説明

電気光学ディスプレイを駆動する方法

【課題】画素間ギャップによって分離される少なくとも第1および第2の画素を有する双安定電気光学ディスプレイを駆動する方法の提供。
【解決手段】1つの方法では、第1の画素に、1つの極限光学的状態に画素を駆動する駆動パルスが印加され、この極限光学的状態にある第2の画素に、駆動パルスと同じ極性の補強パルスが印加される。第2の方法では、第1の画素に印加される駆動パルスは、その画素を1つの極限光学的状態から駆動して離し、第2の画素に印加される反対極性の逆補強パルスが、駆動パルスに印加される。駆動方法は、エッジゴースト発生またはブルーミングを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、
(a) 米国特許第7,193,625号
(b) 米国特許第7,012,600号
(c) 米国特許第6,531,997号
(d) 米国特許第6,504,524号
(e) 米国特許第7,170,670号および
(f) 米国特許出願公開第2005/0024353号
に関連する。
【0002】
上記特許および公開された出願は、以降、「関連特許」と称し得る。
【0003】
本発明は、電気光学ディスプレイを駆動する方法に関し、より具体的には、双安定電気光学ディスプレイであって、そのような方法を使用するディスプレイに関する。本発明の方法およびディスプレイは、特に、しかし独占的ではなく、双安定電気泳動ディスプレイを駆動する際の使用を対象とする。
【背景技術】
【0004】
電気光学ディスプレイに関する背景用語および先端技術は、さらなる情報について読者が参照される、前述の特許文献1で詳細に論じられている。したがって、この用語および先端技術を下記で簡潔に要約する。
【0005】
材料またはディスプレイに適用されるような「電気光学」という用語は、画像技術におけるその従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であって、材料への電場の印加によって、その第1の表示状態からその第2の表示状態に変化される材料を指すために本願で使用される。
【0006】
「グレー状態」という用語は、画像技術におけるその従来の意味で、画素の2つの極限光学的状態の中間にある状態を指すために本願で使用され、必ずしもこれら2つの極限状態の間の黒−白の遷移を示唆するとは限らない。「黒」および「白」という用語は、ディスプレイの2つの極限光学的状態を指すために以降で使用してもよく、厳密に黒および白ではない極限光学的状態を通常含むとして理解するべきである。「モノクロ」という用語は、介在するグレー状態がない2つの極限光学的状態に画素を駆動するのみである、駆動の仕組みを示すために以降で使用してもよい。
【0007】
「双安定の」および「双安定」という用語は、当技術におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2のディスプレイ状態を有するディスプレイ要素を備えるため、有限持続時間のアドレッシングパルスを用いて、所与の要素が駆動されて、その第1または第2のディスプレイ状態になった後、アドレッシングパルスが終了した後に、その状態が少なくとも数回、例えば、ディスプレイ要素の状態を変えるために必要とされるアドレッシングパルスの最小持続時間である、少なくとも4回持続する、ディスプレイを指すために使用される。
【0008】
「インパルス」という用語は、時間に対する電圧の積分というその従来の意味で、本願で使用される。しかし、一部の双安定電気光学媒体は、電荷変換器の役割を果たし、そのような媒体では、インパルスの代替的な定義、すなわち経時的な電流の積分(印加される全電荷に等しい)を使用してもよい。媒体が電圧時間インパルス変換器または電荷インパルス変換器の役割を果たすかどうかに応じて、インパルスの適切な定義を使用するべきである。
【0009】
いくつかの種類の電気光学ディスプレイが知られており、例えば、
(a)回転2色部材ディスプレイ(例えば、特許文献2〜特許文献10を参照)、
(b)エレクトロクロミックディスプレイ(例えば、O’Regan, B., et al, Nature 1991, 353, 737; Wood, D., Information Display, 18(3), 24 (March 2002); Bach, U., et al., Adv. Mater., 2002, 14(11), 845;および米国特許第6,301,038号、6,870.657号、および6,950,220号を参照)、
(c)エレクトロウェッティングディスプレイ(Hayes, R.A., et al., 「Video−Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」, Nature, 425, 383−385 (25 September 2003)、および米国特許出願公開第2005/0151709号を参照)、
(d)電場の影響下で複数の荷電粒子が流体を通って流れる、粒子ベースの電気泳動ディスプレイ(米国特許第5,930,026号、5,961,804号、6,017,584号、6,067,185号、6,118,426号、6,120,588号、6,120,839号、6,124,851号、6,130,773号、および6,130,774、米国特許出願公開第2002/0060321号、2002/0090980号、2003/0011560号、2003/0102858号、2003/0151702号、2003/0222315号、2004/0014265号、2004/0075634号、2004/0094422号、2004/0105036号、2005/0062714号、および特許文献11、および国際公開第00/38000号、国際公開第00/36560号、国際公開第00/67110号、および国際公開第01/07961、および欧州特許第1,099,207 B1号、および1,145,072 B1号、および前述の特許文献1で論じられるその他のMITおよびE Ink特許および出願書類を参照)である。
【0010】
電気泳動媒体のいくつかの異なる変異型がある。電気泳動媒体は、液体またはガス状流体を使用することが可能である。ガス状流体については、例えば、Kitamura, T., et al, 「Electrical toner movement for electronic paper−like display」, IDW Japan, 2001, Paper HCSl−I、およびYamaguchi, Y., et al., 「Toner display using insulative particles charged triboelectrically」, IDW Japan, 2001, Paper AMD4−4、米国特許出願公開第2005/0001810号、欧州特許第1,462,847号、1,482,354号、1,484,635号、1,500,971号、1,501,194号、1,536,271号、1,542,067号、1,577,702号、1,577,703号、および1,598,694号、および国際公開第2004/090626号、国際公開第2004/079442号、および国際公開第2004/001498号を参照。媒体は、カプセルに封入してもよく、数々の小さいカプセルを備え、そのそれぞれ自体が、液体懸濁化剤中に懸濁した電気泳動的可動粒子を含有する内相と、内相を取り囲むカプセル壁とを備える。典型的に、カプセル自体が、高分子結合剤内で保持されて、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。前述のMITおよびE Ink特許および出願書類を参照。あるいは、カプセル化電気泳動媒体中の離散マイクロカプセルを取り囲む壁は、連続相に置換されてもよく、よって、電気泳動媒体が電気泳動流体の複数の離散液滴と高分子材料の連続相とを備える、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生成する。例えば、米国特許第6,866,760号を参照。本願の目的上、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種とみなされる。別の変異型は、荷電粒子および流体が、典型的には高分子薄膜であるキャリア媒体内で形成される複数の空洞内で保持される、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。例えば、米国特許第6,672,921号および6,788,449号を参照。
