説明

電気光学装置用駆動回路及び駆動方法並びに電気光学装置及び電子機器

【課題】横電界及びソース電位の変動の悪影響を回避する。
【解決手段】液晶表示パネルの表示部の画素数に対応した入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を選択して順次ゲートパルスを供給し、次の1水平期間には選択する2本のラインを夫々1ラインずつシフトさせる走査ドライブ手段104と、前記入力画像に含まれる水平帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換し、前記帰線期間信号を含む入力画像とその遅延信号とを合成し、前記入力画像の水平周波数に対して2倍の水平周波数の合成画像を前記走査ドライブ手段の走査に応じた信号配列で配列して書込み画像を得る画像再配列手段61と、前記画像再配列手段からの書込み画像の画像信号が入力され、前記入力画像の水平周期の1/2倍の水平書込み期間毎に極性反転させて前記複数のソース線に夫々供給するデータドライブ手段201とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示むらを軽減するようにした電気光学装置用駆動回路及び駆動方法並びに電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置、例えば、電気光学物質として液晶を用いた液晶表示装置は、陰極線管(CRT)に代わるディスプレイデバイスとして、各種情報処理機器の表示部や液晶テレビ等に広く用いられている。
【0003】
このような液晶表示装置は、例えば、マトリクス状に配列した画素電極と、この画素電極に接続されたTFT(Thin Film Transistor : 薄膜トランジスタ)のようなスイッチング素子等が設けられた素子基板と、画素電極に対向する対向電極が形成された対向基板と、これら両基板との間に充填された電気光学物質たる液晶とによって構成される。
【0004】
TFTは走査線(ゲート線)を介して供給される走査信号(ゲート信号)によって導通する。走査信号を印加してスイッチング素子を導通状態にした状態で、データ線(ソース線)を介して画素電極に、階調に応じた電圧の画像信号を印加する。そうすると、画素電極と対向電極に、画像信号の電圧に応じた電荷が蓄積される。電荷蓄積後、走査信号を取り去りTFTを非導通状態にしても、各電極における電荷の蓄積状態は、液晶層の容量性や蓄積容量等によって維持される。
【0005】
このように、各スイッチング素子を駆動させ、蓄積させる電荷量を階調に応じて制御すると、画素毎に液晶の配向状態が変化して光の透過率が変わり、画素毎に明るさを変化させることができる。こうして、階調表示することが可能となる。
【0006】
ところで、液晶装置では、印加信号の直流成分の印加などによって、例えば、液晶成分の分解、液晶セル中の不純物による汚染が発生し、表示画像の焼き付き等の現象が現れる。そこで、一般的には、各画素電極の駆動電圧の極性を、例えば画像信号におけるフレーム毎に反転させる反転駆動が行われる。フレーム反転駆動等の面反転駆動は、画像表示領域を構成する全画素電極の駆動電圧の極性を全て同じにして、一定周期で駆動電圧を反転させる方式である。
【0007】
液晶層及び蓄積容量の容量性を考慮すると、各画素の液晶層に電荷を印加するのは一部の期間のみでよい。従って、マトリクス状に配設された複数の画素を駆動する場合には、同一走査ラインに接続された画素に各走査線によって同時に走査信号を印加し、画像信号をデータ線を介して各画素に供給し、また画像信号を供給する走査線を順次切換えればよい。即ち、液晶表示装置では、走査線及びデータ線を複数の画素について共通化した時分割マルチプレックス駆動が可能となる。
【0008】
このように、液晶装置では、容量性を考慮して、画素には一部の期間にのみ駆動電圧が印加される。しかしながら、結合容量の影響及び電荷のリークによって、画素電極はTFTがオフの期間においてもソース線電位の影響を受ける。画素の印加電圧のこのような電位変動によって、画面内の表示が不均一となり、特に、中間調領域では画質の劣化が目立ってしまう。
【0009】
そこで、このような問題点を回避するために、液晶装置においては、1フレーム毎の反転駆動処理と共に、例えばライン毎に駆動電位の極性を異ならせるライン反転駆動等とを組み合わせた反転駆動が採用される。ソース線を介して転送される画像信号の極性を比較的短時間に切換えることで、結合容量の影響及び電荷のリークの影響を低減するのである。
【0010】
しかしながら、ライン反転駆動方式の場合には、極性が相異なる電圧が印加される列方向又は行方向において、同一基板上の相隣接する画素電極間で電界(以下、横電界という)が生じてしまう。また、ドット反転駆動方式の場合には、極性が相異なる電圧が印加させる行方向及び列方向に相隣接する画素電極間で横電界が生じる。
【0011】
隣接する画素間にこのような横電界が生じると、画素電極の一縁辺部は、この横電界の影響を受け、液晶分子の傾斜方向が他の液晶分子と異なる部分が生じやすい。このような液晶分子の配列の乱れ(ディスクリネーション)によって、配向不良の部分に沿ったスジ状の模様(スジむら)が現れる。即ち、ディスクリネーション領域においては光抜けが生じ、また、このディスクリネーション領域を非開口領域とした場合には開口率が低下してしまう。
【0012】
そこで、特許文献1においては、ソース線には書き込み毎に反転する信号を印加しつつ、上下に隣接する画素同士には同一極性の信号を書き込む領域走査反転駆動の技術が開示されている。即ち、特許文献1においては、1ラインの画像信号を1水平期間で2回書き込む倍速走査を行うと共に、書き込みを行う走査線として、例えばV/2(Vは垂直期間)だけ離間した2本を1水平期間内に選択する。
【0013】
この1水平期間に2本ずつの走査に合わせて、予め同一画像から作成した倍速の画像信号を並べ替えておく。そして、1水平期間の前半には所定の走査線に1/2水平期間で書き込みを行い、1水平期間の後半には所定の走査線からV/2だけずれたラインに1/2水平期間で逆極性の画像信号を書き込む。次の1水平期間には、これらの2つの書き込みを、夫々1ラインずつシフトさせる。
【0014】
このように、領域走査反転駆動では、1水平期間の前半には、例えば正極性の画像信号による書き込みが行われ、1水平期間の後半にはこの書き込みにV/2だけずれた位置から同一画像の逆極性の画像信号による書き込みが行われる。
【0015】
これにより、1水平期間に、極性が相互に異なる2走査線の画像信号が書き込まれて、ソース線は交流駆動される。また、同一極性の画像信号は隣接した画素に書き込まれて、正極性画像の書き込み領域及び負極性画像の書き込み領域は、いずれもV/2だけ連続する。
【0016】
これにより、特許文献1の装置は、ソース線電位の影響を抑制して画面表示の均一性を維持しつつ、横電界の悪影響によるディスクリネーションの発生を防止している。
【特許文献1】特開2004−177930公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、特許文献1に記載された技術においては、上述したように、1水平期間に2つの走査線に書込みが行われる。これらの書き込みは、イネーブル信号ENBY1,ENBY2によって制御される。そして、これらのイネーブル信号ENBY1,ENBY2の書き込み毎に、相互に異なる極性の画像信号の書込みが行われる。なお、この極性反転は、1水平周期の極性反転信号FRPによって制御される。
【0018】
水平期間には、終端において水平帰線期間が配置される。ところが、パターンジェネレータや各種画像信号の供給装置においては、帰線期間の信号レベルが規定されていないことがあり、走査線毎に帰線期間の信号レベルが相互に異なることがある。そうすると、1書き込み期間において、水平帰線期間の信号の影響によってソース電位の変動量が大きく変化し、画像にむらが生じることがあるという問題点があった。
