説明

電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板、電気光学装置及び電子機器

【課題】光の利用効率に優れた素子基板を容易に製造可能な電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板、電気光学装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】平面視で少なくとも画素電極と重なる領域であって、画素電極側から、第二遮光層、第二絶縁層、第一絶縁層および第一遮光層を貫通する凹部を形成すると共に、凹部の底部を曲面状に形成することとしたので、当該凹部の底部をマイクロレンズとして用いることができる。また、凹部形成工程を、スイッチング素子の半導体層を形成した後に行うこととしたので、スイッチング素子の半導体層を形成する環境に影響されること無く容易に凹部(マイクロレンズ)を形成することができる。これにより、光の利用効率に優れた素子基板を容易に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板、電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターのライトバルブとして用いられる液晶装置の画像表示領域には、光を射出する画素部と、当該画素部に電気信号を供給する配線が形成された画素間領域とが設けられている。例えば、液晶装置においては、当該画素間領域は遮光部によって覆われ、遮光部において光が透過しないようになっている。
【0003】
このような液晶装置においては、画素部から射出される光の光量はできるだけ多く、明るい光であることが望まれており、高い光利用効率を実現することが求められている。これに対して、例えば液晶装置の対向基板や素子基板などにマイクロレンズを形成することにより、液晶パネルの表示に寄与しない部分に入射した光を、液晶パネルの画素部に収束し、液晶パネルの実質的な開口率の向上を図る構成が知られている。
【0004】
このうち、素子基板にマイクロレンズを形成した例としては、特許文献1に示すように、無機マイクロレンズを形成した後、平坦化してTFTを形成する素子基板の構成が知られている。また、特許文献2に示すように、基板上にTFTを形成した後、当該基板の裏面を研磨し、マイクロレンズが形成された基板を貼り付けた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−330006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成においては、マイクロレンズ形成後に例えば1000℃を超える環境下でTFTを形成するため、マイクロレンズに耐熱性を持たせる必要があるが、レンズ層のクラック耐性から厚いレンズの形成は現実的には困難である。また、特許文献2に記載の構成においては、基板を高精度に研磨する必要がある上、樹脂層を介してマイクロレンズ基板を貼り付けるため、光の利用効率の面で不安がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明は、光の利用効率に優れた素子基板を容易に製造可能な電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板、電気光学装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法は、基板と、画素電極とを有する電気光学装置用基板の製造方法であって、前記基板と前記画素電極との間に、前記画素電極に対応して、半導体層を有するスイッチング素子を形成するスイッチング素子形成工程と、前記スイッチング素子と前記基板との間であって、平面視で前記スイッチング素子の半導体層のチャネル領域と重なる領域に第一遮光層を形成する第一遮光層形成工程と、前記第一遮光層と前記スイッチング素子との間であって、平面視で少なくとも前記スイッチング素子と重なる領域に第一絶縁層を形成する第一絶縁層形成工程と、前記スイッチング素子と前記画素電極との間であって、平面視で少なくとも前記スイッチング素子と重なる領域に第二絶縁層を形成する第二絶縁層形成工程と、前記第二絶縁層と前記画素電極との間であって、平面視で前記チャネル領域と重なる領域に、第二遮光層を形成する第二遮光層形成工程と、平面視で少なくとも前記画素電極と重なる領域であって、前記画素電極側から、前記第二遮光層、前記第二絶縁層、前記第一絶縁層および前記第一遮光層を貫通する凹部を形成すると共に、前記凹部の底部を曲面状に形成する凹部形成工程とを含む。
【0009】
本発明によれば、平面視で少なくとも画素電極と重なる領域であって、画素電極側から、第二遮光層、第二絶縁層、第一絶縁層および第一遮光層を貫通する凹部を形成すると共に、凹部の底部を曲面状に形成することとしたので、当該凹部の底部をマイクロレンズとして用いることができる。また、凹部形成工程を、スイッチング素子の半導体層を形成した後に行うこととしたので、スイッチング素子の半導体層を形成する環境に影響されること無く容易に凹部(マイクロレンズ)を形成することができる。これにより、光の利用効率に優れた素子基板を容易に製造することができる。
【0010】
上記の電気光学装置用基板の製造方法において、前記凹部形成工程は、前記凹部の内周面のうち前記第一遮光層から前記底部までの少なくとも一部分を、前記基板の表面に垂直に形成することを含むことが好ましい。
本発明によれば、凹部の内周面のうち第一遮光層から底部までの少なくとも一部分を、基板の表面に垂直に形成することとしたので、当該垂直に形成した一部分において光を平面視で凹部の中央部側に反射することができる。これにより、光の利用効率に優れた素子基板を製造することができる。
【0011】
上記の電気光学装置用基板の製造方法において、前記凹部形成工程は、少なくとも前記凹部の底部の形状と同一の形状が形成されたエッチングマスクを用いてエッチングを行うことを含むことが好ましい。
本発明によれば、凹部形成工程において、少なくとも凹部の底部の形状と同一の形状が形成されたエッチングマスクを用いてエッチングを行うこととしたので、当該エッチングマスクに形成された形状を転写するように凹部を形成することができる。これにより、容易に凹部を形成することができる。
