電気コネクタ
【課題】クロストークを抑制できる電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタ1は、本体部14と、カバー部16と、を備え、本体部14とカバー部16とは、ケーブル3を収容する空間を画成しており、本体部14は、上部ハウジング20と、下部ハウジング22と、上部ハウジング20と下部ハウジング22との間に配置される配線基板28と、上部ハウジング20と下部ハウジング22とを挟んで配置されるシールド部材30と、を有し、配線基板28は、ケーブル3と電気的な接続を行うための接触子24と、相手側コネクタと電気的な接続を行うための接続端子26と、接触子24と接続端子26とを電気的に接続する接続導線Lとを有する。
【解決手段】電気コネクタ1は、本体部14と、カバー部16と、を備え、本体部14とカバー部16とは、ケーブル3を収容する空間を画成しており、本体部14は、上部ハウジング20と、下部ハウジング22と、上部ハウジング20と下部ハウジング22との間に配置される配線基板28と、上部ハウジング20と下部ハウジング22とを挟んで配置されるシールド部材30と、を有し、配線基板28は、ケーブル3と電気的な接続を行うための接触子24と、相手側コネクタと電気的な接続を行うための接続端子26と、接触子24と接続端子26とを電気的に接続する接続導線Lとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ケーブルに取り付けられる電気コネクタとして、例えば以下の特許文献1に記載のRJプラグコネクタが知られている。
【0003】
特許文献1には、「シールドデータケーブル用プラグであって、すなわちこのプラグは、第1のシェル(1)と第2のシェル(2)とを組み合わせた導電性のハウジングと、プラグ接点(302)を収める電気的絶縁性あるプラグ本体(4)と、プリント配線基板(3)と、装着部品(5)とを持ち、プリント配線基板は、ハウジング(1、2)に差し込み可能であって、かつプラグ接点(302)と絶縁変位接点(303、304)とを支持して相互に導電性結合し、また装着部品にはデータケーブルの心線を差し込み可能であり、そしてこの装着部品は、心線に絶縁変位接点(303、304)で接触するため、プリント配線基板(3)に差し込み可能であるプラグであって、プリント配線基板(3)は第1のシェル(1)に差し込み可能であって、かつフィルム(301)によって第1のシェルの底面(101)に対して電気的に絶縁されていることと、絶縁変位接点(303、304)は、たがい違いに位置をずらして並びながら、2列に配置されていることと、差し込み方向に見て後列の絶縁変位接点(303)の高さは、前列の絶縁変位接点(304)より低いことと、装着部品(5)は心線を、心線末端がステップ状に位置をずらして置かれている2つの平面で受けることと、突き出している方の平面の心線が、前列の絶縁変位接点(304)に接触する」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−528654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LAN(Local Area Network)ケーブルなどの通信ケーブルに取り付けられる電気コネクタでは、通信品質の観点から、クロストーク(漏話)を低減することが望まれている。そのため、ケーブルが電気コネクタに取り付けられたときに、配線基板とケーブルとの間のクロストークを抑制することが重要である。
【0006】
本発明の目的は、クロストークを抑制できる電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、ケーブルに取り付けられる電気コネクタであって、本体部と、カバー部と、を備え、本体部とカバー部とは、ケーブルを収容する空間を画成しており、本体部は、上部ハウジングと、下部ハウジングと、上部ハウジングと下部ハウジングとの間に配置される配線基板と、上部ハウジングと下部ハウジングとを挟んで配置されるシールド部材と、を有し、配線基板は、ケーブルと電気的な接続を行うための接触子と、相手側コネクタと電気的な接続を行うための接続端子と、接触子と接続端子とを電気的に接続する電線と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配線基板を挟持する本体部の上部ハウジングと下部ハウジングとを挟むように、シールド部材が配置されている。そのため、本体部とカバー部とより画成された空間にケーブルが収容されたときに、配線基板の導線とケーブルとの電磁的な干渉をシールド部材によって抑制でき、配線基板とケーブルとの間のクロストークを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は一実施形態に係る電気コネクタを上方から示す斜視図であり、(b)は一実施形態に係る電気コネクタを下方から示す斜視図である。
【図2】(a)は図1に示す電気コネクタを上から見た図であり、(b)は図1に示す電気コネクタを横から見た図である。
【図3】図1に示す電気コネクタにケーブルが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図4】モジュールとケースとを示す斜視図である。
【図5】図1に示す電気コネクタの分解斜視図である。
【図6】クランプ部の取り付けを説明する斜視図である。
【図7】本体部を示す斜視図である。
【図8】図7に示す本体部の分解斜視図である。
【図9】配線基板を示す斜視図である。
【図10】本体部にケーブルが取り付けられた状態を示す図である。
【図11】カバー部の分解斜視図である。
【図12】配線基板とグラウンド構造とを示す斜視図である。
【図13】グラウンド構造を示す図である。
【図14】図13(a)に示すグラウンド構造を前から見た図である。
【図15】(a)はアーム部を示す斜視図であり、(b)はケース部を示す斜視図である。
【図16】図1に示す電気コネクタの断面図である。
【図17】モジュールにおける本体部の組立手順を示す図である。
【図18】モジュールにおけるカバー部の組立手順を示す図である。
【図19】カバー部にケーブルを取り付けるための手順を示す図である。
【図20】本体部とケース部との組立手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1(a)は、一実施形態に係る電気コネクタを上方から示す斜視図であり、図1(b)は一実施形態に係る電気コネクタを下方から示す斜視図である。図2(a)は、図1に示す電気コネクタを上から見た図であり、図2(b)は、図1に示す電気コネクタを横から見た図である。図3は、図1に示す電気コネクタにケーブルが取り付けられた状態を示す斜視図である。図4は、モジュールとケースとを示す斜視図である。
【0012】
図1及び図2に示す電気コネクタ1は、例えばISO/IEC8877で標準化されているRJ(Registered Jack)−45コネクタであり、ケーブル3の末端に取り付けられる。ケーブル3は、通信ケーブルであり、4対8芯のツイストペアケーブル5(図10参照)と、このツイストペアケーブル5全体の外周を覆うシールド7(図10参照)とを有するLAN(Local Area Network)ケーブルである。
【0013】
電気コネクタ1は、モジュール10と、ケース12とを備えている。図5は、図1に示す電気コネクタの分解斜視図である。図6は、クランプ部の取り付けを説明する斜視図である。図5及び図6に示すように、モジュール10は、本体部14と、カバー部16と、クランプ部18とを有している。本体部14とカバー部16とは、ケーブル3を収容する収容空間を画成している。
【0014】
図7は、本体部を示す斜視図である。図8は、図7に示す本体部の分解斜視図である。本体部14は、上部ハウジング20と、下部ハウジング22と、配線基板28と、第1シールド部材30とを有している。
【0015】
上部ハウジング20は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT:polybutylene terephthalate)、ポリアミド(PA:polyamide)などの材料から形成されている。上部ハウジング20は、収容部31と、接触子保持部33と、コネクタ部35とから構成されている。上部ハウジング20は、収容部31、接触子保持部33及びコネクタ部35が例えば射出成形により一体に形成されている。
【0016】
収容部31は、ツイストペアケーブル5が収容される収容空間S1を画成する部分である。収容部31は、板状をなしており、上方から見て略矩形形状を呈している。収容部31の一面(上面)31aは、平坦面となっている。
【0017】
