電極用清掃用具
【課題】針状の放電電極の損傷を防止して簡単に清掃を行うことのできる電極用清掃用具を提供する。
【解決手段】針状の放電電極22の先端に付着した異物を除去する電極用清掃用具1であって、下端に開口部4aを有する筒状の外装部2と、外装部2内に配されて軸方向に可動の清掃体保持部5と、清掃体保持部5の下端に配される清掃体6と、清掃体保持部5を外装部2内で進退させる進退手段2、7、8とを備え、進退手段2、7、8の操作によって清掃体6が外装部2の内部に収納される収納状態と開口部4aから突出する清掃状態との間を移動し、収納状態で清掃体6が開口部4aの内周壁に嵌合するようにした。
【解決手段】針状の放電電極22の先端に付着した異物を除去する電極用清掃用具1であって、下端に開口部4aを有する筒状の外装部2と、外装部2内に配されて軸方向に可動の清掃体保持部5と、清掃体保持部5の下端に配される清掃体6と、清掃体保持部5を外装部2内で進退させる進退手段2、7、8とを備え、進退手段2、7、8の操作によって清掃体6が外装部2の内部に収納される収納状態と開口部4aから突出する清掃状態との間を移動し、収納状態で清掃体6が開口部4aの内周壁に嵌合するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針状の放電電極を清掃する電極用清掃用具に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電によって空気中にイオンを発生するイオン発生装置を搭載し、殺菌効果やリラクゼーション効果を得ることができる空気清浄機や、静電気を中和する除電器等の機器が知られている。
【0003】
コロナ放電は針状の放電電極に高電圧を印加して行われ、空気中の水分子等を分解してイオンを発生する。この時、帯電した塵埃等の異物が放電電極の先端に吸着する場合がある。放電電極の先端に異物が堆積するとコロナ放電が発生しにくくなるため、定期的に放電電極の針先を清掃することが望ましい。
【0004】
特許文献1には針状の放電電極を清掃する清掃体を備えたイオン発生装置が開示される。このイオン発生装置は可動のブラシ状の清掃体を備え、使用者の操作によって定期的に清掃体と放電電極とを摺動させる。これにより、放電電極の先端に付着した異物が除去され、コロナ放電を長期間安定して発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−27390号公報(第5頁−第15頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のイオン発生装置によると、清掃体を収納するスペースが必要となるため、イオン発生装置を搭載した装置が大型になる問題があった。また、清掃体の劣化状態を把握することが困難になるとともに、劣化時の交換のために装置を分解する必要があるため利便性が悪い問題もあった。
【0007】
一方で、作業者が把持した綿棒等の清掃用具を放電電極に接触させて手動で放電電極の異物を除去し、上記の問題を解消することができる。しかしながら、放電電極に垂直な方向に強い力で清掃用具を摺動させた場合に放電電極が損傷する問題があった。
【0008】
本発明は、針状の放電電極の損傷を防止して簡単に清掃を行うことのできる電極用清掃用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、針状の放電電極の先端に付着した異物を除去する電極用清掃用具であって、下端に開口部を有する筒状の外装部と、前記外装部内に配されて軸方向に可動の清掃体保持部と、前記清掃体保持部の下端に配される清掃体と、前記清掃体保持部を前記外装部内で進退させる進退手段とを備え、前記進退手段の操作によって前記清掃体が前記外装部の内部に収納される収納状態と前記開口部から突出する清掃状態との間を移動し、前記収納状態で前記清掃体が前記開口部の内周壁に嵌合することを特徴としている。
【0010】
この構成によると、針状の放電電極は一般にカバーにより覆われ、カバーには放電電極を臨む孔部が設けられる。収納状態の電極用清掃用具は開口部の周囲を該カバー上に設置される。進退手段を操作すると、清掃体が開口部から所定量だけ突出して清掃状態に配される。これにより、放電電極に孔部を介して清掃体が接触し、放電電極の先端の異物が除去される。清掃状態から進退手段を操作すると、清掃体が外装部内に収納される。この時、清掃体は開口部の内周壁に嵌合し、開口部の径に揃えられる。
【0011】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記進退手段は、前記外装部の上端から突出するとともに上方に付勢される押圧部材を有し、前記押圧部材の押圧によって前記清掃体保持部が進退することを特徴としている。この構成によると、外装部を把持して押圧部材を手指で押圧すると清掃体保持部が進退する。
【0012】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記外装部の下端を内側に屈曲して前記開口部が形成されることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記進退手段によって前記清掃体が前記開口部から突出する際に、前記清掃体保持部が回転することを特徴としている。この構成によると、開口部から突出した清掃体が放電電極と略同軸に回転して放電電極に摺動する。
【0014】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記外装部は前記開口部の周縁から下方に突出する環状のリブを有することを特徴としている。この構成によると、放電電極を覆うカバーに設けられる孔部内にリブを挿入し、リブの周囲がカバー上に設置される。これにより、清掃体は開口部から突出する際に孔部の周縁との接触が防止される。
【0015】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記外装部の上部が気密に形成されるとともに前記収納状態で前記清掃体の先端が前記開口部の先端から所定量の空隙を介して上方に配され、前記清掃体が前記開口部から突出する際に前記空隙の空気が前記開口部から吐出されることを特徴としている。この構成によると、清掃体が突出する際に空隙の空気が開口部から吐出され、放電電極の先端の異物が吹き飛ばされる。
