説明

電極膜、電極およびその製造方法、ならびに蓄電デバイス

【課題】導電性の高い電極膜、ならびにそれを用いた電極および蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】粒径が2μm以上、50μm以下である活物質と、粒径が1nm以上、2μm未満である導電イオン含有無機粒子とを含み、前記活物質が前記導電イオン含有無機粒子により結着されている電極膜。前記電極膜が集電体上に積層されてなる電極。前記電極を有する蓄電デバイスであって、2枚の電極が各々の電極膜同士が対向するように配置されており、両電極は、各々の電極膜の間にセパレーターが介在した状態で巻回または積層されており、前記電極とセパレーターとが電解液と共に金属ケースに封入されている蓄電デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極膜、電極およびその製造方法に関する。さらに本発明は、前記電極を有する蓄電デバイスに関する。なお、本発明における電極膜とは、集電体とともに電極を構成する部材であり、電極において実質的に電気を蓄える部分となるものである。
【背景技術】
【0002】
一次電池や二次電池、ハイブリッドキャパシタといった蓄電デバイスに用いられる電極としては、集電体である金属箔と、バインダーで結着された活物質からなる電極が知られている。従来、バインダーとしてはフッ素樹脂が用いられており、中でも、耐熱性、耐薬品性、電気化学安定性に優れるポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)やポリビニリデンフルオライド(以下、PVDF)が好適に用いられている。
例えば特許文献1には、ポリフルオロエチレンと活物質を含む混合物を金属スクリーンに圧着して得られる電極が開示されている。
【0003】
近年、導電性の高い電極が求められている。上記のようにバインダーとしてフッ素樹脂を含有する電極では、導電性の観点から、未だ不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−103979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、導電性の高い電極膜、ならびにそれを備えた電極および蓄電デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、平均粒径が2μm以上、50μm以下である活物質と、平均粒径が1nm以上、2μm未満である導電イオン含有無機粒子とを含み、前記活物質が前記無機粒子により結着されている電極膜に関する。
また本発明は、前記電極膜が集電体上に積層されている電極に関する。
さらに本発明は、活物質および導電イオン含有無機粒子が液体媒体に分散されている分散液を集電体上に塗布して分散液膜を形成した後、前記分散膜から前記液体媒体を除去して電極膜を形成する、前記電極の製造方法に関する。
また本発明は、前記電極を有する蓄電デバイスであって、2枚の電極が各々の電極膜同士が対向するように配置されており、両電極は、各々の電極膜の間にセパレーターが介在した状態で巻回または積層されており、前記電極とセパレーターとが電解液と共に金属ケースに封入されている蓄電デバイスに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導電性の高い電極膜、ならびにそれを用いた電極および蓄電デバイスを得ることができる。この蓄電デバイスは、いわゆる酸化還元性蓄電デバイスであって、ラップトップPCや携帯電話等のメモリバックアップ電源や、OA機器の補助電源、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車などの電源、補助電源などに好適に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の電極膜は、活物質と、導電イオン含有無機粒子とを含む。
【0009】
本発明において活物質とは、電解質との化学反応によって、電子を放出したり、取り込んだりする物質をいう。一般に、放電時に電子を放出する物質を負極活物質といい、放電時に電子を取り込む活物質を正極活物質という。
本発明において、正極活物質とは、導電イオンを含む、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)などの遷移金属元素の酸化物やカルコゲン化物が挙げられ、例えば、リチウムイオン二次電池においては、平均放電電位が高いという点で、コバルト/リチウム複合酸化物、ニッケルとニッケル以外の遷移金属元素またはアルミニウム(Al)を含有するリチウム複合酸化物などが挙げられる。
【0010】
