説明

電気化学的検体センサーの操作システムおよび方法

【課題】電気化学的検体センサーにより、正確な検体測定を行う方法。検体を含む環境中でのそのようなセンサーに関する情報やセンサーの特性を求める方法を提供する。
【解決手段】検体を測定するための、1つ以上の電極を有する電気化学的センサーの操作方法は、検体を含んでいる環境にセンサーを暴露することと、検体を含んでいる環境にセンサーが暴露されている間、1つ以上の電極の少なくとも1つに対して、時間依存性入力信号を印加することと、時間依存性入力信号の印加に対応して、センサーにより生じた時間依存性出力信号をモニターすることと、時間依存性入力信号および時間依存性出力信号に基づいて、センサーの複素数インピーダンスを求めることと、複素数インピーダンスを用いて、検体を含んでいる環境の中の検体の測定される濃度を求めることとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的検体センサーの操作システムおよびその操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間または動物中の1つ以上の検体の生体内測定用の電気化学的検体センサーは公知である。そのようなセンサーは、典型的には、人間または動物の流体および/または組織と接触する1つ以上の電極を含んでいる。人間または動物外部の電子回路は、1つ以上のセンサー電極に、1つ以上の電気信号を送りかつ流体/組織と1つ以上の電極の少なくとも1つの間に起こる電気化学反応をモニターすることによりセンサーの操作を制御するために使用されている。そのようなセンサーの場合には、正確な検体測定を行うことが好ましい。検体を含む環境中でのそのようなセンサーに関する情報を求めることも望ましいし、またセンサー操作に関する診断情報を求めることも望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、付随する請求項中に列挙されている1つ以上の特性、および/または、1つ以上の次の特性およびそれらの組み合わせを含んでいてもよい。1つ以上の電極を有する電気化学的検体センサーの操作方法は、1つ以上の電極の少なくとも1つに対して時間依存性入力信号を印加することと、時間依存性入力信号の印加に対応してセンサーにより生じた時間依存性出力信号をモニターすることを含んでいてもよい。時間依存性入力信号および時間依存性出力信号に基づいたセンサーの複素数インピーダンスを求めてもよい。センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めてもよい。
【0004】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、少なくとも部分的には複素数インピーダンスに基づいて、センサーが暴露される検体の少なくとも1つの測定値を求めることを含んでいてもよい。該方法は、1つ以上の電極の少なくとも1つにDC入力信号を印加することおよびDC入力信号の印加に対応して、センサーにより生じるDC出力信号をモニターすることをさらに含んでいてもよい。検体の少なくとも1つの測定値を求めることは、複素数インピーダンスに基づいてかつDC出力信号に基づいて、検体の少なくとも1つの測定値を求めることを含んでいる。センサーが暴露される検体の少なくとも1つの測定値を求めることは、多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルの選択と、多数のモデル成分の値を求めるために、複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、DC出力信号と組み合わされたときに、経時的に最小の望ましくない変化を持つセンサー応答を生じる経時的応答を有する多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、多数のモデル成分の同定された1つまたは機能的組み合わせの値に基づいてかつDC出力信号に基づいて、検体の少なくとも1つの測定値を計算することを含んでいてもよい。該方法は、検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有する多数のモデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、モデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせの対応する1つの値が、応答値の範囲内に落ちる多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの1つのみを安定的に同定することと、検体の少なくとも1つの測定値を計算するために、多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの安定な1つのみを使用することをさらに含んでいてもよい。1つ以上の電極の少なくとも1つに時間依存性入力信号を印加することは、多数の異なった周波数において、時間依存性入力信号を印加することを含んでいてもよい。
【0005】
センサーが暴露される検体の少なくとも1つの測定値を求めることは、多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルの選択と、多数のモデル成分の値を求めるために、複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、経時的に最小の望ましくない変化を持つセンサー応答を生じる経時的応答を有する多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、多数のモデル成分の同定された1つまたは機能的組み合わせの値に基づいて検体の少なくとも1つの測定値を計算することを含んでいてもよい。該方法は、検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有する多数のモデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、モデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせの対応する1つの値が応答値の範囲内に落ちる多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの1つのみを安定的に同定することと、検体の少なくとも1つの測定値を計算するために多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの安定な1つのみを使用することをさらに含んでいてもよい。1つ以上の電極の少なくとも1つに時間依存性入力信号を印加することは、多数の異なった周波数において時間依存性入力信号を印加することを含んでいる。
【0006】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、センサーの出力応答が安定であるかどうかを求めることを含んでいてもよい。センサーの出力応答が安定であるかどうかを求めることは多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルを選択することと、多数のモデル成分の値を求めるために複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、多数のモデル成分の値を求めるために複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有する多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、モデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせの対応する1つの値が応答値の範囲内に落ちるセンサー出力応答サンプルのみを安定として同定することを含んでいてもよい。
【0007】
該方法は、センサーの出力応答が不安定な時に信号を発生させることをさらに含んでいてもよい。センサーの出力応答が不安定な時に信号を発生させることは、多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルの選択と、多数のモデル成分の値を求めるために複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、検体濃度およびセンサー感度における変化に対して実質的に鈍感である経時的応答を有するモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、モデル成分の1つまたは機能的組み合わせの多数の値が一定応答値の範囲外に落ちる時には、信号を発生させることを含んでいてもよい。
【0008】
該方法は、センサーの出力応答が不安定な場合にはセンサー較正手段を行うことをさらに包含していてもよい。センサーの出力応答が不安定な場合にはセンサー較正手段を行うことは多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルを選択することと、多数のモデル成分の値を求めるために複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有する多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの多数の値が一定応答値の範囲外に落ちる場合にセンサー較正手段を行うことを含んでいてもよい。
【0009】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、センサーの少なくとも1つの特性を複素数インピーダンスから求めることを含んでいてもよい。該センサーの少なくとも1つの特性はセンサーの静電容量含んでいてもよい。
【0010】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、検体を含む環境中においてセンサーの操作に関連する少なくとも1つのパラメータを複素数インピーダンスから求めることを含んでいてもよい。検体を含む環境中におけるセンサーの操作に関連する少なくとも1つのパラメータは検体を含む環境の電気伝導度を含んでいてもよい。
【0011】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、センサーによって生じた検体測定情報の信頼性に関する情報を複素数インピーダンスから求めることを含んでいてもよい。センサーによって生じた検体測定情報の信頼性に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、複素数インピーダンスをインピーダンス閾値に比較することと、もし複素数インピーダンスが、インピーダンス閾値よりも大きい場合には、センサーに関連する電気伝導路が失われるということを決めることを含んでいてもよい。
【0012】
1つ以上の電極を有する電気化学的検体センサーの操作方法は、1つ以上の電極の少なくとも1つに対して、時間依存性入力信号を印加することと、時間依存性入力信号の印加に対応して、センサーにより生じた時間依存性出力信号をモニターすることを含んでいてもよい。時間依存性入力信号および時間依存性出力信号に基づいて、センサーの複素数インピーダンスを求めてもよい。センサーが暴露される検体の測定値を少なくとも部分的に、複素数インピーダンスに基づいて求めてもよい。
【0013】
1つ以上の電極の少なくとも1つに時間依存性入力信号を印加することは、1つ以上の電極の少なくとも1つに、DC入力信号を同時に印加することをさらに含んでもよく、かつDC入力信号の印加に対応して、センサーにより生じたDC出力信号をモニターすることをさらに含んでいてもよい。センサーが暴露される検体の測定値を計算することは、多数のモデル成分を有するセンサーのモデルの選択とモデル成分の複素数値を求めるために、複素数インピーダンスの値をセンサーのモデルに当てはめることと、モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの複素数値がDC出力信号と数学的に組み合わされたときに、センサーのDC出力信号の少なくとも1つの望ましくない特性の検体の測定値に対する影響を相殺するモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを求めることと、センサーのDC出力信号およびモデル成分の1つまたは機能的組み合わせに基づいて検体の測定値を計算することを含んでいてもよい。センサーのモデルの選択は、回路モデルを定めるために相互接続される数学的電気成分形状をしたモデル成分を有するセンサーの等価数学的回路モデルを選択することを含んでいてもよい。複素数インピーダンスの値をセンサーのモデルに当てはめることは、数学的電気成分の各々に対して値の対応セットを求めるために、複素数インピーダンスの値を数学的等価回路モデルを定める多数の数式に当てはめることを含んでいてもよい。
【0014】
モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを求めることは、モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの値がセンサーのDC出力信号と組み合わされたときに、センサーのDC出力信号の経時的感度ドリフトの検体の測定値に対する影響を相殺するモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを求めることを含んでいてもよい。
【0015】