【0016】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記開口部の周囲にパッキンを設けたことを特徴としている。この構成によると、開口部の周囲とカバーとの間からの空気漏れが防止される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、進退手段の操作によって清掃体が外装部の内部に収納される収納状態と開口部から突出する清掃状態との間を移動し、収納状態で清掃体が外装部の内壁に嵌合する。針状の放電電極が露出するカバー上に外装部の開口部の周囲を設置し、進退手段により清掃体を突出させることによって、放電電極と清掃体とが接触して異物を簡単に除去することができる。この時、清掃体が放電電極に垂直な方向に摺動することを防止し、放電電極の損傷を防止することができる。また、収納状態で清掃体が開口部に嵌合するため、清掃体の先端が外装部によって揃えられる。これにより、清掃体の変形を低減して長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具及びイオン発生装置を示す側面断面図
【図2】イオン発生装置を示す上面図
【図3】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の外筒及び清掃体保持部を示す側面断面図
【図4】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の清掃状態を示す側面断面図
【図5】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の清掃状態のカム機構の展開図
【図6】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の清掃状態から収納状態に移行時のカム機構の展開図
【図7】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の清掃状態から収納状態に移行時のカム機構の展開図
【図8】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の収納状態のカム機構の展開図
【図9】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の下部の収納状態の詳細を示す側面断面図
【図10】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の下部の清掃状態の詳細を示す側面断面図
【図11】本発明の第2実施形態の電極用清掃用具の下部の収納状態の詳細を示す側面断面図
【図12】本発明の第3実施形態の電極用清掃用具の下部の収納状態の詳細を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の電極用清掃用具及びイオン発生装置を示す側面断面図である。また、図2はイオン発生装置の上面図を示している。イオン発生装置20は空気清浄機等に搭載され、着脱自在に設けられる。イオン発生装置20はイオンを発生するイオン発生素子21を備え、イオン発生素子21の周囲が樹脂成形品のカバー24により覆われる。
【0020】
イオン発生素子21は複数の針状の放電電極22と、放電電極22の周囲に環状に配される誘導電極23とを有している。カバー24には放電電極22を露出する孔部24aが開口する。孔部24aは放電電極22の先端から所定の距離Dだけ離れて配され、誘導電極23よりも小さい径で開口する。これにより、放電電極22及び誘導電極23に対する手指等の接触が防止される。
【0021】
放電電極22と誘導電極23との間には交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加され、針状の放電電極22の先端にコロナ放電が発生する。一方の放電電極22には正電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る電荷が正のクラスタイオンが形成される。他方の放電電極22には負電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る電荷が負のクラスタイオンが形成される。ここで、m、nは任意の自然数である。
【0022】
H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を浮遊菌や臭い成分等の表面上で凝集生成してこれらを破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。
【0023】
H+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0024】
従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して室内の殺菌や臭い除去を行うことができる。また、放電電極22からマイナスイオンのみを発生してリラクゼーション効果を得ることも可能である。
【0025】
電極用清掃用具1は外装部2を形成する外筒3及びガード4を備えている。外筒3及びガード4は筒状に形成され、外筒3の下端にガード4が取り付けられる。ガード4の下端には内側に屈曲した屈曲部4cが形成され、外筒3の内径よりも小径の開口部4aが開口する。
【0026】
外筒3内には清掃体保持部5が内嵌される。清掃体保持部5の下端には清掃体6が設けられる。清掃体6はPPやナイロン等によってブラシ状や多孔のスポンジ状に形成され、同図に示す収納状態で開口部4aの内周壁に嵌合して配される。放電電極22の長さが一般に5〜10mm程度であるため、清掃体6の軸方向の長さは放電電極22よりも長い約12mm以上に形成される。これにより、清掃体6を放電電極22の根元まで接触させることができる。
【0027】
清掃体保持部5の下部には下方が小径となる段差部5cが形成される。段差部5cと屈曲部4cとの間には圧縮バネ7が縮設される。圧縮バネ7によって清掃体保持部5が上方に付勢される。
