説明

電気伝導性コーティングの製造方法

【化1】


ラテックス粒子の水性分散液であって、該ラテックス粒子が式(I)[式中、RおよびRは互いに独立して水素もしくはC1−5−アルキル基を表わすかまたは一緒になって場合により置換されていてもよいC1−5−アルキレン基を形成する]に従う単量体単位を含有する重合体および少なくとも1種のポリアニオン化合物を含有し、該ラテックスが40nmより小さい一次粒子寸法を有しそして分散液がジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物或いは15の誘電定数、ε、を有する非プロトン性化合物を含有し、該ラテックス粒子が該少なくとも1種のポリアニオン化合物および該重合体を少なくとも4の重量比で含有することを特徴とするラテックス粒子の水性分散液;上記重合体の水性溶液または分散液を反応媒体中での少なくとも1種のポリアニオン化合物の存在下における酸化または還元条件下での開始剤との重合により製造する段階を含んでなる電気伝導性コーティングの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気伝導性コーティングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリチオフェン類はそれらの興味ある電気および/または光学性質のために広く研究されてきた。ポリチオフェン類は化学的もしくは電気化学的酸化または還元で電気伝導性になる。それらの最終的に達成可能な電気伝導性は、それらの化学的組成、ポリチオフェン連鎖中のチオフェン単量体の重合の立体規則性およびそれらのπ−共役長さにより決められる。未置換のチオフェン類または3−および4−位置において同じ基で置換されたチオフェン類が重合される場合には、そのような立体規則性問題は生じない。
【0003】
特許文献1は、式:
【0004】
【化1】

【0005】
[式中、Aは場合により置換されていてもよいC1−C4−アルキレン基を示す]
の構造単位を含有するポリチオフェンおよび対応するチオフェンの酸化重合によるその製造を開示している。
【0006】
特許文献2は、ポリアニオン化合物の存在下における式(I):
【0007】
【化2】

【0008】
[式中、RおよびRは互いに独立して水素もしくはC1−C4アルキル基を表わすかまたは一緒になって場合により置換されていてもよいC1−C4−アルキレン基を形成する]
の構造単位から構成されるポリチオフェン類の分散液を開示し、そして具体的には、実施例でポリ(スチレンスルホン酸)の存在下における3,4−エチレンジオキシチオフェン[EDOT]の、1:1.29(実施例2)、1:2.2(実施例7および8)、1:4(実施例1、3、4および10)、1:6(実施例5)並びに1:8.33(実施例6)の水中での重量比における重合を開示している。
【0009】
2001年に、非特許文献1は、受動マトリックスOLE中の減じられた漏話混信(crosstalk)用の高抵抗PEDOT/PSSを開示しそして以下で再現される標準ベイトロン(BAYTRON)TMP並びにベイトロンTMPタイプAI4083およびCH8000の特性データを示した:
【0010】
【表1】

【0011】
非特許文献1はさらに、標準ベイトロンTMPに関して数桁程度減じられた伝導性は粒子寸法分布の中心を約100nmから20nmに移行させることも報告したが、ゲル粒子の寸法はそれらの水性膨潤状態で採用されそして脱水後にはより小さい寸法であることに注意すべきである。バイエル(BAYER)の最近の商業用文献はこれらの3種のベイトロンTMP等級に関して以下の特性を示している:
【0012】
【表2】

【0013】
PEDOT/PSSの水性分散液はバイエルからベイトロンTMPとして市販されている。2002年に、非特許文献2に記載されているように、13C NMR分析により分析された標準ベイトロンTMP中のモル比は2.7(=3.50の重量比)であることが見出されそしてアグファ−ゲベルト(AGFA−GEVAERT)N.V.により市販されているPEDOT/PSSの標準水性分散液中のものは2.1(=2.72の重量比)であることが見出された。
【0014】
【表3】

【0015】
1999年に、非特許文献3は、PSS:PEDOT比が減少するにつれて0.24〜3.33の範囲内のPSS対PEDOT比を有するEDOTおよびNaPPSの水溶液およびアセトニトリル(AN)溶液から製造されたPEDOT/PSSの電気伝導性は本質的な伝導性成分であるPEDOTのより高い濃度のために当業者により直感的に予期されるように増加したことを報告した。
【0016】
【表4】

