説明

電気めっきを行う間の表面酸化の低減

基板表面の改良された金属コーティングまたは金属析出物を提供する方法、このような金属析出物を提供するために使用されるめっき溶液の改良及び金属コーティング済み基板の物品。金属コーティングのはんだ付け性は、金属コーティング中に微量のリンを取り入れて、それに続く加熱の最中の表面酸化物形成を低減し、従って金属コーティングの長期はんだ付け性を向上することによって向上する。リンは好都合に、金属コーティングを基板表面に提供するために使用される溶液中にリンの源を取り入れることによって金属コーティング中に提供され、次に、金属コーティングが溶液から基板表面に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気めっきのようなめっきプロセスによって提供される金属析出物の表面酸化を低減するかまたは最小にするための溶液及びプロセスに関する。本溶液及びプロセスはまた、外観及びはんだ付け性を含む改良された析出物特性を提供する。
【背景技術】
【0002】
電気めっきされたスズ及びスズ合金コーティングは、エレクトロニクス及び他の用途の例えばワイヤ、並びに連続鋼帯において長年使用されてきた。エレクトロニクスにおいては、これらは、接点及びコネクタのためのはんだ付け可能な及び耐食性表面仕上げとして使用されてきた。これらはまた、集積回路(“IC”)製造のためにリード仕上げに使用されている。加えて、スズまたはスズ合金の薄層は、受動構成要素の例えばキャパシタ及びトランジスタのための最終工程として適用されている。
【0003】
用途は変化するが、この最終表面仕上げのための要件に関して幾つかの共通点が存在する。1つの問題は、長期はんだ付け性であり、長期はんだ付け性とは、電気接続または機械的接続を損なうと思われる欠陥無しに、表面仕上げが融解し、他の構成要素との良好なはんだ接合を生じる能力と定義される。
【0004】
良好なはんだ付け性を決定する多くのファクターが存在し、3つの最も重要なものは、表面酸化物形成の程度、共析出した炭素の量、及び金属間化合物形成の程度である。表面酸化物形成は熱力学的に有利なので、自然に起きるプロセスである。表面酸化物の形成の割合は、温度及び時間に依存する。すなわち、温度が高い程、また時間が長い程、形成される表面酸化物は厚い。電気めっきされたスズまたはスズ合金コーティングまたは析出物の場合には、表面酸化物形成は、コーティングまたは析出物の表面形態にも依存する。純粋なスズをスズ合金コーティングと比較すると、全ての他の条件が等しい場合、例えば、スズ合金は一般により少量またはより薄い表面酸化物を形成する。
【0005】
共析出した炭素は、使用するために選択されるめっきの化学によって決定される。光沢仕上げはマット仕上げよりも高い炭素含量を含む。マット仕上げは通常光沢仕上げよりも粗く、光沢仕上げを用いて典型的に形成されるものよりも多量の表面酸化物の形成をもたらす増大した表面積を提供する。従ってめっき業者は、表面酸化物の可能な量と表面仕上げとの間で調整することになる。
【0006】
金属間化合物形成は、スズまたはスズ合金コーティングと基板との間の化学反応である。形成の割合は同様に温度及び時間に依存する。より高い温度及びより長い時間は、金属間化合物のより厚い層をもたらす。
【0007】
最高度のはんだ付け性を改良するかまたは確保するために、1)非光沢スズまたはスズ合金めっき溶液を使用すること、2)スズまたはスズ合金の十分な層を析出して、表面酸化物または金属間化合物形成が層全体を消費しないようにすること、及び3)スズめっきされた表面を長時間高温にさらすことを防ぐかまたは最小にすること、は重要である。
【0008】
1)及び2)を実現するのは比較的に容易であるが、3)を実現するのは非常に困難である。スズまたはスズ合金析出物のめっき後のそれに続く部品処理の温度及び時間は通常、組立て仕様及び既存の製造レイアウト及び慣例によって決定される。例えば“ツートーン(two tone)”リードフレーム技術は、スズまたはスズ合金めっき後に、パッケージ全体が175℃もの高さの温度で多数の熱行程(multiple thermal excursion)を必要とする多くのプロセス工程(すなわち、長時間のこのような処理)を経なければならないだろう。必然的に、より多量の及び/またはより厚い表面酸化物が形成され、これは結果としてスズまたはスズ合金析出物のはんだ付け性を低減する。目下の処理において、こうした追加の工程を省略することは、最終構成要素または組立体が完成しないだろうから可能ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、このような部品表面の表面酸化物形成を防ぐかまたは最小にする様式を見い出すことが非常に望ましい。