【0012】
上記の電気光学装置用基板の製造方法において、前記凹部形成工程は、前記第二遮光層の少なくとも一部をマスクとして用いてエッチングを行うことを含むことが好ましい。
本発明によれば、凹部形成工程において、第二遮光層の少なくとも一部をマスクとしてエッチングを行うこととしたので、別途エッチングマスクを配置する手間を省くことができる。これにより、製造工程の煩雑化を回避することができる。
【0013】
上記の電気光学装置用基板の製造方法において、前記第二遮光層形成工程は、平面視において前記第二遮光層の外周が前記第一遮光層の外周に対して張り出すように前記第二遮光層を形成することを含むことが好ましい。
本発明によれば、平面視において第二遮光層の外周が第一遮光層の外周に対して張り出すように第二遮光層を形成することとしたので、第二遮光層を用いてエッチングを行う際に、半導体層の周囲にマージンを確保することができる。これにより、半導体層が露出するのを防ぐことができるので、信頼性の高い素子基板を製造することができる。
【0014】
本発明に係る電気光学装置用基板は、基板と、画素電極と、前記基板と前記画素電極との間に、前記画素電極に対応して設けられたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と前記基板との間に設けられ、平面視で前記スイッチング素子の半導体層のチャネル領域と重なる領域に設けられた第一遮光層と、前記第一遮光層と前記スイッチング素子との間に設けられ、平面視で少なくとも前記スイッチング素子と重なる領域に設けられた第一絶縁層と、前記スイッチング素子と前記画素電極との間に設けられ、平面視で少なくとも前記スイッチング素子と重なる領域に設けられた第二絶縁層と、前記第二絶縁層と前記画素電極との間に設けられ、平面視で前記チャネル領域と重なる領域に設けられた第二遮光層と、平面視で少なくとも前記画素電極と重なる領域に設けられ、前記画素電極側から、前記第二遮光層、前記第二絶縁層、前記第一絶縁層および前記第一遮光層を貫通する凹部とを備え、前記凹部の側面は、前記基板の主面に略垂直であり、前記第一遮光層よりも前記基板側まで設けられ、前記凹部の底部は曲面状である。
【0015】
本発明によれば、平面視で少なくとも画素電極と重なる領域に設けられ、画素電極側から、第二遮光層、第二絶縁層、第一絶縁層および第一遮光層を貫通する凹部であって底部が曲面状の凹部を備えることとしたので、当該凹部の底部をマイクロレンズとして用いることができる。また、凹部の側面が基板の主面に略垂直であるので、この凹部の側面において光を平面視で凹部の中央部側に反射することができる。これにより、光の利用効率に優れた素子基板を得ることができる。
【0016】
上記の素子基板において、前記第二遮光層は、平面視において周縁部が前記第一遮光層の外周に対して張り出すように形成されていることが好ましい。
本発明によれば、平面視において第二遮光層の周縁部が第一遮光層の外周に対して張り出すように形成されているので、半導体層に光が入射されるのをより確実に防ぐことができる。これにより、信頼性の高い素子基板を得ることができる。
【0017】
上記の素子基板において、前記第一遮光層及び前記第二遮光層のうち少なくとも一部は、前記半導体層と前記画素電極とを電気的に接続する配線を兼ねていることが好ましい。
本発明によれば、第一遮光層及び第二遮光層のうち少なくとも一部が、半導体層と画素電極とを電気的に接続する配線を兼ねているので、それぞれ別個に第一遮光層、第二遮光層及び配線を配置させる場合に比べて、スペースを節約することができる。
【0018】
本発明に係る電気光学装置は、上記の素子基板を備える。
本発明によれば、光の利用効率に優れ容易に製造可能な素子基板を備えるので、所期の品質を備えた安価な電気光学装置を得ることができる。
【0019】
本発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置を備える。
本発明によれば、所期の品質を備えた安価な電気光学装置を備えるので、所期の表示品質を備えた安価な電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図。
【図2】本実施形態に係る液晶装置の断面構成を示す図。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の電気的構成を示す配線図。
【図4】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図5】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図6】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図7】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図8】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図9】本発明の第二実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図10】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図11】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図12】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図13】本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す図。
【図14】本発明の第三実施形態に係るプロジェクターの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る液晶装置120の構成を示す平面図である。図2は、液晶装置120のA−A断面に沿った構成を示す図である。
【0022】
