説明

電極被覆材料、電極構造体、及び、半導体装置

【課題】低いコンタクト抵抗、高い移動度を達成し得る半導体装置を提供する。
【解決手段】ゲート電極13、ゲート絶縁層14、有機半導体材料層から構成されたチャネル形成領域16、及び、金属から成るソース/ドレイン電極15を有する電界効果型トランジスタから成る半導体装置において、チャネル形成領域16を構成する有機半導体材料層と接するソース/ドレイン電極15の部分は、電極被覆材料21で被覆されており、電極被覆材料21は、金属イオンと結合し得る官能基、及び、金属から成るソース/ドレイン電極15と結合する官能基を有する有機分子から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極被覆材料、電極構造体、及び、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシリコン半導体基板等から半導体装置を製造する場合、フォトリソグラフィ技術や各種の薄膜形成技術が用いられている。ところが、これらの生産技術は複雑であり、半導体装置の製造に長時間を必要とし、半導体装置の製造コストの低減に対する大きな障害となっている。また、従来の半導体装置は所謂バルクであり、可撓性や柔軟性が要求される分野への応用が困難である。
【0003】
このような従来のシリコン半導体基板等に基づく半導体装置に代わる電子素子、例えば、電界効果型トランジスタ(FET)として、導電性高分子材料を用いた素子の研究、開発が鋭意進められており、柔軟、且つ、安価なプラスチック・エレクトロニクスという新しい分野が拓かれつつある。そして、チャネル形成領域が有機半導体材料層から構成された所謂有機電界効果型トランジスタが、例えば、特開平10−270712や特開2000−269515から周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−270712
【特許文献2】特開2000−269515
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、これらの特許公開公報に開示された技術にあっては、チャネル形成領域を構成する有機半導体材料層は、金属から成るソース/ドレイン電極と、直接、接触している。従って、このような形態にあっては、金属と有機半導体材料層の界面における電子授受には著しいエネルギー損失を伴う。即ち、金属と有機半導体材料との接合界面における電子授受は、自由電子が存在する金属界面と、量子化された空間を有する有機半導体材料層の界面、更には、その接合界面における両者の距離や向きの違いによって、大きな影響を受けるため、現状では、非常に非効率的である。そして、その結果、コンタクト抵抗の値が大きく、また、移動度が低いといった問題が生じている。
【0006】
従って、本発明の目的は、低いコンタクト抵抗の値を得ることを可能とする電極被覆材料、及び、電極構造体、並びに、低いコンタクト抵抗、高い移動度を達成し得る半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様〜第4の態様に係る半導体装置は、ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体材料層から構成されたチャネル形成領域、及び、金属から成るソース/ドレイン電極を有する電界効果型トランジスタから成る半導体装置であり、チャネル形成領域を構成する有機半導体材料層と接するソース/ドレイン電極の部分は、電極被覆材料で被覆されている。また、上記の目的を達成するための本発明の第1の態様〜第4の態様に係る電極構造体は、電極、及び、該電極の表面を被覆する電極被覆材料から成る。
【0008】
そして、上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る電極被覆材料、本発明の第1の態様に係る半導体装置における電極被覆材料、本発明の第1の態様に係る電極構造体における電極被覆材料は、式(1)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極)の表面と結合することを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る電極被覆材料、本発明の第2の態様に係る半導体装置における電極被覆材料、本発明の第2の態様に係る電極構造体における電極被覆材料は、式(1)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極)の表面と結合し、
式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成することを特徴とする。
【0010】
即ち、本発明の第2の態様に係る電極被覆材料、本発明の第2の態様に係る半導体装置、あるいは、本発明の第2の態様に係る電極構造体(以下、これらを総称して、単に、本発明の第2の態様と呼ぶ場合がある)において、
● 式(1)中の窒素原子が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の官能基R1が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の窒素原子及び官能基R1が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の窒素原子及び官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の官能基R1及び官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成する。
【0011】
更には、上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る電極被覆材料、本発明の第3の態様に係る半導体装置における電極被覆材料、本発明の第3の態様に係る電極構造体における電極被覆材料は、第1の有機分子及び第2の有機分子から成る電極被覆材料であって、
第1の有機分子は、式(1)で示される有機分子から成り、
第2の有機分子は、式(6)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極)の表面と結合し、
式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成し、
式(6)中の官能基R’1、官能基R’2並びに官能基R’1に隣接した窒素原子から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成し、及び/又は、式(6)中の官能基R’3、官能基R’4並びに官能基R’3に隣接した窒素原子から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成することを特徴とする。
【0012】
即ち、本発明の第3の態様に係る電極被覆材料、本発明の第3の態様に係る半導体装置、あるいは、本発明の第3の態様に係る電極構造体(以下、これらを総称して、単に、本発明の第3の態様と呼ぶ場合がある)において、
● 式(1)中の窒素原子が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の官能基R1が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の窒素原子及び官能基R1が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の窒素原子及び官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の官能基R1及び官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成する。
また、
● 式(6)中の官能基R’1が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’2が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’1に隣接した窒素原子(便宜上、隣接窒素原子Aと呼ぶ)が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’1及び官能基R’2が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’1及び隣接窒素原子Aが金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’2及び隣接窒素原子Aが金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’1、官能基R’2及び隣接窒素原子Aが金属イオンと結合してキレートを形成する。
あるいは又、若しくは、更には、
● 式(6)中の官能基R’3が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’4が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’3に隣接した窒素原子(便宜上、隣接窒素原子Bと呼ぶ)が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’3及び官能基R’4が金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’3及び隣接窒素原子Bが金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’4及び隣接窒素原子Bが金属イオンと結合してキレートを形成し、あるいは又、
● 式(6)中の官能基R’3、官能基R’4及び隣接窒素原子Bが金属イオンと結合してキレートを形成する。
【0013】
尚、式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成し、更には、係る金属イオンと、式(6)中の官能基R’1、官能基R’2及び官能基R’1に隣接した窒素原子から成る群から選択された少なくとも1種類が結合してキレートを形成することで、第1の有機分子と第2の有機分子とが結合する。また、式(6)中の官能基R’1、官能基R’2及び官能基R’1に隣接した窒素原子から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成し、係る金属イオンと、式(6)中の官能基R’3、官能基R’4及び官能基R’3に隣接した窒素原子から成る群から選択された少なくとも1種類が結合してキレートを形成することで、第2の有機分子と第2の有機分子とが結合し、第2の有機分子の結合体が延びていく。
【0014】
また、上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る電極被覆材料、本発明の第4の態様に係る半導体装置における電極被覆材料、本発明の第4の態様に係る電極構造体における電極被覆材料は、金属イオンと結合し得る官能基、及び、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極)と結合する官能基を有する有機分子から成ることを特徴とする。尚、本発明の第4の態様に係る電極被覆材料、本発明の第4の態様に係る半導体装置、あるいは、本発明の第4の態様に係る電極構造体(以下、これらを総称して、単に、本発明の第4の態様と呼ぶ場合がある)においては、金属イオンと結合し得る官能基と、金属イオンとの結合によって、キレートが形成される構成とすることができるし、あるいは又、金属イオンと結合し得る官能基は、ピリジン若しくはその誘導体、又は、ビピリジン若しくはその誘導体、又は、テルピリジン若しくはその誘導体であり、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極)と結合する官能基は、チオール基、あるいは又、カルボキシル基、シアノ基、イソシアノ基、チオシアナト基、アミノ基、シラノール基、ヒドロキシル基、ピリジン類、チオフェン類等である構成とすることもできる。更には、金属イオンと結合し得る官能基として、ピルジル基やオリゴピリジル基、チオフェニル基、ジチオラト基、オキサラト基等の、窒素原子、硫黄原子、酸素原子による1座、2座あるいは3座の配位子を挙げることができる。
【0015】

