説明

電気コネクタおよび携帯機器

【課題】耐久性の要件を満足する小型のHDMIコネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタのシェル部材は、相手側コネクタに係合する弾性変形可能な一対の板ばね部17を有する。これら一対の板ばね部17は、長手方向に延在する第1辺171と、第1辺の前端部から幅方向内側に延在する第2辺172と、第2辺の幅方向内側の端部から後方に延在する第3辺173とによりそれぞれ形成され、さらに各板ばね部17の第3辺の後端部同士を連結する第4辺174が設けられ、第3辺173の後端部は、第1辺171の後端部よりも前方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDMIケーブル等の接続に用いられる電気コネクタおよび電気コネクタを有する携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非圧縮デジタル形式の映像信号や音声信号を各種デジタル機器間でデジタル伝送することを目的として、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブルが広く利用され、このHDMIケーブルをデジタル機器に接続するために、HDMIコネクタが用いられている。HDMIコネクタの仕様は規格により定められおり、従来、HDMIケーブル端部のケーブルコネクタとHDMIコネクタとの嵌合部位に係合部を設け、コネクタ同士が不所望に抜脱されることを防止するようにしたコネクタ構造が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載のコネクタ構造では、コネクタに板ばね部を設けて係合部を構成し、板ばね部の弾性変形によりコネクタ同士を係合するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3134744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、動画撮影機能をもった携帯電話等の携帯機器が普及し、携帯機器によって取得した映像および音声のデジタル信号を、HDMIケーブルを介して外部機器に出力可能とするニーズが高まっている。このため、このような携帯機器へのHDMIケーブルの適用にあたっては、とくにHDMIコネクタの小型化が求められている。しかしながら、上記特許文献1記載のような板ばね部を有するコネクタ構造を用いてHDMIコネクタを小型化すると、板ばね部に高応力が発生する。このため、コネクタの挿抜回数の増加に伴いコネクタ嵌合時の係合力が低下し、耐久性の要件を十分に満足することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、小型化しても、耐久性の要件を十分に満足することができる電気コネクタおよび電気コネクタを有する携帯機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、互いに対向する板状の上面部および底面部と、上面部の幅方向両端部から底面部の幅方向両端部にそれぞれ延在する板状の一対の側面部とを有し、長手方向の第1端からその反対側の第2端にかけて延在する中空形状のシェル部材と、シェル部材と一体に設けられ、シェル部材の内側において、長手方向に延在する導電性の複数の接触子を支持するボディ部材と、を有する電気コネクタであって、シェル部材の第1端には、相手側コネクタが長手方向に挿抜可能に嵌合する挿抜用開口部が設けられるとともに、上面部には、挿抜用開口部介して嵌合された相手側コネクタに係合する弾性変形可能な一対の板ばね部が幅方向対称に設けられ、一対の板ばね部は、第2端側から第1端側へ長手方向に延在する第1辺と、第1辺の第1端側の端部から幅方向内側に延在する第2辺と、第2辺の幅方向内側の端部から第2端側へ長手方向に延在する第3辺とによりそれぞれ形成され、さらに上面部に、一対の板ばね部の一方を形成する第3辺の第2端側の端部から、一対の板ばね部材の他方を形成する第3辺の第2端側の端部にかけて幅方向に延在する第4辺が設けられ、第3辺の第2端側の基端部は、第1辺の第2端側の基端部よりも第1端側に位置する、電気コネクタである。
【0007】
本発明の別の態様は、上記電気コネクタを有する携帯機器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気コネクタの挿抜時における一対の板ばね部に作用する応力を緩和することができ、耐久性の要件を十分に満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a),(b)はそれぞれ本発明の第1の実施の形態に係る電気コネクタの斜視図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ図1のシェル部材の斜視図である。
【図3】(a)〜(c)はそれぞれ図1のシェル部材の平面図、側面図および後面図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ図1のボディ部材の斜視図である。
【図5】図4のボディ部材に一体成形されるコンタクトの配置状態を示す斜視図である。
【図6】図1の電気コネクタの基板への実装状態を示す断面斜視図である。
【図7】(a)は第1の実施の形態に係る電気コネクタの自動実装を説明する図であり、(b)はその比較例を示す図である。
