説明

電気コネクタおよびコネクタアセンブリ

【課題】組立工程のあらゆるステップにおいてアセンブリの嵌合および離脱を容易にすることが可能な電気コネクタおよびコネクタアセンブリを提供する。
【解決手段】コネクタは、コネクタの接続の間、端子が変形することを回避する手段を具備している。本発明の電気コネクタは、コネクタハウジングに組み付けられた端子位置保証部材と、その端子位置保証部材に組み付けられた端子保護板とを具備している。端子保護板は第1係合要素を具備し、端子位置保証部材はコンパクトに構成された第2係合要素を具備している。端子保護板をコネクタハウジングに組み付け、または維持するための手段を提供する必要が全くない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、“電気コネクタおよびコネクタアセンブリ”と題された、2006年11月20日に出願された大韓民国特許出願No.10−2006−114779の優先権を主張するものであり、その内容は参照のためにここに組み込まれている。
【0002】
本発明は電気コネクタ、特に自動車等の中央制御ユニットに電気システムを接続するために採用されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
全体的に、コネクタとして慣習的に公知の電気コネクタ装置は、電源、電気信号または情報を伝達するために電気システムの一部に組み込まれており、2つの離間されたワイヤを接続する。2つの離間されたワイヤを接続するために構成されたそのようなコネクタは雌および雄コネクタを具備し、メス又は雄端子がそれぞれのコネクタの内部に設けられて、雌および雄端子が互いに接続され、それによって電気的接続を達成する。コネクタを採用したそのような電気的接続方法は、回路基板または多様な電気製品間の接続のために採用されている。
【0004】
近年、運転をより快適かつ安全にするための多様な電気デバイスが自動車内に採用されており、それらは構成部品のために多くの電気ワイヤを必要とする。そのような多数の電気ワイヤは自動車内のそれぞれの部位に、自動車のコンパクトデザインおよび容易な組み立てのために、ワイヤハーネスの形で配置される。ワイヤハーネスは個々に絶縁されたいくつかのワイヤの被覆された束であり、自動車のそれぞれの部品の電気的接続および連結のために使用されている。そのようなワイヤハーネスは自動車のあらゆる部位において、コネクタと係合されたそれぞれの端部を備えて配置され、電気的接続が1つのコネクタと別のコネクタとの接続によって達成され得る。自動車が採用しているワイヤハーネスの内装の配線形態の一例として、ワイヤハーネスは自動車の制御ユニットから引き出された導体ワイヤを含み、コネクタはワイヤハーネスの一端に設けられ、そのコネクタに嵌合される対応したコネクタが自動車の内装に組み込まれていてもよい。
【0005】
ワイヤハーネスの一端に係合されコネクタに、自動車の電気的構成装置に組み込まれた対応したコネクタを嵌合する場合、当業者は、そのような嵌合工程が例えば自動車のエンジンルームのような制限された空間内に組み込まれたこれらのコネクタで行われるといった非常に困難な状況に直面する。コネクタのより便利な嵌合工程に関して、コネクタがわずかに適応され、レバーまたはスライダのような嵌合支援機構を操作することによって互いに嵌合され、それらの嵌合支援機構はコネクタの一方の側に組み込まれている。
【0006】
しかしながら、従来の支援機構は、作業場所に搬送されたときに、すでに完全に係合された状態であり、当業者は、コネクタを嵌合する前に嵌合支援機構を分解しなければならず、そのことが工程により複雑さを追加していた。さらに、支援機構による嵌合完了の後、作業工程中のあらゆる不注意が、支援機構をそのもとの位置から移動させるかもしれない。さらに、電気構成デバイスに組み込まれた対応したコネクタに向かう導体ワイヤを配線するときに、当業者が精密な配線のために導体ワイヤを引き伸ばした場合、このことが結合部への不都合を引き起こし、これによってコネクタが損傷するかもしれない。
【0007】
