説明

電気化学的方法、デバイス、および構造体

本発明は、電気化学的作動における、デバイスおよび構造体、ならびにそれらの使用方法を提供する。本発明は、とりわけ、高弾性無機化合物の、電場により駆動される挿入または合金に基づく、電気化学的アクチュエータを提供する。このアクチュエータは、大きくかつ可逆的な体積変化を提供し得、高い作動エネルギー密度、高い作動威力および大きい自由ひずみを提供する。1つの実施形態において、本発明は、電気化学的アクチュエータを提供し、この電気化学的アクチュエータは、負電極、正電極および挿入種を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、電気化学的作動における、デバイスおよび構造体、ならびにこれらの使用方法を提供する。本発明は、とりわけ、高弾性の無機化合物の、電場により駆動される挿入または合金化に基づく、電気化学的アクチュエータを提供する。このアクチュエータは、大きくかつ可逆的な体積変化を提供し得、高い作動エネルギー密度、高い作動威力および大きい自由ひずみを提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
作動とは、本質的に、デバイスがオンにされるかオフにされる機構、あるいは種々の型のエネルギー(例えば、電気エネルギーまたは化学エネルギー)を力学的エネルギーに変換することによって、調節または移動される機構である。力学的エネルギーは、材料中またはデバイス中に、弾性エネルギーとして保存され得るか、あるいは有用な力学的仕事(これは、応力とひずみとの積として定義される)を発生させるために使用され得る。従って、所定の材料またはデバイスの作動のためのポテンシャルの有用な尺度は、作動エネルギー密度(単位体積あたりのエネルギー)である。作動エネルギー密度はまた、異なる作動方法の能力を区別するために有用である。比エネルギー(または重量エネルギー)は、その材料またはデバイスの密度を知ることによって、エネルギー密度から用意に得られる。「自由ひずみ」、すなわち、0応力の状態またはほぼ0の応力の状態において発生するひずみは、時々、アクチュエータまたは作動材料を特徴付けるために時々使用されるが、このひずみは、作動能力の不十分な尺度である。なぜなら、力学的仕事がなされないからである。従って、力学的仕事の能力は、既知の機械適応力に対して発生するひずみ、または基地のひずみ条件下で発生する応力が既知である場合にのみ、分かる。
【0003】
様々な型のアクチュエータが、エネルギーが変換される様式によって、分類される。例えば、静電アクチュエータは、静電力を、力学的な力に変換する。圧電アクチュエータは、圧電材料を使用して、運動エネルギーを発生させる。電磁アクチュエータは、磁石およびコイル巻き線を使用して、電磁力を運動エネルギーに変換する。
【0004】
作動は、理論的には、適応性(adaptive)構造体および実施形態(morphing)構造体の製造において、用途を見出すが、実際には、このような用途は、理想的な結果を生じない。圧電作動は、高い帯域幅および作動威力を提供するが、ひずみが小さく(代表的に、1%よりかなり小さい)、そして高い作動電圧を必要とする。形状記憶合金(SAM)、磁気ひずみ器(magnetostrictor)および新たに開発された強磁性形状記憶合金(FSMA)が、より大きいひずみを起こし得るが、応答の発生が遅く、これらの適用性を制限する。流体により誘導される領域運動に基づく作動機構(圧電、FSMA)はまた、低いブロック応力を有する傾向がある。上記作動方法の全ては、高密度の活性材料(鉛ベースの酸化物、金属合金)の使用に基づき、このことは、長所の重量に基づく計算に、不利な影響を与える。従って、高い作動エネルギー密度、高い作動威力(応力)、大きい自由ひずみ、および有用な大域幅を提供し得る技術が、現在、大いに必要とされている。
【0005】
電気化学を使用する特定の作動方法は、以前に記載された。例えば、特許文献1(K.Oguro,H.TakenakaおよびY.Kawami)は、表面電極を使用して、イオン交換膜にわたって電場を印加した状態で、イオンの移動を引き起こし、この膜の変形を生じることを記載した。特許文献2(W.Lu、B.R.MattesおよびA.G.Fadeev)は、イオン性の液体電解質を、ポリマーと組み合わせて使用して、寸法変化を得ることを記載した。特許文献3(R.H.Baughman、C.Cui、J.Su、Z.IqbalおよびA.Zhakidov)は、高表面積の材料の二重層充電を使用して、力学的作動を提供した。特許文献4(D.A.Hopkins,Jr.)は、電気化学的に発生する気体圧力が、力学的運動を提供するために使用される、アクチュエータデバイスを記載した。特許文献5(H.Bauer、F.Derisavi−Fard、U.Eckoldt、R.GerhrmannおよびD.Kickel)は、空気式作動デバイスにおいて、電気化学的に発生する気体圧力を同様に使用した。非特許文献1は、カーボンナノチューブを使用する空気式機構を記載し、この機構において、閉じ込められた空間内で気体を発生させて力学的運動を可能にするために、水性の電気化学が使用される。ファラデーの法則に従わないこれらのアプローチの各々において、負荷を受ける作動材料は、本質的に、気相または液相であり、そして低い弾性率を有すると予測され得、その結果、本発明のアプローチと比較して、低い作動エネルギー密度および作動応力を有すると予測され得る。
【0006】
固相電気化学に関して、特定の化合物は、イオンの挿入または除去(ファラデープロセス)によって、化学組成が電気化学的に変更される場合に、膨張または収縮を起こすことが、固相層間化合物の分野の当業者(例えば、バッテリの分野で働く当業者)に周知である。非特許文献2および特許文献6(K.TakadaおよびS.Kondo)は、電気化学的に誘導される組成変化を受けている圧密化固体化合物における自由ひずみを、さらに実証した。K.TakadaおよびS.Kondoは、Ag挿入化合物としてAgを使用して、約0.1%の自由ひずみを報告した。この自由ひずみは、多くの市販の青津電材料(例えば、鉛−ジルコニウム−チタネート(PZT)に基づくもの)によって達成されるひずみに匹敵するレベルのひずみである。しかし、力学的負荷は提供されず、従って、移動の観察にもかかわらず、力学的仕事は示されなかった。非特許文献3は、水性電気化学を使用する作動のために、Vナノ繊維のマットを使用した。この例において、非特許文献3は、負荷されない条件下での0.21%までのひずみ、および見かけ上0ひずみの条件下での、5.9MPaまでの応力の発生を報告したが、応力を発生させるために使用されたプロセスが、ファラデーの法則に従うか従わないかは、未知であった。
【特許文献1】米国特許第5268082号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0177039号明細書
【特許文献3】米国特許第6555945号明細書
【特許文献4】米国特許第5674905号明細書
【特許文献5】米国特許第5567284号明細書
【特許文献6】特公平2−248181号公報
【非特許文献1】G.M.Spinks、G.G.Wallace、L.S.Fifield、L.R.Dalton、A.Mazzoldi、D.De Rossi、I.I.KhayrullinおよびR.H.Baughman、Advanced Materials,2002年、第14巻、第23号、p.1728−1732
【非特許文献2】K.TakadaおよびS.Kondo、Solid State Ionics,1992年、第53巻から第56巻、p.339−342
【非特許文献3】G.Gu、M.Sshmid、P.−W.Chiu、A.Minett、J.Fraysse、G.−T.Kim、S.Roth、M.Kolov、E.MunozおよびR.H.Baughmann、Nature Materials,第2巻、p.316−319
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、1つの実施形態において、電気化学的アクチュエータを提供し、この電気化学的アクチュエータは、負電極、正電極および挿入種を備え、この電気化学的アクチュエータは、印加電圧に曝露され、これによって、この電圧の印加または停止が、このアクチュエータでの挿入種の挿入を誘導し、力学的拘束または負荷の条件下で、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、有用な力学的エネルギーの生成を生じる。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、多層スタック型電気化学的アクチュエータを提供し、この多層スタック型電気化学的アクチュエータは、2つ以上の負電極層、2つ以上の正電極層、および挿入種を備え、この多層スタック型電気化学的アクチュエータは、印加電圧に曝露され、これによって、この電圧の印加または停止が、このアクチュエータでの挿入種の挿入を誘導し、このアクチュエータの体積変化を生じ、有用な力学的エネルギーの生成を生じる。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、回転電気化学的アクチュエータを提供し、この回転電気化学的アクチュエータは、負電極、正電極および挿入種のロール層を備え、これらのロール層は、積層構成を呈し、そしてこの回転電気化学的アクチュエータは、印加電圧に曝露され、これによって、この電圧の印かは、このアクチュエータにおける挿入種の挿入を生成し、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、その結果、このロール積層構成が、巻かれるかまたは巻きを解かれ、そしてトルクが生成する。
【0010】
1つの実施形態において、ロール積層構成が巻かれるか巻きを解かれる時点に続いて、回転運動が生成する。1つの実施形態において、この回転運動は、1°から360°の範囲である。別の実施形態において、この回転運動は、1回転以上である。別の実施形態において、1回以上の回転は、完全であるかまたは不完全である。別の実施形態において、この回転は、時計回り方向または反時計回り方向、あるいはこれらの組み合わせである。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、連続繊維電気化学的アクチュエータを提供し、この連続繊維電気化学的アクチュエータは、繊維状電極、対電極および挿入種を備え、この連続繊維電気化学的アクチュエータは、印加電圧に曝露され、これによって、この電圧の印加または停止が、このアクチュエータにおける挿入種の挿入を誘導し、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、その結果、この繊維状負電極が、伸長を起こし、そして有用な力学的仕事を生成させる。1つの実施形態において、この体積変化または寸法変化は、張力下および圧縮下で誘導される。
【0012】
別の実施形態において、この連続繊維電気化学的アクチュエータは、複数の被覆された繊維から構成され、これらの繊維は、繊維複合材料を形成するために利用される。別の実施形態において、この複合材料は、マトリックスをさらに含有し、このマトリックスは、別の実施形態において、ポリマーである。別の実施形態において、この連続繊維電気化学的アクチュエータの複合材料は、覆われていない繊維の端部を備える。別の実施形態において、これらの繊維の覆われていない端部は、これらの繊維の端部に電気的接続が適用されることを可能にする。
【0013】
別の実施形態において、この連続繊維電気化学的アクチュエータは、複数の層を備え、これらの層は、別の実施形態において、平行な配向または垂直な配向で組み立てられる。別の実施形態において、垂直な配向は、このアクチュエータの正のせん断作動および負のせん断作動を可能にし、この作動は、別の実施形態において、トルクを発生させるか、または別の実施形態において、回転を発生させる。別の実施形態において、垂直な配向は、低い電圧が印加される場合に、層の間での電荷移動を可能にする。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、本発明のアクチュエータにおける種の挿入は、電圧の印加の際と、電圧の停止の際との、両方で起こり得る。別の実施形態において、電圧変化の範囲は、このアクチュエータに出入りする電流の量を制御することによって、制御される。別の実施形態において、体積変化または寸法変化は、負電極または正電極、またはこれらの組み合わせにおける変化である。別の実施形態において、体積変化または寸法変化は、可逆的である。別の実施形態において、挿入は、かなりの力学的負荷に対して、高いひずみを生成させる。別の実施形態において、負電極、または別の実施形態において、正電極は、挿入種のドナーまたはアクセプター、またはこれらの組み合わせとして働く。
【0015】
別の実施形態において、本発明のアクチュエータの電極は、最初に挿入種を濃縮され、そしてこの挿入種のための供給源として働き得る。別の実施形態において、本発明のアクチュエータの負電極は、挿入種のための供給源として働き得る。別の実施形態において、本発明のアクチュエータの正電極は、挿入種のための供給源として働き得る。
【0016】
別の実施形態において、この電極は、だか弾性率の化合物を含有する。別の実施けちiにおいて、この電極は、イオン繊維金属酸化物を含有する。別の実施形態において_このイオン遷移金属酸化物のイオンは、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。別の実施形態において、このアルカリ金属は、リチウムである。別の実施形態において、電極は、LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMn、LiMnPO、LiMnPO、LiTi12ならびにこれらの修飾複合材料および固溶体を含有する。別の実施形態において、電極は、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鈴、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化ニッケルまたは酸化鉄のうちの1種以上を含有する、酸化物化合物を含有する。別の実施形態において、電極は、TiSi、MoSi、WSiならびにこれらの修飾複合材料および固溶体を含有する。別の実施形態において、電極は、金属または金属間化合物を含有する。別の実施形態において、電極は、リチウムまたはリチウム−金属合金であり、これは、結晶性であっても、ナノ結晶性であっても、非晶質であってもよい。別の実施形態において、負電極は、アルミニウム、銀、金、ホウ素、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、鉛、アンチモン、ケイ素、または鈴のうちの1種以上である。別の実施形態において、電極は、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体、高配向性発熱黒鉛、無秩序炭素構造体またはこれらの組み合わせの形態の、炭素である。別の実施形態において、挿入種は、イオンである。別の実施形態において、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。
【0017】
別の実施形態において、負電極または正電極の化合物は、挿入の際に、異方性膨張または収縮を起こす。
【0018】
別の実施形態において、この化合物は、アクチュエータの電極において、織られるかまたは配向され、異方性の膨張または収縮を生じる。別の実施形態において、この化合物は、このアクチュエータの電極において配向され、挿入または合金化の際に、このアクチュエータの主要な作動方向において、寸法変化を増加させる。別の実施形態において、負電極または正電極の化合物は、挿入または脱挿入の際に、相変化を受ける。別の実施形態において、負電極または正電極の材料は、単結晶、多結晶、または微粉末の形態である。別の実施形態において、この微粉末は、異方性粒子の形状である。別の実施形態において、この微粉末は、板状または棒状の形態を有する。別の実施形態において、この粉末粒子の最小寸法は、平均して、約100マイクロメートル未満である。
【0019】
別の実施形態において、このアクチュエータの1つ以上の電極は、負電極化合物または正電極化合物の多構成焼結凝集物を含有する。別の実施形態において、この多孔性焼結凝集物は、伝導性添加剤または焼結助剤をまた含有する、複合材料である。別の実施形態において、この焼結凝集物は、結晶軸の共通の配向または組織を共有する、電極化合物の微結晶を有し、この微結晶は、1つの実施形態において、一軸性であり、そして別の実施形態において、二軸性である。
【0020】
別の実施形態において、アクチュエータの1つ以上の電極は、負電極化合物または正電極化合物の粉末、有機結合剤または向き結合剤、および必要に応じて、伝導性添加剤を含有する、複合材料を含有する。1つの実施形態において、この結合剤は、ポリマーであり、そしてこの伝導性添加剤は、炭素である。別の実施形態において、この電極中の電極化合物の体積百分率は、少なくとも45%である。別の実施形態において、この化合物の粒子は、異方性の形状であり、そして好ましい共通の配向を有する。別の実施形態において、この化合物の粒子は、結晶性であり、そしてその結晶軸の好ましい共通の配向または組織を有し、この微結晶は、1つの実施形態において、一軸性であり、そして別の実施形態において、二軸性である。別の実施形態において、複合電極は、その成分を水性溶媒中または無機溶媒中で混合し、この混合物をコーティングして乾燥させ、そしてこのコーティングをプレスまたはカレンダ加工することによって、製造される。
【0021】
別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、集電装置をさらに備え、この集電装置は、別の実施形態において、伝導性材料を含有する。別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、セパレータをさらに備え、このセパレータは、1つの実施形態において、多構成であり、そして別の実施形態において、剛性である。1つの実施形態において、この多構成セパレータは、ミクロ細孔ポリマーを含有する。別の実施形態において、この多孔性セパレータは、多孔性絶縁セラミック材料を含有し、この材料は、別の実施形態において、アルミナ、アルミノシリケート、コーディエライト、またはケイ酸ガラスである。
【0022】
別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、電解質をさらに備える。1つの実施形態において、この電解質は、固体電解質であり、この固体電解質は、1つの実施形態において、ポリマーであり、そして別の実施形態において、無機結晶またはガラスである。別の実施形態において、この電解質は、液体電解質またはゲル電解質である。別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、外部パッケージング層をさらに備え、このパッケージング相は、1つの実施形態において、電気化学的絶縁層であり得るか、または別の実施形態において、保護層であり得るか、または別の実施形態において、これらの組み合わせであり得る。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、本発明の電気化学的アクチュエータが、応力増幅(ひずみ減衰(deamplification))または応力減衰(ひずみ増幅)を提供するアクチュエータ構造体においてさらに使用される、アクチュエータデバイスを提供する。
【0024】
別の実施形態において、電気化学的に作動される、織布構造体を有するひずみ減衰(応力増幅)アクチュエータデバイスが、提供される。
【0025】
別の実施形態において、電気化学的に作動される、ひずみ増幅(応力減衰)レバーアクチュエータが、提供される。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、本発明のアクチュエータを備える構造体または装置を提供する。1つの実施形態において、この構造体または装置は、適応性である。別の実施形態において、このアクチュエータは、装置または構造体の、このアクチュエータに遠い部位において、応力を付与するための要素として使用される。別の実施形態において、この装置は、このアクチュエータによって誘導される体積変化または寸法変化を増幅し、一方で、別の実施形態において、この装置は、このアクチュエータによって誘導される体積変化または寸法変化を減衰させる。
【0027】
1つの実施形態において、この構造体または装置は、大気圏内または大気圏外で稼動する。1つの実施形態において、このような構造体または装置は、航空機、ミサイル、宇宙船または人工衛星であり得る。別の実施形態において、このような構造体または装置は、航空機、ミサイル、宇宙船、ウォーム、ロボットまたは人工衛星の部品であり得る。他の実施形態において、この部品は、翼、羽根、先尾翼機、機体、尾部、補助翼、方向舵、昇降舵、フラップ、パイプ、プロペラ、鏡、光学素子、またはこれらの組み合わせであり得る。別の実施形態において、この部品は、エンジン、モータ、弁、調節器、ポンプ、流量制御デバイス、ロータ、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0028】
別の実施形態において、この構造体または装置は、水中で稼動する。1つの実施形態において、このような構造体または装置は、舟、船舶、潜水艦または水雷の部品である。別の実施形態において、この部品は、羽根、方向舵、パイプ、プロペラ、光学素子、またはこれらの組み合わせである。別の実施形態において、この部品は、エンジン、モータ、弁、調節器、ポンプ、流量制御デバイス、ロータ、スイッチまたはこれらの組み合わせである。
【0029】
別の実施形態において、この構造体または装置は、ボンベ、輸送手段、画像化デバイス、ロボット、ウォーム、プロテーゼ、外骨格、移植物、ステント、弁、人工器官、インビボ送達システム、またはインビボ信号伝播の手段である。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、作動の方法を提供し、この方法は、負電極、正電極および挿入種を備えるアクチュエータに、電圧または電流を印加する工程を包含し、ここで、印加電圧または印加電流を制御することによって、このアクチュエータにおける挿入種の挿入が誘導され、これによって、これらの挿入種は、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を誘導する。1つの実施形態において、装置または構造体が、このアクチュエータを備える。1つの実施形態において、この方法は、このアクチュエータを備える構造体または装置の構造変化を生じる。別の実施形態において、この構造体または装置は、1つより多くのアクチュエータを備える。別の実施形態において、湾曲、屈曲またはねじれ、あるいはこれらの組み合わせが、この構造体または装置において誘導される。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、回転電気化学的アクチュエータを備える装置において、トルクまたは回転運動を発生させる方法を提供し、この方法は、負電極、正電極および挿入種を備える回転電気化学的アクチュエータに、電圧を印加する工程を包含し、ここで、この電圧の印加によって、電流が発生し、このアクチュエータ内での挿入種の挿入を誘導し、このアクチュエータの体積変改または寸法変化が生じ、その結果、ロール積層体の層の巻きが解かれ、そしてトルクまたは回転運動が発生する。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの電気化学的アクチュエータを備えるポンプを提供し、この電気化学的アクチュエータは、負電極、正電極、挿入種、および少なくとも1つの弁を備え、ここで、電圧の印加に続いて、このアクチュエータにおいて電流が発生し、これらの種の挿入は、このアクチュエータの体積の変化を発生させ、その結果、流体が、この弁を通して方向付けられる。1つの実施形態において、このポンプは、直列のアクチュエータを備える。1つの実施形態において、これらのアクチュエータは、並列に配置される。別の実施形態において、これらのアクチュエータは、指定されたチャネルを通して流体を方向付けるように、平面内に配置される。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの電気化学的アクチュエータを備える傾性構造体を提供し、この電気化学的アクチュエータは、負電極、正電極、および挿入種を備え、ここで、電圧の引火に続いて、このアクチュエータにおいて電流が発生し、この挿入種の挿入は、このアクチュエータの体積の変化を発生させ、その結果、屈曲または他の変形が、この傾性構造体において誘導される。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、微小流体システムにおける電気化学的アクチュエータの使用を提供し、この簿衣装流体システムにおいて、液圧式アクチュエータが、この電気化学的アクチュエータにおける挿入により誘導される体積変化によって、駆動される。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、航空機の航空管制のための、少なくとも1つの電気化学的アクチュエータの使用を提供し、このアクチュエータは、このアクチュエータの挿入により誘導される体積変化に続いて、より大きい航空管制が達成されるように、航空機上に位置決めされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(発明の詳細な説明)
本発明は、1つの実施形態において、高弾性率の無機化合物の電場により駆動される挿入(イオン交換)に基づく、正確かつ有用な力学的仕事を生成させる作動のための、方法および構造体/装置を提供する。
【0037】
本発明は、1つの実施形態において、負電極、正電極および挿入種を備える電気化学的アクチュエータを提供し、この電気化学的アクチュエータは、引火電圧または印加電流に曝露され、これによって、この電圧または電流の印加または停止が、このアクチュエータにおけるこの挿入種の挿入を誘導し、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を生じる。本発明の文脈において、1つの実施形態において、挿入とは、構造体にイオンを挿入して他の原子の配置を実質的に変化させずに寸法変化を引き起こすこと、無秩序または配向付けられた固溶体を形成する挿入、合金を形成する挿入、または新たな相への部分的もしくは完全な転移を引き起こす挿入を包含する、広範な意味を有すると理解される。「挿入」のこれらの方法の全ては、力学的作動を提供する際に有用であり得る。
【0038】
バッテリ型において使用される、固相イオン挿入化合物は、この構造体中にイオン(例えば、Li)が挿入される場合に、大きい可逆的な体積変化(高い可逆性で約15%まで)を受け得る。これは、1つの実施形態において、本発明のアクチュエータによって利用される。1つの実施例として、図1は、カンラン石構造の化合物(Fe,Mn)POがリチウム化されて端成分の組成Li(Fe,Mn)POになる場合に、この化合物において起こる体積変化を示す。完全にリチウム化された組成限界(上の曲線)と完全に脱リチウムされた組成限界(下の曲線)との間で、7.4%〜10%の体積変化(2.4%〜3.2%の線形ひずみ)が、Fe/Mn比に依存して実現可能である。これは、バッテリの分野から生じた多数の新たな挿入化合物のほんの1つであり、本明細書で提唱される技術に対する見込みがあり、これらのすべては、本発明の実施形態を代表する。このような化合物へのイオンの挿入は、体積の膨張または収縮を生じ得、そしてこのような膨張または収縮は、等方性であっても異方性であってもよい。
【0039】
この体積変化は、対応する線形寸法変化または多軸寸法変化を有し得、この寸法変化は、本名最書中で、力学的作動のために利用される。この寸法変化が異方性である場合、この異方性は、これらの化合物を、所望の作動方向にこの化合物の結晶学的配向を有する形態で使用することによって、作動のための寸法変化を最大にするか、最小にするか、または最適にするために、さらに利用され得る。例えば、活性材料が黒鉛である1つの実施形態において、アルカリイオンの挿入の際の膨張は、主として、この黒鉛構造体のグラフェンの面に対して垂直に起こり、そして最大の膨張および収縮は、この黒鉛のグラフェンの面を、望ましい作動方向に配向させることによって、発生し得る。