検体の測定値を計算することはセンサーのDC出力信号に対して、またモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの値に対して統計的手段を行うことを含んでいてもよい。検体の測定値を計算することは多数の主成分を求めるために、モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの値に対して主成分の統計的手段を行うことと、少なくともいくつかの主成分を検体の測定値をモデル化する主成分モデル式のセットに当てはめることと、センサーのDC出力信号を主成分モデル式のセットに印加しかつ検体の測定値について解くことを含んでいてもよい。
【0016】
検体の測定値を計算することは、モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの少なくともいくつかの値を検体の測定値をモデル化する経験モデル式のセットに当てはめることと、センサーのDC出力信号を経験モデル式のセットに印加しかつ検体の測定値について解くことを含んでいてもよい。
【0017】
1つ以上の電極を有する電気化学的検体センサーを操作する方法は、1つ以上の電極の少なくとも1つに時間依存性入力信号を印加することと、時間依存性入力信号の周波数をスペクトル周波数に対して変化させることと、時間依存性および周波数入力信号の印加に対応してセンサーにより生じる時間依存性および周波数依存性出力信号をモニターすることを含んでいてもよい。時間依存性および周波数依存性入力および出力信号に基づいてセンサーの複素数インピーダンス値の対応スペクトルを求めてもよい。
【0018】
該方法は、センサーの少なくとも1つの特性を求めるために複素数インピーダンスの少なくとも一部のスペクトルを処理することをさらに含んでいてもよい。
【0019】
該方法は検体を含む環境において、センサーの操作に関する少なくとも1つのパラメータを求めるために複素数インピーダンスのスペクトルの少なくとも一部を処理することをさらに含んでいてもよい。
【0020】
スペクトルの周波数にわたり時間依存性入力信号の周波数を変化させることは、スペクトルの周波数のいたるところで時間依存性入力信号の周波数を付加的に増加させることを含んでいてもよい。
【0021】
スペクトルの周波数にわたり時間依存性入力信号の周波数を変化させることは、スペクトルの周波数のいたるところで時間依存性入力信号の周波数を付加的に減少させることを含んでいてもよい。
【0022】
スペクトルの周波数にわたり時間依存性入力信号の周波数を変化させることは、時間依存性入力信号をスペクトルの周波数内である周波数を含む多周波数、時間依存性入力信号として提供することを含んでいてもよい。
【0023】
スペクトルの周波数にわたり時間依存性入力信号の周波数を変化させることは、時間依存性入力信号の大きさが小さくなり得るように時間依存性入力信号をスペクトルの周波数内の周波数の複合として提供することを含んでいてもよい。
【0024】
該方法は、複素数インピーダンス値のスペクトルからセンサーの特性またはセンサーを含むセンサー回路の特性を求めることをさらに含んでいてもよい。複素数インピーダンス値のスペクトルからセンサーの特性またはセンサーを含むセンサー回路の特性を求めることは、複素数インピーダンス値の1つ以上をセンサーの特性に関係づけることを含んでいてもよい。
【0025】
複素数インピーダンス値のスペクトルから、センサーの特性またはセンサーを含むセンサー回路の特性を求めることはセンサーの特性の状態を求めるために、複素数インピーダンス値のスペクトルの少なくとも一部に対して統計的手段を行うことを含んでいてもよい。複素数インピーダンス値のスペクトルからセンサーの特性またはセンサーを含むセンサー回路の特性を求めることは、センサー回路の1つ以上の特性を示す成分値を持つ少なくとも1つの電気的成分を含む等価センサー回路モデルに対して、複素数インピーダンス値のスペクトルの少なくとも一部を当てはめることを含んでいてもよい。複素数インピーダンス値のスペクトルから、センサーの特性またはセンサーを含むセンサー回路の特性を求めることは成分値を持っている少なくとも1つのモデル成分を含む等価センサー回路モデルに対して、複素数インピーダンス値のスペクトルの少なくとも一部を当てはめることと、センサーの特性を求めるために少なくとも1つのモデル成分値に対して統計的手段を行うことを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】電気化学的検体センサーの1つの図示された実施態様の平面図である。
【図1B】電気化学的検体センサーの他の1つの図示された実施態様の断面図である。
【図2】電子回路に連結された一端と人間または動物の体中に伸びている反対端を持っている図1の電気化学的検体センサーの概略図である。
【図3】図2の電子回路の1つの図示された実施態様のブロック図である。
【図4】図1および図2の電気化学的検体センサーの操作方法の1つの図示された実施態様のフローチャートである。
【図5】図4の方法の複素数インピーダンス決定工程を行う方法の1つの図示された実施態様のフローチャートである。
【図6】図4の方法の複素数インピーダンス決定工程を行う方法の他の図示された実施態様のフローチャートである。
【図7】図4の方法の複素数インピーダンス決定工程を行う方法のさらに他の図示された実施態様のフローチャートである。
【図8A】図4の方法のラスト工程を行う方法の1つの図示された実施態様のフローチャートである。
【図8B】図4の方法のラスト工程を行う方法の他の図示された実施態様のフローチャートである。
【図9】連続検体センサー安定性を求める方法の1つの図示された実施態様のフローチャートである。
【図10】連続検体センサーが第1実験セットアップ中で暴露されるグルコースプロファイルを示すグルコース濃度対時間のプロットである。
【図11】第1実験セットアップ中での連続検体センサーのDC電流応答のプロットである。
【図12】センサーのAC応答が第1実験セットアップ中でフィットされる等価回路のダイアグラムである。
【図13】図12の等価回路のレジスタ成分のアドミッタンス値対時間のプロットである。
【図14】図12の等価回路の定常相成分のキャパシタンス値対時間のプロットである。
【図15】図12の等価回路のレジスタR2の規格化されたアドミッタンス対時間のプロットである。
【図16】DCセンサー応答と図12の等価回路のレジスタR1のアドミッタンスの規格化された比のプロットである。
【図17】センサーの規格化されたDC応答と、レジスタR2の規格化されたアドミッタンスと、DCセンサー応答とレジスタR1のアドミッタンス対時間の規格化された比とを比較するプロットである。
【図18】相対的なグルコース濃度対、規格化されたDCセンサー応答と、レジスタR2のアドミッタンス値と、DCセンサー応答とレジスタR1のアドミッタンス値の比とから生じる実際のグルコース濃度のプロットである。
【図19】第2実験セットアップ中でのDC成分と多重周波数のAC成分からなる交互的センサー入力信号の一部対時間のプロットである。
【図20】第2実験セットアップ中での連続検体センサーのDC電流応答対時間のプロットである。
【図21】第2実験セットアップ中での等価回路モデルによる連続検体センサーの規格化されたDCおよびAC応答対時間のプロットである。
【図22】第2実験セットアップ中での等価回路モデルによる連続検体センサーの規格化されたDCおよびDC/AC比応答対時間のプロットである。
【図23】第2実験セットアップ中での主成分モデルによる連続検体センサーの予測されたグルコース濃度対インピーダンススキャンのプロットである。
【図24】第2実験セットアップ中での経験的モデルによる連続検体センサーの予測されたグルコース濃度対インピーダンススキャンのプロットである。
【図25】第3実験セットアップ中でのセンサーにより生じたDC電流と共に、グルコース濃度ファイル対時間のプロットである。
【図26】第3実験セットアップ中でのセンサーのAC応答を示すセンサーインピーダンス対時間のプロットである。
【図27】第3実験セットアップ中でのセンサーの等価回路モデルのY0、Y1およびY2アドミッタンス成分値対時間のプロットである。
【図28】マイクロ透析の原理に従って操作するシステム中での検体回収における差の認識と定量化に対する本開示の概念のいくつかの適用性を研究しかつ立証するために使用された従来のフローセル用いた第4実験セットアップのダイアグラムである。
【図29】予測されたグルコース濃度対センサーの従来のDC対応のインピーダンススキャンのプロットであり、該予測されたグルコース濃度は、等価回路モデルおよび公知のグルコース濃度により相殺されるDC電流応答を用いて、第4実験セットアップにより、計算される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の原理の理解を促進する目的のために付帯した図面中に示された多数の実施態様を参照し、また同じことを記述するために特定の専門用語を使用する。
【0028】
ここで図1Aを参照して電気化学的検体センサー10の1つの実施態様の平面図を示す。該実施態様においては、センサー10はそこに形成された多数のセンサー電極を持った細長い基板12を含む。図示するように、基板12は可とう性であってもよく、また従って、基板12は2者択一的に剛直で、または準剛直であってもよく、また適当な剛直または半剛直材料から形成されていてもよいが、ポリマーなどの従来の生体適合性材料または化合物から形成されていてもよい。細長い基板12は近接端14と反対の遠心端16を持っており、そこでは遠心端16は経皮的に、または皮下的にヒトなどの生きた動物の体中に挿入される。たとえば、ヒトなどの動物の組織または血管中に該センサー10を経皮的に、または皮下的に埋め込むように形成してもよい。
【0029】
多数のコンタクト18、20および22が、その近接端14近くの基板12上に形成され、また各コンタクトは電気的トレースを経由して、基板12の遠心端16近傍に形成された対応する電極に電気的に接続される。たとえば電気コンタクト18は電気的トレース26を経由して参照電極24に電気的に接続され、電気コンタクト20は電気的トレース30を経由して参照電極28に電気的に接続され、また電気コンタクト22は電気的トレース34を経由して対向電極32に電気的に接続される。種々の電気コンタクト18、20および22、電極24、28および32、および電気的トレース26、30および34が従来の技術により、基板12の表面上に全て形成される。たとえば1つの実施態様において、基板12の表面上に金などの適当な導電性フィルムをスパッタリングで、基板12上に電気コンタクト、電極および電気的トレースを形成し、その後、蒸着したフィルムの領域を選択的に除去して電気コンタクト、電極および電気的トレースを形成してもよい。電気コンタクト、電極および電気的トレースを定めるために蒸着フィルムの面積の選択的除去のために如何なる従来技術を使用してもよく、またそのような従来技術の例は限定するものではないがレーザー切断、化学的腐食、ドライエッチングなどが挙げられる。
【0030】
従来技術で公知のように、センサー10は作用電極24上に形成された試薬層36をさらに含んでいてもよい。1つの例の試薬層36は図1中で図示されるように、作用電極24上に分配された従来のグルコースオキシダーゼ処方を含んでいてもよい。他の試薬層36の例は図1に図示されているように、作用電極24上に分配されるカーボンインク処方、たとえばアチソンコロイド、2酸化マンガンおよびブチルグリコールなどの溶剤を含んでいてもよい。作用電極24上には、2者択一的にまたは追加的に他の従来の試薬層が形成されることが理解される。従来の銀/塩化銀インク処方、たとえばErcon DPM 68などを作用電極28上に分配し形成してもよい。または試薬層40を対向電極32上に形成し、また試薬層40は作用電極24上に形成された試薬層36と同一であってもよく、または同一でなくてもよい。または試薬層40を省略しかつ対向電極32を形成するために使用される導電性フィルムは、単独で対向電極32を定めてもよい。抵抗層または抵抗膜42は作用電極24と試薬層36の組み合わせによりさらに形成してもよい。抵抗層または抵抗膜42は作用電極24から酵素の拡散を阻害しまたは抵抗し、タンパク質などの吸収を阻害しまたは抵抗する。1つの説明に役立つ例において、抵抗層または抵抗膜42は、従来の親水性ポリウレタン、メタクロイルフォスフォロコイン−CO−ブチルメタクリレート(MPC)などであってもよい。抵抗層または抵抗膜42などを形成するために使用される親水性ポリウレタンの1例は、Chaらによる米国特許第6509148号明細書に記述されている。抵抗層または抵抗膜42を形成するために使用される1例のMPCは、NOF社(日本、東京)から商業的に入手可能であり、またLIPIDURE(登録商標)の下に市販されている。ともかく抵抗層または抵抗膜42は、グルコースに対して最小の拡散制限を提供しながら、理想的にはタンパク質吸収を阻害しまたは抵抗する。本開示の目的のためには、センサー10はより多くのまたはより少ない電極およびより多くの、または、より少ない層および/または1つ以上の電極上に蒸着した膜を含んでいてもよい。
【0031】
ここで図1Bを参照して、電気化学的検体センサー10’の他の実施態様の断面図を示す。実施態様においては、センサー10’はヒトまたは動物の体液中の検体濃度を測定するためにヒトまたは動物の生体中に埋め込まれるように形成された電流滴定センサーである。該センサー10’はプラスチック材料、たとえばポリイミドなどにより作られた支持部材17上に配置された対向電極11、作用電極13および参照電極15を持っている。各電極11、13および15は、たとえば50nmから150nmの厚みを持った金属フィルム、たとえば金フィルムの形状で図示して提供される対応するコンタクトパッド19、21および23を含んでいる。他の実施態様においては、組み合わされた対向電極/参照電極を分離した対向電極および参照電極13、15の代わりに使用してもよい。適当な対向電極/参照電極の1つの例は銀/塩化銀電極である。
