説明

電気かみそり

【課題】肌に対する影響を抑制しつつ、寝ている体毛の外刃に対する導入性能の向上を図ることのできる電気かみそりを得る。
【解決手段】桟40は、体毛71を起立させる起毛部45gを有する起毛桟45を備えている。そして、起毛部45gの断面の輪郭形状を、線分81および円弧線82のうち少なくともいずれか1種類を連結要素80として用い、当該連結要素80を連結させた形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、体毛を剃る種々の電気かみそりが開発されている。ここで、体毛の延びている方向と肌面とのなす角度は起毛角と呼ばれているが、起毛角が大きい(例えば、45°〜60°)体毛は剃りやすいが、起毛角が小さい(例えば、30°以下)体毛、すなわち、寝ている体毛は剃りにくいという問題がある。そこで、寝ている体毛を起こす起毛力が従来よりも大きい起毛部を外刃の桟に設けた電気かみそりが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2877548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、断面平行四辺形状の桟の肌側の角を円弧状にすることで、当該桟に起毛部を形成しているため、肌に対する影響を抑制することはできるが、寝ている体毛を効率よく起こすことができなかった。すなわち、上記従来の技術では、寝ている体毛の外刃に対する導入性能があまりよくなかった。
【0005】
そこで、本発明は、肌に対する影響を抑制しつつ、寝ている体毛の外刃に対する導入性能の向上を図ることのできる電気かみそりを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にあっては、桟によって画成された刃穴を有する外刃と、当該外刃の内方に配設されて前記外刃に対して相対移動することで、前記刃穴に挿入された体毛を切断する内刃と、を備える電気かみそりであって、前記桟は、体毛を起立させる起毛部を有する起毛桟を備え、前記起毛桟は、肌に面する肌接触面と、前記刃穴もしくは前記内刃に面する内側側面と、前記肌接触面と内側側面とを連結する起毛面と、を備え、前記起毛部の断面の輪郭形状は、前記肌接触面の断面線における刃穴側端縁と前記内側側面の断面線における刃穴側端縁とを1つの線状連結要素または複数の連結要素で連結することで形成されており、前記複数の連結要素は、線分および円弧線のうち少なくともいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、起毛部の断面の輪郭形状を、線分および円弧線のうち少なくともいずれか1種類を連結要素として用い、当該連結要素を連結させた形状としている。したがって、起毛部の形状を、肌に対する影響を抑制しつつ、起毛効果を高めることのできる形状とすることができる。このように、本発明によれば、肌に対する影響を抑制しつつ、寝ている体毛の外刃に対する導入性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりを示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる内刃を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる外刃カセットを模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる外刃を側方から見た概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる外刃の一部を拡大した斜視図である。
【図6】図6は、(a)は図5のA−A線による断面図、(b)は短手方向端の拡大断面図である。
【図7】図7は、(a)は図5のB−B線による断面図、(b)は起毛部の拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる起毛部の第1変形例を(a)から(c)に示す拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる起毛部の第2変形例を(a)から(e)に示す拡大断面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にかかる起毛部の第3変形例を(a)から(d)に示す拡大断面図である。
【図11】図11は、図10(a)の起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態にかかる起毛部の第4変形例を(a)から(f)に示す拡大断面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態にかかる起毛部の第4変形例を(a)から(g)に示す拡大断面図である。
【図14】図14は、起毛部が寝ている体毛を起こす様子を模式的に示す図であって、(a)は、図12(c)の起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図、(b)は、図12(f)の起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態にかかる起毛部の第5変形例を(a)から(c)に示す拡大断面図である。
【図16】図16は、図15(a)の起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の一実施形態にかかる起毛部の第6変形例を(a)から(c)に示す拡大断面図である。
【図18】図18は、図17(a)の起毛部が寝ている体毛を起こす状態を模式的に示す断面図である。
【図19】図19は、本発明の一実施形態にかかる起毛部の第7変形例を(a)から(c)に示す拡大断面図である。
【図20】図20は、図19の起毛部が寝ている体毛を起こす様子を模式的に示す図であって、(a)は、起毛部が寝ている体毛の下に入り込んだ状態を模式的に示す断面図、(b)は、起毛部が寝ている体毛を起こした状態を模式的に示す断面図である。
【図21】図21は、本発明の一実施形態の第1変形例にかかる桟を示す図であって、(a)は、桟の断面図、(b)は、起毛部の拡大断面図である。