【0016】

【0017】
但し、
● 式(1)中のXは、以下の式(2−1)乃至(2−10)のいずれかあるいは無しであり、
● 式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、
● 式(1)中のR1は、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、
● 式(1)中のR2は、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、
● Z1は、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、
● Z2は、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、
● Z3は、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、
● Z4は、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、
● Z5は、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、
● Z6は、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、
● 式(6)中のX’は、以下の式(7−1)乃至(7−13)のいずれかであり、
● 式(6)中のR’1は、以下の式(8−1)乃至(8−19)のいずれかであり、
● 式(6)中のR’2は、以下の式(8−1)乃至(8−19)のいずれかであり、
● 式(6)中のR’3は、以下の式(8−1)乃至(8−19)のいずれかであり、
● 式(6)中のR’4は、以下の式(8−1)乃至(8−19)のいずれかであり、
● Z’1は、以下の式(9−1)乃至(9−18)のいずれかであり、
● Z’2は、以下の式(9−1)乃至(9−18)のいずれかであり、
● Z’3は、以下の式(9−1)乃至(9−18)のいずれかであり、
● Z’4は、以下の式(9−1)乃至(9−18)のいずれかであり、
● Z’5は、以下の式(9−1)乃至(9−18)のいずれかであり、
● Z’6は、以下の式(9−1)乃至(9−18)のいずれかであり、
● n,mは1以上の整数である。
【0018】

【0019】

【0020】

【0021】

【0022】

【0023】

【0024】

【0025】
あるいは又、式(1)中のXは、π共役系やσ共役系で構成される分子構造を有し、π共役系として、具体的には、フェニル基、ビニル基(エチニル基)等炭素系不飽和基を挙げることができ、σ共役系として、スルフィド基、ジスルフィド基、シリル基等を挙げることができるし、更には、π共役系とσ共役系との複合系であってもよい。
【0026】
尚、式(1)中のXは、有機分子を剛直なπ共役構造体とするといった観点から、両側の結合部位に対して回転以外の自由度を持たないことが好ましい。
【0027】
本発明の第2の態様、本発明の第3の態様、あるいは又、本発明の第4の態様において、金属イオンを構成する金属として、広くは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属を挙げることができ、具体的には、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)を挙げることができる。
【0028】
本発明の第1の態様〜第4の態様(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、電極(あるいはソース/ドレイン電極)の表面を電極被覆材料で被覆する方法として、例えばチオール基といった置換基を有する官能基Yが電極(あるいはソース/ドレイン電極)の表面に結合し得ることを利用して、自己集合単分子膜としての電極被覆材料から成る層を電極(あるいはソース/ドレイン電極)の表面に形成する方法を挙げることができるし、更には、電極(あるいはソース/ドレイン電極)の表面と官能基Yとの結合を形成した上で、金属イオンの溶液に浸漬することでキレートを形成する方法を挙げることができる。
【0029】
また、本発明において、電極やソース/ドレイン電極を構成する金属として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子を挙げることができるし、ソース/ドレイン電極を、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。尚、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る半導体装置において、ゲート電極や各種の配線を構成する材料として、これらの材料の他、不純物を含有したポリシリコン等の導電性物質、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]といった有機材料(導電性高分子)や、炭素系材料を挙げることもできる。ソース/ドレイン電極やゲート電極、各種の配線を構成する材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0030】
ソース/ドレイン電極やゲート電極、配線の形成方法として、これらを構成する材料にも依るが、物理的気相成長法(PVD法);MOCVD法を含む各種の化学的気相成長法(CVD法);スピンコート法;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法といった各種印刷法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、キャピラリーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、浸漬法といった各種コーティング法;スタンプ法;リフト・オフ法;エッチング法;シャドウマスク法;電解メッキ法や無電解メッキ法あるいはこれらの組合せといったメッキ法;及び、スプレー法の内のいずれかと、必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。尚、PVD法として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。
【0031】
ゲート絶縁層を構成する材料として酸化ケイ素系材料、窒化ケイ素(SiNY)、金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)にて例示される有機系絶縁材料を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。尚、酸化ケイ素系材料として、酸化シリコン(SiOX)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiO2系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。
【0032】
ゲート絶縁層の形成方法として、上述した各種PVD法;各種CVD法;スピンコート法;上述した各種印刷法;上述した各種コーティング法;浸漬法;キャスティング法;及び、スプレー法の内のいずれかを挙げることができる。あるいは又、ゲート絶縁層は、ゲート電極の表面を酸化あるいは窒化することによって形成することができるし、ゲート電極の表面に酸化膜や窒化膜を成膜することで得ることもできる。ゲート電極の表面を酸化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、O2プラズマを用いた酸化法、陽極酸化法を例示することができる。また、ゲート電極の表面を窒化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、N2プラズマを用いた窒化法を例示することができる。あるいは又、例えば、Au電極に対しては、一端をメルカプト基で修飾された直鎖状炭化水素のように、ゲート電極と化学的に結合を形成し得る官能基を有する絶縁性分子によって、浸漬法等の方法で自己組織的にゲート電極表面を被覆することで、ゲート電極の表面にゲート絶縁層を形成することもできる。
【0033】
チャネル形成領域を構成する有機半導体材料層と接するソース/ドレイン電極の部分は、電極被覆材料で被覆されているが、具体的には、少なくとも、ソース/ドレイン電極の側面は電極被覆材料で被覆されている。ソース/ドレイン電極の側面及び頂面が電極被覆材料で被覆されていてもよい。あるいは又、ソース/ドレイン電極の側面は電極被覆材料で被覆されており、ソース/ドレイン電極の頂面は、後述する絶縁膜を構成する絶縁材料で被覆されていてもよい。
【0034】
チャネル形成領域としての有機半導体材料層を構成する有機半導体材料は、共役結合を有する有機半導体分子であって、分子の両端に、チオール基(−SH)、アミノ基(−NH2)、イソシアノ基(−NC)、シアノ基(−CN)、チオアセトキシル基(−SCOCH3)、又は、カルボキシ基(−COOH)を有することが好ましい。分子の両端に位置する官能基は異なっていてもよい。
【0035】
具体的には、チャネル形成領域としての有機半導体材料層を構成する有機半導体材料として、ペンタセン及びその誘導体(TIPS−ペンタセン等)、ナフタセン及びその誘導体(ルブレン、ヘキサプロピルナフタセン)、P3HT、PQT、F8T2、構造式(11)の4,4’−ビフェニルジチオール(BPDT)、構造式(12)の4,4’−ジイソシアノビフェニル、構造式(13)の4,4’−ジイソシアノ−p−テルフェニル、及び構造式(14)の2,5−ビス(5’−チオアセチル−2’−チオフェニル)チオフェン、構造式(15)の4,4’−ジイソシアノフェニル、構造式(16)のベンジジン(ビフェニル−4,4’−ジアミン)、構造式(17)のTCNQ(テトラシアノキノジメタン)、構造式(18)のビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、構造式(19)の1,4−ジ(4−チオフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、構造式(20)の1,4−ジ(4−イソシアノフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼンを例示することができる。
【0036】
構造式(11):4,4’−ビフェニルジチオール