【0017】
特許文献3は、A)式(I)
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、RおよびRは互いに独立して水素もしくはC1−C4アルキル基を表わすかまたは一緒になって場合により置換されていてもよいC1−C4アルキレン基、好ましくは場合によりアルキル基で置換されていてもよいメチレン、場合によりC1−C12−アルキルもしくはフェニル基で置換されていてもよい1,2−エチレン基または1,2−シクロヘキセン基を表わす]
の繰り返し構造単位を有する中性ポリチオフェン類とB)ジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物との混合物、並びにそれらの抵抗を好ましくは<300オーム/平方に増加させるように調節されたそれらからの伝導性コーティングを開示している。さらに、特許文献3の実施例は、ポリ(スチレンスルホン酸)の存在下における水中での1:3.57の重量比におけるEDOTの重合を開示している。
【0020】
特許文献4は、支持体および露光区別可能要素を含んでなる電気伝導性パターンであって、該露光区別可能要素がポリアニオンおよび置換されたもしくは未置換のチオフェンの重合体または共重合体を含有する最外側層、および場合により存在する該最外側層と連続する第二の層を含んでなり、そして該最外側層および/または場合により存在する該第二の層が露出時に該最外側層の露出された部分の可動性を該最外側層の露出されなかった部分と比べて変化させうる感光性成分を含有することを特徴とする電気伝導性パターンを製造するための材料を開示している。特許文献4はさらに、例えば高沸点液体、例えばジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物との接触、並びに場合によってはその後の好ましくは100〜250℃の間の高められた温度での好ましくは1〜90秒間にわたる加熱により伝導性が増加されるような方法に伝導性増加が関連しており、伝導性増加をもたらすことも開示している。或いは、15の誘電定数を有する非プロトン性化合物、例えばN−メチル−ピロリジノンの場合には、100℃より低い温度を使用することができる。そのような伝導性の増加はポリチオフェン類を用いて観察されそして最外側層の製造中またはその後に起きうる。そのような処理に特に好ましい液体は、特許文献3および特許文献5に開示されているように、N−メチル−ピロリジノンおよびジエチレングリコールである。特許文献4の全ての実施例で使用されたPEDOT/PSS分散液は1:2.4のPEDOT:PSS重量比を有し、そして25nmにおける最大値および30〜50nmの平均粒子寸法を有するCPSディスク遠心測定により測定された狭い粒子寸法分布を有していた。
【0021】
特許文献5は、ポリチオフェン、ポリアニオン化合物および15の誘電定数、ε、を有する非プロトン性化合物を含有する水性組成物を準備し、該組成物を対象に適用して層を形成し、そして該層を乾燥して該対象上に伝導性重合体層を形成する段階を含んでなる対象上に重合体状伝導性層を製造する方法であって、該対象および該層が100℃より低い温度に保たれそして該伝導性重合体層が多くとも2kΩ/平方の抵抗を有することを特徴とする方法を開示している。さらに、特許文献5の実施例は、ポリ(スチレンスルホン酸)の存在下における水中での1:2.46の重量比におけるEDOTの重合も開示している。
【0022】
さらに、2002年に非特許文献4は、25nm〜75nmの範囲内の平均粒子寸法を有するベイトロンTMPが出発物質として使用されるような少量のポリアルコール、例えばグリセロールの添加により光学的透明性を損なわないPEDOT/PSSの伝導性における劇的な増加を報告しており、そして非特許文献5は、出発物質がベイトロンTMPであり、すなわち1:2.5のPEDOT:PSSの重量比であるようなソルビトールの添加により光学的透明性を損なわないPEDOT/PSSの伝導性における増加を報告した。
【0023】
これまでに製造されそして研究された伝導性重合体の一般的な欠点は、それらの伝導性がある種の用途にとっては依然として低すぎ、それらの可視光線透過性が不充分に高くおよび/またはそれらが加工可能でないことである。
【特許文献1】欧州特許出願公開第339340号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第440957号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第686662号明細書
【特許文献4】国際公開第03/001299A号パンフレット
【特許文献5】欧州特許出願公開第1003179号明細書
【非特許文献1】Elschner et al.著、ASIA DISPLAY/IDW’01 held at Nagayo in Japan in October 2001 in paper OEL3−3,2001
【非特許文献2】P.Adriaensens et al.著、Polymer,volume 43,pages 7003 to 7006,2002
【非特許文献3】M.Lefebvre et al.著、Chem.Materials,volume 11,pages 262−268,1999
【非特許文献4】Kim et al.著、Proceedings of SPIE,volume 4464、pages 85−92,2002
【非特許文献5】Pettersson et al.著、Organic Electronics,volume 3,pages 143−148
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
発明の目的
従って、本発明の一面は、重合時にポリ(3,4−アルキレンジオキシ−チオフェン)類を与え、酸化または還元時に高い電気伝導性、高い可視光線透過性および/または良好な加工性を示す3,4−アルキレンジオキシ−チオフェン類を提供することである。
【0025】
本発明の別の面および利点は以下の記述から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0026】
発明の要旨
未公開の欧州特許出願番号EP01000780号明細書には、反応媒体中の酸素濃度の減少につれてPEDOT/PSSを含有する層の表面抵抗は減少し、3mg/Lより少ない酸素を含有する反応媒体中で製造されたPEDOT/PSS分散液に関して最適な表面抵抗が観察されたことが開示されている。従って、PSS/PEDOTラテックスを用いて製造された層の性質に対するそのようなラテックスの製造の影響を研究する場合には、同様な濃度の酸素を含有する反応媒体中で製造されたPSS/PEDOTラテックスを使用することが重要である。驚くべきことに、PSS:PEDOT比が増加するにつれての電気伝導性における減少を報告したM.Lefebvre et al.著、1999、Chem.Materials,volume 11,pages 262−268およびElschner et al.著、2001、ASIA DISPLAY/IDW’01 held at Nagayo in Japan in October 2001 in paper OEL3−3の報告とは相違して、特定濃度の酸素の存在下において反応媒体中で製造されたPEDOT/PSSの水性分散液を用いて製造された層の表面抵抗は、特定の添加剤、例えばN−メチル−ピロリジノンおよびポリヒドロキシ化合物、例えばジエチレングリコールが分散液中に存在した場合には、PSS:PEDOT比が増加するにつれて減少することが見出された。そのような添加剤は層が加熱された場合にはPSS/PEDOTラテックスを含有する層の伝導性を増加させることは欧州特許出願公開第0686662号明細書および欧州特許出願公開第1003179号明細書から既知であるが、より高いPSS/PEDOT比に関しては、すなわちより低い濃度のPEDOTに関しては、伝導性の増加がより大きいことは全く予期されていない。
【0027】
本発明の面は、ラテックス粒子の水性分散液であって、該ラテックス粒子が式(I):
【0028】
【化4】

【0029】
[式中、RおよびRは互いに独立して水素もしくはC1−5−アルキル基を表わすかまたは一緒になって場合により置換されていてもよいC1−5−アルキレン基を形成する]
に従う単量体単位を包含する構造単位よりなる重合体および少なくとも1種のポリアニオン化合物を含有し、該ラテックスが40nmより小さい一次粒子寸法を有しそして分散液がジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物或いは15の誘電定数、ε、を有する非プロトン性化合物を含有し、該ラテックス粒子が該少なくとも1種のポリアニオン化合物および該重合体を少なくとも4の重量比で含有することを特徴とするラテックス粒子の水性分散液により実現される。
【0030】
本発明の面は、また、式(I):
【0031】
【化5】

【0032】
に従う単量体単位を包含する構造単位よりなる重合体の水性溶液または分散液を反応媒体中で少なくとも1種のポリアニオン化合物の存在下に酸化または還元条件下で開始剤と重合させることにより製造し、ここで少なくとも1種のポリアニオン化合物対該構造単位の反応中の重量比が4:1〜20:1の範囲内であり;該少なくとも1種のポリアニオン化合物と会合した該重合体およびジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物を水性または非水性媒体中に含有する第一のコーティング組成物を製造し;該第一のコーティング組成物を対象上にコーティングし、それにより第一の層を製造し;そして該第一の層を少なくとも100℃の温度に加熱する段階を含んでなる電気伝導性コーティングの製造方法によっても実現される。
【0033】
本発明の面は、また、式(I):
【0034】
【化6】

【0035】
に従う単量体単位を包含する構造単位よりなる重合体の水性溶液または分散液を反応媒体中で少なくとも1種のポリアニオン化合物の存在下に酸化または還元条件下で開始剤と重合させることにより製造し、ここで該少なくとも1種のポリアニオン化合物対該構造単位の反応中の重量比が4:1〜20:1の範囲内であり;該少なくとも1種のポリアニオン化合物と会合した該重合体および15の誘電定数、ε、を有する非プロトン性化合物を水性または非水性媒体中に含有する第二のコーティング組成物を製造し;該第二のコーティング組成物を対象上にコーティングし、それにより第二の層を製造し;そして該第二の層を少なくとも50℃の温度に加熱する段階を含んでなる電気伝導性コーティングの製造方法によっても実現される。
【0036】
本発明の面は、また、式(I):
【0037】
【化7】

【0038】
に従う単量体単位を包含する構造単位よりなる重合体の水性溶液または分散液を反応媒体中でポリアニオンの存在下に酸化または還元条件下で開始剤と重合させることにより製造し、ここで式(I)に従う該構造単位対ポリアニオン中のアニオン性基の反応中のモル比が4:1〜10:1の範囲内であり;該ポリアニオンと会合した該重合体およびジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物を水性または非水性媒体中に含有する第一のコーティング組成物を製造し;該第一のコーティング組成物を対象上にコーティングし、それにより第一の層を製造し;そして該第一の層を少なくとも100℃の温度に加熱する段階を含んでなる電気伝導性コーティングの製造方法によっても実現される。
【0039】
本発明の面は、また、式(I):
【0040】
【化8】

