説明

電極形成基板およびその製造方法および同電極形成基板を用いた有機ELデバイス

【課題】電極の構成およびその製造方法が従来よりも、低コストで導電性能が低下せず、多数の製造工程を必要としない電極形成基板およびその製造方法および同電極形成基板を提供する。
【解決手段】ガラス基板2と、ガラス基板2上全体に成膜されたITO3膜と、電極形状に形成された金属めっき膜5と、を有する電極形成基板1であって、ITO膜3上には、パターニングされたストライクめっき膜4を備え、ストライクめっき膜4を介して、ITO膜3と金属めっき膜5とは、密着し、ストライクめっき膜4上にのみ金属めっき膜5を形成し、金属めっき膜5は、電解めっきを用いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極形成基板およびその製造方法および同電極形成基板を用いた有機ELデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図7(a)に示すように、ドライ工程において、ガラス基板20の一方の表面に成膜したITO膜21上に金属めっき膜22をスパッタや蒸着によって成膜する。続いて、レジストコート工程、フォトリソグラフィ工程、パターニング工程において、電極となる金属めっき膜22を形成する部分をレジスト23でマスクする。そして、エッチング工程において、電極となる金属めっき膜22の露出した部分を除去し、レジスト23を除去する、という製造方法が広く用いられていた。しかしながら、上記の製造方法では、金属めっき膜22のエッチング工程において、金属めっき膜22の大部分を除去するために、材料コストが高価になり、また、ドライ工程において、高価な真空装置が必要なため、プロセスコストが非常に高価になるという課題があった(特許文献1参照)。
【0003】
そこで、上記のような課題を鑑みて、図7(b)に示すように、近年、金属微粒子を配合した導電性ペーストや、導電性インク24を用いたスクリーン印刷工法や、インクジェット工法によって、金属電極配線25を形成する、いわゆるプリンテッドエレクトロニクスという製造方法が盛んに開発されてきている。この製造方法は、フォトリソグラフィ工程および金属めっき膜22のエッチング工程が必要でないという利点を持つものの、材料である導電性ペーストや導電性インク24の材料コストが高価であるのに加え、形成される金属電極配線25は、多孔質になりやすく、導電性能が低下するという課題がある。また、金属材料として、AgやCu等の腐食性の高いものに限られるなど、制約が多い(特許文献2参照)。
【0004】
また、図7(c)に示すように、他の製造方法として、無電解めっきを用いてITO膜21上に電極となる金属めっき膜22を形成する方法もある。これは、レジストコート工程、フォトリソグラフィ工程、パターニング工程において、ガラス基板20のITO膜21上の電極となる金属めっき膜22を形成する部分以外をレジスト23でマスクする。そして、電極となる金属めっき膜22を形成する部分には、無電解めっき核26を形成する。続いて、無電解めっきを行い、電極となる金属めっき膜22を形成し、レジスト23を除去する。この製造方法は、フォトリソグラフィ工程は必要となるが、金属めっき膜22のエッチング工程が必要ないという利点を持つ。しかし、無電解めっき液のコストが高いことや、無電解めっきの前処理において、多数の処理槽が必要であり、また無電解めっき液の管理が必要等、製造工程において多くの課題があった(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−172110号公報
【特許文献2】特開2007−305825号公報
【特許文献3】特開平8−222128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述に様々な製造方法を述べたが、どの製造方法においても、材料コストが高価であること、多数の製造工程が必要であること、導電性能が低下すること等の問題があった。
本発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたもので、その課題は、電極の構成およびその製造方法が従来よりも、低コストで導電性能が低下せず、多数の製造工程を必要としない電極形成基板およびその製造方法および同電極形成基板を用いた有機ELデバイスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電極形成基板は、ガラス基板と、前記ガラス基板上全体に成膜されたITO膜と、電極形状に形成された金属めっき膜と、を有する電極形成基板であって、前記ITO膜上には、パターニングされたストライクめっき膜を備え、