【0037】
構造式(12):4,4’−ジイソシアノビフェニル

【0038】
構造式(13):4,4’−ジイソシアノ−p−テルフェニル

【0039】
構造式(14):2,5−ビス(5’−チオアセチル−2’−チオフェニル)チオフェン

【0040】
構造式(15):4,4’−ジイソシアノフェニル

【0041】
構造式(16):ベンジジン(ビフェニル−4,4’−ジアミン)

【0042】
構造式(17):TCNQ(テトラシアノキノジメタン)

【0043】
構造式(18):ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸

【0044】
構造式(19):1,4−ジ(4−チオフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン

【0045】
構造式(20):1,4−ジ(4−イソシアノフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン

【0046】
また、有機半導体分子として、構造式(21)で表されるデンドリマーも用いることができる。
【0047】
構造式(21):デンドリマー

【0048】
あるいは又、有機半導体材料として、構造式(22)で表される有機分子を用いることもできる。尚、構造式(22)中の「X」は、式(23−1)、式(23−2)、式(23−3)、式(23−4)のいずれかで表され、構造式(22)中の「Y1」、「Y2」のそれぞれは、式(24−1)〜式(24−9)のいずれかで表され、「Z1」、「Z2」、「Z3」、「Z4」のそれぞれは、式(25−1)〜式(25−11)のいずれかで表される。ここで、「n」の値は、0あるいは正の整数である。また、Xは、式(23−1)、式(23−2)、式(23−3)、式(23−4)のいずれかで表されるユニットが1回以上、繰り返し結合したものであり、異なるユニットによる繰り返しを含む。更には、側鎖Z1,Z2,Z3,Z4は、繰り返し中において異なるものへと変化してもよい。
【0049】

