウンエーテル誘導体(C1)及び/又はトリアゾール誘導体(C2)が挙げられ、これらの内、充放電サイクル特性の観点から好ましいのは(C1)である。
【0050】
前記アザクラウンエーテル誘導体(C1)としては、アザクラウンエーテル環における窒素原子の1個以上に一般式(2)で表されるアルケニル基(a11)、一般式(3)で表されるアルケニル基(a12)、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、及び(メタ)アクリロイルアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和二重結合を有する置換基(a)が結合してなるものが挙げられる。
【0051】
アザクラウンエーテル誘導体(C1)としては、窒素原子を1〜4個有する9員環〜24員環のクラウンエーテル骨格を有し、該骨格の窒素原子の1個以上に重合性不飽和二重結合を有する置換基(a)が結合しているものが好ましい。
【0052】
窒素原子を1〜4個有する9員環〜24員環のクラウンエーテルとしては、アザ−9−クラウン−3−エーテル(4−アザ−9−クラウン−3−エーテル及び4,7−ジアザ−9−クラウン−3−エーテル等)、アザ−12−クラウン−4−エーテル(4−アザ−12−クラウン−4−エーテル及び4,10−ジアザ−12−クラウン−4−エーテル等)、アザ−14−クラウン−4−エーテル(4−アザ−14−クラウン−4−エーテル及び4,10−ジアザ−14−クラウン4−エーテル等)、アザ−15−クラウン−5−エーテル(4−アザ−15−クラウン−5−エーテル、4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル、4,14−ジアザ−15−クラウン−5及び4,10,16−トリアザ−15−クラウン−5−エーテル等)、アザ−18−クラウン−6−エーテル(4−アザ−18−クラウン6−エーテル、4,10−ジアザ−18−クラウン−6−エーテル及び4,10,16−トリアザ−18−クラウン−6−エーテル等)、アザ−21−クラウン−7−エーテル(4−アザ−21−クラウン−7−エーテル、4,10−ジアザ−21−クラウン−7−エーテル及び4,10,16−トリアザ−21−クラウン−7−エーテル等)及びアザ−24−クラウン−8−エーテル(4−アザ−24−クラウン−8−エーテル、4,10−ジアザ−24−クラウン−8−エーテル及び4,10,16−トリアザ−24−クラウン−8−エーテル等)等が挙げられる。
これらの内、リチウムイオンとの配位力の観点から、好ましいのはアザ−12−クラウン−4−エーテル、アザ−14−クラウン−4−エーテル、アザ−15−クラウン−5−エーテル及びアザ−18−クラウン−6−エーテルであり、更に好ましいのは4−アザ−12−クラウン−4−エーテル、4,10−ジアザ−12−クラウン−4−エーテル、4−アザ−15−クラウン−5−エーテル及び4,10−ジアザ−15−クラウン−5エーテルである。
【0053】
アザクラウンエーテル骨格における窒素原子の数は、リチウムイオンに対する配位力の観点から好ましくは1〜3個であり、更に好ましくは1又は2個である。
【0054】
アザクラウンエーテル誘導体(C1)が有する、重合性不飽和二重結合を有する置換基(a)としては、例えば、前述の一般式(2)で表されるアルケニル基(a11)、一般式(3)で表されるアルケニル基(a12)、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基及び(メタ)アクリロイルアルキル基等が挙げられ、好ましいものも同様である。
【0055】
アザクラウンエーテル誘導体(C1)の具体例としては、N−(2−ブテン酸メチル)−4−アザ−12−クラウン−4−エーテル、N,N−ジ−(2−ブテン酸メチル)−4,10−ジアザ−12−クラウン−4−エーテル、N−(2−ブテン酸メチル)−4−アザ−15−クラウン−5−エーテル、N,N−ジ−(2−ブテン酸メチル)−4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル、N−(シンナミル)−4−アザ−12−クラウン−4−エーテル、N,N−ジ−(シンナミル)−4,10−ジアザ−12−クラウン−4−エーテル、N−(シンナミル)−4−アザ−15−クラウン−5−エーテル、N,N−ジ−(シンナミル)−4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル、N−(4−ビニルベンジル)−4−アザ−12−クラウン−4−エーテル、N,N−ジ−(4−ビニルベンジル)−4,10−ジアザ−12−クラウン−4−エーテル、N−(4−ビニルベンジル)−4−アザ−15−クラウン−5−エーテル、N,N−ジ−(4−ビニルベンジル)−4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル、N,N−ジ−(1−アクリロイルオキシエチル)−4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル、N−(1−アクリロイルオキシエチル)−4−アザ−14−クラウン−4−エーテル、N−(2−ペンテン酸エチル)−4−アザ−18−クラウン−6−エーテル及びN,N−ジ−(2−ペンテン酸メチル)−4,14−ジアザ−18−クラウン−6−エーテル等が挙げられる。