【0040】
表1は、リチウムが可逆的に電気化学的に挿入された、電気化学的対を含む化合物の例示的な対を提供する。これらの化合物について、固有の線形膨張および体積膨張(すなわち、リチウム化形態および脱リチウム形態の結晶定数)が得られる。表2は、リチウムバッテリにおいて正電極および負電極として使用される、例示的な個々の化合物、ならびにこの化合物が脱リチウムされ得る代表的な組成について起こる体積変化を提供する。本発明の電気化学的アクチュエータにおいて、化合物は、最適なエネルギー貯蔵のために設計されたバッテリを構成する電極として使用されることに限定されないことに、留意のこと。すなわち、活性材料は、電気化学的アクチュエータにおいて、正電極または負電極のいずれも構成し得る。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
LiCoOは、正電極として使用される場合、リチウムが移動する際に1.85%膨張し、一方で、他のほとんどの化合物は、収縮する。適切な体積変化にもかかわらず、LiCoOは、興味深い。なぜなら、この物質は、非常に信頼性が高く良好に開発された電気化学的系において、炭素と共に使用され得るからである(表1)。LiCoOは、六角形の構造(菱面体空間群R−3m)を有し、ここで、リチウムの面は、c軸に対して平行である。このc軸に沿ったヤング率は、330GPaであり、一方で、a軸(迅速に拡散する面内にある)に沿ったヤング率は、500GPaである(F.X.HartおよびJ.B.Bates、J.Appl.Phis.,83[12],7560(1998))。従って、ランダムに配向した多結晶について、約400GPaの凝集値が得られ得る。このような値は、高強度の構造セラミック(例えば、AlおよびSiC)について得られる値に近い。
【0044】
正電極として使用するための第二の例は、LiF3PO(ホスホカンラン石)であり、これは、適切にドープされると(S.Y.Chung,J.T.Blocking、Y.−M.Chiang,Nature Materials,1,123(2002))、リチウムバッテリについて非常に速い充電−放電挙動を有し、約1分間の充電−放電回数(17mHz)でその充電容量(および結晶膨張)の約50%を維持する。その弾性特性は測定されていないが、類似の材料であるリン酸アパタイト(Ca(OH,F)(PO)は、150GPaのヤング率を有する(G.SimmonsおよびH.Wang,Single Crystal Elastic Constants and Calculated Aggregate Properties,MIT Press,Cambridge,MA,1971)。ホスホカンラン石は、それらのより濃密な原子充填に起因して、アパタイトより高い弾性率を有することが予測される。これらの化合物の別の魅力は、電気化学的系におけるそれらの安全性である。
【0045】
表2に示されるように、黒鉛は、電気化学的アクチュエータの負電極として使用するために優れた候補である。これは、LiCの限界組成へのリチウム化の際の、約13%の体積膨張に起因する。このファミリーとしては、黒鉛のみでなく、種々の他の形態の無秩序炭素もまた挙げられ、これらは、一緒になって、現在の技術において広範に使用される負電極を構築する(例えば、N.Imanishi,Y.TakedaおよびO.Yamamoto、ならびにM.WinterおよびJ.O.Besenhardによる、Lithium Ion Batteries,M.WakiharaおよびO.Yamamoto編、Wiley−VCH,Weinheim,Germany,1998のそれぞれ第5章および第6章を参照のこと)。
【0046】
表2からの材料を使用して、数種の型の電気化学的アクチュエータが、想到される。1つの型において、1つの電極材料の体積変化が、力学的仕事を実施するために使用され、同時に、対電極の体積変化は、無視できるか、または負荷を受けない様式で調整される。この例において、活性材料は、主として、それらの弾性定数およびひずみに従って選択される。
【0047】
第二の型において、正電極と負電極との両方が、負荷を受け、そして電気化学的対(静電強固予備負電極)における両方の活性材料の体積変化が使用され、電気化学的反応の正味の体積変化は、関連する量である。表1は、負電極材料として炭素を使用する、数種の電気化学的対を列挙し、この表から、各材料の相対量が充電のバランスの取れた電池を与えるように調節される場合に、数個の選択肢が、電池において約5%の体積ひずみを与えることが分かる。両方の設計において、他の問題(例えば、速度容量(帯域幅)、サイクリングの可逆性、ならびに広範な作動温度にわたる安定性および安全性)もまた、選択プロセスにおいて考慮されなければならない。
【0048】
表2の材料を使用して、電気化学的セルの充電の際に膨張する型のアクチュエータ、または放電の際に膨張する型のアクチュエータを設計することもまた、可能である。表1は、セルの充電の際に膨張する4つの例、および放電の際に膨張する1つの例を提供する。放電の際に膨張するアクチュエータの別の例として、「0ひずみ」材料LiTi12(表2)より低いリチウム挿入電位を有し、そしてリチウム化の際に膨張する、任意の電極活性化合物が、LiTi12と共に使用される場合に、負電極を構成する。このようなセルは、電子が電極の間を流され、そしてリチウムが、LiTi12から他の電極へと流れる際に自発的に放電し、この電極を膨張させる。自発的な放電の際に膨張または収縮するセルを有することは、特定の「デフォルト」状態が望ましい用途のために本発明のアクチュエータを設計する際(例えば、電気化学的アクチュエータの故意または不慮の短絡の際に開状態(または閉状態)を初期状態とする作動ラッチを設計する際)に有利であり得る。
【0049】
アクチュエータが有用なひずみを発生させながら曝露され得る応力、すなわち、0ひずみまたは小さいひずみを受けているアクチュエータによって発生し得る「ブロックひずみ」は、このアクチュエータの実際の有用性に直接関係のある、重要な性能特徴である。この局面において、表2および先の議論は、本発明の電気化学的アクチュエータの特定の利点を説明し、この利点とは、活性材料の高い弾性率である。本発明において、本発明者らは、アクチュエータが、電気化学的に誘導されるひずみがかなりのものであり、同時に多くのイオン貯蔵化合物(黒鉛、金属合金、および挿入酸化物が挙げられる)が、他のアクチュエータ材料(例えば、電気活性ポリマーまたはゲル)の弾性率の1000倍より高い弾性率(50GPa〜150GPa)を有し、これによって、大きい作動威力および大きいひずみを提供するという事実を利用することを認識し、そしてそのようにアクチュエータを設計する。
【0050】
高い作動エネルギー密度および作動応力に加えて、圧電アクチュエータ技術との比較を可能にする作動威力の1つの尺度は、係数e33であり、これは、単位電場あたりに発生する作動応力を表す(単位:Pa/V/m=C/m)(圧電素子の場合、この係数は、印加電場の方向の応力について最大化され、上付き文字「33」によって表される。)。図37に概略されるような、現行のリチウムイオンバッテリ技術のものと匹敵するカソードおよびアノードの厚さを有する、積層電気化学的アクチュエータを考える。一例として、このようなデバイスは、図38に示されるように、1つの電極として層間化合物、剛性であるが多孔性のセラミックセパレータ、および高い弾性率の無機負電極を有し得る。図1の電気化学的挿入化合物の、200マイクロメートルの厚さの層(バッテリ電極について代表的)について、粉末ベースの複合電極として調整される場合、Y=50GPaのヤング率を有する(約150GPaの単結晶の値から減少するようである)。3.3Vの印加電圧下で、この電極は、完全に挿入されて、約1.5%のεの線形ひずみに達し得、これによって、e33=3.8×10C/mを生成する。この値は、15C/m〜40C/mという、最もよく知られた圧電素子を用いて得られるe33値をかなり超える。対応する作動比エネルギー(1/2eY/ρと解釈される)、ひずみエネルギー密度(1/2eY/ρと解釈され、ρは、材料の密度である)は、活性材料層について、約2050J/kg(5.6×10kJ/m)であり、そして不活性支持層の重力または体積の半分を含むアクチュエータスタックについて、約1000J/kg(2.8×10kJ/m)である。これらの値は、PZT圧電セラミックについての代表的な値である、13.5J/kgおよび100kJ/mを、大いに超える。2.8×10kJ/mのスタック体積ひずみエネルギー密度、および1.5%の線形ひずみにおいて、等価なブロック応力は、約375MPaである。これらの比較は、高い作動エネルギー、高い作動威力、および大きいひずみが必要とされる、既存の作動技術より優れた、本発明の利点、ならびに高い威力と組み合わせられたかなりのひずみを必要とする広範な種々の適応性構造体における有用性を説明する。
【0051】
バッテリは、エネルギー貯蔵デバイスであるので、貯蔵される電気エネルギーの総量は、当然、最大にされる。パッケージされていない充電式リチウムイオンバッテリ(すなわち、巻を有さない活性「スタック」のみ)についての代表的な貯蔵エネルギーレベルは、550Wh/リットルおよび200Wh/kgである。このような場合、そして電気エネルギーの貯蔵および1V未満または0.5V未満の印加電圧で作動することを考慮せずに設計された本発明の電気化学的アクチュエータにおいてさえも、充電/放電サイクルの間になされる力学的仕事は、貯蔵された電気エネルギー全体のほんの数パーセントのみであり得る。この低レベルの電気化学的カップリングは、達成される高いブロック応力について、非常に応答性である。すなわち、充電されたバッテリを、過剰の応力の付与によって放電させることは、困難である。1つの実施形態において、このアクチュエータは、電気エネルギーが、アクチュエータから貯蔵バッテリへと動かされるように、または別の実施形態においては、一方のアクチュエータが充電されて他方のアクチュエータが放電されるように協奏して作用する2つのアクチュエータの間で往復されるように、そして、同時に発生する正のひずみおよび負のひずみが加算されて、所望の変形を発生させるように、設計される。1つの実施形態において、本発明は、1つのアクチュエータが充電され、別のアクチュエータが放電されるように、拮抗するアクチュエータの使用を可能にする。両方のアクチュエータは、ひずみの観点からは有利に作用するが、これらの2つの間での電気エネルギーの往復は、抵抗により消散しないようになる。従って、本発明のこの局面によれば、このシステムにおける損失は、主として、電荷がアクチュエータの間で往復する際に発生する低抵抗性の損失であり得る。
【0052】
1つの実施形態において、挿入される材料とは、イオン層間化合物をいい、そして1つの実施形態においては、固相イオン層間化合物(例えば、バッテリ系において使用されるもの)をいう。この化合物は、本明細書中に記載されるように、アクチュエータの構造に挿入される。別の実施形態において、挿入種は、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。1つの実施形態において、このアルカリ金属は、リチウムである。
【0053】
別の実施形態において、高弾性率の無機化合物は、リチウム遷移金属酸化物の正電極(例えば、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiFePO)、および充電可能なバッテリ系のための貯蔵電極として開発された炭素負電極によって例示される。これらの化合物、および他の実施形態においては、他の類似の化合物は、1.5V〜5Vという低い電圧で、Liイオンを挿入され、大きく信頼性のある体積変化(いくつかの実施形態において、3%〜13%)を発生させ得る。
【0054】
別の実施形態において、イオン挿入機構は、リチウムを、種々の金属およびメタロイド(例えば、SnまたはSi)で合金化することを利用し得る。この挿入は、別の実施形態において、250%を超える体積膨張を生じ得る。
【0055】
1つの実施形態において、作動のために発生する電気化学的に誘導されるひずみは、層間化合物(これらは、高弾性率(50GPa〜150GPa)の酸化物である)を使用する場合、大きい作動威力および大きい自由ひずみを可能にし、その結果、これらの材料の固有の圧縮強度に近い応力が発生し得る。さらに、これらの化合物は、鉛ベースの圧電素子または金属合金(磁気ひずみ器および形状記憶合金が挙げられる)と比較して、低い密度(3.5g/cm〜5g/cm)を有する。
【0056】
1つの実施形態において、本発明のパッケージされたアクチュエータは、2g/cm〜4g/cmの密度を有し得、この密度は、広範な用途のために適切な、高い作動威力を発生させ得る。
【0057】
1つの実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、0.1%から300%の範囲であり得る。1つの実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、0.1%から10%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、0.1%から50%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、0.1%から100%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、1%から100%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、10%から100%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、1%から200%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、10%から200%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、50%から200%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、100%から200%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、10%から300%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、100%から300%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は、50%から300%の範囲であり得る。別の実施形態において、本発明のアクチュエータの体積変化または寸法変化は、可逆的であり得る。
【0058】
1つの実施形態において、上記アクチュエータの体積変化または寸法変化は,印加電圧によって誘導される電流の関数であり得る。1つの実施形態において、この電気化学的アクチュエータは、変動する電圧に曝露され得る。1つの実施形態において、電圧または電流を経時的に増加させることにより、体積の緩やかな増加が生じ得る。別の実施形態において、電圧または電流を経時的に低下させることによって、体積の緩やかな減少が生じるか、または別の実施形態において、体積のゆるやかな増加が生じ得る。別の実施形態において、変動する電圧のサイクルは、体積の不連続な変化を誘導するために、所望され得る。
【0059】
別の実施形態において、本発明のアクチュエータの電極は、最初に、挿入種を濃縮され、そしてこの挿入種のための供給源として働き得る。別の実施形態において、本発明のアクチュエータの負電極は、挿入種のための供給源として働き得る。別の実施形態において、本発明のアクチュエータの正電極は、挿入種のための供給源として働き得る。
【0060】
別の実施形態において、電極は、高弾性率の化合物を含有する。別の実施形態において、電極は、イオン遷移金属酸化物を含有する。別の実施形態において、このイオン遷移金属酸化物は、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。別の実施形態において、このアルカリ金属は、リチウムである。別の実施形態において、電極は、LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiMnPO、LiTi12ならびにこれらの修飾複合材料および固溶体を含有する。別の実施形態において、電極は、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化ニッケルまたは酸化鉄のうちの1種以上を含有する、酸化物化合物を含有する。別の実施形態において、電極は、TiSi、MoSi、WSi、ならびにこれらの修飾複合材料および固溶体を含有する。別の実施形態において、電極は、金属または金属巻化合物を含有する。別の実施形態において、電極は、リチウムまたはリチウム−金属合金であり、これは、微結晶、ナノ結晶、または非晶質であり得る。別の実施形態において、負電極は、アルミニウム、銀、金、ホウ素、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、鉛、アンチモン、ケイ素、またはスズのうちの1種以上である。別の実施形態において、電極は、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体、高配向性発熱黒鉛、無秩序炭素構造体またはこれらの組み合わせの形態の、炭素である。別の実施形態において、挿入種は、イオンである。別の実施形態において、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。
【0061】
別の実施形態において、正電極または負電極の化合物は、100GPaと500GPaとの間の範囲の弾性率を示す。別の実施形態において、この化合物は、50GPaと150GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、50GPaと350GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、50GPaと450GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、10GPaと250GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、10GPaと350GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、10GPaと450GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、25GPaと250GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、25GPaと500GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、50GPaと500GPaとの間の範囲の弾性率を示すか、または別の実施形態において、この化合物は、50GPaと300GPaとの間の範囲の弾性率を示す。
【0062】
別の実施形態において、電極は、イオン遷移金属酸化物を含有する。別の実施形態において、このイオン遷移金属酸化物は、プロトン、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属である。別の実施形態において、このアルカリ金属は、リチウムである。別の実施形態において、この電極は、LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMn、LiMnPO、LiTi12またはこれらの修飾複合材料もしくは固溶体を含有する。別の実施形態において、挿入種は、イオンである。別の実施形態において、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。
【0063】
別の実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータは、単結晶を含有する負電極または正電極、またはこれらの組み合わせを備え、あるいは別の実施形態においては、その結晶性の好ましい結晶学的配向を有する多結晶を含有する、負電極または正電極、またはこれらの組み合わせを備える。別の実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータは、複数の個々の微結晶または粉末を含有する、負電極または正電極、またはこれらの組み合わせを備える。別の実施形態において、複数の個々の微結晶または粉末であり、結晶または粉末粒子の好ましい結晶学的配向が存在する。別の実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータは、非晶質または無秩序材料の複数の粒子を含有する、負電極または正電極、またはこれらの組み合わせを備える。
【0064】
別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、集電装置をさらに備え、この集電装置は、別の実施形態において、伝導性材料を含有する。別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、絶縁性のセパレータをさらに備え、このセパレータは、1つの実施形態において、多孔性であり、または別の実施形態においては、剛性である。1つの実施形態において、多孔性セパレータは、ミクロ多孔性ポリマーを含有する。別の実施形態において、多孔性セパレータは、多孔性の絶縁セラミック材料を含有し、この材料は、別の実施形態において、アルミナ、アルミノシリケート、コーディエライト、またはケイ酸ガラスである。別の実施形態において、本発明のアクチュエータの電極は、伝導性添加剤をさらに含有する。
【0065】
別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、電解質をさらに備える。1つの実施形態において、この電解質は、固体電解質であるか、または別の実施形態において、この電解質は、液体電解質もしくはゲル電解質である。別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、外部パッケージング層をさらに備え、この層は、1つの実施形態において、絶縁層であり得るか、または別の実施形態において、保護層であり得るか、または別の実施形態において、これらの組み合わせであり得る。
【0066】
本発明の1つの実施形態において、本発明のアクチュエータにおける種の挿入は、電圧の印加の際と停止の際との両方に起こり得る。1つの実施形態において、印加電圧は、0.1Vと15Vとの間の範囲である。別の実施形態において、印加電圧は、1Vと5Vとの間の範囲である。別の実施形態において、印加電圧は、0.1Vと5Vとの間の範囲である。別の実施形態において、印加電圧は、1Vと10Vとの間の範囲である。別の実施形態において、印加電圧は、1Vと15Vとの間の範囲である。別の実施形態において、印加電圧は、5Vと15Vとの間の範囲である。別の実施形態において、印加電圧は、5Vと10Vとの間の範囲である。別の実施形態において、印加電圧は、変動し得、このことは、別の実施形態において、挿入の量に影響を与え得、そして別の実施形態において、体積変化の程度に影響を与え得る。
【0067】
別の実施形態において、本発明のアクチュエータの体積変化または寸法変化は、負電極においてか、正電極においてか、またはこれらの組み合わせである。別の実施形態において、この体積変化または寸法変化は、可逆的である。別の実施形態において、本発明のアクチュエータにおける挿入は、高いひずみを発生させる。
【0068】
1つの実施形態において、発生するひずみは、0.1%〜300%の範囲であるか、または別の実施形態において、発生するひずみは、1%〜300%の範囲であるか、または別の実施形態において、発生するひずみは、10%〜300%の範囲であるか、または別の実施形態において、発生するひずみは、0.1%〜200%の範囲であるか、または別の実施形態において、発生するひずみは、10%〜300%の範囲であるか、または別の実施形態において、発生するひずみは、10%〜200%の範囲であるか、または別の実施形態において、発生するひずみは、50%〜300%の範囲であるか、または別の実施形態において、発生するひずみは、50%〜200%の範囲である。
【0069】
別の実施形態において、負電極、または別の実施形態において、正電極は、本発明のアクチュエータにおいて、挿入種のドナーまたはアクセプターとして、またはこれらの組み合わせとして働く。
【0070】
本発明の電気化学的アクチュエータは、多くの異なる構成または設計またはアーキテクチャを有し得る。いくつかの実施形態において、これらのアクチュエータは、貯蔵バッテリと類似の構造で実装され得る。1つの実施形態において、図37に概略的に図示されるように、薄膜バッテリと類似の形態である。アクチュエータ24は、基板26上に配置され得る。このアクチュエータは、負電極28、および電解質層32によってこの負電極から分離された正電極30を備える。1つの実施形態において、この電解質は、固体電解質であるか、または別の実施形態において、液体電解質である。負電極34および正電極36のための集電装置もまた、提供され得る。保護コーティング38が同様に存在し得、この保護コーティングは、絶縁材料を含有し得る。
【0071】
他の実施形態において、このアクチュエータは、スタック設計または巻き設計のいずれか、あるいはこれらのハイブリッドの、多層貯蔵バッテリと類似の設計(例えば、セパレータフィルムが一連の連続的に積み重ねられた不連続な電極の周りに連続的に巻かれる設計が挙げられる)を有し得る。このような設計は、バッテリの当業者に周知である。1つの実施形態において、本発明は、多層スタック型電気化学的アクチュエータを提供し、このアクチュエータは、2つ以上の負電極層、2つ以上の正電極層、および挿入種を備え、この多層スタック型電気化学的アクチュエータは、印加電圧に曝露され、これによって、この電圧の印加または停止が、このアクチュエータにおける挿入種の挿入を誘導し、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を生じる。
【0072】
電極は、貯蔵バッテリについて使用される方法と類似の方法によって、本発明のアクチュエータのために製造され得る。1つの実施形態において、本発明のこの局面によれば、活性材料は、ポリマー結合剤および伝導性添加剤(例えば、1つの実施形態において、炭素)を含有する粉末ベースの懸濁液からキャスティングされ得、次いで、高圧下(例えば、1インチあたり数トン)で、濃密に圧縮された層にカレンダ(ロール)され得る。この層において、活性材料の体積百分率は、50%と70%との間である。
【0073】
1つ以上の実施形態において、多層スタック型電気化学的アクチュエータまたは巻かれた電気化学的アクチュエータは、貯蔵バッテリにおいて使用されるものと類似の多孔性ポリマーセパレータフィルムを使用し得る。
【0074】
本明細書中で例示されるように、貯蔵バッテリと類似の構成を使用する(具体的には、ポリマー結合剤および液体電解質もしくはゲル電解質を含有する電極を有するか、アクチュエータの機能の間に負荷を受ける多孔性ポリマーセパレータを有するか、または比較的低い弾性率のポリマー材料を含有する外部パッケージを有する)、本発明の多層電気化学的アクチュエータは、いくつかの実施形態において、本発明の他のアクチュエータと比較して柔軟な構成を有する。これは、使用される低弾性率の材料および/または多層アクチュエータにおける過剰の内部体積に起因する。力学的負荷の下で、このようなアクチュエータは、いくつかの実施形態において、可塑性変形または粘性クリープまたは年弾性変形を示し得る。このようなアクチュエータから有用な力学的仕事を得る目的で、本発明の1つの局面によれば、このような設計の電気化学的アクチュエータは、より大きい剛性、より高い作動エネルギー密度、より高い作動ひずみ、低下したクリープ変形、より低いひずみ履歴、複数の作動サイクルにわたる改善された作動性能の可逆性、またはこれらの組み合わせを提供するように、力学的に予備処理または加工され得る。1つの実施形態において、多層アクチュエータは、静水圧に曝露されて、このアクチュエータを圧密化され、自由堆積を除かれ、そして性能を改善される。別の実施形態において、一軸応力が、この多層アクチュエータに、層に対して垂直に付与されて、過剰の内部体積を除くか、スタックを圧密化するか、アクチュエータの剛性を増加させるか、またはクリープ変形を除く。静水圧または非静水圧の性質のこのような付与される応力は、代表的には、限度なしには増加され得ない。なぜなら、電極層または集電装置またはタブの内部短絡が起こり得るからである。内部短絡を引き起こすためには不十分な応力においてさえも、ミクロ多孔性ポリマーセパレータまたは粒子ベースの電極は、アクチュエータの機能を阻害する程度まで圧密化され得る。しかし、驚くべきことに、本明細書中で説明されるように、非常に高い予備調整圧力が、マルチスタックアクチュエータに付与されて、内部欠陥を引き起こすことなくこのアクチュエータの性能を改善させ得ることが見出された。