図1に示すように、液晶装置120は、TFTアレイ基板230と対向基板210とを重ね合わせるとともに、両者の間に設けられたシール材52により貼り合わせた構成を有する。シール材52によって区画された領域内には液晶層250が封入されている。シール材52の形成領域の内側には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。
【0023】
シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路41および外部回路実装端子42がTFTアレイ基板230の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路54が形成されている。TFTアレイ基板230の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路54の間を接続するための複数の配線55が設けられている。また、対向基板210の角部においては、TFTアレイ基板230と対向基板210との間で電気的導通をとるための基板間導通材56が配設されている。
【0024】
なお、データ線駆動回路41および走査線駆動回路54をTFTアレイ基板230の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板230の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。
【0025】
図2に示すように、対向基板210は、基材200、光屈折層201、遮光部203、保護層204、共通電極205及び配向膜206を有している。
【0026】
基材200は、例えばガラスや石英など、光透過性を有する材料を用いて構成されている。基材200は、液晶層250側の第一面200aに形成された複数の第一凹部200bを有している。複数の第一凹部200bは、平面視で複数の画素の各々と重なり合うように配置されている。本実施形態では、複数の第一凹部200bは、マトリクス状に配列された構成を有している。複数の第一凹部200bの底部は、それぞれ曲面状に形成されている。
【0027】
光屈折層201は、複数の第一凹部200bを含む基材200の第一面200aの略全面に積層されている。光屈折層201は、例えば基材200よりも光屈折率の高い材料(第一材料)を用いて形成されている。このような第一材料としては、例えばプラズマCVD法に適用可能な材料(例えば、無機材料)などが挙げられる。
【0028】
本実施形態では、第一凹部200bの底部が曲面状に形成されているため、基材200に入射して第一凹部200bに到達した光は、基材200と光屈折層201との間の光屈折率の差により、平面視で第一凹部200bの中央部側へ屈折する。このように、光屈折層201のうち、複数の複数の第一凹部200bの内部に設けられる部分は、光を集光する第一マイクロレンズML1を構成している。各々の第一マイクロレンズML1は、平面視で複数の画素の各々と重なり合うように配置される。
【0029】
遮光部203は、光屈折層201の第二面201aのうち第一マイクロレンズML1同士の境界に平面視で重なる領域に形成されている。保護層204は、光屈折層201の第二面201a及び遮光部203を覆うように形成されている。保護層204は、当該第二面201aのほぼ全面に亘って形成されている。共通電極205は、保護層204のほぼ全面に亘って形成されている。配向膜206は、共通電極205を覆うように形成されている。
【0030】
TFTアレイ基板230は、基材220、下地層221、第一遮光層222、第一絶縁層223、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスター)224、第二絶縁層225、第二遮光層226、第三絶縁層227、画素電極228及び配向膜229を有している。TFTアレイ基板230は、平面視で画素電極228に重なる画素領域235と、当該画素領域235から外れた画素間領域236とが設けられている。
【0031】
基材220は、基材200と同様、例えばガラスや石英など、光透過性を有する材料を用いて形成されている。下地層221は、基材200の表面に形成されている。第一遮光層222は、下地層221の液晶層250側の表面221aに設けられている。第一絶縁層223は、第一遮光層222を含む下地層221の表面221aを覆うように形成されている。
【0032】
TFT224は、画素電極228を駆動するスイッチング素子である。当該TFT224は、半導体層224a及び不図示のゲート電極を有して構成されている。半導体層224aには、ソース領域、チャネル領域及びドレイン領域が形成されている。チャネル領域とソース領域、又は、チャネル領域とドレイン領域との界面には、例えばLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていてもよい。
【0033】
ゲート電極は、TFTアレイ基板230上において平面視で半導体層のチャネル領域と重なる領域に第二絶縁層225の一部(ゲート絶縁膜)を介して形成されている。図示を省略しているが、ゲート電極は、下層側に配置された走査線242(図3参照)にコンタクトホールを介して電気的に接続されており、走査信号が印加されることによってTFT224をオン/オフ制御している。
【0034】
第一遮光層222及び第二遮光層226は、上記対向基板210の遮光部203に平面視で重なるように格子状に形成されている。第一遮光層222及び第二遮光層226は、TFTアレイ基板230の厚さ方向において、TFT224を挟むように配置されている。第一遮光層222及び第二遮光層226が設けられていることにより、TFT224への光の入射が抑制されている。第一遮光層222に囲まれている矩形状の領域(開口部222a)、及び、第二遮光層226に囲まれている矩形状の領域(開口部226a)は、光が透過する領域となる。
【0035】
