電気−機械変換素子を使用した駆動機構
【課題】 駆動速度を制御して衝撃音や共振音などの発生しない電気−機械変換素子を使用した駆動機構を提供する。
【解決手段】 CPU11で決定されるデユ−テイ比でPWM回路12からON/OFF制御信号が定電流回路14、FET15に出力される。昇圧回路13の出力は定電流回路14を経て圧電素子21に緩やかに充電され、FET15がONになると圧電素子21の電荷は急速に放電される。圧電素子に固着結合された駆動軸22は速度の異なる伸縮変位振動を発生し、駆動軸に摩擦結合しているレンズ保持枠23を移動させることができる。駆動開始時はデユ−テイ比を0から徐々に増加させて圧電素子20に充電される電荷を制御し、圧電素子の伸縮量を制御する。これにより駆動開始時は低速度で駆動し、序々に速度を高めることができる。
【解決手段】 CPU11で決定されるデユ−テイ比でPWM回路12からON/OFF制御信号が定電流回路14、FET15に出力される。昇圧回路13の出力は定電流回路14を経て圧電素子21に緩やかに充電され、FET15がONになると圧電素子21の電荷は急速に放電される。圧電素子に固着結合された駆動軸22は速度の異なる伸縮変位振動を発生し、駆動軸に摩擦結合しているレンズ保持枠23を移動させることができる。駆動開始時はデユ−テイ比を0から徐々に増加させて圧電素子20に充電される電荷を制御し、圧電素子の伸縮量を制御する。これにより駆動開始時は低速度で駆動し、序々に速度を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カメラその他の精密機械等を構成する機構部品を移動させるための電気−機械変換素子を使用した駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子に対し、緩やかな立ち上がり部とこれに続く急速な立ち下がり部からなる波形の駆動パルスを印加すると、駆動パルスの緩やかな立ち上がり部では圧電素子が緩やかに厚み方向の伸び変位を生じ、急速な立ち下がり部では急速に縮み変位を生じる。そこで、この特性を利用し、圧電素子に対して上記したような波形の駆動パルスを印加して異なる速度で充放電を繰り返し、圧電素子に速度の異なる厚み方向の振動を発生させて圧電素子に固着された駆動部材を異なる速度で往復動させ、駆動部材に摩擦結合した移動部材に直線運動や回転運動を発生させる直線駆動機構や回転駆動機構などの駆動機構が知られている(特開平4−69070号公報、特開平6−261559号公報参照)。
【0003】図14は、上記した駆動機構のうち、直線駆動機構を使用したカメラの撮影レンズ駆動機構の構成の一例を示す断面図である。図14において、51はレンズ鏡筒で、その左端には第1レンズL1 の保持枠52が固定的に取り付けられ、その右端51aは第3レンズL3 の保持枠を形成している。レンズ鏡筒51の内部には、第2レンズL2 の保持枠53が、光軸方向に移動可能に配置されている。54はレンズ保持枠53を光軸方向に駆動する駆動軸で、駆動軸54はレンズ鏡筒51の第1のフランジ部51bとレンズ保持枠52のフランジ部52bとにより光軸方向に移動自在に支持され、その一端は圧電素子55の1つの面に接着固定されている。
【0004】圧電素子55は厚み方向に変位して駆動軸54を軸方向に変位させるもので、その一端面は駆動軸54に接着固定され、他の端面はレンズ鏡筒51の第2のフランジ部51cに接着固定されている。
【0005】第2レンズL2 を保持するレンズ保持枠53は、その下方に延びた移動部材である接触部材53bを備えており、接触部材53bには駆動軸54が貫通している。また、接触部材53bには下面に切り欠き溝53cが形成されている。接触部材53bと駆動軸54とは、切り欠き溝53cと接触部材53bの上面との間に嵌入された圧接バネ53dにより圧接し、適当な摩擦力で摩擦結合している。図15は駆動軸54と接触部材53bとの接触部分の構成を示す図で、図14のX−X線に沿つた断面図である。
【0006】また、レンズ保持枠53の上部にも図14では示されていない切り欠きが形成されており、案内軸59に係合してレンズ保持枠53の回転を防止している。なお、60はレンズをカメラに取り付けるマウント部である。
【0007】次にその制御動作を説明する。レンズL2 の矢印a方向への移動を必要としているときは、図16に示すような緩やかな立ち上がり部とこれに続く急速な立ち下がり部からなる波形の駆動パルスを圧電素子55に供給する。
【0008】駆動パルスの緩やかな立ち上がり部では、圧電素子55は緩やかに厚み方向の伸び変位を生じ、駆動軸54は軸方向に矢印a方向へ変位する。このため、駆動軸54に圧接バネ53dにより圧接して摩擦結合しているレンズ保持枠53の接触部材53bも矢印a方向へ移動するので、レンズ保持枠53を矢印a方向へ移動させることができる。
【0009】駆動パルスの急速な立ち下がり部では、圧電素子55が急速に厚み方向の縮み変位を生じ、駆動軸54も軸方向に矢印aと反対方向へ変位する。このとき、駆動軸54に圧接バネ53dにより圧接しているレンズ保持枠53の接触部材53bはその慣性力により駆動軸54との間の摩擦力に打ち勝つて実質的にその位置に留まるので、レンズ保持枠53は移動しない。
【0010】なお、ここでいう実質的とは、矢印a方向と、これと反対方向のいずれにおいてもレンズ保持枠53の接触部材53bと駆動軸54との間の摩擦結合面に滑りを生じつつ追動し、駆動時間の差によつて全体として矢印a方向に移動するものも含むことを意味している。
【0011】上記波形の駆動パルスを連続して圧電素子55に印加することにより、レンズ保持枠53を矢印aで示す方向へ連続して移動させることができる。
【0012】レンズ保持枠53を矢印aと反対方向へ移動させるときは、急速な立ち上がり部とこれに続く緩やかな立ち下がり部からなる波形の駆動パルスを圧電素子55に印加することで達成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記した圧電素子を使用した直線駆動機構では、駆動パルスにより圧電素子が駆動される時に発生する振動音が人間に不快感を与えるため、駆動パルスの周波数を可聴周波数外である20KHzを越える周波数で駆動すると振動音が聞こえなくなる。
【0014】駆動/停止/反転の際は、圧電素子に対して駆動パルスを印加し或いは印加を停止するON/OFF制御を行うが、図17に示すように圧電素子に対して駆動パルスをON/OFF制御すると、応答性に優れているこの種の直線駆動機構では移動部材が急激に前進又は停止して著しい速度変化が生じるため、衝撃音が発生するという不都合があつた。
【0015】また、駆動速度を変更するために駆動パルスの周波数を変更すると、周波数によつては駆動機構が共振を起こして共振音が発生する場合があり、また、共振により駆動機構の耐久性が低下するなどの不都合があつた。
【0016】
【課題を解決するための手段】以上説明したように、従来の圧電素子を使用した駆動機構では、駆動/停止/反転の際に、圧電素子に対して駆動パルスをON/OFF制御すると、図17に示すように駆動部材や移動部材が急激に移動/停止/反転して著しい速度変化が生じ、衝撃音が発生する。そこで、この発明では、図18に示すように圧電素子に対して印加する駆動パルスの電荷を徐々に増加/減少させるように制御して、駆動部材や移動部材を滑らかに移動/停止/反転させ、著しい速度変化が生じないようにして課題を解決しようとするものである。
【0017】請求項1の発明は、電気−機械変換素子と、前記電気−機械変換素子に固着結合された駆動部材と、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材と、前記電気−機械変換素子に伸縮変位を与える駆動パルス発生手段とを備え、前記駆動パルス発生手段により電気−機械変換素子に伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位を発生させ、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させる電気−機械変換素子を使用した駆動機構において、前記駆動パルス発生手段は、駆動パルスを前記電気−機械変換素子へ印加する時間を制御する手段を備え、印加時間を制御することにより電気−機械変換素子へ印加される電荷を制御して駆動速度を制御することを特徴とする。
【0018】そして、前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動開始時や駆動停止時には、駆動パルスを電気−機械変換素子へ印加する時間を序々に増加させ、或いは減少させる制御を行い、印加時間を序々に増加及び減少させることにより電気−機械変換素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加及び減少するように制御する。なお、駆動方向反転時の一時的な駆動停止時にも同様の制御を行うことができる。
