説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】額縁の領域をより狭くすることを可能とした表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の表示装置は、配列された複数の表示素子(120)と外周側に電源の配線層(107)とを有する基板(100)と、表示素子の相互間を分離するバンク層(113)と、複数の表示素子とバンク層とを覆う電極層(123)と、基板の外周部分と外周を一周する封止部(202)において接着剤などの接合手段(301)を介して接合して電極層を更に覆う封止基板(200)と、を備え、封止基板の外周を基板の外周の内側に位置し、電極層の外周部を封止基板の封止部(b+c)内にて電源の配線(107)と接続する。それにより、電極(123)と配線(107)との接続領域(c)を基板と封止基板との接合領域(b+c)として活用し、ガスバリア等のために所要の接合幅を確保しつつ表示装置の額縁の構成要素となる部分を減らす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面的なパネル型の表示装置に関し、特に、表示器周囲の非表示領域であるいわゆる額縁をより狭くすることを可能とした表示装置の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の表示素子を配列し、各表示素子の状態を制御することによって文字、画像、または映像などの画面を形成する表示装置が提供されている。例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置などの電気光学装置が挙げられる。このような、表示装置においては、基板同士や基板と封止材との密閉を行って部材の劣化などを防止する。
【0003】
例えば、有機EL表示装置においては、装置内に侵入する周囲のガスが有機EL発光素子の寿命に影響を与える。特に、水分(水蒸気)や酸素は金属電極の劣化をもたらし、発光素子の長時間の動作を困難にしている。このため、有機EL表示素子のアレイを形成した基板をメタル缶や耐水性のプラスチックパッケージ、保護膜等によって密封して水蒸気や酸素に対するガスバリア性を得るようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、封止用メタル缶や封止用の保護膜等を表示素子を形成した表示素子基板上に形成する場合、封止用メタル缶や封止用の保護膜と表示素子基板とを接合するためのスペースが必要になる。また、上述したガスバリア性を確保するためには、一定の接合幅(接合スペース)も必要である。表示素子基板の封止はこの基板の外周で行われるため、外周には表示領域として利用されない、いわゆる額縁が生ずる。これは、表示装置を搭載する携帯電話機、携帯情報機器等の装置の小型化や自由なデザインを困難にする。
【0005】
よって、本発明は、額縁の領域をより狭くすることを可能とした表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、額縁の領域をより狭くしてもガスバリア性の低下しない表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の表示装置は、バンク層によって分離された複数の表示素子と配線層とを有する基板と、上記複数の表示素子と前記バンク層とを覆う電極層と、少なくとも上記基板の外周の封止領域で接合して上記基板を覆う封止基板と、を備え、上記配線層は上記基板の封止領域の一部に形成され、上記電極層の外周部は上記封止領域内にて上記配線層と接続される。
【0008】
かかる構成とすることによって、基板の封止領域の一部を電極と配線との接続領域として活用するので、ガスバリア等のために所要の接合幅を確保しつつ封止基板の外形を小さくすることができ、表示装置の額縁の構成要素となる部分のサイズを減らしている。
【0009】
好ましくは、上記電極層は各表示素子の共通電極(陰極や陽極)である。
【0010】
好ましくは、上記共通電極は上記表示素子側に位置する下層とその上に位置する上層の少なくとも2種類の電極層を含み、上記下層の電極層よりも上層の電極層がガスバリア性又は耐環境性が良い。それにより、下層の電極層の劣化を抑制することが可能となる。また、下層の電極層に発光効率(あるいは動作効率)が良い膜を使用することが可能となる。
【0011】
好ましくは、上記下層の電極層は上記複数の表示素子全体と上記バンク層の少なくとも一部とを覆うが、上記封止基板の外周側の封止部からは離間し、上記上層の電極は上記下部電極層全体を覆って上記封止基板の封止部内にまで至る。それにより、下層の電極層はガスが侵入する接合部から離間し、下層の電極層の劣化を抑制することが可能となる。また、下層の電極層に発光効率が良い膜を使用することが可能となる。
【0012】
好ましくは、上記封止基板の封止部は、上記基板に対向する面に該封止基板の外周を一周するように突起してなる。それにより、中空の封止基板(断面凹型)で基板を封止することが可能となる。
【0013】
好ましくは、上記基板の(電源の)配線層の上面は平坦に形成され、この上に上記電極層が積層されて電気的に接続される。それにより、配線層と電極層との導通の確実が図られる。
【0014】
好ましくは、上記基板の上記封止基板の封止部に対向する面も平坦に形成される。それにより、基板の封止部分に加わる応力を均一にすることが可能となる。
【0015】
好ましくは、上記封止基板を多層薄膜に代えて封止を行う。それにより、可撓性のあるフィルム状の表示装置を実現可能となる。
【0016】
好ましくは、上記封止基板の封止部のサイズは、上記接合手段のガスバリア性又は耐環境性を確保するために必要なマージンによって決定され、このマージンに上記共通電極及びこの共通電極に電源を供給する配線層相互間を接続する接続領域が含まれる。それにより、信頼性の確保と表示装置の額縁の狭小化が可能となる。
【0017】
好ましくは、上記接合手段は接着膜を含み、この膜厚が20μmを越えないようになされる。また、上記接着膜の幅が少なくとも1mm以上である。それにより、外部雰囲気との接触面を小さくし、外部雰囲気の侵入長を大きくとって、封止された素子の劣化を抑制する。
【0018】
好ましくは、上記封止基板の外周は、上記基板に上記封止基板を載置する際のマージン分だけ上記基板の外周よりも内側に位置する。それにより、封止基板の基板への載置を容易にする。
【0019】
