説明

電極装置、発電装置および膜電位を得ることにより電気を発生する方法

膜外皮2を有するセル1に分路する膜電位のために設定された電極装置100は、セルを保持するように設計されたセルホルダ10と、第1の極性の少なくとも2つの電極21を有する電極支持体20とを具備し、ここで電極21は電極支持体20の1表面に延在し電極支持体20の表面に関して電気的に絶縁された突出部分として設計され、電極21はセルホルダ110がセル1でポピュレートされるとき電極21がセル1中に位置されるように構成されている。膜外皮2を有するセル1へ分路する膜電位を通して電力を発生するように設計されている発電装置200と、膜電位をセル1へ分路することにより電力を発生する方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの膜に囲まれたセル、特に多数のセル上の膜電位を得るように構成された電極装置に関する。さらに本発明は電極装置が設けられ、膜電位を得ることにより電気を発生するように構成されている発電装置に関する。最後に本発明は少なくとも1つの生体細胞または合成細胞の膜電位を得ることにより電気を発生するための方法に関する、本発明は電流の発生の場合、電気装置の動作および/または再充電可能な電池の充電に応用される。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギの供給は現在の技術の開発の最大の挑戦の1つである。持続可能で再生可能なエネルギ源により化石燃料から、一般的なエネルギ変換を置換することは特に関心がある。例えば水力または風力、太陽電力又は地熱エネルギに基づくエネルギ源に加えて、生体材料に基づくエネルギ源は再生可能なエネルギ源の中で重視されている。
【0003】
生体材料を使用するエネルギ変換の主要な概念はバイオガス(主としてメタン)または水素の発生および燃焼に基づいている(J Niessen et al.、“Letters in Aplied Microbiology”、41巻、2005年、286−290頁を参照)。バイオガスからのエネルギ変換は燃焼中に発生される二酸化炭素および、例えばアンモニアと硫化水素のような副産物の発生による欠点があり、これは高価な清浄ステップを必要とする。さらに別の概念は例えば砂糖のような高分子の酵素分解に基づいて動作するいわゆるバイオ燃料セルに基づいている(R. F. Service、“Science”、296巻、2002年、1223頁を参照)。これらの概念はまた日常の応用を発見しておらず、エネルギが生じたときに、エネルギ変換の限定された安定性および高い価格となる欠点がある。
【0004】
細胞生物学では、真核生物細胞はセル膜を横切って膜電位を形成することが通常知られている。細胞獏はイオン転送のために配置されている膜部分を含んでいる。イオンポンプとイオンチャンネルを有するこれらの膜部分は以下、イオンポンプとして簡潔に指定される。膜電位を形成する電子化学的勾配は細胞膜を横切るイオン転送により発生される。膜電位は電気生理学的方法で測定されることができる(例えばE. Neher、“Science”、256巻、1992年、498−502頁; W. Baumgartner et al.、“Biphysical Journal”、77巻、1999年、1980−1991頁;DE 101 08 968 A1;またはDE 198 27 957 A1を参照)。
【0005】
膜電位の通常の電気生理学的測定は図8に概略的に示されている。生体細胞1’はピペット10’を使用して培養媒体3’中に保持される。陽極22’が培養媒体3’へ浸され、陰極21’は絶縁方法で培養媒体3'から細胞1'の内部へ突出している。陽極22'と陰極21'は得られた膜電位を表す電気信号を使用して増幅器30'に接続され、増幅され、さらに処理するための準備が行われる。ピペット10'は細胞ホルダを形成し、これは例えば接着セルでの測定で実際に知られているように細胞1’が配置されている培養媒体3'の基板よって置換されることができる。
【0006】
図8による通常の測定装置の応用は個々の細胞における膜電位の測定に限定される。チップ直径が100nmを超えるガラス電極又は金属充填ガラスの毛細管が陰極21'として使用されているので、陰極21’に関する細胞1’の低い許容度と高い測定抵抗に対する限定により問題が生じる。したがって、10μmを超える直径を有する電極は例えば細胞によって数時間にのみ許容されることができる。測定抵抗は100Mオームの程度の大きさであり、その結果として得られる電流は最小の充電に限定される。
【0007】
複数の電極を有する膜電位の電気生理学的測定はDE 10 2005 030 859 A1に記載されている。絶縁プレートは1又は複数の細胞の支持体として使用される。導電性表面を有する電極はプレートを通って少なくとも1つの細胞へ突出する。高い電気密封抵抗は少なくとも1つ載せるとプレートとの間の機械的接触により実現されなければならないことは不都合である。結果として電極の高い最小間隔と、限定された信号振幅が生じる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、膜で囲まれたセル(細胞)で膜電位を得るのに適している改良された電極装置を提供すること、およびそれを使用して従来の技術の欠点を克服することである。さらに本発明の目的は、生物材料を使用して電流を発生する改良された発電装置を提供することであり、これを使用して通常の発電装置の制限は克服され、増加されたサービス年数と、改良された動作の安定性及び価格の減少により特に卓越している。特に電気の発生のため生物材料を使用してエネルギ変換するための改良された方法を提供することも本発明の目的であり、これを使用して生物材料に基づく通常の再生可能なエネルギ源の欠点は防止されることができる。