【0056】
本発明におけるアザクラウンエーテル誘導体(C1)は、通常の方法等で製造することができる。例えば、有機溶媒中で、無触媒又は触媒の存在下、無置換のアザクラウンエーテルと、重合性不飽和二重結合を有するハロゲン化アルキルを反応させる方法が挙げられる。
【0057】
重合性不飽和二重結合を有するハロゲン化アルキルとしては、4−ブロモ−2−ブテン酸メチルエステル、4−クロロ−2−ブテン酸メチルエステル、1−ブロモ−4−シアノ−2−ブテン、1−クロロ−4−シアノ−2−ブテン、アクリル酸クロロメチルエステル、アクリル酸ブロモメチルエステル、アクリル酸−2−クロロエチルエステル、アクリル酸−2−ブロモエチルエステル、メタクリル酸クロロメチルエステル、メタクリル酸ブロモメチルエステル、メタクリル酸−2−クロロエチルエステル、メタクリル酸−2−ブロモエチルエステル、シンナミルクロリド、シンナミルブロミド、4−(クロロメチル)スチレン及び4−(ブロモメチル)スチレン等が挙げられる。
【0058】
トリアゾール誘導体(C2)としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−エチル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−プロピル−1,2,4−トリアゾール及び3−アミノ−5−ブチル−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。これらは市販品を入手することが出来る。これらの内、充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールである。
【0059】
非水溶媒(E)としては、通常のリチウム二次電池電解液に用いられているものが使用でき、例えば、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ラクトン化合物、ニトリル化合物、アミド化合物等及びこれらの混合物を用いることができる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
【0060】
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン、2−トリフルオロエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン及び2−メトキシエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン等が挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等が挙げられる。ニトリル化合物としては、アセトニトリルが挙げられる。
アミド化合物としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
非水溶媒のうち、電池出力及び充放電リサイクル特性の観点から、好ましくは環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、更に好ましくは環状炭酸エステルである。
【0061】
電解質(F)としては、通常のリチウム二次電池電解液に用いられているものが使用でき、無機酸のリチウム塩[LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等];有機酸のリチウム塩[LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等]が挙げられる。中でも電池出力及び充放電サイクル特性の観点からLiPFが好ましい。
【0062】
本発明の電極保護膜形成剤は、電解液に添加して電池を作成した後、充電することで二重結合を電解重合させ保護膜を形成するものである。
【0063】
本発明の電解液における電極保護膜形成剤(A)、ルイス塩基(C)、非水溶媒(E)及び電解質(F)のそれぞれ好ましい含有量又は濃度は以下の通りである。
【0064】
(A)の含有量は、充放電サイクル特性、電池容量及び高温貯蔵特性の観点から、電極保護膜形成剤(A)、非水溶媒(E)及び電解質(F)の合計重量に基づいて好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.05〜1重量%である。
(C)の含有量は、電池容量、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から、電解液の重量に基づいて好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜1重量%である。
(E)の含有量は、電極保護膜形成剤(A)、非水溶媒(E)及び電解質(F)の合計重量に基づいて、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましくは70〜99重量%であり、更に好ましくは93〜99重量%である。
(F)の含有量は、電池出力の観点から電極保護膜形成剤(A)、非水溶媒(E)及び電解質(F)の合計重量に基づいて好ましくは0.3〜25重量%であり、更に好ましくは0.5〜20重量%である。
