説明

電気分解装置および衛生洗浄装置

【課題】電極への負担を抑えて効率的にスケールを除去することができる電気分解装置および衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の電極を有する電解槽と、前記電極間に電圧を印加する通電部と、前記電解槽への水の供給を制御する給水制御部と、前記電解槽に供給される水の温度に関する情報を取得する温度情報部と、前記温度情報部が取得した前記情報に基づいて前記電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定する制御部と、を備えたことを特徴とする電気分解装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、電気分解装置および衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電極を有する電解槽を利用して、例えば次亜塩素酸やオゾンや銀イオンなどを含む液(機能水あるいは電解水)を生成することができる電気分解装置がある。電気分解装置が電解槽において電解水を生成すると、水中に存在するカルシウムイオンなどによりいわゆる「スケール」などと呼ばれる炭酸カルシウムなどが生成し電解槽の電極に付着する場合がある。スケールが電解槽の電極に付着し堆積すると、電解効率が低下するという問題がある。これに対して、電極間に印加する電圧の極性を反転させてスケールを除去することができる電気分解装置がある。
【0003】
しかしながら、極性反転は、電極の表面に形成された触媒に負担を与え、電極寿命を低下させるという問題がある。これに対して、電極間に印加する電圧の極性を反転するとき、極性反転頻度を電解複数回に1回の割にする塩素生成用電解制御方法が開示されている(特許文献1)。特許文献1には、極性反転を電解複数回毎に1回とすることによりスケール付着なく電極を長寿命化させることができるという記載がある。
【0004】
しかしながら、単純に極性反転頻度を所定電解回数に1回の割に決めると、例えば冬場などのように水温がより低いときにはスケールの堆積が比較的少ないにもかかわらず、例えば夏場などと同様に極性反転が実行される。そのため、電極への負担をさらに抑えて効率的にスケールを除去し、電極をさらに長寿命化させるという点においては改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−126774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、電極への負担を抑えて効率的にスケールを除去することができる電気分解装置および衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、複数の電極を有する電解槽と、前記電極間に電圧を印加する通電部と、前記電解槽への水の供給を制御する給水制御部と、前記電解槽に供給される水の温度に関する情報を取得する温度情報部と、前記温度情報部が取得した前記情報に基づいて前記電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定する制御部と、を備えたことを特徴とする電気分解装置である。
【0008】
この電気分解装置によれば、制御部は、温度情報部が取得した情報に基づいて電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定する。スケールは、電解槽に供給される水の温度が高いほど生成されやすい。そのため、制御部は、スケールの生成度合に応じて電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を変化させることができる。制御部は、例えば夏場における極性反転頻度よりも冬場における極性反転頻度を低くすることができる。これにより、電解槽の電極への負担を抑えて効率的にスケールを除去することができる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記温度情報部は、前記電解槽に供給される水の温度を計測する温度センサであることを特徴とする電気分解装置である。
【0010】
この電気分解装置によれば、温度センサは、電解槽に供給される水の温度を直接的に計測できる。そのため、温度センサは、電解槽に供給される水の温度をより正確に把握できる。これにより、制御部は、複数の極性反転頻度を設定し、より細かな制御を実行することができる。
【0011】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記温度情報部は、周囲環境の外気温度に基づいて前記電解槽に供給される水の温度を推測する温度推測部であることを特徴とする電気分解装置である。
【0012】
この電気分解装置によれば、温度推測部は、周囲環境の外気温度に基づいて電解槽に供給される水の温度を推測する。制御部は、外気温度から推測された季節変動に伴う水温変化に基づいて十分に極性反転頻度を決定できる。これにより、電解槽に供給される水の温度を直接的に計測しなくともよいため、電気分解装置の構造を簡略化することができる。
【0013】
また、第4の発明は、第1の発明において、前記温度情報部は、周囲環境の外気温度を計測する外気温センサであり、前記制御部は、前記外気温センサが計測した前記外気温度に基づいて前記電解槽に供給される水の温度を推測することを特徴とする電気分解装置である。
【0014】
この電気分解装置によれば、外気温センサは、周囲環境の外気温度を計測する。また、制御部は、外気温センサが計測した外気温度に基づいて電解槽に供給される水の温度を推測する。制御部は、外気温度から推測された季節変動に伴う水温変化に基づいて十分に極性反転頻度を決定できる。これにより、電解槽に供給される水の温度を直接的に計測しなくともよいため、電気分解装置の構造を簡略化することができる。また、外気温センサは、電解槽に供給される水の温度を推測しなくともよいため、外気温センサの構造を簡略化することができる。
【0015】
また、第5の発明は、第1の発明において、前記温度情報部は、暦に基づいて前記電解槽に供給される水の温度を推測するカレンダー機能部であることを特徴とする電気分解装置である。
