電気光学装置および電子機器
【課題】タッチパネルとして利用できかつ環境光の強度を測定できる電気光学装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置1は、複数の画素50が配列された液晶パネルAAを備える。液晶パネルAAは、画素50に対応して複数のフォトダイオード58を有する。この電気光学装置1は、複数のフォトダイオード58から出力された電流に基づいて、液晶パネルAAでの操作位置を認識する操作位置認識回路95と、複数のフォトダイオード58から出力された電流に基づいて、環境光の強度を測定する環境光測定回路96と、を備える。
【解決手段】電気光学装置1は、複数の画素50が配列された液晶パネルAAを備える。液晶パネルAAは、画素50に対応して複数のフォトダイオード58を有する。この電気光学装置1は、複数のフォトダイオード58から出力された電流に基づいて、液晶パネルAAでの操作位置を認識する操作位置認識回路95と、複数のフォトダイオード58から出力された電流に基づいて、環境光の強度を測定する環境光測定回路96と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置等の電気光学装置が知られている。この電気光学装置は、例えば、液晶パネルと、この液晶パネルに光を供給するバックライトと、を備える。
液晶パネルは、後述するスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(以降、TFTと呼ぶ)がマトリクス状に配置された素子基板と、この素子基板に対向配置された対向基板と、素子基板および対向基板の間に設けられた電気光学物質としての液晶と、を備える。
【0003】
素子基板は、所定間隔おきに設けられた複数の走査線と、これら走査線に交差し所定間隔おきに設けられた複数のデータ線と、を備える。
各走査線と各データ線との交差部分には、画素が設けられている。画素は、上述のTFTと、画素電極と、を備える。この画素は、マトリクス状に複数配列されて表示領域を形成する。TFTのゲート電極には、走査線が接続され、TFTのソース電極には、データ線が接続され、TFTのドレイン電極には、画素電極が接続されている。
対向基板は、画素電極に対向して設けられた共通電極を備える。
【0004】
以上の電気光学装置は、以下のように動作する。すなわち、走査線に選択電圧を線順次で供給することで、所定の走査線に係る画素を全て選択する。そして、この画素の選択に同期して、データ線に画像信号を供給する。これにより、選択電圧で選択した全ての画素に画像信号が供給されて、画像データが画素電極に書き込まれる。
【0005】
画素電極に画像データが書き込まれると、この画素電極と共通電極との電位差により、液晶に駆動電圧が印加される。これにより、液晶の配向や秩序が変化し、液晶を透過するバックライトからの光が変化して、階調表示が行われる。
【0006】
ところで、上述の電気光学装置の1つとして、タッチキーの機能を内蔵した液晶パネルがある(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1のタッチパネルでは、液晶パネル上にエリアセンサが設けられている。このエリアセンサは、光を電気信号に変換する光電変換素子を所定間隔おきに有する。
この液晶パネルの表示画面上を入力用ペンで操作すると、バックライトからの光が入力用ペンの先端で反射されて、この反射された光は光電変換素子で電気信号に変換される。この電気信号を検出することで、エリアセンサ上での入力用ペンの位置を特定する。
【特許文献1】特開平11−119898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電気光学装置の表示の視認性は、太陽光といった環境光による電気光学装置の周囲の明るさによって変化する。すなわち、電気光学装置の周囲が明るくなるに従って、電気光学装置の表示領域の明るさと電気光学装置の周囲の明るさとのコントラストが小さくなるので、電気光学装置の表示の視認性が低下する。
この問題を解決するため、環境光の強度を測定して、表示領域の明るさと周囲の明るさとのコントラストを調整することが考えられるが、上述の特許文献1の電気光学装置では、環境光の強度を測定できず、表示の視認性を向上することは困難であった。
【0008】
本発明は、タッチパネルとして利用できかつ環境光の強度を測定できる電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気光学装置は、複数の画素が配列された表示部を備える電気光学装置であって、前記表示部は、複数の領域に分割され、当該複数の領域ごとに配置され、光強度を検出する複数の光センサと、前記複数の光センサで検出された光強度に基づいて、前記表示部での操作位置の認識または環境光の強度の測定を選択的に行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、表示部を複数の領域に分割し、これら複数の領域ごとに配置された複数の光センサと、複数の光センサで検出された光強度に基づいて表示部での操作位置の認識または環境光の強度の測定を選択的に行う制御部と、を設けた。このため、各光センサを、表示部での操作位置を認識するデバイスとして利用することもできるし、環境光の強度を測定するデバイスとして利用することもできる。よって、この電気光学装置は、タッチパネルとして利用できかつ環境光の強度を測定できる。
【0011】
また、環境光は略一定の光強度であるが、例えば、表示部での操作によって、環境光が遮断されたり光源からの光が反射されたりすると、光センサで検出される光強度は特異な値となる。そこで、この発明によれば、複数の光センサで検出された光強度に基づいて表示部での操作位置の認識または環境光の強度の測定を選択的に行う制御部を設けた。よって、表示部での操作位置の認識を行う期間と、環境光の強度の測定を行う期間と、を選択的に設けることで、表示部での操作により特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を算出でき、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0012】
本発明の電気光学装置では、前記光センサは、前記画素ごとに配置されることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、光センサを画素ごとに配置したので、表示部での操作位置を画素ごとに認識できるとともに、環境光の強度を画素ごとに測定できる。
【0014】
本発明の電気光学装置では、前記表示部に光を供給する光源と、前記制御部で測定した環境光の強度に基づいて、前記光源の光強度を制御する光源制御部と、を備えることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、光源および光源制御部を設けたので、電気光学装置の周囲の明るさに応じて光源から供給する光強度を制御でき、電気光学装置の周囲の明るさにかかわらず、電気光学装置の表示の視認性を向上できる。
【0016】
本発明の電気光学装置では、前記制御部は、前記複数の光センサで検出された光強度のうち所定範囲内のものに基づいて、環境光の強度を測定することが好ましい。
【0017】
この発明によれば、複数の光センサで検出された光強度のうち所定範囲内のものに基づいて環境光の強度を測定したので、表示部上の操作により特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を算出でき、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0018】
本発明の電気光学装置では、前記制御部は、前記複数の光センサのうち所定領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて、前記表示部上の操作位置を認識し、前記複数の光センサのうち前記所定領域を除く領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて、環境光の強度を測定することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、複数の光センサのうち所定領域を除く領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて環境光の強度を測定したので、所定領域でどのような操作が行われて特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を測定でき、環境光の強度の測定精度をさらに向上できる。
【0020】
本発明の電子機器は、上述の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、上述した効果と同様の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態および変形例の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置1の構成を示すブロック図である。
電気光学装置1は、液晶パネルAAと、この液晶パネルAAを駆動する外部駆動回路90と、液晶パネルAAに光を照射する光源としてのバックライト98と、を備える。この電気光学装置1は、バックライト98からの光を利用して透過型の表示を行うとともに、後述する表示領域Aで入力用ペン100(図7参照)が操作されることで、タッチパネルとして操作に応じた表示を行う。
【0022】
液晶パネルAAは、複数の走査線10と、これら走査線10に交差し所定間隔おきに設けられた複数のデータ線20と、各走査線10および各データ線20の交差部に設けられた画素50と、を備える。この液晶パネルAAには、複数の画素50が配列されて表示領域Aが形成されている。表示領域Aの周辺には、画素50を駆動する走査線駆動回路11およびデータ線駆動回路21と、走査線駆動回路11およびデータ線駆動回路21にそれぞれ対向配置された第1検出回路31および第2検出回路41と、が設けられている。また、データ線駆動回路21の近傍には、液晶パネルAAと外部駆動回路90とのインタフェースである実装部品99が設けられている。
