説明

電気コンタクトを監視するためのシステム及び方法

【課題】電気コンタクトを監視するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】一方法では、電気コンタクトに印加された電気信号と前記電気コンタクトを通った後の被測定電気信号とに基づいて、前記電気コンタクトのインピーダンスを計算する段階を含む。該方法はまた、前記計算されたインピーダンスを用いて前記電気コンタクトの状態を決定する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示する内容は、一般的に云えば、電気コンタクト(contact) に関し、より詳しく云えば、電気コンタクトを連続的に又は周期的に監視するためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気的接続は典型的には有効寿命を持つ。時間の経過につれて、電気的接続のコンタクトが劣化することがあり、その結果、接続機能が部分的に又は完全に失われることがある。コンタクトはまた、装置の動作後に突然に劣化することがある。もし効果的に監視していなければ、異なる構成部品内のこのように接続の劣化は、これらの構成部品の性能特性に悪影響を及ぼし且つ関連したシステムの信頼性を低減する恐れがある。電気的システムの適切な性能を維持するために、多くの場合、これらの構成部品をシステム性能と共に監視して、何らかの保守、修繕又は交換行為を行うべきかどうかを決定する。構成部品の監視は、連続的に、或いは目視検査又は適切な計器を使用した一連の試験より成る周期的な予防的検査を介して行うことができる。コンタクト表面の漸進的な劣化により導電に問題が生じて、その結果として局部的な温度上昇が生じる恐れがあり、これはシステム性能に悪影響を与え、ひいては更なる劣化を招くことがある。コンタクトはまた、極端な悪条件の下での単一の又は数回の動作で突然に劣化することがある。劣化の程度は使用者には明白でないことが多く、また装置が有効な動作に復帰できるかどうかは容易に決定できない。このため一連の手動試験と、装置を実用状態に復帰させた後の緊密な観察とが必要であり、或いは装置が「万が一に備えて」交換される。
【0003】
従来の電気コンタクト監視システムによっては、遮断器のコンタクト状態は、(低抵抗の線路試験を行うために)コンタクトに対する低抵抗測定のために設計された特別な計器を接続することによって、又は赤外線走査を使用して温度のオンライン測定を行うことによって、決定されている。
【0004】
このような従来の電気コンタクト監視システムは、電気コンタクトの漸進的な劣化のような電気コンタクトの劣化を首尾よく識別又は同定できない。従って、このようなシステムを使用したとき、検出の遅れ又は感度の不良が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6963203号
【発明の概要】
【0006】
一実施形態によれば、電気コンタクトに印加された電気信号と前記電気コンタクトを通った後の被測定電気信号とに基づいて、電気コンタクトのインピーダンスを計算する段階を含む方法が提供される。本方法はまた、前記計算されたインピーダンスを用いて前記電気コンタクトの状態を決定する段階を含む。
【0007】
別の実施形態によれば、電気コンタクトに印加された電気信号と前記電気コンタクトを通った後の被測定電気信号とについての情報を含む電気信号情報を受け取るように構成された受信装置を含むシステムが提供される。本システムはまた、被測定電気信号情報を用いて電気コンタクトのインピーダンスを計算して、前記電気コンタクトの状態を決定するように構成された処理装置をも含む。
【0008】
更に別の実施形態によれば、一対又は複数対のコンタクトと、少なくとも1つの周波数を持ち且つ前記対のコンタクトに印加される電気信号を発生する信号発生器とを含む遮断器が提供される。本遮断器はまた、前記対のコンタクトを通った後の前記印加された電気信号を測定して、前記印加された電気信号と該測定された電気信号との間の変化を決定するように構成された処理装置を含む。前記処理装置は更に、前記決定された変化を用いて前記コンタクトのインピーダンスを決定して、前記対のコンタクトの状態を決定するように構成される。
【0009】
図面には、本書で述べる様々な実施形態を、制限するものとしてではなく、例として、一般的に示しており、図面において同じ参照数字は同様な部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施形態に従った電気コンタクト監視システムの概略図である。
【図2】図2は、コンタクト対の分光学的抵抗指標(signature) を例示するグラフである。
【図3】図3は、コンタクト対の分光学的リアクタンス指標を例示するグラフである。
【図4】図4は、異なる周波数におけるコンタクト・インピーダンスのモジュラスを時間に関してプロットしたグラフである。
【図5】図5は、異なる周波数における位相角を時間に関してプロットしたグラフである。
【図6】図6は、一実施形態に従った電気コンタクトを監視するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の「発明の概要」並びに本発明の実施形態についての以下の詳しい説明は、添付の図面を参照して読めばより良く理解されよう。本書に用いられるような、単数形で表され且つ数を特記していない要素及び段階は、特に明記していない限り、複数の該要素及び段階を排除するものではないことを理解されたい。更に、「一実施態様」と云う場合、これは、そこに記載した特徴を同様に取り入れている更に別の実施態様の存在を排除するものとして解釈すべきであることを意図してはいない。また更に、特定の特性を持つ1つ又は複数の要素を「有する」又は「持っている」実施態様は、特に否定しない限り、その特性を持たない追加の同様な要素を含むことができる。
【0012】