これを行うための1つの周知の様式は、スズまたはスズ合金析出物の表面にコンフォーマルコーティングを導入することである。この技術は2つの一般的なカテゴリーに要約することができる:1つは貴金属コーティングに当てはまり、他は有機コーティングに当てはまる。第1のカテゴリーは、スズまたはスズ合金析出物の保護のためには望ましくなく、というのはこれは高価な追加のプロセス工程を導入するからである。第2のカテゴリーもまた望ましくなく、というのは析出した有機コーティングの非選択的な性質が理由となって、これは必然的にリードフレームまたは電気部品の他の重要部位の上に不純物を導入するだろうからである。こうした不純物は、それに続くリードフレーム及びIC組立てプロセスにとって有害であることが判明した。
【0010】
従って、この問題に対するさらなる解決が必要とされており、こうしたものは現在本発明によって提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は一般に、基板表面の改良された金属コーティングまたは金属析出物を提供する方法及び金属コーティング済み基板の物品に関する。
本発明は、金属コーティング中に微量のリンを取り入れて、それに続く加熱の最中の表面酸化物形成を低減し、従って金属コーティングの長期はんだ付け性を向上することによって、基板表面の金属コーティングのはんだ付け性を向上させる方法に関する。リンは好都合に、溶液から基板表面の金属コーティングと共にリンが提供されるように、金属コーティングを基板表面に提供するために使用される溶液中にリンの源を取り入れることによって、金属コーティング中に提供される。
【0012】
好ましくは、金属コーティングは電気めっきによって提供される金属析出物であり、リンが電気めっきの最中に金属と一緒に共析出できるようにリンの源を金属のイオンの溶液に加える。リンの源は典型的に、溶液中に可溶でありかつ金属析出物中にppmレベルのリンを提供するリンの化合物である。一般に、金属析出物は、電流密度約2000ASF以下で電気めっきすることによって生じる。
【0013】
本発明の別の具体例は、基板表面の金属析出物を提供するために使用されるめっき溶液に関する。この溶液はその中に、微量のリンを金属析出物中に提供して、表面酸化物形成を低減し、従って金属析出物の長期はんだ付け性を向上する量でリンの源を取り入れる。リンは典型的に、得られた金属析出物中に検出可能な量で、しかし約200ppm未満存在する。また特定の金属析出物においては、これよりもはるかに低くなり得る。
【0014】
本発明はまた、基板表面の金属コーティングを含む物品に関し、ここで、金属コーティングはその中に微量のリンを含んで表面酸化物形成を低減し、従って金属析出物の長期はんだ付け性を向上する。好ましくは、本物品は電気めっきによって生じる。
【0015】
本発明の金属コーティング、金属析出物または物品の金属は、好ましくはスズまたはスズ合金を含み、というのは、物品のはんだ付けがさらなる製造のために必要な場合にこうしたものが一般的に利用されるからである。ニッケル、コバルト、銅またはそれらの合金の析出物もまた望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、微量またはppmレベルのリンを金属または金属合金析出物またはめっきされたコーティング中に取り入れることの重要性を認識する。この要素は、このようなコーティングまたは析出物の表面酸化をかなり低減し、従って長期はんだ付け性を改良する。リンは好ましくは金属コーティングに加えられるかまたは金属を析出するために使用されるのと同じ製造工程によって析出することができるので、追加の処理工程を必要とせず、パッケージ全体の上に不純物を導入することもない。
【0017】
“微量”という用語を使用して、金属析出物中に存在する検出可能な量の元素の例えばリンの量を意味し、この量は、金属析出物の長期はんだ付け性の測定可能な改良を提供する。
【0018】
“ppmレベル”という用語は、金属析出物の長期はんだ付け性の測定可能な改良を提供するために金属析出物中に存在する元素の例えばリンの百万分率の範囲の量を表す。
微量またはppmレベルは、特定の金属析出物に依存して大きく変化し得る。例えば、ニッケル析出物においては、量は約200ppm以下であるが、スズ及びスズ合金の場合、これは約50ppm以下であろう。
【0019】
