説明

電気ケーブル接続装置、電気ケーブル接続方法及び画像形成装置

【課題】第1装置から導出された電気ケーブルを第2装置に取り付け又は取り外す際、第2装置の背面板を取り外すことなく、その取り付け又は取り外しを可能とする。
【解決手段】画像形成装置本体(装置本体)2と、装置本体2に搭載された自動原稿送り装置とを備え、自動原稿送り装置から導出された電気ケーブル50の先端に設けられたケーブル側コネクタ51a,51bが、装置本体2の回路基板60に設けられた基板側コネクタ61a,61bに着脱自在に接続される構成において、装置本体2の筐体背面2aには、基板側コネクタ61a,61bに対向する箇所に開口部30が設けられ、この開口部30を閉塞する蓋体40が電気ケーブル50の先端部に取付部材41によって取付られ、この蓋体40は、フック32とねじ挿通用ボス45によるねじ固定とによって開口部30に取り付け自在に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1装置と、第1装置に搭載された第2装置とを備え、第2装置から延設された電気ケーブルの先端に設けられたケーブル側コネクタが、第1装置の回路基板に設けられた基板側コネクタに着脱自在に接続される構成の電気ケーブル接続装置、電気ケーブル接続方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、画像形成部とスキャナ部と用紙搬送部とを備えた画像形成装置本体の上に自動原稿送り装置が搭載されており、自動原稿送り装置から導出された電気ケーブルの先端部に設けられているケーブル側コネクタを、画像形成装置本体に搭載されている回路基板に設けられている基板側コネクタに接続することで、一体に形成されている。
【0003】
このような構成の画像形成装置では、自動原稿送り装置を画像形成装置本体から取り外す場合、従来は画像形成装置本体の背面板を取り外してから、電気ケーブルのケーブル側コネクタを基板側コネクタから抜くという作業を行っていた。また、画像形成装置本体に自動原稿送り装置を取り付ける場合にも、画像形成装置本体の背面板を取り外してから、原稿読み取り装置の電気ケーブルのケーブル側コネクタを基板側コネクタに接続し、その後、背面板を画像形成装置本体の背面に取り付けるという作業を行っていた。
【0004】
このような作業は、工場生産時であれば特に問題となることはないが、例えば出荷後に設置現場で自動原稿送り装置を交換等する場合には、背面板を取り外しできるスペースが必要となり、このようなスペースが無い場所では、非常に煩雑な作業となっていた。そのため、自動原稿送り装置の取り付けや取り外しが簡単に行える構造が求められていた。
【0005】
また、電気ケーブルの接続装置は、外力として引っ張り強さ10kgfに耐え得るような接続構造とする必要があるため、強度の面でも対応が求められていた。
【0006】
電気ケーブルの接続装置の一例として、特許文献1に記載の電気ケーブル取り付け装置が開示されている。
【0007】
この電気ケーブル取り付け装置は、本体ユニットに一端をヒンジユニットによって開閉可能に連結した原稿自動供給ユニットと本体ユニットとを電気的に連結するために、本体ユニットからの電気ケーブルを原稿自動供給ユニットに接続する構成とされており、電気ケーブルを原稿自動供給ユニットに設けられた基板上のコネクタに接続し、電気ケーブルを該基板に束線バンドによって固定する構造とされている。
【0008】
この特許文献1記載の電気ケーブル取り付け装置によれば、電気ケーブルと基板との組み立てが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−51683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1記載の電気ケーブル取り付け装置においても、電気ケーブルを本体ユニット側に取り付ける場合には、本体ユニットの背面側に突出した背面板の全体を取り外して行う必要があり、このような開放スペースの無い場所では、電気ケーブルの本体ユニット側への取り付け、または取り外しは非常に煩雑な作業とならざるを得ないといった問題があった。
【0011】
また、特許文献1記載の電気ケーブル取り付け装置では、電気ケーブルを基板に固定しているため、何らかの外力が電気ケーブルに加わると基板も破損する可能性があり、強度面での課題は依然として残ったままである。