【図22】図22は、本発明の一実施形態の第2変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図23】図23は、本発明の一実施形態の第3変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図24】図24は、本発明の一実施形態の第4変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図25】図25は、本発明の一実施形態の第5変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図26】図26は、本発明の一実施形態の第6変形例にかかる桟を示す断面図である。
【図27】図27は、本発明の一実施形態の第7変形例にかかる桟を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、複数の外刃が並設される方向を前後方向(剃り方向)X、各外刃が延在する方向を左右方向Yとして説明する。また、外刃が上方を向くようにヘッド部を配置した状態における上下方向を上下方向Zとして説明する。
【0010】
本実施形態にかかる電気かみそり1は、図1に示すように、手で把持するグリップ部2と、グリップ部2に固定されたヘッド部5と、を備えている。
【0011】
グリップ部2は、図示せぬ電池が内蔵される合成樹脂製のグリップ本体3と、このグリップ本体3の上面より後方に突設された合成樹脂製のグリップ接続部4と、を備えている。なお、グリップ接続部4の上面に、公知の左右揺動機構および公知の前後揺動機構のうちの少なくともいずれかの機構を設け、ヘッド部5をグリップ部2に左右方向や前後方向に揺動できるように取り付けてもよい。
【0012】
ヘッド部5は、図示せぬリニアモータが内蔵され、グリップ接続部4に接続されるリニアヘッド部6と、当該リニアヘッド部6に取り付けられる刃ユニット7と、を備えている。そして、グリップ本体3には、図1に示すように、リニアモータの駆動をオン、オフさせるスイッチ部90が形成されている。なお、グリップ本体3に、電池の充電状況等を表示する表示部を設けるようにしてもよい。
【0013】
刃ユニット7は、ヘッド部5の上方に向けて露出する外刃8と、当該外刃8の内方(外刃8の下側)に配設されて外刃8に対して相対移動する内刃13と、を備えている。
【0014】
本実施形態では、4枚(複数)の外刃を備えており、第1のネット刃9、仕上げ用ネット刃10、スリット刃11、第2のネット刃12が前後方向Xに並設されている。
【0015】
ネット刃9,10,12はいずれも、図4に示すように、側面視(左右方向Yに外刃を視た状態)で上方が凸となるように前後方向(短手方向)Xに沿って逆U字状に湾曲して形成されている。さらに、ネット刃9,10,12は、正面視(前後方向Xに外刃を視た状態)で上方が凸となるように左右方向(長手方向)Yに沿って若干湾曲して形成されている。なお、本実施形態では、ネット刃9,10,12を、正面視で上方が凸となるように湾曲させているが、必ずしも湾曲させる必要はない。
【0016】
そして、このネット刃9,10,12には、多数の刃穴50が桟40によって画成されている。さらに、本実施形態では、図3に示すように、仕上げ用ネット刃10の刃幅(前後方向Xの幅)が、第1及び第2のネット刃9,12の刃幅(前後方向Xの幅)よりも小さくなるようにしている。このように、仕上げ用ネット刃10の刃幅を他のネット刃9,12の刃幅に比して小さく、すなわち、仕上げ用ネット刃10の曲率半径を小さく設けることで、表面に押し付けた肌70を刃穴50から大きく内側に突出させて体毛71(図11参照)を短く剃ることができるようにしている。
【0017】
スリット刃11は、前後方向(短手方向)Xに沿ってコ字状に湾曲形成されており、平坦な上壁から側壁に至る多数のスリット(刃穴)を穿設することで形成されている。
【0018】
すなわち、スリット刃11には、多数のスリット(刃穴)が、平坦な上壁から側壁に至る略コ字状の桟および側壁の下部で長手方向(左右方向)Yに沿って延在する桟によって画成されている。
【0019】
そして、外刃8を成す各ネット刃9,10,12およびスリット刃11は、それぞれ専用の外刃枠19,20,22および21に取り付けられている。
【0020】
さらに、外刃枠20の第1のネット刃9側には、肌ガード部材20aが形成されており、仕上げ用ネット刃10を前後に挟むスリット刃11と肌ガード部材20aとによって、曲率半径の小さな仕上げ用ネット刃10に肌70が強く押し付けられることを効果的に防止している。
【0021】
そして、第1のネット刃9が取り付けられた外刃枠19、仕上げ用ネット刃10が取り付けられた外刃枠20、スリット刃11が取り付けられた外刃枠21および第2のネット刃12が取り付けられた外刃枠22を、外刃フレーム18にそれぞれ係合させることで、外刃カセット30を形成している。この外刃カセット30は、リニアヘッド部6に取り付けられている。
【0022】
内刃13は、外刃8を成す各ネット刃9,10,12およびスリット刃11に対して専用のものが設置されている。具体的には、各ネット刃9,10,12の下方(内方)に、対応するネット刃9,10,12の湾曲に沿う逆U字状の内刃14,15,17が配設されている(図2参照)。なお、スリット刃11の下方(内方)には、このスリット刃11の湾曲に沿うコ字状のスリット内刃(図示せず)が配設されている。
【0023】
そして、これら内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)は、上述の図示せぬリニアモータに取り付けられており、リニアモータを駆動させると、内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)がそれぞれ左右方向(長手方向)Yに往復動するようになっている。
【0024】
このように、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11の下方(内方)に配設された内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)を、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11に対してそれぞれ相対移動(左右方向Yへの往復動)させることで、各ネット刃9,10,12の刃穴50およびスリット刃11のスリット内に挿入された体毛71を、各ネット刃9,10,12およびスリット刃11と、内刃14,15,17およびスリット内刃(図示せず)と、で協働して切断するように構成している。