【0009】
これらの目的は独立請求項の特徴を有する電極装置、発電装置および方法によって達成される。本発明の有効な実施形態及び応用は従属請求項から得られる。
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、前述の目的は本発明の電極装置により実現され、この電極装置は膜で囲まれたセルにおける膜電位を得るように構成され、セルの接着固定のためのセルホルダと第1の極性の少なくとも2つの電極を備えた電極キャリアを有し、それら2つの電極は電極キャリアの表面上の突出部分として形成され、電極キャリアの表面に関して電気的に絶縁されている。本発明によれば、電極キャリアはセルホルダによりセルが支持されているとき電極が同時にセルに突出するように形成される。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば、この目的はセルで膜電位を得る(導電する)手段により電流を発生するように構成され、前述の第1の特徴による電極装置と、少なくとも1つのセル、好ましくはセルホルダの表面上に構成されている多数のセルを有する発電装置により実現されることができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば、この目的は前述の第1の特徴による電極装置のセルホルダ上で接着状態で配置されているセル上の膜電位を得る手段により電流を発生する方法により実現され、電流は電極と少なくとも1つのカウンタ電極とにより得られ、このカウンタ電極はセルと直接電気的に接触しているか、例えば導電媒体を介して間接的に電気接触している。
【0013】
電極の増加された安定性を有する電極構成と、通常の技術と比較して改良された構成は少なくとも2つの電極を有する電極キャリアにより実現される。通常の技術と比較して減少された電極直径を有する電極の形成は、特に電極に関してセルの許容度が改良される結果として可能にされ、測定抵抗は減少される。
【0014】
本発明以前には、電気を発生するための電位の獲得を使用することが知られていない。膜電位を得ることは、例えばゼノパス卵細胞のような強いイオン転送を有するセルの場合でさえも200mVで100μAまでの電流しか生じないことが知られているので(上記Baumgartnerの論文参照)、エネルギ変換、特に発電のための膜電位の使用は本発明以前には考えられていなかった。対照的に、増幅器を備えた測定システムを取り付けることもさらに付加的に必要とされ、これがなければ、極めて小さい電流と電圧の電気生理学的測定は可能ではない。この予想は本発明により克服される。複数の電極を有する電極キャリアは電極が少なくとも1つの、好ましくは多数のセルの内部と直接的な電気接触を行うことを可能にし、それによって同時に及び特に電気的に並列に接続される。本発明者は電極キャリアの使用によって、膜電位を得ることはスケール可能であり、したがって実用的ではない小さい電流に対する限定は克服されることができることを認識している。さらに、並列回路、直列回路または並列回路と直列回路の組合せにより実際の応用の状態に基づいて発電装置の電流強度および/または電圧を設定することが可能である。
【0015】
本発明は以下のさらに別の利点を有する。本発明による発電装置は負荷回路に巨視的な電流を供給するのに適している再生可能な電力源を構成する。セルの接触は電極装置の電極でセルの自己統合により行われる。電極キャリアは電極の突出部によりナノまたはマイクロ構造にされた表面を有する。この構造のために、突出部へのセルの結合、したがって電極のセルへの適応及びそれらの接触は強化される。本発明のさらに別の利点は発電装置の環境的な適応性と持続可能性および電気発生の気候の中性である。
【0016】
本発明の応用に応じて、単一の電極のみが電極キャリアに設けられ、および/または膜電位が単一のセルから得られれば十分である。これらの変形はしたがって同様に本発明の主題に属する。
【0017】
用語「セル」(またはセル素子、コンパートメント)は通常、膜により囲まれた液体領域に関し、膜はセルの内部の液体領域と液体との間に膜電位、例えばセルの周囲に培養媒体を発生するように適合されている。膜はイオンポンプ(イオンチャンネル)を形成するプロテインを含んでおり、セルの外部周囲とセルの内部との間のイオン転送用に適合されている。
【0018】
本発明による発電装置はしたがって、自然的にイオンポンプを含んでいる培養された生体細胞の電気化学膜電位、または膜に統合されるイオンポンプを含んでいる小嚢の内部と外部の周囲間に電位を設ける合成脂質小嚢(「ファントムセル」)の電気化学膜電位が電気の発生に使用される点で生物材料の使用に基づいている。
【0019】
生体細胞は、膜電位を形成する能力がイオンポンプが存在するために自然に存在するという利点を有する。真核細胞または例えばバクテリアのような原核細胞は生体細胞として使用されることができ、ここで真核細胞はそれらの寸法が大きいという理由で好ましい。小嚢の膜中のイオンポンプは通常は好ましくは変形された生体細胞を使用して、それ自体が知られているバイオ技術方法を使用して与えられる。細胞の寿命はプロテインが連続して新しく形成されている不滅にされた細胞の使用によって増加されることができ、それらの折り状態は監視され、可変の条件に適合される。
【0020】
