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電気光学装置および電子機器
説明

電気光学装置および電子機器

【課題】データ信号の振幅を圧縮しつつ、データ線の狭ピッチ化を可能とする。
【解決手段】一端がデータ線14に接続された保持容量44と、データ線14の各々の電位をそれぞれ保持する保持容量50と、階調レベルに応じた電位のデータ信号Vd(j)を一旦保持し、保持したデータ信号が所定のタイミングで保持容量44の他端に供給される保持容量41とを備え、これらは半導体基板に形成され、保持容量41は、電気的に並列に接続される第1容量411と第2容量412とを備え、半導体基板150と垂直方向から見たとき、第1容量411と第2容量412とは重なるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画素回路が微細化したときに有効な電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下「OLED」という)素子などの発光素子を用いた電気光学装置が各種提案されている。この電気光学装置では、走査線とデータ線との交差に対応して、上記発光素子やトランジスターなどを含む画素回路が、表示すべき画像の画素に対応して設けられる構成が一般的である。このような構成において、画素の階調レベルに応じた電位のデータ信号が当該トランジスターのゲートに印加されると、当該トランジスターは、ゲート・ソース間の電圧に応じた電流を発光素子に供給する。これにより、当該発光素子は、階調レベルに応じた輝度で発光する。このとき、トランジスターの閾値電圧などの特性が画素回路毎にばらついていると、表示画面の一様性を損なうような表示ムラが発生する。このため、トランジスターの特性を補償する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、電気光学装置に対して、表示サイズの小型化や表示の高精細化が要求されることが多い。表示サイズの小型化と表示の高精細化とを両立するためには、画素回路を微細化する必要があるので、電気光学装置を例えばシリコン集積回路に設ける技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−316462号公報
【特許文献2】特開2009−288435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画素回路を微細化したとき、発光素子への供給電流を微小領域で制御する必要がある。発光素子に供給される電流は、トランジスターのゲート・ソース間の電圧によって制御されるが、微小領域では、ゲート・ソース間の電圧のわずかな変化に対して、発光素子に供給される電流が大きく変化してしまう。
一方、データ信号を出力する回路は、データ線を短時間で充電するために、その駆動能力が高められている。このように高い駆動能力を有する回路において、非常に細かい精度でデータ信号を出力させることは困難である。
そこで、データ信号の振幅を何らかの構成によって圧縮してトランジスターのゲートに供給しようとした場合、その構成を組み込むことによってデータ線の狭ピッチ化が困難になるといった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、データ信号の振幅を圧縮しつつ、データ線の狭ピッチ化を可能とする電気光学装置および電子機器を提供することなどを解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明に係る電気光学装置にあっては、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して設けられた画素回路と、一端が前記データ線に接続された第1保持容量と、前記複数のデータ線の各々に供給された電圧をそれぞれ保持する第2保持容量と、前記データ線に接続され、階調レベルに応じた電圧を有するデータ信号を保持する第3保持容量とを備え、前記第3保持容量が保持したデータ信号が所定のタイミングで前記第1保持容量に供給され、前記複数の走査線、前記複数のデータ線、前記第1保持容量、前記第2保持容量、および前記第3保持容量は、半導体基板上に設けられ、前記第3保持容量は、電気的に並列に接続される第1容量部と第2容量部とを備え、前記半導体基板を垂直方向から見たとき、前記第1容量部と前記第2容量部とが重なるように配置された、ことを特徴とする。
【0006】
第3保持容量はデータ線ごとに設けられるので、半導体基板上での占有面積が大きいとデータ線間の距離を短くできない。一方、第3保持容量はデータ信号を保持するので、電荷のリークを防止して正確な階調を表示するためには、その容量値を大きくする必要がある。この発明によれば、第3保持容量は、並列に接続された第1容量部と第2容量部とを含み、これらが半導体基板と垂直方向から見て重なるように配置したので、小さな面積で大きな容量値を得ることが可能となる。この結果、データ線の狭ピッチ化および半導体基板に占める画素回路の面積の割合を大きくすることが可能となる。
なお、「前記第1容量部と前記第2容量部とが重なる」とは、第1容量部の全部が第2容量部に重なってもよいし、第2容量部の全部が第1容量部に重なってもよいし、あるいは第1容量部の一部と第2容量部の一部が重なってもよい。
【0007】
上述した電気光学装置において、前記第1保持容量と前記第3保持容量とを含み、前記データ線を駆動する駆動回路を備え、前記画素回路は、ゲート・ソース間の電圧に応じた電流を供給する第1トランジスターと、前記第1トランジスターから供給される電流に応じた輝度で発光する発光素子とを備え、前記第1トランジスターと前記発光素子とは、高位側の電源と低位側の電源との間で直列に接続され、前記半導体基板において、前記高位側の電源または低位側の電源と電気的に接続される共通配線が、前記駆動回路を覆うように形成されており、前記第2容量部の一方の電極と前記共通配線とが電気的に接続されている、
【0008】
この発明によれば、共通配線によって駆動回路が覆われるので、駆動回路に外光が入射することに起因する誤動作を防止することができる。さらに、第2容量部の一方の電極と共通配線とが電気的に接続されているので、第3保持容量の下層に形成される回路を遮光するために特別な遮光層を設ける必要が無くなる。しかも、共通配線は駆動回路を覆うように大きな面積で形成されるので、そのインピーダンスを低減できるから、共通配線に接続される高位側の電源または低位側の電源のインピーダンスを低減できる。くわえて、第3保持容量にはデータ信号が保持されるが、共通配線はシールドとしても機能するので、制御回路などからの飛び込みノイズの影響を抑圧できるといった利点もある。
【0009】
より具体的には、前記第2容量部の一方の電極と、第2の誘電体と、前記第2容量部の一方の電極と前記第2の誘電体を介して向かい合う前記第2容量部の他方の電極と、前記半導体基板と垂直方向から見たとき、前記第2容量部の他方の電極と重なるように配置され、前記第2容量部の他方の電極と電気的に接続された前記第1容量部の一方の電極と、第1の誘電体と、前記第1容量部の一方の電極と前記第1の誘電体を介して向かい合い、前記第2容量部の一方の電極と電気的に接続される前記第1容量部の他方の電極とを備えることが好ましい。
さらに、前記第2容量部の他方の電極と前記第1容量部の一方の電極とは共通の配線であってもよい。また、前記第2容量部の一方の電極は、前記共通配線であってもよい。
【0010】
また、上述した電気光学装置において、前記第1保持容量は、第3容量部と第4容量部とを備え、前記半導体基板と垂直方向から見たとき、前記第3容量部と前記第4容量部とが重なるように形成することが好ましい。この発明によれば、第1保持容量はデータ線ごとに設けられるので、半導体基板上での占有面積が大きいとデータ線間の距離を短くできない。一方、第1保持容量と第2保持容量の比によってデータ信号の振幅を圧縮して画素回路に供給できるが、第1保持容量の容量値が大きい程、高い圧縮比を実現できる。この発明によれば、第1保持容量は、並列に接続された第3容量部と第4容量部とを含み、これらが半導体基板と垂直方向から見て重なるように配置したので、小さな面積で大きな容量値を得ることが可能となる。この結果、データ線の狭ピッチ化および半導体基板に占める画素回路の面積の割合を大きくすることが可能となる。
【0011】
より具体的には、前記第4容量部の一方の電極と、第4の誘電体と、前記第4容量部の一方の電極と前記第4の誘電体を介して向かい合う前記第4容量部の他方の電極と、前記半導体基板と垂直方向から見たとき、前記第4容量部の他方の電極と重なるように配置され、前記第4容量部の他方の電極と電気的に接続された前記第3容量部の一方の電極と、 第3の誘電体と、前記第3容量部の一方の電極と前記第3の誘電体を介して向かい合い、前記第4容量部の一方の電極と電気的に接続される前記第3容量部の他方の電極とを、備えることが好ましい。さらに、前記第4容量部の他方の電極と前記第3容量部の一方の電極とは共通の配線であってもよい。
【0012】