(F)の濃度は、電解液の容量に基づいて、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましくは0.01〜3mol/Lであり、更に好ましくは0.05〜1.5mol/Lである。
【0065】
本発明の電解液の調製方法については特に限定はなく、非水溶媒に電解質、本発明の電極保護膜形成剤(A)及びその他の添加剤を溶解させて調製することができる。また、電解液中の水分量が50ppm以下になるように、電解液の調製に際して、各原料はあらかじめ脱水しておくのが好ましい。
【0066】
本発明の電解液は、リチウム二次電池又はリチウムイオンキャパシタ用の電解液として有用である。
本発明の電解液を用いたリチウム二次電池は、正極、負極及びセパレーターを収納した電池缶内に、本発明の電解液を注入し、電池缶を密封することで得られる。
【0067】
リチウム二次電池における正極としては、正極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に分散してスラリー化したものを、正極用集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布し、乾燥して溶媒を除去し、必要によりプレス機でプレスしたもの等が使用できる。
【0068】
正極活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属酸化物(MnO及びV等)、遷移金属硫化物(MoS及びTiS等)、及び導電性高分子(ポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール等)等が挙げられる。
【0069】
導電剤としては、黒鉛(天然黒鉛及び人工黒鉛等)、カーボンブラック類(カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラック等)、金属粉末(アルミニウム粉及びニッケル粉等)及び導電性金属酸化物(酸化亜鉛及び酸化チタン等)等が挙げられる。
【0070】
結着剤としては、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフロオロエチレン、ポリエチレン及びポリプロピレン等の高分子化合物が挙げられる。
【0071】
溶媒としては、1−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子及び導電性ガラス等が挙げられる。
【0072】
リチウム二次電池において、正極の全重量に基づく正極活物質、導電剤及び結着剤のそれぞれの好ましい含有量は以下の通りである。
正極活物質の含有量は、好ましくは70〜98重量%であり、更に好ましくは90〜98重量%である。導電剤の含有量は、好ましくは1〜29重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。結着剤の含有量は、好ましくは1〜29重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。
【0073】
正極活物質、導電剤及び結着剤のスラリー化における溶媒の使用量としては、正極活物質、導電剤及び結着剤の全重量に基づいて好ましくは20〜70重量%であり、更に好ましくは30〜60重量%である。
【0074】
リチウム二次電池における負極としては、負極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に分散してスラリー化したものを負極用集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布し、乾燥して溶媒を除去し、必要によりプレス機でプレスしたもの等が使用できる。
【0075】
負極活物質としては、黒鉛、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの)、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(ポリアセチレン及びポリピロール等)、金属合金(リチウム−アルミニウム合金、リチウム−アルミニウム−マンガン合金等)等が挙げられる。
導電剤、結着剤及び溶媒は、正極の製造に用いられるものと同様のものが使用できる。
負極用集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス及びアルミニウム−カドミウム合金等が挙げられる。
【0076】
リチウム二次電池において、負極の全重量に基づく負極活物質、導電剤及び結着剤のそれぞれの好ましい含有量は、正極の全重量に基づく正極活物質、導電剤及び結着剤のそれぞれの好ましい含有量と同様である。
【0077】
負極活物質、導電剤及び結着剤のスラリー化における溶媒の使用量としては、正極活物質、導電剤及び結着剤のスラリー化における溶媒の使用量と同様である。
【0078】
リチウム二次電池におけるセパレーターとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン製フィルムの微多孔膜、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたものが挙げられる。
