説明

電気コネクタ

【課題】電気コネクタが完全に取り外されるまでの間に、電圧が十分に低下するのに必要な時間を確実に確保することができる構成を提供する。
【解決手段】電気コネクタ1は、第1コネクタハウジング11と、第2コネクタハウジング12と、ロック部材26と、ダンパー機構53と、を備えている。第2コネクタハウジング12は、第1コネクタハウジング11に係合可能である。ロック部材26は、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12との係合が解除されることを阻止している。ダンパー機構53は、ロック部材26が解除される方向に操作される際に抵抗を付与する。そして、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給を遮断する操作(ループ回路接続コネクタ52を取り外す操作)を行うことにより、ロック部材26を解除する操作が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧用の電気コネクタにおいて、コネクタの取外しの際に作業者の安全を確保するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車においては、電動モータ等の各種デバイスに対して大容量の電力を供給する高電圧回路が設けられる。このような高電圧回路においては、電圧がかかった状態でコネクタの抜き差しを行うと、作業者が高電圧にさらされる危険がある。そこでこの種の高電圧回路においては、電気コネクタを取り外す際に、高圧電源からの電力を自動的に遮断する高電圧インターロックループ回路を設ける場合がある。これにより、コネクタの着脱作業を行う作業者の安全を確保することができる。このような高圧コネクタは、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−56088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成は、高圧回路を高圧電源から接続解除した後、適切に放電して60Vより低くなるのに5秒程度の時間を必要とすることを指摘している。従って、高電圧インターロックループ回路によって高圧電源からの電力を遮断した後であっても、電圧が適切な値まで低下するのに十分な時間(5秒程度)経過するまでの間は、依然として作業者が高電圧にさらされる危険がある。
【0005】
この点、特許文献1は、高圧コネクタを取り外すために、小型のドライバーや楊枝等の工具が必要な構成を開示している。特許文献1は、オペレータが工具を掴んで、高圧コネクタを取り外す作業を行うのに要する時間は、一般的には、電圧が60Vより低い電圧まで適切に低下するうえで好ましい5秒の期間を優に超えるとしている。このように、高圧コネクタを取り外すまでに時間がかかるように構成することにより、その間に放電させて安全な電圧まで低下させることができる。これにより、作業者が高電圧にさらされることを防止できる。
【0006】
しかし、工具を使って高圧コネクタを取り外すまでに掛かる時間は、作業者によって異なる。従って、特許文献1の構成では、コネクタが取り外されるまでの間に、電圧が安全な値まで低下するのに必要な時間を確実に確保することができるとは言いがたい。特に、作業者が手慣れてくると、高圧コネクタを取り外すまでに掛かる時間も短くなるため、電圧が十分に低下しない状態で高圧コネクタが取り外されてしまう可能性が高くなる。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、電気コネクタが完全に取り外されるまでの間に、電圧が十分に低下するのに必要な時間を確実に確保することができる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の電気コネクタが提供される。即ち、この電気コネクタは、第1コネクタハウジングと、第2コネクタハウジングと、ロック機構と、ダンパー機構と、を備える。前記第2コネクタハウジングは、前記第1コネクタハウジングに係合可能である。前記ロック機構は、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止する。前記ダンパー機構は、前記ロック機構が解除される方向に操作される際に抵抗を付与する。そして、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給を遮断する操作を行うことにより、前記ロック機構を解除する操作が可能になる。
【0010】
これによれば、電力の供給を遮断したあと、ロック機構によるロックを解除することによりコネクタを取り外すことができる。しかし、ロック機構を解除する方向に操作する際にはダンパー機構による抵抗が付与されるので、当該ロック機構を素早く解除することができない。従って、コネクタを取り外すためには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の電気コネクタが提供される。即ち、この電気コネクタは、第1コネクタハウジングと、第2コネクタハウジングと、ロック機構と、カバー部と、を備える。前記第2コネクタハウジングは、前記第1コネクタハウジングに係合可能である。前記ロック機構は、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止する。前記カバー部は、前記ロック機構が操作できないように、当該ロック機構の少なくとも一部を覆う。前記カバー部は、前記第1コネクタハウジングに対してスライド可能に構成されているとともに、当該第1コネクタハウジングの終端までスライドさせることにより当該第1コネクタハウジングから取外し可能である。また、前記カバー部を、前記第1コネクタハウジングから取り外す方向にスライドさせる操作を行うことにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が自動的に遮断されるように構成されている。そして、当該カバー部を前記第1コネクタハウジングから取り外すことにより、前記ロック機構を解除する操作が可能になる。
【0012】
これによれば、電力の供給を遮断したあと、ロック機構によるロックを解除することによりコネクタを取り外すことができる。ロック機構を解除するためにはカバー部を取り外しておく必要があるが、当該カバー部を取り外すためには第1コネクタハウジングの終端までスライドさせなければならない。このため、ロック機構を素早く解除することができない。従って、コネクタを取り外すためには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0013】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の電気コネクタが提供される。即ち、この電気コネクタは、第1コネクタハウジングと、第2コネクタハウジングと、を備える。前記第2コネクタハウジングは、前記第1コネクタハウジングに係合可能である。前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングの係合は、所定の位置に備えられた専用の治具を利用して解除することが可能に構成される。そして、当該治具を前記所定の位置から取り外すことにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が遮断されるように構成されている。
【0014】
これによれば、専用治具を所定の位置から取り外して電力の供給を遮断した後、当該治具によってコネクタを取り外すことができる。治具を取り外すことにより電力の供給が遮断されるのであるから、電力の供給が遮断される前から治具を用意しておくということはできない。従って、電力を遮断した後、治具によってコネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0015】
上記の電気コネクタは、以下のように構成される事が好ましい。即ち、この電気コネクタは、前記治具を取り付け可能な治具取付部を有する。前記治具取付部は高電圧インターロックループ回路の一部を構成しているとともに、当該治具取付部から前記治具を取り外すことにより前記高電圧インターロックループ回路が遮断され、これにより前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が遮断される。
【0016】
このように、治具を取り外すことにより高電圧インターロックループ回路が遮断されるように構成することで、当該治具を取り外すことで自動的に電力の供給を遮断させることができる。
【0017】
