説明

電気めっき装置、及び電気めっき方法

【課題】通電電極を下地電極に接続する際のウエハに対する物理的ストレス軽減するめっき装置及びめっき方法を提供する。
【解決手段】本発明によるめっき装置は、半導体基板31上の下地電極層に密着可能な開口部220を有するカバー22と、下地電極層上の絶縁膜33を溶解する溶剤をカバー22によって覆われた領域に供給し、カバー22によって覆われた下地電極32上の絶縁膜33を除去する溶剤供給部40と、絶縁膜33が除去されることで露出した下地電極32に、開口部220を介して当接する通電電極21とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ上にめっきを施す電気めっき装置、及び電気めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハに対する配線形成プロセスでは、半導体基板表面における下地電極層上に下地電極が形成された後、所定パタンのレジストマスクを形成し、レジスト開口部にメッキを析出させて配線や突起電極の形成が行われる。この際、半導体ウエハを電界液に浸漬し、下地電極と電解液中の対向電極との間に電圧を印加することで、下地電極に所望の金属(めっき)が析出される。
【0003】
下地電極に電圧を印加する場合、通電電極(通電ピン)を下地電極に接触させる必要がある。下地電極は、絶縁物であるレジストマスクで被覆されれいるため、通常、電極ピンでレジストを突き破って下地電極と接触させている。しかしながら、レジストの厚みや電極ピンの先端磨耗などによって、レジストを貫通できずに導通不良を起こし、メッキ不良となる場合があった。又、このようなめっき不良をなくすために、レジストに対する加重を大きくすると、ウエハ割れを引き起こす確率が増大する。
【0004】
このような問題を解決するため、予めレジスト(絶縁膜)を除去し、下地電極を露出させた領域を用意することで、レジストを貫通することなく下地電極に通電ピンを接続させる方法がある(従来技術1)。あるいは、通電電極に絶縁膜除去手段を付加することで、位置合わせを行うことなく通電ピンを下地電極に接続することができる(従来技術2、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−15622
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術1では、オリフラ等の基板特徴部を基準に位置合わせしながら、予め露出された下地電極に通電電極を当接しなければならない。このため、位置合わせ作業に手間がかかり作業時間が増大してしまう。又、位置合わせ精度を考慮すると、下地電極を露出させる領域(めっき電極)は、通電電極が当接する領域よりもある程度大きくする必要がある。めっき液に浸漬され、電圧が印加されると、めっき電極にもめっき(金属)が析出する。配線には、金などの高価な貴金属が利用されることがあり、めっき電極が必要以上の大きさである場合、大きな材料ロスが発生してしまう。
【0006】
従来技術2では、絶縁膜除去手段として、超音波振動による加熱で絶縁膜を融解除去する超音波発振装置が利用される。超音波振動による加熱を利用した場合、基板に機械的ストレスが加わることに加えて、通電電極の先端に絶縁膜が焼き付いて通電電極を汚染してしまう。この汚染のため、通電電極と下地電極(めっき電極)間で導通不良となったり、あるいは、加熱された絶縁膜が変質して後工程で剥離困難になったりする恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段を構成する技術的事項の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
【0008】
本発明によるめっき装置は、半導体基板(31)上の下地電極層に密着可能な開口部(220)を有するカバー(22)と、下地電極層上の絶縁膜(33)を溶解する溶剤をカバー(22)によって覆われた領域に供給し、カバー(22)によって覆われた下地電極(32)上の絶縁膜(33)を除去する溶剤供給部(40)と、絶縁膜(33)が除去されることで露出した下地電極(32)に、開口部(220)を介して当接する通電電極(21)とを具備する。
【0009】
このように、本発明では、溶剤によって絶縁膜(33)を除去することで下地電極を露出し、通電電極(21)を電気的に接続している。このため、半導体基板(31)に対し、機械的エネルギーによる大きな負荷を与えることなく通電電極(21)をめっき電極に接続することができる。又、絶縁膜(33)を除去する領域を決定するカバー(22)の開口部(220)を介して通電電極(21)と下地電極(32)とを当接している。これにより、通電電極(21)と露出している下地電極(32)の位置を探すことなく当該下地電極(32)に接続することができる。