【0041】
に従う単量体単位を含有する重合体の水性溶液または分散液を反応媒体中でポリアニオンの存在下に酸化または還元条件下で開始剤と重合させることにより製造し、ここで式(I)に従う該構造単位対ポリアニオン中のアニオン性基の反応中のモル比が4:1〜10:1の範囲内であり;該ポリアニオンと会合した該重合体および15の誘電定数、ε、を有する非プロトン性化合物を水性または非水性媒体中に含有する第二のコーティング組成物を製造し;該第二のコーティング組成物を対象上にコーティングし、それにより第二の層を製造し;そして該第二の層を少なくとも50℃の温度に加熱する段階を含んでなる電気伝導性コーティングの製造方法によっても実現される。
【0042】
本発明の好ましい態様は本発明の詳細な記述に開示される。
発明の詳細な記述
定義
明細書および添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」および「an」は、その概念が明らかに別のものを記述しない限り複数対照を包含することに注意すべきである。それ故、例えば、「式(I)に従うチオフェン」の言及は1種より多いそのようなチオフェンを包含し、「式(I)に従うチオフェン」の重合の言及は1種より多いそのようなチオフェンの共重合を包含する。
【0043】
用語重合体は、ホモ重合体、共重合体、三元共重合体、グラフト重合体およびブロック共重合体並びに連鎖状および縮合重合体を包含する。
【0044】
用語C1−5−アルキレン基は、メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、1,3−プロピレンジオキシ、1,4−ブチレンジオキシおよび1,5−ペンチレンジオキシ基を表わす。
【0045】
用語開始剤は、重合を開始させうる種を意味する。
【0046】
用語アルキルは、アルキル基中の各炭素数に関して可能な全ての変種、すなわち炭素数3に関してはn−プロピルおよびイソプロピル、炭素数4に関してはn−ブチル、イソブチルおよびターシャリー−ブチル、炭素数5に関してはn−ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピルおよび2−メチル−ブチルなどを意味する。
【0047】
用語水性媒体は本発明の目的のためには、少なくとも60容量%の水、好ましくは少なくとも80容量%の水を含有しそして場合により水−混和性有機溶媒、例えばアルコール類、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、イソ−アミルアルコール、オクタノール、セチルアルコールなど;グリコール類、例えばエチレングリコール:グリセリン;N−メチルピロリジノン;メトキシプロパノール;並びにケトン類、例えば2−プロパノンおよび2−ブタノンなどを含有する液体を意味する。
【0048】
用語非水性媒体は本発明の目的のためには、用語水性媒体に含まれない全ての液体を意味する。
【0049】
用語電気伝導性は10Ω/平方より低い表面抵抗を有することを意味する。
【0050】
用語「伝導性の増加」は、例えば高沸点液体、例えばジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物との接触、並びに場合によってはその後の好ましくは100〜250℃の間の高められた温度での好ましくは1〜90秒間にわたる加熱により伝導性が増加されるような方法に伝導性増加が関連しており、伝導性増加をもたらす工程をさす。或いは、15の誘電定数を有する非プロトン性化合物、例えばN−メチル−ピロリジノンの場合には、100℃より低い温度を使用することができる。そのような伝導性増加はポリチオフェン類を用いて観察されそして最外側層の製造中またはその後に起きうる。そのような処理に特に好ましい液体は、例えば欧州特許出願公開第0686662号明細書および欧州特許出願公開第1003179号明細書に開示されているように、N−メチル−ピロリジノンおよびジエチレングリコールである。
【0051】
本開示で使用されるPEDOTは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を表わす。
【0052】
本開示で使用されるEDOTは、3,4−エチレンジオキシチオフェンを表わす。
【0053】
本開示で使用されるADOTは、3,4−アルキレンジオキシチオフェンを表わす。
【0054】
本開示で使用されるPSSは、ポリ(スチレンスルホン酸)またはポリ(スチレンスルホネート)を表わす。
【0055】
本開示で使用されるPETは、ポリ(エチレンテレフタレート)を表わす。
ラテックスの水性分散液
本発明に従うラテックスの水性分散液の第一の態様によると、該ラテックスは30nmより小さい一次粒子寸法を有する。
【0056】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第二の態様によると、該少なくとも1種のポリアニオン化合物対該重合体の重量比は該構造単位対該少なくとも1種のポリアニオンのそれらの製造中の重量比に相当する。
【0057】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第三の態様によると、該ラテックス粒子は該少なくとも1種のポリアニオン化合物および該重合体を4より大きく且つ20より小さい重量比で含有する。
【0058】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第四の態様によると、開始剤が加えられる場合に該ラテックスは反応媒体中で8500mg/Lより少ない酸素の該反応媒体を用いて製造される。
【0059】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第五の態様によると、開始剤が加えられる場合に該ラテックスは反応媒体中で2000mg/Lより少ない酸素の該反応媒体を用いて製造される。
【0060】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第六の態様によると、開始剤が加えられる場合に該ラテックスは反応媒体中で1000mg/Lより少ない酸素の該反応媒体を用いて製造される。
【0061】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第七の態様によると、開始剤が加えられる場合に該ラテックスは反応媒体中で500mg/Lより少ない酸素の該反応媒体を用いて製造される。
【0062】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第八の態様によると、開始剤が加えられる場合に該ラテックスは反応媒体中で100mg/Lより少ない酸素の該反応媒体を用いて製造される。
【0063】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第九の態様によると、開始剤が加えられる場合に該ラテックスは反応媒体中で3mg/Lより少ない酸素の該反応媒体を用いて製造される。
【0064】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第十の態様によると、開始剤が加えられる場合に該ラテックスは反応媒体中で1.5mg/Lより少ない酸素の該反応媒体を用いて製造される。
【0065】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第十一の態様によると、開始剤が加えられる場合に該ラテックスは反応媒体中で0.5mg/Lより少ない酸素の該反応媒体を用いて製造される。
【0066】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第十二の態様によると、式(I)に従う単量体単位は、場合によりアルキル基−置換されていてもよい3,4−メチレンジオキシ−チオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール−基−置換されていてもよい3,4−エチレンジオキシチオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール−基−置換されていてもよい3,4−エチレンジオキシチオフェン単位、RおよびRが一緒になって1,2−シクロヘキセン基である式(I)に従う単位、場合によりアルキルもしくはアリール−基−置換されていてもよい3,4−プロピレンジオキシチオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール−基−置換されていてもよい3,4−ブチレンジオキシチオフェン単位および場合によりアルキルもしくはアリール−基−置換されていてもよい3,4−ペンチレンジオキシチオフェン単位よりなる群から選択される。
【0067】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第十三の態様によると、重合体は2.2g/Lより小さい25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物との共重合体である。
【0068】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第十四の態様によると、重合体は2.2g/Lより小さい25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物との共重合体であり、そして少なくとも2.2g/Lの25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オール、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−酢酸エチルエステル、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−酢酸、2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシメチル}−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンおよび4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩よりなる群から選択される。
式(I)に従う単量体単位を含有する重合体の水性溶液または分散液の製造方法
本発明に従う方法における一段階は、反応媒体中での少なくとも1種のポリアニオン化合物の存在下における酸化または還元条件下での開始剤との重合による式(I):
【0069】
【化9】