【0050】

【0051】

【0052】

【0053】
尚、有機半導体材料層は、CVD法、スタンプ法、蒸着法、塗布法、スピンコート法、インクジェット法、浸漬法等に基づき形成することができ、これによって、π共役錯体、π共役錯体オリゴマー、π共役錯体ポリマーに基づく単層あるいは多層の有機半導体材料層を形成することができる。有機半導体材料層の厚さとして、数十nm乃至数μmを例示することができる。
【0054】
半導体装置の具体的な構成、構造として、半導体装置をボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタ(FET)から構成する場合、係るボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタは、
(A)支持体上に形成されたゲート電極、
(B)ゲート電極上に形成されたゲート絶縁層、
(C)ゲート絶縁層上に形成されたソース/ドレイン電極、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極の間であってゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域、
を備えている。
【0055】
あるいは又、半導体装置をトップゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタ(FET)から構成する場合、係るトップゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタは、
(A)支持体上に形成されたソース/ドレイン電極、
(B)ソース/ドレイン電極の間の支持体上に形成されたチャネル形成領域、
(C)チャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(D)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0056】
支持体として、各種ガラス基板や、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成されたシリコン基板を挙げることができる。あるいは又、支持体として、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)を挙げることができ、あるいは又、雲母を挙げることができる。このような可撓性を有する高分子材料から構成された支持体を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器への半導体装置の組込みあるいは一体化が可能となる。更には、支持体として、その他、導電性基板(金等の金属、高配向性グラファイトから成る基板)を挙げることができる。また、半導体装置の構成、構造によっては、半導体装置が支持部材上に設けられているが、この支持部材も上述した材料から構成することができる。ここで、絶縁膜として、含ケイ素系材料(SiOX、SiNY等)、酸化アルミニウム、金属酸化物、金属塩等絶縁体、あるいは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子を例示することができる。支持体の表面は、平滑であることが望ましいが、有機半導体材料層の導電性に寄与しない程度のラフネスが存在しても問題ない。
【0057】
また、支持体を構成する材料に依っては、有機半導体材料層の安定性に悪影響を与える場合があり、このような場合には、支持体表面に密着層として、例えば、シランカップリング法によるシラノール誘導体を形成させたり、CVD法等により絶縁体の金属塩・金属錯体の薄膜を形成することが好ましい。
【0058】
チャネル形成領域は、有機半導体材料層から構成されているが、場合によっては、有機半導体材料層中に導体又は半導体から成る微粒子が含まれていてもよい。即ち、チャネル形成領域は、導体又は半導体から成る微粒子、及び、該微粒子と結合した有機半導体分子から成る構成とすることもできる。具体的には、有機半導体分子が末端に有する官能基が、微粒子と化学的に結合していることが好ましく、更には、有機半導体分子が両端に有する官能基によって有機半導体分子と微粒子とが化学的に(交互に)結合することで、ネットワーク状の導電路が構築されていることが好ましい。微粒子と有機半導体分子との結合体の単一層によって導電路が構成されていてもよいし、微粒子と有機半導体分子との結合体の積層構造によって3次元的なネットワーク状の導電路が構成されていてもよい。このようにネットワーク状の導電路を構築することで、導電路内の電荷移動が、有機半導体分子の主鎖に沿った分子の軸方向で支配的に起こり、導電路には分子間の電子移動が含まれない構造となる結果、従来の有機半導体材料を用いた半導体装置における低い移動度の原因であった分子間の電子移動によって移動度が制限されることが無くなり、分子の軸方向の移動度、例えば非局在化したπ電子による高い移動度を最大限に利用することができるので、今までにない高い移動度を実現することが可能となる。
【0059】
微粒子は、導体としての金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)といった金属から成り、あるいは、これらの金属から構成された合金から成り、あるいは又、半導体としての硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化チタン(TiO2)、又は、シリコン(Si)から成る構成とすることができる。尚、導体としての微粒子とは、体積抵抗率が10-4Ω・m(10-2Ω・cm)のオーダー以下である材料から成る微粒子を指す。また、半導体としての微粒子とは、体積抵抗率が10-4Ω・m(10-2Ω・cm)乃至1012Ω・m(1014Ω・cm)のオーダーを有する材料から成る微粒子を指す。微粒子の平均粒径RAVEの範囲は、5.0×10-10m≦RAVE、好ましくは5.0×10-10m≦RAVE≦1.0×10-6m、より好ましくは5.0×10-10m≦RAVE≦1.0×10-8mであることが望ましい。微粒子の形状として球形を挙げることができるが、これに限るものではなく、その他、例えば、三角形、四面体、立方体、直方体、円錐、円柱状(ロッド)、三角柱、ファイバー状、毛玉状のファイバー等を挙げることができる。尚、微粒子の形状が球形以外の場合の微粒子の平均粒径RAVEは、球形以外の微粒子の測定された体積と同じ体積を有する球を想定し、係る球の直径の平均値を微粒子の平均粒径RAVEとすればよい。微粒子の平均粒径RAVEは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察された微粒子の粒径を計測することで得ることができる。
【0060】
本発明の半導体装置を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体に多数の半導体装置を集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各半導体装置を切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、半導体装置を樹脂にて封止してもよい。
【0061】
尚、本発明にあっては、金属から成る電極の表面と結合する電極被覆材料(即ち、金属から成る電極の表面と結合する前の電極被覆材料)を表す式と、金属から成る電極の表面と結合した後の電極被覆材料を表す式とは、電極被覆材料が電極の表面と結合するが故に、異なる場合がある。このような場合にあっては、上述した各種の式は、金属から成る電極の表面と結合する前の電極被覆材料を表す式である。
【発明の効果】
【0062】
本発明にあっては、無機物と有機物の中間の化合物であり、例えば、剛直なπ共役系を有する有機−無機ハイブリッド化合物を電極被覆材料として用い、しかも、電極被覆材料を電極(あるいはソース/ドレイン電極)と直接結合させることで、更には、例えば、有機半導体材料層を構成する有機半導体材料とソース/ドレイン電極とを電極被覆材料を介して結合させることによって、半導体材料層を構成する有機半導体材料とソース/ドレイン電極の間の電子授受が容易となり、結果として、例えば、半導体装置における高移動度、低コンタクト抵抗を達成することができる。
【0063】
また、金属イオンと有機配位子による錯形成反応において、両者を適切に組み合わせると、高い確率で金属−配位子結合を形成させることができる。特に、金属イオンと配位結合できる官能基を2つ以上有する有機配位子と金属イオンを反応させると、逐次的に反応が進行するため、主鎖上に金属イオンが並んだ高分子錯体を生成することができる。
【0064】
尚、有機分子を電子移動媒体とした場合、電子移動の効率は、
アルカン系分子(σ結合)<アルケン・アルキン系分子(π結合)
であることが広く知られており、更には、有機金属イオン種を有するアルケン・アルキン化合物群(d−π結合)を加味すると、
σ結合<π結合<<d−π結合
となり、電子移動の起こり易さは、d−π結合によって、接合された分子群が最も適している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1の(A)は、実施例1の半導体装置の模式的な一部断面図であり、図1の(B)は、実施例1の半導体装置のチャネル形成領域及びその近傍の概念図である。
【図2】図2は、実施例2の半導体装置の模式的な一部断面図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例3及び実施例4の半導体装置のチャネル形成領域及びその近傍の概念図である。
【図4】図4は、実施例4におけるπ共役鉄ポリマーの合成スキームを示す図である。
【図5】図5は、実施例1及び実施例3のボトムゲート/ボトムコンタクト型のTFT試作品における移動度とチャネル長の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【実施例1】
【0067】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る電極被覆材料、本発明の第1の態様に係る電極構造体、及び、本発明の第1の態様に係る半導体装置に関する。ここで、実施例1の半導体装置、あるいは、後述する実施例2〜実施例4の半導体装置は、ゲート電極13、ゲート絶縁層14、有機半導体材料層から構成されたチャネル形成領域16、及び、金属から成るソース/ドレイン電極15を有する電界効果型トランジスタから成る。そして、チャネル形成領域16を構成する有機半導体材料層と接するソース/ドレイン電極15の部分は、電極被覆材料21,121,221で被覆されている。また、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例4の電極構造体は、電極15、及び、この電極15の表面を被覆する電極被覆材料21,121,221から成る。
【0068】
実施例1の半導体装置は、より具体的には、ボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタ(FET)、より具体的には薄膜トランジスタ(TFT)から構成されており、このボトムゲート/ボトムコンタクト型のTFTは、図1の(B)に模式的な一部断面図を示すように、
(A)支持体10上に形成されたゲート電極13、
(B)ゲート電極13上に形成されたゲート絶縁層14、
(C)ゲート絶縁層14上に形成されたソース/ドレイン電極15、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極15の間であってゲート絶縁層14上に形成されたチャネル形成領域16、
を備えている。
【0069】
そして、電極被覆材料21は、式(1)で示される有機分子から成り、式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極15(あるいはソース/ドレイン電極15)の表面と結合する。
【0070】
ここで、実施例1において、式(1)中のXは無しであり、式(1)中のYは、式(3−1)、即ち、「−SH」であり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは式(4−1)であり、Z1,Z2,Z3,Z4,Z5及びZ6のそれぞれは、式(5−1)、即ち、「−H」である。電極被覆材料21は、より具体的には、式(31)で示される有機分子(テルピリジンチオール)から成る。尚、金属から成る電極の表面と結合した後の電極被覆材料21にあっては、式(31)の「−SH−」から「H」が取れて、「−S−」となる。
【0071】

