説明

電気ポット

【課題】 容器洗浄時の省エネルギー化と、火傷の防止を図る。
【解決手段】 ユーザにより選択される容器洗浄モード選択手段9と、該前記洗浄モード選択手段9が選択されると、容器3内の水をヒータ5により沸騰させた後、沸騰近傍の温度で所定時間保持してからヒータ5をオフし、安全温度まで低下すると報知する容器洗浄モード実行手段15を備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気ポット、詳しくはその容器洗浄機能に関するものである。
【0002】
【従来の技術】容器内に収容した水をヒータにより加熱して沸騰させる電気ポットでは、長期に使用すると、湯垢が付着したり、水に含まれるカルシウム等の金属成分が酸化物となって容器の壁面に析出し、汚れが生じる。このような、湯垢や汚れを落とすために、従来、ユーザ自身が、レモン水やクエン酸を容器内の水又はお湯に溶かして湯沸かしし、一定時間保温した後、そのお湯を捨ててすすぎ、さらにお湯を沸かして捨てるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記洗浄方法では、沸騰の継続時間や、保温の温度及び継続時間がユーザに不明である場合が多く、長く沸騰を続けたり、保温を長時間行ったりして、エネルギーを無駄に消費し、時間を余分に費やすことがあった。また、一定時間保温した後に、内部を手洗いしたり、洗い流すときに、高温のお湯で火傷する危険性があった。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、容器洗浄時の省エネルギー化と、火傷の防止を図ることを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明は、容器内の水をヒータにより加熱して沸騰させる電気ポットにおいて、ユーザにより選択される容器洗浄モード選択手段と、該前記洗浄モード選択手段が選択されると、容器内の水をヒータにより沸騰させた後、沸騰近傍の温度で所定時間保持してからヒータをオフする容器洗浄モード実行手段とを備えたものである。ここで、前記容器洗浄モード実行手段は、ヒータをオフした後、容器内のお湯が安全温度まで低下すると報知するようにするのが好ましい。
【0006】この発明では、ユーザがレモン水やクエン酸を容器内の水又はお湯に溶かし、この状態で洗浄モード選択手段を選択すると、容器洗浄モード実行手段は、容器内の水を沸騰させた後、沸騰近傍の温度で所定時間保持してからヒータをオフする。そして、容器内のお湯が安全温度まで低下すると報知する。したがって、この報知によって、ユーザは容器内部を手洗いしたり、洗い流すことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0008】図1は、本発明に係る電気ポットを示す。この電気ポットは、ポット本体1と、該ポット本体1に着脱可能な蓋体2とからなっている。ポット本体1の内部には、容器3が収容され、該容器3の底には揚水管4が接続されている。また、容器3の底には、内部の水を加熱して沸騰させるメインヒータ5と内部のお湯を保温する保温ヒータ6が配設されるとともに、内部の水の温度を容器を介して検出する温度センサ7が取り付けられている。ポット本体1の肩部には操作表示パネル8が設けられ、該操作表示パネル8には、図示しない再沸騰スイッチや給湯スイッチ(電動ポットの場合)等の従来公知の操作スイッチと、温度表示等の表示部が配設されているほか、本発明の容器洗浄選択手段である洗浄キースイッチ(以下、単に洗浄キーという。)9と報知用のブザー10が設けられている。
【0009】前記ポット本体1には、計時を行うタイマ11と、プログラム等が予め記憶された読出し専用メモリ(ROM)12と、測定温度や計時時間等を記憶する読書き専用メモリ(RAM)13と、前記ROM12に記憶されたプログラムに従って、前記タイマ11、ROM12及びRAM13と協働して湯沸かしモード、保温モード及び容器洗浄モードを実行する中央演算処理装置(以下、CPUという。)14とからなる制御装置15が設けられている。CPU14には、前記温度センサ7からの検出温度が入力され、洗浄キー9のオン信号が入力されるようになっている。また、CPU14からは、前記メインヒータ5又は保温ヒータ6に駆動信号が出力され、またブザー10に報知信号が出力されるようになっている。
【0010】次に、前記制御装置15による動作を図2のフローチャートに従って説明する。ここでは、公知の湯沸かしモード及び保温モードについては説明を省略し、本発明にかかる容器洗浄モードについてのみ説明する。
【0011】容器3内の湯垢や汚れが目立ってきた場合には、ユーザは、規定容量まで水を入れ、あるいは保温中のお湯に水又はお湯を追加して規定容量にしてから、その水又はお湯にレモン水やクエン酸を入れて、洗浄キー9を押す。これにより、容器洗浄モードになり、以下の手順により容器洗浄モードが実行される。
