説明

電気光学装置の作製方法

【課題】動作性能および信頼性の高いEL表示装置を提供する。
【解決手段】基板上に複数のTFTを形成し、複数のTFT上に少なくともダイヤモンド薄膜又はアモルファスカーボン膜を含む炭素膜を形成し、炭素膜上に平坦化膜を形成し、炭素膜及び平坦化膜にコンタクトホールを形成し、コンタクトホールを介して複数のTFTの各々に接続された複数の画素電極を形成し、複数の画素電極の上にインクジェット方式により選択的にEL層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子(半導体薄膜を用いた素子)を基板上に作り込んで形成されたEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に代表される電気光学装置及びその電気光学装置を表示ディスプレイ(表示部ともいう)として有する電子装置(電子デバイス)に関する。特にそれらの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上にTFTを形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型表示装置への応用開発が進められている。特に、ポリシリコン膜を用いたTFTは、従来のアモルファスシリコン膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が高いので、高速動作が可能である。そのため、従来、基板外の駆動回路で行っていた画素の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが可能となっている。
【0003】
このようなアクティブマトリクス型表示装置は、同一基板上に様々な回路や素子を作り込むことで製造コストの低減、表示装置の小型化、歩留まりの上昇、スループットの低減など、様々な利点が得られるとして注目されている。
【0004】
アクティブマトリクス型EL表示装置は、各画素のそれぞれにTFTでなるスイッチング素子を設け、そのスイッチング素子によって電流制御を行う駆動素子を動作させてEL層(発光層)を発光させる。例えば米国特許番号5,684,365号(日本国公開公報:特開平8−234683号参照)、日本国公開公報:特開平10−189252号に記載されたEL表示装置がある。
【0005】
これらEL表示装置をカラー表示させるにあたって、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色を発光するEL層を画素毎に配置する試みがなされている。しかしながら、EL層として一般的に用いられる材料は殆ど有機材料であり、そのパターニングは非常に困難であった。これはEL材料自体が水分に非常に弱く、現像液にも容易に溶解してしまうほど取り扱いが難しいからである。
【0006】
このような問題を解決する技術として、EL層をインクジェット方式により形成する技術が提案されている。例えば、特開平10−012377号公報には、インクジェット方式によりEL層を形成したアクティブマトリクス型EL表示体が開示されている。また、同様な技術が、「Multicolor Pixel Patterning of Light-Emitting Polymers by Ink-jet Printing;T.Shimada et.al.,p376-379,SID 99 DIGEST」にも開示されている。
【0007】
しかしながら、インクジェット方式は常圧で行われるため、EL層が外気の汚染物質を取り込みやすいという点で不利である。即ち、アルカリ金属等の可動イオンを含みやすい状態で形成されるため、そこからのアルカリ金属の拡散がTFTに致命的な打撃を与えかねないという問題をはらんでいる。なお、本明細書中ではアルカリ金属とアルカリ土類金属を含めて「アルカリ金属」と呼ぶ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、動作性能及び信頼性の高い電気光学装置の作製方法、特にEL表示装置の作製方法を提供することを課題とする。そして、電気光学装置の画質を向上させることにより、それを表示用ディスプレイ(表示部)として有する電子装置(電子デバイス)の品質を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明ではインクジェット方式で形成されたEL素子からのアルカリ金属の拡散を、EL素子とTFTとの間に設けた絶縁膜(パッシベーション膜)によって防止する。具体的には、TFTを覆う平坦化膜上にアルカリ金属の透過を妨げうる絶縁膜を設ける。即ち、その絶縁膜中においてEL表示装置の動作温度(典型的には0〜100℃)におけるアルカリ金属の拡散速度が十分に小さいものを用いれば良い。
【0010】
さらに好ましくは、水分及びアルカリ金属を透過せず、且つ、熱伝導率の高い(放熱効果の高い)絶縁膜を選定し、この絶縁膜をEL素子に接して設けるか、さらに好ましくはそのような絶縁膜でもってEL素子を囲んだ状態とする。即ち、EL素子になるべく近い位置に、水分及びアルカリ金属に対するブロッキング効果があり、且つ、放熱効果をも有する絶縁膜を設け、該絶縁膜によってEL素子の劣化を抑制するのである。
【0011】
また、そのような絶縁膜を単層で用いることができない場合は、水分及びアルカリ金属に対するブロッキング効果を有する絶縁膜と、放熱効果を有する絶縁膜とを積層して用いることもできる。さらには、水分に対するブロッキング効果を有する絶縁膜と、アルカリ金属に対するブロッキング効果を有する絶縁膜と、放熱効果を有する絶縁膜とを積層して用いることもできる。
【0012】
いずれにしても、インクジェット方式を用いてEL層を形成する場合には、EL素子を駆動するTFTが完全にアルカリ金属から守られるような対策が必要であり、さらにEL層自体の劣化(EL素子の劣化と言っても良い)を抑制するためには、水分及び熱の両者に対する対策を同時に講じておかねばならない。
【発明の効果】
【0013】
本発明を用いることで、EL素子が水分や熱によって劣化することを抑制することができる。また、EL層からアルカリ金属が拡散してTFT特性に悪影響を与えることを防ぐことができる。その結果、EL表示装置の動作性能や信頼性を大幅に向上させることができる。
【0014】
また、そのようなEL表示装置を表示ディスプレイとして有することで、画像品質が良く、耐久性のある(信頼性の高い)応用製品(電子装置)を生産することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、図1、図2を用いて説明する。図1に示したのは本発明であるEL表示装置の画素の断面図であり、図2(A)はその上面図、図2(B)はその回路構成である。実際にはこのような画素がマトリクス状に複数配列されて画素部(画像表示部)が形成される。
【0016】
なお、図1の断面図は図2(A)に示した上面図においてA−A’で切断した切断面を示している。ここでは図1及び図2で共通の符号を用いているので、適宜両図面を参照すると良い。また、図2の上面図では二つの画素を図示しているが、どちらも同じ構造である。
【0017】
図1において、11は基板、12は下地となる絶縁膜(以下、下地膜という)
である。基板11としてはガラス基板、ガラスセラミックス基板、石英基板、シリコン基板、セラミックス基板、金属基板若しくはプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)を用いることができる。
【0018】
また、下地膜12は特に可動イオンを含む基板や導電性を有する基板を用いる場合に有効であるが、石英基板には設けなくても構わない。下地膜12としては、珪素(シリコン)を含む絶縁膜を用いれば良い。なお、本明細書において「珪素を含む絶縁膜」とは、具体的には酸化珪素膜、窒化珪素膜若しくは窒化酸化珪素膜(SiOxNyで示される)など珪素、酸素若しくは窒素を所定の割合で含む絶縁膜を指す。
【0019】
また、下地膜12に放熱効果を持たせることによりTFTの発熱を発散させることはTFTの劣化又はEL素子の劣化を防ぐためにも有効である。放熱効果を持たせるには公知のあらゆる材料を用いることができる。
【0020】
ここでは画素内に二つのTFTを形成している。201はスイッチング用素子として機能するTFT(以下、スイッチング用TFTという)、202はEL素子へ流す電流量を制御する電流制御用素子として機能するTFT(以下、電流制御用TFTという)であり、どちらもnチャネル型TFTで形成されている。
【0021】
nチャネル型TFTの電界効果移動度はpチャネル型TFTの電界効果移動度よりも大きいため、動作速度が早く大電流を流しやすい。また、同じ電流量を流すにもTFTサイズはnチャネル型TFTの方が小さくできる。そのため、nチャネル型TFTを電流制御用TFTとして用いた方が表示部の有効面積が広くなるので好ましい。
【0022】
pチャネル型TFTはホットキャリア注入が殆ど問題にならず、オフ電流値が低いといった利点があって、スイッチング用TFTとして用いる例や電流制御用TFTとして用いる例が既に報告されている。しかしながら本発明では、LDD領域の位置を異ならせた構造とすることでnチャネル型TFTにおいてもホットキャリア注入の問題とオフ電流値の問題を解決し、全ての画素内のTFT全てをnチャネル型TFTとしている点にも特徴がある。
【0023】
ただし、本発明において、スイッチング用TFTと電流制御用TFTをnチャネル型TFTに限定する必要はなく、両方又はどちらか片方にpチャネル型TFTを用いることも可能である。
【0024】
スイッチング用TFT201は、ソース領域13、ドレイン領域14、LDD領域15a〜15d、高濃度不純物領域16及びチャネル形成領域17a、17bを含む活性層、ゲート絶縁膜18、ゲート電極19a、19b、第1層間絶縁膜20、ソース配線21並びにドレイン配線22を有して形成される。
【0025】
また、図2に示すように、ゲート電極19a、19bは別の材料(ゲート電極19a、19bよりも低抵抗な材料)で形成されたゲート配線211によって電気的に接続されたダブルゲート構造となっている。勿論、ダブルゲート構造だけでなく、トリプルゲート構造などいわゆるマルチゲート構造(直列に接続された二つ以上のチャネル形成領域を有する活性層を含む構造)であっても良い。マルチゲート構造はオフ電流値を低減する上で極めて有効であり、本発明では画素のスイッチング用TFT201をマルチゲート構造とすることによりオフ電流値の低いスイッチング素子を実現している。
【0026】
また、活性層は結晶構造を含む半導体膜で形成される。即ち、単結晶半導体膜でも良いし、多結晶半導体膜や微結晶半導体膜でも良い。また、ゲート絶縁膜18は珪素を含む絶縁膜で形成すれば良い。また、ゲート電極、ソース配線若しくはドレイン配線としてはあらゆる導電膜を用いることができる。
【0027】
さらに、スイッチング用TFT201においては、LDD領域15a〜15dは、ゲート絶縁膜18を挟んでゲート電極19a、19bと重ならないように設ける。このような構造はオフ電流値を低減する上で非常に効果的である。
【0028】
なお、チャネル形成領域とLDD領域との間にオフセット領域(チャネル形成領域と同一組成の半導体層でなり、ゲート電圧が印加されない領域)を設けることはオフ電流値を下げる上でさらに好ましい。また、二つ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造の場合、チャネル形成領域の間に設けられた高濃度不純物領域がオフ電流値の低減に効果的である。
【0029】
以上のように、マルチゲート構造のTFTを画素のスイッチング用TFT201として用いることにより、十分にオフ電流値の低いスイッチング素子を実現することができる。そのため、特開平10−189252号公報の図2のようなコンデンサーを設けなくても十分な時間(選択されてから次に選択されるまでの間)電流制御用TFTのゲート電圧を維持しうる。
【0030】
即ち、従来、有効発光面積を狭める要因となっていたコンデンサーを排除することが可能となり、有効発光面積を広くすることが可能となる。このことはEL表示装置の画質を明るくできることを意味する。
【0031】
次に、電流制御用TFT202は、ソース領域31、ドレイン領域32、LDD領域33及びチャネル形成領域34を含む活性層、ゲート絶縁膜18、ゲート電極35、第1層間絶縁膜20、ソース配線36並びにドレイン配線37を有して形成される。なお、ゲート電極35はシングルゲート構造となっているが、マルチゲート構造であっても良い。
【0032】
図2に示すように、スイッチング用TFTのドレインは電流制御用TFTのゲートに電気的に接続されている。具体的には電流制御用TFT202のゲート電極35はスイッチング用TFT201のドレイン領域14とドレイン配線(接続配線とも言える)22を介して電気的に接続されている。また、ソース配線36は電流供給線212に接続される。
【0033】
この電流制御用TFT202の特徴は、チャネル幅がスイッチング用TFT201のチャネル幅よりも大きい点である。即ち、図8に示すように、スイッチング用TFTのチャネル長をL1、チャネル幅をW1とし、電流制御用TFTのチャネル長をL2、チャネル幅をW2とした場合、W2/L2≧5×W1/L1(好ましくはW2/L2≧10×W1/L1)という関係式が成り立つようにする。このため、スイッチング用TFTよりも多くの電流を容易に流すことが可能である。
【0034】
