説明

電気化学的に活性/不活性なナノコンポジット材料を製造する方法

第1材料/第2材料のナノコンポジットを製造するための方法が開示される。本方法は、電気化学的に活性な及び電気化学的に不活性な材料を含有する前駆体を用意する工程を含むことができる。その後、前駆体は、エアロゾルガス中に懸濁されてエアロゾルを生成することができ、高磁場領域を有するプラズマを提供することができる。エアロゾルはプラズマの高磁場領域を通過することができ、エアロゾル中の前駆体の少なくとも一部が気化する。続いて、高磁場領域において気化した前駆体は、高磁場領域から取り出され、そして少なくとも1つの電気化学的に活性な材料を含有する第1材料/第2材料のナノコンポジットに凝縮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[特許に係る政府の権利]
本発明は、米国エネルギー省によって締結された契約第DE−AC52−06NA25396号のもと、政府の支援とともに行なわれたものである。政府は、本発明において一定の権利を有するものである。
【0002】
本発明は、ナノコンポジット材料、特には少なくとも1つの電気化学的に活性な成分を含有するナノコンポジットを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ粒子の開発及び製造は、しばしばバルク材料と原子又は分子構造との間のギャップを埋める挙動を示すナノ粒子の特性とともに、少なくとも過去10年間にわたって研究に大きな努力が注がれてきた。例えば、ナノ粒子は、粒子サイズに依存した特性を示すことができ、そして溶融温度、熱及び/又は電気伝導性、物理的硬度などの特性は、同じ化学組成を有するバルク材料と比較した場合に非常に異なる場合がある。
【0004】
第1材料と第2材料の混合物を含有するナノコンポジット材料はまた、触媒プロセス、電気化学プロセスなどとともに使用するための複合構造を提供するのに有用であろう。しかしながら、従来、ナノコンポジット材料を製造するための方法は、第1材料及び/又は第2材料の均一性並びに製造速度に関して制限されたものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属ナノ粒子及び/又はナノコンポジットを製造するのに用いられる方法としては、ガス蒸発、機械的摩耗、スパッタリング、有機金属化合物の熱分解、有機金属化合物のマイクロ波プラズマ分解などを挙げることができる。乾燥した前駆体粉末のプラズマ分解は、ナノ粒子を製造するための効果的な方法であることがわかっている。というのも、乾燥した前駆体粒子は材料のハンドリングの懸案事項を単純化することができ、比較的狭い範囲の粒子サイズを得ることができるからである。しかしながら、プラズマ分解を用いた以前の方法では、典型的にコア−シェルのナノ粒子が得られる。したがって、第1材料及び/又は第2材料に関する比較的狭い範囲の粒子サイズとともに第1材料と第2材料の混合物を有するナノコンポジットを製造するための方法が望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つの電気化学的に活性な成分を含有するナノコンポジットを製造するための方法が開示される。本方法は、電気化学的に活性な及び電気化学的に不活性な材料を含有する前駆体又は電気化学的に活性な材料を含有する前駆体を用意する工程を含むことができる。その後、前駆体は、エアロゾルガス中に懸濁されてエアロゾルを生成することができる。プラズマを提供することができ、そしてエアロゾルはプラズマの高磁場領域を通過することができ、前駆体の少なくとも一部が気化する。高磁場領域において気化した前駆体は、高磁場領域から取り出すことができ、そして電気化学的に活性/不活性なナノコンポジット又は2つの電気化学的に活性な成分から構成されるナノコンポジットに凝縮させることができる。いずれの場合でも、ナノコンポジット材料は100nm未満の平均粒子サイズを有することができ、場合によっては50nm未満又は25nm未満の平均粒子サイズを有する。
【0007】
前駆体は、粉末、液体及び/又は液体の蒸気の形態であることができる。電気化学的に活性な材料は、リチウムインターカレーション可能な材料又はリチウム合金材料であることができ、炭素、スズ、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせなどの元素を含有してもよいし又は含有していなくてもよい。場合によっては、電気化学的に活性な材料は予備リチウム化された材料である。電気化学的に不活性な材料は、炭素、窒素及び/又は酸素などの元素を含有することができ、それはまた、電気化学的に不活性な相においてのみリチウムと合金化可能な元素を含有することもできる。
【0008】
エアロゾルガスは不活性ガス、例えばアルゴンであることができる。加えて、エアロゾルは、プラズマの高磁場領域内に末端を有するチューブを通過することができ、高磁場領域を通過するプラズマガスを含めることもできる。プラズマは非酸化性プラズマであることができ、幾つかの場合には連結器内で集中されたマイクロ波エネルギーを有する低電力の大気圧又は準大気圧プラズマである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ナノコンポジット材料を製造するための方法を示す概略図である。