画素電極228は、開口部222a及び開口226aに平面視で重なる領域に設けられている。TFT224や当該TFT224に電気信号を供給する不図示の電極や配線55(図1等参照)等は、第一遮光層222及び第二遮光層226に平面視で重なる領域に設けられている。なお、これらの電極や配線55等が第一遮光層222及び第二遮光層226を兼ねた構成であっても構わない。また、配向膜229は、画素電極228を覆うように形成されている。
【0036】
平面視で画素電極228が形成された領域には、凹部231が形成されている。凹部231は、第二絶縁層225、第一絶縁層223及び下地層221をTFTアレイ基板230の積層方向に貫通すると共に、基材220の一部に到達するように形成されている。凹部231の底部231aは、曲面状に形成されている。なお、第一絶縁層223及び第二絶縁層225は、同一の材料を用いて形成されている。
【0037】
凹部231の内部には、基材220よりも低い光屈折率を有する材料が充填されており、レンズ層233が形成されている。レンズ層233を構成する材料としては、例えばガラスや樹脂などを幅広く採用することができる。レンズ層233のうち液晶層250側の端面は、第二遮光層226の表面と面一に形成されている。
【0038】
このように凹部231の底部231aが曲面状に形成されているため、画素電極228を透過してレンズ層233に入射した光は、レンズ層233と基材220との間の光屈折率の差により、平面視でレンズ層233の中央部側へ屈折する。このように、凹部231(レンズ層233)の底部231aは、光を集光する第二マイクロレンズML2を構成している。
【0039】
また、凹部231の内周面231bのうち、第一遮光層222から底部231aまでの一部分は、基材220の表面220aにほぼ垂直に形成されている。この一部分(垂直領域)231cは、凹部231の内部に入射した光を底部231aへ向けて反射する。なお、垂直領域231cが基材220の表面に対してほぼ垂直な状態とは、垂直領域231cと基材220の表面との間でなす角度が90°±2°の範囲である場合を含むものとする。
【0040】
液晶層250は、対向基板210側の配向膜206と、TFTアレイ基板230側の配向膜229との間に封入されている。
【0041】
図3は、液晶装置120の電気的な構成を示す回路図である。
図3に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極228、及びTFT224が形成されている。TFT224は、画素電極228に電気的に接続されており、液晶装置120の動作時において、画素電極228に対する画像信号の供給及び非供給を相互に切り替えるように、画素電極228をスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線241は、TFT224のソース領域に電気的に接続されている。
【0042】
TFT224のゲートには走査線242が電気的に接続されている。液晶装置120は、所定のタイミングで、走査線242にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極228は、TFT224のドレインに電気的に接続されている。画素電極228には、スイッチング素子であるTFT224を一定期間だけ閉じることにより、データ線241から供給される画像信号S1、S2、…、Snが、各画素の液晶に所定のタイミングで書き込まれる。
【0043】
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極228と対向基板210に形成された共通電極205との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号がリークするのを防止するため、画素電極228と容量線243との間に蓄積容量270が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶の配向状態が変化する。これにより、液晶に入射した光が変調されて階調表示が可能となる。
【0044】
液晶層250を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。例えば、ノーマリーホワイトモードの場合、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少する。ノーマリーブラックモードの場合、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加し、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が射出される。
【0045】
図2に示すように、上記のように構成された液晶装置120において、例えば対向基板210の基材200に入射した光L1(平行光)は、第一マイクロレンズML1によって開口部203bの中央部側へ屈折される。その後、液晶層250を通過した光L1は、液晶装置120の垂直方向に対して傾いた方向に進行する。この光L1は、TFTアレイ基板230のレンズ層233に入射し、第二マイクロレンズML2によって平面視でレンズ層233の内側へ屈折される。この光屈折により、光L1の進行方向は、液晶装置120の垂直方向に沿った方向に近づけられることになる。
【0046】
また、基材200に入射した光L2については、第一マイクロレンズML1によって開口部203bの中央部側へ屈折される。この光屈折により、光L2の進行方向は、遮光部203から逸れた方向に屈折される。その後、液晶層250を通過した光L2は、液晶装置120の垂直方向に対して傾いた方向に進行するものの、第二マイクロレンズML2によって平面視でレンズ層233の内側へ屈折される。この光屈折により、光L2の進行方向は、液晶装置120の垂直方向に沿った方向に近づけられる。
【0047】
更に、基材200に入射した光L3については、第一マイクロレンズML1によって開口部203bの中央部側へ屈折され、液晶層250を通過した後、液晶装置120の垂直方向に対して傾いた方向に進行する。この光L3は、凹部231の垂直領域231cによって反射され、第二マイクロレンズML2によって平面視でレンズ層233の内側へ屈折される。この光屈折により、光L3の進行方向は、液晶装置120の垂直方向に沿った方向に近づけられる。
【0048】
