説明

電気光学的機能フィルム

【課題】スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体をフィルム状とすることである。
【解決手段】機能フィルムデバイス10は、ベースフィルム12の上に鉄錯体を含む機能フィルム20が形成されている。鉄錯体を含む機能フィルム20は、直径が数十nmから数百nmの略半球体の高分子ミクロスフェア部22と、隣接する高分子ミクロスフェア部22を相互に接続する接続ポリマー部28を含んで構成される。高分子ミクロスフェア部22は、接続ポリマー部28と一体として接続される外殻部のポリマーシェル24と、中核部であるポリマーコア26を含んで構成される。このポリマーコア26に、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体が含有される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学的機能フィルムに係り、特に、光または熱によって磁気特性及び光吸収特性が変化するスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含む電気光学的機能フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
錯体または錯塩は、配位結合や水素結合によって形成された分子性化合物の総称であるが、錯体は、多くの場合、配位子と金属塩とから合成される。錯体の中心金属として鉄が用いられたものは鉄錯体と呼ばれる。鉄錯体等は、触媒として、有機化学、高分子化学、化学工業の分野において、化学反応、速度、生成物の分子量を制御することができ、非常に広く用いられる。
【0003】
また、ある種の鉄錯体は、温度、光、圧力などの外部刺激によって鉄イオンのスピン状態が高スピン状態と低スピン状態との間で転移する特性、いわゆるスピンクロスオーバー特性を有することが見出されている。ここで、高スピン状態とは、鉄イオンの複数の電子が同じスピンの向きで各電子軌道に入る状態であり、低スピン状態とは、スピンの向きが互いに反対向きになるように各電子軌道に入る状態である。
【0004】
スピンクロスオーバー特性は、スピン状態の転移特性であるが、これに伴って、吸光度、磁性、体積が変化する。一例を上げると、ある種の鉄錯体は、高温では磁気モーメントが大きく、また吸光度が高くて黒色に見え、体積が膨張する。一方、低温では磁気モーメントが小さく、吸光度が低くて白色に見え、体積が収縮する。温度に代えて、光の照射と遮断によっても同様な挙動を生じ、スイッチング特性を示す。このような鉄錯体が、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体である。
【0005】
このように、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体は、外部刺激によって状態が変化するので、外部刺激を入力とし、変化する状態量を出力とすることで機能デバイスとすることが期待されている。例えば、温度変化によって記憶と消去を行う記憶素子、照射光のオンオフで吸光度を変化させる光スイッチ等の応用が期待されている。これまでに、様々な種類のスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体が合成され、研究開発がなされてきた。
【0006】
例えば、特許文献1には、新規な相転移型スピンクロスオーバートリアゾール鉄錯体として、炭素数が14〜18の長鎖アルコキシル基を有するトリアゾールリガンドと、鉄の塩とを反応させて得られるピンク状固体のものが開示されている。このトリアゾール鉄錯体は、ヘキサン等の溶媒に可溶性で、蒸発あるいはキャスティングによって任意の形状の固体、フィルムに成形できる。そして、長鎖のアルコキシル基の相転移によって中心の鉄のスピン状態が高スピン状態と低スピン状態との間で遷移するスピンクロスオーバー現象を呈することが述べられている。
【0007】
また、特許文献2には、トリアゾール鉄錯体からなる機能性有機ゲルとして、炭素数が8〜16の直鎖状アルコキシル基を有するトリアゾールリガンドと、アルキルスルホン酸とを反応させて得られるトリアゾール鉄錯体を用い、これを液状である炭素数が8〜16の直鎖状アルカンと混合したものが開示されている。この有機ゲルは、ゾルゲル転移温度でゾル−ゲル転移を生じ、その転移温度において色の変化のみならず、スピン転移を起こすことが述べられている。
【0008】
なお、関連する技術として、特許文献3には、重合体ミクロスフェアは、懸滴重合法、乳化重合法等によって製造されることが述べられている。そこでは、乳化重合法で合成されるミクロスフェアは均一な粒径であり、その粒径が0.1μm程度であることが指摘されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−187413号公報
【特許文献2】特開2006−241207号公報
【特許文献3】特開2000−186104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体は、機能デバイスへの応用の期待があるが、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体自身は固体であるため使用に制限がある。そのため、特許文献2に示されるようなゲル状態とするほか、結晶体を砕いた粉末、粉末を溶液に懸濁させた懸濁液、粉末を溶融プラスチックに混入させた混合体等にして用いられている。