接触子保持部33は、後述する接触子24を保持して固定する部分である。接触子保持部33は、収容部31の幅方向の両側において、収容部31の長手方向に沿って設けられている。具体的には、接触子保持部33は、収容部31の長手方向に沿って所定の間隔(等間隔)をあけて配置されていると共に、収容部31の幅方向において対向する位置に配置されている。なお、上部ハウジング20には、収容部31の長手方向に沿って配置された接触子保持部33を間に挟む位置に、カバー部16と係合する複数(ここでは4つの)係合部34a〜34dが設けられている。
【0018】
コネクタ部35は、接続対象のモジュラジャックのプラグ挿入口(図示しない)に差し込まれる部分である。コネクタ部35は、収容部31の一端側(前端側)に設けられている。コネクタ部35は、後述する接続端子26を収容すると共に、接続端子26を保持する。コネクタ部35には、接続端子26を露出させる溝35aが設けられている。溝35aは、本体部14の長手方向に沿って延びていると共に、幅方向において所定の間隔をあけて配置されている。また、コネクタ部35の後端部には、後述する第1シールド部材30の係合部40aが配置される配置部36が設けられている。
【0019】
下部ハウジング22は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの材料から形成されている。下部ハウジング22は、配線基板28が載置される底部22aと、底部22aの幅方向の両端部から起立する側面部22b,22cとから構成されている。底部22aと側面部22b,22cとにより、配線基板28を収容する収容空間S2が画成されている。また、図5に示すように、下部ハウジング22の一端部(前端部)には、後述するケース12のアーム部70の先端部分74を固定するアーム固定部23が設けられている。
【0020】
配線基板28は、複数(ここでは8個)の接触子24と、複数(ここでは8個)の接続端子26と、接触子24と接続端子26とを電気的に接続する接続導線(電線)Lとを有している。配線基板28は、上部ハウジング20と下部ハウジング22との間に配置されている。配線基板28は、下部ハウジング22の収容空間S2に収容されると共に、上部ハウジング20と下部ハウジング22とに挟持されている。配線基板28は、例えばプリント回路板(PCB:Printed Circuit Board)である。
【0021】
まず、接触子24及び接続端子26について説明する。接触子24は、例えば金属などの導電部材からなり、スリット24aが形成された二又形状となっている。接触子24のスリット24aにツイストペアケーブル5が挿入(圧入)されることにより、ツイストペアケーブル5が接触子24に電気的に接続される。すなわち、ツイストペアケーブル5の被覆カバーに接触子24が切り込み、接触子24がツイストペアケーブル5の導線の導体まで到達して電気的に接続される。接触子24は、接触子保持部33に保持されると共に、その一端部(下端部)が配線基板28の第1挿入穴H1に挿入される。図8に示すように、接触子24は、配線基板28から面外方向、すなわち上方に突出している。
【0022】
接続端子26は、相手側コネクタであるモジュラジャックの各接触子と電気的な接続を行い、接触子と一対一で導通する部分である。接続端子26は、コネクタ部35に配置される。接続端子26は、略U字状を呈している。接続端子26の一端部は、配線基板28の第2挿入穴H2に挿入されて配線基板28に保持される。接続端子26は、コネクタ部35の溝35aに沿って配置され、溝35aにおいて露出した部分が接触部分となっている。
【0023】
図9は、配線基板を示す斜視図である。図9に示すように、配線基板28は、略矩形形状を呈しており、所定の厚みを有している。配線基板28には、接触子24の一端部が挿入される第1挿入穴H1と、接続端子26の一端部が挿入される第2挿入穴H2とが、それぞれ複数(ここでは8個)形成されている。第1挿入穴H1は、配線基板28の幅方向の両端部において、長手方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。第1挿入穴H1は貫通穴であり、第1挿入穴H1の内側面には、めっきが施されている。
【0024】
第2挿入穴H2は、配線基板28の長手方向の一端部において、千鳥状に配置されている。第2挿入穴H2は貫通穴であり、第2挿入穴H2の内側面には、めっきが施されている。所定の第1挿入穴H1と所定の第2挿入穴H2とは、接続導線Lによってそれぞれ電気的に接続されている。接続導線Lにより、接触子24と接続端子26とが電気的に接続される。
【0025】
第1シールド部材30は、ケーブル3のツイストペアケーブル5と配線基板28の接続導線Lとの間におけるクロストークを抑制する部材である。第1シールド部材30は、例えばSUS301などから形成されている。第1シールド部材30は、上部ハウジング20の上部側で且つ対向配置される接触子24の間に配置される第1部分と、下部ハウジング22の下部側に配置される第2部分とを有している。すなわち、第1シールド部材30は、上部分(第1部分)40と、下部分(第2部分)42と、上部分40と下部分42とを連結する連結部分44とから構成されている。第1シールド部材30は、上部分40、下部分42及び連結部分44が板金により一体に形成されている。第1シールド部材30は、上部ハウジング20と下部ハウジング22とを挟むように、上部ハウジング20と下部ハウジング22とに取り付けられる。
【0026】
上部分40は、平板状の部材であり、厚みが例えば0.1mm〜0.6mmの範囲である。上部分40は、上部ハウジング20の収容部31の幅寸法と略同等の幅寸法を有している。上部分40は、対向する接触子26の間において、上部ハウジング20の収容部31を覆うように収容部31に対向して配置され、収容部31の上面31aに面接触する。上部分40の一端部には、後述する第2シールド部材54の係合部54aと係合する係合部40aが設けられている。係合部40aは、上部ハウジング20の配置部36に配置される。
【0027】
下部分42は、断面略U字形状を呈している。下部分42は、下部ハウジング22の底面22aA側に配置され、底面22aAと面接触すると共に、下部ハウジング22の側面部22b,22cの外面を覆う。下部分42の幅寸法は、上部分40の幅寸法よりも大きい。上部分40と下部分42とは、連結部分44によって折り返されて連設されおり、上下方向において所定の間隔をあけて離間し且つ略平行に対向配置されている。連結部分44は、上部分40と略同等の幅寸法を有している。
【0028】
図11は、カバー部の分解斜視図である。図11に示すように、カバー部16は、ワイヤーガイド部50と、ケーブル受け部52と、第2シールド部材54とを有している。ワイヤーガイド部50は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの材料から形成されている。ワイヤーガイド部50は、ツイストペアケーブル5を収容する収容空間S3を画成する側面部50a,50bを有している。側面部50a,50bは、対向配置されており、側面部50a,50bには、ケーブル3のツイストペアケーブル5が配置されるガイド溝51が形成されている。ガイド溝51は、側面部50a,50bの長手方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。ガイド溝51は、接触子24の配置される位置、すなわち上部ハウジング20の接触子保持部33に対応する位置に設けられている。
【0029】
ワイヤーガイド部50の長手方向の一端部には、ケーブル受け部52が配置される配置部56が設けられている。配置部56には、クランプ部18を係止する係止部58が設けられている。係止部58は、ワイヤーガイド部50の長手方向において対向して配置されていると共に、幅方向において対向して配置されている。つまり、係止部58は、配置部56の四隅に配置されている。配置部56には、後述するケーブル受け部52のねじ穴59a,59bに対応する位置に、2つの貫通穴H3,H4が形成されている。また、ワイヤーガイド部50の長手方向の他端部には、第2シールド部材54の後述する係合部54aと嵌合する嵌合部50cが設けられている。
【0030】
ケーブル受け部52は、厚さが0.6mm程度であり、SUS(Steel UseStainless:ステンレス鋼)などの材料から形成されている。ケーブル受け部52は、ワイヤーガイド部50の配置部56に配置され、クランプ部18との間にケーブル3を挟持することにより、ケーブル3を保持する。ケーブル受け部52の両端部には、後述するクランプ部18のねじN1,N2が螺入される2つのねじ穴59a,59bが形成されている。ケーブル受け部52は、ケーブル3の被覆カバーが除去されて露出したシールド7と物理的且つ電気的に接触する。つまり、ケーブル3のシールド7とケーブル受け部52とは、同電位(接地電位)となる。