【0028】
図3は外筒3及び清掃体保持部5の側面断面図を示している。外筒3の上部には縮径された縮径部3cが設けられる。縮径部3cの下端面にはカム面3aが形成される。カム面3aは周方向に対して傾斜する斜面を一方に有した山部が所定ピッチで配される。また、カム面3aの一つおきの山部から上方に延びる溝部3bが縮径部3cに凹設される。
【0029】
清掃体保持部5の上部には縮径して外筒3の縮径部3cに嵌合する嵌合部5dが設けられる。嵌合部5dの上端面にはカム面5aが形成されるとともに周面には上下に延びて溝部3bに嵌合する突起部5bが突設される。突起部5bの上端にはカム面3aに噛み合う斜面が設けられ、カム面5aは突起部5bの上端に一致する斜面が設けられる。
【0030】
図1において、外筒3の上部には縮径部3cに内嵌する押圧部材8が設けられる。押圧部材8はストッパ(不図示)によって回転が規制され、軸方向に移動可能になっている。押圧部材8の下端には左右対称な斜面を有した山部を所定ピッチで配したカム面8aが形成される。カム面8aは清掃体保持部5の上端のカム面5aに当接し、圧縮バネ7によって押圧部材8が清掃体保持部5とともに上方に付勢される。
【0031】
カム面3a、5a、8a、溝部3b及び突起部5bは互いに係合するカム機構を構成する。また、押圧部材8、圧縮バネ7及び外筒3は上記のカム機構によって清掃体保持部5を軸方向に進退させる進退手段を構成する。進退手段によって図1に示すように清掃体6が外装部2内に収納される収納状態と、図4に示すように開口部4aから突出する清掃状態との間を移動する。
【0032】
図5〜図8は進退手段のカム機構の動作を説明する外筒3、押圧部材8及び清掃体保持部5のカム機構の展開図を示している。図5に示す清掃状態では突起部5bがカム面3aに係合し、カム面8aは押圧部材8の自重によりカム面5aに当接する。
【0033】
押圧部材8を手指で押圧すると、図6に示すようにカム面8aが突起部5bの上端に一致するカム面5aの斜面に当接して清掃体保持部5を押し下げる。これにより、突起部5bがカム面3aから離れる。更に押圧部材8を押圧すると、図7に示すようにカム面8aの斜面がカム面5aの斜面と摺動し、清掃体保持部5が回転する。
【0034】
押圧部材8から手指を離すと、圧縮バネ7の付勢によって突起部5bの上端の斜面がカム面3aと摺動して清掃体保持部5が更に回転する。そして、図8に示すように、溝部3bに突起部5bが嵌合する。これにより、清掃体保持部5が後退し、清掃体6を収納する収納状態に配される。
【0035】
収納状態から押圧部材8を押圧すると、上記と同様にカム面8aがカム面5a押し下げて溝部3bから突起部5bが離脱する。そして、カム面5a及び突起部5bの斜面がカム面8a及びカム面3aと摺動して清掃体保持部5が回転し、突起部5bとカム面3aとが係合して図5の清掃状態に配される。
【0036】
図9、図10はそれぞれ収納状態及び清掃状態の電極用清掃用具1の下部の詳細を示す側面断面図である。収納状態の電極用清掃用具1は開口部4aをイオン発生装置20の孔部24aの上方に配し、開口部4aの周囲に形成された軸方向に垂直な平面の設置面4bがカバー24上に設置される。
【0037】
そして、押圧部材8が作業者の手指により押圧されると、図10に示すように開口部4aから清掃体6が突出する。これにより、清掃体6が放電電極22に接触し、放電電極22の先端に付着した異物が除去される。
【0038】
この時、一般的なイオン発生装置20の孔部24aの直径はφ8mm〜φ15mm程度である。ガイド4は屈曲部4cが設けられるため、ガイド4の外形を孔部24aよりも大径(例えば、φ20mm)に形成し、開口部4aを孔部24aよりも小径(例えば、φ5mm)に形成することができる。これにより、設置面4bを確実にカバー24上に設置できるとともに、突出時の清掃体6と孔部24aの周縁との接触を防止して清掃体6の損傷を低減することができる。
【0039】
また、清掃体6が突出する際に清掃体保持部5がカム機構によって回転するので、清掃体6が放電電極22と略同軸に回転して放電電極22に摺動する。従って、放電電極22の損傷を防止して清掃体6を放電電極22に摺動させることができ、異物をより確実に除去することができる。
【0040】
尚、設置面4bの一端をカバー24に当接して外装部2を傾斜して配置し、孔部24aを介して誘導電極23と清掃体6とを接触させてもよい。これにより、誘導電極23の清掃を簡単に行うことができる。また、清掃体6を突出した清掃状態の電極用掃除用具1を傾斜し、清掃体6を孔部24aに挿入して誘導電極23に接触させてもよい。
【0041】
本実施形態によると、進退手段の操作によって清掃体6が外装部2の内部に収納される収納状態と開口部4aから突出する清掃状態との間を移動し、収納状態で清掃体6が外装部2の内壁に嵌合する。針状の放電電極22が露出するカバー24上に外装部2の開口部4aの周囲を設置し、進退手段により清掃体6を突出させることによって、放電電極22と清掃体6とが接触して異物を簡単に除去することができる。この時、清掃体6が放電電極22に垂直な方向に摺動することを防止し、放電電極22の損傷を防止することができる。また、収納状態で清掃体6が開口部4aに嵌合するため、清掃体6の先端が外装部2によって揃えられる。これにより、清掃体6の変形を低減して長寿命化を図ることができる。
【0042】
また、進退手段は、外装部2の上端から突出して上方に付勢される押圧部材8を有し、押圧部材8の押圧によって清掃体保持部5が進退するので、カバー24上に設置した外装部2を把持して手指によって容易に清掃体6を出し入れすることができる。
【0043】
また、外装部2の下端が屈曲部4cによって内側に屈曲するので、外装部2の下端の外形を孔部24aよりも大径に形成し、開口部4aを孔部24aよりも小径に形成することができる。これにより、設置面4bを確実にカバー24上に設置できるとともに、突出時の清掃体6と孔部24aの周縁との接触による清掃体6の損傷を低減して清掃体6の長寿命化を図ることができる。
【0044】
また、進退手段によって清掃体6が開口部4aから突出する際に清掃体保持部5が回転するので、清掃体6が放電電極22と略同軸に回転して放電電極22に摺動する。従って、放電電極22の損傷を防止して清掃体6を放電電極22に摺動させることができ、異物をより確実に除去することができる。