それに加えて、先行技術において、ハウジングは端子の精密な位置を保証するための双方の端子位置保証部材、および端子を保護する保護板を受容するための受容部を具備しており、これによって、ハウジングのサイズは当然に大きくなり、コネクタアセンブリの体積は増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の欠点を克服するために、本発明は、組立工程のあらゆるステップにおいてアセンブリの嵌合および離脱を容易にすることが可能な電気コネクタおよびコネクタアセンブリを提供することを目的としている。
【0009】
さらに、コネクタハウジングが単純且つコンパクトなデザインであるために、コンパクトな電気コネクタおよびコネクタアセンブリを提供することが本発明の別の目的である。そのアセンブリは端子保護板を組み付けまたは維持するための手段を必要とせず、これによってアセンブリの体積を最小化している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、電気コネクタは、複数の雄端子および該雄端子を受容し且つ支持するための複数の端子受容穴を備えたハウジングと、該ハウジングに組み付けられた第1端子位置保証部材であって、前記端子の一端がそこを通過するように形成された複数の第1端子通過穴を含んだ第1端子位置保証部材と、係合手段と、該係合手段によって前記端子位置保証部材に組み付けられた端子保護板であって、前記第1端子通過穴に対して整列された第2端子通過穴を含んだ端子保護板と、を具備している
【0011】
前記係合手段は、前記端子保護板に配置された第1係合要素と、前記端子位置保証部材に配置されて、前記第1係合要素に相補的に係合された第2係合要素と、から構成されている。前記第1係合要素は、前記端子保護板 該第1係合脚に形成された1つ以上の第1凹部と、を具備し、前記第2係合要素は、支持脚と、該支持脚から側方に突出し、前記第1凹部に係合された1つ以上の第1突出部と、を具備している。
【0012】
前記第1係合要素は、前記端子保護板から延在した複数の第1係合脚と、該第1係合脚から側方に突出した1つ以上の第1突出部と、を具備し、前記第2係合要素は、支持脚と、前記第1突出部に係合された1つ以上の第1凹部と、を具備している。
【0013】
前記第1係合要素および第2係合要素は互いに弾性的に係合されている。
【0014】
さらに、前記ハウジングは該ハウジングの向き合った側に配置された第3係合要素を含み、前記端子位置保証部材は前記第3係合要素に係合された第4係合要素を含んでいる。
【0015】
前記第3係合要素は、前記端子受容穴の長手方向に沿って形成された第1挿入部と、該第1挿入部の内壁から突出した1つ以上の第2突出部と、を具備し、前記第4係合要素は、前記第1挿入部内に挿入された第2係合脚と、該第2係合脚に形成されて、前記第2突出部に弾性的に係合された1つ以上の第2凹部と、を具備している。
【0016】
前記第3係合要素は、前記端子受容穴の長手方向に沿って形成された第2および第3挿入部をさらに具備し、前記第2係合要素は前記第2挿入部内に挿入された脚受容部を具備し、前記第1係合要素は、前記脚受容部に係合された第3係合脚と、前記第3挿入部内に挿入された案内脚と、を具備している。
【0017】
さらに、前記端子位置保証部材は、前記端子よりの一端よりも高く形成されたこじり防止壁を含み、前記端子保護板は、該こじり防止壁が通過する貫通穴をさらに含んでいる。
【0018】
本発明の好適な実施形態によるコネクタアセンブリは、互いに嵌合可能な雄コネクタと雌コネクタとを含んでいる。前記雄コネクタは、複数の雄端子、該雄端子をその中に受容し且つ支持するための雄端子受容穴、前記雌コネクタを受容するために前記雄コネクタ側に形成されて、その中で前記雄端子の一端が突出したコネクタ受容部、および該コネクタ受容部の内側に向き合ったそれぞれの面に形成された係合ピンを備えている。
【0019】
前記雌コネクタは、前記コネクタ受容部内に挿入可能な雌コネクタハウジングであって、前記雄端子に接続するための複数の雌端子、およびその中に該雌端子を受容し且つ支持するための複数の雌端子受容穴を備えた雌コネクタハウジングと、前記コネクタ受容部内に挿入されるために前記雌コネクタハウジングの端部に組み付けられた第2端子位置保証部であって、上側において開放された六面体形状を備え、底側において前記雌端子受容穴に対して整列された貫通穴を備えた第2端子位置保証部と、前記雌コネクタハウジングに回動可能に組み付けられて、コネクタが係合する間前記係合ピンを受容し、且つ回動することによって前記雄コネクタと前記メスコネクタとが嵌合および離脱するために要求される力を前記係合ピンに与えるための受容溝と、を具備している。
