説明

電歪型アクチュエータ用アクリルゴム、およびそれを用いた電歪型アクチュエータ

【課題】 電歪型アクチュエータにおいて大きな電圧を印加することができ、大きな変位量が得られるアクリルゴムを提供する。また、そのようなアクリルゴムを用いて変位量の大きな電歪型アクチュエータを提供する。
【解決手段】 電歪型アクチュエータ用アクリルゴムは、重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体を主成分とする。また、電歪型アクチュエータを、重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体を主成分とするアクリルゴム製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電歪材料として有用なアクリルゴム、およびそれを用いた電歪型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用、介護用等のロボット、医療機器、マイクロマシン等の分野では、柔軟性が高く、小型で軽量なアクチュエータの必要性が高まっている。このようなアクチュエータ材料として、例えば、導電性高分子、イオン導電性高分子(ICPF)、誘電体エラストマー等の種々のポリマーが提案されている。なかでも、誘電体エラストマーを用いた電歪型アクチュエータは、小型化しやすく、低コストで作製できるため有用である。例えば、特許文献1、2には、誘電体エラストマー膜を一対の電極で狭持した電歪型アクチュエータが紹介されている。
【特許文献1】特表2003−506858号公報
【特許文献2】特開2005−323482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電歪型アクチュエータにおいて、電極間への印加電圧を大きくすると、電極間の静電引力が大きくなる。このため、電極間に挟まれた誘電体エラストマー膜は膜厚方向から圧縮され、誘電体エラストマー膜の膜厚は薄くなる。膜厚が薄くなると、その分、誘電体エラストマー膜は、電極面に対して平行方向に伸長する。また、電極間への印加電圧を小さくすると、電極間の静電引力が小さくなる。このため、誘電体エラストマー膜に対する膜厚方向からの圧縮力が小さくなり、誘電体エラストマー膜の弾性復元力により膜厚は厚くなる。膜厚が厚くなると、その分、誘電体エラストマー膜は、電極面に対して平行方向に収縮する。電歪型アクチュエータは、誘電体エラストマー膜を伸長、収縮(変位)させることによって、駆動力を出力する。
【0004】
従来より、誘電体エラストマー膜としては、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が使用されている。しかし、例えば市販のアクリルゴムの場合、伸びがそれほど大きくなく絶縁破壊性が低い。このため、市販のアクリルゴムを使用した場合には、大きな電圧を印加することができず、所望の変位量を得られないという問題があった。また、上記特許文献1に紹介されているアクリルゴムは、クリープが大きいため、耐久性に乏しい。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、電歪型アクチュエータにおいて大きな電圧を印加することができ、大きな変位量が得られるアクリルゴムを提供することを課題とする。また、そのようなアクリルゴムを用いて変位量の大きな電歪型アクチュエータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するため、本発明の電歪型アクチュエータ用アクリルゴムは、重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体を主成分とすることを特徴とする(請求項1に対応)。
【0007】
アクリルゴムは、通常、ポリマー成分と所定の添加剤とを含むアクリルゴム組成物を架橋して製造される。本発明の電歪型アクチュエータ用アクリルゴム(以下、適宜「本発明のアクリルゴム」と称す)において、「〜を主成分とする」とは、ポリマー成分が、重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体からなることを意味する。ポリマー成分であるアクリル酸エステル系重合体の重量平均分子量が大きいため、従来のアクリルゴムより、分子同士の相互作用や、分子鎖の物理的な絡み合いが大きくなる。このため、本発明のアクリルゴムは、伸びが大きく、大きな電圧を印加しても破壊しにくい。したがって、本発明のアクリルゴムを用いて電歪型アクチュエータを構成すると、大きな電圧を印加して大きな変位量を得ることができる。
【0008】
また、本発明のアクリルゴムは、伸びが大きいため、延伸した状態で組み付けても破損しにくい。また、本発明のアクリルゴムは、クリープしにくく寿命が長い。したがって、本発明のアクリルゴムによると、電歪型アクチュエータの耐久性を向上させることができる。
【0009】
(2)また、本発明の電歪型アクチュエータは、重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体を主成分とするアクリルゴム製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備えることを特徴とする(請求項4に対応)。
【0010】