また、上述した電気光学装置において、前記画素回路は、前記データ線と前記第1トランジスターのゲートとの間でオンまたはオフする第2トランジスターと、前記第1トランジスターにおけるゲートとドレインとの間でオンまたはオフする第3トランジスターと、を含み、前記駆動回路は、第1期間に、前記データ線と初期電位を給電する第1給電線とを電気的に接続し、前記第1保持容量の他端と所定電位を給電する第2給電線とを電気的に接続し、前記第1期間に続く第2期間に、前記データ線と前記第1給電線とを電気的に非接続とし、前記第1保持容量の他端と第2給電線との接続を維持した状態で前記第2トランジスターおよび前記第3トランジスターをオンさせ、前記第2期間に続く第3期間に、 前記第1保持容量の他端と第2給電線とを電気的に非接続として、前記輝度に応じた電位の信号を前記第1保持容量の他端に供給し、前記第3期間の終了時に、前記第2トランジスターをオフさせ、前記第3期間よりも前に供給された、階調レベルに応じた電位のデータ信号を一旦保持し、前記第3期間に、前記第3保持容量に保持された電位を、前記輝度に応じた電位の信号として前記第1保持容量の他端に供給することが好ましい。
【0013】
本発明によれば、第1期間に、データ線、第1保持容量および第2保持容量が初期化される。第2期間に、第2トランジスターおよび第3トランジスターがそれぞれオンしたとき、データ線および第1トランジスターのゲートは、当該第1トランジスターの閾値電圧に対応した電位となる。第3期間において、第2トランジスターをオンさせた状態で、輝度に応じた電位の信号が第1保持容量の他端に供給されたとき、データ線および第1トランジスターのゲートは、閾値電圧に応じた電位から、当該第1保持容量の他端における電位変動を容量比で分圧した分だけシフトする。このため、第1トランジスターのゲートにおける電位範囲は、第1保持容量の他端における電位範囲に対し狭められる。したがって、本発明によれば、細かい精度のデータ信号を必要としない一方で、トランジスターの特性を補償しつつ、発光素子に供給する電流を精度良く供給することができる。
【0014】
この構成としては、前記第3保持容量に対応して第1スイッチおよび第2スイッチを有し、前記第1スイッチの出力端は前記第1保持容量の他端に接続され、前記第1スイッチの入力端は前記第3保持容量の一端と前記第2スイッチの出力端に接続され、前記第2スイッチの入力端には前記第3期間よりも前に前記データ信号が供給され、前記駆動回路は、前記第3期間よりも前に、前記第1スイッチをオフとした状態で、前記第2スイッチをオンさせ、前記第3期間において前記第2スイッチをオフとした状態で、前記第1スイッチをオンさせる態様が良い。
【0015】
この態様において、少なくとも前記第1期間または前記第2期間において、前記第2スイッチの入力端に前記データ信号が供給されると、データ信号の供給と、第1トランジスターの閾値電圧に応じた電位をゲートにセットする動作とを時間的に並行して実行することができる。
また、このような態様において、前記データ線は複数本毎にグループ化され、一のグループに属する複数本のデータ線に対応した前記第2スイッチの入力端は共通接続され、前記駆動回路は、前記一のグループに属する複数の第2スイッチを、前記データ信号が供給に合わせて所定の順番でオンさせても良い。
また、本発明において、前記画素回路は、前記発光素子における2端子のうち、前記第1トランジスター側の端子と、所定のリセット電位を給電する第3給電線との間でオンまたはオフする第4トランジスターを有する構成としても良い。この構成によれば、発光素子に寄生する容量の保持電圧の影響を抑えることができる。
この構成において、前記第3給電線は、前記複数のデータ線毎に、前記データ線に沿って複数設けられている態様としても良い。
この態様において、前記第2保持容量の一端は前記データ線に接続され、前記第2保持容量の他端は前記第3給電線に接続された構成にすると、例えばデータ線と第3給電線とで絶縁層を挟持することによって第2保持容量を構成すると、当該第2保持容量として比較的大きな容量を小スペースで形成することができる。
前記駆動回路は、前記第3期間に、前記第3トランジスターをオフさせる構成としても良い。
また、前記画素回路は、前記第1トランジスターによって前記発光素子に供給される電流経路でオンまたはオフする第5トランジスターを有し、前記駆動回路は、前記第4トランジスターをオフさせて、前記第5トランジスターをオンさせても良い。これにより、発光素子に寄生する容量をリセットしている期間と、発光素子に電流を供給して発光させる期間とを排他的とすることができる。
前記画素回路は、前記第1トランジスターのゲート・ソース間の電圧を保持する第4保持容量を含んでも良い。この第4保持容量については、当該第1トランジスターの寄生容量でも良いし、別途設けた容量素子でも良い。
【0016】
なお、本発明は、電気光学装置のほか、電気光学装置の駆動方法や、当該電気光学装置を有する電子機器として概念することも可能である。電子機器としては、典型的にはヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)や電子ビューファイダーのなどの表示装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示す斜視図である。
【図2】同電気光学装置の構成を示す図である。
【図3】同電気光学装置における画素回路を示す図である。
【図4】同電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】同電気光学装置の動作説明図である。
【図6】同電気光学装置の動作説明図である。
【図7】同電気光学装置の動作説明図である。
【図8】同電気光学装置の動作説明図である。
【図9】同電気光学装置におけるデータ信号の振幅圧縮を示す図である。
【図10】同電気光学装置におけるトランジスターの特性を示す図である。
【図11】同電気光学装置の第1態様の構造を示す断面図である。
【図12】同電気光学装置の第2態様の構造を示す断面図である。
【図13】同電気光学装置の第3態様の構造を示す断面図である。
【図14】同電気光学装置の第4態様の構造を示す断面図である。
【図15】実施形態等に係る電気光学装置を用いたHMDを示す斜視図である。
【図16】HMDの光学構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0019】
<電気光学装置の電気的構成>
図1は、本発明の実施形態に係る電気光学装置10の構成を示す斜視図である。
電気光学装置10は、例えばヘッドマウント・ディスプレイにおいて画像を表示するマイクロ・ディスプレイである。電気光学装置10の詳細については後述するが、複数の画素回路や当該画素回路を駆動する駆動回路などが例えばシリコン基板に形成された有機EL装置であり、画素回路には、発光素子の一例であるOLEDが用いられている。
電気光学装置10は、表示部で開口する枠状のケース72に収納されるとともに、FPC(Flexible Printed Circuits)基板74の一端が接続されている。FPC基板74には、半導体チップの制御回路5が、COF(Chip On Film)技術によって実装されるとともに、複数の端子76が設けられて、図示省略された上位回路に接続される。当該上位回路から複数の端子76を介して画像データが同期信号に同期して供給される。同期信号には、垂直同期信号や、水平同期信号、ドットクロック信号が含まれる。また、画像データは、表示すべき画像の画素の階調レベルを例えば8ビットで規定する。
制御回路5は、電気光学装置10の電源回路とデータ信号出力回路との機能を兼用するものである。すなわち、制御回路5は、同期信号にしたがって生成した各種の制御信号や各種電位を電気光学装置10に供給するほか、デジタルの画像データをアナログのデータ信号に変換して、電気光学装置10に供給する。
【0020】
図2は、実施形態に係る電気光学装置10の構成を示す図である。この図に示されるように、電気光学装置10は、走査線駆動回路20と、デマルチプレクサ30と、レベルシフト回路40と、表示部100とに大別される。
このうち、表示部100には、表示すべき画像の画素に対応した画素回路110がマトリクス状に配列されている。詳細には、表示部100において、m行の走査線12が図において横方向に延在して設けられ、また、3列毎にグループ化された(3n)列のデータ線14が図において縦方向に延在し、かつ、各走査線12と互いに電気的な絶縁を保って設けられている。そして、m行の走査線12と(3n)列のデータ線14との交差部に対応して画素回路110が設けられている。このため、本実施形態において画素回路110は、縦m行×横(3n)列でマトリクス状に配列されている。
【0021】
ここで、m、nは、いずれも自然数である。走査線12および画素回路110のマトリクスのうち、行(ロウ)を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、(m−1)、m行と呼ぶ場合がある。同様にデータ線14および画素回路110のマトリクスの列(カラム)を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、(3n−1)、(3n)列と呼ぶ場合がある。また、データ線14のグループを一般化して説明するために、1以上n以下の整数jを用いると、左から数えてj番目のグループには、(3j−2)列目、(3j−1)列目および(3j)列目のデータ線14が属している、ということになる。