この添加剤を、はんだ付けすべき任意の金属析出物のために使用できる。これは特に、スズ、ニッケル、銅、コバルト、タングステン、亜鉛、またはそれらの合金のうちの1つを含む。はんだ付けは基本的には、通常3つの材料を含む結合手順である:(1)基板;(2)基板に結合させることが望まれる構成要素または他の装置;及び(3)はんだ付け材料自体。はんだ付け材料自体は、通常スズまたはスズ合金であるが、基板または構成要素/装置は他の金属で製造できる。本発明においては、リンを金属析出物に加えて、このような析出物を含む基板及び/またはこれに結合させるべき構成要素/装置のはんだ付け性特性を改良する。基板または構成要素/装置材料は、電気めっき可能な材料の例えば銅、鋼、またはステンレス鋼を含む。本発明は、基板及び/または装置の表面酸化を低減し、これは、はんだ付け材料を用いてはんだ付けする能力を改良する。これはまた、そのための金属間化合物の形成を低減することができる。スズ及びスズ合金析出物は金属析出物として好ましく、というのはこれらはそれ自体ではんだとして働くかまたはそれらの比較的に低い融解温度を超えて加熱する場合にリフローにさらすことができるからである。しかしながら、表面酸化の低減は、記載する他の金属のために有用であり、というのははんだは、酸化された表面からの妨害の低減が理由となって、それらの金属に接着するのがより容易だからである。例えば、リンがニッケル析出物中に存在する場合、これはスズ、スズ合金または貴金属のさらなるコーティングの必要を無くすかもしれない。
【0020】
スズ及びスズ合金は、得られためっきされた析出物中に様々な特性を生じることができる様々なめっきの化学を有することが周知である。こうしたものは、マット、光沢等(例えば、サテン光沢)の外観を含む。こうしたものは、スルホン酸塩、混酸、硫酸塩、ハロゲン、フルオボレート、グルコン酸塩、クエン酸塩及びその他同様なものに基づく多数の周知の化学によって実現することができる。環境上の理由で、スルホン酸の例えばアルキルまたはアルキロールスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸)が好ましい。加えて、当業者であれば、こうした浴は様々な添加剤を含んで、めっき性能を促進するかまたは向上することができることは周知であると思われる。好ましい化学の例としては、米国特許第6,251,253号、同第6,248,228号、同第6,183,619号、及び同第6,179,185号が挙げられ;この各々の内容を特に本明細書において参考のために引用する。こうした特許はまた、スズ以外の他の金属のためのめっき溶液及びプロセスを開示している。
【0021】
本発明によれば、少量のリンの源を加えることでめっき溶液を修正できる。リン源は、めっき溶液中に少なくとも部分的に、好ましくは高度にまたは十分に可溶の有機または無機リン化合物とすることができる。様々なアルカリまたはアルカリ土類亜リン酸塩またはリン酸塩を使用でき、次亜リン酸塩が好ましい。希望するなら、次亜リン酸並びにピロリン化物(pyrophosphide)を使用できる。こうした化合物は広範囲の濃度で使用でき、当業者は常用の試験を行って任意の個々の浴配合物のための最適濃度を決定できる。0.5〜15g/l、好ましくは約1〜10g/lのリン化合物が、大部分の従来の浴に適していることが見い出された。実施例は、スズまたはスズ合金浴中の特定の化合物の場合、好ましい濃度範囲1〜5g/lを示す。
【0022】
リンは、めっきすべき特定の金属に依存して、広範囲にわたる電気めっき条件で析出できることが見い出された。一般に、電流密度約2000ASF未満を使用する。特定のめっき装置に依存して、電流密度1000ASF未満、500ASF未満または25〜150ASFでさえも使用できる。より高い電流密度の場合、金属析出物はより迅速に生じるので、より少量のリンが析出物中に見い出される。析出物中のリンの量が検出可能となるように、浴配合者は十分な量のリン源を加えるべきである。これを行うための1様式は、浴中のリン源の量を増大させることであるが、これは他の性能基準の浴安定性に影響し得るので好ましくない。その代わりに、上述の電流密度を望ましい範囲に制御する方がはるかに容易であり、というのは浴の化学全体に影響しないかまたは大幅に影響することなく少量のリン源を使用できるからである。
【0023】
めっきすべき基板は様々に変化し得る。もちろん、通常の金属基板の例えば銅鋼またはステンレス鋼が典型的に使用されるが、本発明はまた、伝導性及び非伝導性または電気めっき可能及び非電気めっき可能な部分を含む複合体基板に使用できる。これは、本発明のリン含有析出物を用いて様々なタイプの部品または物品を製造するための多数の選択肢をめっき業者に提供する。
【0024】
得られためっきされた製品を、リフロー特性の向上したはんだ付け性が必要なエレクトロニクス、ワイヤコーティング、鋼めっき、ブリキ等の分野において多数の様々な用途において使用できる。リンを析出物中に取り入れることは、マットまたは光沢仕上げを有する析出物における表面酸化をかなり低減するのを助けることが見い出された。言及したように、これは改良されたはんだ付け性性能をもたらす。
【実施例】
【0025】
以下の実施例を使用して、本発明のための最も好ましい溶液及びプロセスを示す。