【0011】
しかしながら、デバイスとしての利便性を考えると、薄膜状、あるいはフィルム状とすることが好ましい。上記のように、従来の技術では、薄膜状、フィルム状でスピンクロスオーバー特性を示すものは報告されていない。
【0012】
本発明の目的は、フィルム状でスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含む電気光学的機能フィルムを提供することである。他の目的は、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を微小単位で配置することを可能とする電気光学的機能フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る鉄錯体を含む電気光学的機能フィルムは、光または熱を入力とし磁気特性の変化または光吸収特性の変化を出力とするスピンクロスオーバー特性を有する機能フィルムであって、外殻部のポリマーシェルと中核部のポリマーコアとを有し、乳化重合法によって合成された高分子ミクロスフェア部と、乳化重合法で用いられる乳化剤で構成され、隣接する高分子ミクロスフェア部をフィルム状に接続する接続ポリマー部と、を備え、高分子ミクロスフェア部は、光または熱を入力とし磁気特性の変化または光吸収特性の変化を出力とするスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る電気光学的機能フィルムにおいて、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体の含有される量は、フィルム全体に対する質量比として、0.1%以上5%以下であることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る電気光学的機能フィルムにおいて、高分子ミクロスフェア部は、直径が、10nm以上1000nm以下であることであることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る電気光学的機能フィルムにおいて、ポリマーコアの成分は、ポリトリフルオロエチルメタアクリレートであることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る電気光学的機能フィルムにおいて、ポリマーシェルおよび接続ポリマーの成分は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る電気光学的機能フィルムにおいて、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体は、1,2,4−1H−トリアゾールまたは4−アミノ−1,2,4−トリアゾールを配位子とし、鉄(II)テトラフルオロボレートヘキサハイドレートを鉄塩として、これらの反応によって生成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
上記構成により、電気光学的機能フィルムは、外殻部であるポリマーシェルと中核部であるポリマーコアとを有する高分子ミクロスフェア部と、隣接するミクロスフェア部をフィルム状に接続する接続ポリマー部と、を備え、高分子ミクロスフェア部は、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含有する。すなわち、高分子ミクロスフェア部は、その名の通り微小な球状体で、ポリマーシェルである外殻部によって、ポリマーコアである中核部の形態が確保される。そしてこの高分子ミクロスフェア部は、接続ポリマー部によって次々に接続され補強されてフィルム状となる。このような構造は、乳化重合法によって高分子ミクロスフェアを合成し、得られたエマルジョンを例えば適当な基材の上に塗布、あるいはキャスティングすることで得ることができる。そして、各高分子ミクロスフェア部には、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体がそれぞれ配置される。これによって、乳化重合法に用いられる乳化剤で構成される接続ポリマーで補強された電気気光学的機能フィルムとすることができる。また、フィルムにおいて、微小球状体である高分子ミクロスフェア部の単位でスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を配置することができ、例えば、記憶素子等に用いるとき、その記憶密度を向上させることができる。
【0020】
また、電気光学的機能フィルムにおいて、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体の含有される量は、フィルム全体に対する質量比として、0.1%以上5%以下である。鉄錯体は、上記のように有機化学の分野で触媒的用途として広く用いられているが、その場合には、質量比でごく微量である。電気光学的特性を利用するためには、触媒的用途で使用される質量比では感度が十分でない。また、高分子ミクロスフェア部は乳化重合法で合成されるので、用途に応じて粒径を制御する必要がある。スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体の含有量である質量比は、電気光学的特性の感度によって設定される下限値と、乳化重合の重合速度、粒子径制御によって設定される上限値を有することが好ましい。実験によれば、その範囲は、鉄錯体の質量比で0.1%以上5%が好ましい。