また、好ましくは、上記封止基板の外周は、少なくとも上記基板を分割する際のスクライブマージン分だけ上記基板の外周よりも内側に位置する。それにより、組立後の表示器の分離切断の所要スペースを確保する。
【0020】
好ましくは、上記封止基板は平坦な基板によって構成される。それにより、より簡易に封止を行うことが可能となる。
【0021】
好ましくは、上記バンク層は上記封止基板の封止部内に位置しない。それにより、バンク層は封止部領域から離間するため、バンク層を相対的に水分の透過率の高い有機材料にて形成することが可能となる。
【0022】
好ましくは、上記表示素子の基板は多角形若しくは四角形であり、この基板の1辺で上記電極層の外周部と上記電源の配線層とが接続される。それにより、他辺(又は3辺)では電極層との配線の引き回しが不要となるので、該他辺(又は3辺)部分を狭額縁化することが可能となる。このような構成は、携帯電話機の表示装置のように、ある方向にはモジュールが延びても良いが、それ以外の方向では規制されるような場合に有効である。
【0023】
好ましくは、上記基板は多角形若しくは四角形であり、この基板の対向する2辺で前記電極層の外周部と前記電源の配線層とがそれぞれ接続される。このような構成は、電極までの配線抵抗を減少すると共に大容量の表示を行うために多数のドライバICを実装する場合等に有効である。
【0024】
好ましくは、上記基板は多角形若しくは四角形であり、この基板を囲む3辺で上記電極層の外周部と上記電源の配線層とが接続される。このような構成は、3辺で接続することによって電極までの配線抵抗を十分に低減させ、1辺で外部回路との接続を図ることができる。モジュール全体がバランス良く狭額縁化される。
【0025】
好ましくは、上記基板は多角形若しくは四角形であり、この基板を囲む4辺で上記電極層の外周部と上記電源の配線層とが接続される。このような構成は、大型の高精細表示装置を実現する場合に必要となる、配線抵抗を極力抵抗を下げる場合に好適である。この場合、電源配線層の下に絶縁膜を介して引き出し配線を形成し、あるいは、電極層と電源配線層との接続領域を複数のブロックに分け、ブロック相互間にまとめて引き出し配線を配置することとしても良い。
【0026】
好ましくは、上記複数の表示素子が配列された領域の外周にダミーの表示素子が配置される。それにより、表示に使用されないダミーの表示画素からガスが侵入するようにして、表示素子への実質的な影響を軽減する。また、インクジェット方式による表示素子の材料の塗布(塗布量)の均一化を図ることが可能となる。
【0027】
好ましくは、上記表示素子は有機EL素子である。上記下層の電極層はカルシウム、上記上層の電極層はアルミニウムである。
【0028】
好ましくは、上記バンク層は樹脂材料によって形成される。表示素子間にバンク層が存在することによって混色が防止される。
【0029】
好ましくは、上述した表示装置はデジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、平面型テレビ、携帯情報端末装置、携帯電話装置、電子ブック等の電子機器に使用される。それにより、表示器の周囲に余分な非表示領域(額縁)の少ない各種装置類が得られる。
【0030】
本発明の表示装置の製造方法は、電気回路を形成すべき基板の外周内側の封止領域の一部に少なくとも配線層を形成する過程と、上記基板の前記配線層上を除いて複数の表示素子を相互に分離するための複数の溝を備える素子分離層を形成する過程と、上記素子分離層の複数の溝の各々に上記表示素子を形成する過程と、上記複数の表示素子と、上記素子分離層と、上記配線層各々の上に共通電極層を形成する過程と、上記基板の封止領域に接合材料を塗布する接合材料塗布過程と、上記基板の封止領域に環状の封止部を有する封止基板を前記接合材料を介して接合して上記基板を封止する封止過程と、を含む。
【0031】
かかる構成とすることによって、表示装置の額縁を狭くすることが可能となる。
【0032】
好ましくは、上記接合材料塗布過程は、上記基板の封止領域内に形成された前記共通電極層と前記配線層との接続領域上及び残りの封止領域に接合材料を塗布する。それにより、基板と封止基板との間の封止領域を所要の接合材料で密封する。
【0033】
また、本発明の表示装置の製造方法は、電気回路を形成すべき基板の外周内側の封止領域の一部に少なくとも配線層を形成する過程と、上記基板の上記配線層上を除いて複数の表示素子を相互に分離するための複数の溝を備える素子分離層を形成する過程と、上記素子分離層の複数の溝の各々に上記表示素子を形成する過程と、上記複数の表示素子と、上記素子分離層と、上記配線層各々の上に共通電極層を形成する過程と、上記基板の封止領域及び上記共通電極層の上に接合材料を塗布する接合材料塗布過程と、上記基板に上記封止領域及び上記共通電極層を覆う封止基板を上記接合材料を介して接合して上記基板を封止する封止過程と、を含む。
【0034】
かかる構成とすることによって、表示装置の額縁を狭くすることが可能となる。
【0035】
また、表示装置の製造方法は、電気回路を形成すべき基板の外周内側の封止領域の一部に少なくとも配線層を形成する過程と、上記基板の上記配線層上を除いて複数の表示素子を相互に分離するための複数の溝を備える素子分離層を形成する過程と、上記素子分離層の複数の溝の各々に上記表示素子を形成する過程と、上記複数の表示素子と、上記素子分離層と、上記配線層各々の上に共通電極層を形成する過程と、上記基板に上記封止領域及び上記共通電極層を覆う多層膜を形成して上記基板を封止する封止過程と、を含む。
【0036】
好ましくは、上記多層膜は、水又はガスの透過を妨げる膜を含む。
【0037】
好ましくは、上記共通電極層は上記表示素子側に位置する下層とその上に位置する上層の少なくとも2種類の電極層を含み、上記下層の電極層よりも上層の電極層がガスバリア性又は耐環境性が良い。それにより、発光素子の劣化を防止可能とする。
【0038】
好ましくは、上記下層の電極層は上記複数の表示素子全体と上記バンク層の少なくとも一部とを覆うが、上記封止基板の封止部から離間し、上記上層の電極は上記下部電極層全体を覆って上記封止基板の封止部内にまで至る。それにより、下層の電極層の劣化を防止可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の表示装置の第1の実施例を説明する平面図である。
【図2】本発明の表示装置の第1の実施例(封止基板使用例)を説明する、図1のA−B部に沿った断面図である。