【0012】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、第1装置から導出された電気ケーブルを第2装置である装置本体側に取り付ける際に、背面板を取り外すことなく、その取り付け(または、取り外し)を容易に行えるとともに、十分な取り付け強度が得られる構造とした電気ケーブル接続装置、電気ケーブル接続方法及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の電気ケーブル接続装置は、第1装置と、前記第1装置に搭載された第2装置とを備え、前記第2装置から導出された電気ケーブルの先端に設けられたケーブル側コネクタが、前記第1装置の回路基板に設けられた基板側コネクタに着脱自在に接続される構成の電気ケーブル接続装置であって、前記第1装置の筐体には、前記基板側コネクタに対向する箇所に開口部が設けられ、前記開口部を閉塞する蓋体が前記電気ケーブルの先端部に取付部材によって取り付けられており、前記蓋体は、前記ケーブル側コネクタを前記基板側コネクタに接続した状態で、固定部材によって前記開口部に取り付け自在に構成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明の電気ケーブル接続装置によれば、例えば第2装置を第1装置から取り外す場合、基板側コネクタに対向配置されている筐体の一面(例えば、背面板)の全体を取り外すことなく、蓋体のみを開口部から取り外すことで、蓋体に取り付けられている電気ケーブルのケーブル側コネクタを基板側コネクタから容易に取り外すことができる。また、電気ケーブルは取付部材によって蓋体に取り付け固定されているので、電気ケーブルに何らかの外力が加わったとしても、その外力はまず蓋体の取付部材に加わり、コネクタ同士の接続部には直接か加わらないため、回路基板や基板側コネクタが破損する心配がない。
【0015】
また、第2装置を第1装置に搭載する場合、蓋体が電気ケーブルに取り付けられた第2装置を第1装置に搭載し、この後、電気ケーブルのケーブル側コネクタを第1装置の基板側コネクタに接続し、蓋体を固定部材にて開口部に取り付け固定するだけでよいので、取り付け作業が簡単である。
【0016】
また、本発明の電気ケーブル接続装置によれば、前記開口部及び前記蓋体は矩形状に形成されており、前記固定部材は、前記蓋体の一つの辺縁部に設けられた前記開口部の辺縁部に係合するフックと、前記蓋体の前記一つの辺縁部に対向する他方の辺縁部側に設けられた前記第1装置の本体側に固定するねじ固定部とを備えた構成としている。
【0017】
このような構成によれば、固定部材の一方をフックとすることで、ねじ固定は他方の側だけでよいことから、蓋体の取り付け作業が簡単になる。また、他方の側がねじ固定であるので、何らかの外力が加わったとしても、蓋体自体が強固に固定されるため、回路基板や基板側コネクタが破損する可能性を低減することができる。
【0018】
また、本発明の電気ケーブル接続装置によれば、前記取付部材は、前記フックと前記ねじ固定部との間であって、前記ねじ固定部寄りの蓋体裏面に設けられた構成としている。
【0019】
このような構成によれば、何らかの理由で電気ケーブルに加わった外力を、取付部材と固定部材のねじ固定部とで受け止めることができるため、回路基板や基板側コネクタが破損する可能性を低減することができる。
【0020】
また、本発明の電気ケーブル接続装置によれば、前記開口部には、前記電気ケーブルを外部に導出する開口側導出部が設けられており、前記開口側導出部は、前記蓋体を前記開口部に取り付けたとき、前記蓋体の前記ねじ固定部の近傍に配置された構成としている。
【0021】
このような構成によれば、電気ケーブルに何らかの外力が加わったとき、その負荷はまず導出部近傍の蓋体の縁部に加わることになるが、この蓋体の縁部の近傍にはねじ固定部があり、第1装置の本体側と強固に固定されているため、蓋体が開口部から外れる心配はない。また、電気ケーブルは、ねじ固定部の近傍に配置されている取付部材によって蓋体に強固に取り付けられているため、加わった外力がコネクタ同士の接続部に直接かかることはない。そのため、回路基板や基板側コネクタの破損を防止することができる。
【0022】
また、本発明の電気ケーブル接続装置によれば、前記蓋体には、前記開口側導出部に対向する辺縁部の位置に、前記電気ケーブルを外部に導出する蓋体側導出部が設けられており、前記蓋体側導出部は、前記ねじ固定部の近傍に配置された構成としている。
【0023】
このような構成によれば、電気ケーブルに何らかの外力が加わったとき、その負荷はまず蓋体の蓋体側導出部の縁部に加わることになるが、この蓋体側導出部の縁部の近傍にはねじ固定部があり、第1装置の本体側と強固に固定されているため、蓋体が開口部から外れる心配はない。また、電気ケーブルは、ねじ固定部の近傍に配置されている取付部材によって蓋体に強固に取り付けられているため、加わった外力がコネクタ同士の接続部に直接かかることはない。そのため、回路基板や基板側コネクタの破損を防止することができる。