【0031】
第2シールド部材54は、厚さが例えば0.1mm〜0.6mmの範囲であり、SUSなどの材料から形成されている。第2シールド部材54は、ワイヤーガイド部50の下部に配置される。第2シールド部材54の一端部には、第1シールド部材30の係合部40aと係合する係合部54aが設けられている。係合部54aは、ワイヤーガイド部50の嵌合部50cと嵌合し、ワイヤーガイド部50に保持される。
【0032】
第2シールド部材54の他端部には、ケーブル受け部52と物理的且つ電気的に接触する一対の接触部54b,54cが設けられている。接触部54b,54cは、ワイヤーガイド部50の配置部56において、ワイヤーガイド部50とケーブル受け部52との間に配置される。つまり、第2シールド部材54は、接触部54b,54cがワイヤーガイド部50とケーブル受け部52とに挟持されることにより、ワイヤーガイド部50に保持されている。接触部54b,54cには、ねじN1,N2を挿通する開口K1,K2が設けられている。
【0033】
第1シールド部材30の係合部40aと第2シールド部材54の係合部54aとが係合することにより、第1シールド部材30と第2シールド部材54とが物理的且つ電気的に接続される。すなわち、第1シールド部材30と第2シールド部材54とは、同電位となる。また、第2シールド部材54の一対の接触部54b,54cとケーブル受け部52とは、物理的且つ電気的に接続される。すなわち、第2シールド部材54とケーブル受け部52とは同電位となり、第2シールド部材54とケーブル3のシールド7とが同電位(接地電位)となる。
【0034】
クランプ部18は、カバー部16にケーブル3を固定するための部品である。クランプ部18は、ケーブルクランプ部60と、複数本(ここでは2本)のねじN1,N2とから構成されている。ケーブルクランプ部60の両端部には、ねじN1,N2が挿通される2つの挿通穴(図示しない)が設けられている。図6に示すように、ケーブルクランプ部60は、カバー部16のケーブル受け部52に対応する位置に配置され、カバー部16の係止部58に係止されて固定される。また、ねじN1,N2は、ワイヤーガイド部50の貫通穴H3,H4を介してケーブル受け部52のねじ穴59a,59bに螺入される。ケーブル3は、ケーブル受け部52とケーブルクランプ部60とに挟持され、モジュール10に固定される。
【0035】
なお、ケーブルクランプ部60には、組立前の状態において、シールM(図19参照)が貼り付けられている。シールMには、ツイストペアケーブル5の配置位置、すなわちツイストペアケーブル5を接触子24に挿入する位置の説明図が記載されている。これにより、ツイストペアケーブル5を接触子24に挿入する際の作業性の向上が図れる。また、シールMにより、ねじN1,N2がケーブルクランプ部60に保持されている。したがって、ねじN1,N2の紛失を防止できると共に、ねじN1,N2をケーブルクランプ部60に挿入するといった作業を省略できる。
【0036】
図12は、回路基板とグラウンド構造とを示す図である。図13は、グラウンド構造を示す図である。図14は、図13(a)に示すグラウンド構造を前から見た図である。
【0037】
図12〜図14に示すように、第1シールド部材30、第2シールド部材54及びケーブル受け部52は、電気的に接続されている。具体的には、第1シールド部材30と第2シールド部材54とは、係合部40aと係合部54aとが係合して、物理的且つ電気的に接続されている。第2シールド部材54とケーブル受け部52とは、第2シールド部材54の接触部54b,54cとケーブル受け部52と接触することにより、物理的且つ電気的に接続されている。
【0038】
このような構成により、電気コネクタ1では、ケーブル3が取り付けられた状態において、第1シールド部材30、第2シールド部材54及びケーブル受け部52がケーブル3のシールド7と同電位(接地電位)となる。
【0039】
続いて、ケース12について説明する。図15(a)は、アーム部を示す斜視図であり、図15(b)は、ケース部を示す斜視図である。図16は、図1に示す電気コネクタの断面図である。
【0040】
図15及び図16に示すように、ケース12は、アーム部70と、ケース部72とを有している。ケース12は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの材料から形成されている。アーム部70は、可撓性を有しており、ケース12にモジュール10を着脱可能に固定している。
【0041】
アーム部70は、先端部分(第2端部)74と、先端部分74とは反対側の基端部分(第1端部)76と、先端部分74と基端部分76とを繋ぐ連結部分(中央部分)78とから構成されている。アーム部70は、先端部分74、基端部分76及び連結部分78が一体に形成されている。
【0042】
先端部分74は、第1端部の反対側の一端部側に設けられ、モジュール10の露出した部分に着脱可能に取り付けられる。すなわち、先端部分74は、モジュール10における本体部14の下部ハウジング22、つまりケース12から露出するモジュール10に固定される。具体的には、先端部分74は、下部ハウジング22のアーム固定部23に嵌合し、下部ハウジング22に対して固定される。先端部分74には、モジュラジャックのプラグ挿入口に挿入されるラッチ部75が設けられている。ラッチ部75は、先端部分74の他の部分よりも幅広に形成されている。
【0043】
基端部分76は、モジュール10の他端部側に設けられ、ケース12に着脱可能に取り付けられる。すなわち、基端部分76は、ケース部72に固定される。基端部分76は、略U字形状を呈しており、先端部分74よりも幅広に形成されている。基端部分76は、被固定部80と、開口部82とを有している。被固定部80は、板状をなしており、基端部分76の他の部分よりも幅広に形成されている。被固定部80は、後述するケース部72の固定部92に固定される。
【0044】
開口部82は、アーム部70の延在方向に沿って形成されている。開口部82は、略矩形形状を呈しており、基端部分76において、アーム部70の幅方向の中央部に設けられている。
【0045】
連結部分78は、略帯状を成している。連結部分78は、先端部分74よりも幅広に形成されている。連結部分78は、ケース部72との間に所定の間隔をあけて、ケース部72から離間して配置されている。
【0046】
ケース部72は、中空の略直方体形状を呈している。ケース部72は、モジュール10を収容する収容空間S4(図5参照)を画成するケース本体部86を有している。ケース本体部86は、ケース本体部86の他方側に設けられ、モジュール10が挿入される開口部88と、ケース本体部86の一方側に設けられ、ケーブル3が挿通されるケーブル挿通部90とを有している。また、ケース部72は、ケース本体部86の一側面86aに設けられ、アーム部70の基端部分76を固定する固定部92と、ケース本体部86の一側面86aから立設されたストッパー部(突起部)94とを有している。
【0047】
固定部92は、アーム部70における基端部分76の被固定部80を固定する。固定部92は、ケース本体部86の一側面86aにおいて、幅方向の両端部に配置される第1及び第2部分92a,92bと、第1及び第2部分92a,92bの間に配置される第3部分92cとを有している。第1〜第3部分92a〜92cは、ケース本体部86の一側面86aとの間に、被固定部80の厚み程度の空間を画成しており、被固定部80をケース本体部86の一側面86aとの間に挿入して挟みこむ構成を有している。
【0048】
ストッパー部94は、略柱状をなしており、ケース本体部86の一側面86aから上方に突出している。ストッパー部94は、ケース本体部86の一側面86aにおいて、後端部寄りで且つ幅方向の略中央部に配置されている。ストッパー部94は、アーム部70における基端部分76の開口部82に位置する。ストッパー部94は、アーム部70の撓みを制限する部分であり、連結部分78が所定量以上下方(ケース12側)に押圧されないように、連結部分78の撓み量(動き)を制限する。つまり、ストッパー部94は、基端部分76が過剰に屈曲することを制限している。
【0049】
このように、ケース12では、アーム部70が押圧されたときに、ストッパー部94により連結部分78が一定量以上下方に押圧されない。これにより、アーム部70の基端部分76に過剰な負荷(変位)が加えられることを防止できる。したがって、アーム部70の基端部分76が破損することを防止できる。
【0050】
モジュール10は、その一端部側(後部側)がケース12のケース本体部86に収容され、その他端部側(前部側)がケース本体部86の外部に露出している。具体的には、モジュール10は、ケース12において、本体部14のコネクタ部35が露出し、クランプ部18がケース本体部86に収容されている。つまり、クランプ部18は、モジュール10において他端部側に隣接した位置に配置されている。