【0025】
次に、本実施形態にかかるネット刃9,10,12について詳細に説明する。
【0026】
本実施形態では、ネット刃9,10,12は、桟40によって多数の刃穴50が画成されている。具体的には、桟40は、図5に示すように、短手方向(前後方向)Xに沿って波状に延在する短手方向桟41と、長手方向(左右方向)Yに沿って延在する長手方向桟42と、を備えている。そして、これらの桟41,42によって平面視略六角状の刃穴50が画成されている。この刃穴50は、体毛71が挿入可能な大きさに形成されている。
【0027】
なお、本実施形態では、多数の刃穴50を画成した長板状部材を、上方が凸となるように前後方向(剃り方向)Xに沿って逆U字状に湾曲させた状態で外刃枠19,20,22にそれぞれ取り付けることで、側方から見て逆U字状に湾曲したネット刃9,10,12を形成している。
【0028】
このように、側方から見て逆U字状に湾曲形成したネット刃9,10,12は、最も高い部位に位置する頂部9a,10a,12aが、肌70との接触圧が大きくなる部位となる。そして、頂部9a,10a,12aの短手方向両側の外側に位置する外側部9b,10b,12bが、頂部9a,10a,12aよりも肌70との接触圧が小さくなる部位となる。なお、図5における一点鎖線は頂部9a,10a,12aの短手方向の中心を通る中心線である。
【0029】
また、本実施形態では、長手方向桟42は、図6に示す断面形状の長手方向桟43と、図7(a)に示す断面形状の長手方向桟(起毛桟)45と、を備えている。
【0030】
そして、頂部9a,10a,12aには、長手方向桟43が配置されており、外側部9b,10b,12bには、長手方向桟45が配置されている。
【0031】
長手方向桟43は、図6(a)、(b)に示すように、断面略平板状に形成されており、長手方向桟43の短手方向端には、曲率半径Rの断面半円状に形成された起毛部43bが設けられている。このRは、例えば10μmが好ましい。ここで、短手方向桟41の表面41aは長手方向桟43の表面43aよりも肌側に近づけており、長手方向桟43の表面43aと短手方向桟41の表面41aとの上下距離はD1に設定されている。
【0032】
また、長手方向桟(起毛桟)45は、図7(a)に示すように、肌70側(図7(a)の上側)に肌70に面するように形成され、肌70が接触する略平坦状の肌接触面45aと、内刃13側(図7(a)の下側)に平坦状に形成された底面45bと、短手方向両端に向かうにつれて上側に位置するように傾斜した傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45c,45cと、を備えている。
【0033】
そして、桟45上部の短手方向両端に一対の起毛部45g,45gが形成されている。
【0034】
この起毛部45gは、肌面とのなす角度が小さい体毛(寝ている体毛)71をより効率的に起こす起毛作用を有している。また、起毛部45gと短手方向桟41の表面41aとの上下距離はD2に設定されており、D2<D1の大小関係でオフセット配置されている。
【0035】
そして、本実施形態では、起毛部45gは、肌接触面45aの短手方向両端(刃穴50側端縁)45eと傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45c,45cの短手方向両端(刃穴50側端縁)45fとを連結する起毛面45dを備えている。
【0036】
この起毛面45dには、刃穴50側に突出する頂部T1が肌70側に位置するように設けられている。
【0037】
ここで、起毛部45gの短手方向(起毛部の延在方向)X断面の輪郭形状は、肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eと傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fとを、1つの線状連結要素81aまたは複数の連結要素80で連結することで形成されている。この連結要素80として、本実施形態では、線分81および円弧線82のうち少なくともいずれかを用いている。
【0038】
具体的には、図7(b)に示すように、起毛面45dの輪郭形状(起毛部45gの断面の輪郭形状)が滑らかな曲線となるように、3つの円弧線82を用いて、肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eと傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fとを連結している。
【0039】
このとき、肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eに連結される円弧線(R1の円弧線)82は、肌70側に凸となるとともに、円弧線(R1の円弧線)82が刃穴側端縁45eよりも刃穴50側に位置するようにして連結される。さらに、本実施形態では、刃穴側端縁45eにおける円弧線(R1の円弧線)82を含む仮想円との接線方向に肌接触面45aが延在するように、円弧線(R1の円弧線)82を刃穴側端縁45eに連結させている。
【0040】
なお、円弧線(R3の円弧線)82の傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fへの連結も同様である。
【0041】
また、円弧線(R1の円弧線)82と円弧線(R2の円弧線)82、および、円弧線(R2の円弧線)82と円弧線(R3の円弧線)82は、それぞれの連結点83a、83bで、滑らかに連結されている。具体的には、例えば、円弧線(R1の円弧線)82と円弧線(R2の円弧線)82においては、連結点83aにおける円弧線(R1の円弧線)82を含む仮想円との接線と、連結点83aにおける円弧線(R2の円弧線)82を含む仮想円との接線と、が略平行となるように、円弧線(R1の円弧線)82と円弧線(R2の円弧線)82とを連結させればよい。ただし、それぞれの円弧線(R1の円弧線およびR2の円弧線)82は、滑らかに連結していればよく、連結点83aにおける2つの仮想円との接線が略平行となるようにする必要はない。円弧線(R2の円弧線)82と円弧線(R3の円弧線)82についても同様である。
【0042】