【0019】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、領域走査反転駆動を採用した場合における画面表示の均一性を向上させることができる電気光学装置用駆動回路及び駆動方法並びに電気光学装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る電気光学装置用駆動回路は、格子状に配設された複数のソース線及び複数の走査線の各交差に対応して画素が構成され、前記走査線に供給される走査信号によって前記画素に設けられたスイッチング素子がオンされることによって前記ソース線に供給された画像信号が前記スイッチング素子を介して各画素の画素電極に与えられて電気光学物質が駆動される表示部に対して、前記表示部の画素数に対応した入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を選択して順次ゲートパルスを供給し、次の1水平期間には選択する2本のラインを夫々1ラインずつシフトさせる走査ドライブ手段と、前記入力画像に含まれる水平帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換し、前記帰線期間信号を含む入力画像とその遅延信号とを合成し、前記入力画像の水平周波数に対して2倍の水平周波数の合成画像を前記走査ドライブ手段の走査に応じた信号配列で配列して書込み画像を得る画像再配列手段と、前記画像再配列手段からの書込み画像の画像信号が入力され、前記入力画像の水平周期の1/2倍の水平書込み期間毎に極性反転させて前記複数のソース線に夫々供給するデータドライブ手段とを具備したことを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、表示部は、格子状に配設された複数のソース線及び複数の走査線の各交差に対応して画素が構成され、走査ドライブ手段から走査線に供給される走査信号によって画素に設けられたスイッチング素子がオンされ、これにより、ソース線に供給された画像信号がスイッチング素子を介して各画素の画素電極に与えられて電気光学物質が駆動される。画像再配列手段は、入力画像とその遅延信号とを合成して、入力画像の水平周波数に対して2倍の水平周波数の画像を走査ドライブ手段の走査に応じた信号配列で配列して書込み画像を得る。ソース線に供給される画像信号は、入力画像の水平周波数に対して2倍の水平周波数の書込み画像の画像信号であり、データドライブ手段によって、入力画像の水平周期の1/2倍の水平書込み期間毎に極性反転されている。走査ドライブ手段は、入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を選択して順次ゲートパルスを供給し、次の1水平期間には選択する2本のラインを夫々1ラインずつシフトさせる。これにより、大部分の隣接するライン間では同一極性の画像信号で駆動されることになり、面反転駆動により横電界の発生を防止することができる。データドライブ手段からソース線への画像信号の転送路における容量結合の影響によって、表示領域の画像信号レベルと水平帰線期間の信号レベルとの差に応じてソース電位は変動する。水平帰線期間は所定の中間調レベルの帰線期間信号に設定されており、全ての走査線において、ソース電位の変動分は略同一となる。これにより、表示むらの発生を抑制することができ、画質を向上させることができる。
【0022】
また、前記画像再配列手段は、前記入力画像に含まれる水平帰線期間及び垂直帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換することを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、走査ドライブ手段は、相互に離間した2本のラインの走査線を順次選択するので、選択する一方の走査線が垂直帰線期間内の走査線である場合には、他方の走査線が垂直帰線期間の信号レベルの影響を受けることがある。しかし、この場合でも、水平帰線期間に設定された帰線期間信号が垂直帰線期間にも設定されていることから、全走査線においてソース電位の変動の影響を共通にすることができ、表示むらの発生を確実に防止することができる。
【0024】
また、前記入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を夫々選択するためのイネーブル信号であって、前記走査線を選択しない論理値と前記走査線を選択する論理値との変化点が前記画像信号の水平帰線期間内に設定されたイネーブル信号を生成するイネーブル信号生成手段を更に具備したことを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、水平帰線期間内は中間調レベルの帰線期間信号が設定されていることから、例えばイネーブル信号が書込み画像の極性反転後に論理値が変化する場合であっても、ソース電位の変動を同一にすることができ、画素むらが生じることを確実に防止することができる。
【0026】
また、前記画像再配列手段は、前記表示部の透過率を60±20%にするために必要な前記画素電極の印加電圧に前記帰線期間信号のレベルを設定することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用駆動回路。
【0027】
このような構成によれば、帰線期間信号の信号レベルが表示部の透過率を60±20%にするために必要な画素電極の印加電圧に設定されるので、ソース電位の変動分を小さくすることができ、表示むらの発生を十分に抑制することができる。
【0028】
また、前記画像再配列手段は、前記書込み画像を256階調表現した場合に、前記帰線期間信号のレベルを200±30階調に設定することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用駆動回路。
【0029】
このような構成によれば、帰線期間信号の信号レベルが書込み画像を256階調表現した場合の200±30階調に設定されるので、ソース電位の変動分を小さくすることができ、表示むらの発生を十分に抑制することができる。
【0030】
本発明に係る電気光学装置用駆動方法は、格子状に配設された複数のソース線及び複数の走査線の各交差に対応して画素が構成され、前記走査線に供給される走査信号によって前記画素に設けられたスイッチング素子がオンされることによって前記ソース線に供給された画像信号が前記スイッチング素子を介して各画素の画素電極に与えられて電気光学物質が駆動される表示部に対して、前記表示部の画素数に対応した入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を選択して順次ゲートパルスを供給し、次の1水平期間には選択するn本のラインを夫々1ラインずつシフトさせる走査ドライブ処理と、前記入力画像に含まれる水平帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換し、前記帰線期間信号を含む入力画像とその遅延信号とを合成し、前記入力画像の水平周波数に対して2倍の水平周波数の合成画像を前記走査ドライブ処理の走査に応じた信号配列で配列して書込み画像を得る画像再配列処理と、前記画像再配列処理によって得られる書込み画像の画像信号が入力され、前記入力画像の水平周期の1/2倍の水平書込み期間毎に極性反転させて前記複数のソース線に夫々供給するデータドライブ処理とを具備したことを特徴とする。
【0031】
このような構成によれば、画像再配列処理において、入力画像とその遅延信号とが合成され、入力画像の水平周波数に対して2倍の水平周波数の画像が走査ドライブ処理の走査に応じた信号配列で配列されて書込み画像が得られる。書込み画像の画像信号は、データドライブ処理において、水平書込み期間周期で極性反転される。走査ドライブ処理では、2ラインの走査線が選択され、1水平期間内に順次ゲートパルスが供給される。更に、走査ドライブ処理による次の1走査期間には、選択される走査線がいずれも1ラインずつシフトされる。水平帰線期間は所定の中間調レベルの帰線期間信号に設定されており、全ての走査線において、ソース電位の変動分は略同一となる。これにより、表示むらの発生を抑制することができ、画質を向上させることができる。
【0032】
また、前記画像再配列処理は、前記入力画像に含まれる水平帰線期間及び垂直帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換することを特徴とする。
【0033】
このような構成によれば、走査ドライブ処理では、相互に離間した2本のラインの走査線を順次選択するので、選択する一方の走査線が垂直帰線期間内の走査線である場合には、他方の走査線が垂直帰線期間の信号レベルの影響を受けることがある。しかし、この場合でも、水平帰線期間に設定された帰線期間信号が垂直帰線期間にも設定されていることから、全走査線においてソース電位の変動の影響を共通にすることができ、表示むらの発生を確実に防止することができる。
【0034】
また、前記入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を夫々選択するためのイネーブル信号であって、前記走査線を選択しない論理値と前記走査線を選択する論理値との変化点が前記画像信号の水平帰線期間内に設定されたイネーブル信号を生成するイネーブル信号生成処理を更に具備したことを特徴とする。