【図8】図1の電気コネクタを有する携帯電話の外観斜視図である。
【図9】(a)〜(c)はそれぞれ図1の電気コネクタに対するケーブルコネクタの嵌合動作を示す図である。
【図10】図2の比較例を示す図である。
【図11】(a),(b)はそれぞれ本発明の第2の実施の形態に係る電気コネクタの斜視図である。
【図12】(a),(b)はそれぞれ図11のシェル部材の斜視図である。
【図13】(a),(b)はそれぞれ図11のボディ部材の斜視図である。
【図14】(a),(b)はそれぞれ図1のシェル部材に図13のボディ部材を嵌合した状態を示す斜視図である。
【図15】図11の電気コネクタの基板への実装状態を示す断面斜視図である。
【図16】第2の実施の形態に係る電気コネクタの動作を説明する断面図である。
【図17】(a)、(b)はそれぞれ図3の変形例を示す図である。
【図18】図2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
−第1の実施の形態−
以下、図1〜図10を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1(a),(b)は、それぞれ本発明の第1の実施の形態に係る電気コネクタ100の斜視図である。この電気コネクタ100は、中空形状のシェル部材10と、シェル部材10に嵌合して一体に固定されるボディ部材20とを有し、小型のHDMIコネクタ(タイプD)として構成される。なお、以下では、便宜上、図示のように上下方向(高さ方向)、前後方向(長手方向)および左右方向(幅方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
【0011】
図2(a),(b)は、それぞれ第1の実施形態に係るシェル部材10の斜視図であり、図3(a)〜(c)は、それぞれシェル部材10の平面図、側面図および後面図である。シェル部材10は、例えばステンレス製の板材をプレス加工機により打ち抜き加工および折り曲げ加工して形成され、全体が前後方向に奥行きのある略矩形の枠形状を呈し、左右対称形状をなしている。すなわち、図2,3に示すように、シェル部材10は、上下に互いに離間してそれぞれ水平方向に延設された上面部11および底面部12と、上面部11の左右両端部から底面部12の左右両端部にかけて鉛直方向に延設された左右一対の側面部13,14とを有し、シェル部材10の前端および後端にはそれぞれ略矩形の開口部15,16が形成されている。
【0012】
各側面部13,14の下部は、それぞれ左右方向内側にテーパ状に折り曲げられ、テーパ部13a,14aが形成されている。各側面部13の前後両端部近傍には、テーパ部13a,14aの一部を打ち抜き加工することにより、電気コネクタ100を基板200(図6)に固定するための一対の脚部18a,18bがそれぞれ下方に向けて突設されている。脚部18a,18bは、側面部13,14と同一面上に延在し、電気コネクタ100の最大幅は、左右の側面部13,14間の距離によって規定されている。
【0013】
各側面部13,14の後端面には、ボディ部材20の嵌合用の凹部18cが形成されている。凹部18cの上方には、上面部11の一部を打ち抜き加工することにより、各側面部13,14の上端から左右方向内側にかけて左右一対の平板部19が形成されている。平板部19の前側には、左右方向にスリット19aが形成され、各平板部19は上面部11に対して下方に折り曲げ可能となっている。図1に示す電気コネクタ100の組立状態では、平板部19は下方に折り曲げられており、この状態では側面部13,14が上面部11および底面部12よりも後方に突出し、電気コネクタ100の長手方向(奥行き方向)の最大長さは、側面部13,14の長さにより規定されている。
【0014】
図2(b)に示すように、テーパ部13a,14aの後端面は底面部12の後端面よりも後方に突出し、底面部12の後端面には、ボディ部材20の嵌合用の凹部12aが形成されている。図2(a)に示すように、底面部12は、電気コネクタ100を基板200上に密着して実装可能なように平坦に形成されている。上面部11には、打ち抜き加工により左右一対の板ばね部17が互いに左右対称に形成され、板ばね部17を除いて、上面部11も平坦に形成されている。電気コネクタ100の最大実装高さは、底面部12から上面部11までの距離により規定されている。
【0015】
図3(a)に示すように各板ばね部17は、基端部170から前方に延在する第1辺171と、第1辺171の前端部から左右方向内側に延在する第2辺172と、第2辺172の左右方向内側端部から後方に延在する第3辺173とによりそれぞれ形成されている。左右の板ばね部17は、第3辺173の後端部175から左右方向内側に延在する第4辺174によって互いに連結されている。板ばね部17の周囲には、上面部11が平坦のまま残され、上面部11の前端左右方向中央部は、後方に延在して第4辺174に近接し、平板部11aが形成されている。これにより、板ばね部17と上面部11との間の隙間が小さくなり、コネクタ内へのごみの侵入を抑制できるとともに、上面部11の強度も向上できる。第1辺171の長さは第3辺173の長さよりも長く、第3辺173の後端部175は第1辺171の後端部170よりも前方に位置している。
【0016】