実施例1
以下の電気めっき溶液を、サテン/マットスズ析出物を得るために作製した:
45g/lのスズ(硫酸第一スズとして)
80g/lの硫酸
15g/lのナトリウムイソテオナート(sodium isotheonate)
5g/lの界面活性剤
20ppmの結晶粒微細化剤
リン源:NaHPO
残りは水。
【0026】
実施例2
以下の電気めっき溶液を、サテン/マットスズ−鉛析出物を得るために作製した:
63g/lのスズ(硫酸第一スズとして)
7g/lの鉛(メタンスルホン酸鉛として)
100g/lのメタンスルホン酸
15g/lのナトリウムイソテオナート
5g/lの界面活性剤
20ppmの結晶粒微細化剤
リン源:NaHPO
残りは水。
【0027】
実施例3
以下の電気めっき溶液を、光沢スズ析出物を得るために作製した:
50g/lのスズ(硫酸第一スズとして)
80g/lの硫酸
15g/lのナトリウムイソテオナート
3g/lの界面活性剤
5g/lの光沢剤
リン源:NaHPO
残りは水。
【0028】
実施例4
以下の電気めっき溶液を、光沢スズ−鉛析出物を得るために作製した:
50g/lのスズ(硫酸第一スズとして)
5g/lの鉛(メタンスルホン酸鉛として)
100g/lのメタンスルホン酸
15g/lのナトリウムイソテオナート
3.5%の界面活性剤
1.5%の光沢剤
リン源:NaHPO
残りは水。
【0029】
実施例5
実施例1〜4の溶液を、以下のめっき条件下でハルセルパネル表面にめっきした:
ハルセルめっき:5A、1分間、110°Fでパドル撹拌有り、銅及び鋼ハルセルパネル
リードフレームめっき:75ASF:銅合金及びステンレス鋼基板。2組の試料をめっきした:対照及びPを含む試料。対照試料を、リン源(NaHPO)を加えることなくそれぞれの浴から得た。こうした実施例において有益であることが見い出されたNaHPO濃度は1〜5g/lだった。
P含量決定:湿式法を使用し、析出物を硝酸中に溶解させ、ICP検出技術を使用して、リン含量を測定した。結果は、各試料中のリン含量は1〜7ppmの範囲にわたることを示した。加えて、低減された表面酸化が生じた。
はんだ付け性:はんだ付け性の程度を、IPC/JEDEC業界標準J−STD−002Aに準拠したディップ及び観察、濡れバランス及び表面実装はんだ性試験方法(Dip and Look, Wetting Balance and Surface Mount Solderability Test method)を使用して決定した。
【0030】
実施例6〜9
以下の試験を実行して、実施例1〜4の金属析出物中にppmレベルのリンを取り入れることは、改良されたはんだ付け性、低減された表面酸化に関して予想外に改良された結果を提供することを示した。
実施例1〜4の浴によって提供された析出物を、175℃で7時間ベークした。ステンレス鋼及び銅ハルセルパネルの条片を、上記の温度で維持したオーブン中に置き、定期的に調べて、何らかの表面変色が起きるかどうか観察した。黄色っぽい表面変色の存在は、表面酸化を示すと思われる。
【0031】
実施例6
実施例1の浴によって生じたスズ析出物の場合、ステンレス鋼及び銅パネル、対照条片(すなわち、リンを加えなかった析出物を有するもの)は、5時間後に変色を示し、めっき電流密度が100ASF未満の場合に変色はより悪化していた。
リンを含む析出物を帯びたステンレス鋼条片は、同じ条件下でハルセルパネル全体にわたって色を変えなかった。その上、こうした条片は7時間後に色を変えなかった。リン含有析出物を有する銅ハルセルパネルは、電流密度100ASF未満で黄色っぽい色をほとんど示さなかったが、これは対照よりもかなり良好に見えた。
7時間のベーキング後にはんだ性試験を行い、以下の結果を得た:
対照:試料をめっきし、50、100及び150で不合格
リンを含む析出物を有する試料:全て合格。
【0032】
実施例7
実施例2のスズ−鉛析出物の場合、対照及びリンを含む析出物の両方ともベーキング後に変色を示さず、スズ合金析出物を用いて表面酸化をさらに低減できることを示した。
全ての試料がはんだ性試験に合格したが、リンを含む析出物を有する試料は対照にまさる改良を示した。
【0033】
実施例8
実施例3の光沢スズ析出物の場合、全ての試料(対照及びリンを含む析出物を有するものの両方)は7時間のベーク後に色を変えなかった。こうした析出物をリフロー条件にさらし、結果は、対照は、リフロー後にわずかに黄色に色を変えることを示したが、リンを含む析出物を有する試料はいかなる相違も示さなかった。
【0034】
実施例9
