説明

電気化学的酸素発生素子

【課題】イオン液体を用いた、少なくとも2つ以上の電極を用いた電気化学素子を構成するに当って、高効率で酸素を生成する系を提供する。
【解決手段】水に難溶なる性質を有するイオン液体を電解質とし、該イオン液体を含浸した多孔質膜からなるセパレータと、該セパレータに接して設けられた気体拡散型の還元極および酸化極を備えた電気化学素子であり、還元極側に酸素を含有する気体の供給手段を備え、該還元極において供給気体中の酸素を一電子還元し活性酸素を生成すると共に、酸化極において該活性酸素を酸化し高濃度の酸素を生成し、該酸化極側に気体収集手段を備えた電気化学的酸素発生素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン液体を用いた、少なくとも2つの電極を有する電気化学素子に関し、空気中の酸素を1電子還元により活性酸素を生成させ、それを酸化することにより高濃度酸素を生成する電解化学的酸素発生素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、イオン伝導性を持ち、300℃以上の高温でも安定であるイオン液体を用いた電気化学素子が注目されている。特開2003−261540号公報においてはイオン液体を用いた電気二重層キャパシタが開示されている。
【0003】
また、Electrochemical and Solid-State Letters, 4(11)D16-D18(2001)や、Ind. Eng. Chem. Res. 2002,41,4475-4478においてはイオン液体中で酸素を電気化学的に還元して活性酸素を安定に発生させる技術が開示されている。更に、電気化学的に酸素から活性酸素を発生する技術や、発生した活性酸素を再度酸素に酸化することで大気中の酸素を濃縮する技術については、特公平6−174号公報、特公平8−30276号公報、特許第3419656号公報で開示されている。
【0004】
特公平6−174号公報において、空気中の酸素を電気化学的に還元して活性酸素を発生させ、それを再度酸素に酸化することで大気中の酸素を濃縮する例が示されているが、水銀電極と強アルカリ電解液、および、グラファイト電極と塩化テトラエチルアンモニウムを含有する無水ピリジン電解液の組み合わせで実施している。前者の組み合わせは、使用する材質の毒性、電解液揮発および凍結の懸念、炭酸塩の生成による電解液劣化を防ぐために供給気体中の炭酸ガスを除去する必要性など、素子の構成に起因する課題を多く孕んでいる。また、後者の組み合わせでの実施では、回収気体にピリジンが混入するため、安全に使用するためにはこれを除去する機構を設けなければならない共に、電解液揮発に伴う電解液組成の変化に対処しなければならない。
【0005】
また、特公平8−30276号公報においては、スーパーオキサイドイオンを安定に存在させる固体電解質が開示されており、電気化学的に還元して活性酸素を発生させ、それを再度酸素に酸化することで大気中の酸素を濃縮する例が示されている。しかしながら、電解質膜に含有する第四アンモニウム超酸化物の熱安定性の観点から、100℃以下という限定された温度環境でしか使用することができず、環境温度の制御を要する。さらに室温付近にガラス転移温度を有することから、素子が使用される条件を限定した上で、固体電解質の作製条件をカスタマイズしなければならず、汎用性に欠けると共に、電解質層の作製が煩雑で困難な作業となる。
【0006】
また、特許第3419656号公報では、溶存酸素を電気分解することにより酸素を還元し活性酸素を発生させるものではなく、ポリアニリンを溶存酸素と接触させて活性酸素を発生させている。すなわち、電極に修飾されたレドックスポリマーは、液中に溶解している酸素を還元することによって酸化される。その酸化されたレドックスポリマーを元の還元状態に保つために、ポリマー複合電極に微弱電流を流し、連続的に活性酸素を生成できるとしている。この方法においては、電気分解に通常必要なイオン電解質、酸あるいはアルカリなどの添加は必ずしも必要でないが、生成したスーパーオキサイドイオンを安定に存在させる技術及び酸素還元体の再酸化について言及されていない。
【0007】
一方、イオン液体を電解液として用い、空気中の酸素を電気化学的に還元して活性酸素を発生させ、それを再度酸素に酸化することで大気中の酸素を濃縮する技術については、特開2006−225218号公報で開示されている。
【0008】
つまり、従来技術では、ある限定した条件下において、酸素気体を還元し活性酸素種を発生させることと、活性酸素種を酸化させ再度酸素気体に戻すことで空気中の酸素を濃縮することが可能である。本電気化学プロセスの主反応を式(1)、(2)に示す。
+ e → O (1)
→ O+ e (2)
【0009】
しかしながら、発生したスーパーオキサイドの反応性は高く、日本化学会編「活性酸素種の化学」(季刊 化学総説 NO.7)によるとpH7の水中では平均寿命は5秒程度である。酸素気体を1電子還元して生成される活性酸素であるスーパーオキサイドはプロトン(H)と速やかに反応し、以下の式(3)および式(4)に従い、過酸化水素と酸素に変化することが知られている。
+ H → HO・ (3)
2HO・ → H+ O (4)