本発明の第4の観点によれば、以下の構成の電気コネクタが提供される。即ち、この電気コネクタは、第1コネクタハウジングと、第2コネクタハウジングと、ロック機構と、ダンパー機構と、を備える。前記第2コネクタハウジングは、前記第1コネクタハウジングに係合可能である。前記ロック機構は、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止する。前記ダンパー機構は、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングを引き離す方向に相対移動させるときに抵抗を付与する。そして、前記ロック機構を解除する操作を行うことにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が自動的に遮断される。
【0018】
これによれば、ロック機構を解除して電力の供給を遮断した後、コネクタを取り外すことができる。しかし、コネクタを引き離す際にはダンパー機構が作用するので、当該コネクタを素早く取り外すことはできない。従って、電力を遮断した後、コネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0019】
上記の電気コネクタは、以下のように構成することもできる。即ち、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングの間が略気密状態となっている。前記ロック機構を解除することにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングの間に空気が流入できる挿通孔が形成される。そして、当該挿通孔が形成されることにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングが空気式ダンパー機構として作用する。
【0020】
このように、コネクタ全体を空気式のダンパー機構として構成することにより、コネクタを素早く取り外すことができなくなる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0021】
本発明の第5の観点によれば、以下の構成の電気コネクタが提供される。即ち、この電気コネクタは、第1コネクタハウジングと、第2コネクタハウジングと、ロック機構と、を備える。前記第2コネクタハウジングは、前記第1コネクタハウジングに係合可能である。前記ロック機構は、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止する。前記ロック機構を解除する操作を行うことにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が自動的に遮断される。前記第2コネクタハウジングは、当該第2コネクタハウジングから前記第1コネクタハウジングが引き抜かれる途中の段階において前記第1コネクタハウジングに係合する第2ロック機構を備える。そして、前記第2ロック機構を解除することにより前記第2コネクタハウジングから前記第1コネクタハウジングを取り外すことができる。
【0022】
これによれば、ロック機構を解除して電力の供給を遮断した後、コネクタを取り外すことができる。しかし、コネクタを引き抜くには、途中で第2ロック機構を解除する操作を行わなければならないので、当該コネクタを素早く取り外すことはできない。従って、電力を遮断した後、コネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0023】
本発明の第6の観点によれば、以下の構成の電気コネクタが提供される。即ち、この電気コネクタは、第1コネクタハウジングと、第2コネクタハウジングと、回転部材と、係合部と、を備える。前記第2コネクタハウジングは、前記第1コネクタハウジングに係合可能である。前記回転部材は、前記第1コネクタハウジングに設けられ、当該第1コネクタハウジングに対して相対回転可能である。前記係合部は、前記第2コネクタハウジングに設けられ、前記回転部材に係合可能である。前記回転部材と前記係合部が係合することにより、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止する。前記回転部材を回転操作することにより、前記第1コネクタハウジングから引き離される方向に前記第2コネクタハウジングを相対移動させるように構成される。そして、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングが完全に係合した状態から前記回転部材を回転操作する初期段階において、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電気の供給が遮断される。
【0024】
これによれば、回転部材を回転させるという操作により、電力の供給を遮断した後、コネクタを取り外すことができる。しかし、回転部材を回転させるにはある程度の時間がかかるので、コネクタを素早く取り外すことはできない。従って、電力を遮断した後、コネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0025】
上記の電気コネクタは、以下のように構成することができる。即ち、前記回転部材は、前記第1コネクタハウジングに設けられ、内部に係合突起を有する筒状部材である。前記係合部は、前記筒状部材の内側に挿入されるとともに、前記係合突起に対して係合する螺旋溝を有するネジ部である。
【0026】
この構成によれば、筒状部材を回転させることにより、ネジ送り式で、第1コネクタハウジング及び第2コネクタハウジングを相対移動させることができる。そして、ネジ部のネジ山の数を調整することにより、コネクタの取り外しにかかる時間を規定することができる。
【0027】
上記の電気コネクタは、以下のように構成することもできる。即ち、前記回転部材は、周囲にギア歯が形成されたダイヤル部材である。前記係合部は、前記ダイヤル部材の前記ギア歯に噛み合うラックギアである。
【0028】
この構成によれば、ダイヤル部材を回転させることにより、ラックアンドピニオン方式で、第1コネクタハウジング及び第2コネクタハウジングを相対移動させることができる。そして、ラックギアのネジ山の数を調整することにより、コネクタの取り外しにかかる時間を規定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図2】第2実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図3】第3実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図4】第3実施形態の変形例に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図5】第4実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図6】第4実施形態の変形例に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図7】第5実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図8】第5実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図(続き)。
【図9】第6実施形態に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【図10】第6実施形態の変形例に係る電気コネクタの模式的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、図1を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0031】
この第1実施形態に係る電気コネクタ1は、電気自動車が備える高電圧回路に設けられる高電圧用のコネクタであり、第1コネクタハウジング11と、第2コネクタハウジング12を備える。第1コネクタハウジング11はワイヤハーネス13の末端に設けられている。また第2コネクタハウジングは、図略のデバイスに接続されている電気コード14の末端に設けられている。このデバイスは、ワイヤハーネス13から電力の供給を受けるデバイス(例えば電動モータ)であっても良いし、ワイヤハーネスに対して電力を供給するデバイス(例えばインバータ)であっても良い。
【0032】
第1コネクタハウジング11は、ワイヤハーネス13と電気的に接続しているオス端子15を備えている(図1(c)参照)。一方、第2コネクタハウジング12は、電気コード14と電気的に接続しているメス端子16を備えている(図1(c)参照)。第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12は、係合させることができるように構成されており、両者を係合させることにより、オス端子15とメス端子16が接触し、ワイヤハーネス13と電気コード14が電気的に接続される。即ち、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12を係合させることにより、前記デバイスをワイヤハーネス13に接続することができるように構成されている。