合成セルはセルの寿命が生きた生体細胞と比較して増加されることができ、生体細胞の培養条件の場合よりも環境的条件に課された条件が厳しくないという利点を有する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、電極はセルホルダの表面に関して電気的に絶縁されている突出部分として形成される。特に好ましくは、各電極はその自由端部を除いて電極を囲んでいる絶縁被覆を有する。絶縁被覆は電極の自由端部を残して電極の縦方向に延在する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、前述の電極に関して反対の第2の極性の少なくとも1つのカウンタ電極が設けられ、その少なくとも1つのカウンタ電極は電極キャリアの表面上および/または電極キャリアから分離されたカウンタ電極キャリア上に形成されている。電極に関する予め定められた位置における少なくとも1つのカウンタ電極の提供は、セルに均等に電流を流すために電極および少なくとも1つのカウンタ電極の相互の幾何学的整列の最適化を可能にする利点がある。
【0023】
少なくとも1つのカウンタ電極は、電極キャリアおよび/またはカウンタ電極キャリア上に均一な導電性の層または多数の導電性の電極層セグメントを具備することができる。均一な導電性層は多数のセル、例えば電極キャリアの表面上のセル単分子層との電気接触が単一のカウンタ電極により発生されることができるという利点を有する。導電性の電極層セグメントはそれらが制御可能であり、例えば個別に負荷回路へ接続されるように構成される。個別に制御可能な電極層セグメントはセルの閉じていない層がホルダ装置の表面上に設けられるときに利点を有する。さらに電極層セグメントは電極層セグメントと、反対極性の電極との間の短絡回路を防止するという利点を有することができる。代わりに又はさらに、カウンタ電極はセルの周囲のイオンを含んだ媒体中へ浸される電極ロッドを具備することができる。
【0024】
特に好ましいのは、電極キャリアとカウンタ電極キャリアの少なくとも1つはセルホルダを構成することである。本発明によれば、膜電位が得られるセルは、電極キャリアおよび/またはカウンタ電極キャリアに直接接着して固定されることができる。
【0025】
負または正電位は転送されたイオンの特性にしたがってセルの外部周辺に関してセルの内部で形成することができる。セルの内部に突出し、セルの外部と直接的または間接的な電気接触をする少なくとも1つのカウンタ電極を有する電極は互いに反対の極性を有する。外部周辺に関して内部の負の電位では、電極は陰極を形成し、一方少なくとも1つのカウンタ電極は少なくとも1つの陽極を形成する。電位を反対にすると、電極は陰極を形成し、カウンタ電極は陽極を形成する。
【0026】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、電極キャリアは、電極層、絶縁層およびカウンタ電極層を有する多層構造を有し、電極は絶縁層及びカウンタ電極層を通って電極層から電気的に絶縁されてカウンタ電極層の表面上に突出する。全ての電極とカウンタ電極を有する電極キャリアの特にコンパクトな構造がしたがって生成される利点がある。
【0027】
一方における電極と少なくとも1つのカウンタ電極間の接触と、他方におけるセル間の接触は、電極および/またはカウンタ電極の少なくとも一方が電極表面とセル膜との間の相互作用を増幅する被覆を有するならば改良される利点が得られる。導電性は増加されることができ、接触抵抗は被覆によりセルと電極および/またはカウンタ電極間で減少される利点が得られる。電極キャリア表面上で突出する電極は膜のエンドサイトーシスを活性化する被覆を有することが好ましい。エンドサイトーシスが活性化する被覆はセルの内部への電極の適応が容易にされるという利点を有する。例えばエンドサイトーシスが活性化する被覆は生体細胞の自然の細胞の動きのために生体細胞が電極をアクチブに適合させ、それによって電極はセルの内部で接触を形成する。代わりに又は付加的に、少なくとも1つのカウンタ電極は接着を促進し、および/または導電性を増加する被覆を有することができる。有効に、電極又はカウンタ電極の表面に対するセルの接着結合はそれ故、強化される利点がある。さらに、多数のセルを有する層で生じる穴の閉鎖が刺激される。
【0028】
電気発生のための膜電位の本発明による使用は、セルの内部に突出する電極が通常の電気生理的測定の場合よりも小さい直径を有するならば促進されることができる。好ましくは電極の直径は10μmよりも小さく、特に好ましくは例えば500nm未満、特に100nm未満、例えば10nm未満から例えば2nmまたは1nmまでの1μmよりも小さい。小さい直径を有する電極は有効にセル、特に生体細胞によりさらに良好に許容される。したがって、電気発生の長期間の安定性が改良される。さらに、各電極とセルの内部との間の抵抗は減少されることができる。電極は特にμm範囲以下(いわゆるナノワイヤ)の直径を有する導体の構成を含むことができ、これはセルの内部と外部周辺との間に形成される電圧電位の収集を改良する。
【0029】
電極の自由電極表面、例えば電極のチップが少なくとも10nm、好ましくは少なくとも100nm、特に好ましくは少なくとも1μm、例えば50μm以上からmmの距離である電極キャリアの表面からの間隔を有するならばさらに有効である。これはセルの内部の電極の確実な位置付けを可能にする。mm範囲までの直径を有する合成細胞は特に確実に接触されることができる。
【0030】