以下の詳しい説明では、その一部を形成する添付の図面を参照し、また図面には例として、本書に開示する発明を実施することのできる特定の実施形態を示している。これらの実施形態は組み合わせることができること、又は他の実施形態を利用することができること、及び本書に開示する発明の範囲から逸脱することなく構造的、論理的及び電気的変更を行うことができることを理解されたい。従って、以下の詳しい説明は制限するものと見なすべきではなく、本書に開示する発明の範囲は「特許請求の範囲」の記載及びその等価な内容によって定められる。以下の説明では、全体を通じて、同様な部分又は要素を同じ参照数字又は参照符号で表す。本書では、数を明記しないで記載した事項(要素や段階など)は、それを1つ又は2つ以上含んでいることを表し、また用語「又は」、「或いは」などは、特に別の指示がない限り、「非排他的OR」を表すものとする。
【0013】
図1は、一実施形態に従った電気コンタクト監視システム100の概略図を示す。電気コンタクト監視システム100は独立型の監視システムとすることができる。この代わりに、電気コンタクト監視システム100は別のシステムの一部とすることができる。例えば、電気コンタクト監視システム100は遮断器システムの一部を形成することができ、或いは「スマート」遮断器を形成するために遮断器に組み込むことができる。電気コンタクト監視システム100は複数の遮断器の状態を監視することができ、これらの遮断器は相異なる種類の遮断器(例えば、空気支援遮断器、真空支援遮断器又はガス支援遮断器)であってよい。ここで、様々な実施形態は他の装置のためのコンタクトに関連して用いることができることに留意されたい。例えば、様々な実施形態は、とりわけ、母線と母線との接続、母線とケーブルとの接続、又はケーブルと機器との接続に使用することができる。ここで、また、異なる実施形態又は測定値を、異なる用途のため又は異なる装置のために用いることができることに留意されたい。
【0014】
電気コンタクト監視システム100は、1つ以上の周波数で電気信号103を発生する信号発生器102(例えば、交流信号発生器)を含む。一実施形態では、信号発生器102は、コンタクト対104(例えば、遮断器のコンタクト対)として示されている電気コンタクトに印加される電気信号103を発生し、電気信号103は1つ以上の周波数を含む。
【0015】
コンタクト対104は、様々な実施形態において、回路105、例えば、図1に示されているような点1及び2を越えた電気回路(図示せず)の一部を形成する。例えば、回路105は、配電などのために使用されるスマート・グリッドであってよい。別の例として、回路105は、風力又は太陽エネルギ発電所などの電力変換システムの一部であってよい。しかしながら、これらが単なる例に過ぎないこと、またコンタクト対104が任意の電気回路の一部を形成することができることに留意されたい。
【0016】
コンタクト対104は、電気的通路又は接続を提供するように電気接触することのできる任意の装置である。例えば、コンタクト対104はリレー又はスイッチに用いられる任意の適当な電気コンタクト(接点)であってよい。
【0017】
動作について説明すると、一実施形態では、信号発生器102は、単一周波数信号を持つ電気信号103を発生する。他の実施形態では、信号発生器102は、複数の相異なる周波数を含む所与の周波数範囲を持つ電気信号103を発生する。例えば、信号発生器102は、1kHz〜1MHzの周波数範囲を持つ電気信号103を発生することができる。このように、信号発生器102は、1kHz〜1MHzなどの周波数範囲内の単一の周波数又は複数の周波数を持つ電気信号103を発生することができる。しかしながら、他の周波数範囲も考えられる。例えば、信号発生器102は、20MHzまでの周波数を持つ電気信号103を発生することができる。ここで、1つ以上の周波数は、監視又は同定すべき特定のコンタクト状態に基づいて定めることができることに留意されたい。様々な実施形態において、電気信号103の周波数は、回路105のための給電周波数よりも高い周波数である。
【0018】
電気信号103は異なる種類の信号とすることができる。一実施形態では、コンタクト対104の両端間に印加される電気信号103は、交流信号である。例えば、交流信号は、100アンペア(A)までの電流値を持つことができる。電気信号103はまた、異なる電圧、例えば、10ボルトまでの電圧、を持つことができる。更に、電気信号103の電流及び電圧は、例えば、特定の用途に基づいて、より高い又はより低い電圧にすることができる。
【0019】
信号発生器102によって発生された電気信号103は(電気の流れ106を表す矢印で示されているように)コンタクト対104へ流れ、コンタクト対104は検査中の又は監視している電気コンタクトを含む。一実施形態では、電気信号103の流れ106が回路105の中へ漏洩するのを防止し且つ流れ106をコンタクト対104へ差し向けるために、インダクタ108を回路105に設けることができる。例えば、インダクタ108は、信号発生器102がインダクタ108とコンタクト対104との間に接続されるように、(図1中の点1へ向かって)コンタクト対104より前で回路105内に配置することができる。代わりの実施形態では、又は付加的に、送電線路110の固有インダクタンスにより、電気信号103が回路105の中へ漏洩するのを制限し又は防止することができる。
【0020】
様々な実施形態において、発生された電気信号103は、周期的にコンタクト対104に注入(すなわち、印加)される。電気信号103は所定の間隔で注入することができ、該間隔は固定に又は可変にすることができる。電気信号103はまた、コンタクト対104を監視している期間の一部分又は全体にわって連続的に印加することができる。電気信号103がコンタクト対104を通過したとき、1つ以上の周波数におけるその結果の被測定信号は、コンタクト対104の表面状態により変化することがある。例えば、とりわけ、孔食、ダスト堆積物、コンタクト対104の表面の粗さ、炭素堆積物、硫化物腐食、さび、湿気、崩壊、劣化、及び/又は酸化のような、コンタクト対104の異なる表面状態は、異なる周波数で電気信号103の応答に影響を与えることがある。様々な実施形態において、その結果の、すなわち被測定電気信号のような応答は、コンタクト対104の表面状態を決定し同定するために使用される。例えば、注入された周波数と測定された応答とに基づいて、以下により詳しく述べるような電気インピーダンス分光法(EIS)を用いることにより、コンタクト対104の表面に影響を及ぼす特定の状態(及び状態の程度)を決定することができる。例えば、1つ以上の周波数における被測定信号のインピーダンスの変動又は変化を分析することにより、コンタクト対104の状態を決定することができる。