【0032】
作用電極13は例証するように水に対して浸透性があり、また作用電極13のコンタクトパッド21上に配置される検出層25をさらに含んでいる。例証するように、検出層25は検体の存在下において、電気的測定信号を生じるために触媒的に作用することが可能な不動酵素を含んでいる。実施態様の一例において、グルコースオキシダーゼは間質流体または血液などのヒト体液中の検体として、グルコースを測定するために酵素として使用される。
【0033】
検出層25は作用電極13のコンタクトパッドをカバーするために支持部材上に、たとえばペーストとして用いてもよい。たとえば炭素粒子、酵素およびポリマー結合剤を混合することにより、該ペーストは作られる。このようにして不動酵素は、検出層25の至る所に実質的に均等に分配され、また例証するように酵素濃度は検出層25の上面層および下面層の間で20%未満または10%未満異なっていてもよい。検体は、多孔質の検出層25中に拡散できるから、電気的測定信号はコンタクトパッド21から離れて対向している検出層25の上面のみに作られるばかりでなく、検出層25の伸びた容積中にも形成される。従って、かなりの低酸素濃度がセンサー10’を酸素で充満させるために充分であり正確な測定を可能にする。
【0034】
図示された例のセンサー10’の検出層25は、約30ミクロンの厚みを持っている。1つの実施態様において、検出層25は、少なくとも25ミクロンの厚みを持つべきであり、また電気的測定信号の創出のための充分な体積の検出層25を提供するために、他の実施態様は少なくとも10ミクロンの厚みを持っている。100ミクロン以上の検出層25の厚みは、さらなる恩恵を提供しないことが観察されてきた。20ミクロン〜70ミクロンの検出層25の厚みは、一般的には望ましい結果を生み出すには充分である。検出層25は支持部材17の窪み中に配列される。この場合、支持部材17の横壁によって埋め込み工程中に生じる損失から幾分か保護される。さらに検出層25の横面は、支持部材17に接続可能であり、またそれにより検出層の上面を経由してのみ検体分子が検出層25中に拡散することができる。または検出層25の横面を水に対して不浸透性にするために他の従来の技術および/または構造を使用してもよい。
【0035】
同様に、対向電極11および参照電極15のコンタクトパッド19、23は、水透過性層27、29で覆われており、それらはペーストの形状で用いられてもよい。図示された実施態様では、対向電極11および参照電極15の層27、29は、酵素をまったく含んでいない。検出層25と同様に、層27、29も、炭素粒子およびポリマー結合剤を含んでいてもよい。図示された実施態様において、カーボンナノチューブなどの空隙率向上粒子31が検出層25および層27に対するペースト中に添加されているが、そのような空隙率向上粒子31は、層29には添加されていなかった。
【0036】
全検出層25の隅々まで酵素が実質的に分配されているので、公知のセンサーに対して実現可能であるより高濃度の検体が検出層25の上面に存在しているとしても酸素飽和を維持できる。したがって図示された実施態様のセンサー10’の検出層25は、ヒトまたは動物の生体中に埋め込まれた後、検出層25の上面上の検体濃度は埋め込まれたセンサー10を取り囲む体液中よりもせいぜい10倍低くなる程度にのみ、検体分子の拡散を妨害する拡散バリヤーにより覆われている。1つの他の実施態様では、検出層25は検出層25の上面上の検体濃度は、埋め込まれたセンサー10’を取り囲む体液中よりもせいぜい5倍低くなるように検体分子の拡散を妨害する拡散バリヤーにより、覆われており、また他の別の実施態様においては、せいぜい3倍程度低くなっている。示された例において該拡散バリヤーは、検体分子の拡散に対して拡散バリヤーの拡散抵抗に貢献するいくつかの検出層33、35を含んでいる。
【0037】
該拡散バリヤーは、検体を透過させかつ酵素が検出層25から漏れだすのを防いでいる。示された例において拡散バリヤーは、第1層として炭素粒子とポリマー結合剤を含みかつ検出層25の厚みの1/3未満の厚みを持った電気伝導性の無酵素層33を含んでいる。たとえば、それは約1ミクロン〜3ミクロンの厚みであってもよい。検出層25と同様に、無酵素層33は酵素を添加しない検出層25のみを形成するために使用されるペーストとは異なるペーストとして使用されてもよい。
【0038】
該拡散バリヤーは、大きな分子が検出層25の穴を塞ぐことを妨げる層35をも含んでいる。該層35は、セルロースおよび/またはポリマー材料で作られた膜として提供可能な透析膜であってもよい。そのような透析膜は無酵素層でもあり、また検出層25のトップに直接用いてもよく、または図1Bに示されているように電気伝導性の無酵素層33のトップに用いてもよい。該透析膜は検体拡散を妨害しないことが望ましく、または検体拡散を出来るだけ少なく妨害することが望ましい。1つの図示された実施態様では、層35は水中での検体の拡散係数よりもせいぜい10倍低い検体用の有効拡散係数を持っており、また他の実施態様では水中での検体の拡散係数よりもせいぜい5倍低い検体用の有効拡散係数を持っている。該層35は固体フィルムとして用いることができるし、または透析膜中では現場で固まるポリマー溶液として用いることができる。
【0039】
透析膜は、穴サイズに依存する分子量カットオフ(MWCO)により、しばしば特徴づけられる。MWCOは、ある化合物が透析の夜(17時間)に続いて90%残存する分子量を記述している。1つの図示された実施態様では、該層35は10kダルトン(kD)未満の分子量を持っており、他の実施態様では7kD未満、またさらに他の実施態様では5kD未満の分子量を持っている。しかしながら、透析層に対して述べられたMWCOは、大抵のタンパク質などの球形分子に対して厳格に適用されることを理解されるものとする。大抵の線形分子は、その分子量が記述されたMWCOを超えていたとしても透析膜の穴を通過できる。
【0040】
透析膜の代わりに、または透析膜に追加して、検出層25および多孔層33をタンパク質の進入から保護するために、両性イオン構造を持つポリマーから作られるポリマー層を含んでいてもよい。両性イオン構造は、特に水中で極性のプロトン性溶媒の迅速な取得を可能にし、かつ内部に溶解しているグルコースなどの検体の取得を可能にする。したがって、ポリマーの基幹に付着した両性イオン構造を持つポリマーは、タンパク質に対しては不透過性であるが、グルコースなどの検体の拡散を非常に小さく阻止する。そのようなポリマーのよく知られた例は、ポリ(2−メタクリロイオロオキシエチル ホスフォリルクロリン−co−n−ブチルメタクリレート)(略してMPC)である。1つの図示された実施態様では、MPCポリマー層35はエタノールまたは蒸留水および少なくとも5重量%のMPCを含むポリマー溶液として用いられ、また他の実施態様では少なくとも10重量%のMPCを含む溶液として用いられる。
【0041】
拡散バリヤーおよび特にそれが含んでいるポリマー層35は、埋め込み工程中での機械的破壊からセンサー10’を守り、酵素が検出層25から周りの組織中へ漏洩するのを防ぎ、また大きな分子が検出層25の穴を塞ぐことを防止する。ポリマー層35の物理特性を調整するために、MPCのような両性イオン構造を持つポリマーを、たとえばポリウレタンまたは典型的な透析膜の構成要素などの他のポリマーに混合することも可能である。
【0042】
図1B中に示した例中の検出層25は、空隙率を増加させるために多孔質粒子31を含み、またそれにより検出層25中への検体分子の拡散を容易にする。本例中の多孔質粒子は水分子を吸収するための空隙を持つ粒子である。多孔質粒子31はペーストに添加され、そこから検出層25が形成され、また層25中に空隙を生じさせ、それを経由して検体分子および水が通過する。多孔質粒子31はポリマー結合剤によって、ペーストの他の粒子と結合される。たとえばカーボンナノチューブは、糸玉を形成する傾向にあるので検出層の空隙率を増加させるために有効な添加剤であり、それらは部分的にのみ炭素粒子で充填されまた検出層の電気伝導性をも増加させる。検出層25の空隙率を増加させるために、多孔質粒子としてシリカ粒子を追加的にまたは代わりに使用してもよい。
【0043】
シリカまたは類似の多孔質粒子が使用される場合には、最大粒子サイズが検出層25の厚み未満になるように粒度分布を持った材料を使用することが好ましい。1つの図示された実施態様では、多孔質粒子は少なくとも1ミクロンであり、また他の実施態様では少なくとも5ミクロンである。約20ミクロン〜50ミクロンの検出層厚みを考慮すると、デグッサ社からのシリカFK320は15ミクロンまでの充分な粒度を提供する。1つの図示された実施態様では、この材料の10%未満がペースト中に混合され、また他の図示された実施態様では5%未満が混合される。
【0044】
空隙率を増加させるために如何なる構造を使用するとしても、酵素とペーストの混合によって検出層25の上面、または該検出層内の添加剤粒子の近傍中の経路中で、酵素分子の一部分が典型的には検体に近接できるようになる。該酵素は、吸着および作用電極中での取り込みにより不動化される。取り込みは検出層25に依存するのみならず、拡散バリヤーすなわち層35の特性、および選択的な無酵素層33の特性にも依存している。作用電極13内の酵素の望ましい分布を維持するために、溶媒(水)との接触がマトリックスからの酵素の大量分離を引き起こすべきでなく、酵素分子の以後の移動を引き起こすべきではないということは理解される。検出層中での酵素の不動化は、連鎖として酵素分子を架橋するなどの架橋により高められる。しかしこれらの連鎖が長すぎる場合には、酵素の有効性が低下する。1つの図示された実施態様では、酵素分子は平均3〜10で互いに連結されており、他の実施態様では平均4〜8、また他の実施態様では平均5〜7で互いに連結されている。
【0045】
乾燥前に、架橋剤すなわちグルタルアルデヒド溶液をペーストに添加することは可能である。しかし、すでに架橋された酵素をペースト中に混合することが望ましい。親水性パートナーと複合リンクを形成する酵素を使用することが望ましい。カーボン粒子を適当な結合剤と混合することにより達成できるように、より親水性の低いまたは疎水性であるペースト中に混合後、架橋された酵素は安定性に寄与する局部的な親水性環境中で存在する。親水性パートナーと酵素の架橋は、加水分解された検体分子の酵素への移動をも向上させる。このようにして検出層25の湿潤化は加速され、それが踏み込み後のセンサー10’の湿潤時間を短縮する。特定の例として、ロッシュダアイアグノスチックス社(ドイツ、ペンツベルク、識別番号1485938001)からのデキストランで架橋されたグルコースオキシダーゼは充分な活性(20〜30U/mg親水性物質)を保持できるような酵素の含有量(ほぼ16%)を持っていることが見出された。複合体中での親水性デキストランの高度化により、検出層25は前述のようにちょうど記述した特性を持っている。
【0046】
カーボンナノチューブを含む検出層ペーストと架橋酵素の混合により、多孔質かご構造として作用する糸玉を形成しかつ巻き上げるカーボンナノチューブの特性は、大きな酵素デキストラン連鎖により、特にそれらの凝集により支持される。結果として架橋酵素は、検出層25の多孔質構造の形成に役立つ。
【0047】
示された例中の検出層25は、1ミクロン未満の平均サイズの炭素粒子とポリマー結合剤と酵素および多孔質粒子としてのカーボンナノチューブを含む。多孔質粒子が有意に炭素粒子よりも大きいときには、多孔質粒子は検出層の空隙率の増加に最も有効である。図示された実施態様において多孔質粒子は平均で少なくとも1ミクロンを計測し、また他の実施態様では平均で少なくとも5ミクロンを計測する。典型的には、検出層25は50重量%〜70重量%のポリマー結合剤と20重量%〜40重量%の炭素粒子と20重量%までの1重量%〜10重量%のカーボンナノチューブまたはシリカなどの多孔質粒子を含む。カーボンナノチューブは、検出層25の空隙率および電気伝導度の両方を増加させる。図示された実施態様では、長さ5ミクロン〜20ミクロンかつ平均外径25ミクロン〜35ミクロンのMA、ニュートン、ナノラボ社のマルチ壁カーボンナノチューブ(研究グレード、純度95%以上)が使用されてきた。該結合剤は、たとえばエポキシ樹脂をベースとした熱可塑性樹脂である。フロロカーボン樹脂をベースとした樹脂、特にポリテトラフルオロエチレンまたはポリスチレンが結合剤としても使用される。
【0048】
図1Bに示されたセンサーの検出層25は、埋め込み後の操作中に検出層25中の検体濃度が最高になり、上面からの距離を増加させるに従って減少し、またコンタクトパッド21に触れる下面でゼロになるように適合されかつ配置される。検出層25の酵素負荷すなわちそこで不動化される酵素の量は検出層25の空隙率および水透過性に関して選択されるべきである。
【0049】
センサー10の他の実装例は限定されるものではないが、国際公開第01/21827号パンフレットおよび国際公開第2005/032362号パンフレット中に開示されたもの、その両者は主開示の受託人に譲渡されているが、Medtronic Minimed Inc.から商業的に入手可能でありまたCGMS(登録商標)のもとに上市されている連続グルコースモニタリングセンサー、DexCom, Inc.から商業的に入手可能であり、またSTSTM(登録商標)のもとに上市されている連続グルコースモニタリングセンサー、およびFreestyle Navigator(登録商標)のもとにAbbott Diabetes Careにより発表されている連続モニタリングセンサーを包含する。とにかく、センサー10は動物またはヒトの組織および/または血液中に存在する1つ以上の検体に対応する1つ以上の電気信号を生じるように構成されている。センサー10が検出するように構成された検体の例は、限定されるものではないがグルコース、乳酸エステル、炭水化物、コレステロールなどを含む。とにかく、センサー10およびセンサー10’に対する以下の文献は、本明細書中に記載したセンサーの実施態様のいずれかに言及しているものとして理解される。