【0024】
また、本発明の電気ケーブル接続装置によれば、前記ねじ固定部は、前記電気ケーブルを跨いで両側を固定する構造とされている。このように、ねじ固定部を、蓋体側導出部の近傍において、電気ケーブルを跨ぐように両側で固定する構造とすることで、外力に対する電気ケーブルの固定力をより強固なものとすることができる。
【0025】
また、本発明の電気ケーブル接続装置によれば、前記蓋体側導出部と前記取付部材との間に、前記電気ケーブルの配線位置を決める位置決め手段が設けられた構成としている。このように、位置決め手段を設けることにより、電気ケーブルを蓋体の裏面に正しく位置決めして固定することができる。
【0026】
また、上記構成の電気ケーブル接続装置を用いた本発明の電気ケーブル接続方法は、前記蓋体に前記電気ケーブルの先端部を前記取付部材にて取り付ける工程と、前記基板側コネクタに、前記蓋体が取り付けられた前記電気ケーブルの蓋体側コネクタを接続する工程と、前記蓋体を前記筐体の前記開口部に前記固定部材にて固定する工程と、を含むことを特徴としている。
【0027】
このような特徴によれば、ケーブル側コネクタを基板側コネクタに接続した後、蓋体を開口部に取り付けるだけで、電気ケーブルも固定することができる。すなわち、ケーブル側コネクタを基板側コネクタに接続した後、電気ケーブルを第1装置の本体側または蓋体の裏面に取り付ける工程を省くことができるため、その分、製造工程を簡略化することができる。
【0028】
また、上記構成の電気ケーブル接続装置を備えた画像形成装置は、前記第1装置を画像形成部とスキャナ部とを少なくとも備えた画像形成装置本体とし、前記第2装置を自動原稿送り装置とすることができる。
【0029】
本発明によれば、画像形成装置本体から自動原稿送り装置を取り外す場合、電気ケーブルについては、画像形成装置本体の筐体から蓋体を取り外すだけでよいので、取り外し作業が容易となる。また、自動原稿送り装置を取り替える場合でも、電気ケーブルに蓋体が取り付けられた自動原稿送り装置を現場に搬送して、現場にて画像形成装置本体に搭載し、電気ケーブルについては、筐体の背面に設けられた開口部から電気ケーブルのケーブル側コネクタを差し込んで基板側コネクタに接続し、その状態で蓋体を開口部に固定するだけでよいため、自動原稿送り装置の取り替え作業も容易となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の電気ケーブル接続装置及び電気ケーブル接続方法によれば、第2装置を第1装置から取り外す場合または第2装置を第1装置に取り付ける場合、基板側コネクタに対向配置されている筐体の一面(例えば、後ろ側の背面板)の全体を取り外すことなく、蓋体のみを開口部から取り外すことで、蓋体に取り付けられている電気ケーブルのケーブル側コネクタを基板側コネクタから容易に取り外しまたはケーブル側コネクタを基板側コネクタに容易に接続することができる。また、電気ケーブルは取付部材によって蓋体に取り付けられ、蓋体は固定部材によって開口部に固定されているので、電気ケーブルに何らかの外力が加わったとしても、その外力は蓋体の取付部材と固定部材とに加わり、コネクタ同士の接続部には直接加わらないため、回路基板や基板側コネクタが破損する心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す概略断面図である。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の一部を拡大して示す背面図である。
【図3】電気ケーブルの先端部が取り付けられた蓋体の裏面図である。
【図4】電気ケーブルの先端部が取り付けられた蓋体の表面図である。
【図5】開口部を含む周辺の拡大図である。
【図6】開口部に蓋体を取り付ける過程を示す説明図である。
【図7】図2のA−A線に沿う概略断面図である。
【図8】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図9】樹脂バンドを用いた電気ケーブルの取付部材の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す概略断面図、図2は背面図である。
【0034】