【0033】
第2コネクタハウジング12は、第1コネクタハウジング11に係合するロック部材26よりなるロック機構を備えている。ロック部材26が第1コネクタハウジング11に係合することにより、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12の係合が解除されることが阻止されている(即ち、第2コネクタハウジング12から第1コネクタハウジング11が抜けてしまうことを阻止している)。このロック部材26は、作業者が操作可能に構成されている。作業者がロック部材26を解除するように(即ち、ロック部材26と第1コネクタハウジング11との係合を解除するように)操作することにより、図1(c)に示すように、コネクタを取り外すことができるようになる。
【0034】
第2コネクタハウジング12の外側には、高電圧インターロックループ回路(以下、ループ回路22)の一部を構成するループ回路側コネクタ51が取り付けられている。また、このループ回路側コネクタ51には、ループ回路接続コネクタ52を着脱可能に係合させることができる。ループ回路側コネクタ51にループ回路接続コネクタ52を係合させることにより、ループ回路22が閉じて、当該ループ回路22に電流を流す事ができるようになる。一方、ループ回路側コネクタ51からループ回路接続コネクタ52を取り外すと、ループ回路22の一部が遮断されて、当該ループ回路22に電流を流す事ができなくなるように構成されている。
【0035】
このループ回路22は公知であるが、以下簡単に説明する。即ち、ループ回路22には、所定の低電圧が印加されている。従って、ループ回路側コネクタ51とループ回路接続コネクタ52を係合させた時には、ループ回路22に電流が流れる。本実施形態の電気コネクタ1を備える電気自動車には、ループ回路22に流れる電流を監視する電流監視装置が設けられている。電流監視装置は、ループ回路22に電流が流れている間(ループ回路側コネクタ51とループ回路接続コネクタ52を係合させた時)には、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対して通常通り電力を供給する。一方、電流監視装置は、ループ回路22に電流が流れなくなったことを検出すると、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給を遮断するように構成されている。
【0036】
電気コネクタ1は、ループ回路側コネクタ51にループ回路接続コネクタ52が取り付けられた状態(図1(a)の状態)では、ロック部材26を操作することができないように構成されている。ループ回路側コネクタ51からループ回路接続コネクタ52を取り外す操作を行うことにより(図1(b)の状態)、初めてロック部材26を解除する操作を行うことができる。
【0037】
即ち、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給を遮断する操作(ループ回路側コネクタ51からループ回路接続コネクタ52を取り外す操作)を行った後でなければ、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12との係合を解除できないように構成されている。このように、高電圧インターロックループ回路を利用することで、高電圧がかかったままの状態でコネクタが取り外されてしまうことを防止できるので、作業者が高電圧にさらされてしまう危険を防止することができる。
【0038】
ところで特許文献1は、このように電力の供給を遮断したとしても、電気が放電されて電圧が適切な値まで下がるまでにはある程度の時間が掛かることを指摘している。この点、特許文献1は、工具を使わなければコネクタのロックを解除できないように構成することで、コネクタを取り外すときの時間を稼ぐように構成した高圧コネクタを開示している。このように、電力の供給を遮断した後、作業者がコネクタの係合を完全に解除するまでに時間を稼ぐことにより、放電によって電圧が下がるために必要な時間を確保することができる。
【0039】
特許文献1は、作業者が工具で作業を行う際に時間がかかることを当然の前提としている。しかし現実には、手慣れた作業者であれば素早くロックを解除することができてしまう。例えば、作業者が予め工具を手に持って準備していた場合、工具を掴むための時間がかからないため、それだけ素早くロックを解除して、コネクタを取り外せてしまう。このように、特許文献1の構成では、作業者によってはコネクタを素早く取り外せてしまうため、コネクタを取り外す際の作業者の安全を確実に保証することができているとはいえない。
【0040】
そこで本実施形態の電気コネクタ1は、ロック部材26を解除する操作に確実に時間がかかるように機械的な制約を設けたものである。具体的には、第2コネクタハウジング12は、ロック部材26に接続されたダンパー機構53を備えている。このダンパー機構53は、ロック部材26を解除する方向に操作する際に、当該ロック部材26に抵抗を付与するように構成されている。
【0041】
これにより、作業者は、ロック部材26を素早く操作することができない。従って、手慣れた作業者であっても、不慣れな作業者であっても、ロック部材26を操作して当該ロック部材26を解除し、第2コネクタハウジング12から第1コネクタハウジング11を取り外すまでには一定以上の時間が掛かるものと考えられる。
【0042】
以上で説明したように、本実施形態の電気コネクタ1は、第1コネクタハウジング11と、第2コネクタハウジング12と、ロック部材26と、ダンパー機構53と、を備えている。第2コネクタハウジング12は、第1コネクタハウジング11に係合可能である。ロック部材26は、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12との係合が解除されることを阻止している。ダンパー機構53は、ロック部材26が解除される方向に操作される際に抵抗を付与する。そして、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給を遮断する操作(ループ回路接続コネクタ52を取り外す操作)を行うことにより、ロック部材26を解除する操作が可能になる。
【0043】
これによれば、電力の供給を遮断したあと、ロック部材26によるロックを解除することにより、コネクタを取り外すことができる。しかし、ロック部材26を解除する方向に操作する際にはダンパー機構53による抵抗が付与されるので、当該ロック部材26を素早く解除することができない。従って、コネクタを取り外すためには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0044】
続いて、本発明の第2実施形態について、図2を参照して説明する。なお、上記第1実施形態と同一又は類似する構成には、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
上記実施形態は、ロック部材26にダンパー機構53を設けることにより、ロック部材26が解除されるまでに時間を稼ぐ構成とした。しかし、電力の供給が遮断されてから、コネクタを取り外すことができるようになるまでに時間を稼ぐ事ができればいいのであるから、必ずしもダンパー機構53のように複雑な機構を設ける必要はない。
【0046】
この第2実施形態に係る電気コネクタ92において、第1コネクタハウジング11は、第2コネクタハウジング12に係合するロック部材26を備えている。ロック部材26が第2コネクタハウジング12に係合することにより、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12の係合が解除されることが阻止されている(図3(a)の状態)。
【0047】
本実施形態において、ループ回路接続コネクタ52は、第1コネクタハウジング11に取り付けられるように構成されている。ループ回路接続コネクタ52は、第1コネクタハウジング11に取り付けられた状態(図1(a)の状態)で、ロック部材26を覆うカバー部として構成されている。このようにロック部材26がループ回路接続コネクタ52によって覆われている状態では、当該ロック部材26を操作することができないようになっている。
【0048】
本実施形態において、ループ回路接続コネクタ52は、第1コネクタハウジング11に対してスライドできるように、当該第1コネクタハウジング11に取り付けられている。このループ回路接続コネクタ52は、ループ回路側コネクタ51に対して接近または離間する方向にスライド可能である。ループ回路接続コネクタ52をループ回路側コネクタ51から離間する方向にスライドさせることにより、ループ回路接続コネクタ52とループ回路側コネクタ51の係合を解除し(図2(b)の状態)、ループ回路22を遮断することができる。これにより、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジングに対する電力の供給が遮断される。