【図3】本発明の表示装置の第1の実施例を説明する、図1のC−D部に沿った断面図である。
【図4】第1の実施例の効果を説明するための、一般的な表示装置(比較例)の端部構造を説明する説明図である。
【図5】基板外周の封止部における平坦性を説明する説明図であり、(a)は下地配線層121、112、107と共通電極123にずれがある場合を、(b)はずれがない場合を示している。
【図6】第1の実施例の表示装置の製造工程を説明する工程図である。
【図7】本発明の表示装置の第2の実施例(封止基板全面接着例)を説明する、図1のA−B部に沿った断面図である。
【図8】本発明の表示装置の第2の実施例を説明する、図1のC−D部に沿った断面図である。
【図9】第2の実施例の表示装置の製造工程を説明する工程図である。
【図10】本発明の表示装置の第3の実施例(多層封止膜使用例)を説明する、図1のA−B部に沿った断面図である。
【図11】本発明の表示装置の第3の実施例を説明する、図1のC−D部の断面図である。
【図12】第3の実施例の表示装置の製造工程を説明する工程図である。
【図13】本発明の第4の表示装置の第4の実施例(ダミー画素使用例)を説明する平面図である。
【図14】基板の3辺で電源配線と共通電極との接続を行う例を説明する説明図である。
【図15】基板の1辺で電源配線と共通電極との接続を行う例を説明する説明図である。
【図16】基板の2辺で電源配線と共通電極との接続を行う例を説明する説明図である。
【図17】基板の4辺で電源配線と共通電極との接続を行う例を説明する説明図である。
【図18】本発明の表示装置を使用した携帯型のパーソナルコンピュータの例を説明する説明図である。
【図19】本発明の表示装置を使用した携帯型電話機の例を説明する説明図である。
【図20】本発明の表示装置を使用したデジタルカメラの例を説明する説明図である。
【図21】本発明の表示装置を使用した電子ブックの例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0041】
図1乃至図3は、本発明の表示装置の第1の実施例を説明する説明図である。
図1は、表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1のA−B方向の断面を概略的に示す断面図である。図3は、図1のC−D方向の断面を概略的に示す断面図である。各図において対応する部分には同一部号を付している。なお、図2においては中央部の表示素子領域が簡略化されて示されている。
【0042】
実施例1の表示装置1は有機EL表示装置の例を示している。この表示装置1は、大別して、発光素子アレイを備えるTFT基板100、発光素子アレイを封止する封止基板200、TFT基板100と封止基板200とを接合する接合手段301、TFT基板100の走査線を駆動する走査線ドライバ部140、TFT基板100のデータ線を駆動するデータドライバIC401等によって構成される。
【0043】
TFT基板100は、マトリクス状に配列された複数の有機EL発光素子120と、これ等の発光素子120を駆動したり、スイッチとして機能するTFTトランジスタ130などによって構成されている。TFT基板100は、ガラス基板101上に保護膜102を形成し、この上にシリコンを堆積し、低濃度の不純物を注入してパターニングを行ってポリシリコンのTFT領域103を形成している。なお、基板100は樹脂基板であっても良い。この上にCVD法によって酸化シリコンによるゲート絶縁膜104を堆積している。この上にアルミニウムをスパッタ法によって堆積し、パターニングを行って、有機EL駆動用電源配線膜105及び106、有機EL用陰極配線膜107、TFT130のゲート配線膜108を形成している。次に、マスクを用いてTFT領域103のソース・ドレイン領域に高濃度のイオン注入を行い、酸化シリコンを堆積して第1の層間絶縁膜110を形成する。コンタクトホールのマスクを用いて異方性エッチングを行い、TFT領域103にコンタクトホールを開口する。次に、アルミニウムを堆積し、パターニングを行ってソース・ドレイン電極109、接続用電極112を形成する。次に、酸化シリコンを堆積して第2の層間絶縁膜111を形成する。金属イオンや水などTFTの劣化因子のTFTへの到達を抑制するために、第2の層間絶縁膜として、例えば、ホウ素、炭素、窒素、アルミニウム、ケイ素、リン、イッテルビウム、サマリウム、エルビウム、イットリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ネオジウム、などの元素から選ばれた少なくとも1つの元素を含む絶縁膜も使用可能である。この上に後述の表示素子群を形成する。
【0044】
上述のように構成されたTFT基板100の中央部領域が表示素子群が配置された表示領域となっている。表示素子としての赤発光、緑発光、青発光の発光素子120は、これ等3色を一画素としてマトリクス状に配列されている。発光素子120各々の各放射光はガラス基板101を介して外部に放射される。なお、TFT基板100と反対側から光を取り出すこともできる。この場合、発光層より上層は光透過性の高い部材で構成することが好ましい。各発光素子を分離して混色を防止するために、各発光素子間及び表示領域の外周にバンク層113が形成されている。バンク層113は、例えば、フォトレジスト等の有機材料膜をパターニングすることによって形成することができる。
【0045】
発光素子120は、透明電極(ITO)の陽極121、有機EL層・正孔輸送層122、陰極(共通電極)123等によって構成される。陰極123は2層構造になっており、例えば、下層はカルシウム膜123a、上層はアルミニウム膜123bである。陰極123aは、各発光素子120と、各発光素子120相互間のバンク層と、表示領域の周囲のバンク層113とに渡って形成され、上層の陰極123bとのコンタクトが確保されている。上層の陰極123bは配線膜としても機能し、封止部202の下部の領域で配線膜107と接続されている。上記のように、有機EL層・正孔輸送層122と接する陰極123aをカルシウム膜とすることによって発光効率を高め、上層のアルミニウム膜123bによってカルシウム膜123aの全体を覆って低抵抗の配線とガスバリア(腐食防止)とを図っている。なお、発光層(有機EL層・正孔輸送層)の上に更に電子注入層又は電子輸送層、または電子注入層と電子輸送層の積層体を配置する有機EL素子構成としても良い。
【0046】
