電気刺激デバイス
【課題】入力のインピーダンスを好適に保持しつつ、血栓を発生させにくい電極を備えた電気刺激デバイスを提供する。
【解決手段】体血管内に留置される電気刺激デバイスは、電極面12Aを露出させた電極部が外周面に設けられた絶縁性の本体を備え、電極部は、導体で形成されて微細凹凸構造を有する微細凹凸構造層22と、抗血栓作用を有する材料で形成され、微細凹凸構造の一部を被覆する抗血栓層23とを有することを特徴とする。
【解決手段】体血管内に留置される電気刺激デバイスは、電極面12Aを露出させた電極部が外周面に設けられた絶縁性の本体を備え、電極部は、導体で形成されて微細凹凸構造を有する微細凹凸構造層22と、抗血栓作用を有する材料で形成され、微細凹凸構造の一部を被覆する抗血栓層23とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に留置される電気刺激デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不整脈の治療を目的として血管内に電極を留置して電気的刺激を行う電気刺激デバイスが開発されている。この電気刺激デバイスの表面は、留置期間中常に血流にさらされており、血流に暴露されている面積の多い非電極部分には通常、生体適合性材料もしくは抗血栓材料が使用されているか、それらの性能をもつコーティングが施されており、血栓が発生するのを抑えている。
一方、電気的刺激を与えるための電極部には抗血栓コーティングは施されていないことが多く、電極部またはその周辺が起点となり血栓が発生する可能性が懸念されている。とくに電極数が多い多電極リードにおいては、血流と接する電極面積が増加し、血栓の発生確率もそれに応じて高くなると推測される。
【0003】
電気刺激デバイスにおいては、導電性金属で構成される電極を通して電気パルスを心臓や神経、血管などに加えて刺激をおこなうことで治療を行うとともに、心臓等からの電気的信号を検出していることも少なくない。したがって、電極部の設計にあたっては、バッテリーの寿命を長くするために電気パルスを生体に伝達する際の出力インピーダンスを最大にすることとともにまた生体からの特性信号を検出するための入力インピーダンスを最小にすることが望まれる。
【0004】
上述した入力インピーダンスの最適化に関して、特許文献1では、導電体材料として、スパッタされた柱状の窒化チタンを有する、一般的に使用されるペーシングに用いる電極が開示されている。この柱状の構造により、導電体表面の表面積の拡大と良好な導電性を併せ持つことで、良好な分極及び検出特性が得られるものである。
特許文献2では、窒化チタン上に生体適合性が高い炭素をコーティングすることで、導電体自身の生体適合性を高めるとともに低い分極率を実現した電極が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4602637号明細書
【特許文献2】特開2004−261600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、窒化チタン自身は生体内では安定しており、生体内に悪影響をもたらす物質ではないが、さらに血栓形成を抑制できる構成が求められている。
また、特許文献2に記載の技術では、炭素自身も血液に暴露されると血栓を惹起する性質があるため、導電体を基点として血栓が発生しうるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、入力のインピーダンスを好適に保持しつつ、血栓を発生させにくい電極を備えた電気刺激デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気刺激デバイスは、血管内に留置される電気刺激デバイスであって、電極面を露出させた電極部が外周面に設けられた絶縁性の本体を備え、前記電極部は、導体で形成されて微細凹凸構造を有する微細凹凸構造層と、抗血栓作用を有する材料で形成され、前記微細凹凸構造の一部を被覆する抗血栓層とを有することを特徴とする。
【0009】
前記導体は、窒化チタン、酸化イリジウム、白金イリジウム、金の少なくとも一つを含むものでもよい。
前記抗血栓層は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位とする重合体およびヘパリン分子の少なくとも一方を含むものでもよい。
また、前記抗血栓層は、前記電極面の平面視において、互いに平行な複数の線状に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の体内留置電極によれば、周辺組織に与える影響が少なく、体内に長期間留置することができる。
また、本発明の除細動システムは、本発明の体内留置電極を備えるため、安全に長期間留置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態の電気刺激デバイスを示す斜視図である。
【図2】同電気刺激デバイスの正極の電極面の拡大図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】(a)および(b)は、同電極面の形成手順の一例を示す図である。
