説明

電気光学読取器におけるレーザパワー制御装置

レーザパワー制御装置は、所定の基準に適合しない動作状態が検出された時点で、電気光学読取器への電源を遮断し、かつ一般的な安全基準に反することなく、読取器の性能を向上するようにレーザへのパワーを調節する。インディシアを読み取るための電気光学読取器におけるレーザパワー制御装置であって、出力パワーを有するレーザビームを生成するためのレーザと、読取器の動作状態をモニタするためのモニタと、レーザの出力パワーをモニタによってモニタされた動作状態の関数として制御するためのコントローラとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、バーコードシンボルなどのインディシア(indicia)を読み取るためのレーザスキャナなどの電気光学読取器に関する。本発明はさらに具体的には、読取器の性能および安全性を向上するためのレーザパワー制御装置(arrangement)に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルまたは品物の表面にある、バーコードシンボルなどのインディシアを読み取るために多様な電気光学システムまたは読取器が開発された。バーコードシンボル自体は、図形インディシアのコードパターンであり、多様な幅のスペースを区切るために互いに離されて置かれた多様な幅を有する、一連のバーからなり、かつバーおよびスペースは、異なる光反射性質を有する。読取器は、図形インディシアのパターンを時間依存電気信号に電気光学的に変換することによって機能し、信号はデジタル化され、読み取られるシンボルに関連するデータに復号される。
【0003】
一般には、レーザからのレーザビームが対象表面上のバーコードシンボルを含む対象に、光路に沿って向けられる。可動ビームスキャナは、レーザ自体またはレーザビームの光路に配置された走査ミラーなどの走査構成部品の動作によって、シンボルを横切る走査線または一連の走査線となるようにレーザビームを繰り返し掃引することによって動作する。光学系がレーザビームをレーザスポットとして対象表面に集光し、走査構成部品の動作がビームスポットをシンボルを横切って掃引することによってシンボルを横切る走査線を引く。一般的には、走査構成部品の動作は、電気駆動モータによって達成される。
【0004】
読取器はまた、シンボルからの反射または散乱された走査線に沿った光を検出するセンサまたは光検出器を含む。光検出器またはセンサは、反射または散乱された光を確実に捕捉する視野を有するように置かれ、光を電気アナログ信号に変換する。
【0005】
再帰反射光収集においては、例えば特許文献1または特許文献2(両方とも本明細書において参考として援用される)に記述されているような往復揺動ミラーなどの単一光学構成部品がビームを対象表面を横切って掃引し、集められた光をセンサへ向ける。非再帰反射光収集においては、反射されたレーザ光は走査に使用される光学構成部品によって集められるのではなく、センサは走査ビームから独立しており、反射レーザ光がセンサを横切るような大きな視野を有する。
【0006】
電子制御回路網およびソフトウェアがセンサからの電気アナログ信号を、走査されたシンボルによって表されたデータのデジタル表現に復号する。例えば、光感知器によって生成されたアナログ電気信号は、デジタイザによって、バーおよびスペースの物理的な幅に一致する幅のパルス幅変調デジタル信号へ変換され得る。あるいは、アナログ電気信号は、ソフトウェア復号器によって直接処理され得る。例として、特許文献3を参照されたい。
【0007】
復号プロセスは通常、デジタル信号を信号の復号を試みるソフトウェアアルゴリズムを実行するマイクロプロセッサへ付与することによって動作する。シンボルが正常にかつ完全に復号されると、復号が終了し、正常読み取りの表示手段(例えば、グリーンの光および/または可聴音)がユーザへ提供される。さもなければ、マイクロプロセッサが次の走査を受信し、シンボルの中に符号化されたデータのバイナリ表示への復号を行い、表現されている英数字へ復号する。正常な読み取りが達成されると、バイナリデータが、例えば参照テーブル(look−up table)からの情報検索などのさらなる処理のためにホストコンピュータへ伝達される。
【0008】
読み取り性能は、多くの要因の関数であり、レーザのパワー出力は要因一つである。レーザパワー出力が増大すると、読み取り性能が向上する。しかし、厳しい安全基準がレーザの最高パワー出力を決定づける。また、読取器の誤動作も確実にモニタされる必要がある。
【特許文献1】米国特許第4,816,661号明細書
【特許文献2】米国特許第4,409,470号明細書