【0021】
一実施形態では、回路105の本来の(in-situ) 動作電流が電気コンタクト監視システム100へ漏洩するのを制限し又は防止するために阻止コンデンサ112も設けられる。しかしながら、阻止コンデンサ112はまた、信号発生器102によって発生された電気信号103を通過させることができる。電気信号103がコンタクト対104を通過した後に電気信号103が回路105へ漏洩するのを制限し又は防止するために、インダクタ114を回路105に追加することができる。インダクタ114は、阻止コンデンサ112がインダクタ114とコンタクト対104との間で回路105に接続されるように、(図1中の点2へ向かって)コンタクト対104より後で回路105内に配置することができる。代わりの実施形態では、又はそれに加えて、送電線路110の固有インダクタンスにより、電気信号103が回路105の中へ漏洩するのを制限し又は防止することができる。
【0022】
更に、印加される電気信号103が電気コンタクト対104の両端間に印加される電圧であり且つその結果の電流が測定されるようにした実施形態では、電流センサ116が設けられる。一実施形態では、印加される電気信号103は電流信号とすることができ、その場合、電流センサ116は印加された電流信号を測定する。印加される電気信号103が電流であるとき、電流センサ116の測定値は、電流であって、印加される電気信号103を(例えば所定の値に対して)調整又は較正するための信号発生器102に対する帰還信号として用いることができる。別の実施形態では、該帰還信号は、本来の電流が処理装置118へ漏洩するのを防止するための阻止コンデンサ112の機能を監視するために用いることができる。例えば、電流センサ116が電気コンタクト監視システム100に漏洩する高入力電流を検出したとき、電流センサ116は回路の接続を切断し、且つ警報(例えば、オペレータに音響警報又は視覚警報)を供給することができる。
【0023】
このように、印加された電気信号103のような電気信号がコンタクト対104を(場合によっては電流センサ116をも)通過し、それに応答して電気信号120(「被測定電気信号」とも呼ぶ)が測定され、該信号は、コンタクト状態検出を遂行すること等の処理のために処理装置118へ入力として供給することができる。処理装置118は任意の種類のプロセッサ又は演算機械であってよく、それは、ハードウエア、ソフトウエア、それらの組合せで具現することができる。ここで、処理装置118が、電気信号120(又は、電気信号120に関する情報)、並びに他の信号又はデータ(例えば、印加される電気信号103の周波数及び値)を受け取るために受信装置(又は他の受信器)を含むことができることに留意されたい。
【0024】
例えば、処理装置118はまた、信号発生器102によって発生された電気信号103を受け取る。この信号通路には、回路105の本来の動作電流が処理装置118へ漏洩するのを制限し又は防止するために、別の阻止コンデンサ122及び電流センサ124を用いることができる。阻止コンデンサ122及び電流センサ124の動作は、前に述べたような阻止コンデンサ112及び電流センサ116の動作と同様である。
【0025】
一実施形態では、処理装置118は、受け取った信号、すなわち電気信号103及び120を、EIS技術を用いて分析して、1つ以上のコンタクト状態を決定する。例えば、処理装置118は受け取った信号を分析して、1つ以上の周波数における印加された信号とその結果の被測定信号との間の変化、例えば、印加された電気信号103と電気信号120との間の変化を監視することができる。一実施形態では、処理装置118は、最初のコンタクト対104の状態、すなわち、コンタクト対104が新しいときに存在するコンタクト対の表面状態に対して、較正することができる。印加された電気信号103はまた、処理装置118を較正するために用いることができる。この代わりに、処理装置118は他のコンタクト状態又は任意の他の因子について較正することができる。処理装置118の較正は、実施形態によっては、電気コンタクト監視システム100がベースライン測定値を定めることによってコンタクト対104の状態を同定し又は予測する際の誤肯定(false positive)判定を低減し又は避けることができるようにする。処理装置118はまた、印加された電気信号103及び非測定電気信号120からインピーダンスの実数部及びインピーダンスの虚数部を計算するために使用することができる。
【0026】
このように、様々な実施形態において、電気信号103が電気コンタクト、例えばコンタクト対104に、印加電気信号として印加される。印加電気信号103は少なくとも1つの周波数を持つ。次いで、応答が測定又は監視され、例えば、被測定電気信号である電気信号120が、電気コンタクトを通過した印加電気信号103として測定される。次いで、処理装置118は、コンタクト対104の状態を決定するために異なる周波数における印加信号及び被測定信号を用いることができる。様々な実施形態において、処理装置118は、電気コンタクトの状態を決定するために、インピーダンス、例えば、ここにより詳しく述べるように1つ以上の周波数における電気コンタクトの抵抗特性、容量特性又は誘導特性の内の少なくとも1つを含む複素インピーダンスを計算することができる。例えば、印加電気信号103は電圧信号とすることができ、また被測定電気信号120は電流とすることができる。他の実施形態では、印加電気信号103は電流信号とすることができ、その結果の電圧が測定される。
【0027】
