電気かみそり
【課題】寝ている体毛の外刃に対する導入性能の向上を図ることのできる電気かみそりを得る。
【解決手段】電気かみそり1は、桟40によって画成された刃穴50を有する外刃8と、当該外刃8の内方に配設されて外刃8に対して相対移動することで、刃穴50に挿入された体毛71を切断する内刃13と、を備えている。そして、肌70と接触する肌接触面43aが起毛桟45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置する第1の桟43を、剃り方向X前方で起毛桟45と隣り合うように設けた。
【解決手段】電気かみそり1は、桟40によって画成された刃穴50を有する外刃8と、当該外刃8の内方に配設されて外刃8に対して相対移動することで、刃穴50に挿入された体毛71を切断する内刃13と、を備えている。そして、肌70と接触する肌接触面43aが起毛桟45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置する第1の桟43を、剃り方向X前方で起毛桟45と隣り合うように設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、体毛を剃る種々の電気かみそりが開発されている。ここで、体毛の延びている方向と肌面とのなす角度は起毛角と呼ばれているが、起毛角が大きい(例えば、45°〜60°)体毛は剃りやすいが、起毛角が小さい(例えば、30°以下)体毛、すなわち、寝ている体毛は剃りにくいという問題がある。そこで、寝ている体毛を起こす起毛力が従来よりも大きい起毛部を外刃の桟に設けた電気かみそりが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3083548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、複数の桟は、それぞれの肌接触面が同一平面に含まれるように形成されているため、桟に設けた起毛部が寝ている体毛の下(体毛と肌面との間)に入り込みにくかった。すなわち、上記従来の技術では、寝ている体毛の外刃に対する導入性能があまりよくなかった。
【0005】
そこで、本発明は、寝ている体毛の外刃に対する導入性能の向上を図ることのできる電気かみそりを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にあっては、桟によって画成された刃穴を有する外刃と、当該外刃の内方に配設されて前記外刃に対して相対移動することで、前記刃穴に挿入された体毛を切断する内刃と、を備える電気かみそりであって、前記桟は、体毛を起立させる起毛部を有する起毛桟と、当該起毛桟の肌接触面よりも、肌接触面が内刃側となるように設けられた第1の桟と、を備え、前記起毛桟の剃り方向前方に、当該起毛桟と隣り合うように前記第1の桟を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、肌と接触する肌接触面が、起毛桟の肌接触面よりも内刃側に位置する第1の桟を剃り方向前方で起毛桟と隣り合うように設けたため、電気かみそり使用時に、起毛桟を肌により食い込ませることができ、寝ている体毛をより効率的に起毛させることができるようになる。すなわち、本発明によれば、寝ている体毛の外刃に対する導入性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる電気かみそりを示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる内刃を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかる外刃カセットを模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態にかかる外刃を側方から見た概略図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態にかかる外刃の一部を拡大した斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態にかかる第1の桟の断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態にかかる第2の桟の断面図である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態にかかる起毛桟を示す断面図であって、(a)は、起毛桟の断面図、(b)は、起毛部の拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態にかかる起毛桟を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9のA−A線断面図である。
【図11】図11は、本発明の第1実施形態にかかる長板状部材の平面図である。
【図12】図12は、本発明の第1実施形態にかかる長手方向桟の配置状態を示す図であって、(a)は、図11の一部拡大平面図、(b)は、図12(a)のB−B線断面図である。
【図13】図13は、本発明の第1実施形態にかかる長手方向桟の配置状態を示す拡大断面図である。
【図14】図14は、本発明の第1実施形態にかかる起毛桟が寝ている体毛を起こす様子を模式的に示す図であって、(a)は、起毛桟の起毛部が寝ている体毛の下に入り込んだ状態を模式的に示す断面図、(b)は、起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の第1実施形態の第2変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の第1実施形態の第3変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図18】図18は、本発明の第1実施形態の第4変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図19】図19は、本発明の第1実施形態の第5変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明の第1実施形態の第6変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図21】図21は、本発明の第1実施形態の第7変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図22】図22は、本発明の第2実施形態にかかる長手方向桟の配置状態を示す図であって、(a)は、長板状部材の一部拡大断面図、(b)は、外刃の一部拡大断面図である。
【図23】図23は、本発明の第2実施形態にかかる起毛桟が寝ている体毛を起こす様子を模式的に示す断面図である。
【図24】図24は、本発明の第3実施形態にかかる電気かみそりの一部拡大平面図である。
【図25】図25は、本発明の第3実施形態にかかる内刃と外刃で寝ている体毛を切断する様子を模式的に示す図であって、(a)は、起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図、(b)は、体毛を切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。また、以下では、複数の外刃が並設される方向を前後方向(剃り方向)X、各外刃が延在する方向を左右方向Yとして説明する。また、外刃が上方を向くようにヘッド部を配置した状態における上下方向を上下方向Zとして説明する。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる電気かみそり1は、図1に示すように、手で把持するグリップ部2と、グリップ部2に固定されたヘッド部5と、を備えている。
【0011】
グリップ部2は、図示せぬ電池が内蔵される合成樹脂製のグリップ本体3と、このグリップ本体3の上面より後方に突設された合成樹脂製のグリップ接続部4と、を備えている。なお、グリップ接続部4の上面に、公知の左右揺動機構および公知の前後揺動機構のうちの少なくともいずれかの機構を設け、ヘッド部5をグリップ部2に左右方向や前後方向に揺動できるように取り付けてもよい。
【0012】
ヘッド部5は、図示せぬリニアモータが内蔵され、グリップ接続部4に接続されるリニアヘッド部6と、当該リニアヘッド部6に取り付けられる刃ユニット7と、を備えている。そして、グリップ本体3には、図1に示すように、リニアモータの駆動をオン、オフさせるスイッチ部90が形成されている。なお、グリップ本体3に、電池の充電状況等を表示する表示部を設けるようにしてもよい。
【0013】
刃ユニット7は、ヘッド部5の上方に向けて露出する外刃8と、当該外刃8の内方(外刃8の下側)に配設されて外刃8に対して相対移動する内刃13と、を備えている。
【0014】
本実施形態では、4枚(複数)の外刃を備えており、第1のネット刃9、仕上げ用ネット刃10、スリット刃11、第2のネット刃12が前後方向Xに並設されている。
【0015】
ネット刃9,10,12はいずれも、図4に示すように、側面視(左右方向Yに外刃を視た状態)で上方が凸となるように前後方向(短手方向)Xに沿って逆U字状に湾曲して形成されている。さらに、ネット刃9,10,12は、正面視(前後方向Xに外刃を視た状態)で上方が凸となるように左右方向(長手方向)Yに沿って若干湾曲して形成されている。なお、本実施形態では、ネット刃9,10,12を、正面視で上方が凸となるように湾曲させているが、必ずしも湾曲させる必要はない。
【0016】
そして、このネット刃9,10,12には、多数の刃穴50が桟40によって画成されている。さらに、本実施形態では、図3に示すように、仕上げ用ネット刃10の刃幅(前後方向Xの幅)が、第1及び第2のネット刃9,12の刃幅(前後方向Xの幅)よりも小さくなるようにしている。このように、仕上げ用ネット刃10の刃幅を他のネット刃9,12の刃幅に比して小さく、すなわち、仕上げ用ネット刃10の曲率半径を小さく設けることで、表面に押し付けた肌70を刃穴50から大きく内側に突出させて体毛71(図14参照)を短く剃ることができるようにしている。
【0017】
スリット刃11は、前後方向(短手方向)Xに沿ってコ字状に湾曲形成されており、平坦な上壁から側壁に至る多数のスリット(刃穴)を穿設することで形成されている。
【0018】
すなわち、スリット刃11には、多数のスリット(刃穴)が、平坦な上壁から側壁に至る略コ字状の桟および側壁の下部で長手方向(左右方向)Yに沿って延在する桟によって画成されている。
【0019】
そして、外刃8を成す各ネット刃9,10,12およびスリット刃11は、それぞれ専用の外刃枠19,20,22および21に取り付けられている。
【0020】
さらに、外刃枠20の第1のネット刃9側には、肌ガード部材20aが形成されており、仕上げ用ネット刃10を前後に挟むスリット刃11と肌ガード部材20aとによって、曲率半径の小さな仕上げ用ネット刃10に肌70が強く押し付けられることを効果的に防止している。
【0021】
そして、第1のネット刃9が取り付けられた外刃枠19、仕上げ用ネット刃10が取り付けられた外刃枠20、スリット刃11が取り付けられた外刃枠21および第2のネット刃12が取り付けられた外刃枠22を、外刃フレーム18にそれぞれ係合させることで、外刃カセット30を形成している。この外刃カセット30は、リニアヘッド部6に取り付けられている。
【0022】
内刃13は、外刃8を成す各ネット刃9,10,12およびスリット刃11に対して専用のものが設置されている。具体的には、各ネット刃9,10,12の下方(内方)に、対応するネット刃9,10,12の湾曲に沿う逆U字状の内刃14,15,17が配設されている(図2参照)。なお、スリット刃11の下方(内方)には、このスリット刃11の湾曲に沿うコ字状のスリット内刃(図示せず)が配設されている。
【0023】
そして、これら内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)は、上述の図示せぬリニアモータに取り付けられており、リニアモータを駆動させると、内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)がそれぞれ左右方向(長手方向)Yに往復動するようになっている。
