説明

電気化学電池またはキャパシタ用の3Dナノ構造電極を形成するための装置および方法

本明細書に記載される実施形態は、一般に、電気化学電池またはキャパシタ用の電極構造に関し、特に、寿命がより長く、製造コストがより低く、プロセス性能が改良された、信頼性が高く費用対効果が高い電気化学電池またはキャパシタ用の3D電極ナノ構造を製造するための装置および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、電気化学電池またはキャパシタを形成する装置および方法に関する。特に、本発明の実施形態は、3Dナノ構造を備える電極を有する電気化学電池またはキャパシタを形成するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーは、一般に、2つの根本的に異なる方法で貯蔵することができる。すなわち、1)間接的に、化学エネルギーとして利用可能なポテンシャルエネルギーとして電池に貯蔵する方法であって、活性種の酸化および還元を必要とする方法、または2)直接的に、キャパシタのプレート上に生成される静電荷を使用する方法である。典型的には、通常のキャパシタは、それらのサイズにより、少量の電荷を貯蔵し、したがって少量の電気エネルギーのみを貯蔵する。従来のキャパシタでのエネルギー貯蔵は、一般に非ファラデー容量型であり、これは、電子移動が電極界面にわたって生じず、電荷およびエネルギーの貯蔵が静電的であることを意味する。
【0003】
広範囲のポータブル電子機器および電気自動車用の独立した電源または補助電源として有用になるように十分な電荷を貯蔵することができる効果的な電気エネルギー貯蔵デバイスを形成するために、電気化学キャパシタと呼ばれるデバイスが製造されている。電気化学キャパシタは、電池の高いエネルギー貯蔵電位のいくつかの側面を、キャパシタの高いエネルギー移動速度および高い再充電能力と組み合わせたエネルギー貯蔵デバイスである。
【0004】
電気化学キャパシタという用語は、当技術分野では、スーパーキャパシタ、電気二重層キャパシタ、またはウルトラキャパシタと呼ばれることもある。電気化学キャパシタは、従来のキャパシタよりも数百倍高いエネルギー密度と、電池よりも数千倍高い出力密度とを有することができる。電気化学キャパシタにおけるエネルギー貯蔵は、ファラデー容量型でも非ファラデー容量型でもよいことに留意すべきである。
【0005】
ファラデー容量型電気化学キャパシタと非ファラデー容量型電気化学キャパシタのどちらにおいても、キャパシタンスは、電極および電極材料の特性に大きく依存する。理想的には、電極材料は、導電性であって大きな表面積を有するべきである。典型的には、電極材料は、大きな表面積を形成できるように多孔質構造から形成され、この多孔質構造は、非ファラデー容量型キャパシタンスを提供するためには、静電荷貯蔵用の電気二重層の形成に使用することができ、またはファラデー容量型キャパシタンスを提供するためには、化学的な可逆酸化還元反応の場として使用することができる。
【0006】
電気化学電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスである。電気化学電池は、典型的には、直流源として作用するように接続された1群の電気セルからなる。
【0007】
一般に、電気セルは、2つの異種物質、すなわち正電極と負電極と、第3の物質、すなわち電解質とからなる。正電極および負電極は、電気を導通する。電解質は、電極に対して化学的に作用する。2つの電極は、銅ワイヤ片など外部回路によって接続される。
【0008】
電解質は、電極間で電子を移動させるためのイオン伝導体として働く。電圧、または起電力は、使用される物質の化学的特性によって決まるが、電極のサイズまたは電解質の量によっては影響を受けない。
【0009】
電気化学電池は、乾電池または湿電池に分類される。乾電池では、電解質は多孔質媒体に吸収されるか、または他の方法で流動を制約される。湿電池では、電解質は液状であり、自由に流動および移動することができる。また、電池は、一般に2つの主なタイプに分けることができる。すなわち、充電池と、再充電可能でない、または使い捨ての電池である。
【0010】
一次電池とも呼ばれる使い捨ての電池は、電流供給を引き起こす化学変化が完了するまで使用することができ、その時点で電池は処分される。使い捨て電池は、最も一般的には、比較的小さいポータブルデバイスで使用され、そのようなデバイスは、断続的にのみ使用され、または代わりとなる電源から遠く、または電流ドレインが低い。