【0072】
また、ゲート電極13はアルミニウム(Al)層から成り、ゲート絶縁層14はSiO2から成り、ソース/ドレイン電極15は金(Au)層から成り、チャネル形成領域16はペンタセンから成る。チャネル形成領域16及びその近傍の概念図を図1の(C)に示すが、ソース/ドレイン電極15の表面は、電極被覆材料21によって被覆されている。尚、図1の(C)において、式(31)で示される有機分子を丸印で模式的に示す。
【0073】
以下、実施例1の半導体装置を製造するための方法の概要を説明する。
【0074】
[工程−100]
先ず、支持体10上にゲート電極13を形成する。具体的には、ガラス基板11の表面に形成されたSiO2から成る絶縁膜12上に、ゲート電極13を形成すべき部分が除去されたレジスト層(図示せず)を、リソグラフィ技術に基づき形成する。その後、密着層としての厚さ0.5nmのクロム(Cr)層(図示せず)、及び、ゲート電極13としての厚さ25nmのアルミニウム(Al)層を、順次、真空蒸着法にて全面に成膜し、その後、レジスト層を除去する。こうして、所謂リフト・オフ法に基づき、ゲート電極13を得ることができる。
【0075】
[工程−110]
次に、ゲート電極13を含む支持体10(より具体的には、ガラス基板11の表面に形成された絶縁膜12)上に、ゲート絶縁層14を形成する。具体的には、厚さ150nmのSiO2から成るゲート絶縁層14を、スパッタリング法に基づきゲート電極13及び絶縁膜12上に形成する。ゲート絶縁層14の成膜を行う際、ゲート電極13の一部をハードマスクで覆うことによって、ゲート電極13の取出部(図示せず)をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0076】
[工程−120]
その後、ゲート絶縁層14の上に、金(Au)層から成るソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、密着層としての厚さ約0.5nmのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極15として厚さ約25nmの金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。これらの層の成膜を行う際、ゲート絶縁層14の一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極15をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0077】
[工程−130]
次いで、UVオゾン発生装置を用いてSiO2から成るゲート絶縁層14の表面にOH基を生成させた後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)10%のトルエン溶液に全体を浸漬して、ゲート絶縁層14の表面に、後の工程で形成する有機半導体材料層の下地層としてのHMDSの単層膜を形成する。尚、図面においては、HMDSの単層膜の図示を省略している。
【0078】
[工程−140]
その後、電極(ソース/ドレイン電極15)の表面を電極被覆材料21によって被覆する(図1の(A)参照)。具体的には、0.1ミリ・モル/リットルの式(31)に示したテルピリジンジスルフィドのクロロホルム溶液に、全体を18時間浸漬することで、テルピリジンチオール自己集合単分子膜である電極被覆材料21によって電極(ソース/ドレイン電極15)の表面を被覆した。
【0079】
[工程−150]
次いで、真空蒸着装置を用いて、ペンタセンを全面に堆積させ、チャネル形成領域16を形成した(図1の(B)参照)。ソース/ドレイン電極15の間に位置するゲート絶縁層14の上方のチャネル形成領域16の厚さを50nmとした。
【0080】
[工程−160]
最後に、全面にパッシベーション膜(図示せず)を形成することで、ボトムゲート/ボトムコンタクト型のFET(具体的には、TFT)を得ることができる。
【実施例2】
【0081】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2においては、半導体装置を、トップゲート/ボトムコンタクト型のFET(具体的には、TFT)とした。即ち、実施例2の半導体装置であるトップゲート/ボトムコンタクト型のTFTは、図2の(B)に模式的な一部断面図を示すように、
(A)支持体10上に形成されたソース/ドレイン電極15、
(B)ソース/ドレイン電極15の間の支持体10上に形成されたチャネル形成領域16、
(C)チャネル形成領域16上に形成されたゲート絶縁層14、並びに、
(D)ゲート絶縁層14上に形成されたゲート電極13、
を備えている。
【0082】
そして、ソース/ドレイン電極15の表面は、電極被覆材料21によって被覆されている。
【0083】
以下、実施例2の半導体装置を製造するための方法の概要を説明する。
【0084】
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−120]と同様の方法で、絶縁膜12上にソース/ドレイン電極15を形成する。
【0085】
[工程−210]
次いで、実施例1の[工程−130]と同様にして、支持体(より具体的には絶縁膜12)の表面にHMDSの単層膜を形成する。
【0086】
[工程−220]
その後、実施例1の[工程−140]と同様にして、電極(ソース/ドレイン電極15)の表面を電極被覆材料21によって被覆する(図2の(A)参照)。
【0087】
[工程−230]
次に、実施例1の[工程−150]と同様にして、厚さ50nmのペンタセンを全面に堆積させ、チャネル形成領域16を形成する。
【0088】
[工程−240]
その後、実施例1の[工程−110]と同様にして、全面にゲート絶縁層14を形成した後、実施例1の[工程−100]と同様にして、ゲート絶縁層14上にゲート電極13を形成する(図2の(B)参照)。
【0089】
[工程−250]
最後に、全面にパッシベーション膜(図示せず)を形成することで、トップゲート/ボトムコンタクト型のFET(具体的には、TFT)を得ることができる。
【実施例3】
【0090】
実施例3は、本発明の第2の態様に係る電極被覆材料、本発明の第2の態様に係る電極構造体、及び、本発明の第2の態様に係る半導体装置に関し、更には、本発明の第4の態様に係る電極被覆材料、本発明の第4の態様に係る電極構造体、及び、本発明の第4の態様に係る半導体装置に関する。実施例3の半導体装置は、より具体的には、ボトムゲート/ボトムコンタクト型のFETから構成されており、このボトムゲート/ボトムコンタクト型のFET(より具体的には、TFT)は、図1の(B)に模式的な一部断面図を示したと同様の構成、構造を有する。あるいは又、実施例3の半導体装置は、より具体的には、トップゲート/ボトムコンタクト型のFETから構成されており、このトップゲート/ボトムコンタクト型のFET(より具体的には、TFT)は、図2の(B)に模式的な一部断面図を示したと同様の構成、構造を有する。従って、実施例3の半導体装置の具体的な構成、構造の説明は省略する。
【0091】
そして、電極被覆材料121は、式(1)で示される有機分子から成り、式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極15(あるいはソース/ドレイン電極15)の表面と結合し、式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成する。
【0092】
ここで、実施例3において、式(1)中のXは無しであり、式(1)中のYは、式(3−1)、即ち、「−SH」であり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは式(4−1)であり、Z1,Z2,Z3,Z4,Z5及びZ6のそれぞれは、式(5−1)、即ち、「−H」であり、金属イオンは鉄(Fe)イオンである。電極被覆材料121は、より具体的には、式(32)で示される有機分子から成る。そして、式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成する。尚、金属から成る電極の表面と結合した後の電極被覆材料121にあっては、式(32)の「−SH−」から「H」が取れて、「−S−」となる。
【0093】