【0020】
前記第2端子位置保証部材は、前記雌コネクタハウジングに対して前記レバー部材を固定するためのレバーストッパを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態によるコネクタアセンブリの分解斜視図を示している。
【図2】本発明の第1の実施形態によるコネクタアセンブリの拡大斜視図を示している。
【図3】本発明の第1の実施形態による電気コネクタのこじり防止壁を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施形態によるコネクタアセンブリの分解斜視図を示している。
【図5】本発明の第2の実施形態による電気コネクタの係合手段が係合された状態を示した図である。
【図6】本発明による電気コネクタのレバー固定構造を示した斜視図を示している。
【図7】本発明による電気コネクタの組立工程を示した図である。
【図8】本発明によるコネクタアセンブリの雌コネクタと雄コネクタとを嵌合するときの横断面および側面を示した図である。
【図9】本発明によるコネクタアセンブリの雌コネクタと雄コネクタとを嵌合するときの横断面および側面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これ以降、図1〜9を参照しながら、本発明による電気コネクタの様々な実施形態が詳細に記載される。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態によるコネクタアセンブリを示した分解斜視図である。コネクタアセンブリは雄コネクタ(100)と雌コネクタ(200)とを含み、それらは互いに嵌合可能である。
【0024】
前記コネクタアセンブリの雄コネクタは、複数の雄端子およびその中に雄端子を受容し且つ支持するための複数の雄端子受容穴(112)を備えた雄コネクタハウジング(110)と、そのハウジングに組み付けられた端子位置保証部材(TPA:端子位置保証)であって、その端子位置保証部材は前記雄端子(111)の一端がその中を通るように形成された複数の第1端子通過穴(120a)を含んだ端子位置保証部材と、係合部材と、該係合部材によって端子位置保証部材(120)に組み付けられた端子保護板(130)であって、該端子保護板は前記第1端子通過穴(120a)に対して整列された第2端子通過穴(130a)を含んだ端子保護板と、を具備している。
【0025】
前記雄コネクタ(100)のハウジング(110)は雌コネクタ(200)を受容するためのコネクタ受容部(116)具備しており、コネクタ受容部は雄端子の一端が突出している側に形成され、個々の係合ピン(117)は前記コネクタ受容部(116)の向かい合った内面に形成されている。
【0026】
その一方で、雌コネクタ(200)は、前記コネクタ受容部(116)内に挿入され得る雌コネクタハウジング(210)であって、該雌コネクタハウジングは前記雄コネクタ(100)の雄端子(111,311)に接続するための複数の雌端子およびその中に雌端子を受容し且つ支持するための複数の雌端子受容穴(212)を備えた雌コネクタハウジングと、雌コネクタハウジング(210)の端部に組み付けられてコネクタ受容部(116)内に挿入される第2端子位置保証部材(220)であって、該第2端子位置保証部材は上側において開放された6面対形状とされ且つ雌端子受容穴(212)に対して整列された貫通穴を底側に備えた第2端子位置保証部材と、前記雌コネクタハウジング(210)に回動可能に組み付けられたレバー部材(230,430)であって、雄雌コネクタの嵌合の間係合ピン(117)を受容し且つ回動することによって前記係合ピン(117)に力をかけるための係合ピン受容溝(231)を備え、その力は前記雄コネクタ(100)と雌コネクタ(200)とを嵌合および離脱するために必要であるレバー部材と、を具備している。すなわち、ピン形状の雄端子は前記雄コネクタ(100)の雄端子受容穴(112)に挿入および固定され、雄端子の形状に対応した形状の雌端子は、前記雌コネクタ(200)の雌端子受容穴(212)の内面に取り付けられて、雄コネクタ(100)と雌コネクタ(200)とは互いに嵌合し、それによって前記雄端子を雌端子内に挿入し、電気的接続を形成する。