【特許文献3】米国特許第5,504,318号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の一般的な目的は、安全基準に準拠しながらシステム性能を向上するために、レーザのパワー出力を制御することである。
【0010】
本発明の一般的な目的は、広い読取器誤動作の検出時点でレーザを不活性化(
deenergize)
本発明の別の目的は、広い視野全体にわたりシンボルを読み取った時点でパワー出力を増大することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、走査線の対向する端に到達する前にクリップ位置においてレーザを不活性化すること、およびクリップ位置の間でパワー出力を増大することである。
【0012】
本発明のさらにさらなる目的は、シンボルが正常に読み取られた旨の視覚的表示手段としての役割を果たすことによってシステム性能を向上するために、レーザを繰り返して不活性化および活性化(energize)することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的、および本明細書において明らかになる他の目的を踏まえて、本発明の一つの特徴は、簡単に述べるとバーコードシンボルなどのインディシアを読み取るための電気光学読取器のレーザパワー制御装置にあり、それはレーザを活性化した時点で出力パワーを有するレーザビームを生成すること、読取器の多様な動作状態をモニタすること、およびモニタされた各動作状態の関数としてレーザの出力パワーを制御することによって達成される。
【0014】
一つの装置においては、レーザを流れる電流および/またはレーザの出力パワーレベルは直接モニタされ、かつ所定の設定が満たされていない場合には、レーザは不活性化される。別の装置においては、レーザはレーザダイオード、およびダイオードの出力パワーをモニタするためのモニタフォトダイオードを含む。モニタフォトダイオードの所定の設定が満たされない場合には、レーザは不活性化される。さらに別の装置においては、読取器の温度がモニタされ、モニタされた温度が許容レベル外にある場合には、レーザは不活性化される。
【0015】
読取器は、走査線がシンボルを横切って掃引されるように、走査角度にわたり所定の振幅および周波数で駆動手段によって駆動される、走査ミラーなどの可動走査構成部品を含む。レーザは、振幅および/または周波数がこれらパラメータの所定の設定外にある場合には、不活性化される。レーザ出力パワーは、走査角度が増大されると好適にも増大される。レーザは、走査線の対向する端に到達する前にクリップ位置で不活性化され、レーザ出力はクリップ位置の間で増大される。
【0016】
レーザが不活性化されることは常に、読取器の誤動作が発生したこと、あるいは差し迫っていることを意味し、この場合には、電源からレーザを切断することがレーザビームの生成を中断し、安全対策としての役割を果たす。レーザパワーが増大されると常に、読取器の性能が増強される。
【0017】
読取器の性能を向上するさらに別の装置は、シンボルが正常に読み取られた後、レーザビームを繰り返し不活性化および活性化することである。点滅するレーザビームは、オペレータの直接視線方向内のシンボル上において、シンボルが正常に読み取られた旨の視覚的表示手段としての役割を果たし、可聴音が聞き取り得ない騒々しい環境、およびオペレータがシンボルから視線をそらし、読取器上にある従来の視覚的表示手段へ向けることによって、オペレータの注意がそらされてはならない場合においては、特に望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書においては、「シンボル」という用語は広義に、英数字に加え、通常バーコードシンボルと称される、多様な幅の交互するバーおよびスペースからなるシンボルパターンのみでなく、一次元的または二次元的図形パターンをも含む。一般に、「シンボル」という用語は、パターンまたはインディシアの多様な点における光の反射率の差異の表示として、光ビームを走査し、反射光または散乱光を検出することによって認識または特定され得る、パターンまたはインディシアの任意の種類に適用され得る。図1は、読み取られる「シンボル」の一例としてインディシア15を示す。
【0019】
図1は、シンボルを読み取るための手持ち型レーザスキャナデバイス10を示す。レーザスキャナデバイス10は、バレル部分11およびハンドル12を有する筐体を含む。図は手持ち型ピストル形状の筐体を示すが、本発明はまた、デスクトップ型ワークステーションまたは固定型スキャナなどの他の種類の筐体において実施され得る。示された実施形態においては、筐体のバレル部分11は、筐体からある距離に位置するバーコードシンボル15に当たり、横切って走査する、レーザ光ビーム14が通過する、ポートまたは出口ウィンドウ13を含む。
【0020】