【0050】
ここで図2を参照して電気コネクター50を経由して電子回路64に電気的に接続された近接端14を持ち、また動物またはヒトの体66中に経皮的にまたは皮下的に挿入される遠心端16を持っているものとして電気化学的検体センサー10を図示する。図示された実施態様では、電気コネクター50は信号コンダクター54に電気的に接続されている第1電気的コンタクト52と信号コンダクター58に電気的に接続されている第2電気的コンタクト56と信号コンダクター62に電気的に接続されている第3電気的コンタクト60とを含んでいる。電気的コンタクト52、56および60は電気コネクター50対して配置され、その結果、電気コネクター50がセンサー10の近接端14上に進むとき電気的コンタクト52、56および60が協調し、かつその遠心端14近傍のセンサー10の基板12上に形成される電気的コンタクト18、20および22の1つに対応して電気的に接触する。より具体的には、電気コネクター50がセンサー10の近接端10上に進むとき電気コネクター50の電気的コンタクト52は協調し、かつセンサー10の基板12上に形成された電気的コンタクト18に電気的に接触し、電気コネクター50の電気的コンタクト56は協調し、かつセンサー10の基板12上に形成された電気的コンタクト22に電気的に接触し、また電気コネクター50の電気的コンタクト60は協調し、かつセンサー10の基板12上に形成された電気的コンタクト20に電気的に接触する。信号コンダクター54、58および62は、電子回路64の作用電極W、対向電極C、参照電極Rのそれぞれの端子に電気的に接続されている。したがって、電気コネクター50を経由して回路64のW端子はセンサー10の作用電極24に電気的に接続され、電子回路64のR端子はセンサー10の参照電極28に電気的に接続され、また電子回路64のC端子はセンサー10の対向電極32に電気的に接続されている。一般的に電子回路64は、1つ以上の制御信号をセンサー10に提供し、またまた動物またはヒト66の組織または血液中に存在する1つ以上の検体を求めるためにセンサーによって生じた測定信号をモニターするように構成されている。
【0051】
他の実施態様において、センサー10は搭載された無線通信回路を含んでいてもよく、その場合には電気コネクター50を省略してもよい。そのような実施態様において該搭載された無線通信回路は、センサー10によって生じた生のセンサー信号を電子回路64などの場外処理回路に無線で通信するように構成されている。これらの実施態様において、電子回路64は生のセンサー信号をセンサー関連情報を求めるために、処理するように構成され、少なくともそのいくつかは以下さらに詳細に記述されるタイプとなるであろう。他の実施態様においてセンサー10により生じた生のセンサー信号を処理するように、またそのように処理されたセンサー信号情報を、さらなる処理、収納、表示などのための場外電子回路への無線転送のために搭載された無線通信回路にそのようなセンサー信号情報を提供するように構成されたさらなる搭載された信号処理回路を含んでいてもよい。これらの実施態様において、搭載された信号処理回路により求められる処理されたセンサー信号情報の少なくともいくつかが以下さらに詳細に記述するタイプのものであってもよい。センサー10から場外電子回路へ、生のおよび/または処理されたセンサーデータを無線で通信するための種々の回路および回路成分が代理人ドケットNO5727−78517に相当する同時係属中の米国特許出願に開示されている。
【0052】
ここで図3を参照して、図2の電子回路64の1つの図示された実施態様を示す。図示された実施態様において、電子回路64は、従来のポテンショスタット70、たとえば電子回路64のWおよびR端子にそれぞれ電気的に接続される入出力装置(I/O)を持っているGamry PC14/300ポテンショスタットなどを含む。該ポテンショスタットも、メモリ74を有する従来のプロセッサ72に電気的に接続されている。公知のように該ポテンショスタット70は、W、RおよびC端子、および、したがって作用電極、参照電極および対向電極それぞれのいずれかにDCおよび/またはAC電圧およびDCおよび/またはAC電流を印加するように構成可能である。該ポテンショスタットも、公知のように作用電極、参照電極および対向電極それぞれのいずれかにより、または経由して生じる信号をモニターするように構成され、また以下により詳細に記述するように、そのような信号に関する信号情報を処理用のプロセッサ72に提供するように構成されている。1つ以上のソフトウエアアルゴリズムが、メモリ74中に収納され、またポテンショスタット70により提供されるかつセンサー10の操作に関係するセンサー信号を処理するためにプロセッサ72によって行ってもよい。たとえば以下詳細に記述するように、センサー10の複素数インピーダンスを求めるためにセンサー10によって生じたセンサー信号を処理するように構成されている。さらにプロセッサ72は、センサー10の操作および/またはその環境に関する他の情報を求めるために複素数インピーダンス情報を処理するように構成されていてもよく、またそのような他の情報の例を以下に記述する。さらにメモリ74は、1つ以上のソフトウエアアルゴリズムによって使用されてもよい較正データおよび他の情報を含んでいる。プロセッサ72は、センサー信号の処理から生じる情報をメモリ74中にさらに収納してもよい。
【0053】
1つ以上の時間依存性入力信号、たとえば電圧または電流をセンサー10の1つ以上の電極に対して印加し、1つ以上の時間依存性入力信号に対応してセンサー10によって生じる1つ以上の時間依存性出力信号をモニターし、または測定し、またその後、1つ以上の時間依存性入力および出力信号の関数として、複素数センサーインピーダンスを計算することにより、電子回路64がセンサー10の複素数インピーダンスを求めるために操作可能である。一般的に1つ以上の時間依存性入力信号は、1つ以上の印加された時間依存性入力信号に対するセンサー回路の時間依存性応答を測定することにより、センサー回路の複素数インピーダンスを求めることができる如何なる時間依存性信号であってもよい。たとえば時間依存性入力電圧をセンサー10に印加し、センサー10によって生じた時間依存性出力電流を測定し、また印加された電圧および出力電流の測定された値に基づいて、公知の方法でセンサー10の複素数インピーダンスを計算するように電子回路64を構成してもよい。他の例として、時間依存性入力電圧をセンサー10に印加し、センサー10によって生じた時間依存性出力電流を測定し、また印加された電圧の標的値または求められる値および出力電流の測定された値に基づいて、公知の方法でセンサー10の複素数インピーダンスを計算するように電子回路64を構成してもよい。さらなる例として、時間依存性入力電流をセンサー10に印加し、センサー10によって生じた時間依存性出力電圧を測定し、また印加された電流の標的値または求められる値および出力電圧の測定された値に基づいて、公知の方法でセンサー10の複素数インピーダンスを計算するように電子回路64を構成してもよい。さらなる他の例として時間依存性入力電流をセンサー10に印加し、センサー10によって生じた時間依存性出力電流を測定し、また印加された電流および出力電圧の測定された値に基づいて公知の方法でセンサー10の複素数インピーダンスを計算するように電子回路64を構成してもよい。とにかく、その後DC応答に基づいて検体値を求める前にセンサー10の従来のDC応答を増大させるために、または訂正するために、検体値が求められるセンサーDC応答とは独立に測定信号を提供するために、センサー10が暴露される環境の1つ以上の特性を求めるために、センサーの安定性を求めまたは評価するために、および/またはセンサーの性能または品位に関する1つ以上の品質チェックを行うために、複素数インピーダンス情報を使用してもよい。
【0054】
図4を参照して、図1および図2の電気化学的検体センサー10を操作する方法100の1つの図示された実施態様のフローチャートが示されている。該方法100は、以上で記述した1つ以上の技術を用いてセンサー10の複素数インピーダンスZを求めるために電子回路64が操作可能である工程102で始まる。その後、工程104において電子回路64は、センサー10の操作に関する情報を求めるために複素数インピーダンスZを処理することが実施可能である。
【0055】
図5を参照して、図4のプロセス100の複素数インピーダンス決定工程102を行う方法102’の1つの図示された実施態様のフローチャートが示されている。該方法102’は、以上で記述したようにセンサー10の少なくとも1つの電極に対して、時間依存性信号を印加することが実施可能である工程110で始まる。一般的に本実施態様における時間依存性信号は、センサー10の1つ以上の電極に用いてもよい望みの形状、たとえば正弦関数、方形波を持つ単一周波数または一定周波数、時間依存性電圧または電流信号である。
【0056】
如何なる場合でも方法102’は、工程110から工程112に進み、そこでは電子回路64は工程110に印加される時間依存性入力信号に対応してセンサー10によって生じた時間依存性出力信号をモニターすることを実施可能である。一般的に、時間依存性出力信号は電圧または電流信号であってもよく、またセンサー10の1つ以上の電極をモニターすることにより測定してもよい。たとえば、図1〜図3中に図示された特定の実施態様においてAC電流源74によって対向電極32に対して印加された時間依存性入力電流信号に対応して、作用電極および参照電極24および28のそれぞれの間でセンサー10によって生じた時間依存性出力電圧をインピーダンス解析器70を経由してモニターすることにより工程112を行える。工程112に続いて、方法112’は工程114に進み、そこでは従来の方法で時間依存性入力および出力信号の関数として、また上記した公知の方程式に従ってセンサー10の複素数インピーダンスZを電子回路64が、計算可能にする。複素数インピーダンスZのみならず、時間依存性入力および出力信号は一般的には時間依存性ベクトル量であり、また典型的には複素数の形式で表現される。たとえば1つの実施態様において、複素数はそれぞれ振幅と関連位相を持つ極座標の形状で提供される。ある実施態様において、振幅単独は関心のあるセンサー特性を求めるために充分であり、また他の実施態様においては振幅と位相の両方とも重要な1つ以上の特性を求めるために使用される。
【0057】
いくつかの実施態様においてインピーダンススペクトルを生じさせるために、多重周波数におけるセンサー10の複素数インピーダンスを求めることが望ましく、そこからセンサー10の1つ以上の特徴または特性が求められる。ここで図6を参照して、図4の方法100の複素数インピーダンス決定工程102を行うための方法102の他の図示された実施態様のフローチャートが示されており、そこでは方法102”が周波数の範囲にわたって、複素数センサーインピーダンス値ZFのスペクトルを求めるように構成されている。方法102”は、時間依存性入力信号が周波数FIで時間に合わせて初期は変化するように時間依存性入力信号の周波数Fを初期周波数FIにセットするように、電子回路64が実施可能にする工程120で始まる。その後工程122において電子回路64は、周波数FIにおける時間依存性入力信号をセンサー10の少なくとも1つの電極に印加することを実施可能にする。一般的には、この実施態様における時間依存性信号は、センサー10の1つ以上の電極に印加される望ましい形状、たとえば、正弦関数、方形波を持つ時間依存性電圧または電流信号である。
【0058】
工程122から方法102”は、電子回路64が周波数Fで作動する時間依存性入力信号に対応して、センサー10により生じる周波数Fで作動する時間依存性出力信号をモニターすることを実施可能にする工程124に進む。一般的には時間依存性出力信号は、電圧または電流信号であってもよく、またセンサー10の1つ以上の電極をモニターすることにより測定してもよい。
【0059】
工程124から方法102”は、電子回路64が周波数Fで両方とも作動する時間依存性入力および出力信号の関数として周波数Fにおける複素数インピーダンスZFの計算を実施可能にする工程126に進む。その後、工程128においては電子回路64が時間依存性入力信号の周波数F1が最終周波数FFに等しいかどうかを求めることを実施可能にする。そうでない場合には、方法102”は周波数Fが次のより高いまたはより低い増加周波数値に増加されるか、または減衰される工程130に進む。その後、方法102”の実行は一巡して工程122に戻る。工程128において、もし電子回路64が時間依存性信号源の周波数Fが最終周波数FFに等しいことを決定すれば、方法102”の実施は時間依存性信号源の周波数掃引が完全であり、また結果がFIおよびFFの間の範囲の連続周波数で決められる複素数センサーインピーダンス値ZFのスペクトルである工程132に進む。
【0060】