【0027】
図2に示されているように、本発明の好適なこの実施形態によれば、前記係合手段は、前記端子保護板(130)に配置された第1係合要素と、前記端子位置保証部材(120)に配置されて前記第1係合要素と相補的に係合された第2係合要素と、を具備し、端子保護板(130)と端子位置保証部材(120)とは第1係合要素と第2係合要素との間で形成された係合によって互いに係合される。このとき、前記第1係合要素は、前記端子保護板(130)から延在した複数の第1係合脚(131)と、該第1係合脚(131)に形成された第1凹部(132)とを具備し、前記第2係合要素は、支持脚(121)と、該支持脚(121)かた側方に突出して前記第1凹部(132)に係合する1つ以上の第1突出部(122)と、を具備している。端子保護板(130)と端子位置保証部材(120)とのそれぞれの四隅は、前記係合脚(131)と支持脚(121)とでそれぞれ形成されている。本発明の好適なこの実施形態において、第1凹部(132)は第1係合脚(131)に形成され、前記第1突出部(122)は支持脚(121)に形成されている。または、それとは逆に、第1凹部が支持脚(121)に形成され、第1突出部が第1係合脚(131)に形成されてもよい。
【0028】
前記雄コネクタハウジング(110)は該ハウジングの向き合った側に配置された第3係合要素を含み、前記端子位置保証部材(120)は第4係合要素を含み、第4係合要素は第3係合要素と係合し、第3係合要素と第4係合要素との間の係合は、雄コネクタハウジング(110)が端子位置保証部材(120)に係合されることを可能にしている。前記第3の係合部材は、雄端子受容穴(112)の長手方向に沿って形成された第1挿入部(113)と、第1挿入部の内壁から突出した1つ以上の第2突出部(114)と、を具備し、前記第4係合要素は第1挿入部内に挿入される第2係合脚(123)と、第2係合脚(123)に形成されて第2突出部(114)に弾性的に係合する1つ以上の第2凹部(124)と、を具備している。すなわち、第3係合要素と第4係合要素とは、第1係合要素と第2係合要素とが係合されるのと同一の方法で係合される。
【0029】
さらに、第1係合要素と支持脚(121)との第1係合脚(131)の少なくとも一方または双方、および第2係合客(123)と第1挿入部(113)を形成しているケースの内壁との少なくとも一方または双方は、アセンブリの組み立ておよび分解を容易にするために、弾性的に形成されている。図2に示されているように、空間(131a)は第1係合脚(131)の中間に形成され、そのような弾性係合を容易なものとしており、弾性変形の範囲は拡張されている。
【0030】
図3は、電気コネクタのこじり防止構造を示した斜視図である。“こじり”は鞘の入口周囲に形成された保護部材意味しており、ナイフが非平行に鞘に挿入された場合に、ナイフの刃が鞘の入口によって創傷されることを防止するためである。 こじり防止壁との語は本明細書を通して使用されており、雄コネクタのハウジング内部に形成された雄端子(111)を保護するための壁部材であり、雄端子の端部が雌端子内に不正確に挿入され、および雌コネクタ(200)が雄コネクタ(100)のコネクタ受容部(116)内に斜めに挿入されて雌コネクタ(200)の構造が接触した場合に、雄端子が曲げられ、変形されまたは損傷されることを防止するためのものである。
【0031】
図3に図示されているように、実施形態中の雄コネクタ(100)の端子位置保証部材(120)は、端子の一端よりも高く形成されたこじり防止壁(125)をさらに含み、端子保護板(130)は、こじり防止壁(125)が通過する貫通穴(130b)をさらに含み、これによって、雌コネクタ(200)が斜めに挿入された場合に、雌コネクタ(200)は雄端子(111)よりも高く形成されたこじり防止壁(125)に最初に接触し、したがって、雄端子(111)が雌端子にはめ込まれなくても、雄端子(111)はあらかじめ曲げられまたは損傷されることを防止される。さらに、端子保護板も雌コネクタ(200)の雌端子を案内し、失敗することなく雄コネクタに結合させ、雄端子が雌端子内に平行に挿入され得るようにしている。
【0032】
