説明

電極触媒およびこれを用いた燃料電池ならびにそれらの製造方法

【課題】本発明は、オリゴマーによりホスト場を形成することで、電子伝導性部材を高分散に保持することを目的とする。
【解決手段】本発明は、電解質、電子伝導性部材、および両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーを含む電極触媒を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に使用される電極、特に固体高分子型燃料電池に使用される電極触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、一般的にリン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体高分子型燃料電池(PEFC)などがあり、なかでも固体高分子型燃料電池(PEFC)は、常温で起動でき、電解質の散逸の問題が少なく、高電流密度などの利点を有する。しかし、活性化過電圧は電極触媒量や触媒表面積、実際の反応に関与する触媒の利用率に依存する。特に、固体高分子型燃料電池においては、電解質が固体であるために、反応場所が電極と膜との接触界面に限定され、触媒(主に白金)の利用率が低下するという問題があり、三相界面の面積を増大させる課題がある。また、電解質膜が含水状態で良好な伝導性を有するために不可欠であるため膜の水分管理などの問題などもあり、膜の水分管理は重要な課題である。
【0003】
かかる三相界面の面積を増大させる技術として、特許文献1がある。特許文献1には、フラーレン、通常溶媒(水、有機溶媒、アルコール類)の混合液に末端にフルオロアルキル基を含有するオリゴマーを添加する技術が記載されており、これによって均質なフラーレン分散溶媒を得ることが可能になる。
【0004】
また、膜の水分管理をするために電解質としてイオン液体を用いた技術として、特許文献2がある。特許文献2には、カーボン材料と電解質との混合体が開示されており、各種カーボン(ナノチューブ、活性炭、カーボンブラック)を、イオン液体、有機溶媒などに分散・混合させる技術が記載されている。これにより、負極活物質粒子のリチウムの吸蔵・放出に伴う粒子の微細化の抑制と、負極活物質粒子のリチウムの吸蔵・放出に伴う粒子の微細化が起こった場合でも、微細化された各微粒子間の電気的な繋がりを保持させることができる。
【特許文献1】特開2004−2630号公報
【特許文献2】特開2006−100244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1には電解質への分散には触れておらず、また上記特許文献2には、本発明のようなオリゴマーの添加する効果が無い為、分散に粉砕・混錬工程が必要であり、十分な分散が得られない問題がある。そこで、本発明は、オリゴマーによりホスト場を形成することで、電子伝導性部材を高分散に保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電解質、電子伝導性部材、および両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーを含む電極触媒を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0007】
電極触媒は、一般には、カーボン粒子などの触媒担体に、Ptなど燃料電池反応に活性な触媒成分を分散担持させた材料であるが、本発明により両末端にフルオロアルキル基を備えたオリゴマーを一般的な電極触媒に用いる事により、カーボンが高分散し、カーボンに担持された触媒成分の表面露出量を増やす事が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の第一は、電解質、電子伝導性部材、および両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーを含む電極触媒である。
【0009】
これにより、本発明に係る両末端にフルオロアルキル基を備えたオリゴマーは、電解質中で凝集することができ、電解質中で凝集した両末端にフルオロアルキル基を備えたオリゴマーが、粒子のホスト場を形成し、カーボン粒子を高分散に保持する事ができる。
【0010】
本発明に係る電極触媒は、オリゴマーの一方の末端が、他のオリゴマーの一方の末端に隣接し、かつ複数のオリゴマーが連なって形成される集合体により、電解質と電子伝導性部材とを取り囲むように捕捉することが好ましい。
【0011】
本発明に係る電極触媒は、電解質と前記電子伝導性部材とは相互に近接して前記集合体により取り囲むように捕捉されたことが好ましい。
【0012】
このため、本明細書において「オリゴマーの一方の末端が、他のオリゴマーの一方の末端に隣接」とは、複数のオリゴマーが相互に直接化学結合せず、凝集などにより隣接する場合、および複数のオリゴマーが疎水性相互作用などにより相互に連結して隣接する場合双方を包含する。
【0013】
なお、本明細書において、オリゴマーの一方の末端が他のオリゴマーの一方の末端に隣接し、かつ複数のオリゴマーが連なって形成される集合体により、電解質を取り囲むように捕捉する場合は、系の全部を取り囲む必要は無く、系の少なくとも一部の電解質を取り囲むように捕捉するものである。
【0014】
すなわち、本発明に係るオリゴマーは、両末端にフルオロアルキル基を有しているため極性溶媒中では、複数のオリゴマー同士の末端が疎水性相互作用などにより、複数のオリゴマー同士が連なって集合体を形成していると考えられる。
【0015】
これにより、複数の両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマー同士が、疎水性相互作用より連なって形成される集合体は、“ホスト分子”として作用し、“ゲスト分子”としての電子伝導性部材および電解質は“ホスト分子”が形成したいわゆる“ホスト場”に捕獲されると考えられる。換言するなら、特定の分子形状や大きさを認識していわゆる“超分子”を形成しているものと考えられる。また、本発明に係る両末端にフルオロアルキル基を備えたオリゴマーの分子量、含有量、電解質の種類、量(いわゆる臨界集合濃度、または臨界凝集濃度など)、電子伝導性部材の種類、量、大きさ、および温度条件などで一定の大きさを持つ超分子を設計できるために、均一の大きさの電極触媒を調製することができ、また均一に分散させることができるため、燃料電池の電極触媒として用いた場合、結果的には三相界面を増大させることができるものと考えられる。
【0016】
本発明に係る電子伝導性部材に対する両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーの質量比は、1:0.2〜1:20であることが好ましく、1:1〜1:10であることがより好ましく、1:3〜1:9であることがさらに好ましい。
【0017】
電子伝導性部材に対する両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーの質量比が、1:0.2〜1:20、より好ましくは1:1〜1:10にすることで、電子伝導性部材とフルオロアルキルオリゴマーとを含む電極触媒の粒子径を小さくすることが可能になる。
【0018】
本発明に係る電極触媒において、本発明に係る電極触媒の総質量に対する各成分である電解質、電子伝導性部材、および両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーの質量比は、
電解質が、電極触媒の総質量に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%が特に好ましく;電子伝導性部材が、電極触媒の総質量に対して1〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、20〜60質量%が特に好ましく;両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーが、電極触媒の総質量に対して1〜90質量%が好ましく、2〜80質量%がより好ましく、3〜70質量%が特に好ましい。上記範囲にすることで、電極触媒の粒子径を小さくすることが可能になる。
【0019】
本発明に係る電極触媒において、電解質の質量に対する前記電子伝導性部材と前記オリゴマーとの合計質量の比率は、0.05〜80質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
【0020】
これにより、本発明に係る電極触媒を燃料電池に用いた場合、燃料電池触媒相中の電解質量を最適に保つ事が可能になる。
【0021】
本発明に係る電極触媒の平均粒子径は、好ましくは10〜400nm、より好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは10〜50nmである。
【0022】