【0035】
このような構成によれば、水平帰線期間内は中間調レベルの帰線期間信号が設定されていることから、例えばイネーブル信号が書込み画像の極性反転後に論理値が変化する場合であっても、ソース電位の変動を同一にすることができ、画素むらが生じることを確実に防止することができる。
【0036】
また、前記画像再配列処理は、前記表示部の透過率を60±20%にするために必要な前記画素電極の印加電圧に前記帰線期間信号のレベルを設定することを特徴とする。
【0037】
このような構成によれば、帰線期間信号の信号レベルが表示部の透過率を60±20%にするために必要な画素電極の印加電圧に設定されるので、ソース電位の変動分を小さくすることができ、表示むらの発生を十分に抑制することができる。
【0038】
また、前記画像再配列処理は、前記書込み画像を256階調表現した場合に、前記帰線期間信号のレベルを200±30階調に設定することを特徴とする。
【0039】
このような構成によれば、帰線期間信号の信号レベルが書込み画像を256階調表現した場合の200±30階調に設定されるので、ソース電位の変動分を小さくすることができ、表示むらの発生を十分に抑制することができる。
【0040】
本発明に係る電気光学装置は、上記電気光学装置用駆動回路と、前記表示部とを具備したことを特徴とする。
【0041】
このような構成によれば、横電界及びソース電位の変動の悪影響を回避した高画質の画像が得られる。
【0042】
また、本発明に係る電子機器は、上記電気光学装置装置を具備したことを特徴とする。
【0043】
このような構成によれば、横電界及びソース電位の変動の悪影響を回避した高画質の画像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1乃至図14は本発明の一実施の形態に係り、図1は本実施の形態に係る電気光学装置を示すブロック図、図2は本実施の形態を液晶装置に適用した場合において採用される液晶パネルの概略構成図、図3は図2のH−H’線に沿う断面図、図4は液晶パネルの画素領域においてマトリクス状に形成された複数の画素の等価回路図、図5は図1中の走査ドライバ104の具体的な構成を示す回路図、図6は図5中の要部の詳細回路図、図7は液晶装置の動作を説明するためのタイミングチャート、図8は図7の一部の期間についての走査を説明するためのタイミングチャート、図9は画面のイメージを示す説明図、図10は画面上の書込み(駆動)の様子を示す説明図である。また、図11は図1中の帰線期間処理部61bの具体的な構成を示すブロック図であり、図12は本実施の形態におけるイネーブル信号ENBY1,ENBY2と水平帰線期間のレベルとの関係を示すタイミングチャートであり、図13はイネーブル信号ENBY1,ENBY2の作成方法の一例を説明するためのタイミングチャートであり、図14は本実施の形態における表示例を示す説明図である。なお、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0045】
本実施の形態は、例えば投射型表示装置の光変調装置として用いる液晶ライトバルブに適用した例を示している。
【0046】
本実施の形態に係る電気光学装置は、電気光学材料である液晶を用いた表示領域101aと、この表示領域101aの各画素を駆動する走査ドライバ104及びデータドライバ201と、これらの走査ドライバ104及びデータドライバ201に各種信号を供給するためのコントローラ61、DAコンバータ(DAC)64及びメモリ62とによって構成されている。
【0047】
図2は図1中の表示領域101a、走査ドライバ104及びデータドライバ201によって構成される液晶パネル1の概略構成を示し、図3はその断面を示している。
【0048】
液晶パネル1の中央に表示領域101aが形成される。表示領域101aは、素子基板としてガラス基板等の透明基板が用いられ、素子基板上に、画素を駆動するTFTと共に、周辺駆動回路等も形成されている。素子基坂上の表示領域101aには、複数本のゲート線(走査線)G1 ,G2 ,…が、図1のX(行)方向に延在して形成され、また、複数本のソース線(データ線)S1 ,S2 ,…が、Y(列)方向に沿って延在して形成されている。画素110は、各走査線と各ソース線との各交差に対応して設けられて、マトリクス状に配列されている。
【0049】
なお、表示領域101aは、例えばXGA規格に対応させると、1024×768の有効画素に対して、ダミー画素を含んだ場合には例えば1044×780の画素を有している。
【0050】
液晶パネルは、図2及び図3に示すように、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板を用いたTFT基板10と、これに対向配置される、例えばガラス基板や石英基板を用いた対向基板20との間に液晶50を封入して構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
【0051】
TFT基板10上には画素110を構成する画素電極(ITO)9等がマトリクス状に配置される。また、対向基板20上には全面に対向電極(ITO)21が設けられる。TFT基板10の画素電極9上には、ラビング処理が施された配向膜(図示省略)が設けられている。一方、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、ラビング処理が施された配向膜(図示省略)が設けられている。なお、各配向膜は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
【0052】
図4は画素を構成するTFT基板10上の素子の等価回路を示している。図4に示すように、表示領域101aにおいては、複数本の走査線G1 ,G2 ,…と複数本のソース線S1 ,S2 ,…とが交差するように配線され、走査線G1 ,G2 ,…とソース線S1 ,S2 ,…とで区画された領域に画素電極9がマトリクス状に配置される。そして、走査線G1 ,G2 ,…とソース線S1 ,S2 ,…の各交差部分に対応してスイッチング手段としてのTFT30が設けられ、このTFT30に画素電極9が接続される。
【0053】
各画素110を構成するTFT30は、ゲートが走査線G1 ,G2 ,…に、ソースがソース線S1 ,S2 ,…に、ドレインが画素電極9に、それぞれ接続される。画素電極9と対向電極21との間には電気光学材料たる液晶50が挟持されて液晶層が形成されている。
【0054】
各走査線G1 ,G2 ,…には後述する走査ドライバ104から夫々走査信号G1,G2,…Gmが供給される。また、対向電極21には対向電極電圧が印加される。各走査信号によって、各ライン毎にそのラインの画素を構成する全てのTFT30が同時にオンとなり、これにより、後述するデータドライバ201から各ソース線S1 ,S2 ,…に供給された画像信号(書き込み画像の画像信号)が画素電極9に書込まれる。画像信号が書き込まれた画素電極9と対向電極21との電位差に応じて液晶50の分子集合の配向状態が変化して、光の変調が行われ、階調表示が可能となる。
【0055】
また、画素電極9と並列に蓄積容量70が設けられており、蓄積容量70によって、画素電極9の電圧はソース電圧が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間の保持が可能となる。蓄積容量70によって、電圧保持特性が改善され、コントラスト比の高い画像表示が可能となる。
【0056】
また、図2及び図3に示すように、対向基板20には表示領域を区画する額縁としての遮光膜53が設けられている。遮光膜53の外側の領域には液晶を封入するシール材52が、TFT基板10と対向基板20間に形成されている。シール材52は対向基板20の輪郭形状に略一致するように配置され、TFT基板10と対向基板20を相互に固着する。シール材52は、TFT基板10の1辺の一部において欠落しており、液晶50を注入するための液晶注入口52aが形成される。貼り合わされた素子基板10及び対向基板20相互の間隙には、液晶注入口52aより液晶が注入される。液晶注入後に、液晶注入口52aを封止材25で封止するようになっている。
【0057】