【0012】すなわち、ステップ101で洗浄キー9がユーザによりオンされたか否かを判断し、オンされていなければ、容器洗浄モードには入らず、待機状態となる。洗浄キー9がオンされると、ステップ102でメインヒータ5をオンする。これにより、容器3内の水又はお湯が加熱される。そして、ステップ103で、温度センサ7による検出温度TFが100℃を越えたか否かを判断し、越えていればステップ104で一応ここで沸騰を検知し、ステップ105でメインヒータ5をオフする。次に、ステップ106で、タイマ11により時間のカウントを開始する。
【0013】そして、ステップ107でタイマ11のカウント時間tAが1時間未満であるか否かを判断し、1時間未満であれば、ステップ108で温度センサ7による検出温度TYが90℃未満であるか否かを判断する。90℃未満であれば、ステップ109で保温ヒータ6をオンしてステップ107に戻り、100℃以上であればステップ110で保温ヒータ6をオフしてステップ107に戻る。これにより、容器3内のお湯の温度は、1時間が経過するまで100℃に維持される。この保温中に、容器3の壁面に付着した湯垢や汚れが除去される。
【0014】前記ステップ107で、タイマ11によるカウント時間tAが1時間以上になれば、ステップ111で保温ヒータ6をオフし、ステップ112で温度センサ7による検出温度TYが45℃未満であるか否かを判断する。45℃未満でなければ、容器3内のお湯が自然放冷によって45℃未満になるまで待機し、45℃未満になればステップ113でブザー10によりその旨を報知し、ステップ114で電源をオフする。これにより、ユーザは、容器3内のお湯が安全温度になったことを判断できるので、この時点で蓋体2を開放して、内部を手洗いして未だ壁面に付着している湯垢や汚れをこすり落とすことができるし、そのままお湯を洗い流すこともできる。このとき、容器3内部のお湯は45℃未満になっているので、火傷を負うことがなく、安全である。
【0015】図3は、前記容器洗浄モードにおける温度センサ7の検出温度の変化を示す。この図に示すように、容器3内の水は、沸騰後に90℃に一定時間(1時間)保温され、45℃まで自然放冷される。
【0016】前記実施例では、保温温度として90℃を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、沸騰を継続させない温度すなわち沸点近傍の温度であればよい。また、自然放冷後の温度も前記実施例のように45℃でなくとも、約50℃以下の手をつけても火傷をしない程度の安全な温度であればよい。さらに、保温時の継続時間は、1時間に限らず、1〜2時間の範囲内で定めればよい。
【0017】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ユーザにより洗浄モード選択手段が選択されると、容器洗浄モード実行手段が容器内の水を沸騰させた後、沸騰近傍の温度で所定時間保持してからヒータをオフするようにしたので、沸騰や保温が無駄になされることがなく、省エネルギー化が図られる。また、安全温度まで低下すると報知するようにしたので、その後に手洗いしたり、洗い流しても、火傷を負うことがなく、安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる電気ポットの概略構成図である。
【図2】 容器洗浄モードのフローチャートである。
【図3】 容器洗浄モードにおける温度変化を示す図である。
【符号の説明】
3…容器、5…メインヒータ、6…保温ヒータ、7…温度センサ、9…洗浄キー(容器洗浄モード選択手段)、10…ブザー、15…制御装置(容器洗浄モード実行手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器内の水をヒータにより加熱して沸騰させる電気ポットにおいて、ユーザにより選択される容器洗浄モード選択手段と、該前記洗浄モード選択手段が選択されると、容器内の水をヒータにより沸騰させた後、沸騰近傍の温度で所定時間保持してからヒータをオフする容器洗浄モード実行手段とを備えたことを特徴とする電気ポット。
【請求項2】 前記容器洗浄モード実行手段は、ヒータをオフした後、容器内のお湯が安全温度まで低下すると報知するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電気ポット。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開平9−201284
【公開日】平成9年(1997)8月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−13787
【出願日】平成8年(1996)1月30日
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)