負極活物質としては、軽金属、軽金属合金、炭素物質、無機酸化物、無機カルコゲナイド、金属錯体、有機高分子化合物などが挙げられ、好ましくは、炭素物質である。炭素物質とは、炭素を成分として含む物質である。炭素物質としては例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソカーボン小球体、黒鉛ウィスカ、黒鉛化炭素繊維、気相成長炭素繊維等の黒鉛系材料、石炭コークス、石油コークス、ピッチコークス等の乾留燃料を熱処理して得られた黒鉛化性炭素材料、フルフリルアルコール樹脂の焼成品、ノボラック樹脂の焼成品、フェノール樹脂の焼成品、ポリアクリロニトリル樹脂の焼成品、レーヨンの焼成品、活性炭、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどのカーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノスフィアが挙げられ、好ましくは活性炭である。なお、活性炭は、おがくずやヤシ殻等の植物由来の炭素源、あるいはコークス、ピッチ等の石炭・石油由来の炭素源、またあるいはフェノール樹脂、フルフリルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成高分子系炭素源を、炭素化や賦活することで製造される。これらは単独で用いても、組み合わせて用いてもよく、本発明に適用可能な組み合わせとしては、例えば、軽金属と炭素物質、軽金属と無機酸化物、軽金属と炭素物質と無機酸化物の組み合わせなどが挙げられる。
【0011】
本発明において、活物質の平均粒径は2μm以上、50μm以下である。また、膜の強度と安定性の観点から、活物質の平均粒径は2μm以上、30μm以下の範囲内であることが好ましい。なお、活物質の平均粒径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定される平均粒径である。このような平均粒径の活物質は、市販の活物質をボールミル等の粉砕装置によって粉砕することにより得ることができる。ボールミルにより粉砕する場合には、金属粉の混入を避けるために、ボールや粉砕容器は、アルミナ、メノウ、ジルコニアなどの非金属製であることが好ましい。
【0012】
導電イオン含有無機粒子とは、導電イオンを含有する無機粒子であって、それ自身の化学反応(例えば、電解質との反応)により該導電イオンを放出し得る無機粒子である。
ここでいう導電イオンとは導電イオン含有無機粒子の化学反応(例えば、電解質との反応)により電子が放出される際に、同時に放出されるイオンをいう。例えばリチウムイオン二次電池ではリチウムイオンが導電イオンであり、ナトリウムイオン二次電池ではナトリウムイオンが導電イオンである。その他、導電イオンとして、カリウムイオン、セシウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、銀イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンであり、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンである。
また、本発明の電極膜において、導電イオン含有無機粒子は、活物質同士を結着しているバインダーである。また、本発明の電極膜が集電体と組み合わされて電極を構成しているとき、該導電イオン含有無機粒子は、該電極膜を集電体と結着させるバインダーとしても機能する。活物質との結着力、および電極膜の耐熱性の観点から、珪酸ナトリウム、珪酸リチウム、といった珪酸塩、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸リチウムといったアルミン酸塩、チタン酸ナトリウム、チタン酸リチウムといったチタン酸塩、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸リチウム、といったジルコン酸塩、亜鉛酸ナトリウム、亜鉛酸リチウムといった亜鉛酸塩が好ましく、なかでも珪酸塩が好適に用いられる。
【0013】
本発明において、導電イオン含有無機粒子の平均粒径は1nm以上、2μm未満である。また、活物質との結着力の観点から、本発明における導電イオン含有無機粒子の平均粒径は、1nm〜100nmの範囲内にあることが好ましく、1nm〜50nmの範囲内にあることがさらに好ましい。また、導電イオン含有無機粒子の平均粒径は、電極膜の膜厚以下であることが好ましく、活物質との結着力の観点から、活物質の平均粒径以下であることがより好ましく、更には活物質の平均粒径の10分の1以下であることがより好ましい。本発明において、導電イオン含有無機粒子の平均粒径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定される平均粒径である。
【0014】
本発明の電極膜における導電イオン含有無機粒子の含有量は、膜の強度と安定性の観点から活物質100重量部に対して1〜100重量部の範囲内であることが好ましく、特に静電容量の観点から1〜50重量部の範囲内であることがさらに好ましく、1〜35重量部の範囲内であることがより好ましく、1〜25重量部の範囲内であることが最も好ましい。
【0015】
本発明における導電イオン含有無機粒子の組成は活物質であってもよい。言い換えれば、本発明における電極膜とは、少なくとも2種類の平均粒径の異なる活物質を含み、活物質のうち平均粒径の最も小さい粒子が導電イオン含有無機粒子であればよい。
【0016】