【0021】
また、電気光学的機能フィルムにおいて、高分子ミクロスフェア部は、直径が、10nm以上1000nm以下であるので、いわゆるnmサイズで、スピンクロスオーバー錯体を配置でき、例えば、記憶素子等に応用する場合に、高密度化を図ることが可能となる。
【0022】
また、鉄錯体を含む電気光学的機能フィルムにおいて、ポリマーコアの成分は、ポリトリフルオロエチルメタアクリレート(PTFEMA)である。ポリマーコアにはスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体が含有されるので、透光性が高いポリマーで構成されることが好ましい。これにより、ポリマーコアに含まれスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体に光を十分に照射でき、また、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体の吸光度の変化を十分な感度で検出することができる。透光性が高いポリマーとして、アクリレート系ポリマーであるポリトリフルオロエチルメタアクリレート(PTFEMA)を用いることが好ましい。
【0023】
また、鉄錯体を含む電気光学的機能フィルムにおいて、ポリマーシェルおよび接続ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)であることが好ましい。接続ポリマーは乳化重合法で用いられる乳化剤で構成されるので、ここでは、乳化剤としてPVAを用い、そのPVAでポリマーシェルも構成されることになる。ポリマーシェルは、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含むポリマーコアを取り囲む外殻部であり、高分子ミクロスフェア部の粒径等の形態の安定性を確保し、これを規定するものである。したがって、ポリマーシェルは、鉄との親和性がよく、乳化重合法において高分子ミクロスフェア部の粒径の制御性がよい材料であることが好ましい。PVAは、水溶性で、鉄との親和性がよく、PVAを用いることで、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体をポリマーコアに適度に取り込みながら、高分子ミクロスフェア部の粒径を適度に制御することができる。また、PVAは、上記のように水溶性であるので、フィルム形状とするときに、補強効果を導くことができる。
【0024】
また、電気光学的機能フィルムにおいて、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体は、1,2,4−1H−トリアゾールまたは4−アミノ−1,2,4−トリアゾールを配位子とし、鉄(II)テトラフルオロボレートヘキサハイドレートを鉄塩として、これらの反応によって合成される。鉄錯体は、高スピン状態と低スピン状態との間の相転移によって電気光学特性を示すものである。したがって、相転移温度の設定の制御性のよい材料が好ましい。相転移温度の制御の1つは、隣接する鉄の間の間隔の制御である。相転移温度を制御するために、鉄錯体の配位子に置換基を導入し、適切な対イオンを選択する必要がある。なお、錯体の金属イオンとして、鉄よりもサイズの大きなZn、Coを導入することもよい。上記構成のように、トリアゾール配位子にアミノ基を、対イオンにBF4(テトラフルオロボレート)を選択することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。なお、以下で説明する具体的材料は、説明のための一例であり、選定基準の範囲に入る特性を有する材料であればよい。また、生成条件等も説明のための一例であり、諸条件の組合せによって、適宜変更を行うことができる。
【0026】
図1は、鉄錯体を含む機能フィルム20を用いる機能フィルムデバイス10の様子を示す図である。機能フィルムデバイス10は、光または熱を入力とし磁気特性の変化または光吸収特性の変化を出力とする電気光学的デバイスであって、ベースフィルム12上に鉄錯体を含む機能フィルム20が形成された構造を有する。ベースフィルム12は、光透過性を有し非磁性材料で構成され、鉄錯体を含む機能フィルム20を支持するための基盤フィルムである。
【0027】
鉄錯体を含む機能フィルム20は、光または熱を入力とし磁気特性の変化または光吸収特性の変化を出力とする電気光学的特性を有する薄膜フィルムである。具体的には、直径が約10nmから数100nm程度の略球形あるいは略半球形の微小なポリマー粒が複数相互に接続し、いわゆる海島構造として、フィルム状となっているものである。ここで海島構造とは、2成分以上の物質が、一方の物質の中に他方の物質が島状に分布している構造のことである。後述するように、薄膜フィルムは、乳化剤としてPVAを用いてPTFEMAのミクロスフェアを合成して得られるので、ここでは、PVAのなかに微小な粒状のPTFEMAが島状に分布している構造となっている。そして、その微小なポリマー粒の中に、光または熱を入力とし磁気特性の変化または光吸収特性の変化を出力とする電気光学的特性を有するスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体が含まれている。微小なポリマー粒子は、いわゆる高分子ミクロスフェアで、その大きさは、上記のように直径が約10nmから数100nm程度であるが、10nm以上1000nm以下で、好ましくは30nm以上600nm以下が好ましい。