なお、同一行の走査線12と同一グループに属する3列のデータ線14との交差に対応した3つの画素回路110は、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)の画素に対応して、これらの3画素が表示すべきカラー画像の1ドットを表現する。すなわち、本実施形態では、RGBに対応したOLEDの発光によって1ドットのカラーを加法混色で表現する構成となっている。
【0022】
本実施形態では、列毎に給電線16(第3給電線)がデータ線14に沿ってそれぞれ設けられている。各給電線16にはリセット電位としての電位Vorstが共通に給電されている。また、列毎に保持容量50が設けられている。詳細には、保持容量の一端はデータ線14に接続され、他端が給電線16に接続されている。このため、保持容量50は、データ線14の電位を保持する第2保持容量として機能する。
なお、保持容量50については、データ線14を構成する配線と、給電線16を構成する配線とで、絶縁体(誘電体)を挟持することによって形成される構成が好ましい。
また、保持容量50については、図2では表示部100の外側に設けられているが、これはあくまでも等価回路であり、表示部100の内側に、または、内側から外側にわたって設けられも良いのはもちろんである。また、図2では省略しているが、保持容量50の容量をCdtとする。
【0023】
さて、電気光学装置10には、次のような制御信号が制御回路5によって供給される。詳細には、電気光学装置10には、走査線駆動回路20を制御するための制御信号Ctrと、デマルチプレクサ30での選択を制御するための制御信号Sel(1)、Sel(2)、Sel(3)と、これらの信号に対して論理反転の関係にある制御信号/Sel(1)、/Sel(2)、/Sel(3)と、レベルシフト回路40を制御するための負論理の制御信号/Giniと、正論理の制御信号Grefとが供給される。なお、制御信号Ctrには、実際にはパルス信号や、クロック信号、イネーブル信号など、複数の信号が含まれる。
また、電気光学装置10には、デマルチプレクサ30での選択タイミングに合わせてデータ信号Vd(1)、Vd(2)、…、Vd(n)が、1、2、…、n番目のグループに対応して制御回路5によって供給される。なお、データ信号Vd(1)〜Vd(n)が取り得る電位の最高値をVmaxとし、最低値をVminとする。
【0024】
走査線駆動回路20は、フレームの期間にわたって走査線12を1行毎に順番に走査するための走査信号を、制御信号Ctrにしたがって生成するものである。ここで、1、2、3、…、(m−1)、m行目の走査線12に供給される走査信号を、それぞれGwr(1)、Gwr(2)、Gwr(3)、…、Gwr(m-1)、Gwr(m)と表記している。
なお、走査線駆動回路20は、走査信号Gwr(1)〜Gwr(m)のほかにも、当該走査信号に同期した各種の制御信号を行毎に生成して表示部100に供給するが、図2においては図示を省略している。また、フレームの期間とは、電気光学装置10が1カット(コマ)分の画像を表示するのに要する期間をいい、例えば同期信号に含まれる垂直同期信号の周波数が120Hzであれば、その1周期分の8.3ミリ秒の期間である。
【0025】
デマルチプレクサ30は、列毎に設けられたトランスミッションゲート34の集合体であり、各グループを構成する3列に、データ信号を順番に供給するものである。
ここで、j番目のグループに属する(3j−2)、(3j−1)、(3j)列に対応したトランスミッションゲート34の入力端は互いに共通接続されて、その共通端子にそれぞれデータ信号Vd(j)が供給される。
j番目のグループにおいて左端列である(3j−2)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(1)がHレベルであるとき(制御信号/Sel(1)がLレベルであるとき)にオン(導通)する。同様に、j番目のグループにおいて中央列である(3j−1)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(2)がHレベルであるとき(制御信号/Sel(2)がLレベルであるとき)にオンし、j番目のグループにおいて右端列である(3j)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(3)がHレベルであるとき(制御信号/Sel(3)がLレベルであるとき)にオンする。
【0026】
レベルシフト回路40は、保持容量44とPチャネルMOS型のトランジスター45とNチャネルMOS型のトランジスター43との組を列毎に有し、各列のトランスミッションゲート34の出力端から出力されるデータ信号の電位をシフトするものである。ここで、保持容量44の一端は、対応する列のデータ線14とトランジスター45のドレインノードとに接続される一方、保持容量44の他端は、トランスミッションゲート34の出力端とトランジスター43のドレインノードとに接続される。このため、保持容量44は、一端がデータ線14に接続された第1保持容量として機能する。図2では省略しているが、保持容量44の容量をCrf1とする。
【0027】
各列のトランジスター45のソースノードは、初期電位として電位Viniを給電する給電線61に各列にわたって共通に接続され、ゲートノードには、制御信号/Giniが各列にわたって共通に供給される。このため、トランジスター45は、データ線14と給電線61とを、制御信号/GiniがLレベルのときに電気的に接続し、制御信号/GiniがHレベルのときに電気的に非接続とする構成となっている。
また、各列のトランジスター43のソースノードは、所定電位として電位Vrefを給電する給電線62に各列にわたって共通に接続され、ゲートノードには、制御信号Grefが各列にわたって共通に供給される。このため、トランジスター43は、保持容量44の他端であるノードhと給電線62とを、制御信号GrefがHレベルのときに電気的に接続し、制御信号GrefがLレベルのときに電気的に非接続とする構成となっている。
【0028】
また、各列においてトランスミッションゲート42は、トランスミッションゲート34の出力端と保持容量44の他端との間に、電気的に介挿されている。すなわち、トランスミッションゲート42の入力端がトランスミッションゲート34の出力端に接続され、トランスミッションゲート42の出力端が保持容量44の他端に接続されている。このため、トランスミッションゲート42が第1スイッチとして機能する。
なお、各列のトランスミッションゲート42は、制御回路5から供給される制御信号GcplがHレベルであるとき(制御信号/GcplがLレベルであるとき)に一斉にオンする。
一方、デマルチプレクサ30におけるトランスミッションゲート34が第2スイッチとして機能する。
【0029】
また、各列において保持容量41の一端は、トランスミッションゲート34の出力端(トランスミッションゲート42の入力端)に接続され、保持容量41の他端は、固定電位、例えば電位Vssに共通に接地されている。図2では省略しているが、保持容量41の容量をCrf2とする。なお、電位Vssは、論理信号である走査信号や制御信号のLレベルに相当する。また、保持容量41はデータ信号を一旦保持し、保持したデータ信号が所定のタイミングで保持容量44の他端に供給される第3保持容量として機能する。なお、保持容量41は一本のデータ線14に対して一つ接続されており、表示部100の外側に設けられている。
【0030】
本実施形態では、便宜的に走査線駆動回路20、デマルチプレクサ30およびレベルシフト回路40に分けているが、これらについては、画素回路110を駆動する駆動回路としてまとめて概念することが可能である。
【0031】
図3を参照して画素回路110について説明する。各画素回路110については電気的にみれば互いに同一構成なので、ここでは、i行目であって、j番目のグループのうち左端列の(3j−2)列目に位置するi行(3j−2)列の画素回路110を例にとって説明する。
なお、iは、画素回路110が配列する行を一般的に示す場合の記号であって、1以上m以下の整数である。
【0032】
図3に示されるように、画素回路110は、PチャネルMOS型のトランジスター121〜125と、OLED130と、保持容量132とを含む。この画素回路110には、走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)、Gcmp(i)、Gorst(i)が供給される。ここで、走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)、Gcmp(i)、Gorst(i)は、それぞれi行目に対応して走査線駆動回路20によって供給されるものである。このため、走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)、Gcmp(i)、Gorst(i)は、i行目であれば、着目している(3j−2)列以外の他の列の画素回路にも共通に供給される。
【0033】
i行(3j−2)列の画素回路110におけるトランジスター122にあっては、ゲートノードがi行目の走査線12に接続され、ドレインまたはソースノードの一方が(3j−2)列目のデータ線14に接続され、他方がトランジスター121におけるゲートノードgと、保持容量132の一端と、トランジスター123のドレインノードとにそれぞれ接続されている。ここで、トランジスター121のゲートノードについては、他のノードと区別するためにgと表記する。
