電気化学電池に使用するための液体材料
電気化学電池に使用するプロトン交換膜を形成するのに用いることのできる、加工可能なポリマー電解質を製造するための液体前駆体材料の使用が開示される。また、電気化学電池に使用するためのプロトン交換膜及び電極材料上に整合的に塗布することのできる、加工可能な触媒インク組成物を製造するための液体前駆体材料の使用が開示される。また、マイクロ流体電気化学電池を形成するための光硬化可能なペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料の使用が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年1月23日出願の米国特許仮出願第60/538,706号、2004年1月23日出願の米国特許仮出願第60/538,878号に基づき、その優先権を主張するものであり、そのいずれも全体を参照して本明細書に組み込まれている。
【0002】
(政府の権利)
本発明は、米国海軍研究所(Office of Naval Research)認可番号第N00014210185号、及び契約番号CHE−9876674号の下に、米国科学財団(National Science Foundation)の科学技術センタープログラムによる米国政府の支援を得てなされた。米国政府は本発明に所定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本開示の主題は、電気化学電池に使用される液体材料に関するものである。
【0004】
(略語)
AC = 交流
Ar = アルゴン
℃ = 摂氏度
cm = センチメートル
CSM = 硬化部位モノマー
g = グラム
h = 時間
HMDS = ヘキサメチルジシラザン
IL = インプリントリソグラフ
MCP = マイクロコンタクト印刷
Me = メチル
MEA = 膜電極組立て体
MEMS = マイクロエレクトロメカニカルシステム
MeOH = メタノール
MIMIC = キャピラリ中のマイクロ成型
mL = ミリリットル
mm = ミリメートル
mmol = ミリモル
Mn = 数平均分子量
m.p. = 融点
mW = ミリワット
NCM = ナノコンタクト成型
NIL = ナノインプリントリソグラフ
nm = ナノメートル
Pd = パラジウム
PDMS = ポリジメチルシロキサン
PEM = プロトン交換膜
PFPE = ペルフルオロポリエーテル
PSEPVE = ペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル
PTFE = ポリテトラフルオロエチレン
SAMIM = 溶媒援用マイクロ成型
SEM = 走査電子顕微鏡
Si = ケイ素
TFE = テトラフルオロエチレン
μm = マイクロメートル
UV = 紫外
W = ワット
ZDOL = ポリ(テトラフルオロエチレンオキシド−co−ジフルオロメチレンオキシド)α,ωジオール
【背景技術】
【0005】
(背景)
燃料電池は、携帯装置、車両(ハイブリッド車両を含む)、発電機、及び航空機及び軍事用途のための安全で環境に優しい電気エネルギー源である。しかし、現在の燃料電池技術は、コスト、サイズ、及びバッテリーやガソリン及びジーゼルエネルギーの内燃機関のような現在の電源を置き換える早急な必要性がないため、主要市場に大きな影響を与えなかった。しかし、代替の電源を見出す必要性は長期的に明らかに大きくなっている。例えば、ガソリン及びジーゼルエネルギーの内燃機関の副生成物は環境に有害である。対照的に、燃料電池の副生成物は清浄であり、ある場合には水を含むだけである。
【0006】
さらに、携帯電話、ラップトップ、及び手持ち個人用パーソナルオーガナイザー(personal organizer)などの携帯電子装置はより小さくなり、マイクロ燃料電池などのより小さな電源の必要性は明らかである。しかし、現在の燃料電池技術は、典型的にコスト高な平坦プロトン交換膜(PEM)を含む大きな電池スタックを必要とする。
【0007】
さらに、消費者製品は再充電の必要なしに長期間運転できる電源を要求する。マイクロ燃料電池は典型的に1個の燃料カートリッジでより長く継続するエネルギー出力を提供する。例えば、マイクロ燃料電池に使用される化学燃料は、1回の充電でバッテリーの10倍までの長い時間、装置に動力を供給することを約束する。さらに、エネルギー源が減少しても、単に燃料カートリッジを取り換えることによってエネルギーレベルを再び回復することができる。
【0008】
大部分の燃料電池は、テトラフルオロエチレン(TFE)と、ペルフルオロスルホニルフルオリドエトキシプロピルビニルエーテル(PSEPVE)などのスルホン酸基を含む過フッ化モノマーとのコポリマーを用いる。それらのコポリマーの1種は、NAFION(登録商標)(E.I.duPont de Nemours and Co., Wilmington, Delaware, United States of America)、又は市場で入手可能な類似の材料として入手可能である。これらの材料は、しばしば最終的に膜の形、例えば、後続の使用のために平坦な矩形又は四角い幾何形状を有する非熱可塑性の形で提供される。膜が平坦で平滑であれば、すなわちパターン形成されなければ、触媒層も平坦でなければならない。さらに、それらの膜は典型的に、取り扱いのため少なくともある最小の厚さをもたなければならない。さらに、エネルギー密度又は導電率は、通常膜の厚さに直接比例する。すなわち、膜が厚いほどエネルギー密度は低い。
【0009】
さらに、Luらの論文、Electrochimica Acta, 49, 821-828(2003)は、直接メタノールマイクロ燃料電池に使用するためのケイ素系材料を説明している。ケイ素系直接マイクロ燃料電池は、典型的に高価で製造に時間のかかる硬質の脆い装置である。また、起動バルブをケイ素系材料に組み込むのは、材料の硬い性質のために困難又は不可能である。さらに、Luらの説明したケイ素系直接メタノールマイクロ燃料電池は、活性面積対巨視的面積の比が約1に等しい。
【0010】
また、現在入手可能な燃料電池技術において、電極、プロトン交換膜(PEM)、及び触媒の間に良好な接触を有することは重要である。高エネルギー密度は電極、触媒、及びPEM間の整合性接触に依存する。新しいPEM及び新しい触媒の開発に多くの研究が行われたが、新しい触媒インク組成物に関する開発は少しも研究されなかった。典型的に、従来の触媒インク又は接合層は、白金などの触媒、カーボンブラックなどの電極材料、NAFION(登録商標)の分散物、水、アルコールからなる。
さらに、現在当技術分野で入手可能なPEMは、エネルギー密度とメタノール透過率の妥協点である1当量(EW)からなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、当技術分野には改善された電気化学電池、詳細には小型の携帯電子装置に電力を供給することのできるマイクロ燃料電池が必要であり、同様に、改善された電気化学電池成分が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要旨)
本開示の主題は、燃料電池、クロルアルカリ電池、バッテリー等の電気化学電池に使用するための液体材料を説明する。したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、ポリマー電極用組成物、及びポリマー電解質の製造方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、(a)約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む100%固体の液体前駆体材料を提供すること、及び(b)該液体前駆体材料を処理してポリマー電解質を形成することを含む。
【0013】
いくつかの実施態様において、該100%固体の液体前駆体は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体前駆体材料は、モノマー、オリゴマー、マクロモノマー、イオノマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施態様において、前記モノマー、前記オリゴマー、前記マクロモノマー、及び前記イオノマーの少なくとも1つは官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む。
いくつかの実施態様において、官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料は、下記からなる群から選択される主鎖構造を含む。
【0014】
【化1】
【0015】
式中、Xは存在する又は不在であり、存在するとき、末端キャップ基を含み、nは1〜100の整数である。したがって、いくつかの実施態様において、官能化PFPE材料は、下記からなる群から選択される。
【0016】
【化2】
【0017】
式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールからなる群から選択され、m及びnは各々独立に1〜100の整数である。
いくつかの実施態様において、イオノマーはスルホン酸材料及びリン酸材料からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、スルホン酸材料はスルホン酸材料の誘導体を含む。いくつかの実施態様において、スルホン酸材料の誘導体は、下記式のペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)を含む材料を含む。
【0018】
【化3】
【0019】
式中、qは1〜5の整数である。
いくつかの実施態様において、スルホン酸材料の誘導体は、下記からなる群から選択される材料を含む。
【0020】
【化4】
【0021】
式中、Yは、−SO2F及び−SO3Hからなる群から選択され、
R1は、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、フルオロアルケニル、シアノ、及びニトロからなる群から選択され、
X1は、結合、O、S、SO、SO2、CO、NR2、及びR3からなる群から選択され、
X2は、O、S、及びNR2からなる群から選択され、
R2は水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、かつ
R3はアルキレン、置換アルキレン、アリール、置換アリールからなる群から選択され、
Arはアリール及び置換アリールからなる群から選択され、
Bは1,2−ペルフルオロシクロブチレンであり、
tは1〜3の整数であり、
mは0〜1000の整数であり、
pは1〜1000の整数であり、かつ
qは1〜5の整数である。
【0022】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、100%固体の液体前駆体材料を含むポリマー電解質を提供し、該100%固体の液体前駆体材料は約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む。
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、パターン形成ポリマー電解質の製造方法を提供し、該方法は、
(a)液体前駆体材料を、予め定めた幾何形状及び巨視的表面領域を含むパターン基板に接触させること、及び
(b)液体前駆体材料を処理してパターン形成ポリマー電解質を形成することを含む。
【0023】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料はプロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施態様において、該パターン形成ポリマー電解質は、該パターン基板の巨視的表面領域よりも大きな表面領域を有する。
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、複数の当量を含むポリマー電解質の製造方法を提供し、該方法は、
(a)第1の当量を有する第1の液体前駆体材料を基板に塗布すること、
(b)第1の液体前駆体を処理して、基板上に、処理された液体前駆体材料の第1の層を形成すること、
(c)第2の当量を有する第2の液体前駆体材料を、該基板上の処理された液体前駆体材料の第1の層に塗布すること、及び
(d)第2の液体前駆体材料を処理して複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含む。
【0024】
いくつかの実施態様において、この方法は複数の当量を含む予め定めた複数の液体前駆体材料でステップ(c)から(d)を繰り返して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含む。
いくつかの実施態様において、該第1の液体前駆体材料、該第2の液体前駆体材料、及び該複数の液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該第1の当量は、該第2の当量よりも大きい。いくつかの実施態様において、該第2の当量は、該複数の当量よりも大きい。したがって、該ポリマー電解質の断面に当量の勾配が提供される。
【0025】
また、本開示の主題は、膜電極組立て体(MEA)の形成方法を提供する。いくつかの実施態様において、膜電極組立て体(MEA)の形成方法は、
(a)パターン形成プロトン交換膜を提供すること、
(b)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること、
(c)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること、及び
(d)該プロトン交換膜、該第1及び第2の触媒材料、並びに該第1及び第2の電極材料を、導電連絡を保って動作可能に配置して、膜電極組立て体を形成することを含む。
【0026】
いくつかの実施態様において、該第1の触媒材料及び該第2の触媒材料の少なくとも一方は、加工可能な触媒インク組成物を含む。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は、液体前駆体材料を含む。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は、プロトン交換膜及び電極材料のいずれか、又は両方に整合させて塗布される。
【0027】
いくつかの実施態様において、本開示の膜電極組立て体の形成方法は、
(a)第1の電極材料を提供すること、
(b)第2の電極材料を提供すること、
(c)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間に間隙が形成されるように、第1の電極材料と第2の電極材料を空間的に配置すること、
(d)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間の間隙に液体前駆体材料を配置すること、及び
(e)該液体前駆体材料を処理して膜電極組立て体を形成することを含む。
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0028】
また、本開示の主題は、電気化学電池の形成方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、
(a)少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む少なくとも1層のペルフルオロポリエーテル(PFPE)を提供すること、
(b)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること、
(c)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること、
(d)プロトン交換膜を提供すること、及び
(e)該少なくとも1層のPFPE材料、該第1の電極材料、該第2の電極材料、該第1の触媒材料、該第2の触媒材料、及び該プロトン交換膜を動作可能に配置して電気化学電池を形成することを含む。
【0029】
さらに、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、電気化学電池の運転方法を提供する。したがって、本開示の電気化学電池は、携帯発電機、携帯電気器具、電気工具などを非制限的に含む携帯電子装置、消費者電子装置及び軍用電子装置、鉄道又は交通信号、予備電源供給などの電子装置、自動車などの個人用車両を運転するのに使用することができる。
【0030】
したがって、本開示の主題の目的は、電気化学電池に使用される新規な液体材料を提供することである。この目的及び他の目的は、本開示の主題によって完全に又は部分的に達成される。
本開示の主題の目的を上述したが、本明細書で以下に最善に説明される添付の図面及び実施例と共に説明を進めるとき、他の態様及び目的が明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(詳細な説明)
本開示の主題は、燃料電池、クロルアルカリ電池、及びバッテリーなどの電気化学電池における液体材料の使用を説明する。したがって、本開示の主題は、当量の勾配を含むプロトン交換膜を含んで、電気化学電池に使用するためのプロトン交換膜などのポリマー電解質を製造するための液体材料を説明する。また、本開示の主題は、パターン膜及び電極を組み込んだ改良された電気化学電池技術も説明する。さらに、本開示の主題は、膜電極組立て体を製造するための液体材料を説明し、電気化学電池成分間の整合的な接触の強化が示される。したがって、本開示の主題は、電気化学電池に使用される加工可能な液体触媒インク組成物を製造するための液体材料も説明する。さらに、本開示の主題は、マイクロ直接メタノール及び水素燃料電池などの電気化学電池に使用されるマイクロ流体装置を作製するための光硬化可能なペルフルオロポリエーテルを説明する。また、本開示の主題は、電気化学電池の運転方法も説明する。
【0032】
ここで、代表的な実施態様が示される添付の実施例及び図面を参照して、本開示の主題を以下でより完全に説明する。しかし、本開示の主題は異なる形態で実施することができ、本明細書中に記載した実施態様に制限されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施態様は、本開示が十分で完全であり、当業者に実施態様の範囲を完全に伝達するために提供される。
【0033】
特に定義されないかぎり、本明細書中に用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本明細書に開示される主題が属する分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書中で述べられる全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体を参照して本明細書に組み込まれている。
本明細書及び請求項を通じて、与えられた化学式又は名称は、全ての光学異性体、立体異性体、並びにそれらの異性体及び混合物が存在するラセミ体混合物を包含するものである。
【0034】
(I 液体前駆体材料)
本開示の主題は、液体であり、加工可能で注入可能な前駆体材料、すなわち、異なる形状に形成することができ、異なる形状に整合することができ、表面積の大きなPEMの製造に使用することのできる前駆体材料を説明する。本明細書で以下にさらに詳細に提供されるように、いくつかの実施態様において、液体前駆体材料はパターン基板、例えば、型によってパターン形成することができ、処理して(固体へ硬化することなどであるが制限されない)パターンPEMを形成することができる。
【0035】
本明細書中に用いられる用語「100%固体の液体前駆体材料」は、処理されるとき、例えば硬化されるとき本質的に成分の全てが重合する、液体ポリマー前駆体材料を指す。したがって、いくつかの実施態様において、「100%固体の液体前駆体材料」には、本質的に非重合性材料がない。「100%固体の液体前駆体材料」の特性は、液体材料が約80重量%〜約98重量%の溶媒又は他の非重合性材料を含むことのできる当技術分野に知られる液体前駆体材料の溶液又は分散物から、この材料を区別する。例えば、イオン交換膜の製造に当技術分野で通常用いられる過フッ化液体組成物の1種は、約2重量%〜約18重量%のポリマー材料と、約82重量%〜約98重量%の非重合性溶媒を含む。その全体を参照して本明細書に組み込まれているGrotらの米国特許第4,433,082号を参照されたい。
【0036】
したがって、いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約70重量%〜約75重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約75重量%〜約80重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約80重量%〜約85重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約85重量%〜約90重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約90重量%〜約95重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約95重量%〜約98重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約98重量%〜約100重量%の重合性材料を含む。したがって、いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む。
【0037】
さらに、いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、フッ化物系を含む。いくつかの実施態様において、フッ化物系はペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む。いくつかの実施態様において、該PFPE材料は、ビニルメタクリラートを非制限的に含むビニル官能化材料を含む。
【0038】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、プロトン伝導率を高めるペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)などのビニル酸を含む化学種を含む。本明細書中で用いられる用語「プロトン伝導性材料」は、その中にプロトンを移動することのできる材料を指す。例えば、いくつかの実施態様において、プロトンはアノードからプロトン伝導性材料を経由してカソードへ移動することができる。プロトン伝導率は、例えば、当技術分野で知られた交流(AC)インピーダンス法によって測定することができ、典型的にジーメンス/cm(S/cm)の単位で記録される。それらのプロトン伝導性材料は典型的に約0.01S/cmを超えるプロトン伝導率を有する。
【0039】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、中でもモジュラス、メタノール及び他の液体の透過率、濡れ性、引っ張り強さ、靭性、可撓性、熱的特性を含む材料の物理特性を制御する他の化学種を含む。本明細書に開示する液体前駆体材料を製造するための例示的合成方法については実施例1〜6を参照されたい。
したがって、いくつかの実施態様において、ポリマー電解質の製造方法は、
(a)約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む100%固体の液体前駆体材料を提供すること、及び
(b)該100%固体の液体前駆体材料を処理してポリマー電解質を形成することを含む。
【0040】
いくつかの実施態様において、該100%固体の液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。
いくつかの実施態様において、該100%固体の液体前駆体材料は、モノマー、オリゴマー、マクロモノマー、イオノマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。
【0041】
本明細書中で用いられる用語「モノマー」は、重合を行うことができ、それによって構成単位、すなわち原子、原子群、及び/又は複数の原子群を巨大分子又はポリマーの本質的な構造に寄与させる分子を指す。用語「オリゴマー」は中間の相対分子質量の分子を指し、その構造はより低い相対分子質量の分子から誘導された少量の複数の構成単位を含む。用語「マクロモノマー」は、マクロモノマーがモノマーとして働き、最終巨大分子又はポリマー鎖へのモノマー単位に寄与することのできる反応性末端基を含む巨大分子又はポリマーを指す。用語「イオノマー」は、複数の構成単位がイオン化可能な基、イオン基、及びそれらの組合せを含む巨大分子を指す。
【0042】
いくつかの実施態様において、該モノマー、該オリゴマー、該マクロモノマー、及び該イオノマーの少なくとも1つは、官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む。いくつかの実施態様において、該官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料は、下記からなる群から選択される主鎖構造を含む。
【0043】
【化5】
【0044】
式中、Xは存在する又は不在であり、存在するとき、末端キャッピング基を含み、nは1〜100の整数である。
いくつかの実施態様において、該官能化PFPE材料は、下記からなる群から選択される。
【0045】
【化6】
【0046】
式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、m及びnは各々独立に1〜100の整数である。
いくつかの実施態様において、官能化PFPEは下記の構造を有する。
【0047】
【化7】
【0048】
いくつかの実施態様において、該イオノマーはスルホン酸材料及びリン酸材料からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該イオノマーは、スルホン酸基、スルホン酸基の誘導体、カルボン酸基、カルボン酸基の誘導体、ホスホン酸基、ホスホン酸基の誘導体、リン酸基、リン酸基の誘導体、及び/又はそれらの組合せを含む。
いくつかの実施態様において、該スルホン酸材料はスルホン酸材料の誘導体を含む。いくつかの実施態様において、スルホン酸材料は、下記式のペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)を含む材料を含む。
【0049】
【化8】
【0050】
式中、qは1〜5の整数である。
いくつかの実施態様において、スルホン酸材料の誘導体は、下記からなる群から選択される材料を含む。
【0051】
【化9】
【0052】
式中、Yは、−SO2F及び−SO3Hからなる群から選択され、
R1は、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、フルオロアルケニル、シアノ、及びニトロからなる群から選択され、
X1は、結合、O、S、SO、SO2、CO、NR2、及びR3からなる群から選択され、
X2は、O、S、及びNR2からなる群から選択され、
R2は水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、かつ
R3はアルキレン、置換アルキレン、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、
Arはアリール及び置換アリールからなる群から選択され、
Bは1,2−ペルフルオロシクロブチレンであり、かつ
tは1〜3の整数であり、
mは0〜1000の整数であり、
pは1〜1000の整数であり、かつ
qは1〜5の整数である。
いくつかの実施態様において、Yは−SO2Fである。いくつかの実施態様において、Yは−SO3Hである。
【0053】
したがって、いくつかの実施態様において、該イオノマーは、NAFION(登録商標)(E.I.duPont de Nemours and Co., Wilmington, Delaware, United States of America)又はXUS(登録商標)(Dow Chemical Company, Midland, Michigan, United States of America)、ACIPLEX(登録商標)(Asahi Chemical Industry Co., Tokyo, Japan)BAM3G(登録商標)(Ballard Advanced Materials, Burnaby, British Columbia, Canada)を含むが、これらに制限されるものではない類似の材料などの市場で入手可能な酸材料、又は、Maoらの米国特許第6,559,237号に記載される酸官能化ペルフルオロシクロブタンポリマー、及びHamrockらの米国特許第6,833,412号に記載される酸官能化フルオロポリマーを含む(これらの各々はその全体を参照して本明細書に組み込まれている)。
【0054】
本明細書中で用いられる用語「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ブタジエニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、及びアレニル基を含む、線状(すなわち「直鎖」)、分岐、又は環状、飽和又は少なくとも部分的に、場合によって完全に不飽和(すなわち、アルケニル及びアルキニル)炭化水素鎖を含むC1〜20を指す。「分岐した」は、メチル、エチル、又はプロピルなどの低級アルキル基が線状アルキル鎖に付着しているアルキル基を指す。「低級アルキル」は、1〜約8個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個の炭素原子を有するアルキル基(すなわち、C1〜8アルキル)を指す。「高級アルキル」は、約10〜約20個の炭素原子、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有するアルキル基を指す。ある実施態様において、「アルキル」は特にC1〜8直鎖アルキルを指す。他の実施態様において、「アルキル」は特にC1〜8分岐鎖アルキルを指す。
【0055】
アルキル基は、同じ又は異なっていてよい1以上のアルキル基置換基で任意選択で置換することができる。用語「アルキル基置換基」はアルキル、ハロ、アリールアミノ、アシル、ヒドロキシル、アリールオキシル、アルコキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシル、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、オキソ、及びシクロアルキルを含むが、これらに制限されるものではない。アルキル鎖に沿って1以上の酸素、硫黄、又は置換された若しくは置換されていない窒素原子を任意に挿入することができ、窒素置換基は水素原子、低級アルキル(本明細書では「アルキルアミノアルキル」とも言う)、又はアリールである。
【0056】
「環状」及び「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子、例えば、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子の非芳香族の単環又は多環式系を指す。シクロアルキル基は、任意に部分的不飽和とすることができる。また、シクロアルキル基は本明細書で定義されるアルキル基置換基、オキソ、及び/又はアルキレンで任意に置換することができる。環状アルキル鎖に沿って、1以上の酸素、硫黄、又は置換若しくは非置換窒素原子を任意に挿入することができ、窒素置換基は、水素原子、低級アルキル、又はアリールであり、したがってヘテロ環式基を提供することができる。代表的な単環式シクロアルキル環は、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルを含む。多環式シクロアルキル環は、アダマンチル、オクタヒドロナフチル、デカリン、カンファー、カンファン、ノラダマンチルを含む。
【0057】
「アルキレン」は、1〜20個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の二価の脂肪族炭化水素基を指す。アルキレン基は直鎖、分岐鎖、又は環状とすることができる。また、アルキレン基は、任意に不飽和とすることができ、かつ/又は1以上の「アルキル基置換基」で置換することができる。アルキレン基に沿って、1以上の酸素、硫黄、又は置換若しくは非置換窒素原子(本明細書では「アルキルアミノアルキル」とも呼ぶ)を任意に挿入することができ、窒素置換基は前述のアルキルである。例示的アルキレン基は、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2−CH2−)、プロピレン(−(CH2)3−)、シクロヘキシレン(−C6H10−)、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)q−N(R)−(CH2)r−を含み、q及びrの各々は、独立に0〜約20の整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20であり、Rは、水素原子又は低級アルキル、メチレンジオキシ(−O−CH2−O−)、エチレンジオキシ(−O−(CH2)2−O−)である。アルキレン基は、約2〜約3個の炭素原子を有することができ、さらに6〜20個の炭素を有することができる。
【0058】
用語「アリール」は、本明細書中、単一芳香族環、又は互いに融合し、共有結合し、若しくはメチレン又はエチレン部などの共通基に結合した複数の芳香族環とすることができる芳香族置換基を指すように用いられる。また、共通の結合基は、ベンゾフェノン中のカルボニル、又はジフェニルエーテル中の酸素、又はジフェニルアミン中の窒素とすることができる。用語「アリール」は、特にヘテロ環芳香族化合物を含む。芳香族環は、中でも、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、及びベンゾフェノンを含むことができる。特別の実施態様において、用語「アリール」は、約5〜約10個の炭素原子、例えば、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を含み、かつ5員及び6員炭化水素及びヘテロ芳香族環を含む環状芳香族を意味する。