これにより、例えば本発明に係る電極触媒を、燃料電池のカソード電極、アノード電極に使用した場合、電子伝導性部材(例えばカーボンなど)に担持された触媒成分(例えばPt)の表面露出量を増やし、燃料電池発電性能を向上させる事ができる。
【0023】
本発明に係る電極触媒は、触媒成分(例えば、触媒金属)、電子伝導性部材、および両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマー、ならびに必要に応じて電解質を含む電極触媒からなる。触媒金属として具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。
【0024】
電極触媒の平均粒子径は、動的光散乱法により計測する事ができる。動的光散乱方は、粒子のブラウン運動を利用して、2つのレーザービームを測定試料に当て、出てくる2つの散乱強度の相関係数を取り、粒径を求める方法である。平均粒子径は、面積で重み付けられた数平均粒子径として算出した。
【0025】
「オリゴマー」
本発明に係る両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーは、
下記式1:
【0026】
【化1】

【0027】
式1中の記号は:
Rf1およびRf2はそれぞれ独立であって、炭素数3以上のポリフルオロアルキル基または炭素数3以上のポリフルオロオキサアルキル基であり、
Raは、水素原子、メチル基またはハロゲン原子であり、
Rbは、ハロゲン原子、シアノ基、−Si(R、−OCOR、−COORまたは−CONRであり、
は、それぞれ独立であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸残基であり、
、R、Rは、それぞれ独立であって、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜18のスルホン酸含有アルキル基、−CH−CH−CH−Si(R、−[C(RCORまたは
−[C(R−〔CHCORであり、
は、それぞれ独立であって、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、
は、それぞれ独立であって、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、
nは1〜5の整数であり、pは1〜5の整数であり、
ただし、NRおよびRは、協働してエーテル結合を含む環を形成していてもよく、
mは1〜5000の整数であり、
炭素数3以上のポリフルオロアルキル基としては、直鎖型または分枝型であってもよく、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素原子によって置換されたアルキル基であり、例えばn−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、cyclo−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基など基の中における1以上の水素原子をフッ素原子に置換したものが挙げられる。また、直鎖型又は分枝型の炭素数2〜18のパーフルオロアルキル基がより好ましい。「パーフルオロアルキル基」とは、C−F結合を含み、かつ、C−H結合を含まない原子団であって、当該列挙した炭素数3以上のアルキル基の水素原子が、すべてフッ素原子に置換したものである。
【0028】
なお、本明細書において、「R−オリゴマー」の表記におけるRは、上記Rf1および/またはRf2であることはいうまでもない。
【0029】
炭素数3以上のポリフルオロオキサアルキル基としては、フルオロアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル結合を含むものをいい、直鎖型または分枝型であってもよく、例えば以下の式で表されるものが好ましい。
【0030】
【化2】

【0031】
炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖型または分枝型であってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0032】
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、直鎖型または分枝型であってもよく、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基などが挙げられる。
【0033】
炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸残基とは、アシル基を意味し、例えば、酢酸残基、プロピオン酸残基、α−ヒドロキシカルボン酸残基、グリコール酸残基などが挙げられる。
【0034】
炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖型または分枝型であってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、cyclo−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、等の炭素数1〜18の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。
【0035】
炭素数1〜18のスルホン酸含有アルキル基としては、上記炭素数1〜18のアルキル基中の少なくとも一つの水素原子をスルホン酸基に置換したものが挙げられる。
【0036】
炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基としては、上記炭素数1〜18のアルキル基のうち炭素数2〜6のアルキル基の水素原子の少なくとも一つを水酸基に置換したものが挙げられる。
【0037】
ただし、mが2以上である場合の繰り返し構成単位である(CH CRa Rb )単位におけるRa、Rbは、同一であっても異なっていてもよい、
で示される構造式が好ましい。
【0038】
この時、繰り返し構成単位である(CH CRa Rb )単位は、対応するエチレン性モノマーCH=CRa Rb から導かれる。該モノマーの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。なお本明細書において、アクリル酸とメタクル酸を総称して(メタ)アクリル酸という。(メタ)アクリレート等についても同様に記す。
前記モノマーの具体例は、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、トリ−tert−ブトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、エトキシジエチルビニルシラン、トリメチルビニルシラン、ジアセチルオキシメチルビニルシラン、トリアセチルオキシビニルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジアセチルオキシメチルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアセチルオキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエチルメチルシラン、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0039】
本発明に係る両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーは、アミド基を含むことが好ましく、上記具体例として列挙した中で、アクリロイルモルホリン(ACMO)、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル) アクリルアミドがより好ましく、アクリロイルモルホリン(ACMO)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド(DOBAA)が特に好ましい。本発明に係るオリゴマーにアミド基が含まれることにより、オリゴマー電解質中の凝集力に優れるからである。これにより、カーボンの分散性が向上する。
【0040】
なお、「オリゴマー」とは、一般的に繰り返し構成単位が2〜20個のものをいうが、本明細書における「オリゴマー」は、繰り返し構成単位が1〜5000個のものをいう。また、本発明に係るオリゴマーの繰り返し構成単位の個数(上記化学式1ではm)は、1〜5000の整数が好ましく、1〜500個の整数がより好ましく、2〜300個の整数がさらに好ましく、5〜100個の整数が特に好ましい。
【0041】
本発明に係る両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーの数平均分子量は、上記繰り返し構成単位の数、種類によって変更されるものであるが、500〜1000000が好ましく、1000〜15000が特に好ましい。