【図2A】本発明の実施態様に従って製造されたナノコンポジット材料の略図である。
【図2B】本発明の別の実施態様に従って製造されたナノコンポジット材料の略図である。
【図2C】本発明のさらに別の実施態様から製造されたナノコンポジット材料の略図である。
【図3】ナノコンポジット材料を製造するのに用いられる装置の略図である。
【図4】本発明の実施態様に従って製造された電気化学的に活性なナノコンポジット材料の走査電子顕微鏡画像である。
【図5】本発明の実施態様に従って製造された電気化学的に活性/不活性なナノコンポジット材料の透過電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、少なくとも1つの電気化学的に活性な材料を有するナノコンポジット材料を製造するための方法を開示する。ナノコンポジット材料は、電気活性材料として使用することができる。したがって、本発明は材料の製造方法としての有用性を有する。
【0011】
本方法は、第1材料/第2材料の複合材料のための元素を含有する前駆体を提供する工程を含む。幾つかの場合には、第1材料の前駆体は、電気化学的に活性な材料である元素及び/又は化合物の元素を含有することができ、第2材料の前駆体は、電気化学的に不活性な材料である元素及び/又は化合物の元素を含むことができ、逆もまた同様である。前駆体が提供された後、それをエアロゾルガス中に懸濁させてエアロゾルを生成することができる。高磁場領域を有するプラズマもまた提供することができ、エアロゾルはプラズマの高磁場領域を通過することができる。
【0012】
エアロゾル中の第1材料の前駆体の少なくとも一部と第2材料の前駆体の少なくとも一部を気化させることができ、続いてプラズマの高磁場領域から取り出すことができる。その後、気化した材料は、第1材料/第2材料のナノコンポジットに凝縮される。幾つかの場合には、気化した材料の一部は活性/不活性なナノコンポジットに凝縮させることができる。他の場合には、気化した材料の少なくとも一部は活性/活性なナノコンポジットに凝縮させることができる。
【0013】
ナノコンポジットは、ナノ粒子の形態である第1材料又は第2材料の構造を有することができ、第2材料又は第1材料はそれぞれナノ粒子のための支持マトリックスの形態である。別の態様では、第2材料又は第1材料は同様にそれぞれナノ粒子の形態であることができ、それによって第1材料のナノ粒子と第2材料のナノ粒子からなるナノコンポジットが得られ、逆もまた同様である。ナノコンポジット中の第1材料と第2材料のいずれも、もう一方の材料を完全には封入しないと解される。別の言い方をすれば、第1材料及び/又は第2材料の幾らかは、複合材料の不規則な構造により封入されうるが、その構造は、本質的には一方の材料が他方の材料を封入する構造、例えばコア−シェル粒子のような構造ではない。
【0014】
本発明の目的のために、「支持マトリックス」という語は、ナノ粒子が周囲のガス及び/又は液体と物理的に接触できるようにナノ粒子を保持又は支持するマトリックスとして規定される。この規定は、1つ又は複数のナノ粒子が周囲のガス及び/又は液体と物理的に接触している限り、周囲のガス及び/又は液体と物理的に接触していないマトリックス内部の1つ又は複数のナノ粒子を支持する構造を包含するものであると解される。さらに、この規定は、2007年12月14日に出願された共に譲渡された米国特許出願第11/956,936号であって、その参照により全体として本明細書に含められる米国特許出願第11/956,936号において開示されているようなコア−シェル構造のナノ粒子を包含しないものであると解される。なおさらに、本発明の目的のために、「ナノ」材料は、寸法(すなわち長さ、幅又は広さ)の少なくとも1つが500nm未満の寸法を有するものであると解される。
【0015】
前駆体は、粉末、液体及び/又は液体の蒸気の形態であることができる。第1材料の前駆体は電気化学的に活性である元素及び/又は化合物の元素を含有することができる。幾つかの場合には、電気化学的に活性な材料は、炭素、スズ、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、及びそれらの合金を含有することができる。電気化学的に活性な材料はまた、前駆体の少なくとも一部として提供される前にリチウムと合金化された電気化学的に活性な材料から作成された予備リチウム化された材料であることができる。
【0016】
第2材料の前駆体は、電気化学的に活性又は不活性である元素、例えば炭素、窒素、酸素、及びそれらの組み合わせを含有することができる。例えば、電気化学的に不活性な材料は、リチウムと合金化できる元素を含有する化合物であることができるが、不活性な形態で、炭化物、窒化物、酸化物などであることができる。幾つかの場合には、第1材料/第2材料のナノコンポジットは、第2材料の多孔質又は非多孔質マトリックスの形態であることができ、第1材料のナノ粒子が第2材料のマトリックスの表面に結合しているか及び/又はマトリックス中に取り込まれている。他の場合には、第1材料/第2材料のナノコンポジットは、第1材料を含有するナノ粒子と第2材料を含有するナノ粒子の混合物の形態であることができる。