本実施形態の画像形成装置1は、外部から伝達された画像データ等に応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色及び単色の画像を形成するもので、少なくとも画像形成部2Aとスキャナ部2Bとを備えた画像形成装置本体(以下、単に装置本体という。)2と、自動原稿送り装置3とにより構成されている。すなわち、本実施形態では、画像形成装置本体2が請求項に記載の第1装置及び他方の装置に相当し、自動原稿送り装置3が請求項に記載の第2装置及び一方の装置に相当している。
【0035】
自動原稿送り装置3は、装置本体2の上部の硬質透明ガラスで形成された原稿載置台4の上に自動で原稿を搬送する。また、自動原稿送り装置3は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台4の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0036】
スキャナ部2Aは、原稿載置台4上に載置された原稿、または自動原稿送り装置3で送られてきた原稿の像を、ランプユニット83、ミラー84〜86、レンズユニット87を介してCCDセンサ88で読み取り、読み取った画像データを画像形成部2Bに送信する。
【0037】
画像形成部2Bにおいて扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。したがって、帯電器6、現像器7、感光体ドラム(以下、感光体という。)8、クリーナユニット9は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれK,C,M,Yに設定されている。
【0038】
露光ユニット5は、帯電器6によって帯電された感光体8を、入力された画像データ等に応じて光ビームで露光することにより、感光体8の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。
【0039】
帯電器6は、感光体8の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。現像器7はそれぞれの感光体8表面に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット9は、現像・画像転写後における感光体8上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0040】
感光体8の上方に配置されている中間転写ベルトユニット10は、各感光体8に接触するように設けられている中間転写体である中間転写ベルト11に、感光体8に形成された各色のトナー像を順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト11は、中間転写ベルト駆動ローラ12、中間転写ベルト従動ローラ13及び中間転写ローラ14により張架されて駆動される。感光体8から中間転写ベルト11へのトナー像の転写は、中間転写ベルト11の裏側に接触している中間転写ローラ14によって行われる。中間転写ローラ14には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0041】
上記のように、各感光体8表面で各色相に応じて顕像化された静電像は、中間転写ベルト11で積層される。積層された画像情報は、中間転写ベルト11の回転によって、用紙と中間転写ベルト11との接触位置に配置される転写ローラ15によって用紙上に転写される。このとき、中間転写ベルト11と転写ローラ15とは所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ15にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。また、上記のように、感光体8に接触することにより中間転写ベルト11に付着したトナー、もしくは転写ローラ15によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト11上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット16によって除去・回収される。
【0042】
給紙カセット17は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイであり、装置本体2の露光ユニット5の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット18にもシートを置くことができる。また、装置本体2の上方に設けられている排紙トレイ19は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0043】