なお、マルチゲート構造であるスイッチング用TFTのチャネル長L1は、形成された二つ以上のチャネル形成領域のそれぞれのチャネル長の総和とする。図8の場合、ダブルゲート構造であるので、二つのチャネル形成領域のそれぞれのチャネル長L1a及びL1bを加えたものがスイッチング用TFTのチャネル長L1となる。
【0035】
本発明において、チャネル長L1、L2及びチャネル幅W1、W2は特定の数値範囲に限定されるものではないが、W1は0.1〜5μm(代表的には1〜3μm)、W2は0.5〜30μm(代表的には2〜10μm)とするのが好ましい。この時、L1は0.2〜18μm(代表的には2〜15μm)、L2は0.1〜50μm(代表的には1〜20μm)とするのが好ましい。
【0036】
なお、電流制御用TFTでは電流が過剰に流れることを防止するためチャネル長Lの長さを長めに設定することが望ましい。好ましくはW2/L2≧3(好ましくはW2/L2≧5)とするとよい。望ましくはは一画素あたり0.5〜2μA(好ましくは1〜1.5μA)となるようにする。
【0037】
これらの数値範囲とすることによりVGAクラスの画素数(640×480)
を有するEL表示装置からハイビジョンクラスの画素数(1920×1080又は1280×1024)を有するEL表示装置まで、あらゆる規格を網羅することができる。
【0038】
また、スイッチング用TFT201に形成されるLDD領域の長さ(幅)は0.5〜3.5μm、代表的には2.0〜2.5μmとすれば良い。
【0039】
また、図1に示したEL表示装置は、電流制御用TFT202において、ドレイン領域32とチャネル形成領域34との間にLDD領域33が設けられ、且つ、LDD領域33がゲート絶縁膜18を挟んでゲート電極35に重なっている領域と重なっていない領域とを有する点にも特徴がある。
【0040】
電流制御用TFT202は、EL素子203を発光させるための電流を供給すると同時に、その供給量を制御して階調表示を可能とする。そのため、電流を流しても劣化しないようにホットキャリア注入による劣化対策を講じておく必要がある。また、黒色を表示する際は、電流制御用TFT202をオフ状態にしておくが、その際、オフ電流値が高いときれいな黒色表示ができなくなり、コントラストの低下等を招く。従って、オフ電流値も抑える必要がある。
【0041】
ホットキャリア注入による劣化に関しては、ゲート電極に対してLDD領域が重なった構造が非常に効果的であることが知られている。しかしながら、LDD領域全体をゲート電極に重ねてしまうとオフ電流値が増加してしまうため、本出願人はゲート電極に重ならないLDD領域を直列に設けるという新規な構造によって、ホットキャリア対策とオフ電流値対策とを同時に解決している。
【0042】
この時、ゲート電極に重なったLDD領域の長さは0.1〜3μm(好ましくは0.3〜1.5μm)にすれば良い。長すぎては寄生容量を大きくしてしまい、短すぎてはホットキャリアを防止する効果が弱くなってしまう。また、ゲート電極に重ならないLDD領域の長さは1.0〜3.5μm(好ましくは1.5〜2.0μm)にすれば良い。長すぎると十分な電流を流せなくなり、短すぎるとオフ電流値を低減する効果が弱くなる。
【0043】
また、上記構造においてゲート電極とLDD領域とが重なった領域では寄生容量が形成されてしまうため、ソース領域31とチャネル形成領域34との間には設けない方が好ましい。電流制御用TFTはキャリア(ここでは電子)の流れる方向が常に同一であるので、ドレイン領域側のみにLDD領域を設けておけば十分である。
【0044】
また、流しうる電流量を多くするという観点から見れば、電流制御用TFT202の活性層(特にチャネル形成領域)の膜厚を厚くする(好ましくは50〜100nm、さらに好ましくは60〜80nm)ことも有効である。逆に、スイッチング用TFT201の場合はオフ電流値を小さくするという観点から見れば、活性層(特にチャネル形成領域)の膜厚を薄くする(好ましくは20〜50nm、さらに好ましくは25〜40nm)ことも有効である。
【0045】
次に、41は第1パッシベーション膜であり、膜厚は10nm〜1μm(好ましくは200〜500nm)とすれば良い。材料としては、珪素を含む絶縁膜(特に窒化酸化珪素膜又は窒化珪素膜が好ましい)を用いることができる。このパッシベーション膜41は形成されたTFTをアルカリ金属や水分から保護する役割をもつ。最終的にTFTの上方に設けられるEL層にはナトリウム等のアルカリ金属が含まれている。即ち、第1パッシベーション膜41はこれらのアルカリ金属(可動イオン)をTFT側に侵入させない保護層としても働く。
【0046】
また、第1パッシベーション膜41に放熱効果を持たせることでEL層の熱劣化を防ぐことも有効である。但し、図1の構造のEL表示装置は基板11側に光が放射されるため、第1パッシベーション膜41は透光性を有することが必要である。また、EL層として有機材料を用いる場合、酸素との結合により劣化するので、酸素を放出しやすい絶縁膜は用いないことが望ましい。
【0047】
アルカリ金属の透過を妨げ、さらに放熱効果をもつ透光性材料としては、B(ホウ素)、C(炭素)、N(窒素)から選ばれた少なくとも一つの元素と、Al(アルミニウム)、Si(珪素)、P(リン)から選ばれた少なくとも一つの元素とを含む絶縁膜が挙げられる。例えば、窒化アルミニウム(AlxNy)に代表されるアルミニウムの窒化物、炭化珪素(SixCy)に代表される珪素の炭化物、窒化珪素(SixNy)に代表される珪素の窒化物、窒化ホウ素(BxNy)に代表されるホウ素の窒化物、リン化ホウ素(BxPy)に代表されるホウ素のリン化物を用いることが可能である。また、酸化アルミニウム(AlxOy)に代表されるアルミニウムの酸化物は透光性に優れ、熱伝導率が20Wm-1-1であり、好ましい材料の一つと言える。これらの材料には上記効果だけでなく、水分の侵入を防ぐ効果もある。なお、上記透光性材料において、x、yは任意の整数である。
【0048】
なお、上記化合物に他の元素を組み合わせることもできる。例えば、酸化アルミニウムに窒素を添加して、AlNxOyで示される窒化酸化アルミニウムを用いることも可能である。この材料にも放熱効果だけでなく、水分やアルカリ金属等の侵入を防ぐ効果がある。なお、上記窒化酸化アルミニウムにおいて、x、yは任意の整数である。
【0049】
また、特開昭62−90260号公報に記載された材料を用いることができる。即ち、Si、Al、N、O、Mを含む絶縁膜(但し、Mは希土類元素の少なくとも一種、好ましくはCe(セリウム),Yb(イッテルビウム),Sm(サマリウム),Er(エルビウム),Y(イットリウム)、La(ランタン)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ジスプロシウム)、Nd(ネオジウム)から選ばれた少なくとも一つの元素)を用いることもできる。これらの材料にも放熱効果だけでなく、水分やアルカリ金属等の侵入を防ぐ効果がある。
【0050】
また、少なくともダイヤモンド薄膜又はアモルファスカーボン膜(特にダイヤモンドに特性の近いものはダイヤモンドライクカーボン膜と呼ばれる。)を含む炭素膜を用いることもできる。これらは非常に熱伝導率が高く、放熱層として極めて有効である。但し、膜厚が厚くなると褐色を帯びて透過率が低下するため、なるべく薄い膜厚(好ましくは5〜100nm)で用いることが好ましい。
【0051】
なお、第1パッシベーション膜41の目的はあくまでアルカリ金属や水分からTFTを保護することにあるので、その効果を損なうものであってはならない。従って、上記放熱効果をもつ材料からなる薄膜を単体で用いることもできるが、これらの薄膜と、アルカリ金属や水分の透過を妨げうる絶縁膜(代表的には窒化珪素膜(SixNy)や窒化酸化珪素膜(SiOxNy))とを積層することは有効である。なお、上記窒化珪素膜又は窒化酸化珪素膜において、x、yは任意の整数である。
【0052】
また、EL表示装置には大きく分けて四つのカラー化表示方式があり、RGBに対応した三種類のEL素子を形成する方式、白色発光のEL素子とカラーフィルターを組み合わせた方式、青色又は青緑発光のEL素子と蛍光体(蛍光性の色変換層:CCM)とを組み合わせた方式、陰極(対向電極)に透明電極を使用してRGBに対応したEL素子を重ねる方式、がある。
【0053】
図1の構造はRGBに対応した三種類のEL素子を形成する方式を用いた場合の例である。なお、図1には一つの画素しか図示していないが、同一構造の画素が赤、緑又は青のそれぞれの色に対応して形成され、これによりカラー表示を行うことができる。これら各色のEL層は公知の材料を採用すれば良い。
【0054】
但し、本発明は発光方式に関わらず実施することが可能であり、上記四つの全ての方式を本発明に用いることができる。
【0055】
また、第1パッシベーション膜41を形成したら、各TFTを覆うような形で第2層間絶縁膜(平坦化膜と言っても良い)44を形成し、TFTによってできる段差の平坦化を行う。第2層間絶縁膜44としては、樹脂膜が好ましく、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)等を用いると良い。勿論、十分な平坦化が可能であれば、無機膜を用いても良い。
【0056】
第2層間絶縁膜44によってTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成されるEL層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、EL層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0057】
また、45は第2パッシベーション膜であり、EL素子から拡散するアルカリ金属をブロッキングする重要な役割を担う。膜厚は5nm〜1μm(典型的には20〜300nm)とすれば良い。この第2パッシベーション膜45は、アルカリ金属の透過を妨げうる絶縁膜を用いる。材料としては、第1パッシベーション膜41として用いた材料を用いることができる。
【0058】
また、この第2パッシベーション膜45はEL素子で発生した熱を逃がしてEL素子に熱が蓄積しないように機能する放熱層としても機能する。また、第2層間絶縁膜44が樹脂膜である場合は熱に弱いため、EL素子で発生した熱が第2層間絶縁膜44に悪影響を与えないようにする。
【0059】
前述のようにEL表示装置を作製するにあたってTFTを樹脂膜で平坦化することは有効であるが、EL素子で発生した熱による樹脂膜の劣化を考慮した構造は従来なかった。本発明では第2パッシベーション膜45を設けることによってその点を解決している点も特徴の一つと言える。
【0060】
また、第2パッシベーション膜45は上記熱による劣化を防ぐと同時に、EL層中のアルカリ金属がTFT側へと拡散しないようにするための保護層としても機能し、さらにはEL層側へTFT側から水分や酸素が侵入しないようにする保護層としても機能する。
【0061】
このようにTFT側とEL素子側とを放熱効果が高く、且つ、水分やアルカリ金属の透過を妨げうる絶縁膜で分離するという点は本発明の重要な特徴の一つであり、従来のEL表示装置にはない構成であると言える。
【0062】
また、46は透明導電膜でなる画素電極(EL素子の陽極)であり、第2パッシベーション膜45、第2層間絶縁膜44及び第1パッシベーション膜41にコンタクトホール(開孔)を開けた後、形成された開孔部において電流制御用TFT202のドレイン配線37に接続されるように形成される。
【0063】
画素電極46が形成されたら、第2パッシベーション膜45の上に樹脂膜でなるバンク(bank)101a、101bを形成する。本実施の形態では感光性のポリイミド膜をスピンコーティング法により形成し、パターニングによってバンク101a、101bを形成する。このバンク101a、101bはインクジェット方式でEL層を形成する際の型であり、このバンクの配置によってEL素子の形成される場所が画定する。
【0064】
そして、バンク101a、101bを形成したら、次にEL層(有機材料が好ましい)47が形成される。EL層47は単層又は積層構造で用いられるが、積層構造で用いられる場合が多い。発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔注入層又は正孔輸送層などを組み合わせて様々な積層構造が提案されているが、本発明ではいずれの構造であっても良い。また、EL層に対して蛍光性色素等をドーピングしても良い。
【0065】
本発明では既に公知のあらゆるEL材料を用いることができる。公知の材料としては、有機材料が広く知られており、駆動電圧を考慮すると有機材料を用いるのが好ましい。有機EL材料としては、例えば、以下の米国特許又は公開公報に開示された材料を用いることができる。
【0066】
米国特許第4,356,429号、 米国特許第4,539,507号、 米国特許第4,720,432号、 米国特許第4,769,292号、 米国特許第4,885,211号、 米国特許第4,950,950号、 米国特許第5,059,861号、 米国特許第5,047,687号、 米国特許第5,073,446号、 米国特許第5,059,862号、 米国特許第5,061,617号、 米国特許第5,151,629号、 米国特許第5,294,869号、 米国特許第5,294,870号、特開平10−189252号公報、特開平8−241048号公報、特開平8−78159号公報。
【0067】
具体的には、正孔注入層としての有機材料は次のような一般式で表されるものを用いることができる。
【0068】
【化1】

