説明

電気光学的な読取り器における作動距離とビームスポットのサイズとの光学的調整

反射率が異なる複数のバーコード記号のような印を電気光学的に読み取るための配置と方法とが提供される。印を読み取るために、一対の可変レンズに制御電圧を印加して、可変レンズ内の液体の形態を変化させることにより、電気光学的な読取り器において、作動距離とレーザビームの断面とが調整される。コントローラは、各レンズ内の液体に電圧を印加する。開口絞りは、複数のレンズのうちの1つに対する入力として、一定のビーム断面を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、概して、例えば異なる光反射率の部分を有するバーコード記号のような印を読取るための電気光学的なシステムに関し、特に、上記システムの性能を向上させるために、作動距離および/またはレーザービームの断面を調整するための配置と方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルまたは標的の表面に現れるバーコード記号を読取るために、様々な電気光学的な読取り器とシステムとが開発されてきた。バーコード記号そのものは、印を符号化したパターンである。一般に、読取り器は、記号の図形的な印を電気的な信号に電気光学的に変換し、上記信号は、英数字に復号化される。結果として得られた文字は、記号に関連する標的および/または上記標的のなんらかの特性を記述する。典型的に、そのような文字は、店頭販売処理と在庫制御と品物追跡とその他の用途のためのデータ処理システムへのデータ入力を備える。
【0003】
記号内の記号要素、例えばバーおよびスペースの特定の配置は、符号または記号種(symbology)によって特定されるルールおよび定義のセットにしたがって表現される文字を定義する。バーおよびスペースの相対的なサイズは、バーおよびスペースの実際のサイズと同様に、使用される符号のタイプによって決定される。
【0004】
所望の文字列を符号化するために、一群の要素の配置は、完全な記号を形成するように、対応する要素のグループによって表現される各文字と結び付けられる。いくつかの記号種において、一意的な「スタート」および「ストップ」の文字は、どこで記号が開始および終了するかを示唆するように使用される。現在では、多くの異なる記号種が存在する。記号種は、UPC/EAN,Code39,Code128、Codabar、およびInterleaved2of5のような1次元の符号を含み得る。
【0005】
所与の大きさの記号表面領域に表現または格納され得るデータの量を増加させるために、いくつかの新しい記号種が開発されてきた。1つの新しい符号基準であるCode49は、要素を水平に延伸する代わりに要素の列を垂直に堆積させる2次元的な概念を導入した。すなわち、1つの長い列の代わりに、いくつかのバーの列とスペースのパターンとが存在する。Code49の構造は、特許文献1に記述されている。PDF417として知られる別の2次元的な符号構造は、特許文献2に記述されている。
【0006】
電気光学的な読取り器は、例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8において開示されており、それらすべては、本発明の指定代理人に割り当てられている。一般に、これら読取り器は、光ビームを放射するために、ガスレーザまたは半導体レーザを構成する光源を含む。読取り器における光源としての半導体デバイスの使用は、それらのサイズの小ささ、コストの低さ、出力要求の低さのために、特に望ましい。所定の標的位置に適当なサイズを有するビームスポットを形成するために、レーザビームは、典型的には光学的なアセンブリを焦点合わせすることにより、光学的に改変され得る。標的位置におけるビームスポットの断面は、異なる光反射率の複数の記号領域、すなわち複数のバーおよび複数のスペースの間の最小幅を近似し得るが、スポットの断面は、最小幅よりも大きく、いくつかの場合では、2倍以上であり得る。
【0007】
従来の読取り器において、光ビームは、走査コンポーネントにより、標的の記号に向けて、光経路に沿って配向されていた。読取り器は、光ビームの経路に配置されたミラーのような走査コンポーネントの動きによって、例えば標的の記号にわたる直線または一連の直線のような走査パターンで光ビームを繰り返し走査することにより、動作する。走査コンポーネントは、記号にわたってビームスポットをスウィープし、記号の上または記号の境界にわたって走査直線を追跡し、および/または所定の視野を走査し得る。
【0008】