【0045】
尚、清掃体保持部5を上部の嵌合部5dと嵌合部5dよりも下方の下部とを分離し、外筒3の内周面に螺旋状のカム溝を凹設するとともに該カム溝に係合するカム突起を清掃体保持部5の下部に設けてもよい。この構成によると、清掃体保持部5は進退手段によって進退する際に清掃体保持部5の下部がカム溝の案内によって回転する。これにより、清掃体6が開口部4aから突出する際に清掃体6を大きな回転角度で放電電極22と略同軸に回転させることができる。
【0046】
次に、図11は第2実施形態の電極用清掃用具1の下部の詳細を示す側面断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図10に示す第1実施形態と同一の部分は同一の符号を付している。本実施形態はガイド4の下端にリブ4dが突設される。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0047】
リブ4dは開口部4aの周縁から下方に突出して環状に形成され、リブ4dの周囲に設置面4bが形成される。これにより、リブ4dをイオン発生装置20の孔部24a内に挿入して設置面4bがカバー24上に設置される。そして、押圧部材8(図1参照)の押圧によって清掃体6が開口部4aから突出して放電電極22に接触する。
【0048】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、開口部4aの周縁から下方に突出する環状のリブ4dを設けたので、突出時の清掃体6と孔部24aの周縁との接触をより確実に防止することができる。従って、清掃体6のより長寿命化を図ることができる。
【0049】
次に、図12は第3実施形態の電極用清掃用具1の下部の詳細を示す側面断面図である。説明の便宜上、前述の図11に示す第2実施形態と同一の部分は同一の符号を付している。本実施形態は、外装部2の上部が気密に形成され、外装部2の設置面4bにはパッキン9が設けられる。また、収納状態で清掃体6の先端が開口部4aの先端から所定量の空隙Gを介して上方に配される。その他の部分は第2実施形態と同一である。
【0050】
外装部2の上部の外筒3と押圧部材8との間には摺動可能なシール材(不図示)が配され、気密に形成される。パッキン9は合成ゴムや合成樹脂等により環状に形成され、リブ4dの周囲に嵌着される。
【0051】
ガイド4は開口部4aの内周壁が軸方向に延びて形成される。これにより、収納状態で開口部4aの先端から空隙Gを介して配される清掃体6が開口部4aの内周壁に嵌合し、清掃体6の先端が外装部2(ガイド4)によって揃えられる。
【0052】
電極用清掃用具1を設置して押圧部材8(図1参照)が押圧されると、清掃体6が開口部4aから突出する。この時、外装体2の上部が気密に形成されるため、空隙Gの空気が清掃体6とともに開口部4aから吐出される。これにより、開口部4aから吐出された空気によって放電電極22の先端の異物が吹き飛ばされるとともに、開口部4aから突出する清掃体6が放電電極22に接触する。
【0053】
本実施形態によると、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、外装部2の上部を気密に形成して収納状態で清掃体6の先端が開口部4aの先端から所定量の空隙Gを介して上方に配されるので、清掃体6が開口部4aから突出する際に空隙Gの空気が開口部4aから吐出される。従って、放電電極22の異物をより確実に除去することができる。
【0054】
尚、パッキン9を省いてもよいが、パッキン9を設けることによって設置面4bとカバー24との間からの空気漏れを防止し、放電電極22の異物をより確実に吹き飛ばすことができる。
【0055】
尚、リブ4dを省いた第1実施形態の電極用清掃用具1の設置面4bに本実施形態と同様のパッキン9を固着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によると、針状の放電電極を清掃する電極用清掃用具に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 電極用清掃用具
2 外装部
3 外筒
3a、5a、8a カム面
3b 溝部
4 ガイド
4a 開口部
4b 設置面
4c 屈曲部
4d リブ
5 清掃体保持部
5b 突起部
6 清掃体
7 圧縮バネ
8 押圧部材
9 パッキン
20 イオン発生装置
21 イオン発生素子
22 放電電極
23 誘導電極
24 カバー
24a 孔部
【技術分野】
【0001】
本発明は、針状の放電電極を清掃する電極用清掃用具に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電によって空気中にイオンを発生するイオン発生装置を搭載し、殺菌効果やリラクゼーション効果を得ることができる空気清浄機や、静電気を中和する除電器等の機器が知られている。
【0003】
コロナ放電は針状の放電電極に高電圧を印加して行われ、空気中の水分子等を分解してイオンを発生する。この時、帯電した塵埃等の異物が放電電極の先端に吸着する場合がある。放電電極の先端に異物が堆積するとコロナ放電が発生しにくくなるため、定期的に放電電極の針先を清掃することが望ましい。
【0004】
特許文献1には針状の放電電極を清掃する清掃体を備えたイオン発生装置が開示される。このイオン発生装置は可動のブラシ状の清掃体を備え、使用者の操作によって定期的に清掃体と放電電極とを摺動させる。これにより、放電電極の先端に付着した異物が除去され、コロナ放電を長期間安定して発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−27390号公報(第5頁−第15頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のイオン発生装置によると、清掃体を収納するスペースが必要となるため、イオン発生装置を搭載した装置が大型になる問題があった。また、清掃体の劣化状態を把握することが困難になるとともに、劣化時の交換のために装置を分解する必要があるため利便性が悪い問題もあった。