【0011】
電気泳動媒体は、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明で、1つが光透過性である、「シャッタモード」で動作することが可能である。例えば、米国特許第6,130,774号および6,172,798号、および米国特許第5,872,552号、6,144,361号、6,271,823号、6,225,971号、および6,184,856号を参照。誘電泳動ディスプレイは、同様のモードで動作することが可能である。米国特許第4,418,346号を参照。他の種類の電気光学ディスプレイもまた、シャッタモードで動作することが可能であってもよい。
【0012】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイおよび多くの他の電気光学ディスプレイは、従来の液晶(「LC」)ディスプレイと著しく異なって、双安定である。ねじれネマチック液晶の作用は双安定ではないが、電圧変換器の役割を果たすため、そのようなディスプレイの画素に電圧を印加するステップは、画素に以前存在していたグレーレベルにかかわらず、画素における特定グレーレベルを生成する。なおさらに、LCディスプレイは、1つの方向にしか駆動されず(非透過性または「暗」から透過性または「明」)、電場を低減または排除することによって、より明るい状態からより暗い状態への逆遷移がもたらされる。最終的に、LCディスプレイの画素のグレーレベルは、電場の極性ではなく、その大きさのみに対して感受性があり、確かに技術的理由で、市販LCディスプレイは通常、頻繁な間隔で駆動場の極性を逆にする。対照的に、双安定電気光学ディスプレイは、第1近似に対して、インパルス変換器の役割を果たすため、画素の最終的状態は、印加される電場およびこの場が印可される時間だけでなく、電場の印加の前の画素の状態にも依存する。
【0013】
すでに指摘済みの通りであるが、電気泳動および一部の他の電気光学ディスプレイは双安定を示し、この双安定は無限ではなく、ディスプレイ上の画像は時間とともにゆっくりと消えていくため、画像を長時間維持する場合は、最初に書き込まれた時にそれが有する光学的状態に画像を復元するように、画像を周期的にリフレッシュしなければならない場合がある。
【0014】
しかし、画像のそのようなリフレッシュは、独自の問題を生じる場合がある。米国特許第6,531,997号および6,504,524号で論じられるように、ディスプレイを駆動するために使用される方法が、電気光学媒体にわたって、ゼロまたはほぼゼロの正味時間平均印加電場をもたらさなければ、問題に遭遇する場合があり、ディスプレイの耐用年数が減少する場合がある。電気光学媒体にわたってゼロの正味時間平均印加電場をもたらす駆動方法は、従来、「直流平衡」または「DC平衡」駆動方法と呼ばれる。パルスをリフレッシュすることによって画像を長時間維持する場合は、これらのパルスは、ディスプレイの関連画素を維持されている光学的状態に駆動するために本来使用されるアドレッシングパルスと同じ極性である必要があり、これはDC不平衡駆動の仕組みをもたらす。
【0015】
前述の特許文献11は、リフレッシュが短パルスにより達成される場合に、DC不均衡駆動の仕組みと関連する悪影響を低減しながら、どのように双安定電気光学ディスプレイ上の画像をリフレッシュすることができるかを説明している。この出願公開は、少なくとも1つの画素を有する双安定電気光学ディスプレイに対処するための、いわゆる「リフレッシュパルス」方法であって、
画素を第1の光学的状態に駆動するようにアドレッシングパルスを印加するステップと、
一時期の間、画素を駆動しないままにすることにより、画素が第1の光学的状態とは異なる第2の光学的状態になることを可能にするステップと、
画素に、画素を第1の光学的状態に実質的に復元するリフレッシュパルスであって、アドレッシングパルスと比べて短いリフレッシュパルスを印加するステップと
を含む、方法を説明している。
【0016】
このリフレッシュパルス方法では、リフレッシュパルスは、典型的に、アドレッシングパルスのインパルスの約20パーセント以下、望ましくはこのインパルスの約10パーセント以下、かつ好ましくはこのインパルスの約5パーセント以下である、インパルスを有する。典型的に、第1および第2の光学的状態間の差異は、Lの約1単位を超えない(式中、Lは通常のCIE定義を有し、
=116(R/R1/3−16、
式中、Rは反射率であり、Rは標準反射率値である)。望ましくは、この差異は、Lの約0.5単位を超えず、かつ好ましくは、Lの約0.2単位を超えない。複数のリフレッシュパルスを一定間隔で画素に印加してもよい。
【0017】
このリフレッシュパルス方法は、双安定電気光学ディスプレイ上の画像のリフレッシュを可能にし、よって、画像の外観を向上するが、必然的に多少のDC不均衡を導入する。前述の特許文献11はまた、生成されるDC不均衡を低減するための様々な方法も説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第7,012,600号明細書
【特許文献2】米国特許第5,808,783号明細書
【特許文献3】米国特許第5,777,782号明細書
【特許文献4】米国特許第5,760,761号明細書
【特許文献5】米国特許第6,054,071号明細書
【特許文献6】米国特許第6,055,091号明細書
【特許文献7】米国特許第6,097,531号明細書
【特許文献8】米国特許第6,128,124号明細書
【特許文献9】米国特許第6,137,467号明細書
【特許文献10】米国特許第6,147,791号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2005/0270261号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、双安定電気光学ディスプレイの外観の同様の向上をもたらすことが可能である一方で、少なくとも場合によっては、導入されるDC不均衡を低減する、前述の第2005/0270261号で説明されるリフレッシュパルス方法の改良を提供する。
【0020】
本発明はまた、前述の第2005/0270261号で論じられていない、双安定電気光学ディスプレイで遭遇する別の問題、すなわちいわゆる「エッジゴースト発生」問題を軽減または排除しようとするものでもある。電気光学ディスプレイは典型的に、そのそれぞれがディスプレイの1画素を定義する複数の画素電極を備えるバックプレーンを有し、それぞれがディスプレイの1画素を定義する。従来、単一共通電極が多数の画素に及び、通常、ディスプレイ全体が電気光学媒体の反対側に提供される。個々の画素電極を直接駆動してもよく(すなわち、別個の導体を各画素電極に提供してもよい)、または、バックプレーン技術の当業者にとって周知となるアクティブマトリクス方式で画素電極を駆動してもよい。隣接する画素電極はしばしば異なる電圧となるため、電極間の電気的短絡を回避するために、有限幅の画素間ギャップによって分離しなければならない。一見したところ、これらのギャップを覆う電気光学媒体は、駆動電圧が画素電極に印加された時に切り替わらないと思われるかもしれないが(確かに、これは液晶等の一部の非双安定電気光学媒体によくあることで、その場合、ブラックマスクが典型的にこれらの非ギャップを隠すように提供される)、多くの双安定電気光学媒体の場合、「ブルーミング」として知られる現象のため、ギャップを覆う媒体が切り替わらない。
【0021】
ブルーミング(blooming)は、画素電極の物理的サイズよりも大きい領域にわたって電気光学媒体の光学的状態の変化を引き起こす、画素電極への駆動電圧の印加の傾向を指す。過剰なブルーミングは避けるべきであるが(例えば、高解像度アクティブマトリクスディスプレイでは、ディスプレイの実効分解能を低減するため、単一画素への駆動電圧の印加がいくつかの隣接する画素を覆う領域にわたって切り替えを引き起こすことを望まない)、制御された量のブルーミングはしばしば有用である。例えば、各数字に、7つの直接駆動された画素電極の従来の7区分配列を使用して、数字を表示するブラックオンホワイト電気光学ディスプレイを考慮されたい。例えば、ゼロが表示されると、6つの区分が黒になる。ブルーミングがない場合は、6つの画素間ギャップが見えるようになる。しかし、例えば、前述の第2005/0062714号で説明されるように、制御された量のブルーミングを提供することによって、画素間ギャップを黒にすることが可能であり、より視覚的に感じの良い数字をもたらす。しかし、ブルーミングは、「エッジゴースト発生」と称される問題につながり得る。