【0051】
続いて、電気コネクタ1の組立方法について説明する。図17は、モジュールにおける本体部の組立手順を示す図である。図18は、モジュールにおけるカバー部の組立手順を示す図である。図19は、カバー部にケーブルを取り付けるための手順を示す図である。図20は、本体部とケース部との組立手順を示す図である。
【0052】
最初に、本体部14の組立方法を説明する。図17(a)に示すように、まず上部ハウジング20の下部に配線基板28を配置する。続いて、図17(b)に示すように、配線基板28の下方に下部ハウジング22を配置して、上部ハウジング20と下部ハウジング22とを結合させる。続いて、図17(c)に示すように、第1シールド部材30を一端側から、上部ハウジング20と下部ハウジング22とを挟み込むように挿入する。これにより、図17(d)に示すように、本体部14が組み立てられる。
【0053】
次に、カバー部16の組立方法を説明する。図18(a)に示すように、ワイヤーガイド部50を準備する。続いて、図18(b)及び図18(c)に示すように、ワイヤーガイド50の嵌合部50cに第2シールド部材54の係合部54aを取り付ける。そして、図18(d)に示すように、ワイヤーガイド部50の配置部56にケーブル受け部52を取り付けて、カバー部16が組み立てられる。
【0054】
次に、ケーブル3をカバー部16に取り付ける方法について説明する。図19(a)に示すように、カバー部16を準備する。続いて、図19(b)に示すように、カバー部16にケーブル3を配置する。ケーブル3は、端部の被覆カバーを剥いでツイストケーブル3を露出させると共に、シールド7を露出させる。そして、カバー部16のケーブル受け部52にシールド7が位置し、ツイストケーブル3がワイヤーガイド部50の収容空間S3に位置するように、カバー部16にケーブル3を配置する。
【0055】
続いて、図19(c)に示すように、カバー部16にクランプ部18を配置する。そして、図19(d)に示すように、ねじN1,N2により、カバー部16にケーブルクランプ60を取り付ける。これにより、ケーブル3がカバー部16とクランプ部18とにより挟持され、ケーブル3がカバー部16とクランプ部18とに固定される。その後、ツイストケーブル5が図10に示す配置となるように、ワイヤーガイド50のガイド溝51にツイストケーブル5を配置する。
【0056】
次に、図20(a)に示すように、本体部14を準備する。続いて、図20(b)に示すように、本体部14にケーブル3を保持したカバー部16を取り付ける。具体的には、本体部14とカバー部16とを一体化する。このとき、本体部14の係合部34a〜34dがカバー部16に係合する。これにより、本体部14とケース部16とが結合される。また、ツイストペアケーブル5が接触子24に圧入され、ツイストペアケーブル5の導線と接触子24とが電気的に接続される。そして、図20(c)に示すように、余剰なツイストペアケーブル5を切除する。
【0057】
最後に、上述のように組み立てられたモジュール10にケース12をケーブル3側から挿入し、アーム部70における先端部分74の被固定部74aを本体部14のアーム固定部23に取り付ける。以上のように、電気コネクタ1にケーブル3が取り付けられる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態では、ケーブル3のツイストペアケーブル5と配線基板28との間に第1シールド部材30の上部分40が配置されている。これにより、ケーブル3のツイストペアケーブル5と配線基板28の接続導線Lとの間の電磁的な影響を小さくでき、電磁的な干渉の発生を抑制できる。したがって、ツイストペアケーブル5と接続導線Lとの間のクロストークを抑制できる。その結果、電気コネクタ1におけるノイズの発生を抑制できる。
【0059】
また、第1シールド部材30、第2シールド部材54及びケーブル受け部52とは、電気的に接続されており、ケーブル受け部52は、ケーブル3のシールド7と電気的に接続されている。これにより、第1シールド部材30は、第2シールド部材54及びケーブル受け部52を介して接地電位となるため、電位が安定化されている。したがって、電気コネクタ1では、第1シールド部材30により、効果的にクロストークを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態では、ケーブル受け部52は、ケーブル3のシールド7と電気的に接続する機能と、ケーブル3を固定する機能とを兼ね備えている。したがって、ケーブル3を固定する部分とシールド7と電気的に接続される部分とが別個で設けられている場合に比べて、電気コネクタ1の小型化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、ケース12において、アーム部70の両端部が固定されている。これにより、一端部のみが固定される構成の場合のように、変位方向(ケース12側)とは逆の方向に変位する(折り曲げられる)ことが防止されるため、アーム部70の破損が防止される。
【0062】
さらに、ケース12では、ストッパー部94が形成されている。これにより、アーム部70において連結部分78が過剰に撓むことが防止され、これにより、基端部分76に過剰な負荷が加えられることを防止できる。したがって、基端部分76の破損を防止できる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…電気コネクタ、3…ケーブル、10…モジュール、12…ケース、14…本体部、16…カバー部、18…クランプ部、20…上部ハウジング、22…下部ハウジング、24…接触子、26…接続端子、28…配線基板、30…第1シールド部材(シールド部材)、40…上部分(第1部分)、42…下部分(第2部分)、54…第2シールド部材、70…アーム部(アーム)、74…先端部分(第1端部)、76…基端部分(第2端部)、78…連結部分(中央部分)、94…ストッパー部(突起部)、L…接続導線(電線)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ケーブルに取り付けられる電気コネクタとして、例えば以下の特許文献1に記載のRJプラグコネクタが知られている。
【0003】
特許文献1には、「シールドデータケーブル用プラグであって、すなわちこのプラグは、第1のシェル(1)と第2のシェル(2)とを組み合わせた導電性のハウジングと、プラグ接点(302)を収める電気的絶縁性あるプラグ本体(4)と、プリント配線基板(3)と、装着部品(5)とを持ち、プリント配線基板は、ハウジング(1、2)に差し込み可能であって、かつプラグ接点(302)と絶縁変位接点(303、304)とを支持して相互に導電性結合し、また装着部品にはデータケーブルの心線を差し込み可能であり、そしてこの装着部品は、心線に絶縁変位接点(303、304)で接触するため、プリント配線基板(3)に差し込み可能であるプラグであって、プリント配線基板(3)は第1のシェル(1)に差し込み可能であって、かつフィルム(301)によって第1のシェルの底面(101)に対して電気的に絶縁されていることと、絶縁変位接点(303、304)は、たがい違いに位置をずらして並びながら、2列に配置されていることと、差し込み方向に見て後列の絶縁変位接点(303)の高さは、前列の絶縁変位接点(304)より低いことと、装着部品(5)は心線を、心線末端がステップ状に位置をずらして置かれている2つの平面で受けることと、突き出している方の平面の心線が、前列の絶縁変位接点(304)に接触する」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−528654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LAN(Local Area Network)ケーブルなどの通信ケーブルに取り付けられる電気コネクタでは、通信品質の観点から、クロストーク(漏話)を低減することが望まれている。そのため、ケーブルが電気コネクタに取り付けられたときに、配線基板とケーブルとの間のクロストークを抑制することが重要である。
【0006】