【0010】
プロトンは電解質内での水の電離平衡によっても供給されるため、使用する電解質が吸湿性を有していると、時間経過と共に空気中の水分を吸蔵してしまい、電解質中にプロトンを存在させる原因となりうる。1電子還元によって発生したスーパーオキサイドが失われると酸素生成の効率が減少するため、空気中の水分を取り込みにくい電解質の使用が望まれていた。
【0011】
また、原料空気中の酸素および電解質中のスーパーオキサイドを効率よく反応させるためには、電極と電解質の界面の面積をより増大させる必要がある。反応に伴う分極抵抗の値は電流密度に比例するため、電流密度を下げることが可能であれば、駆動電圧を減少させることができる。しかしながら、電流総量が酸素生成量に比例するため、低電圧で駆動させるためには酸素生成量とのトレードオフとなる。かかる問題を解決するためには、電極比表面積を増大させること、すなわち実際に電極と電解液が接する界面の面積を増加させることが必要である。そこで、大きな比表面積を実現できる三次元的な多孔質電極の使用が望まれていた。
【0012】
また、発生した活性酸素種を効率よく酸化させて酸素気体を得るためには、電極間のイオン伝導度を良好にして内部抵抗値を下げると共に、該活性酸素種が効率よく酸化極側に移動できる環境を整えることが必要である。該活性酸素種は、拡散、対流および電子移動の影響下にイオン液体層を移動する。しかしながら、イオン液体は従来の有機溶媒型電解質に比べて粘度が高いため、一般的に物質の拡散速度は速くないことが知られている。そのため、十分に薄い多孔膜を用いてのイオン液体層の作製が望まれていた。
【0013】
また、特開2006−225218号公報には、薄い多孔膜を使用した例が開示されているが、実施例においては、素子の形状固定のため、電極間には薄い多孔膜に加えてポリテトラフルオロエチレンのスペーサを挿入している。しかし、スペーサの挿入により、電極間距離は実質上広げられている。このため、セパレータ薄膜層に含浸させているイオン液体層は薄いものの、スペーサ等を挿入することにより電極間距離は広がったままであり、活性酸素種の必要移動距離は長い状態であることは変わらず、移動距離が短い方がより好ましいという要望を解消してはいない。
【0014】
【特許文献1】特開2003−261540号公報
【特許文献2】特公平6−174号公報
【特許文献3】特公平8−30276号公報
【特許文献4】特許第3419656号公報
【特許文献5】特開2006−225218号公報
【非特許文献1】Electrochemical and Solid-State Letters, 4(11)D16-D18(2001)
【非特許文献2】Ind. Eng. Chem. Res. 2002,41,4475-4478
【非特許文献3】日本化学会編「活性酸素種の化学」(季刊 化学総説 NO.7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
空気中の酸素を一方の電極で還元し活性酸素を生成し、もう一方の電極で活性酸素を酸化して再度酸素気体に戻す電気化学的酸素濃縮素子においては、反応の過電圧、すなわち酸素生成に必要なエネルギーは主に電流密度の大きさに依存する。しかしながら、二次元的に電極面積を増大させようとすると、必然的に素子全体が大きくなってしまう。また、電流密度を低下させるために印加電流値を小さくしてしまうと、酸素生成量も低下してしまう。反応素子の大きさを変更せずにこれらの問題を解決するためには、電極を三次元的な多孔構造にして電極面積を増大させることが最も有効である。しかしながら、電解質の濡れ性によっては、電解質が多孔構造中に十分浸漬せず、電極−電解質界面の面積が逆に小さくなるという現象がおこる。
また、毒性を持つ電極材料は、日常的に用いる酸素生成素子に望ましくないため、安全な材料によって作製される電極の使用が望ましい。
【0016】
また、水系電解質の使用では、スーパーオキサイドを安定化させるために、水溶液のpHを10以上に保つ、水に対しては比較的不透過でスーパーオキサイドに対しては比較的透過性であるキノリン等の分子を陰極にコーティングする、等の必要がある。これらの処置の必要性は素子をより複雑にし、素子の作製及びメンテナンスをより煩雑なものとする。
また、水系電解質による課題を避けるため、例えば有機溶媒を用いる場合、揮発した溶媒が生成酸素に混入する。可燃性の有機溶媒と支燃性の酸素ガスが混在するというのは、安全上大きな問題がある。
【0017】
また、空気中の水分が電解質に混入することにより、プロトンは容易に生成されることから、水蒸気を含む空気中では素子の反応効率が不可逆に低下するという問題があった。
また、これを防ぐため、乾燥空気を酸素生成素子に送るには、既知の乾燥空気生成素子を複合させる必要があり、装置が大掛かりで複雑なものとなってしまう。
また、電解質内の水分を除去するには、電解質への乾燥剤の添加や電解質の減圧乾燥等が考えられるが、空気中から水分が連続的に供給される以上、日常的なメンテナンスが必要となり、これらの作業を日常的に行うのは非常に煩雑である。
【0018】
また、酸素生成素子の使用条件は多岐に渡るため、発生した酸素還元体を通過させる電解質層は熱安定性が高いほうが望ましく、電解質層の作製も簡便になるものが望ましい。
