説明

電気加熱装置

【課題】高い動作電圧においても安全に動作させることのできる電気加熱装置、を提供する。
【解決手段】電気加熱装置、特に、自動車の補助暖房としての加熱装置であって、ハウジング2内に保持されている加熱ブロック8を備えており、前記ハウジング2が、互いに対向するハウジング開口部10を形成しており、少なくとも1つの放熱要素および少なくとも1つの発熱要素20の周囲を囲んでいる平行な層を備えている、電気加熱装置、に関する。本発明の目的は、冒頭に記載したタイプの電気加熱装置であって、高い動作電圧においても安全に動作させることのできる電気加熱装置、を提供することである。この問題を解決するため、本発明によると、前述した電気加熱装置は、ハウジング開口部10を覆っている、絶縁材料の接触保護部、をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱装置に関し、詳細には、自動車の補助暖房としての加熱装置であって、ハウジング内に保持されている加熱ブロックを備えており、ハウジングが、互いに対向するハウジング開口部を形成しており、少なくとも1つの放熱要素および少なくとも1つの発熱要素の周囲を囲んでいる平行な層を備えている、加熱装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの電気加熱装置は、例えば、本出願人による特許文献1から公知である。上述したタイプの一般的な電気加熱装置は、通常では、少なくとも1つのPTC素子を有する発熱要素を備えており、PTC素子の互いに対向する面に導電性の薄板金属帯が当接しており、これら金属帯を通じてPTC素子に電流が供給される。電流は通常では12ボルトで供給される。この動作電圧は人体に無害であり、したがって通常では、加熱ブロックに誤って触れることを防止するための特殊な方策を施す必要がない。通常では、発熱要素の互いに対向する面の外側に放熱要素が配置されており、放熱要素には、薄板金属帯と同じ極性の電流が供給される。この点において、放熱要素(加熱する媒体が表面を通過し、フレーム開口部の中に露出している)は、電流が流れる。
【0003】
特に高い動作電圧の場合、放熱要素と薄板金属帯との間に絶縁層を設ける方法は、前述した従来技術から公知である。したがって、1つまたは複数のPTC素子のための帯状導体と、放熱要素(すなわち加熱ブロックのラジエータ層)は、電気的に絶縁されている。しかしながら、この電気的絶縁に起因して、ある程度の熱絶縁がもたらされ、これによってPTC素子の効率が低下する。これらのPTC素子は自己調整特性を有し、したがって、PTC素子が良好な効率で動作するとき、PTC素子によって発生する熱が最も良好に放散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1768459号明細書
【特許文献2】欧州特許第1621378号明細書
【特許文献3】欧州特許第1173340号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、冒頭に記載したタイプの電気加熱装置であって、高い動作電圧においても安全に動作させることのできる電気加熱装置、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題を解決するため、本発明によると、前述した電気加熱装置は、ハウジング開口部を覆っている、絶縁材料の少なくとも1つの接触保護部、をさらに備えている。本発明によると、ハウジング開口部、特に、流れの方向において前側のハウジング開口部(すなわち、加熱装置を流れる空気が最初に通過するハウジング開口部)に、接触保護部が設けられている。好ましくは、互いに対向するハウジング開口部(通常、平面的な加熱ブロックを囲んでいる)の両方が、接触保護部によって覆われている。接触保護部は、特に、加熱ブロックの通電要素を覆っている。接触保護部は、使用者がフレーム開口部に指を挿入して加熱ブロックに触れることができないような細かい目であるように選択されている。接触保護部は、修理目的に通常使用される工具についても、フレーム開口部を通って加熱ブロックに触れることができないように設けられていることが好ましい。この場合、比較的細かい目のプラスチックメッシュが特に考慮される。プラスチックメッシュは、比較的耐熱性のプラスチック、特に、ナイロンやテフロン〈登録商標〉から形成されているべきである。この場合、プラスチックメッシュを格子状に形成することも考えられる。この点において、細かい目とは、好ましくはメッシュサイズが0.7〜1.0mmの範囲内、好ましくは0.8〜0.9mmの範囲内に指定されていることを意味する。目標は、直径1.0mmの試験ワイヤを1Nの力で加熱ブロックに(すなわち接触保護部を通って)挿入することが阻止されることとする。接触保護部を通る流れをできる限り良好にするため、接触保護部を通過するための開口領域は、約75%〜90%、好ましくは約85%〜90%であるように選択するべきである。