図7を参照して、図4の方法100の複素数インピーダンス決定工程102を行う方法102'''のさらに他の図示された実施態様のフローチャートが、示されている。方法102”と同様に、該方法102'''は、多重周波数における複素数センサーインピーダンス値ZFのスペクトルを求めることを実行可能にしている。該方法102'''は、初期周波数FIおよび最終周波数FFの間の周波数のスペクトルが、選択される工程140で始まる。その後、工程142において、電子回路64は、多重周波数、時間依存性入力信号をセンサーの少なくとも1つの電極に印加することを実行可能にし、そこでは、多重周波数信号は、FIおよびFF間の周波数スペクトル内の周波数を持ちまたは包含する。または、時間依存性入力信号は、異なった周波数範囲にわたり、複素数インピーダンスの決定を可能にする多重周波数信号のシーケンスから作られていてもよい。さらに、また、時間依存性入力信号は、周波数の複合であってもよく、その結果、時間依存性入力信号の振幅は、小さい。そのような入力信号を発生させる技術は、当業界で公知である。
【0061】
工程142に続いて、方法102'''は、電子回路64が、工程142に印加される多重周波数、時間依存性入力信号に対応して、センサー10によって生じる多重周波数、時間依存性出力信号をモニターすることを実施可能にする工程144に進む。その後、工程146においては、電子回路64は、FIおよびFFの間の周波数スペクトル内での多重周波数における複素数センサーインピーダンス値を含む複素数センサーインピーダンス値ZFの対応するスペクトルを求めるために多重周波数、時間依存性入力および出力信号を処理することを実施可能にする。1つ以上の時間依存性入力信号が周波数の複合の形態で提供される実施態様においては、従来の信号処理技術を用いて入力および出力信号の周波数成分を求めるために信号入力および出力情報の解析が工程146で行われ、その例が限定されるものではないが、フーリエ変換(DFT)解析、迅速フーリエ変換(FFT)解析などを包含する。
【0062】
図4の方法100の工程102で求められた複素数センサーインピーダンス情報は、センサー10の作動に関する情報を決定するために方法100の工程104で使用される。そのような情報は限定されるものではないが、たとえば、検体、たとえば動物またはヒトの体66内の検体を含む環境にあるセンサー10の作動に関する1つ以上のパラメータ、センサー10の1つ以上の異なった特性、センサー10の1つ以上の異なった特性の状態、センサー10により生じる検体測定情報の信頼性に関する診断情報などであってもよく、または包含してもよい。検体を含む環境内のセンサー10の作動に関するパラメータの1例は、センサー10が挿入される体66内に存在する1つ以上の検体の測定値を含む。検体を含む環境にあるセンサー10の作動に関するパラメータの他の例は、公知の方法で複素数インピーダンスの関数として求められる検体を含む環境の電気伝導性を含む。センサー10の作動に関するパラメータの他の例は、安定な時、センサーにより生じる情報は、コンピュータ目的に信頼して使用される品質データであると考えられ、また安定でないときには、センサー10によって生じた情報は、信頼性がないと考えられまた放棄されるべきであり、またいずれにしろ、コンピュータ目的に使用されないと考えられるという意味でのセンサー10の安定性を包含する。センサーの特性の例は、センサー10のキャパシタンスを含み、それは、公知の方法で、複素数インピーダンスの関数として求められる。センサー10によって生じた検体測定情報の信頼性に関する診断情報の例は、1つ以上の複素数センサーインピーダンス値を1つ以上の対応するインピーダンス閾値と比較することと、センサー10に関連した電気伝導性経路、たとえば、信号コンダクター、電気コネクターまたは電気トレースが、もし複素数センサーインピーダンス値のスペクトルが、1つ以上の対応する複素数インピーダンス閾値より大きい場合には、脱落したことを決定することを包含する。
【0063】
センサー10の特性の状態または作動は、従来の統計的手法を用いて、周波数の範囲または多重範囲にわたって求められるスペクトルなどの複素数センサーインピーダンス値のスペクトルを解析することにより求めてもよい。そのような従来の統計的手法は限定されるものではないが、回帰技術、1つ以上の特性に関連する測定値の組み合わせを求めるために従来法で使用される主要な成分解析(PCA)技術などを包含する。またはベストフィットが達成されるまで回路モデル成分の値を調節することにより、複素数センサーインピーダンススペクトルを等価回路モデルのインピーダンススペクトルにフィットさせるということを特徴とする従来の等価回路技術を用いることにより、センサー10の作動の状態または特性の状態を決定するために複素数センサーインピーダンス値のスペクトルを解析してもよい。その後得られた成分値は、センサーまたはセンサー回路の特性または作動の代表であってもよく、その例は限定されるものではないがセンサーが暴露される1つ以上の検体の濃度、溶液の抵抗またはセンサーが浸漬されるまたは暴露される環境、電極面積、膜透過性などを包含する。または回路成分値は、1つ以上の特定のセンサー特性を求めるために回帰、PCAなどの統計的手法に入力として使用してもよい。
【0064】
ここで図8Aを参照してセンサー10の作動に関する情報を求めるために、図4の方法100の工程104、すなわちインピーダンス情報Z処理を行うための方法104’の1つの図示された実施態様のフローチャートが示されている。該方法104’は、センサーモデルが同定される工程150で開始する。続く例でより詳細に記述されるように、具体的にはセンサーモデルは従来の等価回路モデルであってもよい。2者択一的にまたは追加的に、該センサーモデルは重要な1つ以上の周波数範囲にわたり、センサー10を表すまたは特性づけるための1つ以上の他の従来モデルであってもよいし、または含んでいてもよい。工程150に続いて工程104’は、種々のモデル成分の値を求めるために1つ以上の従来のデータ適合技術を用いて、方法100の工程102から生じる複素数インピーダンス値が方法104’の工程150で同定されるセンサーモデルに当てはめられる工程152に進む。
【0065】
工程104’は、工程150および152の前にまたは同時に行われる工程154を含んでいる。または工程154は、方法100の工程102の中に含めてもよい。いずれにしろ工程154においては、DC入力信号が個々に記述されるいずれかの方法でセンサー10に印加され、またセンサーの生成したDC応答SRDCが、複素数インピーダンスZを求めるために使用される同じ期間にわたり、モニターされかつサンプリングされる。図示された実施態様では、工程152および工程154は、工程156に進み、そこではセンサー10のDC応答SRDCと組み合わされた時、やがて応答振幅中での最小の望ましくない変化を持つセンサー応答を生じる応答をやがて持つことになるモデル成分MC1の1つ以上の機能的組み合わせが同定される。ここで使用されるように「最小」という語彙は応答振幅中での望ましくない変化が時間と共に許容されるレベルにまで最小化され、またはDC応答単独の振幅中での自然の変化と比較して少なくとも削減されるということを意味していると理解するべきである。1つ以上のモデル成分MC1とDC応答SRDCとの組み合わせは、たとえばMC1とSRDCとの積、比、和または差などの単純な数学的関係、またはMCとSRDCとのより複雑な線形、非線形および/または区分的連続関数などを含む数学的関数であってもよい。1つ以上のモデル成分MC1は、たとえば単一モデル成分、または2つ以上のモデル成分の積、比、和または差などの単純な数学的関係、または2つ以上のモデル成分のより複雑な線形、非線形および/または区分的連続関数を含む数学的関数であってもよく、またはそれらを含んでいてもよい。望ましくない変更は許容範囲レベル内に最小化するように求められ、または丁度記述した程度に少なくとも削減され、たとえば限定されるものではないがセンサー10の初期のならし運転期間の経時的センサー感度ドリフト(ふらつき)、経時的センサーオフセットドリフト、センサー信号感度および/またはオフセット変化、センサー信号中に存在するおよび/またはサンプリングされたセンサー信号中に存在する異常などであってもよく、またはそれらを包含してもよい。
【0066】
方法104’は、図8A中の点線表示で示されているように、随意的工程158を含んでいてもよく、またそのような実施態様では、工程156は、工程158に進む。方法104’中に包含された場合には、センサー安定性決定アルゴリズムが工程158で行われる。図9を参照して、センサー安定性決定アルゴリズム158の1つの図示された実施態様を示す。図示された実施態様では、アルゴリズム158は、工程170で開始され、そこでは、検体濃度およびセンサー感度における変化に実質的に鈍感な経時応答を持っているモデル成分MC3の1つまたは機能的組み合わせが同定される。1つ以上のモデル成分MCの機能的組み合わせは、2つ以上のモデル成分の積、比、和または差などの単純な数学的関係、または2つ以上のモデル成分のより複雑な線形、非線形、連続、非連続および/または区分的連続関数などを含む数学的関数であってもよい。
【0067】
アルゴリズム158は、工程170から工程172に進み、そこでは、一定応答値の範囲内にあるMC3の値および/または一定応答値の範囲外にあるMC3の値が同定される。1つの実施態様では、MC3の経時的変化割合をモニターしかつMC3の変化割合が変化値の所定の割合未満である限り、一定応答値の範囲内に来ることを決定することにより、工程172が実行される。一定応答値の範囲外にあるMC3の成分は、変化値の所定の割合以上の変化の割合を持つものである。または、この実施態様では、もしMC3の変化割合が変化値の所定の割合以上である場合には、MC3の成分は、一定応答値の範囲外にあることおよびこの範疇に合わないものは、この範囲内に入るものとみなされるということを決定することにより、工程172を実行してもよい。他の実施態様では、個々のMC3値の振幅をモニターしかつもし該振幅が所定の振幅値未満か等しい場合には、各MC3の成分値は、一定応答値の範囲内に来るということを決定することにより、工程172を実行してもよい。この範疇に合わないMC3値は、この範囲外に落ちることになる。または、この実施態様では、もしその振幅が所定の振幅値より大きい場合には、MC3成分値は、一定応答値の範囲外になり、またこの範疇に合わないMC3値は、この範囲に入ることを決定することにより、工程172を実行してもよい。一定応答値の範囲内および/または範囲外にあるMC3値を同定するために他の従来技術および他の従来技術が本開示により熟慮されていることを当業者なら認識するであろう。
【0068】
アルゴリズム158は、工程172から工程174に進み、そこでは、MC3の対応するものの値が一定応答値の範囲内にあるMC1(または図8Bの場合にはMC2)の値のみが安定な応答値として同定され、および/またはそこでは、MC3の対応するものの値が一定応答値の範囲外にあるMC1(またはMC2)の値のみが不安定応答値として同定される。図示されるように、これらの値のみが対応する被測定検体値を求めるために、続いて使用されるように、MC1(および/またはMC2)の安定な値は、工程174で同定してもよい。本実施態様では、MC1(および/またはMC2)の不安定値は、被測定検体値を求めるためには、適していないと考えられる。二者択一的にまたは追加的に、これらの値がセンサー診断プロセスに従って処理されるように、MC1(および/またはMC2)の不安定値を工程174で同定してもよい。
【0069】
さらに、図9は、多数の点線工程を図示しておりまたその工程の1つ以上は、それらの1つ以上の他の実施態様では、アルゴリズム158中に含めてもよい。たとえば、アルゴリズム158がセンサー10の出力応答が安定かどうかを決めるために、方法100の工程104とは独立に実行される独立型アルゴリズムであってもよいという実施態様では、方法104’の工程150および152は、アルゴリズム158中に包含されてもよい。アルゴリズム158が工程150および152を含み、またそれがセンサー10の出力応答が安定かどうかを決めるために、方法100の工程104とは独立に実行される独立型アルゴリズムであるという1つの実施態様では、センサー出力応答サンプルのみを安定であると同定するように工程174を改質し、それに対して、モデル成分の1つまたは機能的組み合わせの値が応答値の範囲内に落ちることになる。工程174のそのような改質は、熟練工に対する機械的工程となるであろう。
【0070】
二者択一的にまたは追加的に、一つ以上のMC3成分が一定応答値の範囲外であることが見出される、すなわち不安定であると見出される場合には、MC3成分をモニターするために、またエラー信号、たとえばエラーの旗または他の信号を生じさせるために、アルゴリズム158を使用するという実施態様では、工程176および178を、その実施態様中に包含させてもよい。この実施態様では、工程172は、二者択一的に、工程176に進み、そこでは、MC3値のいくつかの数、たとえば1以上が一定応答値の範囲外になるかどうかが決められる。もしそうであれば、アルゴリズム158は、工程178に進み、そこでは、エラー信号または他の信号が生成する。もしそうでなければ、エラーも信号も生成しない。エラー信号または他の信号を生成することの代わりとして、工程178は、二者択一的にセンサー較正または再較正プロセスに進んでもよい。いずれにしろ、工程176および工程178は、工程174の代わりに、または追加的に含まれてもよくまた工程150および工程152を含む実施態様中に包含されてもよく、および/または工程150および工程152を含まない実施態様中に包含されてもよい。
【0071】
再び図8Aを参照して、工程156は、工程158を含まない実施態様中で工程160に進み、そこでは被測定検体値AVが上記したように、MC1およびSRDCの組み合わせに基づいて計算される。工程158を含む実施態様では、安定しているとしてアルゴリズム158により同定されたMC1値のみが被測定検体値の計算において、対応するSRDC値と共に、使用される。限定されるものではないが、実施例はNが正の整数であるN−次元座標システム中で、従来の代数学、幾何学および/または微積分学を用いて、MC1およびSRDCの関数の解決と、複素数インピーダンスデータをMC1とSRDCの関数に当てはめるために、主成分解析、経験的解析などの従来の統計的技術または他のデータ適合技術の使用を含んでいる。