【0024】
このように、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11の下方(内方)に配設された内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)を、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11に対してそれぞれ相対移動(左右方向Yへの往復動)させることで、各ネット刃9,10,12の刃穴50およびスリット刃11のスリット内に挿入された体毛71を、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11と、内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)と、で協働して切断するように構成している。
【0025】
次に、本実施形態にかかるネット刃9,10,12について詳細に説明する。
【0026】
本実施形態では、ネット刃9,10,12は、桟40によって多数の刃穴50が画成されている。具体的には、桟40は、図5に示すように、短手方向(前後方向)Xに沿って波状に延在する短手方向桟41と、長手方向(左右方向)Yに沿って延在する長手方向桟42と、を備えている。そして、これらの桟41,42によって平面視略六角状の刃穴50が画成されている。この刃穴50は、体毛71が挿入可能な大きさに形成されている。
【0027】
なお、本実施形態では、多数の刃穴50を画成した長板状部材9c,10c,12c(図11参照)を、上方が凸となるように前後方向(剃り方向)Xに沿って逆U字状に湾曲させた状態で外刃枠19,20,22にそれぞれ取り付けることで、側方から見て逆U字状に湾曲したネット刃9,10,12を形成している。
【0028】
このように、側方から見て逆U字状に湾曲形成したネット刃9,10,12は、最も高い部位に位置する頂部9a,10a,12aが、肌70との接触圧が大きくなる部位となる。そして、頂部9a,10a,12aの短手方向両側の外側に位置する外側部9b,10b,12bが、頂部9a,10a,12aよりも肌70との接触圧が小さくなる部位となる。なお、図5における一点鎖線は頂部9a,10a,12aの短手方向の中心を通る中心線である。
【0029】
また、本実施形態では、長手方向桟42は、図6に示す断面形状の長手方向桟(第1の桟)43と、図7に示す断面形状の長手方向桟(第2の桟)44と、図8(a)に示す断面形状の長手方向桟(起毛桟)45と、を備えている。
【0030】
長手方向桟(第1の桟)43は、図6に示すように、肌70側(図6の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)43aと、内刃13側(図6の下側)に平坦状に形成された底面43bと、表面(肌接触面)43aおよび底面43bの短手方向端部同士を滑らかに結ぶ両側面43c,43cと、で断面略蒲鉾状に形成されている。また、長手方向桟(第1の桟)43の底部43dの短手方向両端部には、内刃13側に突出して内刃13に摺接する摺接部43eが形成されており、当該摺接部43eと内刃13とで体毛71を切断するようになっている。そして、本実施形態では、長手方向桟(第1の桟)43の上部43fの短手方向端43gが、曲率半径R1の断面半円状に形成されており、肌70に与えるダメージを抑制できるようになっている。このR1は、例えば10μmが好ましい。
【0031】
また、長手方向桟(第2の桟)44も、図7に示すように、肌70側(図7の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)44aと、内刃13側(図7の下側)に平坦状に形成された底面44bと、表面(肌接触面)44aおよび底面44bの短手方向端部同士を滑らかに結ぶ両側面44c,44cと、で断面略蒲鉾状に形成されている。また、長手方向桟(第2の桟)44の底部44dの短手方向両端部には、内刃13側に突出して内刃13に摺接する摺接部44eが形成されており、当該摺接部44eと内刃13とで体毛71を切断するようになっている。そして、本実施形態では、長手方向桟(第2の桟)44の上部44fの短手方向端44gが、曲率半径R3の断面半円状に形成されており、肌70に与えるダメージを抑制できるようになっている。このR3は、例えば10μm以上とするのが好ましい。
【0032】
ここで、短手方向桟41の表面(肌接触面)41aは長手方向桟(第1の桟)43の表面43aよりも肌70側に近づけており、長手方向桟(第1の桟)43の表面43aと短手方向桟41の表面41aとの上下距離はL1に設定されている。また、短手方向桟41の表面41aは長手方向桟(第2の桟)44の表面44aとほぼ面一になっており、長手方向桟(第2の桟)44の表面44aと短手方向桟41の表面41aとの上下距離L3は、ほぼゼロとなっている。
【0033】
長手方向桟(起毛桟)45は、図8(a)に示すように、断面略V字状に形成されている。具体的には、短手方向中央部には、略平板状の平板部45aが形成されており、この平板部45aの短手方向両端には、平板部45a側から短手方向の両端に向かうにつれて上方に位置するように傾斜した傾斜部45bが設けられている。この傾斜部45bは、平板部45a側から短手方向の両端に向かうにつれて幅狭となるテーパ状に形成されており、当該傾斜部45bの短手方向端45lには、体毛71を起立させる起毛部45cが形成されている。この起毛部45cは、肌面とのなす角度が小さい体毛(寝ている体毛)71をより効率的に起こす起毛作用を有している。このように、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45には、主に剃り方向の一方方向(図14の左から右:a方向)に移動させた際に起毛作用を発揮する起毛部45c(図14の右側)と、主に剃り方向他方方向(図14の右から左)に移動させた際に起毛作用を発揮する起毛部45c(図14の左側)と、が設けられている。すなわち、複数の起毛部を異なる方向を向くように起毛桟に設けることで、起毛桟が、少なくとも2方向への移動の際に起毛作用を発揮できるようにしている。
【0034】
なお、本実施形態では、長手方向桟(第1の桟)43の側面43cおよび長手方向桟(第2の桟)44の側面44cも、体毛71を起立させる起毛部として機能するものである。ただし、側面43cおよび側面44cも、肌面とのなす角度が小さい体毛71を起こす起毛作用を有しているが、起毛部45cの方が、側面43cおよび側面44cよりも効率的に寝ている体毛71を起こすことができる。すなわち、起毛部45cの方が、側面43cおよび側面44cよりも寝ている体毛71を起こす起毛力が大きくなっている。
【0035】
このように、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45に、長手方向桟(第1の桟)43の起毛部(本実施形態では、側面43c)および長手方向桟(第2の桟)44の起毛部(本実施形態では、側面44c)よりも起毛力の大きい起毛部45cを設けている。
【0036】
また、長手方向桟(起毛桟)45は、平板部45aの上部平坦面45d、傾斜部45cの上部傾斜面45e、平板部45aの底面45fおよび傾斜部45cの下部傾斜面45gによって画成されている。
【0037】
そして、本実施形態では、上部平坦面45dおよび上部傾斜面45eが、肌70に接触する肌接触面45jに相当し、下部傾斜面45gが体毛71を外刃内(内刃側)に導入する体毛導入面45kに相当している。
【0038】
また、起毛部45cの短手方向端45lと短手方向桟41の表面41aとの上下距離はL2に設定されており、L3<L2<L1の大小関係でオフセット配置されている。
【0039】
また、長手方向桟(起毛桟)45の上部平坦面45dと短手方向桟41の表面41aとの上下距離はL4に設定されており、L3<L4<L1の大小関係でオフセット配置されている。
【0040】
さらに、図8(b)に示すように、傾斜部45bの短手方向端45lは、曲率半径R2の断面半円状に形成されており、R2<R1≦R3の大小関係に設定されている。このR2は、例えば3μmが好ましい。ここで、二点鎖線で示す短手方向の基準線60と上部傾斜面45eとのなす逃げ角度αは、長手方向桟(第1の桟)43の表面43aと短手方向の基準線60とのなす逃げ角度(0°)および長手方向桟(第2の桟)44の表面44aと短手方向の基準線60とのなす逃げ角度(0°)よりも大きく設定されている。このように、肌70との接触圧が高い部位における逃げ角度を、肌70との接触圧が低い部位における逃げ角度αよりも小さく設定することで、肌70との接触圧が高い部位が肌70に与える影響(ダメージ)を抑制している。
【0041】
さらに、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45の長手方向端部45mは、図8,9に示すように、短手方向桟41の側壁面41bから長手方向に向けて断面略直線状に延びており、長手方向端部45mと長手方向中央部45nとは、境界部45oを介してなだらかに湾曲して連結されている。この境界部45oの曲率半径は例えば10μmが好ましい。
【0042】
このように、本実施形態では、長手方向桟42(桟40)は、他の桟(長手方向桟43および長手方向桟44)の起毛部(本実施形態では、側面43cおよび側面44cが起毛部に相当)よりも、起毛力の大きい起毛部45cが設けられた長手方向桟(起毛桟)45と、表面43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置するように設けられた長手方向桟(第1の桟)43と、表面44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置するように設けられた長手方向桟(第2の桟)44と、を備えている。
【0043】
ここで、本実施形態では、ネット刃9,10,12の領域のうち肌70との接触圧が高い部位(頂部9a,10a,12a)に、長手方向桟(第1の桟)43を配置するとともに、接触圧が低い部位(外側部9b,10b,12b)に、長手方向桟(起毛桟)45を配置している。
【0044】
さらに、肌70と接触する表面(肌接触面)43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置する長手方向桟(第1の桟)43を、短手方向(前後方向:剃り方向)X前方で長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けている。
【0045】
具体的には、頂部9a,10a,12aの短手方向X両側に延在する外側部9b,10b,12bの頂部側(内側)端部に、長手方向桟(起毛桟)45をそれぞれ設けている。
【0046】
そして、それぞれの長手方向桟(起毛桟)45の短手方向X外側(図13の下側)に、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように長手方向桟(第1の桟)43をそれぞれ設けている。
【0047】
さらに、本実施形態では、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けられた長手方向桟(第1の桟)43の短手方向X外側(図13の下側)に、肌70と接触する表面(肌接触面)44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置する長手方向桟(第2の桟)44をそれぞれ設けている。
【0048】
すなわち、本実施形態では、図13に示すように、外側部9b,10b,12bの頂部側から、長手方向桟(起毛桟)45、長手方向桟(第1の桟)43、長手方向桟(第2の桟)44が順に設けられている。
【0049】
また、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向後方にも、長手方向桟(第1の桟)43が配置されている。すなわち、長手方向桟(起毛桟)45の短手方向両隣に長手方向桟(第1の桟)43が配置されている。
【0050】