図2は、コンタクトの分光学的抵抗指標202を例示するグラフ200であり、曲線204は所与の周波数範囲にわたって新しい又は正常な遮断器又はコンタクトの抵抗をプロットしたものであり、また曲線206は所与の周波数範囲にわたって損傷した遮断器又はコンタクトの抵抗をプロットしたものである。図3は、コンタクトの分光学的リアクタンス指標302を例示するグラフ300であり、曲線304は所与の周波数範囲にわたって新しい又は正常な遮断器又はコンタクトのリアクタンスをプロットしたものであり、また曲線306は所与の周波数範囲にわたって損傷した遮断器又はコンタクトのリアクタンスをプロットしたものである。グラフ200及び300は単一の遮断器又はコンタクトについてのものであるが、複数の遮断器又はコンタクトについて同様なグラフを作成することができる。様々な実施形態において、例えば、遮断器コンタクトの劣化状態を定量化するために、電気モデル・パラメータをインピーダンス・データから抽出することができる。ここで、抵抗が複素インピーダンスの実数部であり、またリアクタンスが複素インピーダンスの虚数部であることに留意されたい。更に、周波数は、インピーダンスを測定する際の注入信号の周波数である。
【0028】
様々な実施形態において、処理装置118は、異なるコンタクト状態を決定するためにコンタクト対104の分光学的指標(spectroscopic signature) を分析することができる。例えば、処理装置118は、電気信号120を用いてコンタクト対の抵抗特性、容量特性又は誘導特性を決定して、電気信号120の指標に対応する特定のコンタクト状態を同定することができる。例えば、1つ以上の曲線に沿った複数の点を分析し又は比較することができ、或いは形態学的な分析を遂行することができる。ここで、新しいコンタクト対についてのキャパシタンス分光法がコンタクト対抵抗及び空気キャパシタンスの両方を含むことができることに留意されたい。
【0029】
コンタクト対104が使用中であるとき、コンタクト対104では一般にコンタクト対材料の連続的な時間依存性劣化が生じて、コンタクト対104のインピーダンス分光法はコンタクト対104の表面状態に起因した抵抗、キャパシタンス及び/又はインダクタンスを含むことができるようになる。電気信号120の指標の変化が、異なる種類及びレベルのコンタクト対104の劣化に相関又は対応する。
【0030】
例えば、使用期間後の電気信号120の指標は、増大した抵抗と共に容量性指標を持つことができる。一実施形態では、コンタクト対104の容量特性は、該容量特性が容量性実数部(real capacitive part)及び容量性虚数部(imaginary capacitive part) の組合せを含むように計算することができる。コンタクト対104のキャパシタンスは次式によって表すことができる。
【0031】
Z=R+jXc (式1)
式1において、Zはコンタクト対104についての全キャパシタンスを表し、Rは容量性実数部を表し、Xcは容量性虚数部を表す。
【0032】
この代わりに、コンタクト対104の応答のインピーダンスのプロットを用いることができる。使用期間後の電気信号120の指標は、増大した抵抗と共にインダクタンス指標を持つ。一実施形態では、コンタクト対104のインダクタンス特性は、該インダクタンス特性が誘導性実数部及びインダクタンス虚数部の組合せを含むように計算することができる。コンタクト対104のインダクタンスは次式によって表すことができる。
【0033】
L=Rl+jXl (式2)
式2において、Lはコンタクト対104についての全インダクタンスを表し、Rlはインダクタンス実数部を表し、Xlはインダクタンス虚数部を表す。
【0034】
再び図1について説明すると、一実施形態において、処理装置118は、異なる表面状態に対応して異なる周波数又は異なる周波数範囲における複数の指標を保存することができ、これらは注入される周波数及び/又は監視している特定のコンタクト対104に基づいて定めることができる。ここで、所定の指標が以前の試験から決定することができること、以前の試験が(同様な種類のコンタクト対からの複数の以前の結果を用いるような)実際の試験又はシミュレーションを含むことができることに留意されたい。この代わりに、処理装置118は、異なる段階又はレベルの複数の表面状態を定める又はそれらに対応する所定の判定基準又は異なる指標を保存することができる。このように、EIS及び1つ以上の指標を用いて、処理装置118は1つ以上のコンタクト対状態(例えば、劣化した表面状態)を同定し又は予測することができる。別の実施形態では、処理装置118は、印加電気信号103と被測定電気信号120との間の差のみを用いて、1つ以上の状態を決定することができる。
【0035】
図4は、コンタクト・インピーダンスのモジュラスと印加電気信号の周波数(単位ヘルツ)との間の関係を示す複数の時間プロットの一例を示すグラフ400である。ここで、(時間領域ではなく)各々の測定周波数におけるインピーダンス(インピーダンスは同じ周波数における電圧と電流との比である)が示されていることに留意されたい。このような場合、図4に示されたインピーダンス・スペクトル分析では、周波数領域でインピーダンス測定値を例示している。曲線404、406、408及び410は、銀のコンタクトの老化を硫化水素(H2S)によって加速させた場合の時間ゼロ、24時間後、42時間後、及び60時間後における測定データに対応する。データは、1Hz〜1.00E+09Hzの周波数範囲で電気信号103を印加した場合を示している。線402は、0〜60時間の期間の間に銀のコンタクト対のインピーダンスが増大することを例示する。図から分かるように、インピーダンスは、コンタクト対104の劣化の増大につれて増大する。曲線404、406、408及び410は、単純に、時間につれてのコンタクト対104の劣化を例示する。従って、異なる分光学的インピーダンス指標を用いて、1つ以上のコンタクト対状態及び該状態の程度又はレベルを決定することができる。
【0036】