【0069】
ここでQはN又はC−R(炭素鎖)であり、Mは金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物であり、Rは水素、アルキル、アラルキル、アリル又はアルカリルであり、T1、T2は水素、アルキル又はハロゲンのような置換基を含む不飽和六員環である。
【0070】
また、正孔輸送層としての有機材料は芳香族第三アミンを用いることができ、好ましくは次のような一般式で表されるテトラアリルジアミンを含む。
【0071】
【化2】

【0072】
ここでAreはアリレン群であり、nは1から4の整数であり、Ar、R7、R8、R9はそれぞれ選択されたアリル群である。
【0073】
また、EL層、電子輸送層又は電子注入層としての有機材料は金属オキシノイド化合物を用いることができる。金属オキシノイド化合物としては以下のような一般式で表されるものを用いれば良い。
【0074】
【化3】

【0075】
ここでR2−R7は置き換え可能であり、次のような金属オキシノイド化合物を用いることもできる。
【0076】
【化4】

【0077】
ここでR2−R7は上述の定義によるものであり、L1−L5は1から12の炭素元素を含む炭水化物群であり、L1、L2又はL2、L3は共にベンゾ環を形成することができる。また、次のような金属オキシノイド化合物でも良い。
【0078】
【化5】

【0079】
ここでR2−R6は置き換え可能である。このように有機EL材料としては有機リガンドを有する配位化合物を含む。但し、以上の例は本発明のEL材料として用いることのできる有機EL材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。
【0080】
また、本発明ではEL層の形成方法としてインクジェット方式を用いるため、好ましいEL材料としてはポリマー系材料が多い。代表的なポリマー系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)系、ポリフルオレン系、ポリビニルカルバゾール(PVK)系などの高分子材料が挙げられる。カラー化するには、例えば、赤色発光材料にはシアノポリフェニレンビニレン、緑色発光材料にはポリフェニレンビニレン、青色発光材料にはポリフェニレンビニレン及びポリアルキルフェニレンが好ましい。
【0081】
なお、PPV系有機EL材料としては様々な型のものがあるが、例えば以下のような分子式が発表されている。
(「H. Shenk,H.Becker,O.Gelsen,E.Kluge,W.Kreuder,and H.Spreitzer,“Polymers for Light Emitting Diodes”,Euro Display,Proceedings,1999,p.33-37」)
【0082】
【化6】