また、装置本体2には、給紙カセット17及び手差し給紙カセット18のシートを転写ローラ15や定着ユニット20を経由させて排紙トレイ19に送るための用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット17ないし手差し給紙カセット18から排紙トレイ19までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ21、複数の搬送ローラ22、レジストローラ23、転写ローラ15、定着ユニット20等が配されている。
【0044】
搬送ローラ22は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ21は、給紙カセット17や手差し給紙カセット18の端部近傍に備えられ、給紙カセット17や手差し給紙カセット18からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0045】
また、レジストローラ23は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体8表面のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写ローラ15に搬送する機能を有している。
【0046】
定着ユニット20は、ヒートローラ24及び加圧ローラ25でトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。また、定着ユニット20には、ヒートローラ24を外部から加熱するための外部加熱ベルト26が設けられている。定着ユニット20を通過することによって未定着トナーが熱で溶融・固着されたシートは、例えば、その下流側の用紙搬送路Sに配された搬送ローラ22を経て排紙トレイ19上に排出される。
【0047】
上記構成の画像形成装置1において、本実施形態では、装置本体2の筐体背面2a側の上部に蓋体40を取り付ける開口部30を設け、自動原稿送り装置3の背面側から外部に導出された電気ケーブル50の先端に設けられたケーブル側コネクタを、この開口部30を通じて装置本体1内に配置された回路基板の基板側コネクタに着脱自在に接続される構成としている。
【0048】
以下、この電気ケーブル50の接続装置について具体的に説明する。
【0049】
図3ないし図7は、本実施形態に係る電気ケーブル接続装置の具体的構成を示しており、図3は、電気ケーブルの先端部が取り付けられた蓋体の裏面図、図4は、電気ケーブルの先端部が取り付けられた蓋体の表面図、図5は、開口部を含む周辺の拡大図、図6は、開口部に蓋体を取り付ける過程を示す説明図、図7は、図2のA−A線に沿う概略断面図、図8は、図3のB−B線に沿う断面図である。
【0050】
本実施形態の電気ケーブル接続装置では、自動原稿送り装置3の背面側から外部に導出された電気ケーブル50の先端部が蓋体40の裏面に取付部材41(図3参照)によって取り付けられている。すなわち、電気ケーブル50の先端部と蓋体40とが一体に形成されている。また、電気ケーブル50の先端には、ケーブル側コネクタ51a,51bとアース端子51cとが設けられている。
【0051】
蓋体40は、横長の矩形状に形成されており、短辺側の一方の辺縁部(図3及び図4では右側の辺縁部)40aには、後述する開口部30の係止用溝32に係止するフック42が設けられている。また、フック42とは反対側の他方の辺縁部(図3及び図4では左側の辺縁部)40bには、電気ケーブル50を外部に導出するために凹状に形成された蓋体側導出部44が設けられており、この蓋体側導出部44近傍の蓋体40裏面には、蓋体側導出部44を跨ぐようにして上下2箇所に、ねじ挿通孔45aを有するねじ挿通用ボス(ねじ固定部)45が立設されている。
【0052】
取付部材41は、蓋体40裏面において、フック42とねじ挿通用ボス45との間に設けられており、図8に示すように、略U字状に形成された樹脂バンド41aによって電気ケーブル50を横から挟み込み、その両先端部を合わせるようにして、両先端部に設けられたねじ挿通孔41bにねじ部材70を挿通し、蓋体40の裏面に設けられたねじ受け部46にねじ込むことによって、電気ケーブル50を蓋体40の裏面に取り付けている。ただし、取付部材41は、このような略U字状の樹脂バンド41aに限定されるものではなく、例えば図9に示すように、中央部に電気ケーブル50を押さえ込む半円弧状の押え部41e1を備えた樹脂バンド41eを用い、その両端部に設けられたねじ挿通孔41fにねじ部材70を挿通し、蓋体40の裏面に設けられたそれぞれのねじ受け部47にねじ込むことによって、電気ケーブル50を蓋体40の裏面に取り付ける構造としてもよい。