【0075】
従って、いくつかの実施形態において、一軸圧力または静水圧は、組み立てられた積層アクチュエータの予備調整のために使用される。いくつかの実施形態において、付与される圧力は、内部欠陥を引き起こすことなく、10,000psi(69MPa)程度に高くあり得、他の実施形態においては、20,000psi(168MPa)程度に高くあり得るか、または30,000psi(207MPa)程度に高くあり得るか、または45,000psi(310MPa)程度にさえ高くあり得、その後のアクチュエータの性能を改善する。
【0076】
活性材料電極の間にミクロ多孔性ポリマーセパレータを組み込む、積層電気化学的アクチュエータの他の実施形態において、高い力学的エネルギー密度および高いひずみが、かなりの応力付与下で、得られる。実施例によって説明されるように、いくつかの実施形態において、このような多層スタック型アクチュエータは、0.1MPaから50MPaの応力下で、0.5%から5%の作動ひずみを提供し、そして1kJ/mから400kJ/mの作動エネルギー密度を提供するために使用される。1つの例示的なアクチュエータおよび作用条件について、4%のひずみが得られ、一方で、1MPaの応力下で作動させると、40kJ/mのエネルギー密度を提供し、そして2.5%のひずみが得られ、一方で、10MPaの応力下で作動させると、250kJ/mのエネルギー密度を提供する。他の実施例および実施形態において、より低いひずみならびに関連する応力およびエネルギー密度が得られ、これらは、有用な力学的仕事を実施する能力を提供する。
【0077】
いくつかの実施形態において、本発明のアクチュエータは、高い作動速度を提供する。いくつかの実施形態において、高い充電および放電速度のバッテリと類似の構成のアクチュエータが提供され、このアクチュエータにおいて、セルの実質的に完全な充電または放電が、6分未満(充電または放電の10Cの速度)、または4分未満(14Cの速度)または3分未満(20Cの速度)で可能である。他のこのような実施形態において、イオン貯蔵(ファラデー)電極材料は、18秒(200Cの速度)程度に短い実質的に完全な充電および放電が可能であり、このような材料を使用する電気化学的アクチュエータの作動の匹敵する速度を可能にすることが公知である。いくつかの実施形態において、アクチュエータの速度は、経時的に充電または放電することによって増加し、このことは、アクチュエータの全体または可逆的な充電能力の一部のみが達成されることを可能にする。
【0078】
実施例によって説明されるように、いくつかの実施形態において、0.5MPaより大きい付与応力下で1.5%より多く、または5MPa程度に高い付与応力下で1.5%より多く4%まで、または20MPa程度に高い付与応力下で2.5%程度まで多くが、400kJ/m程度に高い作動エネルギー密度を提供する。いくつかの実施形態において、5MPa、10MPaまたは20MPa程度に高い一軸応力が付与され得、一方で、作動エネルギー密度も作動ひずみも作動速度も有意に損失せずに、作動を発生させる。
【0079】
他の実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータのいくつかを設計する場合に、高い弾性率を有し、そして機能の損失なしに高い付与負荷に耐え得るセパレータを含有する材料の使用が、用いられる。従って、多層スタック型電気化学的アクチュエータ40が、1つの実施形態において、図38に概略的に図示されるように、機とされ得る。この局面によれば、1つの実施形態において、活性層は、正電極層42であり、この電極層は、粘着層を備え、この粘着層はまた、1つの実施形態において、結合剤を含有し得る。絶縁セパレータ層44は、別の実施形態において、高剛性の多孔性セラミック(例えば、ケイ酸ベースのセラミック、またはこの場合には、図38に示されるように、多孔性Al)から構築され得る。対電極46は、負荷を受けないように、多孔性セパレータ内に包埋され得る(この場合には、多孔性Alに包埋されたLi)。液体塩化異質が、アクチュエータ48に浸入し得る。
【0080】
別の実施形態において、高剛性セパレータは、絶縁粒子(例えば、絶縁セラミック材料の粒子)の層を備える。このような層は、より大きい機械的可撓性を有し、一方で、高い作動負荷の下で、多孔性を維持する。1つの実施形態において、この多孔性粒子性セパレータは、セラミック加工またはコーティング技術の当業者に周知の方法(例えば、スプレー体積、ドクターブレードコーティング、スクリーン印刷、ウェブコーティング、コンマリバース(comma−reverse)コーティング、またはスロット−ダイコーティング)を使用して、層の組み立ての前に、一方または両方の電極の嵌合する表面に、粒子層またはスラリー層として、キャスティングされる。1つの実施形態において、粒子セパレータは、ガラス、ケイ酸セラミック、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、または絶縁性である他の混合金属酸化物もしくは混合金属窒化物もしくは混合金属炭化物を含有する。
【0081】
別の実施形態において、対電極46は、剛性セパレータに包埋された層間化合物、または別の実施形態において、力学的に機能的な層で置き換えられ得る。このような置き換えは、スタック型アクチュエータ設計50において利用され得る。電源52は、アルミニウム集電装置38および銅集電装置52に接続され得る。小型の、統合された多層アクチュエータ54(例えば、この実施形態において示されるもの)は、望ましい自由度を付与するために、種々の構成で、適応性構造体に分散され得る。1つの実施形態において、低下した電圧状態で(すなわち、充電または放電によって)調整され得、次いで、構造体に挿入され得るデバイスは、膨張の際に作動し得る。このような統合されたアクチュエータはまた、容易に交換され得、適合性構造体の保全を単純化する。
【0082】
電気化学的アクチュエータ(ECA)のエネルギー密度は、高くあり得、そして別の実施形態において、材料の選択は、得られるエネルギー密度に影響を与える。得られる体積変化は、1つの実施形態において、0.1%から50%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、0.1%から1%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、1%から5%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、5%から8%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、5%から10%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、8%から10%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、10%から15%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、15%から20%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、5%から15%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、5%から20%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、20%から25%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、10%から20%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、10%から25%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、20%から35%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、25%から35%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、15%から35%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、25%から40%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、20%から50%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、35%から40%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、35%から50%の範囲であり得る。
【0083】
本発明の電気化学的アクチュエータは、力学的エネルギーの発生を可能にする。1つの実施形態において、本発明の任意の電気化学的アクチュエータ(例えば、本発明の多層スタック型アクチュエータが挙げられる)は、力学的エネルギーの発生を可能にし、そして応力条件下で作動し得る。1つの実施形態において、体積変化または寸法変化は、付与される応力に対して起こり、その結果、力学的仕事が実施され、ここで、この力学的仕事を、アクチュエータの初期体積で除算したもの(力学的エネルギー密度)は、0.1kJ/mと5000kJ/mの間の値を超える(kJ/m)。1つの実施形態において、力学的エネルギー密度は、1kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、10kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、50kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、100kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、200kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、300kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、500kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、1000kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、1250kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、1500kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、1750kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、2000kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、2250kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、2500kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、2750kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、3000kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、3250kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、3500kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、3750kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、4000kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、4500kJ/mを超えるか、または別の実施形態において、力学的エネルギー密度は、5000kJ/mを超えるか、またはこれらの間の任意の範囲である。
【0084】
別の実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータは、付与される応力に対して発生する体積変化または寸法変化を有し、その結果、力学的仕事が実施される。ここで、この力学的仕事を、このアクチュエータの質量で除算したもの(比力学的エネルギー)は、0.01J/gと2,000J/gとの間を超える。1つの実施形態において、比力学的エネルギーは、0.4J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、1J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、2J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、3J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、4J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、5J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、10J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、20J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、40J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、80J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、100J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、200J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、300J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、400J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、500J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、750J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、1000J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、1200J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、1350J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、1500J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、1600J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、1800J/gを超えるか、または別の実施形態において、比力学的エネルギーは、2000J/gを超える。
【0085】
本発明のアクチュエータは、いくつかの局面において、改善された負荷保有を提供する設計またはアーキテクチャを有するか、あるいはセルの1つの活性材料によって負荷を受けるための設計またはアーキテクチャを有する。このような設計はまた、積層型の設計においてのように、多孔性セパレータに負荷を受けさせることを回避し得る。従って、1つの実施形態において、本発明のアクチュエータは、作動の主要な方向で複数の負荷保有部材を形成する作動を提供する、電極化合物または複合電極を有し得る。各部材は、主要な作動方向から、1つ以上の方向へ、層間化合物に曝露される。別の実施形態において、これらの部材は、ポストまたは場凹またはリッジのパターンとして、形成され得る。別の実施形態において、このアクチュエータ設計は、ポストのアレイを備え、ここで、1つのみの活性材料が、負荷を受ける。別の実施形態において、このアクチュエータ設計は、1つの電極が作動を実施する場合に、他の電極は、剛性の多孔性セパレータ内に埋まっており、その結果、この後者の電極は、負荷を受けないような設計である。
【0086】
別の実施形態において、これらの部材の横方向の寸法は、作動期間の望ましい時間の間に層間化合物の実質的な挿入を可能にするために充分に小さい厚さの少なくとも半分の厚さを有し得る。別の実施形態において、層間化合物の供給源が、部材のパターンに隣接して配置されるか、または別の実施形態において、部材の間に配置されて、主要な作動方向ではない方向からのイオンの挿入を可能にする。
【0087】
1つの実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータは、高い負荷を受ける能力、および高い応力を発生させる能力、ならびに高い作動層度を発生させる能力を有する。本発明の作動化合物、およびこのような作動化合物を組み込む複合電極は、1つの実施形態において、張力負荷でかなりの応力を支持し得、そして別の実施形態において、圧縮負荷でさらに大きい応力を支持し得る。
【0088】
例えば、多結晶黒鉛材料は、100MPa〜200MPaの圧縮故障応力を有し得、高配向性黒鉛または単結晶黒鉛は、c軸方向(グラフェン面に対して垂直)に、500MPaを超えるか、または1GPaさえ超える圧縮故障応力を有し得、そして濃密に焼結された金属酸化物層間化合物は、400MPaを超えるか、または1GPaさえ超える圧縮故障強度を有し得る。1つの実施形態において、特定の用途は、高い負荷を受ける方向以外の方向から、イオン挿入が起こることを必要とし得る。例えば、本明細糸書中に記載される繊維アクチュエータにおいては、1つの実施形態において、負荷の保有は、主として繊維の軸に沿っており、一方で、イオン挿入は、横断方向に起こる。
【0089】
本発明のこの局面によれば、1つの実施形態において、アクチュエータは、横断方向または横方向に配置されたイオン供給源から、圧縮負荷または引っ張り負荷を支持するアクチュエータの負荷保有部材へのイオン挿入を可能にするように、設計される。負荷を受ける部材の横方向寸法または横断寸法は、電気化学的材料およびデバイスの分野の当業者に周知である、イオンおよび電子の輸送速度論に基づいて、選択され得る。
【0090】
1つの実施形態において、リチウム層間化合物が電気化学的作動のために使用される場合、材料の特定の断面を所望のイオン濃度および対応するひずみまでリチウム化または脱リチウムするために必要とされる時間は、この材料へのイオン輸送の速度を知ることによって、容易に決定され得る。このような決定は、実験によって容易に試験され得るか、または表にされたかもしくは推定された特性値(例えば、イオン拡散係数、イオン伝導度および電子伝導度、ならびに表面反応速度係数)を使用して理論的になされ得る。
【0091】
極端に高い応力およびエネルギー密度は、適切に設計されたアクチュエータおよび作動材料を使用して達成され、そして当業者によって理解され、そして本明細書中で例示されるとおりである。1つの実施形態において、配向黒鉛材料は、負荷を受ける作動材料として使用され、この黒鉛のc軸が、所望の作動方向に実質的に配向する。1つの実施形態において、黒鉛は、負荷を一緒に受ける複数の個々の要素を有し、これらの要素の各々は、200マイクロメートル以下の最小断面幅を有し、有用な作動時間にわたるかなりのイオン挿入を可能にする。実施例に示されるように、1つのこのような実施形態において、1.2%程度に高い作動ひずみが、100MPa(1cmあたり1メートルトン)程度に高い応力下で得られ、1200kJ/mのエネルギー密度を提供するか、または4.3%の作動ひずみが、30MPaの応力下で得られ、1290kJ/mのエネルギー密度を提供する。これらの実施例は、本発明の、極度に高い作動エネルギー密度に対する能力を実証するが、有用な力学的仕事は、特定のアクチュエータの極限能力よりかなり低いひずみおよび作動エネルギーを使用しながら、本発明に従って実施され得ることが理解される。
【0092】
別の実施形態において、アクチュエータ設計は、1つの実施形態または別の実施形態において、電気化学的対を形成している材料の両方(すなわち、正電極材料および負電極材料)が、負荷を受ける材料であり得るような設計である。いくつかの実施形態において、このことは望ましい。なぜなら、セルが充電または放電される場合に、これらの材料のうちの1つは膨張し得、一方で他方の材料は収縮するからである。1つの活性材料によって受けられる負荷を有することによって、2つの材料が負荷の方向に直列に接合されて正味のひずみが両方の材料におけるひずみを含む場合より大きい、正味のひずみおよび力学的エネルギー密度が得られる。これらの2つの活性材料を、直列ではなく、このアクチュエータの負荷を受ける表面の間で並列に配置することによって、別の実施形態において、アクチュエータを、充電の状態が変化する際に、両方の材料が力学的作動に寄与するように(ただし、異なる割合または異なる方向(膨張対収縮)でさえも寄与するように)設計することがまた可能である。
【0093】
電気化学的アクチュエータのいくつかの用途において、回転運動を提供することが有利である。1つの実施形態において、本発明は、回転電気化学的アクチュエータを提供し、このアクチュエータは、負電極、正電極および挿入種のロール層を備え、ここで、これらのロール層は、積層構成を呈し、そしてこの回転電気科学的アクチュエータは、印加電圧に曝露され、これによって、この電圧の印加が、このアクチュエータにおける挿入種の挿入を発生させ、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、その結果、ロール積層体の構成が巻かれるかまたは巻きを解かれ、そしてトルクが発生する。
【0094】
回転電気化学的アクチュエータ56は、1つの実施形態において、多層スタック型電気化学的アクチュエータと類似の設計を使用し、集電装置58(これは、1つの実施形態において、アルミニウムおよび銅を含有する)、負電極60(これは、別の実施形態において、炭素を含有する)、正電極62(これは別の実施形態において、酸化物を含有する)、ならびにセパレータ64(これは、別の実施形態において、ポリマーフィルムを含有し得る)の積層体を備える(図39)。別の実施形態において、構造的アルミニウム層66が追加されるか、または別の実施形態において、アルミニウム箔の集電装置が、構造的アルミニウムで置き換えられる。別の実施形態において、銅層もまた同様に、構造的であり得る。別の実施形態において、この回転電気化学的アクチュエータには、電解質68を浸入される。このアクチュエータは、うち粟マンドレル72の周りでスパイラル70として組み立てられ得、そして外側シェル74で覆われ得る。このシステムが充電されると、かなりの体積変化(約5%)が起こり、このロールアクチュエータの巻きを解く。誘導される回転運動の量は、この体積変化と、このスパイラルの回転数との積に比例する。その結果、例えば20の層を有するスパイラルアクチュエータは、非常に高いトルクおよびかなりの回転運動を生じさせ得る。
【0095】
1つの実施形態において、回転電気化学的アクチュエータは、電圧の印加または停止に応答して、巻かれるか、または巻きを説かれる。別の実施形態において、ロール積層対抗性がまかれる化または巻きを解かれる場合、回転運動が発生する。別の実施形態において、この回転運動は、1度から360度の範囲である。別の実施形態において、この回転運動は、1回転以上を発生させ、この回転は、別の実施形態において、完全であるかまたは不完全である。別の実施形態において、この回転は、時計回り方向または反時計回り方向、またはこれらの組み合わせである。
【0096】
回転電気化学的アクチュエータの構築の結果として、せん断ひずみが、この積層体において発生し得ることが、可能である。1つの実施けち愛において、せん断ひずみは、厚いポリマー分離層を使用して、構造層の間でのせん断運動を可能にすることによって、軽減される。1つの実施形態において、ポリマー層の選択は、せん断を可能にするために低いせん断率であるが、作動エネルギーがポリマー層の圧縮として浪費されないことを確実にするために、高いかさ率(bulk modulus)のものを含む。別の実施形態において、スパイラルは、この結果を達成するために、さらなるエラストマー層を備えて構築され得る。
【0097】
本発明の電気化学的アクチュエータのいくつかの用途において、面内で1つ以上の方向での作動を提供すること、またはアクチュエータに引っ張り応力を付与させることが、有利である。1つの実施形態において、本発明は、連続繊維電気化学的アクチュエータを提供し、このアクチュエータは、繊維状負電極、正電極および挿入種を備え、ここで、この連続繊維電気化学的アクチュエータは、印加電圧に曝露され、これによって、この電圧の印加または停止が、このアクチュエータにおける挿入種の挿入を誘導し、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、その結果、繊維剤マフ電極が、伸長を起こす。「連続繊維」によって、活性材料を含有する繊維が、少なくとも10:1、そして好ましくは、20:1より大きいアスペクト比を有し、そしてこれらの繊維の軸に沿って負荷を受けることが理解される。1つの実施形態において、これらの繊維の大部分は、少なくとも正電極および負電極および電解質を備えるアクチュエータデバイスに連続的にまたがる。
【0098】
1つの実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータ76は、繊維複合材料形から構成され、これは、黒鉛繊維複合材料と類似している。ここで、活性繊維は、負電極78を形成し、この電極は、1つの実施形態において、炭素繊維であり、そして挿入下で、かなりの伸張を起こす(図40)。1つの実施系体において、無秩序炭素繊維が利用され、これは、別の実施形態において、リチウム挿入の際に等方的に膨張する。繊維状負電極は、ポリマーセパレータまたは無機セパレータ82、および液体電解質層または固体電解質層84によって、正電極80(これは、1つの実施形態において、リチウムの供給源である正電極である)から分離され得る。集電装置86および88が、それぞれ、このアクチュエータにおいて、電源90に接続され得る。
【0099】
1つの実施形態において、炭素繊維は、一次構造層であり、そして各端部において繋留されて、完成したアクチュエータを形成する。1つの実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータは、張力化および圧縮下で作動し得る。
【0100】
別の実施形態において、アクチュエータ92は、図41に示されるように、個々の負電極繊維94(例えば、炭素であり、セラミックまたはポリマーの電解質96で被覆される)、およびリチウム化正電極98から構成され、電源100に接続される。次いで、これらの繊維は、1つの実施形態において、活性繊維複合材料102を形成するために使用され得、この複合材料は、別の実施形態において、従来のマトリックス(例えば、エポキシ)を使用し、別の実施形態において、黒鉛で補強されたプラスチック複合材料において見出される。被覆プロセスの間、これらの繊維の端部をマスクすることによって、図に示されるような段状の層が作製され、別の実施形態において、電気的接続が、これらの繊維の端部に適用されることを可能にする。