【0083】
【化7】

【0084】
また、特開平10−92576号公報に記載された分子式のポリフェニルビニルを用いることもできる。分子式は以下のようになる。
【0085】
【化8】

【0086】
【化9】

【0087】
また、PVK系有機EL材料としては以下のような分子式がある。
【0088】
【化10】

【0089】
ポリマー系有機EL材料はポリマーの状態で溶媒に溶かして塗布することもできるし、モノマーの状態で溶媒に溶かして塗布した後に重合することもできる。モノマーの状態で塗布した場合、まずポリマー前駆体が形成され、真空中で加熱することにより重合してポリマーになる。
【0090】
具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレンビニレン、緑色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン若しくはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。膜厚は30〜150nm(好ましくは40〜100nm)とすれば良い。
【0091】
また、代表的な溶媒としてはトルエン、キシレン、シメン、クロロフォルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ又はNMP(N−メチル−2−ピロリドン)が挙げられる。また、塗布液の粘度を上げるための添加剤を加えることも有効である。
【0092】
但し、以上の例は本発明のEL材料として用いることのできる有機EL材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。インクジェット法に使用できる有機EL材料については、特開平10−012377号公報に記載されている材料を全て引用することができる。
【0093】
なお、インクジェット方式はバブルジェット方式(サーマルインクジェット方式ともいう)とピエゾ方式とに大別されるが、本発明を実施するにはピエゾ方式が望ましい。両者の違いについて図19を用いて説明する。
【0094】
図19(A)はピエゾ方式の例であり、1901はピエゾ素子(圧電素子)、1902は金属パイプ、1903はインク材料とEL材料の混合液(以下、EL形成溶液という)である。電圧がかかるとピエゾ素子が変形し、金属パイプ1902も変形する。その結果、内部のEL形成溶液1903は液滴1904として発射される。このようにピエゾ素子にかかる電圧を制御することでEL形成溶液の塗布を行う。この場合、EL形成溶液1903は物理的な外圧によって押し出されるため、組成等になんら影響はない。
【0095】
図19(B)はバブルジェット方式の例であり、1905は発熱体、1906は金属パイプ、1907はEL形成溶液である。通電されると発熱体1905が発熱し、EL形成溶液1907中に気泡1908が発生する。その結果、気泡によってEL形成溶液1907は押し出され、液滴1909として発射される。このように発熱体への電流を制御することでEL形成溶液の塗布を行う。この場合、EL形成溶液1907は発熱体によって熱せられるため、EL材料の組成によっては悪影響を与える可能性がある。
【0096】
また、実際にデバイス上にインクジェット方式を用いてEL材料を塗布形成すると図20に示すような形でEL層が形成される。図20において、91は画素部、92、93は駆動回路であり、画素部91には複数の画素電極94が形成されている。図示されないが、各画素電極はそれぞれ電流制御用TFTに接続されている。また、実際には画素電極94を個々に分離するバンク(図1参照)が設けられているが、ここでは図示しない。
【0097】
そして、インクジェット方式により赤色発光のEL層95、緑色発光のEL層96、青色発光のEL層97を形成する。このとき、まず赤色発光のEL層95を全て形成した後で、順次緑色発光のEL層96、青色発光のEL層97を形成すれば良い。また、EL形成溶液に含まれる溶媒を除去するためにベーク(焼成)処理が必要である。このベーク処理は全てのEL層を形成した後で行っても良いし、各色のEL層が形成し終えた時点で個別に行っても良い。
【0098】
また、EL層を形成する際、図20に示すように、赤色発光のEL層95が形成される画素(赤色に対応する画素)、緑色発光のEL層96が形成される画素(緑色に対応する画素)及び青色発光のEL層97が形成される画素(青色に対応する画素)が、常に各色が互いに接するような状態となるようにする。
【0099】
このような配置はいわゆるデルタ配置と呼ばれるものであり、良好なカラー表示を行う上で有効である。インクジェット方式の利点は、各色のEL層を個々に打ち分けることができる点にあるため、デルタ配置の画素部を有するEL表示装置に用いることが最も好ましい実施形態と言える。
【0100】
また、EL層47を形成する際、処理雰囲気は極力水分の少ない乾燥雰囲気とし、不活性ガス中で行うことが望ましい。EL層は水分や酸素の存在によって容易に劣化してしまうため、形成する際は極力このような要因を排除しておく必要がある。例えば、ドライ窒素雰囲気、ドライアルゴン雰囲気等が好ましい。
【0101】
以上のようにしてEL層47をインクジェット方式により形成したら、次に陰極48、保護電極49が形成される。また、本明細書中では、画素電極(陽極)、EL層及び陰極で形成される発光素子をEL素子と呼ぶ。
【0102】
陰極48としては、仕事関数の小さいマグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、カリウム(K)、ベリリウム(Be)若しくはカルシウム(Ca)を含む材料を用いる。好ましくはMgAg(MgとAlをMg:Ag=10:1で混合した材料)でなる電極を用いれば良い。他にもMgAgAl電極、LiAl電極、また、LiFAl電極が挙げられる。また、保護電極49は陰極48を外部の水分等から保護膜するために設けられる電極であり、アルミニウム(Al)若しくは銀(Ag)を含む材料が用いられる。この保護電極49には放熱効果もある。
【0103】
なお、EL層47及び陰極48は大気解放せずに乾燥された不活性雰囲気中にて連続的に形成することが望ましい。これはEL層として有機材料を用いる場合、水分に非常に弱いため、大気解放した時の吸湿を避けるためである。さらに、EL層47及び陰極48だけでなく、その上の保護電極49まで連続形成するとさらに良い。
【0104】
また、50は第3パッシベーション膜であり、膜厚は10nm〜1μm(好ましくは200〜500nm)とすれば良い。第3パッシベーション膜50を設ける目的は、EL層47を水分から保護する目的が主であるが、第2パッシベーション膜45と同様に放熱効果をもたせても良い。従って、形成材料としては第1パッシベーション膜41と同様のものを用いることができる。但し、EL層47として有機材料を用いる場合、酸素との結合により劣化する可能性があるので、酸素を放出しやすい絶縁膜は用いないことが望ましい。
【0105】
また、上述のようにEL層は熱に弱いので、なるべく低温(好ましくは室温から120℃までの温度範囲)で成膜するのが望ましい。従って、プラズマCVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法又は溶液塗布法(スピンコーティング法)が望ましい成膜方法と言える。
【0106】
このように、第2パッシベーション膜45を設けるだけでも十分にEL素子の劣化を抑制することはできるが、さらに好ましくはEL素子を第2パッシベーション膜45及び第3パッシベーション膜50というようにEL素子を挟んで形成された二層の絶縁膜によって囲み、EL層への水分、酸素の侵入を防ぎ、EL層からのアルカリ金属の拡散を防ぎ、EL層への熱の蓄積を防ぐ。その結果、EL層の劣化がさらに抑制されて信頼性の高いEL表示装置が得られる。
【0107】
また、本発明のEL表示装置は図1のような構造の画素からなる画素部を有し、画素内において機能に応じて構造の異なるTFTが配置されている。これによりオフ電流値の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFTとが同じ画素内に形成でき、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表示が可能な(動作性能の高い)EL表示装置が得られる。
【0108】
なお、図1の画素構造においてスイッチング用TFTとしてマルチゲート構造のTFTを用いているが、LDD領域の配置等の構成に関しては図1の構成に限定する必要はない。
【0109】
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
【実施例1】
【0110】
本発明の実施例について図3〜図5を用いて説明する。ここでは、画素部とその周辺に設けられる駆動回路部のTFTを同時に作製する方法について説明する。但し、説明を簡単にするために、駆動回路に関しては基本回路であるCMOS回路を図示することとする。
【0111】
まず、図3(A)に示すように、ガラス基板300上に下地膜301を300nmの厚さに形成する。本実施例では下地膜301として窒化酸化珪素膜を積層して用いる。この時、ガラス基板300に接する方の窒素濃度を10〜25wt%としておくと良い。
【0112】
また、下地膜301の一部として、図1に示した第1パッシベーション膜41と同様の材料からなる絶縁膜を設けることは有効である。電流制御用TFTは大電流を流すことになるので発熱しやすく、なるべく近いところに放熱効果のある絶縁膜を設けておくことは有効である。
【0113】
次に下地膜301の上に50nmの厚さの非晶質珪素膜(図示せず))を公知の成膜法で形成する。なお、非晶質珪素膜に限定する必要はなく、非晶質構造を含む半導体膜(微結晶半導体膜を含む)であれば良い。さらに非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を含む化合物半導体膜でも良い。また、膜厚は20〜100nmの厚さであれば良い。
【0114】
そして、公知の技術により非晶質珪素膜を結晶化し、結晶質珪素膜(多結晶シリコン膜若しくはポリシリコン膜ともいう)302を形成する。公知の結晶化方法としては、電熱炉を使用した熱結晶化方法、レーザー光を用いたレーザーアニール結晶化法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法がある。本実施例では、XeClガスを用いたエキシマレーザー光を用いて結晶化する。
【0115】
なお、本実施例では線状に加工したパルス発振型のエキシマレーザー光を用いるが、矩形であっても良いし、連続発振型のアルゴンレーザー光や連続発振型のエキシマレーザー光を用いることもできる。
【0116】
本実施例では結晶質珪素膜をTFTの活性層として用いるが、非晶質珪素膜を用いることも可能である。しかし、電流制御用TFTは大電流を流す必要性があるため、電流を流しやすい結晶質珪素膜を用いた方が有利である。
【0117】
なお、オフ電流を低減する必要のあるスイッチング用TFTの活性層を非晶質珪素膜で形成し、電流制御用TFTの活性層を結晶質珪素膜で形成することは有効である。非晶質珪素膜はキャリア移動度が低いため電流を流しにくくオフ電流が流れにくい。即ち、電流を流しにくい非晶質珪素膜と電流を流しやすい結晶質珪素膜の両者の利点を生かすことができる。
【0118】
次に、図3(B)に示すように、結晶質珪素膜302上に酸化珪素膜でなる保護膜303を130nmの厚さに形成する。この厚さは100〜200nm(好ましくは130〜170nm)の範囲で選べば良い。また、珪素を含む絶縁膜であれば他の膜でも良い。この保護膜303は不純物を添加する際に結晶質珪素膜が直接プラズマに曝されないようにするためと、微妙な濃度制御を可能にするために設ける。
【0119】
そして、その上にレジストマスク304a、304bを形成し、保護膜303を介してn型を付与する不純物元素(以下、n型不純物元素という)を添加する。なお、n型不純物元素としては、代表的には15族に属する元素、典型的にはリン又は砒素を用いることができる。なお、本実施例ではフォスフィン(PH3)を質量分離しないでプラズマ励起したプラズマドーピング法を用い、リンを1×1018atoms/cm3の濃度で添加する。勿論、質量分離を行うイオンインプランテーション法を用いても良い。
【0120】
この工程により形成されるn型不純物領域305、306には、n型不純物元素が2×1016〜5×1019atoms/cm3(代表的には5×1017〜5×1018atoms/cm3)の濃度で含まれるようにドーズ量を調節する。
【0121】
次に、図3(C)に示すように、保護膜303を除去し、添加した15族に属する元素の活性化を行う。活性化手段は公知の技術を用いれば良いが、本実施例ではエキシマレーザー光の照射により活性化する。勿論、パルス発振型でも連続発振型でも良いし、エキシマレーザー光に限定する必要はない。但し、添加された不純物元素の活性化が目的であるので、結晶質珪素膜が溶融しない程度のエネルギーで照射することが好ましい。なお、保護膜303をつけたままレーザー光を照射しても良い。
【0122】
なお、このレーザー光による不純物元素の活性化に際して、熱処理による活性化を併用しても構わない。熱処理による活性化を行う場合は、基板の耐熱性を考慮して450〜550℃程度の熱処理を行えば良い。
【0123】
この工程によりn型不純物領域305、306の端部、即ち、n型不純物領域305、306の周囲に存在するn型不純物元素を添加していない領域との境界部(接合部)が明確になる。このことは、後にTFTが完成した時点において、LDD領域とチャネル形成領域とが非常に良好な接合部を形成しうることを意味する。
【0124】
次に、図3(D)に示すように、結晶質珪素膜の不要な部分を除去して、島状の半導体膜(以下、活性層という)307〜310を形成する。
【0125】
次に、図3(E)に示すように、活性層307〜310を覆ってゲート絶縁膜311を形成する。ゲート絶縁膜311としては、10〜200nm、好ましくは50〜150nmの厚さの珪素を含む絶縁膜を用いれば良い。これは単層構造でも積層構造でも良い。本実施例では110nm厚の窒化酸化珪素膜を用いる。
【0126】
次に、200〜400nm厚の導電膜を形成し、パターニングしてゲート電極312〜316を形成する。なお、本実施例ではゲート電極と、ゲート電極に電気的に接続された引き回しのための配線(以下、ゲート配線という)とを別の材料で形成する。具体的にはゲート電極よりも低抵抗な材料をゲート配線として用いる。これは、ゲート電極としては微細加工が可能な材料を用い、ゲート配線には微細加工はできなくとも配線抵抗が小さい材料を用いるためである。勿論、ゲート電極とゲート配線とを同一材料で形成してしまっても構わない。
【0127】
また、ゲート電極は単層の導電膜で形成しても良いが、必要に応じて二層、三層といった積層膜とすることが好ましい。ゲート電極の材料としては公知のあらゆる導電膜を用いることができる。ただし、上述のように微細加工が可能、具体的には2μm以下の線幅にパターニング可能な材料が好ましい。
【0128】