【0059】
該アリール基は、同じ又は異なることのできる1以上のアリール置換基で任意に置換することができ、「アリール置換基」は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、アラルキルオキシル、カルボキシル、アシル、ハロ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルオキシル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールチオ、アルキルチオ、アルキレン、及び−NR’R”(R’及びR”は、各々独立に、水素原子、アルキル、アリール、及びアラルキルとすることができる)を含む。
【0060】
アリール基の具体的な例は、シクロペンタジエニル、フェニル、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、ピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、ピラジン、トリアジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、インドール、及びカルバゾール等を含むが、これらに制限されるものではない。
用語「アリーレン」は、芳香族環上の2個の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって単環式芳香族炭化水素又は多環式芳香族炭化水素から誘導された2価の基を指す。「アリーレン」基の例は、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、及び1,4−フェニレンを含むが、これらに制限されるものではない。
【0061】
本明細書に用いられる用語「置換されたアルキル」、「置換されたシクロアルキル」、「置換されたアルキレン」、「置換されたアリール」、及び「置換されたアリーレン」は、アルキル、アルキレン、アリール、又はアリーレン基の1以上の原子又は官能基が、例えば、ハロゲン、アリール、アルキル、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、スルファート、及びメルカプトを含む他の原子又は官能基で置換された、本明細書に定義したアルキル基、アルキレン基及びアリール基を含む。
【0062】
「アルコキシル」又は「アルコキシアルキル」は、アルキル−O−基を指す(アルキルは前に説明した)。本明細書に用いられる用語「アルコキシル」は、例えば、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシル、ブトキシル、t−ブトキシル、ペントキシルを含んで、直鎖状、分岐、又は環状、飽和若しくは不飽和のオキソ炭化水素鎖を含むC1〜20を指すことができる。
本明細書に用いられる用語「ハロ」、「ハライド」、又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード基を指す。
用語「ヒドロキシル」は−OH基を指す。
用語「ヒドロキシアルキル」は−OH基で置換されたアルキル基を指す。
用語「ニトロ」は−NO2基を指す。
【0063】
いくつかの実施態様において、前駆体材料の処理は、(a)硬化工程、(b)化学的修飾工程、(c)網目形成工程、及び(d)それらの組合せからなる群から選択される工程を含む。いくつかの実施態様において、該硬化工程は熱工程、光化学工程、及び照射工程からなる群から選択される工程を含む。いくつかの実施態様において、該照射工程は液体前駆体材料を放射線で照射することを含み、該放射線はガンマ線、及び電子ビームからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該化学修飾工程は架橋工程を含む。ペルフルオロポリエーテル材料を含むフルオロポリマーの放射線分解法は、その全体を参照して本明細書に組み込まれているJ. S. Forsytheらの論文、Prog. Polym. Sci., 25, 101-136 (2000)に提供される。
【0064】
さらに、Maoらの公開PCT国際出願第WO99/61141号は、(a)懸垂酸ハライド基を有するポリマーを2個以上の酸ハライド基に結合する架橋剤で架橋すること、又は(b)懸垂アミド基を有するポリマーを2個以上のアミド基と結合する架橋剤で架橋することによって、プロトン交換膜などのイオン伝導性膜に使用するのに適した架橋したポリマーの製造方法を説明する。また、Buchiらの論文、J. Electrochem. Soc., 142 (9), 3004 (1995)は、ジビニルベンゼンの添加によって重合中に架橋した、架橋ポリオレフィン−ポリスチレンコポリマーをスルホン化することによって製造したプロトン交換膜を開示する。Helmer-Metsmannらの米国特許第5,438,082号は、スルホン化芳香族ポリエーテルケトンを、アミン官能基を含む架橋剤で架橋する方法を開示する。さらに、Ehrenbergらの米国特許第5,468,574号、及びGrahamらの公開PCT国際特許出願番号第WO97/19,480号は、ある種のスルホン化ポリマーが加熱によりスルホン酸基間で直接結合を形成するであろうことを開示するが、この方法は、スルホン酸基を犠牲にし、それによって膜中の酸度の損失を招く。上述の特許、刊行物、及び公開特許出願はその全体を参照して本明細書に組み込まれている。
【0065】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、上に定義した100%固体の液体前駆体材料を含むポリマー電解質を提供し、100%固体の液体前駆体材料は、約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む。
いくつかの実施態様において、本開示のポリマー電解質は当量を有し、該当量は、約1500未満〜約1000を超える当量、約1000未満〜約800を超える当量、約800未満〜約500を超える当量、及び約500以下の当量からなる群から選択される。
さらに、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、100%固体の液体前駆体から製造されたポリマー電解質を含む電気化学電池を提供する。いくつかの実施態様において、電気化学電池は燃料電池、クロル−アルカリ電池、及びバッテリーからなる群から選択される。
【0066】
さらに、NAFION(登録商標)及び他のPEM材料は、相対湿度値が高いとき、例えば約90%を超えるとき最善に機能する。NAFION(登録商標)等の材料中へのアルコールの組み込みは、材料をより親水性にし、これはより低い相対湿度での良好な伝導性、及び/又はより高温での水損失の低減をもたらす。一例は図11に示され、NAFION(登録商標)等の材料を酢酸ビニルで重合する方法を提供する。単純な加水分解反応によって酢酸塩はアルコールに変換され、プロトン伝導性化合物上にスルホン酸基が得られる。材料上の後フッ素化は過フッ素化材料の化学的及び熱安定性を提供することができる。
【0067】
NAFION(登録商標)における他の制約は、その低い酸含有量である。TEF/PSEPVEコポリマーに組み込まれるPSEPVEの割合を増加することによって酸含有量を増加(当量の低下)させると、重合中にβ切断反応を起すフッ化ビニルエーテルの性質のために分子量が低下するので、NAFION(登録商標)の酸含有量は、現在商業グレードで入手可能なものよりも大きくすることができない。その全体を参照して本明細書に組み込まれているRomack, T.J., and Desimone, J.M.の論文、Macromolecules, 28, 8429-8431 (1995)を参照されたい。したがって、NAFION(登録商標)の酸含有量が増加すると、該ポリマーの分子量は減少し、機械的特性が低くなる。それらの線状で低分子量の、酸含有量の高いNAFION(登録商標)等の材料は膜形成品質が悪く、許容することのできない水溶性になる。NAFION(登録商標)の製造に用いられる化学反応におけるこの制約によって、市場の供給者達は、非常に高いプロトン伝導率に必要な高い酸含有量を十分含まないグレードのNAFION(登録商標)を販売せざるを得ない。実際に、最も広く研究された商業グレードのNAFION(登録商標)は、当量が1100であり、プロトン伝導率は完全に水和された室温状態で僅かに0.083S/cmである。その全体を参照して本明細書に組み込まれている、Mauritz, K.A. and Moore, R.B.の論文、Chem. Rev., 104, 4535-4585 (2004)を参照されたい。本開示の材料は、これらの欠点に対処して、より高い伝導率を有し、より熱安定性があり、より選択性があり、より機械的に堅牢であり、膜特性の独立制御が可能なモジュール設計を組み込む新しいPEMを生み出す。
【0068】
いかなる特定の理論にも拘束されずに、本開示の材料における高い伝導率は、NAFION(登録商標)で作用するものとは基本的に異なるプロトン伝導機構によるものと考えられる。多くの報告(例えば、Mauritz, K.A. and Moore, R.B.の論文、Chem. Rev., 104, 4535-4585 (2004)参照)によれば、NAFION(登録商標)の形態学はTeflon等のマトリックス中に埋め込まれた酸基の孤立したクラスターとして考えることができる。プロトンは、該クラスター内の酸基から酸基へ飛び移ることができるが、プロトンが巨視的にPEMを横断して移動するためには、ヒドロニウムイオンの形で親水性チャンネルを経由してクラスター中の1個の酸から次の酸へ移動しなければならない。すなわち、NAFION(登録商標)のプロトン伝導率を高くするためには、閾値量の水の存在が必要要件である。NAFION(登録商標)のプロトン伝導率を高くするために水和しなければならないこの必要要件は、水の沸点以上の温度でNAFION(登録商標)系燃料電池を使用する実際の実施上の障害である。(Mauritz, k.A. and Moore, R.B., Chem. Rev., 104, 4535-4585 (2004)参照)。再び、いかなる特定の理論にも拘束されずに、架橋PEMへの本開示の液体前駆体において達成可能な非常に高い酸含有量は、酸基が互いにプロトンの跳躍距離内にある連続体になると考えられる。このように、商業グレードのNAFION(登録商標)、又は新しく出現する当量>550の任意の他のPEM材料において、水含有量を要求することなく、プロトンは巨視的に膜を通って移動することができる。
【0069】
要約すれば、本開示の材料は、自動車用途、並びに例えば電子装置用の携帯電源などの従来の電気化学電池用途に用いることができる。いくつかの実施態様において、本開示の材料は、高温において改善された機械的安定性を示す。いくつかの実施態様において、本開示の材料は、メタノールなどのアルキルアルコールの透過率が低くなる。いくつかの実施態様において、本開示の材料は、より低い相対湿度での電気化学電池性能の向上、及びプロトン交換膜の親水性の向上を提供する。
【0070】
(II パターン形成プロトン交換膜の製法方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題はパターン形成プロトン交換膜の製造方法を提供する。それらの一実施態様は図1A〜1Bに提供される。
ここで、図1Aを参照すると、パターン基板、例えば型100が提供される。型100は、無機材料、有機材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施態様において、型100は、予め定めた幾何形状102を有し、予め定めた幾何形状102は巨視的領域104を有する。例えば、図1Aに示すように、予め定めた幾何形状102は、第1平坦面108を有する矩形基板106を含み、第1平坦面108は、図1Aに第1平坦面108から展延する複数のペグとして示される複数の構造形状110をさらに含む。
【0071】
さらに、当業者であれば本開示を検討することによって理解するであろうように、複数の構造形状110は、ペグ、溝付きペグ、円筒形、パターン、壁、及び一体化された表面(図示されない)を非制限的に含む任意の形をとることができる。したがって、本開示の方法によって作られるプロトン交換膜は、様々な幾何形状に作ることができ、多くの通路を有することができ、及び/又は制御された、又は可変表面領域を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施態様において、本開示の方法によって製造されるプロトン交換膜は、「巨視的表面」領域よりも大きな「活性表面」領域を有する。したがって、いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的領域104よりも大きな表面領域112を有する複数の構造110を含む。いくつかの実施態様において、複数の構造110は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも約2倍〜約100倍の範囲の表面領域112を有する。いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも2倍の表面領域112を有する複数の構造110を含む。いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも5倍の表面領域112を有する複数の構造110を含む。いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも20倍の表面領域112を有する複数の構造110を含む。いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも80倍の表面領域112を有する複数の構造110を含む。
【0073】
ここで図1A及び1Bを参照すれば、液体前駆体材料114は型100に接触する。液体前駆体材料114は上に開示した任意の液体前駆体材料を含むことができ、すなわち、液体前駆体材料はプロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せを含むことができる。液体前駆体材料114は処理工程Trによって処理されて図1Bに示す処理された液体前駆体材料116を形成する。
【0074】
いくつかの実施態様において、処理工程Trは、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、溶媒蒸発工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される工程を含む。いくつかの実施態様において、硬化工程は熱工程、光化学工程、及び照射工程からなる群から選択される工程を含む。さらに、いくつかの実施態様において、照射工程は液体材料を放射線で照射することを含み、放射線はガンマ線、及び電子ビームからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、化学修飾工程は架橋工程を含む。
【0075】
ここで図1Bを参照すれば、処理された液体前駆体材料116は型100から取り外されて、型100の複数の構造形状110に対応する複数の構造形状120を含む自立のプロトン交換膜118を提供する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は10mm未満の寸法122を有する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は1mm未満の寸法122を有する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は100μm未満の寸法122を有する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は10μm未満の寸法122を有する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は1μm未満の寸法122を有する。言い換えれば、いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120を含む個々の構造は、約10mm未満〜約1μm未満の範囲の寸法の高さ、及び/又は約10nm〜約1μm未満の範囲の寸法の幅を有することができる。
【0076】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題はパターン形成ポリマー電解質の製造方法を提供し、この方法は、
(a)液体前駆体材料を、予め定めた幾何形状及び巨視的表面領域を含むパターン基板に接触させること、及び
(b)液体前駆体材料を処理してパターン形成ポリマー電解質を形成することを含む。
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。
【0077】
いくつかの実施態様において、該パターン基板は、無機材料、有機材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。
いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状は、非平坦幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、該非平坦幾何形状は、約10mm未満〜約1mm以上の寸法、約1mm未満〜約100μm以上の寸法、約100μm未満〜10μm以上の寸法、約10μm未満〜約1μm以上の寸法、及び約1μm未満の寸法からなる群から選択される予め定めた寸法を有する形状を含む。
【0078】
いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状は、1層の触媒層及び膜電極組立て体を含む電極材料によって画定される。いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状は、膜電極組立て体によって画定される。いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状は、パターン、ペグ、壁、交互嵌合表面、及び巻き取り円筒からなる群から選択される構造を含む。
【0079】
いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状はパターン基板の巨視的表面領域よりも大きな表面領域を有する構造を含む。いくつかの実施態様において、構造はパターン基板の巨視的表面領域の少なくとも約2倍〜約100倍の範囲の表面領域を有する。
いくつかの実施態様において、液体前駆体材料の処理は、(a)硬化工程、(b)化学的修飾工程、(c)網目形成工程、(d)溶媒蒸発工程、及び(e)それらの組合せからなる群から選択される工程を含む。
【0080】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は本開示の方法によって製造されるパターン形成プロトン交換膜を提供する。いくつかの実施態様において、該パターン形成プロトン交換膜は、約1500未満〜約1000を超える当量、約1000未満〜約800を超える当量、約800未満〜約500を超える当量、及び約500以下の当量からなる群から選択される当量を有する材料を含む。
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、本開示のパターン形成プロトン交換膜を含む電気化学電池を提供する。いくつかの実施態様において、電気化学電池は燃料電池、クロル−アルカリ電池、及びバッテリーからなる群から選択される。
【0081】
本開示の方法によって製造されるプロトン交換膜の一例は図2A及び2Bに提供され、それぞれ、鮫肌パターンを有するプロトン交換膜(PEM)の加水分解前の走査電子顕微鏡写真、及び鮫肌パターンを有するプロトン交換膜(PEM)の加水分解後の走査電子顕微鏡写真を示す。鮫肌パターンは、実施例7に説明するようにして製造された。この特定の例の鮫肌パターン、すなわち直前に上で説明した構造の形状サイズは、幅約2μm、高さ約8μmである。鮫肌パターンを利用することによって、パターンPEMの表面領域は、同じ巨視的寸法の平坦なパターン形成されないPEMの表面領域よりも約5倍大きい。図2Aにおいて走査電子顕微鏡写真が示すように、本開示の方法によって高い再現性の構造形状が得られる。さらに、図2Bにおいて走査電子顕微鏡写真が示すように、パターンはPEMの加水分解の後膨潤するが構造形状はやはり明らかである。
【0082】
いくつかの実施態様において、型100の予め定めた幾何形状、例えば、図1Aの要素102、したがってその中に形成されるPEMの幾何形状は、以下で図10に提供されるように、触媒結合層及び/又は膜電極組立て体の電極材料によって画定される。さらに、本開示の液体前駆体材料、例えば図1Aの液体前駆体材料114は液体であるので、注ぐことが可能である。したがって、液体前駆体材料114は電極材料によって画定される構造などの既存の構造中に注ぐことができる。
【0083】
例えば、ここで図3A及び3Bを参照すれば、第1の電極材料300及び第2の電極材料302は、間隙304がその間に形成されるように空間的に動作可能に配置される。液体前駆体材料306は間隙304中に注がれる。液体前駆体材料306は上で開示した任意の液体前駆体材料を含むことができる。次いで、液体前駆体材料306は処理工程Trによって処理され、プロトン交換膜308を形成し、いくつかの実施態様において、第1の電極材料300と第2の電極材料302の間の機能的な位置に留まる。したがって、いくつかの実施態様において、液体前駆体材料、例えば306は、予め構成された空洞、例えば第1の電極材料300と第2の電極材料302の間に形成された間隙304中に直接注入され、処理工程Trが続く。
【0084】
再び図3A及び3Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、液体前駆体材料306が間隙304中に注がれる前に、第1の電極材料300は第1の触媒材料310で被覆され、第2の電極材料302は第2の触媒材料312で被覆される。
いくつかの実施態様において、プロトン交換膜308は1種の当量を有する材料を含み、当量は、約1500未満で約1000を超える当量、約1000未満で約800を超える当量、約800未満で約500を超える当量、及び約500以下の当量からなる群から選択される。完全に水和された状態で異なる当量を有する本開示の液体材料から製造された代表的なPEM導電率は、図4〜8に提供される。
【0085】
(III 当量の勾配を含むポリマー電解質の製造方法)
さらに、本明細書に開示される液体前駆体材料の合成方法を変化させて、組成物の勾配を生成させ、本開示のPEMの特性を微調整し性能を改善することができる。典型的に、現在のPEMは、エネルギー密度とメタノール透過率の兼ね合いをもたらす1つの特性である1種の当量(EW)を有する材料を含む。例えば、NAFION(登録商標)系の高当量PEMはメタノールの透過率がより低い。しかし、それらの材料は比較的導電率が低い。低EWのPEMは、比肩し得る成分のより高いEW材料のものより高い導電率値を与えるが、メタノール透過率が高くなり、エネルギー密度が劇的に低下する。
【0086】
本開示の主題は当量の勾配を有するPEMを提供する。本明細書に開示するEWの勾配で、両方の領域(メタノール透過率及び導電率)における最適の性能を得ることができる。例えば、より高いEWを有する材料をアノードに使用することによってメタノール透過率の低いPEMが提供されるが、PEMの断面全体により低いEWを有する材料を含むことはより高いエネルギー密度を提供する。
【0087】
ここで図9Aを参照すれば、複数の液体材料902を有するプロトン交換膜900が開示される。この実施態様において、複数の液体材料902は複数の液体材料902a〜902fを含む。いくつかの実施態様において、液体材料902a〜902fは、高ガラス転移温度(Tg)のNAFION(登録商標)等の材料を含む。しかし、液体材料902a〜902fは高Tg材料に制限されず、いくつかの実施態様において、液体材料902a〜902fはフッ化又は過フッ化エラストマー系材料、又は本明細書に開示される任意の材料を含む。
【0088】
いくつかの実施態様において、各液体材料、例えば、902a、902b、902c、902d、902e、及び902fは異なる当量(例えば、それぞれEWa、EWb、EWc、EWd、EWe、及びEWf(図示されない))を有する。本明細書に用いられる用語「当量」は、酸官能基1当量を含む酸性材料の質量を指す。したがって、本明細書に開示されるポリマー電解質の当量は、ポリマー電解質中の酸基当量数をポリマー電解質の重量で除したものである。さらに、本明細書に用いられる用語「異なる当量」は他の当量、例えばEWbから約50g/モル異なる当量、例えばEWaを指す。例えば、約800の当量は約750の当量とは異なると考えられる。
【0089】
再び図9Aを参照すれば、アノード904に最も近接している液体材料、すなわち層902aは、液体材料902b〜902fに比べてより高いEWを有する。いくつかの実施態様において、液体材料902a〜902fの当量は、EWa>EWb>EWc>EWd>EWe>EWfの傾向に従い、カソード906に最も近接している液体材料902fは最も低い当量を有する。
【0090】
いくつかの実施態様において、液体材料902a、902b、902c、902d、902e、及び902fの少なくとも1つは1500以下の当量を有する。いくつかの実施態様において、液体材料902a、902b、902c、902d、902e、及び902fの少なくとも1つは1000以下の当量を有する。いくつかの実施態様において、液体材料902a、902b、902c、902d、902e、及び902fの少なくとも1つは800以下の当量を有する。いくつかの実施態様において、液体材料902a、902b、902c、902d、902e、及び902fの少なくとも1つは500以下の当量を有する。完全に水和された状態で異なる当量を有する本開示の液体材料から製造される代表的PEMの導電率は、図4〜8に提供される。
【0091】
ここで図9Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、アノード904でのPEM900のメタノール透過率を低下させるために、高EW液体材料、例えば当量EWaを有する902aが、基板、例えばアノード904上に、例えば塗布又はスピンコートされて配置され、アノード904上に液体材料902aの層を形成し、続いて処理工程Trで処理して処理された液体材料908aを形成する。処理された液体材料908aは、より低いEWの液体材料、例えば当量EWbを有する902bで被覆され、次いでこれは処理されて処理された液体材料908b(図示されない)を形成する。この手順を必要なだけ繰り返して、当量の勾配、例えばEWa〜EWfを含むPEM900を形成する。したがって、いくつかの実施態様において、処理された液体材料、例えばカソード906に最も近接している908f(図示されない)は、最も低いEW、例えばEWfを有する。したがって、本開示の方法は、アノード904でのメタノール透過率を低下させ、PEM900の断面を通るプロトン移動を容易に増加させて促進することができる。
【0092】
したがって、いくつかの実施態様において、PEM900は複数のポリマー電解質層を含み、複数のポリマー電解質層は、第1の当量を有する材料を含む第1ポリマー電解質の少なくとも第1の層と、第2の当量を有する材料を含む第2ポリマー電解質の少なくとも第2の層とを含む。いくつかの実施態様において、複数のポリマー電解質層は当量の勾配を含む。
【0093】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は複数の当量を含むポリマー電解質の製造方法を提供し、該方法は、
(a)第1の当量を有する第1の液体前駆体材料を基板に塗布すること、
(b)該第1の液体前駆体材料を処理して基板上に処理された液体前駆体材料の第1の層を形成すること、
(c)第2の当量を有する第2の液体前駆体材料を、該基板上の処理された液体前駆体材料の第1の層に塗布すること、及び
(d)該第2の液体前駆体材料を処理して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含む。
【0094】
いくつかの実施態様において、該第1の液体前駆体材料及び該第2の液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該第1の当量は、第2の当量よりも大きい。
いくつかの実施態様において、該基板は、アノード及びカソードからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該第1の液体前駆体材料、該第2の液体前駆体材料、及び該複数の液体前駆体材料の処理は、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、溶媒蒸発工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0095】
いくつかの実施態様において、該方法は、ステップ(c)〜(d)を、複数の当量を含む予め定めた複数の液体前駆体材料で繰り返して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含み、該複数の液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該第2の当量は、該複数の当量よりも大きい。
【0096】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、本開示の方法によって製造される複数の当量を含むポリマー電解質を提供する。いくつかの実施態様において、本開示の主題は、当量の勾配を含む本開示のポリマー電解質を含む電気化学電池を提供する。いくつかの実施態様において、電気化学電池は燃料電池、クロル−アルカリ電池、及びバッテリーからなる群から選択される。
本開示のプロトン交換膜の性能は、中でも、導電率、エネルギー密度、耐久性、及び寿命を測定することによって評価することができる。
【0097】
(IV 膜電極組立て体(MEA)の製造方法)
本開示の主題は、膜電極組立て体(MEA)の製造方法も提供する。いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の製造方法は、本明細書に説明される液体前駆体材料を用いる加工可能な触媒インク組成物の製造を含む。さらに、いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の製造方法は、本開示の方法によって製造されるプロトン交換膜を提供すること、プロトン交換膜を加工可能な触媒インク組成物で被覆して被覆されたプロトン交換膜を形成することを含み、かついくつかの実施態様において、該被覆されたプロトン交換膜に、電極材料を塗布することを含む。
【0098】
(IV.A 加工可能な触媒インク組成物の製造方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題は加工可能な触媒インク組成物の製造方法を説明し、この方法は、
(a)液体前駆体材料を提供すること、及び
(b)該液体前駆体材料を触媒と混合して加工可能な触媒インク組成物を形成することを含む。
【0099】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、液体ペルフルオロポリエーテル材料を含む。いくつかの実施態様において、該液体ペルフルオロポリエーテル材料は、末端基を含み、該末端基は硬化後化学的に安定である。いくつかの実施態様において、該化学的に安定な末端基は、アリール末端基及びフッ化ビニルエーテル末端基の1種から選択される。いくつかの実施態様において、該アリール末端基は、スチレニル末端基を含む。
いくつかの実施態様において、該方法は、液体前駆体材料をビニルモノマーなどのモノマー及び架橋剤と混合することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該ビニルモノマーはプロトン伝導性化学種を含む。いくつかの実施態様において、該プロトン伝導性化学種は酸性材料及び酸性材料への前駆体の1種から選択される。
【0100】
いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は、触媒を含む。いくつかの実施態様において、該触媒は、白金、ルテニウム、モリブデン、クロム、及びそれらの組合せからなる群から選択される金属を含む。いくつかの実施態様において、該触媒は、白金触媒及び白金合金触媒の1種から選択される。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は電極材料を含む。いくつかの実施態様において、該電極材料はカーボンブラックを含む。
【0101】
いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物の処理を含む。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物の処理は、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、溶媒蒸発工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される処理工程を含む。
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、本明細書に説明される方法によって製造される加工可能な触媒インク組成物を提供する。
【0102】
(IV.B 加工可能な触媒インク組成物を基板へ塗布する方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、加工可能な触媒インク組成物を基板へ塗布する方法を提供する。いくつかの実施態様において、該基板は電極材料を含む。いくつかの実施態様において、該基板はプロトン交換膜を含む。