本発明によれば、2個以上の電極が設けられることができる。本発明の好ましい変形によれば、例えば少なくとも10個、特に少なくとも100個、例えば少なくとも1000個、例えば10,000個以上の電極が設けられる。電極は好ましくは相互に電気的に接続される。電極は特に好ましくは電極キャリアの表面から突出し、反対極性の少なくとも1つのカウンタ電極から電気的に絶縁されている電極チップの1または2次元のアレイを形成する。電極キャリア上に多数のセルを設ける場合の電極の電気接続により、膜電位は有効に同時に全てのセルで得られることができる。
【0031】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、セル、特に生体細胞および/または合成小嚢は電極キャリアの表面上に閉じられたセル層を形成する。個々のセルの膜電位の発生器のリード線は並列に接続され、したがって本発明による発電装置の出力電流を有効に増加する。1cmの支持装置の表面上の生体細胞の培養により、7μWの総電力が発生されることができる。したがって性能は同じ面積の太陽電池の性能に匹敵する。光起電性効果に基づく太陽電池と対照的に、本発明による発電装置は完全に光と独立して動作されることができる。これは太陽電池よりも必要とする場所が少なく、受ける動作条件の限定が少ない。
【0032】
本発明により発生された電流の使用の種々の変形が有効に存在する。第1の変形によれば、電極及び少なくとも1つのカウンタ電極は負荷回路に直接接続されるように構成される。負荷回路へのケーブル接続が設けられることができる。これを使用することにより膜電位の獲得とイオンポンプの活動という有効な効果が直接得られる。第2の変形によれば、再充電可能な電池装置への接続が行われることができる。再充電可能な電池装置は通常、例えば電気化学的な再充電可能電池または予め定められたキャパシタンスを有するキャパシタのような電気エネルギ蓄積装置であり、その具体的な構成は発電装置の具体的な応用の要件にしたがって選択される。再充電可能な電池装置は本発明にしたがって発生された電気で充電されることができ、これは負荷回路が直接電極に接続されず、むしろこれらから結合を外される利点を有する。したがって例えば発電装置の少なくとも1つのセルの急速な負荷変化のような負荷回路の破壊的効果が防止されることができる。
【0033】
培養装置は本発明の発電装置のさらに有効な特徴により与えられることができる。培養装置はイオンを含んだ媒体をセルの周辺へ供給するように適合される。イオンを含んだ媒体は液体(例えば培養媒体)であり、これを使用してセルは供給され再生されることができる。生体細胞の使用の場合、培養装置は細胞生物学から知られているように培養媒体の容器と、培養媒体をセルホルダ上のセルへ供給するための供給装置とを具備している。イオンを含んだ媒体により、イオンはセルの周囲に連続的に与えられ、そのイオンはセルの内部へのイオンポンプの動作下で転送され、それによって膜電位を設定する。
【0034】
本発明のさらに別の有効な特徴によれば、セルはそれらの内部に少なくとも1つのイオン結合物質を含み、セルの寿命または安定性の利点を得られる。イオン結合物質はセルの内部でバッファとして作用する。膜を通して内部に転送されるイオンはイオン結合物質により集められる。したがって特に生体細胞の場合、発電装置の寿命は増加される。イオン結合物質により、セルの被毒が抑制されるか完全に防止される。イオン結合物質(イオン捕獲物質)は例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アスコルピン酸(ビタミンC)またはグルタチオンを含んでいる。
【0035】
本発明による発電装置の好ましい応用は、身体のインプラント、例えば心臓のペースメーカーまたは補聴器のような比較的低電力の電気装置の電気供給の場合に存在し、発電装置の拡張性により、家庭用装置のような増加された電気消費を有する装置に供給することも可能である。身体のインプラントの供給では、発電装置はインプラントを接合する組織を特に供給する身体の栄養素を直接供給されることができるので特に有効である。
【0036】
本発明のさらに詳細及び利点を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による発電装置の実施形態の概略的な拡大断面図である。
【図2】本発明による発電装置の実施形態の概略的な拡大断面図である。
【図3】本発明による発電装置の実施形態の概略的な拡大断面図である。
【図4】本発明による発電装置のさらに別の実施形態の概略断面図である。
【図5】本発明による発電装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図6】発電装置を製造するための基板として使用されることができる構造表面の図および例えば図5による電極装置の場合における電極/カウンタ電極対の写真図である。
【図7】培養装置を有する本発明による発電装置のさらに別の実施形態の概略断面図である。
【図8】膜電位の通常の電気生理学的測定の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態を電極装置、発電装置、それらの動作方法の好ましい特徴を参照して以下説明する。細胞生物学的及び電気化学的特徴、例えば膜電位の生成、接着セルの培養条件の規定、脂質膜へのイオンポンプ(及びチャンネル)を形成するプロテインの統合については、本質的に細胞生物学及び電気化学から知られているのでここでは説明しない。本発明の構成は例示として説明される生体又は合成細胞のタイプに制限がなく、したがって荷電粒子、特にイオンを膜と通して転送する手段によって膜電位を形成するのに適した全ての膜に囲まれたセルで可能であることを強調する。
【0039】