【0007】
一方で、作業者が把持した綿棒等の清掃用具を放電電極に接触させて手動で放電電極の異物を除去し、上記の問題を解消することができる。しかしながら、放電電極に垂直な方向に強い力で清掃用具を摺動させた場合に放電電極が損傷する問題があった。
【0008】
本発明は、針状の放電電極の損傷を防止して簡単に清掃を行うことのできる電極用清掃用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、針状の放電電極の先端に付着した異物を除去する電極用清掃用具であって、下端に開口部を有する筒状の外装部と、前記外装部内に配されて軸方向に可動の清掃体保持部と、前記清掃体保持部の下端に配される清掃体と、前記清掃体保持部を前記外装部内で進退させる進退手段とを備え、前記進退手段の操作によって前記清掃体が前記外装部の内部に収納される収納状態と前記開口部から突出する清掃状態との間を移動し、前記収納状態で前記清掃体が前記開口部の内周壁に嵌合することを特徴としている。
【0010】
この構成によると、針状の放電電極は一般にカバーにより覆われ、カバーには放電電極を臨む孔部が設けられる。収納状態の電極用清掃用具は開口部の周囲を該カバー上に設置される。進退手段を操作すると、清掃体が開口部から所定量だけ突出して清掃状態に配される。これにより、放電電極に孔部を介して清掃体が接触し、放電電極の先端の異物が除去される。清掃状態から進退手段を操作すると、清掃体が外装部内に収納される。この時、清掃体は開口部の内周壁に嵌合し、開口部の径に揃えられる。
【0011】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記進退手段は、前記外装部の上端から突出するとともに上方に付勢される押圧部材を有し、前記押圧部材の押圧によって前記清掃体保持部が進退することを特徴としている。この構成によると、外装部を把持して押圧部材を手指で押圧すると清掃体保持部が進退する。
【0012】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記外装部の下端を内側に屈曲して前記開口部が形成されることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記進退手段によって前記清掃体が前記開口部から突出する際に、前記清掃体保持部が回転することを特徴としている。この構成によると、開口部から突出した清掃体が放電電極と略同軸に回転して放電電極に摺動する。
【0014】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記外装部は前記開口部の周縁から下方に突出する環状のリブを有することを特徴としている。この構成によると、放電電極を覆うカバーに設けられる孔部内にリブを挿入し、リブの周囲がカバー上に設置される。これにより、清掃体は開口部から突出する際に孔部の周縁との接触が防止される。
【0015】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記外装部の上部が気密に形成されるとともに前記収納状態で前記清掃体の先端が前記開口部の先端から所定量の空隙を介して上方に配され、前記清掃体が前記開口部から突出する際に前記空隙の空気が前記開口部から吐出されることを特徴としている。この構成によると、清掃体が突出する際に空隙の空気が開口部から吐出され、放電電極の先端の異物が吹き飛ばされる。
【0016】
また本発明は、上記構成の電極用清掃用具において、前記開口部の周囲にパッキンを設けたことを特徴としている。この構成によると、開口部の周囲とカバーとの間からの空気漏れが防止される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、進退手段の操作によって清掃体が外装部の内部に収納される収納状態と開口部から突出する清掃状態との間を移動し、収納状態で清掃体が外装部の内壁に嵌合する。針状の放電電極が露出するカバー上に外装部の開口部の周囲を設置し、進退手段により清掃体を突出させることによって、放電電極と清掃体とが接触して異物を簡単に除去することができる。この時、清掃体が放電電極に垂直な方向に摺動することを防止し、放電電極の損傷を防止することができる。また、収納状態で清掃体が開口部に嵌合するため、清掃体の先端が外装部によって揃えられる。これにより、清掃体の変形を低減して長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具及びイオン発生装置を示す側面断面図
【図2】イオン発生装置を示す上面図
【図3】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の外筒及び清掃体保持部を示す側面断面図
【図4】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の清掃状態を示す側面断面図
【図5】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の清掃状態のカム機構の展開図
【図6】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の清掃状態から収納状態に移行時のカム機構の展開図
【図7】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の清掃状態から収納状態に移行時のカム機構の展開図
【図8】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の収納状態のカム機構の展開図
【図9】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の下部の収納状態の詳細を示す側面断面図
【図10】本発明の第1実施形態の電極用清掃用具の下部の清掃状態の詳細を示す側面断面図
【図11】本発明の第2実施形態の電極用清掃用具の下部の収納状態の詳細を示す側面断面図