読取り器はまた、記号から反射または拡散された光を検出するように機能するセンサまたは光検出器を含む。光検出器またはセンサは、読取り器が記号の境界を少なくとも横断するか上方にわずかに延伸する視野を有するように、光学的経路において、読取り器に配置される。記号から反射された光ビームの一部は、検出され、アナログ電気信号に変換される。デジタイザは、上記アナログ信号をデジタル化する。その後、デジタイザからデジタル化された信号は、記号に用いられる特定の記号種に基づいて、復号化される。
【0009】
記号を走査する走査パターンは、例えば繰り返しの直線走査、標準的なレーザ走査、ジッタされたレーザ走査、フィッシュボーン、ぺタル等の様々な形態を取り得る。これらビームパターンは、ビーム経路における走査コンポーネントの制御された動きによって生成される。典型的に、走査コンポーネントは、いくつかの形態の走査用モータによって駆動され、所望のビーム走査パターンを介して、ビームを周期的に偏向する。繰り返しの直線走査のビームパターンに対して、単純なモータによって一定方向に回転されるポリゴンミラーが、利用される。さらに複雑なビームパターンに対しては、さらに入り組んだ駆動機構が要求される。
【0010】
ビームパターンが実行される周波数もまた、重要な検討材料である。所与の時間期間の間に記号が走査され得る回数が多くなると、記号の有効な読み取りを取得する機会が増加する。このことは、コンベアベルトの上を移動するパッケージのような動く物体によって記号の視野が狭められるときに、特に重要である。
【0011】
記号はまた、採用する画像化デバイスによっても読取られ得る。例えば、デバイスの視野における画像要素または画素に対応するセルまたは光センサの2次元の配列を有する画像センサデバイスが、採用され得る。そのような画像センサデバイスは、2次元または領域の電荷結合素子(CCD;charge coupled device)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS;complementary metal oxide semiconductor)デバイスと、視野に対する2次元の画素情報の配列に対応する電気信号を生成するための関連する回路とを含み得る。
【0012】
さらに、モノクロ画像として読取られるバーコード記号をキャプチャするためのCCDの使用が知られており、例えば、特許文献9に開示されている。フルカラー画像として標的をキャプチャするために、複数の内蔵型のチャネルを有するCCDを使用することも知られており、例えば、特許文献10に開示されている。
【0013】
多くのアプリケーションは、その中で可動型のレーザビームデバイスまたは画像化デバイスが協働している携帯型の読取り器を必要とする。そのようなアプリケーションに対し、電気光学的なコンポーネントの配置は、ピストル型であり得る携帯型のパッケージにおいて協働するために、コンパクトでなければならない。さらに、そのような読み取り器は、軽量であり、雑な扱いから生じる物理的なショックに耐えるように、構造的に頑丈でなければならない。バッテリー寿命を延ばすために、動作中に消費される電力を最小化することもまた望まれる。
【0014】
さらに、携帯型の読取り器に対して延長された動作距離の範囲にわたって記号を読み取ることが可能であることもまた、望ましい。可動レーザビームデバイスの場合、焦点合わせの光学的アセンブリにおいて1つ以上のレーザデバイスを動かすこと、言い換えると、読取り器に接近した近い位置と読取り器から離れた遠い位置との間でレーザビームの焦点を動かすことは、従来的である。典型的に、レンズの動きは、機械的に実行される。このことは、いくつかの理由で不利である。第1に、機械的な動きは、読取り器を介してユーザの手に伝播される振動を生成し、光学素子を曇らせる(obscure)ほこりを生成し得る。さらに、走査レートに依存して、不愉快な、気に障る、可聴性のハミング音を生成し得る。加えて、レンズの動きは、駆動を要求し、言い換えると電力を消費し、高価かつ低速であり、不安定であり得、空間を支配し、全重量と、読取り器のサイズと複雑性とを増加させる。
【0015】
光学的アセンブリの焦点を調整するために液晶レンズが提案されてきたことは、一般に知られている。特許文献11は、調整可能な焦点レンズを有する液体レンズを記述している。特許文献12は、液体レンズ内部の屈折率を変化させることを記述している。特許文献13および特許文献14(およびその等価物である特許文献15)は、可変焦点の液体レンズを記述している。
【特許文献1】米国特許第4,794,239号明細書
【特許文献2】米国特許第5,304,786号明細書