【0070】
に従う単量体単位を包含する構造単位よりなる重合体の水性溶液または分散液の製造であり、ここで少なくとも1種のポリアニオン化合物対構造単位の反応中の重量比は5:1〜20:1の範囲内である。
【0071】
本発明に従う方法の第一の態様によると、溶液または分散液中の(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体または共重合体対少なくとも1種のポリアニオン化合物のモル比は1:5〜1:8.0の範囲内である。
【0072】
本発明に従う方法の第二の態様によると、式(I)に従う該単量体単位は該反応媒体中に60mMもしくはそれ以下の濃度で存在する。
【0073】
反応媒体中の酸素の濃度は、任意の手段、例えば凍結−解凍技術、反応媒体中に例えばアルゴン、窒素もしくはヘリウムの如き不活性気体を長期にわたり吹き込むこと、不活性気体雰囲気下での犠牲反応における酸素の消費により調節することができる。
【0074】
本発明に従う方法の第三の態様によると、不活性雰囲気は窒素、ヘリウムまたはアルゴン雰囲気である。
【0075】
例えばJournal of the American Chemical Society,volume 85,pages 454−458(1963)およびJ.Polymer Science Part A Polymer Chemistry,volume 26,pages 1287−1294(1988)に記載されているような、ピロールの酸化重合用に使用される酸化剤をチオフェン類の酸化重合用に利用することができる。
【0076】
本発明に従う方法の第四の態様によると、重合は酸化性でありそして重合を開始させるために使用される安価で且つ容易に入手可能な酸化剤は鉄(III)塩類、例えばFeCl、有機酸の鉄(III)塩類、例えばFe(OTs)、H、KCr、アルカリおよびアンモニウム過硫酸塩類、アルカリ過ホウ酸塩類および過マンガン酸カリウムよりなる群から選択される。
【0077】
理論的には、チオフェン類の酸化重合は1モルの式(I)のチオフェン当たり2.25当量の酸化剤を必要とする[例えば、J.Polymer Science Part A Polymer Chemistry,volume 26,pages 1287−1294(1988)参照]。実際には、1個の重合可能単位当たり0.1〜2当量過剰の酸化剤が使用される。過硫酸塩類および鉄(III)塩類は、それらが腐食的に作用しないという大きな技術的利点を有する。さらに、特定添加剤の存在下では式(I)に従うチオフェン化合物の酸化重合は非常にゆっくり進行するため、チオフェン類および酸化剤を溶液またはペースト状に一緒にしそして処理しようとする基質に適用することができる。そのような溶液またはペーストの適用後に、引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,001,281号明細書および国際公開第00/14139号パンフレットに記載されているようにコーティングされた基質を加熱することにより酸化重合を促進させうる。
【0078】
還元重合は、2002年にAppperloo et al.によりChem.Eur.Journal,volume 8,pages 2384−2396に記載されておりそして2001年にTetrahedron Letters,volume 42,pages 155−157にそして1998にMacromolecules,volume 31,pages 2047−2056にそれぞれ開示されているスチル(Stille)(有機錫)またはスズキ(Suzuki)(有機ホウ素)方式を用いて、或いは1999年にBull.Chem.Soc.Japan,volume 72,page 621にそして1998にAdvanced Materials,volume 10,pages 93−116に開示されているニッケル錯体を用いて行うことができる。
【0079】
式(I)に従う単量体単位を含有する重合体は、式(I)に従う単量体単位を他の重合可能な複素環式化合物、例えばピロール、と化学的に共重合することによっても製造することができる。
酸素測定
酸素濃度は、メトラー・トレド(Mettler Toledo)から入手可能なインプロ(InPro)6000シリーズOセンサーを用いるニック・プロセス・ユニット(Knick Process Unit)73Oで測定することができる。これらのセンサーはポラログラフィー酸素測定に基づく。クラーク(Clark)ポラログラフィーセンサーは基本的には、使用電極(陰極)、逆/基準電極(陽極)、および電極を媒体から分離する酸素−透過性膜よりなる。送信器が酸素を還元するために必要な一定の偏波電圧を陰極に供給する。膜を通り泳動する酸素分子は陰極で還元される。同時に酸素が陽極で生じそして酸化された陽極金属(銀)が電解質中に遊離される。電解質は陽極および陰極の間で電気回路を閉じる(イオン伝導性)。この方法で生ずる電流は送信器により測定されそして試料媒体中の酸素(O)の分圧に比例する。
【0080】
この技術により測定されるポリ(スチレンスルホン酸)の水性6重量%水溶液中の酸素の量は6.5mg/Lである。
【0081】
酸素を中で泡立たせることにより酸素で飽和させた25℃および1013ミリバールのポリ(スチレンスルホン酸)溶液は38.45mg/Lの酸素含有量を有する。この値は25℃および1013ミリバールのポリ(スチレンスルホン酸)溶液中の酸素の最大溶解度であるとみなされる。
式(I)に従う単量体単位を含有する重合体の電気化学的重合
式(I)に従う単量体単位を含有する重合体は電気化学的重合により製造することができる。式(I)に従うチオフェン化合物の電気化学的酸化重合は−78℃から使用する溶媒の沸点までの温度において行われ、−20℃〜60℃の間の温度が好ましい。反応時間は、特定チオフェンによるが、一般的には数秒間ないし数時間の間である。チオフェン化合物の電気化学的重合は1994年にDietrich et al.によりJournal Electroanalytical Chemistry,volume 369,pages 87−92に記載された。
【0082】
式(I)に従うチオフェン化合物の電気化学的酸化中の使用に適する不活性液体は、水、アルコール類、例えばメタノールおよびエタノール、ケトン類、例えばアセトフェノン、ハロゲン化された炭化水素類、例えば塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロメタンおよびフルオロ炭化水素類、エステル類、例えば酢酸エチルおよび酢酸ブチル、芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエンおよびキシレン、脂肪族炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサン、ニトリル類、例えばアセトニトリルおよびベンゾニトリル、スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド、スルホン類、例えばジメチルスルホン、フェニルメチルスルホンおよびスルホラン、液体脂肪族アミド類、例えばメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチル−ピロリドン、カプロラクタム、N−メチル−カプロラクタム、脂肪族並びに混合脂肪族および芳香族エーテル類、例えばジエチルエーテルおよびアニソール、液体ウレア類、例えばテトラメチルウレア、またはN,N−ジメチル−イミダゾリジノンである。
【0083】
式(I)に従うチオフェン化合物の電気化学的重合での使用のための電解質添加剤は好ましくは遊離酸類または一般的な伝導性塩類であり、それらは使用される溶媒中である程度の溶解度を示す。特に適する電解質は、ペルクロレート、トシレート、テトラフルオロボレートまたはヘキサフルオロホスホネートアニオンと組み合わされた、アルカリ、アルカリ土類または場合によりアルキル化されていてもよいアンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムもしくはオキソニウムカチオンである。
【0084】
電解質添加剤は、電気化学的酸化中に少なくとも0.1mAの電流が流れるような量で使用される。
【0085】
電気化学的重合は連続的にまたは不連続的に行うことができる。既知の電極材料はITO−被覆ガラス、貴金属または鋼の網、炭素−充填重合体、蒸発させた金属−コーティング絶縁体層および炭素フェルトである。
【0086】
電気化学的酸化中の電流密度は広範囲内で変動しうる。本発明の第八の態様によると、電流密度は0.0001〜100mA/cmである。本発明の第九の態様によると、電流密度は0.01〜40mA/cmである。これらの電流密度では、約0.1〜50Vの電圧が設定される。
【0087】
式(I)に従う単量体単位を含有する重合体は、式(I)に従う単量体単位を他の重合可能な複素環式化合物、例えばピロール、と電気化学的に共重合することにより製造することもできる。
ポリアニオン化合物
本発明に従う分散液中での使用のためのポリアニオン化合物は欧州特許出願公開第440957号明細書に開示されており、そして重合体状カルボン酸類、例えばポリアクリル酸類、ポリメタクリル酸類、またはポリマレイン酸類およびポリスルホン酸類、例えばポリ(スチレンスルホン酸)を包含する。これらのポリカルボン酸類およびポリスルホン酸類はビニルカルボン酸類およびビニルスルホン酸類と他の重合可能な単量体、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類およびスチレン、との共重合体でもありうる。
【0088】
本発明に従うラテックスの水性分散液の第十六の態様によると、少なくとも1種のポリアニオン化合物はポリスチレンスルホン酸を包含する。
工業用途
式(I)に従う単量体単位を含有する化学的にまたは電気化学的に製造された重合体は高い電気伝導性を低い可視光線吸収および高い赤外線吸収と一緒に示す。従って、それらの層は高電気伝導性であり、高可視光線透過性でありそして熱遮断性である。そのようなポリチオフェン類は広範囲の硬質および軟質基質、例えばセラミック、ガラスおよびプラスチックに適用することができ、そして軟質基質、例えばプラスチックシート用に特に適しており、そしてチオフェン層がその電気伝導性を失うことなく基質を実質的に曲げそして変形することができる。
【0089】
そのようなポリチオフェン類は従って光電池、電池、コンデンサー並びに有機および無機エレクトロルミネッセント装置中で、特に電磁遮断層中で、熱遮断層中で、写真フィルム、サーモグラフィック記録材料およびフォトサーモグラフィック記録材料を包含する広範囲の製品用の帯電防止コーティング中で、スマート・ウィンドー中で、エレクトロクロミック装置中で、有機および生有機材料用のセンサー中で、電界効果トランジスター中で、印刷版中で、伝導性樹脂接着剤中で、並びに自立性(free−standing)電気伝導性フィルム中で利用することができる[Handbook of Oligo− and Polythiophenes,Edited by D.Fichou,Wiley−VCH,Weinheim(1999)の10章も参照のこと]。
【0090】
本発明を、以下、比較例および本発明の実施例により説明する。これらの実施例に示す百分率および比は断らない限り重量による。
【実施例】
【0091】
実施例で使用する下塗り層番号01は下記の組成を有する:
【0092】
【表5】