また、発生した活性酸素種を効率よく酸化させて酸素気体を得るためには、電極間のイオン伝導度を良好にして内部抵抗値を下げると共に、該活性酸素種が効率よく酸化極側に移動できる環境を整えることが必要である。
【0019】
そこで、上記の問題を解決するため、本原理による酸素生成により適した三次元構造の気体透過性を持つ電極を選択することによって電極面積の増大を図り、電流密度を下げることにより分極抵抗を減少させることと、揮発性が無く空気中の水分を取り込みにくいイオン液体を電解質として用いることと、十分に薄い多孔膜を電極間のセパレータとして用いてイオン液体層を作製し、このそれぞれの面に陰極および陽極を直接配置することで、より低電力にて酸素を生成できる電気化学的酸素生成素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
かかる課題に対して本発明者らは鋭意検討した結果、イオン液体を電解質とし、2つ以上の電極を有し、2つ以上の電極を隔離しイオン液体を含浸・保持する多孔膜から構成される電気化学酸素生成素子において、下記の構造式(I)に示されるビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオンを有するイオン液体を多孔膜に含浸させ、三次元多孔構造を有する電極を陰極および陽極に用いることで、より低電力にて酸素を生成できる電気化学的酸素生成素子を見出した。
【0021】
【化1】

【0022】
本発明では、該陰極および該陽極として、気体透過性を持つ電極を用いることができる。特に三次元的な多孔構造を有する電極を用いることが望ましく、メッシュ状の金属電極の使用が好適であり、気体拡散電極の使用がより好適である。電極の材料としては、金、白金、銀、ニッケル、鉄、タングステン、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、チタン、モリブデン、コバルト、スズ、ビスマス、鉛、亜鉛などの金属あるいはこれらを1つ以上含む合金、あるいはグラッシーカーボン、グラファイト、カーボンブラック、カーボンペースト、カーボンファイバー、活性炭など公知の形態の炭素、あるいは導電性を持つ金属酸化物を用いることができる。活性酸素生成効率の観点、およびビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオンを有するイオン液体の濡れ性の観点から、公知の形態からなる炭素電極を用いることが望ましい。
【0023】
また、疎水性を示すイオン液体を用いることで、空気中の水分が電解質層に混入してプロトンが生成されることを避け、スーパーオキサイドがより安定な系を作ることにより、電極間の抵抗値を低減させることができることを見出した。使用する電解質としては、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオンを有するイオン液体を用いることが望ましい。特開2006−225218号公報に示されたテトラフルオロボレートアニオンを有するイオン液体を用いた方法よりも抵抗値を大きく低減させることができる。
【0024】
該イオン液体のカチオンとしては、プロトン供与性の大きなイオンは好ましくない。すなわち、好適な塩は、アルキルイミダゾリウム塩やアリルイミダゾリウム塩、アルキルピリジニウム塩、トリアルキルフェニルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルフォスフォニウム塩、トリアルキルスルフォニウム塩を1種類以上含んだ塩が望ましい。より好ましくは、カチオンとして、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N-プロピルピペリジニウム、N-ブチル-N-メチルピリジニウム、N-メチル-N-プロピルピリジニウム、N-N-N-トリメチル-N-プロピルアンモニウム、N-N-N-トリメチル-N-ブチルアンモニウム、N-N-N-トリメチル-N-ペンチルアンモニウム、N-N-N-トリメチル-N-ヘキシルアンモニウム、N-N-N-トリメチル-N-オクチルアンモニウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-アリル-3-ブチルイミダゾリウム、1-アリル-3-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1,3-ジアリルイミダゾリウム、1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、N-ヘキシルピリジニウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-オクタデシルイミダゾリウム、3-メチル-1-オクチルイミダゾリウム、メチルトリオクチルアンモニウム、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムを1種類以上含むイオン液体が望ましい。更に、酸素の1電子酸化還元反応の可逆性より、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム、N-メチル-N-プロピルピペリジニウム、N-ブチル-N-メチルピリジニウム、N-メチル-N-プロピルピリジニウムより選ばれることがより望ましい。