レーザビーム14は、シンボル15を横切って動き、走査パターンを作成する。一般的には、走査パターンは図16に示されるように、一次元または線形である。レーザビーム14の線形走査動作は、揺動モータ18によって駆動される揺動走査ミラー17によって生成される。必要に応じて、光学的に符号化された二次元シンボルの読み取りを可能にするために、二次元走査パターンを用いてビーム14を走査するための手段が提供され得る。手動でアクチュエートされるトリガ19または同様の手段は、オペレータがデバイス10を手に持ち、シンボル15に向けるときに、走査動作を開始することを可能にする。
【0021】
スキャナデバイス10は、筐体内に取り付けられたレーザーソース20を含む。レーザソース20は、レーザビーム14を生成する。光検出器21は筐体内に置かれ、バーコードシンボル15からの反射光、または散乱光の少なくとも一部を集める。示されるように、光検出器21は、ウィンドウ13に面しており、上述の非再帰反射読取器の固定で広い視野特性を有する。あるいは、再帰反射読取器においては、走査ミラー17の凸状部分が集められた光を光検出器21に集光させ得るが、この場合には、光検出器は走査ミラーに面する。ビーム14がシンボル15を掃引するにしたがい、光検出器21はシンボル15からの反射および散乱光を検出し、集められた光の強度に比例したアナログ電気信号を生成する。
【0022】
デジタイザ(示されていない)は一般的には、アナログ信号をパルス幅変調デジタル信号へ変換し、パルス幅および/または間隔は走査されたシンボル15のバーおよびスペースの物理的な幅に対応する。復号器(示されていない)は一般には、関連するRAMおよびROMを持つプログラムされたマイクロプロセッサを含み、特定の記号論に従ってパルス幅変調デジタル信号を復号し、シンボルの中に符号化されたデータのバイナリ表示、およびシンボルによって表現された英数字を導出する。
【0023】
レーザソース20は、収束レンズ22および開口絞り23を含む光学アセンブリを介してレーザビームを向け、レーザビームを変化させて走査ミラー17へ向ける。垂直シャフトに取り付けられ、垂直軸に対しモータ駆動18によって揺動されるミラー17は、ビームを反射し、出口ポート13を経由してビームをシンボル15へ向ける。
【0024】
スキャナデバイス10を操作するために、オペレータは、レーザソース20およびモータ18を始動するトリガ19を押す。レーザソース20は、素子22と開口23との組み合わせを通過するレーザビームを生成する。素子22および開口23は、ビームを変化させ、有効距離の範囲24にわたって連続的に達しかつ実質的に変化しない、所定のサイズの強力なビームスポットを生成する。素子と開口との組み合わせは、ビームを回転ミラー17へ向け、ミラー17は変化されたレーザビームをスキャナ筐体11から外へ、かつ掃引パターンで(すなわち、走査線16にそって)バーコードシンボル15に向ける。有効距離24内の任意の地点に置かれ、レーザビーム14に対して実質的に垂直なバーコードシンボル15は、レーザ光の一部を反射、および散乱する。非再帰反射位置に、スキャナ筐体11に取り付けられて示される光検出器21は、反射光および散乱光を検出し、受けた光をアナログ電気信号へ変換する。光検出器はまた、走査ミラー17に面して、再帰反射位置に取り付けられ得る。システム回路網は次いで、アナログ信号をパルス幅変調デジタル信号へ変換し、マイクロプロセッサ型の復号器がパルス幅変調デジタル信号をバーコード記号論ルールの特性に従って復号する。
【0025】
図2に示されるように、レーザソース20はレーザダイオード25、およびダイオード25の出力パワーをモニタするように動作可能なモニタフォトダイオード26を含む。フォトダイオード26は、レーザ出力パワーを一定に保持するように動作可能なフィードバック回路の一部である。フィードバック回路は、抵抗器28と29から成る分圧器を介して、比較器のプラス側入力へ印加される基準電圧を有する比較器27を含む。フォトダイオード26は、抵抗器30と31とを含む抵抗網を介して、比較器のマイナス側入力へ接続される。比較器27の出力は、抵抗器32およびコンデンサ34を介して、電界効果トランジスタ(FET)33のゲートGへ導かれる。FET33のドレイン出力は、レーザダイオード25に接続される。デバイス33のソース出力は、電流感知抵抗器35を介してアース端子へ接続される。
【0026】
前述の通り、図2の回路は、モニタフォトダイオード26がレーザダイオード25によって発光されたレーザビームの出力パワーの変化を検出し、フィードバック信号を比較器27へ送り、FET33を駆動して電流感知抵抗器35、かつレーザダイオード25を多少の電流が通ることを可能にする、という意味において従来のものである。
【0027】