【0019】請求項3の発明は、電気−機械変換素子と、前記電気−機械変換素子に固着結合された駆動部材と、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材と、前記電気−機械変換素子に伸縮変位を与える駆動パルス発生手段とを備え、前記駆動パルス発生手段により電気−機械変換素子に伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位を発生させ、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させる電気−機械変換素子を使用した駆動機構において、前記駆動パルス発生手段は、前記電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を制御する手段を備え、駆動パルス電圧を制御することにより電気−機械変換素子へ印加される電荷を制御して駆動速度を制御することを特徴とする。
【0020】そして、前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動開始時や駆動停止時には、電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を序々に増加、或いは減少させ、電気−機械変換素子の印加電荷を序々に増加或いは減少させることにより電気−機械変換素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加及び減少するように制御する。なお、駆動方向反転時の一時的な駆動停止時にも同様の制御を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】駆動パルス発生手段はCPUとPWM回路、昇圧回路、定電流回路、FET(電界効果型トランジスタ)から構成される。通常の駆動状態ではPWM回路に設定されたデユ−テイ比(ON/OFFの時間比)で定電流回路がONとなり、昇圧回路の出力電圧は定電流回路を経て圧電素子に緩やかに充電されてゆく。次に、PWM回路に設定されたデユ−テイ比で放電回路がONとなると、圧電素子に充電された電荷は急速に放電する。この結果、圧電素子は鋸歯状波形の駆動パルスが印加されることになり、伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位振動が発生し、圧電素子に固着結合された駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させることができる。
【0022】そして、駆動機構の駆動開始時や駆動停止時(駆動方向反転時を含む)には駆動パルスを圧電素子へ印加する時間を序々に増加或いは減少させる制御を行つて、圧電素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加及び減少するように制御する。これにより、急速な駆動に伴う衝撃音の発生を防ぐことができる。
【0023】駆動パルスを圧電素子へ印加する時間を序々に増加減少させる制御に代えて昇圧回路の出力電圧を可変とし、駆動機構の駆動開始時や駆動停止時(駆動方向反転時を含む)には昇圧回路の出力電圧を序々に増加或いは減少させる制御を行つて、圧電素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加及び減少するように制御してもよい。
【0024】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。図1はこの発明の圧電素子を使用した駆動機構と駆動回路のブロツク図で、駆動回路は先に従来例として図14を参照して説明した圧電素子を使用した直線駆動機構などにも適用することができるものである。
【0025】図1において、11は駆動回路10を制御するCPUで、その入力ポ−トには、図示しないカメラ本体の焦点検出回路から出力される焦点検出信号が入力される。また、CPU11の出力ポ−トにはPWM(パルス幅変調)回路12、昇圧回路13が接続される。15、17はFET(電界効果型トランジスタ)で、CPU11で決定されるデユ−テイ比D(ON/OFFの時間比)に基づいて動作するPWM(パルス幅変調)回路12から出力されるPWM信号でON/OFF制御される。14、16は定電流回路で、所定の一定電流で圧電素子に対し充放電を行うためのものである。
【0026】駆動回路10で駆動される駆動機構20は、先に図14により説明した構成のものと変わらないので、ここでは簡略に示してある。圧電素子21はその一端が図示しないレンズ鏡筒に接着固定され、他端は駆動軸22に接着固定されている。なお駆動軸22は図示しない軸受により軸方向に移動自在に支持されている。
【0027】レンズLを保持するレンズ保持枠23には、その上方に、駆動軸22に摩擦接触する接触部材23aおよび接触部材23bが形成され、両者の中央部分を駆動軸22が貫通している。即ち、接触部材23aはレンズ保持枠23と一体に形成され、駆動軸22の下半分に接触する。接触部材23bは駆動軸22の上半分に接触するようにレンズ保持枠23の延長部分23cに嵌合し、ばね24により駆動軸22に圧接する方向に付勢されている。この構成により駆動軸22と接触部材23a及び接触部材23bとは適当な摩擦力により摩擦結合している。
【0028】次に、駆動回路10の制御動作を図2及び図3に示すタイミングチヤ−トを参照しつつ説明する。まず駆動機構が定常の駆動状態にあり、圧電素子21に対し緩やかな充電と急速な放電を行う、図2のタイミングチヤ−トの(a)に示す波形の駆動パルスを印加する場合の制御動作を説明する。
【0029】定常の駆動状態においては、PWM回路12及び昇圧回路13は動作状態にあり、PWM回路12はCPU11で決定された定常駆動に適した所定のデユ−テイ比Dに基づいてPWM信号(ON/OFF制御信号)を定電流回路14及びFET15に出力する。このとき、定電流回路16及びFET17はOFFに維持されるよう制御される(図2(d)(e)参照)。
【0030】定電流回路14は、PWM回路12から出力されるPWM信号により、図2の(b)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間昇圧回路13からの出力は定電流回路14を経て一定電流で圧電素子21に充電される。また、FET15はPWM回路12から出力されるPWM信号により、図2の(c)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間だけ導通状態となるから圧電素子21に充電された電荷は急速に放電される。
【0031】上記のとおり、圧電素子21は緩やかに充電され急速に放電されるから、即ち図2のタイミングチヤ−トの(a)に示す波形の駆動パルスが印加されることになる。圧電素子21の緩やかな充電期間、即ち駆動パルスの緩やかな立ち上がり部では、圧電素子21は緩やかに厚み方向の伸び変位を生じ、駆動軸22は軸方向に矢印a方向へ変位する。このため、駆動軸22に圧接バネ24により圧接して摩擦結合しているレンズ保持枠23も矢印a方向へ移動する。
【0032】圧電素子21の急速な放電期間、即ち駆動パルスの急速な立ち下がり部では、圧電素子21が急速に厚み方向の縮み変位を生じ、駆動軸22も軸方向に矢印aと反対方向へ変位する。このとき、駆動軸22に圧接バネ24により圧接しているレンズ保持枠23の接触部材23a、23bはその慣性力により駆動軸22との間の摩擦力に打ち勝つて実質的にその位置に留まるので、レンズ保持枠23は移動しない。
【0033】なお、ここでいう実質的とは、矢印a方向とこれと反対方向のいずれにおいてもレンズ保持枠の接触部材と駆動軸との間の摩擦結合面に滑りを生じつつ追動し、駆動時間の差によつて全体として矢印a方向に移動するものも含むことを意味している。
【0034】上記波形の駆動パルスを連続して圧電素子21に印加することにより、レンズ保持枠23を矢印aで示す方向へ連続して移動させることができる。
【0035】次に、レンズ保持枠23を矢印aと反対方向に移動させるため、圧電素子21に対し急速な充電と緩やかな放電を行う図3のタイミングチヤ−トの(a)に示す波形のパルスを印加する場合の制御動作を説明する。
【0036】PWM回路12及び昇圧回路13は動作状態にあり、PWM回路12はCPU11で決定された定常駆動に適した所定のデユ−テイ比Dに基づいてPWM信号(ON/OFF制御信号)を定電流回路16及びFET17に出力する。このとき、定電流回路14及びFET15はOFFに維持されるよう制御される(図3(b)(c)参照)。