このように左右の板ばね部17を第4辺174により連結するとともに、第3辺173の長さを第1辺171の長さよりも短くすることにより、板ばね部17の先端が上下方向に所定量だけ変位した際に、板ばね部17の基端部における曲げ応力の作用する範囲が拡大し、応力分散効果によって高応力の発生を抑制できる。なお、第1辺171、第2辺172、第3辺173の長さをそれぞれa、b、cとすると、高応力の発生を抑制する観点からは、c/aは1/2〜2/3の範囲に、b/aは1/3〜1/2の範囲にあることが好ましい。図では、一例としてa:b:cがほぼ3:1:2となっている。
【0017】
板ばね部17の第4辺174の延長線上には、左右方向に折り曲げ線176が形成され、さらに板ばね部17の前端部にも、左右方向に折り曲げ線177が形成されている。板ばね部17の折り曲げ線176の後方かつ左右の第1辺171の内側には、平坦面178が形成されている。板ばね部17は、折り曲げ線176を介して平坦面178から斜め下方に折り曲げられるとともに、折り曲げ線177を介して斜め上方に折り曲げられている。
【0018】
このため、折り曲げ線177における折り曲げ部179は、図3(c)に示すように上面部11よりも下方に突出し、折り曲げ部179の前後は緩やかにテーパ状となっている。これにより相手側コネクタの嵌合時における衝突力を低減でき、HDMIケーブルコネクタ400への相手側コネクタのスムーズな挿脱が可能である。折り曲げ部179の位置は、HDMIケーブルコネクタ400の開口部411(図8)に係合するように、HDMIコネクタの規格(タイプD)に準じて設定されている。なお、図3(a)に示すように、板ばね部17は、厳密には折り曲げ線176の前方において折り曲げ線177にかけて先細となっており、さらに第3辺173と第4辺174との交差部は円弧状に形成されている。
【0019】
図4(a),(b)は、それぞれボディ部材20の斜視図である。ボディ部材20は、例えば樹脂製のボディ本体21に、導電性の複数のコンタクト30を一体成形により組み付けることによって構成される。ボディ本体21は、シェル部材10の内面と略同一形状を呈する中実の基部22と、基部22の前面中央部から前方に突設された左右方向に平板状の接触部23と、基部22の後端面左右両端部から後方に突設された左右一対のテール部24とを有する。
【0020】
基部22の底面後端部には、下方に向けて突起部25が突設されている。突起部25は、シェル部材10の底面部12後端の凹部12a(図2(b))に対応して前後方向にわたって延設され(図6参照)、突起部25の上下方向突出高さは、底面部12の厚さとほぼ等しい。各テール部24の左右外側面には、左右方向外側に向けて突起部26が突設されている。突起部26は、シェル部材10の側面部13,14の凹部18c(図2)に対応してテール部24の後端から前方に所定長さだけ延設され、突起部26の左右方向突出高さは、側面部13,14の厚さとほぼ等しい。
【0021】
図5は、コンタクト30の配置状態を示す斜視図である。コンタクト30は、上下に互いに離間して配列された複数の上コンタクト31と複数の下コンタクト32とを有する。これら上コンタクト31および下コンタクト32は、HDMIの規格に合わせて左右方向に所定数だけ配列されている。具体的には、上コンタクト31は10列、下コンタクト32は9列配列され、これらは千鳥状に配置されている。
【0022】
各コンタクト30はそれぞれ前後方向に延在し、その後部において複数個所でそれぞれ略直角に折り曲げられている。すなわち、上コンタクト31は、長手方向4箇所の折り曲げ部を介してそれぞれ下方、後方、下方、後方に順次折り曲げられ、下コンタクト32も、長手方向4箇所の折り曲げ部を介してそれぞれ下方、後方、下方、後方に順次折り曲げられている。下コンタクト32は上コンタクト31よりも前方にて折り曲げが開始され、下コンタクト32の後端のストレート部32aは、上コンタクト31の後端のストレート部31aよりも前方に位置している。各ストレート部31a,31bの底面高さは、全て等しく設定されている。
【0023】
図4に示すように、各コンタクト30はボディ本体21の基部22を貫通し、上コンタクト31は接触部23の上面に沿って、下コンタクト32は接触部23の下面に沿って、それぞれ接触部23の上下端面よりも膨出して配置されている。コンタクト30の折り曲げ部は、基部22の後端面よりも後方かつテール部24の後端面よりも前方に位置している。各コンタクト30の後端部(ストレート部31a,31b)の底面高さは、突起部25の底面高さとほぼ等しい。
【0024】
電気コネクタ100を組み立てる際は、開口部16を介してシェル部材10の内部にボディ部材10を挿入し、ボディ部材20の底面の突起部25および左右側面の突起部26を、それぞれシェル部材10の底面の凹部12aおよび左右側面の凹部18cに嵌合する。次いで、ボディ部材20をシェル部材10の奥部まで最大に挿入した状態で、シェル部材10の各平板部19を、ボディ部材20のテール部24に沿ってそれぞれ下方に折り曲げる。このとき、各平板部19の前端面がボディ部材20の基部22の後端面に当接し、図1に示すようにボディ部材20がシェル部材10に嵌合状態で固定される。なお、電気コネクタ100の組立状態においては、シェル部材10の側面部13,14の後端面とボディ部材20のテール部24の後端面とがほぼ面一となっている。
【0025】