また、曲率中心の位置が同じ位置で、隣り合う円弧線同士を連結させた場合、2つの円弧線で1つの円弧線を描いてしまうため、本実施形態では、連結要素80が円弧線82同士の場合には、曲率中心の位置を異ならせた状態で2つの円弧線82同士を連結させるようにしている。
【0043】
本実施形態では、それぞれの円弧線82の曲率半径は、R1、R2、R3でそれぞれ異なっているため、起毛部45gの外側に凸となる状態でそれぞれの円弧線82を連結させるだけで、曲率中心の位置を異ならせることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、曲率半径が互いに異なる円弧線82を用いて連結させたものを例示したが、曲率半径が同じ円弧線82を複数用いるようにしてもよい。この場合、2つの曲率半径が同じ円弧線82の間に、これらの円弧線82とは曲率半径の異なる円弧線を挟むようにしてそれぞれ連結させればよい。また、曲率半径が同じ円弧線82を隣り合うようにして連結させる場合には、それぞれの円弧線82の弓状部分の突出方向が互いに異なるように連結し、S字状の曲線となるようにすればよい。
【0045】
そして、本実施形態では、先端が先細りとなるように起毛部45gを形成しており、当該起毛部45gの方が、長手方向桟43の起毛部43bよりも起毛力が大きくなるようにしている。すなわち、起毛部45gの方が、長手方向桟43の起毛部43bよりも効率的に寝ている体毛71を起こすことができるようにしている。
【0046】
なお、肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eと傾斜面45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fとを、1つの線状連結要素81aまたは複数の連結要素80で連結することで形成される起毛部45gの断面の輪郭形状は、様々な形状とすることができる。
【0047】
以下、本実施形態にかかる起毛部45gの断面の輪郭形状の変形例について説明する。
【0048】
まず、図8に記載の形状について説明する。
【0049】
図8では、起毛部45gの断面の輪郭形状は、上記実施形態と同様に、連結要素80としての円弧線82を複数連結させた形状をしている。すなわち、線分81を用いずに起毛面45dの輪郭形状を形成している。
【0050】
なお、図8では、円弧線82を2つ用いたものを図8(a)に示し、円弧線82を4つ用いたものを図8(b)に示し、円弧線82を5つ用いたものを図8(c)に示している。ただし、円弧線の数は、これに限らず、6つ以上の円弧線を用いて起毛面45dの輪郭形状を形成するようにしてもよい。このように、複数の円弧線82を起毛部45gの外側に凸となるように連結させる場合、隣り合う円弧線82の曲率半径を異ならせ、それぞれの曲率中心の位置が異なるようにする必要がある。なお、図8においては、肌接触面45aの刃穴側端縁45eから順に、曲率半径R1、R2、…としたものを例示しているだけで、各図に記載の曲率半径R1が同一の曲率半径であることを意味するものではない。図9以降の曲率半径R1、R2…および角部L1、L2…の角度についても同様である。
【0051】
次に、図9に記載の形状について説明する。
【0052】
まず、図9(a)では、起毛部45gの断面の輪郭形状として、1つの線状連結要素81aで肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eと傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fとを連結させて形成されるものを示している。この図9(a)では、線状連結要素81aと肌接触面45aの断面線45hとのなす角が直角(90度以上180度未満)となるように、線状連結要素81aと肌接触面45aの断面線45hとを連結している。
【0053】
さらに、線状連結要素81aと傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45cの断面線45iとのなす角が90度以上180度未満となるように、線状連結要素81aと傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45cの断面線45iとを連結している。
【0054】
このように、1つの線状連結要素81aで肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eと傾斜面45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fとを連結させることで、長手方向桟(起毛桟)45の短手方向端に、直角もしくは鈍角となる2つの角部L1、L2を形成している。
【0055】
また、図9(a)に示すように、線状連結要素81aと肌接触面45aの断面線45hとのなす角が直角となるようにすれば、起毛面45dが鉛直面となる。このように、起毛面45dを鉛直面とすることで、当該鉛直面で体毛71を支えることができ、より確実に体毛71を起こすことができる(図11参照)。また、角部L1が鋭角とならないようにすることで、起毛部45gが肌70に与える影響を抑制することができる。
【0056】
また、図9(b)〜図9(e)では、連結要素80としての線分81を複数連結させることで起毛部45gの断面の輪郭形状を形成したものを示している。
【0057】
なお、線分81を2つ用いて3つの角部L1〜L3を形成したものを図9(b)に示し、線分81を3つ用いて4つの角部L1〜L4を形成したものを図9(c)に示し、線分81を4つ用いて5つの角部L1〜L5を形成したものを図9(d)に示し、線分81を5つ以上用いて6つ以上の角部を形成したものを図9(e)に示している。
【0058】
ここで、線状連結要素81a、肌接触面45aの断面線45hおよび傾斜面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側面)45cの断面線45iを含む2つの線分を連結する場合には、上述したように、当該2つの線分は、線分同士のなす角が90度以上180度未満となるように連結するのが好適である。こうすれば、起毛部45gの断面の輪郭形状に鋭角となる部位が形成されなくなるため、起毛部45gが肌70に与える影響を抑制することができる。
【0059】
このように、図9では、図9(a)の形状も含めて、円弧線82を用いずに起毛部45gの断面の輪郭形状を形成したものを例示している。