【0022】
連続前面電極とバックプレーン上に配設される画素電極の配列との間に配置される、電気光学媒体の層の一般的な状況を考慮されたい。画素電極が前面電極とは異なる電圧で保持されると、電場が電気光学媒体中に存在する。この電場は主に、電気光学媒体の層に垂直に向けられ、ほぼ均一な強度である(本目的のため、空間電荷の歪曲効果および電気光学媒体自体の偏光を無視する)。しかし、画素の縁付近で、フリンジ場が形成し、これらのフリンジ場は、電場を受ける画素と隣接する画素との間の画素間領域内に延在する。フリンジ場領域では、電場線は、画素から最上面または隣接電極へと湾曲している。この領域中の電場は、概して画素の中央部よりも弱い。
【0023】
波形は典型的に、画素の中央部分、すなわち画素縁から遠くに、よってフリンジ場から離れて、所望の光学的状態への正しい遷移を達成するように設計される。例えば、1つの極限光学的状態(例えば黒)である画素の配列、および駆動時間にわたってその画素に駆動電圧を印加することによって、1画素が反対の極限光学的状態(白)に駆動され、次いで同じ駆動期間にわたってその画素に反対電圧を印加することによって、画素が黒へ駆動される状況を考慮されたい。電圧および駆動期間を選択し、このペアの遷移後に画素の中央部分で適切な黒の状態を達成する。しかし、フリンジ場領域では、遷移中の電場は、駆動された画素の中央部分よりも弱い。したがって、このフリンジ場領域では、第1の電圧パルスは、電気光学媒体を黒から白に駆動しないが、その代わり、黒から中間グレーに駆動する。またフリンジ場領域では、第2の電圧パルスは、この中間グレーから再び黒に向かって電気光学媒体を駆動する。しかし、上記の関連出願書類のうちのいくつかで論じられるように、電場への多くの電気光学媒体の反応は、必ずしも印加された場の大きさと直線状でもなく、必ずしも電場の方向に対して対称的でもない。結果として、先述の2つの遷移後、画素間領域は、必ずしもその元の黒の状態に正確に戻るとは限らない。概して、フリンジ場領域の光学的状態は、元の状態よりもわずかに薄い黒となり、すなわち、真の黒よりもむしろ非常に濃いグレーとなり、よって、画素の黒い中央部分よりも色が薄いフリンジ場領域を残す。これは、エッジアーチファクトの1部類であるエッジゴーストと呼ばれる。そのようなエッジゴーストは、十分に大きければ、ヒトの目で容易に検出され、非常に不愉快である。
【0024】
(前述の検討は、解説の目的で簡略化されている。ブルーミングの領域は均一な白または黒ではないが、典型的に遷移帯であり、ブルーミングの領域を横断すると、媒体の色は、白から様々な色合いのグレーを通して黒へと遷移する。したがって、エッジゴーストは典型的に、均一なグレーの領域よりもむしろ、様々な色合いのグレーの領域となるが、特にヒトの目は各画素が純黒または純白であるはずのモノクロ画像中のグレーの領域を検出する能力をよく備えているため、なおも目に見えて不愉快となり得る。)
場合によっては、非対称ブルーミングは、エッジゴースト発生の一因となる場合がある。「非対称ブルーミング」は、一部の電気光学媒体(例えば、米国特許第7,002,728号で説明される亜クロム酸銅/チタニアカプセル化電気泳動媒体)では、逆方向の遷移中よりも、画素の1つの極限光学的状態から他の極限光学的状態への遷移中に多くのブルーミングが発生するという意味で、ブルーミングが「非対称的」であるという現象を指し、この特許で説明される媒体では、典型的に、黒から白の遷移中のブルーミングは、白から黒の遷移中よりも大きい。
【0025】
本発明は、エッジゴースト発生を低減または排除することが可能である双安定電気光学ディスプレイを駆動するための方法を提供する。
【0026】
ブルーミングと関連する別の問題は、1画素が、隣接する画素によって制御されることを目的とするディスプレイの領域を、事実上制御する場合があることである。理想的には、1画素からのフリンジ場が、それと隣接する画素との間のギャップの半分にわたる光学的状態の変化を引き起こすように、ブルーミングが制御されることを望む場合がある。しかし、実践では、ブルーミングは、特に電気光学媒体の温度を含む多数の因子によって異なるため、ブルーミングを最適値に制御することが必ずしも可能ではない場合がある。なおさらに、すでに記述したように、距離によって異なるフリンジ場のため、ブルーミングの領域には、2つの極限光学的状態間で鋭いエッジがないが、むしろ2つの光学的状態間の遷移が発生する有限幅の領域がある。したがって、例えば、白の画素の白の領域が画素間ギャップの半分に及ぶ(2つの隣接する画素が両方とも白に駆動され、画素間ギャップが画素自体と同じ白色となるように)ことを確実にしたい場合、1画素が白に駆動される一方で他方がなおも黒である時に、画素間ギャップの半分以上にわたるグレーの領域を許容する必要があってもよい。しかし、そのようなグレーの領域の存在は、状況次第で問題となる場合がある。例えば、ディスプレイが色フィルタ配列を備えるカラーディスプレイであり、関与する2つの画素が色フィルタ配列の異なる着色領域の基礎になる場合、第1の画素が白で第2の画素が黒である時のグレー領域の存在は、若干の第2の色により第1の画素の色の「汚染」をもたらす場合があり、よってディスプレイの演色に悪影響する。
【0027】
本発明は、前述の第2005/0270261号のリフレッシュパルス駆動方法の様々な改良を含むとしてみなしてもよい。本方法では、「リフレッシュ」パルスは、任意の間隔で生成されないが、他の画素において発生する遷移の元である。なおさらに、本方法では、リフレッシュパルスは、全画素または所与の光学的状態を有する全画素に印加されなくてもよいが、遷移している画素に隣接するある画素に限定されてもよい。便宜上、本発明の方法に従って印加される是正パルスは、「補強パルス」と呼ばれる一方で、「リフレッシュパルス」という用語は、前述の第2005/0270261号の方法で印加されるパルスを表すために使用される。
【0028】
したがって、本発明は、それぞれ第1および第2の極限光学的状態(画素には、他の中間光学的状態があってもなくてもよい)を表示することが可能である、少なくとも第1および第2の画素であって、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する第1および第2の画素を有する、双安定電気光学ディスプレイを駆動する第1の方法を提供する。第1の方法は、第1の画素に、第1の画素にその光学的状態をその極限光学的状態のうちの1つに変化させるのに有効な駆動パルスを印加するステップと、前記1つの極限光学的状態にある第2の画素に、駆動パルスと同じ極性の補強パルスであって、駆動パルスと同時に、または駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される補強パルスを印加するステップとを含む。
【0029】
本発明のこの第1の方法(以降、「補強パルス方法」と呼んでもよい)は、各画素が第1および第2の(典型的に白および黒)光学的状態のみを表示することを目的とする、モノクロディスプレイに適用される。そのようなモノクロディスプレイでは、第1の画素がその第1からその第2の光学的状態(例えば、白から黒へ)へ遷移している一方で、第2の画素がその第2の光学的状態(黒)にあり、この第2の光学的状態にとどまる場合、第1の画素に1つの極性のパルスが与えられて、所望の遷移をもたらす。このパルスの間、またはその直後、第2の画素に、第1の画素に与えられる駆動パルスと同じ極性の補強パルスが与えられる(すなわち、黒化パルス)。第2の画素がすでに黒であるため、補強パルスは、第2の画素の黒色の肉眼的変化をもたらさない。しかし、第2の画素がしばらくの間、その黒の状態であった場合、その色は真の黒から濃いグレーへと「押し流される」ため、補強パルスは、第2の画素を真の黒へと駆動して戻す働きをし、よって、ヒトの目に容易に明白な状況である、真の黒の第1の画素に直接隣接する濃いグレーの第2の画素を有することを回避する。補強パルスはまた、第1および第2の画素間の画素間ギャップにおけるエッジゴースト発生を低減または排除する働きもする。
【0030】