【0079】
リチウム二次電池における電池缶としては、ステンレススチール、鉄、アルミニウム及びニッケルメッキスチール等の金属材料を用いることができるが、電池用途に応じてプラスチック材料を用いることもできる。また電池缶は、用途に応じて円筒型、コイン型、角型、その他任意の形状にすることができる。
【0080】
本発明の電解液は、リチウムイオンキャパシタ用の電解液としても有用である。
本発明の電解液を用いたリチウムイオンキャパシタは、正極、負極及びセパレーターを収納したキャパシタ缶内に、本発明の電解液を注入し、キャパシタ缶を密封することで得られる。
【0081】
リチウムイオンキャパシタにおける正極としては、活性炭、導電剤及び結着剤を溶媒に分散してスラリー化したものを、正極用集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布し、乾燥して溶媒を除去し、必要によりプレス機でプレスしたもの等が使用できる。
【0082】
導電剤としては、黒鉛(天然黒鉛及び人工黒鉛等)、カーボンブラック類(カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラック等)、金属粉末(アルミニウム粉及びニッケル粉等)、導電性金属酸化物(酸化亜鉛及び酸化チタン等)等が挙げられる。
【0083】
結着剤としては、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフロオロエチレン、ポリエチレン及びポリプロピレン等の高分子化合物が挙げられる。
【0084】
溶媒としては、1−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子及び導電性ガラス等が挙げられる。
【0085】
リチウムイオンキャパシタにおいて、正極の全重量に基づく正極活物質、導電剤及び結着剤のそれぞれの好ましい含有量は以下の通りである。
正極活物質の含有量は、好ましくは70〜98重量%であり、更に好ましくは90〜98重量%である。導電剤の含有量は、好ましくは1〜29重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。結着剤の含有量は、好ましくは1〜29重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。
【0086】
正極活物質、導電剤及び結着剤のスラリー化における溶媒の使用量としては、正極活物質、導電剤及び結着剤の全重量に基づいて好ましくは20〜70重量%であり、更に好ましくは30〜60重量%である。
【0087】
リチウムイオンキャパシタにおける負極としては、負極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に分散してスラリー化したものを負極用集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布し、乾燥して溶媒を除去し、必要によりプレス機でプレスしたもの等が使用できる。
【0088】
本発明における負極活物質としては、アモルファス炭素、グラファイト、スズ及びその合金並びにシリコン及びその合金等が挙げられる。
導電剤、結着剤及び溶媒は、正極の製造に用いられるものと同様のものが使用できる。
負極用集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス及びアルミニウム−カドミウム合金等が挙げられる。
【0089】
リチウムイオンキャパシタにおいて、負極の全重量に基づく負極活物質、導電剤及び結着剤のそれぞれの好ましい含有量は、正極の全重量に基づく正極活物質、導電剤及び結着剤のそれぞれの好ましい含有量と同様である。
【0090】
負極活物質、導電剤及び結着剤のスラリー化における溶媒の使用量としては、正極活物質、導電剤及び結着剤のスラリー化における溶媒の使用量と同様である。
【0091】
リチウムイオンキャパシタにおけるセパレーターとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン製フィルムの微多孔膜、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたものが挙げられる。
【0092】
リチウムイオンキャパシタにおける電池缶としては、ステンレススチール、鉄、アルミニウム及びニッケルメッキスチール等の金属材料を用いることができるが、電池用途に応じてプラスチック材料を用いることもできる。また電池缶は、用途に応じて円筒型、コイン型、角型、その他任意の形状にすることができる。
【0093】
本発明における電極保護膜形成剤(A)は正極及び負極どちらにも添加して使用する事ができるが、正極に添加することが好ましい。
【0094】
正極に添加する方法としては、正極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に分散してスラリー化したものに電極保護膜形成剤(A)を添加し、正極用集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布し、乾燥して溶媒を除去し、必要によりプレス機でプレスする方法等があげられる。