【0011】
二次電池とも呼ばれる充電池は、使い切った後に再使用することができる。これは、外部電流を印加することによって行われ、この電流が、使用時に行われた化学変化の逆を生じさせる。適切な電流を供給する外部デバイスは、充電器または再充電器と呼ばれる。
【0012】
充電池は、蓄電池として知られることもある。蓄電池は、一般に、液体電解質を使用する湿電池タイプのものであり、何度も再充電することができる。蓄電池は、直列接続された複数のセルからなる。各セルは、液体電解質によって分離された複数の交互の正極板と負極板を含む。セルの正極板は、正電極を形成するように接続され、負極板は、負電極を形成するように接続される。
【0013】
充電のプロセスでは、各セルは、その放電動作と逆に動作するようになされる。充電中、電流がセルを通して放電中とは逆方向に流され、放電中に通常生じる化学反応の逆を生じさせる。電気エネルギーは、充電中、貯蔵される化学エネルギーに変換される。
【0014】
蓄電池は、自動車で最も多く使用されており、内燃機関を始動させるために使用されている。電池技術の改良により、代わりに電気駆動モータに電池システムが電力を供給する車両が実現されている。
【0015】
電気化学電池またはキャパシタをより有望な製品とするために、電気化学電池またはキャパシタを製造するコストを低減すること、および形成された電気化学電池またはキャパシタデバイスの効率を改良することが重要である。
【発明の概要】
【0016】
したがって、寿命がより長く、堆積される被膜の特性が改良され、製造コストがより低い、電気化学電池またはキャパシタの電極を形成するための方法および装置が必要である。
【0017】
本明細書で説明する実施形態は、一般に、電気化学電池およびキャパシタ電極構造に関し、特に、寿命がより長く、製造コストがより低く、プロセス性能が改良された、信頼性が高く費用対効果が高い電気化学電池およびキャパシタ電極構造を製造する装置および方法に関する。
【0018】
本発明の一実施形態は、大面積基板上に金属をめっきするための装置であって、処理体積を画定するチャンバ本体であって、処理体積が、内部にめっき浴を貯留するために構成され、チャンバ本体が上側開口を有するチャンバ本体と、処理体積内にめっき浴を形成するためにめっき溶液を分散するように構成された複数のジェットスプレーであって、チャンバ本体の側壁に対して開いている複数のジェットスプレーと、処理体積からめっき浴を排出するために構成された排出システムと、処理体積内に配設されるアノードアセンブリであって、実質的に垂直な姿勢でめっき浴内に浸漬されるアノードを備えるアノードアセンブリと、処理体積内に配設されるカソードアセンブリとを備え、カソードアセンブリが、1つまたは複数の大面積基板を処理体積内で、実質的に垂直な姿勢で、アノードに実質的に平行に位置決めするために構成された基板ハンドラと、1つまたは複数の大面積基板に電気バイアスを結合するために構成された接触機構とを備える装置を提供する。
【0019】
本発明の別の実施形態は、大面積基板のシード層を洗浄するために構成された予備湿潤チャンバと、前記大面積基板の前記シード層上に第1の金属の柱状層を形成するために構成された第1のめっきチャンバと、前記柱状層の上に多孔質層を形成するために構成された第2のめっきチャンバと、前記大面積基板を洗浄および乾燥するために構成されたリンス乾燥チャンバと、前記チャンバ間で前記大面積基板を移送するために構成された基板移送メカニズムとを備える基板処理システムであって、前記第1および第2のめっきチャンバがそれぞれ、処理体積を画定するチャンバ本体であって、前記処理体積が、内部にめっき浴を貯留するために構成され、前記チャンバ本体が上側開口を有するチャンバ本体と、前記処理体積から前記めっき浴を排出するために構成された排出システムと、前記処理体積内に配設されるアノードアセンブリであって、前記めっき浴内に浸漬されるアノードを備えるアノードアセンブリと、前記処理体積内に配設されるカソードアセンブリとを備え、前記カソードアセンブリが、1つまたは複数の大面積基板を前記処理体積内で前記アノードに実質的に平行に位置決めするために構成された基板ハンドラと、前記1つまたは複数の大面積基板に電気バイアスを結合するために構成された接触機構とを備える基板処理システムを提供する。
【0020】