【0007】
本発明では、安全のための接触保護部が提供され、したがって発熱要素と放熱要素との間に絶縁層を設ける必要がない。したがって、本発明による加熱装置の効率は、特許文献1の先行技術と比較して(特に、熱伝導率が比較的低い、多層構造の冗長な絶縁層が形成されている場合)、改善される。
【0008】
特許文献2からは、互いに対向するハウジング開口部が流れ抵抗格子によって覆われている、一般的なタイプの電気加熱装置が知られている。しかしながら、この流れ抵抗格子は、加熱ブロックの要素が存在しない領域においてハウジングの流れ抵抗を適切に調整することを目的として使用されている。本発明による提案は、これとは異なり、接触保護部は、流れの方向において加熱ブロックのアクティブ要素の直前、または直後に(すなわち少なくとも1つの放熱要素もしくは少なくとも1つの発熱要素またはその両方の後ろに)、位置している。このことは、特許文献3についても同様であり、この特許は、加熱ブロックの要素に隣接する、ハウジング内の少なくとも1つの代替要素を開示している。
【0009】
本発明による電気加熱装置では、加熱ブロックは、通常では絶縁材料(特にプラスチック)から形成されているハウジングによって周囲が囲まれており、その一方で、ハウジングに形成されている互いに対向するハウジング開口部は、接触保護部(特に、プラスチックの格子)によって覆われている。したがって、加熱される媒体(通常では空気)は、接触保護部を通過して加熱ブロック(特に、流れの方向において接触保護部の後ろに位置する、加熱ブロックの通電要素)に達することができるが、取り付け作業者または保守作業者の身体部分、またはこれらの作業者が使用する工具、または空気の通路に入った異物もしくは場合によっては空気流によってもたらされた異物については、いずれも加熱ブロックに達することができない。
【0010】
本発明のさらなる発展形態によると、支柱構造にプラスチックメッシュが取り付けられており、支柱構造の支柱がそれぞれのハウジング開口部をまたいで延在しており、プラスチックメッシュが加熱ブロックの表面に当接することが阻止されている。この支柱構造は、1本または複数の互いに平行な支柱から形成する、または格子構造によって形成することもできる。支柱構造の個々の支柱または格子の支柱は、ハウジング開口部の方に露出している加熱ブロックの表面にプラスチックメッシュが当接するような大きなたわみが通常の負荷では生じないように、高い剛性に形成されていることが好ましい。
【0011】
経済的な製造に関して、本発明のさらなる発展形態によると、支柱構造を形成するプラスチック要素によってプラスチックメッシュをオーバーモールドすることによって、プラスチックメッシュを支柱構造の支柱に接合することを提案する。したがって、電気加熱装置の製造時、支柱構造を成形するための金型キャビティを備えた射出成形金型の中にプラスチックメッシュを挿入する。この場合、プラスチックメッシュの両側にオーバーモールドした後にプラスチックメッシュが硬いプラスチック要素として組み込まれているようにするため、支柱構造を形成するプラスチック要素がプラスチックメッシュの片側のみならず反対側にも形成されるように、金型キャビティを作製することが好ましい。この場合、加熱される媒体が妨げられることなく放熱要素の表面を流れるようにするため、加熱ブロックの層に平行に延在する支柱それぞれが発熱要素と同じ高さに位置しているように、支柱または格子構造が形成されていることが好ましい。
【0012】