このように、長手方向桟(起毛桟)45の短手方向両隣に長手方向桟(第1の桟)43を配置すれば、短手方向のいずれの方向に外刃8を動かした場合でも、長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向前方に長手方向桟(第1の桟)43が存在することとなる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、肌70と接触する表面(肌接触面)43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置する長手方向桟(第1の桟)43を、短手方向(前後方向:剃り方向)X前方で長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けている。したがって、起毛部45cの剃り方向前方の空間が広くなって、肌70をより内刃13側に食い込ませることができるようになる。その結果、電気かみそり1の使用時に、起毛部45cを肌70により食い込ませることができ、寝ている体毛71をより効率的に起毛させることができるようになる(図14参照)。すなわち、本実施形態によれば、寝ている体毛71のネット刃(外刃)9,10,12に対する導入性能の向上を図ることができる。また、図14では、ネット刃(外刃)9,10,12を剃り方向の一方方向(図14の左から右:a方向)に移動させたものを例示したが、剃り方向他方方向(図14の右から左)にネット刃(外刃)9,10,12を移動させた場合にも、同様の作用、効果を奏することができる。この場合、剃り方向の前後が入れ替わることとなる。
【0052】
また、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向後方にも、長手方向桟(第1の桟)43が配置されている。すなわち、長手方向桟(起毛桟)45の短手方向両隣に長手方向桟(第1の桟)43が配置されている。したがって、電気かみそり1の使用時に、起毛部45cを肌70により一層食い込ませることができ、寝ている体毛71をより効率的に起毛させることができるようになる。
【0053】
また、本実施形態では、桟40は、肌70と接触する表面(肌接触面)44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置する長手方向桟(第2の桟)44を備えている。このように、長手方向桟(第2の桟)44を設けることで、起毛部45cが肌70に食い込み過ぎてしまうのが抑制され、肌70に与える影響(ダメージ)を抑制することができる(図14参照)。
【0054】
なお、本実施形態では、短手方向桟41も、肌70と接触する表面(肌接触面)41aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置しており、第2の起毛桟に相当している。したがって、長手方向桟(第2の桟)44および短手方向桟41とで、肌70に与える影響(ダメージ)をより効果的に抑制することができる。
【0055】
このように、ネット刃(外刃)9,10,12に、長手方向桟(起毛桟)45、長手方向桟(第1の桟)43および長手方向桟(第2の桟)44を設けることで、肌70に与える影響(ダメージ)を抑制させつつ、寝ている体毛71のネット刃(外刃)9,10,12に対する導入性能の向上を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、ネット刃9,10,12の領域のうち肌70との接触圧が高い部位(頂部9a,10a,12a)に、長手方向桟(第1の桟)43を配置するとともに、接触圧が低い部位(外側部9b,10b,12b)に、長手方向桟(第1の桟)43の側面(起毛部)43cよりも起毛力の大きい起毛部45cを有する長手方向桟(起毛桟)45を配置している。
【0057】
このように、肌70との接触圧が高い部位の起毛力を、接触圧が低い部位の起毛力よりも小さくすることにより、肌70との接触圧が高い部位が肌70に与える影響(ダメージ)を抑制することができる。
【0058】
また、肌70との接触圧が低い部位については、肌70に与える影響がもともと低いため、起毛力を高めて効率的な起毛を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、桟40は、ネット刃(外刃)9,10,12の長手方向に沿って延設される長手方向桟42と、長手方向に交差する短手方向に沿って延設される短手方向桟41とからなり、ネット刃(外刃)9,10,12が網目状になっている。そのため、体毛71を刃穴50に挿入しやすくなって、体毛71を剃りやすくすることができるという効果がある。
【0060】
また、本実施形態によれば、ネット刃(外刃)9,10,12は側方から見ると逆U字状に湾曲して形成されており、側面(起毛部)43c、側面(起毛部)44cおよび起毛部45cを、ネット刃(外刃)9,10,12の長手方向桟43,44,45における短手方向の両端に形成している。このため、電気かみそり1を、短手方向の一方方向および他方方向のいずれの方向に移動させても、体毛71を起立させることができるため、使用者の使い勝手が良好となるという効果がある。
【0061】
また、本実施形態によれば、平板部45a側から短手方向の両端に向かうにつれて上方に位置するように傾斜した傾斜部45bを長手方向桟(起毛桟)45に設けるとともに、この傾斜部45bを、平板部45a側から短手方向の両端に向かうにつれて幅狭となるテーパ状に形成している。そして、傾斜部45bの短手方向端45lに、体毛71を起立させる起毛部45cを形成している。このように、短手方向端45lを断面テーパ状(先細り形状)にして起毛部45cとすることで、簡素な形状で起毛部45cを形成することができる。また、起毛角(体毛の延びている方向と肌面とのなす角度)の小さい体毛71が、起毛部45cと肌70との間に潜り込んでしまうのを抑制することができ、寝ている体毛71をより確実に起立させることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、長手方向桟45における長手方向端部45mは断面略直線状に形成し、長手方向中央部45nに傾斜部45bを設け、これらの長手方向端部45mと長手方向中央部45nとの境界部45oをなだらかに湾曲させて連結させている。このように、長手方向桟45における長手方向端部45mと長手方向中央部45nとの境界部45oをなだらかに湾曲させて連結させることにより、ネット刃(外刃)9,10,12を肌70に沿って移動させたときに、境界部45oが肌70に与える影響(ダメージ)を抑制することができる。
【0063】
次に、本実施形態にかかる桟の変形例を説明する。
【0064】
(第1変形例)
本変形例にかかる桟40Aは、図15に示すように、肌70側(図15の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aAと、内刃13側(図15の下側)に平坦状に形成された底面40bAと、表面(肌接触面)40aAおよび底面40bAの短手方向端部同士を滑らかに結ぶ両側面40cA,40cAと、で断面略逆台形状に形成されている。そして、桟40A上部の短手方向両端に一対の起毛部40dA,40dAが形成されている。
【0065】
このような桟40Aを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、第1の桟の表面(肌接触面)40aAが、起毛桟の表面(肌接触面)40aAよりも内刃13側に位置するように設けるとともに、第2の桟の表面(肌接触面)40aAが、起毛桟の表面(肌接触面)40aAよりも肌70側に位置するように設けるようにすればよい。さらに、起毛桟の表面(肌接触面)40aAと側面40cAとのテーパの開き角度βが、第1および第2の桟の表面(肌接触面)40aAと側面40cAとのテーパの開き角度βよりも小さくなるようにすればよい。このように、起毛桟の起毛部のテーパの開き角度βを、第1および第2の桟の起毛部のテーパの開き角度βよりも小さくすることで、起毛桟の起毛部の起毛力を第1および第2の桟の起毛部よりも大きくすることができる。なお、第1および第2の桟の起毛部のテーパの開き角度βは、例えば70°が好ましく、起毛桟の起毛部のテーパの開き角度βは、例えば20°が好ましい。
【0066】
(第2変形例)
本変形例にかかる桟40Bは、図16に示すように、肌70側(図16の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aBと、内刃13側(図16の下側)に平坦状に形成された底面40bBと、を有する平板状に形成されている。そして、桟40Bの短手方向両端が半円状の起毛部40cB,40cBとなっている。
【0067】
このような桟40Bを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、第1の桟の表面(肌接触面)40aBが、起毛桟の表面(肌接触面)40aBよりも内刃13側に位置するように設けるとともに、第2の桟の表面(肌接触面)40aBが、起毛桟の表面(肌接触面)40aBよりも肌70側に位置するように設けるようにすればよい。さらに、起毛桟の起毛部40cBの曲率半径を、第1および第2の桟の起毛部40cBの曲率半径よりも小さくなるようにすればよい。このように、起毛桟の起毛部40cBの曲率半径を、第1および第2の桟の起毛部40cBの曲率半径よりも小さくすることで、起毛桟の起毛部の起毛力を第1および第2の桟の起毛部よりも大きくすることができる。
【0068】
(第3変形例)
本変形例にかかる桟40Cは、図17に示すように、肌70側(図17の上側)に凸状に湾曲形成され、肌70が接触する表面(肌接触面)40aCと、内刃13側(図17の下側)に平坦状に形成された底面40bCと、表面(肌接触面)40aCおよび底面40bCの短手方向端部同士を滑らかに結ぶ両側面40cC,40cCと、で画成されている。そして、桟40C上部の短手方向両端に一対の起毛部40dC,40dCが形成されている。
【0069】
このような桟40Cを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第1変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0070】
(第4変形例)
本変形例にかかる桟40Dは、図18に示すように、断面略蒲鉾状の本体部40bDを有しており、当該本体部40bDの肌70側(図18の上側)には、肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aDが形成されている。
【0071】
そして、本体部40bDの上部の短手方向両端に一対の起毛部40cD,40cDが形成されている。
【0072】
このような桟40Dを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第1変形例または第2変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0073】
(第5変形例)
本変形例にかかる桟40Eは、図19に示すように、肌70側(図19の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aEを有する略板状の本体部40cEを備え、当該本体部40cEの下端部に下方に延びる突出部40bEが形成されている。
【0074】
そして、本体部40cEの短手方向両端に一対の起毛部40dE,40dEが形成されている。
【0075】
このような桟40Eを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第2変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0076】
(第6変形例)
本変形例にかかる桟40Fは、断面略T字状に形成されている。具体的には、桟40Fは、図20に示すように、肌70側(図20の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aFを有する略板状の本体部40bFを備え、当該本体部40bFの下端部に下方に延びる突出部40cFが形成されている。
【0077】
そして、本体部40bFの短手方向両端に一対の起毛部40dF,40dFが形成されている。