【0072】
ここで図8Bを参照して、図4の方法100の工程104を行い、すなわちインピーダンス情報Zを処理して、センサー10の作動に関する情報を求めるために、方法104”の他の図示された実施態様のフローチャートを示す。工程104”は、丁度記述した方法104’と共通して、工程150、工程152および選択的工程158などの多数の工程を包含している。図示された実施態様では、方法104”の工程152は、工程162に進み、そこでは、上記したように、経時応答振幅中の最小の望ましくない変化を有するセンサー応答を生じる経時応答を有するモデル成分の1つまたは機能的組み合わせMC2が同定される。1つ以上のモデル成分MC2は、たとえば、単一モデル成分、または2つ以上のモデル成分の積、比、和または差などの単純な数学的関係、または2つ以上のモデル成分のより複雑な線形、非線形および/または区分的連続関数を含む数学的関数であってもよく、またはそれらを含んでいてもよい。最小化されるように求められる望ましくない変更は、限定されるものではないが、たとえばセンサー10の初期のならし運転期間の経時的センサー感度ふらつき、経時的センサーオフセットふらつき、センサー信号感度および/またはオフセット変化、センサー信号中に存在するおよび/またはサンプリングされたセンサー信号中に存在する異常などであってもよく、またはそれらを包含してもよい。
【0073】
ある実施態様では、方法104”は、以上詳細に記述したセンサー安定性決定工程158を含んでいてもよい。工程158を含まない実施態様では、工程162は、工程164に進み、そこでは、上述したように、被測定検体値AVがMC2に基づいて計算される。工程158を含む実施態様では、安定であると同定されたこれらのMC2値のみが被測定検体値を計算するために使用される。いずれにしろ、公知の関係により検体濃度値の計算において直接にMC2値を使用しまたはデータ適合用に1つ以上の従来の技術を用いることにより、工程164を実施してもよい。限定されるものではないが従来のデータ適合技術の例は、主成分解析、経験的解析などの従来の統計的技術または他のデータ適合技術を含む。
【0074】
図1〜図3に図示したように、電気コネクター50を経由して電子回路64に電気的に接続されている連続検体センサー10を用いて、次の実施例を生体外で行った。これらの実施例は、本開示の1つ以上の概念を説明するために提供されており、またとにかく限定的であると考えられるべきではない。
【0075】
実施例1
本実施例においては、図1Bに関して図示されまた記述されているセンサー10’が従来の2−チャンネル高性能液体クロマトグラフィポンプ(HPLC)に流体で結ばれている従来のフローセル中に置かれた。該ポンプは、図10中に示したグルコース濃度(mM/L)対時間プロファイル200を生じるように制御された(ほぼ2.5日の期間にわたり)。従来法でポテンショスタット70を設定し、作用電極24と参照電極28の間にほぼ350mVの一定電圧(DC)を印加した。その後、内部フィードバック経路でDC電圧を使用し、対向電極32に印加した時間依存性電流(AC)を、ほぼ16〜17分間隔で変調し、その結果、ほぼ16〜17分毎の間隔で、作用電極24と参照電極28の間に、ほぼ5mVの時間依存性電圧(AC)を印加した。時間依存性電圧の周波数は、対数スケールで10当たり5等間隔周波数分割の工程サイズで、100000Hzから0.01Hzで掃引し、1周波数掃引あたり36異周波数値を生じさせた。作用電極24を経由する電流は、センサー10’の出力としてモニターした。メモリ74中に収納した低パスフィルターアルゴリズムを経由して、出力電流値を通過させることにより、DC出力電流測定を行い、またメモリ74中に収納した高パスフィルターアルゴリズムを経由して、出力電流値通過させることにより、AC出力電流測定を行いまたプロセッサ72によって実施した。AC出力電流測定のベクトルIおよび対応するAC入力電圧値のベクトルEの関数;たとえばZ=E/Iとして、各周波数掃引で、複素数インピーダンスベクトルZを求め、ベクトルZ、IおよびEの各々は、それぞれ、36の異なったインピーダンス値、電流値および電圧値を含む。
【0076】
図11は、図10と同じ時間スケールを使用したセンサー10’により生じたDC電流202対時間のプロットである。連続検体センサー10’により生じたDC電流202は、従来の連続検体センサーのDC経時対応で典型的に観察されるドリフトを示している。
【0077】
ここで図12を参照して、センサー10’の等価回路モデル210を示す。該モデル210は、定常位相エレメントCPE1の平行組み合わせと直列になっているレジスタR0、他のレジスタR1および他の定常位相エレメントCPE2の平行組み合わせと他のレジスタR2からなっている。定常位相エレメントCPE1およびCPE2は、各々が0度と90度の間の定常位相を持っている容量エレメントである。センサー10’の等価回路モデル210は、次の式により数学的に定められる;
【数1】

【0078】
パラメータR0、R1、R2、T1、T2、P1およびP2は、モデルパラメータであり、そこでは、T1およびT2がシーメンス単位または1オームであり、またP1およびP2は、無次元である。周波数の範囲にわたりAC電圧の各印加に対応したセンサー10’により生じたセンサーインピーダンスデータは、式(1)〜(4)に当てはめられた。より具体的には、AC電圧印加に対して、10000Hzから0.01Hzの範囲の31周波数にわたるセンサーインピーダンスデータは、従来の非線形回帰技術を用いて、単一セットの等価回路成分値に当てはめられた。図10および図11中に示された時間間隔たとえば、ほぼ2.5日に対して、AC電圧は、ほぼ200回印加され、ユニークなセットの成分値を持つほぼ200の等価回路を生じた。1/R0、1/R1および1/R2に対応する生成したアドミッタンス値Y0、Y1およびY2のプロット220を図13に示し、また生じたキャパシタンス値CPE1およびCPE2のプロット230を図14に示す。センサー10の全複素数インピーダンスZは、式(1)によって表される。
【0079】
図15は、アドミッタンス値Y2対時間のプロット240であり、また図16は、DCセンサー応答とアドミッタンス値Y1の比、たとえばDC/Y1対時間のプロット250であり、そこでは、Y2240およびDC/Y1250は、最終の値または最後の値の1を持つようにそれぞれ正規化されてきた。図17は、センサー10の正規化DC応答260を正規化アドミッタンスY2、240と正規化比DC/Y1、250対時間と比較したプロットである。センサー10’の正規化DC応答260と比較すると、アドミッタンス値Y2、240は、経時のより少ないドリフトを示す。したがって、DC応答単独よりもより正確な経時センサーデータを提供するために、センサー10’の等価回路モデルのインピーダンス成分の1つのAC応答240、たとえばY2を単独で使用してもよい。センサー10’の正規化DC応答260および正規化アドミッタンス値Y2、240と比較して、比DC/Y1、250は、経時ドリフトの最も少ない量を示す。したがって、DC応答260とセンサー10’の等価回路モデルの1つのインピーダンス成分の比、たとえば、DC/Y1、250を代わりに使用してもよい。このようにして、1つのインピーダンス成分のAC応答、たとえば、Y2、240を使用することにより、またはセンサー10’の等価回路モデルの適当な時間依存性(AC)インピーダンス成分、たとえば、Y1を用いて、連続検体センサー10’の従来の時間ドリフトDC応答260を修正することにより、結果として生じる検体測定は、DC応答202(図11)単独よりも、実質的に経時的により一定になりうる。センサー10’のDC応答260が等価回路モデルの2つ以上のインピーダンス成分の数学的関数により、相殺されることを特徴とする他の実施態様を本開示が考慮していることを理解される、または検体濃度が求められる経時センサーデータを提供するために、センサー10’の等価回路モデルの2つ以上のインピーダンス成分の数学的関数を単独で使用してもよく、そこでは、そのような補償がDC応答単独の場合よりも、より一定の経時検体情報を行うことも理解される。
【0080】
図18は、種々のDC、ACのプロセッサ70および図17中に示されたAC−補正センサー応答による処理から生じる相対的グルコース濃度対実際のグルコース濃度のプロットである。相対的グルコース濃度270は、DCセンサー応答単独からプロセッサ70により求められる測定されたグルコース濃度に対応し、相対的グルコース濃度280は、アドミッタンス値Y2単独からプロセッサ70により求められる測定されたグルコース濃度に対応し、また相対的グルコース濃度290は、比DC/Y1からプロセッサ70により求められる測定されたグルコース濃度に対応している。アドミッタンス値Y2単独は、DC応答単独よりも、より正確に実際のグルコースを探知すること、および正規化比、DC/Y1が、DC応答単独またはアドミッタンス値Y2単独よりも、より正確に実際のグルコースを探知することが図18から見られる。
【0081】
実施例2
本実施例においては、センサー10’は、実施例1中で記述したセンサー10’であったが作用電極24を超えて配置されたやや厚めの膜を持ったセンサーであった。センサー10’が従来の2−チャンネル高性能液体クロマトグラフィポンプ(HPLC)に流体で結ばれている従来のフローセル中に置かれた。該ポンプは、図10中に示したグルコース濃度(mM/L)対時間プロファイル200を生じるように制御された(ほぼ2.5日の期間にわたり)。ポテンショスタット70は、変化する周波数内容を持った交互DCおよびAC電位信号を印加するように設定された。該交互信号は、ほぼ16〜17分間隔で、ほぼ350mVの一定電圧(DC)上に重ねられたほぼ25mVの時間依存性電圧(AC)を含んでいた。該交互入力電圧が上の実施例1中に記述されたセンサー10’に対して印加され、時間依存性信号内容の周波数が対数スケールで10当たり5等間隔周波数分割の工程サイズで、100000Hzから0.01Hzで掃引され、36異周波数値を生じさせた。交互入力電圧300の1部の例を図19中に図示する。作用電極24を経由する電流は、センサー10’の出力としてモニターした。AC電圧印加の間でDC電流測定を行い、また36の異なった周波数の各々において、AC電流測定を行った。複合周波数値を実施例1中で記述したように計算した。
【0082】
図20は、上の実施例1中で使用した同じ時間スケールを用いたセンサー10’により生じたDC電流302対時間のプロットである。DC電流値は、AC電圧の印加と測定の間で測定された。連続検体センサー10により生じたDC電流302は、従来の連続検体センサーのならし運転期間、たとえば最初の24時間などの間での典型的にはDC応答で観察されるドリフトを示している。
【0083】
本実施例では、複素数インピーダンス値は、3つの異なる複素数インピーダンスモデル処理技術によって処理された。第1技術は、実施例1中で詳細に記述したように、センサーの等価回路モデルに従って、複素数インピーダンス値を処理することを包含していた。特に10000Hzから0.01Hzの範囲の31周波数にわたり印加された各AC電圧印加用複素数インピーダンス値(振幅および位相)は、各AC電圧印加に対して、単一セットの等価回路成分値を生じるために、従来の非線形回帰技術を用いて式(1)〜(4)にあてはめられた。図21は、センサー10’の正規化されたDC応答310とアドミッタンス値Y2、312対時間のプロットであり、また図22は、センサー10’の正規化されたDC応答310とDCセンサー応答とキャパシタンス値CPE1の比314、たとえばDC/CPE1、対時間のプロットであり、そこでは、Y2312およびDC/CPE1314が最終のまたは最後の値の1を持つようにそれぞれ正規化されてきた。センサー10’の正規化されたDC応答310と比較して、規化されたアドミッタンス値Y2、312は、より少ない経時ドリフトを示し、またこの例の連続検体センサー10’の場合には、センサー10の等価回路モデルの少なくとも1つの成分のAC応答、たとえば、Y2、312は、DC応答単独よりもより正確な経時センサーデータを提供するために、単独で使用してもよい。比DC/CPE1、314はDC応答およびAC応答Y2、312よりもより少ない経時ドリフトを示す。このようにして、本実施例の連続検体センサー10の従来のDC応答をセンサー10の等価回路モデル、たとえばCPE1、の少なくとも1つの成分の時間依存性(AC)インピーダンス成分で修正することにより、生じる検体測定は、本実施例のセンサー10の等価回路モデルの少なくとも1つの成分のAC応答にのみ基づいた検体測定よりも、長期にわたりより一定となるであろう。
【0084】
本実施例中の複素数インピーダンス値も、従来の主要成分解析に従い、プロセッサ70によって処理された。本解析においては、100000Hzから0.01Hzの間の周波数の70回に対する等価回路成分値は、7つの対応する主要成分を統計的に求めるために処理され、また最高の主要成分スコアを持つ4つの主要成分が次の主要成分モデル式に当てはまるように選択された。
【数2】

式中I0は、切片値、“i”は、1〜7の範囲、“n”は、1〜4の範囲であり、また合計は、“i”の範囲にわたり行われる。より多くのまたはより少ない主要成分が求められまた検体測定値を予測しまたは見積もるために使用される。
【0085】