電極膜の導電性の観点から、活物質よりも平均粒径の小さいアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノスフィア等の導電剤を併用することが好ましい。導電剤の平均粒径は、電極の導電性の観点から、1nm以上、1μm未満の範囲内であることが好ましい。なお、本発明において、導電剤の平均粒径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定される平均粒径である。
【0017】
導電剤を併用する場合、両者の混合割合に特に限定は無いが、電極膜の静電容量という観点から、導電剤の量は活物質100重量部に対し1〜20重量部の範囲内とすることが好ましい。
【0018】
電極膜の密度向上の観点からイオン液体を添加しても良い。また、イオン液体を添加しておくことで蓄電デバイスにした際、蓄電デバイスのイオン伝導度向上が期待できる。
本発明のイオン液体の添加量は活物質100重量部に対し0.01〜2重量部の範囲内とすることが好ましく、密度向上の観点から0.01〜1.5重量部の範囲内とすることが好ましい。
【0019】
本発明のイオン液体とは、一般に常温で液体である塩のことである。例えば以下に示す、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、グアニジニウム塩、イソウロニウム塩、イソチオウロニウム塩が挙げられ、好ましくは、イミダゾリウム塩である。
【0020】
(イミダゾリウム塩)
1,3−ジメチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス[オクサレート(2−)]ボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ブロマイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロボフォスフェイト、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルスルフェイト、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム p−トルエンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム シオチアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム メチルスルフェイト、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ブロマイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム オクチルスルフェイト、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロフォスフェイト、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウム ヘキサフルオロフォスフェイト、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウム クロライド、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウム オクチルスルフェイト、3−メチル−1−テトラデシイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウム ヘキサフルオロフォスフェイト、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウム トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム ブロマイド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロフォスフェイト、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム クロライド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム p−トルエンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム オクチルスルフェイト、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム クロライド、1−ヘキサデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム クロライド
【0021】
(ピリジニウム塩)
N−エチルピリジニウム クロライド、N−エチルピリジニウム ブロマイド、N−ブチルピリジニウム クロライド、N−ブチルピリジニウム テトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウム ヘキサフルオロフォスフェイト、N−ブチルピリジニウム トリフルオロメタンスルホネート、N−ヘキシルピリジニウム テトラフルオロボレート、N−ヘキシルピリジニウム ヘキサフルオロフォスフェイト、N−ヘキシルピリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ヘキシルピリジニウム トリフルオロメタンスルホネート、N−オクチルピリジニウム クロライド、4−メチル−N−ブチルピリジニウム クロライド、4−メチル−N−ブチルピリジニウム テトラフルオロボレート、4−メチル−N−ブチルピリジニウム ヘキサフルオロフォスフェイト、3−メチル−N−ブチルピリジニウム クロライド、4−メチル−N−ブチルピリジニウム ブロマイド、3,4−ジメチル−N−ブチルピリジニウム クロライド、3,5−ジメチル−N−ブチルピリジニウム クロライド