【0049】
また、ループ回路接続コネクタ52は、ループ回路側コネクタ51との係合を解除したあと、ループ回路側コネクタ51から更に離間する方向にスライドさせていくことで、第1コネクタハウジング11の終端から取り外すことができるように構成されている。そして、本実施形態の電気コネクタ92では、ループ回路接続コネクタ52を第1コネクタハウジング11から取り外すことにより、はじめてロック部材26を操作することができるようになっている(図2(c)参照)。
【0050】
例え手慣れた作業者であっても、ループ回路接続コネクタ52を第1コネクタハウジング11の終端までスライドさせて取り外すまでには、ある程度の時間がかかるものと思われる。このように、本実施形態の電気コネクタ1は、ループ回路接続コネクタ52を、第1コネクタハウジング11の終端までスライドして取り外さなければロック部材26を操作できないという機械的な制約によって、コネクタを取り外すことができるようになるまでの時間を稼ぐように構成されている。
【0051】
以上で説明したように、本実施系形態の電気コネクタ92において、ループ回路接続コネクタ52は、ロック部材26が操作できないように、ロック部材26の少なくとも一部を覆うカバー部として構成されている。ループ回路接続コネクタ52は、第1コネクタハウジング11に対してスライド可能に構成されているとともに、当該第1コネクタハウジング11の終端までスライドさせることにより当該第1コネクタハウジング11から取外し可能である。また、ループ回路接続コネクタ52を、第1コネクタハウジング11から取り外す方向にスライドさせる操作を行うことにより、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が自動的に遮断されるように構成されている。そして、当該ループ回路接続コネクタ52を第1コネクタハウジング11から取り外すことにより、ロック部材26を解除する操作が可能になる。
【0052】
これによれば、電力の供給を遮断したあと、ロック部材26によるロックを解除することにより、コネクタを取り外すことができる。ロック部材26を解除するためにはループ回路接続コネクタ52を取り外しておく必要があるが、当該ループ回路接続コネクタ52を取り外すためには第1コネクタハウジング11の終端までスライドさせなければならない。このため、ロック部材26を素早く解除することができない。従って、コネクタを取り外すためには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態について、図3を参照して説明する。なお、上記第1実施形態と同一又は類似する構成には、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
この実施形態に掛かる電気コネクタ93では、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12との係合は、専用の治具54によらなければ解除できないように構成されている。この治具54は、例えば図3(b)のように、第2コネクタハウジング12に挿入された状態の第1コネクタハウジング11を挟み込むことにより、当該第1コネクタハウジング11を第2コネクタハウジング12から引き抜くことができるように構成したものである。
【0055】
本実施形態において、第2コネクタハウジング12は、ループ回路側コネクタ51を備えている。このループ回路側コネクタ51は、前記治具54を取り付けることができる治具取付部として構成されている。一方、治具54は、ループ回路接続コネクタとしての機能を兼ねている。即ち、図3(a)に示すように、ループ回路側コネクタ51に対して治具54を取り付けることにより、ループ回路22が閉じて、当該ループ回路22に電流が流れるように構成されている。治具54は、普段はループ回路側コネクタ51に取り付けられている。
【0056】
ループ回路側コネクタ51から治具54を取り外すと、ループ回路22が遮断される結果、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が遮断される。この構成によれば、作業者は、電力が遮断される前から治具54を手に持って用意しておくということはできず、必ず、治具54を取り外して電力を遮断するという操作を行った後で、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12との係合を解除する作業を行うことになる。このように、本実施形態の電気コネクタ1は、治具54を所定の位置から取り外すという作業を行ったあとでなければ、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12との係合を解除する作業を行うことができないという機械的な制約によって、コネクタを取り外すことができるようになるまでの時間を稼ぐように構成されている。
【0057】
以上で説明したように、第3実施形態の電気コネクタ93において、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12の係合は、所定の位置に備えられた専用の治具54を利用して解除することが可能に構成される。そして、治具54を所定の位置から取り外すことにより、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が遮断されるように構成されている。
【0058】
これによれば、治具54を所定の位置から取り外して電力の供給を遮断した後、当該治具54によってコネクタを取り外すことができる。治具54を取り外すことにより電力の供給が遮断されるのであるから、電力の供給が遮断される前から治具54を用意しておくということはできない。従って、電力を遮断した後、治具54によってコネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0059】
また、本実施形態の電気コネクタ93において、ループ回路側コネクタ51は、前記治具54を取り付け可能な治具取付部として構成されている。ループ回路側コネクタ51から治具54を取り外すことによりループ回路22が遮断され、これにより第1コネクタハウジング11及び前記第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が遮断される。
【0060】
このように、治具54を取り外すことによりループ回路22が遮断されるように構成することで、当該治具54を取り外すことで自動的に電力の供給を遮断させることができる。
【0061】
続いて、上記実施形態の変形例について、図4を参照して説明する。
【0062】
この変形例に掛かる電気コネクタ94において、第2コネクタハウジング12は、ロック部材26を有している。ロック部材26が第1コネクタハウジング11に係合することにより、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12の係合が解除されることが阻止されている。そしてこのロック部材26は、作業者が素手では操作することが困難、ないし不可能な形状に構成されている。
【0063】
本変形例において、治具54は棒状の部材として構成されている。この治具54は、ロック部材26に取り付け可能に構成されている(図4(b))。治具54をロック部材26に取り付けることで、作業者がロック部材26を操作できるようになっている(図4(c))。
【0064】
上記実施形態と同じく、ループ回路側コネクタ51は、前記治具54を取り付け可能な治具取付部として構成されており、治具54はループ回路接続コネクタを兼ねている。そして、治具54は、普段はループ回路側コネクタ51に取り付けられている。ロック部材26を解除する作業を行うためには、まず治具54をループ回路側コネクタ51から取り外して(これにより電力の供給が遮断される)、当該治具54をロック部材26に取り付けるという作業が必要になる。従って、電力の供給を遮断した後、治具54によってロック部材26を操作してコネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電気が放電されて安全な電圧に下がるまでの時間を確保することができる。
【0065】
次に、上記実施形態の別の変形例について説明する。
【0066】
即ち、上記実施形態では、専用治具54は電気コネクタが備えるループ回路側コネクタ51に取り付けられる構成としたが、必ずしもこのように構成する必要がない。即ち、電気コネクタとは全く別の所定の位置に治具54を取り付けておき、当該治具を前記所定の位置から取り外すことにより、前記ループ回路22が遮断されて、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が遮断されるように構成することができる。この構成によれば、作業者が所定の位置で治具54を取り外したあと、電気コネクタの位置まで戻って作業を開始するまでの時間を稼ぐことができるので、電気が放電されて安全な電圧に下がるまでの時間を確実に確保することができる。