【0023】
図2は、画素50のトランジスタレベルの回路図である。
画素50は、表示を行う画素表示部501と、光強度を検出する光センサ部502と、を備える。
【0024】
画素表示部501は、スイッチング素子としての画素トランジスタ51と、画素電極55と、この画素電極55に対向する共通電極56と、を備える。
画素トランジスタ51のゲート電極には、走査線10が接続され、画素トランジスタ51のソース電極には、データ線20が接続され、画素トランジスタ51のドレイン電極には、画素電極55が接続されている。画素電極55と共通電極56との間には、液晶が挟持される。したがって、この画素トランジスタ51は、走査線10から選択電圧が印加されると、データ線20と画素電極55とを導通状態とする。
【0025】
光センサ部502は、光を電気信号に変換するフォトダイオード58を備える。
フォトダイオード58のアノード電極には、走査線10に沿って延びる第1センス線30が接続され、フォトダイオード58のカソード電極には、データ線20に沿って延びる第2センス線40が接続されている。このフォトダイオード58は、第2センス線40から逆バイアス電圧が印加されると、受光した光の強度に応じた電流を出力する。具体的には、フォトダイオード58は、受光した光の強度が高い場合には、受光した光の強度が低い場合よりも大きな電流をカソード電極からアノード電極に向かって出力する。このフォトダイオード58から出力される電流は、第2センス線40からカソード電極に供給され、アノード電極から第1センス線30に出力される。
【0026】
各第1センス線30に流れる電流は、各フォトダイオード58のうち走査線10が延在する方向に隣接するものからそれぞれ出力される電流の総和に等しい。よって、受光する光の強度が各フォトダイオード58で異なると、各第1センス線30に流れる電流は異なる。
また、各第2センス線40に流れる電流は、各フォトダイオード58のうちデータ線20が延在する方向に隣接するものにそれぞれ入力される電流の総和に等しい。よって、受光する光の強度が各フォトダイオード58で異なると、各第2センス線40に流れる電流は異なる。
【0027】
図1に戻って、走査線駆動回路11は、画素トランジスタ51を導通状態にする選択電圧を各走査線10に線順次で供給する。例えば、ある走査線10に選択電圧が供給されると、この走査線10に接続された画素トランジスタ51が全て導通状態になり、この走査線10に係る画素50が全て選択される。
データ線駆動回路21は、画像信号を各データ線20に供給し、オン状態の画素トランジスタ51を介して、画素50の画素電極55に画像データを順次書き込む。
【0028】
画素電極55に画像データが書き込まれると、この画素電極55と共通電極56との電位差により、液晶に駆動電圧が印加される。したがって、画像信号の電圧を変化させることで、液晶の配向や秩序を変化させて、各画素50の光変調による階調表示を行う。
【0029】
図3は、第1検出回路31の構成を示すブロック図である。
第1検出回路31は、各第1センス線30につき1つ設けられ各第1センス線30に流れる電流をそれぞれ電圧に変換する複数の電流電圧変換回路311と、これら電流電圧変換回路311から出力された電圧をシリアル形式の電圧信号に変換するシフトレジスタ回路312と、を備える。この第1検出回路31は、各第1センス線30に流れる電流をシリアル形式の電圧信号に変換して出力する。
【0030】
図4は、第2検出回路41の構成を示すブロック図である。
第2検出回路41は、各第2センス線40につき1つ設けられ各第2センス線40に流れる電流をそれぞれ電圧に変換する複数の電流電圧変換回路411と、これら電流電圧変換回路411から出力された電圧をシリアル形式の電圧信号に変換するシフトレジスタ回路412と、を備える。この第2検出回路41は、各第2センス線40に流れる電流をシリアル形式の電圧信号に変換して出力する。
【0031】
図1に戻って、バックライト98は、液晶パネルAAの裏面に設けられ、例えば、冷陰極蛍光管(CCFL)やLED(発光ダイオード)で構成され、光を射出して液晶パネルAAの画素50に光を供給する。
【0032】
外部駆動回路90は、液晶パネルAAに電源を供給する電源回路91と、液晶パネルAAに画像信号を供給する画像処理回路92と、この画像処理回路92や液晶パネルAAにクロック信号やスタート信号を出力するタイミング発生回路93と、電気光学装置1の動作モードを選択するモード選択回路94と、表示領域Aでの入力用ペン100の位置情報を画像処理回路92に出力する制御部としての操作位置認識回路95と、環境光の強度を測定する制御部としての環境光測定回路96と、環境光測定回路96により測定した環境光の強度に応じてバックライト98から画素50に供給する光強度を制御するバックライト制御回路97と、を備える。
【0033】
電源回路91は、駆動信号を液晶パネルAAに供給し、走査線駆動回路11やデータ線駆動回路21などを駆動する。
【0034】
タイミング発生回路93は、画像処理回路92に入力される入力画像データに同期して、クロック信号やスタート信号を生成し、液晶パネルAA上の走査線駆動回路11やデータ線駆動回路21に供給する。さらに、タイミング発生回路93は、各種のタイミング信号を生成して、画像処理回路92に出力する。
【0035】
モード選択回路94は、液晶表示のみ行う通常表示モードと、液晶表示を行うとともにタッチパネルとして動作するタッチパネルモードと、を選択可能になっている。
【0036】
操作位置認識回路95は、第1検出回路31および第2検出回路41から出力された信号が入力される。この操作位置認識回路95は、タッチパネルモードでのみ動作し、通常表示モードでは動作しない。すなわち、タッチパネルモードでは、第1検出回路31および第2検出回路41から出力された信号に基づいて表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識し、入力用ペン100の位置情報を画像処理回路92に出力する。一方、通常表示モードでは、第1検出回路31および第2検出回路41から出力された信号に基づいて表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識せず、入力用ペン100の位置情報を画像処理回路92に出力しない。
【0037】
画像処理回路92は、入力画像データに液晶パネルAAの光透過特性を考慮したγ補正を施した後、各色の画像データをD/A変換して画像信号を生成し、この画像信号を液晶パネルAAに供給する。この画像処理回路92は、操作位置認識回路95から入力用ペン100の位置情報が出力される場合には、この入力用ペン100の位置情報に基づいて画像信号を生成する。
【0038】
環境光測定回路96は、第1検出回路31および第2検出回路41から出力された信号が入力される。この環境光測定回路96は、通常表示モードでのみ動作し、タッチパネルモードでは動作しない。すなわち、通常表示モードでは、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号のうち所定の電圧範囲内のものに基づいて環境光の強度を測定し、環境光の強度に関する光強度信号をバックライト制御回路97に出力する。一方、タッチパネルモードでは、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号のうち所定の電圧範囲内のものに基づいて環境光の強度を測定せず、光強度信号をバックライト制御回路97に出力しない。
【0039】
バックライト制御回路97は、バックライト98から画素50に供給する光強度を制御する。このバックライト制御回路97は、環境光測定回路96から環境光の強度に関する光強度信号が出力される場合には、この光強度信号に基づいて、バックライト98から画素50に供給する光強度を制御する。
【0040】
図5は、液晶パネルAAの部分断面図である。
図5に示すように、液晶パネルAAは、画素トランジスタ51が配置された素子基板60と、この素子基板60に対向配置された対向基板70と、素子基板60および対向基板70の間に挟持された電気光学物質としての液晶と、から構成される。
【0041】
素子基板60は、ガラス基板68を有し、このガラス基板68上には、画素トランジスタ51および遮光膜59が所定間隔おきに交互に形成される。画素トランジスタ51上には、画素電極55が形成され、遮光膜59上には、フォトダイオード58が形成される。
【0042】
対向基板70は、ガラス基板74を有し、このガラス基板74上には、カラーフィルタ層71が形成される。
カラーフィルタ層71上には、画素電極55に対向するITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜からなる共通電極56が形成される。
【0043】
素子基板60と対向基板70との間には、液晶層が形成され、この液晶層は、素子基板60および対向基板70の周囲に形成された図示しないシール材により封止されている。
【0044】
図6は、電気光学装置1のタイミングチャートである。
まず、時刻t1からt2までの期間、モード選択回路94により通常表示モードが選択され、電気光学装置1は、液晶表示のみを行う。
次に、時刻t2からt3までの期間、モード選択回路94によりタッチパネルモードが選択され、電気光学装置1は、液晶表示を行うとともにタッチパネルとして動作する。
次に、時刻t3からt4までの期間、モード選択回路94により通常表示モードが選択され、電気光学装置1は、液晶表示のみを行う。