【図5】(a)から(c)は、同電極面の形成手順の他の例を示す図である。
【図6】同電気刺激デバイスの変形例の正極の電極面の拡大図である。
【図7】(a)から(c)は、同電極面の形成手順の一例を示す図である。
【図8】本発明の第二実施形態の電気刺激デバイスの正極の電極面の拡大図である。
【図9】(a)から(c)は、同電極面の形成手順の一例を示す図である。
【図10】分極率を説明するためのパルス電圧の模式図である。
【図11】電極面の構成ごとの分極率を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第一実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態の電気刺激デバイス(以下、単に「デバイス」と称する。)1を示す斜視図である。デバイス1は、血管内に留置されて迷走神経等の所定の対象組織に対して血管壁越しに電気刺激を与えるものであり、電極を有する本体部10と、本体部10に取り付けられた付勢部30とを備えている。
【0013】
本体部10は、管状に形成された絶縁性の本体11と、本体11の先端側外周面に設けられた電極部12と、基端側に設けられたコネクタ13とを有する。本体11は、電気絶縁性を有する材料で内腔を有する管状に形成されている。本体11の材料としては、生体適合性に優れたものが好ましく、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、およびフッ素樹脂等を挙げることができる。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。本体11の表面には、血栓防止コーティングが施されてもよい。
【0014】
電極部12は、本体11の先端側外周面の一部のみに導電性の電極面12Aを露出させている。電極部における電極の設置個数は適宜設定できる。本実施形態では、正極14と負極15との2つの電極が電極部12に設けられており、それぞれ図示しない配線によってコネクタ13と接続されている。
【0015】
図2は、正極14の電極面12Aの拡大図であり、図3は図2のA−A線における断面図である。正極14は、図2および図3に示すように、下地となる白金層21と、白金層21上に形成された微細凹凸構造層22と、微細凹凸構造層22の表面の一部を被覆する抗血栓層23とを備えている。
【0016】
微細凹凸構造層22は、窒化チタン(TiN)からなり、その結晶構造に起因する、高さ10マイクロメートル(μm)程度の略四角錐状の微細凹凸構造を多数有する。微細凹凸構造層22の微細凹凸構造により、正極14の電極面12Aは、平坦である状態よりも表面積が増加され、生体からの特性信号を検出するための入力インピーダンスが小さく保持される。
なお、本発明のデバイスにおいて、微細凹凸構造層における微細凹凸構造は、上記のものには限られず、高さ10μm〜100ナノメートル(nm)程度の高さの凹凸構造であれば、その具体的形状に特に制限はない。
【0017】
抗血栓層23は、体内に留置された後に抗血栓性を発揮する抗血栓性材料からなる。抗血栓性材料としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine、MPC)の単独重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(VEMA)、MPCとメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体との共重合体等の親水性ポリマーや、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、メチルビニルエーテル無水マレイン酸等の各種ハイドロゲル等、あるいはヘパリンナトリウム等の抗凝固性薬剤等を用いることができる。また、これらの材料が適宜組み合わされてもよい。
中でも、MPC等のホスホリルコリン基(リン脂質極性基)を有する高分子は、ホスホリルコリン基が超親水性および高い生体適合性を有しているため、好ましい。なお、親水性は水との親和性が高い性質を意味し、超親水性とは極めてその性質が強いことを指す。また、ここで言う生体適合性とは、タンパク質や血球などの生体成分との相互作用がなく、タンパク質の変性や血液の凝固反応といった生体異物反応を起こさない性質を指す。
本実施形態では、MPCの単独重合体を用いて抗血栓層23が形成されている。
【0018】
図4および図5に、抗血栓層23の形成方法の一例を示す。図4(a)に示すように、白金層21上に微細凹凸構造層22を形成し、図4(b)に示すように、微細凹凸構造の一部が露出する程度の厚さに抗血栓性材料を成膜することにより、抗血栓層23を備えた電極面を形成することができる。また、図5(a)に示すように白金層21上に微細凹凸構造層22を形成し、図5(b)に示すように微細凹凸構造層22を完全に被覆するように抗血栓材料の層23aを形成してから、図5(c)に示すように、レーザー光Lの照射等により層23aの一部を除去して微細凹凸構造の一部を露出させ、抗血栓層23を形成してもよい。目安としては、電極面12Aの平面視において、概ね微細凹凸構造層22の半分程度が露出するように抗血栓層23を形成するとよい。