前記ストライクめっき膜を介して、前記ITO膜と前記金属めっき膜とは、密着し、
前記ストライクめっき膜上にのみ前記金属めっき膜を形成し、前記金属めっき膜は、電解めっきを用いて形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電極形成基板において、前記ストライクめっき膜は、Niを用いて形成されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明の電極形成基板において、前記金属めっき膜は、Ni層とAu層とを備え、前記Ni層の上には、前記Au層が積層していることが好ましい。
【0010】
また、本発明の電極形成基板の製造方法は、ガラス基板上全体にITO膜を成膜する工程と、前記ITO膜上に金属めっき膜を形成する工程と、を備え、前記ITO膜上に、パターニングされたストライクめっき膜を形成する工程と、前記ストライクめっき膜上にのみ電解めっきを用いて前記金属めっき膜を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電極形成基板の製造方法において、前記ストライクめっき膜上にのみ前記金属めっき膜を形成する工程の前に、前記ITO膜をパターニングする工程を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明の電極形成基板の製造方法において、前記ストライクめっき膜上にのみ電解めっきを用いて前記金属めっき膜を形成する工程の前に、前記ストライクめっき膜を部分的に形成するためのレジストを除去することを特徴とすることが好ましい。
【0013】
また、本発明の電極形成基板は、有機ELデバイスに用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電極形成基板は、ガラス基板と、ガラス基板上全体に成膜されたITO膜と、電極形状に形成された金属めっき膜と、を有する電極形成基板であって、ITO膜上には、パターニングされたストライクめっき膜を備え、ストライクめっき膜を介して、ITO膜と金属めっき膜とは、密着し、ストライクめっき膜上にのみ金属めっき膜を形成し、金属めっき膜は、電解めっきを用いて形成されている。これより、ストライクめっき膜は、ITO膜と金属めっき膜との密着性を向上することができるので、ストライクめっき膜を形成した部分にのみ電極となる金属めっき膜を形成することができ、電極形成基板の低コスト化を図れる。また、電解めっきを用いて金属めっき膜を形成しているので、金属めっき膜内の多孔質化を低減し、導電性能が低下せず、多数の製造工程を必要としない電極形成基板が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の実施形態1の電極形成基板を示す模式断面図であって、(b)は、本発明の実施形態2の電極形成基板を示す模式断面図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態1を示す電極形成基板の製造方法を示す工程図であり、(b)は、一般的な電極形成基板の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の実施形態1の電極形成基板における製造方法を示す図2のA−A´部位における概略断面図である。
【図4】本発明の実施形態2の電極形成基板における製造方法を示す図2のA−A´部位における概略断面図である。
【図5】本発明の実施形態3の電極形成基板における製造方法を示す図2のA−A´部位における概略断面図である。
【図6】実施形態1ないし3の電極形成基板を用いた有機ELデバイスを示す概略断面図である。
【図7】(a)、(b)、(c)は、従来の電極形成基板の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
図1(a)は、本発明の実施形態1の電極形成基板1示している。この電極形成基板1は、ガラス基板2と、ガラス基板2上全体に成膜されたITO膜3と、電極形状に形成された金属めっき膜5と、を有する。ITO膜3上には、パターニングされたストライクめっき膜4を備え、ストライクめっき膜4を介して、ITO膜3と金属めっき膜5とは、密着し、ストライクめっき膜4上にのみ金属めっき膜5を形成し、金属めっき膜5は、電解めっきを用いて形成されている。また、ストライクめっき膜4は、Niを用いて形成されている。
【0017】