すなわち、電気光学装置1では、モード選択回路94により、通常表示モードおよびタッチパネルモードが交互に選択される。この電気光学装置1は、上述のように、通常表示モードでは、制御部としての操作位置認識回路95および環境光測定回路96のうち環境光測定回路96が選択的に動作し、タッチパネルモードでは、制御部としての操作位置認識回路95および環境光測定回路96のうち操作位置認識回路95が選択的に動作する。
【0045】
以下、電気光学装置1の動作について説明する。
通常表示モードにおいて、電気光学装置1は、環境光の強度を測定し、この測定した環境光の強度に基づいて、バックライト98から画素50に供給する光強度を制御する。
【0046】
具体的には、通常表示モードの場合、電気光学装置1は、以下のように動作する。すなわち、供給された環境光の強度に応じた電流が各フォトダイオード58から出力される。これら電流は、各フォトダイオード58に接続された第1センス線30および第2センス線40に流れる。
第1センス線30に流れる電流は、第1検出回路31によりシリアル形式の電圧信号に変換され、操作位置認識回路95および環境光測定回路96に出力される。また、第2センス線40に流れる電流は、第2検出回路41によりシリアル形式の電圧信号に変換され、操作位置認識回路95および環境光測定回路96に出力される。
【0047】
ここで、モード選択回路94により通常表示モードが選択されている。このため、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号に基づいて、操作位置認識回路95から画像処理回路92に入力用ペン100の位置情報が出力されない。このため、画像処理回路92により、入力用ペン100の位置情報によらず画像信号が生成され、この画像信号が液晶パネルAAに供給される。
【0048】
一方、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号のうち所定の電圧範囲内のものに基づいて、環境光測定回路96からバックライト制御回路97に環境光の強度に関する光強度信号が出力される。
【0049】
環境光測定回路96から光強度信号が出力されると、バックライト制御回路97により、この光強度信号に基づいて、バックライト98から画素50に供給する光強度が制御される。
【0050】
また、タッチパネルモードにおいて、電気光学装置1は、周囲の明るさに応じて表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識することで、タッチパネルとして動作する。
【0051】
具体的には、タッチパネルモードの場合、電気光学装置1は、以下のように動作する。
すなわち、電気光学装置1の周囲が明るい状態では、操作者が電気光学装置1の表示領域Aで入力用ペン100を操作すると、図7および図8に示すように、入力用ペン100により環境光が遮断されて遮光領域A1が形成される。この遮光領域A1は、遮光されていない非遮光領域A2よりも暗くなっている。よって、遮光領域A1に位置するフォトダイオード58Aは、非遮光領域A2に位置するフォトダイオード58Bと比べて、小さい電流を出力する。これら電流は、各フォトダイオード58に接続された第1センス線30および第2センス線40に流れる。
一方、電気光学装置1の周囲が暗い状態では、操作者が電気光学装置1の表示領域Aで入力用ペン100を操作すると、図9および図10に示すように、入力用ペン100によりバックライト98から射出された光が反射されて、照明領域A3が形成される。この照明領域A3は、バックライト98からの光が反射されない非照明領域A4よりも明るくなっている。よって、照明領域A3に位置するフォトダイオード58Cは、非照明領域A4に位置するフォトダイオード58Dと比べて、大きい電流を出力する。これら電流は、各フォトダイオード58に接続された第1センス線30および第2センス線40に流れる。
【0052】
第1センス線30に流れる電流は、第1検出回路31によりシリアル形式の電圧信号に変換され、操作位置認識回路95および環境光測定回路96に出力される。また、第2センス線40に流れる電流は、第2検出回路41によりシリアル形式の電圧信号に変換され、操作位置認識回路95および環境光測定回路96に出力される。
【0053】
ここで、モード選択回路94によりタッチパネルモードが選択されている。このため、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号に基づいて、環境光測定回路96からバックライト制御回路97に環境光の強度に関する光強度信号が出力されない。このため、バックライト制御回路97により、光強度信号によらず、バックライト98から画素50に供給する光強度が制御される。
【0054】
また、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号に基づいて、操作位置認識回路95から画像処理回路92に入力用ペン100の位置情報が出力される。
すなわち、電気光学装置1の周囲が明るい状態では、まず、上述の電圧信号から所定の電圧より電圧レベルの低いものが抽出される。次に、抽出された電圧に対応する電流を出力したフォトダイオード58が特定される。次に、特定されたフォトダイオード58の位置が表示領域Aでの入力用ペン100の位置として認識され、入力用ペン100の位置情報が画像処理回路92に出力される。
一方、電気光学装置1の周囲が暗い状態では、まず、上述の電圧信号から所定の電圧より電圧レベルの高いものが抽出される。次に、抽出された電圧に対応する電流を出力したフォトダイオード58が特定される。次に、特定されたフォトダイオード58の位置が表示領域Aでの入力用ペン100の位置として認識され、入力用ペン100の位置情報が画像処理回路92に出力される。
【0055】
操作位置認識回路95から入力用ペン100の位置情報が出力されると、画像処理回路92により、この入力用ペン100の位置情報に基づいて画像信号が生成され、この画像信号が液晶パネルAAに供給される。
【0056】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)液晶パネルAAの表示領域Aを画素50に対応して複数の領域に分割し、これら複数の領域ごとに配置された複数のフォトダイオード58と、複数のフォトダイオード58で検出された光強度に基づいて表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識する操作位置認識回路95と、を設けた。このため、各フォトダイオード58を、表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識するデバイスとして利用することもできるし、環境光の強度を測定するデバイスとして利用することもできる。よって、この電気光学装置1は、タッチパネルとして利用できかつ環境光の強度を測定できる。
【0057】
(2)タッチパネルモードで選択的に動作する操作位置認識回路95と、通常表示モードで選択的に動作する環境光測定回路96と、を設けた。よって、表示領域Aでの入力用ペン100の位置の認識を行う期間と、環境光の強度の測定を行う期間と、を選択的に設けることで、表示領域Aでの入力用ペン100を用いた操作により特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を算出でき、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0058】
(3)フォトダイオード58を画素50ごとに配置したので、表示領域Aでの入力用ペン100の位置を画素50ごとに認識できるとともに、環境光の強度を画素50ごとに測定できる。
【0059】
(4)バックライト98およびバックライト制御回路97を設けたので、電気光学装置1の周囲の明るさに応じてバックライト98から供給する光強度を制御でき、電気光学装置1の周囲の明るさにかかわらず、電気光学装置1の表示の視認性を向上できる。
【0060】
(5)複数のフォトダイオード58から出力された電流に基づくシリアル形式の電圧信号のうち所定の電圧範囲内のものに基づいて環境光の強度を測定した。よって、表示領域Aでの入力用ペン100を用いた操作により特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を算出でき、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0061】
(6)遮光膜59上にフォトダイオード58を形成したので、バックライト98からの光がフォトダイオード58に直接供給されるのを防止して、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0062】
<第2実施形態>
図11は、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置1Aの構成を示すブロック図である。
本実施形態では、外部駆動回路90Aは、モード選択回路94、操作位置認識回路95、および環境光測定回路96に代えて、操作可能領域選択回路94A、操作位置認識回路95A、および環境光測定回路96Aを備える点が、第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0063】
図12は、電気光学装置1Aの表示領域Aを示す図である。
操作可能領域選択回路94Aは、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な操作可能領域A5を選択し、操作可能領域A5に位置するフォトダイオード58Eの位置情報を操作位置認識回路95Aに出力する。また、操作可能領域選択回路94Aは、表示領域Aのうち操作可能領域A5を除く操作不能領域A6を選択し、操作不能領域A6に位置するフォトダイオード58Fの位置情報を環境光測定回路96Aに出力する。
【0064】