血栓性材料としてMPCを用いる場合、そのまま塗布等してもよいが、水に溶けやすく剥がれやすいため、MPCとアクリル酸エステルとの共重合体を用いるのが好ましい。アクリル酸エステルとしては、たとえばメタクリル酸ブチル等を好適に用いることができる。メタクリル酸ブチルとしては、メタクリル酸n−ブチル(BMA)やメタクリル酸イソブチル等を用いることができる。
上述の共重合体を用いる場合は、グラフト重合により微細凹凸構造層22の表面に固定することも可能であり、この場合は微細凹凸構造層22上により確実に抗血栓層23を固定することができる。
なお、説明を省略するが、負極15の構造も正極14と同様である。
【0019】
本体11の外周面における電極面12Aの露出角度(本体11を軸線方向に見たときに電極面12Aが露出する領域に対応する中心角)が小さすぎると、電気刺激のために大きな電圧が必要となる。また、電極面12Aの露出角度が大きすぎると、他の周辺組織に電気が漏れやすくなる。デバイス1が上大静脈に留置されて迷走神経を刺激する場合、電気が漏れることにより、横隔神経を刺激するため、電極面12Aの露出角度には制限が存在する。また、露出角度が大きすぎると、電極と血液が接触しやすくなり、迷走神経に対向する血管組織よりも、血液を経由して電気エネルギーが流れ、迷走神経を刺激しにくくなる。本実施形態では、これらの事情を考慮し、電極面12Aの露出角度を180度以下に設定している。
【0020】
コネクタ13は、電気刺激を発生する刺激発生装置と接続される部位であり、接続される機器に応じて適宜公知の構成を採用することができる。
デバイス1と接続される刺激発生装置としては、心臓ペースメーカー、除細動装置、神経刺激装置、疼痛緩和装置、てんかん治療装置、または筋肉刺激装置等で従来から用いられているものが挙げられる。刺激発生装置には、生体に植え込まれるものや、体外に装着されるものがあるが、いずれの場合も、電極駆動用電源(バッテリー)、治療用の刺激信号を発生するための電気回路、およびコネクタ13と接続される接続部を有している。
【0021】
付勢部30は、弾性体からなる一対の付勢部材31、32を有する。各付勢部材は、可逆的に変形可能な可撓性と、留置される血管壁の変形に抗して一定の形状を保持可能な程度の剛性とを有しており、例えばニッケルチタン製の超弾性ワイヤ等を用いて好適に形成することができる。必要に応じて付勢部材の表面を生体適合性樹脂で被覆したり、血栓防止のためのコーティング等を施したりしてもよい。
【0022】
付勢部材31、32の先端部(第二の端部)31a、32aは、固定部材33によって本体11の先端側に固定されており、基端部(第一の端部)31b、32bは、固定部材34によって本体11のうち電極部12よりも基端側の外周面に固定されている。付勢部材の固定方法には特に制限はなく、カシメや接着等の公知の方法を適宜選択することができる。したがって、上述の固定部材を用いずに固定されても構わない。
各付勢部材31、32は、デバイス1を本体11の軸線方向に見たときに、円形(略円形を含む。)となるようにくせ付けされている。これにより、デバイス1が血管内に留置された際に、血管の内壁に概ね周方向にわたって接触し、一定の内径を保持して電極部を血管の内壁に接触するように付勢する。
【0023】
上記のように構成されたデバイス1の留置時の動作について、迷走神経を刺激対象組織として上大静脈に留置する場合の例で説明する。
まず術者は、患者の頸部の皮膚を切開して、上大静脈に切開部を形成する。次に術者は、切開部にイントロデューサーやガイドシース等の管状部材を挿入し、管状部材の先端を迷走神経が並行する血管内壁の近傍に位置させる。
【0024】
次に術者は、付勢部材31、32を折りたたんでから、デバイス1を先端側から管状部材内に挿入する。
管状部材にデバイス1を挿入した後、術者は、デバイス1を前進させて、管状部材の先端開口から上大静脈の内部に突出させる。すると、付勢部材31、32が折りたたむ前の形状に復帰して、ほぼ周方向にわたって血管壁に接触する。付勢部材31、32は、接触した血管壁に押されるため、若干弾性変形したりすることもあるが、その剛性により、一定の径を保持する。これにより、付勢部30は血管壁と接触して電極部12の電極面12Aが血管壁に密着するように本体部10を付勢し、デバイス1の留置中、電極面12Aと血管の内壁との接触状態を良好に保持する。
また、電極部12を含む本体部10、および付勢部30は、いずれも血管の内壁に沿って設置されるため、留置部位における血液の流れが阻害されにくく、デバイス1の留置に起因する血栓の発生が抑制される。
【0025】
デバイス1の留置後、コネクタ13を刺激発生装置に接続して、刺激発生装置から予め設定された電気刺激バルスを印加する。これにより、電極部12から放出された電気刺激エネルギーが血管壁越しに迷走神経に伝達され、間接的に電気刺激されて治療が行われる。刺激発生装置が心電波形等の生体情報の検出回路を備えている場合、電極部12の電極面12Aが微細凹凸構造層22を有するため、当該生体情報を高感度に検出することができる。
【0026】