【0067】
この治具54は、専用の鍵とすることもできる。即ち、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12の係合を解除するためには、当該専用の鍵(治具)によって所定の施錠を解除しなければないように構成する。図3や図4の構成であれば、治具54以外の工具を代用して無理矢理コネクタを取り外すことも不可能ではないが、鍵を開ける作業を行うためには、作業者は必ず鍵(治具)を所定の位置まで取りに行かなければならない。これにより、電気が放電されて安全な電圧に下がるまでの時間を確実に確保することができる。
【0068】
次に、本発明の第4実施形態について、図5を参照して説明する。
【0069】
即ち、上記実施形態は、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12への電力の供給を遮断した後、作業者が実際にコネクタを引き抜く作業を行うまでの間に、時間を稼ぐ構成であった。本実施形態ではこれに代えて、コネクタを引き抜く作業自体に時間が掛かるように機械的な制約を設けたものである。
【0070】
図5に示すように、本実施形態の電気コネクタ95が備える第2コネクタハウジング12は、ループ回路側コネクタ51を有している。そして、このループ回路側コネクタ51に係合したループ回路接続コネクタ52は、第1コネクタハウジング11に係合するように構成されている。従って、本実施形態において、ループ回路接続コネクタ52は、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12の係合が解除されることを阻止するロック部材としての機能を兼ねている。
【0071】
ループ回路接続コネクタ52をループ回路側コネクタ51から取り外すことにより、当該ループ回路接続コネクタ52によるロックが解除されて、第2コネクタハウジング12から第1コネクタハウジング11を引き抜くことが可能になる(図5(b)の状態)。また、ループ回路接続コネクタ52をループ回路側コネクタ51から取り外すことにより、ループ回路22が遮断されて、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が遮断される。
【0072】
本実施形態において、第2コネクタハウジング12は、スライド部材29と、ダンパー機構30を備えている。前記スライド部材29は、第2コネクタハウジング12から引き抜かれる第1コネクタハウジング11に対して、引っ掛かるように配置されている。またこのスライド部材29は、前記第1コネクタハウジング11が引き抜かれる方向に沿ってスライド可能であるように、第2コネクタハウジング12に対して取り付けられている。そして、スライド部材29には、ダンパー機構30が接続されている。
【0073】
この構成で、第2コネクタハウジング12から第1コネクタハウジング11を引き抜く際には、当該第1コネクタハウジング11にスライド部材29が引っ掛かる。スライド部材29はスライド可能であるから、第1コネクタハウジング11は、スライド部材29を引っ掛けた状態のまま第2コネクタハウジング12から引き抜いていくことができる。しかし、スライド部材29にはダンパー機構30が接続されているので、当該スライド部材29がスライドする際には抵抗が作用する。これにより、第1コネクタハウジング11を第2コネクタハウジングから引き抜く際に抵抗がかかり、当該第1コネクタハウジング11を素早く引き抜く事ができなくなっている。そして、第1コネクタハウジング11が第2コネクタハウジング12から完全に露出する位置までスライド部材29をスライドさせることにより(図5(c)の状態)、スライド部材29から第1コネクタハウジング11を離間させることができる。
【0074】
以上で説明したように、本実施形態の電気コネクタ95は、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止するロック部材として機能するループ回路接続コネクタ52と、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12を引き離す方向に相対移動させるときに抵抗を付与するダンパー機構30を備えている。そして、ループ回路接続コネクタ52をループ回路側コネクタ51から取り外す操作を行うことにより、前記ロックが解除されるとともに、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が自動的に遮断される。
【0075】
これによれば、ロックを解除して電力の供給を遮断した後、コネクタを取り外すことができる。しかし、コネクタを引き離す際にはダンパー機構30が作用するので、当該コネクタを素早く取り外すことはできない。従って、電力を遮断した後、コネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0076】
続いて、上記実施形態の変形例について、図6を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似する構成には、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
この変形例に係る電気コネクタ96は、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12そのものをダンパー機構として構成したものである。これにより、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を引き抜く際に時間がかかるようになっている。
【0078】
以下、具体的に説明する。本実施形態において、第1コネクタハウジング11は、第2コネクタハウジング12を挿入可能に構成されている。第1コネクタハウジングの一側の端部は、第2コネクタハウジングを挿入できるように開放されており、他側の端部は封止されている。一方、第2コネクタハウジング12は、その外周にゴムシール31を備えている。このゴムシール31は、第1コネクタハウジング11内に第2コネクタハウジング12を挿入したときに、第1コネクタハウジング11の内壁面と第2コネクタハウジング12の外壁面との間を気密に保つように配置されている。以上の構成により、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12によって、一種の空気シリンダが構成されている。
【0079】
第1コネクタハウジング11の内部には、導体23が、第2コネクタハウジング12に向けて突出するように設けられている。一方、第2コネクタハウジング12の内部には、ループ回路側コネクタ51を挿入するためのループ回路側コネクタ挿入穴34が形成されている。また、第2コネクタハウジング12には、導体23を挿入できる挿通孔35が形成されている。この挿通孔35は、ループ回路側コネクタ挿入穴34に連通している。
【0080】
以上の構成で、第1コネクタハウジング11の奥まで第2コネクタハウジング12を挿入すると、挿通孔35を介して、導体23がループ回路側コネクタ挿入穴34内に突出する(図5(a)の状態)。このとき、ループ回路側コネクタ挿入穴34内に配置されているループ回路側コネクタ51に、導体23の先端が挿入されるように構成されている。本実施形態において、ループ回路22は、ループ回路側コネクタ51に導体23が挿入されることにより電流が流れるように構成されている。
【0081】
第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12によって構成された空気シリンダは、ある程度の気密性が保たれているので、第2コネクタハウジング12は第1コネクタハウジングから容易に抜けないようになっている。一方、第2コネクタハウジング12からループ回路側コネクタ51を引き抜く(図5(b)の状態)ことにより、挿通孔35を介して、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12の間に空気の出入りができるようになる。これにより、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を引き抜くことができる。逆に言えば、ループ回路側コネクタ51を第2コネクタハウジング12から引き抜かなければ、コネクタを取り外す事ができないようになっている。この意味で、ループ回路側コネクタ51は、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12の係合が解除されることを阻止するロック機構を構成していると言える。また、ループ回路側コネクタ51を第2コネクタハウジング12から引き抜くことにより、当該ループ回路側コネクタ51から導体23が抜かれる結果、ループ回路22に電流が流れなくなる。これにより、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が遮断される。