本発明の一つの装置にしたがって、電流感知比較器36は、抵抗器を流れる電流をモニタするための電流感知抵抗器35に接続された一つの入力、および抵抗器35に許された最大電流に相当する基準電圧に接続されたもう一つの入力を有する。比較器36の出力はORゲート37へ接続されており、かつORゲート37は、ラッチ38および電源40とレーザダイオード25との間に接続されたスイッチ39に接続されている。比較器36が、抵抗器35を流れる電流が所定の最大値を超えることを感知する場合には、出力制御信号がゲート37およびラッチ38へ伝達され、スイッチ39を開いてレーザダイオード25を活性化しないように電源40を切断する。
【0028】
さらに図2に従い、ウィンドウ比較器41は抵抗器32に接続され、FET33のゲートGへ印加される電圧をモニタする。最大ゲート電圧および最小ゲート電圧もまたウィンドウ比較器41に印加される。比較器41は、ここでORゲート37へ接続される。比較器41が、ゲートGに印加されているゲート電圧が所定の最大ゲート電圧より大きい、または所定の最小ゲート電圧より小さい、と感知した場合には、信号がORゲート37へ送られ、ラッチ38を操作しスイッチ39を開くことによってレーザダイオードを不活性化する。すなわち、電源は、モニタフォトダイオード26、FET33、比較器27、レーザダイオード25、またはいずれかの回路接続の誤動作または故障の場合には、切断される。
【0029】
さらに具体的には、図2の回路が、レーザの出力パワーを制御するエラー増幅器27の範囲外状態を検出した後、レーザ20から電源40を切断する。この回路は、以下の条件においてレーザから電力を切断する。
【0030】
レーザ駆動の出力におけるデバイス33の故障が、レーザへ過剰な電流を流し、レーザ出力に工場で設定された限度を超えさせてしまう。
【0031】
モニタダイオード26接続が、デバイス33の故障、または回路接続不全によって失われてしまう。
【0032】
レーザが故障し、レーザ駆動電流が重大なまでに増加してしまう(抵抗器35が高電流駆動状態を感知するために使用される)。
【0033】
有効な方法として、タイマが図2の回路へ追加され得、所定の時間の間、誤動作が継続するときにのみパワーを切断する。
【0034】
図3の装置に示されるように、レーザソース20が、マイクロコントローラ44の制御の下でスイッチ39によってパワーソース40へ接続される(好適にも、シンボルを復号し、読取器の全体動作を制御する同じ構成部品による)。温度センサ43がマイクロコントローラ44へ接続され、読取器の周辺温度をモニタする(好適にも、レーザソース20の付近の)。モニタされた温度が所定の値を超える場合には、マイクロコントローラ44がスイッチ39を切断してレーザソースを保護する。レーザ調整器45は、レーザソース20へ接続されて、マイクロコントローラ44がレーザ電流および/またはレーザ出力パワーをモニタすることを可能にし、前述の値または他のレーザ設定がこれらのパラメータに対する所定の値の外にある場合には、マイクロプロセッサ44はまたスイッチ39を開いてレーザソースを保護する。
【0035】
ミラー17を両端矢印46によって示される周方向に交互に揺動する、前述されたモータ18は、モータ調整器42およびマイクロコントローラ44の制御下にある。マイクロコントローラ自体が、ミラー17が揺動される走査角度Aの振幅および揺動の周期をモニタする。これらの値または他のモータ設定が、これらのパラメータに対する所定の値の外にある場合には、マイクロコントローラ44はスイッチ39を開く。マイクロコントローラ44は、所定の値を保存し得、もしくは所定の値または更新された値を読み取るために遠隔ホスト47と交信し得、もしくはレーザ故障またはモータ故障などの故障の存在をホストへ伝達し得、もしくはホストの要求に応じて、モータの周波数、温度、および/またはレーザパワーなどのシステムの動作パラメータを伝達し得る、あるいは、ホストは故障を正すためにシステム校正エピソードを開始したり制御したりする(すなわち、レーザパワーを減少する、または走査振幅を増加する)ことによって問題の解決を試み得る。
【0036】
レーザソース20から電源を切断するための他の装置が図4A〜図4Eに示されている。各々の図においては、レーザダイオード25はレーザビームを収束レンズ22に向かって発光し、モニタフォトダイオード26がレーザダイオード25の後面に置かれており、出力パワーレベルをモニタする。
【0037】