これ以降、本発明による電気コネクタアセンブリの第2の実施形態が、図4および5を参照して記載されている。前記図1のコネクタの端子数は34であるが、第2の実施形態はより多くの端子を備えたコネクタ、すなわち48の端子を備えたコネクタを記載している。端子保護板(330)は薄く長い形状とされている。したがって、端指数が増加してコネクタのサイズがより長くなったため、端子保護板(330)の中央部のたわみはより大きくなる。そのような変形が無視され得ないので、本実施形態は中央部の両側に係合手段を形成し、中央部はコーナー部の変形よりもより大きな変形となっている。
【0033】
図4に示されているように、本実施形態において、係合手段は第2および第3挿入部(314,315)を具備しており、それらの挿入部は雄コネクタハウジング(310)に形成された第3係合要素として、端子受容穴(312)の長手方向に沿って形成されている。脚受容部(321)は端子位置保証部材(320)に形成された第2係合要素として第2挿入部(314)内に挿入される。案内脚(333)は第3挿入部(315)内に挿入され、第3係合脚(331)は、端子保護板(330)に形成された第1係合要素として脚受容部(321)に係合される。その一方で、端子位置保証部材(320)と雄コネクタ(300)の雄コネクタハウジング(310)とを係合するための第3係合要素と第4係合要素とは、それらが図1の実施形態と同一であるので、詳細には記載されていない。その一方で、雌コネクタ(400)は、雌端子受容溝と雌端子数とを除いて、図1の雌コネクタ(200)と類似している。
【0034】
図5に示されているように、脚受容部(321)を第3係合脚と係合するために、第3係合脚(331)には1つ以上の第3係合突起(331a,331b)が設けられており、脚受容部(321)には受容突起(321a,321b)が設けられて、係合のために1つ以上の第3係合突起(331a,331b)を受容している。図5において、受容突起(321a,321b)は異なった高さで形成され、両側の第3係合脚(331)から突出した2つの第3係合突起(331a,331b)が段階的方式で受容突起に受容され且つ係合される。すなわち、ワイヤハーネス作業ステージにおける作業を容易にするために、係合構造は1つのみの第3係合突起が受容突起(321a)と係合されるように形成されており、このとき、図5に示されたように、コネクタケースはワイヤハーネス作業に搬送されて残った第3係合突起(331b)が作業者によって対応した受容突起(321b)に係合されてワイヤハーネス作業が完了される。第3係合脚(331)には中央部に1つ以上のスロット(331c)が設けられており、これは弾性的係合を容易にするためである。
【0035】
図6は雌コネクタの実施形態を図示したものである。図6に示されているように、雌コネクタ(200)のレバー部材(230)は引き下げられて、雌端子が雌端子受容部(212)内に挿入されるようになる。この作業の間、固定手段にはレバー部材が移動することを防止することが要求されるので、第2端子位置保証部材(220)には、雌コネクタハウジング(210)にレバー部材(230)を固定するための固定手段としてレバーストッパ(221)が設けられている。レバーストッパ(221)は弾性素材で形成されている。レバー部材(230)には、レバーストッパ(221)から回転軸(230a)までの距離と同一の距離で、回転方向の外周上にレバーストッパフック溝(232)が設けられている。レバーストッパ(221)は弾性バー(222)に取り付けられており、弾性バーは第2端子位置保証部材(220)に形成されたストッパ形成溝(223)内で延在している。レバーストッパは、レバー部材(230)が回転した場合に、レバーストッパフック溝(232)においてフックされるストッパ(221a)と、レバー部材(230)の外周のさらに外側において雌コネクタ(200)の向き合った側から延在したフック−リリース突起(221b)とを含んでいる。したがって、レバー部材の回転の間、レバーストッパ(221)のストッパ(221a)はレバー部材(230)の外周上で弾性的に変形し、これによってストッパ(221a)はレバーストッパフック溝(232)においてフックされ、そこでレバー部材(230)は固定されたまま移動しない。
【0036】