【0022】
(ピロリジニウム塩)
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム クロライド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム トリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム テトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム ヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム トリフルオロアセテート、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウム クロライド、1−メチル−1−オクチルピロリジニウム クロライド
【0023】
(ホスホニウム塩)
トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム クロライド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム テトラフルオロボレート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム ヘキサフルオロフォスフェイト、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム ビス[オクサレート(2−)]ボレート
【0024】
(アンモニウム塩)
メチルトリオクチルアンモニウム トリフルオロアセテート、メチルトリオクチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホネート、メチルトリオクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
【0025】
(グアニジニウム塩)
N”−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、グアニジニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、グアニジニウム トリフルオロメタンスルホネート、N”−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウム トリフルオロメタンスルホネート
【0026】
(イソウロニウム塩)
O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウム トリフルオロメタンスルホネート、O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウム トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト
【0027】
(イソチオウロニウム塩)
S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウム トリフルオロメタンスルホネート、S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト
【0028】
本発明の電極は、集電体と、該集電体上に積層された電極膜とを有し、該電極膜は、活物質と導電イオン含有無機粒子とを含み、前記活物質同士が前記導電イオン含有無機粒子で結着されている膜、すなわち前記本発明の電極膜である。集電体は通常、金属箔であり、かかる金属の例としては、アルミニウム、銅、鉄などが挙げられる。なかでもアルミニウムは、軽く、電気抵抗が低いため好ましい。巻回型電極や積層型電極の作製が容易であることから、集電体は、厚みが20μm〜100μmの範囲内のフィルム状であることが好ましい。また集電体と電極膜との密着性を向上させるために、集電体の表面はエッチング処理などによって粗面化していることが好ましい。
【0029】
次に本発明の電極膜、および電極の製造方法を説明する。
本発明の電極膜は、活物質と導電イオン含有無機粒子の混合物をロール成形やプレス成形を用いてシートにするシート成形法や、前記混合物が液体媒体(以下、溶媒と記す)に分散された分散液を支持体上に塗布して分散液膜を形成し、次いで該分散液膜から溶媒を除去して電極膜を形成する塗布法等、公知の方法により製造することができる。なお、前記支持体として集電体を使用することにより、本発明の電極を直接製造することができる。