【0037】FET17はPWM回路12から出力されるPWM信号により、図3の(e)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間導通状態となるから、昇圧回路13からの出力はFET17を経て急速に圧電素子21に充電される。また、定電流回路16はPWM回路12から出力されるPWM信号により、図3の(d)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間、圧電素子21に充電された電荷は定電流回路16を経て一定電流で緩やかに放電される。
【0038】圧電素子21は急速に充電され緩やかに放電されるので、駆動軸22は急速に矢印a方向に伸び、次いで緩やかに縮む。これにより、駆動軸22に接触部材23a、23bを介して摩擦結合しているレンズ保持枠23は、その速度差と摩擦条件により矢印a方向と反対方向に移動する。
【0039】定電流回路14、16及びFET15、17のON/OFFのタイミングには、定電流回路及びFETが共にOFFとなる期間を設けてある。これは、定電流回路及びFETが共にOFFとなる期間が無い場合には、動作素子の応答遅れなどにより定電流回路とFETの両方が同時にONとなると昇圧回路の出力側が接地されてしまい、回路破壊や消費電力の異常な増加となるからである。
【0040】次に、駆動回路10の制御動作のうち、駆動開始時の制御動作を、図4のフロ−チヤ−トにより説明する。まず、昇圧回路13をONとし、出力が安定するのを待つ(ステツプP1、P2)。ついで、PWM回路12をONとし、デユ−テイ比Dを0に設定する(ステツプP3、P4)。移動速度が定常状態の速度に達したか否かを判定し(ステツプP5)、定常状態の速度以下の場合はデユ−テイ比Dを増加してPWM回路12に新たなデユ−テイ比Dを設定し(ステツプP6、P7)、所定時間の経過を待つて(ステツプP8)、ステツプP5に戻り、定常状態の速度以下の場合は次第に速度を増加させて行く。ステツプP5の判定で、定常状態の速度に達したときは駆動開始時の制御動作を終了し、定常状態の制御動作に移る。
【0041】上記の処理では、緩やかな充電(放電)を行わせるためにPWM回路12に設定されるデユ−テイ比Dで定電流回路14、16を作動させて圧電素子20に充電される電荷、或いは放電される電荷を制御し、圧電素子の伸縮量も制御される。これにより駆動開始時は駆動機構を低速度で駆動し、序々に速度を高めることができる。
【0042】図7は、駆動開始時における圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トで、PWM回路のデユ−テイ比Dの増加に伴い圧電素子に印加される電荷が序々に増加していく状態が示されている。
【0043】駆動回路10の制御動作のうち駆動停止時の制御動作を、図5のフロ−チヤ−トにより説明する。まず、デユ−テイ比Dが0か否かを判定し(ステツプP11)、デユ−テイ比Dが0でない場合は、デユ−テイ比Dを減少してPWM回路12に新たなデユ−テイ比Dを設定し(ステツプP12、P13)、所定時間の経過を待つて(ステツプP14)、ステツプP11に戻り、次第に速度を減少させて行く。ステツプP11の判定でデユ−テイ比Dが0の場合は、停止状態にあるから、PWM回路12及び定電流回路13をOFFとし、処理を終了する(ステツプP15、P16)。
【0044】上記の処理でも、緩やかな充電(放電)を行わせるためにPWM回路12に設定されるデユ−テイ比Dで定電流回路14、16を作動させて圧電素子20に充電される電荷、或いは放電される電荷を制御し、圧電素子の伸縮量も制御される。これにより駆動停止時には序々に速度を低下させて行き最終的に停止させることができる。
【0045】図8は、駆動停止時における圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トで、定電流回路のデユ−テイ比Dの減少に伴い、圧電素子に印加される電荷が序々に低下していく状態が示されている。
【0046】次に、駆動回路10の制御動作のうち駆動反転時の制御動作を説明する。図9は従来の駆動制御方法による駆動反転時の圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トであり、図9から明らかなように、圧電素子の緩やかな充電と急速な放電による正方向の駆動から圧電素子の急速な充電と緩やかな放電による負方向の駆動に切り換える駆動反転時には、一旦駆動を停止する不作動期間を設けていた。
【0047】これに対し、この発明では、先に説明した駆動停止時の処理をして停止させた後、駆動開始時の処理を行い駆動動作を反転させるのであるが、駆動停止と駆動開始との間において、圧電素子に印加される電荷レベルを序々に変化させる処理を行い、駆動反転時の衝撃を緩和するようにしている。以下、この処理について図6R>6のフロ−チヤ−トにより説明する。
【0048】まず、昇圧回路13をONとし、出力が安定するのを待つ(ステツプP21、P22)。次に、デユ−テイ比Dを0に設定し(ステツプP23)、PWM回路12にデユ−テイ比D=0を設定してFETをOFFとする(ステツプP23)。さらに、デユ−テイ比Dに微小値(例えば1/256 )を設定し(ステツプP25)、PWM回路12をデユ−テイ比D(微小値)で駆動し、定電流回路14を間欠的に駆動して緩やかな充電を繰り返す動作を開始させる(ステツプP26)。所定時間(例えば10ms)の経過を待ち(ステツプP27)、処理を終了する。
【0049】以上の処理により、圧電素子に印加される電荷レベルは序々に変化するから、駆動軸22が急激に伸縮して、これに接触部材を介して摩擦結合しているレンズ保持枠23が急激に移動することを防止することができる。
【0050】図10は、駆動反転時における圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トで、定電流回路14を間欠的に駆動して緩やかな充電を繰り返すことにより圧電素子に印加される電荷レベルが序々に変化する状態が示されている。
【0051】次に、この発明の第2実施例について説明する。第1実施例では駆動開始時に定電流回路のON/OFF時間を制御して、圧電素子へ印加される電荷を制御していたが、第2実施例では昇圧回路の出力電圧を制御して圧電素子へ印加される電荷を制御するように構成したものである。
【0052】図11は第2実施例の圧電素子を使用した駆動機構と駆動回路のブロツク図で、第1実施例と類似した回路構成であるが、両者の相違点は、第2実施例では昇圧回路の出力電圧がCPUで制御され、回路動作が異なる点にある。
【0053】図11において、31は駆動回路30を制御するCPUで、その入力ポ−トには、図示しないカメラ本体の焦点検出回路から出力される焦点検出信号が入力される。また、CPU31の出力ポ−トにはPWM(パルス幅変調)回路32、昇圧回路33が接続される。35、37はFETで、CPU31で決定されるデユ−テイ比Dに基づいて動作するPWM回路32から出力されるPWM信号でON/OFF制御される。34、36は定電流回路で、所定の一定電流で圧電素子に対し充放電を行うためのものである。
【0054】駆動回路10の制御動作を説明する。まず駆動機構が定常の駆動状態にあるときは、第1実施例の場合と同じ動作となる。即ち、定常の駆動状態においては、PWM回路32及び昇圧回路33は動作状態にあり、PWM回路32はCPU11で決定された定常駆動に適した所定のデユ−テイ比Dに基づいてPWM信号(ON/OFF制御信号)を定電流回路34及びFET35に出力する。このとき、定電流回路36及びFET37はOFFに維持されるよう制御される(図2(d)(e)参照)。
【0055】定電流回路34は上記デユ−テイ比DのPWM信号を受け、図2の(b)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間、昇圧回路33からの出力は定電流回路14を経て一定電流で圧電素子21に充電される。また、FET35は図2の(c)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間だけ導通状態となるから圧電素子41に充電された電荷は急速に放電される。
【0056】圧電素子41は緩やかに充電され急速に放電されるので、駆動軸42は緩やかに矢印a方向に伸び、次いで急速に縮む。これにより、駆動軸42に接触部材43a、43bを介して摩擦結合しているレンズ保持枠43は、その速度差と摩擦条件により矢印a方向に移動する。
【0057】レンズ保持枠43を矢印aと反対方向に移動させるためには、第1実施例の場合と同じく圧電素子41に対し急速な充電と緩やかな放電を行えばよく、ここでは説明を省略する。