図4Aにおいては、補助フォトダイオード48がビームスプリッタ49の後側に置かれており、出て行くレーザビームをモニタする。図4Bにおいては、回折装置が収束レンズ22上に置かれており、出て行くビームの一部を補助フォトダイオード48へ向ける。図4Cにおいては、補助フォトダイオード48自体が、環として形成されており、開口絞り23としての役割を果たし、開口を囲む壁が、補助フォトダイオードによる検出のために、出てゆくビームを受ける。図4Dにおいては、補助フォトダイオードは使用されておらず、光散乱表面50がレーザソース内に提供されており、出て行くビームの一部をモニタフォトダイオード26に向けて反射する。図4Eにおいても、補助フォトダイオードは使用されておらず、収束レンズ22の入射表面が、出て行くビームの一部をモニタフォトダイオードへ向けて後方散乱させるために使用される。
【0038】
図4A〜図4Eの装置においては、補助フォトダイオード48またはモニタフォトダイオード26のいずれかによって検出された追加的な光がマイクロコントローラ44によってモニタされ、変換され、モニタされた動作状態が所定の値を満たさない場合には、スイッチ39を開くために使用される制御信号を生成する。この機能は、その内部においてレーザビームが生成される読取器の使用における安全性を増進する。
【0039】
レーザへの電力を中断する代わりに、ある条件の下でレーザ出力パワーを増大することによってシステム性能は向上させられる。例えば、上述のとおり、可変走査角度Aは読取器にとって有益である。すなわち、読取器からある距離(例えば、20インチ)にある遠隔シンボルを読むには、狭い走査角度(例えば、35度)が望ましく、逆に読取器に近い距離(例えば、2インチ)にある近隣シンボルを読むには、広い走査角度(例えば、53度)が望ましい。異なる走査角度の間の切り替えは、ソフトウェアの命令、またはハードウェアによって達成し得、またインディシアを読み取る以前、あるいはインディシアを読み取っている最中においても構成され得る。
【0040】
いずれにせよ、本発明は、走査角度が広い場合には、レーザの出力パワーを増大することをさらに提案する。安全基準は、ビームが広げられた場合には、増大されたレーザパワーを認める。マイクロコントローラ44は、モータ調整器42を介して走査角度のサイズを検出し、かつ走査角度が広いと判断すると、マイクロコントローラ44はレーザ調整器45へ、一般的にはデジタル電位計の減衰を調節することによって、レーザダイオード25を通過してさらに電流を通すことを可能にするように命令し、レーザ出力パワーを増大し、かつ一般的な安全基準を超えることなく読取器の性能を高める。
【0041】
レーザ出力パワーが増大される別の例は、各走査線において生じる。安全基準は、ビームが静止し、その結果、最も強いときに、最大レーザ出力パワーを決定する。これは、各走査線の最も端の位置において発生する。ビームスポットは、ある方向に走査線の各端に向かって進むときに減速し、各走査線の端において停止し、そして逆方向に加速することが知られている。ビームスポットが静止する、線の両端において、最大許容レーザ出力パワーが決定される。
【0042】
本発明はさらに、各端に向かって進む途中にレーザソースを不活性化すること、実際には、各走査線の対向する端領域を電気的にクリップすることを提案する。ビームスポットは、これらのクリップ位置において静止しておらず、そのために最大レーザ出力パワーは、安全基準に反することなく、クリップ位置の間において増大され得る。
【0043】
マイクロコントローラ44は、モータ調整器42を介して走査線の長さを検出し、クリップ位置を決定し、レーザ調整器45にクリップ位置の間でレーザ出力パワーを増大するように命令する。例えば、モータ調整器が走査線の各端において走査開始(SOS)信号を生成することは従来のものである。マイクロコントローラ44は、二つの連続するSOS信号の時間を計測することによって走査線の長さを検出する。クリップ位置は計測された時間の百分率(例えば、95%)として設定され得る。レーザパワーの増大もまた、デジタル電位計を調整することによって達成され得る。
【0044】
クリップされた走査線の短い長さを補正するために、本発明はまた、走査角度Aの同時増大を提案する。システムの性能は、増大されたレーザ出力パワーによって向上される。
【0045】
システム性能の増大についてのさらなる別の提案においては、シンボルが正常に読み込まれた後に、レーザソースが、点滅走査線を生成するために素早く、かつ繰り返し活性化、不活性化される。上述のように、一般的には可聴音が生成され、正常な読み取りを聴覚的に示す。しかしながら、音は、騒がしい環境において容易に聞き取り得ない。また、筐体11上のグリーンの表示光が生成され、正常な読み取りを視覚的に示す。しかしながら、オペレータは、グリーンの表示光による照明を確認するために、注視、または視線を対象シンボルからそらす必要がある。読み取りがなされた後の、シンボル上の点滅走査線は、オペレータの視線を直接シンボル上に保持する。
【0046】