【0094】
あるいは又、電極被覆材料121は、金属イオンと結合し得る官能基、及び、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極15)と結合する官能基を有する有機分子から成る。そして、金属イオンと結合し得る官能基と、金属イオンとの結合によって、キレートが形成される。ここで、金属イオンと結合し得る官能基はテルピリジンであり、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極15)と結合する官能基はチオール基である。
【0095】
また、ゲート電極13はアルミニウム(Al)層から成り、ゲート絶縁層14はSiO2から成り、ソース/ドレイン電極15は金(Au)層から成り、チャネル形成領域16はペンタセンから成る。チャネル形成領域16及びその近傍の概念図を図3の(A)に示すが、ソース/ドレイン電極15の表面は電極被覆材料121によって被覆されている。尚、図3の(A)において、式(32)で示される有機分子を菱形で模式的に示す。
【0096】
実施例3の半導体装置は、実施例1の[工程−140]に引き続き、あるいは又、実施例2の[工程−220]に引き続き、以下の処理を行うことで得ることができる。
【0097】
即ち、クロロホルムで全体を洗浄後、0.1モル/リットルのテトラフルオロボレート鉄(II)(Fe2+(BF42-)のエタノール溶液に全体を1日浸漬することで、テルピリジンチオールのテルピリジン部位にFe2+イオンを結合させる。
【0098】
この処理を除き、実施例3の半導体装置は、実施例1あるいは実施例2において説明した半導体装置の製造方法に基づき製造することができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0099】
実施例4は、本発明の第3の態様に係る電極被覆材料、本発明の第3の態様に係る電極構造体、及び、本発明の第3の態様に係る半導体装置に関し、更には、本発明の第4の態様に係る電極被覆材料、本発明の第4の態様に係る電極構造体、及び、本発明の第4の態様に係る半導体装置に関する。実施例4の半導体装置は、より具体的には、ボトムゲート/ボトムコンタクト型のFETから構成されており、このボトムゲート/ボトムコンタクト型のFET(より具体的には、TFT)は、図1の(B)に模式的な一部断面図を示したと同様の構成、構造を有する。あるいは又、実施例4の半導体装置は、より具体的には、トップゲート/ボトムコンタクト型のFETから構成されており、このトップゲート/ボトムコンタクト型のFET(より具体的には、TFT)は、図2の(B)に模式的な一部断面図を示したと同様の構成、構造を有する。従って、実施例4の半導体装置の具体的な構成、構造の説明は省略する。
【0100】
そして、電極被覆材料221は、第1の有機分子及び第2の有機分子から成り、第1の有機分子は、式(1)で示される有機分子から成り、第2の有機分子は、式(6)で示される有機分子から成る。そして、式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極)の表面と結合し、式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成し、式(6)中の官能基R’1、官能基R’2並びに官能基R’1に隣接した窒素原子(隣接窒素原子A)から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成し、及び/又は(実施例4においては、より具体的には、「及び」)、式(6)中の官能基R’3、官能基R’4並びに官能基R’3に隣接した窒素原子(隣接窒素原子B)から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成する。
【0101】
ここで、式(1)中のXは無しであり、式(1)中のYは、式(3−1)、即ち、「−SH」であり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは式(4−1)であり、Z1,Z2,Z3,Z4,Z5及びZ6のそれぞれは、式(5−1)、即ち、「−H」であり、金属イオンは鉄(Fe)イオンである。そして、式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2が金属イオンと結合してキレートを形成する。即ち、第1の有機分子は、具体的には、実施例3において説明した式(32)で示される有機分子から成る。
【0102】
一方、式(6)中のX’は、式(7−5)であり(但し、n=1)、式(6)中のR’1、R’2、R’3及びR’4のそれぞれは、式(8−1)であり、Z’1、Z’2、Z’3、Z’4、Z’5及びZ’6のそれぞれは、式(9−1)、即ち、「−H」であり、金属イオンは鉄(Fe)イオンである。そして、式(6)中の官能基R’1、官能基R’2及び隣接窒素原子Aが金属イオンと結合してキレートを形成し、式(6)中の官能基R’3、官能基R’4及び隣接窒素原子Bが金属イオンと結合してキレートを形成する。即ち、第2の有機分子は、具体的には、図4の右側に示した式(33)で示される有機分子から成る。
【0103】
あるいは又、実施例4においても、電極被覆材料221は、金属イオンと結合し得る官能基、及び、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極15)と結合する官能基を有する有機分子から成る。そして、金属イオンと結合し得る官能基と、金属イオンとの結合によって、キレートが形成される。ここで、金属イオンと結合し得る官能基はテルピリジンであり、金属から成る電極(あるいはソース/ドレイン電極15)と結合する官能基はチオール基である。
【0104】
また、ゲート電極13はアルミニウム(Al)層から成り、ゲート絶縁層14はSiO2から成り、ソース/ドレイン電極15は金(Au)層から成り、チャネル形成領域16はペンタセンから成る。チャネル形成領域16及びその近傍の概念図を図3の(B)に示すが、ソース/ドレイン電極15の表面は電極被覆材料221によって被覆されている。
【0105】
予めπ共役鉄ポリマー{[Fe−BL12+・2BF4-}を調製しておく。具体的には、テトラフルオロボレート鉄(II)と有機分子BL1(図4のスキーム参照)とを1:1の割合で、エタノールとクロロホルムの1:1混合溶液中で混合することで、π共役鉄ポリマー(図4のスキームにおける式(33)を参照)を得ることができる。