本発明の実施形態を2つのセル(図1乃至3)またはより多くのセル(図3、4)を有する電気発生を例示により参照して説明する。本発明の構成は説明された例に限定されないことを強調する。本発明による発電装置の構造、特にその寸法およびセルを供給するための装置は本発明の適用の実際の条件にしたがって選択及び適合されることができる。
【0040】
以下、本発明の実施形態を例示により参照すると、電極キャリアの表面上の電極は陰極であり、少なくとも1つのカウンタ電極は陽極である。この極性の割当てによって、電気の発生はセルの内部へまたはセルの内部からのイオンを転送する手段により形成される膜電位を得る手段により発生される。例えばNa−Kポンプが2つのみのポタシウムイオンを3つのナトリウムイオンのセルへポンプし、ナトリウムイオンはセルからポンプされるので膜電位が形成される。電極は陰極を構成し、少なくとも1つのカウンタ電極は陽極を構成するので、反対にされた極性を有する本発明の構成はしたがって可能である。
【0041】
図1によれば、発電装置200は、同時に電極キャリア20とカウンタ電極キャリア30を形成するセルホルダ10を備えた電極装置100を具備する。電極キャリア20は電極として陰極21を構成し、カウンタ電極として陽極22を構成し、その表面上にセル1が配置される。電極装置100はイオンを含んだ媒体3を含む発電機の容器11中のセル1を有して配置され、培養装置に接続されることができる(図1には示されていない)。
【0042】
電極キャリア20は下部陰極層23、中間絶縁層24、上部陽極層25からなる多層構造を具備し、これは同時に陽極22と接着状態でセル1を適合するための表面を形成する。セル1の膜シェル2の外部は陽極23と直接電気的に接触をしている。陰極層23と陽極層25は電気ケーブル41を経て負荷回路40および/または再充電可能な電池装置(概略的に示している)へ接続されている。陰極層23、絶縁層24、陽極層25からなる層構造の生成を図4と5を参照して以下さらに詳細に説明する。
【0043】
陰極21は陽極層25を通って陰極層23から尖った突出部としてその表面上から発電装置の容器11へ突出する。陽極23に関する陰極21の電気的絶縁のために、絶縁層24は絶縁シェル26を形成し、これは各陰極21において陰極21を包囲している。絶縁シェル26は少なくとも陽極層25の厚さに等しい長さで陰極21の縦方向に延在する。好ましくは、絶縁シェル26は図1に示されているように陽極層25の表面上に発電装置の容器11中へ延在し、それによって陰極21と陽極22の電気的絶縁を改良する。絶縁シェル26の軸方向の長さは陰極21(陰極チップ)の自由端部が発電装置の容器11中で露出されるように選択される。
【0044】
通常、陰極21は好ましくは、炭素、不活性金属、例えば金またはドープされた半導体で構成されている。絶縁層24は例えば金属酸化物のようなセラミック層により形成される。陽極22は同様に好ましくは炭素、不活性金属又はドープされた半導体で構成される。
【0045】
膜シェル2を有するセル1は陰極21が絶縁シェル26と共にセル1の内部へ突出するように陽極層25の表面上に配置される。各陰極チップは内部セル材料、例えば生体細胞の場合にはセルプラズマ、また合成細胞の場合には小嚢の内部媒体と直接電気的に接触する。セル1は例えば生きた生体細胞であり、例えば上皮細胞または線維芽細胞である。発電装置の容器11中のイオンを含んだ媒体3は例えば生理学的な食塩水のような培養媒体を含んでおり、そこからイオンが膜シェル2を通ってセル1の内部へ転送される。このプロセスで形成される膜電位は電気ケーブル41を介して得られる。膜シェル2中のイオンポンプがセル1の内部と外部媒体との間の負荷の均衡を検出するとすぐに、セル1の内部へのイオン転送がさらに行われる。
【0046】
例えば電気の発生に使用されることができる生体細胞は、心筋細胞(HL1)、上皮細胞または線維芽細胞(例えばREF−52)を含む。線維芽細胞はこれらが固体表面上、特に陽極層25または絶縁層24(以下を参照)の表面上において安定で長続きし自己修復する閉じた単分子層を形成するので特別な利点を有する。
【0047】
NRK細胞(「正常なラット腎臓」細胞、特にNRK線維芽細胞)が生体細胞として使用されることが有効である。NRK線維芽細胞は例えばJ. J. Torresの文献“Am, J. Physiol. Cell Physiol”(287巻、2004年、C851-C865頁)に記載されている。NRK細胞は安定な短文歯槽を形成し、個々のセルは膜チャンネル(いわゆる「ギャップ接合」)を介して接続される(前述の文献の図1Cを参照)。膜チャンネルはセルの効率的な電気接続を行い、したがって特に電極密度の関数として本発明による発電装置の容量の明白な増加を確実にする。細胞の高い生存率を生じることができる電極密度の同時の減少の場合では、直接穿孔されていないセルもシステムに結合されるので、丁度容量程度の高さまたはさらに増加された容量である容量が実現される。
【0048】
生体細胞は、電気性能を増加するために、例えばあるイオンチャンネルとポンプの過剰発現により顕著になる安定な細胞クローンを形成するように本質的に知られた生体分子方法を使用して操作されることができる。例えばコネキシン分子(前述のギャップ接合チャンネルのコンポーネント)の過剰発現手段によって、前述の電位に関してイオンチャンネル/ポンプの発現に類似して、任意の所望のセルまたは小嚢の電気結合/キャパシタンスは人工的に増加されることができる。
【0049】