【0053】
また、蓋体側導出部44と取付部材41(樹脂バンド41a)との間には、電気ケーブル50を両側から挟持して配線位置を決める位置決め手段としての位置決めリブ48,48が、ねじ挿通用ボス45,45に隣接して対向配置されている。
【0054】
一方、開口部30は、図5に示すように、横長の矩形状に形成されており、左側の辺縁部31には、高さ方向(図5では上下方向)の中央部に、蓋体40のフック42を係止する係止用溝32が設けられている。
【0055】
また、開口部30の底面33には、コネクタ用開口部34が設けられており、このコネクタ用開口部34に、装置本体2の内部に配置されている回路基板60の基板側コネクタ61a,61bが位置して開口部30内に露出するように設けられている。
【0056】
また、開口部30の底面33には、右側の辺縁部35近傍の上下2箇所に、ねじ止め用開口部36が設けられており、このねじ止め用開口部36に、装置本体2の内部に配置されている金属フレーム65に形成されたねじ孔66がそれぞれ対向配置されている。すなわち、ねじ止め用開口部36は、蓋体40を開口部30に取り付けたとき、蓋体40裏面の上下2箇所に立設されたねじ挿通用ボス45と対峙し、金属フレーム65に形成されたねじ孔66は、ねじ挿通用ボス45のねじ挿通孔45aと対峙するように配置されている。
【0057】
このように、本実施形態では、蓋体40を開口部30に取り付け固定する固定部材として、フック42とねじ挿通用ボス45との組み合わせとしている。これにより、ねじ固定は、ねじ挿通用ボス45が設けられた蓋体40の他方の辺縁部40b側だけでよいので、開口部30への蓋体40の取り付け作業が簡単になる。また、他方の辺縁部40b側がねじ固定であるので、何らかの外力が加わったとしても、蓋体40自体が開口部30に強固に固定されるため、回路基板60や基板側コネクタ61a,61bが破損する心配はない。
【0058】
なお、図5中の符号38は、電気ケーブル50の先端に設けられたアース端子51cを接続するアースねじである。
【0059】
また、係止用溝32が設けられた辺縁部31と対向する右側の辺縁部35の略中央部には、電気ケーブル50を開口部30内から外部に導出(または外部から開口部30内に導入)するための凹状に形成(半すり鉢形状に形成)された開口側導出部39が形成されている。
【0060】
次に、上記構成の蓋体40と開口部30とを用いたケーブル接続装置におけるケーブル接続手順について説明する。
【0061】
まず、自動原稿送り装置3から導出された電気ケーブル50の先端部に蓋体40を取付部材にて取り付ける。すなわち、図8に示すように、略U字状に形成された樹脂バンド41aによって電気ケーブル50の先端部を横から挟み込み、その両先端部を合わせるようにして、両先端部に設けられたねじ挿通孔41bにねじ部材70を挿通し、蓋体40の裏面に設けられたねじ受け部46にねじ込むことによって、電気ケーブル50を蓋体40の裏面に取り付け固定する。このとき、図3に示すように、蓋体側導出部44と樹脂バンド41aとの間に位置する電気ケーブル50は、位置決めリブ48,48間に挟み込むようにして、位置決めを行う。すなわち、蓋体40から外部に導出される電気ケーブル50が、蓋体側導出部44を通るように配線する。
【0062】
次に、この状態で、図6に示すように、電気ケーブル50の先端に設けられたケーブル側コネクタ51a,51bを基板側コネクタ61a,61bに接続する。
【0063】
次に、この状態で、蓋体40のフック42を開口部30の係止用溝32に横から係止し、この係止部を支点として蓋体40を開口部30側に押し込むようにして、蓋体40を開口部30に添設する。このとき、電気ケーブル50は、略半円弧形状の蓋体側導出部44と、これに対向する略半円弧形状の開口側導出部39とで略円弧形状(または横長の楕円形状)に形成された導出部に沿って導出され、無理なく湾曲される。また、この状態では、図7に示すように、蓋体40のねじ挿通用ボス45の先端が、開口部30の底面33に形成されたねじ止め用開口部36を通って、金属フレーム65に形成されたねじ孔66と対峙する。
【0064】
従って、この状態において、蓋体40の表面側から、ねじ挿通用ボス45のねじ挿通孔45aにねじ部材71を挿通し、金属フレーム65のねじ孔66にねじ込んで固定することで、蓋体40を開口部30に固定する。
【0065】
なお、電気ケーブル50の接続を取り外す場合は、上記と逆の手順で開口部30から蓋体40を取り外せばよい。