トランジスター121にあっては、ソースノードが給電線116に接続され、ドレインノードがトランジスター123のソースノードと、トランジスター124のソースノードとにそれぞれ接続されている。ここで、給電線116には、画素回路110において電源の高位側となる電位Velが給電される。
トランジスター123にあって、ゲートノードには制御信号Gcmp(i)が供給される。
トランジスター124にあって、ゲートノードには制御信号Gel(i)が供給され、ドレインノードがトランジスター125のソースノードとOLED130のアノードとにそれぞれ接続されている。
トランジスター125にあって、ゲートノードにはi行目に対応した制御信号Gorst(i)が供給され、ドレインノードは(3j−2)列目に対応した給電線16に接続されて電位Vorstに保たれている。
【0034】
ここで、トランジスター121が第1トランジスターに相当し、トランジスター122が第2トランジスターに相当し、トランジスター123が第3トランジスターに相当する。また、トランジスター125が第4トランジスターに相当し、トランジスター124が第5トランジスターに相当する。
【0035】
保持容量132の他端は、給電線116に接続される。このため、保持容量132は、トランジスター121のソース・ゲート間の電圧を保持することになる。ここで、保持容量132の容量をCpixと表記したとき、保持容量50の容量Cdtと、保持容量44の容量Crf1と、保持容量132の容量Cpixとは、
Cdt>Crf1>>Cpix
となるように設定される。
すなわち、CdtはCrf1よりも大きく、CpixはCdtおよびCrf1よりも十分に小さくなるように設定される。
なお、保持容量132としては、トランジスター121のゲートノードgに寄生する容量を用いても良いし、シリコン基板において互いに異なる導電層で絶縁層を挟持することによって形成される容量を用いても良い。
【0036】
本実施形態において電気光学装置10はシリコン基板に形成されるので、トランジスター121〜125の基板電位については電位Velとしている。
【0037】
OLED130のアノードは、画素回路110毎に個別に設けられる画素電極である。これに対して、OLED130のカソードは、画素回路110のすべてにわたって共通の共通電極118であり、画素回路110において電源の低位側となる電位Vctに保たれている。
OLED130は、上記シリコン基板において、アノードと光透過性を有するカソードとで白色有機EL層を挟持した素子である。そして、OLED130の出射側(カソード側)にはRGBのいずれかに対応したカラーフィルターが重ねられる。
このようなOLED130において、アノードからカソードに電流が流れると、アノードから注入された正孔とカソードから注入された電子とが有機EL層で再結合して励起子が生成され、白色光が発生する。このときに発生した白色光は、シリコン基板(アノード)とは反対側のカソードを透過し、カラーフィルターによる着色を経て、観察者側に視認される構成となっている。
【0038】
<電気光学装置の動作>
図4を参照して電気光学装置10の動作について説明する。図4は、電気光学装置10における各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
この図に示されるように、走査信号Gwr(1)〜Gwr(m)が順次Lレベルに切り替えられて、1フレームの期間において1〜m行目の走査線12が1水平走査期間(H)毎に順番に走査される。
1水平走査期間(H)での動作は、各行の画素回路110にわたって共通である。そこで以下については、i行目が水平走査される走査期間において、特にi行(3j−2)列の画素回路110について着目して動作を説明する。
【0039】
本実施形態ではi行目の走査期間は、大別すると、図4において(b)で示される初期化期間と(c)で示される補償期間と(d)で示される書込期間とに分けられる。そして、(d)の書込期間の後、間をおいて(a)で示されるの発光期間となり、1フレームの期間経過後に再びi行目の走査期間に至る。このため、時間の順でいえば、(発光期間)→初期化期間→補償期間→書込期間→(発光期間)というサイクルの繰り返しとなる。
なお、図4において、i行目に対し1行前の(i−1)行目に対応する走査信号Gwr(i-1)、制御信号Gel(i-1)、Gcmp(i-1)、Gorst(i-1)の各々については、i行目に対応する走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)、Gcmp(i)、Gorst(i)よりも、それぞれ時間的に1水平走査期間(H)だけ時間的に先行した波形となる。
なお、(d)の書込期間は、制御信号GcplがLからHレベルになるとき(制御信号/GcplがLレベルになったとき)から走査信号がLからHレベルになるときまでの期間である。また、本実施形態において、データ信号の供給期間イコール書込期間ではなく、データ信号の供給が書込期間よりも先行している。詳細には、(a)の初期化期間と(b)の補償期間とにわたって、データ信号が供給され得る。
【0040】
<発光期間>
説明の便宜上、初期化期間の前提となる発光期間から説明する。図4に示されるように、i行目の発光期間では、走査信号Gwr(i)がHレベルであり、制御信号Gel(i)はLレベルである。また、論理信号である制御信号Gel(i)、Gcmp(i)、Gorst(i)のうち、制御信号Gel(i)がLレベルであり、制御信号Gcmp(i)、Gorst(i)がHレベルである。
このため、図5に示されるようにi行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする一方、トランジスター122、123、125がオフする。したがって、トランジスター121は、ゲート・ソース間の電圧Vgsに応じた電流IdsをOLED130に供給する。後述するように、本実施形態において発光期間での電圧Vgsは、トランジスター121の閾値電圧から、データ信号の電位に応じてレベルシフトした値である。このため、OLED130には、階調レベルに応じた電流がトランジスター121の閾値電圧を補償した状態で供給されることになる。
【0041】
なお、i行目の発光期間は、i行目以外が水平走査される期間であるから、データ線14の電位は適宜変動する。ただし、i行目の画素回路110においては、トランジスター122がオフしているので、ここでは、データ線14の電位変動を考慮していない。
また、図5においては、動作説明で重要となる経路を太線で示している(以下の図6〜図8においても同様である)。
【0042】
<初期化期間>
次にi行目の走査期間に至ると、まず、第1期間として(b)の初期化期間が開始する。初期化期間では、発光期間と比較して、制御信号Gel(i)がHレベルに、制御信号Gorst(i)がLレベルに、それぞれ変化する。
このため、図6に示されるように、i行(3j−2)列の画素回路110においてはトランジスター124がオフし、トランジスター125がオンする。これによってOLED130に供給される電流の経路が遮断されるとともに、OLED130のアノードが電位Vorstにリセットされる。
OLED130は、上述したようにアノードとカソードとで有機EL層を挟持した構成であるので、アノード・カソードの間には、図において破線で示されるように容量Coledが並列に寄生する。発光期間においてOLED130に電流が流れていたときに、当該OLED130のアノード・カソード間の両端電圧が当該容量Coledによって保持されるが、この保持電圧は、トランジスター125のオンによってリセットされる。このため、本実施形態では、後の発光期間においてOLED130に再び電流が流れるときに、当該容量Coledで保持されている電圧の影響を受けにくくなる。
【0043】
詳細には、例えば高輝度の表示状態から低輝度の表示状態に転じるときに、リセットしない構成であると、輝度が高い(大電流が流れた)ときの高電圧が保持されてしまうので、次に、小電流を流そうとしても、過剰な電流が流れてしまって、低輝度の表示状態にさせることができなくなる。これに対して、本実施形態では、トランジスター125のオンによってOLED130のアノードの電位がリセットされるので、低輝度側の再現性が高められることになる。
なお、本実施形態において、電位Vorstについては、当該電位Vorstと共通電極118の電位Vctとの差がOLED130の発光閾値電圧を下回るように設定される。このため、初期化期間(次に説明する補償期間および書込期間)において、OLED130はオフ(非発光)状態である。
【0044】
一方、初期化期間では、制御信号/GiniがLレベルになり、制御信号GrefがHレベルになるので、レベルシフト回路40においては、図6に示されるようにトランジスター45、43がそれぞれオンする。このため、保持容量44の一端であるデータ線14は電位Viniに、保持容量44の他端であるノードhは電位Vrefに、それぞれ初期化される。
【0045】
本実施形態において電位Viniについては、(Vel−Vini)がトランジスター121の閾値電圧|Vth|よりも大きくなるように設定される。なお、トランジスター121はPチャネル型であるので、ソースノードの電位を基準とした閾値電圧Vthは負である。そこで、高低関係の説明で混乱が生じるのを防ぐために、閾値電圧については、絶対値の|Vth|で表し、大小関係で規定することにする。