本発明の目的は、クロストークを抑制できる電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、ケーブルに取り付けられる電気コネクタであって、本体部と、カバー部と、を備え、本体部とカバー部とは、ケーブルを収容する空間を画成しており、本体部は、上部ハウジングと、下部ハウジングと、上部ハウジングと下部ハウジングとの間に配置される配線基板と、上部ハウジングと下部ハウジングとを挟んで配置されるシールド部材と、を有し、配線基板は、ケーブルと電気的な接続を行うための接触子と、相手側コネクタと電気的な接続を行うための接続端子と、接触子と接続端子とを電気的に接続する電線と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配線基板を挟持する本体部の上部ハウジングと下部ハウジングとを挟むように、シールド部材が配置されている。そのため、本体部とカバー部とより画成された空間にケーブルが収容されたときに、配線基板の導線とケーブルとの電磁的な干渉をシールド部材によって抑制でき、配線基板とケーブルとの間のクロストークを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は一実施形態に係る電気コネクタを上方から示す斜視図であり、(b)は一実施形態に係る電気コネクタを下方から示す斜視図である。
【図2】(a)は図1に示す電気コネクタを上から見た図であり、(b)は図1に示す電気コネクタを横から見た図である。
【図3】図1に示す電気コネクタにケーブルが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図4】モジュールとケースとを示す斜視図である。
【図5】図1に示す電気コネクタの分解斜視図である。
【図6】クランプ部の取り付けを説明する斜視図である。
【図7】本体部を示す斜視図である。
【図8】図7に示す本体部の分解斜視図である。
【図9】配線基板を示す斜視図である。
【図10】本体部にケーブルが取り付けられた状態を示す図である。
【図11】カバー部の分解斜視図である。
【図12】配線基板とグラウンド構造とを示す斜視図である。
【図13】グラウンド構造を示す図である。
【図14】図13(a)に示すグラウンド構造を前から見た図である。
【図15】(a)はアーム部を示す斜視図であり、(b)はケース部を示す斜視図である。
【図16】図1に示す電気コネクタの断面図である。
【図17】モジュールにおける本体部の組立手順を示す図である。
【図18】モジュールにおけるカバー部の組立手順を示す図である。
【図19】カバー部にケーブルを取り付けるための手順を示す図である。
【図20】本体部とケース部との組立手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1(a)は、一実施形態に係る電気コネクタを上方から示す斜視図であり、図1(b)は一実施形態に係る電気コネクタを下方から示す斜視図である。図2(a)は、図1に示す電気コネクタを上から見た図であり、図2(b)は、図1に示す電気コネクタを横から見た図である。図3は、図1に示す電気コネクタにケーブルが取り付けられた状態を示す斜視図である。図4は、モジュールとケースとを示す斜視図である。
【0012】
図1及び図2に示す電気コネクタ1は、例えばISO/IEC8877で標準化されているRJ(Registered Jack)−45コネクタであり、ケーブル3の末端に取り付けられる。ケーブル3は、通信ケーブルであり、4対8芯のツイストペアケーブル5(図10参照)と、このツイストペアケーブル5全体の外周を覆うシールド7(図10参照)とを有するLAN(Local Area Network)ケーブルである。
【0013】
電気コネクタ1は、モジュール10と、ケース12とを備えている。図5は、図1に示す電気コネクタの分解斜視図である。図6は、クランプ部の取り付けを説明する斜視図である。図5及び図6に示すように、モジュール10は、本体部14と、カバー部16と、クランプ部18とを有している。本体部14とカバー部16とは、ケーブル3を収容する収容空間を画成している。
【0014】
図7は、本体部を示す斜視図である。図8は、図7に示す本体部の分解斜視図である。本体部14は、上部ハウジング20と、下部ハウジング22と、配線基板28と、第1シールド部材30とを有している。
【0015】
上部ハウジング20は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT:polybutylene terephthalate)、ポリアミド(PA:polyamide)などの材料から形成されている。上部ハウジング20は、収容部31と、接触子保持部33と、コネクタ部35とから構成されている。上部ハウジング20は、収容部31、接触子保持部33及びコネクタ部35が例えば射出成形により一体に形成されている。
【0016】
収容部31は、ツイストペアケーブル5が収容される収容空間S1を画成する部分である。収容部31は、板状をなしており、上方から見て略矩形形状を呈している。収容部31の一面(上面)31aは、平坦面となっている。
【0017】
接触子保持部33は、後述する接触子24を保持して固定する部分である。接触子保持部33は、収容部31の幅方向の両側において、収容部31の長手方向に沿って設けられている。具体的には、接触子保持部33は、収容部31の長手方向に沿って所定の間隔(等間隔)をあけて配置されていると共に、収容部31の幅方向において対向する位置に配置されている。なお、上部ハウジング20には、収容部31の長手方向に沿って配置された接触子保持部33を間に挟む位置に、カバー部16と係合する複数(ここでは4つの)係合部34a〜34dが設けられている。
【0018】
コネクタ部35は、接続対象のモジュラジャックのプラグ挿入口(図示しない)に差し込まれる部分である。コネクタ部35は、収容部31の一端側(前端側)に設けられている。コネクタ部35は、後述する接続端子26を収容すると共に、接続端子26を保持する。コネクタ部35には、接続端子26を露出させる溝35aが設けられている。溝35aは、本体部14の長手方向に沿って延びていると共に、幅方向において所定の間隔をあけて配置されている。また、コネクタ部35の後端部には、後述する第1シールド部材30の係合部40aが配置される配置部36が設けられている。
【0019】
下部ハウジング22は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの材料から形成されている。下部ハウジング22は、配線基板28が載置される底部22aと、底部22aの幅方向の両端部から起立する側面部22b,22cとから構成されている。底部22aと側面部22b,22cとにより、配線基板28を収容する収容空間S2が画成されている。また、図5に示すように、下部ハウジング22の一端部(前端部)には、後述するケース12のアーム部70の先端部分74を固定するアーム固定部23が設けられている。
【0020】
配線基板28は、複数(ここでは8個)の接触子24と、複数(ここでは8個)の接続端子26と、接触子24と接続端子26とを電気的に接続する接続導線(電線)Lとを有している。配線基板28は、上部ハウジング20と下部ハウジング22との間に配置されている。配線基板28は、下部ハウジング22の収容空間S2に収容されると共に、上部ハウジング20と下部ハウジング22とに挟持されている。配線基板28は、例えばプリント回路板(PCB:Printed Circuit Board)である。
【0021】
まず、接触子24及び接続端子26について説明する。接触子24は、例えば金属などの導電部材からなり、スリット24aが形成された二又形状となっている。接触子24のスリット24aにツイストペアケーブル5が挿入(圧入)されることにより、ツイストペアケーブル5が接触子24に電気的に接続される。すなわち、ツイストペアケーブル5の被覆カバーに接触子24が切り込み、接触子24がツイストペアケーブル5の導線の導体まで到達して電気的に接続される。接触子24は、接触子保持部33に保持されると共に、その一端部(下端部)が配線基板28の第1挿入穴H1に挿入される。図8に示すように、接触子24は、配線基板28から面外方向、すなわち上方に突出している。
【0022】
接続端子26は、相手側コネクタであるモジュラジャックの各接触子と電気的な接続を行い、接触子と一対一で導通する部分である。接続端子26は、コネクタ部35に配置される。接続端子26は、略U字状を呈している。接続端子26の一端部は、配線基板28の第2挿入穴H2に挿入されて配線基板28に保持される。接続端子26は、コネクタ部35の溝35aに沿って配置され、溝35aにおいて露出した部分が接触部分となっている。
【0023】
図9は、配線基板を示す斜視図である。図9に示すように、配線基板28は、略矩形形状を呈しており、所定の厚みを有している。配線基板28には、接触子24の一端部が挿入される第1挿入穴H1と、接続端子26の一端部が挿入される第2挿入穴H2とが、それぞれ複数(ここでは8個)形成されている。第1挿入穴H1は、配線基板28の幅方向の両端部において、長手方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。第1挿入穴H1は貫通穴であり、第1挿入穴H1の内側面には、めっきが施されている。