シール材52の外側の領域には、ソース線S1 ,S2 ,…に画像信号を所定のタイミングで供給することにより該ソース線S1 ,S2 ,…を駆動するデータドライバ201及び外部回路との接続のための外部接続端子202がTFT基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に隣接する二辺に沿って、走査線G1 ,G2 ,…を介してTFT30の図示しないゲート電極に走査信号を所定のタイミングで供給することによりゲート電極を駆動する走査ドライバ104が設けられている。走査ドライバ104は、シール材52の外側のTFT基板10の2辺に沿って形成される。また、TFT基板10上には、データドライバ201、走査ドライバ104、外部接続端子202及び上下導通端子107を接続する配線105が、TFT基板10の縁辺に沿って設けられている。
【0058】
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成される。そして、TFT基板10と対向基板20相互間には、下端が上下導通端子107に接触し、上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0059】
次に、図18乃至図20を参照して表示むらの発生原因について説明する。図18は結合容量を説明するためのブロック図であり、図19は不具合を生じさせるイネーブル信号ENBY1,ENBY2と水平帰線期間のレベルとの関係を示すタイミングチャートであり、図20は表示むらの例を示す説明図である。
【0060】
図18の例ではデータドライバ201は相展開に適用した構成を有しているが、相展開を用いないものでもよい。6相展開においては、水平6画素分の画像信号をパラレルにデータドライバ201に取込み、水平方向に並んだ6つのソース線に同時に6画素分の画像信号を供給し、1水平期間で水平方向の全ソース線に、1ライン分の画像信号を書き込むものである。相展開によって、1画素当たりの書き込みに要する時間を延長することが可能である。
【0061】
データドライバ201は、6本のビデオ信号線203の出力を転送トランジスタT1,T2,…を介して各ソース線S1,S2,…に供給するようになっている。転送トランジスタT1,T2,…は、X方向のイネーブル信号ENBXによってオンとなって、ビデオ信号線203に入力された画像信号を対応するソース線に書き込む。
【0062】
ところが、転送トランジスタT1,T2,…のソース・ドレイン間に生じた結合容量によって、転送トランジスタT1,T2,…のオフ期間であっても、ビデオ信号線203の変動分がソース線S1,S2,…に影響を与える。いま、ビデオ信号線203の電位変動をΔVs、ビデオ信号線203の配線容量をCl、結合容量をCsdとすると、ソース電位に対する容量結合ΔVは、
ΔV=ΔVs・Csd/Cl で表される。
【0063】
ところで、イネーブル信号ENBY1,ENBY2は、水平書込み期間に対応させて、TFT30をオン又はオフにするレベルに変化する。領域走査反転駆動における1水平期間内の2回の走査のうちの一方(以下、走査1という)と他方(以下、走査2という)とによって、夫々走査線1,2に相互に影響を及ぼすことなく書き込みが行われるように、イネーブル信号ENBY1,ENBY2は次の水平書込み期間の開始前に、例えば水平帰線期間内にTFTをオフにするレベルに変化する。
【0064】
図19はイネーブル信号ENBY1,ENBY2が水平帰線期間内にTFT30をオフにするレベルに変化した例を示している。図19(a)は転送クロックCLYを示し、図19(b)は極性反転信号FRPを示し、図19(c)はイネーブル信号ENBY1を示し、図19(d)はイネーブル信号ENBY2を示し、図19(e)は所定のビデオ信号線203に流れる信号VID−Aを示している。
【0065】
図19(e)の前半の波形は図20の走査線Aの走査によって書き込まれる画素に対応した信号であり、図19(e)の後半の波形は図20の走査線Bの走査によって書き込まれる画素に対応した信号である。
【0066】
図20は画像信号の有効表示期間、水平及び垂直帰線期間を画面表示に対応させて示すものである。各水平有効走査の両端には水平帰線期間が配置され、垂直期間の終端には垂直帰線期間(塗り潰し部)が配置される。いま、例えば、有効な表示領域は全域において所定の中間調レベルであるものとする。図19(e)の前半には走査線Aに接続された画素への書き込みが行われる。また、図19(e)の後半には走査線Bに接続された画素への書き込みが行われる。図19(e)に示すように、走査線A,Bによって書き込まれる画像信号のレベルは、同一であり所定の中間調レベルである。
【0067】
ところで、上述したように、水平帰線期間のレベルは走査線毎に異なることがある。例えば、図20の例では斜線部の水平帰線期間に比べて網線部の水平帰線期間は黒レベルに近い。例えば、図19に示すように、走査線Aに対応した画像信号の帰線期間のレベルは(所定の中間調レベル+A)であるのに対し、走査線Bに対応した画像信号の帰線期間のレベルは(所定の中間調レベル+B)である(A<B)。
【0068】
ところが、イネーブル信号ENBY1,ENBY2は水平帰線期間内において、TFT30をオフにするレベルに変化していることから、表示領域の書き込みは水平帰線期間のレベルに影響を受ける。例えば、走査線Aに対応する画像信号については、レベルAに相当する比較的小さい容量結合の分だけ、所定の中間調レベルよりも黒っぽい画像となる。これに対し、走査線Bに対応する画像信号については、レベルBに相当する比較的大きい容量結合の分だけ、所定の中間調レベルよりも黒っぽい画像となる。
【0069】
即ち、走査線Bの走査時には、走査線Aの走査時に比べて大きな容量結合ΔVの影響を受けたソース電位が画素に書き込まれることになる。これにより、図20に示すように、水平帰線期間のレベルが他のレベルより異なる範囲(密な斜線部)については、他の部分に比べて容量結合の影響が大きくなって、表示むらが生じてしまう。
【0070】
なお、黒表示又は白表示部分においてもソース電位の影響を受けるが、黒表示又は白表示部分は電圧透過率特性が飽和する部分であることから、表示上は目立たない。
【0071】
そこで、本実施の形態においては、全水平期間の水平帰線期間のレベルを相互に同一にすることによって、イネーブル信号ENBY1,ENBY2が水平帰線期間内に変化する場合でも、極性反転に伴う容量結合の影響を回避して、表示むらを抑制するようになっている
本実施の形態における液晶装置の駆動回路部60は、液晶パネル1に含まれるデータドライバ201、走査ドライバ104の外、図1に示すように、画像再配列手段としてのコントローラ61、メモリ62、DAコンバータ64等から構成されている。メモリ62は、外部から入力された半画面分(1/2フィールド分)の画像を一時的に蓄えると共に、保持した画像を表示用に出力することができるようになっている。
【0072】
コントローラ61は、表示コントロール部61a及び帰線期間処理部61bを内蔵している。コントローラ61には、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync、ドットクロック信号dotclk及び入力画像の画像信号DATAが入力される。コントローラ61は、メモリ62の制御、および書き込む走査線に対応したデータのメモリ62からの読み出しを行う。
【0073】
コントローラ61の表示コントロール部61aは、メモリ62を用いることで、外部から入力された画像信号に対して所定時間遅延させた画像信号を得ることができる。例えば、コントローラ61は、入力された画像信号から相互に垂直期間の1/2の期間だけ前後した画像信号を得ることができる。更に、コントローラ61は、相互に垂直期間の1/2の期間だけ前後した画像信号を合成して、入力画像の水平周波数の倍の水平周波数の信号に変換し、表示領域101aの後述する走査に応じて画像信号の信号配列を再配列させて出力することができる。
【0074】
コントローラ61からの画像信号はDAC64に与えられる。DAC64は、コントローラ61からのディジタル画像信号をアナログ信号に変換してデータドライバ201に供給するようになっている。
【0075】
また、コントローラ61は、データドライバ201及び走査ドライバ104を駆動する各種信号を生成する。これらの各種信号を生成するために、コントローラ61はタイミングジェネレータ(図示せず)を備えている。タイミングジェネレータは、外部から供給された垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync及びドットクロック信号dotclkを基に、各種タイミング信号を生成する。
【0076】