【0082】
ここで挿通孔35は、空気の出入りを制限できるように、その開口面積がある程度狭くなるように形成されている。従って、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を素早く引き抜くことはできない。即ち、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12そのものによって、一種の空気ダンパー機構が構成されていると言うことができる。
【0083】
以上で説明したように、本実施形態の電気コネクタ96において、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12の間が略気密状態となっている。ループ回路側コネクタ51を第2コネクタハウジング12から引き抜くことにより、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12の間に空気が流入できる挿通孔35が形成される。そして、当該挿通孔35が形成されることにより、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12が空気式ダンパー機構として作用する。
【0084】
このように、コネクタ全体を空気式のダンパー機構として構成することにより、コネクタを素早く取り外すことができなくなる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0085】
続いて、本発明の第5実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似する構成には、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
上記実施形態は、コネクタを引き抜く作業自体に時間が掛かるように、ダンパー機構を備えた構成とした。しかし、コネクタを引き抜く作業の時間を稼ぐためには、ダンパー機構のような複雑な構成に限らず、本実施形態の第2ロック機構のように簡単な機械的構成とすることもできる。
【0087】
即ち、本実施形態の電気コネクタ97において、第1コネクタハウジング11は、ロック部材26と、第2ロック部材56と、を備えている。ロック部材26は、上記実施形態と同様に、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止するロック機構(第1ロック機構)を構成している。一方、第2ロック部材56は、第2コネクタハウジング12が第1コネクタハウジング11から引き抜かれる途中で、当該第2コネクタハウジング12に係合する第2ロック機構を構成している。
【0088】
本実施形態では、ロック部材26を第2コネクタハウジング12に係合させることにより、ループ回路22が閉じるようになっている(図7(a)の状態)。即ち、本実施形態では、ロック部材26によって第2コネクタハウジング12をロックすることにより、ループ回路22に電流が流れるようになっている。当該ロック部材26は、作業者が操作することによりロックを解除することができる。これにより、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を引き抜く方向で、両者を相対移動させることができるようなる(図7(b)の状態)。また、これにより、ループ回路22が遮断されて、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12に対する電力の供給が遮断されるように構成されている。
【0089】
この状態から、第2コネクタハウジング12を第1コネクタハウジング11から引き抜いていくと、その途中で、第2ロック部材56が第2コネクタハウジング12に引っ掛かる(係合する)ようになっている(図7(c)の状態)。作業者は、第2コネクタハウジング12に第2ロック部材56が引っ掛かると、当該第2ロック部材56を解除する操作を行う(例えば図8(a)に示すように、第2ロック部材56を押し下げる操作をおこなう)。これにより、第2コネクタハウジング12を第1コネクタハウジング11から全て引き抜くことができる状態となる(図8(b)の状態)。
【0090】
なお、この第2ロック部材56は、当該第2ロック部材56に第2コネクタハウジング12が引っ掛かるよりも前の段階では、ロックを解除する操作ができないようになっている。例えば図7(a)や図7(b)に示す状態では、第2ロック部材56を解除する操作(第2ロック部材56を押し下げる操作)を行うことができない。これにより、第2ロック部材56を先に解除しておいて、第2コネクタハウジング12を一気に引き抜いてしまうというトラブルを防止できる。
【0091】
以上で説明したように、本実施形態の電気コネクタ97において、第1コネクタハウジング11は、当該第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジングが引き抜かれる途中の段階において前記第2コネクタハウジングに係合する第2ロック部材56を備えている。そして、第2ロック部材56を解除することにより第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を取り外すことができる。
【0092】
これによれば、ロック部材26を解除して電力の供給を遮断した後、コネクタを取り外すことができる。しかし、コネクタを引き抜くには、途中で第2ロック部材56を解除する操作を行わなければならないので、当該コネクタを素早く取り外すことはできない。従って、電力を遮断した後、コネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0093】
次に、本発明の第6実施形態について、図9を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似する構成には、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
、本実施形態の電気コネクタ98において、第2コネクタハウジング12は、外周に螺旋溝17が形成されたネジ部(係合部)18を有している。一方、第1コネクタハウジング11は、第1コネクタ本体19と、回転カバー(回転部材)20とを有している。回転カバー20は、第1コネクタ本体19の外側に配置された筒状の部材であり、その軸線を中心として、第1コネクタ本体19に対して相対回転可能に取り付けられている。また、この回転カバー20は、その軸線方向では第1コネクタ本体19に対して相対移動できないように取り付けられている。
【0095】
回転カバー20は、その内側に前記ネジ部18を挿入することができるように形成されている。この回転カバーの内側には、係合突起21が形成されている。係合突起21は、回転カバー20の内側に挿入されたネジ部18の螺旋溝17に係合できるように構成されている。これにより、回転カバー(回転部材)20と、ネジ部(係合部)18を係合させることができる。このように回転カバー20とネジ部18が係合することで、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12の係合が解除されてしまうことを阻止している。また、両者を係合させた状態で、回転カバー20を回転させることにより、ネジ送りの原理で、第2コネクタハウジング12に対して第1コネクタハウジング11を接近、又は離間させる方向に相対移動させることができる。
【0096】
本実施形態では、ループ回路22の両端が第2コネクタハウジング12から露出している。一方、回転カバー20の先端に、導体23が配置されている。そして、回転カバー20を奥までネジ込んだとき(第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12とを完全に係合させたとき)に、回転カバー20の先端が第2コネクタハウジング12に当接し、導体23がループ回路22の両端に接触して、ループ回路22が閉じるようになっている(図9(a)の状態)。即ち、本実施形態では、回転カバー20を奥までネジ込むことにより、ループ回路22に電流が流れるようになっている。
【0097】