図1の電気コネクタ100は、HDMIコネクタとして例えば携帯電話等の基板に実装される。図6は、電気コネクタ100の基板200への実装状態を示す断面斜視図である。シェル部材10の脚部18a,18bは、基板200に開口された貫通孔(不図示)に挿入され、電気コネクタ100が基板200上に設置される。その後、例えばリフローはんだ付け工程により、はんだ201によって脚部18a,18bがそれぞれ基板200に固定されるとともに、はんだ202によって各コンタクト30のストレート部31a,31bが基板200に固定され、これにより電気コネクタ100が基板200に実装される。
【0026】
このとき、基部22の後端面から突出したコンタクト30は、左右の脚部18bの内側に配置されるため、基板200の取り扱い時等において、コンタクト30の損傷を防止できる。また、脚部18bは基板200を貫通して強固にはんだ付けされ、その脚部18bの近傍においてコンタクト30が基板200にはんだ付けされるため、安定したはんだ付け状態を維持できる。
【0027】
電気コネクタ100を基板200に自動実装する場合には、図7(a)に示すように電気コネクタ100の上面部11の平坦面178に、真空ノズル210の先端が当接される。この場合、平坦面178には切り欠き等が存在しないため、真空ノズル210の先端を平坦面178に隙間なく密接できる。このため、真空ノズル210によって電気コネクタ100を吸着して持ち上げることができ、電気コネクタ100の自動実装を容易に行うことができる。
【0028】
図8は、本実施の形態に係る電気コネクタ100を有する携帯電話300の外観斜視図である。この携帯電話300は、本体部301に対してディスプレイ部302が回動可能な折り畳み式の携帯電話であり、本体部301の側面に電気コネクタ100が設けられている。電気コネクタ100の開口部15には、HDMIケーブル400aの端部のケーブルコネクタ400が挿抜可能に嵌合する。これにより、例えば携帯電話によって撮影した動画の映像および音声信号を、ケーブル400aを介してデジタル形式で外部機器に出力することが可能となる。
【0029】
図9(a)〜(c)は、電気コネクタ100に対するケーブルコネクタ400の嵌合動作を示す図である。ケーブルコネクタ311は、樹脂製のボディ部材420の外側を金属製のシェル部材410により包囲して構成されている。シェル部材410の外表面は、電気コネクタ100のシェル部材10の内表面と同一形状を呈し、シェル部材410はシェル部材10の内部に嵌合可能となっている。また、図8に示すように、シェル部材410の上面には、電気コネクタ100の板ばね部17先端の折り曲げ部179に対応して左右一対の開口部411が設けられている。一方、図9に示すように、ボディ部材420の先端部には、電気コネクタ100の接触部23に対応して嵌合孔421が設けられ、嵌合孔421に面して上コンタクト431および下コンタクト432が支持されている。
【0030】
ケーブルコネクタ400を嵌合する際は、開口部15を介して電気コネクタ100内にケーブルコネクタ400を差し込む。このとき、図9(a)に示すように、ケーブルコネクタ400の先端が板ばね部17に当接するまでは、折り曲げ部179がシェル部材10内のケーブルコネクタ400の嵌合通路PAに突出している。
【0031】
ケーブルコネクタ400の先端が板ばね部17に当接すると、図9(b)に示すように、板ばね部17はケーブルコネクタ400の上面に乗り上げて弾性変形するとともに、接触部23が嵌合孔421に嵌合する。この際、板ばね部17に応力が発生するが、本実施の形態では、左右の板ばね部17を第4辺174により連結するとともに、第3辺173の長さを第1辺171の長さよりも短くしているので(図3)、板ばね部17に作用する応力が広範囲に分散し、応力を緩和することができる。
【0032】
図9(c)に示すように、ケーブルコネクタ400が電気コネクタ100に最大に押し込まれると、板ばね部17の折り曲げ部179がケーブルコネクタ400の開口部411に係合する。これにより電気コネクタ100にケーブルコネクタ400が係止され、ケーブルコネクタ400の不所望な抜脱を防止できる。この係合状態では、板ばね部17は弾性力によって図9(a)の初期状態に復帰するため、板ばね部17に応力は作用しない。このとき、接触部23は、嵌合孔421の奥部まで進入し、電気コネクタ100のコンタクト31,32とケーブルコネクタ400のコンタクト431,432とが安定的に接触し、コネクタ100,400同士が電気的に接続状態となる。
【0033】
ケーブルコネクタ400の抜脱は、ケーブルコネクタ400の引き抜き動作により行われる。この引き抜き動作時にも、板ばね部17の折り曲げ部179がケーブルコネクタ400の上面に乗り上げるため、板ばね部17に嵌合動作時と同様に応力が作用するが、応力レベルは小さい。
【0034】
第1の実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)電気コネクタ100の上面部11に、HDMIの規格に合わせて左右一対の板ばね部17を設け、左右の板ばね部17を左右方向に延在する第4辺174によって連結するとともに、第3辺173の基端部175を第1辺171の基端部170よりも前方に設定し、第3辺173の長さを第1辺171の長さよりも短くした。これによりHDMIの規格を満たしつつ、上面部11の幅全体を有効利用して、板ばね部17全体を図2(a)の左右方向長さL1にわたって支持できる。その結果、板ばね部17に作用する応力が上面部11の広範囲に分散し、応力レベルを低減することができる。このため、コネクタの挿抜回数の増加に伴う板ばね部17の弾性力の低下(へたり)を防止することができ、板ばね部17による安定した係合力を長期にわたって維持でき、電気コネクタ100の耐久性を向上できる。