【0017】
エアロゾルガスは、不活性ガス、例えばアルゴン、ヘリウム、アルゴン、窒素などであることができる。エアロゾルは、プラズマの高磁場領域内に末端を有するチューブを通過することができ、プラズマの高磁場領域を通過するプラズマガスもさらに提供することができる。プラズマは非酸化性プラズマであることができ、マイクロ波エネルギーが連結器内で集中された低電力の大気圧又は準大気圧プラズマであってもよいし又はそうでなくてもよい。別の態様では、プラズマは酸化性プラズマであることができ、エアロゾルガス及び/又はプラズマガス中に含まれる酸素がプラズマを生成するのに用いられる。加えて、高磁場領域を有するプラズマは、マイクロ波、RF、コロナ放電、DC場、又は他のエネルギー源を用いて生成することができる。
【0018】
第1材料/第2材料のナノコンポジットは、100ナノメートル(nm)未満の平均粒子サイズを有することができ、第1材料/第2材料のナノコンポジットを、第1材料をリチウムと合金化する処理にさらすことを含むことができる。幾つかの場合には、ナノコンポジットの平均粒子サイズは50nm未満であり、一方で、他の場合には、平均粒子サイズは25nm未満である。加えて、第1材料及び/又は第2材料のナノ粒子は100nm未満、50nm未満又は25nm未満の平均直径を有することができる。
【0019】
次に図1を参照すると、ナノコンポジット材料を製造するための実施態様が符号10で一般的に示されている。方法10は、工程100において粉末、液体及び/又は液体の蒸気の形態の前駆体を提供し、工程110において当該前駆体をプラズマトーチに通すことを含む。工程110において前駆体をプラズマトーチに通すと、前駆体の少なくとも一部が気化する。工程120において、気化した材料は高磁場領域から流れ出て凝縮し、ナノコンポジット材料が形成される。
【0020】
ナノコンポジット材料の略図が図2A〜2Cに示される。とりわけ、図2Aは、符号200でナノコンポジット材料を示し、第1材料のナノ粒子202が第2材料204と混合されそして接触している。幾つかの場合には、気孔206がナノコンポジット200の内部に存在することができる。第1材料のナノ粒子202と第2材料204の間のサイズの相違は例示目的でしかないということが理解される。したがって、第2材料204は、一般的には第1材料202と同じ平均サイズであることができ、一般的には第1材料の2倍等の大きさであることができる。このような場合には、ナノコンポジット200は、第1材料のナノ粒子と第2材料のナノ粒子の混合物であることができる。
【0021】
図2Bを参照すると、第1材料/第2材料のナノコンポジット材料200に類似した第1材料/第2材料のナノコンポジット材料210が示される。しかしながら、材料210は、第2材料214の内部に取り込まれた第1材料からなるナノ粒子212を有する。加えて、第1材料/第2材料のナノコンポジット材料の粒子間に気孔、細孔、空隙216などが存在することができる。上記のとおり、第1材料のナノ粒子212と第2材料の粒子214の間のサイズの相違は例示目的でしかない。
【0022】
図2Cは、第2材料224の表面に結合するか若しくはその内部に取り込まれた第1材料のナノ粒子222から作成された又は単に互いに混合された細長い構造を有する第1材料/第2材料のナノコンポジット材料220を示す。図2A〜2Cで示される図は、例示目的でしかなく、それらは種々の第1材料/第2材料のナノコンポジット構造が本明細書において開示される方法で作成できることを教示するために記載されるものである。
【0023】
次に図3を参照すると、ナノコンポジットを製造するための装置の略図が一般的に符号30で示されている。この図において示されるように、エアロゾルガス300は、入口チューブ310を通過して前駆体322を含有する前駆体容器320に流れる。エアロゾルガス300が十分な流量で前駆体容器320に流れると、エアロゾルガス300中に前駆体322が懸濁してエアロゾルが生成する。前駆体322は第1材料の前駆体と第2材料の前駆体を含有することができる。前駆体322はまた、製造される第1材料/第2材料のナノコンポジット内には取り込まれないが、全体的なプロセスを何らかの方法で助けるために存在することができる元素を含有することもできる。幾つかの場合では、第1材料の前駆体は電気化学的に活性な材料を含有し、第2材料の前駆体は電気化学的に不活性な材料を含有する。
【0024】