【0025】
すなわち、本発明は、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオンを有するイオン液体を電解質とし、該イオン液体を含浸した高分子多孔膜からなるセパレータと、該セパレータに接して設けられた還元極および酸化極を備えた電気化学素子であり、還元極側に酸素を含有する気体供給手段を備え、該還元極において供給気体に存在する酸素を1電子で還元し活性酸素を生成すると共に、酸化極側に気体収集手段を備え、酸化極側において該活性酸素を酸化し高濃度の酸素を生成することを特徴とする電気化学的酸素発生素子を提供する。
【0026】
また、活性酸素にはスーパーオキサイド、1重項酸素、ヒドロキシラジカルなどが含まれるが、ここで言う1電子還元により生成する活性酸素はスーパーオキサイドのことである。
【0027】
また、本発明は、還元極および酸化極における電気化学反応が以下の式(5)で表される酸素の1電子酸化還元反応プロセスを利用したものである。
【数1】

【0028】
上記式で表される反応は電気化学的に可逆な系として知られており、理論的には両極間の電圧が0Vで反応が進行することになる。しかし、実際には電極の活性化電位、電解質および電極の抵抗等が存在するため、駆動電圧は0Vよりも大きな値となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、イオン液体を用いた、少なくとも2つ以上の電極を用いた電気化学素子を構成するに当って、電極間を拡散中のスーパーオキサイドの安定性を良好にするとともに、陰極および陽極において電解質と電極との界面の面積を大きくすることで、高効率で酸素を生成する系を提供することができる。
【0030】
本発明の電気化学的酸素発生素子は、常温作動可能で長期間の安定性に優れたものとするために、電解質にイオン液体を使用することを特徴とする。イオン液体は常温で溶融状態のイオンのみからなる塩であり、水などの溶媒を必要としない液体の塩である。イオン液体は常温で高いイオン伝導性を有し、電気化学的安定性が高く、難燃性、不揮発性のため安全性に優れる。イオン液体の熱安定性については、例えば、シーエムシー出版「イオン液体−開発の最前線と未来−」(大野弘幸 監修)にも記載があり、その熱分解温度は600K以上である。特に、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオンを有するイオン液体において熱安定性は高く、700Kでも安定であることが知られている。すなわち、素子を構成する材料に耐熱性を持たせることによって、100℃以上の環境でも好適に使用できる素子を提供することができる。
【0031】
また、溶媒を使用しないこと、イオン液体自身の蒸気圧が観測限界以下であることから、多孔質媒体などに含浸させて使用した場合であっても蒸発による機能低下の懸念がなく、長期間安定的に使用可能となる。
【0032】
このような、化学的に安定でかつイオン伝導性に優れ、空気中の水分に起因するプロトンを存在させにくいイオン液体支持膜を用いた電気化学素子は、電気化学的に一方の電極で酸素から1電子還元により活性酸素を発生させるための電気化学素子として、スーパーオキサイドが安定に存在することができるという点で好適に使用することができる。
【0033】
また、陰極および陽極としては、気体拡散型の電極を利用することで、原料空気の供給および生成酸素の回収を容易にすると共に、反応面を大きくするという点で好適に使用することができる。
【0034】
また、陰極と陽極を絶縁するとともにイオン液体を含浸保持するセパレータとしては膜厚18μm以上、260μm以下の多孔膜を用いることで、電極間のイオン伝導度を良好にして内部抵抗値を下げると共に、陰極において発生した該活性酸素種が効率よく酸化極側に移動できる環境を整えることができ、過電圧を減少させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の電気化学素子である酸素発生素子の実施態様例を以下の図面を用いて説明する。
【0036】
図1は本発明の一実施形態を例示した概略装置構成図である。イオン液体層11は、多孔質膜をセパレータとしてその空孔内にイオン液体を含浸させる、あるいはイオン液体自身を重合させポリマーとする、あるいはゲル中にイオン液体を含ませる等の手段によって作製することができる。このイオン液体層11の両面には炭素よりなる気体拡散電極121、122が密着される。さらにこの気体拡散電極121、122の外側には、気体拡散電極121、122への電子移動を促進するための集電体131、132が形成される。このような集電体にはアルミニウムやチタン、金、白金、銀、ニッケル、鉄、タングステン、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、チタン、モリブデン、コバルト、スズ、ビスマス、鉛、亜鉛などの金属あるいはこれらを1つ以上含む合金、あるいはこれらの一つ以上の金属をメッキした構造体等、導電性が高く、気体拡散電極を支持できる強度を有し、気体透過性のある金属の構造体が用いられる。例としてはメッシュ状の金属が挙げられる。そして集電体131、132に、端子141、142が接続される。このような構成の電気化学素子の気体拡散電極121側へ、送風ファン16を用いて空気を送る。次いで端子141と142間に、端子141がマイナスとなるように、かつ酸素の1電子還元により活性酸素が生成し、該活性酸素が酸化される電位差を電源15により印加する。空気中の酸素は気体拡散電極121において1電子還元され、イオン液体層11中のイオン液体中に活性酸素を生成させる。この活性酸素はもう一方の気体拡散電極122まで拡散し、そこで酸化され酸素ガスに戻る。これにより生成酸素収集容器17中に酸素が溜まる。この酸素は酸素取出口18より、高濃度酸素19として取出すことができる。