【0016】
この電気分解装置によれば、カレンダー機能部は、暦に基づいて電解槽に供給される水の温度を推測する。制御部は、月日や季節から推測された季節変動に伴う水温変化に基づいて十分に極性反転頻度を決定できる。これにより、電解槽に供給される水の温度を直接的に計測しなくともよいため、電気分解装置の構造を簡略化することができる。
【0017】
また、第6の発明は、第1の発明において、前記温度情報部は、暦に関する情報を取得するカレンダー機能部であり、前記制御部は、前記カレンダー機能部が取得した前記暦に関する情報に基づいて前記電解槽に供給される水の温度を推測することを特徴とする電気分解装置である。
【0018】
この電気分解装置によれば、カレンダー機能部は、暦に関する情報を取得する。また、制御部は、カレンダー機能部が取得した暦に関する情報に基づいて電解槽に供給される水の温度を推測する。制御部は、月日や季節から推測された季節変動に伴う水温変化に基づいて十分に極性反転頻度を決定できる。これにより、電解槽に供給される水の温度を直接的に計測しなくともよいため、電気分解装置の構造を簡略化することができる。また、カレンダー機能部は、電解槽に供給される水の温度を推測しなくともよいため、カレンダー機能部の構造を簡略化することができる。
【0019】
また、第7の発明は、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記極性を反転させる頻度を前記電極間への累積通電時間に基づいて設定することを特徴とする電気分解装置である。
【0020】
この電気分解装置によれば、制御部は、電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を電極間への累積通電時間に基づいて設定する。スケールの生成量は、電解槽の通電時間に依存する。そのため、制御部は、極性反転頻度を累積通電回数ではなく累積通電時間で規定することで、スケールを除去するタイミングをより効果的に設定することができる。
【0021】
また、第8の発明は、第7の発明において、前記極性を反転させる頻度は、前記計測または推測した水の温度が所定温度以上の場合よりも前記所定温度より低い場合において低いことを特徴とする電気分解装置である。
【0022】
この電気分解装置によれば、制御部は、季節変動に伴う水温変化に基づいて十分に極性反転頻度を決定でき、所定温度の前後で極性反転頻度を変更する。これにより、より簡便な制御で効率的にスケールを除去し電極を長寿命化させることができる。
【0023】
また、第9の発明は、吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して使用者の身体を洗浄するノズルと、請求項1〜8のいずれか1つに記載の電気分解装置と、を備え、前記電解槽において電気分解された水が、前記ノズルの表面の少なくとも一部にあたることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0024】
この衛生洗浄装置によれば、電気分解装置における電解槽の電極への負担を抑えて効率的にスケールを除去することができるとともに、例えば、使用者の「おしり」などの洗浄を実現するノズルや、衛生洗浄装置を載置する便器などを殺菌することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の態様によれば、電極への負担を抑えて効率的にスケールを除去することができる電気分解装置および衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電気分解装置の要部構成を表すブロック図である。
【図2】本実施形態にかかる電気分解装置の他の要部構成を表すブロック図である。
【図3】本実施形態にかかる電気分解装置のさらに他の要部構成を表すブロック図である。
【図4】本実施形態にかかる電気分解装置の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【図5】本実施形態にかかる電気分解装置の他の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【図6】本実施形態にかかる電気分解装置のさらに他の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【図7】本実施形態の電解槽ユニットの外観を例示する斜視模式図である。
【図8】本実施形態の電解槽ユニットの内部構造を例示する分解模式図である。
【図9】本実施形態の電解槽ユニットにおける電気分解を説明するための断面模式図である。
【図10】pHの変化に基づく炭酸カルシウムおよび炭酸イオンの溶解量の変化を表すグラフ図である。
【図11】温度変化に基づく炭酸カルシウムの溶解量の変化を表すグラフ図である。
【図12】本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
【図13】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
【図14】本実施形態のノズルユニットを例示する斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる電気分解装置の要部構成を表すブロック図である。
また、図2は、本実施形態にかかる電気分解装置の他の要部構成を表すブロック図である。
また、図3は、本実施形態にかかる電気分解装置のさらに他の要部構成を表すブロック図である。
【0028】
本実施形態の電気分解装置40は、例えば水道や貯水タンクなどの給水源10から供給された水を導く流路20と、給水源10から供給される水の下流側への供給を制御する電磁弁(給水制御部)431と、電極を有する電解槽ユニット(電解槽)450と、電解槽ユニット450の電極に電圧を印加する通電部411と、電解槽ユニット450に供給される水の温度を計測する温度センサ(温度情報部)413と、電磁弁431および通電部411の動作を制御する制御部405と、を備える。
【0029】