【0101】
別の実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータは、複数の被覆された繊維から構成され、これらの繊維は、繊維複合材料を形成するために利用される。別の実施形態において、この複合材料は、マトリックスをさらに含有し、このマトリックスは、別の実施形態において、ポリマーである。別の実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータの複合材料は、被覆されていない繊維端部を備える。別の実施形態において、繊維の被覆されていない端部は、電気的接続が、これらの繊維の端部に適用されることを可能にする。
【0102】
別の実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータは、主として、張力下で作動する。例えば、黒鉛は、13.1%の体積膨張を伴って、LiCの組成までリチウム化され得、そして無秩序(等方性)炭素は、さらに高い濃度および膨張まで、リチウム化され得る。炭素繊維は、本発明のこの局面によれば、約5%の軸方向移動を示し、一方で、高い弾性率(市販の無秩序炭素繊維について、500GPaより大きい)を有する。
【0103】
別の実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータは、複数の層を備え、これらのそうは、別の実施形態において、平行な配向または垂直な配向に組み立てられる。別の実施形態において、垂直な配向は、このアクチュエータの正のせん断作動および負のせん断作動を可能にし、これは、別の実施形態において、トルクを発生させるか、または別の実施形態においては、回転を発生させる。別の実施形態において、垂直な配向は、低い電圧が印加されると、層の間での電荷移動を可能にする。
【0104】
別の実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータは、複数の層を備え、ここで、炭素繊維の層が、第一のそうに対して垂直な配向で追加される。この局面によれば、正のせん断作動塗布のせんだん作動との両方が生じ、物体をねじり得るアクチュエータを生じる。この物体は、例えば、1つの実施形態において、翼であるか、または別の実施形態において、正方向と負方向との両方の羽根である。別の実施形態において、このような配向は、電荷が低電圧で層の間を前後に移動することを可能にすることによって、全電力要求を低下させる。別の実施形態において、このような作動システムは、繊維方向に3%の伸長が可能であり得る。別の実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータは、圧電繊維に基づく活性繊維複合材料(AFC)パック(これは、羽根または翼を作動させるために使用され得る)を達成するために、形状因子と同様に、パックとして構成され、かなり作動されたねじり特性を生じ得る(図41を参照のこと)。
【0105】
1つの実施形態において、本発明は、ひずみを減衰させ得、これによって応力を増幅させ得るアクチュエータを包含する。図30に図示される1つの実施形態において、織布アクチュエータが提供され、ここで、1つ以上の電気化学的アクチュエータの横断(すなわち厚さを横切る)移動は、長手軸方向(すなわち面内)移動に変換され、ひずみ減衰因子は、このアクチュエータのそれぞれの寸法によって決定される。このアクチュエータの型の設計特徴、構成および試験は、実施例9に例示される。このようなアクチュエータは、多数の用途(比較的薄いアクチュエータ(例えば、機体、ロータ、翼、船舶の船体、または陸上用の乗物の本体において使用するための充分に薄いもの)が望ましい形状変形用途または梁屈曲用途が挙げられる)において有用である。
【0106】
1つの実施形態において、織布構造体は、金属ワイヤを含有するか、または別の実施形態において、複合材料を含有するか、あるいはこれらの組み合わせを含有する。1つの実施形態において、この複合材料は、黒鉛繊維を含有するか、または別の実施形態において、マトリックス中のガラス繊維を含有する。1つの実施形態において、「マトリックス」とは、当該分野において公知である任意のマトリックスをいい、そして例えば、エポキシを含有し得るか、または別の実施形態において、2成分エポキシ、温度硬化型エポキシ、熱可塑性物質などを含有し売る。1つの実施形態において、ゴム化剤(Crawley,E.F.およびDucharme,E.H.ASME,International Gas Turbine Conference and Exhibition,32nd,Anaheim,CA;UNITED STATES;1987年5月31日から6月4日、11 pp.1987を参照のこと)を使用して、このマトリックスの弾性率を低下させ、この機構の可撓性を増加させ得る。
【0107】
別の実施形態において、増幅機構は、繊維を相互に織り合わせることによってではなく、1つ以上の電気化学的アクチュエータの上面または下面にほぼ平行に繊維を並べることによって形成され、反対側の面の繊維は、各ECアクチュエータの左右で、一緒に編まれるかまたは縫われる。
【0108】
本発明の電気化学的アクチュエータの高いひずみにもかかわらず、多くの用途が、ひずみの増幅によって利益を得、このひずみの増幅は、エネルギー保存のために、応力の減衰を必要とする。別の実施形態において、本発明は、ひずみを増幅させるアクチュエータを包含する。図29に示される1つの特定の実施形態において、電気化学的アクチュエータの要素、または一連のアクチュエータ要素(ここでは、多層アクチュエータデバイスのスタック)の、作動ひずみは、レバーおよび支点を組み込むアセンブリ(これはまた、屈曲部品として働く)によって増幅される。1つの実施形態において、作動要素またはレバーおよび支点のためのハウジングは、一片の材料から形成され、例えば、電気を放電する機械加工された金属片から、またはポリマーもしくは強化ポリマー複合材料から形成され、小型かつ経済的な設計を提供する。このようなアクチュエータは、ポジショナー、ラッチ、リフターとして、または構造体の形状を変化させるために、単一でかまたは複数で使用され得る。圧電素子によって動力を与えられる、レバーおよび支点を有するアクチュエータは、公知であり(例えば、Physik Instrumenteによって製造される市販の製品)、本発明のアクチュエータは、実施例8に示されるように、ずっと大きい運動範囲を有する。
【0109】
別の実施形態において、本発明は、作動の方法を提供し、この方法は、本発明のアクチュエータに電圧を印加する工程を包含する。このアクチュエータは、負電極、正電極および挿入種を備える。この電圧の印加によって、このアクチュエータにおける挿入種の挿入を誘導する電流が発生し、これによって、挿入が、本発明のアクチュエータの体積変化または寸法変化を誘導する。作動の量は、1つの実施形態において、電圧を制御することによって制御され、そして別の実施形態において、このデバイスに流れる電流の総量を制御することによって制御される。
【0110】
本明細書中に列挙される、本発明のアクチュエータについての全ての実施形態は、これらの実施形態を使用する作動の方法に適用可能であり、そして本発明の一部であるとみなされるべきであることが、理解されるべきである。
【0111】
別の実施形態において、本発明は、回転電気化学的アクチュエータを備える構造体または装置において、トルクまたは回転運動を発生させる方法を提供し、この方法は、この回転電気化学的アクチュエータに、電流を印加する工程を包含する。このアクチュエータは、負電極、正電極および挿入種を備える。この電流の印加は、このアクチュエータにおける挿入種の挿入を誘導し、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、その結果、ロール積層体層の巻きが解かれ、そしてトルクまたは回転運動が発生する。
【0112】
別の実施形態において、本発明は、本発明のアクチュエータを備える構造体または装置を提供する。1つの実施形態において、この構造体または装置は、適応性である。別の実施形態において、このアクチュエータは、このアクチュエータから遠位であるこの構造体または装置上の部位において、応力を付与する要素として使用される。別の実施形態において、この構造体または装置は、このアクチュエータによって誘導される体積変化または寸法変化を増幅させる。
【0113】
1つの実施形態において、適応性構造体または装置104は、本発明の電気化学的アクチュエータ106を備え、このアクチュエータは、表面108に設置される(図42A)。
【0114】
1つの実施形態において、MEMS規模から、別の実施形態においては、大規模な構造体の範囲のサイズの、梁またはプレートまたは任意の構造体のような構造体は、表面に設置された本発明の電気化学的アクチュエータを用いて作動され得る。1つの実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータは、面内変形または作動応力を発生させるように設計される。1つの実施形態において、本発明の平坦な薄膜電気化学的アクチュエータによって発生する変形は、このアクチュエータが配置される表面の面に対して垂直である。1つの実施形態において、このような配向の変形は、少なくとも拘束され、そしてこのアクチュエータの収縮、または別の実施形態において、このアクチュエータの、構造体もしくは装置への一体化は、この表面の面における高い応力または変形を発生させるように設計される。
【0115】
1つの実施形態において、本発明のアクチュエータは、0.1MPaと1000MPaとの間のブロック応力を発生させ得る。別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、0.1MPaと10MPaとの間のブロック応力を発生させ得るか、または別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、0.1MPaと100MPaとの間のブロック応力を発生させ得るか、または別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、1MPaと10MPaとの間のブロック応力を発生させ得るか、または別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、1MPaと100MPaとの間のブロック応力を発生させ得るか、または別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、1MPaと1000MPaとの間のブロック応力を発生させ得るか、または別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、10MPaと100MPaとの間のブロック応力を発生させ得るか、または別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、10MPaと1000MPaとの間のブロック応力を発生させ得るか、または別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、100MPaと1000MPaとの間のブロック応力を発生させ得る。
【0116】
1つの実施形態において、複数のアクチュエータが、1つの装置内に分布される1つの実施形態において、本発明の分布された電気化学的アクチュエータ技術は、これらのアクチュエータを備える構造体を作動させるための、複数の自由度を付与し得る。
【0117】
1つの実施形態において、構造体または装置110内へのアクチュエータの一体化は、図42Bに概略的に図示されている。電気化学的アクチュエータ、または別の実施形態においては、複数のアクチュエータ140は、1つの実施形態において、薄膜積層電気化学的アクチュエータであり、そして別の実施形態において、厚膜積層電気化学的アクチュエータであり、これらのアクチュエータは、表面に対して垂直に配向され、そして基板130上の剛性な表面層120内に位置決めされる。
【0118】
これらのアクチュエータの位置決めおよび設計は、例えば、1つの実施形態において、膨張要素および収縮要素(図42C)(正電極150および負電極160)のアスペクト比を変化させることによって、表面の面において発生する、より大きい変形を生じ得る。図に示されるような構成は、このアクチュエータの充電/放電の際に、大きい面内の正味の変形を発生させ、これは、表面の面を見下ろす場合(C)、または断面で(D)明らかである。
【0119】
別の実施形態において、積層型電気化学的アクチュエータ自体が、変形を起こす。1つの実施形態において、この変形は、同じ充電サイクルまたは放電サイクルの間の、一方の電極の膨張および他方の電極の同時の収縮の結果としての、アクチュエータ自体の屈曲である。例えば、1つの実施形態において、炭素を含有する負電極が膨張し(なぜなら、炭素は、リチウム化されると膨張するからである)、そして脱リチウム化されると、LiCoOを含有する正電極が膨張し、これらの2つの電極を備えるアクチュエータのあらゆる変形の部分的な補償を生じる。
【0120】
別の実施形態において、ホウ素またはリチウムの負電極200(これは、リチウム化されると膨張する)、およびLiMnまたはLiFePOの正電極190(これは、脱リチウムされると収縮する)を備えるアクチュエータ170は、セパレータ180に結合される場合、構造体全体において顕著な屈曲を発生させる(図43A)。
【0121】
別の実施形態において、本発明の薄膜設計または厚膜設計の積層型電気化学的アクチュエータ(負電極と正電極との両方の体積変化が、同時に利用される)は、最大の膨張を得るように電極を位置決めする。1つの実施形態において、負電極が、より小さい凸面からより大きい凸面へと変形することが意図される表面から外向きに面する。1つの実施形態において、翼210は、このような構成を呈するアクチュエータを備えるように設計される。この局面によれば、このアクチュエータは、負電極が、装置220の表面から外向き230に面するように位置決めされ、その結果、作動後に、より大きい外向きへの曲率が生じる。1つの実施形態において、このような構成は、このデバイスが、緩和状態で放電されることを可能にする。
【0122】
別の実施形態において、電気化学的作動は、支持材料(例えば、基板)を電気活性材料自体として使用して実施され得る(図43C)。本発明のこの局面によれば、1つの実施形態において、アクチュエータ240を備える構造体は、シリコン上は250を備え、このウエハは、体積膨張、および従って屈曲を誘導するために、リチウム供給源としての金属リチウムまたはリチウム化酸化物電極を介して、表面270からリチウム化され得る。1つの実施形態において、他のメタロイド、または別の実施形態において、金属(例えば、LiAlにリチウム化されるAl)、または別の実施形態において、酸化物が、同様に使用され得る。
【0123】
別の実施形態において、アクチュエータまたは装置280は、1つより多くの軸方向の周りに屈曲するように作製され得る。例えば、別の実施形態において、電気化学的アクチュエータ300のアレイを、構造体または装置290の表面上に有し、そしてこれらのアクチュエータを、所定の様式で不均一に作動させることによって、ねじれると同時に湾曲するように作製され得る(図44)。
【0124】
1つの実施形態において、この構造体または装置は、個々のアクチュエータがその結果を生じるように適切に作動される場合に、x軸の周りにねじれ、そしてy軸の周りに屈曲する。本発明のこの局面によれば、1つの実施形態において、表面に誘導される正味の膨張が存在する場合、この表面は、全体として、応答して屈曲し、そして別の実施形態において、異なる程度の屈曲が、例えば、x軸に沿って進行するように局所的に誘導される場合、全体として、この軸に沿ったねじれが存在する。
【0125】
別の実施形態において、本発明のこの局面に従って、この構造体または装置は、アクチュエータを備える構造体において全体のねじれを発生させるように設計された、直列の小さいアクチュエータを備え得る。ここで、この構造体は、非常に大きくあり得、そしてこの構造体に付与される高い摩擦力および他の抵抗力にもかかわらず、ねじれが付与される。例えば、1つの実施形態において、直列の多層スタック型電気化学的アクチュエータ(1つの実施形態において、1のアスペクト比を有するか、または別の実施形態において、0.5のアスペクト比を有するか、または別の実施形態において、2.0のアスペクト比を有するか、または別の実施形態において、1.5のアスペクト比を有するか、または別の実施形態において、0.5と2との間のアスペクト比を有する)は、基板の前端に対してある角度で、この基板上に配置される。1つの実施形態において、この多層スタック型電気化学的アクチュエータは、立方体の形状であるか、または別の実施形態において、円柱の形状である。別の実施形態において、この多層スタック型電気化学的アクチュエータは、サイズが0.5cmと10cmとの間であるか、または別の実施形態において、0.5cmと5cmとの間であるか、または別の実施形態において、1cmと3cmとの間である。
【0126】
別の実施形態において、この基板は、航空機330の翼であり、そして本発明のこの局面に従って配置される、本発明のアクチュエータ320は、この翼をねじるために使用される(図45)。別の実施形態において、このアクチュエータは、より大きい航空管制のために、翼に配置されたフラップを上下させるために利用され得る。別の実施形態において、本発明のアクチュエータは、翼を可逆的に畳むために利用され得る(図44B)。
【0127】
本発明のこの局面によれば、別の実施形態において、これらのアクチュエータは、ミサイルまたは航空機のフィンまたは翼を広げるために利用され得る。1つの実施形態において、電気化学的作動によって発生する大きいひずみは、表面の形態変化を可能にする。用語「形態変化」とは、1つの実施形態において、構造体の全体的な変化をいうことを意味する。1つの実施形態において、他の点では剛性である翼またはフィンは、本発明の電気化学的アクチュエータによって、その乗物が格納される場合に畳まれ得、そしてその乗物が展開される場合に広げられ得る。別の実施形態において、翼の曲面において、かなりの変化が達成され、この変化は、別の実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータを備える乗物が、音速以下と超音速との両方での能力を有することを可能にする。
【0128】
1つの実施形態において、この構造体または装置は、大気圏内または大気圏外で稼動する。1つの実施形態において、このような装置は、航空機、ミサイル、宇宙船または人工衛星であり得る。別の実施形態において、このような構造体または装置は、航空機ミサイル、宇宙船、ウォーム、ロボットまたは人工衛星の、部品であり得る。他の実施形態において、この部品は、翼、羽根、先尾翼機、機体、尾部、補助翼、方向舵、昇降舵、フラップ、パイプ、プロペラ、鏡、光学素子、またはこれらの組み合わせであり得る。他の実施形態において、この部品は、エンジン、モータ、弁、調節器、ポンプ、流量制御デバイス、ロータ、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0129】
別の実施形態において、この構造体または装置は、水中で稼動する。1つの実施形態において、このような構造体または装置は、舟、船舶、潜水艦または水雷である。別の実施形態において、この構造体または装置は、舟、船舶、潜水艦または水雷の部品である。別の実施形態において、この部品は、羽根、方向舵、パイプ、プロペラ、光学素子、またはこれらの組み合わせである。別の実施形態において、この部品は、エンジン、モータ、弁、調節器、ポンプ、流量制御デバイス、ロータ、スイッチまたはこれらの組み合わせである。
【0130】
別の実施形態において、この構造体または装置は、ボンベ、輸送手段、画像化デバイス、ロボット、ウォーム、プロテーゼ、外骨格、移植物、ステント、弁、人工器官、インビボ送達システム、またはインビボ信号伝播の手段である。
【0131】
例えば、本発明の実施形態において、ヘリコプターの回転羽根の高威力の制御が、本発明のアクチュエータの使用によって、達成され得る。本発明のアクチュエータは、本発明の1つの実施形態において、自動回転を可能にするため、または航空機の空中停止レベルでの空中停止性能を改善するために必要とされる、高威力の低帯域の制御を生じるために利用され得る。1つの実施形態において、本発明の回転電気科学的アクチュエータは、10℃以上の先端回転を発生させ、これは、8度から15度の威力を代表的に必要とする、空中停止の用途において使用され得る。別の実施形態において、本発明の回転電気化学的アクチュエータは、空中停止用途において使用するための、斜板カムのない(swashplateless)電気ロータを提供する。
【0132】
別の実施形態において、剛性の多構成セパレータまたは固体電解質を備える、単一の二層アクチュエータまたは巣多悪アクチュエータが使用され得、このセパレータまたは電解質は、このアクチュエータに、高い剛性を提供する。直列のこのようなアクチュエータ要素は、基板(ケイ素ガラス、または酸化アルミニウム、または高い剛性の他の何らかのこのような基板が挙げられる)上にパターン付けされ得、そして傾性構造体の製造のための、高い力の作動のために使用され得る。1つの実施形態において、傾性構造体とは、刺激に応答して変形する構造体をいう。本発明のこの局面によれば、直列のアクチュエータは、基板上に配置され得、これらのアクチュエータは、作動されると、別の実施形態において、これらのアクチュエータを備える構造体全体の変形を引き起こす。
【0133】
1つの実施形態において、本発明の技術を利用するデバイスは、モータを備え、このモータは、例えば、1つの実施形態において、リニアモータであるか、または別の実施形態において、回転モータである。別の実施形態において、このデバイスは、ポンプであり、紺ポンプは、例えば、別の実施形態において、微小液圧ポンプであるか、または別の実施形態において、微小流体ポンプである。別の実施形態において、このデバイスは、鏡アレイであるか、または別の実施形態において、光学スイッチのために使用される光学素子である。別の実施形態において、このデバイスは、光子デバイスであり、ここで、作動は、光路または光学的特性の変化を誘導する。別の実施形態において、このデバイスは、ウォームまたはロボットであり、これは、作動の結果として稼動し、別の実施形態において、一連の要素を所定の順序で稼動させる。
【0134】
電気化学的アクチュエータ(ECA)のエネルギー密度は、非常に高くあり得、そして材料の選択は、得られるエネルギー密度に影響を与える。別の実施形態において、形態変化抗空気構造体全体でのECAのより容易な分布という利点を伴うか、または別の実施形態において、これらのアクチュエータを小さいユニットとして製造するという利点を伴う。これらの小さいユニットは、1つの地点で高い威力を発生させるように一群にわれ売るか、または局所的な制御を生じるために構造体全体に広く分布され得る。別の実施形態において、ECAを備える構造体は、多くの自由度で「形態変化」することが可能であり得、そして広範な条件にわたって高い性能を達成し得る。1つの実施形態において、このような用途は、航空機の部品を構成する際に利用される。例えば、1つの実施形態において、分布したECAを有する翼を開発し得、これによって、高レベルのねじれ(5°以上)を可能にし、これは、補助翼の排除を可能にする。または別の実施形態において、かなりの曲面変化(20°以上)を可能にして、音速以下と超音速との両方の速度での良好な性能を可能にする。または別の実施形態において、低い音速以下から超音速にわたるマッハ数にわたる翼の性能を最適化するために充分に大きい翼の形状の変化(上反りおよび厚さ)を可能にする。
【0135】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの電気化学的アクチュエータを備えるポンプを提供し、このアクチュエータは、負電極、正電極、挿入種、および少なくとも1つの弁を備え、ここで、電荷の印加に続いて、このアクチュエータにおいて電流が発生し、挿入種の挿入が、このアクチュエータの体積の変化を発生させ,その結果、流体が、この弁を通して方向付けられる。1つの実施形態において、このポンプは、直列のアクチュエータを備える。別の実施形態において、これらのアクチュエータは、並列に配置され得る。別の実施形態において、これらのアクチュエータは、流体を指定されたチャネルに通して方向付けるように、表面の面内に配置され得る。
【0136】
1つの実施形態において、本発明の電気化学的アクチュエータを使用して、微小流体ポンプが設計され得る。ここで、このアクチュエータは、充電および放電の際に、正味の体積変化を発生させる(図46)。本発明のこの局面によれば、1つの実施形態において、微小流体ポンプ340は、正電極350および負電極360を備え、これらの電極は、電解質層370によって分離されており、この電解質層は、本発明のこの局面によれば、液体電解質である。1つの実施形態において、この電解質自体が、このポンプの作業流体であり得るか、または別の実施形態において、作業流体は、この電気化学的アクチュエータシステムとは別の流体であり得る。別の実施形態において、このアクチュエータは、電圧390の印加またはその停止に続いて、充電および放電の際に、正味の体積変化を起こし、これが、弁380を通しての流体の推進を可能にする。
【0137】
達成され得る体積変化(例えば、本明細書中の実施例3に例示される変化)は、1つの実施形態において、1%〜10%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、5%〜10%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、10%〜15%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、15%〜20%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、5%〜10%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、5%〜10%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、20%〜25%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、25%〜30%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、30%〜35%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、35%〜40%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、40%〜45%の範囲であり得るか、または別の実施形態において、45%〜50%の範囲であり得るか、または本明細書中に記載されるような任意の範囲であり得る。
【0138】
1つの実施形態において、アクチュエータのアセンブリは、流体ポンプまたは気体ポンプを作製するため、あるいは微小流体デバイスを作製するために、使用され得る。1つの実施形態において、直列のアクチュエータが、面内に組み立てられ、ここで、作動が、チャネルを通る流体の賞味の流れを発生させる。このチャネルの形状は、アクチュエータの設計および面兄での配置によって制御される(図46B)。1つの実施形態において、本歩または微小流体デバイス400は、直列のアクチュエータ410を備え、これらのアクチュエータは、充電および放電の際に、体積変化を誘導し、この体積変化は、1つの実施形態において、流体の流れを、このデバイスの取込口420から出口420を通し、チャネルを通して方向付ける。このチャネルの形状は、別の実施形態において、基板430上にアセンブリを備え得るアクチュエータの特定の設計によって、制御され得る。1つの実施形態において、直列のアクチュエータの作用は、流体をこのデバイスに通して推進する。別の実施形態において、これらのアクチュエータの位置決めは、図46Cに図示されるように、チャネルが設計されるような位置決めである。このようなアクチュエータは、1つの実施形態において、単一の二層設計であり得るか、または別の実施形態において、積層設計であり得る。1つの実施形態において、このデバイスは、アクチュエータのための高分子スタックを備える。本発明のこの局面によれば、1つの実施形態において、剛性の多孔性セパレータ、または別の実施形態において、固体電解質が、使用され得る。この固体電解質は、別の実施形態において、例えば、LIPON電解質である。別の実施形態において、スタック型アクチュエータは、基板上のアレイ、単一の二層(単一の電気化学的セル)、または多層スタック連続物の形態の、薄膜バッテリを備え得る。1つの実施形態において、これらのアクチュエータがパターン付けられる基板は、ケイ素ガラス、酸化アルミニウム、または高い剛性の任意の基板を備え得、そして別の実施形態において、高い力の作動のために使用され得るか、または別の実施形態において、流体の推進のための微小流体デバイスにおいて使用され得る。別の実施液体において、本発明のこの局面によれば、傾性構造体は、気体または液体を充填された一連のチャンバが、構造体全体の変形を生じるように作動されると指定される。