【0010】
本発明によるめっき方法は、カバー(22)の開口部(220)が半導体基板(31)上の下地電極層に密着するステップと、下地電極層上の絶縁膜(33)を溶解する溶剤を、カバー(22)によって覆われた領域に供給し、カバー(22)によって覆われた絶縁膜(33)を除去するステップと、通電電極(21)が、絶縁膜(33)が除去されることで露出した下地電極(32)に、開口部(220)を介して当接するステップとを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるめっき装置、及びめっき方法によれば、通電電極を下地電極に接続する際のウエハに対する物理的ストレスを軽減できる。
【0012】
又、位置合わせをすることなく通電電極を下地電極に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図面において同一、又は類似の参照符号は、同一、類似、又は等価な構成要素を示している。
【0014】
1.第1の実施の形態
(構成)
図1から図3を参照して、本発明によるめっき装置の構成の詳細を説明する。図1は、本発明によるめっき装置の第1の実施の形態における構成を示す図である。本発明によるめっき装置は、めっき槽10、ウエハホルダ20、溶剤供給部40、ホルダ制御装置60A、電源70を具備する。めっき槽10は、めっき液100を保持する内槽11と、内槽11からオーバーフローしためっき液100を保持する外槽12とを備える。内槽11内の底面には、半導体基板(ウエハ31)にめっきする金属を有するアノード電極50と、めっき液100を内槽11に送りこむためのめっき液噴流口13が設けられる。又、内槽11からオーバーフローしためっき液100を廃出するために、外槽14の底面には、めっき液排液口14が設けられる。
【0015】
めっき槽10には、電極支持体26Aに支持された通電電極21が設けられる。通電電極21は電源70に接続される。通電電極21は、カバー22によって覆われている。カバー22はウエハ31と対向する領域が開口している。図2を参照して、カバー22において開口した領域(以下、開口部220と称す)がウエハ31に当接することで、通電電極21を覆う密閉空間が形成される。このとき、ウエハホルダ20がめっき液100に浸漬されても、通電電極21はめっき液100と接触しない。
【0016】
ウエハホルダ20は、下地電極層にシード膜32(下地電極)が成膜されたウエハ31を保持する。ウエハ31の下地電極層(シード膜32)上には、めっきパタンを形成するように、めっきレジスト33(絶縁膜)が形成されている。めっきレジスト33が形成されていない領域では、シード膜32は、ウエハホルダ20の底面において図面Z軸下向き(液面に対向する向き)に露出する。
【0017】
ホルダ制御装置60Aは、ウエハホルダ20の昇降を制御する。60Aホルダ制御装置60Aによってウエハホルダ20(ウエハ31)はめっき槽10内に降下し、めっき液100に浸漬される。この際、ウエハ31の外周領域におけるシード膜32は、通電電極21と当接し、電気的に接続される。60Aこれによりシード膜32は、通電電極21を介して電源70に接続される。
【0018】
電源70は、アノード電極50と通電電極21(カソード)との間に一定の電圧を印加する。通電電極21は、ウエハ31がめっき液100に浸漬される前にシード膜32に電気的に接続される。これにより、電源70からの電圧は、通電電極21を介してシード膜32に印加される。又、めっき膜の諸特性を安定させることを目的に、シード膜32がめっき液100に着液後、電源70は定電圧制御から定電流制御に切り替えられる。
【0019】
溶剤供給部40とカバー22は、供給路24を介して接続される。供給路24と溶剤供給部40は、着脱可能に接続されることが好ましい。溶剤供給部40は、めっきレジスト33(絶縁膜)を化学的に溶解可能な溶剤を、供給路24を介してカバー22内部(カバー22によって覆われた領域(空間))に供給する。この際、溶剤供給部40は、溶剤を供給路24に圧送することが好ましい。
【0020】
カバー22内部に供給される溶剤は、例えば、めっきレジスト33がノボラック系樹脂のフォトレジストである場合、メチルエチルケトンが好適である。
【0021】
図2及び図3を参照して本発明によるウエハホルダ20の第1の実施の形態における構成の詳細を説明する。図2は、カバー22がウエハ31に当接した状態におけるウエハ31及び電極支持体26をZ軸方向下側(めっき液側)から見た平面図である。図3は、第1の実施の形態におけるウエハホルダ20の構成を示すA−A’断面図である。図3を参照して、ウエハホルダ20は、通電電極21、カバー22、電源端子23、供給路24、排出路25、ウエハ支持体27Aを備える。