【0106】
そして、実施例4の半導体装置は、実施例1の[工程−140]に引き続き、あるいは又、実施例2の[工程−220]に引き続き、以下の処理を行うことで得ることができる。
【0107】
即ち、先ず、実施例3と同様にして、クロロホルムで全体を洗浄後、0.1モル/リットルのテトラフルオロボレート鉄(II)(Fe2+(BF42-)のエタノール溶液に全体を1日浸漬することで、テルピリジンチオールのテルピリジン部位にFe2+イオンを結合させる。
【0108】
次に、エタノールで洗浄後、式(33)で示されるπ共役鉄ポリマーを含むエタノールとクロロホルムの1:1混合溶液中に全体を15分間浸漬する操作を、2回繰り返した。こうして、図3の(B)に示すように、ソース/ドレイン電極15の表面は電極被覆材料221によって被覆された状態となる。尚、図3の(B)において、式(32)で示される第1の有機分子を菱形で模式的に示し、式(33)で示される第2の有機分子を三角形で模式的に示す。
【0109】
以上の処理を除き、実施例4の半導体装置は、実施例1あるいは実施例2において説明した半導体装置の製造方法に基づき製造することができるので、詳細な説明は省略する。
【0110】
実施例1、実施例3及び実施例4においてボトムゲート/ボトムコンタクト型のTFTを試作した。尚、各実施例において、チャネル長が、それぞれ、10μm、20μm、50μm、70μm、100μmである5種類のTFTを試作した。チャネル幅は、全ての試作品において5.6mmとした。
【0111】
得られたTFT試作品のコンタクト抵抗値R(単位:kΩ)の平均値、飽和領域における移動度μ1(単位:cm2・V-1・s-1)の平均値、線形領域における移動度μ2(単位:cm2・V-1・s-1)の平均値の測定結果を、以下の表1に示す。また、実施例1及び実施例3のボトムゲート/ボトムコンタクト型のTFT試作品における移動度とチャネル長の関係(但し、Vd=−5ボルト)を図5に示す。尚、図5において、「A」で示す黒丸印は、実施例3の飽和領域における移動度μ1の測定結果を示し、「B」で示す黒三角印は、実施例3の線形領域における移動度μ2の測定結果を示し、「C」で示す黒丸印は、実施例1の飽和領域における移動度μ1の測定結果を示し、「D」で示す黒三角印は、実施例1の線形領域における移動度μ2の測定結果を示す。
【0112】
[表1]
R μ1 μ2
実施例1 5.7 0.16 0.16
実施例3 2.4 0.22 0.23
実施例4 17 0.09 0.08
【0113】
比較のために、実施例1において、[工程−140]を省略したボトムゲート/ボトムコンタクト型のTFTを試作してコンタクト抵抗値を測定したところ、30kΩ〜40kΩと非常に高い値であった。また、μ1、μ2の値は、それぞれ、
μ1=0.05
μ2=0.03
であった。
【0114】
このように、電極と、有機−無機ハイブリッド化合物(π共役錯体、π共役錯体オリゴマー、あるいは、π共役錯体ポリマー)から成る電極被覆材料とを、直接、化学的に結合させることで、金属から成るソース/ドレイン電極と、有機半導体材料層から構成されたチャネル形成領域との間の電子移動を、電極被覆材料が補助する結果、コンタクト抵抗の大幅な低減、高い移動度を実現することができた。また、共役錯体ポリマーでは、主鎖中を流れる電荷の移動の速度は、通常の有機導電性高分子よりも速いことが示されており、十分な導電性の向上は理論的にも裏付けられている。また、図5から、チャネル長が10μmの場合でも、移動度の低下は余りないことが判る。
【0115】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。半導体装置の構造や構成、形成条件、製造条件は例示であり、適宜変更することができる。本発明によって得られた電界効果型トランジスタ(FET)を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体や支持部材に多数のFETを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各FETを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。実施例においては、電極を専らソース/ドレイン電極としたが、電極は、ソース/ドレイン電極に限定されるものではなく、有機導電性高分子(導電性物質)あるいは有機半導体材料から成る層に電極から電流を流し、あるいは又、電圧を印加することを要求される分野における電極に対して、本発明の電極被覆材料を広く適用することができる。
【0116】
場合によっては、電極被覆材料を、第1の有機分子、及び、第3の有機分子から構成することもできる。ここで、第1の有機分子は、前述したとおり、式(1)で示される有機分子から成る。一方、第3の有機分子は、式(100−1)、式(100−2)、又は、式(100−3)で示される有機分子から成る。そして、式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極の表面と結合し、式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成し、且つ、式(100−1)、式(100−2)、又は、式(100−3)の官能基Y’1、官能基Y’2、官能基Y’3及び官能基Y’4から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合する。
【0117】
但し、式(1)中のXは、前述したとおり、式(2−1)乃至(2−10)のいずれかあるいは無しであり、式(1)中のYは、式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3、Z4、R5及びZ6のそれぞれは、式(5−1)乃至(5−18)のいずれかである。一方、式(100−1)、式(100−2)、又は、式(100−3)中のX”は、前述したとおり、式(2−1)乃至(2−10)のいずれかであり、式(100−1)、式(100−2)、又は、式(100−3)中のY”1、Y”2、Y”3及びY”4のそれぞれは、以下の式(101−1)乃至(101−15)のいずれかであり、W”1及びW”2のそれぞれは、以下の式(102−1)乃至(102−18)のいずれかであり、n,mは1以上の整数である。
【0118】