【0058】次に、駆動回路30の制御動作のうち駆動開始時の制御動作を、図12のフロ−チヤ−トにより説明する。まず、昇圧回路13をONとするが、出力電圧を0に設定する(ステツプP31)。ついで、PWM回路32をONとする(ステツプP32)。昇圧回路33の出力電圧が昇圧回路に予め設定されている所定の最大値に達したか否かを判定し(ステツプP33)、最大値に達していない場合(最初に設定した0を含む)は、昇圧回路13の出力電圧を予め設定した所定値(微小値)だけ増加させ(ステツプP34)、ステツプP33に戻り、最大値に達するまでこの動作を繰り返す。ステツプP33の判定で出力電圧が所定の最大値に達した場合は駆動開始時の制御動作を終了し、定常状態の制御に移る。
【0059】上記の処理では、昇圧回路33の出力電圧を0から序々に増加させて行くから、CPU31によりPWM回路32に設定されるデユ−テイ比Dが一定であつても、定電流回路34を経て圧電素子に印加される電圧、即ち電荷は0から序々に増加して行き、昇圧回路に予め設定されている所定の最大値にまで達する。圧電素子の伸縮量は昇圧回路の出力電圧で制御されるから、駆動開始時は低速度で駆動し、序々に速度を高めることができる。
【0060】図13は、駆動開始時における昇圧回路の出力、圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トで、PWM回路32に設定されるデユ−テイ比Dが一定であつても、定電流回路34を経て圧電素子に印加される電荷が序々に増加していく状態が示されている。
【0061】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明によれば、駆動機構の駆動開始/駆動停止/駆動方向反転の際は、電気−機械変換素子に対して駆動パルスを印加し或いは印加を停止するON/OFF制御を行うが、このとき、電気−機械変換素子に対する駆動パルスを印加時間、或いは印加電圧を序々に増加し或いは序々に減少させる制御を行つて、圧電素子に印加される電荷を制御して駆動速度を序々に増加及び減少するように制御する。これにより、駆動機構の駆動開始/駆動停止/駆動方向反転の際に滑らかに駆動速度を変化させることができるから、駆動開始/駆動停止/駆動方向反転の際衝撃音の発生を防ぐことができる。また、この駆動手段においては駆動パルスの周波数を途中で変更しないので、駆動パルスの周波数を予め直線駆動機構の共振周波数から離れた周波数に設定することにより駆動機構が共振したり共振に伴う振動音が発生するおそれを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の圧電素子を使用した駆動機構の駆動回路のブロツク図。
【図2】定常の駆動状態における駆動回路のタイミングチヤ−ト(その1)。
【図3】定常の駆動状態における駆動回路のタイミングチヤ−ト(その2)。
【図4】駆動開始時の制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【図5】駆動停止時の制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【図6】駆動反転時の制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【図7】駆動開始時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図8】駆動停止時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図9】従来の駆動反転時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図10】この発明の駆動反転時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図11】第2実施例の圧電素子を使用した駆動機構の駆動回路のブロツク図。
【図12】第2実施例の駆動開始時の制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【図13】第2実施例の駆動開始時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図14】従来の圧電素子を使用した駆動機構の構成を説明する断面図。
【図15】図14に示す駆動機構の一部を拡大した断面図。
【図16】駆動パルスの波形を説明する図。
【図17】従来の駆動機構の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図18】この発明による駆動機構の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【符号の説明】
11、31 CPU
12、32 PWM回路
13、33 昇圧回路
14、16、34、36 定電流回路
15、17 35、37 FET
21、42 圧電素子
22、42 駆動軸
23、43 レンズ保持枠
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カメラその他の精密機械等を構成する機構部品を移動させるための電気−機械変換素子を使用した駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子に対し、緩やかな立ち上がり部とこれに続く急速な立ち下がり部からなる波形の駆動パルスを印加すると、駆動パルスの緩やかな立ち上がり部では圧電素子が緩やかに厚み方向の伸び変位を生じ、急速な立ち下がり部では急速に縮み変位を生じる。そこで、この特性を利用し、圧電素子に対して上記したような波形の駆動パルスを印加して異なる速度で充放電を繰り返し、圧電素子に速度の異なる厚み方向の振動を発生させて圧電素子に固着された駆動部材を異なる速度で往復動させ、駆動部材に摩擦結合した移動部材に直線運動や回転運動を発生させる直線駆動機構や回転駆動機構などの駆動機構が知られている(特開平4−69070号公報、特開平6−261559号公報参照)。
【0003】図14は、上記した駆動機構のうち、直線駆動機構を使用したカメラの撮影レンズ駆動機構の構成の一例を示す断面図である。図14において、51はレンズ鏡筒で、その左端には第1レンズL1 の保持枠52が固定的に取り付けられ、その右端51aは第3レンズL3 の保持枠を形成している。レンズ鏡筒51の内部には、第2レンズL2 の保持枠53が、光軸方向に移動可能に配置されている。54はレンズ保持枠53を光軸方向に駆動する駆動軸で、駆動軸54はレンズ鏡筒51の第1のフランジ部51bとレンズ保持枠52のフランジ部52bとにより光軸方向に移動自在に支持され、その一端は圧電素子55の1つの面に接着固定されている。
【0004】圧電素子55は厚み方向に変位して駆動軸54を軸方向に変位させるもので、その一端面は駆動軸54に接着固定され、他の端面はレンズ鏡筒51の第2のフランジ部51cに接着固定されている。
【0005】第2レンズL2 を保持するレンズ保持枠53は、その下方に延びた移動部材である接触部材53bを備えており、接触部材53bには駆動軸54が貫通している。また、接触部材53bには下面に切り欠き溝53cが形成されている。接触部材53bと駆動軸54とは、切り欠き溝53cと接触部材53bの上面との間に嵌入された圧接バネ53dにより圧接し、適当な摩擦力で摩擦結合している。図15は駆動軸54と接触部材53bとの接触部分の構成を示す図で、図14のX−X線に沿つた断面図である。
【0006】また、レンズ保持枠53の上部にも図14では示されていない切り欠きが形成されており、案内軸59に係合してレンズ保持枠53の回転を防止している。なお、60はレンズをカメラに取り付けるマウント部である。
【0007】次にその制御動作を説明する。レンズL2 の矢印a方向への移動を必要としているときは、図16に示すような緩やかな立ち上がり部とこれに続く急速な立ち下がり部からなる波形の駆動パルスを圧電素子55に供給する。
【0008】駆動パルスの緩やかな立ち上がり部では、圧電素子55は緩やかに厚み方向の伸び変位を生じ、駆動軸54は軸方向に矢印a方向へ変位する。このため、駆動軸54に圧接バネ53dにより圧接して摩擦結合しているレンズ保持枠53の接触部材53bも矢印a方向へ移動するので、レンズ保持枠53を矢印a方向へ移動させることができる。
【0009】駆動パルスの急速な立ち下がり部では、圧電素子55が急速に厚み方向の縮み変位を生じ、駆動軸54も軸方向に矢印aと反対方向へ変位する。このとき、駆動軸54に圧接バネ53dにより圧接しているレンズ保持枠53の接触部材53bはその慣性力により駆動軸54との間の摩擦力に打ち勝つて実質的にその位置に留まるので、レンズ保持枠53は移動しない。
【0010】なお、ここでいう実質的とは、矢印a方向と、これと反対方向のいずれにおいてもレンズ保持枠53の接触部材53bと駆動軸54との間の摩擦結合面に滑りを生じつつ追動し、駆動時間の差によつて全体として矢印a方向に移動するものも含むことを意味している。