【0022】
ウエハ支持体27Aは、ウエハ31の裏面を吸引することによってウエハ31を支持する。電極支持体26Aとウエハ支持体27Aとの相対位置は、ウエハホルダ制御装置60Aによって制御される。例えば、ウエハ支持体27AをZ軸方向下方向に下降させることで、カバー22又は通電電極21をウエハ31(シード膜32)に当接することができる。あるいは、図示しない制御装置によって電極支持体26AをZ軸方向に上昇させることでウエハ31(シード膜32)をカバー22又は通電電極21に当接しても良い。
【0023】
カバー22は、ウエハ31の表面に対向する位置に開口部220を有し、通電電極21を覆う筒状の形状(例えば円筒)である。通電電極21は、カバー22によって覆われる領域(空間)に設けられる。又、カバー22は、電極支持体26Aによって支持されることが好ましい。この場合、通電電極21とウエハ31との相対位置の変化に連動してカバー22とウエハ31との相対位置が変化する。ウエハ31と通電電極21とを近づけた際、開口部220が通電電極21より先にウエハ31(下地電極層)に接触するように、カバー22の大きさ及び位置が設定されることが好ましい。例えば、電極支持体26Aから開口部220までの距離は、電極支持体26Aから通電電極21の先端までの距離よりも長いことが好ましい。すなわち、電極支持体26Aに対する開口部220の位置は、通電電極21の先端よりも高い位置に設定されることが好ましい。
【0024】
カバー22には、供給路24及び排出路25が接続される。供給路24から溶剤がカバー22内の空間に供給される。又、カバー22内の溶剤は、任意の時期に排出路25から排出される。排出路25との接続位置は、通電電極21の先端付近(開口部220の近傍)が好ましい。レジスト除去及び通電電極取り付け時、供給路24は、溶剤供給部40に接続され、排出路25は、図示しない廃液タンクに接続される。又、めっき処理時において、供給路24と溶剤供給部40との接続は切断され、排出路25は、図示しない廃液タンクとの接続は接続される。この際、供給路24における溶剤供給部40との接続端、及び排出路25における廃液タンクとの接続端は、めっき液100が浸入しない位置に設置、又は、めっき液100が浸入しないように閉栓等の処置が施されていることが好ましい。
【0025】
カバー22は、めっき液100や、めっきレジスト33を溶解する溶剤によって溶解しない(溶解しにくい)材質が好適に利用される。又、カバー22は、めっきレジスト33より強度が強い弾性体であることが好ましい。例えば、カバー22はシリコンゴムによって形成されることが好ましい。強度が強いカバー22がウエハ31に押し当てられると、その領域のめっきレジスト33は排除され、開口部220がウエハ31(下地電極層)に到達する。そして、カバー22の弾性力によって開口部220と、シード膜32が形成された下地電極層とは密着する。カバー22の開口部220がウエハ31(下地電極層)に密着することで、カバー22によって覆われた空間は密閉状態となる。ただし、溶剤供給時には供給路24との接続部分が開口し、溶剤排出時には排出路25の接続部分が開口することはいうまでもない。
【0026】
(動作)
図5から図9を参照して、本発明によるめっき装置における通電電極取り付け処理の第1の実施の形態における動作を説明する。
【0027】
ウエハ31がめっきホルダ20に装着された状態で、ウエハ31を下降又はカバー22を上昇、あるいは両方の動作によってウエハ31とカバー22の開口部220とを接触させる。この際、開口部220との接触面にめっきレジスト33が存在する場合、開口部220による押圧により、めっきレジスト33が押しつぶされ、あるいは割れることで排除される。開口部220が、めっきレジスト33の下層に形成されたシード膜32に達すると、ウエハ31の下降又はカバー22の上昇を停止する。
【0028】
このとき、図3及び図4に示すように、カバー22の開口部220は縮み、その復元力によってウエハ表面(下地電極層)とカバー22とは密着する。この際、ウエハ31(下地電極層)と開口部220が接触しても通電電極21がめっきレジスト33に接触しない、あるいは、めっきレジスト33と通電電極21が接触してもめっきレジスト33を破壊するほど大きな圧力が加わらないことが好ましい。この状態において、供給路24から溶剤が供給され、カバー22で覆われためっきレジスト33が除去される。例えば、図5に示すように、カバー22内部への溶剤の充填、及び排出路25からの溶剤の排出が繰り返され、めっきレジスト33が除去される。