すなわち、本発明の電歪型アクチュエータは、上記本発明のアクリルゴムを誘電膜として使用する。このため、本発明の電歪型アクチュエータによると、大きな電圧を印加することができ、大きな変位量が得られる。また、上述したように、本発明のアクリルゴムは、延伸された状態で組み付けられても破損しにくく、耐クリープ性が高い。このため、本発明の電歪型アクチュエータは耐久性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のアクリルゴム、およびそれを用いた本発明の電歪型アクチュエータの実施形態について説明する。
【0012】
〈アクリルゴム〉
本発明のアクリルゴムの主成分となるアクリル酸エステル系重合体は、アクリル酸エステル系モノマーと、これと共重合可能であり架橋を可能にする架橋用モノマーと、を共重合させた共重合体が望ましい。また、必要に応じて、さらに他のモノマーを共重合させた共重合体でもよい。
【0013】
ここで、アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の各種アクリル酸アルキルエステルや、2−メトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート等の各種アクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。
【0014】
また、架橋用モノマーとしては、例えば、エポキシ基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、ハロゲン基含有モノマー、塩基性窒素含有モノマー、ジエン系モノマー等が挙げられる。なかでも、架橋サイトとしてエポキシ基を持つエポキシ基含有モノマーが好適である。具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル等が好適である。
【0015】
ここで、架橋用モノマーの配合量は、配合されるモノマー全体を100重量%とした場合の、0.1重量%以上10重量%以下とすることが望ましい。配合量が0.1重量%未満の場合には、未架橋に近い状態となり、架橋用モノマーを用いた効果が充分に得られない。反対に、10重量%を超えると、得られるアクリルゴムの柔軟性や伸びが低下するおそれがある。
【0016】
さらに、必要に応じて共重合可能なモノマーとしては、1,1−ジヒドロペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,5−トリヒドロペルフルオロヘキシル(メタ)アクリレート等の各種含フッ素アクリル酸エステルや、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の各種水酸基含有アクリル酸エステルや、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の各種第3級アミノ基含有アクリル酸エステルや、メチルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の各種メタクリレートの他、アクリロニトリル、アルキルビニルケトン、ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニル芳香族化合物、ビニルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルフマレート等が挙げられる。
【0017】
上記所定のモノマーの重合方法は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等から適宜選択すればよい。なかでも、より高分子量のポリマーが得られるという理由から、懸濁重合法または乳化重合法を採用することが望ましい。
【0018】
アクリル酸エステル系重合体の重量平均分子量は、70万以上200万以下とする。ここで、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるスチレン重合体換算値である。重量平均分子量が70万未満の場合には、伸びが小さいため、大きな電圧を印加することができない。反対に、200万を超えると、粘度が上昇し、薄膜状に加工しにくくなる。
【0019】
本発明のアクリルゴムは、上記重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体に、必要に応じて添加剤等を添加して調製したアクリルゴム組成物を架橋して製造される。添加剤としては、例えば、架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤等が挙げられる。
【0020】
本発明のアクリルゴムは、例えば、次のようにして製造すればよい。第一の方法としては、まず、アクリル酸エステル系重合体に、加硫助剤、軟化剤等の添加剤を添加して混練りする。続いて、架橋剤、加硫促進剤を加えてさらに混練して、アクリルゴム組成物を調製する。調製したアクリルゴム組成物を所定の形状に成形し、それを金型に充填して、所定の条件下でプレス架橋する。また、上記第一の方法と同様に調製したアクリルゴム組成物を、フィルム状に押し出し成形等した後、架橋してもよい。また、第二の方法としては、まず、アクリル酸エステル系重合体を、所定の溶媒に溶解する。この溶液へ架橋剤等の添加剤を加え、攪拌、混合してアクリルゴム組成物とする。次に、調製したアクリルゴム組成物を基材上に塗布し、乾燥させて溶媒を蒸発させた後、架橋する。
【0021】
本発明のアクリルゴムを電歪型アクチュエータの誘電膜として使用する場合、本発明のアクリルゴムを、薄膜状に形成することが望ましい。この場合、本発明のアクリルゴムの膜厚は、電歪型アクチュエータの小型化、低電圧駆動化、および変位量を大きくする等の観点から、1μm以上1000μm(1mm)以下であることが望ましい。より好適な範囲は、5μm以上200μm以下である。