以上説明したように、本発明のデバイス1によれば、電極部12の電極面12Aが、微細凹凸構造層22と、微細凹凸構造層22の一部を覆う抗血栓層23とを備えている。その結果、電極面12Aの表面積を増加させることにより入力インピーダンスを小さく保持して高感度の生体情報検出を可能にしつつ、微細凹凸構造層22を構成するTiNに起因する血栓形成を抑制して好適に体内に留置することができる。
【0027】
微細凹凸構造層22の一部を被覆する抗血栓層の態様は、上述した例のものには限定されない。例えば、図6に示すように、電極面12Aの平面視において抗血栓層23を互いに平行な複数の線状領域からなる縞状に形成し、微細凹凸構造層22が完全に被覆された領域と、完全に露出された領域とを縞状に配置してもよい。このような抗血栓層は、例えば図7(a)から図7(c)に示すように、まず微細凹凸構造層22の全面を被覆するように抗血栓材料の層23aを形成し、レーザー光L等により縞状に層23aを除去することにより容易に形成することができる。また、縞状以外にも、格子状等の他の形状に抗血栓層が形成されてもよい。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態のデバイス41と上述のデバイス1との異なるところは、微細凹凸構造層および抗血栓層の態様である。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0029】
図8は、デバイス41の電極面12Aを示す平面図である。本実施形態の微細凹凸構造層42は、酸化イリジウムで形成されており、径がnmオーダーの略円柱状の孔42Aを微細凹凸構造として多数有するナノポーラス構造を備えている。抗血栓層23は、各孔42Aを埋めるように配置されている。
このような抗血栓層は、例えば図9(a)から図9(c)に示すように、まず白金層21上に微細凹凸構造層42を形成し、次いで微細凹凸構造層42の全面を被覆するように抗血栓材料の層23aを形成し、最後にレーザー光L等により微細凹凸構造層42上面上の層23aをすべて除去することにより容易に形成することができる。
【0030】
本実施形態のデバイス41においても、第一実施形態のデバイス1同様、電極面の表面積を増加させることにより入力インピーダンスを小さく保持して高感度の生体情報検出を可能にしつつ、微細凹凸構造層を構成する材料に起因する血栓形成を抑制して好適に体内に留置することができる。
【0031】
最後に、抗血栓層を備える本発明のデバイスの電極面と、抗血栓層を備えない従来のデバイスの電極面とで入力インピーダンスの指標の一つである分極率を比較したデータを示す。分極率は、図10に示す各電極面のパルス波形におけるVとVpから、下記のように算出した。
分極率(%)=Vp/V×100
【0032】
図11に示すように、TiNからなる微細凹凸構造層22を備えた電極は、白金層21のみの電極に比べて分極率が大きく低下していた。また、抗血栓層なしでTiNからなる微細凹凸構造層22のみ備える電極における分極率が約13%であったのに対し、MPCからなる抗血栓層23を備える本発明のデバイスにおける電極の分極率は約17%であり、抗血栓層23の配置により分極率が大きく増加されていないことが確認された。なお、抗血栓層は、図4に示す手順で形成した。
抗血栓層によって微細凹凸構造をどの程度被覆すればよいかは、電極の面積や留置される部位等によっても異なるが、微細凹凸構造の50〜60%を被覆するように設定すると、多くの場合において電気的性能と抗血栓性とのバランスを良くすることができる。
【0033】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
たとえば、微細凹凸構造層を形成する導体は、上述したもののほかにも、白金イリジウムや金などを用いることが可能である。また、これらが窒化チタンや酸化イリジウムと組み合わされて微細凹凸構造層が形成されてもよく、その場合は、表面の一部領域にのみ微細凹凸構造を有する形状とされてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1、41 電気刺激デバイス
11 本体
12 電極部
12A 電極面
22、42 微細凹凸構造層
23 抗血栓層
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に留置される電気刺激デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不整脈の治療を目的として血管内に電極を留置して電気的刺激を行う電気刺激デバイスが開発されている。この電気刺激デバイスの表面は、留置期間中常に血流にさらされており、血流に暴露されている面積の多い非電極部分には通常、生体適合性材料もしくは抗血栓材料が使用されているか、それらの性能をもつコーティングが施されており、血栓が発生するのを抑えている。
一方、電気的刺激を与えるための電極部には抗血栓コーティングは施されていないことが多く、電極部またはその周辺が起点となり血栓が発生する可能性が懸念されている。とくに電極数が多い多電極リードにおいては、血流と接する電極面積が増加し、血栓の発生確率もそれに応じて高くなると推測される。
【0003】