シート成形法では、まず活物質と導電イオン含有無機粒子とを所定の割合で混合機に投入して混合し、ペースト状混合物を得る。この時、少量の溶媒を加えることにより、混合物の均一性を向上させることができる。次に該ペースト状混合物を、カレンダー成形等のロール成形やプレス成形等の成形方法でシート状に成形することにより、本発明の電極膜を得ることができる。また、前記した方法で得られた電極膜を、所定の厚みにするためにさらにロールにより圧延してもよい。このようにして得られた電極膜を集電体に貼合することにより、本発明の電極が得られる。電極膜に溶媒が残存している場合には、溶媒を蒸発させて除去する。
【0030】
厚みの均一な電極膜を容易に形成できることから、塗布法により電極膜を製造することが好ましい。ここで塗布法による本発明の電極膜の製造について更に詳細に説明する。塗布法とは、溶媒中に分散された活物質と導電イオン含有無機粒子を含有する分散液を支持体(例えば、金属箔からなる集電体)上に塗布して分散液膜を形成した後、前記分散液膜から溶媒を除去して、活物質と導電イオン含有無機粒子を含む電極膜を形成する方法である。塗布法では、まず活物質と導電イオン含有無機粒子とが溶媒に分散された分散液を調製する。
【0031】
分散液の調製方法としては、溶媒に所定量の活物質と導電イオン含有無機粒子とを添加して混合する方法、所定量の活物質と導電イオン含有無機粒子の混合物に溶媒を添加して混合する方法、所定量の導電イオン含有無機粒子が溶媒に分散された導電イオン含有無機粒子分散液に所定量の活物質を添加して混合する方法、所定量の導電イオン含有無機粒子が溶媒に分散された導電イオン含有無機粒子分散液と、所定量の活物質が溶媒に分散された活物質分散液とを混合する方法、所定量の活物質が溶媒に分散された活物質分散液に導電イオン含有無機粒子を添加して混合する方法等が挙げられる。混合には、公知の混合機を用いることができる。更に、活物質と導電イオン含有無機粒子とを前記液体媒体中で粉砕しながら該活物質と該導電イオン含有無機粒子とを該液体媒体に混合しても良い。こうすることで、活物質や導電イオン含有無機粒子の凝集を抑え、分散性の良い分散液を得る事ができる。活物質および導電イオン含有無機粒子をより均一に分散させやすいことから、導電イオン含有無機粒子が溶媒に分散された導電イオン含有無機粒子分散液に活物質と溶媒を添加して分散させる方法により分散液を調整することが好ましい。また、導電性のより高い電極膜を得るためには、導電イオン含有無機粒子分散液として導電イオンとシリカとの化合物である珪酸塩溶液を用いることが好ましく、例えば珪酸ナトリウム溶液、珪酸リチウム溶液が挙げられる。
【0032】
分散液を支持体上に塗布して分散液膜を形成するのに、ハンディ・フィルムアプリケーター、バーコーター、ダイコーター等の公知の塗布装置を用いることができる。形成した分散液膜から溶媒を除去することにより、支持体上に活物質と導電イオン含有無機粒子を含む電極膜を形成することができる。前述のとおり、前記支持体として集電体を使用することにより、本発明の電極を直接製造することができる。溶媒を除去する方法としては、通常50〜500℃の温度で溶媒を蒸発させる方法が挙げられる。導電イオン含有無機粒子分散液としてリチウムシリケート溶液を用いる場合、まず50〜80℃の温度で1〜30分の時間乾燥した後、さらに100〜200℃の温度で1〜60分の時間乾燥することが、結着力を高める観点から好ましい。また、塗布法で支持体上に電極膜を形成した後、電極膜の厚さを調整するために支持体上の電極膜をプレスしてもよい。
【0033】
電極膜を圧縮する場合には、その圧力は、10〜500kg/cmであることが好ましく、50〜300kg/cmであることがより好ましい。
圧縮する際の温度は、活物質の融点と導電イオン含有無機粒子の融点以下であることが好ましい。更に圧縮する際の温度は、残留溶媒による液架橋力を引き起こし、電極膜の成形性を向上させるという観点から、使用する溶媒の沸点以下であることが好ましく、具体的には10〜50℃であることがより好ましい。このような温度で圧縮することにより、電極膜を溶融させることなく、かつ強固に活物質を結着させることができる。圧縮して得られる電極膜は、支持体と積層したままで使用してもよく、支持体を溶かしたり剥がしたりして、電極膜単層として使用してもよい。
【0034】
本発明の電極は導電性に優れるため、蓄電デバイスに好ましく用いられる。具体的には本発明の電極は、2枚の電極を各々の電極膜同士が対向するように配置し、両電極膜間にセパレーターを介在させて巻回または積層し、該電極とセパレーターとを電解液と共に金属ケースに封入することにより、蓄電デバイスとして用いることが出来る。
ここでいう蓄電デバイスとしては、例えば、乾電池、一次電池、二次電池、レドックスキャパシタ、ハイブリッドキャパシタなどがあげられ、本発明の電極は、とりわけ二次電池の電極として好適である。
特に活物質としてコバルト酸リチウムを、導電イオン含有無機粒子として珪酸リチウムを用いて作製した電極は、リチウムイオン二次電池の電極として好適である。
本発明は、一つの面において、前記本発明の電極を備えた二次電池である。具体的には、2枚の電極の間にセパレーターがあり、セパレーターと各電極との間に電解液が充填された二次電池や、2枚の電極の間に固体電解質(ゲル電解質)が充填された二次電池などが挙げられる。