【0093】
3,4−アルキレンジオキシチオフェン−重合体の製造
実施例1
スタラーおよび窒素入り口を装備した適当な反応容器の中で表2に示された量のポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mw=290,000)溶液を25℃の表2に示された量の特定のPEDOT−タイプ用の脱イオン水と混合した。窒素をこの混合物中に30分間にわたり泡立たせた後に、表2に示された量の特定のPEDOT−タイプ用のEDOTをこの溶液に加えた。インプロ6000シリーズOセンサーを用いるニック・プロセス・ユニット73Oで測定されたこの溶液中の酸素の濃度は表2に示されている。それぞれ0.13および41.6mMの濃度に相当する量のFe(SO.9HOおよびNaを次に加えて重合反応を開始した。反応混合物中のEDOTの濃度は30mMでありそしてPPSのものは57mMであった。反応混合物を次に25℃において7時間にわたり撹拌し、その後に特定のPEDOT−タイプ用の6.95mMの濃度に相当する別量のNaを加えた。16時間の追加反応時間後に、反応混合物をイオン交換体(300mLのレワチット(Lewatit)TMS100MB+レワチットTMM600MB)で2回処理した。生じた混合物をさらに95℃において2時間にわたり熱処理し、そして生じた粘着性混合物を高剪断処理した[60MPa(600バール)における微細流動器]。
【0094】
【表6】

【0095】
実施例1の分散液をベースとした分散液を用いるタイプ1の電気伝導性層の製造
3−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、ゾニル(ZONYL)(R)FSO100、塩化ビニリデン、メタクリレートおよびイタコン酸(88/10/2)の共重合体ラテックス、並びにN−メチル−ピロリジノンを実施例1の分散液に加えることによりコーティング分散液を製造して、下塗りされた175μmのポリ(エチレンテレフタレート)支持体上にドクターブレード−コーティングしそして45℃において3.5分間にわたり乾燥して、下記の組成:
PEDOT/PSS 100mg/m
[PEDOT 28.9mg/m
ゾニル(R)FSO100 8mg/m
3−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン 100mg/m
塩化ビニリデン、メタクリレートおよびイタコン酸 100mg/m
(88/10/2)の共重合体ラテックス
N−メチル−ピロリジノン 2mL/m
を有するタイプ1の層を製造した。
実施例1の分散液をベースとした分散液を用いて製造された電気伝導性層の同定
10片の束を可視フィルターを用いるマクベス(Macbeth)(R)TD904濃度計で測定しそして次にそこから単一片の光学濃度を得ることにより、層の光学濃度を測定した。表3に示された値はPET−支持体の光学濃度を包含する。
【0096】
25℃の温度および30%相対湿度に調節された室内で、印刷された層を線接触形成可能な各々35mm長さで且つ35mm離れた平行な銅電極と接触させることにより、層の表面抵抗を測定し、電極はテフロン(Teflon)(R)絶縁体により分離されていた。これにより、表面抵抗の直接的測定が実現可能になった。結果も表3にまとめられている。
【0097】
【表7】