電気刺激デバイスにおいては、導電性金属で構成される電極を通して電気パルスを心臓や神経、血管などに加えて刺激をおこなうことで治療を行うとともに、心臓等からの電気的信号を検出していることも少なくない。したがって、電極部の設計にあたっては、バッテリーの寿命を長くするために電気パルスを生体に伝達する際の出力インピーダンスを最大にすることとともにまた生体からの特性信号を検出するための入力インピーダンスを最小にすることが望まれる。
【0004】
上述した入力インピーダンスの最適化に関して、特許文献1では、導電体材料として、スパッタされた柱状の窒化チタンを有する、一般的に使用されるペーシングに用いる電極が開示されている。この柱状の構造により、導電体表面の表面積の拡大と良好な導電性を併せ持つことで、良好な分極及び検出特性が得られるものである。
特許文献2では、窒化チタン上に生体適合性が高い炭素をコーティングすることで、導電体自身の生体適合性を高めるとともに低い分極率を実現した電極が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4602637号明細書
【特許文献2】特開2004−261600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、窒化チタン自身は生体内では安定しており、生体内に悪影響をもたらす物質ではないが、さらに血栓形成を抑制できる構成が求められている。
また、特許文献2に記載の技術では、炭素自身も血液に暴露されると血栓を惹起する性質があるため、導電体を基点として血栓が発生しうるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、入力のインピーダンスを好適に保持しつつ、血栓を発生させにくい電極を備えた電気刺激デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気刺激デバイスは、血管内に留置される電気刺激デバイスであって、電極面を露出させた電極部が外周面に設けられた絶縁性の本体を備え、前記電極部は、導体で形成されて微細凹凸構造を有する微細凹凸構造層と、抗血栓作用を有する材料で形成され、前記微細凹凸構造の一部を被覆する抗血栓層とを有することを特徴とする。
【0009】
前記導体は、窒化チタン、酸化イリジウム、白金イリジウム、金の少なくとも一つを含むものでもよい。
前記抗血栓層は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位とする重合体およびヘパリン分子の少なくとも一方を含むものでもよい。
また、前記抗血栓層は、前記電極面の平面視において、互いに平行な複数の線状に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の体内留置電極によれば、周辺組織に与える影響が少なく、体内に長期間留置することができる。
また、本発明の除細動システムは、本発明の体内留置電極を備えるため、安全に長期間留置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態の電気刺激デバイスを示す斜視図である。
【図2】同電気刺激デバイスの正極の電極面の拡大図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】(a)および(b)は、同電極面の形成手順の一例を示す図である。
【図5】(a)から(c)は、同電極面の形成手順の他の例を示す図である。
【図6】同電気刺激デバイスの変形例の正極の電極面の拡大図である。
【図7】(a)から(c)は、同電極面の形成手順の一例を示す図である。
【図8】本発明の第二実施形態の電気刺激デバイスの正極の電極面の拡大図である。
【図9】(a)から(c)は、同電極面の形成手順の一例を示す図である。
【図10】分極率を説明するためのパルス電圧の模式図である。
【図11】電極面の構成ごとの分極率を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第一実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態の電気刺激デバイス(以下、単に「デバイス」と称する。)1を示す斜視図である。デバイス1は、血管内に留置されて迷走神経等の所定の対象組織に対して血管壁越しに電気刺激を与えるものであり、電極を有する本体部10と、本体部10に取り付けられた付勢部30とを備えている。
【0013】
本体部10は、管状に形成された絶縁性の本体11と、本体11の先端側外周面に設けられた電極部12と、基端側に設けられたコネクタ13とを有する。本体11は、電気絶縁性を有する材料で内腔を有する管状に形成されている。本体11の材料としては、生体適合性に優れたものが好ましく、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、およびフッ素樹脂等を挙げることができる。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。本体11の表面には、血栓防止コーティングが施されてもよい。
【0014】