ここで図10Aを参照すれば、いくつかの実施態様において、直前に上で説明した加工可能な触媒インク組成物1000は電極材料1002上に塗布される。いくつかの実施態様において、電極材料1002はカーボン布を含む。いくつかの実施態様において、電極材料1002はカーボン紙を含む。続いて、加工可能な触媒インク組成物1000は、処理工程Trによって処理されて触媒結合層(図示されない)を形成し、電極材料1002との良好な接触を提供する。
【0103】
ここで図10Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、直前に上で説明した加工可能な触媒インク組成物1000はパターン形成プロトン交換膜1004に塗布される。続いて、加工可能な触媒インク組成物1000は処理工程Trによって処理されて触媒結合層(図示されない)を形成し、プロトン交換膜1004との良好な接触を提供する。
電極1002及びプロトン交換膜1004の1種又は両方を塗布するために用いられる方法は、化学気相成長法(CVD)、電子噴霧、電場堆積、rf−プラズマ強化CVD、火炎噴霧堆積、インクジェット印刷、又はパルスレーザー堆積を含む群から選択することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物の処理を含む。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物の処理は、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、溶媒蒸発工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される処理工程を含む。
【0104】
本開示の主題は、異なる膜電極組立て体に使用するために独立に実施することができる。すなわち、1つの膜電極組立て体において、本開示の主題は電極材料を被覆するのに用いることができるが、他の膜電極組立て体において、本開示の主題はプロトン交換膜を被覆するのに用いることができる。さらに、これらの方法の両方とも、例えばそれぞれ図10A及び10Bに説明した方法は、同じ膜電極組立て体の製造に用いることができる。
【0105】
(IV.C プロトン交換膜の整合的被覆方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、加工可能な触媒インク組成物及び電極材料の少なくとも1種でプロトン交換膜を整合的に被覆する方法を提供する。「整合的な被覆」は、例えば該加工可能な触媒インク組成物及び/又は電極材料の被覆が、例えば、プロトン交換膜の形状と導電的に接触し、それによって、その形状の幾何形状に整合することを意味する。
【0106】
ここで図11Aを参照すれば、いくつかの実施態様において、パターンPEM1100は加工可能な触媒インク組成物1102で整合的に被覆され、続いて、カーボンブラックなどの電極材料1104で被覆され、電極材料1104の平坦面1106を形成する。いくつかの実施態様において、加工可能な触媒インク組成物1102は、次いで処理工程Trによって処理される。膜電極組立て体(図示されない)に動作可能に配置されるとき、該電極材料の平坦化被覆は、該膜電極組立て体が少なくとも一方の側に平坦表面を有することを可能にする。
【0107】
ここで図11Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、パターンPEM1100は加工可能な触媒インク組成物1102で整合的に被覆され、続いて、電極材料1104で被覆されて、電極材料1104の整合性表面1108を形成する。いくつかの実施態様において、加工可能な触媒インク組成物1102は、次いで処理工程Trによって処理される。
ここで図11Cを参照すれば、いくつかの実施態様において、パターンPEM1100は加工可能な触媒インク組成物1102で整合的に被覆されて、加工可能な触媒インク組成物1102の平坦表面1110を形成する。このステップに続いて電極材料1104で被覆されて、電極材料1104の平坦面1106を形成する。いくつかの実施態様において、加工可能な触媒インク組成物1102は、次いで処理工程Trによって処理される。膜電極組立て体(図示されない)に動作可能に配置されるとき、該電極材料の平坦化被覆は、該膜電極組立て体が少なくとも一方の側に平坦表面を有することを可能にする。
【0108】
したがって、いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物をプロトン交換膜及び電極材料の少なくとも1種に整合的に塗布することを含む。
例として、電子噴霧堆積技術を用いて触媒で整合的に被覆されたパターンPEM走査電子顕微鏡写真を図12A及び12Bに示す。さらに、蒸着堆積技術を用いて触媒で整合的に被覆されたパターンPEM走査電子顕微鏡写真を図13に示す。これらの各PEMの製造は実施例8に説明される。
【0109】
(IV.D 膜電極組立て体(MEA)の製造方法)
本開示の主題は、膜電極組立て体の製造方法を提供する。いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の製造方法は、プロトン交換膜の製造、加工可能な触媒インク組成物の製造、加工可能な触媒インク組成物の基板上への塗布、及びプロトン交換膜の整合的被覆の少なくとも1つの本開示の方法を含む。
【0110】
したがって、いくつかの実施態様において、膜電極組立て体の形成方法は、
(a)本明細書に説明される液体前駆体材料から製造されたプロトン交換膜を提供すること、
(b)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること、
(c)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること、及び
(d)該プロトン交換膜、該第1及び第2の触媒材料、並びに該第1及び第2の電極材料を、導電連絡を保って動作可能に配置して、膜電極組立て体を形成することを含む。
【0111】
ここで図14Aを参照すれば、本開示の膜電極組立て体の形成方法の一実施態様が提供される。図14Aの参照を続ければ、プロトン交換膜1400が提供される。いくつかの実施態様において、プロトン交換膜1400は図14Aに示した三次元幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、第1の触媒材料1402及び第2の触媒材料1404はプロトン交換膜1400と整合的に接触させる。第1の電極材料1406は、第1の触媒材料1402と整合的に接触させる。第2の電極材料1408は、第2の触媒材料1404と接触させる。いくつかの実施態様において、第1の電極材料1406及び第2の電極材料1408は平坦な幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、膜電極組立て体の部品は処理工程Trによって処理され、部品間の良好な接触と機械的な安定性を提供することができる。
【0112】
したがって、本開示の主題は、三次元プロトン交換膜及び整合的に触媒装填された二次元電極を含む電極組立て体を提供する。三次元とは、例えば、プロトン交換膜が平坦表面から展延する形状を含むことを意味する(例えば、図1Bの複数の構造形状120を参照されたい)。二次元とは、例えば、電極材料がプロトン交換膜と導電連絡する平坦表面を含むことを意味する(例えば、図14Aの第1の電極材料1406及び第2の電極材料1408を参照されたい)。
【0113】
ここで図14Bを参照すれば、プロトン交換膜1400が提供される。いくつかの実施態様において、プロトン交換膜1400は図14Bに示した三次元幾何形状を含み、三次元幾何形状は複数の窪み1410を含む。いくつかの実施態様において、第1の触媒材料1412及び第2の触媒材料1414は窪み1410内に動作可能に配置される。第1の電極材料1406は、第1の触媒材料1412と整合的に接触させる。第2の電極材料1408は、第2の触媒材料1414と整合的に接触させる。いくつかの実施態様において、第1の電極材料1406及び第2の電極材料1408は平坦な二次元の幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の部品は、処理工程Trによって処理され、部品間の良好な接触と機械的な安定性を提供することができる。したがって、本開示の主題は、三次元プロトン交換膜及び非整合的に触媒を装填した二次元電極を含む膜電極組立て体を提供する。
【0114】
ここで図15を参照すると、プロトン交換膜1500が提供される。いくつかの実施態様において、プロトン交換膜1500は複数の窪み1502を含む三次元幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、第1の触媒材料1504及び第2の触媒材料1506はプロトン交換膜1500と整合的に接触する。いくつかの実施態様において、第1の電極材料1508は窪み1502内に配置され、第1の触媒材料1504と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第2の電極材料1510は窪み1502内に配置され、触媒材料1506と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の部品は、処理工程Trによって処理され、部品間の良好な接触と機械的な安定性を提供することができる。したがって、本開示の主題は、三次元プロトン交換膜及び整合的に触媒を装填した三次元電極材料を含む三次元膜電極組立て体を提供する。
【0115】
いくつかの実施態様において、該プロトン交換膜、例えば図14A及び14Bの1400、図15の1500は、本明細書に説明される方法によって実施される。いくつかの実施態様において、該プロトン交換膜は、液体前駆体材料を2個の電極材料、例えば図15の第1の電極材料1508と第2の電極材料1510の間に動作可能に配置し、次いで液体前駆体材料を処理することによって形成される。
【0116】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、膜電極組立て体の製造方法を提供し、この方法は、
(a)第1の電極材料を提供すること、
(b)第2の電極材料を提供すること、
(c)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間に間隙が形成されるように、該第1の電極材料と該第2の電極材料とを空間的に配置すること、
(d)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間の間隙に液体前駆体材料を配置すること、及び
(e)該液体前駆体材料を処理して膜電極組立て体を形成することを含む。
【0117】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料はプロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
いくつかの実施態様において、この方法は、
(a)該第1の電極材料を第1の触媒材料に接触させること、
(b)該第2の電極材料を第2の触媒材料に接触させること、及び
(c)該第1の電極材料と該第2の電極材料とが互いに面し、該第1の電極材料と該第2の電極材料との間に間隙が形成されるように、該第1の電極材料と該第2の電極材料とを空間的に配置することを含む。
【0118】
さらに、いくつかの実施態様において、該第1の触媒材料及び該第2の触媒材料の少なくとも1種は、加工可能な触媒インク組成物を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物を該プロトン交換膜に塗布することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物を、該第1及び第2の電極材料の少なくとも1種に塗布することを含む。いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物を該プロトン交換膜、及び該第1の電極材料と該第2の電極材料との少なくとも1種に塗布することを含む。
【0119】
いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は、化学気相成長(CVD)工程、電子噴霧工程、電場堆積工程、rf−プラズマ強化CVD工程、火炎噴霧堆積工程、インクジェット印刷工程、及びパルスレーザー堆積工程を非制限的に含む群から選択される工程によって塗布される。
【0120】
いくつかの実施態様において、該電極材料は、カーボン布、カーボン紙、カーボンブラックからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該電極材料はパターン電極材料を含む。
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、本明細書に説明される方法によって製造される膜電極組立て体(MEA)を提供する。
【0121】
いくつかの実施態様において、その内部に電極材料が動作可能に配置される電気化学電池のエネルギー密度を増加させるため、該電極材料、例えば、カーボン布、カーボン紙、及び/又はカーボンブラックを処理してその表面積を増加させる。ここで図16を参照すれば、電極材料1600が提供される。電極材料1600は、従来のリソグラフ技術(図示されない)を用いてパターン形成して、又は電子ビーム、例えば図16のエッチング剤EAを用いて直接パターン形成して、パターン電極材料1602を形成することができる。いくつかの実施態様において、電極材料1600は、例えば、電子ビームリソグラフに用いるためのフォトレジスト1604をさらに含むことができる。いくつかの実施態様において、例えば酸素反応性イオンエッチングなどのプラズマエッチングに用いるために、マスク1606を提供することができる。
【0122】
したがって、いくつかの実施態様において、該電極材料は、
(a)リソグラフ工程、
(b)直接電子ビーム工程、
(c)フォトレジストを用いる電子ビームリソグラフ工程、
(d)マスクを用いるプラズマエッチング工程
を非制限的に含む群から選択される工程によってパターン形成される。
いくつかの実施態様において、プラズマエッチング工程は酸素反応性イオンエッチング工程を含む。
【0123】
(V. 電気化学電池の形成方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、燃料電池などの電気化学電池の形成方法を提供する。ここで図17Aを参照すれば、プロトン交換膜1700が提供される。プロトン交換膜1700は本明細書に説明される方法によって本開示の液体前駆体材料から製造することができる。プロトン交換膜1700は、第1の触媒材料1702と第2の触媒材料1704の間に動作可能に配置され接触する。いくつかの実施態様において、第1の触媒材料1702及び第2の触媒材料1704は、各々独立に白金、ルテニウム、モリブデン、クロム、及びそれらの組合せからなる群から選択される金属を含む。
【0124】
図17Aの参照を続ければ、第1の触媒材料1702は第1の電極材料1706と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第1の電極材料1706は第1表面1706a及び第2表面1706bを含む。したがって、いくつかの実施態様において、第1表面1706aと第2表面1706bとの少なくとも1種は、第1の触媒材料1702と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第1表面1706aと第2表面1706bとの少なくとも1種は、第1の触媒材料1702で被覆される。いくつかの実施態様において、第1表面1706aと第2表面1706bとの少なくとも1種は、第1の触媒材料1702で含浸される。
【0125】
図17Aの参照を続ければ、第2の触媒材料1704は、第2の電極材料1708と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第2の電極材料1708は、第1表面1708a及び第2表面1708bを含む。したがって、いくつかの実施態様において、第1表面1708aと第2表面1708bとの少なくとも1種は、第2の触媒材料1704と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第1表面1708aと第2表面1708bとの少なくとも1種は、第2の触媒材料1704で被覆される。いくつかの実施態様において、第1表面1708aと第2表面1708bとの少なくとも1種は、第2の触媒材料1704で含浸される。
【0126】
図17Aの参照を続ければ、したがって、膜電極組立て体1710は、プロトン交換膜1700、第1の触媒層1702、第1の電極材料1706、第2の触媒層1704、及び第2の電極材料1708を動作可能に配置することによって形成される。膜電極組立て体1710は、燃料電池などの電気化学電池中に動作可能に配置される。
図17Aの参照を続ければ、第1外部層1712及び第2外部層1714が提供される。いくつかの実施態様において、第1外部層1712及び第2外部層1714は本明細書に説明されるペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料から構成される。第1外部層1712は、複数のマイクロ流体チャンネル1716をさらに含み、そこを通して燃料F1を導入することができ、第2外部層1714は、複数のマイクロ流体チャンネル1718をさらに含み、そこを通して燃料F2を導入することができる。
【0127】
いくつかの実施態様において、第1の電極材料1706はアノードを含み、燃料F1と流体連絡し、F1は、いくつかの実施態様において、アノード燃料を含む。いくつかの実施態様において、アノード燃料、例えば燃料F1はH2、アルカン、アルキルアルコール、ジアルキルエーテル、及びグリコールからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルカンは、メタン、エタン、プロパン、及びブタンからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、メタノールを含む。いくつかの実施態様において、該ジアルキルエーテルは、ジメチルエーテルを含む。いくつかの実施態様において、該グリコールは、エチレングリコールを含む。
【0128】
いくつかの実施態様において、第2の電極材料1708は、カソードを含み、燃料F2と流体連絡し、F2はいくつかの実施態様において、カソード燃料を含む。いくつかの実施態様において、該カソード燃料、例えば燃料F2は空気などの酸素(O2)含有ガスを含む。いくつかの実施態様において、該カソード燃料は、空気/水混合物を含む。
いくつかの実施態様において、該電気化学電池は、少なくとも1個の電気的出力接続Eoを含む。
【0129】
ここで図17Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1716は、少なくとも1個の入口開口1720を含む。いくつかの実施態様において、入口開口1720は、燃料源1722と流体連絡する。いくつかの実施態様において、燃料源1722は、燃料F1を含む。いくつかの実施態様において、燃料F1はアノード燃料及びカソ−ド燃料からなる群から選択される。
図17Bの参照を続ければ、いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1718、は少なくとも1個の入口開口1724を含む。いくつかの実施態様において、入口開口1724は、燃料源1726と流体連絡する。いくつかの実施態様において、燃料源1726は、燃料F2を含む。いくつかの実施態様において、燃料F2は、アノード燃料及びカソ−ド燃料からなる群から選択される。
【0130】
いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1716は出口開口1728を含む。いくつかの実施態様において、出口開口1728は、燃料再循環チャンネル1730と流体連絡する。いくつかの実施態様において、出口開口は、廃棄物排出口1732と流体接続する。
いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1718は出口開口1734を含む。いくつかの実施態様において、出口開口1734は燃料再循環チャンネル1736と流体連絡する。いくつかの実施態様において、出口開口は廃棄物排出口1738と流体接続する。
【0131】
いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1716は複数のバルブ、例えば、1740a、1740b、1740cを含む。いくつかの実施態様において、複数のバルブ、1740a、1740b、1740cは、圧力駆動バルブ(図示されない)を含む。いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1718は複数のバルブ、例えば、1742a、1742b、1742cを含む。いくつかの実施態様において、複数のバルブ、1740a、1740b、1740cは、圧力駆動バルブ(図示されない)を含む。
いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1716及び複数のマイクロ流体チャンネル1718は、各々マイクロ流体チャンネル(図示されない)の網目を含む。
【0132】
いくつかの実施態様において、マイクロ流体装置はソフトリソグラフ工程によって製造される。本明細書に用いられる用語「ソフトリソグラフ」は、弾性体スタンプを用いることによってマイクロメートル及びマイクロメートル以下の形状が基板に転写される工程を指す。ソフトリソグラフは、約100nmより小さな形状寸法を製造するために、従来のフォトリソグラフ工程の代替として出現した。本明細書に用いられる用語「ソフトリソグラフ」は、インプリントリソグラフ(IL)、レプリカ成型、マイクロコンタクト印刷(MCP)、キャピラリ中のマイクロ成型(MIMIC)、溶媒援用マイクロ成型(SAMIM)を非制限的に含むいくつかの工程を包含する。
【0133】
ここで図18A〜18Cを参照すれば、複数のマイクロ流体チャンネルを含むペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料の層を形成する本開示の方法の一実施態様の概要が示される。隆起した突起1804を含むパターン表面1802を有する基板1800が示される。したがって、基板1800のパターン表面1802は、パターンの形状を形成する少なくとも1個の隆起した突起1804を含む。いくつかの実施態様において、基板1800のパターン表面1802は、複雑なパターンを形成する複数の隆起した突起1804を含む。
【0134】
図18Bで最善に見えるように、ポリマー前駆体1806は基板1800のパターン表面1802に配置される。ポリマー前駆体1806はペルフルオロポリエーテル(PFPE)を含むことができる。図18Bに示すように、ポリマー前駆体1806は、処理工程Tr、例えば紫外光での照射によって処理されて、図18Cに示すように、光硬化したペルフルオロポリエーテルのパターン層1808を形成する。
【0135】
図18Cに示すように、光硬化したペルフルオロポリエーテルのパターン層1808は、パターン層1808の底部表面に形成された窪み1810を含む。窪み1810の寸法は、基板1800のパターン表面1802の隆起した突起1804の寸法に一致する。いくつかの実施態様において、窪み1810は少なくとも1個のチャンネル1812を含み、本開示の主題のいくつかの実施態様において、マイクロ規模のチャンネルを含む。パターン層1808は基板1800のパターン表面1802から除去されてマイクロ流体装置1814を生成する。したがって、いくつかの実施態様において、該ソフトリソグラフ工程は、液体前駆体材料をパターン基板、例えばシリコンウェーハと接触させることを含む。いくつかの実施態様において、該工程は、該液体前駆体材料を処理して架橋ポリマーを形成することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該処理工程は、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0136】
いくつかの実施態様において、該工程は、該架橋ポリマーを該基板から除去し、それによって所望のパターンの「スタンプ」を作ることをさらに含む。
ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)弾性体材料は、典型的にそれらのマイクロ流体装置に用いられる。しかし、該PDMS材料の膨潤は、マイクロメートルサイズの形状を崩壊させるため、直接メタノール燃料電池及び他の有機液体を含む燃料電池におけるその使用を制限する。さらに、該PDMS材料は典型的に酸及び塩基に不安定でもある。
【0137】
本開示の主題は、光硬化可能なPFPE材料を使用することによって、PDMS弾性体に伴う上記問題を全体的に又は部分的に対処する。いくつかの実施態様において、該PFPE材料は、フッ素化した官能化PFPE材料を含み、いくつかの実施態様において、液状の粘度を有し、典型的なフルオロポリマーの化学的抵抗性を示す堅牢な弾性体に硬化することができる。
【0138】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は硬化したPFPE系材料を含む。いくつかの実施態様において、該硬化方法は、遊離ラジカル硬化方法を含む。いくつかの実施態様において、該遊離ラジカル硬化方法は、該PFPE樹脂に他のモノマー及びマクロモノマーを加えることをさらに含む。該PFPE樹脂に他のモノマー及びマクロモノマーを加えることは、モジュラス、曲げ強度、濡れ特性、透過率、接着、反応性を非制限的に含む物理的特性を制御可能にする。
【0139】
(VI. 電気化学電池の運転方法)
また、本開示の主題は、燃料電池などの電気化学電池の運転方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、
(a)少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む少なくとも1層のペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む電気化学電池を提供すること、
(b)第1の電極反応物及び第2の電極反応物を該電気化学電池中に分配すること、及び
(c)該電気化学電池から電気出力を発生することを含む。
いくつかの実施態様において、該電気化学電池のプロトン交換膜は、本明細書に説明される液体前駆体材料から製造されたポリマー電解質を含む。
【0140】
いくつかの実施態様において、該第1の電極反応物は、H2、アルカン、アルキルアルコール、ジアルキルエーテル、及びグリコールからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルカンは、メタン、エタン、プロパン、及びブタンからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、及びヘキサノールからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、メタノールを含む。いくつかの実施態様において、該ジアルキルエーテルは、ジメチルエーテルを含む。いくつかの実施態様において、該グリコールは、エチレングリコールを含む。いくつかの実施態様において、該第2の電極反応物は空気などの酸素(O2)含有ガスを含み、いくつかの実施態様において、空気/水混合物を含む。
【0141】
いくつかの実施態様において、該方法は、電気化学電池によって発生した電気的出力を取り出すことを含む。いくつかの実施態様において、該電気的出力は約100ミリワット〜約20ワットの範囲である。
いくつかの実施態様において、該電気化学電池の運転方法は、装置に電気的エネルギーを供給することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該装置は、据置型の装置を含む。いくつかの実施態様において、該据付装置は、発電機を含む。いくつかの実施態様において、該装置は、携帯装置を含む。いくつかの実施態様において、該携帯装置は、携帯発電機、携帯電気器具、電気工具、電子装置、鉄道又は交通信号、予備電源供給、個人用車両からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該電子装置は、消費者電子装置及び軍用電子装置の1種から選択される。いくつかの実施態様において、該装置は、自動車装置を含む。
【実施例】
【0142】
(実施例)
以下の実施例は、本開示の主題の代表的な実施態様を実施する当業者に手引きを提供するために含まれている。本開示及び当技術分野の一般的な水準に照らして、当業者であれば、以下の実施例が単なる例示を意図するものであり、本開示の主題の範囲から逸脱することなく多くの変化、修正、及び変更を加えることができることを認識できる。
【0143】
(実施例1)
(架橋可能なPFPE液体前駆体の合成)
実施例1.1 スチレン結合を有する架橋可能なPFPE液体前駆体の合成
ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ジフルオロエチレンオキシド)α,ωジオール(ZDOL)(PFPE、平均Mn=約3800g/モル)鎖の両端に、界面反応によってスチレン結合を加える。典型的な合成において、PFPE(20g、5.26ミリモル)、ソルカン(10mL)、及び硫酸水素テトラブチルアンモニウム(1.0g、2.95ミリモル)を丸底フラスコ中に加える。KOH(10g、0.18モル)を脱イオン水(20mL)に溶解し、次いで、水性KOH溶液を丸底フラスコに加える。4−ビニルベンジルクロリド(2mL、12.8ミリモル)を加えた後、反応混合物を45℃で48時間激しく攪拌する。生成物を0.22μmフィルターに通して、得られる褐色固体を取り除く。次いで、溶液を脱イオン水で3回抽出し、カーボンブラックと共に1時間攪拌してあらゆる不純物を除去する。混合物を0.22μmのフィルターを通してカーボンブラックを除去し、室温で真空乾燥して溶媒を除去する。得られる生成物(S−PFPE)は透明で高粘度の液体である。
【0144】
実施例1.2 官能性PFPEの合成及び光硬化
官能性PFPEの合成及び光硬化の代表図スキームを、スキーム1に提供する。
【0145】
【化10】
【0146】
実施例1.3 代表的ペルフルオロポリエーテル
本開示の主題のペルフルオロポリエーテル材料は、以下の主鎖構造を含むペルフルオロポリエーテル材料を非制限的に含む。
【0147】
【化11】
【0148】
(実施例2)
(架橋系の合成)
実施例2.1 概論
強酸と多官能性モノマーは、遊離ラジカル又は異なる化学反応機構によって架橋する。多官能性モノマーは、強酸とすることができ、少なくとも2種の官能性を有することができる。電気化学電池用途のためのこれらの架橋系に用いることのできる強酸の一例は、ペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)である。強酸又は多官能性モノマーとして機能することのできる他の超酸は、スルホンイミド系化合物である。
【0149】
強酸と多官能性モノマーを、アルゴン下、必要に応じてフッ素化又は過フッ素化溶媒と一緒に丸底フラスコ中で混合する。2種の化合物の割合は所望の架橋密度及び当量で変化する。温度及び反応時間などの反応条件は、特定の化合物及び混合の容易さに応じて変化させることができる。
【0150】
該反応混合物を含む液体前駆体をガラススライド又は型などのパターン基板上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。該液体前駆体は、UV光による照射で化学的に又は窒素パージ下で熱的に架橋する。化学的な架橋の機構は、使用される開始剤に依存する。架橋網目が製造されると、塩基及び酸を用いる加水分解によってあらゆる残りの伝導性部位が酸に変換し、プロトン伝導性を高める。
【0151】
実施例2.2 フッ化ジビニルエーテルとしての多官能性モノマー
非伝導性の二官能性モノマーは、強酸と反応すると機械的に安定なプロトン伝導性網目をもたらす。4,4’−ビス(4−トリフルオロビニルオキシ)ビフェニル(化合物1)などの2個以上の官能性を有する市場で入手可能な化合物をPSEPVEなどの強酸と反応させる。液体前駆体の状態で、該反応混合物は表面/型の形状を持ち、不活性雰囲気中で、開始剤の添加によって遊離ラジカル的、熱的、又は光化学的に架橋する。
【0152】
【化12】
【0153】
実施例2.3 トリス(トリフルオロビニル)ベンゼンとしての多官能性モノマー
液体前駆体は、架橋機構が実現可能であれば、パターン形成に適している。三官能性モノマーでの遊離ラジカル硬化は、強酸で硬化されるとき、プロトン伝導性に利用可能な化学的に架橋した網目を提供する。三官能性モノマーの一例は、トリス(α,β,β−トリフルオロビニル)ベンゼン(化合物2)であり、1,3,5−トリブロモベンゼンを用いて調製される(スキーム2参照)。また、スキーム2の出発物質は、強酸による後続の架橋のための三官能性モノマーを代表することができる。強酸の一例は、PSEPVEである。液体前駆体状態の反応混合物は実施例2.2に説明されるようにして架橋することができる。
【0154】
【化13】
【0155】
実施例2.4 フッ化ジビニルエーテルスルホンイミドとしての多官能性モノマー
二官能性マクロモノマーは、超酸でもあり、PSEPVEなどの他の強酸と反応して伝導性の高い機械的に安定な網目が得られる。液体前駆体の形で、この反応は架橋前に任意の型の形状を取る。後続の架橋は表面積の大きい伝導性の高い膜をもたらす。二官能性マクロモノマーとして用いられる超酸の一例は、ビス(PSEPVE系)スルホンイミド(化合物3)であり、スルホンイミドの化学反応によって調製される(スキーム3及び4参照)。該反応混合物は、実施例2.2に説明した条件下で硬化することができる。
【0156】
【化14】
【0157】
実施例2.5 フッ化ビスビニルエーテルジスルホンイミドとしての多官能性モノマー