二次電池では、充電時には、片方の活物質を含む電極からもう片方の活物質を含む電極に導電イオンが移動し充電電流が流れる。放電時は、充電時と逆に導電イオンが移動することで放電電流が流れる。ここでいう導電イオンとは各種電池で異なり、例えばリチウムイオン二次電池では該イオンはリチウムイオンであり、ナトリウムイオン二次電池では該イオンはナトリウムである。
二次電池は、2枚の電極、すなわち1対の正極と負極を含むセルを1つだけ有する二次電池でもよいが、このようなセルを複数有する二次電池であってもよい。
【0035】
本発明の電極は、電解液が充填された二次電池に好適に用いられる。このような二次電池は、より具体的には、集電体と該集電体上に積層された電極膜とを有する電極2枚が、電極膜同士が対向するように配置され、両電極膜間に更にセパレーターが配置された少なくとも1個のセルと、電解液と、前記少なくとも1個のセルおよび電解質が封入された容器とを有し、前記電極膜は、活物質と導電イオン含有無機粒子とからなり、前記活物質同士が前記導電イオン含有無機粒子で結着されている膜、すなわち、本発明の電極膜である二次電池である。本発明の電極を備えた二次電池としてより具体的には、円盤状の電極2枚を電極膜同士が対向するように配置し、両電極膜間に更にセパレーターを配置したセルを、電解液と共にコイン型ケースに封入したコイン型二次電池や、シート状の電極2枚を電極膜同士が対向するように配置し、両電極膜間に更にセパレーターを配置したセルを巻回し、これを電解液と共に円筒型ケースに封入した円筒型二次電池や、フィルム状電極とセパレーターとを積層した積層型二次電池や、蛇腹型二次電池等が挙げられる。
【0036】
電解液としては、公知の電解質と溶媒との混合物を用いることができる。電解質は無機系電解質であっても有機系電解質であってもよい。無機系電解質は、通常、水と混合して電解液とされる。有機系電解質は、通常、有機極性溶媒を主成分とする溶媒と混合して電解液とされる。
【0037】
セパレーターとしては、大きなイオン透過度と所定の機械的強度とを持つ絶縁性の膜が用いられる。具体的には、天然セルロースやマニラ麻など天然繊維の抄紙;レーヨン、ビニロン、ポリエステルなどの再生繊維や合成繊維などの抄紙;前記天然繊維と前記再生繊維や前記合成繊維を混合して抄造した混抄紙;ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステル不織布、ポリブチレンテレフタレー不織布などの不織布;多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリエステルなどの多孔質膜;パラ系全芳香族ポリアミド、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂などの樹脂膜が挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下、本件を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限られることではない。
【0039】
[実施例1]
活物質としてコバルト酸リチウム(日本化学工業株式会社製セルシード10−N;平均粒径12μm)、導電剤としてデンカブラック(DB:電気化学工業製 50%プレス品;平均粒径32nm)を用いた。導電イオン含有無機粒子としては珪酸リチウム(リチウムシリケート35:日産化学工業株式会社製、水溶液固形分濃度23wt%、平均粒径1.3μm)を用いた。
コバルト酸リチウム36.0gとデンカブラック2.8gに珪酸リチウムを10.4g添加し、さらに純水を添加して混合し、固形分濃度50重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、コバルト酸リチウム36.0g、デンカブラック2.8g、珪酸リチウム2.4gを含有していた。すなわち、活物質100重量部当たりの導電イオン含有無機粒子の量は6.6重量部であった。厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)上に、前記スラリーをハンディ・フィルムアプリケーターを用いて塗布しスラリー膜を形成した後、室温で30分間保持後60℃で60分間、さらに150℃で6時間加熱して水を除去することで、集電体上に電極膜が積層されている電極を得た。乾燥後の電極膜の膜厚は71μmであった。
得られた電極から3.0cm×3.0cmの大きさの電極1枚を切り出して、電極膜の重量、膜厚および表面抵抗を測定した。表面抵抗の測定にはロレスタ(株式会社ダイアインストルメンツ製)を用いた。重量と膜厚から算出した密度と表面抵抗結果を表1に示した。
【0040】
[実施例2]
導電イオン含有無機粒子として珪酸リチウムの代わりに珪酸カリウム(和光純薬工業株式会社製、水溶液固形分濃度28wt%、平均粒径0.7μm)8.4gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度44重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、コバルト酸リチウム36.0g、デンカブラック2.8g、珪酸カリウム2.4gを含有していた。すなわち、活物質100重量部当たりの導電イオン含有無機粒子の量は6.6重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製した。乾燥後の電極膜の膜厚は28μmであった。