【0011】上記波形の駆動パルスを連続して圧電素子55に印加することにより、レンズ保持枠53を矢印aで示す方向へ連続して移動させることができる。
【0012】レンズ保持枠53を矢印aと反対方向へ移動させるときは、急速な立ち上がり部とこれに続く緩やかな立ち下がり部からなる波形の駆動パルスを圧電素子55に印加することで達成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記した圧電素子を使用した直線駆動機構では、駆動パルスにより圧電素子が駆動される時に発生する振動音が人間に不快感を与えるため、駆動パルスの周波数を可聴周波数外である20KHzを越える周波数で駆動すると振動音が聞こえなくなる。
【0014】駆動/停止/反転の際は、圧電素子に対して駆動パルスを印加し或いは印加を停止するON/OFF制御を行うが、図17に示すように圧電素子に対して駆動パルスをON/OFF制御すると、応答性に優れているこの種の直線駆動機構では移動部材が急激に前進又は停止して著しい速度変化が生じるため、衝撃音が発生するという不都合があつた。
【0015】また、駆動速度を変更するために駆動パルスの周波数を変更すると、周波数によつては駆動機構が共振を起こして共振音が発生する場合があり、また、共振により駆動機構の耐久性が低下するなどの不都合があつた。
【0016】
【課題を解決するための手段】以上説明したように、従来の圧電素子を使用した駆動機構では、駆動/停止/反転の際に、圧電素子に対して駆動パルスをON/OFF制御すると、図17に示すように駆動部材や移動部材が急激に移動/停止/反転して著しい速度変化が生じ、衝撃音が発生する。そこで、この発明では、図18に示すように圧電素子に対して印加する駆動パルスの電荷を徐々に増加/減少させるように制御して、駆動部材や移動部材を滑らかに移動/停止/反転させ、著しい速度変化が生じないようにして課題を解決しようとするものである。
【0017】請求項1の発明は、電気−機械変換素子と、前記電気−機械変換素子に固着結合された駆動部材と、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材と、前記電気−機械変換素子に伸縮変位を与える駆動パルス発生手段とを備え、前記駆動パルス発生手段により電気−機械変換素子に伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位を発生させ、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させる電気−機械変換素子を使用した駆動機構において、前記駆動パルス発生手段は、駆動パルスを前記電気−機械変換素子へ印加する時間を制御する手段を備え、印加時間を制御することにより電気−機械変換素子へ印加される電荷を制御して駆動速度を制御することを特徴とする。
【0018】そして、前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動開始時や駆動停止時には、駆動パルスを電気−機械変換素子へ印加する時間を序々に増加させ、或いは減少させる制御を行い、印加時間を序々に増加及び減少させることにより電気−機械変換素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加及び減少するように制御する。なお、駆動方向反転時の一時的な駆動停止時にも同様の制御を行うことができる。
【0019】請求項3の発明は、電気−機械変換素子と、前記電気−機械変換素子に固着結合された駆動部材と、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材と、前記電気−機械変換素子に伸縮変位を与える駆動パルス発生手段とを備え、前記駆動パルス発生手段により電気−機械変換素子に伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位を発生させ、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させる電気−機械変換素子を使用した駆動機構において、前記駆動パルス発生手段は、前記電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を制御する手段を備え、駆動パルス電圧を制御することにより電気−機械変換素子へ印加される電荷を制御して駆動速度を制御することを特徴とする。
【0020】そして、前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動開始時や駆動停止時には、電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を序々に増加、或いは減少させ、電気−機械変換素子の印加電荷を序々に増加或いは減少させることにより電気−機械変換素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加及び減少するように制御する。なお、駆動方向反転時の一時的な駆動停止時にも同様の制御を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】駆動パルス発生手段はCPUとPWM回路、昇圧回路、定電流回路、FET(電界効果型トランジスタ)から構成される。通常の駆動状態ではPWM回路に設定されたデユ−テイ比(ON/OFFの時間比)で定電流回路がONとなり、昇圧回路の出力電圧は定電流回路を経て圧電素子に緩やかに充電されてゆく。次に、PWM回路に設定されたデユ−テイ比で放電回路がONとなると、圧電素子に充電された電荷は急速に放電する。この結果、圧電素子は鋸歯状波形の駆動パルスが印加されることになり、伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位振動が発生し、圧電素子に固着結合された駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させることができる。
【0022】そして、駆動機構の駆動開始時や駆動停止時(駆動方向反転時を含む)には駆動パルスを圧電素子へ印加する時間を序々に増加或いは減少させる制御を行つて、圧電素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加及び減少するように制御する。これにより、急速な駆動に伴う衝撃音の発生を防ぐことができる。
【0023】駆動パルスを圧電素子へ印加する時間を序々に増加減少させる制御に代えて昇圧回路の出力電圧を可変とし、駆動機構の駆動開始時や駆動停止時(駆動方向反転時を含む)には昇圧回路の出力電圧を序々に増加或いは減少させる制御を行つて、圧電素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加及び減少するように制御してもよい。
【0024】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。図1はこの発明の圧電素子を使用した駆動機構と駆動回路のブロツク図で、駆動回路は先に従来例として図14を参照して説明した圧電素子を使用した直線駆動機構などにも適用することができるものである。
【0025】図1において、11は駆動回路10を制御するCPUで、その入力ポ−トには、図示しないカメラ本体の焦点検出回路から出力される焦点検出信号が入力される。また、CPU11の出力ポ−トにはPWM(パルス幅変調)回路12、昇圧回路13が接続される。15、17はFET(電界効果型トランジスタ)で、CPU11で決定されるデユ−テイ比D(ON/OFFの時間比)に基づいて動作するPWM(パルス幅変調)回路12から出力されるPWM信号でON/OFF制御される。14、16は定電流回路で、所定の一定電流で圧電素子に対し充放電を行うためのものである。
【0026】駆動回路10で駆動される駆動機構20は、先に図14により説明した構成のものと変わらないので、ここでは簡略に示してある。圧電素子21はその一端が図示しないレンズ鏡筒に接着固定され、他端は駆動軸22に接着固定されている。なお駆動軸22は図示しない軸受により軸方向に移動自在に支持されている。
【0027】レンズLを保持するレンズ保持枠23には、その上方に、駆動軸22に摩擦接触する接触部材23aおよび接触部材23bが形成され、両者の中央部分を駆動軸22が貫通している。即ち、接触部材23aはレンズ保持枠23と一体に形成され、駆動軸22の下半分に接触する。接触部材23bは駆動軸22の上半分に接触するようにレンズ保持枠23の延長部分23cに嵌合し、ばね24により駆動軸22に圧接する方向に付勢されている。この構成により駆動軸22と接触部材23a及び接触部材23bとは適当な摩擦力により摩擦結合している。