【0035】
これに対し、例えば図10に示すように左右一対の板ばね部17を連結することなく互いに独立して設けるとともに、第1辺171と第3辺173の長さを等しくして電気コネクタ100aを構成した場合には、板ばね部17の基端部における左右方向の長さL2が短い。このため、板ばね部17の基端部における曲げ応力が増大し、コネクタの挿抜回数の増加に伴い板ばね部17にへたりが生じ、耐久性の要件を十分に満足することが難しい。
【0036】
(2)電気コネクタ100の上面部11に、板ばね部17の第4辺174よりも後方で、かつ、左右の板ばね部17の第1辺171の内側に平坦面178を設けるようにした。これにより、平坦面178に真空ノズル210の先端を当接して電気コネクタ100を容易に吸い上げることができ、電気コネクタ100の自動実装作業が容易である。
【0037】
これに対し、例えば図10に示すように電気コネクタ100aを構成した場合には、板ばね部17によって上面部11に切り欠きが生じているため、このままでは真空ノズル210によって電気コネクタ100aを吸着できない。したがって、この場合には、図7(b)に示すように上面部11に吸着用テープ102(カプトンテープなど)を貼付して平坦面を生成する必要があり、自動実装作業が煩雑になる
【0038】
(3)板ばね部17の第1辺171の長さaに対する第3辺173の長さcの比の値c/aを、1/2〜2/3の範囲とすることで、通常仕様のステンレス鋼材において耐力を超える範囲が、従来仕様のシェル部材と比較してごく一部に限られるため、へたりが起こりにくい。
(4)上面部11の前端左右方向中央部から後方にかけて平板部11aを形成するようにしたので、一対の板ばね部17と上面部11との間の隙間が小さくなり、コネクタ内への異物の混入を防止できるとともに、相手側コネクタの嵌合時の衝突応力による上面部11前端部の変形を防止できる。
【0039】
−第2の実施の形態−
図11〜図16を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、電気コネクタ100の開口部15から侵入した水滴が、電気コネクタ100を通過して内部の基板200等に到ることを防ぐため、電気コネクタ100に防滴構造を設ける。なお、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0040】
図11(a),(b)は、それぞれ本発明の第2の実施の形態に係る電気コネクタ101の斜視図である。なお、図11(a)では、電気コネクタ101の一部(カバー部材140)を分解して示している。この電気コネクタ101は、中空形状のシェル部材110と、シェル部材110に嵌合して一体に固定されるボディ部材120と、シェル部材110の上面を塞ぐカバー部材140とを有する。
【0041】
図12(a),(b)は、それぞれ第2の実施形態に係るシェル部材110の斜視図である。このシェル部材110の基本的構成は、第1の実施の形態のシェル部材10の基本的構成と同一である。すなわち、シェル部材110は、上面部111と、底面部112と、左右一対の側面部113,114とを有し、シェル部材110の前端および後端にそれぞれ開口部115,116が形成されるとともに、側面部113,114の下部にそれぞれテーパ部113a,114aが形成されている。上面部111には、左右一対の板ばね部117が設けられ、板ばね部117の弾性変形により、板ばね部117の先端の折り曲げ部118がケーブルコネクタ400の開口部411(図8)に係合可能となっている。板ばね部117は、第1の実施の形態の板ばね部17と同一形状をなし、コネクタの挿抜回数が増加してもばね特性が変化しない、つまり、へたりを生じにくい構成となっている。
【0042】
一方、第1の実施の形態のシェル部材10と異なり、シェル部材110には前側のみに脚部118aが設けられ、側面部113,114の後端は平坦になっている。また、上面部111の後方には、第1の実施の形態の平板部19よりも細長の左右一対の平板部119がスリット119aを介して折り曲げ可能に形成されている。なお、図12(a)では、平板部119が上方に突出しており、この平板部119は、ボディ部材120の嵌合後に、図12(b)に示すように折り曲げられる。さらに、シェル部材110の底面部112の後端には左右一対の凸部112aが後方に向けて突設されている。なお、この凸部112aを除き、底面部112の後端面112bは、上面部111の後端面111bとテーパ部113a,114aの後端面113b,114bと同一面上に位置する。
【0043】
図13(a),(b)は、それぞれボディ部材120の斜視図である。ボディ部材120は、第1の実施の形態のボディ部材20と同様、樹脂製のボディ本体121に、導電性の複数のコンタクト130を一体成形により組み付けることによって構成される。ボディ本体121は、シェル部材110の内面と略同一形状を呈する基部122と、基部122の前面中央部から前方に突設された接触部123と、基部122と接触部123の後方および左右側方を囲むように形成された平面視略コ字状の壁部124と、壁部124の後端面左右両端部から後方に突設された左右一対のテール部125とを有する。