PSEPVEなどの強酸とジスルホニルフルオリドを用いて、この架橋可能な超酸モノマー(化合物4、スキーム6)を得るスルホンイミド化学反応を用いて、ビスビニルエーテルジスルホンイミドが調製される。ジスルホニルフルオリドは、α,ω−ジヨードペルフルオロアルカン(スキーム5)などのジヨードアルカンを用いて調製することができる。ビスビニルエーテルジスルホンイミドは、PSEPVEなどの他の強酸と反応して伝導性の高い膜を形成する。該反応物は、実施例2.2に説明した条件下で硬化することができる。
【0158】
【化15】
【0159】
【化16】
【0160】
【化17】
【0161】
【化18】
【0162】
【化19】
【0163】
【化20】
【0164】
(実施例3)
(架橋可能なターポリマーの合成)
実施例3.1 概論
フルオロオレフィン、強酸、及び低分子量の硬化部位モノマー(CSM)を含むターポリマーを重合する。フルオロオレフィンの一例は、テトラフルオロエチレン(TFE)であり、強酸としてペルフルオロ2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)を選択する。典型的な重合は40%固体を装填することができる。TFE系重合に選択される溶媒は任意に二酸化炭素(CO2)である。開始剤濃度によって所望の分子量を微調整する。より高い開始剤濃度はより低い比分子量をもたらし、より低い開始剤濃度はより高い比分子量をもたらすであろう。重合は熱開始剤によって遊離ラジカル的に行われる。反応時間は所望の変換によって変化する。重合は、通常フッ化エラストマー及び過フッ化エラストマー技術に用いられる硬化部位モノマーを用いて行うことが好ましい。例えば、硬化部位モノマーは、シアノビニルエーテル、臭素含有モノマー、臭素含有オレフィン、臭素含有ビニルエーテル、ヨウ素含有モノマー、ヨウ素含有オレフィン、ヨウ素含有ビニルエーテル、ニトリル基を有するフッ素含有オレフィン、ニトリル基を有するフッ素含有ビニルエーテル、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、ペルフルオロ(2−フェノキシプロピル)ビニルエーテル、及び非共役ジエンを含むことができる。
【0165】
フルオロオレフィン、強酸、及び硬化部位モノマー(CSM)の重合によって形成されたターポリマーは、ターポリマーの加水分解の前に重合後架橋することができる。重合生成物は、ムーニー粘度160以下のゴム又は液体を含む。ターポリマーは不活性雰囲気中で所望のパターンの型、又はガラススライド上に注がれる。標準的なスチール製スペーサを用いてガラススライド間の膜厚さを制御する。該ターポリマーはパターン型の形状を取る。フッ化エラストマー及び過フッ化エラストマー技術におけるように、任意に硬化化学反応を行う。液体前駆体は、熱的又はガンマ線照射を含む様々な硬化系によって化学的に架橋される。CSMに応じて、過フッ化系又はビスフェノール硬化系も実施することができる。型で占拠された幾何形状表面積よりも大きな活性表面積を有する、化学的に架橋した膜が生成される。塩基及び酸による後続の加水分解は、パターン形成された機械的一体性の高いプロトン伝導性膜をもたらす。
【0166】
実施例3.2 臭素含有硬化部位モノマーを有するターポリマー
フルオロオレフィン、及び強酸、及び硬化部位モノマーを含むターポリマーの重合のために、臭素を含む硬化部位モノマーが選択される。硬化部位モノマーとして使用される臭素含有化合物は、ビニルブロミド、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、ペルフルオロアリルブロミド、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン、4−ブロモペルフルオロ−1−ブテン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、ブロモトリフルオロエチレン及びペルフルオロブロモ−ビニルエーテルを含むことができる。
【0167】
実施例3.3 シアノビニルエーテル含有硬化部位モノマーを有するターポリマー
フルオロオレフィン、及び強酸、及び硬化部位モノマーを含むターポリマーの重合のために、シアノビニルエーテルを含む硬化部位モノマーが選択される。硬化部位モノマーとして使用されるシアノビニルエーテル含有化合物は、ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオカ−1−オクテン)及びペルフルオロ(9−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)を含むことができる。
【0168】
(実施例4)
他の液体材料の調製
【0169】
【化21】
【0170】
【化22】
【0171】
【化23】
【0172】
【化24】
【0173】
【化25】
【0174】
(実施例5)
(プロトン伝導性材料への前駆体の合成)
実施例5.1 スチレンスルホン酸エステルの合成
4−ビニルベンゼンスルホニルクロリド(37.5ミリモル)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(37.5ミリモル)、トリエチルアミン(10mL)、及びピリジン(20mL)をアルゴン流の下で丸底フラスコへ加える。得られるスラリーを室温で20時間攪拌する。次いで、反応混合物を過剰の塩酸氷浴に注いでトリエチルアミンを急冷する。水性溶液をジエチルエーテルで3回抽出し、混合したエーテル層を逐次的に水、10%NaOH溶液、10%NaCl溶液で洗う。次いで、エーテル溶液をMgSO4上で1時間乾燥する。次いで、MgSO4を濾過し、ジエチルエーテルを真空蒸発で除去する。得られるスチレンスルホン酸エステルは溶融温度約40℃の黄色固体である。
【0175】
実施例5.2 スチレンスルホン酸エステルの合成
4−ビニルベンゼンスルホニルクロリド(37.5ミリモル)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−1−ヘプタノール(37.5ミリモル)、トリエチルアミン(10mL)、及びピリジン(20mL)をアルゴン流の下で丸底フラスコへ加える。得られるスラリーを室温で20時間攪拌する。次いで、反応混合物を過剰の塩酸氷浴に注いでトリエチルアミンを急冷する。水性溶液をジエチルエーテルで3回抽出し、混合したエーテル層を逐次的に水、10%NaOH溶液、10%NaCl溶液で洗う。次いで、エーテル溶液をMgSO4上で1時間乾燥する。次いで、MgSO4を濾過し、ジエチルエーテルを真空蒸発で除去する。
【0176】
(実施例6)
(プロトン交換膜の製造)
実施例6.1 EW1900プロトン交換膜の製造
S−PFPE70重量%とスチレンスルホン酸エステル30重量%とを室温で混合する。該混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0177】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは1900g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図4に示す。
【0178】
実施例6.2 EW1250プロトン交換膜の製造
S−PFPE60重量%とスチレンスルホン酸エステル40重量%とを室温で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0179】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は、酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは1250g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図5に示す。
【0180】
実施例6.3 EW850プロトン交換膜の製造
S−PFPE50重量%とスチレンスルホン酸エステル50重量%とを室温で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0181】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは850g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図6に示す。
【0182】
実施例6.4 EW660プロトン交換膜の製造
S−PFPE40重量%とスチレンスルホン酸エステル60重量%とを室温で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0183】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは660g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図7に示す。
【0184】
実施例6.5 EW550プロトン交換膜の製造
S−PFPE30重量%とスチレンスルホン酸エステル70重量%とを室温で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0185】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは550g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図8に示す。
【0186】
(実施例7)
ソフトリソグラフ技術による高表面積PEMの作製
鮫肌パターンを有するPEMの作製
S−PFPEとスチレンスルホン酸エステルを望ましい割合で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を鮫肌パターンを有する予備加熱したシリコンウェーハ上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。硬化後、パターン膜をシリコンウェーハから剥離する。得られる膜はエステルの形であり、透明で僅かに黄色である。
【0187】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形である。残りのHClを水で洗って除去する。
【0188】
鮫肌パターンを有するPEMの加水分解前後の走査電子顕微鏡写真を図2A及び2Bに示す。鮫肌パターンの形状のサイズは幅2μm、高さ8μmである。鮫肌パターンを用いることによって、パターンPEMの表面積は対応する平坦PEMよりも約5倍大きい。図に示すように、ソフトリソグラフ手法によって高再現性のパターンが容易に得られる。加水分解の後、パターンは水の吸収のため膨潤するが、形状は維持される。
【0189】
(実施例8)
(PEM上への触媒の整合的塗布)
実施例8.1 PEM上への電子噴霧技術による触媒の堆積
鮫肌パターンを有する三次元PEM上に、白金又はカーボン上の白金分散体を含む触媒を電子噴霧技術によって堆積する。図12A及び12Bは堆積した触媒を有するPEMの走査電子顕微鏡写真を示す。
実施例8.2 PEM上への蒸着堆積による触媒の堆積
鮫肌パターンを有する三次元PEM上に、白金触媒を蒸着堆積によって堆積する。図13は堆積した触媒を有するPEMの走査電子顕微鏡写真を示す。
【0190】
(実施例9)
(三次元MEAの作製)
実施例9.1
液体前駆体の手法は、三次元膜電極組立て体(MEA)及び燃料電池スタックも提供する。図14A及び14Bは、三次元膜と、整合的又は非整合的に触媒装填した二次元電極とに基づくMEA構造の代表的図を示す。
実施例9.2
液体前駆体の手法は、三次元(3−D)膜電極組立て体(MEA)及び燃料電池スタックも提供する。図15は、三次元膜と、整合的に触媒装填した三次元電極とに基づくMEA構造の代表図を示す。
【0191】
本開示の主題の様々な詳細は、本開示の主題の範囲から逸脱することなく、変更を加えることができることが理解されるであろう。さらに、前述の説明は単に例示であり、制限する目的はない。
(図面の簡単な説明)
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1A】図1A、及び図1Bは、プロトン交換膜を製造する本開示方法の一実施態様の概要図を提供する。 図1Aは、一体化して、かつ型、例えば、本開示の主題のパターン形成プロトン交換膜を形成するためのパターン基板として使用することのできるペグ型の概要図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに提供される一体化したペグ型から製造されるプロトン交換膜の概要図である。
【図2A】図2A、及び図2Bは、本開示の方法によって製造された鮫肌パターンを含むプロトン交換膜(PEM)の加水分解前の走査電子顕微鏡写真である。 図2Aは、鮫肌パターンを含むプロトン交換膜(PEM)の加水分解前の走査電子顕微鏡写真である。
【図2B】図2Bは、鮫肌パターンを含むプロトン交換膜(PEM)の加水分解後の走査電子顕微鏡写真である。
【図3A】図3Aは、パターン電極対を本開示の主題のプロトン交換膜形成型として使用する本開示方法の一実施態様の概要図である。
【図3B】図3Bは、パターン電極対を本開示の主題のプロトン交換膜形成型として使用する本開示方法の一実施態様の概要図である。
【図4】図4は、完全な水和状態下で1900当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図5】図5は、完全な水和状態下で1250当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図6】図6は、完全な水和状態下で850当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図7】図7は、完全な水和状態下で660当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図8】図8は、完全な水和条件下で550当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図9A】図9Aは、当量が変動し、PEMの断面に当量の勾配を提供する液体材料を含む、本開示のプロトン交換膜(PEM)の一実施態様の概要図である。
【図9B】図9Bは、当量が変動し、PEMの断面に当量の勾配を提供する液体材料を含む、本開示のプロトン交換膜(PEM)の一実施態様の概要図である。
【図10A】図10A、及び図10Bは、触媒インク結合層を形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。 図10Aは、触媒インク結合層を平坦な電極材料上に形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図10B】図10Bは、触媒インク結合層をパターン形成プロトン交換膜上に形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図11A】図11A−11Cは、パターン形成プロトン交換膜を加工可能な触媒インク組成物及び電極材料で被覆する本開示の方法の一実施態様の概要図である。 図11Aは、パターンPEMを加工可能な触媒インク組成物で整合的に被覆し、続いて電極材料で被覆して電極材料の平坦表面を形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図11B】図11Bは、パターンPEMを加工可能な触媒インク組成物で整合的に被覆し、続いて電極材料で整合的に被覆して電極材料の整合表面を形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図11C】図11Cは、パターンPEMを加工可能な触媒インク組成物で整合的に被覆して加工可能な触媒インク組成物の平坦表面を形成し、続いて電極材料で整合的に被覆して電極材料の平坦な表面を形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図12A】図12Aは、電子噴霧法を用いて触媒を整合的に被覆した本開示のパターンPEMの一実施態様の走査電子顕微鏡写真である。
【図12B】図12Bは、電子噴霧法を用いて触媒を整合的に被覆した本開示のパターンPEMの一実施態様の走査電子顕微鏡写真である。
【図13】図13は、蒸着法を用いて触媒を整合的に被覆した本開示のパターンPEMの一実施態様の走査電子顕微鏡写真である。
【図14A】図14A、及び図14Bは、本開示の膜電極組立て体の一実施態様の概要図である。 図14Aは、三次元プロトン交換膜(PEM)から製造された整合的な触媒装填を有する本開示の三次元膜電極組立て体(MEA)の一実施態様の概要図である。
【図14B】図14Bは、非整合的な触媒装填を有する本開示の二次元電極の一実施態様の概要図である。
【図15】図15は、三次元プロトン交換膜(PEM)及び整合的な触媒装填を有する三次元電極から製造された本開示の三次元膜電極組立て体(MEA)の一実施態様の概要図である。
【図16】図16は、カーボンブラックなどの電極材料をパターン形成するために使用されるリソグラフ法を示す図である。
【図17A】図17A、及び図17Bは、本開示のマイクロ流体燃料電池の一実施態様の概要図である。 図17Aは、本開示の燃料電池の一実施態様の断面図である。
【図17B】図17Bは、本開示の燃料電池の一実施態様の平面図である。
【図18A】図18Aは、本開示の主題によるマイクロ流体チャンネルを含むペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料のパターン層の形成を示す一連の端部図である。
【図18B】図18Bは、本開示の主題によるマイクロ流体チャンネルを含むペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料のパターン層の形成を示す一連の端部図である。
【図18C】図18Cは、本開示の主題によるマイクロ流体チャンネルを含むペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料のパターン層の形成を示す一連の端部図である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年1月23日出願の米国特許仮出願第60/538,706号、2004年1月23日出願の米国特許仮出願第60/538,878号に基づき、その優先権を主張するものであり、そのいずれも全体を参照して本明細書に組み込まれている。
【0002】
(政府の権利)
本発明は、米国海軍研究所(Office of Naval Research)認可番号第N00014210185号、及び契約番号CHE−9876674号の下に、米国科学財団(National Science Foundation)の科学技術センタープログラムによる米国政府の支援を得てなされた。米国政府は本発明に所定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本開示の主題は、電気化学電池に使用される液体材料に関するものである。
【0004】
(略語)
AC = 交流
Ar = アルゴン
℃ = 摂氏度
cm = センチメートル
CSM = 硬化部位モノマー
g = グラム
h = 時間
HMDS = ヘキサメチルジシラザン
IL = インプリントリソグラフ
MCP = マイクロコンタクト印刷
Me = メチル
MEA = 膜電極組立て体
MEMS = マイクロエレクトロメカニカルシステム
MeOH = メタノール
MIMIC = キャピラリ中のマイクロ成型
mL = ミリリットル
mm = ミリメートル
mmol = ミリモル
Mn = 数平均分子量
m.p. = 融点
mW = ミリワット
NCM = ナノコンタクト成型
NIL = ナノインプリントリソグラフ
nm = ナノメートル
Pd = パラジウム
PDMS = ポリジメチルシロキサン
PEM = プロトン交換膜
PFPE = ペルフルオロポリエーテル
PSEPVE = ペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル
PTFE = ポリテトラフルオロエチレン
SAMIM = 溶媒援用マイクロ成型
SEM = 走査電子顕微鏡
Si = ケイ素
TFE = テトラフルオロエチレン
μm = マイクロメートル
UV = 紫外
W = ワット
ZDOL = ポリ(テトラフルオロエチレンオキシド−co−ジフルオロメチレンオキシド)α,ωジオール
【背景技術】
【0005】
(背景)
燃料電池は、携帯装置、車両(ハイブリッド車両を含む)、発電機、及び航空機及び軍事用途のための安全で環境に優しい電気エネルギー源である。しかし、現在の燃料電池技術は、コスト、サイズ、及びバッテリーやガソリン及びジーゼルエネルギーの内燃機関のような現在の電源を置き換える早急な必要性がないため、主要市場に大きな影響を与えなかった。しかし、代替の電源を見出す必要性は長期的に明らかに大きくなっている。例えば、ガソリン及びジーゼルエネルギーの内燃機関の副生成物は環境に有害である。対照的に、燃料電池の副生成物は清浄であり、ある場合には水を含むだけである。
【0006】
さらに、携帯電話、ラップトップ、及び手持ち個人用パーソナルオーガナイザー(personal organizer)などの携帯電子装置はより小さくなり、マイクロ燃料電池などのより小さな電源の必要性は明らかである。しかし、現在の燃料電池技術は、典型的にコスト高な平坦プロトン交換膜(PEM)を含む大きな電池スタックを必要とする。
【0007】
さらに、消費者製品は再充電の必要なしに長期間運転できる電源を要求する。マイクロ燃料電池は典型的に1個の燃料カートリッジでより長く継続するエネルギー出力を提供する。例えば、マイクロ燃料電池に使用される化学燃料は、1回の充電でバッテリーの10倍までの長い時間、装置に動力を供給することを約束する。さらに、エネルギー源が減少しても、単に燃料カートリッジを取り換えることによってエネルギーレベルを再び回復することができる。
【0008】
大部分の燃料電池は、テトラフルオロエチレン(TFE)と、ペルフルオロスルホニルフルオリドエトキシプロピルビニルエーテル(PSEPVE)などのスルホン酸基を含む過フッ化モノマーとのコポリマーを用いる。それらのコポリマーの1種は、NAFION(登録商標)(E.I.duPont de Nemours and Co., Wilmington, Delaware, United States of America)、又は市場で入手可能な類似の材料として入手可能である。これらの材料は、しばしば最終的に膜の形、例えば、後続の使用のために平坦な矩形又は四角い幾何形状を有する非熱可塑性の形で提供される。膜が平坦で平滑であれば、すなわちパターン形成されなければ、触媒層も平坦でなければならない。さらに、それらの膜は典型的に、取り扱いのため少なくともある最小の厚さをもたなければならない。さらに、エネルギー密度又は導電率は、通常膜の厚さに直接比例する。すなわち、膜が厚いほどエネルギー密度は低い。
【0009】
さらに、Luらの論文、Electrochimica Acta, 49, 821-828(2003)は、直接メタノールマイクロ燃料電池に使用するためのケイ素系材料を説明している。ケイ素系直接マイクロ燃料電池は、典型的に高価で製造に時間のかかる硬質の脆い装置である。また、起動バルブをケイ素系材料に組み込むのは、材料の硬い性質のために困難又は不可能である。さらに、Luらの説明したケイ素系直接メタノールマイクロ燃料電池は、活性面積対巨視的面積の比が約1に等しい。
【0010】
また、現在入手可能な燃料電池技術において、電極、プロトン交換膜(PEM)、及び触媒の間に良好な接触を有することは重要である。高エネルギー密度は電極、触媒、及びPEM間の整合性接触に依存する。新しいPEM及び新しい触媒の開発に多くの研究が行われたが、新しい触媒インク組成物に関する開発は少しも研究されなかった。典型的に、従来の触媒インク又は接合層は、白金などの触媒、カーボンブラックなどの電極材料、NAFION(登録商標)の分散物、水、アルコールからなる。
さらに、現在当技術分野で入手可能なPEMは、エネルギー密度とメタノール透過率の妥協点である1当量(EW)からなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、当技術分野には改善された電気化学電池、詳細には小型の携帯電子装置に電力を供給することのできるマイクロ燃料電池が必要であり、同様に、改善された電気化学電池成分が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要旨)
本開示の主題は、燃料電池、クロルアルカリ電池、バッテリー等の電気化学電池に使用するための液体材料を説明する。したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、ポリマー電極用組成物、及びポリマー電解質の製造方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、(a)約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む100%固体の液体前駆体材料を提供すること、及び(b)該液体前駆体材料を処理してポリマー電解質を形成することを含む。
【0013】
いくつかの実施態様において、該100%固体の液体前駆体は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体前駆体材料は、モノマー、オリゴマー、マクロモノマー、イオノマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施態様において、前記モノマー、前記オリゴマー、前記マクロモノマー、及び前記イオノマーの少なくとも1つは官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む。
いくつかの実施態様において、官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料は、下記からなる群から選択される主鎖構造を含む。
【0014】
【化1】
【0015】
式中、Xは存在する又は不在であり、存在するとき、末端キャップ基を含み、nは1〜100の整数である。したがって、いくつかの実施態様において、官能化PFPE材料は、下記からなる群から選択される。
【0016】
【化2】
【0017】
式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールからなる群から選択され、m及びnは各々独立に1〜100の整数である。
いくつかの実施態様において、イオノマーはスルホン酸材料及びリン酸材料からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、スルホン酸材料はスルホン酸材料の誘導体を含む。いくつかの実施態様において、スルホン酸材料の誘導体は、下記式のペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)を含む材料を含む。
【0018】
【化3】
【0019】
式中、qは1〜5の整数である。
いくつかの実施態様において、スルホン酸材料の誘導体は、下記からなる群から選択される材料を含む。
【0020】
【化4】
【0021】
式中、Yは、−SO2F及び−SO3Hからなる群から選択され、
R1は、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、フルオロアルケニル、シアノ、及びニトロからなる群から選択され、
X1は、結合、O、S、SO、SO2、CO、NR2、及びR3からなる群から選択され、
X2は、O、S、及びNR2からなる群から選択され、
R2は水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、かつ
R3はアルキレン、置換アルキレン、アリール、置換アリールからなる群から選択され、
Arはアリール及び置換アリールからなる群から選択され、
Bは1,2−ペルフルオロシクロブチレンであり、
tは1〜3の整数であり、
mは0〜1000の整数であり、
pは1〜1000の整数であり、かつ
qは1〜5の整数である。
【0022】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、100%固体の液体前駆体材料を含むポリマー電解質を提供し、該100%固体の液体前駆体材料は約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む。
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、パターン形成ポリマー電解質の製造方法を提供し、該方法は、
(a)液体前駆体材料を、予め定めた幾何形状及び巨視的表面領域を含むパターン基板に接触させること、及び
(b)液体前駆体材料を処理してパターン形成ポリマー電解質を形成することを含む。
【0023】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料はプロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施態様において、該パターン形成ポリマー電解質は、該パターン基板の巨視的表面領域よりも大きな表面領域を有する。
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、複数の当量を含むポリマー電解質の製造方法を提供し、該方法は、
(a)第1の当量を有する第1の液体前駆体材料を基板に塗布すること、
(b)第1の液体前駆体を処理して、基板上に、処理された液体前駆体材料の第1の層を形成すること、
(c)第2の当量を有する第2の液体前駆体材料を、該基板上の処理された液体前駆体材料の第1の層に塗布すること、及び
(d)第2の液体前駆体材料を処理して複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含む。
【0024】
いくつかの実施態様において、この方法は複数の当量を含む予め定めた複数の液体前駆体材料でステップ(c)から(d)を繰り返して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含む。
いくつかの実施態様において、該第1の液体前駆体材料、該第2の液体前駆体材料、及び該複数の液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該第1の当量は、該第2の当量よりも大きい。いくつかの実施態様において、該第2の当量は、該複数の当量よりも大きい。したがって、該ポリマー電解質の断面に当量の勾配が提供される。
【0025】
また、本開示の主題は、膜電極組立て体(MEA)の形成方法を提供する。いくつかの実施態様において、膜電極組立て体(MEA)の形成方法は、
(a)パターン形成プロトン交換膜を提供すること、
(b)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること、
(c)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること、及び
(d)該プロトン交換膜、該第1及び第2の触媒材料、並びに該第1及び第2の電極材料を、導電連絡を保って動作可能に配置して、膜電極組立て体を形成することを含む。
【0026】
いくつかの実施態様において、該第1の触媒材料及び該第2の触媒材料の少なくとも一方は、加工可能な触媒インク組成物を含む。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は、液体前駆体材料を含む。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は、プロトン交換膜及び電極材料のいずれか、又は両方に整合させて塗布される。
【0027】
いくつかの実施態様において、本開示の膜電極組立て体の形成方法は、
(a)第1の電極材料を提供すること、
(b)第2の電極材料を提供すること、
(c)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間に間隙が形成されるように、第1の電極材料と第2の電極材料を空間的に配置すること、
(d)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間の間隙に液体前駆体材料を配置すること、及び
(e)該液体前駆体材料を処理して膜電極組立て体を形成することを含む。
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0028】
また、本開示の主題は、電気化学電池の形成方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、
(a)少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む少なくとも1層のペルフルオロポリエーテル(PFPE)を提供すること、
(b)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること、
(c)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること、
(d)プロトン交換膜を提供すること、及び
(e)該少なくとも1層のPFPE材料、該第1の電極材料、該第2の電極材料、該第1の触媒材料、該第2の触媒材料、及び該プロトン交換膜を動作可能に配置して電気化学電池を形成することを含む。
【0029】
さらに、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、電気化学電池の運転方法を提供する。したがって、本開示の電気化学電池は、携帯発電機、携帯電気器具、電気工具などを非制限的に含む携帯電子装置、消費者電子装置及び軍用電子装置、鉄道又は交通信号、予備電源供給などの電子装置、自動車などの個人用車両を運転するのに使用することができる。
【0030】
したがって、本開示の主題の目的は、電気化学電池に使用される新規な液体材料を提供することである。この目的及び他の目的は、本開示の主題によって完全に又は部分的に達成される。