得られた電極から3.0cm×3.0cmの大きさの電極1枚を切り出して、電極膜の重量、膜厚および表面抵抗を測定した。表面抵抗の測定にはロレスタ(株式会社ダイアインストルメンツ製)を用いた。重量と膜厚から算出した密度と表面抵抗結果を表1に示した。
【0041】
[実施例3]
導電イオン含有無機粒子として珪酸リチウムの代わりに珪酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、水溶液固形分濃度55wt%)4.4gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度44重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、コバルト酸リチウム36.0g、デンカブラック2.8g、珪酸ナトリウム2.4gを含有していた。すなわち、活物質100重量部当たりの導電イオン含有無機粒子の量は6.6重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製した。乾燥後の電極膜の膜厚は49μmであった。
得られた電極から3.0cm×3.0cmの大きさの電極1枚を切り出して、電極膜の重量、膜厚および表面抵抗を測定した。表面抵抗の測定にはロレスタ(株式会社ダイアインストルメンツ製)を用いた。重量と膜厚から算出した密度と表面抵抗結果を表1に示した。
【0042】
[実施例4]
活物質としてコバルト酸リチウム(STREM CHEMICALS社製;平均粒径6μm)、導電剤としてデンカブラック(DB:電気化学工業製 50%プレス品;平均粒径32nm)を用いた。導電イオン含有無機粒子としては珪酸リチウム(リチウムシリケート35:日産化学工業株式会社製、平均粒径1.3μm)を用いた。さらにイオン液体として1エチル3メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(メルク株式会社)を添加した。
コバルト酸リチウム9.0gとデンカブラック0.7gと珪酸リチウムを2.61gにイオン液体0.01gを添加し、さらに純水を添加して混合し、固形分濃度44重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、コバルト酸リチウム9.0g、デンカブラック0.7g、珪酸リチウム0.6g、イオン液体0.1gを含有していた。すなわち、活物質100重量部当たりのイオン液体の量は1.1重量部であった。厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)上に、前記スラリーをハンディ・フィルムアプリケーターを用いて塗布しスラリー膜を形成した後、室温で30分間保持後60℃で60分間、さらに150℃で6時間加熱して水を除去することで、集電体上に電極膜が積層されている電極を得た。乾燥後の電極膜の膜厚は36.7μmであった。
得られた電極から3.0cm×3.0cmの大きさの電極1枚を切り出して、電極膜の重量、膜厚および表面抵抗を測定した。表面抵抗の測定にはロレスタ(株式会社ダイアインストルメンツ製)を用いた。重量と膜厚から算出した密度と表面抵抗結果を表1に示した。
【0043】
[比較例1]
活物質としてコバルト酸リチウム(STREM CHMICALS社製:平均粒径6μm)、導電剤としてデンカブラック(DB:電気化学工業製 50%プレス品)、および人造黒鉛(ロンザ社製のKS15)を用いた。導電イオン含有無機粒子の代わりにフッ素樹脂(シグマ・アルドリッチ社製のPVdF(商品名))を用い、純水の替わりにNメチルピロリドン(NMP)を用いた。コバルト酸リチウム9.0gとデンカブラック0.1gと人造黒鉛0.6gにフッ素樹脂を0.3g添加し、さらに純水を添加して混合し、固形分濃度57wt%のスラリーを調製した。該スラリーは活物質9.0g、デンカブラック0.1g、人造黒鉛0.6g、PVdF0.3gを含有していた。すなわち、活物質100重量部当たりのフッ素樹脂の量は3.3重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製した。乾燥後の電極膜の膜厚は72μmであった。
得られた電極から実施例1と同様に、3.0cm×3.0cmの大きさの電極1枚を切り出して、膜厚および表面抵抗を測定した。重量と膜厚から算出した密度と表面抵抗結果を表1に示した。
【0044】
[比較例2]
フッ素樹の代わりに、無機粒子としてコロイド状シリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスPS−S(商品名);平均粒径10〜50nm;球状シリカが50〜200nmの長さに結合した鎖状粒子;固形分濃度:20重量%)3.0gを用い、NMPの替わりに純水を用いた以外は比較例1と同様にして固形分濃度57重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、活物質9.0g、デンカブラック0.1g、人造黒鉛0.6g、シリカ0.6gを含有していた。すなわち、活物質100重量部当たりの無機粒子の量は6.6重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製した。乾燥後の電極膜の膜厚は41μmであった。