【0119】

【0120】

【符号の説明】
【0121】
10・・・支持体、11・・・ガラス基板、12・・・絶縁膜、13・・・ゲート電極、14・・・ゲート絶縁層、15・・・ソース/ドレイン電極、16・・・チャネル形成領域、21,121,221・・・電極被覆材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極の表面と結合することを特徴とする電極被覆材料。

但し、
式(1)中のXは、以下の式(2−1)、(2−3)乃至(2−10)のいずれかあるいは無しであり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、n,mは1以上の整数であり、あるいは又、
式(1)中のXは、以下の式(2−2)であり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3及びZ4のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであって、Z1、Z2、Z3及びZ4の全てが式(5−1)であることは無く、n,mは1以上の整数である。




【請求項2】
式(1)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極の表面と結合し、
式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成することを特徴とする電極被覆材料。

但し、
式(1)中のXは、以下の式(2−1)、(2−3)乃至(2−10)のいずれかあるいは無しであり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、n,mは1以上の整数であり、あるいは又、
式(1)中のXは、以下の式(2−2)であり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3及びZ4のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであって、Z1、Z2、Z3及びZ4の全てが式(5−1)であることは無く、n,mは1以上の整数である。




【請求項3】
電極、及び、該電極の表面を被覆する電極被覆材料から成る電極構造体であって、
電極被覆材料は、式(1)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極の表面と結合することを特徴とする電極構造体。

但し、
式(1)中のXは、以下の式(2−1)、(2−3)乃至(2−10)のいずれかあるいは無しであり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、n,mは1以上の整数であり、あるいは又、
式(1)中のXは、以下の式(2−2)であり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3及びZ4のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであって、Z1、Z2、Z3及びZ4の全てが式(5−1)であることは無く、n,mは1以上の整数である。




【請求項4】
電極、及び、該電極の表面を被覆する電極被覆材料から成る電極構造体であって、
電極被覆材料は、式(1)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成る電極の表面と結合し、
式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成することを特徴とする電極構造体。

但し、
式(1)中のXは、以下の式(2−1)、(2−3)乃至(2−10)のいずれかあるいは無しであり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、n,mは1以上の整数であり、あるいは又、
式(1)中のXは、以下の式(2−2)であり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3及びZ4のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであって、Z1、Z2、Z3及びZ4の全てが式(5−1)であることは無く、n,mは1以上の整数である。




【請求項5】
ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体材料層から構成されたチャネル形成領域、及び、金属から成るソース/ドレイン電極を有する電界効果型トランジスタから成る半導体装置であって、
チャネル形成領域を構成する有機半導体材料層と接するソース/ドレイン電極の部分は、電極被覆材料で被覆されており、
電極被覆材料は、式(1)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成るソース/ドレイン電極の表面と結合することを特徴とする半導体装置。

但し、
式(1)中のXは、以下の式(2−1)、(2−3)乃至(2−10)のいずれかあるいは無しであり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、n,mは1以上の整数であり、あるいは又、
式(1)中のXは、以下の式(2−2)であり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3及びZ4のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであって、Z1、Z2、Z3及びZ4の全てが式(5−1)であることは無く、n,mは1以上の整数である。




【請求項6】
ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体材料層から構成されたチャネル形成領域、及び、金属から成るソース/ドレイン電極を有する電界効果型トランジスタから成る半導体装置であって、
チャネル形成領域を構成する有機半導体材料層と接するソース/ドレイン電極の部分は、電極被覆材料で被覆されており、
電極被覆材料は、式(1)で示される有機分子から成り、
式(1)中の官能基Yが、金属から成るソース/ドレイン電極の表面と結合し、
式(1)中の窒素原子、官能基R1及び官能基R2から成る群から選択された少なくとも1種類が金属イオンと結合してキレートを形成することを特徴とする半導体装置。

但し、
式(1)中のXは、以下の式(2−1)、(2−3)乃至(2−10)のいずれかあるいは無しであり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであり、n,mは1以上の整数であり、あるいは又、
式(1)中のXは、以下の式(2−2)であり、式(1)中のYは、以下の式(3−1)乃至(3−12)のいずれかであり、式(1)中のR1及びR2のそれぞれは、以下の式(4−1)乃至(4−19)のいずれかであり、Z1、Z2、Z3及びZ4のそれぞれは、以下の式(5−1)乃至(5−18)のいずれかであって、Z1、Z2、Z3及びZ4の全てが式(5−1)であることは無く、n,mは1以上の整数である。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55339(P2013−55339A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227788(P2012−227788)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2006−315845(P2006−315845)の分割
【原出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】