【0044】
壁部124は、同一高さの後壁126および左右の側壁127を有し、これら後壁126および側壁127の上下両端面および側壁127の左右外表面は平坦に形成されている。後壁126は、基部122の後端部に連設され、基部122と左右の側壁127の間には、シェル部材110の側面部113,114が挿入されるための隙間127aが設けられている。側壁127の左右内側面の下部には、シェル部材110のテーパ部113a,114aに対応してそれぞれテーパ部128が設けられている。テーパ部128には、前端面から後方にかけて、側壁127の内側面と同一面上に、所定長さのスリット128aが形成されている。
【0045】
図13(a)に示すように、基部122の上面には、左右一対のバー部135が突設されている。バー部135は基部122の左右方向両端部から左右方向内側にかけて延在し、バー部135の上端面は側壁124の上端面と同一面上にある。さらに基部122の上面には、バー部135の前方において、左右方向全長にわたり所定深さの溝部136が形成されている。
【0046】
図13(b)に示すように、基部122の底面には、シェル部材110の後端面の凸部112aに対応し、基部122の前端から後方にかけて左右一対の凹部137が形成されている。さらに基部122の底面には、凹部137の前方において、左右方向全長にわたり所定深さの溝部138が形成されている。
【0047】
テール部125は、側面視略L字形状を呈し、その上面の凹部125aには、左右のテール部125にかけて延在する略コ字状のロック部材(不図示)を嵌合可能となっている。この凹部125aに嵌合されたロック部材の先端を、例えば基板200に設けられた貫通孔を介して基板200に固定することにより、電気コネクタ101の後端部を基板200に強固に固定できる。
【0048】
コンタクト130は、第1の実施の形態のコンタクト30(図5)と同様に設けられている。すなわち、コンタクト130は、ボディ部材120の後壁126および基部122を貫通し、その前端部は接触部123の上面および下面に露出して支持されている。コンタクト130の後端部は、複数個所で略直角に折り曲げられて左右のテール部125の間に配置され、後端のストレート部130aは、ボディ部材120の底面と略同一面上に配置されている。
【0049】
図14(a),(b)は、それぞれシェル部材110にボディ部材120を嵌合した状態を示す斜視図である。電気コネクタ101を組み立てる際は、まず、ボディ部材120の基部122および接触部123を、開口部116を介して後方からシェル部材110の内側に挿入する。ボディ部材120が最大に挿入された状態では、シェル部材110の側面部113,114がボディ部材120の基部122と側壁127との間の隙間127aに挿入されるとともに、シェル部材110の上面部後端面111bがボディ部材120のバー部135の前端面に当接し、さらにシェル部材110の後端の凸部112aがボディ部材120の底面の凹部137に嵌合する。
【0050】
この状態で、シェル部材110の平板部119を下方に折り曲げ、図14(a)に示すようにボディ部材120の後壁126とバー部135の間に押し込むことにより、ボディ部材120がシェル部材110に嵌合状態で固定される。嵌合状態においては、シェル部材110の左右外側および後側は、ボディ部材120の側壁127と後壁126とに覆われ、さらに、シェル部材110とボディ部材120の底面は同一面上に位置する。このとき、図14(b)に示すように、シェル部材110の脚部118aはボディ部材120のスリット128aに挿入され、側壁127の下端面から脚部118aが突出している。
【0051】
次いで、図11に示すようにボディ部材120の壁部124の上端面に、カバー部材140を密着状態で取り付ける。カバー部材140は、上面および下面が平坦面をなす薄肉の略矩形状部材であり、壁部124の外形形状と等しい前後左右方向の長さを有する。これにより壁部124の上面が密閉され、シェル部材110の内側に侵入した水滴が、板ばね部117の周囲の隙間を介して壁部124の外側に流れることを防止できる。
【0052】
その後、リフローはんだ付け工程により、図15に示すように電気コネクタ101が基板200に実装される。すなわち、コンタクト130の後端のストレート部130aが基板200の上面にはんだ付けされるとともに、シェル部材110の脚部118aが基板200を貫通してはんだ付けされ、さらにシェル部材110の底面全体も基板200の上面にはんだ付けされる。電気コネクタ101の後端部における基板200への取付強度を高めるため、テール部125の上面の凹部125aに、不図示のロック部材を上方から嵌合して基板200に固定してもよい。
【0053】
本実施の形態では、リフローはんだ付け工程によって電気コネクタ101全体を加熱するため、カバー部材140は、その加熱温度よりも高い耐熱性を有する材質によって構成されている。カバー部材140としては、取り扱いの容易さを考慮すると、例えばポリイミドテープを好適に用いることができ、このポリイミドテープが、耐熱性を有する接着剤を介して壁部124の上端面に接着されている。この場合、板ばね部177はへたりを生じにくい構成であるため、板ばね部177が弾性変形した際に、その上面がポリイミドテープの接着面に接触したとしても、テープの接着力よりも板ばね部177の弾性力の方が大きく、安定した板ばね部177の動作が可能である。
【0054】