即ち、コントローラ61は、タイミングジェネレータを用いて、ディスプレイ駆動用の信号である、転送クロックCLX等を生成してデータドライバ201に出力する。また、コントローラ61は、走査スタートパルスDY、転送クロックCLY,/CLYを生成して走査ドライバ104に出力する。また、コントローラ61は、イネーブル信号ENBY1,ENBY2を生成して、走査ドライバ104に供給するようになっている。
【0077】
データドライバ201は、図示しないサンプリングホールド回路に水平画素数分の画像信号を保持させる。転送クロックCLXは、各ソース線に対応したサンプリングホールド回路のサンプリングタイミングを決定するクロック信号である。データドライバ201は、サンプリングホールド回路に保持された画像信号を各ソース線を介して出力する。
【0078】
コントローラ61が生成する走査スタートパルスDYは、走査の開始を指示するためのパルス信号であり、本実施の形態においては1垂直期間に2回発生する。例えば、コントローラ61は、1/2垂直期間だけずれたタイミングで走査スタートパルスDYを発生させる。走査スタートパルスDYが走査ドライバ104に入力されることにより、走査ドライバ104は各走査線G1 〜G2mに各画素のTFT30をオンにさせる走査信号(以下、ゲートパルスという)(G1〜G2m)を出力する。
【0079】
転送クロックCLY,/CLYは、走査側(Y側)の走査速度を規定する信号で、入力画像信号の1水平期間に対応して立上り又は立下るパルスである。後述するように、走査ドライバ104は、転送クロックCLY(/CLY)に同期して、ゲートパルスを出力する走査線をシフトさせる。
【0080】
本実施の形態においては、1垂直期間で2つの走査スタートパルスDYが発生するので、表示領域101aでは、1水平期間において、2つの走査スタータパルスのずれに応じたライン数だけ隔てた2ラインの走査線にゲートパルスが供給される。
【0081】
この場合において、これらの2つの走査線に接続されたTFT30が同時にオンとなってソース線を介して転送された同一の画像信号が2ラインの画素電極9に書込まれることがないように、1水平期間を前半と後半に分け、1水平期間の前半と後半とで、これらの2つの走査線に交互にゲートパルスを供給するようになっている。
【0082】
また、コントローラ61は、入力画像信号とその遅延信号とを、上述した走査に応じて配列し直すと共に、1水平期間毎に極性反転させてデータドライバ201に供給する。例えば、コントローラ61は、入力画像信号とその遅延信号とを各ライン毎に交互に配列することで、書込み画像を得る。即ち、データドライバ201に入力される書込み画像の画像信号は、コントローラ61に入力される入力画像の画像信号の2倍の伝送レートとなり、表示パネル1では、同一画素信号を2回ずつ画素電極9に書込む、所謂倍速走査が行われることになる。
【0083】
つまり、データドライバ201に入力される画像信号の水平期間は、元の入力画像信号の水平期間Hの1/2の期間h(=H/2)である。液晶パネル1の表示領域101aの1ラインの画素の書込み期間(以下、水平書込み期間という)は、書込み画像の水平期間に一致させる。
【0084】
1水平期間Hは、2回の水平書込み期間hを含み、各水平書込み期間において2ラインの画素に夫々のラインの画像に対応した画素信号が供給される。これらの異なる2ラインの画素信号を、夫々2回の水平書込み期間hで書込むために、1水平期間Hで夫々2回立上り、立下るイネーブル信号ENBY1,ENBY2が用いられる。
【0085】
イネーブル信号ENBY1,ENBY2はコントローラ61によって生成される。また、コントローラ61は、書込み画像を正極性と負極性とで切換えるための極性反転信号FRPも生成する。極性反転信号FRPは、1水平周期の信号であり、極性反転信号FRPのハイレベル(以下、“H”という)期間に正極性画像信号の書込みが行われ、ローレベル(以下、“L”という)期間に負極性画像信号の書込みが行われるようになっている。
【0086】
コントローラ61は、水平帰線期間の期間内に、TFT30をオフにするレベルを有するイネーブル信号ENBY1,ENBY2を生成する。イネーブル信号ENBY1,ENBY2のパルス幅によって水平書込み期間が規定される。
【0087】
次に、図5を参照して走査ドライバ104について説明する。
【0088】
走査ドライバ104は、図5に示すように、コントローラ61から走査スタートパルスDY、クロック信号CLY、反転クロック信号/CLYがそれぞれ入力されるシフトレジスタ66と、シフトレジスタ66からの出力が入力される2m個のAND回路67を有している。AND回路67の出力端は夫々2m本の走査線G1〜G2mに接続される。
【0089】
図6はシフトレジスタ66の具体的な構成を示している。シフトレジスタ66は隣接する2つの走査線毎に対応した構成を有している。即ち、隣接する2つの走査線のうち一方の走査線に対応して、クロック信号CLYによって導通するクロックドインバータ66a、反転クロック信号/CLYによって導通するクロックドインバータ66b及びインバータ66cを有しており、他方の走査線に対応して、反転クロック信号/CLYによって導通するクロックドインバータ66d、クロック信号CLYによって導通するクロックドインバータ66e及びインバータ66fを有している。
【0090】
クロックドインバータ66aには走査スタートパルスDYに基づくパルスが入力され、“H”のクロック信号CLYによって導通して、出力を対応するAND回路67及びインバータ66cに出力する。インバータ66cはクロックドインバータ66aの反転出力をクロックドインバータ66b及び次段のクロックドインバータ66dに出力する。クロックドインバータ66bは“H”の反転クロック信号/CLYによって導通して、出力を対応するAND回路67の入力端に与える。
【0091】
また、クロックドインバータ66dには前段のインバータ66cの出力を与え、インバータ66cの出力を、“H”のクロック信号CLYで対応するAND回路67の入力端及びインバータ66fに出力する。インバータ66fはクロックドインバータ66dの反転出力をクロックドインバータ66e及び次段のクロックドインバータ66aに出力する。クロックドインバータ66fは“H”の反転クロック信号/CLYによって導通して、出力を対応するAND回路67の入力端に与える。
【0092】
クロックドインバータ66aに入力される走査スタートパルスDYは所定幅のパルスであり、走査スタートパルスDYに基づくパルスが、クロックドインバータ66a、インバータ66c、クロックドインバータ66d及びインバータ66fを介して各AND回路67に順次転送される。また、クロックドインバータ66bの出力をAND回路67に与えることで、AND回路67の出力パルスの立上り,立下りをクロック信号CLYによって規定している。
【0093】
更に、AND回路67にはイネーブル信号ENBY1又はENBY2も入力される。例えば、奇数番目の走査線に対応するAND回路67にはイネーブル信号ENBY2が入力され、偶数番目の走査線に対応するAND回路67にはイネーブル信号ENBY1が入力される。AND回路67は、2入力の論理和を求めて走査信号として各走査線に出力する。これにより、ゲートパルスのパルス幅はイネーブル信号ENBY1,ENBY2のパルス幅に一致し、このパルス幅が水平書込み期間となる。
【0094】
次に、図7及び図8を参照して駆動回路部60の動作を詳細に説明する。
【0095】
上述したように、領域走査反転駆動においては、一水平期間を前半と後半とに分け、夫々相異なる2つのラインの画素に書込み画像を書き込む。水平期間の前半の走査(以下、第1走査又は走査1という)による書き込みと、水平期間の後半の走査(以下、第2走査又は走査2という)による書き込みとが、夫々1水平期間毎に1ラインずつシフトする。即ち、画面上では、所定間隔離間した2つの走査線(以下、第1走査線又は走査線1、第2走査線又は走査線2という)によって夫々順次書込みが行われる。
【0096】
この場合において、通常、第1走査線と第2走査線とは相互に垂直期間の1/2だけ離間させて発生させている。
【0097】
このような第1及び第2走査線を発生させるために、駆動回路部60においては、図7に示すように、入力される画像信号の1垂直期間中に走査スタートパルスDYを2回出力する。走査スタートパルスDYは、1水平書込み期間毎に1パルスが立上り、立下る1水平期間周期のクロック信号CLYによって、走査ドライバ104のシフトレジスタ66中をシフトしていく。
【0098】