点滅走査線はマイクロコントローラ44からレーザ調整器45へ送られる命令によって生成され、レーザダイオード25を流れるレーザ電流を素早くかつ繰り返して減少および増大する。命令のタイミングを制御することによって、視覚的表示は点滅する実線の走査線である必要はなく、各走査線でレーザ電流が変化させられる、点走査線または破線走査線であり得る。
【0047】
ある用途においては、二つ以上のシンボルが単一の走査線によってカバーされ、オペレータは表示を聞いたりまたは見たりした時点で、どのシンボルが正常に復号されたか分からないことがある。一つの解決方法は、正常に復号されたシンボル上のみに上述の点走査線を生成し、それによってオペレータに対してどのシンボルが復号されたかを通知することである。
【0048】
可動ビーム読取器に関連して説明されてはいるが、本発明のレーザ制御装置は、イメージング読取器、レーザ投影ディスプレイ、および一般に、光源が対象物を照らすこと、または対象物を狙うことに使用される任意のシステムに対しても同様に満足に適用され得る。
【0049】
新規の、および特許状によって保護されることが望まれる請求項は、特許請求の範囲において規定される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】従来技術に従った、電気光学読取器の透視図である。
【図2】図1の読取器に特に有用な、本発明に従った、レーザパワー制御装置を表わす回路図である。
【図3】本発明に従った、追加的レーザパワー制御装置の概略図である。
【図4】図4A〜図4Eは、本発明に従った、追加的レーザパワー制御装置のさらなる構成部品の詳細の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インディシアを読み取るための電気光学読取器におけるレーザパワー制御装置であって、
a)出力パワーを有するレーザビームを生成するためのレーザと、
b)該読取器の動作状態をモニタするためのモニタと、
c)該レーザの出力パワーを該モニタによってモニタされた該動作状態の関数として制御するためのコントローラと
を備える、装置。
【請求項2】
前記モニタは前記レーザの動作状態をモニタするように動作可能であり、かつ前記コントローラは、該レーザ動作状態が所定の設定でないときには、該レーザを不活性化するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レーザに対する前記所定の設定は、レーザ電流レベルの範囲およびレーザパワーレベルの範囲のうちの一つであり、かつ前記コントローラは、前記レーザ動作状態が該範囲のうちの一つの外にあるときには、該レーザを不活性化するように動作可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記レーザはレーザダイオードおよびモニタフォトダイオードを含み、かつ前記モニタは、該フォトダイオードの動作状態をモニタするように動作可能であり、かつ前記コントローラは、該フォトダイオードの動作状態が所定の設定でないときには、該レーザを不活性化するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記モニタは前記読取器の温度の動作状態をモニタするように動作可能であり、かつ前記コントローラは、該温度動作状態が所定の設定でないときには、前記レーザを不活性化するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
読み取りの最中に前記インディシアを横切って前記レーザビームを走査するための駆動手段によって駆動される可動走査構成部品をさらに備える、請求項1に記載の装置であって、前記モータは該駆動手段の動作状態をモニタするように動作可能であり、かつ前記コントローラは、該駆動動手段の作状態が所定の設定でないときには、前記レーザを不活性化するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記駆動手段に対する前記所定の設定は、前記走査構成部品が動かされる振幅の範囲および周波数の範囲のうちの一つであり、かつ前記コントローラは、前記駆動手段の動作状態が該範囲の外であるときには、前記レーザを不活性化するように動作可能である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記読取器からの前記インディシアの距離に依存する走査角度にわたり、該インディシアを横切って前記レーザビームを走査するための駆動手段によって駆動される可動走査構成部品をさらに備える、請求項1に記載の装置であって、かつ前記コントローラは、前記走査角度の関数として前記レーザの前記出力パワーを調整するように動作可能である、装置。
【請求項9】