第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12との係合を解除するためには、回転カバー20を回転させて、第2コネクタハウジング12から離れる方向に第1コネクタハウジング11を相対移動させれば良い。第2コネクタハウジング12から第1コネクタハウジング11が離間する方向に回転カバー20を回転させていくと、まず最初に、ループ回路22の両端から導体23が離間する。従って、本実施形態の構成によれば、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12が完全に係合した状態から回転カバー20を回転させて両者の係合を解除しようとすると、その初期の段階において、ループ回路22が遮断されて電力の供給を遮断することができる。これにより、コネクタを引き抜く際に、作業者が高電圧にさらされることを防止できる。
【0098】
前記螺旋溝17は、ネジ部18の周囲を複数回旋回するように形成されている。即ち、図1(a)の状態から、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を完全に引き抜くためには、回転カバー20を複数回回転させる必要がある。いかに手慣れた作業者であっても、回転カバー20を回転させるためには、ある程度の時間がかかるものと考えられる。従って、本実施形態の電気コネクタ1によれば、コネクタが完全に引き抜かれるまでの間に、安全な電圧に下がるために必要な時間を確実に確保することができるので、作業者の安全を確実に確保することができる。
【0099】
また本実施形態の電気コネクタ98の構成によれば、ネジ部18に形成する螺旋溝17の周回回数(ネジ山の数)によって、作業者がコネクタを引き抜くまでにかかる時間を規定することができる。即ち、ネジ山の数が多いほど、回転カバー20を回転させなければならない回数が増えるので、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を引き抜くためにかかる時間が長くなる。従って、ネジ山の数を適宜設定することにより、コネクタが完全に引き抜かれるまでに十分に時間を稼ぐことができる。
【0100】
以上で説明したように、本実施形態の電気コネクタ98は、第1コネクタハウジング11と、第2コネクタハウジング12と、回転カバー20と、ネジ部18と、を備えている。回転カバーは、第1コネクタハウジング11に設けられ、当該第1コネクタハウジング11に対して相対回転可能である。ネジ部18は、第2コネクタハウジング12に設けられ、回転カバー20に係合可能である。回転カバー20とネジ部18が係合することにより、第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12との係合が解除されることを阻止する。回転カバー20を回転操作することにより、第1コネクタハウジング11から引き離される方向に第2コネクタハウジング12を相対移動させるように構成される。そして、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12が完全に係合した状態から回転カバー20を回転操作する初期段階において、第1コネクタハウジング11及び前記第2コネクタハウジング12に対する電気の供給が遮断される。
【0101】
これによれば、回転カバー20を回転させるという操作により、電力の供給を遮断した後、コネクタを取り外すことができる。しかし、回転カバー20を回転させるにはある程度の時間がかかるので、コネクタを素早く取り外すことはできない。従って、電力を遮断した後、コネクタを取り外すまでには、必然的にある程度の時間が掛かる。これにより、電力の供給を遮断した後、コネクタが取り外されるまでの間に、電気が放電されて電圧が十分に下がるために必要な時間を確実に確保できるので、コネクタの着脱操作を行う作業者の安全を確保することができる。
【0102】
また本実施形態の電気コネクタ98は、以下のように構成されている。即ち、回転カバー20は、第1コネクタハウジング11に設けられ、内部に係合突起21を有する筒状部材である。ネジ部18は、回転カバー20の内側に挿入されるとともに、係合突起21に対して係合する螺旋溝17を有する。
【0103】
この構成によれば、回転カバー20を回転させることにより、ネジ送り式で、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12を相対移動させることができる。そして、ネジ部18のネジ山の数を調整することにより、コネクタの取り外しにかかる時間を規定することができる。
【0104】
次に、上記実施形態の変形例について、図10を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似する構成には、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0105】
上記実施形態の電気コネクタ98は回転カバー20を回転させることによりコネクタを取り外すように構成されていたが、この変形例の電気コネクタ99はダイヤル24を回転させることによりコネクタを取り外すように構成されている。
【0106】
即ち、第1コネクタハウジング11は、その内部に第2コネクタハウジング12を挿入することができるように構成されている。第1コネクタハウジング11の内部には、導体23が配置されている。一方、第2コネクタハウジング12の先端からは、ループ回路22の両端が露出している。第1コネクタハウジング11の奥まで第2コネクタハウジング12を挿入することにより、ループ回路22の両端に導体23が接触して、ループ回路22が閉じ、当該ループ回路22に電流が流れるように構成されている。第1コネクタハウジング11には、ダイヤル(回転部材)24が回転自在に取り付けられている。ダイヤル24の外周にはギア歯が形成されている。このダイヤル24は、その外周の一部が第1コネクタハウジング11の外側に露出するとともに、外周の一部が第1コネクタハウジング11の内側にも露出するように配置されている。
【0107】
一方、第2コネクタハウジング12の表面には、第1コネクタハウジング11に対する第2コネクタハウジング12の挿入方向に沿って、ラックギア(係合部)25が形成されている。そして、第1コネクタハウジング11に第2コネクタハウジング12を挿入したときに、前記ラックギア25とダイヤル24のギア歯が噛み合うように構成されている。
【0108】
この構成で、ダイヤル24を回転させることにより、ラックアンドピニオン方式で、第2コネクタハウジング12に対して第1コネクタハウジング11を接近、又は離間させる方向に相対移動させることができる。第1コネクタハウジング11と第2コネクタハウジング12が完全に係合した状態(図10(a)の状態)から、両者が離間する方向(第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を引き抜く方向)にダイヤル24を回転させると、その初期段階で、導体23がループ回路22の両端から離間する。これにより、ループ回路22には電流が流れなくなり、電力の供給が遮断される。
【0109】
一方、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を完全に引き抜くためには、ダイヤル24をある程度回転させなければならない。ダイヤル24を指で連続的に回転させることは困難であるから、いかに手慣れた作業者であっても、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を完全に引き抜くまでにはある程度の時間がかかるものと考えられる。即ち、本変形例の電気コネクタ99は、ダイヤル24を回転させなければコネクタを引き抜けないという機械的制約によって、電圧が安全な値まで下がるために必要な時間を稼ぐように構成されている。
【0110】
また本変形例の電気コネクタ99の構成によれば、第2コネクタハウジング12に形成するラックギア25の歯の数によって、作業者がコネクタを取り外すまでにかかる時間を規定することができる。即ち、ラックギア25の歯の数が多いほど、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を完全に引き抜くまでにダイヤル24を回転させなければならない回数が増えるので、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を引き抜くためにかかる時間が長くなる。従って、ラックギア25の歯の数を適宜設定することにより、第1コネクタハウジング11から第2コネクタハウジング12を引き抜く際にかかる時間を十分に稼ぐことができる。
【0111】
以上で説明したように、本実施形態の電気コネクタ99において、前記回転部材は、周囲にギア歯が形成されたダイヤル24である。前記係合部は、ダイヤル24の前記ギア歯に噛み合うラックギア25である。
【0112】
この構成によれば、ダイヤル24を回転させることにより、ラックアンドピニオン方式で、第1コネクタハウジング11及び第2コネクタハウジング12を相対移動させることができる。そして、ラックギア25のネジ山の数を調整することにより、コネクタの取り外しにかかる時間を規定することができる。