1垂直期間に2つの走査スタートパルスDYが発生するので、例えば、1つ目の走査スタートパルスDYに基づいて各走査線のAND回路67から発生する“H”のゲートパルスは、入力画像信号の水平期間H周期で次段にシフトし、そのパルス幅はイネーブル信号ENBY1,ENBY2の“H”期間によって規定される。また、2つ目の走査スタートパルスDYに基づいて各走査線のAND回路67から発生する“H”のゲートパルスは、入力画像信号の水平期間H周期で次段にシフトし、そのパルス幅はイネーブル信号ENBY1,ENBY2の“H”期間で規定される。
【0099】
このように、1水平期間H中に、ゲートパルスは走査線m本分離れた画面上の2個所に交互に出力される。次の1水平期間Hには、夫々次のラインの走査線に対してゲートパルスが発生する。すなわち、所定の走査線からm本離れた走査線に飛び越しては前記所定の走査線の次段の走査線に戻り、その走査線からm本離れた走査線に飛び越してはまたその次段の走査線に戻るというように順次出力される。例えば、第1走査線と第2走査線とがGmだけずれて発生する場合には、走査線G1 、走査線Gm+1 、走査線G2 、走査線Gm+2 、G3 、…という順序で走査が行われる。
【0100】
このように走査スタートパルスDY、イネーブル信号ENBY1、ENBY2を用いることで、液晶パネル1の水平書込み期間を、入力される画像信号の水平期間Hの略1/2の期間とする設定での動作が可能となる。
【0101】
一方、データドライバ201からの出力であるデータ信号Sxは、コモン電位LCCOMを中心として1水平書込み期間h毎に正極性電位と負極性電位とに極性が反転する。従って、データ信号Sx側が1水平書込み期間毎に極性反転しつつ、ゲートパルス側は上記の順番で走査線m本分離れた画面の2個所に交互に出力されることになる。その結果、第1走査線と第2走査線とがGmだけずれている場合、画面上は、図9に示すように、ある1水平期間に着目すると、例えば走査線G3 〜Gm+2 に対応するドット(画素)は正極性電位のデータが書き込まれる領域(以下、単に正極性領域という)となり、走査線G1 〜G2及びGm+3 〜G2mに対応するドットは負極性電位のデータが書き込まれる領域(以下、単に負極性領域という)となる。即ち、画面内があたかも異なる極性のデータが書き込まれた正極性領域と負極性領域の3つの領域に分割されたような状態となる。
【0102】
なお、本実施の形態においては、1つのフィールドデータを連続した第1,第2のフィールドデータとして、外部から入力された画像信号を第1のフィールドデータとしてそのままビデオ信号線203に書き込みつつ、この画像信号をメモリ62に記憶させて画像信号に対して遅延した第2のフィールドデータを作り出し、これらのフィールドデータを交番的に書き込むとともに、第2のフィールドデータの極性を第1のフィールドデータに対して反転させている。
【0103】
即ち、1つのフレームデータを2つのフィールドデータとして、一方のフィールドデータとして外部から入力される画像信号をそのまま用いていることから、画像は実質的に倍速で書き込まれることとなる。通常、倍速駆動を行なう場合には、2画面分(2フィールド分)のメモリ容量が必要となるが、本構成では、外部からの画像信号をそのままビデオ信号線203に出力することで画面の半分が書き込まれるため、メモリ容量は表示画面全体の半分の容量(即ち、1/2フィールド分)だけあればよい。このため、通常のものに比べてメモリ容量が1/4で済み、部材コストを大幅に低減することができる。
【0104】
図9は任意の1水平期間の瞬間を見た画面のイメージを示しており、図10は時間の流れを追って画面上の極性の変化の状態を示すものである。図10の横軸を時間(単位:1水平書込み期間)とすると、例えば第1水平書込み期間では走査線G2mに対応するドットに負電位が書き込まれ、次の第2水平書込み期間では第1水平書込み期間で負電位が書き込まれていた走査線Gm+1 に対応するドットに正電位が書き込まれ、次の第3水平書込み期間では1/2垂直期間以前に正電位が書き込まれていた走査線G1 に対応するドットに負電位が書き込まれる。
【0105】
従って、正極性領域と負極性領域はそれぞれ1水平書込み期間h毎に1ラインずつ移動していき、走査線が画面の半分を移動したときに正極性領域と負極性領域とが完全に反転する。つまり1画面の書き換えが行われたことになる。この画面の書換えは1/2垂直期間で行われ、1垂直期間では、各画素はもう一度書き換えられる。即ち、この方法によると、走査線が全画面を移動することにより、書き換えは2度行われることになる。
【0106】
上述したように、データドライバ201に入力される画像信号は、所定期間(図10の例では1/2垂直期間)前後した同一画像を2倍の伝送レートで配列したものであり、結果的に、液晶パネル1の各画素は、1垂直期間に同一画像が2回書込まれることになり、所謂倍速走査が行われたこととなる。
【0107】
このように、領域走査反転駆動においては、1垂直期間内に所定の期間ずらして2回書き込みを開始させることで、1水平期間内に2本の走査線にゲートパルスを供給する。そして、この場合には、イネーブル信号を用いることで、1水平期間の半分の時間の水平書込み期間毎に交番的に走査線にゲートパルスを供給して画素への書込みを行う。例えば同一画像信号を1/2垂直期間だけずらしながら、各画素を2回ずつ重ね書きする。即ち、一部(複数本)の走査線を飛び越しつつ、行ったり来たりしながら全ての走査線にわたって1垂直期間に2回ずつの走査が行なわれる。これにより、任意のタイミングでは、画面内には各フィールドに対応して正電位印加領域と負電位印加領域とからなる複数の領域が存在することとなる。
【0108】
本実施の形態においては、帰線期間処理部61bは、全ての帰線期間においてレベルを所定値に固定することができるようになっている。
図11は図12中の帰線期間処理部61bの具体的な構成を示すブロック図である。帰線期間処理部61bの水平カウンタ71には、水平同期信号Hsync及びドットクロック信号dotclkが入力され、垂直カウンタ72には垂直同期信号Vsync及びドットクロック信号dotclkが入力される。水平カウンタ71は水平同期信号Hsyncを基準としてドットクロックdotclkをカウントすることによって、水平帰線期間のタイミングを帰線期間信号挿入部73に指示する。また、垂直カウンタ72は垂直同期信号Vsyncを基準としてドットクロックdotclkをカウントすることによって、垂直帰線期間のタイミングを帰線期間信号挿入部73に指示する。
【0109】
帰線期間信号生成部74は帰線期間のレベルを規定するために、所定の中間調レベルの帰線期間信号を発生して帰線期間信号挿入部73に出力するようになっている。なお、帰線期間信号生成部74は、黒レベルの透過率が0であるのに対し、透過率を60±20%とする帰線期間信号を出力する。また、或いは、帰線期間信号生成部74は、画像信号を256階調(8ビット)で表現した場合において、200±30階調の疑似ブランキング信号を出力する。好ましくは、画像信号を256階調で表現する場合には、中間調レベルとして例えば40〜80階調を設定する。
【0110】
帰線期間信号挿入部73には、画像信号DATAが入力されている。帰線期間信号挿入部73は、少なくとも水平帰線期間については、入力された画像信号DATAに代えて帰線期間信号生成部74からの帰線期間信号を挿入して出力する。なお、帰線期間信号挿入部73は、水平帰線期間だけでなく垂直帰線期間についても、所定の中間調レベルの帰線期間信号を挿入するようにしてもよい。
【0111】
コントローラ61は、イネーブル信号ENBY1,ENBY2を、水平帰線期間の期間内に、“H”から“L”に変化させるか又は“L”から“H”に変化させるようになっている。
【0112】
図12はイネーブル信号ENBY1,ENBY2の変化点と水平帰線期間との関係を示している。図12(a)は転送クロックCLYを示し、図12(b)は極性反転信号FRPを示し、図12(c)はイネーブル信号ENBY1を示し、図12(d)はイネーブル信号ENBY2を示し、図12(e)は所定の第1及び第2走査線によって書き込む信号がいずれも中間調の信号である場合にビデオ信号線203に流れる信号VID−Aを示している。
【0113】
上述したように、転送クロックCLYは入力画像信号の1水平期間に対応して立上り又は立下るパルスである。この転送クロックCLYに同期して、第1走査線及び第2走査線が1水平期間に夫々1ラインずつシフトする。極性反転信号FRPは1水平期間毎に立ち上がり又は立ち下がる信号であり、書込み画像の画像信号は、“H”期間に正極性となり、“L”期間に負極性となる。
【0114】