【特許文献3】米国特許第4,251,798号明細書
【特許文献4】米国特許第4,369,361号明細書
【特許文献5】米国特許第4,387,297号明細書
【特許文献6】米国特許第4,409,470号明細書
【特許文献7】米国特許第4,760,248号明細書
【特許文献8】米国特許第4,896,026号明細書
【特許文献9】米国特許第5,703,349号明細書
【特許文献10】米国特許第4,613,895号明細書
【特許文献11】米国特許第5,305,731号明細書
【特許文献12】米国特許第5,625,496号明細書
【特許文献13】仏国特許発明第2,791,439号明細書
【特許文献14】仏国特許発明第2,769,375号明細書
【特許文献15】米国特許第6,369,954号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的の1つは、データに符号化された記号を読み取るために、作動距離および/または読取り器のビームスポットのサイズを調整するための改良された配置と、作動距離および/または読取り器のビームスポットのサイズを調整する方法とを提供することである。
【0017】
この発明の別の目的は、コンパクト、軽量、高耐久性、構築が効率的、動作が静かで信頼性があり、そのために持ち運び可能な携帯型アプリケーションにふさわしい配置を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、電気光学的な読取り器における焦点距離を調整し、および/または、機械的にレンズを動かすことなしにビームスポットの断面を変化させることである。
【0019】
これらの目的と以後明らかになるその他の目的とを踏まえると、1次元および/または2次元のバーコード記号のような印を電気光学的に読み取るための配置および方法の中に、本目的の1つの特徴が存在し、手短に述べられる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、好ましくは各々が光学的経路に沿って配置された一対の光透過性の液体を有する一対の可変光学レンズを提供し、各レンズの複数の液体は、異なる光学的屈折率、実質的に同じ濃度の非混合性の液体である。複数の液体のうちの1つの液体は、印に向けて光学的経路に沿って1つの液体を通過する光を第1の光学的特性を有するように光学的に改変するために、静止状態(rest state)の形態を有している。本発明にしたがうと、コントローラは、各レンズの1つの液体にわたって電圧を印加して液体の形態を変化させ、上記の光を第2の異なる光学的特性を有するように光学的に改変するように動作することが可能である。
【0021】
可動型のビーム読取り器の場合、レーザダイオードのような光源は、レーザビームとして光を放射し、複数のレンズのうちの第1のレンズの1つの液体の形態の変化は、光学的経路に沿って第1の可変レンズに対する複数の作動距離のうちの1つにレーザビームを焦点合わせし、複数のレンズのうちの第2のレンズの1つの液体の形態の変化は、1つの作動距離において選択された断面を有するように光を光学的に改変する。
【0022】
コントローラは、読取りの間に連続的に、あるいは、特定の印またはバーコードが正しく読み取られていないことを決定した後のみに、各レンズの1つの液体にわたって周期的に電圧を印加する。
【0023】
各可変レンズは、単一の固定レンズを含むか、または、各可変レンズの向かい合う端において、一対の固定レンズを含み得る。1つの液体は、静止状態において、光学的経路と放射対称であり得、あるいは、改変において、光学的経路に直交する主軸に沿って延伸して、レーザビームの断面を改変し得る。1次元的な記号の読取りには、楕円状のビーム断面が好ましい。ビームの断面を変化させることは、損傷した記号または印刷不鮮明な記号を読取り器が適応可能なように読み取ることを可能にする。
【0024】
光学的経路における開口絞りは、第1の可変レンズへの入力として、一定のビーム断面を維持するような働きをする。
【0025】
異なる複数の焦点面の間の変化および/またはビームの断面の変化は、固体レンズを機械的または物理的に動かすことなしに実行され、これにより、サイズ、重さ、出力および体積への要求と同様に、そのような読取り器におけるノイズと振動とほこりとを低減する。可変液体レンズは、時間が経っても磨耗し得ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