【0060】
次に、図10に記載の形状について説明する。
【0061】
図10では、起毛部45gの断面の輪郭形状として、肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eと傾斜面45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fとを、線分81および円弧線82(複数の連結要素80)を連結させて形成されるものを示している。
【0062】
具体的には、図10では、肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eおよび傾斜面45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fには、円弧線82を連結するとともに、円弧線82と線分81とを交互に連結させることで、起毛部45gの断面の輪郭形状が、線分同士の連結により形成される角部を有さないようにしている。
【0063】
なお、線分81と円弧線82との連結は、上述の連結方法と同一の方法で行っている。
【0064】
また、図10では、円弧線82を2つ用いたものを図10(a)に示し、円弧線82を3つ用いたものを図10(b)に示し、円弧線82を4つ用いたものを図10(d)に示し、円弧線82を5つ用いたものを図10(e)に示している。このとき用いられる線分81の数は、円弧線82の数をnとするとn−1となる。
【0065】
また、図10(a)に示すように、線分81を1つ用いるとともに円弧線82を2つ用いて、鉛直面を形成すれば、角部Lがなくなるため、図11に示すように、より確実に体毛71を起こしつつ、起毛部45gが肌70に与える影響をより抑制させることができる。
【0066】
次に、図12および図13に記載の形状について説明する。
【0067】
図12および図13では、起毛部45gの断面の輪郭形状として、肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eと傾斜面45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fとを、線分81および円弧線82(複数の連結要素80)を連結させて形成されるものを示している。
【0068】
具体的には、図12および図13では、線分81同士を連結して形成される角部Lを有する点が、上記図10に示した起毛部45gの断面の輪郭形状と異なっている。
【0069】
そして、図12の(a)〜(f)および図13の(a)〜(g)では、円弧線82が肌70側に配置された輪郭形状のもの、円弧線82が内刃13側に配置された輪郭形状のもの、円弧線82が略中央部に配置された輪郭形状のものをそれぞれ示している。
【0070】
なお、円弧線82同士の連結、線分81同士の連結、円弧線82と線分81の連結は、上述の連結方法と同一の方法で行っている。
【0071】
このように、起毛部45gの断面の輪郭形状を、円弧線82が肌70側に配置された輪郭形状とすることで、図14(a)に示すように、起毛部45gの断面の肌70側の輪郭が滑らかになるため、起毛部45gが肌70に与える影響を抑制することができる。
【0072】
また、起毛部45gの断面の輪郭形状を、円弧線82が内刃13側に配置された輪郭形状とすることで、図14(b)に示すように、体毛71に接触する部位の輪郭が滑らかになるため、体毛71をよりスムーズに起こすことができるようになる。
【0073】
次に、図15に記載の形状について説明する。
【0074】
図15では、起毛部45gの断面の輪郭形状として、肌70側に配置される連結要素80の長さ(線分81の場合その長さ、円弧線82の場合、両端の連結点83を結ぶ直線の長さ)が、内刃13側に配置される連結要素80の長さよりも短いものを示している。
【0075】
すなわち、肌70側において隣り合う連結点(刃穴側端縁45eを含む)83の距離が、内刃13側において隣り合う連結点(刃穴側端縁45fを含む)83の距離よりも短くした輪郭形状の起毛部45gを示している。
【0076】
なお、この輪郭形状は、線分81のみを用いて形成(図15(a)参照)することもでき、円弧線82のみを用いて形成(図15(b)参照)することもでき、線分81および円弧線82を用いて形成(図15(c)参照)することもできる。
【0077】
このように、肌70側において隣り合う連結点83の距離を、内刃13側において隣り合う連結点83の距離よりも短くすることで、肌70側の輪郭を滑らかに湾曲させることができ、図16に示すように、起毛部45gが肌70に与える影響を抑制することができる。
【0078】
また、内刃13側において隣り合う連結点83の距離を長くすることで、内刃13側の輪郭形状の形成が容易になるという利点もある。
【0079】
次に、図17に記載の形状について説明する。
【0080】
図17では、起毛部45gの断面の輪郭形状として、肌70側に配置される連結要素80の長さ(線分81の場合その長さ、円弧線82の場合、両端の連結点83を結ぶ直線の長さ)が、内刃13側に配置される連結要素80の長さよりも長いものを示している。
【0081】
すなわち、肌70側において隣り合う連結点83の距離が、内刃13側において隣り合う連結点83の距離よりも長くした輪郭形状の起毛部45gを示している。
【0082】
なお、この輪郭形状は、線分81のみを用いて形成(図17(a)参照)することもでき、円弧線82のみを用いて形成(図17(b)参照)することもでき、線分81および円弧線82を用いて形成(図17(c)参照)することもできる。
【0083】
このように、肌70側において隣り合う連結点83の距離を、内刃13側において隣り合う連結点83の距離よりも長くすることで、内刃13側の輪郭を滑らかに湾曲させることができ、図18に示すように、体毛71に接触する部位の輪郭が滑らかになるため、体毛71をよりスムーズに起こすことができるようになる。
【0084】
また、肌70側において隣り合う連結点83の距離を長くすることで、肌70側の輪郭形状の形成が容易になるという利点もある。
【0085】
次に、図19に記載の形状について説明する。
【0086】
図19では、起毛部45gの断面の輪郭形状として、起毛面45dの肌70側に頂部T1を有するとともに、当該頂部T1よりも内刃13側に第2の頂部T2を有する形状のものを示している。なお、頂部は、3つ以上あってもよい。