上に記載した本発明の特徴を詳細に理解できるように、実施形態を参照しながら、上に簡単に要約した本発明をより詳細に説明する。これらの実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかし、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本発明は他の同等に効果的な実施形態にも適用可能であるので、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】電気化学キャパシタユニットの活性領域の簡略概略図である。
【図1B】リチウムイオン電池セルの簡略概略図である。
【図2】本明細書で説明する実施形態による電極を形成するための方法の流れ図である。
【図3】本発明の実施形態によるアノードの形成を示す概略断面図である。
【図4】本明細書で説明する実施形態による多孔質電極を形成するための方法の流れ図である。
【図5A】本発明の一実施形態によるめっきチャンバの概略側断面図である。
【図5B】基板移送位置での図5Aのめっきチャンバの概略側断面図である。
【図5C】図5Aの1つまたは複数のめっきチャンバを使用するめっきシステムを概略的に示す図である。
【図6A】本発明の一実施形態によるめっきチャンバの概略側断面図である。
【図6B】本発明の一実施形態によるめっきチャンバの概略側断面図である。
【図6C】図6Aの1つまたは複数のめっきチャンバを使用するめっきシステムを概略的に示す図である。
【図7A】本発明の一実施形態によるめっきチャンバの概略斜視図である。
【図7B】めっき位置での図7Aのめっきチャンバの概略側断面図である。
【図7C】本発明の一実施形態による基板ホルダの概略図である。
【図8A】本発明の一実施形態による処理システムを概略的に示す図である。
【図8B】本発明の一実施形態による処理システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
分かりやすくするために、可能な限り、図面において共通の同一の要素は同一の参照番号を使用して表してある。一実施形態の要素および/またはプロセスステップは、さらに詳述していなくても、他の実施形態に有益に組み込むことができるものと考えられる。
【0023】
本明細書で説明する実施形態は、一般に、電気化学電池またはキャパシタ用の電極構造に関し、特に、寿命がより長く、製造コストがより低く、プロセス性能が改良された、信頼性が高く費用対効果の高い電気化学電池またはキャパシタ電極構造を製造するための装置および方法に関する。一実施形態は、基板のシード層上に柱状構造を形成するために構成された第1のめっきチャンバと、柱状構造上に多孔質層を形成するために構成された第2のめっきチャンバとを備える基板めっきシステムを提供する。一実施形態は、1つまたは複数の大面積基板にめっきするために構成されためっきチャンバを提供する。一実施形態では、めっきチャンバは、連続する可撓性ベースに形成された大面積基板を処理体積内で位置決めするため、および処理体積の内外に大面積基板を移送するために構成された送給ロール、底部ロール、および巻取りロールを備える。別の実施形態では、めっきチャンバは、処理体積内に可動に配設され、1つまたは複数の大面積基板を保持するために、および処理体積の内外に1つまたは複数の大面積基板を移送するために構成された基板ホルダを備える。
【0024】
高いめっき速度を実現するため、および所望のめっき被膜特性を実現するために、しばしば、拡散境界層を減少させることによって、または電解質浴内の金属イオン濃度を高めることによって、カソード(例えばシード層表面)付近の金属イオンの濃度を高めることが望ましい。拡散境界層は、流体力学境界層に強く関係付けられることに留意すべきである。所望のめっき速度で金属イオン濃度が低すぎる、および/または拡散境界層が大きすぎる場合、制限電流(i)に達する。制限電流に達したときに生じる拡散制限されためっきプロセスは、カソード(例えば金属被覆された基板表面)へのより多くのパワー(例えば電圧)の印加によるめっき速度の増加を防げる。制限電流に達したとき、ガスの発生と、質量輸送制限されたプロセスにより生じて得られる樹脂状結晶タイプの被膜成長とにより、低密度の柱状被膜が生成される。
【0025】
図1Aは、電源160の使用によって電力供給することができる電気化学キャパシタユニット100の活性領域140の簡略概略図である。電気化学キャパシタユニット100は、円形、正方形、長方形、多角形など任意の形状、およびサイズでよい。活性領域140は、一般に、膜110と、本明細書で説明する実施形態に従って形成される多孔質電極120と、集電板150と、多孔質電極120、集電板150、および膜110に接触する電解質130とを含む。導電性の集電板150が、多孔質電極120および膜110を間に挟む。