上記分子量は、重量平均分子量をいい、光散乱法、粘度測定、TOFFMASS、GPCなどで測定することができ、本発明に係るオリゴマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により各試料の分子量分布測定計測する事ができる。GPC法は、適当な有機溶媒に対象となる高分子を溶解し、この溶液を粒子を充填したカラムに流し、分子の大きさを流出するまでの時間分解スペクトルとして計測する、分子量の測定法である。
【0042】
「電子伝導性部材」
本発明に係る電子伝導性部材は、本発明に係る触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、および/または集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであるのが好ましい。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン材料が挙げられる。また、かようなカーボン材料として、より具体的には、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラック、ブラックパール、黒鉛化アセチレンブラック、黒鉛化バルカン、黒鉛化ケッチェンブラック、黒鉛化カーボン、黒鉛化ブラックパール、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、及びカーボンフィブリルから選ばれる少なくとも一種を主成分として含むものなどが挙げられる。
【0043】
なお、上記に列挙したうち、本発明に係る電子伝導性部材は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、および触媒成分担持カーボンからなる群から選択された少なくとも一つであることが好ましく、本発明に係る電子伝導性部材は、触媒成分担持カーボンを少なくとも含むことが好ましい。
【0044】
カーボン材料は、一般的に高比表面積であるため、燃料電池用電極触媒種であるPtなどの有効触媒成分を、高分散で保持することが可能になる。
【0045】
なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
【0046】
前記電子伝導性部材のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに十分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m/g、より好ましくは80〜1200m/gとするのがよい。前記比表面積が、20m/g未満であると前記電子伝導性部材への触媒成分および高分子電解質の分散性が低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、1600m/gを超えると触媒成分および高分子電解質の有効利用率が却って低下する恐れがある。
【0047】
本発明に係る電子伝導性部材の空孔構造としては、孔径が1μm以下の細孔が0.05〜1cc/gであることが好ましく、0.3〜1cc/gがより好ましい。
【0048】
また、前記電子伝導性部材の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、10〜400nm、より好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは10〜50nm程度とするのがよい。
【0049】
本発明に係る電子伝導性部材の平均粒子径の測定方法としては、透過型電子顕微鏡像から代表サンプルについて数〜数10視野中に観察される粒子の粒径を測定する方法が挙げられる。なお、この測定方法では観察するサンプルや視野によって平均粒子径に有意差が生じる。より簡易的にはX線回折プロファイルからある特定の反射ピークの半値幅から求められる結晶子径を電子伝導性部材の平均粒子径として用いることも出来る。
【0050】
本発明の電子伝導性部材の平均粒子径は透過型電子顕微鏡像の任意の8視野中に観察される電子伝導性部材の1次粒子および2次粒子の粒径をすべて測定し(総計N>120)、その粒径の中央値を、電子伝導性部材の平均粒子径とする条件で行なった。
【0051】
なお、本明細書でいう「1次粒子」は、1次粒子とは1つの粒子を意味し、1次粒子が凝集して「2次粒子」を形成するものであり、本発明に係る電子伝導性部材は1次粒子でも2次粒子であってもよく、本発明に係る電子伝導性部材の大きさが上記の平均粒子径の範囲に含まれていればよい。
【0052】
本発明に係る電子伝導性部材には、触媒成分を担持することができる。例えば本発明に係る電極触媒を、燃料電池や、膜−電極接合体(MEA:電解質膜の片面にアノード電極触媒層が配置され、他方の面にカソード電極触媒層が配置され、さらに前記アノード電極触媒層および前記カソード電極触媒層上にガス拡散層が配置されてなるものをいう)の電極触媒として用いる場合において、本発明に係る触媒成分は、カソード電極では、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、アノード電極に用いられる触媒成分もまた、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。
【0053】
なお、本明細書中における「電極触媒」とは、電解質、電子伝導性部材、および両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーを含むものであり、「電極触媒層」とは、当該電極触媒を平面状にしたものをいう。
【0054】
前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。カソード触媒をして合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。
【0055】
合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、カソード電極触媒(層)に用いられる触媒成分及びアノード電極触媒(層)に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、カソード電極触媒(層)及びアノード電極触媒(層)用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、カソード電極触媒(層)及びアノード電極触媒(層)用の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
【0056】
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状及び大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、電極触媒スラリー(下記に詳説する)に用いられる触媒成分の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなり好ましいが、実際には平均粒子径が小さすぎると却って酸素還元活性が低下する現象が見られる。従って、電極触媒スラリーに含まれる触媒成分の平均粒子径は、1〜30nm、より好ましくは1.5〜20nm、さらにより好ましくは2〜10nm、特に好ましくは2〜5nmの粒状であることが好ましい。担持の容易さという観点から1nm以上であることが好ましく、触媒利用率の観点から30nm以下であることが好ましい。なお、本発明における「触媒成分の平均粒径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値により測定することができる。
【0057】
前記電子伝導性部材に本発明に係る触媒成分が担持された電極触媒において、当該部材の担持量(すなわち、電子伝導性材料に担持する触媒成分の量)は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、特に好ましくは30〜50質量%とするのがよい。前記担持量が、80質量%を超えると、触媒成分の電子伝導性部材上での分散度が下がり、担持量が増加するわりに発電性能の向上が小さく経済上での利点が低下する恐れがある。また、前記担持量が、10質量%未満であると、単位質量あたりの触媒活性が低下して所望の発電性能を得るために多量の電極触媒が必要となり好ましくない。なお、本発明に係る触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
【0058】
また、電子伝導性部材への酸素還元電極に含まれる部材の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。または、電極触媒は、市販品を用いてもよい。
【0059】