実施例4の光沢スズ−鉛析出物の場合、全ての試料(対照及びリンを含む析出物を有するものの両方)は7時間のベーク後に色を変えなかった。こうした析出物をリフロー条件にさらし、結果は、対照は、リフロー後にわずかに黄色に色を変えることを示したが、リンを含む析出物を有する試料はいかなる相違も示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面の金属コーティングのはんだ付け性を向上させる方法であって、前記金属コーティング中に微量のリンを取り入れて、それに続く加熱の最中の表面酸化物形成を低減し、それによって前記金属コーティングの長期はんだ付け性を向上することを含む方法。
【請求項2】
金属析出物は、ニッケル、コバルト、銅、タングステン、亜鉛、スズまたはそれらの合金のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リンは、前記金属析出物中に検出可能な量で、しかし約200ppm未満存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リンは、前記金属コーティングを前記基板表面に提供するために使用される溶液中にリンの源を取り入れ、前記溶液から前記基板表面の金属コーティングを提供することによって、金属コーティング中に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リンの源は、前記溶液中に可溶でありかつ前記金属析出物中にppmレベルのリンを提供するリンの化合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記金属コーティングは電気めっきによって提供される金属析出物であり、リンが電気めっきの最中に前記金属と一緒に共析出できるように前記リンの源は前記金属のイオンの溶液に加えられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属析出物は、電流密度約2000ASF以下で電気めっきすることによって生じる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基板表面の金属析出物を提供するために使用されるめっき溶液において、微量のリンを前記金属析出物中に提供して、前記析出物のそれに続く加熱の最中の表面酸化物形成を低減して、従って前記金属析出物の長期はんだ付け性を向上する量でリンの源を前記溶液中に取り入れることを含む改良。
【請求項9】
前記リンの源は、前記溶液中に可溶でありかつ前記金属析出物中にppmレベルのリンを提供するリンの化合物である、請求項8に記載の溶液。
【請求項10】
前記リンは、前記金属析出物中に検出可能な量で、しかし約200ppm未満存在する、請求項8に記載の溶液。
【請求項11】
前記金属析出物は、ニッケル、コバルト、銅、タングステン、亜鉛、スズまたはそれらの合金のうちの1つを含む、請求項8に記載の溶液。
【請求項12】
前記金属析出物は、電流密度約2000ASF以下で電気めっきすることによって生じる、請求項8に記載の溶液。
【請求項13】
基板表面の金属コーティングを含む物品において、前記金属コーティングはその中に微量のリンを含み、請求項1に記載の方法によって生じる、物品。
【請求項14】
基板表面の金属コーティングを含む物品において、前記金属コーティングはその中に微量のリンを含み、請求項6に記載の方法によって生じる、物品。
【請求項15】
基板表面の金属コーティングを含む物品において、前記金属コーティングはその中に微量のリンを含んで表面酸化物形成を低減し、従って金属析出物の長期はんだ付け性を向上する、物品。
【請求項16】
前記基板は金属を含み、前記金属コーティングはニッケル、コバルト、銅、タングステン、亜鉛、スズまたはそれらの合金のうちの1つを含む、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
基板表面の金属析出物を含む電気めっきされた物品において、前記金属析出物はその中に微量のリンを含み、請求項13に記載の方法によって生じる、物品。
【請求項18】
前記基板は金属を含み、金属コーティングはスズまたはスズ合金を含む、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
基板表面の金属析出物を含む電気めっきされた物品において、前記金属析出物はその中に微量のリンを含んで表面酸化物形成を低減し、従って前記金属析出物の長期はんだ付け性を向上する、物品。
【請求項20】