【0028】
図2に、機能フィルムデバイス10の拡大断面図を示す。機能フィルムデバイス10は上記のように、ベースフィルム12の上に鉄錯体を含む機能フィルム20が形成されているものであるが、鉄錯体を含む機能フィルム20は、略半球体の高分子ミクロスフェア部22と、隣接する高分子ミクロスフェア部22が相互に補強されながら接続される接続ポリマー部28を含んで構成される。高分子ミクロスフェア部22は、接続ポリマー部28と一体として接続される外殻部のポリマーシェル24と、中核部であるポリマーコア26を含んで構成される。このポリマーコア26の内部に、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体が含有されている。高分子ミクロスフェア部22のポリマーコア26は、ポリトリフルオロエチルメタアクリレート(PTFEMA)で構成され、高分子ミクロスフェア部22のポリマーシェル24と接続ポリマー部28はポリビニルアルコール(PVA)で構成される。
【0029】
図1のスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含む機能フィルム20の一部を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した様子を図3に示す。図3(a)は形態像で、図3(b)は位相差像である。図3(a)の形態像においては、直径が数10nmの略球形を示す凹凸が観察され、図3(b)の位相差像においては、略球形の黒く見える部分が観察され、このことから、略球形の部分に、他と異なる物質が集中して配置されている様子が分かる。
【0030】
なお、図3は、乳化重合法に用いる乳化剤がPVAの場合であるが、後述のように、乳化剤にラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を用いることもできる。図4は、乳化剤にSLSを用いて得られた機能フィルムの一部を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した様子を示す図である。図4において(a)は形態像、(b)は位相差像である。図3と図4とを比較すると、乳化剤にSLSを用いる場合に比較し、PVAを用いる場合の方が、微小粒および黒く見える部分について、より単分散分布を示していることが分かる。
【0031】
図5は、高分子ミクロスフェア部22をモデル化して示した図である。高分子ミクロスフェア部22は、上記のように、外殻部のポリマーシェル24と、中核部であるポリマーコア26を含んで構成される。後述するように、高分子ミクロスフェア部22は、ポリマーの乳化重合法によって合成されるので、3次元的に規制がないとすると、略球形の形状となる。図2に説明したようにベースフィルム12の上に形成されるときは、ベースフィルム12の平坦表面に規制されて、高分子ミクロスフェア部22は略半球状となる。
【0032】
高分子ミクロスフェア部22において、ポリマーシェル24に囲まれる中核部の部分であるポリマーコア26は、乳化重合法によってポリマー化されたPTFEMA32と、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体30から構成される。以下で述べるように、上記の図3のAFM位相差像によって観察される黒色の物質がスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体30に対応する。
【0033】
図3で述べたように、略球形の高分子ミクロスフェア部の内部に、黒色の物質が含有されていることが分かるが、そのものがスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体であることを確かめるには、その磁気特性を調べる必要がある。そこで、スピンクロスオーバー特性について、図6から図8を用いて説明する。
【0034】
図6に、プラス2価の鉄イオンの3d軌道における電子配置の様子を示す。3d軌道は、5種類の電子軌道を有するが、プラス2価の鉄イオンは6個のd電子を有する。この6個の電子はエネルギの低い軌道から順に配置される。低温下では、図5の右側に示されるように、エネルギの低いt2gの3つの軌道にそれぞれ2ずつ電子が対を成して配置される。このときは、スピンの方向の異なる電子が対を成して1つの電子軌道に配置されるので、スピン差Sが生じず、低スピン状態(S=0)となる。
【0035】
この低スピン状態から、適当なエネルギ励起があると、エネルギの高いeg軌道に2つの電子が移る。この状態が図6の左側に示されている。ここでは、2つの電子が移るので、5つの電子軌道のいくつかにおいて、1つの電子が配置される状態となり、その軌道においてはスピンが打ち消されないので、全体としてスピン差Sが生じる。すなわち、高スピン状態(S=2)となる。低スピン状態から高スピン状態へのエネルギ励起としては、例えば、熱エネルギ、光エネルギ、圧力等の機械的エネルギ等を用いることができる。高スピン状態から低スピン状態に戻すには、温度を下げればよい。あるいは、低スピン状態から高スピン状態に励起するのに用いた光とは異なる波長の光を、低温下で照射することでもよい。