【0095】
負極に添加する方法としては、負極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に分散してスラリー化したものに電極保護膜形成剤(A)を添加し、負極用集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布し、乾燥して溶媒を除去し、必要によりプレス機でプレスする方法等があげられる。
【0096】
正極に添加する場合の電極保護膜形成剤(A)の添加量は充放電サイクル特性、電池容量及び高貯蔵特性の観点から正極活物質に基づいて好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
負極に添加する場合の電極保護膜形成剤(A)の添加量は充放電サイクル特性、電池容量及び高貯蔵特性の観点から負極活物質に基づいて好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
【0097】
以下、実施例及び製造例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において%は重量%、部は重量部を示す。
【実施例】
【0098】
<実施例1>:リン酸トリビニル(B−1)
攪拌機、温度計及び冷却管を取り付けたフラスコに、リン酸トリス(2-クロロエチル[アルドリッチ(株)製]10.0部とtert-ブタノール40.0部を仕込み、攪拌しながら均一に溶解させた後、攪拌下室温でカリウムtert-ブトキシド15.7部を4回に分けて加えた。得られた混合物を90℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却し、ジエチルエーテルに溶解させてセライトろ過を行った。得られたろ液から溶媒を留去することで目的のリン酸トリビニル(B−1)4.18部を得た(収率67.7%)。
【0099】
<実施例2>:リン酸トリス(1−プロペニル)(B−2)
攪拌機、温度計及び冷却管を取り付けたフラスコに、オキシ塩化リン[和光純薬工業(株)製]10.0部、プロピオンアルデヒド12.2部、およびテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)40.0部を仕込み、攪拌しながら均一に溶解させた。得られた溶液に対して、攪拌下−78℃でリチウムジイソプロピルアミド(ヘキサンに10重量%で分散させたもの。以下、LDAと略記)21.7部を加え、その後、同温で1時間攪拌した。1時間かけて室温まで昇温した後、0.1規定の希塩酸10.0部、および酢酸エチル40.0部を加え、水層を分離した。溶剤を留去後、得られた混合物を酢酸エチルを溶剤としたアルミナカラム[150mesh、Brockman1,standard grade、アルドリッチ(株)製]で精製することにより、目的のリン酸トリス(1−プロペニル)(B−2)9.69部を得た(収率52.1%)。
【0100】
<実施例3>:リン酸トリス(1−ブテニル)(B−3)
実施例2において、プロピオンアルデヒド12.2部をブチルアルデヒド15.1部に変更したこと以外は製造例2と同様の操作を行い、リン酸トリス(1−ブテニル)(B−3)7.42部を得た(収率57.0%)。
【0101】
<実施例4>:リン酸メチルジビニル(B−4)
攪拌機、温度計及び冷却管を取り付けたフラスコに、オキシ塩化リン[和光純薬工業(株)製]10.0部、アセトアルデヒド5.76部、およびTHF40.0部を仕込み、攪拌しながら均一に溶解させた。得られた溶液に対して、攪拌下−78℃でLDA21.7部を加え、同温で30分間攪拌した後、メタノール3.14部を加えた。1時間かけて室温まで昇温した後、0.1規定の希塩酸10.0部、および酢酸エチル40.0部を加え、水層を分離した。溶剤を留去後、得られた混合物を酢酸エチルを溶剤としたアルミナカラム[150mesh、Brockman1,standard grade、アルドリッチ(株)製]で精製することにより、目的のリン酸メチルジビニル(B−4)5.26部を得た(収率49.1%)。
【0102】
<実施例5>:リン酸ジメチルビニル(B−5)
実施例4においてアセトアルデヒドを2.88部に変更し、メタノールを5.23部に変更する以外は、実施例4と同様の操作を行い、目的のリン酸メチルジビニル(B−5)4.98部を得た(収率50.1%)。
【0103】
<実施例6>:リン酸ジエチル(1−プロペニル)(B−6)
製造例4において、アセトアルデヒドとメタノールを、それぞれプロピオンアルデヒドとエタノールに変更したこと以外は製造例5と同様の実験操作を行い、リン酸ジエチル(1−プロペニル)(B−6)6.56部を得た(収率51.7%)。
【0104】
<製造例1>
攪拌機、温度計及び冷却管を取り付けたフラスコに、4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル[東京化成工業(株)製]0.61部、4−ブロモ−2−ブテン酸メチルエステル[東京化成工業(株)製]1部及びアセトニトリル10部を仕込み、攪拌しながら均一に溶解させた後、攪拌下室温で24時間反応させた。アセトニトリルを留去後、アセトンを溶剤としたアルミナカラム[150mesh、Brockman1,standard grade、アルドリッチ(株)製]によって反応物を精製し、N,N−ジ−(2−ブテン酸メチル)−4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル(C1−1)0.85部を得た(収率71%)。