一般に、図1における参照番号は、その作動距離範囲内に位置付けられたバーコード記号24のような印を電気光学的に読み取る携帯型読取り器に一致する。読取り器20は、ピストルのグリップハンドル21と、押し下げられたときに光ビーム23を記号24に配向することが可能な手動的に作動可能なトリガ22とを有する。読取り器20は、ハウジング25を含み、その中では光源26、光検出器27、信号処理回路28、バッテリーパック29が協働している。ハウジング前面の光透過性のウィンドウ30は、光ビーム23がハウジングを出ることを可能にし、記号から散乱した光31がハウジング内に入ることを可能にする。有利にも、キーボード32とディスプレイ33とが、読取り器へのアクセスを容易にするためにハウジングの上面に提供される。
【0027】
使用中、ハンドル21をつかんでいるオペレータは、ハウジングを記号に向け、トリガを押し下げる。光源26は、光ビームを放射し、上記光ビームは、光学的に改変され、光学的焦点合わせアセンブリ35によって焦点合わせされ、記号24上にビームスポットを形成する。光ビームは、モータドライブ38によって少なくとも毎秒20走査の走査レートで繰り返し振動する走査ミラー36へとビームスプリッタ34を通過する。走査ミラー36は、それに入射したビームを記号24に反射し、記号にわたって走査パターンでビームスポットをスウィープする。走査パターンは、2、3の例を挙げると、記号に沿って縦方向に延伸する走査方向に沿った直線、または、互いに直交する方向に沿って配置された一連の直線、または、無指向性(omnidirectional)のパターンであり得る。
【0028】
反射光31は、走査パターンにわたって可変輝度を有しており、上記反射光がスプリッタ34に反射される走査ミラー36へとウィンドウ30を通過し、その後、アナログ電気信号への変換のために、光検出器27に反射する。当業者には周知なように、信号処理回路28は、信号をデジタル化および復号化し、記号内の符号化されたデータを抽出する。
【0029】
本発明にしたがい、焦点合わせの光学的アセンブリ35は、図2に示されているような可変レンズとして構成される。可変レンズは、ハウジング40を有し、その中には、液滴の形態で示された第1の液体42と第2の液体44とが光学的経路46に沿って配置されており、上記配置は、図3〜4と関連して以下で示されているように、電気光学的な読取り器20によって読取られるように、バーコード記号24のような記号に向けて延伸している。
【0030】
液体42,44は、異なる光学的屈折率、実質的に同じ濃度の光透過性、非混合性の液体である。液体または液滴42は、電気的に絶縁な材料で構成され得る。例えば、オイル、アルカン(alcane)、または好ましくはハロゲン化されたアルカンの混合、またはその他任意の絶縁液が、液滴42に使用され得る。液体44は、例えば砂糖(ミネラルまたはその他)でロードされた水、あるいは、有機または無機のその他の液体のような、導電性の材料で構成され、好ましくは、イオン化成分の追加によって、導電性にされている。
【0031】
ハウジング40は、例えばガラスのような電気的に絶縁かつ光透過性の材料で構成されており、好ましくは、シラン処理されているか、あるいは、フッ素加工されたポリマーで被覆されているか、あるいは、フッ素加工されたポリマー、エポキシ樹脂およびポリエチレンのラミネートで被覆されている。ハウジング40は、好ましくはウェル50を有する誘電体の壁48を含み、上記ウェルにおいて、光学的経路または軸46に対して対称的な関係で、液滴42が収容されている。通常、壁48は、液滴42に比べて低い濡れ特性を有しているが、表面の処理は、高い濡れ特性を保証し、液滴42が中央に位置して液滴が拡散するのを防ぐ。ウェル50は、そのような拡散をさらに防ぐ。
【0032】
第1の電極54は、液体44に延びており、第2の電極52は、壁52の下方に位置している。電極は、電源Vに接続されている。電極、特に電極52は、好ましくは光透過性である。参照のためその内容の全体が本明細書に援用されている米国特許第6,369,954号明細書に述べられているように、電極にわたって電圧が印加されたときに、液滴42に対して壁48の濡れ特性を変化させる電場が形成される。濡れは、電場の存在により、実質的に増加する。
【0033】
電圧が印加されないと、液滴42は、概して、図2に実線で示されている半球状の形状を取り、その外表面「A」は、凸状である。電圧が印加されると、誘電体の壁48の濡れは増加し、液滴42は変形して図2に破線で示されている形状を取り、その外表面は「B」は、さらに凸状になり、より小さな半径の曲率を有する。液滴の変形は、レンズ35の焦点を変化させ、図3〜4と関連して以下で記述されているように、延長された作動距離の範囲にわたって記号24を読み取るように本発明によって用いられる。