操作位置認識回路95Aは、操作可能領域選択回路94Aから出力されたフォトダイオード58Eの位置情報と、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号と、が入力される。この操作位置認識回路95Aは、上述のフォトダイオード58Eの位置情報に基づいて、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域に位置するフォトダイオード58Eを認識し、上述のシリアル形式の電圧信号のうちフォトダイオード58Eから出力された電流に対応するものに基づいて、表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識し、入力用ペン100の位置情報を画像処理回路92に出力する。
【0065】
環境光測定回路96Aは、操作可能領域選択回路94Aから出力されたフォトダイオード58Fの位置情報と、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号と、が入力される。この環境光測定回路96Aは、上述のフォトダイオード58Fの位置情報に基づいて、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域を除く領域に位置するフォトダイオード58Fを認識し、上述のシリアル形式の電圧信号のうちフォトダイオード58Fから出力された電流に対応するものに基づいて、環境光の強度を測定し、測定した環境光の強度に関する光強度信号をバックライト制御回路97に出力する。
【0066】
以下、電気光学装置1Aの動作について説明する。
電気光学装置1は、周囲の明るさに応じて表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域内での入力用ペン100の位置を認識することで、タッチパネルとして動作する。また、この電気光学装置1は、上述のようにタッチパネルとして動作しつつ、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域を除く領域で環境光の強度を測定し、この測定した環境光の強度に基づいて、バックライト98から画素50に供給する光強度を制御する。
【0067】
具体的には、電気光学装置1Aは、以下のように動作する。
すなわち、まず、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域に位置するフォトダイオード58Eの位置情報が操作可能領域選択回路94Aから操作位置認識回路95Aおよび環境光測定回路96Aに出力される。
【0068】
次に、操作可能領域選択回路94Aからフォトダイオード58Eの位置情報が出力されるとともに、第1検出回路31および第2検出回路41からシリアル形式の電圧信号が出力されると、これらシリアル形式の電圧信号のうちフォトダイオード58Eから出力された電流に対応するものに基づいて入力用ペン100の位置が認識され、操作位置認識回路95Aから画像処理回路92に入力用ペン100の位置情報が出力される。
【0069】
また、操作可能領域選択回路94Aからフォトダイオード58Fの位置情報が出力されるとともに、第1検出回路31および第2検出回路41からシリアル形式の電圧信号が出力されると、これらシリアル形式の電圧信号のうちフォトダイオード58Fから出力された電流に対応するものに基づいて、環境光測定回路96Aからバックライト制御回路97に環境光の強度に関する光強度信号が出力される。
【0070】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(7)表示領域Aのうち操作不能領域A6に位置するフォトダイオード58Fにより出力された電流に基づいて環境光の強度を測定したので、表示領域Aのうち操作可能領域A5でどのような操作が行われて特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を測定でき、環境光の強度の測定精度をさらに向上できる。
【0071】
<変形例>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の第2実施形態では、操作可能領域A5および操作不能領域A6の選択を、ハードウェアとしての操作可能領域選択回路94Aにより行ったが、これに限らず、ソフトウェアとしてのプログラムにより行ってもよい。
【0072】
また、上述の各実施形態では、操作位置認識回路95、95Aおよび環境光測定回路96、96Aをそれぞれ別個の回路として設けたが、これに限らず、同一の回路として設けてもよい。
また、上述の各実施形態では、フォトダイオード58を画素50ごとに設けたが、これに限らず、例えば隣接する2つの画素50ごとに設けてもよい。
【0073】
また、上述の各実施形態では、電気光学装置1、1Aは、バックライト98からの光を利用する透過型の表示を行う構成としたが、これに限らず、上述の透過型の表示と、入射する環境光を利用する反射型の表示と、を併用する半透過反射型の表示を行う構成としてもよい。
また、上述の各実施形態では、入力用ペン100を用いて電気光学装置1に入力したが、これに限らず、例えば、操作者の指を用いて入力してもよい。
【0074】
また、上述の各実施形態では、本発明を電気光学物質として液晶を用いた電気光学装置1、1Aに適用したが、これに限らず、液晶以外の電気光学物質を用いた電気光学装置にも適用できる。例えば、有機LED素子を用いた有機ELディスプレイ(OLED)パネル、着色された液体とこの液体に分散された白色の粒子とを含むマイクロカプセルを電気光学物質として用いた電気泳動表示パネル、極性が相違する領域毎に異なる色に塗り分けられたツイストボールを電気光学物質として用いたツイストボールディスプレイパネル、黒色トナーを電気光学物質として用いたトナーディスプレイパネル、あるいは、ヘリウムやネオン等の高圧ガスを電気光学物質として用いたプラズマディスプレイパネルなど各種の電気光学装置に対しても、同様に本発明が適用され得る。
【0075】
また、本実施形態における液晶としては、TN(Twisted Nematic)液晶や負の誘電率を用いた液晶を用いてもよい。また、液晶の表示モードとしては、IPS(In-Plane Switching)やFFS(Fringe-Field Switching)などでもよい。
【0076】
<応用例>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置1を適用した電子機器について説明する。
図13は、電気光学装置1を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに電気光学装置1を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置1に表示される画面がスクロールされる。
【0077】
なお、電気光学装置1が適用される電子機器としては、図13に示すもののほか、パーソナルコンピュータ、情報携帯端末、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】前記電気光学装置の画素のトランジスタレベルの回路図である。
【図3】前記電気光学装置の第1検出回路の構成を示すブロック図である。
【図4】前記電気光学装置の第2検出回路の構成を示すブロック図である。
【図5】前記電気光学装置の液晶パネルの部分断面図である。
【図6】前記電気光学装置のタイミングチャートである。
【図7】前記電気光学装置の周囲が明るい場合の液晶パネルの部分断面図である。
【図8】前記電気光学装置の周囲が明るい場合の表示領域を示す図である。
【図9】前記電気光学装置の周囲が暗い場合の液晶パネルの部分断面図である。
【図10】前記電気光学装置の周囲が暗い場合の表示領域を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図12】前記電気光学装置の表示領域を示す図である。
【図13】上述した電気光学装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1、1A…電気光学装置、30…第1センス線、31…第1検出回路、40…第2センス線、41…第2検出回路、50…画素、58、58A、58B、58C、58D、58E、58F…フォトダイオード(光センサ)、59…遮光膜、90、90A…外部駆動回路、94…モード選択回路、94A…操作可能領域選択回路、95、95A…操作位置認識回路(操作位置認識部)、96、96A…環境光測定回路(環境光測定部)、97…バックライト制御回路(光源制御部)、98…バックライト(光源)、100…入力用ペン、AA…液晶パネル(表示部)、A…表示領域、A1…遮光領域、A2…非遮光領域、A3…照明領域、A4…非照明領域、A5…操作可能領域、A6…操作不能領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置等の電気光学装置が知られている。この電気光学装置は、例えば、液晶パネルと、この液晶パネルに光を供給するバックライトと、を備える。
液晶パネルは、後述するスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(以降、TFTと呼ぶ)がマトリクス状に配置された素子基板と、この素子基板に対向配置された対向基板と、素子基板および対向基板の間に設けられた電気光学物質としての液晶と、を備える。
【0003】
素子基板は、所定間隔おきに設けられた複数の走査線と、これら走査線に交差し所定間隔おきに設けられた複数のデータ線と、を備える。
各走査線と各データ線との交差部分には、画素が設けられている。画素は、上述のTFTと、画素電極と、を備える。この画素は、マトリクス状に複数配列されて表示領域を形成する。TFTのゲート電極には、走査線が接続され、TFTのソース電極には、データ線が接続され、TFTのドレイン電極には、画素電極が接続されている。
対向基板は、画素電極に対向して設けられた共通電極を備える。
【0004】