本実施の形態においては、この極性反転信号FRPの“H”期間の開始タイミング直後の水平帰線期間内において、イネーブル信号ENBY2は“L”から“H”に変化し、極性反転信号FRPの“H”期間の終了タイミング直前の水平帰線期間内において、イネーブル信号ENBY2は“H”から“L”に変化する。同様に、イネーブル信号ENBY1は、極性反転信号FRPの“L”期間の開始タイミング直後の水平帰線期間内において、“L”から“H”に変化し、極性反転信号FRPの“L”期間の終了タイミング直前の水平帰線期間内において、“H”から“L”に変化する。
【0115】
図13はイネーブル信号ENBY1,ENBY2の生成方法を示している。イネーブル信号生成部61bは、図示しないHカウンタ(H_counter)を備えている。Hカウンタは、水平同期信号Hsyncよりも十分に高い周波数のクロックclkを発生する。イネーブル信号生成部61bは、図13に示す水平同期信号Hsyncを基準にして、Hカウンタの出力をカウントすることで、イネーブル信号ENBY1,ENBY2の立ち上がり及び立ち下がりタイミングを決定する。図13の例では、イネーブル信号ENBY1は、水平同期信号Hsyncの立ち上がりタイミングを基準として、Hカウンタの5クロック分だけ前のタイミングで“H”から“L”に変化する。また、イネーブル信号ENBY2は、水平同期信号Hsyncの立ち上がりタイミングを基準として、Hカウンタの5クロック分だけ後のタイミングで“L”から“H”に変化し、Hカウンタの5クロック分だけ前のタイミングで“H”から“L”に変化する。
【0116】
イネーブル信号ENBY1,ENBY2の“H”期間において、各走査線に接続されたTFT30にゲートパルスが供給されてオンとなり、ソース電位を液晶に書き込む。イネーブル信号ENBY1,ENBY2の“L”期間には、各走査線に接続されたTFT30はオフとなって、ソース電位は液晶に書き込まれない。各ラインの書き込みは、イネーブル信号ENBY1,ENBY2が“L”に変化するタイミングのソース電位の影響、即ち、水平帰線期間のレベルの影響を受ける。
【0117】
いま、所定のタイミングにおける第1走査線及び第2走査線が夫々図14に示す走査線A1,A2であるものとする。そして、走査線A1,A2によって図12(e)の前半及び後半に示す中間調の画像信号が書き込まれるものとする。即ち、イネーブル信号ENBY2に対応して走査線A1により、図12(e)の第1水平書込み期間の画像信号が書き込まれ、イネーブル信号ENBY1に対応して走査線A2により図12(e)の第2水平書込み期間の画像信号が書き込まれる。
【0118】
有効表示領域の期間の画像信号と水平帰線期間の信号レベルとの差に応じた容量結合がソース線の電位を変動させる。この変動分が生じる時点において、イネーブル信号ENBY1,ENBY2は“H”であるので、水平帰線期間のレベルに基づくソース電位が画素に書き込まれる。しかしながら、本実施の形態においては、水平帰線期間のレベルは、帰線期間信号生成部74によって全ての走査線について所定の中間調レベルで一定である。従って、水平帰線期間のレベルに基づくソース電位の変動分は、全ての走査線で共通であり、表示むらが生じることはない。また、ソース電位の変動分は、帰線期間信号が表示領域の画像信号と同様のレベルの中間調であることから、十分に小さい値であり、ソース電位の変動分が表示に与える影響は極めて小さい。こうして、図14に示すように、画面全域において、表示むらが生じていない画像が表示される。
【0119】
このように本実施の形態においては、第1,第2走査線にゲートパルスを供給するためのイネーブル信号ENBY1,ENBY2が水平帰線期間内で非アクティブになるように設定されている場合でも、全走査線の水平帰線期間のレベルを一定の中間調レベルに設定していることから、ソース電位の変動分は全走査線で等しく、表示むらの発生を防止することができる。
【0120】
また、本実施の形態においては、水平帰線期間のレベルを全走査線で一定にしていることから、イネーブル信号ENBY1,ENBY2に遅延が生じた場合でも、表示むらが生じることを防止することができる。
【0121】
図15はこの場合のイネーブル信号ENBY1,ENBY2の変化点と水平帰線期間との関係を示している。図15(a)乃至(e)は夫々図12(a)乃至(e)に対応したものである。イネーブル信号ENBY1,ENBY2の伝送遅延等によって、図15に示すように、イネーブル信号ENBY1,ENBY2が遅延極性反転後にTFT30をオフにするレベルに変化することがある。
【0122】
この場合でも、この遅延が水平帰線期間を超えるものでない場合には、ソース電位の変動分は水平走査期間のレベルに基づくものとなり、全走査線で共通である。従って、この場合にも表示むらの発生を防止することができる。
【0123】
図16は帰線期間挿入部73が水平帰線期間だけでなく、垂直帰線期間についても所定の中間調レベルの帰線期間信号を挿入した場合の例を示している。即ち、この場合には、水平帰線期間及び垂直帰線期間の画像信号のレベルは中間調レベルで一定である。
【0124】
垂直帰線期間の画像信号を所定の黒レベルに設定することがある。この場合において、領域走査反転駆動における走査線1,2の一方が表示領域の走査線で、他方が垂直帰線期間の走査線である場合には、表示領域の画像信号レベルと垂直帰線期間の画像信号レベルとの差が大きく、容量結合ΔVは比較的大きな値となる。即ち、この場合のソース電位の変動は大きく書き込みに大きな影響を与えて表示むらが生じることがある。
【0125】
そこで、水平帰線期間だけでなく、垂直帰線期間についても同一レベルの中間調レベルに設定するのである。これにより、ソース電位の変動分はいずれの走査線についても同様に小さく、表示むらを抑制することができる。
【0126】
[投射型液晶装置]
図17は上記実施の形態の液晶ライトバルブを3個用いた、いわゆる3板式の投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)の一例を示す概略構成図である。図中、符号1100は光源、1108はダイクロイックミラー、1106は反射ミラー、1122,1123,1124はリレーレンズ、100R,100G,100Bは液晶ライトバルブ、1112はクロスダイクロイックプリズム、1114は投射レンズ系を示す。
【0127】
光源1100は、メタルハライド等のランプ1102とランプ1102の光を反射するリフレクタ1101とから構成されている。青色光・緑色光反射のダイクロイックミラー1108は、光源1100からの白色光のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー1106で反射され、赤色光用液晶ライトバルブ100Rに入射される。
【0128】
一方、ダイクロイックミラー1108で反射された色光のうち、緑色光は、緑色光反射のダイクロイックミラー1108によって反射され、緑色用液晶ライトバルブ100Gに入射される。一方、青色光は、第2のダイクロイックミラー1108も透過する。青色光に対しては、光路長が緑色光、赤色光と異なるのを補償するために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123、出射レンズ1124を含むリレーレンズ系からなる導光手段1121が設けられ、これを介して青色光が青色光用液晶ライトバルブ100Bに入射される。
【0129】
各ライトバルブ100R,100G,100Bにより変調された3つの色光はクロスダイクロイックプリズム1112に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されたものである。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ系1114によってスクリーン1120上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0130】
上記構成の投射型液晶表示装置においては、上記実施の形態の電気光学装置を用いたことにより、表示の均一性に優れた投射型液晶表示装置を実現することができる。
【0131】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0132】