また、本発明に係る触媒成分の平均粒子径の測定方法としては、透過型電子顕微鏡像から代表サンプルについて数〜数10視野中に観察される粒子の粒径を測定する方法が挙げられる。なお、この測定方法では観察するサンプルや視野によって平均粒子径に有意差が生じる。より簡易的にはX線回折プロファイルからある特定の反射ピークの半値幅から求められる結晶子径を触媒成分の平均粒子径として用いることも出来る。
【0060】
本発明の触媒成分の平均粒子径は透過型電子顕微鏡像の任意の8視野中に観察される導電性材料の1次粒子の粒径をすべて測定し(総計N>120)、その粒径の中央値を、触媒成分の平均粒子径とする条件で行なった。
【0061】
「電解質」
本発明に係る電解質は、特に限定されず公知のものを用いることができるが、例えばイオン液体、イオン液体を高分子化したイオンポリマー、イオン液体を膜にしたイオンゲル、高分子電解質など挙げられ、中でも、本発明に係る電解質は、イオン液体、イオン液体を高分子化したイオンポリマー、イオン液体を膜にしたイオンゲルが好ましく、イオン液体がより好ましい。
【0062】
これにより、イオン液体の特徴である、室温〜200℃付近で蒸気圧がほぼゼロであり、水を介さないイオン伝導が可能な特性を有する。この特性を生かし、室温〜200℃、無加湿で作動する燃料電池電極触媒層の電解質を構成することができる。
【0063】
例えば、固体高分子型燃料電池の電解質にイオン液体やイオン液体を膜にしたイオンポリマーやゲルを用いた場合、以下に説明する高分子電解質とは異なる。即ち、高分子電解質を電極触媒に用いた場合は、アノード側で生成したプロトンは、通常水とともにカソードに輸送される。そのため、カソード側に局地的な水の増加を引き起こしフラッディング現象などの原因になる。しかし、上記イオン液体やイオン液体を膜にしたイオンポリマーやゲルを電極触媒に用いた場合、イオン液体自身がイオンを伝導するため、カソード側の局地的な水分量の増加によるフラッディング現象などを抑制・防止することができ、固体高分子型燃料電池の重大な課題の一つである、「水分管理」を容易にすることができると考えられる。
【0064】
本発明に係るイオン液体は、公知のものを使用することができ特に制限されず、またイオン液体は、一般にカチオン成分とアニオン成分とに分けることができ、本発明においては例えば以下に示す構造のカチオン成分などを挙げることができ、例えば、環構造を有するものでは、イミダゾール環、トリアゾール環、ピロリジン環、ピリジン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環及びこれらに置換基を有するものが好ましく用いられ、直鎖又は分岐アルキル基を有するものでは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜10のアルキル基を有するものが好ましく用いられる。
【0065】
【化3】

【0066】
上記式3中のA1〜A3は、それぞれ独立であって、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜18のアルキル基は、上記「オリゴマー」の欄で記載したものと同一であるため、ここでは省略する。
【0067】
本発明に係るイオン液体を構成するアニオン成分は、例えば、スルホン酸、スルホン酸化合物、カルボン酸、無機酸などが好ましい。具体的には、(CFSO、(CFSO、CFSO、CSO、CFCO、CCO、BF、PF、ClO、CHCO、NO、NO、HSO、ハロゲンイオンなどを挙げることができる。
【0068】
上記のアニオン成分及びカチオン成分から構成されるイオン液体の合成法は、すでに公知であり、例えば、 エヌ・ティー・エス, 東京, p.79 (2001) 、R.Hagiwaraら, J. Fluorine Chem., Vol.105, 221 (2000)、J. Sunら, Electrochimica Acta, Vol.46, 1703 (2001)、P.Bonhote ら, Inorg. Chem., Vol.35, 1168 (1996) 、D.R. McFarlaneら, Electrochim. Acta, Vol.45, 1271 (2000)などに記載されている方法を用いて合成される。
【0069】
具体的には、塩基性窒素含有化合物及び/又はそのハロゲンとの塩と、酸及び/又はその金属塩とを反応させることによって得られる。
【0070】
本発明で用いられるイオン液体としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,3−ジエチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,2−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,2−ジエチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、2−エチル−1−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−2−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ビニルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、2−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4−ルチジニウムトリフルオロメタンスルホネートなどのトリフルオロメタンスルホネート類;1,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテートなどのトリフルオロアセテート類;1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジエチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジエチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、2−エチル−1−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ビニルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、2,4−ルチジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレートなどのテトラフルオロボレート類;1,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートなどのヘキサフルオロホスフェート類;1,3−ジメチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1,3−ジエチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1,2−ジメチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1,2−ジエチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、2−エチル−1−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−エチル−2−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、2−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドなどのトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド類;1,3−ジメチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−エチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ビニルイミダゾリウムメタンスルホネートなどのメタンスルホネート類;1,3−ジメチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチルイミダゾリウムアセテートなどのアセテート類;1,3−ジメチルイミダゾリウムナイトレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムナイトレート、1−メチルイミダゾリウムナイトレート、1−エチルイミダゾリウムナイトレート、1−ビニルイミダゾリウムナイトレートなどのナイトレート類;1,3−ジメチルイミダゾリウムナイトライト、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムナイトライトなどのナイトライト類;1,3−ジメチルイミダゾリウムサルファイト、1−メチルイミダゾリウムサルファイト、1−エチルイミダゾリウムサルファイト、1−ビニルイミダゾリウムサルファイトなどのサルファイト類;1