【0029】
めっきレジスト33が除去されると、カバー22に覆われたウエハ31上のシード膜32が露出する。図6を参照して、カバー22内部(カバー22及びシード膜32で形成される空間)の溶剤を全て排出する。そして、ウエハ31を下降又は通電電極21を上昇させて、通電電極21を露出したシード膜32(めっき電極)に当接する。すなわち、通電電極21は、開口部220を介してシード膜32(めっき電極)に当接する。通電電極21は、めっきレジスタ33を除去する領域を決定するカバー22の開口部220を介してシード膜32と当接している。このため、露出しているシード膜32を探すことなく、当該シード膜32と通電電極21とを電気的に接続することができる。
【0030】
図9に示すように、通電電極21とシード膜32が電気的に接続されると、めっき液100にウエハ31が浸漬され、電源70から電圧印加によってめっき処理が行われる。これにより、シード膜32にめっきが施される。通電電極21がシード膜32に当接する際、電極支持体26Aがウエハ31に近接するため、カバー22はめっきレジスト33を除去する時よりも縮まり、その反発力により下地電極層との密着度が高まる。このため、ウエハ31がめっき液100に浸漬されても、カバー22内にめっき液100が浸入せず、通電電極21がめっきされることを防ぐことができる。
【0031】
以上のように、本発明によるめっき装置では、ウエハ31の任意位置にカバー22の開口部220を当接させて絶縁膜を化学的に溶解除去する。そしてカバー22の内部に設けられた通電電極21を開口部220を介して露出したシード膜32(めっき電極)に当接することで、シード膜32と電源70とを電気的に接続することができる。このため、めっき通電するための通電電極21をシード膜32に接続する際、オリフラなどによる方向合わせや通電電極に対する位置合わせ作業が不要となる。又、開口部220の内側の領域の絶縁膜だけを除去するため、通電のために露出されるめっき電極は小面積となる。又、加熱による溶融除去でないため、通電電極先端への絶縁膜の焼き付きや絶縁膜の加熱変質の心配がない。
【0032】
本実施の形態では、カバー22内部への溶剤の循環量を増減することで、めっきレジスト33の除去時間を制御できる。
【0033】
本発明による通電電極21の変形例を図7に示す。図7を参照して、本変形例のめっき装置は、溶剤が供給される供給路24として供給路24A、24Bを備える。本変形例の通電電極21は、溶剤が通過する供給路24Aを備える。供給路24Bは、溶剤供給部40と通電電極21内の供給路24Aとを接続する。溶剤供給部40から供給された溶剤は供給路24B及び供給路24Aを介して通電電極21の先端に設けらたノズル孔(吐出口)から噴出する。これにより、通電電極21の先端付近に存在するめっきレジスト33を溶解、除去することができる。本例によるめっき装置では、通電電極21の先端付近の絶縁膜を効率良く除去することができる。又、本変形例ではノズル孔からの噴射圧を増減することで絶縁膜除去の時間を制御できる。
【0034】
本発明による通電電極21の他の変形例を図8に示す。図8を参照して、本変形例の通電電極21と電極支持体26Aとの間に図3におけるZ軸方向に伸縮可能な弾性体28(例えばバネ)が設けられる。この場合、通電電極21の先端のZ軸方向の高さは、開口部220よりも高い位置に設定される。これにより、カバー22内のめっきレジスト33が存在する間、弾性体28は、当該めっきレジスト33に接触して収縮し、溶解すると、弾性体28は復元力により伸張し、通電電極21と露出したシード膜32(めっき電極)とが当接する。本例では、弾性体の弾性力を調節することで、ウエハ31に大きな物理的負荷を与えることなく、確実に通電電極21とめっき電極を接続するさせることができる。
【0035】
以上のように、本発明によるめっき装置は、通電電極21とめっき電極(シード膜32)を接続するための位置決め作業を不要とする。又、通電電極21やウエハ31に機械的ストレスを付加することなく通電電極21を接続するめっき電極を露出することができる。更に、通電電極21の先端を汚染したり、めっきレジスト33(絶縁膜)を加熱変質させたりする心配がない。
【0036】
2.第2の実施の形態
図10から図13を参照して、本発明によるめっき装置の第2の実施の形態について説明する。図10は、第2の実施の形態におけるめっき装置の構成を示す図である。第2の実施の形態におけるめっき装置は、通電電極22を支持する電極支持体26Aがウエハホルダ20に設けられ、ウエハホルダ制御装置60A及びウエハ支持体27Aに替えてウエハホルダ制御装置60B及びウエハ支持体27Bを備える他は、第1の実施の形態と同様である。以下、第1の実施の形態と異なる構成及び動作について説明する。