【0034】
一例として、静止状態にある液滴42は、約6mmの直径を有する。液体44が砂糖水の場合、その屈折率は、約1.35である。液滴42がオイルの場合、その屈折率は、約1.45である。約40vRMSの印加電圧に対し、約40ジオプターの焦点の変動が達成され得る。レンズの応答時間は、数百ぶんの1秒であり、この場合では、周期的な電圧が使用される場合は、その周期が応答時間よりも短くなるようにするために、周波数は50Hzから10kHzの間であり得る。
【0035】
図3に移ると、図1の光源26は、レーザダイオードとして示されている。走査ミラー36とその駆動38とは、図3に図示されているのと同様なものである。可変レンズ35における液滴42の曲率の変化は、近位位置Z1と遠位位置Z2との間で焦点を変動させる役目を担う。記号24は、これら端部を規定する位置と、これら端部を規定する位置の間で読み取られ、これにより、読取り器の作動距離を改良し得る。
【0036】
電圧は、好ましくは周期的であり、好ましくは矩形波の駆動電圧である。矩形波は、内蔵型のパルス幅変調回路を有するマイクロプロセッサ60により、可変の負荷サイクルによって容易に形成される。駆動電圧はまた、シノソイダル信号または三角波信号であり得、その場合、電圧の振幅は、液滴42の形状、言い換えると、焦点距離と作動距離とを制御し得る。矩形波は、所与の焦点距離の変動に対して、シヌソイダル波と同じくらい高さの電圧を要求しない。例えば、多くの読取り器は、5ボルトの電力供給を使用する。可変レンズは、5ボルトよりも遥かに高い電力供給を要求するため、可変レンズを駆動するためには、より高い電圧が読取り器内に生成されなければならない。この生成される電圧が低い場合、電圧生成回路のコストも低くなる。
【0037】
矩形波が使用されるとき、焦点距離の変化は、負荷サイクルの変動によって達成される。シヌソイダル波が使用されるとき、焦点距離の変化は、駆動電圧の振幅を変動させることによって取得される。負荷サイクルの振幅は、マイクロプロセッサまたはコントローラ60により、飛び飛びのステップ(デジタル的に)で変化するか、または、連続的に(アナログ的に)変化し得る。マイクロプロセッサまたはコントローラ60は、好ましくは信号処理回路28と同じ回路基板に搭載される。電圧はまた、一定のDC電圧であり得る。
【0038】
図3の配置において、読取りの間、レーザビームは、一般に光学的経路または軸46を横断する焦点面にわたって走査ミラー36によって走査され得る。コントローラ60は、周期的な電圧を常に可変レンズ35に印加するように、または、選択された時間に印加するように動作し得る。これにより、電圧は、各走査または1つおきの走査等に対して印加され得る。電圧は、走査の間だけに印加されるのではなく、その後にも印加され得る。電圧は、トリガ22を引くことによって発生するか、または、記号が検出されることによって初めて発生し得る。電圧は、自動的に印加されるか、あるいは、好ましくはマイクロプロセッサである信号アナライザ62が、走査されている記号が正しく復号化されているか、または、読取りされていないことを決定したときに、初めて印加され得る。
【0039】
図4は、センサ64を有するイメージャを図示しているという点を除き、図3に類似している。センサ64は、画像化平面Z3およびZ4またはそれらの間のどこかに位置付けられた記号を画像化することによって記号からの光を集める焦点の延長された作動距離または作動深さをイメージャに対して提供するために、互いに直交する光電セルの行と列とを有するCCDまたはCMOSの配列である。前述のように、周期的な電圧が可変レンズ35に印加されたとき、液滴42の形状の変化により、焦点の深さの延長が達成される。
【0040】
ここまでに記述されてきたように、液滴42の曲率の変化は、凸曲率AおよびBの間にある。異なる曲率の間で液滴を変形させることもまた、本発明の精神の範囲内にある。例えば、液滴の外表面は半月状であり得、静止状態では凹状になり、第1の電圧が印加されたときは、第1の焦点面に光を焦点合わせするようにほぼ平坦になり、第2の異なる電圧が印加されたときは、第1の焦点面に光を焦点合わせするように凸状になり得る。
【0041】
図2を参照すると、可変レンズ35はまた、一方の軸方向の端部領域においては、固定の凸レンズ66を有しており、反対側の軸方向の端部領域においては、固定の凹または平凹のレンズ68をも有している。これら固定レンズは、光学的システム全体のうちの一部であり、あらゆる種類の収差、例えば色収差を最小化するのを助ける。有利にも、光学的システムは、開口絞り(図示されず)を含んでおり、上記開口絞りは、光学的経路のどこかに配置される。