電極部12は、本体11の先端側外周面の一部のみに導電性の電極面12Aを露出させている。電極部における電極の設置個数は適宜設定できる。本実施形態では、正極14と負極15との2つの電極が電極部12に設けられており、それぞれ図示しない配線によってコネクタ13と接続されている。
【0015】
図2は、正極14の電極面12Aの拡大図であり、図3は図2のA−A線における断面図である。正極14は、図2および図3に示すように、下地となる白金層21と、白金層21上に形成された微細凹凸構造層22と、微細凹凸構造層22の表面の一部を被覆する抗血栓層23とを備えている。
【0016】
微細凹凸構造層22は、窒化チタン(TiN)からなり、その結晶構造に起因する、高さ10マイクロメートル(μm)程度の略四角錐状の微細凹凸構造を多数有する。微細凹凸構造層22の微細凹凸構造により、正極14の電極面12Aは、平坦である状態よりも表面積が増加され、生体からの特性信号を検出するための入力インピーダンスが小さく保持される。
なお、本発明のデバイスにおいて、微細凹凸構造層における微細凹凸構造は、上記のものには限られず、高さ10μm〜100ナノメートル(nm)程度の高さの凹凸構造であれば、その具体的形状に特に制限はない。
【0017】
抗血栓層23は、体内に留置された後に抗血栓性を発揮する抗血栓性材料からなる。抗血栓性材料としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine、MPC)の単独重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(VEMA)、MPCとメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体との共重合体等の親水性ポリマーや、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、メチルビニルエーテル無水マレイン酸等の各種ハイドロゲル等、あるいはヘパリンナトリウム等の抗凝固性薬剤等を用いることができる。また、これらの材料が適宜組み合わされてもよい。
中でも、MPC等のホスホリルコリン基(リン脂質極性基)を有する高分子は、ホスホリルコリン基が超親水性および高い生体適合性を有しているため、好ましい。なお、親水性は水との親和性が高い性質を意味し、超親水性とは極めてその性質が強いことを指す。また、ここで言う生体適合性とは、タンパク質や血球などの生体成分との相互作用がなく、タンパク質の変性や血液の凝固反応といった生体異物反応を起こさない性質を指す。
本実施形態では、MPCの単独重合体を用いて抗血栓層23が形成されている。
【0018】
図4および図5に、抗血栓層23の形成方法の一例を示す。図4(a)に示すように、白金層21上に微細凹凸構造層22を形成し、図4(b)に示すように、微細凹凸構造の一部が露出する程度の厚さに抗血栓性材料を成膜することにより、抗血栓層23を備えた電極面を形成することができる。また、図5(a)に示すように白金層21上に微細凹凸構造層22を形成し、図5(b)に示すように微細凹凸構造層22を完全に被覆するように抗血栓材料の層23aを形成してから、図5(c)に示すように、レーザー光Lの照射等により層23aの一部を除去して微細凹凸構造の一部を露出させ、抗血栓層23を形成してもよい。目安としては、電極面12Aの平面視において、概ね微細凹凸構造層22の半分程度が露出するように抗血栓層23を形成するとよい。
血栓性材料としてMPCを用いる場合、そのまま塗布等してもよいが、水に溶けやすく剥がれやすいため、MPCとアクリル酸エステルとの共重合体を用いるのが好ましい。アクリル酸エステルとしては、たとえばメタクリル酸ブチル等を好適に用いることができる。メタクリル酸ブチルとしては、メタクリル酸n−ブチル(BMA)やメタクリル酸イソブチル等を用いることができる。
上述の共重合体を用いる場合は、グラフト重合により微細凹凸構造層22の表面に固定することも可能であり、この場合は微細凹凸構造層22上により確実に抗血栓層23を固定することができる。
なお、説明を省略するが、負極15の構造も正極14と同様である。
【0019】
本体11の外周面における電極面12Aの露出角度(本体11を軸線方向に見たときに電極面12Aが露出する領域に対応する中心角)が小さすぎると、電気刺激のために大きな電圧が必要となる。また、電極面12Aの露出角度が大きすぎると、他の周辺組織に電気が漏れやすくなる。デバイス1が上大静脈に留置されて迷走神経を刺激する場合、電気が漏れることにより、横隔神経を刺激するため、電極面12Aの露出角度には制限が存在する。また、露出角度が大きすぎると、電極と血液が接触しやすくなり、迷走神経に対向する血管組織よりも、血液を経由して電気エネルギーが流れ、迷走神経を刺激しにくくなる。本実施形態では、これらの事情を考慮し、電極面12Aの露出角度を180度以下に設定している。
【0020】
コネクタ13は、電気刺激を発生する刺激発生装置と接続される部位であり、接続される機器に応じて適宜公知の構成を採用することができる。