図5は、被測定電気信号(例えば、電気信号120)の位相角と印加電気信号(例えば、電気信号103)の周波数(ヘルツ単位)との間の関係を示す複数の時間プロットの一例を示しているグラフ500である。図5はまた、時間につれての所与の位相角での印加信号と受信信号との間の周波数シフトを例示する。曲線504、506、508及び510は、前と同様に銀のコンタクトの老化を硫化水素(H2S)によって加速させた場合の時間ゼロ、24時間後、42時間後、及び60時間後における測定データに対応する。データは、1Hz〜1.00E+09Hzの周波数範囲で電気信号103を印加した場合を示している。線502は、一定の位相値の場合に、周波数スペクトルがコンタクト対104の劣化につれてシフトすることを例示する。従って、異なる分光学的インピーダンス指標を用いて、1つ以上のコンタクト対状態及び該状態の程度又はレベルを決定することができる。
【0037】
様々な実施形態において、処理装置118は、図4及び図5に大まかに例示したような1つ以上の周波数における受信信号を分析する。例えば、処理装置118は、少なくとも1つのコンタクト対状態を決定する際に、受信信号の応答、並びに受信信号のインピーダンス、位相角、電圧又は電流の内の少なくとも1つ、及びそれらの組合せを使用することができる。別の実施形態では、処理装置118は、検査中の又は監視しているコンタクト対104の決定された抵抗特性、決定された誘導特性又は決定された容量特性に基づいて、少なくとも1つのコンタクト対状態を決定することができる。
【0038】
様々な実施形態において、処理装置118はまた、予め定められたモデルに基づいてコンタクト対104の状態を予測することができ、この場合、予め定められたモデルは、被測定電気信号120の周波数、インピーダンス、位相角、電圧又は電流の内の少なくとも1つを使用することを含む。場合によっては、処理装置118は予め定められたモデルに基づいてコンタクト対104の状態を予測することができ、この場合、該モデルは、異なる電圧信号(該信号は周波数範囲を持つか又は単一の周波数を持つことができる)と、図4及び図5に示されているようなデータを用いた印加信号に対する受信信号のEIS位相応答とを用いて生成される。
【0039】
一実施形態では、処理装置118は、被測定電気信号120の応答、被測定電気信号120のインピーダンス、被測定電気信号120の位相角、被測定電気信号120の電圧、又は被測定電気信号120の電流の内の少なくとも1つを用いて、コンタクト対104の漸進的劣化を表示することができる。例えば、コンタクト対104が劣化するにつれて、被測定電気信号120のEIS位相角が減少し、これは任意の適当なEIS分析技術を用いて(例えば、測定された応答を順方向モデルからの予測される応答と比較することによって)決定することができる。コンタクト対104のEISの位相角の変化の結果を用いて、処理装置は、例えば、分光学的インピーダンス指標の曲線に沿った点、又は予測値との比較に基づいて、コンタクト対104の漸進的劣化又は損傷を決定する。
【0040】
様々な実施形態では、特定のコンタクト対状態又は劣化レベルを通知することができる。例えば、再び図1を参照して説明すると、処理装置118は、少なくとも1つのコンタクト対状態(例えば、所定の状態)を決定し及び/又は予測したとき、その情報の通知、例えば、電気コンタクト監視システム100のユーザーにコンタクト対104の状態を知らせる警報126を提供することができる。警報126は任意の種類の通知技術を使用して提供することができる。例えば、警報126はユーザーの携帯電話へのテキスト・メッセージとすることができる。警報126は音声信号及び/又は光信号とすることができる。また、警報126は、コンタクト対104の状態を表す表示(例えば、コンタクト対104が直ちに交換を必要としているかどうかを表す数字)と共にeメール・メッセージとして提供することができる。この代わりに、警報126は、任意のテキスト、音声、光、電子信号、eメール、或いはそれらの組合せとすることができる。
【0041】
処理装置118によって供給される情報は、アナログ又はディジタル信号とすることができる。この信号は有線又は無線ネットワークを介して伝送することができる。処理装置118は、複数の電気コンタクト監視システム100の複数の監視されるコンタクト対104から同様な信号を受け取る中央監視場所へ当該情報を送ることができる。別の実施形態では、処理装置118は被測定電気信号120を中央監視場所へ送ることができ、中央監視場所では、被測定電気信号120は、遮断器の変更が必要なことを技術者に通知すること等のような、更なる処理のために用いることができる。この代わりに、電気信号120は別のシステムへ送ることができる。例えば、他のシステムは遮断器切替システムとすることができる。
【0042】
電気コンタクト監視システム100はまた、回路105がオフラインであるときに使用することができる。回路105は、回路105が動作していないとき及び/又は電流がゼロであるとき、オフラインとすることができる。この代わりに、電気コンタクト監視システム100は、回路105が本来の動作を行っているか又は活回路であるときに用いることができる。回路が電源に動作可能に接続されているとき、回路は本来の状態であり又は回路は活きている。
【0043】
実施形態によっては、電気コンタクト監視システム100は、複数のコンタクト対104を同時に又は並行して監視することができる。例えば、コンタクト対104は、複数の他のコンタクト対104と直列に又は並列に接続することができる。並列に接続された複数のコンタクト対104の動作を監視するための構成では、各コンタクト対104がそのコンタクトを閉成したときに実質的に異なるインピーダンスを持つことができる場合、このような複数のコンタクト対104の各々と接続するために別々の電気コンタクト監視システム100を設けることができる。複数の回路の各々が複数のコンタクト対104を持っている場合に、単一の電気コンタクト監視システム100により複数の回路を同時に又は並行して監視することができる。この電気コンタクト監視システム100は、複数のコンタクト対104を監視して、全ての又は一部のコンタクト対104の状態の組合せ結果を報告することができる。
【0044】