【0036】
このようにして、熱、光、圧力等のエネルギを与え、あるいは除去することで、鉄イオンを含む鉄錯体は、低スピン状態と高スピン状態の間を転移することができる。このような特性を示す鉄錯体がスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体である。これを単に、スピンクロスオーバー鉄錯体と呼ぶこともできる。図7は、文献(O.Kahn and C.Jay Martinez,Science,vol.279,1988年,p44)に報告された例で、吸光度と温度の関係において、スピンクロスオーバー特性の典型的な相転移特性が示されている。
【0037】
スピン状態の相違は、超伝導量子干渉計(Superconducting Quantum Interference Device:SQUID)を用い、温度を変化させ、そのときの磁化の変化を見ることで検出できる。あるいは、電子スピン共鳴法(Electron Spin Resonance:ESR)を用いて、その温度依存性を測定することで検出できる。また、スピン状態が変化すると、鉄錯体の材料としての相変化が生じるので、相転移に伴う色変化を温度可変型位相差顕微鏡で観察することもできる。また、相変化に伴い、鉄錯体の色が白色から黒色に変化するので、吸光度変化からも観察することができる。
【0038】
図8は、図3で説明した高分子ミクロスフェア部22における黒色の物質について、DSC法を用いて温度を変化させたときの熱量(Heat Flow)の変化を観察した結果を示す一例である。ここでは、−19.1℃、+68.3℃において、α相、β相の相転移が観察された。
【0039】
図9は、一般的手法で形成される粉末状のスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体について、ESR法を用い、温度によるスピン状態の変化を観察した結果を示す図である。図9の3つの図は、いずれも横軸に磁場の大きさ、縦軸に磁化の微分値をとり、最上段の図は常温下である295°K、中段の図は200°K、下段の図は5°Kにおける様子をそれぞれ示す。これらの図から、常温下においては、g=2に近い値が観察され、温度低下とともに、三重項状態(S=1)の禁制遷移を示すg=4ならびにg=8が現れ、高スピン状態と低スピン状態との平衡状態であることが分かった。
【0040】
図10に、図9と同じ測定方法において、図3で説明した高分子ミクロスフェア部22における黒色の物質について、スピン状態を調べた様子を示す。これらの図において、横軸、縦軸、3つの図の意味等は、図9と同様である。これらの図から、常温下においては、g=2に近い値が観測され、5°Kの低温では、三重項状態の禁制遷移を示すg=4と、五重項を示すg=8が現れ、高スピン状態と低スピン状態との平衡状態であることが分かった。このことから、図3の高分子ミクロスフェア部22の中核部であるポリマーコア26には、スピンクロスオーバー特性を示す鉄錯体30が集中的に配置されていることが裏付けられる。
【0041】
図11は、上記構成の機能フィルムデバイスの製造方法の手順を説明するフローチャートである。以下では、図1から図10の符号を用いて説明する。鉄錯体を含む機能フィルム20としては、全体として透光性を有することが好ましい。また、記憶素子等の応用を考えると、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体30は、微小領域に集中的に配置されることが好ましく、その微小領域は、均一な大きさで、一定間隔で配置されることがよい。また、鉄錯体30については、スピンクロスオーバー特性の遷移温度範囲を制御できることが好ましい。このような要請から、鉄錯体30の原料、高分子ミクロスフェア部22を形成する方法、高分子ミクロスフェア部22を構成する材料等の選定が重要となる。以下では、これらの選定基準について、各準備試料作製工程を説明する。
【0042】
図11において、最初の工程は、鉄塩の準備である(S10)。鉄塩とは、次の工程で準備されるトリアゾールと反応して鉄錯体となるための鉄イオンを含む原材料である。鉄塩の選択基準としては、第1に相転移温度の設定である。相転移温度とは、高スピン状態の材料相と低スピン状態の材料相との間の転移を決める温度であるので、機能デバイスの観点からは、好ましくは常温にできるだけ近い温度であることと、ヒステリシス特性における適当な温度差を有することがよい。一方、溶解性を考慮すると、鉄錯体のトリアゾール配位子にアミノ基を置換し、また後述するように、適切な対イオンを選択することがよい。
【0043】
第2の選択基準は、スピンクロスオーバー特性の面からの鉄以外の金属イオンの使用である。例えば、鉄イオンと共にコバルトイオンを用いることで、反強磁性相互作用が生じ、これによって、スピンクロスオーバー特性を抑制することが可能となる。
【0044】
第3の選択基準は、イオン結合性の鉄塩を用いるとして、カウンタ対イオン、すなわち鉄イオンと結合するイオンに基づく光学特性がある。例えば、ClO4イオンとBF4イオンとを比較すると、前者は退色性がある。したがって、カウンタイオンとしては後者を選択することが好ましい。