以上の電気光学装置は、以下のように動作する。すなわち、走査線に選択電圧を線順次で供給することで、所定の走査線に係る画素を全て選択する。そして、この画素の選択に同期して、データ線に画像信号を供給する。これにより、選択電圧で選択した全ての画素に画像信号が供給されて、画像データが画素電極に書き込まれる。
【0005】
画素電極に画像データが書き込まれると、この画素電極と共通電極との電位差により、液晶に駆動電圧が印加される。これにより、液晶の配向や秩序が変化し、液晶を透過するバックライトからの光が変化して、階調表示が行われる。
【0006】
ところで、上述の電気光学装置の1つとして、タッチキーの機能を内蔵した液晶パネルがある(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1のタッチパネルでは、液晶パネル上にエリアセンサが設けられている。このエリアセンサは、光を電気信号に変換する光電変換素子を所定間隔おきに有する。
この液晶パネルの表示画面上を入力用ペンで操作すると、バックライトからの光が入力用ペンの先端で反射されて、この反射された光は光電変換素子で電気信号に変換される。この電気信号を検出することで、エリアセンサ上での入力用ペンの位置を特定する。
【特許文献1】特開平11−119898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電気光学装置の表示の視認性は、太陽光といった環境光による電気光学装置の周囲の明るさによって変化する。すなわち、電気光学装置の周囲が明るくなるに従って、電気光学装置の表示領域の明るさと電気光学装置の周囲の明るさとのコントラストが小さくなるので、電気光学装置の表示の視認性が低下する。
この問題を解決するため、環境光の強度を測定して、表示領域の明るさと周囲の明るさとのコントラストを調整することが考えられるが、上述の特許文献1の電気光学装置では、環境光の強度を測定できず、表示の視認性を向上することは困難であった。
【0008】
本発明は、タッチパネルとして利用できかつ環境光の強度を測定できる電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気光学装置は、複数の画素が配列された表示部を備える電気光学装置であって、前記表示部は、複数の領域に分割され、当該複数の領域ごとに配置され、光強度を検出する複数の光センサと、前記複数の光センサで検出された光強度に基づいて、前記表示部での操作位置の認識または環境光の強度の測定を選択的に行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、表示部を複数の領域に分割し、これら複数の領域ごとに配置された複数の光センサと、複数の光センサで検出された光強度に基づいて表示部での操作位置の認識または環境光の強度の測定を選択的に行う制御部と、を設けた。このため、各光センサを、表示部での操作位置を認識するデバイスとして利用することもできるし、環境光の強度を測定するデバイスとして利用することもできる。よって、この電気光学装置は、タッチパネルとして利用できかつ環境光の強度を測定できる。
【0011】
また、環境光は略一定の光強度であるが、例えば、表示部での操作によって、環境光が遮断されたり光源からの光が反射されたりすると、光センサで検出される光強度は特異な値となる。そこで、この発明によれば、複数の光センサで検出された光強度に基づいて表示部での操作位置の認識または環境光の強度の測定を選択的に行う制御部を設けた。よって、表示部での操作位置の認識を行う期間と、環境光の強度の測定を行う期間と、を選択的に設けることで、表示部での操作により特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を算出でき、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0012】
本発明の電気光学装置では、前記光センサは、前記画素ごとに配置されることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、光センサを画素ごとに配置したので、表示部での操作位置を画素ごとに認識できるとともに、環境光の強度を画素ごとに測定できる。
【0014】
本発明の電気光学装置では、前記表示部に光を供給する光源と、前記制御部で測定した環境光の強度に基づいて、前記光源の光強度を制御する光源制御部と、を備えることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、光源および光源制御部を設けたので、電気光学装置の周囲の明るさに応じて光源から供給する光強度を制御でき、電気光学装置の周囲の明るさにかかわらず、電気光学装置の表示の視認性を向上できる。
【0016】
本発明の電気光学装置では、前記制御部は、前記複数の光センサで検出された光強度のうち所定範囲内のものに基づいて、環境光の強度を測定することが好ましい。
【0017】
この発明によれば、複数の光センサで検出された光強度のうち所定範囲内のものに基づいて環境光の強度を測定したので、表示部上の操作により特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を算出でき、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0018】
本発明の電気光学装置では、前記制御部は、前記複数の光センサのうち所定領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて、前記表示部上の操作位置を認識し、前記複数の光センサのうち前記所定領域を除く領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて、環境光の強度を測定することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、複数の光センサのうち所定領域を除く領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて環境光の強度を測定したので、所定領域でどのような操作が行われて特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を測定でき、環境光の強度の測定精度をさらに向上できる。
【0020】
本発明の電子機器は、上述の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、上述した効果と同様の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態および変形例の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置1の構成を示すブロック図である。
電気光学装置1は、液晶パネルAAと、この液晶パネルAAを駆動する外部駆動回路90と、液晶パネルAAに光を照射する光源としてのバックライト98と、を備える。この電気光学装置1は、バックライト98からの光を利用して透過型の表示を行うとともに、後述する表示領域Aで入力用ペン100(図7参照)が操作されることで、タッチパネルとして操作に応じた表示を行う。
【0022】
液晶パネルAAは、複数の走査線10と、これら走査線10に交差し所定間隔おきに設けられた複数のデータ線20と、各走査線10および各データ線20の交差部に設けられた画素50と、を備える。この液晶パネルAAには、複数の画素50が配列されて表示領域Aが形成されている。表示領域Aの周辺には、画素50を駆動する走査線駆動回路11およびデータ線駆動回路21と、走査線駆動回路11およびデータ線駆動回路21にそれぞれ対向配置された第1検出回路31および第2検出回路41と、が設けられている。また、データ線駆動回路21の近傍には、液晶パネルAAと外部駆動回路90とのインタフェースである実装部品99が設けられている。
【0023】
図2は、画素50のトランジスタレベルの回路図である。
画素50は、表示を行う画素表示部501と、光強度を検出する光センサ部502と、を備える。
【0024】
画素表示部501は、スイッチング素子としての画素トランジスタ51と、画素電極55と、この画素電極55に対向する共通電極56と、を備える。
画素トランジスタ51のゲート電極には、走査線10が接続され、画素トランジスタ51のソース電極には、データ線20が接続され、画素トランジスタ51のドレイン電極には、画素電極55が接続されている。画素電極55と共通電極56との間には、液晶が挟持される。したがって、この画素トランジスタ51は、走査線10から選択電圧が印加されると、データ線20と画素電極55とを導通状態とする。
【0025】
光センサ部502は、光を電気信号に変換するフォトダイオード58を備える。
フォトダイオード58のアノード電極には、走査線10に沿って延びる第1センス線30が接続され、フォトダイオード58のカソード電極には、データ線20に沿って延びる第2センス線40が接続されている。このフォトダイオード58は、第2センス線40から逆バイアス電圧が印加されると、受光した光の強度に応じた電流を出力する。具体的には、フォトダイオード58は、受光した光の強度が高い場合には、受光した光の強度が低い場合よりも大きな電流をカソード電極からアノード電極に向かって出力する。このフォトダイオード58から出力される電流は、第2センス線40からカソード電極に供給され、アノード電極から第1センス線30に出力される。
【0026】
各第1センス線30に流れる電流は、各フォトダイオード58のうち走査線10が延在する方向に隣接するものからそれぞれ出力される電流の総和に等しい。よって、受光する光の強度が各フォトダイオード58で異なると、各第1センス線30に流れる電流は異なる。
また、各第2センス線40に流れる電流は、各フォトダイオード58のうちデータ線20が延在する方向に隣接するものにそれぞれ入力される電流の総和に等しい。よって、受光する光の強度が各フォトダイオード58で異なると、各第2センス線40に流れる電流は異なる。