はじめに、実施形態1における電極形成基板1の構成について説明する。図1の(a)に示すように、電極形成基板1において、ガラス基板2は、ガラス基板2の上に備えるITO膜3側を一表面とすると、その一表面側からITO膜3と、ストライクめっき膜4と、金属めっき膜5と、を順に備えている。ストライクめっき膜4の上表面には、金属めっき膜5が成膜されている。なお、ITO膜3の膜厚は、限定はされないが、導電率を考慮すると0.15μm以上であることが好ましい。
【0018】
次に、その電極形成基板1の製造方法は、図2(a)に示すように、ガラス基板2上全体にITO膜3を成膜する工程と、ITO膜3上に金属めっき膜5を形成する工程と、を備えていて、ITO膜3上に、パターニングされたストライクめっき膜4を形成する工程と、ストライクめっき膜4上にのみ電解めっきを用いて金属めっき膜5を形成する工程と、を備えている。また、ストライクめっき膜4上にのみ金属めっき膜5を形成する工程の前に、ITO膜3をパターニングする工程を備えている。
【0019】
以下、この電極形成基板1の製造方法において、ストライクめっき膜4上にのみ金属めっき膜5を形成する工程の前に、ITO膜3をパターニングする工程を備えていることについて説明する。
【0020】
まず、ガラス基板2にITO膜3を成膜し、溝8を形成するように、ITO膜3をエッチングする。このとき、溝8は、ガラス基板2に至るまでエッチングされるので、ITO膜3全体を電気的に接続するために、接続部7を残して形成する。続いて、レジスト6を電極となる金属めっき膜5を形成する部分以外にマスクする。電解めっきにより、ストライクめっき膜4と金属めっき膜5とを順に成膜し、レジスト6を除去する。そして、電極形成基板1は、接続部7を除去するように四分割することで、他のデバイスに使用できる形態となる。なお、この接続部7の幅Lは、細くなりすぎると、ITO膜3の一部分において導電率が低下し、電解めっきにより成膜する金属めっき膜5の膜厚にバラツキが出るので、最終的に除去することを考慮しながら、できるだけ広くすることが好ましい。
【0021】
また、電極形成基板1は、一般的に、図2(b)に示すような製造方法で作製される。ガラス基板2にITO膜3を成膜し、レジスト6を電極となる金属めっき膜5を形成する部分以外にマスクする。電解めっきにより、ストライクめっき膜4と金属めっき膜5とを順に成膜し、レジスト6を除去する。そして、さらに再度、レジスト6を形成し、溝8を形成する部分以外をマスクする。そして、ITO膜3とストライクめっき4と金属めっき膜5とをガラス基板2に至るまでエッチングすることで、溝8を形成する。その後、レジスト6を除去し、電極形成基板1は、四分割することで、他のデバイスに使用できる形態となる。
【0022】
なお、この電極形成基板1は、四分割した後、溝8を形成していたことで、電極となる金属めっき膜5を陽極10と陰極11とに分けることができる。
【0023】
続いて、本実施形態の電極形成基板1の製造方法について、図3を参照しながら具体的詳細に説明する。
【0024】
ガラス基板2の一表面側にスパッタや蒸着等によってITO膜3を成膜することで、図3(a)に示す構造を得る。図示していないが、この後、溝8を形成するために、ITO膜3をガラス基板2に至るまでエッチングする。
【0025】
続いて、ITO膜3の表面にレジスト6を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト6を電極となる金属めっき膜5を形成する部分以外をマスクし、図3(b)に示す構造を得る。
【0026】
次に、電解めっきにより、ITO膜3上にNiを用いたストライクめっき膜4を成膜することで、図3(c)に示す構造を得る。
【0027】
続いて、電解めっきを行うことによって、ストライクめっき膜4の上にAuを用いた金属めっき膜5を成膜し、図3(d)に示す構造を得る。
【0028】
最後に、レジスト6を除去することによって、図3(e)に示すような電極形成基板1が得られる。
【0029】
なお、このガラス基板2の種類は、特に限定されないが、通常、無アルカリソーダガラス、ソーダライムガラスが用いられる。また、ITO膜3も特に限定されないが、ITO膜3には、大電流を流す必要があるため、高い結晶性のものが用いられる。また、レジスト6も特に限定されず、液状やシート状のものを自由に使用することができる。ただし、レジスト6の種類によっては、ストライクめっき液や、電解めっき液に対して耐性が低いものがあるため、それらを除いて使用する。ストライクめっき膜4は、Niを用いて形成されているが、これに限定されず、Au、Cu等を用いてもよい。また、金属めっき膜5は、Auを用いて形成されているが、これに限定されず、Ni、Ag、Cu、Pt等、Al以外の多種類の金属を用いてもよい。
【0030】