単一又は多層膜シェルを備えた合成小嚢は本質的に知られている標準的な技術で生成されることができる(例えばA. Moscho et al、“Proc. Natl. Acad. Sci.”、93巻、1996年、11443-11447頁)。例えば直径が1μmから50μmの範囲または50μmを超える小嚢が与えられることができる(いわゆる巨大小嚢)。電極装置上でのセルの自己統合は接着促進被覆および/またはエンドサイトーシス活性化被覆を有する電極表面の生物機能化によりサポートされる。
【0050】
発電装置200の変更された実施形態は図2に概略的に示されており、ここでは電極装置100のセルホルダ10または電極キャリア20は陰極21を有する陰極層23と絶縁層24のみを有している。発電装置の容器11中の媒体3に浸された電極ロッド27がカウンタ電極(陽極)として設けられている。
【0051】
発電装置200のさらに変更された実施形態は図3で概略的に示されており、ここではセルホルダ10は陽極22を有する陽極層25を具備し、陰極21を有する電極キャリア20はセルホルダ10から距離を隔てて配置されている。電極キャリア20は、電極キャリア20からセルホルダ10方向に突出する陰極21がセルホルダ10上に配置されたセル1の内部へ突出するように発電装置の容器11中の媒体3に配置されている。
【0052】
電極キャリア20は陰極層23と、各陰極21の絶縁シェル26を有する絶縁層24とを具備する。陰極21と陰極層23は絶縁層24と絶縁シェル26によって発電装置の容器11中の媒体3と陽極22に関して電気的に絶縁されている。陽極層25と陰極層23は電気ケーブル41を介して負荷回路40および/または再充電可能な電池装置へ接続されている。
【0053】
図1乃至3の実施形態はさらに以下のように変更されることができる。第1に、3以上の陰極が設けられることができる(以下の説明、図4、5を参照)。さらに、図1乃至3の変形では陰極は2つの分離された電極キャリアに一体化され、2つの面からセルへ突出するように組み合わせられることができる。陰極、絶縁及び陽極層からなる多数の層構造はさらに層、例えば支持層を有することができ、その層によって多数の層構造が安定化され、それは例えばプラスティックから形成される(図6B参照)。
【0054】
図4および5は本発明の変更された実施形態を示しており、それにおいて陰極のアレイは概略断面図(図4、断面)および概略斜視図(図5)で与えられている。この実施形態はセル層、特に単分子層で膜電位を得ることにより電気の発生に特に適している。しかしながら明瞭にする目的で、個々のセルだけが図4および5に示されている。
【0055】
図4と5の実施形態では、電極キャリア20は図1を参照して前述したように、陰極層23、絶縁層24、陽極層25からなる多数の層構造を具備している。陰極層23と陽極層25は電気ケーブル41を介して負荷回路40および/または再充電可能な電池装置に接続されている。電流測定装置42が設けられることができ、これは図5で例示として示されている。
【0056】
陰極21は絶縁シェル26で囲まれており、陽極層25を通して発電装置の容器11中へ突出する。発電装置の容器11は液体管51を介して培養装置50(概略的に示されている)に供給及び排出されるイオンを含む媒体3で充填されている。培養装置50はさらに温度制御装置(図示せず)を有することができ、これによって発電装置の温度は例えばセルの生理的温度に設定されることができる。
【0057】
接着促進(および導電性増加)被覆28が陽極層25の表面上に設けられ、この被覆は例えばフィブロネクチン、ラミニン、ペプチド、例えばRDG配列又はコラーゲンを含んでいる。陰極21の露出されたチップはエンドサイトーシス活性化被覆29を有し、これは例えば分子で構成され、これを使用して例えばレクチンまたはSNAREプロテイン(溶性のエチルマレイミド感受性因子付着受容プロテイン)のようなセルの膜結合強度は局部的に変化されることができる。
【0058】
陽極層25の表面の寸法は、電気の発生に貢献する発電装置200の所望される電力、したがってセル1の所望される数との関数として選択される。本発明によれば、電極装置100は10、100、1,000、10,000またはそれ以上のセルを適合するために与えられることができる。したがって陰極21の数は10、100、1,000、10,000またはそれ以上であることができる。特に好ましくは陽極層25の面積は少なくとも1cmの寸法を有する。
【0059】
例えば線維芽細胞の場合のような約30μmのセル直径では、100,000以上の細胞と、したがって適切ならば100,000以上の陰極が設けられることができる。理論的評価は生体細胞の使用において、単位cm当り約10μWの総電力が結果として生成され、それによって例えば10mWのような高い電力が合成小嚢で実現されることができる。
【0060】
電極装置100の生成は数マイクロメートルの長さと100nmより小さい直径を有する電極を生成できる方法により行われる。第1に、通常のリソグラフィおよび深い反応性イオンエッチング(DRIE)によりトップダウン処理として陰極21を生成することが可能である(C. Greiner et al. 、“Langmuir”、23巻、2007年、3495-3502頁を参照)。この方法を使用して、数マイクロメートルの陰極の長さが実現されることができる。光リソグラフィを使用する場合、陰極の直径は数100nmに限定される。DRIE方法が電子ビームの構造化またはナノ粒子或いはブロック共重合体ミセルリソグラフィと組み合わせられるならば、相対的な小さい構造が生成されることができる。
【0061】