【0037】
[実施例1]
電解質として、下記構造式(II)で示される、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用い、図2に示す実験系を構築した。
【0038】
【化2】

【0039】
すなわち、チタンメッシュからなる支持集電体231上に、還元極となる気体拡散カーボン電極221(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、イオン液体層21、酸化極となる気体拡散カーボン電極222(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、金メッシュからなる集電体232を積層し電極部を構成した。イオン液体層21は、イオン液体の一つであるN-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドをセルロース紙(厚さ:51μm、空孔率:68.8%、ガーレー値:7sec/100cc)に吸収させることで作製した。電極部はゴム製のOリング24を介して塩化ビニル製の2電極式電気化学セル3内に固定した。酸素ボンベ27から酸素を気体拡散電極221側に流した。そして、気体拡散電極222がプラスとなるように、リード端子251、252を介して、電源26を用いて定電流を印加した。印加後、2極の電位が安定するのを待ち、そのときの電位差を記録したところ、図3に示す結果となった。1電子酸化還元反応を用いているため、理論的には、1ファラデーの電子移動で1モルの純酸素が生成される。1リットルの酸素を生成するために必要な電荷量Q(クーロン)は以下のように計算できる。
Q =(p/RT)×F (6)
ここで、pは気体圧力、Rは気体定数、Tは絶対温度、Fはファラデー定数である。
【0040】
単位時間当たりの酸素生成量は単位時間に移動する電荷量、すなわち印加電流に比例するため、図3の横軸は酸素生成量として捉えることができる。一方、縦軸は、横軸に示す電流を陽極と陰極の間に強制的に印加したときの必要電圧であり、グラフの傾きが小さいほど抵抗値が小さく、酸素生成効率が高いことを示す。
【0041】
[実施例2]
電解質として、下記構造式(III)で示される、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用い、図2に示す実験系を構築した。実験方法は実施例1に準じ、図3に示す結果を得た。
【0042】
【化3】

【0043】
[実施例3]
電解質として、下記構造式(IV)で示される、N-メチル-N-ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用い、図2に示す実験系を構築した。実験方法は実施例1に準じ、図3に示す結果を得た。
【0044】
【化4】

【0045】
[実施例4]
電解質として、下記構造式(V)で示される、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用い、図2に示す実験系を構築した。実験方法は実施例1に準じ、図3に示す結果を得た。
【0046】
【化5】

【0047】
[実施例5]
電解質として、前記構造式(II)で示される、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用い、図2に示す実験系を構築した。
【0048】
すなわち、チタンメッシュからなる支持集電体231上に、還元極となる気体拡散カーボン電極221(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、イオン液体層21、酸化極となる気体拡散カーボン電極222(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、金メッシュからなる集電体232を積層し電極部を構成した。イオン液体層21は、イオン液体の一つであるN-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドをポリテトラフルオロエチレン製の多孔膜である(ミリポア社製 オムニポア 厚さ:90μm、空孔率:80%)に吸収させることで作製した。電極部はゴム製のOリング24を介して塩化ビニル製の2電極式電気化学セル3内に固定した。酸素ボンベ27から酸素を気体拡散電極221側に流した。そして、気体拡散電極222がプラスとなるように、リード端子251、252を介して、電源26を用いて定電流を印加した。印加後、2極の電位が安定するのを待ち、そのときの電位差を記録したところ、図3に示す結果となった。