以上より、本実施形態の電極形成基板1において、ITO膜3上には、ストライクめっき膜4を備え、ストライクめっき膜4を介して、ITO膜3と金属めっき膜5とは、密着し、ストライクめっき膜4上にのみ金属めっき膜4が形成され、金属めっき膜4は、電解めっきを用いて形成されている。これより、ストライクめっき膜4は、ITO膜3と金属めっき膜5との密着性を向上することができるので、ストライクめっき膜4を形成した部分にのみ電極となる金属めっき膜5を形成することができ、電極形成基板1の低コスト化を図れる。また、電解めっきを用いて金属めっき膜5を形成しているので、金属めっき膜5内の多孔質化を低減し、導電性能が低下せず、多数の製造工程を必要としない電極形成基板1を形成できる。
【0031】
また、この電極形成基板1において、ストライクめっき膜4は、Niを用いて形成している。これより、ITO膜3とストライクめっき膜4との密着性は最大としながら、材料コストを低減することができる。
【0032】
また、この電極形成基板1の製造方法は、ガラス基板2上全体にITO膜3を成膜する工程と、ITO膜3上に金属めっき膜5を形成する工程と、を備えた電極形成基板1の製造方法であって、ITO膜3上に、パターニングされたストライクめっき膜4を形成する工程と、ストライクめっき膜4上にのみ電解めっきを用いて金属めっき膜5を形成する工程と、を備えている。これより、パターニングされたストライクめっき膜4部分にのみ電極となる金属めっき膜5を形成することができるので、電極形成基板1の低コスト化を図れる。また、電解めっきを用いて金属めっき膜5を形成しているので、金属めっき膜5内の多孔質化を低減し、導電性能が低下せず、多数の製造工程を必要としない電極形成基板1が形成できる。
【0033】
また、この電極形成基板1の製造方法は、ストライクめっき膜4上にのみ金属めっき膜5を形成する工程の前に、ITO膜3をパターニングする工程を備える。これより、金属めっき膜5が、ITO膜3をエッチングするためのエッチング液に汚染されることを防ぐことができる。
【0034】
(実施形態2)
上記実施形態1と重複する構成についての、詳しい説明は省略する。また、実施形態1の符号を付したものは、同様のものであるため、説明を省略する。
【0035】
図1(b)は、本発明の実施形態2の電極形成基板1示している。この電極形成基板1において、金属めっき膜5は、Ni層5aとAu層5bとを備え、Ni層5aの上には、Au層5bが積層している。
【0036】
はじめに、実施形態2における電極形成基板1の構成について説明する。図1(b)に示すように、ストライクめっき膜4の表面には、Ni層5aとAu層5bとの二層を備える金属めっき膜5が形成されている。この二層は、ストライクめっき膜4からNi層5aとAu層5bとを順に積層している。
【0037】
続いて、本実施形態の電極形成基板1の製造方法について、図4を参照しながら説明する。なお、図4(a)から(c)までの製造方法は、図3(a)から(c)までの製造方法と同じものなので省略し、図4(d)から説明する。
【0038】
ストライクめっき膜4の上に、電解めっきを行うことによって、Ni層5aを形成し、図4(d)に示す構造を得る。
【0039】
Ni層5aの形成後、さらに電解めっきを行い、Au層5bを形成する。
【0040】
最後に、レジスト6を除去することによって、図4(f)に示す構造を得る。
【0041】
以上より、本実施形態の電極形成基板1において、金属めっき膜5は、Ni層5aとAu層5bとを備え、Ni層5aの上には、Au層5bが積層している。これより、Ni層5aを用いることで材料コストを低減し、Au層5bを用いることで、電極となる金属めっき膜5は、最表面に高い耐腐食性を持つことができる。
【0042】
(実施形態3)
上記実施形態1と重複する構成についての、詳しい説明は省略する。また、実施形態1の符号を付したものは、同様のものであるため、説明を省略する。
【0043】
図5は、本発明の実施形態3を示す電極形成基板1の製造方法を示している。この電極形成基板1の製造方法において、ストライクめっき膜4上にのみ電解めっきを用いて金属めっき膜5を形成する工程の前に、ストライクめっき膜4を部分的に形成するためのレジスト6を除去する。
【0044】
以下、本実施形態の電極形成基板1の製造方法について、図5を参照しながら説明する。なお、図5(a)から(c)までの製造方法は、図3(a)から(c)までの製造方法と同じものなので省略し、図5(d)から説明する。
【0045】
ストライクめっき膜4の成膜後、レジスト6を除去することで、図5(d)に示す構造を得る。
【0046】