図6は、様々な実施形態に従った電気コンタクトを監視するための方法600を例示する。一実施形態において、方法600は、電気コンタクト対104(図1に示す)のような、少なくとも1つの電気コンタクト対を分析することを含む。詳しく述べると、段階602において、電気信号(例えば、電気信号103)がコンタクト対の両端間に印加され、この場合、電気信号は少なくとも1つの周波数(例えば、周波数変調された電気信号)を持つ。電気信号は、一実施形態において、交流電気信号を発生する信号発生器を用いて、発生することができる。次いで、段階604において、印加された電気信号に対する応答が、該信号がコンタクト対を通過した後に測定される。ここで、被測定信号は、回路の元来の動作電流が処理部分へ漏洩して方法600に悪影響を及ぼすのを制限し又は防止するための1つ以上の阻止コンデンサを通過できることに留意されたい。被測定信号は、印加された電気信号が処理部分に漏洩して方法600に悪影響を及ぼすのを制限し又は防止するために用いられる1つ以上のインダクタを通過する。この代わりに又はこれに加えて、信号を伝送する伝送線路の固有インダクタンスにより、電気信号103が処理部分に漏洩して方法600に悪影響を及ぼすのを制限し又は防止する。
【0045】
段階606において、印加された電気信号と被測定電気信号(例えば、電気信号120)との間の変化が監視される。変化の監視は、例えば、処理装置118を用いて、複数の周波数において行うことができる。次いで、段階608において、任意の適当な信号周波数分離技術を用いて分離することのできる1つ以上の周波数成分を含む被測定電気信号を使用して、コンタクト対の抵抗特性、誘導特性及び/又は容量特性の内の少なくとも1つを決定する。
【0046】
段階610において、被測定電気信号は所定のコンタクト対状態に対して較正することができる。例えば、コンタクト対が新しいときに存在するコンタクト対の表面状態は、較正のために、すなわち、ベースライン測定値及び周波数応答を設定するために用いることができる。印加される電気信号は、本書で述べるようにコンタクト対状態の誤肯定判定を制限し又は避けるように較正のために用いることができる。
【0047】
その後、段階612において、EISを用いて少なくとも1つのコンタクト対状態を決定又は予測する。例えば、コンタクト対の状態は、とりわけ、孔食、ダスト堆積物、コンタクト対の表面の粗さ、炭素堆積物、硫化物腐食、さび、湿気、崩壊、劣化、及び/又は酸化の内の1つとすることができる。
【0048】
EIS分析は、段階614、616及び/又は618における1つ以上の異なる決定を含むことができる。例えば、新しいコンタクト対では、インピーダンス分光法は主に、コンタクト対の抵抗及び空気容量特性を含む。しかしながら、新しくないコンタクト対では、インピーダンス分光法は、コンタクト対の抵抗とそのコンタクトの表面状態に起因した容量特性とを含むことができる。ここで、容量特性が本書で述べたように容量性実数部及び容量性虚数部の組合せを含むことができることに留意されたい。
【0049】
従って、段階614において、コンタクト対の少なくとも1つの状態は、印加された電気信号と被測定電気信号との間の変化を用いて決定することができる。それに加えて又はその代わりに、少なくとも1つの状態は、段階616において、決定された抵抗特性、決定された誘導特性、又は決定された容量特性を用いて、決定することができる。少なくとも1つの状態は、段階618において、被測定電気信号の応答、被測定電気信号のコンタクト・インピーダンス、位相角、電圧又は電流、或いはそれらの組合せを用いて、決定することができる。例えば、本書で述べられているように、これらの決定は、とりわけ、分光学的インピーダンス指標又は予測値に基づいて行うことができる。
【0050】
ここで、決定が、コンタクト対の現在の状態についてのものとすることができ、或いは分光学的インピーダンス指標の曲線に沿った電流測定値の位置に基づくような、コンタクト対の漸進的劣化を表すことを含むことができることに留意されたい。
【0051】
方法600は、監視されるコンタクト対を持つ回路が動作状態にないときにオフラインで遂行することができる。この代わりに、方法600は、コンタクト対が回路内に動作可能に接続されている本来の状況で遂行することができる。
【0052】
決定は、(1つ以上の監視されるコンタクト対に対応させることができる)単一周波数応答又は複数周波数応答に基づいて行うことができる。これらの応答は所定の又はモデル化した応答と比較することにより、特定の状態又はその状態のレベルを同定することができる。
【0053】
コンタクト対の状態に関して様々な決定がなされた後、段階620において、少なくとも1つの予め定められたコンタクト対状態を検出したときに通知を行うことができる。例えば、その状態は、コンタクト対が予測曲線に沿った位置に基づいて全有効寿命の内の10パーセント以内に有ることを表していることがある。その通知は、一般的な監視情報と共に、中央監視場所へ送ることができ、中央監視場所では、情報が様々なコンタクト対状態について処理される。このようにして、決定は現地で又は遠隔で行うことができる。
【0054】
様々な実施形態において、インピーダンスの決定には、1つ以上の周波数において、抵抗特性、誘導特性又は容量特性の内の1つ以上、又は少なくとも2つを決定することが含まれる。実施形態によっては、電圧及び電流は複数の周波数において組み合わされる。実施形態によっては、抵抗、キャパシタンス及び/又はインダクタンスを周波数の関数としてプロットして使用することにより、例えば、プロットした曲線における変化又はシフトを決定する。また、劣化の指標は、被測定信号又は結果の信号のみを使用して、或いは印加信号及び非測定信号の両方を使用して、分析することができる。
【0055】
様々な実施形態の少なくとも1つの技術的効果は、コンタクトの状態の決定を改善し及び/又はコンタクトの状態を予測する能力を改善することである。
【0056】