前記基板は金属を含み、金属コーティングはスズまたはスズ合金を含む、請求項19に記載の物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面にめっきされた金属コーティングのリフローまたははんだ付け性を向上させる方法であって、前記基板表面に前記金属コーティングを析出するための電気めっき溶液を提供することと、十分な量のリンを前記電気めっき溶液に加えて、前記リンが前記金属と共に共析出することを可能にすることと、前記リン及び前記金属を共析出することによって前記基板を電気めっきすることと、を含む方法において、電気めっきされた金属コーティングは電流密度約2000ASF以下で電気めっきすることによって生じ、前記電流密度を制御して前記電気めっきされた金属コーティング中に所望の量のリンを実現し、前記リンは、それに続く加熱及び処理操作の最中の前記電気めっきされた金属コーティングの露出された部分の表面の表面酸化物形成を低減して、従って前記電気めっきされた金属コーティングのリフローまたは長期はんだ付け性を向上するのに十分な量で前記電気めっきされた金属コーティング中に存在する、方法。
【請求項2】
前記リンは、前記電気めっきされた金属コーティング中に検出可能な量で、しかし約200ppm未満存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気めっきされた金属コーティングは、ニッケル、コバルト、銅、タングステン、または亜鉛である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電気めっきされた金属コーティングはスズである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リンは、前記コーティング中に検出可能な量で、しかし約50ppm未満存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気めっきされた金属コーティングはニッケルである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記リンは、前記コーティング中に検出可能な量で、しかし約200ppm未満存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記リンは、前記金属コーティングを前記基板表面に提供するために使用される前記電気めっき溶液中にリンの源を取り入れることによって、前記金属コーティング中に提供され、リン源は、前記溶液中に少なくとも部分的に可溶の有機または無機リン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記リンの源は、前記溶液中に完全に可溶でありかつ前記電気めっきされた金属コーティング中に所望のレベルのリンを提供するリンの化合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リン化合物はアルカリまたはアルカリ土類亜リン酸塩、次亜リン酸塩、リン酸塩またはピロリン化物であり、前記溶液中に0.5〜15g/lの濃度で存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記基板は、めっきされた後に、175℃もの高さの温度で複数の熱行程を必要とするさらなる処理工程にさらされる電子部品である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記電子部品は回路またはリードフレームを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板は、銅、鋼またはステンレス鋼で製造される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記基板は、導電性及び非導電性または電気めっき可能及び非電気めっき可能な部分を含む複合体基板である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
得られた電気めっきされた基板はブリキを含み、スズの析出物は前記電気めっきされた金属コーティングが理由となって向上したリフロー特性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記めっきされた基板をリフロー操作に供して光沢のあるスズ析出物を提供することをさらに含む、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2006−508252(P2006−508252A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557216(P2004−557216)
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/036845
【国際公開番号】WO2004/050959
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(504308497)テクニク・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】