【0139】
別の実施形態において、作動は、流体系を介してなされる。この流体系は、本明細書中で実施例4および図15に例示されるように、電解質膜を備え、この電解質膜は、イオンを片側から別の側へとポンプ送達し、このプロセスにおいて気体ではなく液体を発生させる。液体をポンプ送達することによって、かなり高い差動力が発生し得る。なぜなら、液体は、より圧縮性が低いからである。この種のアクチュエータは、1つの実施形態において、流体デバイスにおいて使用され得るか、または別の実施形態において、微小流体デバイスにおいて使用され得るか、または別の実施形態において、微小液圧デバイスにおいて使用され得るか、または別の実施形態において、形成構造体において使用され得るか、または別の実施形態において、圧縮セル微小流体デバイスにおいて使用され得るか、または別の実施形態において、微小液圧デバイスにおいて使用され得る。
【0140】
1つの実施形態において、このような電気化学的アクチュエータは、負電極、正電極、および電解質膜およびイオンを備え、ここで、この電気化学的アクチュエータへの電圧の印加または停止は、この膜の片側から他方の側へのイオンのポンプ送達を誘導し、液体の発生を生じ、これによって、このアクチュエータの体積変化または寸法変化を発生させる。1つの実施形態において、このイオンは、プロトン(H)である。別の実施形態において、この液体は、Hを含有するか、または別の実施形態において、この液体は、HOを含有する。
【0141】
別の実施形態において、本発明は、本発明のアクチュエータを備える形態変化プレートを提供するか、または別の実施形態において、本発明のアクチュエータを備える形態変化梁アーキテクチャを提供する。本発明のこの局面によれば、1つの実施形態において、分布した電気化学的アクチュエータを備えるプレートアーキテクチャが提供され、このアーキテクチャは、別の実施形態において、複数の形状目標を与え得る(図47)。1つの実施形態において、このプレートは、アクチュエータの、面内の独立してアドレス可能な3つの配向(例えば、図48Aに赤−緑−青モチーフによって示されるような、0°、+60°、−60°)を含み得る。この六角形のネットワークは、必ずしも、実際の物理的なセル壁または境界を表さない(が、このようなアセンブリは、本発明の1つの実施形態を代表する)、別の実施形態において、所定の配向の1つのアクチュエータによっておのおの作用する、「単位セル」の分布を記載し得る。形状変化の多くの自由度が、面内で可能であり、別の実施形態において、図48Bに概略されるように、表面は、包埋されたアドレス可能なアクチュエータのこのようなアレイを含む。
【0142】
1つの実施形体において、図48Bの構成は、例えば、ポリマーまたは構造金属から作製されるモノリシックプレート、あるいは複合プレートの、各辺に包埋されたアクチュエータの、10×10のアレイであり得る。形状変化は、1つの実施形態において、以下のように誘導され得る:
全てのアクチュエータが同時に充電(放電)され、その結果、これらのアクチュエータが膨張(収縮)する場合、このプレートは、二軸方向に膨張(収縮)する。本発明のこの局面によれば、より小さい程度の厚さ膨張(収縮)が存在し得、これは、多層アクチュエータに設計される膨張の異方性によって、主として決定される。このプレートの正味の微視的膨張は、この局面によれば、1つの実施形態において、アクチュエータの面積分率または体積分率、および負荷移動の詳細に依存する。アクチュエータの割合は、1つの実施形態において、50%以上であり得、その結果、10%の体積膨張を示すアクチュエータは、面の5%の膨張を生じる。
【0143】
1つの実施形態において、プレートの面内の任意の方向に沿った、プレートの伸長、短縮、せん断、またはこれらの組み合わせは、3つの配向を不均一に作動させることによって、達成され得る。
【0144】
別の実施形態において、任意の軸の周りの曲率は、プレートの2つの辺を不均一な様式で作動させることによって、発生し得る。例えば、1つの基板上の全てのアクチュエータが等しく膨張し、一方で、反対側の表面のアクチュエータが、等しく収縮するかまたは作動しない場合、このプレートは、均一な(巨視的には球状の)曲率にカップ状になる。正味の曲率は、別の実施形態において、各面において誘導されるひずみ、プレートの厚さ、またはこれらの組み合わせに依存し得る。例えば、1つの表面において+5%の膨張および他方の表面において−5%の収縮を有する、2cmの厚さのプレートは、20cmの曲率半径を示し得る。
【0145】
別の実施形態において、ねじれ、鞍状曲率、またはより複雑な位相は、プレートの2つの辺を適切に作動させることによって、発生し得る。これは、別の実施形態において、図47に示されるような図示された形状変化を示し得る。
【0146】
別の実施形態において、連続繊維電気化学的アクチュエータは、1つの実施形態において、本明細書中に記載される3つの配向に沿って面の表面に適用されるように、配列され得、そして複数の形態変化能力を提供するように作動され得る(図48C)。
【0147】
別の実施形態において、スタック型アクチュエータと繊維アクチュエータとの組み合わせが、使用され得る。より高い形態変化性能が、別の実施形態において、プレート内のアクチュエータ密度を増加させることによって、達成され得る。別の実施形態において、このアレイは、各六角形のセルが事実上アクチュエータによって満たされるように(例えば、図48Dに図示されるように)、構成され得る。より大きい厚さの膨張能力または収縮能力(面に沿った変動する厚さの変化を含む)を付与するために、このプレートの断面もまた、別の実施形態において、スタック型アクチュエータを備え得る(例えば、図48Dのパネル2に図示されるように)。
【0148】
本発明は、本発明の電気化学的アクチュエータであると考えられるものについての任意の実施形態、または実施形態の組み合わせを包含することが理解され、そして本発明は、このアクチュエータを構成する任意の構造体、布、デバイスなどを包含することが理解される。数個のアクチュエータが、単一の構造体、装置、デバイス、布に組み込まれ得ること、これらのアクチュエータは、それらの型、アクチュエータを構築するために使用される材料、提供される作動エネルギー、予備調整、応力増幅、またはひずみ増幅特性などが異なり得ること、およびこれらが本発明に包含されることが、理解されるべきである。
【0149】
本発明のほんの数個の実施形態が、図示および説明されたが、多くの変更または改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に対してなされ得ること、ならびに本発明の方法およびデバイスの多数の用途が明らかであり、本発明の一部とみなされることが、当業者に明らかである。
【0150】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に説明する目的で、提供される。しかし、これらの実施例は、いかなる方法でも、本発明の広い範囲を限定するとはみなされるべきではない。
【実施例】
【0151】
(実施例1)
(LiFePOベースの電極および多孔性セラミックセパレータを利用する電気化学的アクチュエータ)
図1(出典Yamada[J.Electrochem.Soc.,148,A244(2001)]は、カンラン石構造の化合物(Fe,Mn)POがリチウム化されて端成分の組成Li(Fe,Mn)POになる場合に、この化合物において起こる体積変化を示す。完全にリチウム化された組成限界(上の曲線)と完全に脱リチウムされた組成限界(下の曲線)との間で、7.4%〜10%の体積変化(2.4%〜3.2%の線形ひずみ)が、Fe/Mn比に依存して実現可能である。図4は、正電極が、高い剛性および負荷保有能力の多孔性アルミナセパレータと共に使用されている、電気化学的アクチュエータの設計を図示する。負電極は、金属Liを含有し、この電極は、多孔性負荷保有アクチュエータの細孔内に堆積され、その結果、負荷を受けない。一方で、アクチュエータの作用の間、Liイオンの供給源および溜めを依然として提供する。この設計のアクチュエータを、充電可能なリチウムバッテリのための正電極を使用して、構築した。この電極は、LiFePOベースのカソード活性粉末、ポリマー結合剤、および炭素伝導性添加剤を含有し、約15マイクロメートルの厚さのアルミニウム箔集電装置上に堆積した、100μmの厚さの複合材料層を有する。この電極は、約1cmの面積を有した。2mmの厚さの多孔性アルミナセパレータ(ガラスに結合したアルミナ研磨製品(Norton Company,Worcester,MA)から切り出した)を使用した。このセパレータの負電極側に、少量の金属Liを、このセパレータの細孔内に機械的に押し込み、そして銅箔の負の集電装置を適用した。このアセンブリに、リチウム充電池(LP40)のための液体電解質を浸入させ、ポリマー封入体内に密封し、そしてこのアクチュエータの層に対して垂直に付与される1MPaの一軸圧力に曝露した。このアクチュエータを、2.0V〜4.0Vの範囲の電圧にわたって、0.2mAの一定の電流で、サイクルさせた。このアクチュエータは、調整のために、これらの層について8サイクルの充電/放電を必要とし、そして第9サイクルにおいて、LiがLiFePO正電極に挿入されると、放電の際の予測された膨張が見られ(図1B)、2.3%の線形ひずみが観察され、予測値と良好に一致した。
【0152】
別の実施例において、図1の電気化学的層間化合物の200mmの厚さの層(バッテリ電極について代表的)は、粉末ベースの複合電極として調整されると、Y=50GPaのヤング率を有する(約150GPaという単結晶の値から換算した)。3.3Vの印加電圧の下で、この電極は、完全に挿入され、約1.5%のεの線形ひずみに達し得、これによって、ε33=3.8×10C/mを生じる。このひずみエネルギー密度(図4)(1/2eY/ρと解釈され、ρは、材料の密度である)は、活性材料層について、約2050J/kg(5.6×10kJ/m)であり、そして不活性支持層の重力または体積の半分を含むアクチュエータスタックについて、約1000J/kg(2.8×10kJ/m)であると推定される。2.8×10kJ/mのスタック体積ひずみエネルギー密度について、1.5%の線形ひずみにおいて、等価なブロック応力は、約375MPaであるはずである。
【0153】
(実施例2)
(LiCoOおよび炭素を活性材料として使用する多層スタック型アクチュエータ)
図1Cにおいて、正電極がLiCoOであり、そして負電極が炭素である、多層スタック型アクチュエータにおける作動が示されている。これらのデバイスは、「Bellcore」ゲル電解質技術に従って製造される、市販されているバッテリであり、この技術において、正電極層および負電極層(合計約30層)が、結合可能なセパレータフィルムで一緒に結合され、その後、多層スタックが、ポリマー内にパッケージされる。代表的なセルが、図2に示されている。これらの積層体は、このセルの面に対して垂直医配向する。このバッテリは、使用される材料に起因して、弾性的に柔軟である。このバッテリは、製造を容易にするために高い割合の軟質ポリマー成分を含有する、比較的低エネルギー密度のデバイスである。これらのセルを、受け取った状態で、電気化学的試験の前に予備調整を行わずに試験した。これらのセルを、一定の前応力を2つの平行に面するアームに付与する(この間に、セルが充電および放電される)ように設計された装置で試験した。付与された応力の方向でのこれらのセルの変形を、精密変位変換器を用いて測定した。図1Cに示されるように、1MPaの付与圧力の下で、可逆的な1%の線形膨張が測定され、10kJ/mのエネルギー密度を提供した。
【0154】
図3は、1MPa〜5MPaの種々の値の前応力下での、セルについての結果を示す。このセルについて、ひずみは、1MPaにおいて約0.7%であり、そしてこの前応力が増加するにつれて、減少する。受け取ったままの状態で、これらのセルは、作動の方向(セルおよび平坦な電極層の面に対して垂直)に測定すると、約30MPaのヤング率を有する。このデバイスにおける最大作動エネルギー密度は、約12kJ/mである。図4は、より高いエネルギー密度を示したセルからの結果を示す。この例において、付与された前応力は、3.5MPaであり、そしてこのセルによって示されるひずみは、約1%であり、約35kJ/mの力学的エネルギー密度を与える。この作動エネルギー密度は、代表的な、良好に設計されたPZT圧電アクチュエータの作動エネルギー密度の約半部である。
【0155】
(実施例3)
(多層スタック型アクチュエータおよび改善された性能のための予備調整)
多層スタック型アクチュエータは、以下に例示されるように、いくつかの異なる内部構造を有し得る。図5は、LiCoO−炭素化学に基づく数種のリチウムイオン充電池を示し、これらの各々は、異なる内部構造を有する。これらの設計の各々は、かなりの力学的仕事を実施し得ることが実証され、さらに、本明細書中に記載される予備調整処理の後に、改善された性能を有することが実証された。
【0156】
各セルの数個のサンプルを、二重のプラスチック真空バッグに入れ、そして均衡名プレス機に入れ、そして圧力を、45,000psiまで上昇させ、そして5分間維持した。試験後、これらのセルの開回路電圧を測定し、そして全てのセルは、内部短絡を起こすことなく、この圧力処理に耐えたことが分かった。これらのバッテリの容量は、等圧プレス(isopressing)処理後にわずかにのみ変化し、120mAhのセルおよび150mAhのセルについては、3%未満のC/5速度またはC/2.5速度で、そして200mAhのセルについては、約8%で、3.0Vと4.2Vとの間の容量測定値の低下を示した。各セルについて、かなりの体積減少が見られた。図6は、1つの型の10個のセルについての体積減少のプロットであり、ここで、3.45%から10.25%の範囲の体積減少が観察された。このセルにおいて、過剰の体積が存在し得、これは、プレス処理によって減少し得る。図6はまた、等圧プレスの前後での、各セルの型のアルキメデス法により測定された微視的密度を表にする。平均体積減少は、1.4%から5.4%の範囲である。これらのアクチュエータの密度は、低く、2.15g/cm〜2.39g/cmであり、これは、約7.5g/cmのPZT圧電アクチュエータの密度と比較され得ることもまた分かる。
【0157】
これらの多層セルは、角柱型セルの最大の面に対して垂直(これは、積層型の場合には、電極の面に対して垂直である)に付与される一軸応力下で、粘弾性変形を示すことが見出された。受け取ったままのセルと等圧プレスしたセルとの両方が、粘弾性緩和を示した。図7は、セルがInstron試験機において10MPaの応力に曝露される場合の、経時的に付与される応力の緩和を示す。この応力を、0.002インチ/分のクロスヘッド速度で、10MPaまで増加させ、次いで、このクロスヘッドを停止させ、これによって、さらなる変位を起こさない。経時的に、この応力は、実質的に緩和する。しかし、各連続する応力および緩和のサイクルにおいて、応力緩和の量は減少し、そして最終的に、セルは、10MPaという付与圧力のほぼ全てを支持し得る。さらに、セルの厚さは、試験の終了時に応力が除かれた後に増加し、そして数時間にわたって、2.5%から4%増加した。これらの結果は、粉末複合電極、ミクロ多孔性ポリマーセパレータ、およびポリマーパッケージングを使用するような設計の多層スタック型アクチュエータが、粘弾性緩和特性を示すが、これらのセルの寸法は、これらを電気化学的アクチュエータとして使用する前に、長期間にわたって応力を付与することにより、安定化され得ることを示す。
【0158】
一軸方向に付与される応力下で、これらのセルは、内部短絡の前に、非常に高い付与応力に耐え得ることがわかった。Instron装置を使用して、応力を、一定のクロスヘッド速度で増加させ、同時に、セル電圧(最初は3.8Vの充電状態)を、連続的にモニタリングした。120mAhのセル、150mAhのセル、および200mAhのセルについてそれぞれ、電圧は、37MPa、57MPaおよび67MPaの圧力に達するまで、低下しなかった。従って、これらの設計の電気化学的アクチュエータは、高い過酷な応力条件に耐えると予測され得る。
【0159】
見かけのヤング率を、等圧プレス処理後に、これらのセルについて、最大面積の面に対して垂直な方向に測定した。これらのセルは、応力−ひずみ関係において、2つの特徴的な傾斜を示した。低い方の傾斜は、0と5MPaとの間にあり、50MPa〜60MPaの弾性率を示し、そして高い方の傾斜は、10MPaより上にあり、220MPa〜320MPaの弾性率を示す。明らかに、セルのより圧縮可能な構成要素は、より低い剛性を提供し、これは、圧縮後に、負荷を、弾性率がより高い構成要素に移動させる。より低い弾性率値でさえも、予備調整前の受けたままのセルにおいて測定された約30MPaの弾性率より大きく、これによって、予備調整処理の利益を実証することもまた見られる。これらの結果は、多層スタック型アクチュエータについて、より低い剛性およびより高い剛性のレジメンが存在し、ここで、アクセス可能な作動エネルギー密度は、これに従って変動し得ることを示す。
【0160】
これらのセルの体積膨張を、流体変位装置において、精密に測定した。図8は、150mAhのセルについて測定した、約15%の可逆的体積膨張を示す。他のセルは、類似の値の可逆的体積膨張を示した。従って、これらの測定値は、電気化学的アクチュエータが、体積膨張(本発明の複数の実施形態に記載されるような力学的仕事)を実施する能力を示す。これらの試験結果はまた、多層スタック型アクチュエータについて、この膨張が異方性であることを示す。なぜなら、この体積膨張は、以下に記載される線形膨張より小さいからである。異方性膨張は、電気化学的アクチュエータの特定の用途のために有利である。
【0161】
これらの多層スタック型アクチュエータの、予備調整処理後に測定される充電−放電曲線(ひずみに対応する)、およびひずみエネルギー密度が、図9〜図12に示される。これらの測定は、Instron装置を用いて、一定の応力が付与され、そして変位が変動可能であり、セルの充電および放電は、C/5速度である、条件下で行った。一般に、充電−放電サイクルに平行するサイクリックひずみが観察され、これは、先に記載されたように、バックグラウンドのクリープ緩和に重ねられている。図12に示されるように、約10MPaまでの応力において、15%以上のひずみが容易に得られ、そしてエネルギー密度は、付与される応力と共に10MPaまで増加し、約150kJ/mのピーク値に達する。より高い応力(例えば、15MPaおよび20MPa)において、作動ひずみは減少するが、セルの容量もまた減少する。このことは、制限因子が、イオン輸送であり、活性材料が特定に付与される応力下で充電/放電する能力ではないことを示す。おそらく、より高い応力が付与されると、セパレータおよび/または粒子ベースの電極における最高度が減少し、これによって、セルの速度容量が低下する。従って、本特許出願の他の箇所で実施される、より高い弾性率のセパレータおよび電極の構築物の使用は、より高い応力までの電気化学的作動を可能にし得る。
【0162】
(実施例4)
(多層スタック型電気化学的アクチュエータの高速作動)
多層スタック型アクチュエータが高いひずみおよび作動エネルギー密度を、迅速な作動速度で示し得ること、ならびに実質的な作動性能が、電気化学的セルの部分的のみの充電および放電を使用して得られ得ることを実証するために、異なるアクチュエータを使用した。試験したセルは、市販されているLiCoO−炭素リチウムイオン電池(Kokam)であり、これらのセルは、59×33.5×5.4mmの寸法の、角柱型の形状因子を有する。これらのセルは、製造業者によって提供される、740mAhの見かけの容量を有し、そして20Cまでの連続放電の層度である。これらのセルは、図5の下のセルについて見られるように、電極の交互の層の、アコーディオン状に折り畳まれた構成において、ミクロ多孔性ポリマーセパレータを使用する。アルミニウムの集電装置が、正電極において使用され、そして銅の集電装置が、負電極において使用される。試験を、一定の2MPaの一軸方向応力下で実施した。
【0163】
これらのセルは、2MPaの一定の応力下で、約2%の作動ひずみを示す。これらのセルを、2.96A(4C)、3.70A(5C)、および4.44A(6C)で、5サイクルにわたって、特定の時間量(1分間、2分間、5分間、10分間)にわたってサイクルさせた。充電と放電との間に、5軍艦の休止時間を使用して、体積を緩和させた。充電前に、3Vまでの一定電圧での放電を使用して、セルを完全に放電させることを確実にしたが、一定の電圧の保持は、放電前の充電状態においては使用しなかった。
【0164】
図13および図14は、様々な値の一定電流において、サイクル数に対して得られたサイクリック作動ひずみを示す。より高い電流において、より高い容量が、充電/放電時間において達成され、そしてひずみが増加する。これらのプロットの全てにおいて、試験を、より低い電流および引き続く次第に増加する電流を使用して実施した。かなりのひずみが、非常に短い作動時間内で(例えば、4.44Aの速度(6Cの速度))得られることに留意のこと。0.3%、0.65%、1.25%、および1.75%のひずみが、それぞれ1分間、2分間、5分間、および10分間で得られる。図15は、充電作動ひずみ対容量を示す。セルが充電される容量と共に単調に増加し、その結果、望ましいひずみレベルは、選択された時間にわたって充電することによって選択され得ることが留意される。
【0165】
全ての場合において、この放電容量(およびひずみ)は、充電容量より低い。これはおそらく、試験条件下での充電および放電のサイクルの間に通過する全電流の差に起因する。そして他の実施形態に記載されるように、充電および放電のプロフィールを変化させることによって、容易に調節され得る。このセルについて、製造業者が準備した充電プロフィールは、CC−CVを、0.5Cで4.2Vまで使用することである。しかし、あらゆる容量への最速の充電は、4.2Vの直流の一定電圧充電によって得られ、限界電流は、14.8Aの最大速度に設定される。
【0166】
(実施例5)
(高密度電極からのスタック型アクチュエータ)
リチウムイオンバッテリの分野において使用されるものに代表的な、従来の設計の、LiCoOベースの電極および黒鉛ベースの電極を使用して、図16に示されるような、二層スタック型アクチュエータを形成した。このアクチュエータは、電極の処方が、当業者に周知の方法に従って、より高い充填密度およびより高い剛性を提供するように選択された点で、市販のセルを使用した先の実施例とは異なる。従って、完成したアクチュエータは、先の実施例よりも高い剛性および低い粘弾性緩和を示す。さらに、負電極は、小板状の黒鉛を使用する。この黒鉛は、処理の間に、好ましい結晶学的組織を帯び、c軸は、優先的に、望ましい作動方向に整列する。その結果、得られるひずみは、市販のセルにおいて得られるひずみより大きく、そして黒鉛が優先的に整列していない条件下でのLiCoO−黒鉛系について予測されるより大きくあり得る。
【0167】
電極を、それぞれの活性材料、ポリマー結合剤、および伝導性添加剤の粉末を組み込む、有機溶媒中に分散した処方物でコーティングすることによって調製した。LiCoOコーティング(510)を、アルミニウム箔の集電装置(570)の片側に塗布し、一方で、黒鉛コーティング(530)を、銅箔の集電装置(560)の片側に塗布した。乾燥およびプレス後、セルを、図16に示されるように組み立てた。従来のポリマーセパレータ(520)を使用し、そして従来の有機カーボネート電解質(LP30(550)を使用した。
【0168】
図17および図18は、このセルにおいて測定された、充電−放電電圧曲線および対応するひずみを示す。これらを、それぞれ1MPaおよび10MPaの前応力下で測定した。1MPaの前応力下(図17)において、3%〜4.3%のひずみが観察された。これは、約45kJ/mの作動エネルギー密度に対応する。10MPaの応力下(図18)において、2%〜3%のひずみが観察された。これは、約300kJ/mの作動エネルギー密度に対応する。図19は、同じ型の別のアクチュエータからの、10MPaおよび17MPaの一軸方向の付与応力下で試験された結果を示す。この例において、2.3%および1.8%のひずみ、および230kJ/mおよび300kJ/mのエネルギー密度が、それぞれ10MPaおよび17MPaにおいて得られる。17MPaの下では、容量に対するひずみの速度は、全ひずみが低い場合においてさえも、より低い応力においてのものと同じであることがさらに留意される。このことは、このセルの全容量が、速度論的理由(例えば、ポリマーセパレータの空隙率の圧縮)により達成されないが、活性材料は、その作動性能を実質的に変化させないことを示す。他の実施形態に記載されるような設計における改善とともに、さらに高いひずみおよびひずみエネルギー密度が、この型の電極を使用するアクチュエータから得られ得ることが、理解される。
【0169】
この実施例の電極を、それぞれの集電装置の箔の両面をさらに被覆し、そして約6mmの厚さを有する多層スタック型アクチュエータに組み立てた。これらのセルを、いわゆるCCCVプロフィールを使用して、変化する圧力レベル下で試験した。この試験において、電圧範囲は、3.0V〜4.2Vの範囲であり、そして一定のC/5の電流が、4.2の充電電圧または3.0の放電電圧に達するまで印加した。この時点で、電流がC/50未満まで低下するまで、電圧を一定に保持した。一定の電圧および0電流での10分間の試験をまた、充電部分と放電部分との間で実施した。図20〜図22は、1MPa、5MPaおよび10MPaの応力下で、充電−放電曲線の対応する部分で得られたひずみを示す。1MPaにおいて、4.1%という高いひずみが得られることに留意のこと。10MPaにおいて、このひずみは、依然として2.5%であり、そして対応するエネルギー密度は、249kJ/mである。ここでまた、セルの容量は、応力の増加と共に減少する。このことは、達成されるひずみおよび力学的エネルギー密度を制限するものが、充電/放電の速度論であり、使用される活性材料の固有の容量ではないことを示す。
【0170】
(実施例7)
(セグメント化された多要素電気化学的アクチュエータ)
高配向性の発熱黒鉛(HOPG)(これは、ほぼ単結晶の形態の黒鉛である)を、作動材料として使用した。作動の方法は、図23に示されるように、グラフィンシートに対して垂直になるように(すなわち、黒鉛のc軸に沿って)選択した。この方向に沿って、黒鉛の自由ひずみは、10.4%であり、そしてヤング率は、35GPaである。この方向に沿った高い力学的負荷を有し、同時にこの方向を横断するようにイオンを挿入するために、HOPGを、25個の正方形のポストの正方形のアレイにレーザーで機械加工した。これらのポストの各々は、頂部において0.2mm×0.2mmの寸法であり、そして高さは0.4mmである。リチウムを、イオン挿入剤として使用した。従来の、アルミニウム箔の集電装置上のLiCoO複合電極を、図23に示されるように、HOPGポストの近くに組み立てた。2つの電極を、絶縁ポリマーセパレータフィルムによって分離し、そして図16のアクチュエータについて示されるように、ポリマーシート内にパッケージした。
【0171】
図24は、100MPaの前応力下での、このアクチュエータの作動ひずみを示す。黒鉛の部分的のみのリチウム化が達成されたが、得られるひずみは、約1%であり、約1000kJ/mの作動エネルギー密度を与えた。これは、PZT圧電アクチュエータの代表的な作動エネルギー密度の10倍より大きい。