【0078】
このような桟40Fを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第2変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0079】
(第7変形例)
本変形例にかかる桟40Gは、断面略エ字状に形成されている。具体的には、桟40Gは、図21に示すように、肌70側(図21の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aGを有する略板状の本体部40bGを備え、当該本体部40bGの下端部に下方に延びる突出部40cGが形成されている。さらに、突出部40cGの下端には短手方向両側に延びる断面三角状の延設部40dG,40dGが形成されている。
【0080】
そして、本体部40bGの短手方向両端に一対の起毛部40eG,40eGが形成されている。
【0081】
このような桟40Gを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第2変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0082】
(第2実施形態)
本実施形態にかかるネット刃9H,10H,12Hは、図22に示すように、基本的に上記第1実施形態にかかるネット刃9,10,12とほぼ同様の構成をしている。
【0083】
すなわち、ネット刃9H,10H,12Hは、短手方向桟41および長手方向桟42によって多数の刃穴50が画成された長板状部材9cH,10cH,12cH(図22(a)参照)を、上方が凸となるように前後方向(剃り方向)Xに沿って逆U字状に湾曲させることで形成されている。
【0084】
そして、長手方向桟42(桟40)は、他の桟(長手方向桟43および長手方向桟44)の起毛部(本実施形態では、側面43cおよび側面44cが起毛部に相当)よりも、起毛力の大きい起毛部45cが設けられた長手方向桟(起毛桟)45と、表面43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置するように設けられた長手方向桟(第1の桟)43と、表面44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置するように設けられた長手方向桟(第2の桟)44と、を備えている。
【0085】
そして、肌70と接触する表面(肌接触面)43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置する長手方向桟(第1の桟)43を、短手方向(前後方向:剃り方向)X前方で長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けている。
【0086】
具体的には、頂部9aH,10aH,12aHの短手方向X両側に延在する外側部9bH,10bH,12bHの頂部側(内側)端部に、長手方向桟(起毛桟)45をそれぞれ設けている。そして、それぞれの長手方向桟(起毛桟)45の短手方向(前後方向:剃り方向)X外側に、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように長手方向桟(第1の桟)43をそれぞれ設けている。
【0087】
さらに、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けられた長手方向桟(第1の桟)43の短手方向(前後方向:剃り方向)X外側に、肌70と接触する表面(肌接触面)44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置する長手方向桟(第2の桟)44をそれぞれ設けている。
【0088】
ここで、本実施形態では、ネット刃9H,10H,12Hの領域のうち肌70との接触圧が高い部位(頂部9aH,10aH,12aH)に、長手方向桟(第2の桟)44を配置するとともに、接触圧が低い部位(外側部9bH,10bH,12bH)に、長手方向桟(起毛桟)45を配置している。
【0089】
また、本実施形態では、各長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向後方に、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように長手方向桟(第2の桟)44を設けている。この長手方向桟(第2の桟)44は、図22に示すように、頂部9aH,10aH,12aHの短手方向(前後方向:剃り方向)両端に設けられている。
【0090】
すなわち、長手方向桟(起毛桟)45は、長手方向桟(第1の桟)43と長手方向桟(第2の桟)44との間に設けられている。
【0091】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、頂部9aH,10aH,12aH)に、長手方向桟(第2の桟)44を設けているため、起毛部45cが肌70に食い込み過ぎてしまうのをより一層抑制することができ、起毛部45cが肌70に与える影響(ダメージ)をより効果的に抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向後方に、当該長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように長手方向桟(第2の桟)44を設けている。その結果、電気かみそり1の使用時に、起毛部45cを肌70により一層食い込ませることができ、寝ている体毛71をより効率的に起毛させることができるようになる。
【0094】
(第3実施形態)
本実施形態では、回転式の電気かみそりに本発明を適用したものを説明する。
【0095】
本実施形態にかかる電気かみそり1Iは、内刃13Iを回転刃とした点が上記第1実施形態と主に異なっている。
【0096】
この電気かみそり1Iは、外刃8Iと、当該外刃8Iの内方(外刃8Iの下側)に配設されて外刃8Iに対して相対移動する内刃13Iと、を備えている。この外刃8Iおよび内刃13Iは、それぞれ円形に形成されており、本体側に固定した外刃8Iに対して内刃13Iが回転方向(b方向)に回転するようになっている。そして、外刃8Iの刃穴50内に挿入された体毛71を、外刃8Iと、内刃13Iと、で協働して切断するように構成している。
【0097】
本実施形態では、径方向に細長い略矩形状の刃穴50が、放射状に多数設けられている。この刃穴50は、図24に示すように、放射状に延在する多数の桟40Iによって画成されている。そして、桟40Iは、第1の桟43Iと、起毛桟45Iと、を備えている。
【0098】
起毛桟45Iは、肌70側(図25の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)45aIと、内刃13I側(図25の下側)に平坦状に形成された底面45bIと、表面(肌接触面)45aIおよび底面45aIの端部同士を滑らかに結ぶ両側面45cI,45cIと、で画成されている。そして、起毛桟45Iの上部には、剃り方向(本実施形態では、内刃13Iの回転方向:b方向)の前側に突出する起毛部45dIが形成されている。
【0099】
また、第1の桟43Iは、肌70側(図25の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)43aIと、内刃13I側(図25の下側)に平坦状に形成された底面43bIと、表面(肌接触面)43aIおよび底面43aIの回転方向(b方向)の後端部同士を結ぶ傾斜面43cIと,表面(肌接触面)43aIおよび底面43aIの回転方向(b方向)の前端部同士を結ぶ略鉛直に延在する側面43dIと、で断面略直角台形状に形成されている。
【0100】
本実施形態では、側面43dIが起毛部に相当しており、この側面43dIは、起毛力が起毛部45dIの起毛力よりも小さくなるように設定されている。
【0101】
さらに、本実施形態では、起毛桟45Iの表面(肌接触面)45aIを第1の桟43Iの表面(肌接触面)43aIよりもhだけ外方に突出させることで、第1の桟43Iの表面(肌接触面)43aIが、起毛桟45Iの起毛部45dIよりも内刃13I側となるようにしている。
【0102】
このように、本実施形態においても、肌70と接触する表面(肌接触面)43aIが、起毛桟45Iの表面(肌接触面)45aIよりも内刃13I側に位置する第1の桟43Iを、剃り方向(b方向)前方で起毛桟45Iと隣り合うように設けている。
【0103】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0104】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0105】
例えば、上記第1および第2実施形態では、頂部に、起毛力が略同一の起毛部を有する桟を設けたものを例示したが、桟の起毛部の起毛力が、頂部の左右方向中央部から両端部に向かうにつれて徐々に高くなるようにしてもよい。
【0106】
また、桟の形状は、上記各実施形態および各変形例で示したものに限らず、種々の形状とすることができる。さらに、上記各実施形態および各変形例で示した形状も含めた種々の形状のなかから任意に選択した形状の桟を、それぞれ第1の桟、第2の桟、起毛桟とすることも可能である。なお、第1の桟および第2の桟として同一のものを用いる場合、上下(肌側と内刃側と)にオフセット配置すればよい。
【0107】
また、上記第1および第2実施形態では、外刃を4枚並列したものを例示したが、外刃の数は、1〜3枚であっても、5枚以上であってもよい。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、3枚のネット刃のそれぞれに起毛桟を設けたものを例示したが、スリット刃を含めて少なくともいずれか1つの外刃に起毛桟が設けられていればよい。
【0109】
また、上記第1および第2実施形態では、グリップ部に固定されたヘッド部に外刃が設けられたものを例示したが、グリップ部に外刃を設けるようにしてもよい。
【0110】
また、上記第3実施形態では、円形の外刃が1つ設けられたものを例示したが、これに限らず、円形の外刃を2つ以上設けたものであっても、本発明を適用できる。
【0111】
また、外刃や内刃、桟、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 電気かみそり
8 外刃
9a,10a,12a 頂部
9b,10b,12b 外側部
13 内刃
40 桟
41 短手方向桟
41a 表面
42 長手方向桟
43 長手方向桟(第1の桟)
43a 表面(肌接触面)
44 長手方向桟(第2の桟)
44a 表面(肌接触面)
45 長手方向桟(起毛桟)
45c 起毛部
45j 肌接触面
50 刃穴
70 肌
71 体毛
X 剃り方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、体毛を剃る種々の電気かみそりが開発されている。ここで、体毛の延びている方向と肌面とのなす角度は起毛角と呼ばれているが、起毛角が大きい(例えば、45°〜60°)体毛は剃りやすいが、起毛角が小さい(例えば、30°以下)体毛、すなわち、寝ている体毛は剃りにくいという問題がある。そこで、寝ている体毛を起こす起毛力が従来よりも大きい起毛部を外刃の桟に設けた電気かみそりが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3083548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、複数の桟は、それぞれの肌接触面が同一平面に含まれるように形成されているため、桟に設けた起毛部が寝ている体毛の下(体毛と肌面との間)に入り込みにくかった。すなわち、上記従来の技術では、寝ている体毛の外刃に対する導入性能があまりよくなかった。
【0005】