代表的には、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはクロム(Cr)から選ばれた元素でなる膜、または前記元素の窒化物膜(代表的には窒化タンタル膜、窒化タングステン膜、窒化チタン膜)、または前記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金、Mo−Ta合金)、または前記元素のシリサイド膜(代表的にはタングステンシリサイド膜、チタンシリサイド膜)または導電性を持たせたシリコン膜を用いることができる。勿論、単層で用いても積層して用いても良い。
【0129】
本実施例では、50nm厚の窒化タンタル(TaN)膜と、350nm厚のTa膜とでなる積層膜を用いる。これはスパッタ法で形成すれば良い。また、スパッタガスとしてXe、Ne等の不活性ガスを添加すると応力による膜はがれを防止することができる。
【0130】
またこの時、ゲート電極313、316はそれぞれn型不純物領域305、306の一部とゲート絶縁膜311を介して重なるように形成する。この重なった部分が後にゲート電極と重なったLDD領域となる。
【0131】
次に、図4(A)に示すように、ゲート電極312〜316をマスクとして自己整合的にn型不純物元素(本実施例ではリン)を添加する。こうして形成される不純物領域317〜323にはn型不純物領域305、306の1/2〜1/10(代表的には1/3〜1/4)の濃度でリンが添加されるように調節する。具体的には、1×1016〜5×1018atoms/cm3(典型的には3×1017〜3×1018atoms/cm3)の濃度が好ましい。
【0132】
次に、図4(B)に示すように、ゲート電極等を覆う形でレジストマスク324a〜324dを形成し、n型不純物元素(本実施例ではリン)を添加して高濃度にリンを含む不純物領域325〜331を形成する。ここでもフォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法で行い、この領域のリンの濃度は1×1020〜1×1021atoms/cm3(代表的には2×1020〜5×1020atoms/cm3)となるように調節する。
【0133】
この工程によってnチャネル型TFTのソース領域若しくはドレイン領域が形成されるが、スイッチング用TFTでは、図4(A)の工程で形成したn型不純物領域320〜322の一部を残す。この残された領域が、図1におけるスイッチング用TFTのLDD領域15a〜15dに対応する。
【0134】
次に、図4(C)に示すように、レジストマスク324a〜324dを除去し、新たにレジストマスク332を形成する。そして、p型不純物元素(本実施例ではボロン)を添加し、高濃度にボロンを含む不純物領域333、334を形成する。ここではジボラン(B26)を用いたイオンドープ法により3×1020〜3×1021atoms/cm3(代表的には5×1020〜1×1021atoms/cm3)濃度となるようにボロンを添加する。
【0135】
なお、不純物領域333、334には既に1×1016〜5×1018atoms/cm3の濃度でリンが添加されているが、ここで添加されるボロンはその少なくとも3倍以上の濃度で添加される。そのため、予め形成されていたn型の不純物領域は完全にP型に反転し、P型の不純物領域として機能する。
【0136】
次に、レジストマスク332を除去した後、それぞれの濃度で添加されたn型またはp型不純物元素を活性化する。活性化手段としては、ファーネスアニール法、レーザーアニール法、またはランプアニール法で行うことができる。本実施例では電熱炉において窒素雰囲気中、550℃、4時間の熱処理を行う。
【0137】
このとき雰囲気中の酸素を極力排除することが重要である。なぜならば酸素が少しでも存在していると露呈したゲート電極の表面が酸化され、抵抗の増加を招くと共に後にオーミックコンタクトを取りにくくなるからである。従って、上記活性化工程における処理雰囲気中の酸素濃度は1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下とすることが望ましい。
【0138】
次に、活性化工程が終了したら300nm厚のゲート配線335を形成する。ゲート配線335の材料としては、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)を主成分(組成として50〜100%を占める。)とする金属膜を用いれば良い。配置としては図2のゲート配線211のように、スイッチング用TFTのゲート電極314、315(図2のゲート電極19a、19bに相当する)を電気的に接続するように形成する。(図4(D))
【0139】
このような構造とすることでゲート配線の配線抵抗を非常に小さくすることができるため、面積の大きい画像表示領域(画素部)を形成することができる。即ち、画面の大きさが対角10インチ以上(さらには30インチ以上)のEL表示装置を実現する上で、本実施例の画素構造は極めて有効である。
【0140】
次に、図5(A)に示すように、第1層間絶縁膜336を形成する。第1層間絶縁膜336としては、珪素を含む絶縁膜を単層で用いるか、その中で組み合わせた積層膜を用いれば良い。また、膜厚は400nm〜1.5μmとすれば良い。本実施例では、200nm厚の窒化酸化珪素膜の上に800nm厚の酸化珪素膜を積層した構造とする。
【0141】
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行い水素化処理を行う。この工程は熱的に励起された水素により半導体膜の不対結合手を水素終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0142】
なお、水素化処理は第1層間絶縁膜336を形成する間に入れても良い。即ち、200nm厚の窒化酸化珪素膜を形成した後で上記のように水素化処理を行い、その後で残り800nm厚の酸化珪素膜を形成しても構わない。
【0143】
次に、第1層間絶縁膜336に対してコンタクトホールを形成し、ソース配線337〜340と、ドレイン配線341〜343を形成する。なお、本実施例ではこの電極を、チタン膜を100nm、チタンを含むアルミニウム膜を300nm、チタン膜150nmをスパッタ法で連続形成した3層構造の積層膜とする。勿論他の導電膜でも良く、銀、パラジウム及び銅を含む合金膜を用いても良い。
【0144】
次に、50〜500nm(代表的には200〜300nm)の厚さで第1パッシベーション膜344を形成する。本実施例では第1パッシベーション膜344として300nm厚の窒化酸化珪素膜を用いる。これは窒化珪素膜で代用しても良い。勿論、図1の第1パッシベーション膜41と同様の材料を用いることが可能である。
【0145】
なお、窒化酸化珪素膜の形成に先立ってH2、NH3等水素を含むガスを用いてプラズマ処理を行うことは有効である。この前処理により励起された水素が第1層間絶縁膜336に供給され、熱処理を行うことで、第1パッシベーション膜344の膜質が改善される。それと同時に、第1層間絶縁膜336に添加された水素が下層側に拡散するため、効果的に活性層を水素化することができる。
【0146】
次に、有機樹脂からなる第2層間絶縁膜347を形成する。有機樹脂としてはポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用することができる。特に、第2層間絶縁膜347は平坦化の意味合いが強いので、平坦性に優れたアクリルが好ましい。本実施例ではTFTによって形成される段差を十分に平坦化しうる膜厚でアクリル膜を形成する。好ましくは1〜5μm(さらに好ましくは2〜4μm)とすれば良い。
【0147】
次に、第2層間絶縁膜347上に100nm厚の第2パッシベーション膜348を形成する。本実施例ではSi、Al、N、O及びLaを含む絶縁膜を用いるため、その上に設けられるEL層からのアルカリ金属の拡散を防止することができる。また、同時にEL層に水分を侵入させず、且つ、EL層で発生した熱を分散させて、熱によるEL層の劣化や平坦化膜(第2層間絶縁膜)の劣化を抑制することができる。
【0148】
そして、第2パッシベーション膜348、第2層間絶縁膜347及び第1パッシベーション膜344にドレイン配線343に達するコンタクトホールを形成し、画素電極349を形成する。本実施例では酸化インジウムと酸化スズとの化合物(ITO)膜を110nmの厚さに形成し、パターニングを行って画素電極とする。この画素電極349がEL素子の陽極となる。なお、他の材料として、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物膜や酸化ガリウムを含む酸化亜鉛膜を用いることも可能である。
【0149】
なお、本実施例では画素電極349がドレイン配線343を介して電流制御用TFTのドレイン領域331へと電気的に接続された構造となっている。この構造には次のような利点がある。
【0150】
画素電極349はEL層(発光層)や電荷輸送層などの有機材料に直接接することになるため、EL層等に含まれた可動イオンが画素電極中を拡散する可能性がある。即ち、本実施例の構造は画素電極349を直接活性層の一部であるドレイン領域331へ接続せず、ドレイン配線343を中継することによって活性層中への可動イオンの侵入を防ぐことができる。
【0151】
次に、図5(C)に示すように、EL層350をインクジェット方式により形成し、さらに大気解放しないで陰極(MgAg電極)351、保護電極352を形成する。このときEL層350及び陰極351を形成するに先立って画素電極349に対して熱処理を施し、水分を完全に除去しておくことが望ましい。なお、本実施例ではEL素子の陰極としてMgAg電極を用いるが、公知の他の材料であっても良い。
【0152】
なお、EL層350としては発明の実施の形態の欄で説明した材料を用いることができる。本実施例では図21に示すように、正孔注入層(Hole injecting layer)、正孔輸送層(Hole transporting layer)、発光層(Emitting layer)及び電子輸送層(Electron transporting layer)でなる4層構造をEL層とするが、電子輸送層を設けない場合もあるし、電子注入層を設ける場合もある。また、正孔注入層を省略する場合もある。このように組み合わせは既に様々な例が報告されており、そのいずれの構成を用いても構わない。
【0153】
正孔注入層又は正孔輸送層としてはアミン系のTPD(トリフェニルアミン誘導体)を用いればよく、他にもヒドラゾン系(代表的にはDEH)、スチルベン系(代表的にはSTB)、スターバスト系(代表的にはm−MTDATA)等を用いることができる。特にガラス転移温度が高く結晶化しにくいスターバスト系材料が好ましい。また、ポリアニリン(PAni)、ポリチオフェン(PEDOT)もしくは銅フタロシアニン(CuPc)を用いても良い。
【0154】
また、本実施例で用いる発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレンビニレン、緑色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン若しくはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。膜厚は30〜150nm(好ましくは40〜100nm)とすれば良い。また、本実施例では溶媒としてトルエンを用いる。
【0155】
また、保護電極352でもEL層350を水分や酸素から保護することは可能であるが、さらに好ましくは第3パッシベーション膜353を設けると良い。本実施例では第3パッシベーション膜353として300nm厚の窒化珪素膜を設ける。この第3パッシベーション膜も保護電極352の後に大気解放しないで連続的に形成しても構わない。勿論、第3パッシベーション膜353としては、図1の第3パッシベーション膜50と同一の材料を用いることができる。
【0156】
また、保護電極352はMgAg電極351の劣化を防ぐために設けられ、アルミニウムを主成分とする金属膜が代表的である。勿論、他の材料でも良い。また、EL層350、MgAg電極351は非常に水分に弱いので、保護電極352までを大気解放しないで連続的に形成し、外気からEL層を保護することが望ましい。
【0157】
なお、EL層350の膜厚は10〜400nm(典型的には60〜160nm)、MgAg電極351の厚さは180〜300nm(典型的には200〜250nm)とすれば良い。また、EL層350を積層構造とする場合、各層の膜厚は10〜100nmの範囲とすれば良い。
【0158】
こうして図5(C)に示すような構造のアクティブマトリクス型EL表示装置が完成する。ところで、本実施例のアクティブマトリクス型EL表示装置は、画素部だけでなく駆動回路部にも最適な構造のTFTを配置することにより、非常に高い信頼性を示し、動作特性も向上しうる。
【0159】
まず、極力動作速度を落とさないようにホットキャリア注入を低減させる構造を有するTFTを、駆動回路を形成するCMOS回路のnチャネル型TFT205として用いる。なお、ここでいう駆動回路としては、シフトレジスタ、バッファ、レベルシフタ、サンプリング回路(トランスファゲート)などが含まれる。デジタル駆動を行う場合には、D/Aコンバータなどの信号変換回路も含まれうる。
【0160】
本実施例の場合、図5(C)に示すように、nチャネル型205の活性層は、ソース領域355、ドレイン領域356、LDD領域357及びチャネル形成領域358を含み、LDD領域357はゲート絶縁膜311を挟んでゲート電極313と重なっている。
【0161】
ドレイン領域側のみにLDD領域を形成しているのは、動作速度を落とさないための配慮である。また、このnチャネル型TFT205はオフ電流値をあまり気にする必要はなく、それよりも動作速度を重視した方が良い。従って、LDD領域357は完全にゲート電極に重ねてしまい、極力抵抗成分を少なくすることが望ましい。即ち、いわゆるオフセットはなくした方がよい。
【0162】
また、CMOS回路のpチャネル型TFT206は、ホットキャリア注入による劣化が殆ど気にならないので、特にLDD領域を設けなくても良い。勿論、nチャネル型TFT205と同様にLDD領域を設け、ホットキャリア対策を講じることも可能である。
【0163】
なお、駆動回路の中でもサンプリング回路は他の回路と比べて少し特殊であり、チャネル形成領域を双方向に大電流が流れる。即ち、ソース領域とドレイン領域の役割が入れ替わるのである。さらに、オフ電流値を極力低く抑える必要があり、そういった意味でスイッチング用TFTと電流制御用TFTの中間程度の機能を有するTFTを配置することが望ましい。
【0164】
従って、サンプリング回路を形成するnチャネル型TFTは、図9に示すような構造のTFTを配置することが望ましい。図9に示すように、LDD領域901a、901bの一部がゲート絶縁膜902を挟んでゲート電極903と重なる。この効果は電流制御用TFT202の説明で述べた通りであり、サンプリング回路の場合はチャネル形成領域904を挟む形でLDD領域901a、901bを設ける点が異なる。
【0165】
また、図1に示したような構造の画素を形成して画素部を形成している。画素内に形成されるスイッチング用TFT及び電流制御用TFTの構造については、図1で既に説明したのでここでの説明は省略する。
【0166】