このようにして、AC入力電圧の200印加の各々が式(5)および式(6)の200セットを与えた。図23は、式(5)および式(6)により処理された等価回路成分値を用いて予測されたグルコース濃度330と共に、センサー10の従来のDC応答を用いて予測されたグルコース濃度320のプロットである。このようにして、図23は、センサー10のDC応答のみに基づいた検体測定よりも、長時間実質的により一定である生じた検体測定を作り出すために、時間依存性入力信号に対応して、本実施例のセンサー10によって生じる複素数インピーダンス情報を処理するために、主要成分解析が代わりにまたは追加的に使用されることを示している。特にこれは、図23中に示されているように、連続検体センサー10の作動の初期のならし運転期間、たとえば最初の24時間程度の間は真実である。
【0086】
本実施例における複素数インピーダンス値は、従来の2次経験的モデルにしたがって、追加的にプロセッサ70によって処理された。本分析において、100000Hzと0.01Hzの間の4つの周波数における等価回路成分値は、次の経験的モデル式に当てはめて処理される:
【数3】

【0087】
この特定の実験において、従来のモデル最適化技術が63kHz、0.1Hz、0.063Hz、0.01Hzの4周波数の値を求めるために使用された。しかしながら、より多くの、より少ない、および/または異なった周波数が代わりに使用されることが理解される。
【0088】
AC入力電圧の200印加の各々が式(7)〜式(10)の200セットを与えた。図24は、式(7)〜式(10)によって処理された等価回路成分値を用いた予想されたグルコース濃度350と共に、センサー10の従来のDC応答を用いたグルコース濃度340のプロットである。式(7)〜式(10)により定められる経験的モデルは、センサー10’のDC応答のみに基づいた検体測定よりも、実質的に経時的により一定の生じる検体測定を生み出すために、時間依存性入力信号に対応して本実施例のセンサー10’により生じた複素数インピーダンス情報を処理するために、代わりにまたは追加的に、式(7)〜式(10)により定められる経験的モデルを使用してもよいことを、図24は、示している。再び、このことは本実施例の連続検体センサー10’の作動の初期のならし運転期間、たとえば最初の24時間などの間に対しては特に真実である。
【0089】
実施例3
本実施例においては、センサー10’は、実施例1中で使用したセンサーと同じように作った。センサー10’が従来の2−チャンネル高性能液体クロマトグラフィポンプ(HPLC)に流体で結ばれている従来のフローセル中に置かれた。該ポンプは、図10中に示したものと類似のグルコース濃度(mM/L)対時間プロファイルを生じるように制御されたが本実施例中では、ほぼ1日のならし運転期間の間、グルコース濃度は、10mM/L一定にセットされ、その後、グルコース濃度のプロファイルを、ほぼ12時間の間、センサー10に適用した。グルコースプロファイルに続いて、他のグルコースプロファイルを用いる前に、再びグルコース濃度を、ほぼ18時間の間10mM/L一定でセットした。作用電極24と参照電極28の間に、ほぼ350mVの一定電圧(DC)を印加するために、従来の方法でポテンショスタット70を設定した。その後、ほぼ16〜17分の間隔で対向電極32に印加される時間依存性電流(AC)を変調するために、DC電圧を内部フィードバック経路に使用し、その結果、ほぼ16〜17分間隔で、作用電極24と参照電極28の間に、ほぼ5mVrmsの時間依存性(AC)電圧が生じた。時間依存性電圧の周波数が対数スケールで10当たり2等間隔周波数分割の工程サイズで、100000Hzから0.01Hzで掃引され、周波数掃引当たり15異周波数値を生じさせた。作用電極24を経由する電流は、センサー10’の出力としてモニターした。メモリ74中に収納されまたプロセッサ72により実行される低パスフィルターアルゴリズムを経由して出力電流値を通過させることにより、DC出力電流測定を行い、またモリ74中に収納されまたプロセッサ72により実行される高パスフィルターアルゴリズムを経由して出力電流値を通過させることにより、AC出力電流測定を行った。AC出力電流測定のベクトルI、対応する入力電圧値のベクトルEの関数、たとえばZ=E/Iとしての各周波数掃引で、複素数インピーダンスベクトルZを求め、そこではベクトルZ、IおよびEの各々が、それぞれ15の異なったインピーダンス、電流値および電圧値を含んでいた。
【0090】
図25は、センサー10’により生じたDC電流410と共に、グルコース濃度プロファイル400対時間のプロットである。DC電流410は、センサー10’のならし運転期間に典型的に観察される連続検体センサー10’の感度変化を示している。さらに、DC電流410は、グルコースプロファイルから離れておりまたサンプルのグルコース濃度に関係の無い多数の異常420および425を含んでいる。図25中に示されたタイプの異常420、425は、連続検体センサーデータ中に時々観察され、またさらに、そのような異常は、そのようなデータがインシュリン注入制御に使用されるときなどセンサーデータの有効性を制限することになる。
【0091】
図26は、複素数インピーダンスZ(対数スケールで)の振幅対種々の周波数におけるセンサー10のAC応答を示す時間のプロットである。図26のプロットは、5つの異なる周波数におけるセンサー10’の計算された経時のインピーダンス値を示している。インピーダンス430は、100kHzにおけるセンサーインピーダンスを表し、またインピーダンス440、450、460および470は、引き続いて、それぞれ31kHz、10kHz、3.1kHzおよび1kHzの低周波数におけるセンサーインピーダンスを表している。図25中に示されているように、異常はDCレベルで明らかに戻っているけれど、異常420および425の振幅は、周波数がDCに向けて減少するに従って周波数を減少させて、減少することが図26から観察できる。このようにして、ほぼ低周波数におけるセンサー10’の複素数インピーダンスZは、センサー10’のDC応答410のみに基づいて検体濃度値中で存在するよりも減少したインパクトの異常420および425を用いて、検体濃度値を計算するために使用される。または、センサー10のドリフトを減少させる目的のみならず、計算された検体濃度値上への異常420および425へのインパクトを減少させるために、ほぼ高周波数にあるセンサーの複素数インピーダンスZをDC応答410を相殺するために使用できる。さらにまた、異常420および425などのセンサーデータ中での異常を検出するために、またそのような異常が検出されたとき潜在的なセンサーデータ品質問題のシステムを告知するために、1つ以上の適当な周波数にあるセンサーの複素数インピーダンスZを使用できる。
【0092】
さらに、実施例に関して以上記述したように、センサー10の等価回路モデルを求めるために、上の式(1)〜式(4)によって、本実施例中の複素数インピーダンスデータを処理した。図27は、センサー10の等価回路モデルのそれぞれY0、Y1およびY2アドミッタンス成分500、510および520対時間のプロットである。DC電流410と同様に、Y2成分520は、センサー10’のならし運転期間に典型的に観察される連続検体センサー10の感度における変化を示しており、また検体濃度プロファイル中での変化に対しても敏感である。Y0成分500の初期部分530は、Y2成分よりも初期のならし運転期間に対してより感度が高く見えるがY0成分500は、検体濃度プロファイル中の変化に対しては鈍感である。さらに、Y0成分500は、信号異常535および540に敏感であるアドミッタンス成分の唯1つである。そのほかの点では、Y0成分500は、相対的に一定である。このようにして、本実施例では、センサー10が安定でありまた有用なかつ信頼できるデータを発生させる時の表示を提供するために、Y0成分をモニターしてもよい。たとえば、変化または振幅の速度をモニターすることなどにより、Y0成分500をモニターするように設定してもよいし、またY0の変化速度が変化または振幅の境界の1つ以上の所定の速度以内にあるときにのみ、安定でありまた信頼できるということを決めるために、電子回路64を設定してもよい。センサーデータが1つ以上の所定の境界から外れる時には、電子回路64は、センサーデータが信頼性がなくおよび/または不安定であると考えて、そのようなセンサーデータを無視し、および/またはセンサー較正または再較正手法を着手する。連続検体センサーの他の実装において、1つ以上の追加のまたは他の等価回路モデル成分がセンサーの安定性に敏感であるかもしれないし、したがって、単独または組み合わせで使用してもよいし、または1つ以上の等価回路モデル成分の機能をセンサー安定性のモニターとして使用してもよい。
【0093】
実施例4
本開示の概念は、マイクロ透析の原理により作動するセンサーに対して応用可能である。そのようなシステムの1例は、ミカエル・シュメーカーらの出版物、「SCGM1システム:マイクロ透析技術に基づいた皮下連続グルコースモニター」糖尿病技術および治療法、第5巻、4号(2003)中に記述されている。シュメーカーらの出版物に記載されているシステムは、患者の体の外部にある電気化学的センサーに体液を供給するための皮下カテーテルを利用し、また該センサーは、患者のグルコース濃度を測定するために使用されている。他のマイクロ透析システムは、米国特許第6091976号明細書および第6591126号明細書中に記載されている。
【0094】
マイクロ透析システムまたは微小潅流センサーシステムの1つの共通の難点は、患者の組織から透析溶液への変動性のかつ未知の回収である。検体測定の精度を向上させる1つの提案された技術は、いわゆるイオン参照を用いることである。これは、重要な検体を持つ体の組織中により一定であると知られている透析溶液中の他の種の濃度を測定することを含んでおり、また検体測定を補正するまたは訂正するためにこの測定を用いることを含む。検体がグルコース濃度である場合には、他の種は、たとえば、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)であってもよい。イオン参照の測定および/または使用のためのシステムおよび技術の例は、米国特許第5097834号明細書および第5193545号明細書中に開示されている。
【0095】
本実施例においては、図28中に示すように、従来のフロ−セルを使用する実験システムは、マイクロ透析の原理に従って作動しているシステム中での検体回収における差の認識および定量に対する本開示のいくつかの概念の適用性を調べまた示すために使用された。図28を参照して、実験システム600は、流体経路606を経由して、潅水604の源に流体で結ばれている第1ポンプ入口を持つポンプ602を含んでいる。図示された実施態様では、ポンプ602は、従来のぜん動ポンプであって、かつ潅水は、5%マニトール水溶液である。ポンプ602の第1出口は、流体経路610を経由してカテーテル608に流体で連結されており、またポンプ602の第2入口も、流体経路612を経由してカテーテル608に流体で連結されている。ポンプ602の第2出口は、流体経路616を経由してフロ−セル614の入り口に流体で連結されており、またフロ−セル614の出口は、流体経路618を経由して廃水槽620に流体で連結されている。ポンプ602は、流体経路606および610を経由してかつカテーテル608中に、潅流604をポンプ注入することが実施可能であり、また流体経路612および616を経由してカテーテル608からフロ−セル614中に流体をポンプ送りすることが可能である。流体は、流体経路618を経由してフロ−セル614を出る。
【0096】
ポンプ602によってフロ−セル614を経由してポンプ送りされた流体は、センサー10上に流れるように、連続検体センサー10がフロ−セル614内に置かれる。センサー10は、コネクター50を経由して電子回路64に電気的に接続される。図28に図示されている実験システム600中で、センサー10の作用電極24上に配置された試薬層36は、グルコースオキシダーゼである。図示された実施態様では、カテーテル608は、2つの異なったサンプル溶液625および630と接触して交互に置かれた。サンプル溶液625は、100%10mMNaPO4/150mMNaClの中にグルコースを含んでいたし、またサンプル溶液630は、20%水への80%10mMNaPO4/150mMNaClの中にグルコースを含んでいた。カテーテル608中で100%回収すると仮定すると、2つの異なった溶液625および630は、ヒト患者中のグルコース回収における変化の効果を表しまたそれを形に表す。
【0097】
実験においては、ポンプ602は、流体経路606、610を経由してまたカテーテル608を経由して、サンプル溶液625、630中に、潅水604を送り、またカテーテル608および流体経路610を経由して、またフロ−セル614を経由して、サンプル溶液625、630から、廃水槽620中に潅水を送った。カテーテル608は、サンプル溶液625、630の1つの中に置かれ、また間隔を置いて、他のサンプル溶液625、630へと移される。周波数掃引当たり15異周波数値を生じさせるために、時間依存性電圧の周波数が対数スケールで10当たり2等間隔周波数分割の工程サイズで、100000Hz〜0.01Hzで掃引されたこと以外、センサー10は、実施例2中で記述したように、電気的に働かされた。作用電極24を経由した電流は、センサー10の出力としてモニターされ、またDC出力電流測定は、メモリ74中に収納されかつプロセッサ72によって実施される低パスフィルターアルゴリズムを経由して、出力電流値を通過させることにより、行われた。AC出力電流測定は、メモリ74中に収納されかつプロセッサ72によって実施される高パスフィルターアルゴリズムを経由して、出力電流値を通過させることにより、行われた。複合周波数ベクトルZは、AC出力電流測定のベクトルIおよび対応するAC入力電圧値のベクトルEの関数、たとえばZ=E/Iとして、各周波数掃引において求められ、そこでは、各ベクトルZ、IおよびEは、それぞれ36の異なったインピーダンス、電流および電圧値を含んでいる。