【0028】次に、駆動回路10の制御動作を図2及び図3に示すタイミングチヤ−トを参照しつつ説明する。まず駆動機構が定常の駆動状態にあり、圧電素子21に対し緩やかな充電と急速な放電を行う、図2のタイミングチヤ−トの(a)に示す波形の駆動パルスを印加する場合の制御動作を説明する。
【0029】定常の駆動状態においては、PWM回路12及び昇圧回路13は動作状態にあり、PWM回路12はCPU11で決定された定常駆動に適した所定のデユ−テイ比Dに基づいてPWM信号(ON/OFF制御信号)を定電流回路14及びFET15に出力する。このとき、定電流回路16及びFET17はOFFに維持されるよう制御される(図2(d)(e)参照)。
【0030】定電流回路14は、PWM回路12から出力されるPWM信号により、図2の(b)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間昇圧回路13からの出力は定電流回路14を経て一定電流で圧電素子21に充電される。また、FET15はPWM回路12から出力されるPWM信号により、図2の(c)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間だけ導通状態となるから圧電素子21に充電された電荷は急速に放電される。
【0031】上記のとおり、圧電素子21は緩やかに充電され急速に放電されるから、即ち図2のタイミングチヤ−トの(a)に示す波形の駆動パルスが印加されることになる。圧電素子21の緩やかな充電期間、即ち駆動パルスの緩やかな立ち上がり部では、圧電素子21は緩やかに厚み方向の伸び変位を生じ、駆動軸22は軸方向に矢印a方向へ変位する。このため、駆動軸22に圧接バネ24により圧接して摩擦結合しているレンズ保持枠23も矢印a方向へ移動する。
【0032】圧電素子21の急速な放電期間、即ち駆動パルスの急速な立ち下がり部では、圧電素子21が急速に厚み方向の縮み変位を生じ、駆動軸22も軸方向に矢印aと反対方向へ変位する。このとき、駆動軸22に圧接バネ24により圧接しているレンズ保持枠23の接触部材23a、23bはその慣性力により駆動軸22との間の摩擦力に打ち勝つて実質的にその位置に留まるので、レンズ保持枠23は移動しない。
【0033】なお、ここでいう実質的とは、矢印a方向とこれと反対方向のいずれにおいてもレンズ保持枠の接触部材と駆動軸との間の摩擦結合面に滑りを生じつつ追動し、駆動時間の差によつて全体として矢印a方向に移動するものも含むことを意味している。
【0034】上記波形の駆動パルスを連続して圧電素子21に印加することにより、レンズ保持枠23を矢印aで示す方向へ連続して移動させることができる。
【0035】次に、レンズ保持枠23を矢印aと反対方向に移動させるため、圧電素子21に対し急速な充電と緩やかな放電を行う図3のタイミングチヤ−トの(a)に示す波形のパルスを印加する場合の制御動作を説明する。
【0036】PWM回路12及び昇圧回路13は動作状態にあり、PWM回路12はCPU11で決定された定常駆動に適した所定のデユ−テイ比Dに基づいてPWM信号(ON/OFF制御信号)を定電流回路16及びFET17に出力する。このとき、定電流回路14及びFET15はOFFに維持されるよう制御される(図3(b)(c)参照)。
【0037】FET17はPWM回路12から出力されるPWM信号により、図3の(e)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間導通状態となるから、昇圧回路13からの出力はFET17を経て急速に圧電素子21に充電される。また、定電流回路16はPWM回路12から出力されるPWM信号により、図3の(d)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間、圧電素子21に充電された電荷は定電流回路16を経て一定電流で緩やかに放電される。
【0038】圧電素子21は急速に充電され緩やかに放電されるので、駆動軸22は急速に矢印a方向に伸び、次いで緩やかに縮む。これにより、駆動軸22に接触部材23a、23bを介して摩擦結合しているレンズ保持枠23は、その速度差と摩擦条件により矢印a方向と反対方向に移動する。
【0039】定電流回路14、16及びFET15、17のON/OFFのタイミングには、定電流回路及びFETが共にOFFとなる期間を設けてある。これは、定電流回路及びFETが共にOFFとなる期間が無い場合には、動作素子の応答遅れなどにより定電流回路とFETの両方が同時にONとなると昇圧回路の出力側が接地されてしまい、回路破壊や消費電力の異常な増加となるからである。
【0040】次に、駆動回路10の制御動作のうち、駆動開始時の制御動作を、図4のフロ−チヤ−トにより説明する。まず、昇圧回路13をONとし、出力が安定するのを待つ(ステツプP1、P2)。ついで、PWM回路12をONとし、デユ−テイ比Dを0に設定する(ステツプP3、P4)。移動速度が定常状態の速度に達したか否かを判定し(ステツプP5)、定常状態の速度以下の場合はデユ−テイ比Dを増加してPWM回路12に新たなデユ−テイ比Dを設定し(ステツプP6、P7)、所定時間の経過を待つて(ステツプP8)、ステツプP5に戻り、定常状態の速度以下の場合は次第に速度を増加させて行く。ステツプP5の判定で、定常状態の速度に達したときは駆動開始時の制御動作を終了し、定常状態の制御動作に移る。
【0041】上記の処理では、緩やかな充電(放電)を行わせるためにPWM回路12に設定されるデユ−テイ比Dで定電流回路14、16を作動させて圧電素子20に充電される電荷、或いは放電される電荷を制御し、圧電素子の伸縮量も制御される。これにより駆動開始時は駆動機構を低速度で駆動し、序々に速度を高めることができる。
【0042】図7は、駆動開始時における圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トで、PWM回路のデユ−テイ比Dの増加に伴い圧電素子に印加される電荷が序々に増加していく状態が示されている。
【0043】駆動回路10の制御動作のうち駆動停止時の制御動作を、図5のフロ−チヤ−トにより説明する。まず、デユ−テイ比Dが0か否かを判定し(ステツプP11)、デユ−テイ比Dが0でない場合は、デユ−テイ比Dを減少してPWM回路12に新たなデユ−テイ比Dを設定し(ステツプP12、P13)、所定時間の経過を待つて(ステツプP14)、ステツプP11に戻り、次第に速度を減少させて行く。ステツプP11の判定でデユ−テイ比Dが0の場合は、停止状態にあるから、PWM回路12及び定電流回路13をOFFとし、処理を終了する(ステツプP15、P16)。
【0044】上記の処理でも、緩やかな充電(放電)を行わせるためにPWM回路12に設定されるデユ−テイ比Dで定電流回路14、16を作動させて圧電素子20に充電される電荷、或いは放電される電荷を制御し、圧電素子の伸縮量も制御される。これにより駆動停止時には序々に速度を低下させて行き最終的に停止させることができる。
【0045】図8は、駆動停止時における圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トで、定電流回路のデユ−テイ比Dの減少に伴い、圧電素子に印加される電荷が序々に低下していく状態が示されている。
【0046】次に、駆動回路10の制御動作のうち駆動反転時の制御動作を説明する。図9は従来の駆動制御方法による駆動反転時の圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トであり、図9から明らかなように、圧電素子の緩やかな充電と急速な放電による正方向の駆動から圧電素子の急速な充電と緩やかな放電による負方向の駆動に切り換える駆動反転時には、一旦駆動を停止する不作動期間を設けていた。
【0047】これに対し、この発明では、先に説明した駆動停止時の処理をして停止させた後、駆動開始時の処理を行い駆動動作を反転させるのであるが、駆動停止と駆動開始との間において、圧電素子に印加される電荷レベルを序々に変化させる処理を行い、駆動反転時の衝撃を緩和するようにしている。以下、この処理について図6R>6のフロ−チヤ−トにより説明する。
【0048】まず、昇圧回路13をONとし、出力が安定するのを待つ(ステツプP21、P22)。次に、デユ−テイ比Dを0に設定し(ステツプP23)、PWM回路12にデユ−テイ比D=0を設定してFETをOFFとする(ステツプP23)。さらに、デユ−テイ比Dに微小値(例えば1/256 )を設定し(ステツプP25)、PWM回路12をデユ−テイ比D(微小値)で駆動し、定電流回路14を間欠的に駆動して緩やかな充電を繰り返す動作を開始させる(ステツプP26)。所定時間(例えば10ms)の経過を待ち(ステツプP27)、処理を終了する。
【0049】以上の処理により、圧電素子に印加される電荷レベルは序々に変化するから、駆動軸22が急激に伸縮して、これに接触部材を介して摩擦結合しているレンズ保持枠23が急激に移動することを防止することができる。