なお、実際には図5(C)まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性の高い保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やセラミックス製シーリングカンなどのハウジング材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際、ハウジング材の内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿剤(例えば酸化バリウム)や酸化防止剤を配置することでEL層の信頼性(寿命)が向上する。
【0167】
また、パッケージング等の処理により気密性を高めたら、基板上に形成された素子又は回路から引き回された端子と外部信号端子とを接続するためのコネクター(フレキシブルプリントサーキット:FPC)を取り付けて製品として完成する。このような出荷できる状態にまでしたEL表示装置を本明細書中ではELモジュールという。
【0168】
ここで本実施例のアクティブマトリクス型EL表示装置の構成を図6の斜視図を用いて説明する。本実施例のアクティブマトリクス型EL表示装置は、ガラス基板601上に形成された、画素部602と、ゲート側駆動回路603と、ソース側駆動回路604で構成される。画素部のスイッチング用TFT605はnチャネル型TFTであり、ゲート側駆動回路603に接続されたゲート配線606、ソース側駆動回路604に接続されたソース配線607の交点に配置されている。また、スイッチング用TFT605のドレインは電流制御用TFT608のゲートに接続されている。
【0169】
さらに、電流制御用TFT608のソースは電流供給線609に接続され、電流制御用TFT608のドレインにはEL素子610が電気的に接続されている。このとき、電流制御用TFT608がnチャネル型TFTであればそのドレインにはEL素子610の陰極が接続されることが好ましい。また、電流制御用TFT608がpチャネル型TFTであればそのドレインにはEL素子610の陽極が接続されることが好ましい。
【0170】
そして、外部入力端子となるFPC611には駆動回路まで信号を伝達するための入力配線(接続配線)612、613、及び電流供給線609に接続された入力配線614が設けられている。
【0171】
また、図6に示したEL表示装置の回路構成の一例を図7に示す。本実施例のEL表示装置は、ソース側駆動回路701、ゲート側駆動回路(A)707、ゲート側駆動回路(B)711、画素部706を有している。なお、本明細書中において、駆動回路とはソース側処理回路およびゲート側駆動回路を含めた総称である。
【0172】
ソース側駆動回路701は、シフトレジスタ702、レベルシフタ703、バッファ704、サンプリング回路(トランスファゲート)705を備えている。また、ゲート側駆動回路(A)707は、シフトレジスタ708、レベルシフタ709、バッファ710を備えている。ゲート側駆動回路(B)711も同様な構成である。
【0173】
ここでシフトレジスタ702、708は駆動電圧が5〜16V(代表的には10V)であり、回路を形成するCMOS回路に使われるnチャネル型TFTは図5(C)の205で示される構造が適している。
【0174】
また、レベルシフタ703、709、バッファ704、710は、駆動電圧は14〜16Vと高くなるが、シフトレジスタと同様に、図5(C)のnチャネル型TFT205を含むCMOS回路が適している。なお、ゲート配線をダブルゲート構造、トリプルゲート構造といったマルチゲート構造とすることは、各回路の信頼性を向上させる上で有効である。
【0175】
また、サンプリング回路705は駆動電圧が14〜16Vであるが、ソース領域とドレイン領域が反転する上、オフ電流値を低減する必要があるので、図9のnチャネル型TFT208を含むCMOS回路が適している。
【0176】
また、画素部706は駆動電圧が14〜16Vであり、図1に示した構造の画素を配置する。
【0177】
なお、上記構成は、図3〜5に示した作製工程に従ってTFTを作製することによって容易に実現することができる。また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の作製工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ回路、オペアンプ回路、γ補正回路など駆動回路以外の論理回路を同一基板上に形成することが可能であり、さらにはメモリ部やマイクロプロセッサ等を形成しうると考えている。
【0178】
さらに、ハウジング材をも含めた本実施例のELモジュールについて図17(A)、(B)を用いて説明する。なお、必要に応じて図6、図7で用いた符号を引用することにする。
【0179】
基板(TFTの下の下地膜を含む)1700上には画素部1701、ソース側駆動回路1702、ゲート側駆動回路1703が形成されている。それぞれの駆動回路からの各種配線は、入力配線612〜614を経てFPC611に至り外部機器へと接続される。
【0180】
このとき少なくとも画素部、好ましくは駆動回路及び画素部を囲むようにしてハウジング材1704を設ける。なお、ハウジング材1704はEL素子の外寸よりも内寸が大きい凹部を有する形状又はシート形状であり、接着剤1705によって、基板1700と共同して密閉空間を形成するようにして基板1700に固着される。このとき、EL素子は完全に前記密閉空間に封入された状態となり、外気から完全に遮断される。なお、ハウジング材1704は複数設けても構わない。
【0181】
また、ハウジング材1704の材質はガラス、ポリマー等の絶縁性物質が好ましい。例えば、非晶質ガラス(硼硅酸塩ガラス、石英等)、結晶化ガラス、セラミックスガラス、有機系樹脂(アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等)、シリコーン系樹脂が挙げられる。また、セラミックスを用いても良い。また、接着剤1705が絶縁性物質であるならステンレス合金等の金属材料を用いることも可能である。
【0182】
また、接着剤1705の材質は、エポキシ系樹脂、アクリレート系樹脂等の接着剤を用いることが可能である。さらに、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を接着剤として用いることもできる。但し、可能な限り酸素、水分を透過しない材質であることが必要である。
【0183】
さらに、ハウジング材と基板1700との間の空隙1706は不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素等)を充填しておくことが望ましい。また、ガスに限らず不活性液体(パーフルオロアルカンに代表されるの液状フッ素化炭素等)を用いることも可能である。不活性液体に関しては特開平8−78159号で用いられているような材料で良い。また、樹脂を充填しても良い。
【0184】
また、空隙1706に乾燥剤を設けておくことも有効である。乾燥剤としては特開平9−148066号公報に記載されているような材料を用いることができる。典型的には酸化バリウムを用いれば良い。また、乾燥剤だけでなく酸化防止剤を設けることも有効である。
【0185】
また、図17(B)に示すように、画素部には個々に孤立したEL素子を有する複数の画素が設けられ、それらは全て保護電極1707を共通電極として有している。本実施例では、EL層、陰極(MgAg電極)及び保護電極を大気解0放しないで連続形成することが好ましいとしたが、EL層と陰極とを同じマスク材を用いて形成し、保護電極だけ別のマスク材で形成すれば図17(B)の構造を実現することができる。
【0186】
このとき、EL層と陰極は画素部のみ設ければよく、駆動回路の上に設ける必要はない。勿論、駆動回路上に設けられていても問題とはならないが、EL層にアルカリ金属が含まれていることを考慮すると設けない方が好ましい。
【0187】
なお、保護電極1707は1708で示される領域において、入力配線1709に接続される。入力配線1709は保護電極1707に所定の電圧を与えるための配線であり、導電性ペースト材料(異方導電性膜)1710を介してFPC611に接続される。
【0188】
ここで領域1708におけるコンタクト構造を実現するための作製工程について図18を用いて説明する。
【0189】
まず、本実施例の工程に従って図5(A)の状態を得る。このとき、基板端部(図17(B)において1708で示される領域)において第1層間絶縁膜336及びゲート絶縁膜311を除去し、その上に入力配線1709を形成する。勿論、図5(A)のソース配線及びドレイン配線と同時に形成される。(図18(A))
【0190】
次に、図5(B)において第2パッシベーション膜348、第2層間絶縁膜347及び第1パッシベーション膜344をエッチングする際に、1801で示される領域を除去し、且つ開孔部1802を形成する。(図18(B))
【0191】
この状態で画素部ではEL素子の形成工程(画素電極、EL層及び陰極の形成工程)が行われる。この際、図18に示される領域ではマスク材を用いてEL素子が形成されないようにする。そして、陰極351を形成した後、別のマスク材を用いて保護電極352を形成する。これにより保護電極352と入力配線1709とが電気的に接続される。さらに、第3パッシベーション膜353を設けて図18(C)の状態を得る。
【0192】
以上の工程により図17(B)の1708で示される領域のコンタクト構造が実現される。そして、入力配線1709はハウジング材1704と基板1700との間の隙間(但し接着剤1705で充填されている。即ち、接着剤1705は入力配線の段差を十分に平坦化しうる厚さが必要である。)を通ってFPC611に接続される。なお、ここでは入力配線1709について説明したが、他の出力配線612〜614も同様にしてハウジング材1704の下を通ってFPC611に接続される。
【実施例2】
【0193】
本実施例では、画素の構成を図2(B)に示した構成と異なるものとした例を図10に示す。
【0194】
本実施例では、図2(B)に示した二つの画素を、電流供給線について対称となるように配置する。即ち、図10に示すように、電流供給線213を隣接する二つの画素間で共通化することで、必要とする配線の本数を低減することができる。なお、画素内に配置されるTFT構造等はそのままで良い。
【0195】
このような構成とすれば、より高精細な画素部を作製することが可能となり、画像の品質が向上する。
【0196】
なお、本実施例の構成は実施例1の作製工程に従って容易に実現可能であり、TFT構造等に関しては実施例1や図1の説明を参照すれば良い。
【実施例3】
【0197】
本実施例では、図1と異なる構造の画素部を形成する場合について図11を用いて説明する。なお、第2層間絶縁膜44を形成する工程までは実施例1に従えば良い。また、第2層間絶縁膜44で覆われたスイッチング用TFT201、電流制御用TFT202は図1と同じ構造であるので、ここでの説明は省略する。
【0198】
本実施例の場合、第2パッシベーション膜45、第2層間絶縁膜44及び第1パッシベーション膜41に対してコンタクトホールを形成したら、画素電極51、バンク103a、103bを形成した後、陰極52及びEL層53を形成する。本実施例では陰極52を真空蒸着法で形成した後、大気解放しないで乾燥された不活性雰囲気を維持したままインクジェット方式によりEL層53を形成する。この際、バンク103a、103bにより選択的に赤色発光のEL層、緑色発光のEL層、青色発光のEL層が別々の画素に形成される。なお、図11には一つの画素しか図示していないが、同一構造の画素が赤、緑又は青のそれぞれの色に対応して形成され、これによりカラー表示を行うことができる。これら各色のEL層は公知の材料を採用すれば良い。
【0199】
本実施例では画素電極51として、150nm厚のアルミニウム合金膜(1wt%のチタンを含有したアルミニウム膜)を設ける。なお、画素電極の材料としては金属材料であれば如何なる材料でも良いが、反射率の高い材料であることが好ましい。また、陰極52として230nm厚のMgAg電極を用い、EL層53の膜厚は90nm(下から電子輸送層20nm、発光層40nm、正孔輸送層30nm)とする。
【0200】
次に、透明導電膜(本実施例ではITO膜)からなる陽極54を110nmの厚さに形成する。こうしてEL素子209が形成され、実施例1に示した材料でもって第3パッシベーション膜55を形成すれば図11に示すような構造の画素が完成する。
【0201】
本実施例の構造とした場合、各画素で生成された赤色、緑色又は青色の光はTFTが形成された基板とは反対側に放射される。そのため、画素内のほぼ全域、即ちTFTが形成された領域をも有効な発光領域として用いることができる。その結果、画素の有効発光面積が大幅に向上し、画像の明るさやコントラスト比(明暗の比)が向上する。
【0202】
なお、本実施例の構成は、実施例1、2のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【実施例4】
【0203】
本実施例では、実施例1の図2とは異なる構造の画素を形成する場合について図12(A)、(B)を用いて説明する。
【0204】
図12(A)において、1201はスイッチング用TFTであり、活性層56、ゲート電極57a、ゲート配線57b、ソース配線58及びドレイン配線59を構成として含む。また、1202は電流制御用TFTであり、活性層60、ゲート電極61、ソース配線62及びドレイン配線63を構成として含む。そして、電流制御用TFT1202のソース配線62は電流供給線64に接続され、ドレイン配線63はEL素子65に接続される。この画素の回路構成を表したのが図12(B)である。
【0205】
図12(A)と図2(A)との相違点は、スイッチング用TFTの構造である。本実施例では線幅が0.1〜5μmと細いゲート電極57aを形成し、その部分を横切るようにして活性層56を形成する。そして各画素のゲート電極57aを電気的に接続するようにゲート配線57bが形成される。これにより面積をさほど専有することなくトリプルゲート構造を実現している。
【0206】
他の部分は図2(A)と同様であるが、本実施例のような構造とするとスイッチング用TFTの専有する面積が小さくなるため有効発光面積が広くなる、即ち画像の明るさが向上する。また、オフ電流値を低減するための冗長性を高めたゲート構造を実現しうるため、さらなる画質の向上を図ることができる。
【0207】
なお、本実施例の構成は実施例2のように電流供給線64を隣接する画素間で共通化しても良いし、実施例3のような構造としても良い。また、作製工程に関しては実施例1に従えば良い。
【実施例5】
【0208】
実施例1〜4ではトップゲート型TFTの場合について説明したが、本発明はボトムゲート型TFTを用いて実施しても構わない。本実施例では逆スタガ型TFTで本発明を実施した場合について図13に示す。なお、TFT構造以外は図1の構造と同様であるので必要に応じて図1と同じ符号を用いる。
【0209】
図13において、基板11、下地膜12には実施例1と同様の材料を用いることができる。そして、下地膜12上にはスイッチング用TFT1301及び電流制御用TFT1302が形成される。
【0210】