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチルイミダゾリウムクロライド、1−ビニルイミダゾリウムクロライド、1,2−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウムクロライド、1−ブチルピリジニウムクロライドなどのクロライド類;1,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチルイミダゾリウムブロマイド、1−ビニルイミダゾリウムブロマイド、1−ブチルピリジニウムブロマイドなどのブロマイド類;1,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,3−ジエチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジエチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−エチル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニ)イミド、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド類などが好ましく、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドがより好ましい。
【0071】
また、本発明に係るイオン液体を高分子化したイオンポリマーまたは本発明に係るイオン液体を膜にしたイオンゲルは、公知のものを使用することができ、例えば、M.Watanabe,S,Yamada,K.Sanui,N.Ogata,Chem.Commun.,1993,929.、A.Noda,M.Watanabe,Electrochim.Acta,45,1265(2000).やT.Kaneko,A,A.Noda,M.Watanabe,Polym.Prepr.,Jpn.,49,754(2000)に記載の方法や、特開2003−123791、特開2001−167629、特開平07−118480、特開平08−245828、特開平10−265673、特開平10−265674、Journal of The Electrochemical Society, 147 (1) 34−37 (2000)に記載されている方法により合成することができる。また、市販のものを利用してもよい。
【0072】
上記の本発明に係るイオン液体を膜にしたイオンゲルの製造方法の一つとして、例えば、モノマーとしてメタクリル酸メチル(MMA)およびエチレングリコールジメタクリラート(EGDMA)のなどを所定量添加した混合物、CFSOH、及び(CFSONH(ビストリフルオロメチルスルホン酸)を混合しイオンゲル溶液とする。ついでイオンゲル溶液に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを前記MMAとEGDMA混合物に対して所定量添加してシャーレに入れ、80〜150℃で2〜24時間時間熱処理しイオン液体を膜にしたイオンゲルを作製することができる。
【0073】
また、本発明に係るイオン液体を高分子化したイオンポリマーの製造方法の一つとしては、酸基を有する高分子を溶媒に分散させた溶液からのリキャスト法のほかに、PFSA膜、ポリスチレンスルホン酸膜に代表される酸基を有する高分子膜にイオン性液体を含浸させる方法、特開平8−245828に開示されているイオン性液体と相溶性の高い高分子のモノマー、イオン性液体と重合開始剤を混合して製膜を行うその場重合の応用のイオンゲル膜を用いることができる。すなわちイオン性液体と相溶性が高く、熱的に安定なビストリフルオロメタンスルホニルアミド酸等の酸を加えたイオン性液体と高分子モノマー及び重合開始剤を混合して製膜する酸添加イオン膜であることが好ましい。高分子モノマーの例として、メタクリル酸メチル(MMA)及びエチレングリコールジメタクリラート(EGDMA)の混合物、重合開始剤としてはアズビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルジスルフィド等がある。なお、高分子モノマーとイオン性液体のモル比は10:1〜3:7程度が好ましい。
【0074】
上記に説明した本発明に係る電解質の一つである高分子電解質は、例えば燃料電池に用いる場合、下記の電解質膜に用いられたものと同様の材料が挙げられ、少なくとも高いプロトン伝導性を有する材料であればよい。本発明のカソード電極触媒(層)/アノード電極触媒(層)(以下、単に「電極触媒(層)」とも称する)には、電極触媒の他に、高分子電解質が含まれる。この際使用できる高分子電解質は、高分子骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質と、高分子骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質とに大別される。
【0075】
前記フッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系高分子、パーフルオロカーボンホスホン酸系高分子、トリフルオロスチレンスルホン酸系高分子、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系高分子、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子などが好適な一例として挙げられる。
【0076】
前記炭化水素系電解質として、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸等が好適な一例として挙げられる。
【0077】
高分子電解質は、耐熱性、化学的安定性などに優れることから、フッ素原子を含むのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
【0078】
本発明に係る電極触媒は、電解質と前記電子伝導性部材とは相互に近接して前記集合体により取り囲まれるように捕捉されたことが好ましい。
【0079】
すなわち、本発明に係るオリゴマーが、両末端にフルオロアルキル基を有しているため極性溶媒中では、複数のオリゴマー同士の末端が疎水性相互作用などにより、複数のオリゴマー同士が連なって形成されている集合体に電解質と前記電子伝導性部材とが取り囲まれており、さらに、前記電解質と前記電子伝導性部材とは相互に近接しているため、本発明に係る電解質と電子伝導性部材に担持されている触媒成分とが直接接触して三相界面を形成してもよく、または電子伝導性部材に担持されている触媒成分の近傍に電解質が存在することでイオンの受け渡しをしてもよい。すなわち、複数のオリゴマーにより形成された当該集合体(閉じた系および/または開いた系を含む)内部に前記電解質と前記電子伝導性部材とが存在していると考えられる。
【0080】
本発明に係る電極触媒スラリーは、本発明に係る電極触媒を含むことが好ましく、必要に応じて溶剤、その他添加剤、撥水性高分子、増粘剤など混合してもよい。
【0081】
また、電子伝導性部材に、Ptなど燃料電池反応に活性な触媒成分を分散担持することで、燃料電池に用いられる電極触媒インクとすることができる。
【0082】
本発明に係る溶剤は、特に制限されず、水;メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の低級多価アルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;エタンチオール、ベンジルチオールなどのメルカプタン類などが挙げられる。また、溶剤の使用量もまた、特に制限されず公知と同様の量が使用できるが、電極触媒インクにおいて、電極触媒は、所望の作用、即ち、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)を触媒する作用を十分発揮できる量であればいずれの量で、使用されてもよい。上記溶剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0083】
本発明に係る電極触媒が、電極触媒インク中、1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは3〜10質量%となるような量で存在することが好ましい。また、上記添加剤、撥水性高分子、増粘剤も特に制限されず公知のものを使用でき適宜選択され、電極触媒インク中、0〜99質量%含んでいることが好ましい。
【0084】
本発明に係る電極触媒層は、電極触媒を含む。前記電極触媒インクを、カーボンペーパーなどのガス拡散体の上に、公知の方法で塗布する事で、作製可能である。
【0085】
前記電極触媒層の空孔率は、20〜80%が好ましく、より好ましくは30〜70%である。空孔率が20%未満では、ガスの拡散が十分ではなく、高電流域でのセル電圧が低下する。また、空孔率が70%超では、電極触媒層の強度が十分ではなく、転写プロセスにおいて空孔率が低下する。