【0045】
これらの選択基準に基づいて、例えば、II価の鉄イオンと、BF4イオンとからなるFe(BF42に、適当な分子数の水分子(H2O)が結合したFe(BF42nH2Oを鉄塩として選択して準備することができる。この鉄塩は、鉄(II)テトラフルオロボレートヘキサハイドレートと呼ばれる。
【0046】
次に配位子となるトリアゾールの準備を行う(S12)。トリアゾールとは、上記のように、鉄塩と共に鉄錯体を合成するための原材料である。トリアゾールとしては、水素基を有するトリアゾール、またはアミノ基を有するトリアゾールを用いることができる。そのようなトリアゾールとして、1,2,4−1H−トリアゾールまたは4−アミノ−1,2,4−トリアゾールを用いることができる。
【0047】
次に、鉄塩とトリアゾールとを用いて、鉄錯体を合成する(S14)。鉄錯体の合成方法は、メタノールを含む混合溶媒中で攪拌する方法等で合成することができる。そして溶媒をエバポレータで減圧除去することで、鉄錯体の粉末が得られる。
【0048】
図12は、1,2,4−1H−トリアゾールまたは4−アミノ−1,2,4−トリアゾールをトリアゾールとし、鉄(II)テトラフルオロボレートヘキサハイドレートを鉄塩として、メタノールを用いて鉄錯体を得る反応式を示す図である。得られた鉄錯体は、[Fe(Htrz)3-3X(4−NH2trz)3X](BF42・nH2O(n=6)の化学式で表す。
【0049】
再び図11に戻り、鉄錯体の合成と平行し、ポリマー粒子作製の準備を行う。ポリマー粒子作製の重合法としては、バルク重合法、溶液中重合法、乳化重合法等を用いることができる。このときの選択基準は、ミクロスフェアの粒径の制御のしやすさである。その観点から、乳化剤によって重合ならびに粒子径の制御ができる乳化重合法がよい。均一な微粒子形成の制御が可能である乳化重合法を用いることとし、モノマー、乳化剤、開始剤の準備を行う。
【0050】
モノマーの準備(S16)において、その選択基準は材料の光学特性である。すなわち、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体は、光を入力とすることができ、また相転移に伴って吸光度が変化するので、これを出力として利用することがよいからである。光学特性、特に透明性の優れているモノマーとしては、例えば、フッ素系モノマー、メチルメタアクリレート(MMA)モノマー、スチレンモノマー等を用いることができる。透光性は、フッ素系モノマーが最もよく、次にMMAモノマーがよい。乳化重合法が可能なフッ素化したモノマーは低屈折率であり、消光効果が生じることが知られている。また、スチレンモノマーは電荷移動が生じることが知られている。これらの点から、モノマーとしては、フッ素化モノマーとして、2,2,2トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)モノマーを用いる。
【0051】
乳化剤の準備(S18)において、その選択基準は、粒子径の制御に伴う重合速度の調整、ポリマーの融点、フィルムの強度である。乳化剤は一種の補強剤であることが好ましい。ポリマーを生成したとき、高融点、高強度であることがフィルムとして好ましい。乳化剤として汎用的に知られているラウリル硫酸ナトリウム(SLS)は、粒子径を小さくし、重合速度を調整するために用いることができる。しかし、SLSよりも高融点、高強度なポリマーフィルムの形成に役立つことが知られているポリビニルアルコール(PVA)を用いる方がよい。SLSはアニオン性界面活性剤であるが、PVAはノニオン性かつFeと親和性がよいことが知られている。これらの点から、乳化剤としては、SLSに比較して、PVAを用いることが好ましい。
【0052】
開始剤の準備(S20)において、その選択基準は、水への溶解性と、触媒の選択性である。乳化重合の開始剤として知られているAzo系開始剤は、触媒は不要であるが、一般的に難溶性であり、そのために使用範囲が狭められる。一方、水溶性開始剤として知られているAPSは、水に溶けやすく、汎用性が高い。この場合触媒を用いる場合があるが、例えばFe、Cr、Coが触媒としてでき、鉄錯体が産業界で一般的に用いられている。さらに、アミノ基が置換した鉄錯体は、酸性の下で溶解しやすい。これらの観点から、開始剤としては、Azoに比較して、APSを用いることが好ましい。
【0053】
このようにして準備された、乳化重合のためのモノマー、乳化剤、開始剤を用いて、乳化重合が行われ、粒子径の制御を行う(S22)。具体的には、S14で生成された鉄錯体粉末、S16で準備されたモノマー、S18で準備された乳化剤、S20で準備された開始剤を、適当な温度、例えば70℃の下で、水とエタノールを体積比で94/5の混合液に混ぜて、乳化重合を行う。体積比で残りの1はモノマーである。乳化剤の量、開始剤の量、温度等を調節することで、粒子形成と重合速度等を制御する。
【0054】
ここでは、鉄錯体がどの程度含まれるかが、機能性フィルムとしたときのデバイス特性に影響する。質量比がごく微量であると、スピンクロスオーバー特性の変化を十分に検出するだけの感度を得ることができない。一方、高分子ミクロスフェア部22のポリマーコア26は乳化重合法で合成されるので、あまり大きな粒径にすることができず、鉄錯体の質量比を余り大きくできない。そこで、完成体であるフィルム全体に対する鉄錯体の含有量である質量比は、電気光学的特性の感度によって設定される下限値と、乳化重合法の粒径制御性によって設定される上限値を有することが好ましい。実験によれば、その範囲は、鉄錯体の質量比で0.1%以上5%が好ましい。このようにして、乳化重合制御における鉄錯体の質量比の設定を行うことができる。