様々な実施形態及び/又はその中のコンポーネント(例えば、モジュール、要素、又は構成部品及び制御装置)はまた、1つ以上のコンピュータ又は処理装置の一部として具現化することができる。コンピュータ又は処理装置は、演算装置、入力装置、表示装置及び(例えば、インターネットにアクセスするための)インターフェースを含むことができる。コンピュータ又は処理装置は、マイクロプロセッサを含むことができる。マイクロプロセッサは通信母線に接続することができる。コンピュータ又は処理装置はまた、メモリを含むことができる。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読出し専用メモリ(ROM)を含むことができる。コンピュータ又は処理装置は更に、記憶装置を含むことができる。記憶装置は、ハードディスク駆動装置、又は取外し可能な記憶装置駆動装置(例えば、光ディスク駆動装置、半導体ディスク駆動装置(例えば、フラッシュRAM)等々)とすることができる。記憶装置はまた、コンピュータ又は処理装置にコンピュータ・プログラム又は他の命令を装入するための他の同様な手段とすることができる。
【0057】
本書で用いられる用語「コンピュータ」又は「モジュール」には、マイクロコントローラ、縮小命令セット・コンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、図形処理装置(GPU)、 論理回路、及び本書で述べた機能を実行することの可能な任意の他の回路又はプロセッサを使用するシステムを含む、任意のプロセッサをベースとした又はマイクロプロセッサをベースとしたシステムを含むことができる。上記の例は典型的なものに過ぎず、従っていずれにしても用語「コンピュータ」の定義及び/又は意味を制限するものではない。
【0058】
コンピュータ又は処理装置は、入力データを処理するために、1つ以上の記憶素子に記憶されている一組の命令を実行する。記憶素子はまた、希望されるとき又は必要とされるとき、データ又は他の情報を記憶することができる。記憶素子は、情報源又は処理機械内の物理的メモリ素子の形態であってよい。
【0059】
一組の命令は、本発明の様々な実施態様の方法及び処理のような特定の動作を遂行するために処理機械としてコンピュータ又は処理装置に命令する様々なコマンドを含むことができる。一組の命令は、有形の持続性コンピュータ読取り可能な媒体の一部を形成することのできるソフトウエア・プログラムの形態であってよい。ソフトウエアは、システム・ソフトウエア又はアプリケーション・ソフトウエアのような様々な形態であってよい。更に、ソフトウエアは、一群の別々のプログラム又はモジュール、より大きなプログラム内のプログラム・モジュール、又はプログラム・モジュールの一部分の形態であってよい。ソフトウエアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態でモジュラー・プログラミングを含むことができる。処理機械による入力データの処理は、オペレータ指令に応答するもの、又は以前の処理の結果に応答するもの、又は別の処理機械によってなされた要求に応答するものであってよい。
【0060】
本書で用いられる用語「ソフトウエア」、「ファームウエア」及び「アルゴリズム」は相互に交換可能であり、またRAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、コンピュータによって実行するためのメモリに記憶されている任意のコンピュータ・プログラミングを含む。上記のメモリの種類は典型的なものに過ぎず、従ってコンピュータ・プログラムの記憶のために使用可能なメモリの種類について制限するものではない。
【0061】
また、上記の記載が説明のためのものであって、制限するためのものではないことを理解されたい。例えば、上述の様々な実施態様(及び/又はその様々な面)は互いに組み合わせて用いることができる。その上、特定の状況又は材料を本発明の範囲から逸脱せずに本発明の教示に適応させるように多くの修正を為すことができる。本書で述べた材料の寸法及び種類が本発明のパラメータを規定することを意図しているが、それらは制限ではなく、模範的な実施態様である。上記の説明を検討すると、当業者には多くの他の実施態様が明らかであろう。従って、発明の範囲は、特許請求の範囲の記載と共に、該記載と等価な全ての範囲を参照して決定すべきである。特許請求の範囲の記載では、「含む」及び「その場合において」と云う用語は「有する」及び「この場合」と云う用語とそれぞれ等価なものとして用いられている。更に、特許請求の範囲の記載において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は単にラベルとして用いられていて、それらの対象について数に関する要件を課しているものではない。更に、特許請求の範囲が「手段+機能」形式で記載されていず、また特許請求の範囲が、構造についての記載のない機能の記述の後に用語「手段」を記載したものでないなら、米国特許法35U.S.C.ξ112、第6項に基づいて解釈されるべきではない。
【0062】
本明細書は、最良の実施形態を含めて、本発明を開示するために、また当業者が任意の装置又はシステムを作成し使用し、任意の採用した方法を遂行すること含めて、本発明を実施するために、幾つかの例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載に定めており、また当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの記載から実質的に差異のない構造的要素を持つ場合、或いはそれらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0063】
100 電気コンタクト監視システム
102 信号発生器
103 印加される電気信号
104 コンタクト対
105 回路
106 電気の流れ
108 インダクタ
110 送電線路
112 阻止コンデンサ
114 インダクタ
116 電流センサ
120 被測定電気信号
122 阻止コンデンサ
124 電流センサ
200 グラフ
202 コンタクトの分光学的抵抗指標
204 曲線
206 曲線
300 グラフ
302 分光学的リアクタンス指標
304 曲線
306 曲線