また、本実施形態において電位Vrefについては、データ信号Vd(1)〜Vd(n)が取り得る電位に対して、後の書込期間においてノードhの電位が上昇変化するような値に、例えば最低値Vminよりも低くなるように設定される。
【0046】
制御回路5は、初期化期間および補償期間にわたってデータ信号を供給する。すなわち、制御回路5は、j番目のグループでいえば、データ信号Vd(j)を順番に、i行(3j−2)列、i行(3j−1)列、i行(3j)列の画素の階調レベルに応じた電位に切り替える一方、データ信号の電位の切り替えに合わせて制御信号Sel(1)、Sel(2)、Sel(3)を順番に排他的にHレベルとする。これによって、デマルチプレクサ30では、各グループにおいてトランスミッションゲート34がそれぞれ左端列、中央列、右端列の順番でオンする。
ここで、初期化期間において、j番目のグループに属する左端列のトランスミッションゲート34が制御信号Sel(1)によってオンする場合、図14に示されるように、データ信号Vd(j)が保持容量41の一端に供給されるので、当該データ信号は、保持容量41によって保持される。
【0047】
<補償期間>
i行目の走査期間では、次に第2期間として(c)の補償期間となる。補償期間では初期化期間と比較して、走査信号Gwr(i)および制御信号Gcmp(i)がLレベルとなる。一方、補償期間では、制御信号GrefがHレベルに維持された状態で制御信号/GiniがHレベルになる。
このため、図7に示されるように、レベルシフト回路40においては、トランジスター43がオンした状態でトランジスター45がオフすることによって、ノードhが電位Vrefに固定される。一方、i行(3j−2)列の画素回路110ではトランジスター122がオンすることによって、ゲートノードgがデータ線14に電気的に接続されるので、補償期間の開始当初においてゲートノードgは電位Viniとなる。
【0048】
補償期間においてトランジスター123がオンするので、トランジスター121はダイオード接続となる。このため、トランジスター121にはドレイン電流が流れて、ゲートノードgおよびデータ線14を充電する。詳細には、電流が、給電線116→トランジスター121→トランジスター123→トランジスター122→(3j−2)列目のデータ線14という経路で流れる。このため、トランジスター121のオンによって互いに接続状態にあるデータ線14およびゲートノードgは、電位Viniから上昇する。
ただし、上記経路に流れる電流は、ゲートノードgが電位(Vel−|Vth|)に近づくにつれて流れにくくなるので、補償期間の終了に至るまでに、データ線14およびゲートノードgは電位(Vel−|Vth|)で飽和する。したがって、保持容量132は、補償期間の終了に至るまでにトランジスター121の閾値電圧|Vth|を保持することになる。
【0049】
補償期間では、制御信号GrefがHレベルを維持した状態で制御信号/GiniがHレベルになるので、レベルシフト回路40においてノードhは電位Vrefに固定される。
また、補償期間において、j番目のグループに属する左端列のトランスミッションゲート34が制御信号Sel(1)によってオンする場合、データ信号Vd(j)が保持容量41によって保持される。
【0050】
なお、すでに初期化期間において、j番目のグループに属する左端列のトランスミッションゲート34が制御信号Sel(1)によってオンした場合には、補償期間において、当該トランスミッションゲート34はオンすることはないが、保持容量41にデータ信号Vd(j)が保持されている点において変わりはない。
また、補償期間が終了すると、制御信号Gcmp(i)がHレベルになるので、トランジスター121のダイオード接続が解除される。
【0051】
補償期間が終了してから次の書込期間が開始するまでの間において制御信号GrefがLレベルになるので、トランジスター43がオフになる。このため、(3j−2)列目のデータ線14からi行(3j−2)列の画素回路110におけるゲートノードgに至るまでの経路は、フローティング状態になるものの、当該経路の電位は、保持容量50、132によって(Vel−|Vth|)に維持される。
【0052】
<書込期間>
初期化期間の後、第3期間として(d)の書込期間に至る。書込期間では、制御信号Gcmp(i)がHレベルになるので、トランジスター121のダイオード接続が解除される一方、制御信号GrefがLレベルになるので、トランジスター43がオフになる。このため、(3j−2)列目のデータ線14からi行(3j−2)列の画素回路110におけるゲートノードgに至るまでの経路はフローティング状態になるものの、当該経路における電位は、保持容量50、132によって(Vel−|Vth|)に維持される。
【0053】
i行目の書込期間において制御回路5は、j番目のグループでいえば、データ信号Vd(j)を順番に、i行(3j−2)列、i行(3j−1)列、i行(3j)列の画素の階調レベルに応じた電位に切り替える。一方、制御回路5は、データ信号の電位の切り替えに合わせて制御信号Sel(1)、Sel(2)、Sel(3)を順番に排他的にHレベルとする。制御回路5は、図4では省略しているが、制御信号Sel(1)、Sel(2)、Sel(3)とは論理反転の関係にある制御信号/Sel(1)、/Sel(2)、/Sel(3)についても出力している。これによって、デマルチプレクサ30では、各グループにおいてトランスミッションゲート34がそれぞれ左端列、中央列、右端列の順番でオンする。
【0054】
ここで、左端列のトランスミッションゲート34が制御信号Sel(1)、/Sel(1)によってオンしたとき、図8に示されるように、保持容量44の他端であるノードhは、初期化期間および補償期間において固定された電位Vrefから、データ信号Vd(j)の電位に、すなわちi行(3j−2)列の画素の階調レベルに応じた電位に変化する。
また、書込期間においては、制御信号GcplがHレベルとなる(制御信号/GcplがLレベルとなる)。このため、レベルシフト回路40においてトランスミッションゲート42がオンするので、保持容量41に保持されたデータ信号が保持容量44の他端であるノードhに供給される。このため、ノードhは、補償期間における電位Vrefからシフトする。このときのノードhの電位変化分をΔVとして、変化後の電位を(Vref+ΔV)として表すことにする。
一方、ゲートノードgは、保持容量44の一端にデータ線14を介して接続されているので、補償期間における電位(Vel−|Vth|)から、ノードhの電位変化分ΔVに容量比k1を乗じた値だけ、上昇方向にシフトした値(Vel−|Vth|+k1・ΔV)となる。このとき、トランジスター121の電圧Vgsで絶対値で表現すると、閾値電圧|Vth|からゲートノードgの電位上昇したシフト分だけ減じた値(|Vth|−k1・ΔV)となる。
なお、容量比k1は、Crf1/(Cdt+Crf1)である。厳密にいえば、保持容量132の容量Cpixも考慮しなければならないが、容量Cpixは、容量Crf1、Cdtに比較して十分に小さくなるように設定しているので、無視している。
【0055】
図9は、書込期間におけるデータ信号の電位とゲートノードgの電位との関係を示す図である。制御回路5から供給されるデータ信号は、上述したように画素の階調レベルに応じて最小値Vminから最大値Vmaxまでの電位範囲を取り得る。本実施形態では、当該データ信号が直接ゲートノードgに書き込まれるのではなく、図に示されるようにレベルシフトされて、ゲートノート゛gに書き込まれる。
このとき、ゲートノードgの電位範囲ΔVgateは、データ信号の電位範囲ΔVdata(=Vmax−Vmin)に容量比k1を乗じた値に圧縮される。例えば、Crf1:Cdt=1:9となるように保持容量44、50の容量を設定したとき、ゲートノードgの電位範囲ΔVgateをデータ信号の電位範囲ΔVdataの1/10に圧縮することができる。
また、ゲートノードgの電位範囲ΔVgateを、データ信号の電位範囲ΔVdataに対してどの方向にどれだけシフトさせるかについては、電位Vp(=Vel−|Vth|)、Vrefで定めることができる。これは、データ信号の電位範囲ΔVdataが、電位Vrefを基準にして容量比k1で圧縮されるとともに、その圧縮範囲が電位Vpを基準にシフトされたものが、ゲートノードgの電位範囲ΔVgateとなるためである。
【0056】
このようにi行目の書込期間において、i行目の画素回路110のゲートノードgには、補償期間における電位(Vel−|Vth|)から、ノードhの電位変化分ΔVに容量比k1を応じた分だけシフトした電位(Vel−|Vth|+k1・ΔV)が書き込まれる。
やがて走査信号Gwr(i)がHレベルになり、トランジスター122がオフする。これによって書込期間が終了して、ゲートノードgの電位は、シフトされた値に確定する。
【0057】
<発光期間>
i行目の書込期間の終了した後、1水平走査期間の間をおいて発光期間に至る。この発光期間では、上述したように制御信号Gel(i)がLレベルになるので、i行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする。ゲート・ソース間の電圧Vgsは、(|Vth|−k1・ΔV)であるから、OLED130には、先の図5に示したように、階調レベルに応じた電流がトランジスター121の閾値電圧を補償した状態で供給されることになる。