このように構成された基板100の上面を断面逆凹部形状の封止基板200によって封止する。封止基板200は、例えば、金属、ガラス、セラミック、プラスチックなどによって構成され、板状の封止板201と、この封止板下面の外周囲に形成された突起状の封止部202と、封止板201の下面に取り付けられた乾燥剤(材)203とを備えている。乾燥剤203は内部に侵入した水蒸気や酸素ガスを吸着する。
【0047】
TFT基板100と封止基板200間には不活性ガスとしての窒素ガスが充填され、両基板100及び200は接合手段としての接着剤301を介して封止部202にて接合される。接着剤301は、熱硬化性、紫外線硬化性など適当なものを使用するが、特に、水蒸気などのガスの浸透性の低いものを使用する。
【0048】
図2に示すように、基板100には、封止基板200を置くためのマージンaが設けられている。また、封止基板200の封止部202の幅d、すなわち、基板100の封止領域dは、接着剤301がガスの浸透を防止するのに適当な幅(接着剤301のみの部分の幅bと上下配線の接続幅cとの和に略相当する)に設定されている。例えば、この幅(接着剤301の幅d)を1mm以上として外部雰囲気の侵入長を大きくとり、水蒸気や酸素ガスの接着層からの侵入を困難にする。また、接着剤301の膜厚を20μm以下とし、接着剤301と外部雰囲気との接触面を小さくしてガスの侵入を困難にする。そして、封止した内部の素子の劣化を抑制する。
【0049】
この封止部202の下部の領域内に上下接続幅cだけ陰極膜123bが入り込み、基板100の配線107とITO膜113、ソース・ドレイン電極膜112を介して接続される。
【0050】
図3に示すように、基板100のデータ線は基板端部の電極121に接続され、異方性導電膜303を介して配線テープ402と接続される。この配線テープの途中に各データ線を駆動するデータドライバIC401がボンディングされている。基板100の下部においても、封止部202内に陰極123が一部入り込んでいる。
【0051】
図4は、TFT基板100と封止基板200とのより一般的な接合例(比較例)を示している。同図において図2と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0052】
この例では、封止基板200をTFT基板100に載置する際の載置マージンaと、ガスの浸透を阻止して封止の信頼性を確保するための接着剤301のマージンdとが陰極123と基板配線107との接続領域cの外側で確保されている。TFT基板100の端から接続領域cまでの寸法は、載置マージンa+接着剤301のマージンd+接続領域cとなっている。この構成では、表示装置1の外周の非表示領域の面積が大きくなっている。
【0053】
これに対して、図2に示す実施例1の構成では、封止部202の下部領域(幅d)に陰極123あるいは陰極123と配線107との接続領域cが入り込んでいる。TFT基板100の端から接続領域までの寸法は、載置マージンa+接着剤301のマージンdとなっている。接着剤301のマージンdは略b+cとなり、配線接続部分のマージンcの分だけ、非表示領域の面積が減少する。
【0054】
また、実施例1の構成では、封止部202の下部の領域が、図5(a)及び同(b)に示すように、可及的に平坦になるように、あるいは段差が変化しないように形成されている。図5(a)及び同(b)において、図2と対応する部分には、同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0055】
図5(a)及び同(b)において、xは電源配線107と共通電極膜123との接続の幅、yは電源配線107と共通電極膜123とのずれ、zは当該接続領域の外周の封止領域下の封止マージンを示している。
【0056】
同図に示されるように、封止部202下部領域の、TFT基板100の電源配線107を比較的幅広にかつ平坦に形成する。電源配線107は、図1に示すように、他の配線と交差しないように基板100の外周に配置されている。それにより、配線同士の交差によって生ずる段差の発生をなるべく回避して、電源配線膜107が平坦に形成されるようにしている。この上に、アルミニウム膜112、ITO膜121を平坦に形成し、これ等の導電膜の平坦面lの上に更に、共通電極膜123のアルミニウムを堆積して発光素子120の陰極と電気的に接続している。この接続領域の外周側の基板100の上面(絶縁膜111)mも平坦に形成されている。
【0057】
好ましくは、図5(b)に示すように、電源配線107と共通電極膜123とのずれyが0となるようにする。それにより、電源配線107の幅と共通電極123の接続幅とを一致させて配線抵抗を最小とし、また、幅方向の寸法の無駄を省く。
【0058】
このように、電源配線膜107と共通電極123との導通部分(上下導通部分)xを平坦に形成し、この外周の封止領域zも平坦領域とする。上下導通を確実に行い、共通電極膜123形成後の膜端部の段差を均一に形成して、上下導通部分の高さをTFT基板100側で揃えて、封止条件が上下導通領部分で変化しないようにしている。更に、上下導通部xの外周部zに平坦部分zを確保することによって、缶封止によって封止部分に加わる応力を均一にすることが可能となる。
【0059】
図6(a)乃至同図(d)は、第1の実施例に係る表示装置1の製造プロセスを説明する工程図である。同図において、図2と対応する部分には、同一符号を付している。
【0060】
まず、図6(a)に示すように、TFT基板100を形成する。すなわち、ガラス基板101上にCVD法によってシリコン窒化膜を堆積して保護膜102を形成する。この上にCVD法によってシリコンを堆積する。更に、低濃度の不純物を注入してレーザアニールによる熱処理を行ってポリシリコン膜103を形成する。このポリシリコン膜のパターニングを行ってTFT領域130を形成する。この上にCVD法によって酸化シリコンによるゲート絶縁膜104を堆積している。この上にアルミニウムをスパッタ法によって堆積し、パターニングを行って、有機EL駆動用電源配線膜105及び106、有機EL用陰極配線膜107、TFT130のゲート配線膜108を形成する。次に、マスクを用いてTFT領域103のソース・ドレイン領域に高濃度のイオン注入を行い、熱処理によって不純物を活性化させる。更に、CVD法によって酸化シリコンを堆積して第1の層間絶縁膜110を形成する。この層間絶縁膜110にマスクを用いて異方性エッチングを行い、TFT領域103のソース・ドレイン領域にコンタクトホールを開口する。次に、アルミニウムを堆積し、パターニングを行ってソース・ドレイン電極109、接続用電極112を形成する。