電磁弁431は、例えば開閉可能な電磁バルブである。電磁弁431は、制御部405からの指令に基づいて開閉し、電解槽ユニット450への水の供給を制御する。
電解槽ユニット450は、電磁弁431の下流側に設けられている。電解槽ユニット450については、後に詳述する。
【0030】
温度センサ413は、例えばサーミスタなどを有し、流路20を介して電解槽ユニット450に供給される水の温度を計測することができる。そして、温度センサ413は、計測した水温を制御部405へ送信することができる。
つまり、本実施形態の水温情報部は、電解槽ユニット450に供給される水の温度に関する情報を取得する。本願明細書において「水の温度に関する情報」という範囲には、計測あるいは推測した水の温度だけではなく、電解槽ユニット450に供給される水の温度に影響を及ぼす外気温度や月日や季節などの情報が含まれるものとする。
【0031】
本実施形態の温度情報部は、温度センサ413だけに限定されず、図2に表した外気温センサ(温度情報部)415であってもよい。外気温センサ(温度推測部)415は、電気分解装置40が設置された周囲環境の外気温度に基づいて電解槽ユニット450に供給される水の温度を推測することができる。そして、外気温センサ415は、推測した水温を制御部405へ送信することができる。
【0032】
あるいは、外気温センサ415は、電気分解装置40が設置された周囲環境の外気温度を計測し、計測した外気温度を制御部405へ送信してもよい。この場合には、制御部405は、外気温センサ415が計測した外気温度に基づいて電解槽ユニット450に供給される水の温度を推測する。
【0033】
また、本実施形態の温度情報部は、図3に表したカレンダー機能部417であってもよい。カレンダー機能部417は、月日や季節に基づいて電解槽ユニット450に供給される水の温度を推測することができる。そして、外気温センサ415は、推測した水温を制御部405へ送信することができる。
【0034】
あるいは、カレンダー機能部417は、月日や季節の情報を取得し、取得した情報を制御部405へ送信してもよい。この場合には、制御部405は、カレンダー機能部417が取得した月日や季節の情報に基づいて電解槽ユニット450に供給される水の温度を推測する。また、カレンダー機能部417は、制御部405と別体ではなく制御部405に組み込まれたカレンダー機能であってもよい。
【0035】
給水源10から電磁弁431を介して供給される水を電解槽ユニット450が電気分解し殺菌水を生成すると、炭酸カルシウム(CaCO)などのスケールが生成し電解槽ユニット450の電極に付着する。スケールは、電気分解する水の温度が上昇すると生成されやすい。そして、スケールが電解槽ユニット450の電極に堆積すると、電解効率が低下し、殺菌水の生成効率が低下する。
【0036】
そこで、本実施形態にかかる電気分解装置40は、電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる。これにより、スケールは、電解槽ユニット450の電極の表面から剥離される。但し、極性反転は、電解槽ユニット450の電極の表面に形成された触媒に負担を与え、電極寿命を低下させる場合がある。
【0037】
これに対して、本実施形態の制御部405は、温度情報部が取得した情報に基づいて電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定する。具体的には、制御部405は、温度センサ413が計測した水温に基づいて電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定する。スケールは電気分解する水の温度が上昇すると生成されやすいため、制御部405は、例えば温度センサ413が計測した水温が所定温度よりも低い場合には、所定温度よりも高い場合と比較して低い極性反転頻度を設定する。そのため、制御部405は、例えば夏場における極性反転頻度よりも冬場における極性反転頻度を低くすることができる。これにより、電解槽ユニット450の電極への負担を抑えて効率的にスケールを除去することができる。さらに、温度センサ413は、電解槽ユニット450に供給される水の温度を直接的に計測できるため水の温度をより正確に把握できる。これにより、制御部405は、複数の極性反転頻度を設定し、より細かな制御を実行することができる。
【0038】
あるいは、制御部405は、外気温センサ415が推測した水温または計測した外気温度に基づいて電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定する。スケールは電気分解する水の温度が上昇すると生成されやすいため、制御部405は、例えば外気温センサ415が推測した水温または計測した外気温度が所定温度よりも低い場合には、所定温度よりも高い場合と比較して低い極性反転頻度を設定する。これにより、前述したように、電解槽ユニット450の電極への負担を抑えて効率的にスケールを除去することができる。さらに、制御部405は、外気温度から推測された季節変動に伴う水温変化に基づいて十分に極性反転頻度を決定できる。これにより、電解槽ユニット450に供給される水の温度を直接的に計測しなくともよいため、電気分解装置40の構造を簡略化することができる。
【0039】
あるいは、制御部405は、カレンダー機能部417が推測した水温または取得した月日や季節の情報に基づいて電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定する。スケールは電気分解する水の温度が上昇すると生成されやすいため、制御部405は、例えばカレンダー機能部417が推測した水温または取得した月日や季節の情報が所定温度または所定値よりも低い場合には、所定温度または所定値よりも高い場合と比較して低い極性反転頻度を設定する。これにより、前述したように、電解槽ユニット450の電極への負担を抑えて効率的にスケールを除去することができる。さらに、制御部405は、月日や季節から推測された季節変動に伴う水温変化に基づいて十分に極性反転頻度を決定できる。これにより、電解槽ユニット450に供給される水の温度を直接的に計測しなくともよいため、電気分解装置40の構造を簡略化することができる。