さらなる好ましい発展形態によると、加熱ブロックと接触保護部との間に少なくとも1つの間隔要素(spacing element)が設けられている。これにより、外部から作用し得る圧力の印加に起因して接触保護部および場合によっては支柱構造がある程度たわんだ場合にも、接触保護部が加熱ブロック要素に直接接触することが防止される。1つまたは複数の間隔要素は、通常では接触保護部と加熱ブロックとの間に4〜8mmの範囲内の間隔が形成されるように、選択する。1つまたは複数の間隔要素の寸法を適切に選択することによって、接触保護部がたわんだときの加熱ブロックと接触保護部との間の間隔が少なくとも2mmあるようにするべきである。間隔要素は、加熱ブロックの両側、接触保護部によって覆われているフレーム開口と加熱ブロックとの間に、設けることができる。
【0013】
さらなる好ましい発展形態によると、間隔要素は、支柱構造の支柱の上に内側に突き出している間隔支持部(spacing support)によって、もしくは間隔ウェブ(spacing web)によって、またはその両方によって形成されている。間隔ウェブは、少なくとも1つのPTC素子を収容している放熱要素の配置フレームの上に突き出しており、好ましくは配置フレームと一体に形成されている。
【0014】
後者(間隔ウェブ)の場合には、発熱要素は、少なくとも1つのPTC素子によって、それ自体公知の様式に形成されており、少なくとも1つのPTC素子は、互いに平行な薄板金属帯の間に設けられており、絶縁材料の配置フレームに収容されている。配置フレームは、通常、1つまたは複数のPTC素子を収容する複数の受け入れ開口部を有する。配置フレームは、通常ではPTC素子の厚さよりも小さい厚さを有する。しかしながら、このさらなる発展形態によると、配置フレームは、間隔要素も形成しており、間隔要素は、本質的に平面的な加熱ブロックよりも突き出しており、加熱ブロックの表面に対する接触保護部(特に、プラスチックメッシュ)の間隔を維持している。この目的のため、配置フレームは、通常、加熱ブロックの外側に延びており、加熱ブロックよりも突き出している。
【0015】
前者(間隔支持部)の設計の場合には、ハウジング開口部を貫いている、支柱構造の少なくとも1本の支柱が、間隔要素として形成されている。これらの支柱は、それ自体公知の様式において、放熱要素の層に平行に、放熱要素の層の前に延在させることができる。さらに、これらの支柱に直角に延在する横支柱に、間隔ウェブを設けることができる。この場合、間隔支持部は、配置フレームによって形成されている間隔ウェブと協働して、接触保護部と加熱ブロック要素との間に要求される間隔を達成することができる。したがって、間隔支持部および間隔ウェブは、それぞれ縦方向に支柱または配置フレームによって連続的に形成することができる。少なくとも1つの間隔支持部または間隔ウェブは、これら2つの要素がある程度リンクされるように、間隔支持部と間隔ウェブとの交差部分に、他方を収容する凹部を有することができる。
【0016】
本発明のさらなる好ましい発展形態によると、支柱構造は、プラスチックメッシュと一緒にハウジングに取り付けられる(clipped)。この実施形態では、既存の電気加熱装置に、本発明による接触保護部を組み込む可能性を提供する。この取付けは、通常では、支柱構造の射出成形時に形成されるラッチ要素によって実施する。
【0017】
代替実施形態では、ハウジングは、ハウジング上側部およびハウジング下側部を備えており、これらのハウジング部それぞれには、ハウジング開口部が形成されている。ハウジング部は、プラスチックから形成されており、加熱ブロックの周囲を囲んでいる。ハウジング部は、通常では支柱構造を有し、この場合、ハウジング部を形成するプラスチック材料によってオーバーモールドすることによって、プラスチックメッシュが対応するハウジング部に直接接合されるようにする。
【0018】
本発明のさらなる好ましい実施形態によると、加熱ブロックの通電要素と接触保護部との間それぞれに、少なくとも5mmの絶縁距離(creep path)が形成されている。間隔要素は、絶縁距離の一部を形成し、すなわち、加熱ブロックと接触保護部の内面との間に、絶縁距離の上記の値よりも小さい間隔を提供する。この場合、適切な絶縁距離は、1つまたは複数の間隔要素を幾何学的に実施することによって達成される。特に、加熱ブロックの平面に平行に延在し、絶縁距離を増大させる突起部が、1つまたは複数の間隔要素に形成されている。
【0019】
本発明のさらなる詳細および利点は、図面を参照しながらの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】接触保護部を取り付ける前の、第1の実施形態の側面斜視図である。