このように、対向基板210側の第一マイクロレンズML1と、TFTアレイ基板230側の第二マイクロレンズML2とにより、対向基板210からTFTアレイ基板230へと液晶装置120を透過する光は、液晶装置120の垂直方向に近い方向に射出されることになる。このため、光の利用効率が高められることになる。
【0049】
次に、上記のTFTアレイ基板230の製造方法を説明する。
まず、ガラスや石英などを用いて形成された基材220を用意する。次に、図4に示すように、当該基材220の表面に下地層221を形成する。下地層221を形成した後、当該下地層221の表面221aのうち平面視で上記構成における画素間領域236となる領域に第一遮光層222を形成する(第一遮光層形成工程)。
【0050】
次に、第一遮光層222を含む下地層221の表面221aを覆うように第一絶縁層223を形成する(第一絶縁層形成工程)。第一絶縁層223を形成した後、第一絶縁層223の表面223aのうち第一遮光層222に平面視で重なる部分に、TFT224を形成する。この工程においては、例えば1000℃を超える高温プロセスにより、TFT224の一部を構成する半導体層224aを形成する(スイッチング素子形成工程)。
【0051】
半導体層224aを形成した後、半導体層224aを含む第一絶縁層223の表面223aを覆うように第二絶縁層225を形成する(第二絶縁層形成工程)。第二絶縁層形成工程では、例えば第一絶縁層223と同一の材料を用いて第二絶縁層225を形成する。第二絶縁層225を形成した後、当該第二絶縁層225の表面225aのうち少なくとも半導体層224aに平面視で重なる部分に第二遮光層226を形成する(第二遮光層形成工程)。以上の工程を経て、図4に示す状態となる。
【0052】
次に、図5に示すように、第二遮光層226の表面にエッチングマスク280を配置する。エッチングマスク280は、例えば第一絶縁層223及び第二絶縁層225の構成材料と同一の材料を用いて予め形成しておく。このエッチングマスク280は、格子状に形成された平坦部281と、平坦部281に囲まれた領域に配置され上記の第二マイクロレンズML2に対応する形状に形成された凹部282と、を有している。エッチングマスク280は、凹部282の平面視中央部において最も薄くなっている。ここでは、図5に示すように、平面視で平坦部281が画素間領域236に重なると共に、凹部282が画素領域235に重なるようにエッチングマスク280を配置する。
【0053】
エッチングマスク280を配置した後、例えばフッ素系などのハロゲン系のエッチングガスを用いて、当該エッチングマスク280の表面側からドライエッチング処理を行う。このドライエッチング処理においては、図6に示すように、エッチングマスク280の全面が表面側から第二遮光層226側へかけて、垂直方向に等しい速度で除去されていく。ドライエッチング処理を進めていくと、まずエッチングマスク280のうち最も薄く形成された凹部282の中央部が貫通される。当該凹部282の中央部が貫通されると、エッチングマスク280から第二絶縁層225の表面225aの一部が露出する。
【0054】
この状態でドライエッチング処理を進めることにより、第二絶縁層225の表面225aのうち露出した部分が除去され、図6に示すように、第二絶縁層225には凹部238が形成される。なお、エッチングマスク280の構成材料と、第二絶縁層225の構成材料とを等しくしておくことにより、単一種類のエッチングガスにより、エッチングマスク280と第二絶縁層225とを等しい速度で除去することができる。
【0055】
その後、ドライエッチング処理を継続することにより、エッチングマスク280の全面が等しい速度で垂直方向に除去されていく。エッチングマスク280は、凹部282の平面視中央部から外周部にかけて徐々に貫通され、最後に平坦部281が除去される。凹部282のうち貫通される部分が広がるにつれて、第二絶縁層225の露出部分が大きくなる。また、第二絶縁層225については、エッチングマスク280に対する露部分がエッチングマスク280の除去速度と等しい速度で垂直方向に除去されていく。
【0056】
このようにドライエッチング処理を継続して行うと、エッチングマスク280が平坦部281まで全て除去され、図7に示すように、第二絶縁層225から第一絶縁層223にかけて、エッチングマスク280の凹部282の形状が転写された状態となる。これにより、凹部238には基材220側へ向けて湾曲した底部231aが形成されることになる。
【0057】
その後、ドライエッチング処理を継続して行うと、表面に配置された第二遮光層226がエッチングマスクとして機能し、凹部238の内部全体が垂直方向に等しい速度で除去されていく。このため、底部231aの形状が保持されたまま、凹部238が第一絶縁層223から下地層221を貫通し、基材220の内部へ向けて垂直方向に形成されていく。
【0058】
この結果、図8に示すように、画素電極228側から、第二遮光層226、第二絶縁層225、第一絶縁層223、第一遮光層222及び下地層221を貫通するように、かつ、基材220の一部に到達するように、凹部231が形成される。この工程においては、凹部231の底部231aは曲面状に形成され、第二マイクロレンズML2のレンズ面として用いられる(以上、凹部形成工程)。なお、当該凹部形成工程において、凹部231の底部231aが基材220の表面220aに到達してからのエッチングの時間を調整することにより、凹部231の内周面231bの一部に垂直領域231cを形成することができる。
【0059】
その後、凹部231の内部に、基材220よりも光屈折率の低い材料を充填してレンズ層233(図2参照)を形成する。半導体層224aを形成した後に(高温プロセスを経た後に)レンズ層233を形成するため、レンズ層233の構成材料として1000℃以上の環境に対して耐熱性を有するような材料に限定されることは無い。例えば500℃程度の環境若しくはそれ以下の温度の環境に対して耐熱性を有する材料(ガラスや樹脂など)を用いることができるため、幅広く材料を選択することができ、容易にレンズ層233を形成することができる。
【0060】