スイッチング用TFT1301の構成は、ゲート電極70a、70b、ゲート配線71、ゲート絶縁膜72、ソース領域73、ドレイン領域74、LDD領域75a〜75d、高濃度不純物領域76、チャネル形成領域77a、77b、チャネル保護膜78a、78b、第1層間絶縁膜79、ソース配線80及びドレイン配線81を含む。
【0211】
また、電流制御用TFT1302の構成は、ゲート電極82、ゲート絶縁膜72、ソース領域83、ドレイン領域84、LDD領域85、チャネル形成領域86、チャネル保護膜87、第1層間絶縁膜79、ソース配線88及びドレイン配線89を含む。この時、ゲート電極82はスイッチング用TFT1301のドレイン配線84と電気的に接続される。
【0212】
なお、上記スイッチング用TFT1301及び電流制御用TFT1302は公知の逆スタガ型TFTの作製方法によって形成すれば良い。また、上記TFTを形成する各部位(配線、絶縁膜、活性層等)の材料は実施例1のトップゲート型TFTにおいて対応する各部位と同様の材料を用いることができる。但し、トップゲート型TFTの構成にはないチャネル保護膜78a、78b、87に関しては、珪素を含む絶縁膜で形成すれば良い。また、ソース領域、ドレイン領域又はLDD領域等の不純物領域の形成については、フォトリソグラフィ技術を用いて個別に不純物濃度を変えて形成すれば良い。
【0213】
TFTが完成したら、第1パッシベーション膜41、第2層間絶縁膜(平坦化膜)44、第2パッシベーション膜45、画素電極(陽極)46、バンク101a、101b、EL層47、MgAg電極(陰極)48、アルミニウム電極(保護電極)49、第3パッシベーション膜50を順次形成してEL素子1303を有する画素が完成する。これらの作製工程及び材料に関しては実施例1を参考にすれば良い。
【0214】
なお、本実施例の構成は、実施例2〜4のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【実施例6】
【0215】
実施例1の図5(C)又は図1の構造において、活性層と基板との間に設けられる下地膜として、第2パッシベーション膜45と同様に放熱効果の高い材料を用いることは有効である。特に電流制御用TFTは多くの電流を流すことになるため発熱しやすく、自己発熱による劣化が問題となりうる。そのような場合に、本実施例のように下地膜が放熱効果を有することでTFTの熱劣化を防ぐことができる。
【0216】
もちろん、基板から拡散する可動イオン等から防ぐ効果も重要であるので、第1パッシベーション膜41と同様にSi、Al、N、O、Mを含む化合物と珪素を含む絶縁膜との積層構造を用いることも好ましい。
【0217】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜5のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【実施例7】
【0218】
実施例3に示した画素構造とした場合、EL層から発する光は基板とは反対側に放射されるため、基板と画素電極との間に存在する絶縁膜等の透過率を気にする必要がない。即ち、多少透過率の低い材料であっても用いることができる。
【0219】
従って、下地膜12、第1パッシベーション膜41又は第2パッシベーション膜45としてダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカーボン膜又はアモルファスカーボン膜と呼ばれる炭素膜を用いる上で有利である。即ち、透過率の低下を気にする必要がないため、膜厚を100〜500nmというように厚く設定することができ、放熱効果をより高めることが可能である。
【0220】
なお、第3パッシベーション膜50に上記炭素膜を用いる場合に関しては、やはり透過率の低下は避けるべきであるので、膜厚は5〜100nm程度にしておくことが好ましい。
【0221】
なお、本実施例においても下地膜12、第1パッシベーション膜41、第2パッシベーション膜45又は第3パッシベーション膜50のいずれに炭素膜を用いる場合においても、他の絶縁膜と積層して用いることは有効である。
【0222】
なお、本実施例は実施例3に示した画素構造とする場合において有効であり、その他の構成に関しては、実施例1〜6のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【実施例8】
【0223】
本発明ではEL表示装置の画素においてスイッチング用TFTをマルチゲート構造とすることによりスイッチング用TFTのオフ電流値を低減し、保持容量の必要性を排除している。これは保持容量の専有する面積を発光領域として有効に活用するための工夫である。
【0224】
しかしながら、保持容量を完全になくせないまでも専有面積を小さくするだけで有効発光面積を広げるという効果は得られる。即ち、スイッチング用TFTをマルチゲート構造にすることによりオフ電流値を低減し、保持容量の専有面積を縮小化するだけでも十分である。
【0225】
従って、図14に示すような画素構造とすることも可能である。なお、図14では必要に応じて図1と同じ符号を引用している。
【0226】
図14と図1との相違点は、スイッチング用TFTに接続された保持容量1401が存在する点である。保持容量1401はスイッチング用TFT201のドレイン領域14から延長された半導体領域(下部電極)1402とゲート絶縁膜18と容量電極(上部電極)1403とで形成される。この容量電極1403はTFTのゲート電極19a、19b、35と同時に形成される。
【0227】
この上面図を図15(A)に示す。図15(A)の上面図をA−A’で切った断面図が図14に相当する。図15(A)示すように、容量電極1403は電気的に接続された接続配線1404を介して電流制御用TFTのソース領域31と電気的に接続される。なお、接続配線1404はソース配線21、36及びドレイン配線22、37と同時に形成される。また、図15(B)は図15(A)に示す上面図の回路構成を表している。
【0228】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜7のいずれの構成とも自由に組み合わせることができる。即ち、画素内に保持容量が設けられるだけであって、TFT構造やEL層の材料等に限定を加えるものではない。
【実施例9】
【0229】
実施例1では、結晶質珪素膜302の形成手段としてレーザー結晶化を用いているが、本実施例では異なる結晶化手段を用いる場合について説明する。
【0230】
本実施例では、非晶質珪素膜を形成した後、特開平7−130652号公報に記載された技術を用いて結晶化を行う。同公報に記載された技術は、結晶化を促進(助長)する触媒として、ニッケル等の元素を用い、結晶性の高い結晶質珪素膜を得る技術である。
【0231】
また、結晶化工程が終了した後で、結晶化に用いた触媒を除去する工程を行っても良い。その場合、特開平10−270363号若しくは特開平8−330602号に記載された技術により触媒をゲッタリングすれば良い。
【0232】
また、本出願人による特願平11−076967の出願明細書に記載された技術を用いてTFTを形成しても良い。
【0233】
以上のように、実施例1に示した作製工程は一実施例であって、図1又は実施例1の図5(C)の構造が実現できるのであれば、他の作製工程を用いても問題はない。
【0234】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜8のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【実施例10】
【0235】
本発明のEL表示装置を駆動するにあたって、画像信号としてアナログ信号を用いたアナログ駆動を行うこともできるし、デジタル信号を用いたデジタル駆動を行うこともできる。
【0236】
アナログ駆動を行う場合、スイッチング用TFTのソース配線にはアナログ信号が送られ、その階調情報を含んだアナログ信号が電流制御用TFTのゲート電圧となる。そして、電流制御用TFTでEL素子に流れる電流を制御し、EL素子の発光強度を制御して階調表示を行う。。この場合、電流制御用TFTは飽和領域で動作させることが望ましい。即ち、|Vds|>|Vgs−Vth|の条件内で動作させることが望ましい。なお、ここでVdsはソース領域とドレイン領域との間の電圧、Vgsはソース領域とゲート電極との間の電圧、VthはTFTのしきい値電圧である。
【0237】
一方、デジタル駆動を行う場合、アナログ的な階調表示とは異なり、時分割駆動(時間階調駆動)もしくは面積階調駆動と呼ばれる階調表示を行う。即ち、発光時間の長さや発光面積比率を調節することで、視覚的に色階調が変化しているように見せる。この場合、電流制御用TFTは線形領域で動作させることが望ましい。即ち、|Vds|<|Vgs−Vth|の条件内で動作させることが望ましい。
【0238】
EL素子は液晶素子に比べて非常に応答速度が速いため、高速で駆動することが可能である。そのため、1フレームを複数のサブフレームに分割して階調表示を行う時分割駆動に適した素子であると言える。また、1フレーム期間が短いため電流制御用TFTのゲート電圧を保持しておく時間も短くて済み、保持容量を小さくする、もしくは省略する上で有利と言える。
【0239】
このように、本発明は素子構造に関する技術であるので、駆動方法は如何なるものであっても構わない。
【実施例11】
【0240】
本実施例では、本発明のEL表示装置の画素構造の例を図23(A)、(B)に示す。なお、本実施例において、4701はスイッチング用TFT4702のソース配線、4703はスイッチング用TFT4702のゲート配線、4704は電流制御用TFT、4705は電流供給線、4706は電源制御用TFT、4707は電源制御用ゲート配線、4708はEL素子とする。電源制御用TFT4706の動作については特願平11−341272号を参照すると良い。
【0241】
また、本実施例では電源制御用TFT4706を電流制御用TFT4704とEL素子4708との間に設けているが、電源制御用TFT4706とEL素子4708との間に電流制御用TFT4704が設けられた構造としても良い。また、電源制御用TFT4706は電流制御用TFT4704と同一構造とするか、同一の活性層で直列させて形成するのが好ましい。
【0242】
また、図23(A)は、二つの画素間で電流供給線4705を共通とした場合の例である。即ち、二つの画素が電流供給線4705を中心に線対称となるように形成されている点に特徴がある。この場合、電流供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0243】
また、図23(B)は、ゲート配線4703と平行に電流供給線4710を設け、ソース配線4701と平行に電源制御用ゲート配線4711を設けた場合の例である。なお、図23(B)では電流供給線4710とゲート配線4703とが重ならないように設けた構造となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶縁膜を挟んで重なるように設けることもできる。この場合、電流供給線4710とゲート配線4703とで専有面積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【実施例12】
【0244】
本実施例では、本発明のEL表示装置の画素構造の例を図24(A)、(B)に示す。なお、本実施例において、4801はスイッチング用TFT4802のソース配線、4803はスイッチング用TFT4802のゲート配線、4804は電流制御用TFT、4805は電流供給線、4806は消去用TFT、4807は消去用ゲート配線、4808はEL素子とする。消去用TFT4806の動作については特願平11−338786号を参照すると良い。
【0245】
消去用TFT4806のドレインは電流制御用TFT4804のゲートに接続され、電流制御用TFT4804のゲート電圧を強制的に変化させることができるようになっている。なお、消去用TFT4806はnチャネル型TFTとしてもpチャネル型TFTとしても良いが、オフ電流を小さくできるようにスイッチング用TFT4802と同一構造とすることが好ましい。
【0246】
また、図24(A)は、二つの画素間で電流供給線4805を共通とした場合の例である。即ち、二つの画素が電流供給線4805を中心に線対称となるように形成されている点に特徴がある。この場合、電流供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0247】
また、図24(B)は、ゲート配線4803と平行に電流供給線4810を設け、ソース配線4801と平行に消去用ゲート配線4811を設けた場合の例である。なお、図24(B)では電流供給線4810とゲート配線4803とが重ならないように設けた構造となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶縁膜を挟んで重なるように設けることもできる。この場合、電流供給線4810とゲート配線4803とで専有面積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【実施例13】
【0248】
本発明のEL表示装置は画素内にいくつのTFTを設けた構造としても良い。実施例11、12ではTFTを三つ設けた例を示しているが、四つ乃至六つのTFTを設けても構わない。本発明はEL表示装置の画素構造に限定されずに実施することが可能である。
【実施例14】
【0249】
本実施例では、図1の電流制御用TFT202としてpチャネル型TFTを用いた場合の例について説明する。なお、その他の部分は図1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0250】
本実施例の画素の断面構造を図25に示す。本実施例で用いるpチャネル型TFTの作製方法は実施例1を参考にすれば良い。pチャネル型TFTの活性層はソース領域2801、ドレイン領域2802およびチャネル形成領域2803を含み、ソース領域2801はソース配線36に、ドレイン領域2802はドレイン配線37に接続されている。
【0251】
このように、電流制御用TFTにEL素子の陽極が接続される場合は、電流制御用TFTとしてpチャネル型TFTを用いることが好ましい。
【0252】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜13のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例15】
【0253】
本発明において、三重項励起子からの燐光を発光に利用できるEL材料を用いることで、外部発光量子効率を飛躍的に向上させることができる。これにより、EL素子の低消費電力化、長寿命化、および軽量化が可能になる。
ここで、三重項励起子を利用し、外部発光量子効率を向上させた報告を示す。
(T.Tsutsui, C.Adachi, S.Saito, Photochemical Processes in Organized Molecular Systems, ed.K.Honda, (Elsevier Sci.Pub., Tokyo,1991) p.437.) 上記論文に報告されたEL材料(クマリン色素)の分子式を以下に示す。
【0254】
【化11】