【0049】
[実施例6]
電解質として、前記構造式(II)で示される、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用い、図2に示す実験系を構築した。
【0050】
すなわち、チタンメッシュからなる支持集電体231上に、還元極となる気体拡散カーボン電極221(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、イオン液体層21、酸化極となる気体拡散カーボン電極222(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、金メッシュからなる集電体232を積層し電極部を構成した。イオン液体層21は、イオン液体の一つであるN-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドをガラス繊維多孔膜(WHATMAN社製 ガラス繊維濾紙 GF/C 厚さ:260μm)に吸収させることで作製した。電極部はゴム製のOリング24を介して塩化ビニル製の2電極式電気化学セル3内に固定した。酸素ボンベ27から酸素を気体拡散電極221側に流した。そして、気体拡散電極222がプラスとなるように、リード端子251、252を介して、電源26を用いて定電流を印加した。印加後、2極の電位が安定するのを待ち、そのときの電位差を記録したところ、図3に示す結果となった。
【0051】
[実施例7]
電解質として、前記構造式(II)で示される、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用い、図2に示す実験系を構築した。
【0052】
すなわち、チタンメッシュからなる支持集電体231上に、還元極となる気体拡散カーボン電極221(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、イオン液体層21、酸化極となる気体拡散カーボン電極222(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、金メッシュからなる集電体232を積層し電極部を構成した。イオン液体層21は、イオン液体の一つであるN-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドをポリエチレン微多孔膜(厚さ:18μm、空孔率:50.2%、ガーレー値:88sec/100cc)に吸収させることで作製した。電極部はゴム製のOリング24を介して塩化ビニル製の2電極式電気化学セル3内に固定した。酸素ボンベ27から酸素を気体拡散電極221側に流した。そして、気体拡散電極222がプラスとなるように、リード端子251、252を介して、電源26を用いて定電流を印加した。印加後、2極の電位が安定するのを待ち、そのときの電位差を記録したところ、図3に示す結果となった。
【0053】
[実施例8]
チタンメッシュからなる支持集電体231上に、還元極となる気体拡散カーボン電極221(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、セルロース紙(厚さ:51μm、空孔率:68.8%、ガーレー値:7sec/100cc)を重ね、気体拡散電極222および集電体232に代わり、目開き直径5mmの金メッシュ電極を用いて図2に示す電極系を構築した。次いで、金メッシュ電極が浸るように、イオン液体の一つである前記構造式(II)に記載の、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を注いだ。この工程により、該セルロース紙がイオン液体を吸収し、イオン液体層21として機能するようにした。この手順に従うことにより、セル作製が簡便となる。酸素ボンベ27から酸素をガス拡散電極221側に流した。そして、金メッシュ電極がプラスとなるように、リード端子251、252を介して、定電流電源26を用いて定電流を印加した。印加後、2極の電位が安定するのを待ち、そのときの電位差を記録したところ、図4に示す結果となった。
【0054】
[実施例9]
電解質として、前記構造式(III)に記載の、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用いた。電極系の作製方法および実験方法は実施例8に準じ、図4に示す結果を得た。
【0055】
[実施例10]
電解質として、前記構造式(IV)に記載の、N-メチル-N-ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用いた。電極系の作製方法および実験方法は実施例8に準じ、図4に示す結果を得た。
【0056】
[実施例11]
電解質として、前記構造式(V)に記載の、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(関東化学社製)を用いた。電極系の作製方法および実験方法は実施例8に準じ、図4に示す結果を得た。
【0057】
[比較例]