【0022】
〈電歪型アクチュエータ〉
本発明の電歪型アクチュエータは、重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体を主成分とする本発明のアクリルゴム製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備えている。以下、本発明の電歪型アクチュエータの一実施形態を説明する。
【0023】
図1に、本発明の電歪型アクチュエータの断面模式図を示す。(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。図1に示すように、電歪型アクチュエータ1は、誘電膜20と電極21a、21bとを備えている。誘電膜20は、本発明のアクリルゴムからなる。電極21a、21bは、誘電膜20の表裏に、それぞれ固定されている。電極21a、21bは、導線を介して電源22に接続されている。オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極21a、21b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電膜20の膜厚は小さくなり、その分だけ、図(b)中白抜き矢印で示すように、電極21a、21b面に対して平行方向に伸長する。これにより、電歪型アクチュエータ1は、図中横方向の駆動力を出力する。電歪型アクチュエータ1は、本発明のアクリルゴムを誘電膜20として使用する。このため、誘電膜20に対して大きな電圧を印加することができる。これにより、誘電膜20の伸長量、収縮量は大きくなり、大きな変位量が得られる。また、本発明のアクリルゴムは、耐クリープ性が高い。このため、電歪型アクチュエータ1は耐久性に優れる。
【0024】
本発明の電歪型アクチュエータにおいて、誘電膜(本発明のアクリルゴム)の厚さは、同アクチュエータの用途等に応じて適宜決定すればよい。上述したように、電歪型アクチュエータの小型化、低電圧駆動化、および変位量を大きくする等の観点からは、誘電膜の厚さは薄い方が望ましい。この場合、絶縁破壊性等をも考慮して、誘電膜の厚さを、1μm以上1000μm以下とすることが望ましい。より好適な範囲は、5μm以上200μm以下である。
【0025】
また、変位量をより大きくするという観点から、誘電膜は、拡径方向に延伸した状態で固定されていることが望ましい。本発明のアクリルゴムは、延伸された状態で固定され、伸縮を繰り返しても破損しにくい。したがって、誘電膜を拡径方向に延伸した状態で固定した場合でも、本発明の電歪型アクチュエータは耐久性に優れる。ここで、誘電膜の延伸率は、10%以上とすることが望ましい。50%以上とするとより好適である。また、誘電率の劣化等を考慮すると、延伸率を600%以下とすることが望ましい。300%以下とするとより好適である。なお、延伸率は次式(1)により算出された値を採用する。
延伸率(%)={√(S/S)−1}×100・・・(1)
[S:延伸前(自然状態)の誘電膜面積、S:延伸後の誘電膜面積]
【0026】
また、電極の材質は、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料からなる導電材に、バインダーとしてオイルやエラストマーを混合したペーストまたは塗料を塗布した電極を使用することができる。電極は、誘電膜の伸縮に応じて伸縮可能であることが望ましい。電極が、誘電膜と共に伸縮すると、誘電膜の変形が電極によって妨げられにくく、より所望の変位量を得やすくなる。
【0027】
また、複数の誘電膜と電極とを交互に積層させた積層構造とすると、より大きな力を発生させることができる。これにより、本発明の電歪型アクチュエータの出力が大きくなり、相手側部材をより大きな力で駆動させることができる。
【実施例】
【0028】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0029】
〈アクリルゴムの製造〉
(1)実施例のアクリルゴム膜の製造
まず、三種類のモノマーから、アクリル酸エステル系重合体を懸濁重合法により製造した。モノマーとして、エチルアクリレート(EA)、アリルグリシジルエーテル(AGE)、アクリロニトリル(AN)を使用した。各々のモノマーは、順に96重量%(EA)、2重量%(AGE)、2重量%(AN)の割合で配合した。得られたアクリル酸エステル系重合体の重量平均分子量を、GPCにより測定したところ、791700であった。
【0030】
次に、製造したアクリル酸エステル系重合体と、下記表1に示す所定の原料と、を配合してアクリルゴム組成物を調製した。すなわち、表1中、アクリル酸エステル系重合体と加工助剤とを、ロール練り機にて混練りした。続いて、加硫促進剤を添加して、ロール練り機にて混合、分散させて、アクリルゴム組成物を調製した。その後、調製したアクリルゴム組成物を薄いシート状に成形した。それを金型に充填し、170℃で約30分間プレス架橋することにより、薄膜状のアクリルゴムを得た。得られたアクリルゴムを実施例のアクリルゴム膜とした。同アクリルゴム膜の膜厚は、約200μmであった。
【0031】
(2)比較例のアクリルゴム膜の製造
アクリル酸エステル系重合体として、日本ゼオン社製の「ニポール(登録商標)AR−51、(重量平均分子量:694796)」を用いた点以外は、上記実施例のアクリルゴムと同様に、アクリルゴムを製造した。得られたアクリルゴムを比較例1のアクリルゴム膜とした。同アクリルゴム膜の膜厚は、約200μmであった。また、住友スリーエム社製、VHB(登録商標)アクリルフォーム構造用接合テープ「Y−4905J」(厚さ500μm)を、比較例2のアクリルゴム膜とした。