【0113】
以上に本発明の好適な実施の形態(及び変形例)を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0114】
本願発明の電気コネクタは、電気自動車、ハイブリッド自動車等の分野に限らず、あらゆる分野において高電圧回路に幅広く利用することができる。
【0115】
上記実施形態では、ワイヤハーネス側に第1コネクタハウジング11を、デバイス側に第2コネクタハウジング12をそれぞれ設ける構成としたが、これは説明の便宜のためである。実施形態の説明中にある「第1コネクタハウジング11」と「第2コネクタハウジング12」を入れ替えたとしても、本願発明の効果は何ら損なわれることはない。
【0116】
その他、コネクタハウジングの形状等は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 電気コネクタ
11 第1コネクタハウジング
12 第2コネクタハウジング
26 ロック部材(ロック機構)
53 ダンパー機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに係合可能な第2コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止するロック機構と、
前記ロック機構が解除される方向に操作される際に、当該ロック機構に抵抗を付与するダンパー機構と、
を備え、
前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給を遮断する操作を行うことにより、前記ロック機構を解除する操作が可能になることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに係合可能な第2コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止するロック機構と、
前記ロック機構が操作できないように、当該ロック機構の少なくとも一部を覆うカバー部と、
を備え、
前記カバー部は、前記第1コネクタハウジングに対してスライド可能に構成されているとともに、当該第1コネクタハウジングの終端までスライドさせることにより当該第1コネクタハウジングから取外し可能であり、
前記カバー部を、前記第1コネクタハウジングから取り外す方向にスライドさせる操作を行うことにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が自動的に遮断されるように構成されており、
当該カバー部を第1コネクタハウジングから取り外すことにより、前記ロック機構を解除する操作が可能になることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項3】
第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに係合可能な第2コネクタハウジングと、
を備え、
前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングの係合は、所定の位置に備えられた専用の治具を利用して解除することが可能に構成され、
当該治具を前記所定の位置から取り外すことにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が遮断されるように構成されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載の電気コネクタであって、
前記治具を取り付け可能な治具取付部を有し、
前記治具取付部は高電圧インターロックループ回路の一部を構成しているとともに、当該治具取付部から前記治具を取り外すことにより前記高電圧インターロックループ回路が遮断され、これにより前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が遮断されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項5】
第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに係合可能な第2コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止するロック機構と、
前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングを引き離す方向に相対移動させるときに抵抗を付与するダンパー機構と、
を備え、
前記ロック機構を解除する操作を行うことにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が自動的に遮断されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載の電気コネクタであって、
前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングの間が略気密状態となっており、
前記ロック機構を解除することにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングの間に空気が流入できる挿通孔が形成され、
当該挿通孔が形成されることにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングが空気式ダンパー機構として作用することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項7】
第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに係合可能な第2コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止するロック機構と、
を備え、
前記ロック機構を解除する操作を行うことにより、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電力の供給が自動的に遮断されるとともに、
前記第1コネクタハウジングは、当該第1コネクタハウジングから前記第2コネクタハウジングが引き抜かれる途中の段階において前記第2コネクタハウジングに係合する第2ロック機構を備え、
前記第2ロック機構を解除することにより前記第1コネクタハウジングから前記第2コネクタハウジングを取り外すことができることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項8】
第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに係合可能な第2コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに設けられ、当該第1コネクタハウジングに対して相対回転可能な回転部材と、
前記第2コネクタハウジングに設けられ、前記回転部材に係合可能な係合部と、
を備え、
前記回転部材と前記係合部が係合することにより、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの係合が解除されることを阻止するとともに、
前記回転部材を回転操作することにより、前記第1コネクタハウジングから引き離される方向に前記第2コネクタハウジングを相対移動させるように構成され、
前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングが完全に係合した状態から前記回転部材を回転操作する初期段階において、前記第1コネクタハウジング及び前記第2コネクタハウジングに対する電気の供給が遮断されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項9】
請求項8に記載の電気コネクタであって、
前記回転部材は、前記第1コネクタハウジングに設けられ、内部に係合突起を有する筒状部材であり、
前記係合部は、前記筒状部材の内側に挿入されるとともに、前記係合突起に対して係合する螺旋溝を有するネジ部であることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項10】
請求項8に記載の電気コネクタであって、
前記回転部材は、周囲にギア歯が形成されたダイヤル部材であり、
前記係合部は、前記ダイヤル部材の前記ギア歯に噛み合うラックギアであることを特徴とする電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−98055(P2013−98055A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240607(P2011−240607)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】