本開示の主題の目的を上述したが、本明細書で以下に最善に説明される添付の図面及び実施例と共に説明を進めるとき、他の態様及び目的が明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(詳細な説明)
本開示の主題は、燃料電池、クロルアルカリ電池、及びバッテリーなどの電気化学電池における液体材料の使用を説明する。したがって、本開示の主題は、当量の勾配を含むプロトン交換膜を含んで、電気化学電池に使用するためのプロトン交換膜などのポリマー電解質を製造するための液体材料を説明する。また、本開示の主題は、パターン膜及び電極を組み込んだ改良された電気化学電池技術も説明する。さらに、本開示の主題は、膜電極組立て体を製造するための液体材料を説明し、電気化学電池成分間の整合的な接触の強化が示される。したがって、本開示の主題は、電気化学電池に使用される加工可能な液体触媒インク組成物を製造するための液体材料も説明する。さらに、本開示の主題は、マイクロ直接メタノール及び水素燃料電池などの電気化学電池に使用されるマイクロ流体装置を作製するための光硬化可能なペルフルオロポリエーテルを説明する。また、本開示の主題は、電気化学電池の運転方法も説明する。
【0032】
ここで、代表的な実施態様が示される添付の実施例及び図面を参照して、本開示の主題を以下でより完全に説明する。しかし、本開示の主題は異なる形態で実施することができ、本明細書中に記載した実施態様に制限されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施態様は、本開示が十分で完全であり、当業者に実施態様の範囲を完全に伝達するために提供される。
【0033】
特に定義されないかぎり、本明細書中に用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本明細書に開示される主題が属する分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書中で述べられる全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体を参照して本明細書に組み込まれている。
本明細書及び請求項を通じて、与えられた化学式又は名称は、全ての光学異性体、立体異性体、並びにそれらの異性体及び混合物が存在するラセミ体混合物を包含するものである。
【0034】
(I 液体前駆体材料)
本開示の主題は、液体であり、加工可能で注入可能な前駆体材料、すなわち、異なる形状に形成することができ、異なる形状に整合することができ、表面積の大きなPEMの製造に使用することのできる前駆体材料を説明する。本明細書で以下にさらに詳細に提供されるように、いくつかの実施態様において、液体前駆体材料はパターン基板、例えば、型によってパターン形成することができ、処理して(固体へ硬化することなどであるが制限されない)パターンPEMを形成することができる。
【0035】
本明細書中に用いられる用語「100%固体の液体前駆体材料」は、処理されるとき、例えば硬化されるとき本質的に成分の全てが重合する、液体ポリマー前駆体材料を指す。したがって、いくつかの実施態様において、「100%固体の液体前駆体材料」には、本質的に非重合性材料がない。「100%固体の液体前駆体材料」の特性は、液体材料が約80重量%〜約98重量%の溶媒又は他の非重合性材料を含むことのできる当技術分野に知られる液体前駆体材料の溶液又は分散物から、この材料を区別する。例えば、イオン交換膜の製造に当技術分野で通常用いられる過フッ化液体組成物の1種は、約2重量%〜約18重量%のポリマー材料と、約82重量%〜約98重量%の非重合性溶媒を含む。その全体を参照して本明細書に組み込まれているGrotらの米国特許第4,433,082号を参照されたい。
【0036】
したがって、いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約70重量%〜約75重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約75重量%〜約80重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約80重量%〜約85重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約85重量%〜約90重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約90重量%〜約95重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約95重量%〜約98重量%の重合性材料を含む。いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約98重量%〜約100重量%の重合性材料を含む。したがって、いくつかの実施態様において、該100%固体の液体材料は、約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む。
【0037】
さらに、いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、フッ化物系を含む。いくつかの実施態様において、フッ化物系はペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む。いくつかの実施態様において、該PFPE材料は、ビニルメタクリラートを非制限的に含むビニル官能化材料を含む。
【0038】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、プロトン伝導率を高めるペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)などのビニル酸を含む化学種を含む。本明細書中で用いられる用語「プロトン伝導性材料」は、その中にプロトンを移動することのできる材料を指す。例えば、いくつかの実施態様において、プロトンはアノードからプロトン伝導性材料を経由してカソードへ移動することができる。プロトン伝導率は、例えば、当技術分野で知られた交流(AC)インピーダンス法によって測定することができ、典型的にジーメンス/cm(S/cm)の単位で記録される。それらのプロトン伝導性材料は典型的に約0.01S/cmを超えるプロトン伝導率を有する。
【0039】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、中でもモジュラス、メタノール及び他の液体の透過率、濡れ性、引っ張り強さ、靭性、可撓性、熱的特性を含む材料の物理特性を制御する他の化学種を含む。本明細書に開示する液体前駆体材料を製造するための例示的合成方法については実施例1〜6を参照されたい。
したがって、いくつかの実施態様において、ポリマー電解質の製造方法は、
(a)約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む100%固体の液体前駆体材料を提供すること、及び
(b)該100%固体の液体前駆体材料を処理してポリマー電解質を形成することを含む。
【0040】
いくつかの実施態様において、該100%固体の液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。
いくつかの実施態様において、該100%固体の液体前駆体材料は、モノマー、オリゴマー、マクロモノマー、イオノマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。
【0041】
本明細書中で用いられる用語「モノマー」は、重合を行うことができ、それによって構成単位、すなわち原子、原子群、及び/又は複数の原子群を巨大分子又はポリマーの本質的な構造に寄与させる分子を指す。用語「オリゴマー」は中間の相対分子質量の分子を指し、その構造はより低い相対分子質量の分子から誘導された少量の複数の構成単位を含む。用語「マクロモノマー」は、マクロモノマーがモノマーとして働き、最終巨大分子又はポリマー鎖へのモノマー単位に寄与することのできる反応性末端基を含む巨大分子又はポリマーを指す。用語「イオノマー」は、複数の構成単位がイオン化可能な基、イオン基、及びそれらの組合せを含む巨大分子を指す。
【0042】
いくつかの実施態様において、該モノマー、該オリゴマー、該マクロモノマー、及び該イオノマーの少なくとも1つは、官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む。いくつかの実施態様において、該官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料は、下記からなる群から選択される主鎖構造を含む。
【0043】
【化5】
【0044】
式中、Xは存在する又は不在であり、存在するとき、末端キャッピング基を含み、nは1〜100の整数である。
いくつかの実施態様において、該官能化PFPE材料は、下記からなる群から選択される。
【0045】
【化6】
【0046】
式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、m及びnは各々独立に1〜100の整数である。
いくつかの実施態様において、官能化PFPEは下記の構造を有する。
【0047】
【化7】
【0048】
いくつかの実施態様において、該イオノマーはスルホン酸材料及びリン酸材料からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該イオノマーは、スルホン酸基、スルホン酸基の誘導体、カルボン酸基、カルボン酸基の誘導体、ホスホン酸基、ホスホン酸基の誘導体、リン酸基、リン酸基の誘導体、及び/又はそれらの組合せを含む。
いくつかの実施態様において、該スルホン酸材料はスルホン酸材料の誘導体を含む。いくつかの実施態様において、スルホン酸材料は、下記式のペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)を含む材料を含む。
【0049】
【化8】
【0050】
式中、qは1〜5の整数である。
いくつかの実施態様において、スルホン酸材料の誘導体は、下記からなる群から選択される材料を含む。
【0051】
【化9】
【0052】
式中、Yは、−SO2F及び−SO3Hからなる群から選択され、
R1は、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、フルオロアルケニル、シアノ、及びニトロからなる群から選択され、
X1は、結合、O、S、SO、SO2、CO、NR2、及びR3からなる群から選択され、
X2は、O、S、及びNR2からなる群から選択され、
R2は水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、かつ
R3はアルキレン、置換アルキレン、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、
Arはアリール及び置換アリールからなる群から選択され、
Bは1,2−ペルフルオロシクロブチレンであり、かつ
tは1〜3の整数であり、
mは0〜1000の整数であり、
pは1〜1000の整数であり、かつ
qは1〜5の整数である。
いくつかの実施態様において、Yは−SO2Fである。いくつかの実施態様において、Yは−SO3Hである。
【0053】
したがって、いくつかの実施態様において、該イオノマーは、NAFION(登録商標)(E.I.duPont de Nemours and Co., Wilmington, Delaware, United States of America)又はXUS(登録商標)(Dow Chemical Company, Midland, Michigan, United States of America)、ACIPLEX(登録商標)(Asahi Chemical Industry Co., Tokyo, Japan)BAM3G(登録商標)(Ballard Advanced Materials, Burnaby, British Columbia, Canada)を含むが、これらに制限されるものではない類似の材料などの市場で入手可能な酸材料、又は、Maoらの米国特許第6,559,237号に記載される酸官能化ペルフルオロシクロブタンポリマー、及びHamrockらの米国特許第6,833,412号に記載される酸官能化フルオロポリマーを含む(これらの各々はその全体を参照して本明細書に組み込まれている)。
【0054】
本明細書中で用いられる用語「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ブタジエニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、及びアレニル基を含む、線状(すなわち「直鎖」)、分岐、又は環状、飽和又は少なくとも部分的に、場合によって完全に不飽和(すなわち、アルケニル及びアルキニル)炭化水素鎖を含むC1〜20を指す。「分岐した」は、メチル、エチル、又はプロピルなどの低級アルキル基が線状アルキル鎖に付着しているアルキル基を指す。「低級アルキル」は、1〜約8個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個の炭素原子を有するアルキル基(すなわち、C1〜8アルキル)を指す。「高級アルキル」は、約10〜約20個の炭素原子、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有するアルキル基を指す。ある実施態様において、「アルキル」は特にC1〜8直鎖アルキルを指す。他の実施態様において、「アルキル」は特にC1〜8分岐鎖アルキルを指す。
【0055】
アルキル基は、同じ又は異なっていてよい1以上のアルキル基置換基で任意選択で置換することができる。用語「アルキル基置換基」はアルキル、ハロ、アリールアミノ、アシル、ヒドロキシル、アリールオキシル、アルコキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシル、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、オキソ、及びシクロアルキルを含むが、これらに制限されるものではない。アルキル鎖に沿って1以上の酸素、硫黄、又は置換された若しくは置換されていない窒素原子を任意に挿入することができ、窒素置換基は水素原子、低級アルキル(本明細書では「アルキルアミノアルキル」とも言う)、又はアリールである。
【0056】
「環状」及び「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子、例えば、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子の非芳香族の単環又は多環式系を指す。シクロアルキル基は、任意に部分的不飽和とすることができる。また、シクロアルキル基は本明細書で定義されるアルキル基置換基、オキソ、及び/又はアルキレンで任意に置換することができる。環状アルキル鎖に沿って、1以上の酸素、硫黄、又は置換若しくは非置換窒素原子を任意に挿入することができ、窒素置換基は、水素原子、低級アルキル、又はアリールであり、したがってヘテロ環式基を提供することができる。代表的な単環式シクロアルキル環は、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルを含む。多環式シクロアルキル環は、アダマンチル、オクタヒドロナフチル、デカリン、カンファー、カンファン、ノラダマンチルを含む。
【0057】
「アルキレン」は、1〜20個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の二価の脂肪族炭化水素基を指す。アルキレン基は直鎖、分岐鎖、又は環状とすることができる。また、アルキレン基は、任意に不飽和とすることができ、かつ/又は1以上の「アルキル基置換基」で置換することができる。アルキレン基に沿って、1以上の酸素、硫黄、又は置換若しくは非置換窒素原子(本明細書では「アルキルアミノアルキル」とも呼ぶ)を任意に挿入することができ、窒素置換基は前述のアルキルである。例示的アルキレン基は、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2−CH2−)、プロピレン(−(CH2)3−)、シクロヘキシレン(−C6H10−)、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)q−N(R)−(CH2)r−を含み、q及びrの各々は、独立に0〜約20の整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20であり、Rは、水素原子又は低級アルキル、メチレンジオキシ(−O−CH2−O−)、エチレンジオキシ(−O−(CH2)2−O−)である。アルキレン基は、約2〜約3個の炭素原子を有することができ、さらに6〜20個の炭素を有することができる。
【0058】
用語「アリール」は、本明細書中、単一芳香族環、又は互いに融合し、共有結合し、若しくはメチレン又はエチレン部などの共通基に結合した複数の芳香族環とすることができる芳香族置換基を指すように用いられる。また、共通の結合基は、ベンゾフェノン中のカルボニル、又はジフェニルエーテル中の酸素、又はジフェニルアミン中の窒素とすることができる。用語「アリール」は、特にヘテロ環芳香族化合物を含む。芳香族環は、中でも、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、及びベンゾフェノンを含むことができる。特別の実施態様において、用語「アリール」は、約5〜約10個の炭素原子、例えば、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を含み、かつ5員及び6員炭化水素及びヘテロ芳香族環を含む環状芳香族を意味する。
【0059】
該アリール基は、同じ又は異なることのできる1以上のアリール置換基で任意に置換することができ、「アリール置換基」は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、アラルキルオキシル、カルボキシル、アシル、ハロ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルオキシル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールチオ、アルキルチオ、アルキレン、及び−NR’R”(R’及びR”は、各々独立に、水素原子、アルキル、アリール、及びアラルキルとすることができる)を含む。
【0060】
アリール基の具体的な例は、シクロペンタジエニル、フェニル、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、ピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、ピラジン、トリアジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、インドール、及びカルバゾール等を含むが、これらに制限されるものではない。
用語「アリーレン」は、芳香族環上の2個の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって単環式芳香族炭化水素又は多環式芳香族炭化水素から誘導された2価の基を指す。「アリーレン」基の例は、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、及び1,4−フェニレンを含むが、これらに制限されるものではない。
【0061】
本明細書に用いられる用語「置換されたアルキル」、「置換されたシクロアルキル」、「置換されたアルキレン」、「置換されたアリール」、及び「置換されたアリーレン」は、アルキル、アルキレン、アリール、又はアリーレン基の1以上の原子又は官能基が、例えば、ハロゲン、アリール、アルキル、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、スルファート、及びメルカプトを含む他の原子又は官能基で置換された、本明細書に定義したアルキル基、アルキレン基及びアリール基を含む。
【0062】
「アルコキシル」又は「アルコキシアルキル」は、アルキル−O−基を指す(アルキルは前に説明した)。本明細書に用いられる用語「アルコキシル」は、例えば、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシル、ブトキシル、t−ブトキシル、ペントキシルを含んで、直鎖状、分岐、又は環状、飽和若しくは不飽和のオキソ炭化水素鎖を含むC1〜20を指すことができる。
本明細書に用いられる用語「ハロ」、「ハライド」、又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード基を指す。
用語「ヒドロキシル」は−OH基を指す。
用語「ヒドロキシアルキル」は−OH基で置換されたアルキル基を指す。
用語「ニトロ」は−NO2基を指す。
【0063】
いくつかの実施態様において、前駆体材料の処理は、(a)硬化工程、(b)化学的修飾工程、(c)網目形成工程、及び(d)それらの組合せからなる群から選択される工程を含む。いくつかの実施態様において、該硬化工程は熱工程、光化学工程、及び照射工程からなる群から選択される工程を含む。いくつかの実施態様において、該照射工程は液体前駆体材料を放射線で照射することを含み、該放射線はガンマ線、及び電子ビームからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該化学修飾工程は架橋工程を含む。ペルフルオロポリエーテル材料を含むフルオロポリマーの放射線分解法は、その全体を参照して本明細書に組み込まれているJ. S. Forsytheらの論文、Prog. Polym. Sci., 25, 101-136 (2000)に提供される。
【0064】
さらに、Maoらの公開PCT国際出願第WO99/61141号は、(a)懸垂酸ハライド基を有するポリマーを2個以上の酸ハライド基に結合する架橋剤で架橋すること、又は(b)懸垂アミド基を有するポリマーを2個以上のアミド基と結合する架橋剤で架橋することによって、プロトン交換膜などのイオン伝導性膜に使用するのに適した架橋したポリマーの製造方法を説明する。また、Buchiらの論文、J. Electrochem. Soc., 142 (9), 3004 (1995)は、ジビニルベンゼンの添加によって重合中に架橋した、架橋ポリオレフィン−ポリスチレンコポリマーをスルホン化することによって製造したプロトン交換膜を開示する。Helmer-Metsmannらの米国特許第5,438,082号は、スルホン化芳香族ポリエーテルケトンを、アミン官能基を含む架橋剤で架橋する方法を開示する。さらに、Ehrenbergらの米国特許第5,468,574号、及びGrahamらの公開PCT国際特許出願番号第WO97/19,480号は、ある種のスルホン化ポリマーが加熱によりスルホン酸基間で直接結合を形成するであろうことを開示するが、この方法は、スルホン酸基を犠牲にし、それによって膜中の酸度の損失を招く。上述の特許、刊行物、及び公開特許出願はその全体を参照して本明細書に組み込まれている。
【0065】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、上に定義した100%固体の液体前駆体材料を含むポリマー電解質を提供し、100%固体の液体前駆体材料は、約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む。
いくつかの実施態様において、本開示のポリマー電解質は当量を有し、該当量は、約1500未満〜約1000を超える当量、約1000未満〜約800を超える当量、約800未満〜約500を超える当量、及び約500以下の当量からなる群から選択される。
さらに、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、100%固体の液体前駆体から製造されたポリマー電解質を含む電気化学電池を提供する。いくつかの実施態様において、電気化学電池は燃料電池、クロル−アルカリ電池、及びバッテリーからなる群から選択される。
【0066】
さらに、NAFION(登録商標)及び他のPEM材料は、相対湿度値が高いとき、例えば約90%を超えるとき最善に機能する。NAFION(登録商標)等の材料中へのアルコールの組み込みは、材料をより親水性にし、これはより低い相対湿度での良好な伝導性、及び/又はより高温での水損失の低減をもたらす。一例は図11に示され、NAFION(登録商標)等の材料を酢酸ビニルで重合する方法を提供する。単純な加水分解反応によって酢酸塩はアルコールに変換され、プロトン伝導性化合物上にスルホン酸基が得られる。材料上の後フッ素化は過フッ素化材料の化学的及び熱安定性を提供することができる。
【0067】
NAFION(登録商標)における他の制約は、その低い酸含有量である。TEF/PSEPVEコポリマーに組み込まれるPSEPVEの割合を増加することによって酸含有量を増加(当量の低下)させると、重合中にβ切断反応を起すフッ化ビニルエーテルの性質のために分子量が低下するので、NAFION(登録商標)の酸含有量は、現在商業グレードで入手可能なものよりも大きくすることができない。その全体を参照して本明細書に組み込まれているRomack, T.J., and Desimone, J.M.の論文、Macromolecules, 28, 8429-8431 (1995)を参照されたい。したがって、NAFION(登録商標)の酸含有量が増加すると、該ポリマーの分子量は減少し、機械的特性が低くなる。それらの線状で低分子量の、酸含有量の高いNAFION(登録商標)等の材料は膜形成品質が悪く、許容することのできない水溶性になる。NAFION(登録商標)の製造に用いられる化学反応におけるこの制約によって、市場の供給者達は、非常に高いプロトン伝導率に必要な高い酸含有量を十分含まないグレードのNAFION(登録商標)を販売せざるを得ない。実際に、最も広く研究された商業グレードのNAFION(登録商標)は、当量が1100であり、プロトン伝導率は完全に水和された室温状態で僅かに0.083S/cmである。その全体を参照して本明細書に組み込まれている、Mauritz, K.A. and Moore, R.B.の論文、Chem. Rev., 104, 4535-4585 (2004)を参照されたい。本開示の材料は、これらの欠点に対処して、より高い伝導率を有し、より熱安定性があり、より選択性があり、より機械的に堅牢であり、膜特性の独立制御が可能なモジュール設計を組み込む新しいPEMを生み出す。
【0068】
いかなる特定の理論にも拘束されずに、本開示の材料における高い伝導率は、NAFION(登録商標)で作用するものとは基本的に異なるプロトン伝導機構によるものと考えられる。多くの報告(例えば、Mauritz, K.A. and Moore, R.B.の論文、Chem. Rev., 104, 4535-4585 (2004)参照)によれば、NAFION(登録商標)の形態学はTeflon等のマトリックス中に埋め込まれた酸基の孤立したクラスターとして考えることができる。プロトンは、該クラスター内の酸基から酸基へ飛び移ることができるが、プロトンが巨視的にPEMを横断して移動するためには、ヒドロニウムイオンの形で親水性チャンネルを経由してクラスター中の1個の酸から次の酸へ移動しなければならない。すなわち、NAFION(登録商標)のプロトン伝導率を高くするためには、閾値量の水の存在が必要要件である。NAFION(登録商標)のプロトン伝導率を高くするために水和しなければならないこの必要要件は、水の沸点以上の温度でNAFION(登録商標)系燃料電池を使用する実際の実施上の障害である。(Mauritz, k.A. and Moore, R.B., Chem. Rev., 104, 4535-4585 (2004)参照)。再び、いかなる特定の理論にも拘束されずに、架橋PEMへの本開示の液体前駆体において達成可能な非常に高い酸含有量は、酸基が互いにプロトンの跳躍距離内にある連続体になると考えられる。このように、商業グレードのNAFION(登録商標)、又は新しく出現する当量>550の任意の他のPEM材料において、水含有量を要求することなく、プロトンは巨視的に膜を通って移動することができる。
【0069】
要約すれば、本開示の材料は、自動車用途、並びに例えば電子装置用の携帯電源などの従来の電気化学電池用途に用いることができる。いくつかの実施態様において、本開示の材料は、高温において改善された機械的安定性を示す。いくつかの実施態様において、本開示の材料は、メタノールなどのアルキルアルコールの透過率が低くなる。いくつかの実施態様において、本開示の材料は、より低い相対湿度での電気化学電池性能の向上、及びプロトン交換膜の親水性の向上を提供する。
【0070】
(II パターン形成プロトン交換膜の製法方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題はパターン形成プロトン交換膜の製造方法を提供する。それらの一実施態様は図1A〜1Bに提供される。
ここで、図1Aを参照すると、パターン基板、例えば型100が提供される。型100は、無機材料、有機材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施態様において、型100は、予め定めた幾何形状102を有し、予め定めた幾何形状102は巨視的領域104を有する。例えば、図1Aに示すように、予め定めた幾何形状102は、第1平坦面108を有する矩形基板106を含み、第1平坦面108は、図1Aに第1平坦面108から展延する複数のペグとして示される複数の構造形状110をさらに含む。
【0071】
さらに、当業者であれば本開示を検討することによって理解するであろうように、複数の構造形状110は、ペグ、溝付きペグ、円筒形、パターン、壁、及び一体化された表面(図示されない)を非制限的に含む任意の形をとることができる。したがって、本開示の方法によって作られるプロトン交換膜は、様々な幾何形状に作ることができ、多くの通路を有することができ、及び/又は制御された、又は可変表面領域を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施態様において、本開示の方法によって製造されるプロトン交換膜は、「巨視的表面」領域よりも大きな「活性表面」領域を有する。したがって、いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的領域104よりも大きな表面領域112を有する複数の構造110を含む。いくつかの実施態様において、複数の構造110は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも約2倍〜約100倍の範囲の表面領域112を有する。いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも2倍の表面領域112を有する複数の構造110を含む。いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも5倍の表面領域112を有する複数の構造110を含む。いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも20倍の表面領域112を有する複数の構造110を含む。いくつかの実施態様において、予め定めた幾何形状102は、型100の巨視的表面領域104の少なくとも80倍の表面領域112を有する複数の構造110を含む。
【0073】
ここで図1A及び1Bを参照すれば、液体前駆体材料114は型100に接触する。液体前駆体材料114は上に開示した任意の液体前駆体材料を含むことができ、すなわち、液体前駆体材料はプロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せを含むことができる。液体前駆体材料114は処理工程Trによって処理されて図1Bに示す処理された液体前駆体材料116を形成する。
【0074】
いくつかの実施態様において、処理工程Trは、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、溶媒蒸発工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される工程を含む。いくつかの実施態様において、硬化工程は熱工程、光化学工程、及び照射工程からなる群から選択される工程を含む。さらに、いくつかの実施態様において、照射工程は液体材料を放射線で照射することを含み、放射線はガンマ線、及び電子ビームからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、化学修飾工程は架橋工程を含む。
【0075】
ここで図1Bを参照すれば、処理された液体前駆体材料116は型100から取り外されて、型100の複数の構造形状110に対応する複数の構造形状120を含む自立のプロトン交換膜118を提供する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は10mm未満の寸法122を有する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は1mm未満の寸法122を有する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は100μm未満の寸法122を有する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は10μm未満の寸法122を有する。いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120は1μm未満の寸法122を有する。言い換えれば、いくつかの実施態様において、複数の構造110及び120を含む個々の構造は、約10mm未満〜約1μm未満の範囲の寸法の高さ、及び/又は約10nm〜約1μm未満の範囲の寸法の幅を有することができる。
【0076】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題はパターン形成ポリマー電解質の製造方法を提供し、この方法は、