【0032】
表1に、各アクリルゴム膜の製造に使用した原料の種類および配合量、架橋条件等を示す。なお、表1中、「ルナック」、「バルノック」は、登録商標である。
【表1】

【0033】
〈電歪型アクチュエータの応答性評価〉
実施例および比較例の各アクリルゴム膜を用いて電歪型アクチュエータを構成し、同アクチュエータの応答性を評価した。まず、実験装置および実験方法について説明する。
【0034】
実施例および比較例の各アクリルゴム膜から誘電膜を作製した。作製した誘電膜の上下面に、導電性カーボンとオイルとを混合した導電性ペースト製の電極を各々貼着して電歪型アクチュエータ(本実施例中、単に「アクチュエータ」と称す)を構成した。以下、作製されたアクチュエータを、誘電膜の種類に対応させて、実施例または比較例のアクチュエータと称す。図2に、作製したアクチュエータの上面図を示す。図3に、図2中III−III断面図を示す。
【0035】
図2、図3に示すように、アクチュエータ3は、誘電膜30と一対の電極31a、31bとを備えている。誘電膜30は、直径70mmの円形の薄膜状を呈している。誘電膜30は、延伸率100%で二軸方向に延伸された状態で配置されている。ここで、延伸率は、上記式(1)により算出した値である。一対の電極31a、31bは、誘電膜30を挟んで上下方向に対向するよう配置されている。電極31a、31bは、直径約27mmの円形の薄膜状を呈しており、各々、誘電膜30と略同心円状に配置されている。電極31aの外周縁には、拡径方向に突出する端子部310aが形成されている。端子部310aは矩形板状を呈している。同様に、電極31bの外周縁には、拡径方向に突出する端子部310bが形成されている。端子部310bは矩形板状を呈している。端子部310bは、端子部310aに対して、180°対向する位置に配置されている。端子部310a、310bは、各々、導線を介して電源4に接続されている。
【0036】
電極31a、31b間に電圧を印加すると、電極31a、31b間に静電引力が生じて、誘電膜30を圧縮する。これにより、誘電膜30の厚さは薄くなり、拡径方向に伸長する。この時、電極31a、31bも、誘電膜30と一体となって拡径方向に伸長する。電極31aには、予め、マーカー50が取り付けられている。マーカー50の変位を、変位計5により測定し、アクチュエータ3の変位量とした。
【0037】
次に、実験結果について説明する。図4に、実施例および比較例の各アクチュエータの印加電圧に対する変位率を示す。ここで、縦軸の変位率は、次式(2)により算出した値である。
変位率(%)=(変位量/電極の半径)×100・・・(2)
【0038】
図4のグラフに示すように、実施例のアクチュエータによると、比較例1、2のアクチュエータと比較して、大きな電圧を印加することができた。その結果、実施例のアクチュエータによると、より大きな変位率が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のアクリルゴムは、例えば、産業、医療、福祉ロボット用の人工筋肉、電子部品冷却用や医療用等の小型ポンプ、医療用器具等に用いられる電歪型アクチュエータに用いられる。本発明のアクリルゴムを用いた電歪型アクチュエータは、モータ等機械式アクチュエータおよび圧電素子アクチュエータ等のすべてのアクチュエータの代替として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のアクリルゴムを用いた電歪型アクチュエータの断面模式図である。
【図2】応答性評価に使用した電歪型アクチュエータの上面図である。
【図3】図2中のIII−III断面図である。
【図4】実施例および比較例の各電歪型アクチュエータについて、印加電圧に対する変位率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0041】
1:電歪型アクチュエータ 20:誘電膜 21a、21b:電極 22:電源
3:アクチュエータ 30:誘電膜 31a、31b:電極
310a、310b:端子部 4:電源 5:変位計 50:マーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体を主成分とする電歪型アクチュエータ用アクリルゴム。
【請求項2】
前記アクリル酸エステル系重合体は、少なくともアクリル酸エステル系モノマーの一種以上と、エポキシ基を含有するエポキシ基含有モノマーの一種以上と、が共重合されてなる請求項1に記載の電歪型アクチュエータ用アクリルゴム。
【請求項3】
薄膜状を呈し、膜厚が1μm以上1000μm以下である請求項1または請求項2に記載の電歪型アクチュエータ用アクリルゴム。
【請求項4】
重量平均分子量が70万以上200万以下のアクリル酸エステル系重合体を主成分とするアクリルゴム製の誘電膜と、
該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備える電歪型アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−239670(P2008−239670A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78567(P2007−78567)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】