【0172】
この型の別のアクチュエータにおいて、小さいポストのアレイを、HOPGの片から、レーザーマイクロ機械加工によって切り出した。この片は、1平方cmおよび1mmの厚さであった。これらのポストの寸法は、頂部において0.2平方mmおよび底部において0.7平方mmであり、そして高さは0.4mmであった。基板部分の表面およびポストの頂部の表面は、黒鉛層に対して平行であった。このサンプルのSEM画像を、図25に示す。
【0173】
銅箔、ポリプロピレン膜および別の銅箔の3層アセンブリを、この基板に取り付け、HOPGポストを囲んだ。下側の銅箔を、基板部分の表面に取り付けた。リチウム箔を、上側の銅箔上に置き、そして対電極として使用した。ポリプロピレン膜が、これらの2つの銅箔を絶縁した。図25は、このサンプルの断面を概略的に示す。このサンプルを、液体電解質を満たしたアルミニウム積層フィルムのバッグ内に密封した。使用した電解質は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、およびエチルメチルカーボネートの混合溶媒(体積で4:1:3:2)中に溶解した、1.33MのLiPFであった。このサンプルを、ひずみ装置で測定した。この装置において、種々の前負荷が、表面に対して垂直に付与され得る。このサンプルを、サイクリックに充電および放電し、そして同時に、厚さの変化を、この装置に取り付けた精密変位変換器によって測定した。
【0174】
図26は、100MPaの力学的前負荷下で0.4mAの一定電流による、充電−放電サイクルの間の、ひずみおよび電圧を、時間の関数として示す。このサンプルを、最初に、電圧が0.01V未満になるまで放電し、次いで、このサンプルを、電圧が2Vより高くなるまで充電した。これらの曲線は、明らかに、ひずみが、充電および放電によって誘導されたことを示す。線形ひずみは、放電の間、0.2%であり、これは、1,200kJ/mの力学的エネルギー密度に対応する。
【0175】
この型の別のサンプルにおいて、HOPGの層を、アルミナプレートに結合させた。5平方mmおよび0.4mmの厚さのHOPG片を、最初に、12平方mmおよび0.6mmの厚さのアルミナ基板に結合し、25μmの厚さの銅箔を、650℃で1時間、50MPaの応力下で真空蒸着した。このHOPG片を、黒鉛層が基板の表面に対して平行になるように結合させた。小さいポストのアレイを、レーザー微小機械加工によって、HOPG片から切り出した。ポストの寸法は、頂部において0.2平方mmおよび底部において0.35平方mmであり、そして高さは0.4mmであった。
【0176】
銅箔、ポリプロピレン膜および別の銅箔の3つの層を、この基板に取り付け、HOPGポストを囲んだ。下側の銅箔を、HOPG部分への結合のために使用した銅層に取り付けた。リチウム箔を、上側の銅箔上に置き、そして対電極として使用した。ポリプロピレン膜が、これらの2つの銅箔を絶縁した。このサンプルを、液体電解質を満たしたアルミニウム積層フィルムのバッグ内に密封した。使用した電解質は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、およびエチルメチルカーボネートの混合溶媒(体積で4:1:3:2)中に溶解した、1.33MのLiPFであった。このサンプルを、ひずみ装置で測定した。この装置において、種々の前負荷が、表面に対して垂直に付与され得る。このサンプルを、サイクリックに充電および放電し、そして同時に、厚さの変化を、この装置に取り付けた精密変位変換器によって測定した。
【0177】
図26Bは、30MPaの前負荷下での充電−放電サイクルの間の、ひずみおよび電圧を、時間の関数として示す。このサンプルを、最初に、電圧が0.01Vになるまで、0.05mAの電流で放電し、次いで、このサンプルを、電流が0.005mA未満に減少するまで、0.01Vの電圧で充電した。次いで、このサンプルを、電圧が1Vを超えるまで、0.05mAの電流で充電し、次いで、このサンプルを、電流が0.005mA未満に減少するまで、1Vの電圧でさらに充電した。これらの曲線は、明らかに、ひずみが、充電および放電によって誘導されたことを示す。線形ひずみは、4.3%であり、力学的エネルギー密度は、1,290kJ/mである。
【0178】
電気化学的材料およびデバイスの当業者に浴理解されている設計の改善を用いて、より大きい挿入およびより大きい対応するひずみが達成可能であることが理解される。 例えば、ポストの幅は、所定の電流層度した出のリチウム化の程度を増加させるために、狭くされ得る。約10%の線形膨張を与える完全なリチウム化において、100MPaの前応力下での作動エネルギー密度は、10,000kJ/mである。
【0179】
多くのセグメント化パターンが、この基本的なアクチュエータ設計に適用されて、負荷の保有および挿入を改善し得ることもまた、理解される。図27は、1つの代替の設計を示し、ここで、ポストは、より大きい巨視的面積にわたって負荷を分散させるために、より広く間隔を空けられる。この例において、リチウム化供給源は、負荷保有ポストの間に配置され得る。
【0180】
(実施例8)
(大行程電気化学的レバーアクチュエータ)
大行程電気化学的レバーアクチュエータが調製され得、そして本発明のさらなる実施形態を代表し得る。レバーおよび支点の機構(本明細書中以下で、アクチュエータと区別するために「活性要素」と称される)が、多層電気化学的アクチュエータの誘導されたひずみを増幅させるために使用される。この活性要素は、機械的アセンブリ、ならびに必要に応じて、アクチュエータの性能を制御するための他のセンサおよび制御器を備える。このアクチュエータは、単純な増幅機構、アクチュエータの出力に前応力を付与する容易な方法、およびこのアクチュエータを小さい空間に配置するための理想的かつ小型の形状因子から利益を得る。この小さい空間は、後端用のロータ羽根の円材の作動またはロータ羽根のねじれ作動、航空機、船舶および陸上用の乗物におけるフラップの展開、適応性光学デバイスの鏡の変形、人工衛星におけるソーラーパネルの展開、扉または蓋の掛け金の掛け外し、あるいは弁の開閉のような用途によって例示されるが、これらに限定されない。
【0181】
前負荷下での変異、差動力、およびデバイスの剛性の想定を、ELAで実施した。これらの結果は、このアプローチに基づくアクチュエータが、かなりの力学的仕事を実施し得ることを示す。電気化学的レバーアクチュエータ(ELA)の力学的性能を、異なる種類の活性要素を使用して特徴付けた。これらの結果は、固相活性化合物に基づく電気化学的アクチュエータが、高いひずみ、高いエネルギー密度および高い作動威力が望ましい用途のために魅力的であるはずであることを示す。
【0182】
ELAの設計が、図28aに概略的に示され、そして図28bおよび図28cに、寸法の詳細が示される。活性材料として圧電素子が使用される類似の設計のアクチュエータは、微小位置決め用途のために市販されているが(Physik Instrumente)、いくつかの実施形態において、この型のアクチュエータにおいて電気化学的作動要素を使用することにおいて、機能的利点が存在する。これらの利点としては、より大きい行程を発生させる能力が挙げられるが、これに限定されない。図28aを参照すると、増幅比(アクチュエータ出力における変位の、活性要素(ここでは、個々の要素のスタック)の変位に対する比によって与えられる)は、b/(a/2)によって与えられる。この実施例のアクチュエータは、6の増幅比を有するように設計された。
【0183】
剛性分析は、匹敵する圧電式デバイスと比較した本発明の利点を説明する。E.F.PrechtlおよびS.R.Hall(Design of a high efficiency,large stroke electromechanical actuator,MIT,Cambridge,MA 1998)によって示されるように、最も高い結合効率を得るためには、膨張要素(この場合には、活性要素)の剛性は、結合器(この場合には、弾性屈曲部品)の剛性よりずっと低くあるべきである。このことは、この場合に容易に達成される。なぜなら、先の実施例に示されるように、電気化学的アクチュエータが、多くの構造的金属、セラミックおよび複合材料の剛性よりずっと低い剛性で製造され得るからである。さらに、レバーアームの屈曲に起因する性能損失を減少させるために、この屈曲部品の屈曲モーメントは、レバーアームの屈曲モーメントと比較して低いべきである。これらの考慮は、図27に示される設計を導いた。
【0184】
屈曲部品は、原理的には、多数の材料から製造され得るが、この実施例においては、フレームは、E=170GPaのヤング率を有するステンレス鋼から構成された。このフレーム(130mm×32mm×50mmの外側寸法を有する)は、作動要素からアクチュエータ出力へと、負荷を伝達する。80mm×20mm×40mmの寸法の空洞を、作動要素を収容するために、このフレームに機械加工した。次いで、図27の寸法を有する屈曲部品を、一連の精密ワイヤEDM(電気放電機械加工)切断片(Charmilles Technologies SA製のモデル:ROBOFIL240CC)を作製することによって、実現した。
【0185】
エンドキャップを、支持フレームと同じステンレス鋼から作製した。これらのエンドキャップは、20mmの半径、ならびに1つのエンドキャップについては15mmの厚さおよび他方のエンドキャップについては10mmの厚さを有する、球状表面を有する。これらのエンドキャップの半径はまた、接触点におけるHertzian損失を減少させるために、増加させ得る。シムをまた、0.1mm〜0.8mmの厚さで、ステンレス鋼から作製し、そしてELAの前負荷方法を満たすために使用した。
【0186】
前負荷を、アクチュエータの出力において、容易に負荷する。図27を参照のこと。圧縮による前負荷は、力学的バックラッシを排除するため、ならびにアクチュエータの力および工程出力を最大にするために、必要とされる。電気化学的活性素子が、負荷下でクリープひずみを示す場合、エンドキャップとアクチュエータ要素スタックとの間でシムを使用して、このクリープひずみが、圧縮による前負荷下で支持されることを確実にし得る。
【0187】
多数の試験を実施して、先の実施例において議論されたものと類似の角柱型の形状因子のアクチュエータ要素を使用するELAの性能を特徴付けた。変位試験を、異なる圧縮前負荷を用いて実施した。この前負荷を、Instron装置(モデル5550およびBluehill制御ソフトウェア)を用いて、ほとんどの試験について140N/hの負荷速度で付与した。望ましいピーク前負荷値に達した後に、残りの期間を使用して、活性要素のクリープ変形を可能にした。活性要素を並列に接続し、そしてCCCVプロトコルを使用して、複数サイクルにわたって種々の速度で、同時に充電および放電した。アクチュエータ出力において増幅された変位を、Instronクロスヘッドによって、5mmの直径の球状表面を有する、タングステン製の試験棒を使用して測定した。この試験棒を使用して、誘導された変位および負荷を、アクチュエータの出力から、Instronクロスヘッドのひずみゲージおよびロードセルへと伝達した。
【0188】
図29は、270Nの負荷下で測定された出力ひずみを示す。これは、活性要素に対して、4MPaの応力を生じる。充電の間の出力の平均変位は、3.42mmであり、そして放電については、3.72である。これは、圧電素子を使用するレバーアクチュエータから予測され得る値より約1桁大きい。これらの値および増幅因子を用いて、本発明者らは、バッテリスタックのひずみを、約1.5%であると計算した。これは、数MPaの応力下でのこれらの活性要素について、先の実施例において見られたひずみと一致する。このことは、望ましいように、活性要素よりもフレームについて、より高い剛性、およびデバイスについての高い力学的効率を示唆する。
【0189】
(実施例9)
(電気化学的織布アクチュエータ)
電気化学的織布アクチュエータ(EWA)を、本発明の一部として設計した。これらの特性は、非条に大きい行程および高い力作動を可能にする。このアクチュエータについて、本明細書中に記載される実施形態は、このアクチュエータはヘリコプターのロータの羽根において作用するように開発されたが、このアクチュエータは、大きい行程の作動を必要とする他の設計用途のためにもまた適切である。
【0190】
層間化合物を含む新規アクチュエータを開発する際の主要な挑戦の1つは、これらの化合物の誘導されたひずみが、多くの設計用途について必要とされる方向と同一ではない作動方向を有することである。この制限を考慮して、活性要素(すなわち、多層電気化学的アクチュエータ)の主要なひずみ方向を、その用途のために必要とされる適切な方向に変換する作動機構が求められた。求められたアクチュエータの1つの望ましい局面は、活性要素を織り布の相で包み、そしてこの活性要素を垂直に伸長させることによって、水平方向でのアクチュエータのひずみおよび力を発生させることであった。図30は、このアクチュエータの概略図を示す。ここで、3つの活性要素(1)が、2つの交互の繊維(2)によって包まれている。各活性要素の頂部表面および底部表面には、一定の曲率のキャップ(3)が取り付けられており、均一な垂直応力を提供する。明らかに、この活性要素の垂直な伸長は、このアクチュエータの水平変位を減少させ、従って、収縮力が、水平方向に発生する。
【0191】
本発明者らは、織布材料としてステンレス鋼ワイヤを使用することによって、最初の原型のEWAを構成し、そしてその性能を試験して、その概念を確認した。これらの活性要素は、3つの市販のバッテリを備え、これらの各々1つのキャップが、アルミニウムから機械加工され、そしてエポキシ接着剤で取り付けられた。EWAの幾何学的形状を、このデバイスのエネルギー効率を最大にするように、同時にEWAの得られる厚さが受容可能であるように、選択した。EWAの性能を試験するために、このEWAを、図31(a)に示されるように、バッテリを充電しながら、一定の負荷に曝露した。このアクチュエータのひずみを測定し、そしてバッテリのうちの1つのひずみと比較した。これらの測定は、予測より小さいひずみを示した。これは、活性要素として使用した市販のリチウムイオンセルによって大部分が発生する、いくらかのクリープに起因した。しかし、このクリープをデータから除くと、予測に非常に近いひずみが得られる。図31(b)は、クリープ部分を除いて、この試験から得られたグラフを示す。
【0192】
図31は、予測された値を提供し、そして図32において、予測された剛性およびひずみ結合を、アクチュエータの長さLとバッテリの幅wとの比に対してプロットした。これらは、良好な対応を示した。
【0193】
(実施例10)
(作動梁)
図33に示されるような作動梁を構成することもまた、興味深かった。梁の1つの面を、2層のガラス繊維布によって機械的に閉じ込めた。27個のアクチュエータを、図33に示されるように配置し、そしてエポキシ樹脂を、梁のためのマトリックスとして注いだ。これらの27個のアクチュエータを、並列に電気的に接続し、そして電源を使用して、これらのアクチュエータを、製造業者(ATL Corporation)によって指定される電圧限界内で、充電および放電した。この梁を、一端をクランプし、そして他端のたわみを測定するための「光レバー」としてレーザービームを使用することによって、試験した。充電および放電の際に、この梁の先端は、1mm変形した。これは、400マイクロひずみ(microstrain)の表面ひずみに対応する。従って、本発明の電気化学的アクチュエータは、梁構造体において、力学的作動を提供するために使用され得ることが実証される。
【0194】
(実施例11)
(電気化学に基づく流体アクチュエータ)
固体電解質を用いて気体を電気化学的にポンプ送達することは、作動を実施するために、先行技術において使用されたが、気体の圧縮性に起因して、高い応力が不可能である。液体は、気体よりも圧縮性がずっと低いので、液体の利用は、より大きい作動威力を発生させる。
【0195】
この概念において、電解質幕(これは、イオンを、デバイスの片側から別の側へとポンプ送達し、このプロセスにおいて期待ではなく液体を発生させる)が、使用される。液体をポンプ送達することによって、より高い作動力が発生し得る。なぜなら、液体は、ずっと低い圧縮性を有するからである。この種のアクチュエータは、流体デバイスおよび微小流体デバイス、微小液圧デバイス、傾性構造体、圧縮性のセルラー微小流体デバイスまたは圧縮性のセルラー微小液圧デバイスなどにおいて、使用され得る。
【0196】
プロトン伝導性巻くが、水素イオンを輸送して水を生成し、正味の体積変化を生じるために、利用され得る(図34)。充電の際に、この膜を横切って輸送されるHの1モルについて、半モルのOHから1モルの水を生成し、以下のような正味の体積変化が存在する:
【0197】
【数1】

【0198】
従って、体積膨張は、
【0199】
【数2】

【0200】
である。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1A】図1Aは、7.4%〜10%の大きい固有の(結晶学的)体積変化を発生させるための、リン酸カンラン石(Li(Fe,Mn)PO)を用いた可逆的リチウム挿入の実施形態を実証する[A.Yamadaら、J.Electrochem.Soc.,148,A224(2001)]。
【図1B】図1Bは、100μmの活性層を有するアクチュエータのLiFePO正電極へのLiの挿入後に検出された、放電の際の膨張を図示する。この膨張は、2.3%の線形ひずみを生成し、本発明のこの実施形態において、予測値とよく一致する。
【図1C】図1Cは、約5mmの厚さの多層Liドープバッテリにおける作動ひずみを図示する。ひずみを、充電および放電の間、多層スタックの面に対して垂直に測定した。50mmの可逆的な移動は、約1%の線形ひずみに対応する。
【図2】図2は、Liイオンポリマーバッテリ(ATL Corporation)から構成される、多層スタック電気化学的アクチュエータの実施形態を実証する。本発明のこの局面において、これらの電池の面に対して垂直に(層の積み重ねの方向で)測定された弾性率(ヤング率)は、非常に低く、約30MPaであった。
【図3】図3は、多層スタック設計の1つの実施形態のアクチュエータについて、種々の前応力条件下で得られた、充電−放電電圧曲線および対応するひずみをグラフで図示する。最大ひずみは、約0.7%であり、そして得られた作動エネルギー密度は、約12kJ/mであった。
【図4】図4は、多層スタック設計の1つの実施形態のアクチュエータについて、3.5MPaの一定の前応力の下で得られた、充電−放電電圧曲線および対応するひずみをグラフで図示する。ひずみは、約1%であり、そして作動エネルギー密度は、約35kJ/mである。
【図5】図5は、様々な内部構成を有する、LiCoO−炭素化学に基づく、リチウムイオン充電池の実施形態を示す。
【図6】図6は、45,000psiでの等圧プレス処理前および等圧プレス処理後の、多層スタックアクチュエータセルの実施形態の体積減少をグラフで図示する。
【図7】図7は、多層スタックアクチュエータの実施形態における、付与された応力の粘弾性緩和をグラフで図示する。付与された応力の緩和を、Instron試験機において10MPaの応力に曝露されたセルにおいて、時間の関数として測定する。
【図8】図8は、流体の移動によって測定された、150mAhの電荷容量を有する多層スタックアクチュエータの実施形態の、体積膨張をグラフで図示する。
【図9】図9は、5MPaの一軸応力下での、多層スタックアクチュエータの2つの実施形態の、サイクリック充電/放電および対応するひずみをグラフで図示する。
【図10】図10は、5MPaおよび10MPaの一軸応力における、多層スタックアクチュエータの実施形態のサイクリック作動試験をグラフで図示する。
【図11】図11は、15MPaおよび20MPaの一軸応力における、多層スタックアクチュエータの実施形態のサイクリック作動試験をグラフで図示する。
【図12】図12は、多層スタックアクチュエータの実施形態のひずみおよびエネルギー密度を、一軸前応力の関数としてグラフで図示する。
【図13】図13は、2MPaの一定応力下で1分間および2分間の所定の電流における、多層スタックアクチュエータの実施形態の、一定の電流サイクリングについてのひずみ対サイクル数をグラフで図示する。
【図14】図14は、2MPaの一定応力下で5分間および10分間の所定の電流における、多層スタックアクチュエータの、一定の電流サイクリングについてのひずみ対サイクル数をグラフで図示する。
【図15】図15は、2MPaの一定応力下での、多層スタックアクチュエータの実施形態における、ひずみ対利用した可逆容量を示す。
【図16】図16は、LiCoO2の濃密化された単層コーティングおよび黒鉛電極から製造された、二層スタックアクチュエータの実施形態を図示する。
【図17】図17は、1MPaの一定圧力下で、二層スタックアクチュエータの実施形態において測定された、充電−放電電圧曲線および対応するひずみをグラフで図示する。測定されたひずみは、3%〜4%であり、そして作動エネルギー密度は、約45kJ/mである。
【図17A】記載なし。
【図17B】記載なし。
【図17C】記載なし。
【図17D】記載なし。
【図18】図18は、10MPaの一定圧力下で、二層スタックアクチュエータの実施形態において測定された、充電−放電電圧曲線および対応するひずみをグラフで図示する。測定されたひずみは、2.5%〜3%であり、そして作動エネルギー密度は、約300kJ/mである。図18は、10MPaおよび17MPaで付与された一軸応力における、二層スタックアクチュエータについての、作動ひずみ対充電/放電を示す。
【図19】図19は、10MPaおよび17MPaで付与された一軸応力における、二層スタックアクチュエータの実施形態についての、作動ひずみ対充電/放電を示す。
【図20】図20は、高密度電極およびミクロ細孔ポリマーセパレータを利用する、6mmの厚さの多層アクチュエータの実施形態における、1MPaの応力でのひずみ対充電および放電を示す。
【図21】図21は、高密度電極およびミクロ細孔ポリマーセパレータを利用する、6mmの厚さの多層アクチュエータの実施形態における、5MPaの応力でのひずみ対充電および放電を示す。
【図22】図22は、高密度電極およびミクロ細孔ポリマーセパレータを利用する、6mmの厚さの多層アクチュエータの実施形態における、10MPaの応力でのひずみ対充電および放電を示す。
【図23】図23は、電気化学的作動材料(ここでは、c軸の方向がポストの軸(長手軸方向)に整列した、高配向発熱黒鉛(HOPG))からレーザー微細機械加工された、複数の正方形のポストを備えるアクチュエータの実施形態を図示する。この実施形態において、LiCoOリチウム供給源が、HOPGポストに隣接して配置され、黒鉛の横断方向での挿入を可能にする。
【図24】図24は、100MPaの一定前応力下での、HOPGベースのアクチュエータの1つの実施形態へのリチウムの挿入の際に測定された、作動ひずみをグラフで図示する。作動エネルギー密度は、約1000kJ/mである。
【図25】図25は、電気化学的アクチュエータの実施形態のHOPG形成活性素子の片に機械加工されたポストのアレイのSEM画像、およびこのアクチュエータアセンブリの概略側面図である。
【図26A】図26Aは、100MPaの付与応力(1cmあたり2メートルトン)の下で、HOPGアクチュエータについてのひずみ対放電/充電電圧を示す。
【図26B】図26Bは、50MPaの付与応力の下で、レーザー微小機械加工されたHOPGアクチュエータについてのひずみ対充電電圧を示す。
【図27】図27は、多ポストアクチュエータについての代替のポスト設計の実施形態を概略的に図示する。
【図28】図28は、大行程の電気化学的レバーアクチュエータの実施形態を概略的に図示する。
【図29】図29は、1Cの速度で270Nの負荷(活性素子に対して4MPaの前負荷が生じる)で、10個の200mAhのセルのスタックを使用する、電気化学的レバーアクチュエータの実施形態について、アクチュエータによって出力されたひずみを示す。
【図30】図30は、主要な部品((1)活性素子、(2)上部繊維および下部繊維、ならびに(3)一定曲率のキャップ)を有する、織布アクチュエータの図を概略的に図示する。
【図31】図31は、電気化学的織布アクチュエータの実施形態の試験のための実験設定および試験からの結果を図示し、アクチュエータのひずみおよび活性素子のひずみが示されている。
【図32】図32は、EWAの実施形態の理論剛性と最大ひずみとの境界を、長さ(L)と活性素子の長さ(w)との比の関数としてグラフで図示する。実際の試験結果が、この図において、星印として示される。
【図33】図33は、並列に電気的に接続された、図2〜図4に示される型の電気化学的アクチュエータを27個利用する、作動した梁の実施形態を図示する。ガラス繊維織り布の層は、下表面でのこの梁の変形を拘束する。この梁の一端(基部)がクランプされると、この梁の先端は、このバッテリの充電または放電の際に、1mm変形することが観察された。この変形は、400マイクロひずみの表面ひずみに対応する。
【図34】図34は、電解質膜を備える流体システムにおける作動を概略的に図示する。この電解質膜は、イオンを一方の側から他方の側へとポンプ送達し、高い左動力を発生させる。1つの実施形態において、R1はR2と等しくない。
【図35】図35は、セパレータによって負電極から分離された正電極を備える、アクチュエータの例を概略的に図示する。このアクチュエータの高さは、200μmである。
【図36】図36は、本発明の1つの実施形態のさらなる概略図であり、正電極12を備えるアクチュエータ10を示す。この正電極は、この場合、LiMPOであり、ここで、Mは、任意の金属である。この正電極は、セパレータ層16によって負電極14から分離されており、そして負電極の集電装置18および正電極の集電装置20が、電源22に取り付けられている。この電源は、4Vを供給する。このアクチュエータは、200μmのスタック厚さを有し、そしてE値は、2×10V/mである。
【図37】図37は、作動のために使用され得る固相薄膜バッテリ(24)の1つの実施形態を概略的に図示する。負電極28は、電解質相32によって、正電極30から分離されており、そして負電極34および正電極36のための集電装置、ならびにこのアクチュエータの他の構成要素が、基板26に配置されている。保護コーティング38が、このアクチュエータを被覆し、この実施例においては15μmの高さを提供する。
【図38】図38は、本発明の多層スタックアクチュエータの実施形態を概略的に図示する。この実施例において、高剛性の二層サブアセンブリ40および多層スタックアセンブリ54が図示される。この系は、セラミック層44、46および金属電極42から構成されるので、このスタックは、高い剛性および数%のひずみ容量を有する。液体電解質は、アクチュエータ48に浸入し得る。示されるように、集電装置38、50が、電源52と共に存在し得る。このアクチュエータは、用途が広い、高エネルギー密度のアクチュエータであり、これは、適切な帯域幅で、高いエネルギー密度を必要とする多くの用途において、使用され得る。
【図39】図39は、回転電気化学的アクチュエータ56を概略的に図示し、このアクチュエータは、集電装置58、負電極60、正電極62、およびセパレータ64の積層体を備える。構造的アルミニウム層66が追加され、そしてこの回転電気化学的アクチュエータは、電解質68を浸入される。このアクチュエータは、内側マンドレル72の周囲でスパイラル70として組み立てられ得、そして外側シェル74によって覆われ得る。
【図40】図40は、繊維複合システムから構成される、連続繊維電気化学的アクチュエータ76の実施形態を概略的に図示する。この繊維複合システムにおいて、活性繊維が、負電極78を形成する。この繊維負電極は、ポリマーセパレータまたは無機セパレータ82、および液体電解質層または固体電解質層84によって、正電極80から分離される。集電装置86および88が、このアクチュエータにおいて、電源90に接続される。
【図41】図41は、連続繊維電気化学的アクチュエータ92の別の実施形態を概略的に示す。このアクチュエータは、セラミック電解質またはポリマー電解質96で覆われた個々の負電極繊維94、および電源100に接続された、リチウムか正電極98から構成される。これらの繊維は、活性繊維複合材料102を形成し得る。