【0087】
この図19では、2つの線分81と3つの円弧線82とを用いて、頂部T1および第2の頂部T2を形成している。このとき、円弧線82と線分81とを交互に連結させることで、起毛部45gの断面の輪郭形状が、線分同士の連結により形成される角部を有さないようにしている。
【0088】
具体的には、円弧線(R1の円弧線)82および円弧線(R3の円弧線)82を、それぞれ起毛部45gの外側に凸となるように、肌接触面45aの断面線45hにおける刃穴側端縁45eおよび傾斜面45cの断面線45iにおける刃穴側端縁45fに連結している。そして、円弧線(R1の円弧線)82および円弧線(R3の円弧線)82に線分81をそれぞれ連結し、それぞれの線分81に、円弧線(R2の円弧線)82を、起毛部45gの内側に凸となるように連結することで、頂部T1および第2の頂部T2を形成している。
【0089】
このように、起毛部45gの断面の輪郭形状を、起毛面45dの肌70側に頂部T1を有するとともに、当該頂部T1よりも内刃13側に第2の頂部T2を有する形状とすることで、図20(a)に示すように、体毛71との接触面積を小さくすることができ、体毛71をよりスムーズに起こすことができるようになる。
【0090】
また、頂部T1および第2の頂部T2を有することで、体毛71を2つの頂部T1,T2で支持することができるため、起毛効果をより一層高めることができる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態では、起毛部45gの断面の輪郭形状を、線分81および円弧線82のうち少なくともいずれか1種類を連結要素80として用い、当該連結要素80を連結させた形状としている。したがって、起毛部45gの形状を、肌70に対する影響を抑制しつつ、起毛効果を高めることのできる形状とすることができる。このように、本実施形態によれば、肌70に対する影響を抑制しつつ、寝ている体毛71の外刃8に対する導入性能の向上を図ることができる。
【0092】
また、本実施形態では、起毛部45gの断面の輪郭形状を、円弧線82が肌70側に配置された形状としている。このように、起毛部45gの断面の輪郭形状を、円弧線82が肌70側に配置された輪郭形状とすることで、起毛部45gの断面の肌70側の輪郭が滑らかになるため、起毛部45gが肌70に与える影響を抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態では、起毛部45gの断面の輪郭形状を、円弧線82が内刃13側に配置された形状としている。このように、起毛部45gの断面の輪郭形状を、円弧線82が内刃13側に配置された輪郭形状とすることで、体毛71に接触する部位の輪郭が滑らかになるため、体毛71をよりスムーズに起こすことができるようになる。
【0094】
また、本実施形態では、起毛部45gの断面の輪郭形状を、肌70側に配置された連結要素80の連結点83間距離が、内刃13側に配置された連結要素80の連結点83間距離よりも長くなるようにしている。このように、肌70側において隣り合う連結点83の距離を、内刃13側において隣り合う連結点83の距離よりも長くすることで、内刃13側の輪郭を滑らかに湾曲させることができ、体毛71に接触する部位の輪郭が滑らかになるため、体毛71をよりスムーズに起こすことができるようになる。
【0095】
また、本実施形態では、起毛部45gの断面の輪郭形状を、肌70側に配置された連結要素80の連結点83間距離が、内刃13側に配置された連結要素80の連結点83間距離よりも短くなるようにしている。このように、肌70側において隣り合う連結点83の距離を、内刃13側において隣り合う連結点83の距離よりも短くすることで、肌70側の輪郭を滑らかに湾曲させることができ、起毛部45gが肌70に与える影響を抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態では、起毛面45dの肌70側に頂部T1が形成されるようにしている。このように、起毛面45dの肌70側に頂部T1を形成することで、寝ている体毛71をより効率よく起こすことができる。
【0097】
また、本実施形態では、起毛面45dには、頂部T1よりも内刃13側に第2の頂部T2を形成している。このように、起毛部45gの断面の輪郭形状を、起毛面45dの肌70側に頂部T1を有するとともに、当該頂部T1よりも内刃13側に第2の頂部T2を有する形状とすることで、体毛71との接触面積を小さくすることができ、体毛71をよりスムーズに起こすことができるようになる。
【0098】
また、頂部T1および第2の頂部T2を有することで、すなわち、複数の頂部を有することで、体毛71を複数の頂部で支持することができるため、起毛効果をより一層高めることができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、ネット刃9,10,12の領域のうち肌70との接触圧が高い部位(頂部9a,10a,12a)に、長手方向桟43を配置するとともに、接触圧が低い部位(外側部9b,10b,12b)に、長手方向桟43の起毛部43bよりも起毛力の大きい起毛部45gを有する長手方向桟(起毛桟)45を配置している。
【0100】
このように、肌70との接触圧が高い部位の起毛力を、接触圧が低い部位の起毛力よりも小さくすることにより、肌70との接触圧が高い部位が肌70に与える影響(ダメージ)を抑制することができる。
【0101】
また、肌70との接触圧が低い部位については、肌70に与える影響がもともと低いため、起毛力を高めて効率的な起毛を行うことができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、桟40は、ネット刃(外刃)9,10,12の長手方向に沿って延設される長手方向桟42と、長手方向に交差する短手方向に沿って延設される短手方向桟41とからなり、ネット刃(外刃)9,10,12が網目状になっている。そのため、体毛71を刃穴50に挿入しやすくなって、体毛71を剃りやすくすることができるという効果がある。
【0103】
また、本実施形態によれば、ネット刃(外刃)9,10,12は側方から見ると逆U字状に湾曲して形成されており、側面(起毛部)43bおよび起毛部45gを、ネット刃(外刃)9,10,12の長手方向桟43,45における短手方向の両端に形成している。このため、電気かみそり1を、短手方向の一方方向および他方方向のいずれの方向に移動させても、体毛71を起立させることができるため、使用者の使い勝手が良好となるという効果がある。