上記の関連特許および出願書類で論じられるように、1つの光学的状態から別のものへ電気光学ディスプレイの画素を駆動するために使用される波形は、極めて複雑であってもよく、両極性の駆動パルスを含んでもよい。よって、本発明の補強パルス方法で第1の画素に適用される「駆動パルス」は、実際、一部に反対の極性があってもよい、複数の個別駆動パルスを含む複合波形であってもよい。本目的では、そのような複合波形の極性は、複合波形と同じ第1の画素の光学遷移をもたらす、一定の大きさの単一駆動パルスの極性として定義してもよい。
【0031】
本方法で使用される「補強パルス」は、それ自体が単一パルスより多くを備えてもよい。特に、単一または2重補強パルスの変異形と称してもよい、本補強パルス方法の2つの原則的な変異形がある。その名称が示唆するように、単一補強パルス方法は、1つだけの補強パルスを使用する。2重補強パルス方法は、より複雑である。ディスプレイが共通縁を共有する第1および第2の画素を有し、第1の画素が白から黒へと遷移する一方で、第2の画素がその黒の状態にとどまる状況を考慮されたい。単一補強方法が使用されている場合、第2の画素に、第1の画素に印加されるパルスと同じ極性の単一パルス、すなわち黒化パルスが印加される。2重補強パルス方法では、まず、第2の画素に、第1の画素に印加されるものと反対の極性のパルス(すなわち、白化パルス)が印加され、その後、第2の画素に、第1の画素に印加されるものと同じ極性のパルス(すなわち、黒化パルス)が印加される。第2の画素に印加される2つの連続パルスは、以降、それぞれ「逆補強パルス」および「順方向補強パルス」と呼んでもよい。逆および順方向補強パルス間には中断(ゼロ電圧の期間)があってもなくてもよい。下記でより詳細に論じるように、2重補強パルス方法は典型的に、より正確に第2の画素の色を第1の画素の色に整合させることが分かっている。
【0032】
すでに記述したように、本方法では、補強パルスは、駆動されている画素と縁を共有する画素のみに印加してもよい(以降、便宜上、この関係を有する画素を「縁隣接画素」と呼び、1角のみが共通する「角隣接画素」からそれらを区別してもよい)。本方法の3つの主要な変異形があり、その全ては、横列または縦列で配設される2次元配列の画素を備える、典型的な種類のディスプレイに適用してもよい。
(a)補強パルスが、1つの光学的状態から別のものへ駆動されている各画素の縁隣接する近隣画素にのみ印加される、「縁隣接限定」変異形。ディスプレイの画素が矩形行列で配設される一般的な場合、ほとんどの画素はもちろん4つの縁隣接する近隣画素を有する。駆動された画素に縁隣接する画素に補強パルスを印加することが必要であるとは考えられていないが、そのように所望の場合は、もちろんこれを行うことが可能である。
(b)1つ以上の画素が1つの極限光学的状態に駆動されると、補強パルスがすでにその1つの極限光学的状態である全ての画素に印加される、「全体的」変異形。
(c)隣接部中の1つ以上の画素が1つの極限光学的状態に駆動されると、補強パルスが、すでにその1つの極限光学的状態であるその隣接部内の全画素に印加されるが、補強パルスは、隣接部の外側のすでにその1つの極限光学的状態である画素に印加されない、中間の「隣接部」変異形。
【0033】
変異形(c)は、さらなる説明を必要としてもよい。単一の被写体または少数の被写体が本質的に静止した背景に対して移動している、一連の画像のよくある状況を考慮されたい。さらに具体的には、黒い飛行機が白い空に対して動いている一連のモノクロ画像を考慮されたい。連続画像間の遷移をもたらすためには、飛行機の周辺のある画素を書き換えなければならない。視覚的に気をそらす効果を回避するためには、飛行機を表す黒の画素に補強パルスを印加してもよいが、その下の地面を表す黒の画素に印加しないことが好ましくてもよい。同様に、ディスプレイが一連の本質的に独立した窓として構成される場合、「全体的」更新方法が各窓に独立して適用される駆動の仕組みを使用することが望ましくてもよい。
【0034】
すでに述べたように、補強パルス方法では、補強パルスは、駆動パルスと同時に、または駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される。補強パルスは、ディスプレイのユーザにとって、駆動された画素の第1の遷移および補強パルスの第2の遷移があるように思われるよりもむしろ、駆動された画素と同じ遷移の一部であるように思われることが望ましい。典型的に、補強パルスは、駆動パルスと同時に、または駆動パルスの長さと等しく、かつ好ましくは約400ミリ秒を超えない後続期間内のいずれかで印加するべきである。ほとんどの場合、都合良く、駆動パルスの最後の部分と同時に(つまり、駆動パルスの終端部と同時に)補強パルスを生じさせる。
【0035】
補強パルスによって印加されるインパルスは、もちろん、採用される特定の電気光学媒体および特定のディスプレイのその他のパラメータに応じて、広い範囲にわたって異なってもよい。場合によっては、補強パルスには、駆動パルスと同じインパルスがあってもよい(駆動パルスが、第1の画素をその第1から第2の極限光学的状態に駆動するために必要とされるものであると仮定して)が、通常、補強パルスのインパルスは、より小さい。典型的に、補強パルスのインパルスは、駆動パルスのインパルスの約10から約70パーセント、さらに通常は約20から約50パーセントである。多くの場合、駆動パルスのインパルスの約25パーセントのインパルスを有する補強パルスが良好な結果を生じるように思われる。本方法のいわゆる単一補強パルス変異形でも、補強パルスは、単一連続パルスの形となる必要はないが、1つ以上の中断(すなわち、ゼロ印加電圧の期間)によって分離される複数の離散サブパルスの形であってもよい。例えば、補強パルスが駆動パルスのインパルスの20パーセントのインパルスを有する場合、補強パルスは、それぞれ駆動パルスのインパルスの10パーセントのインパルスを有する2つの離散サブパルスの形となり得て、1つのサブパルスは、駆動パルスの最後の部分と同時に、第2のものは駆動パルスの終了後(例えば)100ミリ秒で印加されて、2つのサブパルス間にはゼロ電圧の期間がある。補強パルスの電圧は、駆動パルスのものと同じ、または異なってもよく、場合によっては、補強パルスが駆動パルスよりも低い電圧であることが有利であってもよいように思われる。
【0036】
本発明は、本発明の補強パルス方法を実行するように配設される双安定電気光学ディスプレイ、制御装置または特定用途向け集積回路に及ぶ。具体的には、本発明は、第1および第2の極限光学的状態を表示することが可能である双安定電気光学媒体の層と、双安定電気光学媒体の層に隣接して配置され、かつ媒体に電場を印加することが可能な第1および第2の画素電極であって、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する第1および第2の画素電極と、第1および第2の画素電極に印加される電圧を制御するための制御装置とを備え、制御装置は、
第1の画素電極に、第1の画素電極に隣接する電気光学媒体にその光学的状態をその極限光学的状態のうちの1つに変化させるのに有効な駆動パルスを印加するステップと、
第2の画素電極に隣接する電気光学媒体が前記1つの極限光学的状態にある間、第2の画素電極に、駆動パルスと同じ極性の補強パルスであって、駆動パルスと同時に、または駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される補強パルスを印加するステップと、を含む駆動方法を実行するように配設される、電気光学ディスプレイに及ぶ。
【0037】
本発明はまた、以降、本発明の「逆補強パルス方法」と呼んでもよい第2の駆動方法を提供する。画素の縁隣接ペアの一方が1つの光学的状態へと遷移している一方でペアの他方がその光学的状態にとどまっている時に適用される、上記の第1の(補強パルス)方法とは違って、本発明の逆補強パルス方法は、画素の縁隣接ペアの一方が光学的状態から遷移している一方で、ペアの他方がその光学的状態にとどまっている時に適用される。例えば、逆補強パルス方法は、第1の画素が白から黒へと遷移している一方で、隣接する画素が白のままである場合に、適用してもよい。逆補強パルス方法では、非遷移画素には、遷移画素に印加されるものと反対の極性のパルスが与えられ、すなわち、前述の例では、隣接画素には、白化パルスが与えられる。
【0038】