【0027】
図1に戻って、走査線駆動回路11は、画素トランジスタ51を導通状態にする選択電圧を各走査線10に線順次で供給する。例えば、ある走査線10に選択電圧が供給されると、この走査線10に接続された画素トランジスタ51が全て導通状態になり、この走査線10に係る画素50が全て選択される。
データ線駆動回路21は、画像信号を各データ線20に供給し、オン状態の画素トランジスタ51を介して、画素50の画素電極55に画像データを順次書き込む。
【0028】
画素電極55に画像データが書き込まれると、この画素電極55と共通電極56との電位差により、液晶に駆動電圧が印加される。したがって、画像信号の電圧を変化させることで、液晶の配向や秩序を変化させて、各画素50の光変調による階調表示を行う。
【0029】
図3は、第1検出回路31の構成を示すブロック図である。
第1検出回路31は、各第1センス線30につき1つ設けられ各第1センス線30に流れる電流をそれぞれ電圧に変換する複数の電流電圧変換回路311と、これら電流電圧変換回路311から出力された電圧をシリアル形式の電圧信号に変換するシフトレジスタ回路312と、を備える。この第1検出回路31は、各第1センス線30に流れる電流をシリアル形式の電圧信号に変換して出力する。
【0030】
図4は、第2検出回路41の構成を示すブロック図である。
第2検出回路41は、各第2センス線40につき1つ設けられ各第2センス線40に流れる電流をそれぞれ電圧に変換する複数の電流電圧変換回路411と、これら電流電圧変換回路411から出力された電圧をシリアル形式の電圧信号に変換するシフトレジスタ回路412と、を備える。この第2検出回路41は、各第2センス線40に流れる電流をシリアル形式の電圧信号に変換して出力する。
【0031】
図1に戻って、バックライト98は、液晶パネルAAの裏面に設けられ、例えば、冷陰極蛍光管(CCFL)やLED(発光ダイオード)で構成され、光を射出して液晶パネルAAの画素50に光を供給する。
【0032】
外部駆動回路90は、液晶パネルAAに電源を供給する電源回路91と、液晶パネルAAに画像信号を供給する画像処理回路92と、この画像処理回路92や液晶パネルAAにクロック信号やスタート信号を出力するタイミング発生回路93と、電気光学装置1の動作モードを選択するモード選択回路94と、表示領域Aでの入力用ペン100の位置情報を画像処理回路92に出力する制御部としての操作位置認識回路95と、環境光の強度を測定する制御部としての環境光測定回路96と、環境光測定回路96により測定した環境光の強度に応じてバックライト98から画素50に供給する光強度を制御するバックライト制御回路97と、を備える。
【0033】
電源回路91は、駆動信号を液晶パネルAAに供給し、走査線駆動回路11やデータ線駆動回路21などを駆動する。
【0034】
タイミング発生回路93は、画像処理回路92に入力される入力画像データに同期して、クロック信号やスタート信号を生成し、液晶パネルAA上の走査線駆動回路11やデータ線駆動回路21に供給する。さらに、タイミング発生回路93は、各種のタイミング信号を生成して、画像処理回路92に出力する。
【0035】
モード選択回路94は、液晶表示のみ行う通常表示モードと、液晶表示を行うとともにタッチパネルとして動作するタッチパネルモードと、を選択可能になっている。
【0036】
操作位置認識回路95は、第1検出回路31および第2検出回路41から出力された信号が入力される。この操作位置認識回路95は、タッチパネルモードでのみ動作し、通常表示モードでは動作しない。すなわち、タッチパネルモードでは、第1検出回路31および第2検出回路41から出力された信号に基づいて表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識し、入力用ペン100の位置情報を画像処理回路92に出力する。一方、通常表示モードでは、第1検出回路31および第2検出回路41から出力された信号に基づいて表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識せず、入力用ペン100の位置情報を画像処理回路92に出力しない。
【0037】
画像処理回路92は、入力画像データに液晶パネルAAの光透過特性を考慮したγ補正を施した後、各色の画像データをD/A変換して画像信号を生成し、この画像信号を液晶パネルAAに供給する。この画像処理回路92は、操作位置認識回路95から入力用ペン100の位置情報が出力される場合には、この入力用ペン100の位置情報に基づいて画像信号を生成する。
【0038】
環境光測定回路96は、第1検出回路31および第2検出回路41から出力された信号が入力される。この環境光測定回路96は、通常表示モードでのみ動作し、タッチパネルモードでは動作しない。すなわち、通常表示モードでは、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号のうち所定の電圧範囲内のものに基づいて環境光の強度を測定し、環境光の強度に関する光強度信号をバックライト制御回路97に出力する。一方、タッチパネルモードでは、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号のうち所定の電圧範囲内のものに基づいて環境光の強度を測定せず、光強度信号をバックライト制御回路97に出力しない。
【0039】
バックライト制御回路97は、バックライト98から画素50に供給する光強度を制御する。このバックライト制御回路97は、環境光測定回路96から環境光の強度に関する光強度信号が出力される場合には、この光強度信号に基づいて、バックライト98から画素50に供給する光強度を制御する。
【0040】
図5は、液晶パネルAAの部分断面図である。
図5に示すように、液晶パネルAAは、画素トランジスタ51が配置された素子基板60と、この素子基板60に対向配置された対向基板70と、素子基板60および対向基板70の間に挟持された電気光学物質としての液晶と、から構成される。
【0041】
素子基板60は、ガラス基板68を有し、このガラス基板68上には、画素トランジスタ51および遮光膜59が所定間隔おきに交互に形成される。画素トランジスタ51上には、画素電極55が形成され、遮光膜59上には、フォトダイオード58が形成される。
【0042】
対向基板70は、ガラス基板74を有し、このガラス基板74上には、カラーフィルタ層71が形成される。
カラーフィルタ層71上には、画素電極55に対向するITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜からなる共通電極56が形成される。
【0043】
素子基板60と対向基板70との間には、液晶層が形成され、この液晶層は、素子基板60および対向基板70の周囲に形成された図示しないシール材により封止されている。
【0044】
図6は、電気光学装置1のタイミングチャートである。
まず、時刻t1からt2までの期間、モード選択回路94により通常表示モードが選択され、電気光学装置1は、液晶表示のみを行う。
次に、時刻t2からt3までの期間、モード選択回路94によりタッチパネルモードが選択され、電気光学装置1は、液晶表示を行うとともにタッチパネルとして動作する。
次に、時刻t3からt4までの期間、モード選択回路94により通常表示モードが選択され、電気光学装置1は、液晶表示のみを行う。
すなわち、電気光学装置1では、モード選択回路94により、通常表示モードおよびタッチパネルモードが交互に選択される。この電気光学装置1は、上述のように、通常表示モードでは、制御部としての操作位置認識回路95および環境光測定回路96のうち環境光測定回路96が選択的に動作し、タッチパネルモードでは、制御部としての操作位置認識回路95および環境光測定回路96のうち操作位置認識回路95が選択的に動作する。
【0045】
以下、電気光学装置1の動作について説明する。
通常表示モードにおいて、電気光学装置1は、環境光の強度を測定し、この測定した環境光の強度に基づいて、バックライト98から画素50に供給する光強度を制御する。
【0046】
具体的には、通常表示モードの場合、電気光学装置1は、以下のように動作する。すなわち、供給された環境光の強度に応じた電流が各フォトダイオード58から出力される。これら電流は、各フォトダイオード58に接続された第1センス線30および第2センス線40に流れる。
第1センス線30に流れる電流は、第1検出回路31によりシリアル形式の電圧信号に変換され、操作位置認識回路95および環境光測定回路96に出力される。また、第2センス線40に流れる電流は、第2検出回路41によりシリアル形式の電圧信号に変換され、操作位置認識回路95および環境光測定回路96に出力される。
【0047】
ここで、モード選択回路94により通常表示モードが選択されている。このため、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号に基づいて、操作位置認識回路95から画像処理回路92に入力用ペン100の位置情報が出力されない。このため、画像処理回路92により、入力用ペン100の位置情報によらず画像信号が生成され、この画像信号が液晶パネルAAに供給される。
【0048】
一方、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号のうち所定の電圧範囲内のものに基づいて、環境光測定回路96からバックライト制御回路97に環境光の強度に関する光強度信号が出力される。
【0049】
環境光測定回路96から光強度信号が出力されると、バックライト制御回路97により、この光強度信号に基づいて、バックライト98から画素50に供給する光強度が制御される。
【0050】
また、タッチパネルモードにおいて、電気光学装置1は、周囲の明るさに応じて表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識することで、タッチパネルとして動作する。