【0104】
次に、本実施形態にかかる桟の変形例を説明する。
【0105】
(第1変形例)
本変形例にかかる桟40Aは、図21(a)に示すように、断面略V字状に形成されている。具体的には、短手方向中央部には、略平板状の平板部40aAが形成されており、この平板部40aAの短手方向両端には、平板部40aA側から短手方向の両端に向かうにつれて上方に位置するように傾斜した傾斜部40bAが設けられている。この傾斜部40bAは、平板部40aA側から短手方向の両端に向かうにつれて幅狭となるテーパ状に形成されており、当該傾斜部40bAの短手方向端40cAには、体毛71を起立させる起毛部40dAが形成されている。
【0106】
また、桟40Aは、平板部40aAの上部平坦面40eA、傾斜部40bAの上部傾斜面40fA、平板部40aAの底面40gAおよび傾斜部40bAの下部傾斜面40hAによって画成されている。
【0107】
なお、本実施形態では、上部平坦面40eAおよび上部傾斜面40fAが、肌70に接触する肌接触面に相当し、下部傾斜面40hAが刃穴50もしくは内刃13に面する内側側面に相当している。
【0108】
さらに、図21(b)に示すように、二点鎖線で示す短手方向の基準線60と上部傾斜面40fAとのなす逃げ角度αは、前述した図6(a)のように長手方向桟43の表面43aと短手方向の基準線60とのなす逃げ角度(0°)よりも大きく設定されている。このように、肌70との接触圧が高い部位における逃げ角を、肌70との接触圧が低い部位における逃げ角度αよりも小さく設定することで、肌70との接触圧が高い部位が肌70に与える影響(ダメージ)を抑制することができる。
【0109】
このような形状の桟40Aを用い、当該桟40Aにおける起毛部40dAの断面の輪郭形状を、上記実施形態および各変形例で示した形状とすれば、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0110】
(第2変形例)
本変形例にかかる桟40Bは、図22に示すように、肌70側(図22の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の肌接触面40aBと、内刃13側(図22の下側)に平坦状に形成された底面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側側面)40bBと、を有する平板状に形成されている。そして、桟40Bの短手方向両端が半円状の起毛部40cB,40cBとなっている。
【0111】
このような形状の桟40Bを用い、当該桟40Bにおける起毛部40cBの断面の輪郭形状を、上記実施形態および各変形例で示した形状とすれば、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0112】
(第3変形例)
本変形例にかかる桟40Cは、図23に示すように、肌70側(図23の上側)に凸状に湾曲形成され、肌70が接触する肌接触面40aCと、内刃13側(図23の下側)に平坦状に形成された底面40bCと、短手方向端に形成される側面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側側面)40cC,40cCと、を備えている。そして、桟40C上部の短手方向両端に一対の起毛部40dC,40dCが形成されている。
【0113】
このような形状の桟40Cを用い、当該桟40Cにおける起毛部40dCの断面の輪郭形状を、上記実施形態および各変形例で示した形状とすれば、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0114】
(第4変形例)
本変形例にかかる桟40Dは、図24に示すように、断面略蒲鉾状の本体部40bDを有しており、当該本体部40bDの肌70側(図24の上側)には、肌70が接触する略平坦状の肌接触面40aDが形成されており、当該本体部40bDの短手方向端には、側面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側側面)40dD,40dDが形成されている。
【0115】
そして、本体部40bDの上部の短手方向両端に一対の起毛部40cD,40cDが形成されている。
【0116】
このような形状の桟40Dを用い、当該桟40Dにおける起毛部40cDの断面の輪郭形状を、上記実施形態および各変形例で示した形状とすれば、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0117】
(第5変形例)
本変形例にかかる桟40Eは、図25に示すように、肌70側(図25の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の肌接触面40aEを有する略板状の本体部40cEを備え、当該本体部40cEの底面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側側面)40eEから下方に延びる突出部40bEが形成されている。
【0118】
そして、本体部40cEの短手方向両端に一対の起毛部40dE,40dEが形成されている。
【0119】
このような形状の桟40Eを用い、当該桟40Eにおける起毛部40dEの断面の輪郭形状を、上記実施形態および各変形例で示した形状とすれば、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0120】
(第6変形例)
本変形例にかかる桟40Fは、断面略T字状に形成されている。具体的には、桟40Fは、図26に示すように、肌70側(図26の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の肌接触面40aFを有する略板状の本体部40bFを備え、当該本体部40bFの底面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側側面)40eFから下方に延びる突出部40cFが形成されている。
【0121】
そして、本体部40bFの短手方向両端に一対の起毛部40dF,40dFが形成されている。
【0122】