【0061】
次に、図6(b)に示すように、CVD法によって酸化シリコンを堆積して第2の層間絶縁膜111を形成する。配線膜107上の層間絶縁膜111をエッチングしてアルミニウム膜112を露出させる。この上に、スパッタ法によってITOを堆積し、パターニングして発光素子の120の陽極121を形成する。また、配線膜上107のアルミニウム膜112上にもITO膜121を堆積し、接続領域の膜厚を調整するとともにアルミニウム表面が酸化されるのを防止する。
【0062】
図6(c)に示すように、感光性の有機樹脂膜をスピンコート法によって塗布し、パターニングを行って、発光素子の陽極(ITO)121を溝の底部に露出したバンク層113を形成する。このバンク層113は、各発光素子を分離する。次に、インクジェット法によって陽極121の上に、EL層122を形成する。EL層122は、例えば、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔注入層、正孔輸送層などによって構成される。これ等発光素子120の上に、例えば、カルシウム123aを真空蒸着してパターニングし、更にアルミニウム123bを蒸着してパターニングを行う。カルシウム123a及びアルミニウム123bは発光素子120の陰極(共通電極)123を構成する。陰極123を下層のカルシウム膜123aを上層のアルミニウム膜123bによって被覆する2層構造とすることによって、カルシウム膜123aへの水分の侵入を防止(ガスバリア性の確保)する。アルミニウム膜123bは共通電極123として基板101の外周にまで広がっており、外周部でITO膜121、アルミニウム膜112を介して配線膜107と、配線接続部分のマージンc(図2参照)にて接続される。
【0063】
次に、図6(d)に示すように、TFT基板100の外周の配線膜107を含む部分に接着剤あるいは封止剤301を塗布し、外周に突起部202が形成された逆凹形状の封止基板200を窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で張り合わせる。封止基板200内部に乾燥剤が配置されており、内部に侵入した水分や酸素を吸着する。接着剤301としては、酸素や水分を透過しない、絶縁性の材料が望ましく、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を使用可能である。例えば、エポキシ系樹脂、アクリレート系樹脂の使用が可能である。
【0064】
このようにして、表示装置が形成される。
【0065】
図7及び図8は第2の実施例を示している。両図において図2及び図3と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0066】
この実施例では、封止基板200として平坦な基板を使用している。封止基板200は、例えば、ガラス板、アルミニウム板、ステンレス板、アクリル板、セラミック板などを適宜に使用可能である。TFT基板100と封止基板200との隙間を全て接着剤301で埋設して両基板を接合(接着)している。この場合においても、陰極123と基板の配線膜107との接続領域を含めて上述した封止の信頼性を確保するために必要なマージンb+cの幅を確保すると共に、この陰極123と基板の配線膜107との接続領域の内側にバンク層113が位置するようになされている。それにより、額縁の幅を狭くし、接着剤301から比較的に水分の透過率の高い樹脂膜113を隔離してバンク層113へのガスの侵入を防止する。
【0067】
図9(a)乃至同(d)は、第2の実施例の表示装置1の製造工程を説明する工程図である。同図において、図6と対応する部分には同一符号を付し、係る部分の説明は省略する。
【0068】
この表示装置においても、図9(a)乃至図9(c)の工程は、図6(a)乃至同図(c)と同様に行われる。
【0069】
図9(c)に示すように、TFT基板100が形成された後、スピンコート法あるいはインクジェット法、転写ローラなどによって接着剤301が適当な膜厚となるようにTFT基板100の上面に塗布される。この接着剤の膜の上に、封止基板200をTFT基板100に対して位置合わせを行いながら、張り合わせる。
【0070】
なお、封止基板200に接着剤301を塗布してTFT基板100と張り合わせても良い。また、封止基板200とTFT基板100とを合わせた後、周囲の隙間から毛細管現象によって接着剤を内部に浸透させることとしても良い。
【0071】
図10及び図11は、第3の実施例を示している。両図において図2及び図3と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0072】
この実施例では、封止基板200に代えて多層薄膜210を形成している。例えば、特開2000−223264号公報では、無機パシベーション封止膜と樹脂封止膜との積層膜を封止膜として提案している。多層薄膜210は、TFT基板100の上に形成され、陰極123全体を覆っている。多層薄膜は、有機層/無機層/有機層の構成、または無機層/有機層/無機層の構成など種々の構成を採用することが可能である。無機材料としては、例えば、SiO2、SiN、SiONなどのセラミック材料等を、有機樹脂層としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの、一般的な炭化水素系高分子を使用可能である。
また、含フッ素系高分子でもよい。ポリマー材料そのものを配置することも、前駆体またはモノマーを基材上に塗布して硬化させてもよい。陰極123は、基板100の端部側で電源の配線107と接続されている。この例においても、陰極123と基板の配線膜107との接続領域を含めて上述した封止の信頼性を確保するために必要なマージンb+cの幅を確保すると共に、この陰極123と基板の配線膜107との接続領域の内側にバンク層113が位置するようになされている。それにより、額縁の幅を狭くしている。
【0073】
図12(a)乃至図12(d)は、第3の実施例の表示装置1の製造工程を説明する工程図である。同図において、図6と対応する部分には同一符号を付し、係る部分の説明は省略する。
【0074】
この表示装置においても、図12(a)乃至図12(c)の工程は、図6(a)乃至同図(c)と同様に行われる。
【0075】