【0105】
<実施例7〜16及び比較例1〜4>
[電解液の調製]
表1の配合例にしたがい、化合物(B)、(C)及び(E)を配合し、そこに1.0mol/Lの濃度になるように電解質(F)としてLiPFを溶解させ実施例7〜16及び比較例1〜4の電解液を調製した。
【0106】
【表1】

【0107】
なお、表1中の化合物(B)、(D)、(B’)及び(C)の略号は下記の通りである。
(B−1):リン酸トリビニル
(B−2):リン酸トリス(1−プロペニル)
(B−3):リン酸トリス(1−ブテニル)
(B−4):リン酸メチルジビニル
(B−5):リン酸ジメチルビニル
(B−6):リン酸ジエチル(1−プロペニル)
(D1−1):1,4−ブタンジオールジビニルエーテル
(D1−2):1,4−ビス(ビニロキシメチル)シクロヘキサン
(B’―1):リン酸トリメチル
(B’―2):リン酸トリオクチル
(C1−1):N,N−ジ−(2−ブテン酸メチル)−4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル
(C2−1):3−アミノ−1,2,4−トリアゾール
【0108】
表1に記載のリン酸トリメチル(B’―1)[東京化成工業(株)製]、リン酸トリオクチル(B’―2)[和光純薬工業(株)製]、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル(D1−1)[日本カーバイド工業(株)製]、1,4−ビス(ビニロキシメチル)シクロヘキサン(D1−2)[日本カーバイド工業(株)製]、及び3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(C2−1)[東京化成工業(株)製]は、それぞれ市販品を使用した。
【0109】
(1)二次電池用セルの作製
(1−1)正極の作製
LiCoO粉末9.0部、ケッチェンブラック[アルドリッチ社製]0.5部及びポリフッ化ビニリデン[アルドリッチ社製]0.5部を乳鉢で十分に混合した後、1−メチル−2−ピロリドン[東京化成工業(株)製]7.0部を添加し、更に乳鉢で十分に混合してスラリーを得た。得られたスラリーを、大気中でワイヤーバーを用いて厚さ20μmのアルミニウム電解箔上の片面に塗布し、100℃で15分間乾燥させた後、更に減圧下(10mmHg)、80℃で5分間乾燥して、膜厚30μmの正極を作製した。
【0110】
(1−2)負極の作製
平均粒径約8〜12μmの黒鉛粉末92.5部、ポリフッ化ビニリデン7.5部及びN−メチルピロリドン[東京化成工業(株)製]200部を乳鉢で十分に混合しスラリーを得た。得られたスラリーを、厚さ20μmの銅箔の片面に塗布し、100℃で15分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、12mmφに打ち抜き、プレス機で厚さ30μmにして負極を作製した。
【0111】
(1−3)二次電池用セルの作製
2032型コインセル内の両端に、上記のようにして得られた正極及び負極を、それぞれの塗布面が向き合うように配置して二次電池用セルを作製した。
【0112】
(2)リチウムイオンキャパシタの作製
(2−1)正極の作製
正極活物質として、アルカリ賦活法によって得られた比表面積が約2200m2/gである活性炭を用いた。活性炭粉末、アセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデンを、それぞれ重量比80:10:10の割合となるように混合し、この混合物を、溶媒であるN−メチルピロリドン中に添加し、撹拌混合してスラリーを得た。このスラリーを、厚さ30μmのアルミニウム箔の上にドクターブレード法で塗布し、仮乾燥した後、電極サイズが20mm×30mmとなるように切り取った。電極の厚みは約50μmであった。セルの組み立て前には、真空中で120℃、10時間乾燥しリチウムイオンキャパシタ用の正極を作製した。
【0113】
(2−2)負極の作製
平均粒子径約8〜12μmの黒鉛粉末80部、アセチレンブラック10部、及びポリフッ化ビニリデン10部を混合し、この混合物を溶媒であるN−メチルピロリドンに添加して撹拌混合し、スラリーを得た。このスラリーを、厚さ18μmの銅箔の上にドクターブレード法で塗布し、仮乾燥した後、電極サイズが20mm×30mmとなるように切り取った。電極の厚みは、約50μmであった。セルの組み立て前に、真空中で120℃、5時間乾燥しリチウムイオンキャパシタ用の負極を作製した。
【0114】
(2−3)負極へのリチウムのドーピング
上記のようにして得られた負極に、以下のようにしてリチウムをドーピングさせた。負極と、リチウム金属箔を、セパレータ(ポリプロピレン製不織布)で挟んでビーカーセルにセットし、所定量のリチウムイオンを約10時間かけて負極に吸蔵させた。リチウムのドープ量は、負極理論容量の約75%とした。
【0115】