基板200に実装された電気コネクタ101は、図8に示す携帯電話300等に内蔵され、電気コネクタ101にケーブルコネクタ400が接続される。本実施の形態では、電気コネクタ101の上面および左右側面が平坦に形成されているため、携帯電話300の内部のハウジング部品等によって電気コネクタ101の周囲を容易に支持できる。カバー部材140の上面をハウジング部品によって押えるようにすれば、電気コネクタ101にケーブルコネクタ400を挿抜する際に、板ばね部117の弾性変形によってカバー部材140に上方への押し上げ力が作用しても、カバー部材140の安定した接着状態を維持できる。
【0055】
図16は、基板200に実装された電気コネクタ101の要部断面図である。この図16を参照して、前面の開口部115から侵入した水滴の流れについて説明する。開口部115から侵入した水滴が、ボディ部材120の基部122の上面と板ばね部117の底面との間の隙間を通り、表面張力によって後方に流れると、その水滴は溝部136に一旦溜められ、溝部136の後方への流れが妨げられる。仮に、溝部136を通過して水滴が後方に流れたとしても、バー部135によってその流れが妨げられ、バー部135より後方へは水滴が流れにくい。
【0056】
また、開口部115から侵入した水滴が、板ばね部117の周囲の隙間を通過し、板ばね部117の上面とカバー部材140の底面との間の隙間を通って後方に流れた場合、その流れはバー部135および平板部119の存在によって妨げられる。このため、後壁126とカバー部材140との接着面126aにまで水滴が到る可能性は低く、仮に接着面126aの密着性が不十分であったとしても、後壁126を超えて水滴が流れにくい。
【0057】
一方、開口部115から侵入した水滴が、ボディ部材120の基部122の底面とシェル部材110の底面部112の上面との間の隙間を通って後方に流れると、その水滴は溝部138に一旦溜められ、溝部138の後方への流れが妨げられる。仮に、溝部138を通過して水滴が後方に流れたとしても、基部122と後壁126との嵌合部の段差によってその流れが妨げられ、その段差より後方へは水滴が流れにくい。
【0058】
開口部115から侵入した水滴の側方への流れに関しては、シェル部材110の側面部113,114が略コ字状をなすボディ部材120の壁部124によって覆われているため、側方への水滴の流れを阻止できる。また、シェル部材110の底面部112は基板200にはんだ付けされているため、底面部112と基板200との間の水滴も流れにくい。
【0059】
このように第2の実施の形態では、シェル部材110の周囲を囲むようにボディ部材120の壁部124を形成し、その壁部124の上端面にカバー部材140を接着するようにした。これにより、シェル部材110の上面部111全体がカバー部材140によって覆われ、開口部115からの水滴が、板ばね部117の周囲の隙間を介して電気コネクタ101の周囲の部品にまで到ることを防止できる。また、カバー部材140を用いた防滴構造としているので、パッキン等を用いた防水、防滴構造と異なり、リフローはんだ付けプロセスを行う場合の耐熱性の要件も満たすことができる。さらに、壁部124を略コ字状に形成したので、電気コネクタ101の側方への水滴の流れを防止でき、携帯電話300等の内部のハウジング部品への電気コネクタ101の取り付けも容易である。
【0060】
なお、上記実施の形態(図3)では、HDMI(タイプD)の規格を満たしつつ、シェル部材10の上面部11に一対の板ばね部17を形成したが、上面部11の構成はこれに限らない。図17は、上面部11の変形例を示す図である。図17(a)では、応力緩和効果を高めるため、左右一対の板ばね部17の折り曲げ線176の長さが図3のものよりも長くしている。図17(b)では、左右一対の板ばね部17の間に配置された上面部17aに、下方および上方への折り曲げ線17b,17cを設け、板ばね部を形成している。なお、複数個の電気コネクタ100を左右に配設する場合、例えば図18に示すように、シェル部材10aを幅広に形成し、このシェル部材の左右両側にそれぞれ一対の板ばね部17を設けるようにしてもよい。
【0061】
なお、上記実施の形態では、電気コネクタ100,101をHDMIコネクタ(タイプD)として構成するとともに、相手側コネクタをHDMIケーブル400aの端部のケーブルコネクタ400として説明したが、他のタイプのHDMIコネクタやHDMIコネクタ以外の電気コネクタにも本発明を同様に適用できる。したがって、シェル部材10,110の前端部(第1端)に設けられた挿抜用開口部15,115の形状は、上述したものに限らず、相手側コネクタの形状に合わせて種々のものに変更することができる。シェル部材10,110の後端部(第2端)に設けられたボディ部材嵌合用開口部16,116の形状も上述したものに限らない。
【0062】
なお、HDMIの規格には、1.0、1.1、1.2、1.2a、1.3、1.3a、1.4等、種々のバージョンがあり、各バージョン毎に機能が異なる。例えば1.3はMini HDMIとして用いられ、1.4はMicro HDMIとして用いられる。とくに、1.3、1.3a、1.4は伝送速度が速く、1.4については、HDMI Ethernet(登録商標)チャンネルを有するだけでなく、オーディオリターンチャンネルや3D映像にも対応できる。
【0063】