例えば、本発明の電気光学装置は、パッシブマトリクス型の液晶表示パネルだけでなく、アクティブマトリクス型の液晶パネル(例えば、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)をスイッチング素子として備えた液晶表示パネル)にも同様に適用することが可能である。また、液晶表示パネルだけでなく、エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子放出を用いた装置(Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display 等)、DLP(Digital Light Processing)(別名DMD:Digital Micromirror Device)等の各種の電気光学装置においても本発明を同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本実施の形態に係る電気光学装置を示すブロック図。
【図2】本実施の形態を液晶装置に適用した場合において採用される液晶パネルの概略構成図。
【図3】図2のH−H’線に沿う断面図。
【図4】液晶パネルの画素領域においてマトリクス状に形成された複数の画素の等価回路図。
【図5】図1中の走査ドライバ104の具体的な構成を示す回路図。
【図6】図5中の要部の詳細回路図。
【図7】液晶装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図8】図7の一部の期間についての走査を説明するためのタイミングチャート。
【図9】画面のイメージを示す説明図。
【図10】画面上の書込み(駆動)の様子を示す説明図。
【図11】図1中の帰線期間処理部61bの具体的な構成を示すブロック図。
【図12】本実施の形態におけるイネーブル信号ENBY1,ENBY2と水平帰線期間のレベルとの関係を示すタイミングチャート。
【図13】イネーブル信号ENBY1,ENBY2の作成方法の一例を説明するためのタイミングチャート。
【図14】本実施の形態における表示例を示す説明図。
【図15】イネーブル信号ENBY1,ENBY2と水平帰線期間との関係を示すタイミングチャート。
【図16】垂直帰線期間の信号レベルと水平帰線期間の信号レベルとを同一にする例を示す説明図。
【図17】上記実施の形態の液晶ライトバルブを3個用いた、いわゆる3板式の投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)の一例を示す概略構成図。
【図18】結合容量を説明するためのブロック図。
【図19】不具合を生じさせるイネーブル信号ENBY1,ENBY2と極性反転信号FRPとの関係を示すタイミングチャート。
【図20】表示むらの例を示す説明図。
【符号の説明】
【0134】
60…駆動回路部、61…コントローラ、61a…表示コントロール部、61b…帰線期間処理部、62…フレームメモリ、101a…表示部、104…走査ドライバ、201…データドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配設された複数のソース線及び複数の走査線の各交差に対応して画素が構成され、前記走査線に供給される走査信号によって前記画素に設けられたスイッチング素子がオンされることによって前記ソース線に供給された画像信号が前記スイッチング素子を介して各画素の画素電極に与えられて電気光学物質が駆動される表示部に対して、前記表示部の画素数に対応した入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を選択して順次ゲートパルスを供給し、次の1水平期間には選択する2本のラインを夫々1ラインずつシフトさせる走査ドライブ手段と、
前記入力画像に含まれる水平帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換し、前記帰線期間信号を含む入力画像とその遅延信号とを合成し、前記入力画像の水平周波数に対して2倍の水平周波数の合成画像を前記走査ドライブ手段の走査に応じた信号配列で配列して書込み画像を得る画像再配列手段と、
前記画像再配列手段からの書込み画像の画像信号が入力され、前記入力画像の水平周期の1/2倍の水平書込み期間毎に極性反転させて前記複数のソース線に夫々供給するデータドライブ手段とを具備したことを特徴とする電気光学装置用駆動回路。
【請求項2】
前記画像再配列手段は、前記入力画像に含まれる水平帰線期間及び垂直帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項3】
前記入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を夫々選択するためのイネーブル信号であって、前記走査線を選択しない論理値と前記走査線を選択する論理値との変化点が前記画像信号の水平帰線期間内に設定されたイネーブル信号を生成するイネーブル信号生成手段を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項4】
前記画像再配列手段は、前記表示部の透過率を60±20%にするために必要な前記画素電極の印加電圧に前記帰線期間信号のレベルを設定することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項5】
前記画像再配列手段は、前記書込み画像を256階調表現した場合に、前記帰線期間信号のレベルを200±30階調に設定することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項6】
格子状に配設された複数のソース線及び複数の走査線の各交差に対応して画素が構成され、前記走査線に供給される走査信号によって前記画素に設けられたスイッチング素子がオンされることによって前記ソース線に供給された画像信号が前記スイッチング素子を介して各画素の画素電極に与えられて電気光学物質が駆動される表示部に対して、前記表示部の画素数に対応した入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を選択して順次ゲートパルスを供給し、次の1水平期間には選択するn本のラインを夫々1ラインずつシフトさせる走査ドライブ処理と、
前記入力画像に含まれる水平帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換し、前記帰線期間信号を含む入力画像とその遅延信号とを合成し、前記入力画像の水平周波数に対して2倍の水平周波数の合成画像を前記走査ドライブ処理の走査に応じた信号配列で配列して書込み画像を得る画像再配列処理と、
前記画像再配列処理によって得られる書込み画像の画像信号が入力され、前記入力画像の水平周期の1/2倍の水平書込み期間毎に極性反転させて前記複数のソース線に夫々供給するデータドライブ処理とを具備したことを特徴とする電気光学装置用駆動方法。
【請求項7】
前記画像再配列処理は、前記入力画像に含まれる水平帰線期間及び垂直帰線期間の信号を所定の中間調レベルの帰線期間信号に変換することを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置用駆動方法。
【請求項8】
前記入力画像の1水平期間に、相互に離間した2本のラインの走査線を夫々選択するためのイネーブル信号であって、前記走査線を選択しない論理値と前記走査線を選択する論理値との変化点が前記画像信号の水平帰線期間内に設定されたイネーブル信号を生成するイネーブル信号生成処理を更に具備したことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置用駆動方法。
【請求項9】
前記画像再配列処理は、前記表示部の透過率を60±20%にするために必要な前記画素電極の印加電圧に前記帰線期間信号のレベルを設定することを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置用駆動方法。
【請求項10】
前記画像再配列処理は、前記書込み画像を256階調表現した場合に、前記帰線期間信号のレベルを200±30階調に設定することを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置用駆動方法。
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の電気光学装置用駆動回路と、
前記表示部とを具備したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電気光学装置を具備したことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−78620(P2006−78620A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260551(P2004−260551)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】