代わりの変形によれば、陰極は付着技術(ボトムアッププロセス)、気体−液体−固体付着(VLS方法)により構成されることができ、またはメタルハライド還元(MHR方法)が与えられる。後者の場合、共晶層をシリコンウエハ上に形成するメタルシード結晶が物理的気相付着によりシリコンナノワイヤの成長で使用される(Schubert et al. 、“Applied Physics Letters”、84巻、2004年、4968-4970頁を参照)。第2のケースでは、陰極はシード結晶としてメタルハライドを使用して形成されることができる(P. Yang et al. 、“JACS”、129巻、2007年、7228-7229頁を参照)。
【0062】
さらに別の方法によれば、陰極21はニッケルまたは鉄をベースとされたシード結晶から、炭素に富む環境で成長する炭素ナノチューブにより形成されることができる(C. J. Lee et al. 、“Chemical Physics Letters”、323巻、2000年、554-559頁を参照)。
【0063】
電極装置はまたWO 2007/096082A1に記載されている構造化方法の適用により生成されることもできる。この場合、以下の多ステップ方法が行われることが好ましい。第1のステップで、規則的又は不規則に分配されたスレッド配置を有するポリマー材料の表面はWO 2007/096082A1に記載されているように、スレッドの溶解及びその後のローラーによるドローイングにより生成される。この文献はここでは参考文献として本願の説明に含まれている。図6のAでは、このような方法で構造化されたポリマー表面12.1を有する電極装置を生成するための成形されたピース(ダイ)が例示として示されている。さらに次のステップでは、構造化された表面12.1はその後金、SiOおよび/またはSiから作られた層で被覆され、ここで説明する層及び電極構造を形成するために構造化される。被覆は例えば物理的蒸着を含んでいる。層の厚さは実際の応用の条件にしたがって選択され、特に金の層の導電性とSiOおよび/またはSi層の絶縁特性を考慮する。その後、真核細胞の細胞質と導電性の金属層との間の電気接触を設けるため、絶縁するSiOおよび/またはSi層は湿式化学エッチングまたは反応性イオンエッチングにより電極チップから除去される。最後に、セルへの電極の貫通及びそれらの固定および生存率を最適化するために、表面の生物機能化は本質的に知られている技術を使用して後続する。
【0064】
図6のBは走査電子顕微鏡(SEM)で撮影された(グラフィックにマークされている)本発明による単一の陰極21を有する電極装置の一部の写真表示を示している。支持層12上で、層構造は、それぞれの場合に金から作られ、SiOから作られる絶縁層24によって分離されている陰極層23と陽極層25を具備している。陰極21は陽極25の孔を通してナノワイヤとして成長し、陰極層23はシード結晶として使用されている。陰極21は陽極層25の表面に垂直に延在する。
【0065】
図7は本発明による(電気ケーブルなしに概略的に示されている)発電装置200を収納するように設けられ、培養装置50(概略的に示されている)に接続されている発電装置の容器11をさらに詳細に示している。発電装置200は発電装置の容器11中に位置され、および/または発電装置の容器11のベースに一体化されることができる。発電装置の容器11は下部11.1と上部11.2の間に形成されている。下部11.1は円筒形の凹部を有し、そこに発電装置200が組み込まれている。上部11.2は下部11.1に隣接して円錐状に形成され、上部11.2の上側方向に円筒形に形成された凹部を有する。発電装置の容器11の傾斜された限界は気泡の排出に有効であり、円錐領域により形成される。円筒形の領域は発電装置の容器11の囲い11.3のベースを形成する。このため上部11.2の接続ピース11.4には囲い11.3上の内部ねじと結合する外部ねじが設けられている。囲い11.3は密封リング11.31と換気孔11.32を含んでいる。
【0066】
発電装置の容器11を培養装置50の部分へ接続する液体管51は下部11.1に一体化される。液体管51は媒体の流入を設定するための弁53と媒体の流入を濾波するセラミックフィルタ54が設けられた各ケースに存在する結合領域52を有する。下部11.1の上面と下部11.2の下面は相互に適合する形状で形成される。密封体11.5は下部11.1と上部11.2との間に与えられる。下部11.1と上部11.2は例えば螺子またはスナップラッチ接続を形成する接続装置11.6により相互に結合される。同時に接続装置11.6は多数の発電装置の容器11を積層するためのガイドを形成することが有効である。したがって接続装置の突出部11.7は上部11.2の上側に設けられ、接続装置11.6の凹部11.8は上部11.2の上面に設けられ、接続装置11.6の凹部11.8は下部11.1の下面に設けられ、この突出及び凹部は相互に相補的な形状を有する。突出部11.7は例えば螺子接続の螺子ヘッドにより形成される。
【0067】
本発明により使用される発電装置の容器は好ましくは積層されることができる。多数の発電装置の容器11の組み立てられた状態では、上部の発電装置の容器11は下部の発電装置の容器11上に位置され、それにおいて下部の発電装置の容器11の突出部11.7は上部の発電装置の容器11の凹部11.8へ突出する。図7の図に対する代りとして、突出部11.7と凹部11.8は上部11.2と下部11.1の表面上に接続装置11.6と独立して形成されることができる。
【0068】
前述の説明、図面、請求項で開示された特徴は、その異なる実施形態において個別的にも本発明の構成の組合せでも重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜シェル(2)を有するセル(1)で膜電位を得るように適合される電極装置(100)において、