【0098】
表3の結果は、1.90のPSS:PEDOTモル比を有するPEDOT/PSS−層の表面抵抗は反応媒体中の酸素濃度の増加につれて強く増加したことを示す。
実施例2
スタラーおよび窒素入り口を装備した適当な反応容器の中で表4に示された量のポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mw=290,000)溶液を25℃の表4に示された量の特定のPEDOT−タイプ用の脱イオン水と混合した。窒素をこの混合物中に30分間にわたり泡立たせた後に、表4に示された量の特定のPEDOT−タイプ用のEDOTをこの溶液に加えた。インプロ6000シリーズOセンサーを用いるニック・プロセス・ユニット73Oで測定されたこの溶液中の酸素の濃度は<1.0mg/Lであった。それぞれ0.13および41.6mMの濃度に相当する量のFe(SO.9HOおよびNaを次に加えて重合反応を開始した。反応混合物中のEDOTの濃度は30mMでありそしてPPSのものは57mMであった。反応混合物を次に25℃において7時間にわたり撹拌し、その後に特定のPEDOT−タイプ用の6.95mMの濃度に相当する別量のNaを加えた。16時間の追加反応時間後に、反応混合物をイオン交換体(300mLのレワチットTMS100MB+レワチットTMM600MB)で2回処理した。生じた混合物をさらに95℃において2時間にわたり熱処理し、そして生じた粘着性混合物を高剪断処理した[60MPa(600バール)における微細流動器]。
【0099】
【表8】

【0100】
実施例2の分散液をベースとした分散液を用いるタイプ1の電気伝導性層の製造および同定
実施例1の分散液に関して記載されている通りにして実施例2の分散液をベースとした分散液を用いてタイプ1の電気伝導性層を製造しそして同定した。結果は表5にまとめられている。
【0101】
【表9】

【0102】
一緒にされた表3および5の結果は、PEDOT/PSS−層の最初の表面抵抗はポリ(スチレンスルホン酸)の存在下における3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合中の反応媒体中の酸素の量に強く依存しており、反応媒体中の酸素の濃度が低ければ低いほど表面抵抗が低くなることを示している。
実施例3
スタラーおよび窒素入り口を装備した適当な反応容器の中で表6に示された量のポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mw=290,000)溶液を25℃の表6に示された量の特定のPEDOT−タイプ用の脱イオン水と混合した。窒素をこの混合物中に30分間にわたり泡立たせた後に、表7に示された量の特定のPEDOT−タイプ用のEDOTをこの溶液に加えて、30mMのEDOT−濃度を与えた。インプロ6000シリーズOセンサーを用いるニック・プロセス・ユニット73Oで測定されたこの溶液中の酸素の濃度は<1.0mg/Lであった。それぞれ0.13および41.6mMの濃度に相当する量のFe(SO.9HOおよびNaを次に加えて重合反応を開始した。反応混合物中のEDOTの濃度は30mMでありそしてPPSのものは特定のPEDOT−タイプに関して表6に示される。
【0103】
【表10】

【0104】
反応混合物を次に25℃において7時間にわたり撹拌し、その後に特定のPEDOT−タイプ用の6.95mMの濃度に相当する別量のNaを加えた。16時間の追加反応時間後に、反応混合物をイオン交換体(300mLのレワチットTMS100MB+レワチットTMM600MB)で2回処理した。生じた混合物をさらに95℃において2時間にわたり熱処理し、そして生じた粘着性混合物を高剪断処理した[60MPa(600バール)における微細流動器]。
【0105】
生じたPSS:PEDOT重量およびモル比、PEDOT/PSS−濃度、ウベロード粘度計で25℃の恒温浴の中で測定された粘度、二モード寸法分布でのピーク粒子寸法並びに1mL当たりの1μmより大きい粒子寸法を有する粒子数が表7に示される。
【0106】
【表11】

【0107】
UV−vis吸収検出を用いる水性ゲル透過クロマトグラフィーを使用して、結合されたまたは結合されないPSSの相対量を254nmにおけるピークの面積、A254、として測定し、そしてそうでなければ移送が起きず且つPEDOTが検出できないような結合されたPEDOTの相対量を785nmにおけるピークの面積、A785、として測定した。A254/A785はPSS対結合されたPEDOTの相対モル量を与える。典型的な結果を得るためには、GPCを行う前に60MPa(600バール)において分散液を微細流動化することが必要であった。これが行われなかった場合には、カラム中を移送させることができないように合体したラテックスのためにPEDOT−ピークが非常に小さくなった。ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)基準に関するPEDOTの分子量を同時に測定した。結果は表8にまとめられている。
【0108】
GPC測定からの相対的PSS/PEDOT比は存在する実際のモル比と明らかに相関性があり、それによりPSSがPEDOTに実質的に結合されていることを示す。
【0109】
【表12】

【0110】
実施例3の分散液をベースとした分散液を用いるタイプ1の電気伝導性層の製造および同定
ゾニル(R)FSO100、3−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、共重合体ラテックス、およびN−メチル−ピロリジノンの量を一定に保ちそしてPEDOTの一定の被覆率[28.9mg/m]を生ずるようにラテックスの量を変動させて、実施例3の分散液をベースとした分散液を用いてタイプ1の電気伝導性層を製造した。これらの層を実施例1の分散液に関して記載された通りにして同定し、そして結果を表9に示す。
【0111】
表9の結果は、本発明に従う酸素の実質的な不存在下において製造されたPEDOT/PSSを含有する層に関してはPSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が減少したことを驚くべきことに示す。これは、PSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が増加することを示すPEDOT/PSSに関する文献から入手可能なデータとは相違しており、例えば、上記の1999年にM.Lefebvre et al.によりChem.Mater.,volume 11,pages 262−268に発表された文献を参照のこと。
【0112】
【表13】

【0113】
実施例3の分散液をベースとした分散液を用いるタイプ2の電気伝導性層の製造
3−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、ゾニル(R)FSO100およびジエチレングリコールを水性PEDOT/PSS−分散液に加えることによりコーティング分散液を製造して、下塗り層1で下塗りされたポリ(エチレンテレフタレート)支持体上にコーティングしそして140℃において1分間にわたり乾燥すると、下記の組成:
PEDOT/PSS: 20.2mg/mの一定PEDOT被覆率を保つための変動量
3−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン: 24mg/m
ゾニル(R)FSO100: 11mg/m
ジエチレングリコール[DEG](理論値): 1.33mL/m
を有する被覆物を製造した。
実施例3の分散液をベースとした分散液を用いて製造されたタイプ2の電気伝導性層の同定
層の光学濃度および表面抵抗をタイプ1の電気伝導性層に関して以上で記載された通りにして測定した。結果は表10にまとめられている。
【0114】
【表14】

【0115】
表10の結果は、本発明に従う酸素の実質的な不存在下において製造されたPEDOT/PSSを含有する層に関してはPSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が減少したことを驚くべきことに示す。これは、PSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が増加することを示すPEDOT/PSSに関する文献から入手可能なデータとは相違しており、例えば、上記の1999年にM.Lefebvre et al.によりChem.Mater.,volume 11,pages 262−268に発表された文献を参照のこと。
実際のPSS/PEDOT比の測定
タイプ10、13、17および19/20のPEDOT−分散液の試料を高真空(0.7ミリバール)下でクルスト・ベータ(CHRIST BETA)2−16棚凍結乾燥機中で全ての水が蒸発するまで(すなわち、棚の温度が室温に等しくなるまで)凍結乾燥し、そして乾燥粉末が得られた。
【0116】
生じた凍結乾燥された試料を次に200MHz分光計を用いる13C CP/MASにより11種の異なる接触時間でms範囲内で6.4kHzの回転速度において分析し、信号対雑音比を増加させるために各測定を3000回繰り返した。2002年にP.Adriaensens et al.,Polymer,volume 43,pages 7003 to 7006により記載されているこの全工程を各試料に関して30時間にわたり行った。EDOT環(68ppm)からのC−シフトは脂肪族PSS信号(約40ppm)と良く分離されている。In(強度)対接触時間(CT)特性を関係:
In(炭素強度)=In(最初の炭素強度)−t/T1ρ
に従い分析し、そしてそれにより誘導された最初の炭素強度を使用してPSS:PEDOTの定量的モル比を測定した。T1ρH弛緩時間は各信号に関して異なり且つ各試料に関しても異なる。定量的結果はそのような長い測定工程を必要とする。各PEDOT−タイプに対する芳香族PSS炭素原子、脂肪族PSS炭素原子およびPEDOT−エーテル基に関するT1ρH弛緩時間は以下の表11に示される。
【0117】
【表15】