したがって、本発明は、それぞれ第1および第2の極限光学的状態(画素には、他の中間光学的状態があってもなくてもよい)を表示することが可能である、少なくとも第1および第2の画素であって、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する第1および第2の画素を有する、双安定電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供する。本逆補強パルス方法は、第1の画素に、第1の画素にその極限光学的状態のうちの1つからその光学的状態を変化させるのに有効な駆動パルスを印加するステップと、該1つの極限光学的状態にある第2の画素に、駆動パルスと反対の極性の逆補強パルスであって、駆動パルスと同時に、または駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される逆補強パルスを印加するステップとを含む。
【0039】
本発明の逆補強パルス方法は、すでに説明した主要補強パルス方法の変異形のいずれも利用することが可能であり、よって、例えば、逆補強方法は、縁隣接、隣接部、または全体基準で適用してもよいが、典型的に、縁隣接基準で適用される。逆補強パルス方法はまた、2つ以上のパルスを備えてもよく、特に、本発明の第1の方法について説明されるように、反対の極性の2つのパルスを備えてもよい。
【0040】
本発明の逆補強パルス方法は、上記のような過剰なブルーミングによって引き起こされる問題を低減または排除することを目的とする。隣接する白の画素の第1のペアが白から黒へ遷移している一方で第2の画素が白のままである、すでに述べた状況では、得られた黒の領域を画素間ギャップの半分以上にわたらせる、第1の画素に印加される駆動パルスの傾向があり、上記の問題を引き起こす。第2の画素に逆補強(白化)パルスを印加することによって、過剰な黒のブルーミングが低減または排除される。
【0041】
本発明は、本発明の第2の方法を実行するように配設される双安定電気光学ディスプレイ、ディスプレイ制御装置、または特定用途向け集積回路(ASIC)に及ぶ。具体的には、本発明は、第1および第2の極限光学的状態を表示することが可能である双安定電気光学媒体の層と、双安定電気光学媒体の層に隣接して配置され、かつ媒体に電場を印加することが可能な第1および第2の画素電極であって、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する第1および第2の画素電極と、第1および第2の画素電極に印加される電圧を制御するための制御装置とを備え、制御装置は、第1の画素電極に、第1の画素にその極限光学的状態のうちの1つからその光学的状態を変化させるのに有効な駆動パルスを印加するステップと、
1つの極限光学的状態にある第2の画素電極に、駆動パルスと反対の極性の逆補強パルスであって、駆動パルスと同時に、または駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される逆補強パルスを印加するステップと、を含む駆動方法を実行するように配設される、電気光学ディスプレイに及ぶ。
【0042】
本発明のディスプレイは、上記のいずれの種類の双安定電気光学媒体を利用してもよい。よって、例えば、本発明のディスプレイは、回転2色部材またはエレクトロクロミック媒体を備えてもよい。あるいは、ディスプレイは、流体中に配置され、かつ電場の影響下で流体を通って移動することが可能な複数の荷電粒子を含む電気泳動媒体を備えてもよい。荷電粒子および流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込めてもよい。あるいは、荷電粒子および流体は、高分子材料を含む連続相によって取り囲まれる複数の離散液滴として存在してもよいため、電気泳動媒体は、高分子分散型である。流体は、液体またはガス状であってもよい。
【0043】
本発明のディスプレイは、従来技術の電気光学ディスプレイが使用されているいずれの用途で使用してもよい。よって、例えば、本ディスプレイは、電子ブック読取機、携帯型コンピュータ、タブレットコンピュータ、セルラ電話、スマートカード、標識、腕時計、棚ラベル、およびフラッシュドライブで使用してもよい。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
少なくとも第1および第2の画素を有する双安定電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該画素のそれぞれが第1および第2の極限光学的状態を表示することが可能であり、該第1および第2の画素は、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する、方法であって、
該第1の画素に、該第1の画素にその光学的状態をその極限光学的状態のうちの1つに変化させるのに有効な駆動パルスを印加することと、
該1つの極限光学的状態にある第2の画素に、該駆動パルスと同じ極性の補強パルスを印加することであって、該補強パルスは、該駆動パルスと同時に、または該駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される、ことと
を含む、方法。
(項目2)
第1および第2の極限光学的状態を表示することが可能である双安定電気光学媒体の層と、該双安定電気光学媒体の層に隣接して配置され、かつ該媒体に電場を印加することが可能な第1および第2の画素電極であって、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する第1および第2の画素電極と、該第1および第2の画素電極に印加される電圧を制御するための制御装置とを備え、
該制御装置は、
該第1の画素電極に、該第1の画素電極に隣接する電気光学媒体にその光学的状態をその極限光学的状態のうちの1つに変化させるのに有効な駆動パルスを印加することと、
該第2の画素電極に隣接する電気光学媒体が該1つの極限光学的状態にある間、該第2の画素電極に、該駆動パルスと同じ極性の補強パルスであって、該駆動パルスと同時に、または該駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される補強パルスを印加することと
を含む、駆動方法を実行するように配設される、電気光学ディスプレイ。
(項目3)
項目2に記載のディスプレイを備える、電子ブック読取機、携帯型コンピュータ、タブレットコンピュータ、セルラ電話、スマートカード、標識、腕時計、棚ラベル、またはフラッシュドライブ。
(項目4)
少なくとも第1および第2の画素を有する双安定電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該画素のそれぞれが第1および第2の極限光学的状態を表示することが可能であり、該第1および第2の画素は、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する、方法であって、
該第1の画素に、該第1の画素にその極限光学的状態のうちの1つからその光学的状態を変化させるのに有効な駆動パルスを印加することと、
該1つの極限光学的状態にある第2の画素に、該駆動パルスと反対の極性の逆補強パルスを印加することであって、該逆補強パルスは該駆動パルスと同時に、または該駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される、ことと
を含む、方法。
(項目5)
前記ディスプレイは、各画素が第1および第2の光学的状態のみを表示するモノクロディスプレイである、項目1または4に記載の方法。
(項目6)
前記補強パルスは、前記駆動パルスとは反対の極性の単一パルスのみを含む、項目1または4に記載の方法。
(項目7)
前記補強パルスは、前記駆動パルスと同じ極性の第1のパルスと、該駆動パルスとは反対の極性で、かつ該第1のパルスよりも大きいインパルスの第2のパルスとを含む、請求項1または4に記載の方法。
(項目8)
前記ディスプレイは、2次元配列の画素を含み、前記補強パルスは、前記1つの極限光学的状態にあり、かつ前記駆動パルスが印加される画素と共通縁を共有する画素のみに印加される、項目1または4に記載の方法。
(項目9)
前記ディスプレイは、2次元配列の画素を備え、1つ以上の画素が1つの極限光学的状態から駆動して外されると、前記補強パルスは、すでにその1つの極限光学的状態にある全画素に印加される、項目1または4に記載の方法。
(項目10)