【0040】
次に、本実施形態にかかる電気分解装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態にかかる電気分解装置の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【0041】
本具体例では、水温情報部が温度センサ413である場合を例に挙げて説明する。
まず、制御部405は、電解槽ユニット450の電極への通電を開始し殺菌水の生成を開始させると(ステップS11)、電解槽ユニット450に供給される水の温度を温度センサ413に計測させる(ステップS13)。なお、前述したように、制御部405は、電解槽ユニット450に供給される水の温度を外気温センサ415またはカレンダー機能部417に推測させてもよい。
【0042】
続いて、制御部405は、温度センサ413が計測した水温が20℃以上であるか否かを判断する(ステップS15)。温度センサ413が計測した水温が20℃以上である場合には(ステップS15:YES)、制御部405は、電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を「20秒」に設定する(ステップS17)。極性反転頻度が「20秒」であるとは、電解槽ユニット450の電極への累積通電時間が20秒を経過する毎に1回の割合で、制御部405が電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させることを意味するものとする。
【0043】
一方、温度センサ413が計測した水温が20℃未満である場合には(ステップS15:NO)、制御部405は、電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を「40秒」に設定する(ステップS19)。そして、制御部405は、ステップS17およびS19において設定した極性反転頻度に基づいて極性反転を実行する(リターン:ステップS21)。
【0044】
スケールの生成量は、電解槽ユニット450の通電時間に依存する。本具体例によれば、制御部405は、極性反転頻度を累積通電回数ではなく累積通電時間で規定するため、スケールを除去するタイミングをより効果的に設定することができる。また、制御部405は、所定温度(本具体例では20℃)の前後で極性反転頻度を変更するため、より簡便な制御で効率的にスケールを除去し電極を長寿命化させることができる。
【0045】
なお、制御部405がステップS17およびS19において設定した極性反転頻度は、これだけに限定されるわけではない。ステップS19における極性反転頻度がステップS17における極性反転頻度よりも低い限り、制御部405は、極性反転頻度を適宜設定変更可能である。また、ステップS15における判断基準としての所定温度は、「20℃」に限定されるわけではない。
【0046】
図5は、本実施形態にかかる電気分解装置の他の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
本具体例でも、水温情報部が温度センサ413である場合を例に挙げて説明する。
【0047】
ステップS31〜S35における動作は、図4に関して前述したステップS11〜S15における動作と同様である。
続いて、温度センサ413が計測した水温が20℃以上である場合には(ステップS35:YES)、制御部405は、電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を「電解3回に1回」に設定する(ステップS37)。極性反転頻度が「電解3回に1回」とは、電解槽ユニット450の電極への累積通電回数が3回に到達する毎に1回の割合で、制御部405が電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させることを意味するものとする。
【0048】
一方、温度センサ413が計測した水温が20℃未満である場合には(ステップS35:NO)、制御部405は、電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を「電解6回に1回」に設定する(ステップS39)。そして、制御部405は、ステップS17およびS19において設定した極性反転頻度に基づいて極性反転を実行する(リターン:ステップS41)。
【0049】
スケールの生成量は、電解槽ユニット450の通電回数にも依存する。本具体例によれば、制御部405は、極性反転頻度を累積通電回数で規定するため、さらに簡便な制御で効率的にスケールを除去し電極を長寿命化させることができる。
【0050】
なお、制御部405がステップS37およびS39において設定した極性反転頻度は、これだけに限定されるわけではない。ステップS39における極性反転頻度がステップS37における極性反転頻度よりも低い限り、制御部405は、極性反転頻度を適宜設定変更可能である。また、ステップS35における判断基準としての所定温度は、「20℃」に限定されるわけではない。
【0051】
図6は、本実施形態にかかる電気分解装置のさらに他の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
本具体例では、水温情報部が外気温センサ415である場合を例に挙げて説明する。
【0052】
まず、制御部405は、電解槽ユニット450の電極への通電を開始し殺菌水の生成を開始させると(ステップS51)、外気温センサ415が計測した周囲環境の外気温度を受信する(ステップS53)。なお、制御部405は、ステップS53において、月日や季節の情報をカレンダー機能部417から受信してもよい。
【0053】
続いて、制御部405は、外気温センサ415から送信された外気温度に基づいて電解槽ユニット450に供給される水の温度を推測する(ステップS55)。続いて、制御部405は、推測した水温が20℃以上であるか否かを判断する(ステップS57)。ステップS59〜S63における動作は、図4に関して前述したステップS17〜S21における動作と同様である。
【0054】