【0118】
それにより得られたPSSの最初の芳香族炭素原子強度、PSSの最初の脂肪族炭素原子強度、PSSの最初の炭素原子強度の平均、PEDOTの最初のエーテル炭素原子強度、並びにPSSの最初の炭素原子強度およびPEDOTの最初のエーテル炭素原子強度の比を理論的PSS/PEDOT比と一緒に表12に示す。
【0119】
理論的および実際のPSS/PEDOTOモル比の間の一致は非常に良好であり、使用した方法の効果を示す。従って、13C CP/MAS分析から得られたモル比は理論的モル比と完全に一致する。
【0120】
【表16】

【0121】
実施例4
スタラーおよび窒素入り口を装備した適当な反応容器の中で25℃において、表13に示された量のポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mn=160,000およびMw=600,000)溶液を表13に示された量の特定のPEDOT−タイプ用の脱イオン水と混合した。窒素をこの混合物中に30分間にわたり泡立たせた後に、表13に示された量の特定のPEDOT−タイプ用のEDOTをこの溶液に加えて、30mMのEDOT−濃度を与えた。インプロ6000シリーズOセンサーを用いるニック・プロセス・ユニット73Oで測定されたこの溶液中の酸素の濃度は<1.0mg/Lであった。それぞれ0.13および41.6mMの濃度に相当する量のFe(SO.9HOおよびNaを次に加えて重合反応を開始した。反応混合物中のEDOTの濃度は30mMであり、そしてPPSのものはPEDOT−タイプ24に関しては46mMであり、PEDOT−タイプ25に関しては37mMであり、PEDOT−タイプ26に関しては57mMであり、PEDOT−タイプ27に関しては69mMでありそしてPEDOT−タイプ28に関しては93mMであった。反応混合物を次に25℃において7時間にわたり撹拌し、その後に特定のPEDOT−タイプ用の6.94mMの濃度に相当する別量のNaを加えた。16時間の追加反応時間後に、反応混合物をイオン交換体(300mLのレワチットTMS100MB+レワチットTMM600MB)で2回処理した。生じた混合物をさらに95℃において2時間にわたり熱処理し、そして生じた粘着性混合物を高剪断処理した[60MPa(600バール)における微細流動器]。
【0122】
【表17】

【0123】
生じたPSS:PEDOT重量およびモル比、PEDOT/PSS−濃度、ウベロード粘度計で25℃の恒温浴の中で測定された粘度、二モード寸法分布でのピーク粒子寸法並びに1mL当たりの1μmより大きい粒子寸法を有する粒子数が表14に示される。
【0124】
【表18】

【0125】
実施例4の分散液をベースとした分散液を用いるタイプ1の電気伝導性層の製造および同定
実施例3の分散液に関して記載されている通りにして実施例4の分散液をベースとした分散液を用いてタイプ1の電気伝導性層を製造しそして同定した。タイプ1の電気伝導性層に関する結果は表15にまとめられている。
【0126】
【表19】

【0127】
表15の結果は表9の結果を確認しており、本発明に従う酸素の実質的な不存在下において製造されたPEDOT/PSSを含有する層に関してはPSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が減少したことを驚くべきことに示す。
本発明の実施例5
スタラーおよび窒素入り口を装備した適当な反応容器の中で表13に示された量のポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mw=25,000およびMw=72,000を有するアルコ(ALCO)からのベルサ(VERSA)TL77)溶液を2000gの溶液を与えるのに充分な25℃の脱イオン水と混合し、特定のPEDOT−タイプに関しては表16の量を参照のこと。表15に示された量の特定のPEDOT−タイプ用のEDOTを次にこの溶液に加えて、30mMのEDOT−濃度を与えた。この溶液中の酸素の濃度をインプロ6000シリーズOセンサーを用いるニック・プロセス・ユニット73Oで測定した。それぞれ0.13および41.6mMの濃度に相当する量のFe(SO.9HOおよびNaを次に加えて重合反応を開始した。反応混合物中のEDOTの濃度は30mMでありそして反応媒体中のPPSの最終濃度は特定のPEDOT−タイプに関して表16に示されている。反応混合物を次に25℃において7時間にわたり撹拌し、その後に特定のPEDOT−タイプ用の6.94mMの濃度に相当する別量のNaを加えた。16時間の追加反応時間後に、反応混合物をイオン交換体(300mLのレワチットTMS100MB+レワチットTMM600MB)で2回処理した。生じた混合物をさらに95℃において2時間にわたり熱処理し、そして生じた粘着性混合物を高剪断処理した[60MPa(600バール)における微細流動器]。
【0128】
【表20】

【0129】
実施例3に記載された通りにして水性ゲル透過クロマトグラフィーにより測定されたPEDOT−分散液タイプ26〜30中のPEDOTの分子量は表17に示される。
【0130】
【表21】

【0131】
実施例5の分散液をベースとした分散液を用いるタイプ1の電気伝導性層の製造および同定
実施例3の分散液に関して記載されている通りにして実施例5の分散液をベースとした分散液を用いてタイプ1の電気伝導性層を製造しそして同定した。タイプ1の電気伝導性層に関する結果は表18にまとめられている。
【0132】
【表22】

【0133】
表18の結果は、反応媒体中で特定濃度の酸素を用いて製造されたPEDOT/PSS−分散液に関しても本発明に従う酸素の実質的な不存在下において製造されたPEDOT/PSSを含有する層に関するPSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が減少したことを驚くべきことに示す。これは、PSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が増加することを示すPEDOT/PSSに関する文献から入手可能なデータとは相違しており、例えば、上記の1999年にM.Lefebvre et al.によりChem.Mater.,volume 11,pages 262−268に発表された文献を参照のこと。
実施例5の分散液をベースとした分散液を用いるタイプ2の電気伝導性層の製造および同定
実施例3の分散液に関して記載されている通りにして実施例5の分散液をベースとした分散液を用いてタイプ2の電気伝導性層を製造しそして同定した。タイプ1の電気伝導性層に関する結果は表19にまとめられている。
【0134】
【表23】