電解質として、1-エチル-3-メチルテトラフルオロボレート(ステラケミファ社製、純度99%以上)を用い、酸化極となる気体拡散カーボン電極222および集電体232に代わり、酸化極として目開き直径5mmの金メッシュ電極を用い、図2に示す実験系を構築し、実施例8と同様の実験を行った。得られた結果を図3および図4に示す。電解質として、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオンを有するイオン液体を用いた場合に比べて酸素生成のための電圧は大きくなった。特に、0.0002A以上の電流を印加した場合では、電荷キャリアとしてのOが安定していないために酸化極の電流源が不足すると考えられ、時間が経過しても電圧は一定値を示すことはなかった。
【0058】
[酸素生成状況の確認試験]
チタンメッシュからなる支持集電体331上に、還元極となる気体拡散カーボン電極321(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、イオン液体層31、酸化極となる気体拡散カーボン電極322(BASF Fuel Cell Inc.社製 E−Tek LT2500W)、金メッシュからなる集電体332を積層して電極部を構成した。イオン液体層31は、イオン液体の一つであるN-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドを吸収させたセルロース紙(厚さ:51μm、空孔率:68.8%、ガーレー値:7sec/100cc)に吸収させることで作製した。電極部はゴム製のOリング34を介して、塩化ビニル製の2電極式電気化学セル3内に固定した。酸素ボンベ371から酸素ガス381を気体拡散電極321側に1L/minで流した。窒素ボンベ372から窒素ガス383を0.1L/minで流した。なおボンベからの気体流量は公知のフローメータにより観察し、公知のガスレギュレータによって調節した。このとき、酸化極側を通過した窒素ガス384中の酸素濃度を公知の酸素濃度計39によって測定し、酸化極側の空気が窒素に置換されたことを、公知の酸素濃度計39が0.0%を示すことで確かめた。そして、酸化極となる気体拡散カーボン電極322がプラスとなるように、リード端子351、352を介して、定電流電源36を用いて定電流70mAを印加した。このとき、酸化極側を通過したガス中の酸素濃度を公知の酸素濃度計39により計測したところ、酸素濃度が0.0%より0.6%に上昇し、その後は一定値を示した。電流印加停止後、酸素濃度は徐々に低下し、酸素濃度計は再び0.0%を示した。これにより、本発明の電気化学的酸素発生素子が酸素ポンプとして働き、供給側の気体に含まれる酸素ガスを回収側に送ることが可能であることを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の電気化学的酸素発生素子の構成例を示す概略図。
【図2】本発明の電気化学的酸素発生素子の実施例を示す概略図。
【図3】本発明の電気化学的酸素発生素子のより好適な形態による評価結果。
【図4】本発明の電気化学的酸素発生素子の好適な形態による評価結果と比較例の評価結果。
【図5】本発明の電気化学的酸素発生素子において酸素生成を確認した実験図。
【符号の説明】
【0060】
11:イオン液体層
121:気体拡散電極
122:気体拡散電極
131:集電体
132:集電体
141:陰極端子
142:陽極端子
15:電源
16:送風ファン
17:生成酸素収集容器
18:酸素取出し口
19:高濃度酸素
2:酸素生成用2電極式電気化学セル
21:イオン液体層
221:気体拡散電極
222:気体拡散電極
231:集電体
232:集電体
24:Oリング
251:陰極端子
252:陽極端子
26:電源
27:酸素ボンベ
281:反応気体入口
282:未反応気体出口
283:濃縮酸素取出口
3:酸素生成用2電極式電気化学セル
31:イオン液体層
321:気体拡散電極
322:気体拡散電極
331:集電体
332:集電体
34:Oリング
351:陰極端子
352:陽極端子
36:電源
371:酸素ボンベ
372:窒素ボンベ
381:酸素ガス
382:未反応酸素ガス出口
383:窒素ガス
384:回収側の空間を通過したガス
39:酸素センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に難溶なる性質を有するイオン液体を電解質とし、該イオン液体を含浸した多孔質膜からなるセパレータと、該セパレータに接して設けられた陰極および陽極を備えた電気化学素子であり、陰極側に酸素を含有する気体の供給手段を備え、該陰極において供給気体中の酸素を一電子還元し活性酸素を生成すると共に、陽極において該活性酸素を酸化し高濃度の酸素を生成し、該陽極側に気体収集手段を備えた電気化学的酸素発生素子。
【請求項2】
該陽極および該陰極が三次元的な多孔構造を有する電極であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項3】
該陽極および該陰極が炭素よりなる気体拡散電極であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項4】