なお、制御部405がステップS59およびS61において設定した極性反転頻度は、これだけに限定されるわけではない。ステップS61における極性反転頻度がステップS59における極性反転頻度よりも低い限り、制御部405は、極性反転頻度を適宜設定変更可能である。また、ステップS57における判断基準としての所定温度は、「20℃」に限定されるわけではない。
【0055】
本具体例によれば、電解槽ユニット450に供給される水の温度を推測するのは制御部405であるため、外気温センサ415やカレンダー機能部417は、電解槽ユニット450に供給される水の温度を推測しなくともよい。これにより、外気温センサ415やカレンダー機能部417の構造を簡略化することができる。
【0056】
次に、本実施形態にかかる電気分解装置40が備える構成要素の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図7は、本実施形態の電解槽ユニットの外観を例示する斜視模式図である。
また、図8は、本実施形態の電解槽ユニットの内部構造を例示する分解模式図である。
【0057】
本実施形態の電解槽ユニット450は、第1の蓋部材451と、第2の蓋部材452と、陽極板(電極)454と、陰極板(電極)455と、を有する。第1の蓋部材451は、給水源10から供給された水を電解槽ユニット450の内部に流入させる流入部451aを有する。この流入部451aは、図7および図8に表したように、第1の蓋部材451の下部に設けられている。一方、第2の蓋部材452は、電解槽ユニット450の内部に流入した水を外部に流出させる流出部452aを有する。この流出部452aは、図7および図8に表したように、第2の蓋部材452の上部に設けられている。第1の蓋部材451および第2の蓋部材452は、互いに液密に取り付けられ、流入部451aから流入した水が流出部452a以外から外部に流出することを防止できる。
【0058】
陽極板454および陰極板455は、第1の蓋部材451と、第2の蓋部材452と、の間に設けられ、図8に表したように互いに対向して配置されている。このとき、陽極板454と、陰極板455と、の間にはスペーサ457が設けられている。これにより、陽極板454と、陰極板455と、の間の距離は、略一定の距離に確保されている。また、陽極板454は、電極面から突出した接続端子454aを有する。この接続端子454aは、図7に表したように、第1の蓋部材451を通して電解槽ユニット450の外部に導出されている。図示していないが、これは、陰極板455についても同様である。つまり、陰極板455は、電極面から突出した図示しない接続端子を有し、その図示しない接続端子は、第2の蓋部材452を通して電解槽ユニット450の外部に導出されている。
【0059】
陽極板454および陰極板455は、接続端子454aおよび図示しない陰極板455の接続端子を介して通電部411(図1〜図3参照)に接続されている。制御部405は、通電部411を制御し、陽極板454と陰極板455との間に電圧を印加することができる。
【0060】
給水源10から電磁弁431を介して電解槽ユニット450に供給された水は、図7に表した矢印Aのように、第1の蓋部材451の流入部451aから電解槽ユニット450の内部に導かれる。続いて、流入部451aから電解槽ユニット450の内部に流入した水は、陽極板454と、陰極板455と、の間の空間(流路)を流れ、図7に表した矢印Bのように、第2の蓋部材452の流出部452aから電解槽ユニット450の外部に排出される。この際、制御部405が陽極板454および陰極板455に通電している場合には、陽極板454と、陰極板455と、の間の空間を流れる水は電気分解される。これについて、図面を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
【0061】
図9は、本実施形態の電解槽ユニットにおける電気分解を説明するための断面模式図である。
また、図10は、pHの変化に基づく炭酸カルシウムおよび炭酸イオンの溶解量の変化を表すグラフ図である。
また、図11は、温度変化に基づく炭酸カルシウムの溶解量の変化を表すグラフ図である。
【0062】
電解槽ユニット450は、図7および図8に関して前述したように、その内部に陽極板454および陰極板455を有し、制御部405からの通電の制御によって、陽極板454と、陰極板455と、の間の空間を流れる水道水を電気分解できる。この際、陰極板455では、式(1)に表した反応が生ずる。

+e → 1/2H↑ ・・・(1)
【0063】
そのため、陰極板455においては酸(H)が消費され、陰極板455の近傍ではpHが上昇する。pHが上昇すると、図10に表したように、炭酸イオン(CO2−)の溶解量は上昇する。pHの上昇に伴い、炭酸(HCO)が水素イオン(H)を放出し炭酸イオン(CO2−)を生成し、式(2)に表した反応が生ずる。そして、発生した炭酸イオン(CO2−)と水道水中に存在するカルシウムイオン(Ca2+)が結合し、式(3)に表した反応が生ずる。つまり、pHの上昇が、図10に表したように、炭酸カルシウム(CaCO:スケール)生成(溶解度低下による析出)を引き起こす。

CO → 2H+CO2− ・・・(2)
Ca2++CO2− → CaCO ・・・(3)
【0064】
一方、陽極板454では、式(4)に表した反応が生ずる。また、水道水は、塩素イオン(Cl)を含んでいる。この塩素イオンは、水源(例えば、地下水や、ダムの水や、河川などの水)に食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl)として含まれている。そのため、式(5)に表した反応が生ずる。

2OH → 2e+HO+1/2O↑ ・・・(4)
Cl → e+1/2Cl ・・・(5)
【0065】
式(5)において発生した塩素は、気泡としては存在しにくく、ほとんどの塩素は水に溶解する。そのため、式(5)において発生した塩素については、式(6)に表した反応が生ずる。このようにして、塩素イオンを電気分解することにより次亜塩素酸(HClO)が生成される。その結果、電解槽ユニット450において電気分解された水は、次亜塩素酸を含む液に変化する。なお、陽極板454においてはアルカリ(OH)が消費されるため、陽極板454の近傍ではpHが下降する。