その後、電解めっきを行うことで、図5(e)に示す構造を得る。なお、金属めっき膜5に用いられる金属は、実施形態1と同じである。
【0047】
最後、図5(e)において、電極パターン以外に成膜された金属めっき膜5が、ストライクめっき膜4が形成されていない部分は、ITO膜3と金属めっき膜5の間に密着性がないので、すぐに剥離するため、図5(f)に示す構造を得る。
以上より、本実施形態の電極形成基板1の製造方法は、ストライクめっき膜4上にのみ電解めっきを用いて金属めっき膜5を形成する工程の前に、ストライクめっき膜4を部分的に形成するためのレジスト6を除去する。これより、ガラス基板2上の金属めっき膜5における厚みの均一性を確保することができる。
【0048】
次に、上述の実施形態1ないし3の電極形成基板1を用いた有機ELデバイス15に関して、図6に基づいて説明する。なお、上述の電極形成基板1と同じ構成には同じ符号を付している。
【0049】
図6に示すように、有機ELデバイス15は、上述で四分割した電極形成基板1の一つを用いて形成されている。
【0050】
上述電極形成基板1の陽極10および陰極11の絶縁を行うために、それらの表面の一部に絶縁膜12を設ける。そして、ガラス基板1の一表面に形成したITO膜3上に発光素子13を設け、さらに、その発光素子13および陰極11の表面に陰極通電層14を形成し、通電することで、有機ELデバイス15は発光素子13から発光し、機能を発現する。
【0051】
なお、有機ELデバイス15は、大電流を流す必要があるため、膜厚が厚く、高い結晶性のITO膜3が用いられる。
【0052】
以上より、本実施形態の電極形成基板1を用いた有機ELデバイス15は、導電性能が低下せず、低コストで、多数の製造工程を必要としない電極形成基板1を用いることができるので、低コストであり、高品質の有機ELデバイス15を提供することが可能となる。
【0053】
こうした有機ELデバイス15は、ディスプレイ用、照明用など特に限定されず、各種のデバイスに使用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 電極形成基板
2 ガラス基板
3 ITO膜
4 ストライクめっき膜
5 金属めっき膜
5a Ni層
5b Au層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板と、前記ガラス基板上全体に成膜されたITO膜と、電極形状に形成された金属めっき膜と、を有する電極形成基板であって、
前記ITO膜上には、パターニングされたストライクめっき膜を備え、
前記ストライクめっき膜を介して、前記ITO膜と前記金属めっき膜とは、密着し、
前記ストライクめっき膜上にのみ前記金属めっき膜を形成し、
前記金属めっき膜は、電解めっきを用いて形成されていることを特徴とする電極形成基板。
【請求項2】
前記ストライクめっき膜は、Niを用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電極形成基板。
【請求項3】
前記金属めっき膜は、Ni層とAu層とを備え、
前記Ni層の上には、前記Au層が積層していることを特徴とする請求項1または2に記載の電極形成基板。
【請求項4】
ガラス基板上全体にITO膜を成膜する工程と、前記ITO膜上に金属めっき膜を形成する工程と、を備えた電極形成基板の製造方法であって、
前記ITO膜上に、パターニングされたストライクめっき膜を形成する工程と、
前記ストライクめっき膜上にのみ電解めっきを用いて前記金属めっき膜を形成する工程と、を備えていることを特徴とする電極形成基板の製造方法。
【請求項5】
前記ストライクめっき膜上にのみ前記金属めっき膜を形成する工程の前に、前記ITO膜をパターニングする工程を備えることを特徴とする請求項4に記載の電極形成基板の製造方法。
【請求項6】
前記ストライクめっき膜上にのみ電解めっきを用いて前記金属めっき膜を形成する工程の前に、前記ストライクめっき膜を部分的に形成するためのレジストを除去することを特徴とする請求項4に記載の電極形成基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電極形成基板を用いたことを特徴とする有機ELデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248285(P2012−248285A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116515(P2011−116515)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】