コンタクト30,130の後端部を直角に折り曲げるようにしたが、斜めに折り曲げるようにしてもよく、導電性のコンタクト30,130(接触子)の形状は上述したものに限らない。電気コネクタ100の自動実装の容易さを考慮して、第4辺174の後方かつ、一対の板ばね部17の第1辺171の内側に平坦面178を形成するようにしたが、電気コネクタ100が自動実装されないのであれば、平坦面178は必ずしも必要でない。
【0064】
上記第2の実施の形態では、板ばね部117を有する電気コネクタ101の上面部111全体を覆うようにカバー部材114を取り付けるようにしたが、本発明による防滴構造は、図10に示すような板ばね部17を有する電気コネクタ100aにも適用可能である。カバー部材140として、ポリイミドテープを用いたが、耐熱性を有する他の材質からなるテープや薄板状の金属等を用いることもできる。シェル部材110の周囲に略コ字状に壁部124を形成したが、壁部124の構成はこれに限らない。
【0065】
上記実施の形態では、携帯電話300に電気コネクタ100,101を適用するようにしたが、小型化が必要とされる他の携帯機器にも同様に適用することができる。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の電気コネクタおよび携帯機器に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
100,101 電気コネクタ
10,110 シェル部材
11,111 上面部
11a 平板部
12,112 底面部
13,14,113,114 側面部
15,16,115,116 開口部
17,117 板ばね部
171 第1辺
172 第2辺
173 第3辺
174 第4辺
178 平坦面
20,120 ボディ部材
124 壁部
140 カバー部材
300 携帯電話
400 ケーブルコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する板状の上面部および底面部と、前記上面部の幅方向両端部から前記底面部の幅方向両端部にそれぞれ延在する板状の一対の側面部とを有し、長手方向の第1端からその反対側の第2端にかけて延在する中空形状のシェル部材と、
前記シェル部材と一体に設けられ、前記シェル部材の内側において、長手方向に延在する導電性の複数の接触子を支持するボディ部材と、を有する電気コネクタであって、
前記シェル部材の前記第1端には、相手側コネクタが長手方向に挿抜可能に嵌合する挿抜用開口部が設けられるとともに、前記上面部には、前記挿抜用開口部を介して嵌合された前記相手側コネクタに係合する弾性変形可能な一対の板ばね部が幅方向対称に設けられ、
前記一対の板ばね部は、前記第2端側から前記第1端側へ長手方向に延在する第1辺と、前記第1辺の前記第1端側の端部から幅方向内側に延在する第2辺と、前記第2辺の幅方向内側の端部から前記第2端側へ長手方向に延在する第3辺とによりそれぞれ形成され、
さらに前記上面部に、前記一対の板ばね部材の一方を形成する前記第3辺の前記第2端側の端部から、前記一対の板ばね部材の他方を形成する前記第3辺の前記第2端側の端部にかけて第4辺が設けられ、
前記第3辺の前記第2端側の基端部は、前記第1辺の前記第2端側の基端部よりも前記第1端側に位置する、電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1辺の長さに対する前記第3辺の長さの比の値が、1/2〜2/3の範囲である、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記上面部には、前記第4辺よりも前記第2端側で、かつ、前記一対の板ばね部材の一方を形成する前記第1辺と前記一対の板ばね部材の他方を形成する前記第1辺との間に、平坦面が形成されている、請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
さらに前記シェル部材の前記第1端の略中央部に、前記一対の板ばね部材が形成する隙間を埋めるように板部が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第1および第2の板ばね部材の弾性変形を許容しつつ、前記上面部全体を覆うカバー部材をさらに有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記シェル部材の前記第2端には、前記ボディ部材が嵌合固定されるボディ部材嵌合用開口部が設けられ、
前記ボディ部材は、前記シェル部材の前記ボディ部材用開口部および前記一対の側面部を覆う略コ字状の壁部を有し、
前記カバー部材は、前記壁部の上面に装着されている、請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記相手側コネクタは、HDMIケーブルが接続されたケーブルコネクタである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気コネクタを有する携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−33430(P2012−33430A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173527(P2010−173527)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】