そこで、本発明は、寝ている体毛の外刃に対する導入性能の向上を図ることのできる電気かみそりを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にあっては、桟によって画成された刃穴を有する外刃と、当該外刃の内方に配設されて前記外刃に対して相対移動することで、前記刃穴に挿入された体毛を切断する内刃と、を備える電気かみそりであって、前記桟は、体毛を起立させる起毛部を有する起毛桟と、当該起毛桟の肌接触面よりも、肌接触面が内刃側となるように設けられた第1の桟と、を備え、前記起毛桟の剃り方向前方に、当該起毛桟と隣り合うように前記第1の桟を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、肌と接触する肌接触面が、起毛桟の肌接触面よりも内刃側に位置する第1の桟を剃り方向前方で起毛桟と隣り合うように設けたため、電気かみそり使用時に、起毛桟を肌により食い込ませることができ、寝ている体毛をより効率的に起毛させることができるようになる。すなわち、本発明によれば、寝ている体毛の外刃に対する導入性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる電気かみそりを示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる内刃を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかる外刃カセットを模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態にかかる外刃を側方から見た概略図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態にかかる外刃の一部を拡大した斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態にかかる第1の桟の断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態にかかる第2の桟の断面図である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態にかかる起毛桟を示す断面図であって、(a)は、起毛桟の断面図、(b)は、起毛部の拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態にかかる起毛桟を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9のA−A線断面図である。
【図11】図11は、本発明の第1実施形態にかかる長板状部材の平面図である。
【図12】図12は、本発明の第1実施形態にかかる長手方向桟の配置状態を示す図であって、(a)は、図11の一部拡大平面図、(b)は、図12(a)のB−B線断面図である。
【図13】図13は、本発明の第1実施形態にかかる長手方向桟の配置状態を示す拡大断面図である。
【図14】図14は、本発明の第1実施形態にかかる起毛桟が寝ている体毛を起こす様子を模式的に示す図であって、(a)は、起毛桟の起毛部が寝ている体毛の下に入り込んだ状態を模式的に示す断面図、(b)は、起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の第1実施形態の第2変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の第1実施形態の第3変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図18】図18は、本発明の第1実施形態の第4変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図19】図19は、本発明の第1実施形態の第5変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明の第1実施形態の第6変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図21】図21は、本発明の第1実施形態の第7変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図22】図22は、本発明の第2実施形態にかかる長手方向桟の配置状態を示す図であって、(a)は、長板状部材の一部拡大断面図、(b)は、外刃の一部拡大断面図である。
【図23】図23は、本発明の第2実施形態にかかる起毛桟が寝ている体毛を起こす様子を模式的に示す断面図である。
【図24】図24は、本発明の第3実施形態にかかる電気かみそりの一部拡大平面図である。
【図25】図25は、本発明の第3実施形態にかかる内刃と外刃で寝ている体毛を切断する様子を模式的に示す図であって、(a)は、起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図、(b)は、体毛を切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。また、以下では、複数の外刃が並設される方向を前後方向(剃り方向)X、各外刃が延在する方向を左右方向Yとして説明する。また、外刃が上方を向くようにヘッド部を配置した状態における上下方向を上下方向Zとして説明する。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる電気かみそり1は、図1に示すように、手で把持するグリップ部2と、グリップ部2に固定されたヘッド部5と、を備えている。
【0011】
グリップ部2は、図示せぬ電池が内蔵される合成樹脂製のグリップ本体3と、このグリップ本体3の上面より後方に突設された合成樹脂製のグリップ接続部4と、を備えている。なお、グリップ接続部4の上面に、公知の左右揺動機構および公知の前後揺動機構のうちの少なくともいずれかの機構を設け、ヘッド部5をグリップ部2に左右方向や前後方向に揺動できるように取り付けてもよい。
【0012】
ヘッド部5は、図示せぬリニアモータが内蔵され、グリップ接続部4に接続されるリニアヘッド部6と、当該リニアヘッド部6に取り付けられる刃ユニット7と、を備えている。そして、グリップ本体3には、図1に示すように、リニアモータの駆動をオン、オフさせるスイッチ部90が形成されている。なお、グリップ本体3に、電池の充電状況等を表示する表示部を設けるようにしてもよい。
【0013】
刃ユニット7は、ヘッド部5の上方に向けて露出する外刃8と、当該外刃8の内方(外刃8の下側)に配設されて外刃8に対して相対移動する内刃13と、を備えている。
【0014】
本実施形態では、4枚(複数)の外刃を備えており、第1のネット刃9、仕上げ用ネット刃10、スリット刃11、第2のネット刃12が前後方向Xに並設されている。
【0015】
ネット刃9,10,12はいずれも、図4に示すように、側面視(左右方向Yに外刃を視た状態)で上方が凸となるように前後方向(短手方向)Xに沿って逆U字状に湾曲して形成されている。さらに、ネット刃9,10,12は、正面視(前後方向Xに外刃を視た状態)で上方が凸となるように左右方向(長手方向)Yに沿って若干湾曲して形成されている。なお、本実施形態では、ネット刃9,10,12を、正面視で上方が凸となるように湾曲させているが、必ずしも湾曲させる必要はない。
【0016】
そして、このネット刃9,10,12には、多数の刃穴50が桟40によって画成されている。さらに、本実施形態では、図3に示すように、仕上げ用ネット刃10の刃幅(前後方向Xの幅)が、第1及び第2のネット刃9,12の刃幅(前後方向Xの幅)よりも小さくなるようにしている。このように、仕上げ用ネット刃10の刃幅を他のネット刃9,12の刃幅に比して小さく、すなわち、仕上げ用ネット刃10の曲率半径を小さく設けることで、表面に押し付けた肌70を刃穴50から大きく内側に突出させて体毛71(図14参照)を短く剃ることができるようにしている。
【0017】
スリット刃11は、前後方向(短手方向)Xに沿ってコ字状に湾曲形成されており、平坦な上壁から側壁に至る多数のスリット(刃穴)を穿設することで形成されている。
【0018】
すなわち、スリット刃11には、多数のスリット(刃穴)が、平坦な上壁から側壁に至る略コ字状の桟および側壁の下部で長手方向(左右方向)Yに沿って延在する桟によって画成されている。
【0019】
そして、外刃8を成す各ネット刃9,10,12およびスリット刃11は、それぞれ専用の外刃枠19,20,22および21に取り付けられている。
【0020】
さらに、外刃枠20の第1のネット刃9側には、肌ガード部材20aが形成されており、仕上げ用ネット刃10を前後に挟むスリット刃11と肌ガード部材20aとによって、曲率半径の小さな仕上げ用ネット刃10に肌70が強く押し付けられることを効果的に防止している。
【0021】
そして、第1のネット刃9が取り付けられた外刃枠19、仕上げ用ネット刃10が取り付けられた外刃枠20、スリット刃11が取り付けられた外刃枠21および第2のネット刃12が取り付けられた外刃枠22を、外刃フレーム18にそれぞれ係合させることで、外刃カセット30を形成している。この外刃カセット30は、リニアヘッド部6に取り付けられている。
【0022】
内刃13は、外刃8を成す各ネット刃9,10,12およびスリット刃11に対して専用のものが設置されている。具体的には、各ネット刃9,10,12の下方(内方)に、対応するネット刃9,10,12の湾曲に沿う逆U字状の内刃14,15,17が配設されている(図2参照)。なお、スリット刃11の下方(内方)には、このスリット刃11の湾曲に沿うコ字状のスリット内刃(図示せず)が配設されている。
【0023】
そして、これら内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)は、上述の図示せぬリニアモータに取り付けられており、リニアモータを駆動させると、内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)がそれぞれ左右方向(長手方向)Yに往復動するようになっている。
【0024】
このように、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11の下方(内方)に配設された内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)を、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11に対してそれぞれ相対移動(左右方向Yへの往復動)させることで、各ネット刃9,10,12の刃穴50およびスリット刃11のスリット内に挿入された体毛71を、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11と、内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)と、で協働して切断するように構成している。
【0025】
次に、本実施形態にかかるネット刃9,10,12について詳細に説明する。
【0026】
本実施形態では、ネット刃9,10,12は、桟40によって多数の刃穴50が画成されている。具体的には、桟40は、図5に示すように、短手方向(前後方向)Xに沿って波状に延在する短手方向桟41と、長手方向(左右方向)Yに沿って延在する長手方向桟42と、を備えている。そして、これらの桟41,42によって平面視略六角状の刃穴50が画成されている。この刃穴50は、体毛71が挿入可能な大きさに形成されている。
【0027】
なお、本実施形態では、多数の刃穴50を画成した長板状部材9c,10c,12c(図11参照)を、上方が凸となるように前後方向(剃り方向)Xに沿って逆U字状に湾曲させた状態で外刃枠19,20,22にそれぞれ取り付けることで、側方から見て逆U字状に湾曲したネット刃9,10,12を形成している。
【0028】
このように、側方から見て逆U字状に湾曲形成したネット刃9,10,12は、最も高い部位に位置する頂部9a,10a,12aが、肌70との接触圧が大きくなる部位となる。そして、頂部9a,10a,12aの短手方向両側の外側に位置する外側部9b,10b,12bが、頂部9a,10a,12aよりも肌70との接触圧が小さくなる部位となる。なお、図5における一点鎖線は頂部9a,10a,12aの短手方向の中心を通る中心線である。
【0029】