さらに、図6の拡大部分に記載されているように、ストッパ形成溝(223)は弾性バー(222)よりも大きく形成され、そこに取り付けられたレバーストッパ(221)を備えた弾性バー(222)は遠隔的に離間されていてもよい。そのようなストッパ形成溝(223)、弾性バー(222)およびフック−リリース突起(221b)の機能は、図8および9を参照して、雄コネクタ(100)と雌コネクタ(200)との組立工程とともに、これ以降に記載されている。
【0037】
これ以降、電気コネクタおよびコネクタアセンブリの組立工程が、図7カラを参照して詳細に記載されている。
【0038】
電気コネクタが、自動車のような複雑な構造および複数のワイヤを備えた製品に使用される場合、自動車生産者単体ではコネクタ製造、ワイヤハーネス作業およびそれらの製品への組み付けのような全ての作業を実行し得ない。前述の実施形態において、2つの係合突起と受容部とが相補的に係合し、または2つの係合突起と受容突起とが相補的に係合し、これによって、端子保護板が端子保証部材と係合すること、および端子位置保証部材がハウジングに係合して2重係合を形成することを構成している。すなわち、コネクタのインジェクション成型の製造工程において、成型されたコネクタは完成し、それは図7の第1図に示されている。後で、成型されたコネクタはワイヤハーネス作業のために、ハウジング(110)、端子位置保証部材(120)、および端子保護板(130)とともに提供され、それらは係合要素のそれぞれ1つのみの突起および受容部または受容突起で係合される。唯一の突起が係合され且つ端子位置保証部材がハウジングにまだ近接して取り付けられていないので、ワイヤハーネス作業は成型されたコネクタとともにより容易に実行され得る。端子の位置は、ワイヤハーネス作業によって端子およびワイヤが固定された後で決定され、雄ハウジング(110)の全ての突出部(114)は、端子位置保証部材(120)の第2凹部(124)内に挿入される。これによって、端子位置保証部材(120)と雄ハウジング(110)とは互いに近接して取り付けられ、その様子は図7の第2図に示されている。そのような状態で製品は自動車組立工程に供給される。端子保護板(130)は雄端子(111)を保護している。ワイヤの状態および自動車組立工程における任意の欠点がチェックされた後、押すハウジング(110)、端子位置保証部材(120)および端子保護板(130)は、全ての係合要素が完全に係合されることによって、最終的に自動車に組み付けられ得る。そのように、それらはコネクタのそれぞれの組み立てステップに関して適切な係合の状態で組み立てられ、そのことは効果的な作業効率を可能にする。
【0039】
図8および9に示されているように、コネクタ受容部(116)にはレバーストッパ押圧片(118)が設けられており、係合ピン受容溝(231)は、レバー回転方向と逆方向に曲げられた円弧形状である。雄コネクタ(100)と雌コネクタ(200)とを嵌合するために、雌コネクタ(200)は雄コネクタ(100)の雄コネクタ受容部(116)内に回転されることによって挿入され、その後レバー部材(230)を固定する。ここで、雌コネクタ(200)が斜めに挿入された場合、雄端子はこじり防止壁(125)によって変形されることを防止され、雄端子(111)の端部は保護され得る。
【0040】
係合ピン(117)は雄コネクタ(100)のコネクタ受容部(116)内に設けられ、雌コネクタ(200)のレバー部材(231)の係合ピン受容溝(231)の入口でフックされる。それと同時に、レバーストッパ押圧片(118)がレバーストッパ(221)のフック−リリース突起(221b)を押圧する。それに応じて、弾性バー(222)はストッパ形成溝(223)に向かって内側に弾性的に変形し、一方でストッパ(221a)はレバー部材(230)のレバーストッパフック溝(232)から遠隔的に離間され、開放される。すなわち、雄コネクタ(100)と雌コネクタ(200)とが図8に示されたように配置された場合、レバー部材(230)は自由に回転し得る。
【0041】
作業者がレバー部材(230)を時計回りに回転させた場合、係合ピン(231)は係合ピン受容溝(231)によって案内され、その一方で、回転軸(230a)に接続された雌コネクタ(200)は、レバー部材(230)の回転軸(230a)が雄コネクタ(100)に向かって移動する形で雄コネクタ(100)に向かって移動する。その後、雌コネクタ(200)の雌端子は雄コネクタ(100)の雄端子に接続され、コネクタアセンブリが完成する。