【0050】図10は、駆動反転時における圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トで、定電流回路14を間欠的に駆動して緩やかな充電を繰り返すことにより圧電素子に印加される電荷レベルが序々に変化する状態が示されている。
【0051】次に、この発明の第2実施例について説明する。第1実施例では駆動開始時に定電流回路のON/OFF時間を制御して、圧電素子へ印加される電荷を制御していたが、第2実施例では昇圧回路の出力電圧を制御して圧電素子へ印加される電荷を制御するように構成したものである。
【0052】図11は第2実施例の圧電素子を使用した駆動機構と駆動回路のブロツク図で、第1実施例と類似した回路構成であるが、両者の相違点は、第2実施例では昇圧回路の出力電圧がCPUで制御され、回路動作が異なる点にある。
【0053】図11において、31は駆動回路30を制御するCPUで、その入力ポ−トには、図示しないカメラ本体の焦点検出回路から出力される焦点検出信号が入力される。また、CPU31の出力ポ−トにはPWM(パルス幅変調)回路32、昇圧回路33が接続される。35、37はFETで、CPU31で決定されるデユ−テイ比Dに基づいて動作するPWM回路32から出力されるPWM信号でON/OFF制御される。34、36は定電流回路で、所定の一定電流で圧電素子に対し充放電を行うためのものである。
【0054】駆動回路10の制御動作を説明する。まず駆動機構が定常の駆動状態にあるときは、第1実施例の場合と同じ動作となる。即ち、定常の駆動状態においては、PWM回路32及び昇圧回路33は動作状態にあり、PWM回路32はCPU11で決定された定常駆動に適した所定のデユ−テイ比Dに基づいてPWM信号(ON/OFF制御信号)を定電流回路34及びFET35に出力する。このとき、定電流回路36及びFET37はOFFに維持されるよう制御される(図2(d)(e)参照)。
【0055】定電流回路34は上記デユ−テイ比DのPWM信号を受け、図2の(b)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間、昇圧回路33からの出力は定電流回路14を経て一定電流で圧電素子21に充電される。また、FET35は図2の(c)に示すタイミングでON/OFFされ、ONの期間だけ導通状態となるから圧電素子41に充電された電荷は急速に放電される。
【0056】圧電素子41は緩やかに充電され急速に放電されるので、駆動軸42は緩やかに矢印a方向に伸び、次いで急速に縮む。これにより、駆動軸42に接触部材43a、43bを介して摩擦結合しているレンズ保持枠43は、その速度差と摩擦条件により矢印a方向に移動する。
【0057】レンズ保持枠43を矢印aと反対方向に移動させるためには、第1実施例の場合と同じく圧電素子41に対し急速な充電と緩やかな放電を行えばよく、ここでは説明を省略する。
【0058】次に、駆動回路30の制御動作のうち駆動開始時の制御動作を、図12のフロ−チヤ−トにより説明する。まず、昇圧回路13をONとするが、出力電圧を0に設定する(ステツプP31)。ついで、PWM回路32をONとする(ステツプP32)。昇圧回路33の出力電圧が昇圧回路に予め設定されている所定の最大値に達したか否かを判定し(ステツプP33)、最大値に達していない場合(最初に設定した0を含む)は、昇圧回路13の出力電圧を予め設定した所定値(微小値)だけ増加させ(ステツプP34)、ステツプP33に戻り、最大値に達するまでこの動作を繰り返す。ステツプP33の判定で出力電圧が所定の最大値に達した場合は駆動開始時の制御動作を終了し、定常状態の制御に移る。
【0059】上記の処理では、昇圧回路33の出力電圧を0から序々に増加させて行くから、CPU31によりPWM回路32に設定されるデユ−テイ比Dが一定であつても、定電流回路34を経て圧電素子に印加される電圧、即ち電荷は0から序々に増加して行き、昇圧回路に予め設定されている所定の最大値にまで達する。圧電素子の伸縮量は昇圧回路の出力電圧で制御されるから、駆動開始時は低速度で駆動し、序々に速度を高めることができる。
【0060】図13は、駆動開始時における昇圧回路の出力、圧電素子に印加される電荷の変化、定電流回路及びFETのON/OFFのタイミングを示したタイミングチヤ−トで、PWM回路32に設定されるデユ−テイ比Dが一定であつても、定電流回路34を経て圧電素子に印加される電荷が序々に増加していく状態が示されている。
【0061】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明によれば、駆動機構の駆動開始/駆動停止/駆動方向反転の際は、電気−機械変換素子に対して駆動パルスを印加し或いは印加を停止するON/OFF制御を行うが、このとき、電気−機械変換素子に対する駆動パルスを印加時間、或いは印加電圧を序々に増加し或いは序々に減少させる制御を行つて、圧電素子に印加される電荷を制御して駆動速度を序々に増加及び減少するように制御する。これにより、駆動機構の駆動開始/駆動停止/駆動方向反転の際に滑らかに駆動速度を変化させることができるから、駆動開始/駆動停止/駆動方向反転の際衝撃音の発生を防ぐことができる。また、この駆動手段においては駆動パルスの周波数を途中で変更しないので、駆動パルスの周波数を予め直線駆動機構の共振周波数から離れた周波数に設定することにより駆動機構が共振したり共振に伴う振動音が発生するおそれを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の圧電素子を使用した駆動機構の駆動回路のブロツク図。
【図2】定常の駆動状態における駆動回路のタイミングチヤ−ト(その1)。
【図3】定常の駆動状態における駆動回路のタイミングチヤ−ト(その2)。
【図4】駆動開始時の制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【図5】駆動停止時の制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【図6】駆動反転時の制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【図7】駆動開始時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図8】駆動停止時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図9】従来の駆動反転時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図10】この発明の駆動反転時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図11】第2実施例の圧電素子を使用した駆動機構の駆動回路のブロツク図。
【図12】第2実施例の駆動開始時の制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【図13】第2実施例の駆動開始時の駆動回路の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図14】従来の圧電素子を使用した駆動機構の構成を説明する断面図。
【図15】図14に示す駆動機構の一部を拡大した断面図。
【図16】駆動パルスの波形を説明する図。
【図17】従来の駆動機構の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【図18】この発明による駆動機構の動作を説明するタイミングチヤ−ト。
【符号の説明】
11、31 CPU
12、32 PWM回路
13、33 昇圧回路
14、16、34、36 定電流回路
15、17 35、37 FET
21、42 圧電素子
22、42 駆動軸