得られた電極から3.0cm×3.0cmの大きさの電極1枚を切り出して、電極膜の重量、膜厚および表面抵抗を測定した。重量と膜厚から算出した密度と表面抵抗結果を表1に示した。
【0045】
[比較例3]
活物質としてコバルト酸リチウム(STREM CHMICALS社製:平均粒径6μm)、導電イオン含有無機粒子の代わり無機粒子としてコロイド状シリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスPS−S(商品名);平均粒径10〜50nm;球状シリカが50〜200nmの長さに結合した鎖状粒子;固形分濃度:20重量%)12.0gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度44重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、活物質36.0g、デンカブラック2.8g、シリカ2.4gを含有していた。すなわち、活物質100重量部当たりの無機粒子の量は6.6重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製した。乾燥後の電極膜の膜厚は28μmであった。
得られた電極から3.0cm×3.0cmの大きさの電極1枚を切り出して、電極膜の重量、膜厚および表面抵抗を測定した。重量と膜厚から算出した密度と表面抵抗結果を表1に示した。
【0046】
[比較例4]
導電イオン含有無機粒子の代わり無機粒子としてコロイド状シリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスPS−S(商品名);平均粒径10〜50nm;球状シリカが50〜200nmの長さに結合した鎖状粒子;固形分濃度:20重量%)12.0gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度44重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、活物質36.0g、デンカブラック2.8g、シリカ2.4gを含有していた。すなわち、活物質100重量部当たりの無機粒子の量は6.6重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製した。乾燥後の電極膜の膜厚は36μmであった。
得られた電極から3.0cm×3.0cmの大きさの電極1枚を切り出して、電極膜の重量、膜厚および表面抵抗を測定した。重量と膜厚から算出した密度と表面抵抗結果を表1に示した。
【0047】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が2μm以上、50μm以下である活物質と、
平均粒径が1nm以上、2μm未満である導電イオン含有無機粒子とを含み、前記活物質が前記導電イオン含有無機粒子により結着されている電極膜。
【請求項2】
前記活物質100重量部に対し前記導電イオン含有無機粒子1〜50重量部含有する請求項1に記載の電極膜。
【請求項3】
さらに、イオン液体を含む請求項1または2に記載の電極膜。
【請求項4】
前記活物質の融点以下であり、前記導電イオン含有無機粒子の融点以下の温度で圧縮された、請求項1〜3のいずれかに記載の電極膜。
【請求項5】
前記導電イオン含有無機粒子がリチウムシリケートである請求項1〜4のいずれかに記載の電極膜。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の電極膜が集電体上に積層されている電極。
【請求項7】
活物質および導電イオン含有無機粒子が液体媒体に分散されている分散液を集電体上に塗布して分散液膜を形成した後、前記分散液膜から前記液体媒体を除去して電極膜を形成する、請求項6に記載の電極の製造方法。
【請求項8】
前記分散液が、活物質と、導電イオン含有無機粒子とを前記液体媒体中で粉砕しながら該活物質と該導電イオン含有無機粒子とを該液体媒体に混合して調製されたものであることを特徴とする、請求項7に記載の電極の製造方法。
【請求項9】
前記分散液が、導電イオン含有無機粒子が液体媒体に分散されている導電イオン含有無機粒子分散液に、活物質を添加して混合して調製されたものであることを特徴とする、請求項7に記載の電極の製造方法。
【請求項10】
前記導電イオン含有無機粒子分散液が、リチウムシリケート溶液である請求項9に記載の電極の製造方法。
【請求項11】
請求項6に記載の電極を有する蓄電デバイスであって、2枚の電極が各々の電極膜同士が対向するように配置されており、両電極は、各々の電極膜の間にセパレーターが介在した状態で巻回または積層されており、前記電極とセパレーターとが電解液と共に金属ケースに封入されている蓄電デバイス。

【公開番号】特開2010−153375(P2010−153375A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268526(P2009−268526)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】