前記ディスプレイは、2次元配列の画素を備え、隣接部中の1つ以上の画素が1つの極限光学的状態から駆動して外されると、前記補強パルスは、すでに1つの極限光学的状態にあるその隣接部内の全ての画素に印可されるが、前記補強パルスは、前記隣接部の外側でその1つの極限光学的状態である画素には印加されない、項目1または4に記載の方法。
(項目11)
前記補強パルスは、前記駆動パルスと同時に、または該駆動パルスの長さに等しい後続期間内に印加される、項目1または4に記載の方法。
(項目12)
前記後続期間は、約400ミリ秒を超えない持続時間を有する、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記補強パルスは、前記駆動パルスの終端部と同時に印加される、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記補強パルスは、前記駆動パルスのインパルスの約10から約70パーセントのインパルスを有する、項目1または4に記載の方法。
(項目15)
前記補強パルスは、前記駆動パルスのインパルスの約20から約50パーセントのインパルスを有する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記補強パルスは、前記駆動パルスのインパルスの約25パーセントのインパルスを有する、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記補強パルスは、ゼロ電圧の少なくとも1つの期間によって分離される複数の離散サブパルスを含む、項目1または4に記載の方法。
(項目18)
前記補強パルスは、前記駆動パルスよりも低い電圧を有する、項目1または4に記載の方法。
(項目19)
前記ディスプレイは、回転2色部材またはエレクトロクロミック媒体を含む、項目1または4に記載の方法。
(項目20)
前記ディスプレイは、流体中に配置される複数の荷電粒子を備え、かつ電場の影響下で前記流体を通って移動することが可能な、電気泳動媒体を含む、項目1または4に記載の方法。
(項目21)
前記荷電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められる、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記荷電粒子および前記流体は、高分子材料を含む連続相によって取り囲まれる複数の離散液滴として存在する、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記流体は、ガス状である、項目20に記載の方法。
(項目24)
項目1または4に記載の方法を実行するように配設される、双安定電気光学ディスプレイ、ディスプレイ制御装置、または特定用途向け集積回路。
(項目25)
第1および第2の極限光学的状態を表示することが可能である双安定電気光学媒体の層と、該双安定電気光学媒体の層に隣接して配置され、かつ該媒体に電場を印加することが可能な第1および第2の画素電極であって、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する、第1および第2の画素電極と、該第1および第2の画素電極に印加される電圧を制御するための制御装置とを備え、
該制御装置は、
該第1の画素電極に、該第1の画素にその極限光学的状態のうちの1つからその光学的状態を変化させるのに有効な駆動パルスを印加することと、
該1つの極限光学的状態にある第2の画素電極に、該駆動パルスと反対の極性の逆補強パルスを印加することであって、逆補強パルスは、該駆動パルスと同時に、または該駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される、ことと
を含む、駆動方法を実行するように配設される、電気光学ディスプレイ。
(項目26)
項目25に記載のディスプレイを備える、電子ブック読取機、携帯型コンピュータ、タブレットコンピュータ、セルラ電話、スマートカード、標識、腕時計、棚ラベル、またはフラッシュドライブ。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、前述の第2005/0270261号のリフレッシュパルス方法の間の2つの画素の反射率の経時変化を示すグラフである。
【図2】図2は、図1と同様であるが、本発明の第1の補強パルス方法の間の2つの画素の反射率を示すグラフである。
【図3】図3は、その黒と白の極限光学的状態間で反復して循環される「フラッシング」画素、および本発明の単一補強パルス方法を受ける第2の画素の反射率の経時変化を示すグラフである。
【図4】図4は、図3と同様であるが、より長い駆動パルスでフラッシング画素を駆動する効果を示すグラフである。
【図5】図5は、図3および4のものと同様であるが、フラッシング画素に修正波形を使用する効果を示すグラフである。
【図6】図6は、図3から5のものと同様であるが、第2の画素において本発明の2重補強パルス方法を使用する効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
すでに指摘済みのとおり、本発明の第1の側面は、画素の光学的状態の肉眼的変化をもたらさない補強パルスが、その画素の光学的状態を変化させる駆動パルスの別の画素への印加の間または直後に、1つ以上の画素に印加される、双安定電気光学ディスプレイを駆動する方法に関する。補強パルスは、補強パルスを受信する画素の色を、駆動パルスを受信する画素の色に整合させる働きをし、2つの画素が縁隣接していれば、2つの画素間のエッジゴースト発生を低減する。
【0046】
前述の第2005/0270261号のリフレッシュパルス駆動方法と比較すると、ディスプレイが長時間更新されなければ補強パルスが印加されないため、本方法は、必要とされる補強パルスの数を減少してもよい。(もちろん、任意の画素が駆動パルスまたは補強パルスを長時間受信しなかった場合、その画素が長時間の終わりにリフレッシュパルスを受信することを確実にすることによって、本方法をリフレッシュパルス方法と組み合わせることが可能である。)また、補強パルスは、所与の極限光学的状態にあるディスプレイの全画素に印加する必要はなく、それは必要とされる補強パルスの数をさらに減少する。したがって、本発明は、リフレッシュパルス駆動方法におけるDC不均衡の量を低減することが可能である一方で、望ましくない視覚的アーチファクトをなおも回避する。
【0047】
本補強パルス方法によって導入されるDC不均衡は、前述の第2005/0270261号で説明されるものと同様の方法で補ってもよく、ディスプレイ制御装置は、各画素のDC不均衡を追跡し、1つの極限光学的状態から他のものへ画素を駆動して画素の蓄積したDC不均衡を補うために使用される駆動パルスまたは波形のインパルスを調整してもよい。採用される駆動の仕組みがブランキングパルス(すなわち、ディスプレイまたはその特定領域の全画素を同じ光学的状態に駆動するパルス)を利用する場合、DC平衡は、ブランキングパルスの印加中に都合良く生じさせられる。
【0048】
添付図面の図1は、時間に対して描かれたモノクロ双安定電気光学ディスプレイの2つの画素の光学的状態のグラフである。図1に示されるように、両方の画素(指定画素1および画素2)は、最初は暗い極限光学的状態である。画素2は、それを白の光学的状態(図1中の反射率(R)縦座標の上端付近で表される)に駆動する駆動パルスを受信する。その後、この白の状態は、図1中の画素2の曲線のゆるやかな下方傾斜によって示されるように、ゆっくりと減衰する。図1に示されないが、その黒の光学的状態に駆動して戻される画素もまた、類似した方法で減衰するため、しばらくした後、ディスプレイ上に書き込まれる白黒画像は、コントラスト比が低減した濃いグレーと薄いグレーの画像になる(減衰の程度は、解説を簡単にするために図1で誇張されている)。ヒトの目は、画像のそのようなゆっくりした均一な変化に非常に寛容であり、実践において、画像のどの部分も変化させる必要がなければ、双安定ディスプレイ上の画像は、低減したコントラスト比がほとんどの観察者にとって不愉快となる前に、大幅な期間(しばしば、採用される特定の電気光学媒体に応じて約数時間)にわたって残しておくことが可能である。
【0049】