(a)液体前駆体材料を、予め定めた幾何形状及び巨視的表面領域を含むパターン基板に接触させること、及び
(b)液体前駆体材料を処理してパターン形成ポリマー電解質を形成することを含む。
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。
【0077】
いくつかの実施態様において、該パターン基板は、無機材料、有機材料及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。
いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状は、非平坦幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、該非平坦幾何形状は、約10mm未満〜約1mm以上の寸法、約1mm未満〜約100μm以上の寸法、約100μm未満〜10μm以上の寸法、約10μm未満〜約1μm以上の寸法、及び約1μm未満の寸法からなる群から選択される予め定めた寸法を有する形状を含む。
【0078】
いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状は、1層の触媒層及び膜電極組立て体を含む電極材料によって画定される。いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状は、膜電極組立て体によって画定される。いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状は、パターン、ペグ、壁、交互嵌合表面、及び巻き取り円筒からなる群から選択される構造を含む。
【0079】
いくつかの実施態様において、該予め定めた幾何形状はパターン基板の巨視的表面領域よりも大きな表面領域を有する構造を含む。いくつかの実施態様において、構造はパターン基板の巨視的表面領域の少なくとも約2倍〜約100倍の範囲の表面領域を有する。
いくつかの実施態様において、液体前駆体材料の処理は、(a)硬化工程、(b)化学的修飾工程、(c)網目形成工程、(d)溶媒蒸発工程、及び(e)それらの組合せからなる群から選択される工程を含む。
【0080】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は本開示の方法によって製造されるパターン形成プロトン交換膜を提供する。いくつかの実施態様において、該パターン形成プロトン交換膜は、約1500未満〜約1000を超える当量、約1000未満〜約800を超える当量、約800未満〜約500を超える当量、及び約500以下の当量からなる群から選択される当量を有する材料を含む。
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、本開示のパターン形成プロトン交換膜を含む電気化学電池を提供する。いくつかの実施態様において、電気化学電池は燃料電池、クロル−アルカリ電池、及びバッテリーからなる群から選択される。
【0081】
本開示の方法によって製造されるプロトン交換膜の一例は図2A及び2Bに提供され、それぞれ、鮫肌パターンを有するプロトン交換膜(PEM)の加水分解前の走査電子顕微鏡写真、及び鮫肌パターンを有するプロトン交換膜(PEM)の加水分解後の走査電子顕微鏡写真を示す。鮫肌パターンは、実施例7に説明するようにして製造された。この特定の例の鮫肌パターン、すなわち直前に上で説明した構造の形状サイズは、幅約2μm、高さ約8μmである。鮫肌パターンを利用することによって、パターンPEMの表面領域は、同じ巨視的寸法の平坦なパターン形成されないPEMの表面領域よりも約5倍大きい。図2Aにおいて走査電子顕微鏡写真が示すように、本開示の方法によって高い再現性の構造形状が得られる。さらに、図2Bにおいて走査電子顕微鏡写真が示すように、パターンはPEMの加水分解の後膨潤するが構造形状はやはり明らかである。
【0082】
いくつかの実施態様において、型100の予め定めた幾何形状、例えば、図1Aの要素102、したがってその中に形成されるPEMの幾何形状は、以下で図10に提供されるように、触媒結合層及び/又は膜電極組立て体の電極材料によって画定される。さらに、本開示の液体前駆体材料、例えば図1Aの液体前駆体材料114は液体であるので、注ぐことが可能である。したがって、液体前駆体材料114は電極材料によって画定される構造などの既存の構造中に注ぐことができる。
【0083】
例えば、ここで図3A及び3Bを参照すれば、第1の電極材料300及び第2の電極材料302は、間隙304がその間に形成されるように空間的に動作可能に配置される。液体前駆体材料306は間隙304中に注がれる。液体前駆体材料306は上で開示した任意の液体前駆体材料を含むことができる。次いで、液体前駆体材料306は処理工程Trによって処理され、プロトン交換膜308を形成し、いくつかの実施態様において、第1の電極材料300と第2の電極材料302の間の機能的な位置に留まる。したがって、いくつかの実施態様において、液体前駆体材料、例えば306は、予め構成された空洞、例えば第1の電極材料300と第2の電極材料302の間に形成された間隙304中に直接注入され、処理工程Trが続く。
【0084】
再び図3A及び3Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、液体前駆体材料306が間隙304中に注がれる前に、第1の電極材料300は第1の触媒材料310で被覆され、第2の電極材料302は第2の触媒材料312で被覆される。
いくつかの実施態様において、プロトン交換膜308は1種の当量を有する材料を含み、当量は、約1500未満で約1000を超える当量、約1000未満で約800を超える当量、約800未満で約500を超える当量、及び約500以下の当量からなる群から選択される。完全に水和された状態で異なる当量を有する本開示の液体材料から製造された代表的なPEM導電率は、図4〜8に提供される。
【0085】
(III 当量の勾配を含むポリマー電解質の製造方法)
さらに、本明細書に開示される液体前駆体材料の合成方法を変化させて、組成物の勾配を生成させ、本開示のPEMの特性を微調整し性能を改善することができる。典型的に、現在のPEMは、エネルギー密度とメタノール透過率の兼ね合いをもたらす1つの特性である1種の当量(EW)を有する材料を含む。例えば、NAFION(登録商標)系の高当量PEMはメタノールの透過率がより低い。しかし、それらの材料は比較的導電率が低い。低EWのPEMは、比肩し得る成分のより高いEW材料のものより高い導電率値を与えるが、メタノール透過率が高くなり、エネルギー密度が劇的に低下する。
【0086】
本開示の主題は当量の勾配を有するPEMを提供する。本明細書に開示するEWの勾配で、両方の領域(メタノール透過率及び導電率)における最適の性能を得ることができる。例えば、より高いEWを有する材料をアノードに使用することによってメタノール透過率の低いPEMが提供されるが、PEMの断面全体により低いEWを有する材料を含むことはより高いエネルギー密度を提供する。
【0087】
ここで図9Aを参照すれば、複数の液体材料902を有するプロトン交換膜900が開示される。この実施態様において、複数の液体材料902は複数の液体材料902a〜902fを含む。いくつかの実施態様において、液体材料902a〜902fは、高ガラス転移温度(Tg)のNAFION(登録商標)等の材料を含む。しかし、液体材料902a〜902fは高Tg材料に制限されず、いくつかの実施態様において、液体材料902a〜902fはフッ化又は過フッ化エラストマー系材料、又は本明細書に開示される任意の材料を含む。
【0088】
いくつかの実施態様において、各液体材料、例えば、902a、902b、902c、902d、902e、及び902fは異なる当量(例えば、それぞれEWa、EWb、EWc、EWd、EWe、及びEWf(図示されない))を有する。本明細書に用いられる用語「当量」は、酸官能基1当量を含む酸性材料の質量を指す。したがって、本明細書に開示されるポリマー電解質の当量は、ポリマー電解質中の酸基当量数をポリマー電解質の重量で除したものである。さらに、本明細書に用いられる用語「異なる当量」は他の当量、例えばEWbから約50g/モル異なる当量、例えばEWaを指す。例えば、約800の当量は約750の当量とは異なると考えられる。
【0089】
再び図9Aを参照すれば、アノード904に最も近接している液体材料、すなわち層902aは、液体材料902b〜902fに比べてより高いEWを有する。いくつかの実施態様において、液体材料902a〜902fの当量は、EWa>EWb>EWc>EWd>EWe>EWfの傾向に従い、カソード906に最も近接している液体材料902fは最も低い当量を有する。
【0090】
いくつかの実施態様において、液体材料902a、902b、902c、902d、902e、及び902fの少なくとも1つは1500以下の当量を有する。いくつかの実施態様において、液体材料902a、902b、902c、902d、902e、及び902fの少なくとも1つは1000以下の当量を有する。いくつかの実施態様において、液体材料902a、902b、902c、902d、902e、及び902fの少なくとも1つは800以下の当量を有する。いくつかの実施態様において、液体材料902a、902b、902c、902d、902e、及び902fの少なくとも1つは500以下の当量を有する。完全に水和された状態で異なる当量を有する本開示の液体材料から製造される代表的PEMの導電率は、図4〜8に提供される。
【0091】
ここで図9Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、アノード904でのPEM900のメタノール透過率を低下させるために、高EW液体材料、例えば当量EWaを有する902aが、基板、例えばアノード904上に、例えば塗布又はスピンコートされて配置され、アノード904上に液体材料902aの層を形成し、続いて処理工程Trで処理して処理された液体材料908aを形成する。処理された液体材料908aは、より低いEWの液体材料、例えば当量EWbを有する902bで被覆され、次いでこれは処理されて処理された液体材料908b(図示されない)を形成する。この手順を必要なだけ繰り返して、当量の勾配、例えばEWa〜EWfを含むPEM900を形成する。したがって、いくつかの実施態様において、処理された液体材料、例えばカソード906に最も近接している908f(図示されない)は、最も低いEW、例えばEWfを有する。したがって、本開示の方法は、アノード904でのメタノール透過率を低下させ、PEM900の断面を通るプロトン移動を容易に増加させて促進することができる。
【0092】
したがって、いくつかの実施態様において、PEM900は複数のポリマー電解質層を含み、複数のポリマー電解質層は、第1の当量を有する材料を含む第1ポリマー電解質の少なくとも第1の層と、第2の当量を有する材料を含む第2ポリマー電解質の少なくとも第2の層とを含む。いくつかの実施態様において、複数のポリマー電解質層は当量の勾配を含む。
【0093】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は複数の当量を含むポリマー電解質の製造方法を提供し、該方法は、
(a)第1の当量を有する第1の液体前駆体材料を基板に塗布すること、
(b)該第1の液体前駆体材料を処理して基板上に処理された液体前駆体材料の第1の層を形成すること、
(c)第2の当量を有する第2の液体前駆体材料を、該基板上の処理された液体前駆体材料の第1の層に塗布すること、及び
(d)該第2の液体前駆体材料を処理して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含む。
【0094】
いくつかの実施態様において、該第1の液体前駆体材料及び該第2の液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該第1の当量は、第2の当量よりも大きい。
いくつかの実施態様において、該基板は、アノード及びカソードからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該第1の液体前駆体材料、該第2の液体前駆体材料、及び該複数の液体前駆体材料の処理は、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、溶媒蒸発工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0095】
いくつかの実施態様において、該方法は、ステップ(c)〜(d)を、複数の当量を含む予め定めた複数の液体前駆体材料で繰り返して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含み、該複数の液体前駆体材料は、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該第2の当量は、該複数の当量よりも大きい。
【0096】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、本開示の方法によって製造される複数の当量を含むポリマー電解質を提供する。いくつかの実施態様において、本開示の主題は、当量の勾配を含む本開示のポリマー電解質を含む電気化学電池を提供する。いくつかの実施態様において、電気化学電池は燃料電池、クロル−アルカリ電池、及びバッテリーからなる群から選択される。
本開示のプロトン交換膜の性能は、中でも、導電率、エネルギー密度、耐久性、及び寿命を測定することによって評価することができる。
【0097】
(IV 膜電極組立て体(MEA)の製造方法)
本開示の主題は、膜電極組立て体(MEA)の製造方法も提供する。いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の製造方法は、本明細書に説明される液体前駆体材料を用いる加工可能な触媒インク組成物の製造を含む。さらに、いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の製造方法は、本開示の方法によって製造されるプロトン交換膜を提供すること、プロトン交換膜を加工可能な触媒インク組成物で被覆して被覆されたプロトン交換膜を形成することを含み、かついくつかの実施態様において、該被覆されたプロトン交換膜に、電極材料を塗布することを含む。
【0098】
(IV.A 加工可能な触媒インク組成物の製造方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題は加工可能な触媒インク組成物の製造方法を説明し、この方法は、
(a)液体前駆体材料を提供すること、及び
(b)該液体前駆体材料を触媒と混合して加工可能な触媒インク組成物を形成することを含む。
【0099】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料は、液体ペルフルオロポリエーテル材料を含む。いくつかの実施態様において、該液体ペルフルオロポリエーテル材料は、末端基を含み、該末端基は硬化後化学的に安定である。いくつかの実施態様において、該化学的に安定な末端基は、アリール末端基及びフッ化ビニルエーテル末端基の1種から選択される。いくつかの実施態様において、該アリール末端基は、スチレニル末端基を含む。
いくつかの実施態様において、該方法は、液体前駆体材料をビニルモノマーなどのモノマー及び架橋剤と混合することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該ビニルモノマーはプロトン伝導性化学種を含む。いくつかの実施態様において、該プロトン伝導性化学種は酸性材料及び酸性材料への前駆体の1種から選択される。
【0100】
いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は、触媒を含む。いくつかの実施態様において、該触媒は、白金、ルテニウム、モリブデン、クロム、及びそれらの組合せからなる群から選択される金属を含む。いくつかの実施態様において、該触媒は、白金触媒及び白金合金触媒の1種から選択される。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は電極材料を含む。いくつかの実施態様において、該電極材料はカーボンブラックを含む。
【0101】
いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物の処理を含む。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物の処理は、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、溶媒蒸発工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される処理工程を含む。
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、本明細書に説明される方法によって製造される加工可能な触媒インク組成物を提供する。
【0102】
(IV.B 加工可能な触媒インク組成物を基板へ塗布する方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、加工可能な触媒インク組成物を基板へ塗布する方法を提供する。いくつかの実施態様において、該基板は電極材料を含む。いくつかの実施態様において、該基板はプロトン交換膜を含む。
ここで図10Aを参照すれば、いくつかの実施態様において、直前に上で説明した加工可能な触媒インク組成物1000は電極材料1002上に塗布される。いくつかの実施態様において、電極材料1002はカーボン布を含む。いくつかの実施態様において、電極材料1002はカーボン紙を含む。続いて、加工可能な触媒インク組成物1000は、処理工程Trによって処理されて触媒結合層(図示されない)を形成し、電極材料1002との良好な接触を提供する。
【0103】
ここで図10Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、直前に上で説明した加工可能な触媒インク組成物1000はパターン形成プロトン交換膜1004に塗布される。続いて、加工可能な触媒インク組成物1000は処理工程Trによって処理されて触媒結合層(図示されない)を形成し、プロトン交換膜1004との良好な接触を提供する。
電極1002及びプロトン交換膜1004の1種又は両方を塗布するために用いられる方法は、化学気相成長法(CVD)、電子噴霧、電場堆積、rf−プラズマ強化CVD、火炎噴霧堆積、インクジェット印刷、又はパルスレーザー堆積を含む群から選択することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物の処理を含む。いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物の処理は、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、溶媒蒸発工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される処理工程を含む。
【0104】
本開示の主題は、異なる膜電極組立て体に使用するために独立に実施することができる。すなわち、1つの膜電極組立て体において、本開示の主題は電極材料を被覆するのに用いることができるが、他の膜電極組立て体において、本開示の主題はプロトン交換膜を被覆するのに用いることができる。さらに、これらの方法の両方とも、例えばそれぞれ図10A及び10Bに説明した方法は、同じ膜電極組立て体の製造に用いることができる。
【0105】
(IV.C プロトン交換膜の整合的被覆方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、加工可能な触媒インク組成物及び電極材料の少なくとも1種でプロトン交換膜を整合的に被覆する方法を提供する。「整合的な被覆」は、例えば該加工可能な触媒インク組成物及び/又は電極材料の被覆が、例えば、プロトン交換膜の形状と導電的に接触し、それによって、その形状の幾何形状に整合することを意味する。
【0106】
ここで図11Aを参照すれば、いくつかの実施態様において、パターンPEM1100は加工可能な触媒インク組成物1102で整合的に被覆され、続いて、カーボンブラックなどの電極材料1104で被覆され、電極材料1104の平坦面1106を形成する。いくつかの実施態様において、加工可能な触媒インク組成物1102は、次いで処理工程Trによって処理される。膜電極組立て体(図示されない)に動作可能に配置されるとき、該電極材料の平坦化被覆は、該膜電極組立て体が少なくとも一方の側に平坦表面を有することを可能にする。
【0107】
ここで図11Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、パターンPEM1100は加工可能な触媒インク組成物1102で整合的に被覆され、続いて、電極材料1104で被覆されて、電極材料1104の整合性表面1108を形成する。いくつかの実施態様において、加工可能な触媒インク組成物1102は、次いで処理工程Trによって処理される。
ここで図11Cを参照すれば、いくつかの実施態様において、パターンPEM1100は加工可能な触媒インク組成物1102で整合的に被覆されて、加工可能な触媒インク組成物1102の平坦表面1110を形成する。このステップに続いて電極材料1104で被覆されて、電極材料1104の平坦面1106を形成する。いくつかの実施態様において、加工可能な触媒インク組成物1102は、次いで処理工程Trによって処理される。膜電極組立て体(図示されない)に動作可能に配置されるとき、該電極材料の平坦化被覆は、該膜電極組立て体が少なくとも一方の側に平坦表面を有することを可能にする。
【0108】
したがって、いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物をプロトン交換膜及び電極材料の少なくとも1種に整合的に塗布することを含む。
例として、電子噴霧堆積技術を用いて触媒で整合的に被覆されたパターンPEM走査電子顕微鏡写真を図12A及び12Bに示す。さらに、蒸着堆積技術を用いて触媒で整合的に被覆されたパターンPEM走査電子顕微鏡写真を図13に示す。これらの各PEMの製造は実施例8に説明される。
【0109】
(IV.D 膜電極組立て体(MEA)の製造方法)
本開示の主題は、膜電極組立て体の製造方法を提供する。いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の製造方法は、プロトン交換膜の製造、加工可能な触媒インク組成物の製造、加工可能な触媒インク組成物の基板上への塗布、及びプロトン交換膜の整合的被覆の少なくとも1つの本開示の方法を含む。
【0110】
したがって、いくつかの実施態様において、膜電極組立て体の形成方法は、
(a)本明細書に説明される液体前駆体材料から製造されたプロトン交換膜を提供すること、
(b)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること、
(c)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること、及び
(d)該プロトン交換膜、該第1及び第2の触媒材料、並びに該第1及び第2の電極材料を、導電連絡を保って動作可能に配置して、膜電極組立て体を形成することを含む。
【0111】
ここで図14Aを参照すれば、本開示の膜電極組立て体の形成方法の一実施態様が提供される。図14Aの参照を続ければ、プロトン交換膜1400が提供される。いくつかの実施態様において、プロトン交換膜1400は図14Aに示した三次元幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、第1の触媒材料1402及び第2の触媒材料1404はプロトン交換膜1400と整合的に接触させる。第1の電極材料1406は、第1の触媒材料1402と整合的に接触させる。第2の電極材料1408は、第2の触媒材料1404と接触させる。いくつかの実施態様において、第1の電極材料1406及び第2の電極材料1408は平坦な幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、膜電極組立て体の部品は処理工程Trによって処理され、部品間の良好な接触と機械的な安定性を提供することができる。
【0112】
したがって、本開示の主題は、三次元プロトン交換膜及び整合的に触媒装填された二次元電極を含む電極組立て体を提供する。三次元とは、例えば、プロトン交換膜が平坦表面から展延する形状を含むことを意味する(例えば、図1Bの複数の構造形状120を参照されたい)。二次元とは、例えば、電極材料がプロトン交換膜と導電連絡する平坦表面を含むことを意味する(例えば、図14Aの第1の電極材料1406及び第2の電極材料1408を参照されたい)。
【0113】
ここで図14Bを参照すれば、プロトン交換膜1400が提供される。いくつかの実施態様において、プロトン交換膜1400は図14Bに示した三次元幾何形状を含み、三次元幾何形状は複数の窪み1410を含む。いくつかの実施態様において、第1の触媒材料1412及び第2の触媒材料1414は窪み1410内に動作可能に配置される。第1の電極材料1406は、第1の触媒材料1412と整合的に接触させる。第2の電極材料1408は、第2の触媒材料1414と整合的に接触させる。いくつかの実施態様において、第1の電極材料1406及び第2の電極材料1408は平坦な二次元の幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の部品は、処理工程Trによって処理され、部品間の良好な接触と機械的な安定性を提供することができる。したがって、本開示の主題は、三次元プロトン交換膜及び非整合的に触媒を装填した二次元電極を含む膜電極組立て体を提供する。
【0114】
ここで図15を参照すると、プロトン交換膜1500が提供される。いくつかの実施態様において、プロトン交換膜1500は複数の窪み1502を含む三次元幾何形状を含む。いくつかの実施態様において、第1の触媒材料1504及び第2の触媒材料1506はプロトン交換膜1500と整合的に接触する。いくつかの実施態様において、第1の電極材料1508は窪み1502内に配置され、第1の触媒材料1504と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第2の電極材料1510は窪み1502内に配置され、触媒材料1506と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、該膜電極組立て体の部品は、処理工程Trによって処理され、部品間の良好な接触と機械的な安定性を提供することができる。したがって、本開示の主題は、三次元プロトン交換膜及び整合的に触媒を装填した三次元電極材料を含む三次元膜電極組立て体を提供する。
【0115】
いくつかの実施態様において、該プロトン交換膜、例えば図14A及び14Bの1400、図15の1500は、本明細書に説明される方法によって実施される。いくつかの実施態様において、該プロトン交換膜は、液体前駆体材料を2個の電極材料、例えば図15の第1の電極材料1508と第2の電極材料1510の間に動作可能に配置し、次いで液体前駆体材料を処理することによって形成される。
【0116】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、膜電極組立て体の製造方法を提供し、この方法は、
(a)第1の電極材料を提供すること、
(b)第2の電極材料を提供すること、
(c)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間に間隙が形成されるように、該第1の電極材料と該第2の電極材料とを空間的に配置すること、
(d)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間の間隙に液体前駆体材料を配置すること、及び
(e)該液体前駆体材料を処理して膜電極組立て体を形成することを含む。
【0117】
いくつかの実施態様において、該液体前駆体材料はプロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
いくつかの実施態様において、この方法は、
(a)該第1の電極材料を第1の触媒材料に接触させること、
(b)該第2の電極材料を第2の触媒材料に接触させること、及び
(c)該第1の電極材料と該第2の電極材料とが互いに面し、該第1の電極材料と該第2の電極材料との間に間隙が形成されるように、該第1の電極材料と該第2の電極材料とを空間的に配置することを含む。
【0118】
さらに、いくつかの実施態様において、該第1の触媒材料及び該第2の触媒材料の少なくとも1種は、加工可能な触媒インク組成物を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物を該プロトン交換膜に塗布することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物を、該第1及び第2の電極材料の少なくとも1種に塗布することを含む。いくつかの実施態様において、該方法は、該加工可能な触媒インク組成物を該プロトン交換膜、及び該第1の電極材料と該第2の電極材料との少なくとも1種に塗布することを含む。
【0119】
いくつかの実施態様において、該加工可能な触媒インク組成物は、化学気相成長(CVD)工程、電子噴霧工程、電場堆積工程、rf−プラズマ強化CVD工程、火炎噴霧堆積工程、インクジェット印刷工程、及びパルスレーザー堆積工程を非制限的に含む群から選択される工程によって塗布される。
【0120】
いくつかの実施態様において、該電極材料は、カーボン布、カーボン紙、カーボンブラックからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該電極材料はパターン電極材料を含む。
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は、本明細書に説明される方法によって製造される膜電極組立て体(MEA)を提供する。
【0121】
いくつかの実施態様において、その内部に電極材料が動作可能に配置される電気化学電池のエネルギー密度を増加させるため、該電極材料、例えば、カーボン布、カーボン紙、及び/又はカーボンブラックを処理してその表面積を増加させる。ここで図16を参照すれば、電極材料1600が提供される。電極材料1600は、従来のリソグラフ技術(図示されない)を用いてパターン形成して、又は電子ビーム、例えば図16のエッチング剤EAを用いて直接パターン形成して、パターン電極材料1602を形成することができる。いくつかの実施態様において、電極材料1600は、例えば、電子ビームリソグラフに用いるためのフォトレジスト1604をさらに含むことができる。いくつかの実施態様において、例えば酸素反応性イオンエッチングなどのプラズマエッチングに用いるために、マスク1606を提供することができる。
【0122】
したがって、いくつかの実施態様において、該電極材料は、
(a)リソグラフ工程、
(b)直接電子ビーム工程、
(c)フォトレジストを用いる電子ビームリソグラフ工程、
(d)マスクを用いるプラズマエッチング工程
を非制限的に含む群から選択される工程によってパターン形成される。
いくつかの実施態様において、プラズマエッチング工程は酸素反応性イオンエッチング工程を含む。
【0123】
(V. 電気化学電池の形成方法)
いくつかの実施態様において、本開示の主題は、燃料電池などの電気化学電池の形成方法を提供する。ここで図17Aを参照すれば、プロトン交換膜1700が提供される。プロトン交換膜1700は本明細書に説明される方法によって本開示の液体前駆体材料から製造することができる。プロトン交換膜1700は、第1の触媒材料1702と第2の触媒材料1704の間に動作可能に配置され接触する。いくつかの実施態様において、第1の触媒材料1702及び第2の触媒材料1704は、各々独立に白金、ルテニウム、モリブデン、クロム、及びそれらの組合せからなる群から選択される金属を含む。
【0124】
図17Aの参照を続ければ、第1の触媒材料1702は第1の電極材料1706と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第1の電極材料1706は第1表面1706a及び第2表面1706bを含む。したがって、いくつかの実施態様において、第1表面1706aと第2表面1706bとの少なくとも1種は、第1の触媒材料1702と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第1表面1706aと第2表面1706bとの少なくとも1種は、第1の触媒材料1702で被覆される。いくつかの実施態様において、第1表面1706aと第2表面1706bとの少なくとも1種は、第1の触媒材料1702で含浸される。
【0125】
図17Aの参照を続ければ、第2の触媒材料1704は、第2の電極材料1708と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第2の電極材料1708は、第1表面1708a及び第2表面1708bを含む。したがって、いくつかの実施態様において、第1表面1708aと第2表面1708bとの少なくとも1種は、第2の触媒材料1704と動作可能に接触する。いくつかの実施態様において、第1表面1708aと第2表面1708bとの少なくとも1種は、第2の触媒材料1704で被覆される。いくつかの実施態様において、第1表面1708aと第2表面1708bとの少なくとも1種は、第2の触媒材料1704で含浸される。
【0126】
図17Aの参照を続ければ、したがって、膜電極組立て体1710は、プロトン交換膜1700、第1の触媒層1702、第1の電極材料1706、第2の触媒層1704、及び第2の電極材料1708を動作可能に配置することによって形成される。膜電極組立て体1710は、燃料電池などの電気化学電池中に動作可能に配置される。