図12(c)に示すように、TFT基板100が形成された後、図12(d)に示されるように、陰極123が外気に曝されないように、機密性の高い保護膜210でTFT基板100を覆い、外周をパターニングして基板を分離可能とする。保護膜210は、好ましくは、多層薄膜とする。前述したように、多層薄膜は、有機層/無機層/有機層を積層することにより、あるいは、無機層/有機層/無機層を積層すること等によって形成される。無機材料としては、例えば、SiO2、SiN、SiONなどのセラミック材料膜を、有機樹脂層としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの、一般的な炭化水素系高分子を使用する。また、含フッ素系高分子でもよい。ポリマー材料そのものを配置することも、前駆体またはモノマーを基材上に塗布して硬化させてもよい。
【0076】
図13は、本発明の第4の実施例を示している。この実施例では、上述した第1乃至第3の実施例の表示装置の表示領域に、更に、ダミー画素を追加するようにした例を示している。
【0077】
表示装置内に侵入したガスは、膜内を浸透して表示領域の外周側の表示素子から影響を与える。そこで、予め画像表示に使用されないダミー画素を表示領域の外周に設けることで、侵入ガスの画面表示への影響を軽減する。また、表示領域の外周にダミー画素を設けることで、インクジェット法によって発光体材料を塗布する場合に塗布膜の均一化が図られる。すなわち、インクジェット法では、ノズルから微小なインク(材料)滴を吐出するが、吐出開始後、吐出量が安定するまである時間を必要とする。ダミー画素部分で吐出量を安定させることで各発光素子の塗布膜を均一化させることが可能となる。
【0078】
なお、発光体の形成にインクジェット法の代わりにマスク蒸着法を使用しても良い。また、インクジェット法とマスク蒸着法とを組み合わせて使用しても良い。
【0079】
図14乃至図17は、本発明の更に他の実施例を示している。各図において、図1と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0080】
これ等の実施例では、TFT基板と封止基板とを張り合わせて基板の外周を封止しているが、TFT基板の外周のいずれかの辺あるいは全ての辺で狭額縁化を図っている。
【0081】
図1及び図2に示した実施例では、図14に示すように、四角形(多角形)基板100の3辺(上辺、左辺、右辺)で電源配線107と共通電極(陰極)123とを接続し、それ等の外側領域で封止を行って狭額縁化を図り、1辺(下辺)で配線テープ402を使用してドライバIC(外部回路)と接続している。このようにすると、3辺接続で共通電極123までの配線抵抗を減らすことができ、1辺を外部回路接続に専用できるので、表示装置のモジュール全体をバランス良く、狭額縁化することが可能となる。
【0082】
図15に示す実施例では、基板100の1辺(下辺)で電源配線107と共通電極(陰極)123とを接続し、その外側領域で封止を行っている。この例では、1辺のみで共通電極123と配線膜107とを接続するので、この1辺で共通電極123と配線膜107間の十分な導通面積(上下導通面積)を確保しなければならないので狭額縁化は難しいが、それ以外の3辺では共通電極123との配線接続が不要であるので、3辺をかなり狭額縁化することができる。これは、ある方向にはモジュールが延びても良いが、それ以外の方向にはモジュールを延ばせないような場合、例えば、携帯電話機の表示装置などに都合の良い配置である。
【0083】
図16に示す実施例は、基板100の2辺(左辺、右辺)で共通電極123と配線膜107とを接続し、それ等の外側領域でそれぞれ封止を行っている。向かい合う両側(上辺、下辺)にそれぞれ配線テープ402を設けて外付け回路を実装する場合、例えば、奇数ラインは上から駆動し、偶数ラインは下から駆動するような場合に有効であり、多数のドライバICを実装して大容量(大画面)の表示を行うことが可能である。また、この構成では、図14に示した3辺で共通電極123と配線膜107とを接続した場合に匹敵する配線抵抗の低下を図ることが可能である。
【0084】
図17に示す実施例は、基板100の4辺(上辺、下辺、左辺、右辺)で共通電極123と配線膜107とを接続し、それ等の外側領域でそれぞれ封止を行っている。そして、多層配線膜によって共通電極123と配線膜107との導通を図る配線の下部に絶縁膜を介して引き出し配線を形成し、この配線を外部回路と接続している。なお、共通電極123と配線膜107とを接続する導通領域を複数のブロックに分け、ブロック相互間に引き出し配線を配置する構成とすることもできる。このような構成は、大型の高精細ディスプレイを実現する場合に必要となる、配線抵抗の十分な低減を可能とする。
【0085】
このように、本発明の各実施例によれば共通電極(陰極)123と基板配線107との接続領域(c)を封止マージン(b+c)内に含めて表示装置を組み立てるようにしているので、表示器の額縁の領域を減らすことが可能となる。
【0086】
また、共通電極123と基板配線107との接続領域(c)よりも基板の内側になるようにバンク層113を位置させるので、基板100と封止基板(あるいは封止膜)200との接合部分(b+c)からバンク層113内にガスが直接浸透することを回避可能となる。それにより、バンク層113として加工容易な樹脂(フォトレジストなど)を使用しても発光素子120への影響が少なくなる。
【0087】
また、カルシウム電極123aを陰極123aと基板配線107との接続領域(c)から離間させることによって酸素や水蒸気ガスの浸透によるカルシウム電極123aの腐食を回避する。
【0088】
次に、上述した本発明の表示装置を備えた電子機器の例について以下に説明するが、例示のものに限定されるものではない。
【0089】
〈モバイル型コンピュータ〉
まず、上述した実施形態に係る表示装置をモバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図18は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、上述した表示装置1106を備えた表示装置ユニットとから構成されている。
【0090】
〈携帯電話〉
次に、上述した実施形態に係る表示装置を、携帯電話の表示部に適用した例について説明する。図19は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。同図において、携帯電話1200は、複数の操作ボタン1202の他、受話口1024、送話口1206と共に上述した表示装置1208を備えるものである。