【0037】
第2実施の形態におけるホルダ制御装置60Bは、ウエハホルダ20を傾斜及び回転させながらめっき槽10内に移動させ、めっき液100に浸漬する。シード膜32の全てがめっき液100に浸漬されると、ホルダ制御装置60Bは、ウエハ31が液面(アノード電極50)と平行になるようにウエハホルダ20を制御する。
【0038】
図10から図12を参照して本発明によるウエハホルダ20の実施の形態における構成の詳細を説明する。図11は、ウエハ31を保持したウエハホルダ20をZ軸方向下側(めっき液側)から見た平面図である。図12は、ウエハホルダ20の構成を示すB−B’断面図である。図12を参照して、ウエハホルダ20は、通電電極21、カバー22、電源端子23、供給路24、排出路25、電極支持体26B、ウエハ支持体27Bを備える。
【0039】
通電電極21は、電極支持体26Bによって支持され、電源端子23に電気的に接続される。図11を参照して、電極支持体26B及び通電電極21は、ウエハ31の周辺領域に複数設けられることが好ましい。ウエハ支持体27Bは、ウエハ31の周囲を支持する支持爪、又は、ウエハ31の裏面を吸引することによってウエハ31を支持する。電極支持体26Bとウエハ支持体27Bとの相対位置は、ウエハホルダ制御装置60Bによって制御される。例えば、電極支持体26Bの位置を変えずにウエハ支持体27BをZ軸方向に下降させることで、通電電極21をウエハ31(シード膜32)に当接することができる。あるいは、電極支持体26BをZ軸方向に上昇させることでウエハ31(シード膜32)を通電電極21に当接しても良い。
【0040】
図13に示すように、ホルダ制御装置60Bは、ウエハ31が液面(アノード電極50)と平行になるようにウエハホルダ20を制御する。この際、A軸周りにウエハ31を回転させても良い。ホルダ制御装置60Bによって、通電電極22と露出したシード膜32が当接する。この際、カバー22は、ウエハ31に密着しているため、通電電極22とめっき液100とは接触しない。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。上述の変形例や実施の形態は、技術的に矛盾のない範囲で組み合せることができる。又、実施の形態では、圧力によってめっきレジスト33を貫通させてカバー22とシード膜32とを当接していたが、これに限らない。例えば、カバー22とウエハ31との間に圧力をかけながら(カバー22が縮んだ状態を保持し)、溶剤を供給してカバー内部のめっきレジスト33を除去することで、カバー22とシード膜32とを当接しても良い。この場合、開口部220は、めっきレジスト33を物理的に破壊せずに、シード膜32に到達することができる。カバー22とウエハ31との間の圧力を所定の大きさに保つことで、カバー22は縮んだ状態を維持し、開口部220とめっきレジスト33との間、溶解後は下地電極層との間が密着する。このため、めっきレジストが溶解しても、溶剤がカバー22外部に漏れ出ることはない。このように機械的エネルギーによる大きな負荷をウエハ31に与えることなく、通電電極21をめっき電極に接続することができる。
【0042】
更に、本実施の形態では、カバー22と通電電極21とは一体となってウエハ31に接近していたが、これに限らない。例えば、カバー22と通電電極21を独立に制御する機構を設けることで、カバー22とウエハ31との当接と、通電電極21とめっき電極との当接を別々に制御することができる。
【0043】
更に、本実施の形態では、被めっき面となるシード膜をカソード、めっき液100中の対向電極をアノードとしたが、めっきする金属に応じて正負逆の電圧を印加しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明によるめっき装置の第1の実施の形態における構成を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態におけるウエハ及び電極支持体の底面構造の一例を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明によるウエハホルダの第1の実施の形態における構成を示す図である。
【図4】図4は、本発明によるカバーがウエハに当接した状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明によるめっきレジスト除去処理の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明による通電電極がめっき電極に当接した状態を示す図である。