【0135】
表19の結果も、反応媒体中で特定濃度の酸素を用いて製造されたPEDOT/PSS−分散液に関しても本発明に従う酸素の実質的な不存在下において製造されたPEDOT/PSSを含有する層に関するPSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が減少したことを驚くべきことに示す。これは、PSS:PEDOT比が増加するにつれて表面抵抗が増加することを示すPEDOT/PSSに関する文献から入手可能なデータとは相違しており、例えば、上記の1999年にM.Lefebvre et al.によりChem.Mater.,volume 11,pages 262−268に発表された文献を参照のこと。
【0136】
本発明はここに暗黙にまたは明瞭に開示されたいずれかの特徴もしくは特徴の組み合わせまたはそれがここで特許請求された発明に関連するかどうかに関係ないその一般論を包含しうる。以上の記述を鑑みて、種々の改変を本発明の範囲内で行いうることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテックス粒子の水性分散液であって、該ラテックス粒子が式(I):
【化1】

[式中、RおよびRは互いに独立して水素もしくはC1−5−アルキル基を表わすかまたは一緒になって場合により置換されていてもよいC1−5−アルキレン基を形成する]
に従う単量体単位を包含する構造単位よりなる重合体および少なくとも1種のポリアニオン化合物を含有し、該ラテックスが40nmより小さい一次粒子寸法を有しそして該分散液がジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物或いは15の誘電定数、ε、を有する非プロトン性化合物を含有し、該ラテックス粒子が該少なくとも1種のポリアニオン化合物および該重合体を少なくとも4の重量比で含有することを特徴とするラテックス粒子の水性分散液。
【請求項2】
該少なくとも1種のポリアニオン化合物対該重合体の重量比が該重合体を構成する1種もしくは複数の単量体対該少なくとも1種のポリアニオンのそれらの製造中の重量比に相当する請求項1に記載のラテックスの水性分散液。
【請求項3】
該ラテックス粒子が該少なくとも1種のポリアニオン化合物および該重合体を4より大きく且つ20より小さい重量比で含有する請求項1または2に記載のラテックスの水性分散液。
【請求項4】
開始剤が加えられる場合に該ラテックスが反応媒体中で8500mg/Lより少ない酸素を含む該反応媒体を用いて製造される請求項1〜3のいずれかに記載のラテックスの水性分散液。
【請求項5】
開始剤が加えられる場合に該ラテックスが反応媒体中で2000mg/Lより少ない酸素を含む該反応媒体を用いて製造される請求項1〜3のいずれかに記載のラテックスの水性分散液。
【請求項6】
開始剤が加えられる場合に該ラテックスが反応媒体中で1000mg/Lより少ない酸素を含む該反応媒体を用いて製造される請求項1〜3のいずれかに記載のラテックスの水性分散液。
【請求項7】
式(I)に従う該単量体単位が、場合によりアルキル基−置換されていてもよい3,4−メチレンジオキシ−チオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−エチレンジオキシチオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−エチレンジオキシチオフェン単位、RおよびRが一緒になって1,2−シクロヘキセン基である式(I)に従う単位、場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−プロピレンジオキシチオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−ブチレンジオキシチオフェン単位および場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−ペンチレンジオキシチオフェン単位よりなる群から選択される請求項1〜6のいずれかに記載のラテックスの水性分散液。
【請求項8】
該重合体が2.2g/Lより小さい25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物との共重合体である請求項1〜7のいずれかに記載のラテックスの水性分散液。
【請求項9】
少なくとも2.2g/Lの25℃における水中溶解度を有する該3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物が、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オール、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−酢酸エチルエステル、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−酢酸、2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシメチル}−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンおよび4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩よりなる群から選択される請求項8に記載のラテックスの水性分散液。
【請求項10】
該少なくとも1種のポリアニオン化合物がポリ(スチレンスルホン酸)を包含する請求項1〜9のいずれかに記載のラテックスの水性分散液。
【請求項11】
式(I):
【化2】

に従う単量体単位を包含する構造単位よりなる重合体の水性溶液または分散液を反応媒体中で少なくとも1種のポリアニオン化合物の存在下に酸化または還元条件下で開始剤と重合させることにより製造し、ここで該少なくとも1種のポリアニオン化合物対該構造単位の反応中の重量比が4:1〜20:1の範囲内にあり;該少なくとも1種のポリアニオン化合物と会合した該重合体およびジ−もしくはポリヒドロキシ−および/またはカルボキシ基またはアミドもしくはラクタム基を含有する有機化合物を水性または非水性媒体中に含有する第一のコーティング組成物を製造し;該第一のコーティング組成物を対象上にコーティングし、それにより第一の層を製造し;そして該第一の層を少なくとも100℃の温度に加熱する段階を含んでなる電気伝導性コーティングの製造方法。
【請求項12】
式(I):
【化3】

に従う単量体単位を包含する構造単位よりなる重合体の水性溶液または分散液を反応媒体中で少なくとも1種のポリアニオン化合物の存在下に酸化または還元条件下で開始剤と重合させることにより製造し、ここで該少なくとも1種のポリアニオン化合物対該構造単位の反応中の重量比が4:1〜20:1の範囲内にあり;該少なくとも1種のポリアニオン化合物と会合した該重合体および15の誘電定数、ε、を有する非プロトン性化合物を水性または非水性媒体中に含有する第二のコーティング組成物を製造し;該第二のコーティング組成物を対象上にコーティングし、それにより第二の層を製造し;そして該第二の層を少なくとも50℃の温度に加熱する段階を含んでなる電気伝導性コーティングの製造方法。
【請求項13】
該開始剤が加えられる場合に1リットルの反応媒体当たり850mgより少ない酸素が反応媒体中に存在するような不活性雰囲気中で該製造を行う請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
該開始剤が加えられる場合に1リットルの反応媒体当たり200mgより少ない酸素が該反応媒体中に存在する請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
該開始剤が加えられる場合に1リットルの反応媒体当たり100mgより少ない酸素が該反応媒体中に存在する請求項11または12に記載の方法。
【請求項16】
式(I)に従う該単量体単位が、場合によりアルキル基−置換されていてもよい3,4−メチレンジオキシ−チオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−エチレンジオキシチオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−エチレンジオキシチオフェン単位、RおよびRが一緒になって1,2−シクロヘキセン基である式(I)に従う単位、場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−プロピレンジオキシチオフェン単位、場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−ブチレンジオキシチオフェン単位および場合によりアルキルもしくはアリール基−置換されていてもよい3,4−ペンチレンジオキシチオフェン単位よりなる群から選択される請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
該重合体が2.2g/Lより小さい25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物との共重合体である請求項11〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2.2g/Lの25℃における水中溶解度を有する該3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物が、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オール、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−酢酸エチルエステル、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−酢酸、2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシメチル}−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンおよび4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩よりなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該少なくとも1種のポリアニオン化合物がポリ(スチレンスルホン酸)を包含する請求項11〜18のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2007−526925(P2007−526925A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516142(P2006−516142)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051073
【国際公開番号】WO2004/114326
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(504376795)アグフア−ゲヴエルト (24)
【Fターム(参考)】