デバイス1と接続される刺激発生装置としては、心臓ペースメーカー、除細動装置、神経刺激装置、疼痛緩和装置、てんかん治療装置、または筋肉刺激装置等で従来から用いられているものが挙げられる。刺激発生装置には、生体に植え込まれるものや、体外に装着されるものがあるが、いずれの場合も、電極駆動用電源(バッテリー)、治療用の刺激信号を発生するための電気回路、およびコネクタ13と接続される接続部を有している。
【0021】
付勢部30は、弾性体からなる一対の付勢部材31、32を有する。各付勢部材は、可逆的に変形可能な可撓性と、留置される血管壁の変形に抗して一定の形状を保持可能な程度の剛性とを有しており、例えばニッケルチタン製の超弾性ワイヤ等を用いて好適に形成することができる。必要に応じて付勢部材の表面を生体適合性樹脂で被覆したり、血栓防止のためのコーティング等を施したりしてもよい。
【0022】
付勢部材31、32の先端部(第二の端部)31a、32aは、固定部材33によって本体11の先端側に固定されており、基端部(第一の端部)31b、32bは、固定部材34によって本体11のうち電極部12よりも基端側の外周面に固定されている。付勢部材の固定方法には特に制限はなく、カシメや接着等の公知の方法を適宜選択することができる。したがって、上述の固定部材を用いずに固定されても構わない。
各付勢部材31、32は、デバイス1を本体11の軸線方向に見たときに、円形(略円形を含む。)となるようにくせ付けされている。これにより、デバイス1が血管内に留置された際に、血管の内壁に概ね周方向にわたって接触し、一定の内径を保持して電極部を血管の内壁に接触するように付勢する。
【0023】
上記のように構成されたデバイス1の留置時の動作について、迷走神経を刺激対象組織として上大静脈に留置する場合の例で説明する。
まず術者は、患者の頸部の皮膚を切開して、上大静脈に切開部を形成する。次に術者は、切開部にイントロデューサーやガイドシース等の管状部材を挿入し、管状部材の先端を迷走神経が並行する血管内壁の近傍に位置させる。
【0024】
次に術者は、付勢部材31、32を折りたたんでから、デバイス1を先端側から管状部材内に挿入する。
管状部材にデバイス1を挿入した後、術者は、デバイス1を前進させて、管状部材の先端開口から上大静脈の内部に突出させる。すると、付勢部材31、32が折りたたむ前の形状に復帰して、ほぼ周方向にわたって血管壁に接触する。付勢部材31、32は、接触した血管壁に押されるため、若干弾性変形したりすることもあるが、その剛性により、一定の径を保持する。これにより、付勢部30は血管壁と接触して電極部12の電極面12Aが血管壁に密着するように本体部10を付勢し、デバイス1の留置中、電極面12Aと血管の内壁との接触状態を良好に保持する。
また、電極部12を含む本体部10、および付勢部30は、いずれも血管の内壁に沿って設置されるため、留置部位における血液の流れが阻害されにくく、デバイス1の留置に起因する血栓の発生が抑制される。
【0025】
デバイス1の留置後、コネクタ13を刺激発生装置に接続して、刺激発生装置から予め設定された電気刺激バルスを印加する。これにより、電極部12から放出された電気刺激エネルギーが血管壁越しに迷走神経に伝達され、間接的に電気刺激されて治療が行われる。刺激発生装置が心電波形等の生体情報の検出回路を備えている場合、電極部12の電極面12Aが微細凹凸構造層22を有するため、当該生体情報を高感度に検出することができる。
【0026】
以上説明したように、本発明のデバイス1によれば、電極部12の電極面12Aが、微細凹凸構造層22と、微細凹凸構造層22の一部を覆う抗血栓層23とを備えている。その結果、電極面12Aの表面積を増加させることにより入力インピーダンスを小さく保持して高感度の生体情報検出を可能にしつつ、微細凹凸構造層22を構成するTiNに起因する血栓形成を抑制して好適に体内に留置することができる。
【0027】
微細凹凸構造層22の一部を被覆する抗血栓層の態様は、上述した例のものには限定されない。例えば、図6に示すように、電極面12Aの平面視において抗血栓層23を互いに平行な複数の線状領域からなる縞状に形成し、微細凹凸構造層22が完全に被覆された領域と、完全に露出された領域とを縞状に配置してもよい。このような抗血栓層は、例えば図7(a)から図7(c)に示すように、まず微細凹凸構造層22の全面を被覆するように抗血栓材料の層23aを形成し、レーザー光L等により縞状に層23aを除去することにより容易に形成することができる。また、縞状以外にも、格子状等の他の形状に抗血栓層が形成されてもよい。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態のデバイス41と上述のデバイス1との異なるところは、微細凹凸構造層および抗血栓層の態様である。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0029】
図8は、デバイス41の電極面12Aを示す平面図である。本実施形態の微細凹凸構造層42は、酸化イリジウムで形成されており、径がnmオーダーの略円柱状の孔42Aを微細凹凸構造として多数有するナノポーラス構造を備えている。抗血栓層23は、各孔42Aを埋めるように配置されている。