【0024】
第2挿入穴H2は、配線基板28の長手方向の一端部において、千鳥状に配置されている。第2挿入穴H2は貫通穴であり、第2挿入穴H2の内側面には、めっきが施されている。所定の第1挿入穴H1と所定の第2挿入穴H2とは、接続導線Lによってそれぞれ電気的に接続されている。接続導線Lにより、接触子24と接続端子26とが電気的に接続される。
【0025】
第1シールド部材30は、ケーブル3のツイストペアケーブル5と配線基板28の接続導線Lとの間におけるクロストークを抑制する部材である。第1シールド部材30は、例えばSUS301などから形成されている。第1シールド部材30は、上部ハウジング20の上部側で且つ対向配置される接触子24の間に配置される第1部分と、下部ハウジング22の下部側に配置される第2部分とを有している。すなわち、第1シールド部材30は、上部分(第1部分)40と、下部分(第2部分)42と、上部分40と下部分42とを連結する連結部分44とから構成されている。第1シールド部材30は、上部分40、下部分42及び連結部分44が板金により一体に形成されている。第1シールド部材30は、上部ハウジング20と下部ハウジング22とを挟むように、上部ハウジング20と下部ハウジング22とに取り付けられる。
【0026】
上部分40は、平板状の部材であり、厚みが例えば0.1mm〜0.6mmの範囲である。上部分40は、上部ハウジング20の収容部31の幅寸法と略同等の幅寸法を有している。上部分40は、対向する接触子26の間において、上部ハウジング20の収容部31を覆うように収容部31に対向して配置され、収容部31の上面31aに面接触する。上部分40の一端部には、後述する第2シールド部材54の係合部54aと係合する係合部40aが設けられている。係合部40aは、上部ハウジング20の配置部36に配置される。
【0027】
下部分42は、断面略U字形状を呈している。下部分42は、下部ハウジング22の底面22aA側に配置され、底面22aAと面接触すると共に、下部ハウジング22の側面部22b,22cの外面を覆う。下部分42の幅寸法は、上部分40の幅寸法よりも大きい。上部分40と下部分42とは、連結部分44によって折り返されて連設されおり、上下方向において所定の間隔をあけて離間し且つ略平行に対向配置されている。連結部分44は、上部分40と略同等の幅寸法を有している。
【0028】
図11は、カバー部の分解斜視図である。図11に示すように、カバー部16は、ワイヤーガイド部50と、ケーブル受け部52と、第2シールド部材54とを有している。ワイヤーガイド部50は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの材料から形成されている。ワイヤーガイド部50は、ツイストペアケーブル5を収容する収容空間S3を画成する側面部50a,50bを有している。側面部50a,50bは、対向配置されており、側面部50a,50bには、ケーブル3のツイストペアケーブル5が配置されるガイド溝51が形成されている。ガイド溝51は、側面部50a,50bの長手方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。ガイド溝51は、接触子24の配置される位置、すなわち上部ハウジング20の接触子保持部33に対応する位置に設けられている。
【0029】
ワイヤーガイド部50の長手方向の一端部には、ケーブル受け部52が配置される配置部56が設けられている。配置部56には、クランプ部18を係止する係止部58が設けられている。係止部58は、ワイヤーガイド部50の長手方向において対向して配置されていると共に、幅方向において対向して配置されている。つまり、係止部58は、配置部56の四隅に配置されている。配置部56には、後述するケーブル受け部52のねじ穴59a,59bに対応する位置に、2つの貫通穴H3,H4が形成されている。また、ワイヤーガイド部50の長手方向の他端部には、第2シールド部材54の後述する係合部54aと嵌合する嵌合部50cが設けられている。
【0030】
ケーブル受け部52は、厚さが0.6mm程度であり、SUS(Steel UseStainless:ステンレス鋼)などの材料から形成されている。ケーブル受け部52は、ワイヤーガイド部50の配置部56に配置され、クランプ部18との間にケーブル3を挟持することにより、ケーブル3を保持する。ケーブル受け部52の両端部には、後述するクランプ部18のねじN1,N2が螺入される2つのねじ穴59a,59bが形成されている。ケーブル受け部52は、ケーブル3の被覆カバーが除去されて露出したシールド7と物理的且つ電気的に接触する。つまり、ケーブル3のシールド7とケーブル受け部52とは、同電位(接地電位)となる。
【0031】
第2シールド部材54は、厚さが例えば0.1mm〜0.6mmの範囲であり、SUSなどの材料から形成されている。第2シールド部材54は、ワイヤーガイド部50の下部に配置される。第2シールド部材54の一端部には、第1シールド部材30の係合部40aと係合する係合部54aが設けられている。係合部54aは、ワイヤーガイド部50の嵌合部50cと嵌合し、ワイヤーガイド部50に保持される。
【0032】
第2シールド部材54の他端部には、ケーブル受け部52と物理的且つ電気的に接触する一対の接触部54b,54cが設けられている。接触部54b,54cは、ワイヤーガイド部50の配置部56において、ワイヤーガイド部50とケーブル受け部52との間に配置される。つまり、第2シールド部材54は、接触部54b,54cがワイヤーガイド部50とケーブル受け部52とに挟持されることにより、ワイヤーガイド部50に保持されている。接触部54b,54cには、ねじN1,N2を挿通する開口K1,K2が設けられている。
【0033】
第1シールド部材30の係合部40aと第2シールド部材54の係合部54aとが係合することにより、第1シールド部材30と第2シールド部材54とが物理的且つ電気的に接続される。すなわち、第1シールド部材30と第2シールド部材54とは、同電位となる。また、第2シールド部材54の一対の接触部54b,54cとケーブル受け部52とは、物理的且つ電気的に接続される。すなわち、第2シールド部材54とケーブル受け部52とは同電位となり、第2シールド部材54とケーブル3のシールド7とが同電位(接地電位)となる。
【0034】
クランプ部18は、カバー部16にケーブル3を固定するための部品である。クランプ部18は、ケーブルクランプ部60と、複数本(ここでは2本)のねじN1,N2とから構成されている。ケーブルクランプ部60の両端部には、ねじN1,N2が挿通される2つの挿通穴(図示しない)が設けられている。図6に示すように、ケーブルクランプ部60は、カバー部16のケーブル受け部52に対応する位置に配置され、カバー部16の係止部58に係止されて固定される。また、ねじN1,N2は、ワイヤーガイド部50の貫通穴H3,H4を介してケーブル受け部52のねじ穴59a,59bに螺入される。ケーブル3は、ケーブル受け部52とケーブルクランプ部60とに挟持され、モジュール10に固定される。
【0035】
なお、ケーブルクランプ部60には、組立前の状態において、シールM(図19参照)が貼り付けられている。シールMには、ツイストペアケーブル5の配置位置、すなわちツイストペアケーブル5を接触子24に挿入する位置の説明図が記載されている。これにより、ツイストペアケーブル5を接触子24に挿入する際の作業性の向上が図れる。また、シールMにより、ねじN1,N2がケーブルクランプ部60に保持されている。したがって、ねじN1,N2の紛失を防止できると共に、ねじN1,N2をケーブルクランプ部60に挿入するといった作業を省略できる。
【0036】
図12は、回路基板とグラウンド構造とを示す図である。図13は、グラウンド構造を示す図である。図14は、図13(a)に示すグラウンド構造を前から見た図である。
【0037】
図12〜図14に示すように、第1シールド部材30、第2シールド部材54及びケーブル受け部52は、電気的に接続されている。具体的には、第1シールド部材30と第2シールド部材54とは、係合部40aと係合部54aとが係合して、物理的且つ電気的に接続されている。第2シールド部材54とケーブル受け部52とは、第2シールド部材54の接触部54b,54cとケーブル受け部52と接触することにより、物理的且つ電気的に接続されている。
【0038】
このような構成により、電気コネクタ1では、ケーブル3が取り付けられた状態において、第1シールド部材30、第2シールド部材54及びケーブル受け部52がケーブル3のシールド7と同電位(接地電位)となる。
【0039】
続いて、ケース12について説明する。図15(a)は、アーム部を示す斜視図であり、図15(b)は、ケース部を示す斜視図である。図16は、図1に示す電気コネクタの断面図である。