レンズ層233を形成した後、第二遮光層226及びレンズ層233の表面に、上記第三絶縁層227や配線、電極などを形成し、第三絶縁層227の表面に画素電極228及びコンタクトホールなどを形成する。その後、画素電極228及び第三絶縁層227を覆うように配向膜229を形成することで、TFTアレイ基板230が製造されることになる。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、画素電極228側から、第二遮光層226、第二絶縁層225、第一絶縁層223、第一遮光層222及び下地層221を貫通するように、かつ、基材220の一部に到達するように、凹部231を形成すると共に、凹部231の底部231aを曲面状に形成することとしたので、当該凹部231の底部231aを第二マイクロレンズML2として用いることができる。また、凹部形成工程を、半導体層224aの形成後に行うこととしたので、半導体層224aを形成する際の高温プロセス下の環境に影響されること無く容易に凹部231(第二マイクロレンズML2)を形成することができる。これにより、光の利用効率に優れたTFTアレイ基板230を容易に製造することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、凹部形成工程において、凹部231の内周面231bに垂直領域231cを形成することとしたので、当該垂直領域231cにおいて光を平面視で凹部231の中央部側に反射することができる。これにより、光の利用効率に優れたTFTアレイ基板230が得られることになる。
【0063】
また、本実施形態によれば、光の利用効率に優れ容易に製造可能なTFTアレイ基板230を備えるので、所期の品質を備えた安価な液晶装置120を得ることができる。
【0064】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図9〜図13は、本実施形態に係る素子基板の製造過程を示す断面図である。
本実施形態では、第一実施形態と同様に、基材220の表面に下地層221を形成し、当該下地層221の表面221aの画素間領域236となる領域に第一遮光層222を形成する。また、下地層221及び第一遮光層222を覆うように第一絶縁層223を形成し、第一絶縁層223の表面223aにTFT224を形成する。
【0065】
その後、半導体層224a及び第一絶縁層223を覆うように第二絶縁層225を形成し、第二絶縁層225の表面225aのうち少なくとも半導体層224aに平面視で重なる部分に第二遮光層226を形成する。この第二遮光層226を形成する工程において、本実施形態では、図9に示すように、平面視において第二遮光層226の周縁部が第一遮光層222の外周に対して張り出すように当該第二遮光層226を形成する。
【0066】
その後、第二遮光層226をエッチングマスクとして用い、第二絶縁層225、第一絶縁層223及び第一遮光層222に対してドライエッチング処理を行う。この処理により、図9に示すように、第二絶縁層225、第一絶縁層223及び第一遮光層222を貫通し、下地層221の表面を露出するように、凹部231が形成される。
【0067】
次に、図10に示すように、第二遮光層226及び凹部231の表面を覆うように、エッチングマスク層237を形成する。このエッチングマスク層237としては、例えばp−Siや金属材料(メタルマスク)などが用いられる。
【0068】
エッチングマスク層237を形成した後、図11に示すように、当該エッチングマスク層237のうち凹部231の平面視中央部に開口部237aを形成する。当該開口部237aは、例えば直径が1μm程度に形成される。
【0069】
開口部237aを形成した後、当該開口部237aから下地層221側にエッチング溶液を浸透させ、ウエットエッチング処理を行う。この工程では、開口部237aを介して下地層221の平面視中央部にエッチング溶液を供給することにより、底部231aから垂直方向に対して放射状に広がるように除去される。このため、図12に示すように、底部231aが曲面状に形成される。底部231aを曲面状に形成した後、図13に示すように、エッチングマスク層237を除去する。なお、この後、底部231aに対してドライエッチング処理を行うことにより底部231aを掘り下げ、垂直領域を形成しても構わない。
【0070】
以上のように、本実施形態によれば、平面視において第二遮光層226の周縁部が第一遮光層222の外周に対して張り出すように第二遮光層226を形成することとしたので、第二遮光層226を用いてエッチングを行う際に、半導体層224aの周囲にマージンを確保することができる。これにより、半導体層224aの側部が露出するのを防ぐことができるので、信頼性の高い素子基板を製造することができる。また、この構成によれば、対向基板210側からの光が半導体層224aに入射するのをより確実に防ぐことができる。
【0071】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態を説明する。
図14は、本実施形態に係るプロジェクター100の光学系を示す模式図である。
図14に示すように、プロジェクター100は、光源装置101と、インテグレーター104と、偏光変換素子105と、色分離導光光学系102と、光変調装置としての液晶光変調装置110R,液晶光変調装置110G, 液晶光変調装置110Bと、クロスダイクロイックプリズム112及び投写光学系114と、を具備して構成されている。液晶光変調装置110R、110G及び110Bには、後述するように、液晶装置120R、120G及び120Bが設けられている。この液晶装置120R、120G及び120Bとして、例えば上記各実施形態において説明した液晶装置120を用いることができる。
【0072】
光源装置101は、第1色光である赤色光(以下、「R光」という。)、第2色光である緑色光(以下、「G光」という。)、及び第3色光である青色光(以下、「B光」という。)を含む光を供給する。光源装置101としては、例えば超高圧水銀ランプを用いることができる。
【0073】