【0042】
そのようなレバー部材(230)は嵌合力を減少し、てこの原理を利用することによって雌コネクタ(200)を雄コネクタ(100)内に挿入することが可能であり、したがって、コネクタが自動車内部に組み付けられる場合に、あらゆる工具がほとんど挿入できないような小さな空間においてさえも、コネクタアセンブリは、レバー部材(230)を回転するための小さな嵌合力のみをかけることによって完成され得る。
【0043】
本発明によれば、それぞれのコネクタハウジングの係合要素、端子位置保証部材および端子保護板は組立工程のステップ間要求されるのと同じ段階のみの段階的方式で互いに係合されることが可能であり、これによって、効果的な作業が促進され得る。
【0044】
本発明の別の機能的効果は、組み立ての間の雌コネクタに起因した雄コネクタの雄端子端部の曲げまたは変形が、こじり防止壁によって防止され得ることである。
【0045】
本発明の別の機能的効果は、レバー部材が、レバーストッパ、レバーストッパフック溝およびレバーストッパ押圧片などの特徴によって、レバー部材を固定および開放することで、組み立ての間容易に操作され得ることである。
【0046】
本発明の別の機能的効果は、コネクタハウジング内で端子保護板を組み付けるまたは維持するための要素がなくても、端子保護板は端子位置保証部材に係合されて、コネクタハウジングの体積が減少され、本発明に関してはサイズおよびデザインの観点で小型化され得るということである。
【符号の説明】
【0047】
100,300 ・・・雄コネクタ
110,310 ・・・雄コネクタハウジング
111,311 ・・・雄端子
112,312 ・・・雄端子受容穴
113 ・・・第1挿入部
114 ・・・第2突出部
116 ・・・コネクタ受容部
117 ・・・係合ピン
118 ・・・レバーストッパ押圧片
120,320 ・・・端子位置保証部材
120a ・・・第1端子通過穴
121 ・・・支持脚
122 ・・・第1突出部
123 ・・・第2係合脚
124 ・・・第2凹部
125 ・・・こじり防止壁
130,330 ・・・端子保護板
130a ・・・第2端子通過穴
131 ・・・第1係合脚
132 ・・・第1凹部
200,400 ・・・雌コネクタ
210 ・・・雌コネクタハウジング
211 ・・・雌端子
212 ・・・雌端子受容穴
221 ・・・レバーストッパ
222 ・・・弾性バー
223 ・・・ストッパ形成溝
230,430 ・・・レバー部材
232 ・・・レバーストッパフック溝
231 ・・・係合ピン受容溝
314 ・・・第2挿入部
315 ・・・第3挿入部
321 ・・・脚受容部
321a,321b ・・・受容突起
331 ・・・第3係合脚
331a,331b ・・・第3係合突起
333 ・・・案内脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子(111,311)および該端子(111,311)を受容し且つ支持するための複数の端子受容穴(112,312)を備えたハウジング(110,310)と、
該ハウジング(110,310)に組み付けられた端子位置保証部材(120,320)であって、前記端子(111,311)の一端がそこを通過するように形成された複数の第1端子通過穴(120a,320a)を含んだ端子位置保証部材(120,320)と、
係合手段と、
該係合手段によって前記端子位置保証部材(120,320)に組み付けられた端子保護板(130,330)であって、前記第1端子通過穴(120a,320a)に対して整列された第2端子通過穴(130a,330a)を含んだ端子保護板(130,330)と、を具備し、
前記係合手段は、
前記端子保護板(130,330)に配置された第1係合要素と、
前記端子位置保証部材(120,320)に配置されて、前記第1係合要素に相補的に係合された第2係合要素と、を具備し、
前記第1係合要素は、
前記端子保護板(130)から延在した複数の第1係合脚(131)と、
該第1係合脚(131)から側方に突出した1つ以上の第1突出部(122)と、を具備し、
前記第2係合要素は、
支持脚(121)と、