【0091】
〈ディジタルスチルカメラ〉
上述した実施形態に係る表示装置をファインダに用いたディジタルスチルカメラについて説明する。図20は、このディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図であるが、外部機器との接続についても簡易に示すものである。
【0092】
通常のカメラは、被写体の光像によってフィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号を生成する。ディジタルスチルカメラ1300のケース1302の背面には、上述した表示装置1304が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成となっている。このため、表示装置1304は、被写体を表示するファインダとして機能する。また、ケース1302の観察側(図においては裏面側)には、光学レンズやCCD等を含んだ受光ユニットが設けられている。
【0093】
撮影者が表示装置1304に表示された被写体を像を確認して、シャッタボタン1308を押すと、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1310のメモリに転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300は、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とを備えている。そして、同図に示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、また、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1430が、それぞれ必要に応じて接続され、更に、所定の操作によって、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1330や、コンピュータ1340に出力される構成となっている。
【0094】
〈電子ブック〉
図21は、本発明の電子機器の一例としての電子ブックの構成を示す斜視図である。同図において、符号1400は、電子ブックを示している。電子ブック1400は、ブック型のフレーム1402と、このフレーム1402に開閉可能なカバー1403とを有する。フレーム1402には、その表面に表示面を露出させた状態で表示装置1404が設けられ、更に、操作部1405が設けられている。フレーム1402の内部には、コントローラ、カウンタ、メモリなどが内蔵されている。表示装置1404は、本実施形態では、表示素子を配置した画素部と、この画素部と一体に備えられ且つ集積化された周辺回路とを備える。周辺回路には、デコーダ方式のスキャンドライバ及びデータドライバを備える。
【0095】
なお、電子機器としては、図18のパーソナルコンピュータ、図19の携帯電話機、図20のディジタルスチルカメラ、図21の電子ブックの他にも、電子ペーパ、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などが挙げられる。そして、これ等の各種電子機器の表示部には、上述した表示装置が適用可能である。
【0096】
本発明の表示装置は実施例の有機EL表示装置に限られない。また、基板も実施例のTFT基板に限られない。アクティブ型のみならず、パッシブ型の基板にも本発明は適用可能である。
【0097】
また、実施例では、接合手段として接着剤を使用しているがこれに限られない。他の方法、例えば超音波やレーザによる接合を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は平面的なパネル型の表示装置に関し、特に、表示器周囲の非表示領域、いわゆる額縁をより狭くすることを可能とした表示装置の発明に関する。
【0099】
以上説明したように、本発明の表示装置によれば、表示領域の周囲の非表示領域である額縁の幅をより狭くすることが可能となって好ましい。
【符号の説明】
【0100】
100…TFT基板、101…ガラス(又は樹脂)基板、107…基板配線膜、113…バンク層、120…表示素子(発光素子)、123…共通電極(陰極)、123a…下層電極(カルシウム)、123b…上層電極(アルミニウム)、200…封止基板、210…多層膜封止基板、301…接合手段(接着剤)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンク層によって分離された複数の表示素子と配線層とを有する基板と、
前記複数の表示素子と前記バンク層とを覆う電極層と、
少なくとも前記基板の外周の封止領域で接合して前記基板を覆う封止基板と、を備え、
前記配線層は前記基板の封止領域の一部に形成され、
前記電極層の外周部は前記封止領域内にて前記配線層と接続される、表示装置。
【請求項2】
前記電極層は各表示素子の共通電極である、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記電極層は複数の電極層からなり、少なくとも1の電極層はガスバリア性又は耐環境性を有する、請求項1又は2記載の表示装置。
【請求項4】
前記1の電極層は前記複数の表示素子と前記バンク層の一部とを覆い、他の電極層は前記1の電極層と前記バンク層の他を覆って前記基板の封止領域で前記配線層と接続される、請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記封止基板は、前記基板の封止領域に対向して該封止基板の外周を一周するように突起した封止部を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記基板の配線層の上面は平坦に形成され、この上に前記電極層が積層されて電気的に接続される、請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記基板の前記封止領域は平坦に形成される、請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記基板の配線層は、該基板の外周に側に形成された電源の配線層である、請求項1乃至7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記基板と前記封止基板との接合が接着膜を介して行われる、請求項1乃至8のいずれかに記載の表紙装置。