【図12】本発明の第3実施形態の電極用清掃用具の下部の収納状態の詳細を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の電極用清掃用具及びイオン発生装置を示す側面断面図である。また、図2はイオン発生装置の上面図を示している。イオン発生装置20は空気清浄機等に搭載され、着脱自在に設けられる。イオン発生装置20はイオンを発生するイオン発生素子21を備え、イオン発生素子21の周囲が樹脂成形品のカバー24により覆われる。
【0020】
イオン発生素子21は複数の針状の放電電極22と、放電電極22の周囲に環状に配される誘導電極23とを有している。カバー24には放電電極22を露出する孔部24aが開口する。孔部24aは放電電極22の先端から所定の距離Dだけ離れて配され、誘導電極23よりも小さい径で開口する。これにより、放電電極22及び誘導電極23に対する手指等の接触が防止される。
【0021】
放電電極22と誘導電極23との間には交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加され、針状の放電電極22の先端にコロナ放電が発生する。一方の放電電極22には正電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る電荷が正のクラスタイオンが形成される。他方の放電電極22には負電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る電荷が負のクラスタイオンが形成される。ここで、m、nは任意の自然数である。
【0022】
H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を浮遊菌や臭い成分等の表面上で凝集生成してこれらを破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。
【0023】
H+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0024】
従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して室内の殺菌や臭い除去を行うことができる。また、放電電極22からマイナスイオンのみを発生してリラクゼーション効果を得ることも可能である。
【0025】
電極用清掃用具1は外装部2を形成する外筒3及びガード4を備えている。外筒3及びガード4は筒状に形成され、外筒3の下端にガード4が取り付けられる。ガード4の下端には内側に屈曲した屈曲部4cが形成され、外筒3の内径よりも小径の開口部4aが開口する。
【0026】
外筒3内には清掃体保持部5が内嵌される。清掃体保持部5の下端には清掃体6が設けられる。清掃体6はPPやナイロン等によってブラシ状や多孔のスポンジ状に形成され、同図に示す収納状態で開口部4aの内周壁に嵌合して配される。放電電極22の長さが一般に5〜10mm程度であるため、清掃体6の軸方向の長さは放電電極22よりも長い約12mm以上に形成される。これにより、清掃体6を放電電極22の根元まで接触させることができる。
【0027】
清掃体保持部5の下部には下方が小径となる段差部5cが形成される。段差部5cと屈曲部4cとの間には圧縮バネ7が縮設される。圧縮バネ7によって清掃体保持部5が上方に付勢される。
【0028】
図3は外筒3及び清掃体保持部5の側面断面図を示している。外筒3の上部には縮径された縮径部3cが設けられる。縮径部3cの下端面にはカム面3aが形成される。カム面3aは周方向に対して傾斜する斜面を一方に有した山部が所定ピッチで配される。また、カム面3aの一つおきの山部から上方に延びる溝部3bが縮径部3cに凹設される。
【0029】
清掃体保持部5の上部には縮径して外筒3の縮径部3cに嵌合する嵌合部5dが設けられる。嵌合部5dの上端面にはカム面5aが形成されるとともに周面には上下に延びて溝部3bに嵌合する突起部5bが突設される。突起部5bの上端にはカム面3aに噛み合う斜面が設けられ、カム面5aは突起部5bの上端に一致する斜面が設けられる。
【0030】
図1において、外筒3の上部には縮径部3cに内嵌する押圧部材8が設けられる。押圧部材8はストッパ(不図示)によって回転が規制され、軸方向に移動可能になっている。押圧部材8の下端には左右対称な斜面を有した山部を所定ピッチで配したカム面8aが形成される。カム面8aは清掃体保持部5の上端のカム面5aに当接し、圧縮バネ7によって押圧部材8が清掃体保持部5とともに上方に付勢される。
【0031】
カム面3a、5a、8a、溝部3b及び突起部5bは互いに係合するカム機構を構成する。また、押圧部材8、圧縮バネ7及び外筒3は上記のカム機構によって清掃体保持部5を軸方向に進退させる進退手段を構成する。進退手段によって図1に示すように清掃体6が外装部2内に収納される収納状態と、図4に示すように開口部4aから突出する清掃状態との間を移動する。
【0032】
図5〜図8は進退手段のカム機構の動作を説明する外筒3、押圧部材8及び清掃体保持部5のカム機構の展開図を示している。図5に示す清掃状態では突起部5bがカム面3aに係合し、カム面8aは押圧部材8の自重によりカム面5aに当接する。
【0033】
押圧部材8を手指で押圧すると、図6に示すようにカム面8aが突起部5bの上端に一致するカム面5aの斜面に当接して清掃体保持部5を押し下げる。これにより、突起部5bがカム面3aから離れる。更に押圧部材8を押圧すると、図7に示すようにカム面8aの斜面がカム面5aの斜面と摺動し、清掃体保持部5が回転する。
【0034】
押圧部材8から手指を離すと、圧縮バネ7の付勢によって突起部5bの上端の斜面がカム面3aと摺動して清掃体保持部5が更に回転する。そして、図8に示すように、溝部3bに突起部5bが嵌合する。これにより、清掃体保持部5が後退し、清掃体6を収納する収納状態に配される。
【0035】
収納状態から押圧部材8を押圧すると、上記と同様にカム面8aがカム面5a押し下げて溝部3bから突起部5bが離脱する。そして、カム面5a及び突起部5bの斜面がカム面8a及びカム面3aと摺動して清掃体保持部5が回転し、突起部5bとカム面3aとが係合して図5の清掃状態に配される。
【0036】