【図7】図7は、本発明によるめっきレジスト除去処理の一例を示す図である。
【図8】図8は、本発明による通電電極の変形例を示す図である。
【図9】図9は、本発明によるめっき装置の第1の実施の形態におけるめっき処理中状態を示す図である。
【図10】図10は、本発明によるめっき装置の第2の実施の形態における構成を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態におけるウエハホルダの底面構造の一例を示す平面図である。
【図12】図12は、本発明によるウエハホルダの第2の実施の形態における構成を示す図である。
【図13】図13は、本発明によるめっき装置の第2の実施の形態におけるめっき処理中状態を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
10:めっき槽
20:ウエハホルダ
21:通電電極
22:カバー
24、24A、24B:供給路
25:排出路
26A:電極支持体
27A:ウエハ支持体
28:弾性体
31:ウエハ
32:シード膜(下地電極)
33:めっきレジスト(絶縁膜)
40:溶剤供給部
50:アノード電極
60:ウエハホルダ制御装置
100:めっき液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上の下地電極層に密着可能な開口部を有するカバーと、
前記下地電極上の絶縁膜を溶解する溶剤を前記カバーによって覆われた領域に供給し、前記カバーによって覆われた前記下地電極層上の絶縁膜を除去する溶剤供給部と、
前記絶縁膜が除去されることで露出した下地電極に、前記開口部を介して当接する通電電極と、
を具備する
めっき装置。
【請求項2】
請求項1に記載のめっき装置において、
前記開口部は、弾性力によって前記半導体基板に密着する
めっき装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のめっき装置において、
前記カバーによって覆われた領域から前記溶剤を排除する排出路を更に具備するめっき装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のめっき装置において、
前記溶剤供給部は、前記通電電極において前記下地電極と当接する領域に設けられる吐出口と、前記吐出口に前記溶剤を供給する供給路とを備える
めっき装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき装置において、
前記通電電極は、前記カバーによって覆われた領域に設けられる
めっき装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のめっき装置において、
前記絶縁膜は、ノボラック系樹脂のレジストであり、
前記溶剤は、メチルエチルケトンである
めっき装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のめっき装置において、
前記通電電極に接続される弾性体を更に具備し、
前記通電電極は、前記弾性体の復元力によって前記下地電極に当接する
めっき装置。
【請求項8】
カバーの開口部が半導体基板上の下地電極層に密着するステップと、
前記下地電極層上の絶縁膜を溶解する溶剤を、前記カバーによって覆われた領域に供給し、前記カバーによって覆われた絶縁膜を除去するステップと、
通電電極が、前記絶縁膜が除去されることで露出した下地電極に、前記開口部を介して当接するステップと、
を具備する
めっき方法。
【請求項9】
請求項8に記載のめっき方法において、
前記開口部が密着するステップは、前記カバーの弾性力によって前記半導体基板に密着するステップを備える
めっき方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のめっき方法において、
前記カバーのによって覆われた領域から前記溶剤を排除するステップを更に具備する
めっき方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載のめっき方法において、
前記絶縁膜を除去するステップは、前記通電電極に設けられた吐出口から、前記絶縁膜に前記溶剤を吐出するステップを備える
めっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−13680(P2010−13680A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172769(P2008−172769)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】