エアロゾルが生成された後、エアロゾルは出口チューブ330を通過又は流れることができ、出口チューブ330の少なくとも一部は石英プラズマトーチ340の中に入っている。幾つかの場合には、出口チューブ330は、一般に導波管360の中央を終点とするセラミック部分332を有する。この導波管360は、マイクロ波エネルギーをプラズマトーチ340に結びつけるのに使用される。プラズマトーチ340内であるが、エアロゾルが通過する出口チューブ330のセラミック部分332の外部を通るプラズマガス350を含んでもよい。導波管360によってプラズマトーチ340にマイクロ波エネルギーを集中させると、プラズマトーチ340内に位置する高磁場領域342によってプラズマを発生させることができる。前駆体322を含むエアロゾルがプラズマトーチ340の高磁場領域342を通過する際、高磁場領域342の温度は前駆体322の少なくとも一部が気化するほどのものである。気化した前駆体322はプラズマトーチ340の高磁場領域342を出てチムニー領域370に入る。高磁場領域342を出ると、気化した前駆体の原子は固体粒子に凝縮する。
【0025】
前駆体322が第1材料と第2材料を含有する場合には、エアロゾルがプラズマトーチ340の高磁場領域342を通過又は流れると、第1材料の少なくとも一部及び第2材料の少なくとも一部が気化する。その後、第1及び第2材料の原子は第1材料/第2材料のナノコンポジットに凝縮する。第1材料/第2材料のナノコンポジットは、粒子フィルター390から捕集することができるか、チムニー領域370の内部側壁から捕集することができるか、及び/又は粒子トラップ(図示せず)から捕集することができる。
【0026】
理論によって束縛されるものではないが、第1材料/第2材料のナノコンポジットの形成のメカニズムは、第1材料の原子と第2材料の原子が凝縮し、核生成プロセスを介して粒子が形成すると考えられる。凝縮した第1材料の原子と第2材料の原子は同じ核上に集まるが、2つの材料間の相対的な混和性に基づいて、第2材料の原子が第1材料から排斥され(逆もまた同様)、それによって第1材料/第2材料のナノコンポジットが形成される。第2材料の原子の排斥は冷却が行われるまで及び/又は材料が残光領域344に達するまで行われるか又は行われなくてもよい。高磁場領域を出た後、第1材料/第2材料のナノコンポジットは装置の残光領域344に入り、そこではさらなる成長は起こらない。それゆえ、残光領域において、第1材料/第2材料のナノコンポジットはその最終的な形状に「凍結」される。
【0027】
図2A〜2Cにおいて示されるように、ある範囲のナノコンポジット構造を提供することができる。加えて、ナノコンポジットにおける第1及び/又は第2材料の量及び/又はサイズは、前駆体における第1及び/又は第2材料の量、エアロゾルガス、エアロゾルガスの流量、プラズマガス、プラズマガスの流量、マイクロ波電力などを変化させることにより調整することができる。
【0028】
本発明の実施態様をより良く説明するために、第1材料/第2材料のナノコンポジットを製造する方法の2つの例が以下に与えられる。
【実施例】
【0029】
[例1]
図4に関連して、スズのナノ粒子が炭素マトリックス中に分散されたスズと炭素のナノ粒子混合物を製造した。前駆体は、プラズマトーチ環境内で溶融及び気化されたミクロンサイズのスズ粒子と炭素源としてのアントラセンを含有していた。アントラセンを分解して固体の副生成物として炭素を得たが、他の炭素源も同様に使用することができる。スズ−炭素のナノコンポジット材料を製造するための条件は、3.5標準リットル/分(slpm)の流量を有するアルゴンプラズマガス、1.4slpmの流量を有するエアロゾルのアルゴンキャリヤーガス、及びマイクロ波電力900Wを含むものであった。プラズマの排気圧は大気圧よりも低い20torrであった。
【0030】
図4に示されるように、スズナノ粒子と炭素支持マトリックスの均質混合物が得られる。このような構造は電池材料として使用できると解される。
【0031】
[例2]
図5に関連して、酸化タンタル(TaO2)及び酸化スズ(SnO2)のナノ粒子を有するナノコンポジット材料を、スズとタンタルを含有する前駆体を用いて製造した。前駆体は、第1材料及び第2材料を化合物、例えば第1及び/又は第2材料の塩、酸化物、窒化物、塩化物などの形態で含有することができると解される。本例では、前駆体はSn及びTa粉末からなり、この前駆体粉末は0.4slpmの酸素とともに1.1slpmの流量でアルゴンのエアロゾルガス中に取り込まれる。プラズマガスもまた、3.5slpmの流量を有するアルゴンであった。プラズマトーチは900Wのマイクロ波電力を有し、プラズマトーチの排気圧は大気圧付近であった。
【0032】
プラズマトーチの高磁場領域を出ると、活性な金属酸化物の棒形状のナノ粒子と不活性な金属酸化物のナノ粒子とのナノコンポジットが製造された。
【0033】
このようにして、第1材料/第2材料のナノコンポジットを与えることができ、幾つかの場合には、第1材料は電気化学的に活性な材料であり、第2材料は電気化学的に不活性な材料である。このようなナノコンポジット材料は、第1材料及び/又は第2材料の粒子サイズ、結晶粒サイズなどの比較的均一な分布を有し、そして2つの材料の完全な混合物も得られる。
【0034】
本発明は、特定の流量、組成又は形状によって又はそれらに制約されないと解される。加えて、上記の実施例が二重のガスフローシステムを有するプロセスを開示し、各ガス流が異なる全体的組成を有し、プラズマの高磁場領域でのみ一緒にされそして混合されるとしても、他のガスフロー及び/又はプラズマシステムも本発明の範囲内に含まれる。単に例示及び説明目的のために、エアロゾルガスとプラズマガスが同じである1つのフローガスシステムを有する直流放電プラズマを用いた方法が、開示された本発明の方法の範囲内にある。この方法では、上記の実施例において記載されるようなエアロゾルガスとプラズマガスが高磁場領域の中央で互いに混合される2つのガスフローシステムとは対照的に、プラズマを通って流れるガスと前駆体のすべてが高磁場領域に達する前に十分に混合される。