しかし、画素2がその白の状態に駆動された後にしばらくして、画素1(本目的のため、画素2に縁隣接すると仮定される)がその白の状態に駆動された場合、図1中の2つの曲線間の垂直間隔によって示されるように、白の新たに書き換えられた画素1と、部分的に減衰した薄いグレーの画素2との間には有意差があり、これはまた、この差異が両画素の光学的状態が徐々に減衰するにつれてしばらくの間持続することも示す。隣接する画素間の得られた色の差異は、もちろん白の状態の減衰の程度に応じて、ヒトの目に非常に明白となる傾向がある。画素1および画素2が異なる時にそれらの黒の光学的状態に駆動して戻されると、正確に類似した状況が発生する。
【0050】
図2は、図1と同じ一連の事象を示すが、本発明にしたがった補強パルスの追加を伴う。図2から分かるように、補強パルスは、画素1がその白の状態に駆動されるのと本質的に同時に画素2に印加されるため、補強パルス後、画素1および画素2の両方は、同じ新たに書き込まれた白の状態である。その後、画素1および2の白の状態は共に減衰するため、画素1および2は、図2で示される後の時間の全てにおいて同じ色を維持する。すでに記述したように、補強パルスはまた、縁隣接画素1および2間のエッジゴースト発生効果を低減または排除するのにも役立つ。
【0051】
実践では、慣例どおり、問題は図2のやや理想化された図で図示されるほど単純ではない。上記の関連特許および出願書類で述べられるように、多くの電気光学媒体の極限光学的状態は、絶対的には固定されず、いわゆる「ソフトレール」現象があるため、媒体をその極限光学的状態に駆動しようとすると、達成される正確な光学的状態は、印加される駆動パルスの長さ、画素の以前の光学的状態、および画素がそれらの光学的状態にとどまった期間を含む、多数の因子に依存する。単一画素への単一補強パルスの反復印加は、画素がその2つの極限光学的状態間で循環されると達成することが可能である、さらに極限の光学的状態に向かって押し流されるように、画素を中断することが可能であることが分かっている。これは、実践で起こりそうにないシナリオではなく、例えば、一定の間隔で、例えば時間管理装置の一部として、点滅している画素に隣接する不変画素で発生する。
【0052】
この状況は、添付図面の図3で図示され、米国特許第7,002,728号の実施例4で説明されるようなカプセル化チタニア/亜クロム酸銅電気泳動媒体を使用して、実験的単一画素ディスプレイから生成されるデータを示す。図3の破線は、各駆動パルス間が3秒の、±10V、240ミリ秒の駆動パルスを使用して、その黒および白の極限光学的状態間で反復して循環され、次いで最終的に6秒間休止することができた画素から得られた、L値を示す(図3中の縦座標の尺度のため、黒の極限光学的状態に隣接するこの画素のトレースの一部のみを見ることが可能であり、休止期間中のトレースの明白な広がりは、検出器雑音によるものである)。図3より、(第1のサイクルの軽微な変動後に)26.52という最終L値を伴って、この画素の挙動が全サイクルにおいて一貫していることが分かるであろう。
【0053】
図3中の実線は、第1の画素と同じ方法で、10V、240ミリ秒のパルスを使用して、その黒の極限光学的状態に最初に駆動され、その後、6秒間隔で10V、40ミリ秒の補強パルスを受ける第2の画素から得られるトレースを示し、よって、フラッシング画素に隣接し、かつ本発明の単一補強パルス方法を受ける画素に印加されるパルスを模倣する。図3より、補強パルスが徐々に第2の画素をより暗い光学的状態に駆動するため、5つの補強パルスおよび最終的な6秒の休止期間後に、画素は23.67というL値を有することが分かるであろう。2つの画素の最終L値間のほぼ3単位の差異は、ヒトの目によって容易に知覚され、不愉快なゴーストをもたらし、すなわち、点滅している画素は、黒の不変画素の隣で濃いグレーのように見え、よって両画素が同じ最終的な黒の状態であるべき場合に白の点滅像の淡い色の「ゴースト」を残す。
【0054】
一見すると、このゴースト発生の問題は、単に、第1のフラッシング画素に印加される駆動パルスの長さを増加することによって、克服し得るように思えるかもしれないが、経験的に、これはそうではないことがわかっている。添付図面の図4は、フラッシング画素が480ミリ秒の駆動パルスで駆動されたことを除いて、図3のものと同様のトレースを示す。図4より、より長い駆動パルスは最初に、フラッシング画素を図3で使用されるより短い駆動パルスよりも低いL値に駆動するが、駆動パルス後1〜2秒でL値の大幅に大きな変化も引き起こす(前述のE Ink特許および出願書類の一部で「自己消去」または「キックバック」と呼ばれる現象)ため、図4のフラッシング画素の最終状態は、図3と大きく異ならず、確かに、図4のフラッシング画素の最終L値は図3よりもわずかに大きい、つまり、フラッシング画素は実際に最後には色がわずかに薄くなることが分かるであろう。図3のように、図4の2つの画素の最終状態の差異は、ヒトの目にとって容易に知覚可能であり、不愉快なゴースト像をもたらす。
【0055】
第1のフラッシング画素に、240秒の駆動パルス、電圧が印可されない1秒の中断、および40ミリ秒の第2の駆動パルスを備え、両方の駆動パルスが10Vである、駆動波形を使用することによって、2つの画素の最終状態の差異を排除するために別の試行を行った。実際には、これらの実験は、フラッシングおよび不変画素の両方に40ミリ秒の補強パルスを印加した。得られたトレースを添付図面の図5に示す。この図より、2つの画素の最終状態の差異が実質的に低減されたことが分かるであろう。残った約1L単位の際は、ほとんどの観察者にとって容易に明白とはならないであろう。しかし、フラッシングに印加された2つの駆動パルス間の1秒間の中断は、不愉快な「フラッシュ様」効果を生じ、2つの画素を閲覧する観察者は、実際に、1秒後に消滅する初期ゴースト像を見るであろう。
【0056】
最後に、図6は、図3から5のものと同様であるが、不変画素が本発明の2重補強パルス方法にしたがって駆動されたトレースを示し、この不変画素に、−10V、15ミリ秒の(白化)逆補強パルスが印加され、その直後に+10V、25ミリ秒の(黒化)順方向補強パルスが続いている。図6より、この2重補強パルス方法は、2つの画素の最終光学的状態の際を本質的に除去し、実際の値は、フラッシング画素については26.61で不変画素については26.52であり、0.09L単位の際は、専門の観察者によっても気付かれる可能性が低いことが分かるであろう。名目上不変の画素が、まずわずかに白くなって、次いでわずかに暗くなると、2重補強パルスは、わずかなフラッシュを生成するが、このわずかなフラッシュは、2つの遷移が1秒間離れている、図5で生成されるフラッシュよりはるかに不愉快ではない。なおさらに、図6の駆動の仕組みで経験されるわずかなフラッシュは、フラッシング画素に印加される駆動パルスに対して補強パルスが印加される場合の慎重な選択によって、最小限化することが可能である。これがフラッシング画素のはるかに顕著な白から黒への遷移の最後の部分と一致するタイミングであれば、目は不変画素のわずかなフラッシュにあまり敏感ではなくなる。
【0057】
図6の2重補強パルス方法は、図3の単一補強パルス方法よりも、フラッシングおよび不変画素の最終状態の正確な整合を生成するだけでなく、4の因子により補強パルスによって導入されるDC不平衡量も低減し、図6の方法における順方向および逆補強パルスの代数和は、図3の方法で使用される10V、40ミリ秒のパルスと比較して、10V、10ミリ秒のパルスである。
【0058】
本発明の2重補強パルス方法における逆および順方向補強パルスの最適な長さは、図3から6に示される実験で使用されるディスプレイのように、採用される特定電気光学媒体、その温度、および電気光学媒体と電極のうちの1つとの間に通常存在する積層接着剤の伝導率を含むいくつかの因子に依存している。一般に、積層接着剤の伝導率が高くなればなるほど、補強パルスの長さは短くなり得て、これらのパルスから知覚されるフラッシュは少なくなる。しかし、高伝導率の積層接着剤は、ブルーミングを増加させる。結果として、ディスプレイ中の不愉快となる可能性がある程度のフラッシュ性を引き起こさずに、高解像度アクティブマトリクスディスプレイで典型的に使用されるもの等、低伝導率の積層接着剤を使用してディスプレイに本発明の方法を適用することは、より困難となる場合がある。補強パルスの長さは、黒および白の状態に対して必ずしも同じではないことにも注目すべきである。例えば、図6で使用される15/25ミリ秒の組み合わせは、媒体の黒の極限光学的状態への遷移に最適であると分かった。しかし、同じ温度で同じ媒体の白の極限光学的状態への遷移に対して同様の実験を行うと、20/25ミリ秒の組み合わせが最良の結果を生じた。