図9、図10はそれぞれ収納状態及び清掃状態の電極用清掃用具1の下部の詳細を示す側面断面図である。収納状態の電極用清掃用具1は開口部4aをイオン発生装置20の孔部24aの上方に配し、開口部4aの周囲に形成された軸方向に垂直な平面の設置面4bがカバー24上に設置される。
【0037】
そして、押圧部材8が作業者の手指により押圧されると、図10に示すように開口部4aから清掃体6が突出する。これにより、清掃体6が放電電極22に接触し、放電電極22の先端に付着した異物が除去される。
【0038】
この時、一般的なイオン発生装置20の孔部24aの直径はφ8mm〜φ15mm程度である。ガイド4は屈曲部4cが設けられるため、ガイド4の外形を孔部24aよりも大径(例えば、φ20mm)に形成し、開口部4aを孔部24aよりも小径(例えば、φ5mm)に形成することができる。これにより、設置面4bを確実にカバー24上に設置できるとともに、突出時の清掃体6と孔部24aの周縁との接触を防止して清掃体6の損傷を低減することができる。
【0039】
また、清掃体6が突出する際に清掃体保持部5がカム機構によって回転するので、清掃体6が放電電極22と略同軸に回転して放電電極22に摺動する。従って、放電電極22の損傷を防止して清掃体6を放電電極22に摺動させることができ、異物をより確実に除去することができる。
【0040】
尚、設置面4bの一端をカバー24に当接して外装部2を傾斜して配置し、孔部24aを介して誘導電極23と清掃体6とを接触させてもよい。これにより、誘導電極23の清掃を簡単に行うことができる。また、清掃体6を突出した清掃状態の電極用掃除用具1を傾斜し、清掃体6を孔部24aに挿入して誘導電極23に接触させてもよい。
【0041】
本実施形態によると、進退手段の操作によって清掃体6が外装部2の内部に収納される収納状態と開口部4aから突出する清掃状態との間を移動し、収納状態で清掃体6が外装部2の内壁に嵌合する。針状の放電電極22が露出するカバー24上に外装部2の開口部4aの周囲を設置し、進退手段により清掃体6を突出させることによって、放電電極22と清掃体6とが接触して異物を簡単に除去することができる。この時、清掃体6が放電電極22に垂直な方向に摺動することを防止し、放電電極22の損傷を防止することができる。また、収納状態で清掃体6が開口部4aに嵌合するため、清掃体6の先端が外装部2によって揃えられる。これにより、清掃体6の変形を低減して長寿命化を図ることができる。
【0042】
また、進退手段は、外装部2の上端から突出して上方に付勢される押圧部材8を有し、押圧部材8の押圧によって清掃体保持部5が進退するので、カバー24上に設置した外装部2を把持して手指によって容易に清掃体6を出し入れすることができる。
【0043】
また、外装部2の下端が屈曲部4cによって内側に屈曲するので、外装部2の下端の外形を孔部24aよりも大径に形成し、開口部4aを孔部24aよりも小径に形成することができる。これにより、設置面4bを確実にカバー24上に設置できるとともに、突出時の清掃体6と孔部24aの周縁との接触による清掃体6の損傷を低減して清掃体6の長寿命化を図ることができる。
【0044】
また、進退手段によって清掃体6が開口部4aから突出する際に清掃体保持部5が回転するので、清掃体6が放電電極22と略同軸に回転して放電電極22に摺動する。従って、放電電極22の損傷を防止して清掃体6を放電電極22に摺動させることができ、異物をより確実に除去することができる。
【0045】
尚、清掃体保持部5を上部の嵌合部5dと嵌合部5dよりも下方の下部とを分離し、外筒3の内周面に螺旋状のカム溝を凹設するとともに該カム溝に係合するカム突起を清掃体保持部5の下部に設けてもよい。この構成によると、清掃体保持部5は進退手段によって進退する際に清掃体保持部5の下部がカム溝の案内によって回転する。これにより、清掃体6が開口部4aから突出する際に清掃体6を大きな回転角度で放電電極22と略同軸に回転させることができる。
【0046】
次に、図11は第2実施形態の電極用清掃用具1の下部の詳細を示す側面断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図10に示す第1実施形態と同一の部分は同一の符号を付している。本実施形態はガイド4の下端にリブ4dが突設される。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0047】
リブ4dは開口部4aの周縁から下方に突出して環状に形成され、リブ4dの周囲に設置面4bが形成される。これにより、リブ4dをイオン発生装置20の孔部24a内に挿入して設置面4bがカバー24上に設置される。そして、押圧部材8(図1参照)の押圧によって清掃体6が開口部4aから突出して放電電極22に接触する。
【0048】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、開口部4aの周縁から下方に突出する環状のリブ4dを設けたので、突出時の清掃体6と孔部24aの周縁との接触をより確実に防止することができる。従って、清掃体6のより長寿命化を図ることができる。
【0049】
次に、図12は第3実施形態の電極用清掃用具1の下部の詳細を示す側面断面図である。説明の便宜上、前述の図11に示す第2実施形態と同一の部分は同一の符号を付している。本実施形態は、外装部2の上部が気密に形成され、外装部2の設置面4bにはパッキン9が設けられる。また、収納状態で清掃体6の先端が開口部4aの先端から所定量の空隙Gを介して上方に配される。その他の部分は第2実施形態と同一である。
【0050】
外装部2の上部の外筒3と押圧部材8との間には摺動可能なシール材(不図示)が配され、気密に形成される。パッキン9は合成ゴムや合成樹脂等により環状に形成され、リブ4dの周囲に嵌着される。
【0051】
ガイド4は開口部4aの内周壁が軸方向に延びて形成される。これにより、収納状態で開口部4aの先端から空隙Gを介して配される清掃体6が開口部4aの内周壁に嵌合し、清掃体6の先端が外装部2(ガイド4)によって揃えられる。
【0052】
電極用清掃用具1を設置して押圧部材8(図1参照)が押圧されると、清掃体6が開口部4aから突出する。この時、外装体2の上部が気密に形成されるため、空隙Gの空気が清掃体6とともに開口部4aから吐出される。これにより、開口部4aから吐出された空気によって放電電極22の先端の異物が吹き飛ばされるとともに、開口部4aから突出する清掃体6が放電電極22に接触する。