【0055】
乳化重合制御によって粒径の調整された高分子ミクロスフェアをベースフィルム12上にキャスティングする(S24)。キャスティングは、塗布法を用いることができる。
【0056】
そして、乳化重合液がコーティングされたベースフィルムを乾燥する(S26)ことで、フィルムの成膜が行われる(S28)。乾燥は、常温下で放置乾燥してもよく、冷蔵庫等でいわゆるフリーズドドライ法によって乾燥してもよい。
【0057】
このようにして得られた機能フィルムデバイ10は、図2のような構成を備えている。すなわち、ベースフィルム12の上に鉄錯体を含む機能フィルム20が形成され、その鉄錯体を含む機能フィルム20は、略半球体の高分子ミクロスフェア部22と、隣接する高分子ミクロスフェア部22を相互に接続する接続ポリマー部28を含んで構成される。また、高分子ミクロスフェア部22は、PVAである接続ポリマー部28と一体として接続される外殻部のポリマーシェル24と、中核部であるポリマーコア26を含んで構成される。このポリマーコア26に、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体が含有されている。
【0058】
ここで、高分子ミクロスフェア部22の外殻部のポリマーシェル24と、接続ポリマー部28は、乳化剤の成分であるポリビニルアルコール(PVA)を主体として構成される。高分子ミクロスフェア部22の中核部のポリマーコア26は、TFEMAがポリマー化したポリトリフルオロエチルメタアクリレート(PTFEMA)32から構成され、このPTFEMA32の内部に、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体30が含有されている。
【0059】
上記のように、透光性のよいPTFEMAで構成されるポリマー粒子にスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体30が集中的に配置されるので、デバイスとして、スピンクロスオーバー特性の変化の検出が感度よく行うことができる。また、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体30のフィルム全体に対する質量比は、0.1%以上5%以下であるので、高分子ミクロスフェア部22の直径を数十nmから数百nmに保持しながら、スピンクロスオーバー特性の変化を十分に検出できる。また、ポリマーシェル24と接続ポリマーはPVAであるので、フィルムの強度を十分なものとすることができる。
【実施例1】
【0060】
図11で説明した手順により、乳化重合法を用いて、鉄錯体を含む機能フィルムデバイスを作製した。鉄錯体は、1,2,4−1H−トリアゾールまたは4−アミノ−1,2,4−トリアゾールを配位子とし、鉄(II)テトラフルオロボレートヘキサハイドレートを鉄塩として、これらの反応によって生成される[Fe(Htrz)3-3X(4−NH2trz)3X](BF42・nH2O(n=6)を用いた。ここで、X=0.1,0.3,1.0と3種類の鉄錯体を用いた。
【0061】
乳化重合においては、鉄錯体を0.01g、モノマーとしてTFEMAを1.18g(1ml)、乳化剤としてPVA217(ケン化度であるDHが88%、重合度であるDPが1750)を1.0g、開始剤としてAPSを0.05g準備し、これを水/エタノールに混合した。水/エタノールの体積比は94/5である。50℃に3時間、アルゴン雰囲気中にて重合を行った。得られたエマルジョンを透明なベースフィルム上に成膜し、乾燥し、機能フィルムデバイスを作製した。
【0062】
ベースフィルム上の機能フィルムについて、SEIKO社製の原子間力顕微鏡(AFM)によって形態像および位相差像を観察した。その結果、図3で説明したように、直径約100nmの粒子径と、錯体の存在が確かめられた。Bruker社製のESR(EMX X−band 5K−290K)を用いて、高分子ミクロスフェア部に含有されたスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体のスピン状態を観測した。その結果、図3で説明したように、温度によって高スピン状態と低スピン状態との間の転移が認められた。
【0063】
このように、フィルム状でスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含む電気光学的機能フィルムを得ることができた。また、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を粒子内に配置することができ、スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含む電気光学的機能フィルムを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上記のように、本発明に係る電気光学的特性を有する鉄錯体を含む電気光学的機能フィルムは、外部刺激を入力とし、変化する状態量を出力とする機能デバイスに利用される。例えば、温度変化によって記憶と消去を行う記憶素子に利用される。また、照射光のオンオフで吸光度を変化させる光スイッチに利用される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る実施の形態において、鉄錯体を含む機能フィルムを用いる機能フィルムデバイスの様子を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、機能フィルムデバイスの拡大断面図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、鉄錯体を含む機能フィルムの一部を原子間力顕微鏡で観察した様子を示す図である。