【0255】
(M.A.Baldo, D.F.O'Brien, Y.You, A.Shoustikov, S.Sibley, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Nature 395 (1998) p.151.) 上記論文に報告されたEL材料(Pt錯体)の分子式を以下に示す。
【0256】
【化12】

【0257】
(M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Appl.Phys.Lett.,75 (1999) p.4.)(T.Tsutsui, M.-J.Yang, M.Yahiro, K.Nakamura, T.Watanabe, T.tsuji, Y.Fukuda, T.Wakimoto, S.Mayaguchi, Jpn.Appl.Phys., 38 (12B) (1999) L1502.) 上記論文に報告されたEL材料(Ir錯体)の分子式を以下に示す。
【0258】
【化13】

【0259】
以上のように三重項励起子からの燐光発光を利用できれば原理的には一重項励起子からの蛍光発光を用いる場合より3〜4倍の高い外部発光量子効率の実現が可能となる。なお、本実施例の構成は、実施例1〜実施例13のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例16】
【0260】
実施例1ではEL層として有機EL材料を用いることが好ましいとしたが、本発明は無機EL材料を用いても実施できる。但し、現在の無機EL材料は非常に駆動電圧が高いため、アナログ駆動を行う場合には、そのような駆動電圧に耐えうる耐圧特性を有するTFTを用いなければならない。
【0261】
または、将来的にさらに駆動電圧の低い無機EL材料が開発されれば、本発明に適用することは可能である。
【0262】
また、本実施例の構成は、実施例1〜14のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【実施例17】
【0263】
本発明を実施して形成されたアクティブマトリクス型EL表示装置(ELモジュール)は、自発光型であるため液晶表示装置に比べて明るい場所での視認性に優れている。そのため直視型のELディスプレイ(ELモジュールを組み込んだ表示ディスプレイを指す)として用途は広い。
【0264】
なお、ELディスプレイが液晶ディスプレイよりも有利な点の一つとして視野角の広さが挙げられる。従って、TV放送等を大画面で鑑賞するには対角30インチ以上(典型的には40インチ以上)の表示ディスプレイ(表示モニタ)として本発明のELディスプレイを用いるとよい。
【0265】
また、ELディスプレイ(パソコンモニタ、TV放送受信用モニタ、広告表示モニタ等)として用いるだけでなく、様々な電子装置の表示ディスプレイとして用いることができる。
【0266】
その様な電子装置としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはコンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(LD)又はデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子装置の例を図16に示す。
【0267】
図16(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、筐体2002、表示部2003、キーボード2004を含む。本発明は表示部2003に用いることができる。
【0268】
図16(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106を含む。本発明を表示部2102に用いることができる。
【0269】
図16(C)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2201、表示部2202、アーム部2203を含む。本発明は表示部2202に用いることができる。
【0270】
図16(D)は携帯型(モバイル)コンピュータであり、本体2301、カメラ部2302、受像部2303、操作スイッチ2304、表示部2305を含む。本発明は表示部2305に用いることができる。
【0271】
図16(E)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、記録媒体(CD、LDまたはDVD等)2402、操作スイッチ2403、表示部(a)2404、表示部(b)2405を含む。表示部(a)は主として画像情報を表示し、表示部(b)は主として文字情報を表示するが、本発明はこれら表示部(a)、(b)に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置としては、CD再生装置、ゲーム機器などに本発明を用いることができる。
【0272】
図16(F)はELディスプレイであり、筐体2501、支持台2502、表示部2503を含む。本発明は表示部2503に用いることができる。本発明のELディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に対角30インチ以上)のディスプレイには有利である。
【0273】
また、将来的にEL材料の発光輝度が高くなれば、フロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0274】
また、上記電子装置はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。EL材料の応答速度は非常に高いため、そのような動画表示を行うに適している。
【0275】
また、EL表示装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話やカーオーディオのような文字情報を主とする表示部にEL表示装置を用いる場合には、非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
【0276】
ここで図22(A)は携帯電話であり、本体2601、音声出力部2602、音声入力部2603、表示部2604、操作スイッチ2605、アンテナ2606を含む。本発明のEL表示装置は表示部2604に用いることができる。なお、表示部2604は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0277】
また、図22(B)は車載用オーディオ(カーオーディオ)であり、本体2701、表示部2702、操作スイッチ2703、2704を含む。本発明のEL表示装置は表示部2702に用いることができる。また、本実施例では車載用オーディオを示すが、据え置き型オーディオに用いても良い。なお、表示部2702は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。
【0278】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子装置に適用することが可能である。また、本実施例の電子装置は実施例1〜16のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0279】
【図1】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。
【図2】EL表示装置の画素部の上面構造及び構成を示す図。
【図3】アクティブマトリクス型EL表示装置の作製工程を示す図。
【図4】アクティブマトリクス型EL表示装置の作製工程を示す図。
【図5】アクティブマトリクス型EL表示装置の作製工程を示す図。
【図6】ELモジュールの外観を示す図。
【図7】EL表示装置の回路ブロック構成を示す図。
【図8】EL表示装置の画素部を拡大した図。
【図9】EL表示装置のサンプリング回路の素子構造を示す図。
【図10】EL表示装置の画素部の構成を示す図。
【図11】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。
【図12】EL表示装置の画素部の上面構造及び構成を示す図。
【図13】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。
【図14】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。
【図15】EL表示装置の画素部の上面構造及び構成を示す図。
【図16】電子装置の具体例を示す図。
【図17】ELモジュールの外観を示す図。
【図18】コンタクト構造の作製工程を示す図。
【図19】インクジェット方式を説明するための図。
【図20】インクジェット方式によるEL層形成を示す図。
【図21】EL層の積層構造を示す図。
【図22】電子装置の具体例を示す図。
【図23】EL表示装置の画素部の回路構成を示す図。
【図24】EL表示装置の画素部の回路構成を示す図。
【図25】EL表示装置の画素部の断面構造を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数のTFTを形成し、
前記複数のTFT上に少なくともダイヤモンド薄膜又はアモルファスカーボン膜を含む炭素膜を形成し、
前記炭素膜上に平坦化膜を形成し、
前記炭素膜及び前記平坦化膜にコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールを介して前記複数のTFTの各々に接続された複数の画素電極を形成し、
前記複数の画素電極の上にインクジェット方式により選択的にEL層を形成することを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項2】
基板上に複数のTFTを形成し、
前記複数のTFT上に少なくともダイヤモンド薄膜又はアモルファスカーボン膜を含む炭素膜を形成し、
前記炭素膜上に平坦化膜を形成し、
前記平坦化膜上に絶縁膜を形成し、
前記炭素膜、前記平坦化膜、及び前記絶縁膜にコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールを介して前記複数のTFTの各々に接続された複数の画素電極を形成し、
前記複数の画素電極の上にインクジェット方式により選択的にEL層を形成することを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項3】
基板上に複数のTFTを形成し、
前記複数のTFT上に少なくともダイヤモンド薄膜又はアモルファスカーボン膜を含む炭素膜を形成し、
前記炭素膜上に平坦化膜を形成し、
前記平坦化膜上に絶縁膜を形成し、
前記炭素膜、前記平坦化膜、及び前記絶縁膜にコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールを介して前記複数のTFTの各々に接続された複数の画素電極を形成し、
前記複数の画素電極の上にインクジェット方式により選択的にEL層を形成し、
前記EL層上にパッシベーション膜を形成することを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記絶縁膜として、少なくともダイヤモンド薄膜又はアモルファスカーボン膜を含む炭素膜を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項5】
請求項2または請求項3において、
前記絶縁膜として、窒化酸化珪素を含む絶縁膜を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項6】
請求項2または請求項3において、
前記絶縁膜として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムのうち少なくとも一つを含む絶縁膜を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項7】
請求項2または請求項3において、
前記絶縁膜として、ホウ素、炭素、窒素から選ばれた少なくとも一つの元素と、アルミニウム、珪素、リンから選ばれた少なくとも一つの元素とを含む絶縁膜を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか一において、
前記パッシベーション膜として、少なくともダイヤモンド薄膜又はアモルファスカーボン膜を含む炭素膜を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項9】
請求項3乃至7のいずれか一において、
前記パッシベーション膜として、窒化酸化珪素を含む絶縁膜を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項10】
請求項3乃至7のいずれか一において、
前記パッシベーション膜として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムのうち少なくとも一つを含む絶縁膜を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項11】
請求項3乃至7のいずれか一において、
前記パッシベーション膜として、ホウ素、炭素、窒素から選ばれた少なくとも一つの元素と、アルミニウム、珪素、リンから選ばれた少なくとも一つの元素とを含む絶縁膜を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項において、
前記平坦化膜として、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、ベンゾシクロブテンを用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、
前記EL層は、有機材料、又は無機材料であることを特徴とする電気光学装置の作製方法。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項において、
前記インクジェット方式は、ピエゾ素子を用いることを特徴とする電気光学装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−188890(P2007−188890A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16072(P2007−16072)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【分割の表示】特願2000−166763(P2000−166763)の分割
【原出願日】平成12年6月2日(2000.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
2.バブルジェット
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】