前記走査角度は、前記読取器からより遠方の遠隔インディシアと比較して、該読取器により近い近隣インディシアに対しては大きく、かつ前記コントローラは、より大きな走査角度を有する該近隣インディシアを読み取るために、前記レーザの前記出力パワーを増大するように動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
走査線を用いて前記インディシアを横切って前記レーザビームを走査するための駆動手段によって駆動される可動走査構成部品をさらに備える、請求項1に記載の装置であって、かつ前記コントローラは、該走査線の対向する端に到達する前にクリップ位置において前記レーザを不活性化するように、および該クリップ位置の間において前記レーザの前記出力パワーを増大するように動作可能である、装置。
【請求項11】
走査線を用いて前記インディシアを横切って前記レーザビームを走査するために駆動手段によって駆動される可動走査構成部品をさらに備える、請求項1に記載の装置であって、かつ前記コントローラは、該インディシアが正常に読み取られた旨の視覚的表示としての役割を果たすために、該インディシアが読み取られた後に該インディシア上に該走査線を点滅させるために前記レーザを繰り返し活性化および不活性化するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
インディシアを読み取るための電気光学読取器に関するレーザパワー制御方法であって、
a)レーザを用いて、出力パワーを有するレーザビームを生成するステップと、
b)前記読取器の動作状態をモニタするステップと、
c)前記モニタによってモニタされた該動作状態の関数として、該レーザの出力パワーを制御するステップと
を包含する、方法。
【請求項13】
前記モニタするステップは、前記レーザの動作状態をモニタすることによって行われ、かつ前記制御するステップは、該レーザ動作状態が所定の設定でないときには該レーザを不活性化することによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モニタするステップは、前記読取器の温度の動作状態をモニタすることによって行われ、かつ前記制御するステップは、該温度動作状態が所定の設定でないときには前記レーザを不活性化することによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
読み取りの最中に駆動手段によって前記インディシアを横切って前記レーザビームを走査するステップをさらに包含する、請求項12に記載の方法であって、前記モニタするステップは、該駆動手段の動作状態をモニタすることによって行われ、かつ前記制御するステップは、該駆動動手段の動作状態が所定の設定でないときには前記レーザを不活性化することによって行われる、方法。
【請求項16】
前記読取器に対する前記インディシアの距離に依存する走査角度にわたり該インディシアを横切って前記レーザビームを走査するステップをさらに包含する、請求項12に記載の方法であって、かつ前記制御するステップは、該走査角度の関数として前記レーザの前記出力パワーを調整することによって行われる、方法。
【請求項17】
走査線を用いて前記インディシアを横切って前記レーザビームを走査するステップをさらに包含する、請求項12に記載の方法であって、かつ前記制御するステップは、該走査線の対向する端に到達する前にクリップ位置において前記レーザを不活性化すること、および該クリップ位置の間において該レーザの出力パワーを増大することによって行われる、方法。
【請求項18】
走査線を用いて前記インディシアを横切って前記レーザビームを走査するステップをさらに包含する、請求項12に記載の方法であって、かつ前記制御するステップが、該インディシアが正常に読み取られた旨の視覚的表示としての役割を果たすために、該インディシアが読み取られた後に該インディシア上に該走査線を点滅させるために前記レーザを繰り返し不活性化および活性化することによって行われる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【公表番号】特表2008−507759(P2008−507759A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522524(P2007−522524)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/023826
【国際公開番号】WO2006/023112
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(506144101)シンボル テクノロジーズ, インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】