【図42】図42は、本発明の電気化学的アクチュエータ106が表面108に設置された、適応性構造体または装置104の実施形態を図示する(図10A)。1つの実施形態において、構造体または装置100へのアクチュエータの統合は、図10Bに概略的に図示されるようになされ得る。この電気化学的アクチュエータ、または別の実施形態においては、アクチュエータ140は、1つの実施形態において、薄膜積層電気化学的アクチュエータであり得、そして別の実施形態においては、厚膜積層電気化学的アクチュエータであり得、このアクチュエータは、表面に対して垂直に配向し得、そして基板130の硬い表面層120内に配置され得る。これらのアクチュエータの膨張要素および収縮要素のアスペクト費、ならびに戦略的な位置決めを変化させることによって、表面の面内でのより大きい変形を発生させ得、別の実施形態においては、図10Cに概略的に図示されるように、正電極150および負電極160の位置決めを介して、表面の面内でのより大きい変形を発生させ得、別の実施形態においては、表面の面内でのより大きい変形は、この表面の面を見下ろす場合に(すなわち、断面で)明らかであり得る(10D)。
【図43】図43Aは、炭素またはリチウムの負電極200(この負電極は、リチウムかされると膨張する)、およびLiMnまたはLiFePOの正電極190(この正電極は、脱リチウムされると収縮する)を備えるアクチュエータ170の1つの実施形態を概略的に図示する。これらの電極は、セパレータ180に結合されると、構造全体において、顕著な屈曲を発生させる。このような使用の1つの実施形態は、翼210においての使用であり、ここで、このアクチュエータは、負電極が表面220から外側230に向くように位置決めされ、その結果、作動後、より大きい外向きへの曲率が起こる(43B)。図44Cは、シリコンウエハ250を備える構造体240を概略的に図示し、このウエハは、体積膨張を誘導して屈曲を発生させるために、リチウム供給源として金属リチウムまたはリチウム化された酸化物電極を介して、表面260からリチウム化され得る。
【図44】図44Aは、電気化学的アクチュエータ300のアレイを、構造体または装置290の表面に有することによって、1つより多くの軸方向の周りに屈曲するように作製された構造体または装置280の1つの実施形態を概略的に図示する。図44Bは、アクチュエータが翼を広げるためにどのように利用され得るかの例を図示する。
【図45】図45は、航空機の翼330上のアクチュエータ320の可能な配置のアセンブリ310を概略的に図示する。このアセンブリは、この翼にねじれを提供し得る。
【図46】図46Aは、液体電解質層370によって分離された、正電極350および負電極360を備える、微小流体ポンプ340を概略的に図示する。このアクチュエータは、充電および放電390の際に、正味の体積変化を起こし、弁380を通しての流体の推進を可能にし得る。一連のアクチュエータ410を備えるポンプまたは微小流体デバイス400は、充電および放電の際に、このポンプの取込口420から出口430を通しての流体の流れを誘導する(B)。これらのアクチュエータの位置決めは、チャネルが指定されるような位置決めである(14C)。
【図47】図47は、本発明のものと同じものを備えるアクチュエータまたは構造体の、複数の形態能力を概略的に図示する。
【図48A】図48は、本発明について企図される形態プレートアーキテクチャの実施形態を図示する。Aにおいて、3つのアクチュエータ配向を有する全体的なプレートアーキテクチャが示される。
【図48B】図48は、本発明について企図される形態プレートアーキテクチャの実施形態を図示する。Bにおいて、包埋された、個々にアドレス可能な多層スタックアクチュエータアレイを図示する実施形態が示される。
【図48C】図48は、本発明について企図される形態プレートアーキテクチャの実施形態を図示する。Cにおいて、張力負荷を付与する電気化学的繊維アクチュエータの分配されたアレイを図示する実施形態が示される。
【図48D】図48は、本発明について企図される形態プレートアーキテクチャの実施形態を図示する。Dにおいて、より大きい膨張または収縮を可能にするアクチュエータ設計を図示する実施形態が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的アクチュエータであって、
a.負電極;
b.正電極;および
c.挿入種、
を備え、該電気化学的アクチュエータは、印加電圧または印加電流に曝露され;該電圧または電流の印加または停止は、該アクチュエータの電極への該種の挿入を誘導し、該アクチュエータの体積変化または寸法変化を生じる、電気化学的アクチュエータ。
【請求項2】
前記体積変化または寸法変化が、前記負電極においての変化であるか、前記正電極においての変化であるか、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項3】
前記体積変化または寸法変化が、0.1%から300%の範囲である、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項4】
0.1%から200%の範囲の線形ひずみが生じる、請求項5に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項5】
前記負電極または正電極が、挿入の際に、相変化、異方性膨張または異方性収縮を受ける、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項6】
前記負電極が、前記挿入種のドナーまたはアクセプターまたはこれらの組み合わせとして働く、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項7】
前記正電極が、前記挿入種のドナーまたはアクセプターまたはこれらの組み合わせとして働く、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項8】
前記負電極が、前記挿入種のための供給源として働き得る、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項9】
前記正電極が、前記挿入種のための供給源として働き得る、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項10】
前記負電極または正電極、あるいはこれらの組み合わせが、高弾性率化合物を含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項11】
前記化合物が、10GPaと500GPaとの間の範囲の弾性率を示す、請求項10に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項12】
前記化合物が、50GPaと150GPaとの間の範囲の弾性率を示す、請求項11に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項13】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、イオン遷移金属酸化物を含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項14】
前記イオン遷移金属酸化物におけるイオンが、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項13に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項15】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項14に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項16】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiMnPO、LiTi12、TiSi、MoSi、WSiもしくはこれらの修飾複合材料または固溶体を含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項17】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉄、またはこれらの組み合わせを含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項18】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、金属または金属間化合物を含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項19】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、リチウムまたはリチウム−金属合金であり、該リチウムまたはリチウム−金属合金が、結晶性であっても、ナノ結晶性であっても、非晶質であってもよい、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項20】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、アルミニウム、銀、金、ホウ素、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、鉛、アンチモン、ケイ素、スズ、またはこれらの組み合わせを含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項21】
前記電極が、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体、高配向性熱分解黒鉛、無秩序炭素構造体またはこれらの組み合わせの形態の炭素を含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項22】
前記挿入種が、イオンである、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項23】
前記挿入種が、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項24】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、粒子の多孔性凝集物を含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項25】
前記粒子の多孔性凝集物が、焼結されている、請求項24に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項26】
前記多孔性焼結凝集物が、複合材料であり、伝導性添加剤または焼結助剤をさらに含有する、請求項25に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項27】
前記焼結凝集物が、結晶軸の共通の配向または組織を共有する化合物の微結晶を含有する、請求項26に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項28】
前記電圧が、0.1V〜15Vである、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項29】
前記電圧が、0.1V〜5Vである、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項30】
導電性集電装置、セパレータ、またはこれらの組み合わせをさらに備える、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項31】
前記セパレータが、多孔性または剛性である、請求項30に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項32】
前記多孔性セパレータが、ミクロ細孔ポリマーまたは多孔性絶縁セラミック材料を含有する、請求項31に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項33】
前記多孔性セパレータが、多数の絶縁ポリマーまたはセラミック粒子を含有する、請求項31に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項34】
前記多請う正絶縁セラミック材料が、アルミナ、アルミノシリケート、コーディエライト、ケイ酸ガラス、または絶縁混合金属酸化物、絶縁混合金属窒化物もしくは絶縁混合金属炭化物を含有する、請求項33に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項35】
前記電気化学的アクチュエータの電極が、伝導性添加剤をさらに含有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項36】
電解質をさらに備える、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項37】
前記電解質が、固体電解質または液体電解質である、請求項36に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項38】
外部パッケージング層をさらに備える、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項39】
前記外部パッケージング層が、電気化学的絶縁層、保護層またはこれらの組み合わせである、請求項38に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項40】
前記アクチュエータが、1MPaと1000MPaとの間のブロック応力を有する、請求項1に記載の電気化学的アクチュエータ。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれかの電気化学的アクチュエータを少なくとも1つ備える、装置。
【請求項42】
前記装置が、適応性である、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記アクチュエータが、該アクチュエータに遠い前記装置の側において、応力を付与するための要素として使用される、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記装置が、前記アクチュエータによって誘導される体積変化または寸法変化を増幅させる、請求項41に記載の装置。
【請求項45】
前記装置が、前記少なくとも1つの電気化学的アクチュエータを備える織布構造体の形態である、請求項41に記載の装置。
【請求項46】
前記アクチュエータが、前記織布構造体の応力を増幅させる、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記装置が、レバーおよび支点機構の形態であり、そして該レバーが、前記少なくとも1つの電気化学的アクチュエータを備える、請求項45に記載の装置。
【請求項48】
前記アクチュエータが、前記装置のひずみを増幅する、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
多層スタック型電気化学的アクチュエータであって、
a.2つ以上の負電極層;
b.2つ以上の正電極層;および
c.挿入種;
を備え、該多層スタック型電気化学的アクチュエータは、印加電圧または印加電流に曝露され;該電圧または電流の印加または停止が、該アクチュエータの電極への該種の挿入を誘導し、該アクチュエータの体積変化または寸法変化を生じる、多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項50】
前記電極への前記種の挿入が、前記アクチュエータの体積変化または寸法変化を生じる、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項51】
前記体積変化または寸法変化が、0.1%から300%の範囲である、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項52】
前記負電極または正電極が、挿入の際に、層変化、異方性膨張または異方性収縮を受ける、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項53】
前記負電極が、前記挿入種のドナーまたはアクセプターまたはこれらの組み合わせとして働く、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項54】
前記正電極が、前記挿入種のドナーまたはアクセプターまたはこれらの組み合わせとして働く、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項55】
前記負電極が、前記挿入種のための供給源として働き得る、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項56】
前記正電極が、前記挿入種のための供給源として働き得る、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項57】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、金属または金属間化合物を含有する、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項58】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、リチウムまたはリチウム−金属合金を含有する、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項59】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、炭素、アルミニウム、銀、金、ホウ素、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、鉛、アンチモン、ケイ素、スズ、またはこれらの組み合わせを含有する、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項60】
前記炭素が、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体、高配向性熱分解黒鉛、無秩序炭疽構造体またはこれらの組み合わせである、請求項59に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項61】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、リチウムチタン酸化物、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉄、またはこれらの組み合わせを含有する、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項62】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、イオン遷移金属酸化物を含有する、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項63】
前記イオン遷移金属酸化物のイオンが、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項62に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項64】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項63に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項65】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMn、LiMnPO、LiTi12もしくはこれらの修飾複合材料または固溶体を含有する、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項66】
前記負電極、前記正電極、またはこれらの組み合わせが、前記電極材料の粒子の多孔性凝集物を含有する、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項67】
前記多孔性凝集物が、焼結されている、請求項66に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項68】
前記多孔性焼結凝集物が、複合材料であり、伝導性添加剤または焼結助剤をさらに含有する、請求項67に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項69】
前記凝集物が、結晶軸の共通の配向または組織を共有する化合物の微結晶を含有する、請求項66に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項70】
前記挿入種が、イオンである、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項71】
前記イオンが、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項70に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項72】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項107に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項73】
前記構造変化が、前記負電極または前記正電極またはこれらの組み合わせにおける、前記種の挿入の結果である、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項74】
前記電圧が、0.1V〜15Vである、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項75】
集電装置、セパレータまたはこれらの組み合わせをさらに備える、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項76】
前記集電装置が、伝導性材料を含有する、請求項75に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項77】
前記セパレータが、多孔性または剛性である、請求項75に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項78】
前記多孔性セパレータが、ミクロ細孔ポリマーまたは多孔性絶縁セラミック材料を含有する、請求項77に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項79】
前記多孔性セパレータが、前記ポリマーまたはセラミック材料の多数の粒子を含有する、請求項77に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項80】
前記多孔性絶縁セラミック材料が、アルミナ、アルミノシリケート、コーディエライト、ケイ酸ガラス、または絶縁混合金属酸化物、絶縁混合金属窒化物もしくは絶縁混合金属炭化物である、請求項79に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項81】
前記多層スタック型電気化学的アクチュエータの電極が、伝導性添加剤をさらに含有する、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項82】
電解質をさらに備える、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項83】
前記電解質が、固体電解質または液体電解質である、請求項82に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項84】
外部パッケージング層をさらに備え、該外部パッケージング層は、電気化学的絶縁層、保護層またはこれらの組み合わせである、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項85】
前記アクチュエータが、10,000psiから45,000psi(69MPaから310MPa)の範囲の一軸圧力または静水圧に曝露される、請求項49に記載の多層スタック型電気化学的アクチュエータ。
【請求項86】
回転電気化学的アクチュエータであって、
a.負電極;
b.正電極;および
c.挿入種、
のロール層を備え、該ロール層は、積層構成を呈し、該回転電気化学的アクチュエータは、印加電圧または印加電流に曝露され、該電圧または電流の印加または停止は、該アクチュエータへの該種の挿入を生じ、該アクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、その結果、該ロール積層構成が、巻かれるかまたは巻きを解かれ、そしてトルクが発生する、回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項87】
前記ロール積層構成が巻かれるかまたは巻きを解かれる場合に、回転運動が発生する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項88】
前記回転運動が、1°から360°の範囲である、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項89】
前記回転運動が、1回以上の回転を発生させる、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項90】
前記1回以上の回転が、完全または不完全である、請求項89に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項91】
前記回転が、時計回り方向または反時計回り方向、またはこれらの組み合わせである、請求項90に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項92】
前記体積変化または寸法変化が、前記負電極または前記正電極、またはこれらの組み合わせにおいての変化である、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項93】
前記体積変化または寸法変化が、可逆的である、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項94】
前記体積変化または寸法変化が、0.1%から300%の範囲である、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項95】
前記挿入が、高いひずみを発生させる、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項96】
前記発生するひずみが、0.1%から200%の範囲である、請求項95に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項97】
前記負電極または前記正電極が、挿入の際に、層変化、異方性膨張または異方性収縮を受ける、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項98】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、前記挿入種のドナーまたはアクセプター、またはこれらの組み合わせとして働く、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項99】
前記負電極または正電極が、前記挿入種のための供給源として働き得る、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項100】
前記負電極または正電極が、高弾性率の化合物を含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項101】
前記化合物が、10GPaと500GPaとの間の範囲の弾性率を示す、請求項100に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項102】