このような動作は、i行目の走査期間において、(3j−2)列目の画素回路110以外のi行目の他の画素回路110においても時間的に並列して実行される。さらに、このようなi行目の動作は、実際には、1フレームの期間において1、2、3、…、(m−1)、m行目の順番で実行されるとともに、フレーム毎に繰り返される。
【0058】
本実施形態によれば、ゲートノードgにおける電位範囲ΔVgateは、データ信号の電位範囲ΔVdataに対し狭められるので、データ信号を細かい精度で刻まなくても、階調レベルを反映した電圧を、トランジスター121のゲート・ソース間に印加することができる。このため、微細な画素回路110においてトランジスター121のゲート・ソース間の電圧Vgsの変化に対しOLED130に流れる微小電流が相対的に大きく変化する場合であっても、OLED130に供給する電流を精度良く制御することが可能になる。
【0059】
また、図3において破線で示されるようにデータ線14と画素回路110におけるゲートノードgとの間には容量Cprsが実際には寄生する。このため、データ線14の電位変化幅が大きいと、当該容量Cprsを介してゲートノードgに伝播し、いわゆるクロストークやムラなどが発生して表示品位を低下させてしまう。当該容量Cprsの影響は、画素回路110が微細化されたときに顕著に現れる。
これに対して、本実施形態においては、データ線14の電位変化範囲についても、データ信号の電位範囲ΔVdataに対し狭められるので、容量Cprsを介した影響を抑えることができる。
【0060】
本実施形態によれば、トランジスター125をオンさせる期間、すなわちOLED130のリセット期間として、走査期間よりも長い期間、例えば2水平走査期間を確保することができるので、発光期間においてOLED130の寄生容量に保持された電圧を十分に初期化することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、トランジスター121によってOLED130に供給される電流Idsは、閾値電圧の影響が相殺される。このため、本実施形態によれば、トランジスター121の閾値電圧が画素回路110毎にばらついても、そのばらつきが補償されて、階調レベルに応じた電流がOLED130に供給されるので、表示画面の一様性を損なうような表示ムラの発生を抑えられる結果、高品位の表示が可能になる。
【0062】
この相殺について図10を参照して説明する。この図に示されるように、トランジスター121は、OLED130に供給する微小電流を制御するために、弱反転領域(サブスレッショルド領域)で動作する。
図において、Aは閾値電圧|Vth|が大きいトランジスターを、Bは閾値電圧|Vth|が小さいトランジスターを、それぞれ示している。なお、図10において、ゲート・ソース間の電圧Vgsは、実線で示される特性と電位Velとの差である。また、図10において、縦スケールの電流は、ソースからドレインに向かう方向を正(上)とした対数で示されている。
補償期間においてゲートノードgは、電位Viniから電位(Vel−|Vth|)となる。このため、閾値電圧|Vth|が大きいトランジスターAは、動作点がSからAaに移動する一方、閾値電圧|Vth|が小さいトランジスターBは、動作点がSからBaに移動する。
次に、2つのトランジスターが属する画素回路110へのデータ信号の電位が同じ場合、つまり同じ階調レベルが指定された場合に、書込期間においては、動作点Aa、Baからの電位シフト量は、ともに同じk1・ΔVである。このため、トランジスターAについては動作点がAaからAbに移動し、トランジスターBについては動作点がBaからBbに移動するが、電位シフト後の動作点における電流は、トランジスターA、Bともに、ほぼ同じIdsで揃うことになる。
【0063】
さらに、制御回路5からデマルチプレクサ30を介して供給されるデータ信号を、保持容量41に保持させる動作が、初期化期間から補償期間までにわたって実行される。このため、1水平走査期間に実行すべき動作について時間的な制約を緩和することができる。
例えば、補償期間においてゲート・ソース間電圧Vgsが閾値電圧に近づくにつれ、トランジスター121に流れる電流が低下するので、ゲートノードgを電位(Vel−|Vth|)に収束するまで時間を要するが、補償期間を長く確保することができる。トランジスター121の閾値電圧のばらつきを、精度良く補償することができる。また、データ信号の供給動作についても低速化することができる。
【0064】
<電気光学装置の構造>
次に、電気光学装置10の構造について4つの態様を例示する。
<第1態様>
図11に、図3に示すデマルチプレクサ30およびレベルシフト回路40の点線で囲まれた構成Qの断面構造の一例を示す。この図に示すように半導体基板150にNウエル160が形成される。半導体基板150およびNウエル160は、電気光学装置10に共通であって、走査線駆動回路20や表示部100もこれらの上に形成されている。Nウエル160にはイオンがドープされた拡散層P1、P2、P3、およびP4が形成されている。さらにゲート絶縁膜170を介してゲート電極G1およびG2が形成される。ゲート電極G1およびG2は、ポリシリコンで構成される。トランジスター34Pは図3に示すトランスミッションゲート34を構成し、トランジスター42Pはトランスミッションゲート42を構成する。
【0065】
拡散層P1およびP2の一方は、トランジスター34Pのドレイン電極であり、他方はソース電極である。ゲート電極G1およびG2の上には第1絶縁層175が形成される。拡散層P1はコンタクトホールH1を介して配線181に接続されている。配線181は、図3に示すノードN1に相当し、そこにはデータ信号Vd(j)が供給される。また、ゲート電極G1はコンタクトホールH2を介してゲート配線182に接続されている。拡散層P2はコンタクトホールH3を介して配線183に接続されている。
【0066】
また、拡散層P3およびP4の一方は、トランジスター42Pのドレイン電極であり、他方はソース電極である。拡散層P3はコンタクトホールH4を介して配線185に接続されている。また、ゲート電極G2はコンタクトホールH5を介してゲート配線186に接続されている。拡散層P4はコンタクトホールH6を介して配線183に接続されている。なお、配線181〜188は、アルミなどの導電性の金属で構成される。
【0067】
次に、トランジスター34Pと42Pの間に設けられる保持容量41(第3保持容量)について説明する。保持容量41は、第1容量411と第2容量412とを備える。第1容量411は、電極411a(他方の電極)と、電極411b(一方の電極)と、第3絶縁層190(第1の誘電体)とを備える。一方、第2容量412は、電極412a(他方の電極)と、電極412b(一方の電極)と、第5絶縁層210(第2の誘電体)とを備える。
【0068】
第1容量411の電極411aは、第2絶縁層180に形成されたコンタクトホールH12を介して配線184に接続されている。配線184は電位Vctが供給される共通電極118(共通配線)と電気的に接続されている。一方、第1容量41の電極411bは、接続配線191を介して第2容量の電極412aと接続されている。第4絶縁層200は、SiNやSiOなどを用いて構成することができる。接続配線191を設けたのは、電極411aと電極411bとの距離を短くして第1容量41の容量値を大きくするためである。なお、共通電極118の上には、OLED130の陰極240が形成される。
【0069】
第2容量412の電極412bは、接続配線201を介して共通電極118と接続されている。第6絶縁層220は、SiNやSiOなどを用いて構成することができる。第2容量412の電極412aはコンタクトホールH21を介して配線192と接続され、配線192はコンタクトホールH11を介してトランジスター34Pと接続されている。さらに、電極412aはコンタクトホールH22を介して配線193と接続され、配線193はコンタクトホールH13を介してトランジスター42Pと接続されている。
【0070】
すなわち、保持容量41は、第1容量411と第2容量412とを並列に接続して構成され、電極412aおよび電極411bは、図3に示すノードN2に相当する。このように、半導体基板150に対して垂直方向から見たとき第1容量411と第2容量412とを重なるように配置したので、保持容量41の面積を縮小することが可能となる。
【0071】
次に、保持容量44について説明する。保持容量44は、電極194と、電極195と、第3絶縁層190とを備える。電極194はコンタクトホールH14を介してトランジスター42Pと接続されている。電極194は、図3に示すノードhに相当する。電極195は、接続配線196を介して配線211と接続されている。配線211はコンタクトホールH23を介して配線197と接続され、さらに、配線197はコンタクトホールを介してデータ線14と接続される。
【0072】
保持容量41は、図7を参照して説明したように補償期間において、トランスミッションゲート34を介して供給されるデータ信号を保持し、図8に示す書込期間においてトランスミッションゲート42を介して保持容量44のノードhにデータ信号を供給する機能がある。したがって、保持している期間に電荷のリークが発生すると、ノードhに正確なデータ信号を供給できなくなる。このため、保持容量41の容量値Crf2は大きいことが望ましい。一方、電気光学装置10を小型化するためには、保持容量41の占有面積を小さくする必要がある。上述した第1態様によれば、保持容量41を第1容量411および第2容量412から構成し、半導体基板150と垂直な方向から見たとき、第1容量411と第2容量412とが重なるように配置したので、保持容量41の面積を縮小しつつ、大きな容量値を得ることができる。また、保持容量41は表示部100に配置される複数の画素回路110の列毎に設ける必要があるところ、その面積を縮小することができるので、列間の距離を短くでき、高精細な画像を表示することが可能となる。さらに、駆動回路の面積を縮小できるので、電気光学装置10に占める表示部100以外の面積を縮小し、いわゆる狭額縁化を実現できる。