【0042】
変形例として、液滴42は、光学的経路46に関して放射対称な、ほぼ半球状である必要はないが、図5に示されているように、光学的経路にほぼ垂直な横断方向に沿って引き伸ばされたものであり得る。ここでは数字70で識別される円柱状の液滴は、誘電体の壁74によって形成されたチャネル形のウェル72に置かれている。
【0043】
周期的な電圧の印加のもと、ここでは円柱レンズとして動作する円柱状の液滴70は、記号に向かって上記液滴を通過するレーザビームの断面を変化させる。このため、レーザダイオードからのビームの断面76は、図7に示されているように、ほぼ楕円状になる。図示されたx−軸は、走査方向に沿ったものであり得る。y−軸は、記号のバーおよびスペースに沿って、縦方向に延伸している。
【0044】
1次元の記号に対しては、図6に示されているような、より楕円状のまたは細長いビーム断面78が望ましい。2次元の記号に対しては、図8に示されているような、より円いビーム断面80が望ましい。周期的な電圧を印加することにより、円柱状の液滴70は、ビームの断面を断面78または80、あるいはその間の任意の形状に改変し得る。これら形状の変化は、連続的または飛び飛びのステップで発生し、損傷した記号または印刷不鮮明な記号を読み取ることにおいて特に有用であり、これにより、システムの性能を改良し得る。
【0045】
固定レンズのいかなる機械的な動きをも要さずに、焦点の変化および/またはビーム断面の変化が達成され得ることが、理解され得る。液体を除き、可変レンズ35のすべての部分は、成形物から作られ得る。
【0046】
本発明は、光学的経路にある1つよりも多くの可変レンズを使用することを目的としている。1つの可変レンズは、焦点の変動のために使用され、他の可変レンズは、ビーム断面の楕円率および/または倍率(すなわち、ズーム効果)を変化させるために使用され得る。Petzvalレンズのような非点収差を低減させるための複数のレンズもまた、使用され得る。
【0047】
特に、図9に示されているように、2つの可変レンズが、光学的経路に沿って直列に配置され得る。有利にも、レーザダイオード26と第1の可変レンズとの間に、開口絞り82が配置され得る。コントローラ60は、各可変レンズに対する1つの出力を2つ有している。それ以外では、図3と関連して上記で使用されたのと同じ参照番号が、同じ部材を識別するように使用されている。
【0048】
開口絞りは、図9の双レンズシステム、あるいは、図3または図4の単レンズシステムへの入力として、一定のビーム直径を維持するように動作することが可能であり、これにより、レーザビームの広がりの変動を確実に調和させる。
【0049】
図3に関連して上記で記述されているように、焦点距離の変動は、ビームスポットまたはウェスト(すなわち、断面内でレーザビームが最小の直径を有する点)を異なる作動距離の位置Z1とZ2との間で動かす。焦点距離が変動するとき、ウェストのサイズもまた、変化し得る。ウェストをZ2に向けて動かすように焦点距離が調整されるとき、ウェストの直径は大きくなり、ウェストがZ1に向けて動かされるとき、ウェストの直径は縮んでいく。結果として、解像度は、ウェストが外側に向けて動かされるときに低減し、遠くにある高密度の記号を読み取るための読取り器の能力を制限することになる。
【0050】
一方で、近くにおいては、特に損傷した記号または低コントラストの記号を読み取るためには、大きなサイズのウェストを用いて走査することが望ましい。なぜならば、大きなウェストは、スペックルノイズを低減し、解像度の低減は、読取り器が印刷の欠陥を無視することを容易にするからである。
【0051】
図9の双レンズシステムは、第1の可変レンズが、第2のレンズ上の入射であるウェストの直径を変化させることを可能にする。第2のレンズ上のウェストを制御することにより、ウェストの位置が変化するときに、一定のウェストサイズを維持することが可能になる。一定のウェストサイズは、低密度、損傷したまたは低コントラストの記号を読み取ることが所望されている場合に、大きくあり得、あるいは、延長された範囲にわたって高密度の記号を読み取るためには、小さくあり得る。双レンズシステムは、任意の走査アプリケーションに必要であり得る任意の作動距離に、任意のサイズのビームウェストを配置し得る。
【0052】