【0066】
本実施形態の電気ケーブル接続装置によれば、例えば自動原送り装置3を装置本体2から取り外す場合、装置本体2の筐体背面2aに設けられている背面板2b(図2参照)を取り外すことなく、蓋体40のみを開口部30から取り外すことで、蓋体40に取り付けられている電気ケーブル50のケーブル側コネクタ51a,51bを基板側コネクタ61a,61bから容易に取り外すことができる。また、電気ケーブル50は取付部材41である樹脂バンド41aによって蓋体40に取り付けられているので、外部に露出している電気ケーブル50に何らかの外力が加わったとしても、その外力はまず蓋体40の取付部材41である樹脂バンド41aに加わり、次にねじ挿通用ボス45のねじ挿通孔45aと金属フレーム65のねじ孔66とによるねじ固定部に加わるので、ケーブル側コネクタ51a,51bと基板側コネクタ61a,61bとの接続部には直接加わることはない。従って、回路基板60や基板側コネクタ61a,61bが破損する心配はない。
【0067】
また、自動原稿送り装置3を装置本体2に搭載する場合も、電気ケーブル50に蓋体40が取り付けられた自動原稿送り装置3を装置本体2に搭載し、この後、蓋体40付きのケーブル側コネクタ51a,51bを基板側コネクタ61a,61bに接続して、蓋体40を開口部30に取り付け固定するだけでよいので、取り付け作業も簡単である。
【0068】
また、上記接続手順では、蓋体40を開口部30に取り付けるだけで、電気ケーブル50も固定することができる。すなわち、ケーブル側コネクタ51a,51bを基板側コネクタ61a,61bに接続した後、電気ケーブル50を装置本体2に取り付ける工程を省くことができるため、その分、接続工程を簡略化することができる。
【0069】
また、本実施形態のケーブル接続装置よれば、ねじ挿通用ボス45は、電気ケーブル50を跨いで両側に配置されている。このように、ねじ挿通用ボス45を、蓋体側導出部44の近傍において、電気ケーブル50を跨ぐように両側で金属フレーム65に固定する構造とすることで、外力に対する電気ケーブル50の固定力をより強固なものとすることができる。
【0070】
また、本実施形態の電気ケーブル接続装置によれば、蓋体側導出部44とねじ挿通用ボス45との間に、電気ケーブル50の配線位置を決める位置決めリブ48が設けられた構成としている。このように、位置決めリブ48を設けることにより、電気ケーブル50を蓋体40の裏面に正しく位置決めすることができる。
【0071】
なお、上記実施形態では、電気ケーブル50は、自動原稿送り装置3の背面左側から導出し、横方向に引き回して装置本体2の背面右側の開口部30に折り返すようにして導入しているが、電気ケーブル50をどのように引き回すかは、装置本体2側に設けられている回路基板の位置や、自動原稿送り装置3からの電気ケーブル50の導出位置によって異なる。例えば、自動原稿送り装置3の電気ケーブル50の導出位置と、装置本体2側の回路基板の配置位置とが上下に対峙しているような場合には、電気ケーブル50は、単純に上から下に半円弧を描くように引き回せばよい。この場合、蓋体40と開口部30の配置状態も、図2に示す状態から時計方向に90°回転させた状態とすればよい。
【0072】
また、上記実施形態では、本発明を画像形成装置に適用した場合について説明しているが、画像形成装置に限定されるものではなく、第1装置と第2装置とが外部に導出された出力ケーブルによって電気的に接続される構成の全ての装置に適用可能である。
【0073】
すなわち、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
2 装置本体(第1装置:他方の装置)
2A 画像形成部
2B スキャナ部
2a 筐体背面
2b 背面板
3 自動原稿送り装置(第2装置:一方の装置)
4 原稿載置台
5 露光ユニット
6 帯電器
7 現像器
8 感光体
9 クリーナユニット
10 中間転写ベルトユニット
11 中間転写ベルト
30 開口部
31 左側の辺縁部
32 係止用溝
33 底面
34 コネクタ用開口部
35 右側の辺縁部
36 ねじ止め用開口部
38 アースねじ
39 開口側導出部
40 蓋体
40a 一方の辺縁部
40b 他方の辺縁部
41 取付部材
41a 樹脂バンド
41b ねじ挿通孔
42 フック
44 蓋体側導出部
45 ねじ挿通用ボス(ねじ固定部)
45a ねじ挿通孔
48 位置決めリブ
50 電気ケーブル
51a,51b ケーブル側コネクタ
51c アース端子
60 回路基板
61a,61b 基板側コネクタ
65 金属フレーム
66 ねじ孔
70,71 ねじ部材