図17Aの参照を続ければ、第1外部層1712及び第2外部層1714が提供される。いくつかの実施態様において、第1外部層1712及び第2外部層1714は本明細書に説明されるペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料から構成される。第1外部層1712は、複数のマイクロ流体チャンネル1716をさらに含み、そこを通して燃料F1を導入することができ、第2外部層1714は、複数のマイクロ流体チャンネル1718をさらに含み、そこを通して燃料F2を導入することができる。
【0127】
いくつかの実施態様において、第1の電極材料1706はアノードを含み、燃料F1と流体連絡し、F1は、いくつかの実施態様において、アノード燃料を含む。いくつかの実施態様において、アノード燃料、例えば燃料F1はH2、アルカン、アルキルアルコール、ジアルキルエーテル、及びグリコールからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルカンは、メタン、エタン、プロパン、及びブタンからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、メタノールを含む。いくつかの実施態様において、該ジアルキルエーテルは、ジメチルエーテルを含む。いくつかの実施態様において、該グリコールは、エチレングリコールを含む。
【0128】
いくつかの実施態様において、第2の電極材料1708は、カソードを含み、燃料F2と流体連絡し、F2はいくつかの実施態様において、カソード燃料を含む。いくつかの実施態様において、該カソード燃料、例えば燃料F2は空気などの酸素(O2)含有ガスを含む。いくつかの実施態様において、該カソード燃料は、空気/水混合物を含む。
いくつかの実施態様において、該電気化学電池は、少なくとも1個の電気的出力接続Eoを含む。
【0129】
ここで図17Bを参照すれば、いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1716は、少なくとも1個の入口開口1720を含む。いくつかの実施態様において、入口開口1720は、燃料源1722と流体連絡する。いくつかの実施態様において、燃料源1722は、燃料F1を含む。いくつかの実施態様において、燃料F1はアノード燃料及びカソ−ド燃料からなる群から選択される。
図17Bの参照を続ければ、いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1718、は少なくとも1個の入口開口1724を含む。いくつかの実施態様において、入口開口1724は、燃料源1726と流体連絡する。いくつかの実施態様において、燃料源1726は、燃料F2を含む。いくつかの実施態様において、燃料F2は、アノード燃料及びカソ−ド燃料からなる群から選択される。
【0130】
いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1716は出口開口1728を含む。いくつかの実施態様において、出口開口1728は、燃料再循環チャンネル1730と流体連絡する。いくつかの実施態様において、出口開口は、廃棄物排出口1732と流体接続する。
いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1718は出口開口1734を含む。いくつかの実施態様において、出口開口1734は燃料再循環チャンネル1736と流体連絡する。いくつかの実施態様において、出口開口は廃棄物排出口1738と流体接続する。
【0131】
いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1716は複数のバルブ、例えば、1740a、1740b、1740cを含む。いくつかの実施態様において、複数のバルブ、1740a、1740b、1740cは、圧力駆動バルブ(図示されない)を含む。いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1718は複数のバルブ、例えば、1742a、1742b、1742cを含む。いくつかの実施態様において、複数のバルブ、1740a、1740b、1740cは、圧力駆動バルブ(図示されない)を含む。
いくつかの実施態様において、複数のマイクロ流体チャンネル1716及び複数のマイクロ流体チャンネル1718は、各々マイクロ流体チャンネル(図示されない)の網目を含む。
【0132】
いくつかの実施態様において、マイクロ流体装置はソフトリソグラフ工程によって製造される。本明細書に用いられる用語「ソフトリソグラフ」は、弾性体スタンプを用いることによってマイクロメートル及びマイクロメートル以下の形状が基板に転写される工程を指す。ソフトリソグラフは、約100nmより小さな形状寸法を製造するために、従来のフォトリソグラフ工程の代替として出現した。本明細書に用いられる用語「ソフトリソグラフ」は、インプリントリソグラフ(IL)、レプリカ成型、マイクロコンタクト印刷(MCP)、キャピラリ中のマイクロ成型(MIMIC)、溶媒援用マイクロ成型(SAMIM)を非制限的に含むいくつかの工程を包含する。
【0133】
ここで図18A〜18Cを参照すれば、複数のマイクロ流体チャンネルを含むペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料の層を形成する本開示の方法の一実施態様の概要が示される。隆起した突起1804を含むパターン表面1802を有する基板1800が示される。したがって、基板1800のパターン表面1802は、パターンの形状を形成する少なくとも1個の隆起した突起1804を含む。いくつかの実施態様において、基板1800のパターン表面1802は、複雑なパターンを形成する複数の隆起した突起1804を含む。
【0134】
図18Bで最善に見えるように、ポリマー前駆体1806は基板1800のパターン表面1802に配置される。ポリマー前駆体1806はペルフルオロポリエーテル(PFPE)を含むことができる。図18Bに示すように、ポリマー前駆体1806は、処理工程Tr、例えば紫外光での照射によって処理されて、図18Cに示すように、光硬化したペルフルオロポリエーテルのパターン層1808を形成する。
【0135】
図18Cに示すように、光硬化したペルフルオロポリエーテルのパターン層1808は、パターン層1808の底部表面に形成された窪み1810を含む。窪み1810の寸法は、基板1800のパターン表面1802の隆起した突起1804の寸法に一致する。いくつかの実施態様において、窪み1810は少なくとも1個のチャンネル1812を含み、本開示の主題のいくつかの実施態様において、マイクロ規模のチャンネルを含む。パターン層1808は基板1800のパターン表面1802から除去されてマイクロ流体装置1814を生成する。したがって、いくつかの実施態様において、該ソフトリソグラフ工程は、液体前駆体材料をパターン基板、例えばシリコンウェーハと接触させることを含む。いくつかの実施態様において、該工程は、該液体前駆体材料を処理して架橋ポリマーを形成することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該処理工程は、硬化工程、化学的修飾工程、網目形成工程、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0136】
いくつかの実施態様において、該工程は、該架橋ポリマーを該基板から除去し、それによって所望のパターンの「スタンプ」を作ることをさらに含む。
ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)弾性体材料は、典型的にそれらのマイクロ流体装置に用いられる。しかし、該PDMS材料の膨潤は、マイクロメートルサイズの形状を崩壊させるため、直接メタノール燃料電池及び他の有機液体を含む燃料電池におけるその使用を制限する。さらに、該PDMS材料は典型的に酸及び塩基に不安定でもある。
【0137】
本開示の主題は、光硬化可能なPFPE材料を使用することによって、PDMS弾性体に伴う上記問題を全体的に又は部分的に対処する。いくつかの実施態様において、該PFPE材料は、フッ素化した官能化PFPE材料を含み、いくつかの実施態様において、液状の粘度を有し、典型的なフルオロポリマーの化学的抵抗性を示す堅牢な弾性体に硬化することができる。
【0138】
したがって、いくつかの実施態様において、本開示の主題は硬化したPFPE系材料を含む。いくつかの実施態様において、該硬化方法は、遊離ラジカル硬化方法を含む。いくつかの実施態様において、該遊離ラジカル硬化方法は、該PFPE樹脂に他のモノマー及びマクロモノマーを加えることをさらに含む。該PFPE樹脂に他のモノマー及びマクロモノマーを加えることは、モジュラス、曲げ強度、濡れ特性、透過率、接着、反応性を非制限的に含む物理的特性を制御可能にする。
【0139】
(VI. 電気化学電池の運転方法)
また、本開示の主題は、燃料電池などの電気化学電池の運転方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、
(a)少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む少なくとも1層のペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む電気化学電池を提供すること、
(b)第1の電極反応物及び第2の電極反応物を該電気化学電池中に分配すること、及び
(c)該電気化学電池から電気出力を発生することを含む。
いくつかの実施態様において、該電気化学電池のプロトン交換膜は、本明細書に説明される液体前駆体材料から製造されたポリマー電解質を含む。
【0140】
いくつかの実施態様において、該第1の電極反応物は、H2、アルカン、アルキルアルコール、ジアルキルエーテル、及びグリコールからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルカンは、メタン、エタン、プロパン、及びブタンからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、及びヘキサノールからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該アルキルアルコールは、メタノールを含む。いくつかの実施態様において、該ジアルキルエーテルは、ジメチルエーテルを含む。いくつかの実施態様において、該グリコールは、エチレングリコールを含む。いくつかの実施態様において、該第2の電極反応物は空気などの酸素(O2)含有ガスを含み、いくつかの実施態様において、空気/水混合物を含む。
【0141】
いくつかの実施態様において、該方法は、電気化学電池によって発生した電気的出力を取り出すことを含む。いくつかの実施態様において、該電気的出力は約100ミリワット〜約20ワットの範囲である。
いくつかの実施態様において、該電気化学電池の運転方法は、装置に電気的エネルギーを供給することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該装置は、据置型の装置を含む。いくつかの実施態様において、該据付装置は、発電機を含む。いくつかの実施態様において、該装置は、携帯装置を含む。いくつかの実施態様において、該携帯装置は、携帯発電機、携帯電気器具、電気工具、電子装置、鉄道又は交通信号、予備電源供給、個人用車両からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該電子装置は、消費者電子装置及び軍用電子装置の1種から選択される。いくつかの実施態様において、該装置は、自動車装置を含む。
【実施例】
【0142】
(実施例)
以下の実施例は、本開示の主題の代表的な実施態様を実施する当業者に手引きを提供するために含まれている。本開示及び当技術分野の一般的な水準に照らして、当業者であれば、以下の実施例が単なる例示を意図するものであり、本開示の主題の範囲から逸脱することなく多くの変化、修正、及び変更を加えることができることを認識できる。
【0143】
(実施例1)
(架橋可能なPFPE液体前駆体の合成)
実施例1.1 スチレン結合を有する架橋可能なPFPE液体前駆体の合成
ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ジフルオロエチレンオキシド)α,ωジオール(ZDOL)(PFPE、平均Mn=約3800g/モル)鎖の両端に、界面反応によってスチレン結合を加える。典型的な合成において、PFPE(20g、5.26ミリモル)、ソルカン(10mL)、及び硫酸水素テトラブチルアンモニウム(1.0g、2.95ミリモル)を丸底フラスコ中に加える。KOH(10g、0.18モル)を脱イオン水(20mL)に溶解し、次いで、水性KOH溶液を丸底フラスコに加える。4−ビニルベンジルクロリド(2mL、12.8ミリモル)を加えた後、反応混合物を45℃で48時間激しく攪拌する。生成物を0.22μmフィルターに通して、得られる褐色固体を取り除く。次いで、溶液を脱イオン水で3回抽出し、カーボンブラックと共に1時間攪拌してあらゆる不純物を除去する。混合物を0.22μmのフィルターを通してカーボンブラックを除去し、室温で真空乾燥して溶媒を除去する。得られる生成物(S−PFPE)は透明で高粘度の液体である。
【0144】
実施例1.2 官能性PFPEの合成及び光硬化
官能性PFPEの合成及び光硬化の代表図スキームを、スキーム1に提供する。
【0145】
【化10】
【0146】
実施例1.3 代表的ペルフルオロポリエーテル
本開示の主題のペルフルオロポリエーテル材料は、以下の主鎖構造を含むペルフルオロポリエーテル材料を非制限的に含む。
【0147】
【化11】
【0148】
(実施例2)
(架橋系の合成)
実施例2.1 概論
強酸と多官能性モノマーは、遊離ラジカル又は異なる化学反応機構によって架橋する。多官能性モノマーは、強酸とすることができ、少なくとも2種の官能性を有することができる。電気化学電池用途のためのこれらの架橋系に用いることのできる強酸の一例は、ペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)である。強酸又は多官能性モノマーとして機能することのできる他の超酸は、スルホンイミド系化合物である。
【0149】
強酸と多官能性モノマーを、アルゴン下、必要に応じてフッ素化又は過フッ素化溶媒と一緒に丸底フラスコ中で混合する。2種の化合物の割合は所望の架橋密度及び当量で変化する。温度及び反応時間などの反応条件は、特定の化合物及び混合の容易さに応じて変化させることができる。
【0150】
該反応混合物を含む液体前駆体をガラススライド又は型などのパターン基板上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。該液体前駆体は、UV光による照射で化学的に又は窒素パージ下で熱的に架橋する。化学的な架橋の機構は、使用される開始剤に依存する。架橋網目が製造されると、塩基及び酸を用いる加水分解によってあらゆる残りの伝導性部位が酸に変換し、プロトン伝導性を高める。
【0151】
実施例2.2 フッ化ジビニルエーテルとしての多官能性モノマー
非伝導性の二官能性モノマーは、強酸と反応すると機械的に安定なプロトン伝導性網目をもたらす。4,4’−ビス(4−トリフルオロビニルオキシ)ビフェニル(化合物1)などの2個以上の官能性を有する市場で入手可能な化合物をPSEPVEなどの強酸と反応させる。液体前駆体の状態で、該反応混合物は表面/型の形状を持ち、不活性雰囲気中で、開始剤の添加によって遊離ラジカル的、熱的、又は光化学的に架橋する。
【0152】
【化12】
【0153】
実施例2.3 トリス(トリフルオロビニル)ベンゼンとしての多官能性モノマー
液体前駆体は、架橋機構が実現可能であれば、パターン形成に適している。三官能性モノマーでの遊離ラジカル硬化は、強酸で硬化されるとき、プロトン伝導性に利用可能な化学的に架橋した網目を提供する。三官能性モノマーの一例は、トリス(α,β,β−トリフルオロビニル)ベンゼン(化合物2)であり、1,3,5−トリブロモベンゼンを用いて調製される(スキーム2参照)。また、スキーム2の出発物質は、強酸による後続の架橋のための三官能性モノマーを代表することができる。強酸の一例は、PSEPVEである。液体前駆体状態の反応混合物は実施例2.2に説明されるようにして架橋することができる。
【0154】
【化13】
【0155】
実施例2.4 フッ化ジビニルエーテルスルホンイミドとしての多官能性モノマー
二官能性マクロモノマーは、超酸でもあり、PSEPVEなどの他の強酸と反応して伝導性の高い機械的に安定な網目が得られる。液体前駆体の形で、この反応は架橋前に任意の型の形状を取る。後続の架橋は表面積の大きい伝導性の高い膜をもたらす。二官能性マクロモノマーとして用いられる超酸の一例は、ビス(PSEPVE系)スルホンイミド(化合物3)であり、スルホンイミドの化学反応によって調製される(スキーム3及び4参照)。該反応混合物は、実施例2.2に説明した条件下で硬化することができる。
【0156】
【化14】
【0157】
実施例2.5 フッ化ビスビニルエーテルジスルホンイミドとしての多官能性モノマー
PSEPVEなどの強酸とジスルホニルフルオリドを用いて、この架橋可能な超酸モノマー(化合物4、スキーム6)を得るスルホンイミド化学反応を用いて、ビスビニルエーテルジスルホンイミドが調製される。ジスルホニルフルオリドは、α,ω−ジヨードペルフルオロアルカン(スキーム5)などのジヨードアルカンを用いて調製することができる。ビスビニルエーテルジスルホンイミドは、PSEPVEなどの他の強酸と反応して伝導性の高い膜を形成する。該反応物は、実施例2.2に説明した条件下で硬化することができる。
【0158】
【化15】
【0159】
【化16】
【0160】
【化17】
【0161】
【化18】
【0162】
【化19】
【0163】
【化20】
【0164】
(実施例3)
(架橋可能なターポリマーの合成)
実施例3.1 概論
フルオロオレフィン、強酸、及び低分子量の硬化部位モノマー(CSM)を含むターポリマーを重合する。フルオロオレフィンの一例は、テトラフルオロエチレン(TFE)であり、強酸としてペルフルオロ2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル(PSEPVE)を選択する。典型的な重合は40%固体を装填することができる。TFE系重合に選択される溶媒は任意に二酸化炭素(CO2)である。開始剤濃度によって所望の分子量を微調整する。より高い開始剤濃度はより低い比分子量をもたらし、より低い開始剤濃度はより高い比分子量をもたらすであろう。重合は熱開始剤によって遊離ラジカル的に行われる。反応時間は所望の変換によって変化する。重合は、通常フッ化エラストマー及び過フッ化エラストマー技術に用いられる硬化部位モノマーを用いて行うことが好ましい。例えば、硬化部位モノマーは、シアノビニルエーテル、臭素含有モノマー、臭素含有オレフィン、臭素含有ビニルエーテル、ヨウ素含有モノマー、ヨウ素含有オレフィン、ヨウ素含有ビニルエーテル、ニトリル基を有するフッ素含有オレフィン、ニトリル基を有するフッ素含有ビニルエーテル、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、ペルフルオロ(2−フェノキシプロピル)ビニルエーテル、及び非共役ジエンを含むことができる。
【0165】
フルオロオレフィン、強酸、及び硬化部位モノマー(CSM)の重合によって形成されたターポリマーは、ターポリマーの加水分解の前に重合後架橋することができる。重合生成物は、ムーニー粘度160以下のゴム又は液体を含む。ターポリマーは不活性雰囲気中で所望のパターンの型、又はガラススライド上に注がれる。標準的なスチール製スペーサを用いてガラススライド間の膜厚さを制御する。該ターポリマーはパターン型の形状を取る。フッ化エラストマー及び過フッ化エラストマー技術におけるように、任意に硬化化学反応を行う。液体前駆体は、熱的又はガンマ線照射を含む様々な硬化系によって化学的に架橋される。CSMに応じて、過フッ化系又はビスフェノール硬化系も実施することができる。型で占拠された幾何形状表面積よりも大きな活性表面積を有する、化学的に架橋した膜が生成される。塩基及び酸による後続の加水分解は、パターン形成された機械的一体性の高いプロトン伝導性膜をもたらす。
【0166】
実施例3.2 臭素含有硬化部位モノマーを有するターポリマー
フルオロオレフィン、及び強酸、及び硬化部位モノマーを含むターポリマーの重合のために、臭素を含む硬化部位モノマーが選択される。硬化部位モノマーとして使用される臭素含有化合物は、ビニルブロミド、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、ペルフルオロアリルブロミド、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン、4−ブロモペルフルオロ−1−ブテン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、ブロモトリフルオロエチレン及びペルフルオロブロモ−ビニルエーテルを含むことができる。
【0167】
実施例3.3 シアノビニルエーテル含有硬化部位モノマーを有するターポリマー
フルオロオレフィン、及び強酸、及び硬化部位モノマーを含むターポリマーの重合のために、シアノビニルエーテルを含む硬化部位モノマーが選択される。硬化部位モノマーとして使用されるシアノビニルエーテル含有化合物は、ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオカ−1−オクテン)及びペルフルオロ(9−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)を含むことができる。
【0168】
(実施例4)
他の液体材料の調製
【0169】
【化21】
【0170】
【化22】
【0171】
【化23】
【0172】
【化24】
【0173】
【化25】
【0174】
(実施例5)
(プロトン伝導性材料への前駆体の合成)
実施例5.1 スチレンスルホン酸エステルの合成
4−ビニルベンゼンスルホニルクロリド(37.5ミリモル)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(37.5ミリモル)、トリエチルアミン(10mL)、及びピリジン(20mL)をアルゴン流の下で丸底フラスコへ加える。得られるスラリーを室温で20時間攪拌する。次いで、反応混合物を過剰の塩酸氷浴に注いでトリエチルアミンを急冷する。水性溶液をジエチルエーテルで3回抽出し、混合したエーテル層を逐次的に水、10%NaOH溶液、10%NaCl溶液で洗う。次いで、エーテル溶液をMgSO4上で1時間乾燥する。次いで、MgSO4を濾過し、ジエチルエーテルを真空蒸発で除去する。得られるスチレンスルホン酸エステルは溶融温度約40℃の黄色固体である。
【0175】
実施例5.2 スチレンスルホン酸エステルの合成
4−ビニルベンゼンスルホニルクロリド(37.5ミリモル)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−1−ヘプタノール(37.5ミリモル)、トリエチルアミン(10mL)、及びピリジン(20mL)をアルゴン流の下で丸底フラスコへ加える。得られるスラリーを室温で20時間攪拌する。次いで、反応混合物を過剰の塩酸氷浴に注いでトリエチルアミンを急冷する。水性溶液をジエチルエーテルで3回抽出し、混合したエーテル層を逐次的に水、10%NaOH溶液、10%NaCl溶液で洗う。次いで、エーテル溶液をMgSO4上で1時間乾燥する。次いで、MgSO4を濾過し、ジエチルエーテルを真空蒸発で除去する。
【0176】
(実施例6)
(プロトン交換膜の製造)
実施例6.1 EW1900プロトン交換膜の製造
S−PFPE70重量%とスチレンスルホン酸エステル30重量%とを室温で混合する。該混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0177】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは1900g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図4に示す。
【0178】
実施例6.2 EW1250プロトン交換膜の製造
S−PFPE60重量%とスチレンスルホン酸エステル40重量%とを室温で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0179】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は、酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは1250g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図5に示す。
【0180】
実施例6.3 EW850プロトン交換膜の製造
S−PFPE50重量%とスチレンスルホン酸エステル50重量%とを室温で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0181】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは850g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図6に示す。
【0182】
実施例6.4 EW660プロトン交換膜の製造
S−PFPE40重量%とスチレンスルホン酸エステル60重量%とを室温で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0183】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは660g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図7に示す。
【0184】
実施例6.5 EW550プロトン交換膜の製造
S−PFPE30重量%とスチレンスルホン酸エステル70重量%とを室温で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を予備加熱したガラススライド上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。得られる膜はエステルの形態であり、透明で僅かに黄色である。
【0185】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形態である。残りのHClを水で洗って除去する。生成したPEMは550g/モル当量を有する。完全に水和した状態でのPEMの導電率をACインピーダンスによって測定し、結果を図8に示す。
【0186】
(実施例7)
ソフトリソグラフ技術による高表面積PEMの作製
鮫肌パターンを有するPEMの作製
S−PFPEとスチレンスルホン酸エステルを望ましい割合で混合する。混合物を40℃以上に加熱し、均一な黄色液体を得る。液体前駆体を鮫肌パターンを有する予備加熱したシリコンウェーハ上に注ぐ。標準的なスチール製スペーサを用いて膜の厚さを制御する。液体前駆体を窒素パージ下でUV光(λ=365nm)による10分間の照射で化学的に架橋させる。硬化後、パターン膜をシリコンウェーハから剥離する。得られる膜はエステルの形であり、透明で僅かに黄色である。
【0187】
スルホン酸エステル基をスルホン酸に変換するために、膜を30%NaOH水性溶液とメタノール(5:6容積比)中に一夜浸漬し、次いで10時間還流する。次いで、膜を水ですすぎ、新鮮な20重量%のHCl溶液で24時間かけて4回攪拌する。得られる膜は酸の形である。残りのHClを水で洗って除去する。
【0188】
鮫肌パターンを有するPEMの加水分解前後の走査電子顕微鏡写真を図2A及び2Bに示す。鮫肌パターンの形状のサイズは幅2μm、高さ8μmである。鮫肌パターンを用いることによって、パターンPEMの表面積は対応する平坦PEMよりも約5倍大きい。図に示すように、ソフトリソグラフ手法によって高再現性のパターンが容易に得られる。加水分解の後、パターンは水の吸収のため膨潤するが、形状は維持される。
【0189】
(実施例8)
(PEM上への触媒の整合的塗布)
実施例8.1 PEM上への電子噴霧技術による触媒の堆積
鮫肌パターンを有する三次元PEM上に、白金又はカーボン上の白金分散体を含む触媒を電子噴霧技術によって堆積する。図12A及び12Bは堆積した触媒を有するPEMの走査電子顕微鏡写真を示す。
実施例8.2 PEM上への蒸着堆積による触媒の堆積
鮫肌パターンを有する三次元PEM上に、白金触媒を蒸着堆積によって堆積する。図13は堆積した触媒を有するPEMの走査電子顕微鏡写真を示す。
【0190】
(実施例9)
(三次元MEAの作製)
実施例9.1
液体前駆体の手法は、三次元膜電極組立て体(MEA)及び燃料電池スタックも提供する。図14A及び14Bは、三次元膜と、整合的又は非整合的に触媒装填した二次元電極とに基づくMEA構造の代表的図を示す。
実施例9.2
液体前駆体の手法は、三次元(3−D)膜電極組立て体(MEA)及び燃料電池スタックも提供する。図15は、三次元膜と、整合的に触媒装填した三次元電極とに基づくMEA構造の代表図を示す。
【0191】
本開示の主題の様々な詳細は、本開示の主題の範囲から逸脱することなく、変更を加えることができることが理解されるであろう。さらに、前述の説明は単に例示であり、制限する目的はない。
(図面の簡単な説明)
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1A】図1A、及び図1Bは、プロトン交換膜を製造する本開示方法の一実施態様の概要図を提供する。 図1Aは、一体化して、かつ型、例えば、本開示の主題のパターン形成プロトン交換膜を形成するためのパターン基板として使用することのできるペグ型の概要図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに提供される一体化したペグ型から製造されるプロトン交換膜の概要図である。
【図2A】図2A、及び図2Bは、本開示の方法によって製造された鮫肌パターンを含むプロトン交換膜(PEM)の加水分解前の走査電子顕微鏡写真である。 図2Aは、鮫肌パターンを含むプロトン交換膜(PEM)の加水分解前の走査電子顕微鏡写真である。
【図2B】図2Bは、鮫肌パターンを含むプロトン交換膜(PEM)の加水分解後の走査電子顕微鏡写真である。
【図3A】図3Aは、パターン電極対を本開示の主題のプロトン交換膜形成型として使用する本開示方法の一実施態様の概要図である。
【図3B】図3Bは、パターン電極対を本開示の主題のプロトン交換膜形成型として使用する本開示方法の一実施態様の概要図である。
【図4】図4は、完全な水和状態下で1900当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図5】図5は、完全な水和状態下で1250当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図6】図6は、完全な水和状態下で850当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図7】図7は、完全な水和状態下で660当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図8】図8は、完全な水和条件下で550当量を有する本開示のプロトン交換膜の一実施態様の伝導率を示すプロット図である。
【図9A】図9Aは、当量が変動し、PEMの断面に当量の勾配を提供する液体材料を含む、本開示のプロトン交換膜(PEM)の一実施態様の概要図である。
【図9B】図9Bは、当量が変動し、PEMの断面に当量の勾配を提供する液体材料を含む、本開示のプロトン交換膜(PEM)の一実施態様の概要図である。
【図10A】図10A、及び図10Bは、触媒インク結合層を形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。 図10Aは、触媒インク結合層を平坦な電極材料上に形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図10B】図10Bは、触媒インク結合層をパターン形成プロトン交換膜上に形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図11A】図11A−11Cは、パターン形成プロトン交換膜を加工可能な触媒インク組成物及び電極材料で被覆する本開示の方法の一実施態様の概要図である。 図11Aは、パターンPEMを加工可能な触媒インク組成物で整合的に被覆し、続いて電極材料で被覆して電極材料の平坦表面を形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図11B】図11Bは、パターンPEMを加工可能な触媒インク組成物で整合的に被覆し、続いて電極材料で整合的に被覆して電極材料の整合表面を形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図11C】図11Cは、パターンPEMを加工可能な触媒インク組成物で整合的に被覆して加工可能な触媒インク組成物の平坦表面を形成し、続いて電極材料で整合的に被覆して電極材料の平坦な表面を形成する、本開示の方法の一実施態様の概要図である。
【図12A】図12Aは、電子噴霧法を用いて触媒を整合的に被覆した本開示のパターンPEMの一実施態様の走査電子顕微鏡写真である。
【図12B】図12Bは、電子噴霧法を用いて触媒を整合的に被覆した本開示のパターンPEMの一実施態様の走査電子顕微鏡写真である。
【図13】図13は、蒸着法を用いて触媒を整合的に被覆した本開示のパターンPEMの一実施態様の走査電子顕微鏡写真である。
【図14A】図14A、及び図14Bは、本開示の膜電極組立て体の一実施態様の概要図である。 図14Aは、三次元プロトン交換膜(PEM)から製造された整合的な触媒装填を有する本開示の三次元膜電極組立て体(MEA)の一実施態様の概要図である。
【図14B】図14Bは、非整合的な触媒装填を有する本開示の二次元電極の一実施態様の概要図である。