2つのレンズの焦点距離は、信号アナライザまたはマイクロプロセッサ62によって、独立的または同時のいずれかにより、所望の作動距離に所望のウェストのサイズを生成するような組み合わせ的な方法で、制御され得る。ウェストのサイズおよび/または作動距離は、特定の用途のために読取り器を最適化するようにあらかじめ設定され得るか、あるいは、記号からのリターン信号を解析し、走査されている記号を読み取るように読取り器の能力を最適化するのに必要な調整を行なうアルゴリズムを実行するマイクロプロセッサ62によって制御され得る。
【0053】
有利にも、記号を復号化するのに使用されるのと同じマイクロプロセッサが、信号アナライザとして使用される。さらに、同じプロセッサは、配線接続またはワイヤレスリンク(例えば、無線周波数または赤外線)を介して復号化されたデータをリモートホストコンピュータに通信するように使用され得る。
【0054】
本明細書に記述されている液体レンズを除くその他のタイプの可変レンズもまた、採用され得る。
【0055】
本発明はさらに、可変レンズに複数の電極を使用して、液滴42の曲率を異なる方向に変化させ、これにより、例えば半球レンズを円柱レンズに変形させることをも企図している。ビームのウェストとして知られるビームの最小断面は、変化させられ、同時に、ビームの楕円率もまた変化させられ得る。なんらかの特定の収差を補正する必要がある場合に、ビームの読取り器だけではなくイメージャをも動かさないようにするために、追加的な(2つよりも多くの)電極が使用され得る。
【0056】
ビームの走査において、可変レンズは、読み取られる印に向かう往路の経路において採用されるのみならず、可変レンズは、反射された光が光検出器に戻る際に沿う復路の経路においても、採用され得る。可変レンズは、光検出器の前面に配置され、光検出器に衝突する反射した光の大きさを変化させることによって、自動利得を制御し得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、従来技術にしたがう、バーコード記号を読み取るための携帯型の読取り器のスキーム図である。
【図2】図2は、図1の携帯型読取り器に使用する可変レンズの断面図である。
【図3】図3は、図1の読取り器に使用する図2の可変レンズを使用した配置の線図である。
【図4】図4は、画像化読取り器と共に使用する可変レンズを使用した配置の線図である。
【図5】図5は、改変にしたがう、可変レンズの一部の切り欠き図である。
【図6】図6は、図5の可変レンズによって生成された複数のビーム断面の図である。
【図7】図7は、図5の可変レンズによって生成された複数のビーム断面の図である。
【図8】図8は、図5の可変レンズによって生成された複数のビーム断面の図である。
【図9】図9は、2つのレンズと、図1の読取り器に使用する開口絞りとを使用した線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる光反射率の複数の部分を有する印を電気光学的に読取るための配置であって、
a)光学的経路に沿って間隔付けられた可変焦点の複数の光学レンズと、
b)ある断面を有する光ビームを生成し、該光源から離れて複数の作動距離の範囲内に位置付けられた該印に向けて、複数のレンズを介することにより、該光学的経路に沿って該光ビームを配向する光源と、
c)該印が位置付けられた該複数の作動距離のうちの1つの作動距離に該光ビームを焦点合わせするように、複数のレンズのうちの1つのレンズを制御し、該複数の作動距離のうちの1つの作動距離おいて選択された断面を有するように該光ビームを光学的に改変するように、該複数のレンズのうちのその他のレンズを制御する、コントローラと
を備える、配置。
【請求項2】
前記1つのレンズを通過する前の前記光ビームに対して一定のビーム断面を形成するために、前記光学的経路において、前記光源と該1つのレンズとの間に開口絞りをさらに備える、請求項1に記載の配置。
【請求項3】
各レンズは、前記光学的経路に沿って位置付けられた一対の光透過性の液体を有し、各レンズの複数の液体は、異なる光学的屈折率、実質的に同じ濃度の非混合性の液体であり、各レンズの該複数の液体のうちの1つの液体は、前記印に向けて該光学的経路に沿って該1つの液体を通過する光ビームを第1の光学的特性を有するように光学的に改変するために、静止状態の形態を有しており;前記コントローラは、各レンズの該1つの液体にわたって電圧を印加して液体の形態を変化させ、該光ビームを第2の異なる光学的特性を有するように光学的に改変する働きをする、請求項1に記載の配置。
【請求項4】
前記1つの液体は、電気的に絶縁性であり、各レンズの前記複数の液体のうちの他の液体は、導電性であり、第1の電極は、該1つの液体の一方の側に配置されており、第2の電極は、該他の液体において、該1つの液体の反対側に浸されており、前記電圧は、各レンズの複数の電極にわたって印加される、請求項3に記載の配置。