Cl+HO → HClO+H+Cl ・・・(6)
【0066】
また、水温が上昇すると、図11に表したように、炭酸カルシウムの溶解量は下降する。つまり、水温が上昇すると、炭酸カルシウムは、水には溶解しにくくなる。そのため、水温が上昇すると、スケールは、生成されやすくなり、また析出されやすくなる。そのため、より高温の水が電解槽ユニット450に供給され、電解槽ユニット450がより高温の水を電気分解すると、スケールは、生成されやすくなり、また析出されやすくなる。
【0067】
ここで、電解槽ユニット450において生成される殺菌水は、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される殺菌水は、電解塩素やオゾンなどを含む液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される殺菌水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。これらの中でも、次亜塩素酸を含む液は、より強い殺菌力を有する。
【0068】
次亜塩素酸は、殺菌成分として機能し、その次亜塩素酸を含む液すなわち殺菌水は、アンモニアなどによる汚れを効率的に除去あるいは分解したり、殺菌することができる。ここで、本願明細書において「殺菌水」とは、次亜塩素酸などの殺菌成分を水道水(単に「水」ともいう)よりも多く含む液をいうものとする。
【0069】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
図12は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
また、図13は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
なお、図13は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
【0070】
図12に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0071】
ケーシング400の内部には、図1〜図11に関して前述した電気分解装置40が内蔵されている。
また、ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500を操作すると、洗浄ノズル(以下説明の便宜上、単に「ノズル」と称する)473を便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、図12に表した衛生洗浄装置100では、ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
【0072】
ノズル473の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口474が設けられている。そして、ノズル473は、その先端部に設けられた吐水口474から水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。
【0073】
より具体的に説明すると、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、図13に表したように、水道や貯水タンクなどの給水源10から供給された水をノズル473の吐水口474に導く流路20を有する。流路20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。
【0074】
電磁弁431の下流には、熱交換器ユニット440が設けられている。熱交換器ユニット440は、温水ヒータ441を有する。温水ヒータ441は、供給された水を加熱し、所定の温水にする。温水ヒータ441の上流側には図示しない入水サーミスタが設けられ、温水ヒータ441の下流側には図示しない温水サーミスタが設けられている。なお、温水温度については、例えば、使用者が操作部500を操作することにより設定することができる。
【0075】
温水ヒータ441の下流には、電解槽ユニット450に供給される水の温度を計測する温度センサ413が設けられている。温度センサ413は、温水ヒータ441の下流側に設けられた図示しない温水サーミスタであってもよい。また、図1〜図3に関して前述したように、温度センサ413は、外気温センサ415やカレンダー機能部417に置き換えられてもよい。
【0076】
温水ヒータ441の下流には、殺菌水を生成可能な電解槽ユニット450が設けられている。ノズル473や、電解槽ユニット450よりも下流側の流路20は、電解槽ユニット450において生成された殺菌水により殺菌される。電解槽ユニット450は、図7〜図11に関して前述した如くである。
【0077】
電解槽ユニット450の下流には、圧力変調装置460が設けられている。この圧力変調装置460は、流路20内の水の流れに脈動を与え、ノズル473の吐水口474から吐水される水に脈動を与えることができる。但し、本発明においては、圧力変調装置460は、必ずしも設けられていなくともよい。
【0078】
圧力変調装置460の下流には、水勢(流量)の調整を行う流量切替弁471と、ノズル473やノズル洗浄室478への給水の開閉や切替を行う流路切替弁472と、が設けられている。なお、流量切替弁471および流路切替弁472は、1つのユニットとして設けられていてもよい。続いて、流量切替弁471および流路切替弁472の下流には、ノズル473が設けられている。
【0079】
ノズル473は、前述したように、水を噴射して便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄できる。これに対して、電解槽ユニット450において生成された殺菌水を流路切替弁472から便器800のボウル801の表面に吐水する殺菌水吐水ノズルが、ノズル473とは別体として設けられていてもよい。この場合には、図示しない殺菌水吐水ノズルは、電解槽ユニット450よりも下流側の流路20に設けられる。衛生洗浄装置100は、一般的には、便器800の上に設置され利用される。そのため、ボウル801の表面に殺菌水を吐水する殺菌水吐水ノズルが設けられている場合には、電気分解装置40を有する衛生洗浄装置100は、便器800のボウル801の表面に存在する菌を殺菌する装置としても有効に利用され得る。