(a)前記セルの固定のために適合されたセルホルダ(10)と、
(b)第1の極性の少なくとも2つの電極(21)を有する電極キャリア(20)とを具備し、それにおいて、
(c)前記電極(21)は前記電極キャリア(20)の表面上に突出する突出部分として形成され、前記電極キャリア(20)の表面に関して電気的に絶縁されており、
(d)前記電極(21)は前記セルホルダ(10)にセル(1)が設けられているとき、前記電極(21)が前記セル(1)中に位置されるように配置されている電極装置。
【請求項2】
前記電極(21)は前記セルホルダ(10)の表面に関して電気的に絶縁されている突出部部分として形成されている請求項1記載の電極装置。
【請求項3】
前記電極(21)はそれぞれ前記電極(21)を囲み、電極(21)の縦方向に延在し、電極(21)の1端部を自由端部にする絶縁シェル(26)を有する請求項1又は2記載の電極装置。
【請求項4】
前記電極キャリア(20)の表面上および/または前記電極キャリア(20)から間隔を有するカウンタ電極キャリア(30)上に形成されている第2の反対極性の少なくとも1つのカウンタ電極(22)を具備している請求項1乃至3のいずれか1項記載の電極装置。
【請求項5】
前記電極キャリア(20)は電極層(23)と、絶縁層(24)と、カウンタ電極層(25)とを有する多層構造を有し、それにおいて前記電極(21)は前記絶縁層(24)及び前記カウンタ電極層(25)を通って前記電極層(23)から電気的に絶縁されて前記カウンタ電極層(25)の表面上に突出している請求項1乃至24のいずれか1項記載の電極装置。
【請求項6】
前記電極はエンドサイトーシスを活性化する被覆を有し、および/または
前記少なくとも1つのカウンタ電極は接着を促進および/または導電性を増加する被覆を有している請求項1乃至5のいずれか1項記載の電極装置。
【請求項7】
電極はマイクロ電極を具備し、
その直径は10μmよりも小さく、
その先端は前記電極キャリア(20)から少なくとも10nmの間隔を有し、および/または
この電極は炭素、不活性金属またはドープされた半導体から形成されている請求項1乃至6のいずれか1項記載の電極装置。
【請求項8】
少なくとも10、特に少なくとも100の相互に電気的に接続された電極(21)が設けられている請求項1乃至7のいずれか1項記載の電極装置。
【請求項9】
前記電極(21)と前記少なくとも1つのカウンタ電極(22)は負荷回路(40)および/または再充電可能な電池装置(50)に接続されるように構成されている請求項1乃至8のいずれか1項記載の電極装置。
【請求項10】
前記セルホルダ(10)は前記電極キャリア(20)または前記カウンタ電極キャリア(30)により形成されている請求項1乃至9のいずれか1項記載の電極装置。
【請求項11】
膜シェル(2)を有するセル(1)における膜電位を得る手段により電流を発生するように構成された発電装置(200)において、
(a)請求項1乃至10のいずれか1項記載の電極装置(100)と、
(b)前記電極装置(100)の前記セルホルダ(10)上に配置された前記セル(1)とを具備する発電装置。
【請求項12】
前記セル(1)は生体細胞または合成小嚢を具備している請求項11記載の発電装置。
【請求項13】
前記セル(1)は前記セルホルダ(10)上で閉じたセル層を形成している請求項11又は12記載の発電装置。
【請求項14】
前記セル(1)は少なくとも1つのイオン結合物質を含んでいる請求項11乃至13のいずれか1記載の発電装置。
【請求項15】
イオンを含んだ媒体を前記セル(1)に供給するように構成された培養装置と、
前記電極装置(100)が接続される負荷回路(40)と、および/または
前記電極装置(100)が接続されている再充電可能な電池装置(50)とを具備している請求項11乃至14のいずれか1項記載の発電装置。
【請求項16】
膜シェル(2)を有するセル(1)における膜電位を得る手段により電流を発生する方法において、
(a)請求項11乃至15のいずれか1項記載の発電装置(200)を設け、
(b)前記電極装置(100)から電流を導出するステップを有する方法。
【請求項17】
セル(1)にイオンを含んだ媒体を供給し、
前記セルホルダ(10)上でセル(1)を培養するステップを有する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記セル(1)は自己統合により独立して前記電極を接触する生体細胞または合成小嚢を具備している請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
負荷回路(40)および/または再充電可能な電池装置(50)の電流発生のための請求項1乃至14のいずれか1項記載の電極装置(100)または発電装置(200)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−503279(P2012−503279A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527233(P2011−527233)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006469
【国際公開番号】WO2010/031506
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(594056568)マツクス−プランク−ゲゼルシャフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシャフテン エー フアウ (13)
【Fターム(参考)】