600 電気コンタクトを監視するための方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コンタクトに印加された電気信号と前記電気コンタクトを通った後の被測定電気信号とに基づいて、前記電気コンタクトのインピーダンスを計算する段階と、
前記計算されたインピーダンスを用いて前記電気コンタクトの状態を決定する段階と、を有する方法。
【請求項2】
更に、前記印加された電気信号と前記被測定電気信号との間の変化を決定する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項3】
更に、前記被測定電気信号を所定の電気コンタクト状態に対して較正する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項4】
更に、前記計算されたインピーダンスを用いて前記電気コンタクトの少なくとも1つの状態を予測する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項5】
更に、電気インピーダンス分光法(EIS)を用いて前記状態を決定又は予測する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項6】
更に、前記印加された電気信号の位相角の変化を決定して、前記状態を同定する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項7】
更に、前記被測定電気信号の応答、及び前記被測定電気信号のインピーダンス、位相角、電圧又は電流の内の少なくとも1つを用いて、前記状態を決定する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項8】
更に、前記計算されたインピーダンスに基づいて抵抗特性、容量特性又は誘導特性の内の少なくとも2つを用いて、前記状態を決定する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項9】
更に、前記電気コンタクトンの漸進的劣化を決定する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記電気コンタクトの状態は、前記電気コンタクトが回路と動作可能に接続されている本来の状況で決定される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記印加された電気信号は複数の周波数を有している、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記状態は、前記電気コンタクトについての孔食、酸化物、ダスト、炭素、圧力又は粗さの内の少なくとも1つを含む、前記電気コンタクトについての少なくとも1つのコンタクト特性を有している、請求項1記載の方法。
【請求項13】
更に、複数の電気コンタクトを監視して、これらのコンタクトの状態を決定する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項14】
更に、少なくとも1つの所定の状態を検出したときに警報を発する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項15】
更に、遮断器スイッチに用いられる被測定電気信号又は前記状態を、中央監視場所へ伝送する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項16】
更に、前記被測定電気信号の周波数、インピーダンス、位相角、電圧又は電流の内の少なくとも1つを使用する所定のモデルに基づいて、前記状態を予測する段階を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項17】
電気コンタクトに印加された電気信号と前記電気コンタクトを通った後の被測定電気信号とについての情報を含む電気信号情報を受け取るように構成された受信装置と、
前記被測定電気信号情報を用いて前記電気コンタクトのインピーダンスを計算して、前記電気コンタクトの状態を決定するように構成された処理装置と、
を有するシステム。
【請求項18】
前記処理装置は更に、電気インピーダンス分光法(EIS)を用いて前記状態を決定又は予測するように構成されている、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記処理装置は更に、前記被測定電気信号の応答、及び前記被測定電気信号のインピーダンス、位相角、電圧又は電流の内の少なくとも1つを用いて、少なくとも1つの状態を決定するように構成されている、請求項17記載のシステム。
【請求項20】
前記処理装置は更に、前記電気コンタクトの漸進的劣化を決定するように構成されている、請求項17記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、更に、電気信号を発生するように構成された信号発生器を有し、該電気信号は、前記電気コンタクトに印加される電力信号の周波数とは異なる少なくとも1つの周波数を用いて発生される、請求項17記載のシステム。
【請求項22】
一対又は複数対のコンタクトと、
少なくとも1つの周波数を持ち且つ前記対のコンタクトに印加される電気信号を発生する信号発生器と、
前記対のコンタクトを通った後の前記印加された電気信号を測定して、前記印加された電気信号と該測定された電気信号との間の変化を決定するように構成された処理装置であって、更に、前記変化を用いて前記コンタクトのインピーダンスを決定して、前記対のコンタクトの状態を決定するように構成されている処理装置と、
を有する遮断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−89596(P2013−89596A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−220935(P2012−220935)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】