【図15】図15は、三次元プロトン交換膜(PEM)及び整合的な触媒装填を有する三次元電極から製造された本開示の三次元膜電極組立て体(MEA)の一実施態様の概要図である。
【図16】図16は、カーボンブラックなどの電極材料をパターン形成するために使用されるリソグラフ法を示す図である。
【図17A】図17A、及び図17Bは、本開示のマイクロ流体燃料電池の一実施態様の概要図である。 図17Aは、本開示の燃料電池の一実施態様の断面図である。
【図17B】図17Bは、本開示の燃料電池の一実施態様の平面図である。
【図18A】図18Aは、本開示の主題によるマイクロ流体チャンネルを含むペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料のパターン層の形成を示す一連の端部図である。
【図18B】図18Bは、本開示の主題によるマイクロ流体チャンネルを含むペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料のパターン層の形成を示す一連の端部図である。
【図18C】図18Cは、本開示の主題によるマイクロ流体チャンネルを含むペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料のパターン層の形成を示す一連の端部図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む100%固体の液体前駆体材料を提供すること;及び
(b)100%固体の液体前駆体材料を処理してポリマー電解質を形成することを含む、ポリマー電解質の製造方法。
【請求項2】
前記100%固体の液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記100%固体の液体前駆体材料が、モノマー、オリゴマー、マクロモノマー、イオノマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記モノマー、前記オリゴマー、前記マクロモノマー、及び前記イオノマーの少なくとも1つが、官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料が、下記からなる群から選択される主鎖構造を含む、請求項4記載の方法;
【化1】
(式中、Xは存在する又は不在であり、存在するとき、末端キャップ基を含み、nは1〜100の整数である。)。
【請求項6】
前記官能化PFPE材料が、下記からなる群から選択される、請求項5記載の方法:
【化2】
(式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、m及びnは各々独立に1〜100の整数である。)。
【請求項7】
前記イオノマーが、スルホン酸材料、スルホン酸材料の誘導体、及びリン酸材料からなる群から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記スルホン酸材料の誘導体が、下記からなる群から選択される材料を含む、請求項7記載の方法:
【化3】
(式中、
Yは、−SO2F及び−SO3Hからなる群から選択され;
R1は、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、フルオロアルケニル、シアノ、及びニトロからなる群から選択され;
X1は、結合、O、S、SO、SO2、CO、NR2、及びR3からなる群から選択され;
X2は、O、S、及びNR2からなる群から選択され;
R2は水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され;かつ
R3はアルキレン、置換アルキレン、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され;
Arはアリール及び置換アリールからなる群から選択され;
Bは1,2−ペルフルオロシクロブチレンであり;
tは1〜3の整数であり;
mは0〜1000の整数であり;
pは1〜1000の整数であり;かつ
qは1〜5の整数である。)。
【請求項9】
前記100%固体の前駆体材料の処理が、下記からなる群から選択される工程を含む、請求項1記載の方法:
(a)熱工程、光化学工程、及び照射工程からなる群から選択される工程を含む硬化工程であって、該照射工程は、前記液体前駆体材料をガンマ線及び電子ビームからなる群から選択される放射線で照射することを含む硬化工程;
(b)架橋工程を含む化学的修飾工程;
(c)網目形成工程;及び
(d)それらの組合せ。
【請求項10】
約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む100%固体の液体前駆体材料を含む、ポリマー電解質。
【請求項11】
約1500未満〜約1000を超える当量、約1000未満〜約800を超える当量、約800未満〜約500を超える当量、及び約500以下の当量からなる群から選択される当量を有する、請求項10記載のポリマー電解質。
【請求項12】
請求項10に記載のポリマー電解質を含む、電気化学電池。
【請求項13】
(a)液体前駆体材料を、予め定めた幾何形状及び巨視的表面領域を含むパターン基板に接触させること;及び
(b)前記液体前駆体材料を処理してパターン形成ポリマー電解質を形成することを含む、パターン形成ポリマー電解質の製造方法。
【請求項14】
前記液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記予め定めた幾何形状が、約10mm未満〜約1mmを超える寸法、約1mm未満〜約100μmを超える寸法、約100μm未満〜10μmを超える寸法、約10μm未満〜約1μmを超える寸法、及び約1μm未満の寸法からなる群から選択される寸法を有する非平坦幾何形状を含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記予め定めた幾何形状が、触媒層と、膜電極組立て体を含む電極材料とのうちの1つによって画定される、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記予め定めた幾何形状が、パターン、ペグ、壁、交互嵌合表面、巻き取り円筒からなる群から選択される構造を含む、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記予め定めた幾何形状が、パターン基板の巨視的表面領域よりも大きな表面領域を有する構造を含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記液体前駆体材料の処理が、下記からなる群から選択される工程を含む、請求項13記載の方法:
(a)硬化工程;
(b)化学的修飾工程;
(c)網目形成工程;
(d)溶媒蒸発工程;及び
(e)それらの組合せ。
【請求項20】
請求項13記載の方法によって製造される、パターン形成プロトン交換膜。
【請求項21】
請求項20記載のパターン形成プロトン交換膜を含む、電気化学電池。
【請求項22】
複数の当量を含むポリマー電解質の製造方法であって:
(a)第1の当量を有する第1の液体前駆体材料を基板に塗布すること;
(b)第1の液体前駆体材料を処理して、基板上に、処理された液体前駆体材料の第1の層を形成すること;
(c)第2の当量を有する第2の液体前駆体材料を、該基板上の処理された液体前駆体材料の第1の層に塗布すること;及び
(d)第2の液体前駆体材料を処理して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含む、前記方法。
【請求項23】
前記第1の液体前駆体材料、前記第2の液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記第1の当量が、前記第2の当量よりも多い、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記基板が、アノード及びカソードからなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項26】
複数の当量を含む予め定めた複数の液体前駆体材料を用いてステップ(c)から(d)を繰り返して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含み、前記複数の液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法によって製造された複数の当量を含む、ポリマー電解質。
【請求項28】
請求項27に記載のポリマー電解質を含む、電気化学電池。
【請求項29】
膜電極組立て体(MEA)の形成方法であって:
(a)パターン形成プロトン交換膜を提供すること;
(b)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること;
(c)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること;及び
(d)該プロトン交換膜、該第1及び第2の触媒材料、並びに該第1及び第2の電極材料を、伝導性連絡を保って動作可能に配置して、膜電極組立て体を形成することを含む、前記方法。
【請求項30】
前記第1の触媒材料及び第2の触媒材料の少なくとも一方が、加工可能な触媒インク組成物を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記加工可能な触媒インク組成物が、液体前駆体材料と触媒との混合物を含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記液体前駆体材料が、化学的に安定な末端基を有する液体ペルフルオロポリエーテル材料を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記触媒が、白金、ルテニウム、モリブデン、クロム、及びそれらの組合せからなる群から選択される金属を含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記加工可能な触媒インク組成物が、カーボンブラックを含む、請求項30記載の方法。
【請求項35】
前記プロトン交換膜、並びに前記第1及び第2の電極材料の少なくとも1つに前記加工可能なインク組成物を塗布することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項36】
前記プロトン交換膜と、前記第1及び第2の電極材料とのうちの少なくとも1つに、前記加工可能な触媒インク組成物を整合的に塗布することを含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記加工可能な触媒インク組成物の塗布が、化学気相成長(CVD)工程、電子噴霧工程、電場堆積工程、rf−プラズマ強化CVD工程、火炎噴霧堆積工程、インクジェット印刷工程、及びパルスレーザー堆積工程からなる群から選択される工程を含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記電極材料が、カーボン布、カーボン紙、及びカーボンブラックからなる群から選択される、請求項29記載の方法。
【請求項39】
前記電極材料のパターン形成が、下記からなる群から選択される工程を含む、電極材料のパターン形成を含む、請求項38に記載の方法:
(a)リソグラフ工程;
(b)直接電子ビーム工程;
(c)フォトレジストを用いる電子ビームリソグラフ工程;及び
(d)マスクを用いるプラズマエッチング工程。
【請求項40】
請求項29に記載の方法によって形成される、膜電極組立て体(MEA)。
【請求項41】
膜電極組立て体の製造方法であって:
(a)第1の電極材料を提供すること;
(b)第2の電極材料を提供すること;
(c)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間に間隙が形成されるように、該第1の電極材料と該第2の電極材料とを空間的に配置すること;
(d)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間の間隙に液体前駆体材料を配置すること;及び
(e)該液体前駆体材料を処理して膜電極組立て体を形成することを含む、前記方法。
【請求項42】
前記液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法によって形成される、膜電極組立て体(MEA)。
【請求項44】
電気化学電池の形成方法であって:
(a)少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む少なくとも1層のペルフルオロポリエーテル(PFPE)を提供すること;
(b)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること;
(c)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること;
(d)プロトン交換膜を提供すること;及び
(e)該少なくとも1層のPFPE材料、該第1の電極材料、該第2の電極材料、該第1の触媒材料、該第2の触媒材料、及び該プロトン交換膜を動作可能に配置して電気化学電池を形成することを含む、前記方法。
【請求項45】
(a)前記第1の電極と流体連絡する少なくとも1つの第1のマイクロ流体チャンネルを含む光硬化可能なペルフルオロポリエーテル(PFPE)の第1の層;及び
(b)前記第2の電極と流体連絡する少なくとも1つの第2のマイクロ流体チャンネルを含む光硬化可能なペルフルオロポリエーテル(PFPE)の第2の層を提供することを含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルが入口開口を含む、請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記入口開口が燃料源に流体連絡する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記燃料源がメタノールを含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記燃料源が酸素(O2)含有ガスを含む、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルが出口開口を含む、請求項44記載の方法。
【請求項51】
前記出口開口が、燃料再循環チャンネル及び廃棄物排出口の少なくとも一方に流体連絡する、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルがバルブを含む、請求項44記載の方法。
【請求項53】
マイクロ流体チャンネルの網目を含む、請求項44記載の方法。
【請求項54】
前記第1の電極材料及び第2の電極材料の少なくとも一方が、カーボン布、カーボン紙、及びカーボンブラックからなる群から選択される、請求項44記載の方法。
【請求項55】
前記第1の電極材料を、
(a)前記第1の触媒材料で被覆する;
(b)前記第1の触媒材料で含浸する;又は
(c)それらの組合せ
である、請求項44記載の方法。
【請求項56】
前記第2の電極材料を、
(a)前記第2の触媒材料で被覆する;
(b)前記第2の触媒材料で含浸する;又は
(c)それらの組合せ
である、請求項44記載の方法。
【請求項57】
前記第1の触媒材料及び第2の触媒材料の少なくとも一方が、白金、ルテニウム、モリブデン、クロム、及びそれらの組合せからなる群から選択される金属を含む、請求項44記載の方法。
【請求項58】
前記プロトン交換膜が、
(a)スルホン酸材料の誘導体;
(b)ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料;及び
(c)それらの組合せ
からなる群から選択される液体前駆体材料を含む、請求項44記載の方法。
【請求項59】
前記第1の電極材料及び前記第2の電極材料の少なくとも一方に、少なくとも1つの電気出力接続を動作可能に接続することを含む、請求項44記載の方法。
【請求項60】
請求項44記載の方法によって形成された電気化学電池。
【請求項61】
電気化学電池の運転方法であって:
(a)少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む少なくとも1層のペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む、電気化学電池を提供すること;
(b)第1の電極反応物及び第2の電極反応物を該電気化学電池中に分配すること;及び
(c)電気化学電池から電気出力を発生することを含む、前記方法。
【請求項62】
前記第1の電極反応物が、H2、アルカン、アルキルアルコール、ジアルキルエーテル、及びグリコールからなる群から選択される、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記第2の電極反応物が酸素(O2)含有ガスを含む、請求項61記載の方法。
【請求項64】
前記電気化学電池の電気出力を、発電機、携帯電気器具、電動工具、交通信号、予備電源供給、消費者電子装置、軍用電子装置、自動車装置、及び非自動車個人用車両からなる群から選択される装置に供給するように導くことを含む、請求項61記載の方法。
【請求項1】
(a)約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む100%固体の液体前駆体材料を提供すること;及び
(b)100%固体の液体前駆体材料を処理してポリマー電解質を形成することを含む、ポリマー電解質の製造方法。
【請求項2】
前記100%固体の液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記100%固体の液体前駆体材料が、モノマー、オリゴマー、マクロモノマー、イオノマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記モノマー、前記オリゴマー、前記マクロモノマー、及び前記イオノマーの少なくとも1つが、官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記官能化ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料が、下記からなる群から選択される主鎖構造を含む、請求項4記載の方法;
【化1】
(式中、Xは存在する又は不在であり、存在するとき、末端キャップ基を含み、nは1〜100の整数である。)。
【請求項6】
前記官能化PFPE材料が、下記からなる群から選択される、請求項5記載の方法:
【化2】
(式中、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、m及びnは各々独立に1〜100の整数である。)。
【請求項7】
前記イオノマーが、スルホン酸材料、スルホン酸材料の誘導体、及びリン酸材料からなる群から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記スルホン酸材料の誘導体が、下記からなる群から選択される材料を含む、請求項7記載の方法:
【化3】
(式中、
Yは、−SO2F及び−SO3Hからなる群から選択され;
R1は、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、フルオロアルケニル、シアノ、及びニトロからなる群から選択され;
X1は、結合、O、S、SO、SO2、CO、NR2、及びR3からなる群から選択され;
X2は、O、S、及びNR2からなる群から選択され;
R2は水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され;かつ
R3はアルキレン、置換アルキレン、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され;
Arはアリール及び置換アリールからなる群から選択され;
Bは1,2−ペルフルオロシクロブチレンであり;
tは1〜3の整数であり;
mは0〜1000の整数であり;
pは1〜1000の整数であり;かつ
qは1〜5の整数である。)。
【請求項9】
前記100%固体の前駆体材料の処理が、下記からなる群から選択される工程を含む、請求項1記載の方法:
(a)熱工程、光化学工程、及び照射工程からなる群から選択される工程を含む硬化工程であって、該照射工程は、前記液体前駆体材料をガンマ線及び電子ビームからなる群から選択される放射線で照射することを含む硬化工程;
(b)架橋工程を含む化学的修飾工程;
(c)網目形成工程;及び
(d)それらの組合せ。
【請求項10】
約70重量%〜約100重量%の重合性材料を含む100%固体の液体前駆体材料を含む、ポリマー電解質。
【請求項11】
約1500未満〜約1000を超える当量、約1000未満〜約800を超える当量、約800未満〜約500を超える当量、及び約500以下の当量からなる群から選択される当量を有する、請求項10記載のポリマー電解質。
【請求項12】
請求項10に記載のポリマー電解質を含む、電気化学電池。
【請求項13】
(a)液体前駆体材料を、予め定めた幾何形状及び巨視的表面領域を含むパターン基板に接触させること;及び
(b)前記液体前駆体材料を処理してパターン形成ポリマー電解質を形成することを含む、パターン形成ポリマー電解質の製造方法。
【請求項14】
前記液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記予め定めた幾何形状が、約10mm未満〜約1mmを超える寸法、約1mm未満〜約100μmを超える寸法、約100μm未満〜10μmを超える寸法、約10μm未満〜約1μmを超える寸法、及び約1μm未満の寸法からなる群から選択される寸法を有する非平坦幾何形状を含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記予め定めた幾何形状が、触媒層と、膜電極組立て体を含む電極材料とのうちの1つによって画定される、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記予め定めた幾何形状が、パターン、ペグ、壁、交互嵌合表面、巻き取り円筒からなる群から選択される構造を含む、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記予め定めた幾何形状が、パターン基板の巨視的表面領域よりも大きな表面領域を有する構造を含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記液体前駆体材料の処理が、下記からなる群から選択される工程を含む、請求項13記載の方法:
(a)硬化工程;
(b)化学的修飾工程;
(c)網目形成工程;
(d)溶媒蒸発工程;及び
(e)それらの組合せ。
【請求項20】
請求項13記載の方法によって製造される、パターン形成プロトン交換膜。
【請求項21】
請求項20記載のパターン形成プロトン交換膜を含む、電気化学電池。
【請求項22】
複数の当量を含むポリマー電解質の製造方法であって:
(a)第1の当量を有する第1の液体前駆体材料を基板に塗布すること;
(b)第1の液体前駆体材料を処理して、基板上に、処理された液体前駆体材料の第1の層を形成すること;
(c)第2の当量を有する第2の液体前駆体材料を、該基板上の処理された液体前駆体材料の第1の層に塗布すること;及び
(d)第2の液体前駆体材料を処理して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含む、前記方法。
【請求項23】
前記第1の液体前駆体材料、前記第2の液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記第1の当量が、前記第2の当量よりも多い、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記基板が、アノード及びカソードからなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項26】
複数の当量を含む予め定めた複数の液体前駆体材料を用いてステップ(c)から(d)を繰り返して、複数の当量を含むポリマー電解質を形成することを含み、前記複数の液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法によって製造された複数の当量を含む、ポリマー電解質。
【請求項28】
請求項27に記載のポリマー電解質を含む、電気化学電池。
【請求項29】
膜電極組立て体(MEA)の形成方法であって:
(a)パターン形成プロトン交換膜を提供すること;
(b)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること;
(c)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること;及び
(d)該プロトン交換膜、該第1及び第2の触媒材料、並びに該第1及び第2の電極材料を、伝導性連絡を保って動作可能に配置して、膜電極組立て体を形成することを含む、前記方法。
【請求項30】
前記第1の触媒材料及び第2の触媒材料の少なくとも一方が、加工可能な触媒インク組成物を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記加工可能な触媒インク組成物が、液体前駆体材料と触媒との混合物を含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記液体前駆体材料が、化学的に安定な末端基を有する液体ペルフルオロポリエーテル材料を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記触媒が、白金、ルテニウム、モリブデン、クロム、及びそれらの組合せからなる群から選択される金属を含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記加工可能な触媒インク組成物が、カーボンブラックを含む、請求項30記載の方法。
【請求項35】
前記プロトン交換膜、並びに前記第1及び第2の電極材料の少なくとも1つに前記加工可能なインク組成物を塗布することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項36】
前記プロトン交換膜と、前記第1及び第2の電極材料とのうちの少なくとも1つに、前記加工可能な触媒インク組成物を整合的に塗布することを含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記加工可能な触媒インク組成物の塗布が、化学気相成長(CVD)工程、電子噴霧工程、電場堆積工程、rf−プラズマ強化CVD工程、火炎噴霧堆積工程、インクジェット印刷工程、及びパルスレーザー堆積工程からなる群から選択される工程を含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記電極材料が、カーボン布、カーボン紙、及びカーボンブラックからなる群から選択される、請求項29記載の方法。
【請求項39】
前記電極材料のパターン形成が、下記からなる群から選択される工程を含む、電極材料のパターン形成を含む、請求項38に記載の方法:
(a)リソグラフ工程;
(b)直接電子ビーム工程;
(c)フォトレジストを用いる電子ビームリソグラフ工程;及び
(d)マスクを用いるプラズマエッチング工程。
【請求項40】
請求項29に記載の方法によって形成される、膜電極組立て体(MEA)。
【請求項41】
膜電極組立て体の製造方法であって:
(a)第1の電極材料を提供すること;
(b)第2の電極材料を提供すること;
(c)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間に間隙が形成されるように、該第1の電極材料と該第2の電極材料とを空間的に配置すること;
(d)該第1の電極材料と該第2の電極材料との間の間隙に液体前駆体材料を配置すること;及び
(e)該液体前駆体材料を処理して膜電極組立て体を形成することを含む、前記方法。
【請求項42】
前記液体前駆体材料が、プロトン伝導性材料、プロトン伝導性材料への前駆体、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法によって形成される、膜電極組立て体(MEA)。
【請求項44】
電気化学電池の形成方法であって:
(a)少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む少なくとも1層のペルフルオロポリエーテル(PFPE)を提供すること;
(b)第1の電極材料及び第2の電極材料を提供すること;
(c)第1の触媒材料及び第2の触媒材料を提供すること;
(d)プロトン交換膜を提供すること;及び
(e)該少なくとも1層のPFPE材料、該第1の電極材料、該第2の電極材料、該第1の触媒材料、該第2の触媒材料、及び該プロトン交換膜を動作可能に配置して電気化学電池を形成することを含む、前記方法。
【請求項45】
(a)前記第1の電極と流体連絡する少なくとも1つの第1のマイクロ流体チャンネルを含む光硬化可能なペルフルオロポリエーテル(PFPE)の第1の層;及び
(b)前記第2の電極と流体連絡する少なくとも1つの第2のマイクロ流体チャンネルを含む光硬化可能なペルフルオロポリエーテル(PFPE)の第2の層を提供することを含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルが入口開口を含む、請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記入口開口が燃料源に流体連絡する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記燃料源がメタノールを含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記燃料源が酸素(O2)含有ガスを含む、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルが出口開口を含む、請求項44記載の方法。
【請求項51】
前記出口開口が、燃料再循環チャンネル及び廃棄物排出口の少なくとも一方に流体連絡する、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルがバルブを含む、請求項44記載の方法。
【請求項53】
マイクロ流体チャンネルの網目を含む、請求項44記載の方法。
【請求項54】
前記第1の電極材料及び第2の電極材料の少なくとも一方が、カーボン布、カーボン紙、及びカーボンブラックからなる群から選択される、請求項44記載の方法。
【請求項55】
前記第1の電極材料を、
(a)前記第1の触媒材料で被覆する;
(b)前記第1の触媒材料で含浸する;又は
(c)それらの組合せ
である、請求項44記載の方法。
【請求項56】
前記第2の電極材料を、
(a)前記第2の触媒材料で被覆する;
(b)前記第2の触媒材料で含浸する;又は
(c)それらの組合せ
である、請求項44記載の方法。
【請求項57】
前記第1の触媒材料及び第2の触媒材料の少なくとも一方が、白金、ルテニウム、モリブデン、クロム、及びそれらの組合せからなる群から選択される金属を含む、請求項44記載の方法。
【請求項58】
前記プロトン交換膜が、
(a)スルホン酸材料の誘導体;
(b)ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料;及び
(c)それらの組合せ
からなる群から選択される液体前駆体材料を含む、請求項44記載の方法。
【請求項59】
前記第1の電極材料及び前記第2の電極材料の少なくとも一方に、少なくとも1つの電気出力接続を動作可能に接続することを含む、請求項44記載の方法。
【請求項60】
請求項44記載の方法によって形成された電気化学電池。
【請求項61】
電気化学電池の運転方法であって:
(a)少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む少なくとも1層のペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を含む、電気化学電池を提供すること;
(b)第1の電極反応物及び第2の電極反応物を該電気化学電池中に分配すること;及び
(c)電気化学電池から電気出力を発生することを含む、前記方法。
【請求項62】
前記第1の電極反応物が、H2、アルカン、アルキルアルコール、ジアルキルエーテル、及びグリコールからなる群から選択される、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記第2の電極反応物が酸素(O2)含有ガスを含む、請求項61記載の方法。
【請求項64】
前記電気化学電池の電気出力を、発電機、携帯電気器具、電動工具、交通信号、予備電源供給、消費者電子装置、軍用電子装置、自動車装置、及び非自動車個人用車両からなる群から選択される装置に供給するように導くことを含む、請求項61記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【公表番号】特表2007−525802(P2007−525802A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551306(P2006−551306)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/001956
【国際公開番号】WO2005/086632
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【出願人】(506207532)ノース カロライナ ステイト ユニバーシティ (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/001956
【国際公開番号】WO2005/086632
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【出願人】(506207532)ノース カロライナ ステイト ユニバーシティ (4)
【Fターム(参考)】
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