23、43 レンズ保持枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気−機械変換素子と、前記電気−機械変換素子に固着結合された駆動部材と、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材と、前記電気−機械変換素子に伸縮変位を与える駆動パルス発生手段とを備え、前記駆動パルス発生手段により電気−機械変換素子に伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位を発生させ、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させる電気−機械変換素子を使用した駆動機構において、前記駆動パルス発生手段は、駆動パルスを前記電気−機械変換素子へ印加する時間を制御する手段を備え、印加時間を制御することにより電気−機械変換素子へ印加される電荷を制御して駆動速度を制御することを特徴とする電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項2】 前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動開始時には駆動パルスを電気−機械変換素子へ印加する時間を序々に増加させ、印加時間を序々に増加させることにより電気−機械変換素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加するよう制御することを特徴とする請求項1記載の電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項3】 前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動停止時には駆動パルスを電気−機械変換素子へ印加する時間を序々に減少させ、印加時間を序々に減少させることにより電気−機械変換素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に減少するよう制御することを特徴とする請求項1記載の電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項4】 電気−機械変換素子と、前記電気−機械変換素子に固着結合された駆動部材と、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材と、前記電気−機械変換素子に伸縮変位を与える駆動パルス発生手段とを備え、前記駆動パルス発生手段により電気−機械変換素子に伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位を発生させ、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させる電気−機械変換素子を使用した駆動機構において、前記駆動パルス発生手段は、前記電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を制御する手段を備え、駆動パルス電圧を制御することにより電気−機械変換素子へ印加される電荷を制御して駆動速度を制御することを特徴とする電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項5】前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動開始時には電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を序々に増加させ、電気−機械変換素子の印加電荷を序々に増加させることにより駆動速度が序々に増加するよう制御することを特徴とする請求項4記載の電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項6】前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動停止時には電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を序々に減少させ、電気−機械変換素子の印加電荷を序々に減少させることにより駆動速度が序々に減少するよう制御することを特徴とする請求項4記載の電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項1】 電気−機械変換素子と、前記電気−機械変換素子に固着結合された駆動部材と、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材と、前記電気−機械変換素子に伸縮変位を与える駆動パルス発生手段とを備え、前記駆動パルス発生手段により電気−機械変換素子に伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位を発生させ、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させる電気−機械変換素子を使用した駆動機構において、前記駆動パルス発生手段は、駆動パルスを前記電気−機械変換素子へ印加する時間を制御する手段を備え、印加時間を制御することにより電気−機械変換素子へ印加される電荷を制御して駆動速度を制御することを特徴とする電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項2】 前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動開始時には駆動パルスを電気−機械変換素子へ印加する時間を序々に増加させ、印加時間を序々に増加させることにより電気−機械変換素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に増加するよう制御することを特徴とする請求項1記載の電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項3】 前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動停止時には駆動パルスを電気−機械変換素子へ印加する時間を序々に減少させ、印加時間を序々に減少させることにより電気−機械変換素子に印加される電荷を制御して駆動速度が序々に減少するよう制御することを特徴とする請求項1記載の電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項4】 電気−機械変換素子と、前記電気−機械変換素子に固着結合された駆動部材と、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材と、前記電気−機械変換素子に伸縮変位を与える駆動パルス発生手段とを備え、前記駆動パルス発生手段により電気−機械変換素子に伸びと縮みの速度の異なる伸縮変位を発生させ、前記駆動部材に摩擦結合した被駆動部材に運動を発生させる電気−機械変換素子を使用した駆動機構において、前記駆動パルス発生手段は、前記電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を制御する手段を備え、駆動パルス電圧を制御することにより電気−機械変換素子へ印加される電荷を制御して駆動速度を制御することを特徴とする電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項5】前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動開始時には電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を序々に増加させ、電気−機械変換素子の印加電荷を序々に増加させることにより駆動速度が序々に増加するよう制御することを特徴とする請求項4記載の電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【請求項6】前記駆動パルス発生手段は、駆動機構の駆動停止時には電気−機械変換素子へ印加する駆動パルス電圧を序々に減少させ、電気−機械変換素子の印加電荷を序々に減少させることにより駆動速度が序々に減少するよう制御することを特徴とする請求項4記載の電気−機械変換素子を使用した駆動機構。
【図15】
【図16】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図14】
【図17】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図18】
【図11】
【図13】
【図16】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図14】
【図17】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図18】
【図11】
【図13】
【公開番号】特開平9−191676
【公開日】平成9年(1997)7月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−14757
【出願日】平成8年(1996)1月4日
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【公開日】平成9年(1997)7月22日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)1月4日
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
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