【0035】
上記の図面、説明及び記載は、本発明の特定の実施態様を例示するものであるが、それらは本発明の実施に関する限定を意図するものではない。本発明の多くの改良及び変更は、本明細書に示される教示を考慮すれば、当業者にとって直ちに明らかであろう。本発明の範囲を規定するものは、すべての均等物を含めて特許請求の範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気化学的に活性な成分を含有する第1材料/第2材料のナノコンポジットを製造するための方法であって、
第1材料及び第2材料を含有する前駆体を用意する工程、
前記前駆体をエアロゾルガス中に懸濁してエアロゾルを生成する工程、
高磁場領域を有するプラズマを提供する工程、
前記エアロゾルが前記プラズマの高磁場領域を通過する工程、
前記エアロゾル中の第1及び第2材料の前駆体の少なくとも一部を気化させる工程、
気化した前駆体を前記プラズマの高磁場領域から取り出す工程、並びに
気化した前駆体を第1材料/第2材料のナノコンポジットに凝縮させる工程
を含み、前記第1材料と前記第2材料の両方がナノ粒子である、方法。
【請求項2】
前記第1材料が電気化学的に活性な材料であり、前記第2材料が電気化学的に不活性な材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1材料と前記第2材料の両方が電気化学的に活性な材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体が、粉末、液体、液体の蒸気、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電気化学的に活性な材料がリチウム合金材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電気化学的に活性な材料が、炭素、スズ、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択された元素を含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電気化学的に活性な材料が、予備リチウム化された材料である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記電気化学的に不活性な材料が、炭素、窒素、及び酸素からなる群より選択された元素を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エアロゾルガスが不活性ガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記エアロゾルガスが酸素を含有する不活性ガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾルガスが酸素を含有するアルゴンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記不活性ガスが、アルゴン及び窒素からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記前駆体とキャリヤーガスを含有する前記エアロゾルが前記プラズマの高磁場領域に向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プラズマガスを供給する工程をさらに含み、マイクロ波の導波管を用いた相互作用によって前記プラズマの高磁場領域が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマが酸化性プラズマである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記プラズマが不活性プラズマである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマが、連結器内で集中されたマイクロ波エネルギーを有する低電力の大気圧又は準大気圧プラズマである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1材料/第2材料のナノコンポジットが100nm未満の平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第1材料/第2材料のナノコンポジット材料を製造するための方法であって、
第1材料及び第2材料を含有する前駆体を用意する工程、
前記前駆体をエアロゾルガス中に懸濁してエアロゾルを生成する工程、
プラズマトーチを提供する工程、
前記プラズマトーチ内に末端を有するエアロゾルチューブを提供する工程、
前記エアロゾルチューブの外側に前記プラズマトーチを通過するプラズマガスを提供する工程、