【0040】
図15及び図16に示すように、ケース12は、アーム部70と、ケース部72とを有している。ケース12は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの材料から形成されている。アーム部70は、可撓性を有しており、ケース12にモジュール10を着脱可能に固定している。
【0041】
アーム部70は、先端部分(第2端部)74と、先端部分74とは反対側の基端部分(第1端部)76と、先端部分74と基端部分76とを繋ぐ連結部分(中央部分)78とから構成されている。アーム部70は、先端部分74、基端部分76及び連結部分78が一体に形成されている。
【0042】
先端部分74は、第1端部の反対側の一端部側に設けられ、モジュール10の露出した部分に着脱可能に取り付けられる。すなわち、先端部分74は、モジュール10における本体部14の下部ハウジング22、つまりケース12から露出するモジュール10に固定される。具体的には、先端部分74は、下部ハウジング22のアーム固定部23に嵌合し、下部ハウジング22に対して固定される。先端部分74には、モジュラジャックのプラグ挿入口に挿入されるラッチ部75が設けられている。ラッチ部75は、先端部分74の他の部分よりも幅広に形成されている。
【0043】
基端部分76は、モジュール10の他端部側に設けられ、ケース12に着脱可能に取り付けられる。すなわち、基端部分76は、ケース部72に固定される。基端部分76は、略U字形状を呈しており、先端部分74よりも幅広に形成されている。基端部分76は、被固定部80と、開口部82とを有している。被固定部80は、板状をなしており、基端部分76の他の部分よりも幅広に形成されている。被固定部80は、後述するケース部72の固定部92に固定される。
【0044】
開口部82は、アーム部70の延在方向に沿って形成されている。開口部82は、略矩形形状を呈しており、基端部分76において、アーム部70の幅方向の中央部に設けられている。
【0045】
連結部分78は、略帯状を成している。連結部分78は、先端部分74よりも幅広に形成されている。連結部分78は、ケース部72との間に所定の間隔をあけて、ケース部72から離間して配置されている。
【0046】
ケース部72は、中空の略直方体形状を呈している。ケース部72は、モジュール10を収容する収容空間S4(図5参照)を画成するケース本体部86を有している。ケース本体部86は、ケース本体部86の他方側に設けられ、モジュール10が挿入される開口部88と、ケース本体部86の一方側に設けられ、ケーブル3が挿通されるケーブル挿通部90とを有している。また、ケース部72は、ケース本体部86の一側面86aに設けられ、アーム部70の基端部分76を固定する固定部92と、ケース本体部86の一側面86aから立設されたストッパー部(突起部)94とを有している。
【0047】
固定部92は、アーム部70における基端部分76の被固定部80を固定する。固定部92は、ケース本体部86の一側面86aにおいて、幅方向の両端部に配置される第1及び第2部分92a,92bと、第1及び第2部分92a,92bの間に配置される第3部分92cとを有している。第1〜第3部分92a〜92cは、ケース本体部86の一側面86aとの間に、被固定部80の厚み程度の空間を画成しており、被固定部80をケース本体部86の一側面86aとの間に挿入して挟みこむ構成を有している。
【0048】
ストッパー部94は、略柱状をなしており、ケース本体部86の一側面86aから上方に突出している。ストッパー部94は、ケース本体部86の一側面86aにおいて、後端部寄りで且つ幅方向の略中央部に配置されている。ストッパー部94は、アーム部70における基端部分76の開口部82に位置する。ストッパー部94は、アーム部70の撓みを制限する部分であり、連結部分78が所定量以上下方(ケース12側)に押圧されないように、連結部分78の撓み量(動き)を制限する。つまり、ストッパー部94は、基端部分76が過剰に屈曲することを制限している。
【0049】
このように、ケース12では、アーム部70が押圧されたときに、ストッパー部94により連結部分78が一定量以上下方に押圧されない。これにより、アーム部70の基端部分76に過剰な負荷(変位)が加えられることを防止できる。したがって、アーム部70の基端部分76が破損することを防止できる。
【0050】
モジュール10は、その一端部側(後部側)がケース12のケース本体部86に収容され、その他端部側(前部側)がケース本体部86の外部に露出している。具体的には、モジュール10は、ケース12において、本体部14のコネクタ部35が露出し、クランプ部18がケース本体部86に収容されている。つまり、クランプ部18は、モジュール10において他端部側に隣接した位置に配置されている。
【0051】
続いて、電気コネクタ1の組立方法について説明する。図17は、モジュールにおける本体部の組立手順を示す図である。図18は、モジュールにおけるカバー部の組立手順を示す図である。図19は、カバー部にケーブルを取り付けるための手順を示す図である。図20は、本体部とケース部との組立手順を示す図である。
【0052】
最初に、本体部14の組立方法を説明する。図17(a)に示すように、まず上部ハウジング20の下部に配線基板28を配置する。続いて、図17(b)に示すように、配線基板28の下方に下部ハウジング22を配置して、上部ハウジング20と下部ハウジング22とを結合させる。続いて、図17(c)に示すように、第1シールド部材30を一端側から、上部ハウジング20と下部ハウジング22とを挟み込むように挿入する。これにより、図17(d)に示すように、本体部14が組み立てられる。
【0053】
次に、カバー部16の組立方法を説明する。図18(a)に示すように、ワイヤーガイド部50を準備する。続いて、図18(b)及び図18(c)に示すように、ワイヤーガイド50の嵌合部50cに第2シールド部材54の係合部54aを取り付ける。そして、図18(d)に示すように、ワイヤーガイド部50の配置部56にケーブル受け部52を取り付けて、カバー部16が組み立てられる。
【0054】
次に、ケーブル3をカバー部16に取り付ける方法について説明する。図19(a)に示すように、カバー部16を準備する。続いて、図19(b)に示すように、カバー部16にケーブル3を配置する。ケーブル3は、端部の被覆カバーを剥いでツイストケーブル3を露出させると共に、シールド7を露出させる。そして、カバー部16のケーブル受け部52にシールド7が位置し、ツイストケーブル3がワイヤーガイド部50の収容空間S3に位置するように、カバー部16にケーブル3を配置する。
【0055】
続いて、図19(c)に示すように、カバー部16にクランプ部18を配置する。そして、図19(d)に示すように、ねじN1,N2により、カバー部16にケーブルクランプ60を取り付ける。これにより、ケーブル3がカバー部16とクランプ部18とにより挟持され、ケーブル3がカバー部16とクランプ部18とに固定される。その後、ツイストケーブル5が図10に示す配置となるように、ワイヤーガイド50のガイド溝51にツイストケーブル5を配置する。
【0056】
次に、図20(a)に示すように、本体部14を準備する。続いて、図20(b)に示すように、本体部14にケーブル3を保持したカバー部16を取り付ける。具体的には、本体部14とカバー部16とを一体化する。このとき、本体部14の係合部34a〜34dがカバー部16に係合する。これにより、本体部14とケース部16とが結合される。また、ツイストペアケーブル5が接触子24に圧入され、ツイストペアケーブル5の導線と接触子24とが電気的に接続される。そして、図20(c)に示すように、余剰なツイストペアケーブル5を切除する。
【0057】
最後に、上述のように組み立てられたモジュール10にケース12をケーブル3側から挿入し、アーム部70における先端部分74の被固定部74aを本体部14のアーム固定部23に取り付ける。以上のように、電気コネクタ1にケーブル3が取り付けられる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態では、ケーブル3のツイストペアケーブル5と配線基板28との間に第1シールド部材30の上部分40が配置されている。これにより、ケーブル3のツイストペアケーブル5と配線基板28の接続導線Lとの間の電磁的な影響を小さくでき、電磁的な干渉の発生を抑制できる。したがって、ツイストペアケーブル5と接続導線Lとの間のクロストークを抑制できる。その結果、電気コネクタ1におけるノイズの発生を抑制できる。
【0059】