このような抗血栓層は、例えば図9(a)から図9(c)に示すように、まず白金層21上に微細凹凸構造層42を形成し、次いで微細凹凸構造層42の全面を被覆するように抗血栓材料の層23aを形成し、最後にレーザー光L等により微細凹凸構造層42上面上の層23aをすべて除去することにより容易に形成することができる。
【0030】
本実施形態のデバイス41においても、第一実施形態のデバイス1同様、電極面の表面積を増加させることにより入力インピーダンスを小さく保持して高感度の生体情報検出を可能にしつつ、微細凹凸構造層を構成する材料に起因する血栓形成を抑制して好適に体内に留置することができる。
【0031】
最後に、抗血栓層を備える本発明のデバイスの電極面と、抗血栓層を備えない従来のデバイスの電極面とで入力インピーダンスの指標の一つである分極率を比較したデータを示す。分極率は、図10に示す各電極面のパルス波形におけるVとVpから、下記のように算出した。
分極率(%)=Vp/V×100
【0032】
図11に示すように、TiNからなる微細凹凸構造層22を備えた電極は、白金層21のみの電極に比べて分極率が大きく低下していた。また、抗血栓層なしでTiNからなる微細凹凸構造層22のみ備える電極における分極率が約13%であったのに対し、MPCからなる抗血栓層23を備える本発明のデバイスにおける電極の分極率は約17%であり、抗血栓層23の配置により分極率が大きく増加されていないことが確認された。なお、抗血栓層は、図4に示す手順で形成した。
抗血栓層によって微細凹凸構造をどの程度被覆すればよいかは、電極の面積や留置される部位等によっても異なるが、微細凹凸構造の50〜60%を被覆するように設定すると、多くの場合において電気的性能と抗血栓性とのバランスを良くすることができる。
【0033】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
たとえば、微細凹凸構造層を形成する導体は、上述したもののほかにも、白金イリジウムや金などを用いることが可能である。また、これらが窒化チタンや酸化イリジウムと組み合わされて微細凹凸構造層が形成されてもよく、その場合は、表面の一部領域にのみ微細凹凸構造を有する形状とされてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1、41 電気刺激デバイス
11 本体
12 電極部
12A 電極面
22、42 微細凹凸構造層
23 抗血栓層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に留置される電気刺激デバイスであって、
電極面を露出させた電極部が外周面に設けられた絶縁性の本体を備え、
前記電極部は、
導体で形成されて微細凹凸構造を有する微細凹凸構造層と、
抗血栓作用を有する材料で形成され、前記微細凹凸構造の一部を被覆する抗血栓層と、を有することを特徴とする電気刺激デバイス。
【請求項2】
前記抗血栓層は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位とする重合体およびヘパリン分子の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激デバイス。
【請求項3】
前記導体は、窒化チタン、酸化イリジウム、白金イリジウム、金の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激デバイス。
【請求項4】
前記抗血栓層は、前記電極面の平面視において、互いに平行な複数の線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気刺激デバイス。
【請求項1】
血管内に留置される電気刺激デバイスであって、
電極面を露出させた電極部が外周面に設けられた絶縁性の本体を備え、
前記電極部は、
導体で形成されて微細凹凸構造を有する微細凹凸構造層と、
抗血栓作用を有する材料で形成され、前記微細凹凸構造の一部を被覆する抗血栓層と、を有することを特徴とする電気刺激デバイス。
【請求項2】
前記抗血栓層は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位とする重合体およびヘパリン分子の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激デバイス。
【請求項3】
前記導体は、窒化チタン、酸化イリジウム、白金イリジウム、金の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激デバイス。
【請求項4】
前記抗血栓層は、前記電極面の平面視において、互いに平行な複数の線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気刺激デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−235875(P2012−235875A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106112(P2011−106112)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]