(2−4)キャパシタセルの組み立て
上記のようにして得られた正極と負極の間に、セパレータ(ポリプロピレン製不織布)を挿入し、これに電解液を含浸させ、ポリプロピレンのアルミラミネートフィルムからなる収納ケースに入れて密封しリチウムイオンキャパシタを作製した。
[電解液の評価]
実施例7〜16及び比較例1〜4で作製した電解液を、それぞれ上記二次電池用セル注入後密封し、以下の方法で高電圧充放電サイクル特性および高温貯蔵特性を評価した結果と、キャパシタセルに注液後密封し、以下の方法で高電圧充放電サイクル特性および高温貯蔵特性を評価した結果を表2に示す。
【0116】
【表2】

【0117】
<高電圧充放電サイクル特性の評価>
充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.1Cの電流で電圧4.5Vまで充電し、10分間の休止後、0.1Cの電流で電池電圧を3.5Vまで放電し、この充放電を繰り返した。この時の初回充電時の電池容量と50サイクル目充電時の電池容量を測定し、下記式から充放電サイクル特性を算出する。数値が大きい程、充放電サイクル特性が良好であることを示す。
高電圧充放電サイクル特性(%)=(50サイクル目充電時の電池容量/初回充電時の電池容量)×100
【0118】
<高温貯蔵特性の評価>
充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.1Cの電流で電圧4.5Vまで充電し、10分間の休止後、0.1Cの電流で電圧3.5Vまで放電し容量を測定する(初回電池容量)。更に0.1Cの電流で電圧4.5Vまで充電し、85℃で7日間保存後、0.1Cの電流で3.5Vまで放電を行い電池容量を測定する(高温保存後電池容量)。下記式から高温貯蔵特性を算出する。数値が大きいほど、高温貯蔵特性が良好であることを示す。
高温貯蔵特性(%)=(高温貯蔵後電池容量/初回電池容量)×100
【0119】
実施例1〜6の電極保護膜形成剤を含有する実施例7〜16の電解液を含むリチウム二次電池及びリチウムイオンキャパシタは、比較例1〜4の電解液を含むリチウム二次電池及びリチウムイオンキャパシタに比べ、サイクル特性及び高温貯蔵安定性が良好である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の電極保護膜形成剤(A)を使用した電解液は高電圧下でのサイクル特性及び高温貯蔵安定性が優れているため、特にリチウム二次電池用電解液又はリチウムイオンキャパシタ用電解液として有用であり、電気自動車用として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物(B)を含有する電極保護膜形成剤(A)。
【化1】

[式中、T〜T3はそれぞれ独立に下記一般式(2)で表されるアルケニル基、下記一般式(3)で表されるアルケニル基、炭素数1〜12の飽和炭化水素基、又は炭素数6〜12の芳香族基であり、T〜T3のうち少なくとも1個は下記一般式(2)で表される置換基又は下記一般式(3)で表される置換基である。]
【化2】

[式中、Rは直結又は炭素数1〜3のアルキレン基であり、Q、Q及びQは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1若しくは2のフルオロアルキル基、フェニル基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基である。]
【化3】

[式中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基であり、Qは水素原子又はハロゲン原子であり、Q、Q及びQは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1若しくは2のフルオロアルキル基、フェニル基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基である。]
【請求項2】
一般式(2)で表されるアルケニル基がビニル基又は1−プロペニル基である請求項1に記載の電極保護膜形成剤(A)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電極保護膜形成剤(A)を含有する電解液。
【請求項4】
リチウム二次電池用又はリチウムイオンキャパシタ用である請求項3に記載の電解液。
【請求項5】
請求項3に記載の電解液を有するリチウム二次電池又はリチウムイオンキャパシタ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の電極保護膜形成剤(A)で被覆された電極活物質を有するリチウム二次電池又はリチウムイオンキャパシタ。
【請求項7】
正極及び/又は負極に、請求項1又は2に記載の電極保護膜形成剤(A)を含有するリチウム二次電池又はリチウムイオンキャパシタ。

【公開番号】特開2013−12442(P2013−12442A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145804(P2011−145804)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】