【請求項5】
各可変レンズは、前記光学的経路に沿って前記複数の液体から離れて間隔付けられた少なくとも1つの固定焦点レンズを含む、請求項3に記載の配置。
【請求項6】
それぞれが正および負の光学的出力を有する2つの固定焦点レンズが存在し、該2つの固定焦点レンズは、各可変レンズの向かい合う端に位置付けられている、請求項5に記載の配置。
【請求項7】
前記1つのレンズの前記第1および第2の光学的特性は、前記光源に対して前記光学的経路に沿って異なる作動距離に間隔付けられた複数の異なる焦点面である、請求項3に記載の配置。
【請求項8】
前記その他のレンズの前記第1および第2の光学的特性は、前記光源の断面の複数の異なるサイズである、請求項3に記載の配置。
【請求項9】
少なくとも1つの光ビームと印の上の視野とを走査するスキャナをさらに備える、請求項3に記載の配置。
【請求項10】
前記コントローラは、走査の間に前記電圧を周期的な電圧として連続的に印加する働きをする、請求項9に記載の配置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記印が正しく走査され読取られたか否かを決定し、該印が正しく走査され読取られていないという決定のもとで前記電圧を印加する働きをする、請求項9に記載の配置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記印から反射された光から導かれる電気的信号を復号化する働きをするマイクロプロセッサである、請求項11に記載の配置。
【請求項13】
前記マイクロプロセッサは、リモートホストと通信する働きをする、請求項12に記載の配置。
【請求項14】
異なる光反射率の複数の部分を有する印を電気光学的に読取るための配置であって、
a)光学的経路に沿って光ビームを配向するための光源と、
b)該光に対してコントラスト断面を形成するための開口絞りと、
c)該光学的経路に沿ってアレンジされた一対の光透過性の液体を有する可変光学レンズであって、該一対の液体は、異なる光学的屈折率、実質的に同じ濃度の非混合性の液体であり、該一対の液体のうちの1つの液体は、該印に向けて該光学的経路に沿って該1つの液体を通過する一定の断面の該光ビームを第1の光学的特性を有するように光学的に改変するために、静止状態の形態を有している、可変光学レンズと、
d)該1つの液体にわたって電圧を印加して液体の形態を変化させ、該光ビームを第2の異なる光学的特性を有するように光学的に改変するための、コントローラと
を備える、配置。
【請求項15】
前記第1および第2の光学的特性は、前記可変レンズに対して前記光学的経路に沿って異なる作動距離に離れて間隔付けられた複数の異なる焦点面である、請求項14に記載の配置。
【請求項16】
異なる光反射率の複数の部分を有する印を電気光学的に読取る方法であって、
a)可変焦点の複数の光学レンズを光学的経路に沿って間隔付けるステップと、
b)ある断面を有する光ビームを生成し、複数のレンズから離れて複数の作動距離の範囲内に位置付けられた該印に向けて、該複数のレンズを介することにより、該光学的経路に沿って該光ビームを配向するステップと、
c)該印が位置付けられた該複数の作動距離のうちの1つの作動距離に該光ビームを焦点合わせするように、該複数のレンズのうちの1つのレンズを制御し、該1つの作動距離において選択された断面を有するように該光ビームを光学的に改変するように、該複数のレンズのうちのその他のレンズを制御する、ステップと
を包含する、方法。
【請求項17】
前記1つのレンズを通過する前の前記光ビームに対して一定のビーム断面を形成するために、前記光学的経路に開口絞りを挿入することをさらに包含する、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−538338(P2007−538338A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527368(P2007−527368)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/017226
【国際公開番号】WO2005/116908
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(506144101)シンボル テクノロジーズ, インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】