該イオン液体のアニオンが、下記構造式(I)で示される、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項3に記載の電気化学的酸素発生素子。
【化1】

【請求項5】
該イオン液体のカチオンが、窒素含有芳香族カチオンもしくは脂肪族オニウムもしくは脂環式アミンであることを特徴とする請求項4に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項6】
該イオン液体が、下記の構造式(II)で示される、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項5に記載の電気化学的酸素発生素子。
【化2】

【請求項7】
該イオン液体が、下記の構造式(III)で示される、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項5に記載の電気化学的酸素発生素子。
【化3】

【請求項8】
該イオン液体が、下記の構造式(IV)で示される、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項5に記載の電気化学的酸素発生素子。
【化4】

【請求項9】
該イオン液体が、下記の構造式(V)で示される、N-メチル-N-ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項5に記載の電気化学的酸素発生素子。
【化5】

【請求項10】
該セパレータの厚さが18μm以上、260μm以下であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項11】
該セパレータがセルロースであることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項12】
該セパレータが、ハロゲン化エチレンを含む重合体を基材とする多孔膜であることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項13】
該セパレータがポリテトラフルオロエチレンを含む樹脂からなる多孔膜であることを特徴とする請求項12に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項14】
該セパレータが、ガラス繊維からなる多孔膜であることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項15】
該セパレータが、ポリエチレンの多孔膜であることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項16】
該陰極が炭素よりなる気体拡散電極であり、該陽極が金メッシュ電極であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項17】
該イオン液体のアニオンが、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項16に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項18】
該イオン液体のカチオンが窒素含有芳香族カチオンもしくは脂肪族オニウムもしくは脂環式アミンであることを特徴とする請求項17に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項19】
該イオン液体が、N-N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項18に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項20】
該イオン液体が、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項18に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項21】
該イオン液体が、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項18に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項22】
該イオン液体がN-メチル-N-ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドであることを特徴とする請求項18に記載の電気化学的酸素発生素子。
【請求項23】
該セパレータがセルロースであることを特徴とする請求項16から22の何れかに記載の電気化学的酸素発生素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−138254(P2009−138254A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30689(P2008−30689)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(503369495)帝人ファーマ株式会社 (159)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】