前記プラズマガスを用いて高磁場領域を有するプラズマを生成する工程、
前記エアロゾルが前記エアロゾルチューブを通過し、前記エアロゾルチューブを出て前記プラズマの高磁場領域に入る工程、
前記プラズマの高磁場領域において前記エアロゾル中の前駆体材料の少なくとも一部を気化させる工程、
前記プラズマの高磁場領域を通って気化した前駆体材料を残光領域に通す工程、並びに
気化した前駆体を第1材料/第2材料のナノコンポジットに凝縮させる工程
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1材料が電気化学的に活性な材料であり、前記第2材料が電気化学的に不活性な材料である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1材料と前記第2材料の両方が電気化学的に活性な材料である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記前駆体が、粉末、液体、液体の蒸気、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記電気化学的に活性な材料がリチウム合金材料である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記電気化学的に活性な材料が、炭素、スズ、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択された元素を含有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記電気化学的に活性な材料が、予備リチウム化された材料である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第2材料が酸化タンタルである、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの電気化学的に活性な成分を含有する第1材料/第2材料のナノコンポジットを製造するための方法であって、
第1材料のための前駆体を用意する工程、
第2材料のための前駆体を用意する工程、
各前駆体を別々のエアロゾル流中に懸濁させる工程、
高磁場領域を有するプラズマを提供する工程、
前記高磁場領域の前又はその中で前記エアロゾル流を組み合わせる工程、
組み合わせたエアロゾル流が前記プラズマの高磁場領域を通過する工程、
前記組み合わせたエアロゾル流中の第1及び第2材料の前駆体の少なくとも一部を気化させる工程、
気化した前駆体を前記プラズマの高磁場領域から取り出す工程、並びに
気化した前駆体を第1材料/第2材料のナノコンポジットに凝縮させる工程
を含み、前記第1材料と前記第2材料の両方がナノ粒子である、方法。
【請求項28】
前記第1材料のためのエアロゾル流が不活性ガスであり、前記第1材料のための前駆体がその中に懸濁される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1材料のためのエアロゾル流が酸素を含有する不活性ガスであり、前記第1材料のための前駆体がその中に懸濁される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第2材料のためのエアロゾル流が不活性ガスであり、前記第2材料のための前駆体がその中に懸濁される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記第2材料のためのエアロゾル流が酸素を含有する不活性ガスであり、前記第2材料のための前駆体がその中に懸濁される、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533155(P2012−533155A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519685(P2012−519685)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/041129
【国際公開番号】WO2011/005807
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(507342261)トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド (135)
【出願人】(510051163)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ニューメキシコ (3)
【出願人】(511053698)ロス アラモス ナショナル セキュリティー,リミテッド ライアビリティー カンパニー (3)
【氏名又は名称原語表記】LOS ALAMOS NATIONAL SECURITY,LLC
【住所又は居所原語表記】Los Alamos National Laboratory,LC/IP−MS A187,Los Alamos,New Mexico 87545,United States of America
【Fターム(参考)】