【図2】図1による接触保護部の上面斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の斜視図である。
【図4】図3に示した第2の実施形態のハウジング部の内部斜視図である。
【図5】図3および図4に示した第2の実施形態の横断面図である。
【図6】第3の実施形態のハウジングの、図4と同様の内部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、自動車の補助暖房としての電気加熱装置を示しており、この電気加熱装置は、同一に形成された2つのハウジング部4,6を有するハウジング2を備えており、ハウジング部4,6は、取付けによって結合されて加熱ブロック8を囲んでいる。ハウジング部4,6それぞれは、加熱ブロック8に対して開いているハウジング開口部10を有し、その結合面においてフランジ12に結合されている。フランジ12は、加熱ブロック8を接続するための電気プラグコンタクトと、制御ハウジング14によって囲まれているコントローラとを保持し、これらへのアクセスを提供する。
【0022】
図1は、実施形態を、流れの入口側から示している。この場合、ハウジング部4のハウジング開口部10には、5本の横支柱16が延在している。これらの横支柱16は、加熱ブロック8の層に直角に延びている。加熱ブロック8の層は、ラジエータ要素18の形の放熱要素と、それらの間に収容されている発熱要素とによって形成されている。
【0023】
特に図5から理解できるように、発熱要素20それぞれは、電気絶縁材料による配置フレーム22を備えており、配置フレーム22それぞれは、PTC素子26を収容するための受け入れ開口部24を有する。配置フレーム22は、導電性の薄板金属帯28を収容しており、薄板金属帯28は、PTC素子26の互いに対向する面に当接しており、PTC素子に電流を供給する。図5に示した実施形態においては、1枚の薄板金属帯28の外面それぞれに、薄板金属帯28を絶縁する絶縁層30が設けられており、薄板金属帯28には、金属ラジエータ要素18とは異なる極性の電流が供給される。したがって、個々の発熱要素20が互いに電気的に分離されており、発熱要素20を個別に制御することができる。加熱ブロック8の中では、異なる電位が互いに直接向かい合うことが防止される。結果として、例えば、1本の接地接続を使用して加熱ブロックの2つの加熱段を動作させることが可能である。
【0024】
枠形状のハウジング2の、互いに対向する縦桁(longitudinal spar)32は、接触保護部を形成しているカバー38のラッチ突起部36を収容するラッチ開口部34を有する。このカバー38は、射出成形されたカバーフレーム44を備えており、フレーム縦支柱40およびフレーム横支柱42がカバーフレーム44の内側に延在している。カバー38はさらにプラスチックメッシュ46を備えており、プラスチックメッシュ46は、その両面において、支柱40,42およびカバーフレーム44を形成しているプラスチック材料にオーバーモールドによって接合されている。したがって、支柱40,42およびカバーフレーム44は、流れの方向においてプラスチックメッシュ46の両側に形成されている。
【0025】
図1および図2に示したカバー38は、取り外し自在にハウジング2に結合することができる。この目的のため、ラッチ突起部36が、対応するラッチ開口部34の中に挿入される。ラッチ突起部36に形成されているラッチ爪は、カバー38がハウジング2に取り付けられた状態に保持されるように、ハウジング2にラッチ(係止)する。
【0026】
図1および図2に示した実施形態においては、プラスチックメッシュ46は、公称直径1mmのワイヤがプラスチックメッシュ46を通過して加熱ブロック8の要素18,20に達することができないようなメッシュサイズを有する。
【0027】
フレーム横支柱42は、ハウジング部4の横支柱16に整列している。特に、フレーム横支柱42の領域には、横支柱16とカバー38の厚さが合わさることによって、加熱ブロック8の表面とプラスチックメッシュ46との間に約6mmの隙間距離が存在する。プラスチックメッシュ46は、フレーム縦支柱40によってさらに剛性が増しており、したがって、プラスチックメッシュ46に作用する圧力によりプラスチックメッシュ46が加熱ブロック8の面まで押し込まれることがない。