【0059】
本発明の補強パルス方法および逆補強パルス方法の両方は、同時に同じディスプレイで使用することが可能である。しかし、画素には複数の縁隣接する近隣画素があるため(例えば、典型的な矩形行列ディスプレイでは、ほとんどの画素には4つの縁隣接する近隣画素がある)、2つの方法の要求が対立する場合があり、2つの方法が共存することを可能にする規則を考案する必要がある。例えば、単一の不変の黒の画素には、黒から白に変化している1つの縁隣接する近隣画素(逆補強パルス方法の使用を示唆する)、および白から黒に変化している別の近隣画素(「通常」の補強パルス方法の使用を示唆する)があってもよく、最適な補強パルスの長さは、2つの場合において同じでなくてもよい。一般に、画素全体の光学的状態間の不整合によるアーチファクトは、画素間領域内の不整合によるアーチファクトよりも不愉快である。したがって、補強パルス方法の要求が逆補強パルス方法のものと対立する場合、一般に、前者の要求が優先となるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1および第2の画素を有する双安定電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該画素のそれぞれが第1および第2の極限光学的状態を表示することが可能であり、該第1および第2の画素は、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有し、該方法は
該第1の画素に、該第1の画素にその極限光学的状態のうちの1つからその光学的状態を変化させるのに有効な駆動パルスを印加することと、
該1つの極限光学的状態にある第2の画素に、該駆動パルスと反対の極性の逆補強パルスを印加することであって、該逆補強パルスは該駆動パルスと同時に、または該駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ディスプレイは、各画素が第1および第2の光学的状態のみを表示するモノクロディスプレイである、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記補強パルスは、前記駆動パルスとは反対の極性の単一パルスのみを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記補強パルスは、前記駆動パルスと同じ極性の第1のパルスと、該駆動パルスとは反対の極性で、かつ該第1のパルスよりも大きいインパルスの第2のパルスとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記ディスプレイは、2次元配列の画素を含み、前記補強パルスは、前記1つの極限光学的状態にあり、かつ前記駆動パルスが印加される画素と共通縁を共有する画素のみに印加される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ディスプレイは、2次元配列の画素を備え、1つ以上の画素が1つの極限光学的状態から駆動して外されると、前記補強パルスは、すでにその1つの極限光学的状態にある全画素に印加される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ディスプレイは、2次元配列の画素を備え、隣接部中の1つ以上の画素が1つの極限光学的状態から駆動して外されると、前記補強パルスは、すでにその1つの極限光学的状態にあるその隣接部内の全ての画素に印されるが、前記補強パルスは、前記隣接部の外側でその1つの極限光学的状態ある画素には印加されない、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記補強パルスは、前記駆動パルスと同時に、または該駆動パルスの長さに等しい後続期間内に印加される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記後続期間は、約400ミリ秒を超えない持続時間を有する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記補強パルスは、前記駆動パルスの終端部と同時に印加される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記補強パルスは、前記駆動パルスのインパルスの約10から約70パーセントのインパルスを有する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記補強パルスは、前記駆動パルスのインパルスの約20から約50パーセントのインパルスを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記補強パルスは、前記駆動パルスのインパルスの約25パーセントのインパルスを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記補強パルスは、ゼロ電圧の少なくとも1つの期間によって分離される複数の離散サブパルスを含む、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記補強パルスは、前記駆動パルスよりも低い電圧を有する、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記ディスプレイは、回転2色部材またはエレクトロクロミック媒体を含む、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記ディスプレイは、電気泳動媒体を含み、
該電気泳動媒体は、流体中に配置される複数の荷電粒子を備え、該荷電粒子は、電場の影響下で前記流体を通って移動することが可能である、請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記荷電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記荷電粒子および前記流体は、高分子材料を含む連続相によって取り囲まれる複数の離散液滴として存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記流体は、ガス状である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
請求項に記載の方法を実行するように配設される、双安定電気光学ディスプレイ、ディスプレイ制御装置、または特定用途向け集積回路。
【請求項22】
電気光学ディスプレイであって、
該電気光学ディスプレイは、
第1および第2の極限光学的状態を表示することが可能である双安定電気光学媒体の層と、該双安定電気光学媒体の層に隣接して配置され、かつ該媒体に電場を印加することが可能な第1および第2の画素電極であって、画素間ギャップによって分離される隣接縁を有する第1および第2の画素電極と、該第1および第2の画素電極に印加される電圧を制御するための制御装置とを備え、
該制御装置は、
第1の画素に、該第1の画素にその極限光学的状態のうちの1つからその光学的状態を変化させるのに有効な駆動パルスを印加することと、
該1つの極限光学的状態にある第2の画素に、該駆動パルスと反対の極性の逆補強パルスを印加することであって、逆補強パルスは、該駆動パルスと同時に、または該駆動パルスの終了後の所定期間内のいずれかで印加される、ことと
を含む、駆動方法を実行するように配設される、電気光学ディスプレイ。
【請求項23】
請求項22に記載のディスプレイを備える、電子ブック読取機、携帯型コンピュータ、タブレットコンピュータ、セルラ電話、スマートカード、標識、腕時計、棚ラベル、またはフラッシュドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−177944(P2012−177944A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−129922(P2012−129922)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2009−512281(P2009−512281)の分割
【原出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(500080214)イー インク コーポレイション (148)
【Fターム(参考)】