【請求項10】
前記基板の封止領域のサイズは、前記接着膜のガスバリア性又は耐環境性を確保するために必要なマージンによって決定され、このマージンに前記電極層と前記配線層との接続領域が含まれる、請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
前記接着膜の膜厚が20μmを越えない、請求項9又は10記載の表示装置。
【請求項12】
前記接着膜の幅が少なくとも2mm確保される、請求項9乃至11のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】
前記電極層と前記配線層との接続領域の幅は、少なくとも1mm確保される、請求項1乃至12のいずれかに記載の記載の表示装置。
【請求項14】
前記封止基板の外周は、前記基板に前記封止基板を載置する際のマージン分だけ前記基板の外周よりも内側に位置する、請求項1乃至13のいずれかに記載の表示装置。
【請求項15】
前記基板は角形の基板であり、
この基板の1辺で前記電極層と前記配線層とが接続される、請求項1乃至14のいずれかに記載の表示装置。
【請求項16】
前記基板は角形の基板であり、
この基板の2辺で前記電極層と前記配線層とがそれぞれ接続される、請求項1乃至14のいずれかに記載の表示装置。
【請求項17】
前記基板は角形の基板であり、
この基板の3辺で前記電極層と前記配線層とがそれぞれ接続される、請求項1乃至14のいずれかに記載の表示装置。
【請求項18】
前記基板は角形の基板であり、
この基板の4辺で前記電極層と前記配線層とがそれぞれ接続される、請求項1乃至14のいずれかに記載の表示装置。
【請求項19】
前記封止基板は平坦な基板によって構成される、請求項1乃至18のいずれかに記載の表示装置。
【請求項20】
前記封止基板に代えて前記基板を覆う多層薄膜を形成した、請求項1乃至18のいずれかに記載の表示装置。
【請求項21】
前記多層薄膜の少なくとも1つの薄膜はガスバリア性又は耐環境性を有する、請求項20記載の表示装置。
【請求項22】
前記バンク層は前記基板の封止領域内に位置しない、請求項1乃至21のいずれかに記載の表示装置。
【請求項23】
前記複数の表示素子が配列された領域の外周にダミーの表示素子が配置される、請求項1乃至22のいずれかに記載の表示装置。
【請求項24】
前記表示素子は有機EL素子である、請求項1乃至23のいずれかに記載の表示装置。
【請求項25】
前記1の電極層はアルミウム、前記他の電極層はカルシウムである、請求項4に記載の表示装置。
【請求項26】
前記バンク層は樹脂材料によって形成される、請求項1乃至25のいずれかに記載の表示装置。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれかに記載の前記表示装置を備える電子機器。
【請求項28】
前記電子機器は、デジタルカメラ、携帯情報端末装置及び携帯電話装置のうち少なくともいずれかを含む、請求項27記載の電子機器。
【請求項29】
電気回路を形成すべき基板の外周内側の封止領域の一部に少なくとも配線層を形成する過程と、
前記基板の前記配線層上を除いて複数の表示素子を相互に分離するための複数の溝を備える素子分離層を形成する過程と、
前記素子分離層の複数の溝の各々に前記表示素子を形成する過程と、
前記複数の表示素子と、前記素子分離層と、前記配線層各々の上に共通電極層を形成する過程と、
前記基板の封止領域に接合材料を塗布する接合材料塗布過程と、
前記基板の封止領域に環状の封止部を有する封止基板を前記接合材料を介して接合して前記基板を封止する封止過程と、
を含む表示装置の製造方法。
【請求項30】
前記接合材料塗布過程は、前記基板の封止領域内に形成された前記共通電極層と前記配線層との接続領域上及び残りの封止領域に接合材料を塗布する、
請求項29記載の表示装置の製造方法。
【請求項31】
電気回路を形成すべき基板の外周内側の封止領域の一部に少なくとも配線層を形成する過程と、
前記基板の前記配線層上を除いて複数の表示素子を相互に分離するための複数の溝を備える素子分離層を形成する過程と、
前記素子分離層の複数の溝の各々に前記表示素子を形成する過程と、
前記複数の表示素子と、前記素子分離層と、前記配線層各々の上に共通電極層を形成する過程と、
前記基板の封止領域及び前記共通電極層の上に接合材料を塗布する接合材料塗布過程と、
前記基板に前記封止領域及び前記共通電極層を覆う封止基板を前記接合材料を介して接合して前記基板を封止する封止過程と、
を含む表示装置の製造方法。
【請求項32】
電気回路を形成すべき基板の外周内側の封止領域の一部に少なくとも配線層を形成する過程と、
前記基板の前記配線層上を除いて複数の表示素子を相互に分離するための複数の溝を備える素子分離層を形成する過程と、
前記素子分離層の複数の溝の各々に前記表示素子を形成する過程と、
前記複数の表示素子と、前記素子分離層と、前記配線層各々の上に共通電極層を形成する過程と、
前記基板に前記封止領域及び前記共通電極層を覆う多層膜を形成して前記基板を封止する封止過程と、
を含む表示装置の製造方法。
【請求項33】
前記多層膜は、水又はガスの透過を妨げる膜を含む、請求項32記載の表示装置の製造方法。
【請求項34】
前記共通電極層は前記表示素子側に位置する下層とその上に位置する上層の少なくとも2種類の電極層を含み、
前記下層の電極層よりも上層の電極層がガスバリア性又は耐環境性が良い、請求項29乃至33のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項35】
前記下層の電極層は前記複数の表示素子全体と前記バンク層の少なくとも一部とを覆うが、前記封止基板の封止部から離間し、
前記上層の電極は前記下部電極層全体を覆って前記封止基板の封止部内にまで至る、請求項34に記載の表示装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2013−110116(P2013−110116A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−4326(P2013−4326)
【出願日】平成25年1月15日(2013.1.15)
【分割の表示】特願2008−162863(P2008−162863)の分割
【原出願日】平成15年1月16日(2003.1.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】