【0051】
具体的には、タッチパネルモードの場合、電気光学装置1は、以下のように動作する。
すなわち、電気光学装置1の周囲が明るい状態では、操作者が電気光学装置1の表示領域Aで入力用ペン100を操作すると、図7および図8に示すように、入力用ペン100により環境光が遮断されて遮光領域A1が形成される。この遮光領域A1は、遮光されていない非遮光領域A2よりも暗くなっている。よって、遮光領域A1に位置するフォトダイオード58Aは、非遮光領域A2に位置するフォトダイオード58Bと比べて、小さい電流を出力する。これら電流は、各フォトダイオード58に接続された第1センス線30および第2センス線40に流れる。
一方、電気光学装置1の周囲が暗い状態では、操作者が電気光学装置1の表示領域Aで入力用ペン100を操作すると、図9および図10に示すように、入力用ペン100によりバックライト98から射出された光が反射されて、照明領域A3が形成される。この照明領域A3は、バックライト98からの光が反射されない非照明領域A4よりも明るくなっている。よって、照明領域A3に位置するフォトダイオード58Cは、非照明領域A4に位置するフォトダイオード58Dと比べて、大きい電流を出力する。これら電流は、各フォトダイオード58に接続された第1センス線30および第2センス線40に流れる。
【0052】
第1センス線30に流れる電流は、第1検出回路31によりシリアル形式の電圧信号に変換され、操作位置認識回路95および環境光測定回路96に出力される。また、第2センス線40に流れる電流は、第2検出回路41によりシリアル形式の電圧信号に変換され、操作位置認識回路95および環境光測定回路96に出力される。
【0053】
ここで、モード選択回路94によりタッチパネルモードが選択されている。このため、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号に基づいて、環境光測定回路96からバックライト制御回路97に環境光の強度に関する光強度信号が出力されない。このため、バックライト制御回路97により、光強度信号によらず、バックライト98から画素50に供給する光強度が制御される。
【0054】
また、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号に基づいて、操作位置認識回路95から画像処理回路92に入力用ペン100の位置情報が出力される。
すなわち、電気光学装置1の周囲が明るい状態では、まず、上述の電圧信号から所定の電圧より電圧レベルの低いものが抽出される。次に、抽出された電圧に対応する電流を出力したフォトダイオード58が特定される。次に、特定されたフォトダイオード58の位置が表示領域Aでの入力用ペン100の位置として認識され、入力用ペン100の位置情報が画像処理回路92に出力される。
一方、電気光学装置1の周囲が暗い状態では、まず、上述の電圧信号から所定の電圧より電圧レベルの高いものが抽出される。次に、抽出された電圧に対応する電流を出力したフォトダイオード58が特定される。次に、特定されたフォトダイオード58の位置が表示領域Aでの入力用ペン100の位置として認識され、入力用ペン100の位置情報が画像処理回路92に出力される。
【0055】
操作位置認識回路95から入力用ペン100の位置情報が出力されると、画像処理回路92により、この入力用ペン100の位置情報に基づいて画像信号が生成され、この画像信号が液晶パネルAAに供給される。
【0056】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)液晶パネルAAの表示領域Aを画素50に対応して複数の領域に分割し、これら複数の領域ごとに配置された複数のフォトダイオード58と、複数のフォトダイオード58で検出された光強度に基づいて表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識する操作位置認識回路95と、を設けた。このため、各フォトダイオード58を、表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識するデバイスとして利用することもできるし、環境光の強度を測定するデバイスとして利用することもできる。よって、この電気光学装置1は、タッチパネルとして利用できかつ環境光の強度を測定できる。
【0057】
(2)タッチパネルモードで選択的に動作する操作位置認識回路95と、通常表示モードで選択的に動作する環境光測定回路96と、を設けた。よって、表示領域Aでの入力用ペン100の位置の認識を行う期間と、環境光の強度の測定を行う期間と、を選択的に設けることで、表示領域Aでの入力用ペン100を用いた操作により特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を算出でき、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0058】
(3)フォトダイオード58を画素50ごとに配置したので、表示領域Aでの入力用ペン100の位置を画素50ごとに認識できるとともに、環境光の強度を画素50ごとに測定できる。
【0059】
(4)バックライト98およびバックライト制御回路97を設けたので、電気光学装置1の周囲の明るさに応じてバックライト98から供給する光強度を制御でき、電気光学装置1の周囲の明るさにかかわらず、電気光学装置1の表示の視認性を向上できる。
【0060】
(5)複数のフォトダイオード58から出力された電流に基づくシリアル形式の電圧信号のうち所定の電圧範囲内のものに基づいて環境光の強度を測定した。よって、表示領域Aでの入力用ペン100を用いた操作により特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を算出でき、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0061】
(6)遮光膜59上にフォトダイオード58を形成したので、バックライト98からの光がフォトダイオード58に直接供給されるのを防止して、環境光の強度の測定精度を向上できる。
【0062】
<第2実施形態>
図11は、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置1Aの構成を示すブロック図である。
本実施形態では、外部駆動回路90Aは、モード選択回路94、操作位置認識回路95、および環境光測定回路96に代えて、操作可能領域選択回路94A、操作位置認識回路95A、および環境光測定回路96Aを備える点が、第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0063】
図12は、電気光学装置1Aの表示領域Aを示す図である。
操作可能領域選択回路94Aは、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な操作可能領域A5を選択し、操作可能領域A5に位置するフォトダイオード58Eの位置情報を操作位置認識回路95Aに出力する。また、操作可能領域選択回路94Aは、表示領域Aのうち操作可能領域A5を除く操作不能領域A6を選択し、操作不能領域A6に位置するフォトダイオード58Fの位置情報を環境光測定回路96Aに出力する。
【0064】
操作位置認識回路95Aは、操作可能領域選択回路94Aから出力されたフォトダイオード58Eの位置情報と、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号と、が入力される。この操作位置認識回路95Aは、上述のフォトダイオード58Eの位置情報に基づいて、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域に位置するフォトダイオード58Eを認識し、上述のシリアル形式の電圧信号のうちフォトダイオード58Eから出力された電流に対応するものに基づいて、表示領域Aでの入力用ペン100の位置を認識し、入力用ペン100の位置情報を画像処理回路92に出力する。
【0065】
環境光測定回路96Aは、操作可能領域選択回路94Aから出力されたフォトダイオード58Fの位置情報と、第1検出回路31および第2検出回路41から出力されたシリアル形式の電圧信号と、が入力される。この環境光測定回路96Aは、上述のフォトダイオード58Fの位置情報に基づいて、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域を除く領域に位置するフォトダイオード58Fを認識し、上述のシリアル形式の電圧信号のうちフォトダイオード58Fから出力された電流に対応するものに基づいて、環境光の強度を測定し、測定した環境光の強度に関する光強度信号をバックライト制御回路97に出力する。
【0066】
以下、電気光学装置1Aの動作について説明する。
電気光学装置1は、周囲の明るさに応じて表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域内での入力用ペン100の位置を認識することで、タッチパネルとして動作する。また、この電気光学装置1は、上述のようにタッチパネルとして動作しつつ、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域を除く領域で環境光の強度を測定し、この測定した環境光の強度に基づいて、バックライト98から画素50に供給する光強度を制御する。
【0067】
具体的には、電気光学装置1Aは、以下のように動作する。
すなわち、まず、表示領域Aのうち入力用ペン100で操作可能な領域に位置するフォトダイオード58Eの位置情報が操作可能領域選択回路94Aから操作位置認識回路95Aおよび環境光測定回路96Aに出力される。
【0068】