83 ランプユニット
84〜86 ミラー
87 レンズユニット
88 CCDセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1装置と、前記第1装置に搭載された第2装置とを備え、前記第2装置から導出された電気ケーブルの先端に設けられたケーブル側コネクタが、前記第1装置の回路基板に設けられた基板側コネクタに着脱自在に接続される構成の電気ケーブル接続装置であって、
前記第1装置の筐体には、前記基板側コネクタに対向する箇所に開口部が設けられ、
前記開口部を閉塞する蓋体が前記電気ケーブルの先端部に取付部材によって取り付けられており、
前記蓋体は、前記ケーブル側コネクタを前記基板側コネクタに接続した状態で、固定部材によって前記開口部に取り付け自在に構成されていることを特徴とする電気ケーブル接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気ケーブル接続装置であって、
前記開口部及び前記蓋体は矩形状に形成されており、
前記固定部材は、前記蓋体の一つの辺縁部に設けられた前記開口部の辺縁部に係合するフックと、前記蓋体の前記一つの辺縁部に対向する他方の辺縁部側に設けられた前記第1装置の本体側に固定するねじ固定部とを備えていることを特徴とする電気ケーブル接続装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気ケーブル接続装置であって、
前記取付部材は、前記フックと前記ねじ固定部との間であって、前記ねじ固定部寄りの蓋体裏面に設けられていることを特徴とする電気ケーブル接続装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電気ケーブル接続装置であって、
前記開口部には、前記電気ケーブルを外部に導出する開口側導出部が設けられており、前記開口側導出部は、前記蓋体を前記開口部に取り付けたとき、前記蓋体の前記ねじ固定部の近傍に配置されていることを特徴とする電気ケーブル接続装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気ケーブル接続装置であって、
前記蓋体には、前記開口側導出部に対向する辺縁部の位置に、前記電気ケーブルを外部に導出する蓋体側導出部が設けられており、前記蓋体側導出部は、前記ねじ固定部の近傍に配置されていることを特徴とする電気ケーブル接続装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電気ケーブル接続装置であって、
前記ねじ固定部は、前記電気ケーブルを跨いで両側を固定する構造とされていることを特徴とする電気ケーブル接続装置。
【請求項7】
請求項5に記載の電気ケーブル接続装置であって、
前記蓋体側導出部と前記取付部材との間に、前記電気ケーブルの配線位置を決める位置決め手段が設けられていることを特徴とする電気ケーブル接続装置。
【請求項8】
一方の装置から導出された電気ケーブルの先端に設けられたケーブル側コネクタが、他方の装置の回路基板に設けられた基板側コネクタに着脱自在に接続される構成において、前記一方の装置の筐体には、前記基板側コネクタに対向する箇所に開口部が設けられ、前記開口部を閉塞する蓋体が前記電気ケーブルの先端部に取付部材によって取り付けられており、前記蓋体は、前記ケーブル側コネクタを前記基板側コネクタに接続した状態で、固定部材によって前記開口部に取り付け自在に構成された電気ケーブル接続構造における電気ケーブル接続方法であって、
前記蓋体に前記電気ケーブルの先端部を前記取付部材にて取り付ける工程と、
前記基板側コネクタに、前記蓋体が取り付けられた前記電気ケーブルの蓋体側コネクタを接続する工程と、
前記蓋体を前記筐体の前記開口部に前記固定部材にて固定する工程と、
を含むことを特徴とする電気ケーブル接続方法。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の電気ケーブル接続装置を備えた画像形成装置であって、
前記第1装置が画像形成部とスキャナ部とを少なくとも備えた画像形成装置本体であり、前記第2装置が自動原稿送り装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−105938(P2013−105938A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249647(P2011−249647)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】