また、本実施形態では、長手方向桟42は、図6に示す断面形状の長手方向桟(第1の桟)43と、図7に示す断面形状の長手方向桟(第2の桟)44と、図8(a)に示す断面形状の長手方向桟(起毛桟)45と、を備えている。
【0030】
長手方向桟(第1の桟)43は、図6に示すように、肌70側(図6の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)43aと、内刃13側(図6の下側)に平坦状に形成された底面43bと、表面(肌接触面)43aおよび底面43bの短手方向端部同士を滑らかに結ぶ両側面43c,43cと、で断面略蒲鉾状に形成されている。また、長手方向桟(第1の桟)43の底部43dの短手方向両端部には、内刃13側に突出して内刃13に摺接する摺接部43eが形成されており、当該摺接部43eと内刃13とで体毛71を切断するようになっている。そして、本実施形態では、長手方向桟(第1の桟)43の上部43fの短手方向端43gが、曲率半径R1の断面半円状に形成されており、肌70に与えるダメージを抑制できるようになっている。このR1は、例えば10μmが好ましい。
【0031】
また、長手方向桟(第2の桟)44も、図7に示すように、肌70側(図7の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)44aと、内刃13側(図7の下側)に平坦状に形成された底面44bと、表面(肌接触面)44aおよび底面44bの短手方向端部同士を滑らかに結ぶ両側面44c,44cと、で断面略蒲鉾状に形成されている。また、長手方向桟(第2の桟)44の底部44dの短手方向両端部には、内刃13側に突出して内刃13に摺接する摺接部44eが形成されており、当該摺接部44eと内刃13とで体毛71を切断するようになっている。そして、本実施形態では、長手方向桟(第2の桟)44の上部44fの短手方向端44gが、曲率半径R3の断面半円状に形成されており、肌70に与えるダメージを抑制できるようになっている。このR3は、例えば10μm以上とするのが好ましい。
【0032】
ここで、短手方向桟41の表面(肌接触面)41aは長手方向桟(第1の桟)43の表面43aよりも肌70側に近づけており、長手方向桟(第1の桟)43の表面43aと短手方向桟41の表面41aとの上下距離はL1に設定されている。また、短手方向桟41の表面41aは長手方向桟(第2の桟)44の表面44aとほぼ面一になっており、長手方向桟(第2の桟)44の表面44aと短手方向桟41の表面41aとの上下距離L3は、ほぼゼロとなっている。
【0033】
長手方向桟(起毛桟)45は、図8(a)に示すように、断面略V字状に形成されている。具体的には、短手方向中央部には、略平板状の平板部45aが形成されており、この平板部45aの短手方向両端には、平板部45a側から短手方向の両端に向かうにつれて上方に位置するように傾斜した傾斜部45bが設けられている。この傾斜部45bは、平板部45a側から短手方向の両端に向かうにつれて幅狭となるテーパ状に形成されており、当該傾斜部45bの短手方向端45lには、体毛71を起立させる起毛部45cが形成されている。この起毛部45cは、肌面とのなす角度が小さい体毛(寝ている体毛)71をより効率的に起こす起毛作用を有している。このように、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45には、主に剃り方向の一方方向(図14の左から右:a方向)に移動させた際に起毛作用を発揮する起毛部45c(図14の右側)と、主に剃り方向他方方向(図14の右から左)に移動させた際に起毛作用を発揮する起毛部45c(図14の左側)と、が設けられている。すなわち、複数の起毛部を異なる方向を向くように起毛桟に設けることで、起毛桟が、少なくとも2方向への移動の際に起毛作用を発揮できるようにしている。
【0034】
なお、本実施形態では、長手方向桟(第1の桟)43の側面43cおよび長手方向桟(第2の桟)44の側面44cも、体毛71を起立させる起毛部として機能するものである。ただし、側面43cおよび側面44cも、肌面とのなす角度が小さい体毛71を起こす起毛作用を有しているが、起毛部45cの方が、側面43cおよび側面44cよりも効率的に寝ている体毛71を起こすことができる。すなわち、起毛部45cの方が、側面43cおよび側面44cよりも寝ている体毛71を起こす起毛力が大きくなっている。
【0035】
このように、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45に、長手方向桟(第1の桟)43の起毛部(本実施形態では、側面43c)および長手方向桟(第2の桟)44の起毛部(本実施形態では、側面44c)よりも起毛力の大きい起毛部45cを設けている。
【0036】
また、長手方向桟(起毛桟)45は、平板部45aの上部平坦面45d、傾斜部45cの上部傾斜面45e、平板部45aの底面45fおよび傾斜部45cの下部傾斜面45gによって画成されている。
【0037】
そして、本実施形態では、上部平坦面45dおよび上部傾斜面45eが、肌70に接触する肌接触面45jに相当し、下部傾斜面45gが体毛71を外刃内(内刃側)に導入する体毛導入面45kに相当している。
【0038】
また、起毛部45cの短手方向端45lと短手方向桟41の表面41aとの上下距離はL2に設定されており、L3<L2<L1の大小関係でオフセット配置されている。
【0039】
また、長手方向桟(起毛桟)45の上部平坦面45dと短手方向桟41の表面41aとの上下距離はL4に設定されており、L3<L4<L1の大小関係でオフセット配置されている。
【0040】
さらに、図8(b)に示すように、傾斜部45bの短手方向端45lは、曲率半径R2の断面半円状に形成されており、R2<R1≦R3の大小関係に設定されている。このR2は、例えば3μmが好ましい。ここで、二点鎖線で示す短手方向の基準線60と上部傾斜面45eとのなす逃げ角度αは、長手方向桟(第1の桟)43の表面43aと短手方向の基準線60とのなす逃げ角度(0°)および長手方向桟(第2の桟)44の表面44aと短手方向の基準線60とのなす逃げ角度(0°)よりも大きく設定されている。このように、肌70との接触圧が高い部位における逃げ角度を、肌70との接触圧が低い部位における逃げ角度αよりも小さく設定することで、肌70との接触圧が高い部位が肌70に与える影響(ダメージ)を抑制している。
【0041】
さらに、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45の長手方向端部45mは、図8,9に示すように、短手方向桟41の側壁面41bから長手方向に向けて断面略直線状に延びており、長手方向端部45mと長手方向中央部45nとは、境界部45oを介してなだらかに湾曲して連結されている。この境界部45oの曲率半径は例えば10μmが好ましい。
【0042】
このように、本実施形態では、長手方向桟42(桟40)は、他の桟(長手方向桟43および長手方向桟44)の起毛部(本実施形態では、側面43cおよび側面44cが起毛部に相当)よりも、起毛力の大きい起毛部45cが設けられた長手方向桟(起毛桟)45と、表面43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置するように設けられた長手方向桟(第1の桟)43と、表面44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置するように設けられた長手方向桟(第2の桟)44と、を備えている。
【0043】
ここで、本実施形態では、ネット刃9,10,12の領域のうち肌70との接触圧が高い部位(頂部9a,10a,12a)に、長手方向桟(第1の桟)43を配置するとともに、接触圧が低い部位(外側部9b,10b,12b)に、長手方向桟(起毛桟)45を配置している。
【0044】
さらに、肌70と接触する表面(肌接触面)43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置する長手方向桟(第1の桟)43を、短手方向(前後方向:剃り方向)X前方で長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けている。
【0045】
具体的には、頂部9a,10a,12aの短手方向X両側に延在する外側部9b,10b,12bの頂部側(内側)端部に、長手方向桟(起毛桟)45をそれぞれ設けている。
【0046】
そして、それぞれの長手方向桟(起毛桟)45の短手方向X外側(図13の下側)に、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように長手方向桟(第1の桟)43をそれぞれ設けている。
【0047】
さらに、本実施形態では、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けられた長手方向桟(第1の桟)43の短手方向X外側(図13の下側)に、肌70と接触する表面(肌接触面)44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置する長手方向桟(第2の桟)44をそれぞれ設けている。
【0048】
すなわち、本実施形態では、図13に示すように、外側部9b,10b,12bの頂部側から、長手方向桟(起毛桟)45、長手方向桟(第1の桟)43、長手方向桟(第2の桟)44が順に設けられている。
【0049】
また、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向後方にも、長手方向桟(第1の桟)43が配置されている。すなわち、長手方向桟(起毛桟)45の短手方向両隣に長手方向桟(第1の桟)43が配置されている。
【0050】
このように、長手方向桟(起毛桟)45の短手方向両隣に長手方向桟(第1の桟)43を配置すれば、短手方向のいずれの方向に外刃8を動かした場合でも、長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向前方に長手方向桟(第1の桟)43が存在することとなる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、肌70と接触する表面(肌接触面)43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置する長手方向桟(第1の桟)43を、短手方向(前後方向:剃り方向)X前方で長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けている。したがって、起毛部45cの剃り方向前方の空間が広くなって、肌70をより内刃13側に食い込ませることができるようになる。その結果、電気かみそり1の使用時に、起毛部45cを肌70により食い込ませることができ、寝ている体毛71をより効率的に起毛させることができるようになる(図14参照)。すなわち、本実施形態によれば、寝ている体毛71のネット刃(外刃)9,10,12に対する導入性能の向上を図ることができる。また、図14では、ネット刃(外刃)9,10,12を剃り方向の一方方向(図14の左から右:a方向)に移動させたものを例示したが、剃り方向他方方向(図14の右から左)にネット刃(外刃)9,10,12を移動させた場合にも、同様の作用、効果を奏することができる。この場合、剃り方向の前後が入れ替わることとなる。
【0052】
また、本実施形態では、長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向後方にも、長手方向桟(第1の桟)43が配置されている。すなわち、長手方向桟(起毛桟)45の短手方向両隣に長手方向桟(第1の桟)43が配置されている。したがって、電気かみそり1の使用時に、起毛部45cを肌70により一層食い込ませることができ、寝ている体毛71をより効率的に起毛させることができるようになる。
【0053】
また、本実施形態では、桟40は、肌70と接触する表面(肌接触面)44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置する長手方向桟(第2の桟)44を備えている。このように、長手方向桟(第2の桟)44を設けることで、起毛部45cが肌70に食い込み過ぎてしまうのが抑制され、肌70に与える影響(ダメージ)を抑制することができる(図14参照)。