【0086】
本発明に係る電極触媒層の厚みとしては、得られる膜−電極接合体の特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜50μm、より好ましくは5〜30μm、特に好ましくは5〜20μmである。5μm以下では、厚みバラツキにより触媒層の存在しない部分が発生し、性能低下を招く。50μm以上では、触媒層内のガス、イオン伝導の抵抗が上昇し、性能が低下する。
【0087】
本発明に係る膜−電極接合体は、本発明に係る電極触媒を含むことが好ましく、電解質膜の両側にアノード電極触媒層とカソード電極触媒層とをそれぞれ備え、さらに前記アノード電極触媒層およびカソード電極触媒層を担持するよう1対のガス拡散層を形成してなる電解質膜−電極接合体であることが好ましい。
【0088】
本発明に係る膜−電極接合体に用いられる電解質膜としては、特に限定されず、上記の電極触媒に用いた電解質のものと同様の、イオン性溶液、イオン性溶液を高分子化したイオンポリマー、イオン性溶液を膜にしたイオンゲル、高分子電解質膜が挙げられる。
【0089】
本発明に係るイオン性溶液、イオン性溶液を高分子化したイオンポリマー、またはイオン性溶液を膜にしたイオンゲルは、上記の本発明に係る電解質で説明したものと同一の製造方法であるため、ここでは省略する。
【0090】
上記高分子電解質膜としては、特に限定されず、電極触媒に用いたものと同様の高分子電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のNafion(デュポン社登録商標)やフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベース高分子とする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。前記高分子電解質膜に用いられる高分子電解質と、各電極触媒に用いられる高分子電解質とは、同じであっても異なっていてもよい。
【0091】
前記高分子電解質膜の厚みとしては、得られる膜−電極接合体の特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは30〜200μm、より好ましくは50〜100μm、特に好ましくは60〜80μmである。上記高分子電解質膜の厚みが、30〜200μmの範囲であると、製膜時の強度や膜−電極接合体作動時の耐久性がよく、かつ膜−電極接合体作動時の出力特性も優れている。
【0092】
また、上記高分子電解質膜としては、上記したようなフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂による膜に加えて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などから形成された多孔質状の薄膜に、リン酸やイオン液体等の電解質成分を含浸したものを使用してもよい。
【0093】
本発明に係るガス拡散層(以下GDLと称する)に用いられる材料としては、カーボンペーパー、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状材料が提案されている。GDLが優れた電子伝導性を有していると、発電反応により生じた電子の効率的な運搬が達成され、燃料電池の性能が向上する。またGDLが優れた撥水性を有していると、生成した水が効率的に排出される。
【0094】
高い撥水性を確保するために、GDLを構成する材料を撥水処理する技術も提案されている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含む溶液中にカーボンペーパーなどのGDLを構成する材料を含浸させ、大気中または窒素などの不活性ガス中に乾燥させる。場合によっては、親水化処理がGDLを構成する材料に施されてもよい。
【0095】
その他に、カーボンペーパー、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状GDL上に、上記本発明に係る電子伝導性部材で列挙したカーボン材料の一つであるカーボン粒子およびバインダーを配置して、両者をガス拡散層として使用してもよく、前記カーボン粒子およびバインダーからなるフィルム自体をガス拡散層として使用してもよい。この結果、フィルム自体に均一に撥水材料、カーボン粒子が形成されているため、上記の塗布に比較して撥水効率の上昇がみられる。
【0096】
前記撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系樹脂が好ましい。尚、「バインダー」とは接着の役割を有する物質をいう。
【0097】
前記膜−電極接合体中に含まれる撥水材料の含有量は、全固体高分子型燃料電池を構成する材料の合計質量に対して10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。撥水材料の含有量が10%〜80%であると十分な撥水効果が期待することができ、かつ固体高分子型燃料電池として強度が十分になる。
【0098】
前記ガス拡散層の厚みとしては、得られる膜−電極接合体の特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは50〜400μm、より好ましくは80〜350μm、特に好ましくは150〜300μmである。上記ガス拡散層の厚みが、50〜400μmの範囲であると、拡散相中のガス輸送抵抗を低く抑制し、触媒層への十分な反応ガス成分の輸送と、生成ガス性分の排出が可能になる。さらに、触媒層におけるガス濃度バラツキを抑制することが可能となる。
【0099】
次に、以下、本発明の膜−電極接合体の製造方法の好ましい態様を説明して、上記の膜−電極接合体を説明する。なお、以下の態様は、本発明の好ましい態様を示したものであり、本発明の膜−電極接合体の製造方法が下記方法に限定されるものではない。
【0100】
本発明に係る膜−電極接合体の製造方法は、図1に示すように、まず電極触媒スラリーを作成する。例えばカーボンブラックなどの上記詳説したカーボン材料に、白金などの触媒成分イオン水溶液に加えて、ホモジナイザなどで分散させた後還元担持させる。次いで、加熱および乾燥させ触媒成分を担持した電子伝導性部材を得た後、乾燥して作製する。その後、触媒成分を担持している電子伝導性部材、両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマー、ならびにイオン液体、イオン液体を高分子化したイオンポリマー、イオン液体を膜にしたイオンゲル、およびナフィオンなどの電解質、必要に応じて水またはアルコールなどの溶剤に添加して、電極触媒スラリーを調整する。
【0101】
本発明の電極触媒スラリーを転写用台紙上に塗布・乾燥して、電極触媒層を形成する。この際、転写用台紙としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート、ポリエステルシートなどの公知のシートが使用できる。なお、転写用台紙は、使用する電極触媒スラリー(特にインク中のカーボン等のカーボン材料)の種類に応じて適宜選択される。また、上記工程において、電極触媒層の厚みは、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)の触媒作用が十分発揮できる厚みであれば特に制限されず、従来と同様の厚みが使用できる。具体的には、電極触媒層の厚みは、5〜30μm、より好ましくは5〜20μmである。
【0102】
転写用台紙上への電極触媒スラリーは、特に制限されず、スクリーン印刷法、沈積法、あるいはスプレー法などの公知の方法が同様にして適用できる。また、塗布された電極触媒層乾燥条件もまた、電極触媒層から極性溶剤を完全に除去できる条件であれば特に制限されない。具体的には、電極触媒スラリーの塗布層(電極触媒層)を真空乾燥機内にて、室温〜100℃、より好ましくは80〜150℃で、10〜120分間、乾燥する。この際、電極触媒層の厚みが十分でない場合には、所望の厚みになるまで、上記塗布・乾燥工程を繰り返す。次に下記の工程に進む。
【0103】
このようにして作製された電極触媒層2枚で、上記「電解質」の欄で詳説した方法で作製された本発明に係るイオン液体、イオン液体を高分子化したイオンポリマー、イオン液体を膜にしたイオンゲル、またはナフィオンである電解質膜を挟持した後、当該積層についてホットプレスを行なう。この際、ホットプレス条件は、電極触媒層及び電解質膜が十分密接に接合できる条件であれば特に制限されないが、100〜200℃、より好ましくは110〜170℃で、電極面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行なうのが好ましい。これにより電解質膜と電極触媒層との接合性を高めることができる。ホットプレスを行なった後、転写用台紙を剥がすことにより、電極触媒層と高分子電解質膜とを有する複合体(いわゆるCCM)を得ることができる。