前記第1突出部(122)に係合された1つ以上の第1凹部(132)と、を具備していること特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
複数の端子(111,311)および該端子(111,311)を受容し且つ支持するための複数の端子受容穴(112,312)を備えたハウジング(110,310)と、
該ハウジング(110,310)に組み付けられた端子位置保証部材(120,320)であって、前記端子(111,311)の一端がそこを通過するように形成された複数の第1端子通過穴(120a,320a)を含んだ端子位置保証部材(120,320)と、
係合手段と、
該係合手段によって前記端子位置保証部材(120,320)に組み付けられた端子保護板(130,330)であって、前記第1端子通過穴(120a,320a)に対して整列された第2端子通過穴(130a,330a)を含んだ端子保護板(130,330)と、を具備し、
前記係合手段は、
前記端子保護板(130,330)に配置された第1係合要素と、
前記端子位置保証部材(120,320)に配置されて、前記第1係合要素に相補的に係合された第2係合要素と、を具備し、
前記第1係合要素および第2係合要素は互いに弾性的に係合されていること特徴とする電気コネクタ。
【請求項3】
複数の端子(111,311)および該端子(111,311)を受容し且つ支持するための複数の端子受容穴(112,312)を備えたハウジング(110,310)と、
該ハウジング(110,310)に組み付けられた端子位置保証部材(120,320)であって、前記端子(111,311)の一端がそこを通過するように形成された複数の第1端子通過穴(120a,320a)を含んだ端子位置保証部材(120,320)と、
係合手段と、
該係合手段によって前記端子位置保証部材(120,320)に組み付けられた端子保護板(130,330)であって、前記第1端子通過穴(120a,320a)に対して整列された第2端子通過穴(130a,330a)を含んだ端子保護板(130,330)と、を具備し、
前記係合手段は、
前記端子保護板(130,330)に配置された第1係合要素と、
前記端子位置保証部材(120,320)に配置されて、前記第1係合要素に相補的に係合された第2係合要素と、を具備し、
前記ハウジング(110,310)は該ハウジングの向き合った側に配置された第3係合要素を含み、前記端子位置保証部材(120,320)は前記第3係合要素に係合された第4係合要素を含んでいること特徴とする電気コネクタ。
【請求項4】
前記第3係合要素は、
前記端子受容穴(112,312)の長手方向に沿って形成された第1挿入部(113,313)と、
該第1挿入部の内壁から突出した1つ以上の第2突出部(114,314)と、を具備し、
前記第4係合要素は、
前記第1挿入部内に挿入された第2係合脚(123,323)と、
該第2係合脚(123,323)に形成されて、前記第2突出部(114,314)に弾性的に係合された1つ以上の第2凹部(124,324)と、を具備していること特徴とする請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第3係合要素は、前記端子受容穴(312)の長手方向に沿って形成された第2および第3挿入部(314,315)をさらに具備し、
前記第2係合要素は前記第2挿入部(314)内に挿入された脚受容部(321)を具備し、
前記第1係合要素は、
前記脚受容部(321)に係合された第3係合脚(331)と、
前記第3挿入部(315)内に挿入された案内脚(333)と、を具備していること特徴とする請求項4に記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−16524(P2013−16524A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236488(P2012−236488)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2009−536862(P2009−536862)の分割
【原出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(511147012)エフシーアイ・オートモティヴ・ホールディング (7)
【Fターム(参考)】