【0098】
次表は、平行に配置されかつポンプ602から同じ流体を同時に受け取る4つの別のフロ−セル614を含む実験中の上記測定の結果を示している。表中の平均値は、4つの別のフロ−セル614の各々中に同じように設置されたセンサー10によって生じた値の算術平均を表しており、またデルタ値は、溶液625中のカテーテル608を用いた測定から引かれた溶液630中のカテーテル608を用いた測定を表している。
【0099】
【表1】

【0100】
グルコース濃度を示す上表中のDC値は、平均では、溶液625と630の間に実質的に差がない。しかし、100Hzにおける複素数インピーダンスZは、溶液625(100%10mMNaPO4/150mMNaCl)中より溶液630(20%水への80%10mMNaPO4/150mMNaCl)中で、有意に高くなる。このようにして、複素数インピーダンス測定は、DC値とは独立に、カテーテル608の減少した回収を確認できる。この定量的測定の場合には、DC測定単独から得られるよりも、より正確な補正された(訂正された)検体値をDCおよび複素数インピーダンス値に基づいて、求めてもよい。代わりにまたは追加的に、複素数インピーダンス値に基づいて、エラー条件を検出してもよい。たとえば、エラー条件の間に得られた検体情報を無視することにより、検体情報を制限するために、この情報を使用してもよい。
【0101】
実施例5
本実施例においては、実施例4の実験システムは、改質されており、その結果、一定のグルコース濃度の単一サンプル溶液のみを使用し、カテーテル608を、伸ばされた時間の間に、該サンプル溶液中に浸漬した。本実施例においては、該単一サンプル溶液は、8.0mM/Lのグルコース濃度を持っていた。
【0102】
実施例2中で記述したように、サンプル溶液と潅水の組み合わせに暴露したままで、本実施例中のセンサー10を電気的に働かせ、また図12中に図示したタイプの等価回路の成分値を上の式(1)〜(4)を用いて求めた。その後、実施例1および実施例2に関して以上で記述したように、1つ以上の成分値が使用され、センサー10の変化する感度を長い間に相殺した。図29は、8.0mM/Lの公知のグルコース濃度640と比較して、等価回路モデル成分により相殺されたDC電流応答650を用いて計算されたグルコース濃度と共に、センサー10の従来のDC応答を用いて計算されたグルコース濃度のプロットである。初期のならし運転後の期間、たとえばスキャン41〜90後のセンサー10の作動の間のみならず、期間たとえばスキャン1〜40中の初期センサー中断の間の感度変化に対して相殺するために、複素数インピーダンス情報を使用できることが図29から読み取れる。
【0103】
先行の図面および記述中に、本発明を詳細に説明してきたが、同じことが説明に役立つと考えられかつ特性に制限がないし、それらの図示した実施態様のみが、示されかつ記述されたと理解され、また本発明の精神の範囲内にある全ての変更および改質は、保護されることが望ましいということが、理解される。たとえば、当業者ならここに記述した1つ以上の概念から恩恵を受ける他の技術を認識するであろうし、またここに記述した1つ以上の概念を、そのような他の技術へ適用することは本開示により意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を測定するための、1つ以上の電極を有する電気化学的センサーの操作方法であって、
検体を含んでいる環境に前記センサーを暴露することと、
前記検体を含んでいる前記環境に前記センサーが暴露されている間、1つ以上の前記電極の少なくとも1つに対して、時間依存性入力信号を印加することと、
前記時間依存性入力信号の印加に対応して、前記センサーにより生じた時間依存性出力信号をモニターすることと、
前記時間依存性入力信号および時間依存性出力信号に基づいて、前記センサーの複素数インピーダンスを求めることと、
前記複素数インピーダンスを用いて、前記検体を含んでいる前記環境の中の前記検体の測定される濃度を求めること
とを含む方法。
【請求項2】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
1つ以上の電極の少なくとも1つにDC入力信号を印加することと、
DC入力信号の印加に対応して、センサーにより生じたDC出力信号をモニターすることをさらに含み、
そこでは、前記検体の測定される濃度を求めることが、前記複素数インピーダンスに基づいてまた前記DC出力信号に基づいて、前記検体の測定される濃度を求めることを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記検体の測定される濃度を求めることが、
多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルを選択することと、
多数のモデル成分の値を求めるために、センサーの数学的モデルに対して複素数インピーダンスの値を当てはめることと、
DC出力信号と組み合わされた時、振幅における経時的最小の望ましくない変化を持っているセンサー応答を生じる経時応答を持っている多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、
多数のモデル成分の同定された1つまたは機能的な組み合わせの値に基づいてまたDC出力信号に基づいて、検体の少なくとも1つの測定値を計算することを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有するモデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、
モデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせの対応する1つの値が応答値の範囲内に落ちる多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの1つのみを安定的に同定することと、
検体の少なくとも1つの測定値を計算するために、多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの安定な1つのみを使用することを、さらに含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記検体の測定される濃度を求めることが、
多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルを選択することと、
多数のモデル成分の値を求めるために、センサーの数学的モデルに対して複素数インピーダンスの値を当てはめることと、
振幅における経時的最小の望ましくない変化を持っているセンサー応答を生じる経時応答を持っている多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、
多数のモデル成分の同定された1つまたは機能的な組み合わせの値に基づいて、検体の少なくとも1つの測定値を計算することを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項7】
1つ以上の電極の少なくとも1つに時間依存性入力信号を印加することが多数の異なった周波数において、時間依存性入力信号を印加することを含んでいることを特徴とする請求項4または6記載の方法。
【請求項8】
検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有する多数のモデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、
モデル成分の他の1つまたは機能的な組み合わせの対応する1つの値が応答値の範囲内に落ちる多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの1つのみを安定的に同定することと、
検体の少なくとも1つの測定値を計算するために、多数のモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの安定な1つのみを使用することを、さらに含んでいることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、センサーの出力応答が安定かどうかを求めることを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項10】
センサーの出力応答が安定かどうかを求めることは、
多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルの選択することと、
多数のモデル成分の値を求めるために、複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、
検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有するモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、
モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの対応する1つの値が応答値の範囲内に落ちるセンサー出力応答サンプルのみを安定的に同定することを含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
センサーの出力応答が不安定な時に信号を生じさせることを、さらに含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
センサーの出力応答が不安定な時に信号を生じさせることは、
多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルの選択することと、
多数のモデル成分の値を求めるために、複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、
検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有するモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、
モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの多数の値が一定の応答値の範囲外に落ちる場合に、信号を生じさせることを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
センサーの出力応答が不安定な場合に、センサー較正手続きを行うことを、さらに含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項14】
センサーの出力応答が不安定な場合に、センサー較正手続きを行うことは、
多数のモデル成分を有するセンサーの数学的モデルの選択することと、
多数のモデル成分の値を求めるために、複素数インピーダンスの値をセンサーの数学的モデルに当てはめることと、
検体濃度およびセンサー感度の変化に実質的に鈍感な経時的応答を有するモデル成分の1つまたは機能的な組み合わせを同定することと、
モデル成分の1つまたは機能的な組み合わせの多数の値が一定応答値の範囲外に落ちる場合に、センサー較正手続きを行うことを含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、センサーの少なくとも1つ特性を複素数インピーダンスから求めることを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項16】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、検体を含む環境において、センサーの操作に関する少なくとも1つのパラメータを複素数インピーダンスから求めることを含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項17】
検体を含む環境において、センサーの操作に関する少なくとも1つのパラメータが検体を含む環境の電気伝導度を含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
センサーの操作に関する情報を複素数インピーダンスから求めることは、センサーにより生じる検体測定情報の信頼性に関する診断情報を複素数インピーダンスから求めることを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項19】
センサーにより生じる検体測定情報の信頼性に関する診断情報を複素数インピーダンスから求めることは、
複素数インピーダンスをインピーダンス閾値に対して比較することと、
もし複素数インピーダンスがインピーダンス閾値よりも大きい場合には、センサーに関連した電気伝導性経路が機能しなくなったことを決めることを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2013−57669(P2013−57669A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−220232(P2012−220232)
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【分割の表示】特願2009−551930(P2009−551930)の分割
【原出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)