【0054】
なお、本実施形態では、短手方向桟41も、肌70と接触する表面(肌接触面)41aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置しており、第2の起毛桟に相当している。したがって、長手方向桟(第2の桟)44および短手方向桟41とで、肌70に与える影響(ダメージ)をより効果的に抑制することができる。
【0055】
このように、ネット刃(外刃)9,10,12に、長手方向桟(起毛桟)45、長手方向桟(第1の桟)43および長手方向桟(第2の桟)44を設けることで、肌70に与える影響(ダメージ)を抑制させつつ、寝ている体毛71のネット刃(外刃)9,10,12に対する導入性能の向上を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、ネット刃9,10,12の領域のうち肌70との接触圧が高い部位(頂部9a,10a,12a)に、長手方向桟(第1の桟)43を配置するとともに、接触圧が低い部位(外側部9b,10b,12b)に、長手方向桟(第1の桟)43の側面(起毛部)43cよりも起毛力の大きい起毛部45cを有する長手方向桟(起毛桟)45を配置している。
【0057】
このように、肌70との接触圧が高い部位の起毛力を、接触圧が低い部位の起毛力よりも小さくすることにより、肌70との接触圧が高い部位が肌70に与える影響(ダメージ)を抑制することができる。
【0058】
また、肌70との接触圧が低い部位については、肌70に与える影響がもともと低いため、起毛力を高めて効率的な起毛を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、桟40は、ネット刃(外刃)9,10,12の長手方向に沿って延設される長手方向桟42と、長手方向に交差する短手方向に沿って延設される短手方向桟41とからなり、ネット刃(外刃)9,10,12が網目状になっている。そのため、体毛71を刃穴50に挿入しやすくなって、体毛71を剃りやすくすることができるという効果がある。
【0060】
また、本実施形態によれば、ネット刃(外刃)9,10,12は側方から見ると逆U字状に湾曲して形成されており、側面(起毛部)43c、側面(起毛部)44cおよび起毛部45cを、ネット刃(外刃)9,10,12の長手方向桟43,44,45における短手方向の両端に形成している。このため、電気かみそり1を、短手方向の一方方向および他方方向のいずれの方向に移動させても、体毛71を起立させることができるため、使用者の使い勝手が良好となるという効果がある。
【0061】
また、本実施形態によれば、平板部45a側から短手方向の両端に向かうにつれて上方に位置するように傾斜した傾斜部45bを長手方向桟(起毛桟)45に設けるとともに、この傾斜部45bを、平板部45a側から短手方向の両端に向かうにつれて幅狭となるテーパ状に形成している。そして、傾斜部45bの短手方向端45lに、体毛71を起立させる起毛部45cを形成している。このように、短手方向端45lを断面テーパ状(先細り形状)にして起毛部45cとすることで、簡素な形状で起毛部45cを形成することができる。また、起毛角(体毛の延びている方向と肌面とのなす角度)の小さい体毛71が、起毛部45cと肌70との間に潜り込んでしまうのを抑制することができ、寝ている体毛71をより確実に起立させることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、長手方向桟45における長手方向端部45mは断面略直線状に形成し、長手方向中央部45nに傾斜部45bを設け、これらの長手方向端部45mと長手方向中央部45nとの境界部45oをなだらかに湾曲させて連結させている。このように、長手方向桟45における長手方向端部45mと長手方向中央部45nとの境界部45oをなだらかに湾曲させて連結させることにより、ネット刃(外刃)9,10,12を肌70に沿って移動させたときに、境界部45oが肌70に与える影響(ダメージ)を抑制することができる。
【0063】
次に、本実施形態にかかる桟の変形例を説明する。
【0064】
(第1変形例)
本変形例にかかる桟40Aは、図15に示すように、肌70側(図15の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aAと、内刃13側(図15の下側)に平坦状に形成された底面40bAと、表面(肌接触面)40aAおよび底面40bAの短手方向端部同士を滑らかに結ぶ両側面40cA,40cAと、で断面略逆台形状に形成されている。そして、桟40A上部の短手方向両端に一対の起毛部40dA,40dAが形成されている。
【0065】
このような桟40Aを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、第1の桟の表面(肌接触面)40aAが、起毛桟の表面(肌接触面)40aAよりも内刃13側に位置するように設けるとともに、第2の桟の表面(肌接触面)40aAが、起毛桟の表面(肌接触面)40aAよりも肌70側に位置するように設けるようにすればよい。さらに、起毛桟の表面(肌接触面)40aAと側面40cAとのテーパの開き角度βが、第1および第2の桟の表面(肌接触面)40aAと側面40cAとのテーパの開き角度βよりも小さくなるようにすればよい。このように、起毛桟の起毛部のテーパの開き角度βを、第1および第2の桟の起毛部のテーパの開き角度βよりも小さくすることで、起毛桟の起毛部の起毛力を第1および第2の桟の起毛部よりも大きくすることができる。なお、第1および第2の桟の起毛部のテーパの開き角度βは、例えば70°が好ましく、起毛桟の起毛部のテーパの開き角度βは、例えば20°が好ましい。
【0066】
(第2変形例)
本変形例にかかる桟40Bは、図16に示すように、肌70側(図16の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aBと、内刃13側(図16の下側)に平坦状に形成された底面40bBと、を有する平板状に形成されている。そして、桟40Bの短手方向両端が半円状の起毛部40cB,40cBとなっている。
【0067】
このような桟40Bを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、第1の桟の表面(肌接触面)40aBが、起毛桟の表面(肌接触面)40aBよりも内刃13側に位置するように設けるとともに、第2の桟の表面(肌接触面)40aBが、起毛桟の表面(肌接触面)40aBよりも肌70側に位置するように設けるようにすればよい。さらに、起毛桟の起毛部40cBの曲率半径を、第1および第2の桟の起毛部40cBの曲率半径よりも小さくなるようにすればよい。このように、起毛桟の起毛部40cBの曲率半径を、第1および第2の桟の起毛部40cBの曲率半径よりも小さくすることで、起毛桟の起毛部の起毛力を第1および第2の桟の起毛部よりも大きくすることができる。
【0068】
(第3変形例)
本変形例にかかる桟40Cは、図17に示すように、肌70側(図17の上側)に凸状に湾曲形成され、肌70が接触する表面(肌接触面)40aCと、内刃13側(図17の下側)に平坦状に形成された底面40bCと、表面(肌接触面)40aCおよび底面40bCの短手方向端部同士を滑らかに結ぶ両側面40cC,40cCと、で画成されている。そして、桟40C上部の短手方向両端に一対の起毛部40dC,40dCが形成されている。
【0069】
このような桟40Cを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第1変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0070】
(第4変形例)
本変形例にかかる桟40Dは、図18に示すように、断面略蒲鉾状の本体部40bDを有しており、当該本体部40bDの肌70側(図18の上側)には、肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aDが形成されている。
【0071】
そして、本体部40bDの上部の短手方向両端に一対の起毛部40cD,40cDが形成されている。
【0072】
このような桟40Dを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第1変形例または第2変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0073】
(第5変形例)
本変形例にかかる桟40Eは、図19に示すように、肌70側(図19の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aEを有する略板状の本体部40cEを備え、当該本体部40cEの下端部に下方に延びる突出部40bEが形成されている。
【0074】
そして、本体部40cEの短手方向両端に一対の起毛部40dE,40dEが形成されている。
【0075】
このような桟40Eを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第2変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0076】
(第6変形例)
本変形例にかかる桟40Fは、断面略T字状に形成されている。具体的には、桟40Fは、図20に示すように、肌70側(図20の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aFを有する略板状の本体部40bFを備え、当該本体部40bFの下端部に下方に延びる突出部40cFが形成されている。
【0077】
そして、本体部40bFの短手方向両端に一対の起毛部40dF,40dFが形成されている。
【0078】
このような桟40Fを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第2変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0079】
(第7変形例)
本変形例にかかる桟40Gは、断面略エ字状に形成されている。具体的には、桟40Gは、図21に示すように、肌70側(図21の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)40aGを有する略板状の本体部40bGを備え、当該本体部40bGの下端部に下方に延びる突出部40cGが形成されている。さらに、突出部40cGの下端には短手方向両側に延びる断面三角状の延設部40dG,40dGが形成されている。
【0080】
そして、本体部40bGの短手方向両端に一対の起毛部40eG,40eGが形成されている。
【0081】
このような桟40Gを、第1の桟、第2の桟、起毛桟として用いる場合、上記第2変形例と同様の方法で用いるようにすればよい。
【0082】
(第2実施形態)
本実施形態にかかるネット刃9H,10H,12Hは、図22に示すように、基本的に上記第1実施形態にかかるネット刃9,10,12とほぼ同様の構成をしている。
【0083】
すなわち、ネット刃9H,10H,12Hは、短手方向桟41および長手方向桟42によって多数の刃穴50が画成された長板状部材9cH,10cH,12cH(図22(a)参照)を、上方が凸となるように前後方向(剃り方向)Xに沿って逆U字状に湾曲させることで形成されている。
【0084】
そして、長手方向桟42(桟40)は、他の桟(長手方向桟43および長手方向桟44)の起毛部(本実施形態では、側面43cおよび側面44cが起毛部に相当)よりも、起毛力の大きい起毛部45cが設けられた長手方向桟(起毛桟)45と、表面43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置するように設けられた長手方向桟(第1の桟)43と、表面44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置するように設けられた長手方向桟(第2の桟)44と、を備えている。
【0085】