このような形状の桟40Fを用い、当該桟40Fにおける起毛部40dFの断面の輪郭形状を、上記実施形態および各変形例で示した形状とすれば、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0123】
(第7変形例)
本変形例にかかる桟40Gは、断面略エ字状に形成されている。具体的には、桟40Gは、図27に示すように、肌70側(図27の上側)に形成されて肌70が接触する略平坦状の肌接触面40aGを有する略板状の本体部40bGを備え、当該本体部40bGの底面(刃穴50もしくは内刃13に面する内側側面)40fGから下方に延びる突出部40cGが形成されている。さらに、突出部40cGの下端には短手方向両側に延びる断面三角状の延設部40dG,40dGが形成されている。
【0124】
そして、本体部40bGの短手方向両端に一対の起毛部40eG,40eGが形成されている。
【0125】
このような形状の桟40Gを用い、当該桟40Gにおける起毛部40eGの断面の輪郭形状を、上記実施形態および各変形例で示した形状とすれば、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0126】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0127】
例えば、上記実施形態では、頂部に、起毛力が略同一の起毛部を有する桟を設けたものを例示したが、桟の起毛部の起毛力が、頂部の左右方向中央部から両端部に向かうにつれて徐々に高くなるようにしてもよい。
【0128】
また、桟の形状は、上記実施形態および各変形例で示したものに限らず、種々の形状とすることができる。
【0129】
また、上記実施形態では、長手方向桟43の起毛部43bを、1つの円弧線で形成したものを例示したが、この起毛部43bの断面の輪郭形状を、肌接触面の断面線における刃穴側端縁と内側側面の断面線における刃穴側端縁とを1つの線状連結要素または複数の連結要素で連結することで形成してもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、外刃を4枚並列したものを例示したが、外刃の数は、1〜3枚であっても、5枚以上であってもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、3枚のネット刃のそれぞれに起毛桟を設けたものを例示したが、スリット刃を含めて少なくともいずれか1つの外刃に起毛桟が設けられていればよい。
【0132】
また、上記実施形態では、グリップ部に固定されたヘッド部に外刃が設けられたものを例示したが、グリップ部に外刃を設けるようにしてもよい。
【0133】
また、外刃や内刃、桟、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 電気かみそり
8 外刃
13 内刃
40 桟
45 長手方向桟(起毛桟)
45a 肌接触面
45c 傾斜面(刃穴もしくは内刃に面する内側面)
45d 起毛面
45e 短手方向端(刃穴側端縁)
45f 短手方向端(刃穴側端縁)
45g 起毛部
45h 断面線
45i 断面線
50 刃穴
70 肌
71 体毛
80 連結要素
81 線分
81a 線状連結要素
82 円弧線
83 連結点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桟によって画成された刃穴を有する外刃と、当該外刃の内方に配設されて前記外刃に対して相対移動することで、前記刃穴に挿入された体毛を切断する内刃と、を備える電気かみそりであって、
前記桟は、体毛を起立させる起毛部を有する起毛桟を備え、
前記起毛桟は、肌に面する肌接触面と、前記刃穴もしくは前記内刃に面する内側側面と、前記肌接触面と内側側面とを連結する起毛面と、を備え、
前記起毛部の断面の輪郭形状は、前記肌接触面の断面線における刃穴側端縁と前記内側側面の断面線における刃穴側端縁とを1つの線状連結要素または複数の連結要素で連結することで形成されており、
前記複数の連結要素は、線分および円弧線のうち少なくともいずれかであることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
前記線状連結要素、前記肌接触面の断面線および前記内側側面の断面線を含む2つの線分を連結する場合には、当該2つの線分は、線分同士のなす角が90度以上180度未満となるように連結されており、2つの前記円弧線を連結する場合には、当該2つの円弧線は、曲率中心の位置を異ならせた状態で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
前記起毛部の断面の輪郭形状は、前記円弧線が前記肌側に配置された形状をしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
前記起毛部の断面の輪郭形状は、前記円弧線が前記内刃側に配置された形状をしていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項5】
前記起毛部の断面の輪郭形状は、前記肌側に配置された連結要素の連結点間距離が、前記内刃側に配置された連結要素の連結点間距離よりも長いことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項6】
前記起毛部の断面の輪郭形状は、前記肌側に配置された連結要素の連結点間距離が、前記内刃側に配置された連結要素の連結点間距離よりも短いことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項7】
前記起毛面の前記肌側に頂部が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項8】
前記起毛面は、前記頂部よりも前記内刃側に第2の頂部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電気かみそり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−200552(P2011−200552A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72287(P2010−72287)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】