【0073】
くわえて、駆動回路においては、外光が入射すると誤動作する可能性がある。一方、表示部100において、共通電極118の電位が場所によってばらつくと輝度ムラが発生するため、共通電極118のインピーダンスは低いことが望ましい。そこで、本実施形態では、共通電極118が、表示部100を覆い、さらにレベルシフト回路40やデマルチプレクサ30などの駆動回路を覆うように形成した。これにより、共通電極118のインピーダンスを低下させるとともに、駆動回路を外光から遮光して誤動作を防止することができる。しかも、共通電極118と第2容量412の電極412bとを接続し、共通電極118の下に保持容量41を形成したので、保持容量41を形成するための個別の層や、第1容量411および第2容量412の下に形成するトランジスターを遮光するための個別の層を形成する必要がない。この結果、電気光学装置10の構成を簡素化し、コストを削減することが可能となる。
【0074】
<第2態様>
図12に、図3に示すデマルチプレクサ30およびレベルシフト回路40の点線で囲まれた構成Aの断面構造の一例を示す。第2態様は、保持容量44を第3容量441と第4容量442とで構成した点を除いて、図11を参照して説明した第1態様と同じである。なお、図12に示す第4容量442は、電極194(他方の電極)と、電極195(一方の電極)と、第3絶縁層190(第4の誘電体)とで構成されており、図11に示す保持容量44と同一の構造である。第2態様では、これを第4容量442とし、その下層に第3容量441を設けている。
第3容量441は、データ線14(他方の電極)と、配線188(一方の電極)と、第2絶縁層180(第3の誘電体)とにより形成される。配線188は、接続配線189を介して第4容量442の電極として機能する配線194と接続されている。第7絶縁層230は、SiNやSiOなどを用いて構成することができる。接続配線189を設けたのは、配線188とデータ線14との距離を短くして第3容量441の容量値を大きくするためである。
【0075】
このように、第3容量441の電極として機能するデータ線14は、コンタクトホールH15→配線197→コンタクトホールH23→配線211→接続配線196を介して、第4容量442の電極として機能する配線195と接続されている。また、第3容量441の電極として機能する配線188は、接続配線189を介して第4容量442の電極として機能する配線194と接続されている。したがって、第3容量441と第4容量442とは並列に接続され保持容量44を形成する。
【0076】
上述したように保持容量44の容量値Crf1は、データ信号の圧縮比を決定する係数k1に関係しており、圧縮比を大きくするには容量値Crf1が大きいことが望ましい。一方、電気光学装置10を小型化するためには、保持容量44の占有面積を小さくする必要がある。上述した第2態様によれば、保持容量44を第3容量441および第4容量442から構成し、半導体基板150と垂直な方向から見たとき、第3容量441と第4容量442とが重なるように配置したので、保持容量44の面積を縮小しつつ、大きな容量値を得ることができる。また、保持容量44は表示部100に配置される複数の画素回路110の列毎に設ける必要があるところ、その面積を縮小することができるので、列間の距離を短くでき、高精細な画像を表示することが可能となる。さらに、駆動回路の面積を縮小できるので、電気光学装置10に占める表示部100以外の面積を縮小し、いわゆる狭額縁化を実現できる。
【0077】
<第3態様>
上述した第1態様では、共通電極118をレベルシフト回路40やデマルチプレクサ30などの駆動回路を覆うように形成したが、図13に示すように共通電極118の替わりに、電位Velが供給される面状の配線250(共通配線)を用いてもよい。この配線250は、遮光性と導電性を併せ持つ材料で形成すればよく、例えばアルミなどの金属が該当する。配線250は表示部100において電位Velを供給する給電線116と電気的に接続されている。配線250は、給電線116と一体して形成することも可能であるので、隙間が無く遮光性を向上できるといった利点がある。くわえて、給電線116のインピーダンスを低減し、安定した電源を画素回路110に供給できるといった利点がある。
【0078】
<第4態様>
上述した第2態様では、共通電極118をレベルシフト回路40やデマルチプレクサ30などの駆動回路を覆うように形成したが、図14に示すように共通電極118の替わりに、電位Velが供給される面状の配線250(共通配線)を用いてもよい。この配線250は、遮光性と導電性を併せ持つ材料で形成すればよく、例えばアルミなどの金属が該当する。配線250は表示部100において電位Velを供給する給電線116と電気的に接続されている。配線250は、給電線116と一体して形成することも可能であるので、隙間が無く遮光性を向上できるといった利点がある。くわえて、給電線116のインピーダンスを低減し、安定した電源を画素回路110に供給できるといった利点がある。
【0079】
<応用・変形例>
本発明は、上述した実施形態や応用例などの実施形態等に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の変形が可能である。また、次に述べる変形の態様は、任意に選択された一または複数を適宜に組み合わせることもできる。
【0080】
<電気光学装置の構造>
上述した第1乃至第4態様では、接続配線189、191、196、および201を用いたがこれらの一部または全部を省略して、接続の対象となる部材を直接接続してもよい。この場合に、共通電極118または配線250と電極412bを共通にして、電極412bを省略してもよい。また、電極412bと電極411bとを共通にして電極411bを省略してもよい。また、配線211と配線195とを共通化して、配線195を省略してもよい。さらに、配線194と配線188とを共通化して配線188を省略してもよい。
また、上述した第2態様および第4態様では、保持容量41の第1容量411と、保持容量44の第4容量442とを同一の層で形成した。すなわち、電極411aと配線194、電極411bと配線195、第1の誘電体として機能する第3絶縁層190と第4の誘電体として機能する第3絶縁層190は、各々同一の層である。本発明はこれに限定されず、第1容量411と第3容量441とを同一の層で形成し、第2容量412と第4容量442とを同一の層で形成してもよい。このように半導体基板150と垂直方向に並列接続する容量によって保持容量を形成する場合、ある保持容量と他の保持容量とで、それらを構成する個別の容量の層を同じにすることによって、層数を削減することができる。
【0081】
<制御回路>
実施形態において、データ信号を供給する制御回路5については電気光学装置10とは別体としたが、制御回路5についても、走査線駆動回路20やデマルチプレクサ30、レベルシフト回路40とともに、シリコン基板に集積化しても良い。
【0082】
<基板>
実施形態においては、電気光学装置10をシリコン基板に集積した構成としたが、他の半導体基板に集積した構成しても良い。また、ポリシリコンプロセスを適用してガラス基板等に形成しても良い。いずれにしても、画素回路110が微細化して、トランジスター121において、ゲート電圧Vgsの変化に対しドレイン電流が指数関数的に大きく変化する構成に有効である。
【0083】
<制御信号Gcmp(i)>
実施形態等において、i行目でいえば、書込期間において制御信号Gcmp(i)をHレベルとしたが、Lレベルとしても良い。すなわち、トランジスター123をオンさせることによる閾値補償とノードゲートgへの書き込みとを並行して実行する構成としても良い。
【0084】
<デマルチプレクサ>
実施形態等では、データ線14を3列毎にグループ化するとともに、各グループにおいてデータ線14を順番に選択して、データ信号を供給する構成としたが、グループを構成するデータ線数については「2」であっても良いし、「4」以上であっても良い。
また、グループ化せずに、すなわちデマルチプレクサ30を用いないで各列のデータ線14にデータ信号を一斉に線順次で供給する構成でも良い。
【0085】
<トランジスターのチャネル型>
上述した実施形態等では、画素回路110におけるトランジスター121〜125をPチャネル型で統一したが、Nチャネル型で統一しても良い。また、Pチャネル型およびNチャネル型を適宜組み合わせても良い。
【0086】
<その他>
実施形態等では、電気光学素子として発光素子であるOLEDを例示したが、例えば無機発光ダイオードやLED(Light Emitting Diode)など、電流に応じた輝度で発光するものであれば良い。
【0087】
<電子機器>