【0053】
本実施形態によると、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、外装部2の上部を気密に形成して収納状態で清掃体6の先端が開口部4aの先端から所定量の空隙Gを介して上方に配されるので、清掃体6が開口部4aから突出する際に空隙Gの空気が開口部4aから吐出される。従って、放電電極22の異物をより確実に除去することができる。
【0054】
尚、パッキン9を省いてもよいが、パッキン9を設けることによって設置面4bとカバー24との間からの空気漏れを防止し、放電電極22の異物をより確実に吹き飛ばすことができる。
【0055】
尚、リブ4dを省いた第1実施形態の電極用清掃用具1の設置面4bに本実施形態と同様のパッキン9を固着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によると、針状の放電電極を清掃する電極用清掃用具に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 電極用清掃用具
2 外装部
3 外筒
3a、5a、8a カム面
3b 溝部
4 ガイド
4a 開口部
4b 設置面
4c 屈曲部
4d リブ
5 清掃体保持部
5b 突起部
6 清掃体
7 圧縮バネ
8 押圧部材
9 パッキン
20 イオン発生装置
21 イオン発生素子
22 放電電極
23 誘導電極
24 カバー
24a 孔部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状の放電電極の先端に付着した異物を除去する電極用清掃用具であって、下端に開口部を有する筒状の外装部と、前記外装部内に配されて軸方向に可動の清掃体保持部と、前記清掃体保持部の下端に配される清掃体と、前記清掃体保持部を前記外装部内で進退させる進退手段とを備え、前記進退手段の操作によって前記清掃体が前記外装部の内部に収納される収納状態と前記開口部から突出する清掃状態との間を移動し、前記収納状態で前記清掃体が前記開口部の内周壁に嵌合することを特徴とする電極用清掃用具。
【請求項2】
前記進退手段は、前記外装部の上端から突出するとともに上方に付勢される押圧部材を有し、前記押圧部材の押圧によって前記清掃体保持部が進退することを特徴とする請求項1に記載の電極用清掃用具。
【請求項3】
前記外装部の下端を内側に屈曲して前記開口部が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極用清掃用具。
【請求項4】
前記進退手段によって前記清掃体が前記開口部から突出する際に、前記清掃体保持部が回転することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電極用清掃用具。
【請求項5】
前記外装部は前記開口部の周縁から下方に突出する環状のリブを有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電極用清掃用具。
【請求項6】
前記外装部の上部が気密に形成されるとともに前記収納状態で前記清掃体の先端が前記開口部の先端から所定量の空隙を介して上方に配され、前記清掃体が前記開口部から突出する際に前記空隙の空気が前記開口部から吐出されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電極用清掃用具。
【請求項7】
前記開口部の周囲にパッキンを設けたことを特徴とする請求項6に記載の電極用清掃用具。
【請求項1】
針状の放電電極の先端に付着した異物を除去する電極用清掃用具であって、下端に開口部を有する筒状の外装部と、前記外装部内に配されて軸方向に可動の清掃体保持部と、前記清掃体保持部の下端に配される清掃体と、前記清掃体保持部を前記外装部内で進退させる進退手段とを備え、前記進退手段の操作によって前記清掃体が前記外装部の内部に収納される収納状態と前記開口部から突出する清掃状態との間を移動し、前記収納状態で前記清掃体が前記開口部の内周壁に嵌合することを特徴とする電極用清掃用具。
【請求項2】
前記進退手段は、前記外装部の上端から突出するとともに上方に付勢される押圧部材を有し、前記押圧部材の押圧によって前記清掃体保持部が進退することを特徴とする請求項1に記載の電極用清掃用具。
【請求項3】
前記外装部の下端を内側に屈曲して前記開口部が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極用清掃用具。
【請求項4】
前記進退手段によって前記清掃体が前記開口部から突出する際に、前記清掃体保持部が回転することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電極用清掃用具。
【請求項5】
前記外装部は前記開口部の周縁から下方に突出する環状のリブを有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電極用清掃用具。
【請求項6】
前記外装部の上部が気密に形成されるとともに前記収納状態で前記清掃体の先端が前記開口部の先端から所定量の空隙を介して上方に配され、前記清掃体が前記開口部から突出する際に前記空隙の空気が前記開口部から吐出されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電極用清掃用具。
【請求項7】
前記開口部の周囲にパッキンを設けたことを特徴とする請求項6に記載の電極用清掃用具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−558(P2012−558A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136790(P2010−136790)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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