次に、操作可能領域選択回路94Aからフォトダイオード58Eの位置情報が出力されるとともに、第1検出回路31および第2検出回路41からシリアル形式の電圧信号が出力されると、これらシリアル形式の電圧信号のうちフォトダイオード58Eから出力された電流に対応するものに基づいて入力用ペン100の位置が認識され、操作位置認識回路95Aから画像処理回路92に入力用ペン100の位置情報が出力される。
【0069】
また、操作可能領域選択回路94Aからフォトダイオード58Fの位置情報が出力されるとともに、第1検出回路31および第2検出回路41からシリアル形式の電圧信号が出力されると、これらシリアル形式の電圧信号のうちフォトダイオード58Fから出力された電流に対応するものに基づいて、環境光測定回路96Aからバックライト制御回路97に環境光の強度に関する光強度信号が出力される。
【0070】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(7)表示領域Aのうち操作不能領域A6に位置するフォトダイオード58Fにより出力された電流に基づいて環境光の強度を測定したので、表示領域Aのうち操作可能領域A5でどのような操作が行われて特異な光強度が検出されても、この特異な光強度を考慮せずに環境光の強度を測定でき、環境光の強度の測定精度をさらに向上できる。
【0071】
<変形例>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の第2実施形態では、操作可能領域A5および操作不能領域A6の選択を、ハードウェアとしての操作可能領域選択回路94Aにより行ったが、これに限らず、ソフトウェアとしてのプログラムにより行ってもよい。
【0072】
また、上述の各実施形態では、操作位置認識回路95、95Aおよび環境光測定回路96、96Aをそれぞれ別個の回路として設けたが、これに限らず、同一の回路として設けてもよい。
また、上述の各実施形態では、フォトダイオード58を画素50ごとに設けたが、これに限らず、例えば隣接する2つの画素50ごとに設けてもよい。
【0073】
また、上述の各実施形態では、電気光学装置1、1Aは、バックライト98からの光を利用する透過型の表示を行う構成としたが、これに限らず、上述の透過型の表示と、入射する環境光を利用する反射型の表示と、を併用する半透過反射型の表示を行う構成としてもよい。
また、上述の各実施形態では、入力用ペン100を用いて電気光学装置1に入力したが、これに限らず、例えば、操作者の指を用いて入力してもよい。
【0074】
また、上述の各実施形態では、本発明を電気光学物質として液晶を用いた電気光学装置1、1Aに適用したが、これに限らず、液晶以外の電気光学物質を用いた電気光学装置にも適用できる。例えば、有機LED素子を用いた有機ELディスプレイ(OLED)パネル、着色された液体とこの液体に分散された白色の粒子とを含むマイクロカプセルを電気光学物質として用いた電気泳動表示パネル、極性が相違する領域毎に異なる色に塗り分けられたツイストボールを電気光学物質として用いたツイストボールディスプレイパネル、黒色トナーを電気光学物質として用いたトナーディスプレイパネル、あるいは、ヘリウムやネオン等の高圧ガスを電気光学物質として用いたプラズマディスプレイパネルなど各種の電気光学装置に対しても、同様に本発明が適用され得る。
【0075】
また、本実施形態における液晶としては、TN(Twisted Nematic)液晶や負の誘電率を用いた液晶を用いてもよい。また、液晶の表示モードとしては、IPS(In-Plane Switching)やFFS(Fringe-Field Switching)などでもよい。
【0076】
<応用例>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置1を適用した電子機器について説明する。
図13は、電気光学装置1を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに電気光学装置1を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置1に表示される画面がスクロールされる。
【0077】
なお、電気光学装置1が適用される電子機器としては、図13に示すもののほか、パーソナルコンピュータ、情報携帯端末、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】前記電気光学装置の画素のトランジスタレベルの回路図である。
【図3】前記電気光学装置の第1検出回路の構成を示すブロック図である。
【図4】前記電気光学装置の第2検出回路の構成を示すブロック図である。
【図5】前記電気光学装置の液晶パネルの部分断面図である。
【図6】前記電気光学装置のタイミングチャートである。
【図7】前記電気光学装置の周囲が明るい場合の液晶パネルの部分断面図である。
【図8】前記電気光学装置の周囲が明るい場合の表示領域を示す図である。
【図9】前記電気光学装置の周囲が暗い場合の液晶パネルの部分断面図である。
【図10】前記電気光学装置の周囲が暗い場合の表示領域を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図12】前記電気光学装置の表示領域を示す図である。
【図13】上述した電気光学装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1、1A…電気光学装置、30…第1センス線、31…第1検出回路、40…第2センス線、41…第2検出回路、50…画素、58、58A、58B、58C、58D、58E、58F…フォトダイオード(光センサ)、59…遮光膜、90、90A…外部駆動回路、94…モード選択回路、94A…操作可能領域選択回路、95、95A…操作位置認識回路(操作位置認識部)、96、96A…環境光測定回路(環境光測定部)、97…バックライト制御回路(光源制御部)、98…バックライト(光源)、100…入力用ペン、AA…液晶パネル(表示部)、A…表示領域、A1…遮光領域、A2…非遮光領域、A3…照明領域、A4…非照明領域、A5…操作可能領域、A6…操作不能領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配列された表示部を備える電気光学装置であって、
前記表示部は、複数の領域に分割され、
当該複数の領域ごとに配置され、光強度を検出する複数の光センサと、
前記複数の光センサで検出された光強度に基づいて、前記表示部での操作位置の認識または環境光の強度の測定を選択的に行う制御部と、を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置において、
前記光センサは、前記画素ごとに配置されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気光学装置において、
前記表示部に光を供給する光源と、
前記制御部で測定した環境光の強度に基づいて、前記光源の光強度を制御する光源制御部と、を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気光学装置において、
前記制御部は、前記複数の光センサで検出された光強度のうち所定範囲内のものに基づいて、環境光の強度を測定することを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気光学装置において、
前記制御部は、前記複数の光センサのうち所定領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて、前記表示部上の操作位置を認識し、前記複数の光センサのうち前記所定領域を除く領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて、環境光の強度を測定することを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の画素が配列された表示部を備える電気光学装置であって、
前記表示部は、複数の領域に分割され、
当該複数の領域ごとに配置され、光強度を検出する複数の光センサと、
前記複数の光センサで検出された光強度に基づいて、前記表示部での操作位置の認識または環境光の強度の測定を選択的に行う制御部と、を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置において、
前記光センサは、前記画素ごとに配置されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気光学装置において、
前記表示部に光を供給する光源と、
前記制御部で測定した環境光の強度に基づいて、前記光源の光強度を制御する光源制御部と、を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気光学装置において、
前記制御部は、前記複数の光センサで検出された光強度のうち所定範囲内のものに基づいて、環境光の強度を測定することを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気光学装置において、
前記制御部は、前記複数の光センサのうち所定領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて、前記表示部上の操作位置を認識し、前記複数の光センサのうち前記所定領域を除く領域に配置されたものにより検出された光強度に基づいて、環境光の強度を測定することを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−248815(P2007−248815A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72272(P2006−72272)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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