次に、実施形態等や応用例に係る電気光学装置10を適用した電子機器について説明する。電気光学装置10は、画素が小サイズで高精細な表示な用途に向いている。そこで、電子機器として、ヘッドマウント・ディスプレイを例に挙げて説明する。
【0088】
図15は、ヘッドマウント・ディスプレイの外観を示す図であり、図16は、その光学的な構成を示す図である。
まず、図15に示されるように、ヘッドマウント・ディスプレイ300は、外観的には、一般的な眼鏡と同様にテンプル310や、ブリッジ320、レンズ301L、301Rを有する。また、ヘッドマウント・ディスプレイ300は、図18に示されるように、ブリッジ320近傍であってレンズ301L、301Rの奥側(図において下側)には、左眼用の電気光学装置10Lと右眼用の電気光学装置10Rとが設けられる。
電気光学装置10Lの画像表示面は、図18において左側となるように配置している。これによって電気光学装置10Lによる表示画像は、光学レンズ302Lを介して図において9時の方向に出射する。ハーフミラー303Lは、電気光学装置10Lによる表示画像を6時の方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
電気光学装置10Rの画像表示面は、電気光学装置10Lとは反対の右側となるように配置している。これによって電気光学装置10Rによる表示画像は、光学レンズ302Rを介して図において3時の方向に出射する。ハーフミラー303Rは、電気光学装置10Rによる表示画像を6時方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
【0089】
この構成において、ヘッドマウント・ディスプレイ300の装着者は、電気光学装置10L、10Rによる表示画像を、外の様子と重ね合わせたシースルー状態で観察することができる。
また、このヘッドマウント・ディスプレイ300において、視差を伴う両眼画像のうち、左眼用画像を電気光学装置10Lに表示させ、右眼用画像を電気光学装置10Rに表示させると、装着者に対し、表示された画像があたかも奥行きや立体感を持つかのように知覚させることができる(3D表示)。
【0090】
なお、電気光学装置10については、ヘッドマウント・ディスプレイ300のほかにも、ビデオカメラやレンズ交換式のデジタルカメラなどにおける電子式ビューファインダーにも適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
10…電気光学装置、12…走査線、14…データ線、20…走査線駆動回路、30…デマルチプレクサ30…レベルシフト回路、41、44、50、132…保持容量、100…表示部、110…画素回路、116…給電線、118…共通電極、121〜125…トランジスター、130…OLED、175…第1絶縁層、180…第2絶縁層、190…第3絶縁層、200…第4絶縁層、210…第5絶縁層、220…第6絶縁層、230…第7絶縁層、411…第1容量、412…第2容量、441…第3容量、442…第4容量、300…ヘッドマウント・ディスプレイ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と、複数のデータ線と、
複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して設けられた画素回路と、
一端が前記データ線に接続された第1保持容量と、
前記複数のデータ線の各々に供給された電圧をそれぞれ保持する第2保持容量と、
前記データ線に接続され、階調レベルに応じた電圧を有するデータ信号を保持する第3保持容量とを備え、
前記第3保持容量が保持したデータ信号が所定のタイミングで前記第1保持容量に供給され、
前記複数の走査線、前記複数のデータ線、前記第1保持容量、前記第2保持容量、および前記第3保持容量は、半導体基板上に設けられ、
前記第3保持容量は、電気的に並列に接続される第1容量部と第2容量部とを備え、
前記半導体基板を垂直方向から見たとき、前記第1容量部と前記第2容量部とが重なるように配置された、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1保持容量と前記第3保持容量とを含み、前記データ線を駆動する駆動回路を備え、
前記画素回路は、
ゲート・ソース間の電圧に応じた電流を供給する第1トランジスターと、
前記第1トランジスターから供給される電流に応じた輝度で発光する発光素子とを備え、
前記第1トランジスターと前記発光素子とは、高位側の電源と低位側の電源との間で直列に接続され、
前記半導体基板において、前記高位側の電源または低位側の電源と電気的に接続される共通配線が、前記駆動回路を覆うように形成されており、
前記第2容量部の一方の電極と前記共通配線とが電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第2容量部の一方の電極と、
第2の誘電体と、
前記第2容量部の一方の電極と前記第2の誘電体を介して向かい合う前記第2容量部の他方の電極と、
前記半導体基板と垂直方向から見たとき、前記第2容量部の他方の電極と重なるように配置され、前記第2容量部の他方の電極と電気的に接続された前記第1容量部の一方の電極と、
第1の誘電体と、
前記第1容量部の一方の電極と前記第1の誘電体を介して向かい合い、前記第2容量部の一方の電極と電気的に接続される前記第1容量部の他方の電極とを、
備えたことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第2容量部の他方の電極と前記第1容量部の一方の電極とは共通の配線であることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第2容量部の一方の電極は、前記共通配線であることを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1保持容量は、第3容量部と第4容量部とを備え、
前記半導体基板と垂直方向から見たとき、前記第3容量部と前記第4容量部とが重なるように形成した、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第4容量部の一方の電極と、
第4の誘電体と、
前記第4容量部の一方の電極と前記第4の誘電体を介して向かい合う前記第4容量部の他方の電極と、
前記半導体基板と垂直方向から見たとき、前記第4容量部の他方の電極と重なるように配置され、前記第4容量部の他方の電極と電気的に接続された前記第3容量部の一方の電極と、
第3の誘電体と、
前記第3容量部の一方の電極と前記第3の誘電体を介して向かい合い、前記第4容量部の一方の電極と電気的に接続される前記第3容量部の他方の電極とを、
備えたことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第4容量部の他方の電極と前記第3容量部の一方の電極とは共通の配線であることを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記画素回路は、
前記データ線と前記第1トランジスターのゲートとの間でオンまたはオフする第2トランジスターと、
前記第1トランジスターにおけるゲートとドレインとの間でオンまたはオフする第3トランジスターと、を含み、
前記駆動回路は、
第1期間に、
前記データ線と初期電位を給電する第1給電線とを電気的に接続し、前記第1保持容量の他端と所定電位を給電する第2給電線とを電気的に接続し、
前記第1期間に続く第2期間に、
前記データ線と前記第1給電線とを電気的に非接続とし、前記第1保持容量の他端と第2給電線との接続を維持した状態で前記第2トランジスターおよび前記第3トランジスターをオンさせ、
前記第2期間に続く第3期間に、
前記第1保持容量の他端と第2給電線とを電気的に非接続として、前記輝度に応じた電位の信号を前記第1保持容量の他端に供給し、
前記第3期間の終了時に、前記第2トランジスターをオフさせ、
前記第3期間よりも前に供給された、階調レベルに応じた電位のデータ信号を一旦保持し、
前記第3期間に、前記第3保持容量に保持された電位を、前記輝度に応じた電位の信号として前記第1保持容量の他端に供給する
ことを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記第3保持容量に対応して第1スイッチおよび第2スイッチを有し、
前記第1スイッチの出力端は前記第1保持容量の他端に接続され、前記第1スイッチの入力端は前記第3保持容量の一端と前記第2スイッチの出力端に接続され、
前記第2スイッチの入力端には前記第3期間よりも前に前記データ信号が供給され、
前記駆動回路は、
前記第3期間よりも前に、前記第1スイッチをオフとした状態で、前記第2スイッチをオンさせ、
前記第3期間において前記第2スイッチをオフとした状態で、前記第1スイッチをオンさせる
ことを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の電気光学装置を備える
ことを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−104890(P2013−104890A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246420(P2011−246420)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】