【0080】
ノズル473は、ノズルモータ476(図14参照)からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり後退することができる。つまり、ノズルモータ476は、制御部405からの指令に基づいてノズル473を進退させることができる。
そして、制御部405は、電源回路401から電力を供給され、トイレ室への使用者の入室を検知する入室検知センサ402や、便座200の前方にいる使用者を検知する人体検知センサ403や、便座200への使用者の着座を検知する着座検知センサ404や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁431や、温水ヒータ441や、電解槽ユニット450や、流量切替弁471や流路切替弁472や、ノズルモータ476の動作を制御することができる。
【0081】
着座検知センサ404は、使用者が便座200に着座する直前において便座200の上方に存在する人体や、便座200に着座した使用者を検知することができる。すなわち、着座検知センサ404は、便座200に着座した使用者だけではなく、便座200の上方に存在する使用者を検知することができる。このような着座検知センサ404としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
【0082】
また、人体検知センサ403は、便器800の前方にいる使用者、すなわち便座200から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサ403は、トイレ室に入室して便座200に近づいてきた使用者を検知することができる。このような人体検知センサ403としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
【0083】
また、入室検知センサ402は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサ402は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。このような入室検知センサ402としては、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。
【0084】
図12に表したトイレ装置では、ケーシング400の上面に凹設部409が形成され、この凹設部409に一部が埋め込まれるように入室検知センサ402が設けられている。入室検知センサ402は、便蓋300が閉じた状態では、その基部付近に設けられた透過窓310を介して使用者の入室を検知する。そして、例えば、入室検知センサ402が使用者を検知すると、制御部405は、入室検知センサ402の検知結果に基づいて便蓋300を自動的に開くことができる。また、着座検知センサ404および人体検知センサ403は、ケーシング400の前方の中央部に設けられている。但し、着座検知センサ404、人体検知センサ403、および入室検知センサ402の設置形態は、これだけに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0085】
また、ケーシング400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口407及び室内暖房ユニットからの排出口408が適宜設けられる。ただし、本発明においては、脱臭ユニットや室内暖房ユニットなどの付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【0086】
図14は、本実施形態のノズルユニットを例示する斜視模式図である。
本実施形態のノズルユニット470は、図14に表したように、基台としての取付台475と、取付台475に支持されたノズル473と、ノズル473を移動させるノズルモータ476と、を有する。ノズル473は、図14に表した矢印Cのように、ベルトなどの伝動部材477を介してノズルモータ476から伝達される駆動力により、取付台475に対して摺動自在に設けられている。すなわち、ノズル473は、ノズル473自身の軸方向(進退方向)に直進移動することができる。そして、ノズル473は、ケーシング400および取付台475から進退自在に移動できる。
【0087】
また、本実施形態のノズルユニット470には、ノズル洗浄室478が設けられている。ノズル洗浄室478は、取付台475に対して固定され、その内部に設けられた吐水部479から殺菌水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を殺菌あるいは洗浄することができる。すなわち、電解槽ユニット450において電気分解されて生成された殺菌水が、ノズル473の表面の少なくとも一部にあたる。
具体的には、制御部405が電解槽ユニット450の陽極板454および陰極板455に通電させることにより殺菌水を生成させる場合には、ノズル473の胴体は、吐水部479から噴射される殺菌水により殺菌される。一方で、制御部405が電解槽ユニット450の陽極板454および陰極板455に通電させない場合には、ノズル473の胴体は、吐水部479から噴射される水により物理的に洗浄される。
【0088】
より具体的には、ノズル473がケーシング400に収納された状態において、ノズル473の吐水口474の部分はノズル洗浄室478の中にほぼ収容されている。そのため、ノズル洗浄室478は、その内部に設けられた吐水部479から殺菌水あるいは水を噴射することにより、収納された状態のノズル473の吐水口474の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。また、ノズル洗浄室478は、ノズル473の進退時において吐水部479から水あるいは殺菌水を噴射することにより、吐水口474の部分だけではなく他の部分の外周表面を殺菌あるいは洗浄することができる。