また、第1シールド部材30、第2シールド部材54及びケーブル受け部52とは、電気的に接続されており、ケーブル受け部52は、ケーブル3のシールド7と電気的に接続されている。これにより、第1シールド部材30は、第2シールド部材54及びケーブル受け部52を介して接地電位となるため、電位が安定化されている。したがって、電気コネクタ1では、第1シールド部材30により、効果的にクロストークを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態では、ケーブル受け部52は、ケーブル3のシールド7と電気的に接続する機能と、ケーブル3を固定する機能とを兼ね備えている。したがって、ケーブル3を固定する部分とシールド7と電気的に接続される部分とが別個で設けられている場合に比べて、電気コネクタ1の小型化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、ケース12において、アーム部70の両端部が固定されている。これにより、一端部のみが固定される構成の場合のように、変位方向(ケース12側)とは逆の方向に変位する(折り曲げられる)ことが防止されるため、アーム部70の破損が防止される。
【0062】
さらに、ケース12では、ストッパー部94が形成されている。これにより、アーム部70において連結部分78が過剰に撓むことが防止され、これにより、基端部分76に過剰な負荷が加えられることを防止できる。したがって、基端部分76の破損を防止できる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…電気コネクタ、3…ケーブル、10…モジュール、12…ケース、14…本体部、16…カバー部、18…クランプ部、20…上部ハウジング、22…下部ハウジング、24…接触子、26…接続端子、28…配線基板、30…第1シールド部材(シールド部材)、40…上部分(第1部分)、42…下部分(第2部分)、54…第2シールド部材、70…アーム部(アーム)、74…先端部分(第1端部)、76…基端部分(第2端部)、78…連結部分(中央部分)、94…ストッパー部(突起部)、L…接続導線(電線)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルに取り付けられる電気コネクタであって、
本体部と、
カバー部と、を備え、
前記本体部と前記カバー部とは、前記ケーブルを収容する空間を画成しており、
前記本体部は、
上部ハウジングと、
下部ハウジングと、
前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとの間に配置される配線基板と、
前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとを挟んで配置されるシールド部材と、を有し、
前記配線基板は、
前記ケーブルと電気的な接続を行うための接触子と、
相手側コネクタと電気的な接続を行うための接続端子と、
前記接触子と前記接続端子とを電気的に接続する電線と、を有する、電気コネクタ。
【請求項2】
前記シールド部材は、
前記上部ハウジングの上部側で且つ対向配置される前記接触子の間に配置される第1部分と、
前記下部ハウジングの下部側に配置される第2部分と、
を有する、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記カバー部に前記ケーブルを固定するためのクランプ部を備える、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記接触子は、前記配線基板から面外方向に突出する部分を有する、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項5】
電気コネクタであって、
モジュールの一端部側を内部に収容すると共に、前記モジュールの他端部側を外部に露出させて前記モジュールを保持するケースと、
前記ケースに前記モジュールを着脱可能に固定するためのアームと、
を備え、
前記アームは、
前記モジュールの前記他端部側に設けられ、前記ケースに着脱可能に取り付けられた第1端部と、
前記第1端部の反対側の前記一端部側に設けられ、前記モジュールの露出した部分に着脱可能に取り付けられた第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部とを接続する中央部分と、を備え、
前記ケースは、前記第1端部と前記第2端部との間に配置されると共に、前記アームの当該ケース側への動きを制限する突起部を備える、電気コネクタ。
【請求項6】
前記モジュールは、
本体部と、
カバー部と、
前記カバー部にケーブルを固定するためのクランプ部と、を有しており、
前記クランプ部は、前記ケース内において前記モジュールの前記他端部側に配置されている、請求項5記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記本体部を覆う第1シールド部材と、
前記カバー部を覆う第2シールド部材と、
を有し、
前記第1シールド部材と前記第2シールド部材とが電気的に接続されている、請求項6記載の電気コネクタ。
【請求項1】
ケーブルに取り付けられる電気コネクタであって、
本体部と、
カバー部と、を備え、
前記本体部と前記カバー部とは、前記ケーブルを収容する空間を画成しており、
前記本体部は、
上部ハウジングと、
下部ハウジングと、
前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとの間に配置される配線基板と、
前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとを挟んで配置されるシールド部材と、を有し、
前記配線基板は、
前記ケーブルと電気的な接続を行うための接触子と、
相手側コネクタと電気的な接続を行うための接続端子と、
前記接触子と前記接続端子とを電気的に接続する電線と、を有する、電気コネクタ。
【請求項2】
前記シールド部材は、
前記上部ハウジングの上部側で且つ対向配置される前記接触子の間に配置される第1部分と、
前記下部ハウジングの下部側に配置される第2部分と、
を有する、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記カバー部に前記ケーブルを固定するためのクランプ部を備える、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記接触子は、前記配線基板から面外方向に突出する部分を有する、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項5】
電気コネクタであって、
モジュールの一端部側を内部に収容すると共に、前記モジュールの他端部側を外部に露出させて前記モジュールを保持するケースと、
前記ケースに前記モジュールを着脱可能に固定するためのアームと、
を備え、
前記アームは、
前記モジュールの前記他端部側に設けられ、前記ケースに着脱可能に取り付けられた第1端部と、
前記第1端部の反対側の前記一端部側に設けられ、前記モジュールの露出した部分に着脱可能に取り付けられた第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部とを接続する中央部分と、を備え、
前記ケースは、前記第1端部と前記第2端部との間に配置されると共に、前記アームの当該ケース側への動きを制限する突起部を備える、電気コネクタ。
【請求項6】
前記モジュールは、
本体部と、
カバー部と、
前記カバー部にケーブルを固定するためのクランプ部と、を有しており、
前記クランプ部は、前記ケース内において前記モジュールの前記他端部側に配置されている、請求項5記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記本体部を覆う第1シールド部材と、
前記カバー部を覆う第2シールド部材と、
を有し、
前記第1シールド部材と前記第2シールド部材とが電気的に接続されている、請求項6記載の電気コネクタ。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図13】
【図16】
【図2】
【図9】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図13】
【図16】
【図2】
【図9】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−97921(P2013−97921A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237655(P2011−237655)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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