インテグレーター104は、光源装置101からの光の照度分布を均一化する。照度分布を均一化された光は、偏光変換素子105にて特定の振動方向を有する偏光光、例えば色分離導光光学系102の反射面に対してs偏光したs偏光光に変換される。s偏光光に変換された光は、色分離導光光学系102を構成するR光透過ダイクロイックミラー106Rに入射する。
【0074】
色分離導光光学系102は、R光透過ダイクロイックミラー106Rと、B光透過ダイクロイックミラー106Gと、3枚の反射ミラー107と、2枚のリレーレンズ108と、を具備して構成されている。
【0075】
R光透過ダイクロイックミラー106Rは、R光を透過し、G光、B光を反射する。R光透過ダイクロイックミラー106Rを透過したR光は、反射ミラー107に入射する。
【0076】
反射ミラー107は、R光の光路を90度折り曲げる。光路を折り曲げられたR光は、R光用液晶光変調装置110Rに入射する。R光用液晶光変調装置110Rは、R光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。
【0077】
R光用液晶光変調装置110Rは、λ/2位相差板123R、ガラス板124R、第1偏光板121R、液晶装置120R、及び第2偏光板122Rを有する。λ/2位相差板123R及び第1偏光板121Rは、偏光方向を変換させない透光性のガラス板124Rに接する状態で配置される。なお、図1において、第2偏光板122Rは独立して設けられているが、液晶装置120Rの射出面や、クロスダイクロイックプリズム112の入射面に接する状態で配置しても良い。
【0078】
R光透過ダイクロイックミラー106Rで反射された、G光とB光とは光路を90度折り曲げられる。光路を折り曲げられたG光とB光とは、B光透過ダイクロイックミラー106Gに入射する。B光透過ダイクロイックミラー106Gは、G光を反射し、B光を透過する。B光透過ダイクロイックミラー106Gで反射されたG光は、G光用液晶光変調装置110Gに入射する。G光用液晶光変調装置110GはG光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。G光用液晶光変調装置110Gは、液晶装置120G、第1偏光板121G及び第2偏光板122Gを有する。
【0079】
G光用液晶光変調装置110Gに入射するG光は、s偏光光に変換されている。G光用液晶光変調装置110Gに入射したs偏光光は、第1偏光板121Gをそのまま透過し、液晶装置120Gに入射する。液晶装置120Gに入射したs偏光光は、画像信号に応じた変調により、G光がp偏光光に変換される。液晶装置120Gの変調により、p偏光光に変換されたG光が、第2偏光板122Gから射出される。このようにして、G光用液晶光変調装置110Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム112に入射する。
【0080】
B光透過ダイクロイックミラー106Gを透過したB光は、2枚のリレーレンズ108と、2枚の反射ミラー107とを経由して、B光用液晶光変調装置110Bに入射する。
【0081】
B光用液晶光変調装置110Bは、B光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。B光用液晶光変調装置110Bは、λ/2位相差板123B、ガラス板124B、第1偏光板121B、液晶装置120B、及び第2偏光板122Bを有する。
【0082】
B光用液晶光変調装置110Bに入射するB光は、s偏光光に変換されている。B光用液晶光変調装置110Bに入射したs偏光光は、λ/2位相差板123Bによりp偏光光に変換される。p偏光光に変換されたB光は、ガラス板124B及び第1偏光板121Bをそのまま透過し、液晶装置120Bに入射する。液晶装置120Bに入射したp偏光光は、画像信号に応じた変調により、B光がs偏光光に変換される。液晶装置120Bの変調により、s偏光光に変換されたB光が、第2偏光板122Bから射出される。B光用液晶光変調装置110Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム112に入射する。
【0083】
このように、色分離導光光学系102を構成するR光透過ダイクロイックミラー106RとB光透過ダイクロイックミラー106Gとは、光源装置101から供給される光を、第1色光であるR光と、第2色光であるG光と、第3色光であるB光とに分離する。
【0084】
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112は、2つのダイクロイック膜112a、112bをX字型に直交して配置して構成されている。ダイクロイック膜112aは、B光を反射し、G光を透過する。ダイクロイック膜112bは、R光を反射し、G光を透過する。このように、クロスダイクロイックプリズム112は、R光用液晶光変調装置110R、G光用液晶光変調装置110G、及びB光用液晶光変調装置110Bでそれぞれ変調されたR光、G光及びB光を合成する。
【0085】
投写光学系114は、クロスダイクロイックプリズム112で合成された光をスクリーン116に投射する。これにより、スクリーン116上でフルカラー画像を得ることができる。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、所期の品質を備えた安価な液晶装置120R、120G及び120B(液晶装置120)を備えるので、所期の表示品質を備えた安価なプロジェクター100を得ることができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、液晶装置120R、120G及び120B(液晶装置120)の垂直方向に近い方向に光が射出されることになる。このため、投写光学系114におけるのみこみ角度を超える光が射出されるのを低減することができる。これにより、光の利用効率が高められることになる。
【0088】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、電気光学装置として液晶装置120を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、電気泳動素子をTFTアレイ基板(素子基板)と対向基板とで挟持した電気泳動表示装置や、TFTアレイ基板(素子基板)に有機EL層が形成された有機EL装置など、他の電気光学装置に対しても、本発明の適用は可能である。