【0104】
次いで、上記方法において、転写用台紙を剥がし、得られた電極触媒層と高分子電解質膜とを有する複合体をさらにガス拡散層で挟持することによって、電極触媒層と電解質膜との接合後にさらに各電極触媒層に接合することが好ましい。または、電極触媒層を予めガス拡散層表面上に形成して電極触媒層−ガス拡散層接合体を製造した後、上記したのと同様にして、この電極触媒層−ガス拡散層接合体で電解質膜をホットプレスにより挟持・接合することもまた好ましい。
【0105】
本発明に係る電極触媒スラリーは、図1に示すように、電解質(例えば、イオン液体の場合は、電子伝導性部材に対し、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%)と、両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマー(好ましくは電子伝導性部材に対し、0.2〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%)と、電子伝導性部材(例えば、Pt担持カーボン粉末(田中貴金属製:TEC10E50E、ケッチェンブラックインターナショナル製:カーボンブラックKB−EC600、カーボンブラックKB−EC600JDなど)と、必要に応じて水、メタノール、エタノールなどの溶剤(溶剤を使用する場合は、1〜30質量%、好ましくは5〜25質量%)と、さらに必要があればポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体といった撥水性高分子、増粘剤などを混合し、5〜120時間、好ましくは12〜72時間、5〜30℃、好ましくは15〜25℃で攪拌して調製することが好ましい。
【0106】
上記撥水性高分子、増粘剤などを電極触媒スラリーに混合することにより、得られる電極触媒層の撥水性を高めることができ、発電時に生成した水などを速やかに排出することができる。
【0107】
増粘剤の使用は、触媒スラリーなどが転写用台紙上にうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、(EG(エチレングリコール)、PVA(ポリビニルアルコール))などが挙げられる。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、電極触媒スラリーの全質量に対して、好ましくは0〜40質量%である。さらに、本発明で使用される触媒スラリーを構成する溶剤としては、特に制限されず、電極触媒層を形成するのに使用される通常の溶剤が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノールや2−プロパノール等の低級アルコールが使用できる。
【0108】
本発明の電極触媒スラリーは、カソード側電極触媒層またはアノード側電極触媒層のいずれか一方のみに使用されてもあるいは双方に使用されてもよい。
【0109】
本発明に係る燃料電池は、本発明に係る膜−電極接合体を含むことが好ましい。
【0110】
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では高分子電解質型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池、ダイレクトメタノール型燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、高分子電解質型燃料電池が好ましく挙げられる。また、前記燃料電池は、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用であるが、特にシステムの起動/停止や出力変動が頻繁に発生する自動車用途で特に好適に使用できる。
【0111】
前記高分子電解質型燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。なかでも、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されることによるカーボン担体の腐食、および、運転時に高い出力電圧が取り出されることにより高分子電解質の劣化が生じやすい自動車などの移動体用電源として用いられるのが特に好ましい。
【0112】
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的にはMEAをセパレータで挟持した構造を有する。
【0113】
前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
【0114】
また、各電極触媒層に供給されるガスが外部にリークするのを防止するために、ガスケット層上の電極触媒層が形成されていない部位にさらにガスシール部が設けられてもよい。前記ガスシール部を構成する材料としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスシール部の厚さとしては、2mm〜50μm、望ましくは1mm〜100μm程度とすればよい。
【0115】
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
【実施例】
【0116】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。
【0117】
実施例
イオン液体として、以下に示すイオン液体 5mlを用いた。
【0118】
【化4】

【0119】
上記化学式で示されるそれぞれのイオン液体にR−(DMAA)−RまたはR−(DOBAA)−R(R−(DOBAA)−R:R=−CF(CF)OC、分子量Mw10560;R−(DMAA)−R:R=−CF(CF)OC、分子量Mw4536)を40mg(イオン液体1dmに対し8g)加え、分散溶液を得た。得られた分散溶液に、カーボンブラック(ケッチェンブラック KB−EC600)を5mg加え、3日間攪拌し撹拌終了後、3日間静置し、さらには1時間遠心分離(離心機HSIANGTAI製CN−1040、回転数2000rpm)しても分散した状態となった。その状態を図2〜5に示す。図2はイオン液体として、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用い、図3はイオン液体として、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用い、図4はイオン液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用い、図5はイオン液体として、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いたものである。
【0120】
以上より良好な電極触媒インクを得た。
【0121】
得られた電極触媒インクを、メタノール水溶液中に600倍で分散し、動的光散乱法(計測器:大塚電子製 DLS−6000HL)で凝集体の粒度分布を計測した。メタノール水溶液中に600倍で分散した様子を示す結果を図6に示し、動的光散乱法の結果を図7(B)〜14(B)に示す。
【0122】
また、上記化学式で示されるそれぞれのイオン液体にR−(DMAA)−R、分子量Mw4536、またはR−(DOBAA)−R、分子量Mw10560を40mg(イオン液体1dmに対し8g)加え、(カーボンブラックを加えることなく、)分散溶液を得た。この分散溶液も同様の方法で600倍に分散し、動的光散乱法で分散溶液中のオリゴマーの集合体の粒度分布を計測した。その結果を図7(A)〜14(A)に示す。
【0123】
また、R−(DOBAA)−R:R=−CF(CF)OC7、−(DMAA)−R:R=−CF(CF)OCと上記イオン液体との溶解性の表を以下示す。
【0124】
【表1】

【0125】
比較例1
イオン液体として、以下に示すイオン液体5mlを用いた。
【0126】
【化5】

【0127】
それぞれのイオン液体にフルオロアルキル基を有するオリゴマーを加えずに、分散溶液を得た。得られた分散溶液に、カーボンブラック(ケッチェンブラック KB−EC600)を5mg加え、1時間遠心分離した結果、分離してインクとならなかった。その結果を図15および16に示す。
【0128】
比較例2
イオン液体にN,N,N−トリメチルl−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いて、フロオロアルキル化していない−(DOBAA)−(分子量Mw5500)を用いて、カーボンにKB−EC600を用い、同様に電極触媒インクを作成し、動的光散乱法により粒子径を計測した。以下、動的光散乱法により測定した実施例と比較例との粒子径の結果を表2〜4に示す。
【0129】
【表2】

【0130】
【表3】

【0131】
【表4】

【0132】
イオン液体・カーボンブラック(CB)複合体にRF オリゴマーを添加した分散体の場合、両末端フルオロアルキル基の無いオリゴマーを用いた分散体と比較して、分散体粒子