そして、肌70と接触する表面(肌接触面)43aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも内刃13側に位置する長手方向桟(第1の桟)43を、短手方向(前後方向:剃り方向)X前方で長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けている。
【0086】
具体的には、頂部9aH,10aH,12aHの短手方向X両側に延在する外側部9bH,10bH,12bHの頂部側(内側)端部に、長手方向桟(起毛桟)45をそれぞれ設けている。そして、それぞれの長手方向桟(起毛桟)45の短手方向(前後方向:剃り方向)X外側に、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように長手方向桟(第1の桟)43をそれぞれ設けている。
【0087】
さらに、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように設けられた長手方向桟(第1の桟)43の短手方向(前後方向:剃り方向)X外側に、肌70と接触する表面(肌接触面)44aが、長手方向桟(起毛桟)45の肌接触面45jよりも肌70側に位置する長手方向桟(第2の桟)44をそれぞれ設けている。
【0088】
ここで、本実施形態では、ネット刃9H,10H,12Hの領域のうち肌70との接触圧が高い部位(頂部9aH,10aH,12aH)に、長手方向桟(第2の桟)44を配置するとともに、接触圧が低い部位(外側部9bH,10bH,12bH)に、長手方向桟(起毛桟)45を配置している。
【0089】
また、本実施形態では、各長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向後方に、各長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように長手方向桟(第2の桟)44を設けている。この長手方向桟(第2の桟)44は、図22に示すように、頂部9aH,10aH,12aHの短手方向(前後方向:剃り方向)両端に設けられている。
【0090】
すなわち、長手方向桟(起毛桟)45は、長手方向桟(第1の桟)43と長手方向桟(第2の桟)44との間に設けられている。
【0091】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、頂部9aH,10aH,12aH)に、長手方向桟(第2の桟)44を設けているため、起毛部45cが肌70に食い込み過ぎてしまうのをより一層抑制することができ、起毛部45cが肌70に与える影響(ダメージ)をより効果的に抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、長手方向桟(起毛桟)45の剃り方向後方に、当該長手方向桟(起毛桟)45と隣り合うように長手方向桟(第2の桟)44を設けている。その結果、電気かみそり1の使用時に、起毛部45cを肌70により一層食い込ませることができ、寝ている体毛71をより効率的に起毛させることができるようになる。
【0094】
(第3実施形態)
本実施形態では、回転式の電気かみそりに本発明を適用したものを説明する。
【0095】
本実施形態にかかる電気かみそり1Iは、内刃13Iを回転刃とした点が上記第1実施形態と主に異なっている。
【0096】
この電気かみそり1Iは、外刃8Iと、当該外刃8Iの内方(外刃8Iの下側)に配設されて外刃8Iに対して相対移動する内刃13Iと、を備えている。この外刃8Iおよび内刃13Iは、それぞれ円形に形成されており、本体側に固定した外刃8Iに対して内刃13Iが回転方向(b方向)に回転するようになっている。そして、外刃8Iの刃穴50内に挿入された体毛71を、外刃8Iと、内刃13Iと、で協働して切断するように構成している。
【0097】
本実施形態では、径方向に細長い略矩形状の刃穴50が、放射状に多数設けられている。この刃穴50は、図24に示すように、放射状に延在する多数の桟40Iによって画成されている。そして、桟40Iは、第1の桟43Iと、起毛桟45Iと、を備えている。
【0098】
起毛桟45Iは、肌70側(図25の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)45aIと、内刃13I側(図25の下側)に平坦状に形成された底面45bIと、表面(肌接触面)45aIおよび底面45aIの端部同士を滑らかに結ぶ両側面45cI,45cIと、で画成されている。そして、起毛桟45Iの上部には、剃り方向(本実施形態では、内刃13Iの回転方向:b方向)の前側に突出する起毛部45dIが形成されている。
【0099】
また、第1の桟43Iは、肌70側(図25の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の表面(肌接触面)43aIと、内刃13I側(図25の下側)に平坦状に形成された底面43bIと、表面(肌接触面)43aIおよび底面43aIの回転方向(b方向)の後端部同士を結ぶ傾斜面43cIと,表面(肌接触面)43aIおよび底面43aIの回転方向(b方向)の前端部同士を結ぶ略鉛直に延在する側面43dIと、で断面略直角台形状に形成されている。
【0100】
本実施形態では、側面43dIが起毛部に相当しており、この側面43dIは、起毛力が起毛部45dIの起毛力よりも小さくなるように設定されている。
【0101】
さらに、本実施形態では、起毛桟45Iの表面(肌接触面)45aIを第1の桟43Iの表面(肌接触面)43aIよりもhだけ外方に突出させることで、第1の桟43Iの表面(肌接触面)43aIが、起毛桟45Iの起毛部45dIよりも内刃13I側となるようにしている。
【0102】
このように、本実施形態においても、肌70と接触する表面(肌接触面)43aIが、起毛桟45Iの表面(肌接触面)45aIよりも内刃13I側に位置する第1の桟43Iを、剃り方向(b方向)前方で起毛桟45Iと隣り合うように設けている。
【0103】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0104】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0105】
例えば、上記第1および第2実施形態では、頂部に、起毛力が略同一の起毛部を有する桟を設けたものを例示したが、桟の起毛部の起毛力が、頂部の左右方向中央部から両端部に向かうにつれて徐々に高くなるようにしてもよい。
【0106】
また、桟の形状は、上記各実施形態および各変形例で示したものに限らず、種々の形状とすることができる。さらに、上記各実施形態および各変形例で示した形状も含めた種々の形状のなかから任意に選択した形状の桟を、それぞれ第1の桟、第2の桟、起毛桟とすることも可能である。なお、第1の桟および第2の桟として同一のものを用いる場合、上下(肌側と内刃側と)にオフセット配置すればよい。
【0107】
また、上記第1および第2実施形態では、外刃を4枚並列したものを例示したが、外刃の数は、1〜3枚であっても、5枚以上であってもよい。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、3枚のネット刃のそれぞれに起毛桟を設けたものを例示したが、スリット刃を含めて少なくともいずれか1つの外刃に起毛桟が設けられていればよい。
【0109】
また、上記第1および第2実施形態では、グリップ部に固定されたヘッド部に外刃が設けられたものを例示したが、グリップ部に外刃を設けるようにしてもよい。
【0110】
また、上記第3実施形態では、円形の外刃が1つ設けられたものを例示したが、これに限らず、円形の外刃を2つ以上設けたものであっても、本発明を適用できる。
【0111】
また、外刃や内刃、桟、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 電気かみそり
8 外刃
9a,10a,12a 頂部
9b,10b,12b 外側部
13 内刃
40 桟
41 短手方向桟
41a 表面
42 長手方向桟
43 長手方向桟(第1の桟)
43a 表面(肌接触面)
44 長手方向桟(第2の桟)
44a 表面(肌接触面)
45 長手方向桟(起毛桟)
45c 起毛部
45j 肌接触面
50 刃穴
70 肌
71 体毛
X 剃り方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桟によって画成された刃穴を有する外刃と、当該外刃の内方に配設されて前記外刃に対して相対移動することで、前記刃穴に挿入された体毛を切断する内刃と、を備える電気かみそりであって、
前記桟は、体毛を起立させる起毛部を有する起毛桟と、当該起毛桟の肌接触面よりも、肌接触面が内刃側となるように設けられた第1の桟と、を備え、
前記起毛桟の剃り方向前方に、当該起毛桟と隣り合うように前記第1の桟を設けたことを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
前記桟は、前記起毛桟の肌接触面よりも、肌接触面が肌側となるように設けられた第2の桟を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
前記外刃が頂部と外側部とを有する逆U字状に湾曲しており、
前記起毛桟を、前記外刃の外側部に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
前記外刃の頂部に前記第1の桟を設けたことを特徴とする請求項3に記載の電気かみそり。
【請求項5】
前記外刃の頂部に前記第2の桟を設けたことを特徴とする請求項3に記載の電気かみそり。
【請求項6】
前記起毛桟の剃り方向後方に、当該起毛桟と隣り合うように前記第1の桟を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項7】
前記起毛桟の剃り方向後方に、当該起毛桟と隣り合うように前記第2の桟を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電気かみそり。
【請求項1】
桟によって画成された刃穴を有する外刃と、当該外刃の内方に配設されて前記外刃に対して相対移動することで、前記刃穴に挿入された体毛を切断する内刃と、を備える電気かみそりであって、
前記桟は、体毛を起立させる起毛部を有する起毛桟と、当該起毛桟の肌接触面よりも、肌接触面が内刃側となるように設けられた第1の桟と、を備え、
前記起毛桟の剃り方向前方に、当該起毛桟と隣り合うように前記第1の桟を設けたことを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
前記桟は、前記起毛桟の肌接触面よりも、肌接触面が肌側となるように設けられた第2の桟を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
前記外刃が頂部と外側部とを有する逆U字状に湾曲しており、
前記起毛桟を、前記外刃の外側部に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
前記外刃の頂部に前記第1の桟を設けたことを特徴とする請求項3に記載の電気かみそり。
【請求項5】
前記外刃の頂部に前記第2の桟を設けたことを特徴とする請求項3に記載の電気かみそり。
【請求項6】
前記起毛桟の剃り方向後方に、当該起毛桟と隣り合うように前記第1の桟を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項7】
前記起毛桟の剃り方向後方に、当該起毛桟と隣り合うように前記第2の桟を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電気かみそり。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−200551(P2011−200551A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72274(P2010−72274)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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