【0089】
また、本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
【0090】
また、電子機器としては、上記プロジェクター100以外にも、マルチメディア対応のパーソナルコンピューター(PC)、およびエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、あるいは携帯電話、ワープロ、テレビ、ビューファインダー型またはモニター直視型のビデオテープレコーダー、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルなどを挙げることができる。
【符号の説明】
【0091】
100…プロジェクター 120…液晶装置 210…対向基板 220…基材 221…下地層 221a…表面 222a…開口部 222…第一遮光層 223…第一絶縁層 223a…表面 224…TFT 224a…半導体層 225…第二絶縁層 225a…表面 226a…開口 226…第二遮光層 227…第三絶縁層 228…画素電極 229…配向膜 230…TFTアレイ基板 231…凹部 231a…底部 231b…内周面 231c…垂直領域 233…レンズ層 235…画素領域 236…画素間領域 238…凹部 280…エッチングマスク 281…平坦部 282…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、画素電極とを有する電気光学装置用基板の製造方法であって、
前記基板と前記画素電極との間に、前記画素電極に対応して、半導体層を有するスイッチング素子を形成するスイッチング素子形成工程と、
前記スイッチング素子と前記基板との間であって、平面視で前記スイッチング素子の前記半導体層のチャネル領域と重なる領域に第一遮光層を形成する第一遮光層形成工程と、
前記第一遮光層と前記スイッチング素子との間であって、平面視で少なくとも前記スイッチング素子と重なる領域に第一絶縁層を形成する第一絶縁層形成工程と、
前記スイッチング素子と前記画素電極との間であって、平面視で少なくとも前記スイッチング素子と重なる領域に第二絶縁層を形成する第二絶縁層形成工程と、
前記第二絶縁層と前記画素電極との間であって、平面視で前記チャネル領域と重なる領域に、第二遮光層を形成する第二遮光層形成工程と、
平面視で少なくとも前記画素電極と重なる領域であって、前記画素電極側から、前記第二遮光層、前記第二絶縁層、前記第一絶縁層および前記第一遮光層を貫通する凹部を形成すると共に、前記凹部の底部を曲面状に形成する凹部形成工程と
を含む電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項2】
前記凹部形成工程は、前記凹部の内周面のうち前記第一遮光層から前記底部までの少なくとも一部分を、前記基板の表面に垂直に形成することを含む
請求項1に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項3】
前記凹部形成工程は、少なくとも前記凹部の底部の形状と同一の形状が形成されたエッチングマスクを用いてエッチングを行うことを含む
請求項1又は請求項2に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項4】
前記凹部形成工程は、前記第二遮光層の少なくとも一部をマスクとして用いてエッチングを行うことを含む
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項5】
前記第二遮光層形成工程は、平面視において前記第二遮光層の外周が前記第一遮光層の外周に対して張り出すように前記第二遮光層を形成することを含む
請求項4に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項6】
基板と、
画素電極と、
前記基板と前記画素電極との間に、前記画素電極に対応して設けられたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子と前記基板との間に設けられ、平面視で前記スイッチング素子の半導体層のチャネル領域と重なる領域に設けられた第一遮光層と、
前記第一遮光層と前記スイッチング素子との間に設けられ、平面視で少なくとも前記スイッチング素子と重なる領域に設けられた第一絶縁層と、
前記スイッチング素子と前記画素電極との間に設けられ、平面視で少なくとも前記スイッチング素子と重なる領域に設けられた第二絶縁層と、
前記第二絶縁層と前記画素電極との間に設けられ、平面視で前記チャネル領域と重なる領域に設けられた第二遮光層と、
平面視で少なくとも前記画素電極と重なる領域に設けられ、前記画素電極側から、前記第二遮光層、前記第二絶縁層、前記第一絶縁層および前記第一遮光層を貫通する凹部と
を備え、
前記凹部の側面は、前記基板の主面に略垂直であり、前記第一遮光層よりも前記基板側まで設けられ、
前記凹部の底部は曲面状である
電気光学装置用基板。
【請求項7】
前記第二遮光層は、平面視において周縁部が前記第一遮光層の外周に対して張り出すように形成されている
請求項6に記載の電気光学装置用基板。
【請求項8】
前記第一遮光層及び前記第二遮光層のうち少なくとも一部は、前記半導体層と前記画素電極とを電気的に接続する配線を兼ねている
請求項6又は請求項7に記載の電気光学装置用基板。
【請求項9】
請求項6から請求項8のうちいずれか一項に記載の電気光学装置用基板を備える電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−73181(P2013−73181A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214085(P2011−214085)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】