【図4】図3との比較で、他の乳化剤を用いたときの結果を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態において、高分子ミクロスフェア部をモデル化して示す図である。
【図6】プラス2価の鉄イオンの3d軌道における電子配置の様子を示す図である。
【図7】文献に示されたスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体の特性の一例である。
【図8】本発明に係る実施の形態において、DSC法によって相転移の様子を観察した結果を示す図である。
【図9】粉末状のスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体について、ESR法を用い、温度によるスピン状態の変化を観測した結果を示す図である。
【図10】本発明に係る実施の形態において、図9と同じ測定方法において、スピン状態を調べた様子を示す図である。
【図11】本発明に係る実施の形態において、機能フィルムデバイスの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図12】本発明に係る実施の形態において、鉄錯体を得る反応式を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
10 機能フィルムデバイス、12 ベースフィルム、20 機能フィルム、22 高分子ミクロスフェア部、24 ポリマーシェル、26 ポリマーコア、28 接続ポリマー部、30 鉄錯体、32 PTFEMA。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光または熱を入力とし磁気特性の変化または光吸収特性の変化を出力とするスピンクロスオーバー特性を有する機能フィルムであって、
外殻部のポリマーシェルと中核部のポリマーコアとを有し、乳化重合法によって合成された高分子ミクロスフェア部と、
乳化重合法に用いられる乳化剤で構成され、隣接する高分子ミクロスフェア部をフィルム状に接続する接続ポリマー部と、
を備え、
高分子ミクロスフェア部は、
光または熱を入力とし磁気特性の変化または光吸収特性の変化を出力とするスピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体を含有することを特徴とする電気光学的機能フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学的機能フィルムにおいて、
スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体の含有量は、フィルム全体に対する質量比として、0.1%以上5%以下であることを特徴とする電気光学的機能フィルム。
【請求項3】
請求項1に記載の電気光学的機能フィルムにおいて、
高分子ミクロスフェア部の直径は、10nm以上1000nm以下であることを特徴とする電気光学的機能フィルム。
【請求項4】
請求項1に記載の電気光学的機能フィルムにおいて、
ポリマーコアの成分は、ポリトリフルオロエチルメタアクリレートであることを特徴とする電気光学的機能フィルム。
【請求項5】
請求項1に記載の電気光学的機能フィルムにおいて、
ポリマーシェルおよび接続ポリマーの成分は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする電気光学的機能フィルム。
【請求項6】
請求項1に記載の電気光学的機能フィルムにおいて、
スピンクロスオーバー特性を有する鉄錯体は、1,2,4−1H−トリアゾールまたは4−アミノ−1,2,4−トリアゾールを配位子とし、鉄(II)テトラフルオロボレートヘキサハイドレートを鉄塩として、これらの反応によって生成されることを特徴とする鉄錯体を含む電気光学的機能フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−31667(P2009−31667A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197738(P2007−197738)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)発行者 社団法人 高分子学会 刊行物名 第56回高分子学会年次大会 予稿集 巻数 56巻 号数 1号 発行年月日 平成19年5月10日 (2)研究集会の名称 第56回高分子学会年次大会 主催者名 社団法人 高分子学会 開催日 平成19年5月29日
【出願人】(506158197)公立大学法人 滋賀県立大学 (29)
【Fターム(参考)】