径が小さくなることを確認した(表4参照)。
【0133】
また、イオン液体にRオリゴマーのみを添加した分散体は、イオン液体に両末端フルオロアルキル基の無いオリゴマーのみを添加した分散体に比べ、分散体粒子径が大きくなることを確認した。これは、RFオリゴマーがより凝集力が強く大きなホスト場を形成する事を示す(表4参照)。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明に係る電極触媒の製造方法である。
【図2】N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた場合における遠心分離後の本実施例の電極触媒スラリーの写真である。
【図3】N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた場合における遠心分離後の本実施例の電極触媒スラリーの写真である。
【図4】1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた場合における遠心分離後の本実施例の電極触媒スラリーの写真である。
【図5】1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた場合における遠心分離後の本実施例の電極触媒スラリーの写真である。
【図6】N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた場合における遠心分離後の本実施例の電極触媒スラリーをメタノール水溶液で600倍に希釈した様子を示す写真である。
【図7】本実施例であるN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、カーボンブラックと、オリゴマー(主鎖にDMAAを含む)とを含む溶液(B)、およびN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、オリゴマー(主鎖にDMAAを含む)とを含む溶液(A)の動的光散乱法による結果である。
【図8】本実施例であるN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、カーボンブラックと、オリゴマー(主鎖にDMAAを含む)とを含む溶液(B)、およびN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、オリゴマー(主鎖にDMAAを含む)とを含む溶液(A)の動的光散乱法による結果である。
【図9】本実施例である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、カーボンブラックと、オリゴマー(主鎖にDMAAを含む)とを含む溶液(B)、および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、オリゴマー(主鎖にDMAAを含む)とを含む溶液(A)の動的光散乱法による結果である。
【図10】本実施例である1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、カーボンブラックと、オリゴマー(主鎖にDMAAを含む)とを含む溶液(B)、および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、オリゴマー(主鎖にDMAAを含む)とを含む溶液(A)の動的光散乱法による結果である。
【図11】本実施例であるN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、カーボンブラックと、オリゴマー(主鎖にDOBAAを含む)とを含む溶液(B)、およびN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、オリゴマー(主鎖にDOBAAを含む)とを含む溶液(A)の動的光散乱法による結果である。
【図12】本実施例であるN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、カーボンブラックと、オリゴマー(主鎖にDOBAAを含む)とを含む溶液(B)、およびN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、オリゴマー(主鎖にDOBAAを含む)とを含む溶液(A)の動的光散乱法による結果である。
【図13】本実施例である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、カーボンブラックと、オリゴマー(主鎖にDOBAAを含む)とを含む溶液(B)、および1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、オリゴマー(主鎖にDOBAAを含む)とを含む溶液(A)の動的光散乱法による結果である。
【図14】本実施例である1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、カーボンブラックと、オリゴマー(主鎖にDOBAAを含む)とを含む溶液(B)、および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、オリゴマー(主鎖にDOBAAを含む)とを含む溶液(A)の動的光散乱法による結果である。
【図15】1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとカーボンブラックとを用いた場合の遠心分離後の比較例である電極触媒スラリーの写真である。
【図16】1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとカーボンブラックとを用いた場合の遠心分離後の比較例である電極触媒スラリーの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質、電子伝導性部材、および両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーを含む電極触媒。
【請求項2】
前記オリゴマーの一方の末端が他のオリゴマーの一方の末端に隣接し、かつ複数のオリゴマーが連なって形成される集合体により、前記電解質と前記電子伝導性部材とを取り囲むように捕捉したことを特徴とする、請求項1に記載の電極触媒。
【請求項3】
前記電解質と前記電子伝導性部材とは相互に近接して前記集合体により取り囲むように捕捉されたことを特徴とする、請求項2に記載の電極触媒。
【請求項4】
前記両末端にフルオロアルキル基またはオキサフルオロアルキル基を有するオリゴマーが、アミド基を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極触媒。
【請求項5】
前記電解質は、イオン液体からなる請求項1〜4記載のいずれか1項に記載の電極触媒。
【請求項6】
前記電子伝導性部材は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、および触媒成分担持カーボンからなる群から選択された少なくとも一つである請求項1〜5記載のいずれか1項に記載の電極触媒。
【請求項7】
前記電極触媒の平均粒子径は、10〜400nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極触媒。
【請求項8】
前記電極触媒の平均粒子径は、10〜200nmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の電極触媒。
【請求項9】
前記電子伝導性部材に対する前記オリゴマーの質量比は、1:0.2〜1:20である請求項1〜8に記載の電極触媒。
【請求項10】
前記電子伝導性部材に対する前記オリゴマーの質量比は、1:1〜1:10である請求項1〜9に記載の電極触媒。
【請求項11】
前記電子伝導性部材と前記オリゴマーとの合計質量に対する、前記電解質の比率は、0.05〜80質量%である請求項1〜10に記載の電極触媒。
【請求項12】
前記電子伝導性部材と前記オリゴマーとの合計質量に対する、前記電解質の比率は、10〜50質量%である請求項1〜11に記載の電極触媒。
【請求項13】
請求項1〜12に記載の電極触媒を含む電極触媒スラリー。
【請求項14】
請求項1〜12に記載の電極触媒を含む電極触媒層。
【請求項15】
請求項14に記載の電極触媒層を含む膜−電極接合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−282634(P2008−282634A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124895(P2007−124895)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(504229284)国立大学法人弘前大学 (162)
【Fターム(参考)】