【0089】
また、本実施形態のノズル473は、ノズル473がケーシング400に収納された状態において、ノズル473自身が有する吐水口474から殺菌水あるいは水を吐水することにより吐水口474の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。さらに、ノズル473がケーシング400に収納された状態では、ノズル473の吐水口474の部分はノズル洗浄室478の中にほぼ収容されているため、ノズル473の吐水口474から吐水された殺菌水あるいは水は、ノズル洗浄室478の内壁により反射して吐水口474の部分にかかる。そのため、ノズル473の吐水口474の部分は、ノズル洗浄室478の内壁で反射した殺菌水あるいは水によっても殺菌あるいは洗浄される。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、電気分解装置40、衛生洗浄装置100、および電解槽ユニット450などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや温度情報部(温度センサ413、外気温センサ415、カレンダー機能部417)の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、制御部405は、熱交換器ユニット440の消費電力に基づいて電解槽ユニット450の電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定してもよい。冬場では、熱交換器ユニット440に供給される水の温度は、他の季節よりも低い。そのため、冬場では、熱交換器ユニット440は、水の温度を設定温度まで加熱するために他の季節よりも多くの消費電力を必要とする。そのため、制御部405は、電解槽ユニット450に供給される水の温度を熱交換器ユニット440の消費電力から推測することで極性反転頻度を決定できる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0091】
10 給水源、 20 流路、 40 電気分解装置、 100 衛生洗浄装置、 200 便座、 300 便蓋、 310 透過窓、 400 ケーシング、 401 電源回路、 402 入室検知センサ、 403 人体検知センサ、 404 着座検知センサ、 405 制御部、 407 排気口、 408 排出口、 409 凹設部、 411 通電部、 413 温度センサ、 415 外気温センサ、 417 カレンダー機能部、 431 電磁弁、 440 熱交換器ユニット、 441 温水ヒータ、 450 電解槽ユニット、 451 第1の蓋部材、 451a 流入部、 452 第2の蓋部材、 452a 流出部、 454 陽極板、 454a 接続端子、 455 陰極板、 457 スペーサ、 460 圧力変調装置、 470 ノズルユニット、 471 流量切替弁、 472 流路切替弁、 473 ノズル、 474 吐水口、 475 取付台、 476 ノズルモータ、 477 伝動部材、 478 ノズル洗浄室、 479 吐水部、 500 操作部、 800 便器、 801 ボウル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有する電解槽と、
前記電極間に電圧を印加する通電部と、
前記電解槽への水の供給を制御する給水制御部と、
前記電解槽に供給される水の温度に関する情報を取得する温度情報部と、
前記温度情報部が取得した前記情報に基づいて前記電極間に印加する電圧の極性を反転させる頻度を決定する制御部と、
を備えたことを特徴とする電気分解装置。
【請求項2】
前記温度情報部は、前記電解槽に供給される水の温度を計測する温度センサであることを特徴とする請求項1記載の電気分解装置。
【請求項3】
前記温度情報部は、周囲環境の外気温度に基づいて前記電解槽に供給される水の温度を推測する温度推測部であることを特徴とする請求項1記載の電気分解装置。
【請求項4】
前記温度情報部は、周囲環境の外気温度を計測する外気温センサであり、
前記制御部は、前記外気温センサが計測した前記外気温度に基づいて前記電解槽に供給される水の温度を推測することを特徴とする請求項1記載の電気分解装置。
【請求項5】
前記温度情報部は、暦に基づいて前記電解槽に供給される水の温度を推測するカレンダー機能部であることを特徴とする請求項1記載の電気分解装置。
【請求項6】
前記温度情報部は、暦に関する情報を取得するカレンダー機能部であり、
前記制御部は、前記カレンダー機能部が取得した前記暦に関する情報に基づいて前記電解槽に供給される水の温度を推測することを特徴とする請求項1記載の電気分解装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記極性を反転させる頻度を前記電極間への累積通電時間に基づいて設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の電気分解装置。
【請求項8】
前記極性を反転させる頻度は、前記計測または推測した水の温度が所定温度以上の場合よりも前記所定温度より低い場合において低いことを特徴とする請求項7記載の電気分解装置。
【請求項9】
吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して使用者の身体を洗浄するノズルと、
請求項1〜8のいずれか1つに記載の電気分解装置と、
を備え、
前記電解槽において電気分解された水が、前記ノズルの表面の少なくとも一部にあたることを特徴とする衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−125715(P2012−125715A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280092(P2010−280092)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】