前記化合物が、50GPaと150GPaとの間の範囲の弾性率を示す、請求項100に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項103】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、リチウムチタンオキシド、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化ニッケルまたは酸化鉄のうちの1種以上を含有する酸化物化合物を含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項104】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、金属または金属間化合物を含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項105】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、リチウムまたはリチウム−金属合金を含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項106】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、炭素、アルミニウム、銀、金、ホウ素、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、鉛、アンチモン、ケイ素、スズ、またはこれらの組み合わせを含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項107】
前記炭素が、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体、高配向性発熱黒鉛、無秩序炭素構造体またはこれらの組み合わせである、請求項106に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項108】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、イオン遷移金属酸化物を含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項109】
前記イオン遷移金属坂物のイオンが、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項108に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項110】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項109に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項111】
前記正電極、前記負電極、またはこれらの組み合わせが、LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMn、LiMnPO、LiTi12もしくはこれらの修飾複合材料または固溶体を含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項112】
前記負電極、正電極、またはこれらの組み合わせが、多孔性焼結凝集物を含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項113】
前記多孔性焼結凝集物が、複合材料であり、伝導性添加剤または焼結助剤をさらに含有する、請求項112に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項114】
前記焼結凝集物が、結晶軸の共通の配向または組織を共有する化合物の微結晶を含有する、請求項113に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項115】
前記挿入種が、イオンである、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項116】
前記イオンが、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項115に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項117】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項116に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項118】
前記電圧が、0.1V〜5Vである、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項119】
前記電圧が、0.1V〜5Vである、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項120】
伝導性集電装置、セパレータ、またはこれらの組み合わせをさらに備える、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項121】
前記セパレータが、前記ロールされた層の間の動きを共有することを可能にするために十分に厚い、請求項120に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項122】
前記セパレータが、多孔性または剛性である、請求項120に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項123】
前記回転電気化学的アクチュエータの電極が、伝導性添加剤をさらに含有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項124】
電解質をさらに備える、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項125】
前記電解質が、固体電解質または液体電解質である、請求項124に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項126】
外部パッケージング層をさらに備える、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項127】
前記アクチュエータが、0.1MPaと1000MPaとの間のブロック応力を有する、請求項86に記載の回転電気化学的アクチュエータ。
【請求項128】
連続繊維電気化学的アクチュエータであって、
a.繊維状電極;
b.対電極;および
c.挿入種、
を備え、該連続繊維電気化学的アクチュエータは、印加電圧または印加電流に曝露され、該電圧または電流の印加または停止が、該アクチュエータの電極の間への該種の挿入を誘導し、該アクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、その結果、該繊維状電極は、伸長または収縮を受ける、連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項129】
前記繊維状電極は、少なくとも1つの繊維層を備える、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項130】
前記繊維状電極が、無秩序炭素または微晶質炭素を含有する、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項131】
前記体積変化または寸法変化が、前記繊維状電極または前記対電極、またはこれらの組み合わせの体積の変化である、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項132】
前記体積変化または寸法変化が、0.1%から50%の範囲である、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項133】
前記繊維状電極または対電極が、挿入の際に、層変化、異方性膨張または異方性収縮を受ける、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項134】
前記繊維状電極が、前記挿入種のドナーまたはアクセプター、またはこれらの組み合わせとして働く、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項135】
前記対電極が、前記挿入種のドナーまたはアクセプター、またはこれらの組み合わせとして働く、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項136】
前記繊維状電極、対電極、またはこれらの組み合わせが、前記挿入種のための供給源として働き得る、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項137】
前記繊維状電極、対電極、またはこれらの組み合わせが、リチウムチタンオキシド、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉄、またはこれらの組み合わせを含有する、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項138】
前記繊維状電極、対電極、またはこれらの組み合わせが、金属または金属間化合物を含有する、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項139】
前記繊維正電極、対電極、またはこれらの組み合わせが、リチウム、リチウム−金属合金、アルミニウム、銀、金、ホウ素、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、鉛、アンチモン、ケイ素、スズ、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体、高配向性発熱黒鉛、無秩序炭素構造体を含有する、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項140】
前記炭素が、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体または無秩序炭素構造体、あるいはこれらの組み合わせである、請求項147に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項141】
前記繊維状電極、対電極、またはこれらの組み合わせが、イオン遷移金属酸化物を含有する、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項142】
前記イオン遷移金属酸化物のイオンが、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項141に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項143】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項142に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項144】
前記電極の繊維が、前記アクチュエータの各端部に繋留されている、請求項143に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項145】
前記体積変化または寸法変化が、張力下および圧縮下で誘導される、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項146】
前記対電極が、LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMn、LiMnPO、LiTi12もしくはこれらの修飾複合材料または固溶体を含有する、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項147】
前記繊維状電極、対電極、またはこれらの組み合わせが、多孔性焼結業種物を含有する、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項148】
前記多孔性焼結凝集物が、複合材料であり、伝導性添加剤または焼結助剤をさらに含有する、請求項147に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項149】
前記焼結凝集物が、結晶軸の共通の配向または組織を共有する化合物の微結晶を含有する、請求項147に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項150】
前記挿入種が、イオンである、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項151】
前記イオンが、アルカリ金属である、請求項150に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項152】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項151に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項153】
前記体積変化または寸法変化が、前記負電極または前記正電極、またはこれらの組み合わせへの前記種の挿入の結果である、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項154】
前記繊維状電極が、セパレータ層、電解質、および前記対電極で覆われている、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項155】
前記電解質が、固体電解質または液体電解質である、請求項154に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項156】
前記複数の被覆された繊維が、繊維複合材料を形成するために利用される、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項157】
前記複合材料が、マトリックスをさらに含有する、請求項156に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項158】
前記マトリックスが、ポリマーである、請求項157に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項159】
前記繊維複合材料の端部が、被覆されていない、請求項156に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項160】
前記繊維の覆われていない端部が、電気的接続が該繊維の端部に適用されることを可能にする、請求項156に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項161】
複数層の前記繊維電気化学的アクチュエータを備える、請求項156に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項162】
前記層が、平行な配向または垂直な配向で組み立てられている、請求項161に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項163】
前記垂直な配向が、前記アクチュエータの正のせん断作動および負のせん断作動を可能にする、請求項162に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項164】
前記アクチュエータの前記正のせん断作動および負のせん断作動が、トルクまたは回転を発生させる、請求項163に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項165】
前記垂直な配向が、低い電圧が印加される場合に層の間での電荷移動を可能にする、請求項162に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項166】
前記印加される電圧が、0.1Vと15Vとの間である、請求項165に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項167】
前記印加される電圧が、0.1Vと5Vとの間である、請求項165に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項168】
集電装置、セパレータ、またはこれらの組み合わせをさらに備える、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項169】
前記セパレータが、多孔性または剛性である、請求項168に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項170】
前記連続繊維電気化学的アクチュエータの電極が、伝導性添加剤をさらに含有する、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項171】
電解質をさらに備える、請求項128に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項172】
前記電解質が、固体電解質または液体電解質である、請求項171に記載の連続繊維電気化学的アクチュエータ。
【請求項173】
作動の方法であって、該方法は、負電極、正電極および挿入種を備えるアクチュエータに、電圧または電流を印加する工程を包含し、該電圧または電流の印加が、該アクチュエータにおける該種の挿入を誘導し、該挿入が、該アクチュエータの体積変改または寸法変化を誘導する、方法。
【請求項174】
前記電圧または電流が、時間の変数として変動する、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
前記体積変化または寸法変化が、前記負電極、正電極またはこれらの組み合わせへの、前記種の挿入の結果である、請求項173に記載の方法。
【請求項176】
前記体積変化または寸法変化が、前記負電極、正電極またはこれらの組み合わせの体積の増加を生じる、請求項173に記載の方法。
【請求項177】
前記体積変化または寸法変化が、前記負電極、正電極またはこれらの組み合わせの体積の減少を生じる、請求項173に記載の方法。
【請求項178】
前記体積変化または寸法変化が、可逆的である、請求項173に記載の方法。
【請求項179】
前記体積変化または寸法変化が、0.1%から50%の範囲である、請求項173に記載の方法。
【請求項180】
前記挿入が、高いひずみを発生させる、請求項173に記載の方法。
【請求項181】
前記発生するひずみが、0.1%から300%の範囲である、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
前記アクチュエータが、高いブロック応力に耐えられる、請求項173に記載の方法。
【請求項183】
前記応力が、0.1MPaから1000MPaの範囲である、請求項182に記載の方法。
【請求項184】
前記負電極が、前記挿入種のドナーまたはアクセプター、またはこれらの組み合わせとして働く、請求項173に記載の方法。
【請求項185】
前記正電極が、前記挿入種のドナーまたはアクセプター、またはこれらの組み合わせとして働く、請求項173に記載の方法。
【請求項186】
前記負電極が、前記挿入種のための供給源として働き得る、請求項173に記載の方法。
【請求項187】
前記正電極、負電極、またはこれらの組み合わせが、高弾性率の化合物を含有する、請求項173に記載の方法。
【請求項188】
前記化合物が、10GPaと500GPaとの間の範囲の弾性率を示す、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
前記化合物が、50GPaと150GPaとの間の弾性率を示す、請求項187に記載の方法。
【請求項190】
前記正電極、負電極、またはこれらの組み合わせが、リチウムチタン酸化物、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉄、金属、金属間化合物、リチウム、リチウム−金属合金、アルミニウム、銀、金、ホウ素、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、鉛、アンチモン、ケイ素、スズ、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体、無秩序炭素構造体またはこれらの組み合わせを含有する、請求項173に記載の方法。
【請求項191】
前記炭素が、黒鉛、炭素繊維構造体、グラッシーカーボン構造体、高配向性発熱黒鉛、無秩序炭素構造体またはこれらの組み合わせである、請求項190に記載の方法。
【請求項192】
前記正電極が、前記挿入種のための供給源として働き得る、請求項173に記載の方法。
【請求項193】
前記正電極、負電極、またはこれらの組み合わせが、イオン遷移金属酸化物を含有する、請求項173に記載の方法。
【請求項194】
前記イオン遷移金属酸化物のイオンが、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項193に記載の方法。
【請求項195】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項194に記載の方法。
【請求項196】
前記正電極、負電極、またはこれらの組み合わせが、LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMn、LiMnPO、LiTi12もしくはこれらの修飾複合材料または固溶体を含有する、請求項173に記載の方法。
【請求項197】
前記挿入種が、イオンである、請求項173に記載の方法。
【請求項198】
前記イオンが、プロトン、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記アルカリ金属が、リチウムである、請求項173に記載の方法。
【請求項200】
前記印加される電圧が、0.1Vと15Vとの間である、請求項173に記載の方法。
【請求項201】
前記印加される電圧が、0.1Vと5Vとの間である、請求項173に記載の方法。
【請求項202】
前記アクチュエータが、集電装置、セパレータ、伝導性添加剤、電解質、外部パッケージング層またはこれらの組み合わせをさらに備える、請求項173に記載の方法。
【請求項203】
前記電解質が、固体電解質または液体電解質である、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
装置が、前記アクチュエータを備える、請求項173に記載の方法。
【請求項205】
前記体積変化または寸法変化が、前記アクチュエータを備える前記装置の構造変化を生じる、請求項204に記載の方法。
【請求項206】
前記装置が、1つより多くのアクチュエータを備える、請求項204に記載の方法。
【請求項207】
曲率、屈曲もしくはねじれ、またはこれらの組み合わせが、前記装置において誘導される、請求項204に記載の方法。
【請求項208】
回転電気化学的アクチュエータを備える装置において、トルクまたは回転運動を発生させる方法であって、該方法は、負電極、正電極および挿入種を備える回転電気化学的アクチュエータに、電流を印加する工程を包含し、該電流を印加する工程が、該アクチュエータへの該種の挿入を誘導し、該アクチュエータの体積変化または寸法変化を生じ、その結果、ロール積層層の巻が解かれ、そしてトルクまたは回転運動が発生する、方法。
【請求項209】
少なくとも1つの電気化学的アクチュエータを備えるポンプであって、該電気化学的アクチュエータは、負電極、正電極、挿入種、および少なくとも1つの弁を備え、電圧の印加に続いて、該アクチュエータ内に電流が発生し、該種の挿入は、該アクチュエータの体積の変化を発生させ、その結果、流体が、該弁を通して方向付けられる、ポンプ。
【請求項210】
直列のアクチュエータを備える、請求項209に記載のポンプ。
【請求項211】
前記アクチュエータが、並列に配置されている、請求項209に記載のポンプ。
【請求項212】
前記流体を、指定されたチャネルに通して方向付けるように、前記アクチュエータが、平面内に配置されている、請求項209に記載のポンプ。
【請求項213】
少なくとも1つの電気化学的アクチュエータを備える傾性構造体であって、該電気化学的アクチュエータは、負電極、正電極、および挿入種を備え、電圧の印加に続いて、該アクチュエータにおいて電流が発生し、該種の挿入が、該アクチュエータの体積の変化を発生させ、その結果、該傾性構造体において、屈曲または他の変形が誘導される、傾性構造体。
【請求項214】
微小流体システムにおける電気化学的アクチュエータの使用であって、液圧式アクチュエータのネットワークが、該電気化学的アクチュエータの、挿入により誘導される体積変化によって駆動される、使用。
【請求項215】
航空機の航空管制のための、少なくとも1つの電気化学的アクチュエータの使用であって、該アクチュエータの、挿入により誘導される体積変化に続いて、より大きい航空管制が達成されるように、該アクチュエータが該航空機に位置決めされている、使用。

【図1A】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19】
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【図23】
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【図24】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図44】
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【図45】
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【図47】
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【図48A】
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【図48B】
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【図48C】
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【図48D】
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【図1B】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図28】
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【図32】
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【図39】
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【図43】
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【図46】
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【公表番号】特表2008−503059(P2008−503059A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516573(P2007−516573)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/020554
【国際公開番号】WO2005/124918
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】