【0028】
図3〜図5は、さらなる実施形態を示している。前述した実施形態と比較して、同じ要素には同じ参照数字を付してある。図1および図2を参照しながら説明した前の実施形態は、特に、既存の電気加熱装置を改良する目的に適しているのに対して、図3〜図5に示した実施形態は、本発明による電気加熱装置として最初から製造される。したがって、プラスチックメッシュ46は、ハウジング部4または6の一部として形成されている。
【0029】
特に図4に示したように、第2の実施形態においても、プラスチックメッシュ46は、ハウジング部4を形成している材料にオーバーモールドによって接合されている。この場合、ハウジング部4の横支柱16を形成している材料は、プラスチックメッシュ46の両側に位置しており、プラスチックメッシュ46より突き出している。さらに、内面には、横支柱16の上に突き出して隙間空間50を画成しているカム48が形成されており、その高さ(層状の加熱ブロックの層を横切る方向)は、発熱要素20の厚さにほぼ一致しており、したがって、発熱要素20をカム48の間に収容することができる(図5を参照)。このように実施することで、発熱要素20は、それぞれの平面に固定されている。横支柱16がある程度たわんだ場合にも、カム48によって、プラスチックメッシュ46とラジエータ要素18との間の十分な距離が提供される。
【0030】
なお、図3〜図5による第2の実施形態は、横支柱16のみを有するが、ハウジング部4,6は、横支柱16を有する支柱構造のみならず、カバー38に関して上述した、横支柱および縦支柱を有する構造を有することができることに留意されたい。後者のタイプの支柱構造では、ハウジング開口部10の剛性が特に高く、加熱ブロック8の方向における接触保護部のたわみが大幅に防止される。
【0031】
特に図5から理解できるように、図3〜図5による実施形態では、配置フレーム22が加熱ブロック8よりも(すなわち流れの方向に)突き出している。したがって、配置フレーム22は、加熱ブロック8の両側に突き出している間隔ウェブ52を形成している。これらの間隔ウェブ52は、2つのハウジング部4,6と協働して、横支柱16を加熱ブロック8から隔てられた状態に維持する。例えばハウジング部4に外部から圧力が作用した場合、横支柱に沿った複数の支持点によって、横支柱が加熱ブロック8の方向に大きくたわむ心配はない。なお、図5から理解できるように、ハウジング部4のみにプラスチックメッシュ46が設けられており、それ以外は同一に具体化されているハウジング部6は、対応するプラスチックメッシュ46を備えていないことに留意されたい。したがって、2つのハウジング部4,6は、基本的に同じ幾何形状の射出成形工具において形成することができ、異なる点として、ハウジング部4を製造するための一方の射出成形工具では、このプラスチック要素を成形する前に、挿入部材としてプラスチックメッシュ46を挿入する。加熱ブロック8を収容している(accommodating)平面に対して直角方向における間隔ウェブ52の寸法は、加熱ブロック8の表面と接触保護部46との間に4〜8mmの範囲の間隔Aが形成されるように選択されている。
【0032】
図6は、前述した実施形態と基本的に同一に形成されている、さらなる実施形態のハウジング部4を示しており、違いとして、ハウジング部4の内面に、横支柱16に平行して間隔支持部54が存在しており、これら間隔支持部54は、2本の縦桁32の間に均一な高さとして連続的に延在している。間隔支持部54の高さは、接触保護部46が加熱ブロック8から所定の距離に維持されるように選択されている。接触保護部46は、特に、配置フレーム22の側面によって間隔支持部54を介して支持されている。
【0033】
なお、プラスチックメッシュ46と加熱ブロック8との間の望ましい距離を達成する目的で、間隔支持部54を配置フレーム22の間隔ウェブ52との組合せとして設ける(間隔ウェブ52と間隔支持部54が本質的に直角に交差する)こともできることに留意されたい。この場合、間隔ウェブ52もしくは間隔支持部54またはその両方の側面を、第2の実施形態を参照しながら上述したように、間に隙間空間を有するカムのように形成することができる。
【符号の説明】
【0034】
2 ハウジング
4 ハウジング部
6 ハウジング部
8 加熱ブロック
10 ハウジング開口部
12 フランジ
14 制御ハウジング
16 横支柱
18 ラジエータ要素
20 発熱要素
22 配置フレーム
24 受け入れ開口部
26 PTC素子
28 薄板金属帯
30 絶縁層
32 縦桁
34 ラッチ開口部
36 ラッチ突起部
38 カバー
40 フレーム縦支柱
42 フレーム横支柱
44 カバーフレーム
46 プラスチックメッシュ
48 カム
50 隙間空間
52 間隔ウェブ
54 間隔支持部
A 間隔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車の補助暖房における電気加熱装置であって、ハウジング(2)内に保持されている加熱ブロック(8)を備えており、前記ハウジング(2)が、互いに対向するハウジング開口部(10)を形成しており、少なくとも1つの放熱要素および少なくとも1つの発熱要素(20)の周囲を囲んでいる平行な層を備えている、前記電気加熱装置において、
絶縁材料の接触保護部(46)であって、前記ハウジング開口部(10)の少なくとも一方を覆っており、細かい目のプラスチックメッシュ(46)を備えている、前記接触保護部(46)、
を備えていることを特徴とする、電気加熱装置。
【請求項2】
前記接触保護部(46)が支柱構造(40;42;16)に取り付けられており、前記支柱構造の支柱(40;42;16)が前記それぞれのハウジング開口部(10)をまたいで延在していることを特徴とする、
請求項1に記載の電気加熱装置。
【請求項3】
前記支柱構造(40;42;16)を形成するプラスチック要素によって前記プラスチックメッシュ(46)をオーバーモールドすることによって、前記プラスチックメッシュ(46)が前記支柱構造(40;42;16)の前記支柱(40;42;16)に接合されていることを特徴とする、
請求項2に記載の電気加熱装置。
【請求項4】
前記加熱ブロック(8)と前記接触保護部(46)との間に設けられている少なくとも1つの間隔要素(52;54)を特徴とする、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電気加熱装置。
【請求項5】
前記間隔要素が、前記支柱構造(40;42;16)の前記支柱(40;42;16)の上に内側に突き出している間隔支持部(54)によって、もしくは、少なくとも1つのPTC素子(26)を収容している前記発熱要素(20)の配置フレーム(22)の上に突き出している支持ウェブ(52)によって、またはその両方によって、形成されていることを特徴とする、
請求項2または請求項4に記載の電気加熱装置。
【請求項6】
前記支柱構造(40;42;16)が、前記プラスチックメッシュ(46)と一緒に前記ハウジング(2)に取り付けられることを特徴とする、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電気加熱装置。
【請求項7】
前記ハウジング(2)がハウジング上側部(4)とハウジング下側部(6)とを有し、前記ハウジング部(4;6)のそれぞれが、開いた前記ハウジング開口部(10)の一方を有し、前記プラスチックメッシュ(46)が、対応する前記ハウジング部(4;6)にオーバーモールドによって接合されていることを特徴とする、
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電気加熱装置。
【請求項8】
前記加熱ブロック(8)の通電要素と前記接触保護部(46)との間に、少なくとも5mmの絶縁距離が形成されていることを特徴とする、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の電気加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−131482(P2012−131482A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−275968(P2011−275968)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【出願人】(501324823)エーベルスパッヒャー・カテム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディットゲゼルシャフト (23)
【Fターム(参考)】