【0026】
集電板150の間に含まれる電解質130は、一般に、電気化学キャパシタユニット100用の電荷貯蔵部を提供する。電解質130は、形成されるデバイスの所望の充電または放電特性を実現するのに望ましい電気抵抗および特性を有する固体材料または流体材料でよい。電解質は、流体である場合、電極材料の細孔に入り、電荷貯蔵用のイオン電荷担体を提供する。流体電解質では、各集電板150で収集された電荷の短絡を防止するために膜110が非導電性であることが必要である。
【0027】
膜110は、典型的には、電極間でのイオンが流れることができるように透過性であり、かつ流体透過性である。非導電性であり透過性のセパレータ材料の例は、多孔質の親水性ポリエチレン、ポリプロピレン、グラスファイバマット、多孔質ガラスペーパーである。膜110は、イオン交換樹脂材料、ポリマー材料、または多孔質無機支持体から形成することができる。例えば、3層のポリオレフィン、3層のセラミック粒子を含むポリオレフィン、イオンパーフルオロスルホン酸ポリマー膜、例えばE.I.DuPont de Nemeours & Co.から市販されているNafion(商標)である。他の適切な膜材料としては、Gore Select(商標)、スルホン化フルオロカーボンポリマー、ポリベンズイミダゾール(PBI)膜(Celanese Chemicals(米国テキサス州ダラス)製)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)膜、および他の材料がある。
【0028】
多孔質電極120は、一般に、大きい表面積を有し、かつ電解質130が構造を透過できるように所望の細孔分布を有する導電性材料を含む。多孔質電極120は、一般に、二重層を形成するための領域を提供するため、および/または擬似容量キャパシタなどで、固体多孔質電極材料と電解質成分との反応を可能にするための領域を提供するために、大きな表面積を必要とする。多孔質電極120は、様々な金属、プラスチック、ガラス材料、黒鉛、または他の適切な材料から形成することができる。一実施形態では、多孔質電極120は、任意の導電性材料、例えば金属、プラスチック、黒鉛、ポリマー、炭素含有ポリマー、複合材、または他の適切な材料からなる。より具体的には、多孔質電極120は、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、ステンレス鋼、チタン、リチウム、それらの合金、およびそれらの組合せからなることがある。
【0029】
本明細書で説明する実施形態は、一般に、電極材料の3次元成長によって電極の表面積を増加させるための様々な装置および方法を含む。有利には、多孔質3次元電極のより大きい表面積により、サイクル改良と共にキャパシタンスが増加し、高導電率の3次元ナノ材料を使用して高速の充電が可能になり、かつ大きなエネルギーおよび出力密度が実現される。
【0030】
一実施形態では、電極材料の3次元成長は、制限電流(i)を超える電流密度で行われる高いめっき速度の電気めっきプロセスを使用して行われる。一実施形態では、柱状金属層は、第1の電流密度での拡散制限された堆積プロセスと、それに続く、第1の電流密度よりも大きい第2の電流密度での電極材料の3次元成長とによって形成される。得られる電極構造は、寿命がより長く、製造コストがより低く、プロセス性能が改良されている。
【0031】
図1Bは、リチウムイオン電池セル158の簡略概略図である。リチウムイオン電池は、電気化学電池の一種である。使用時には、複数のリチウムイオン電池セル150を一体に組み立てることができる。リチウムイオン電池セル150は、アノード151と、カソード152と、セパレータ153と、アノード151、カソード152、およびセパレータ153に接触する電解質154と、アノード151とカソード152の間に設けられた負荷156とを備える。
【0032】
アノード151とカソード152はどちらも、リチウムが内外に移動することができる材料からなる。リチウムがアノード151またはカソード152の中に移動するプロセスは、インサーションまたはインターカレーションと呼ばれる。リチウムがアノード151またはカソード152の外に移動する逆のプロセスは、エクストラクションまたはデインターカレーションと呼ばれる。リチウムイオン電池セル150が放電しているとき、リチウムは、アノード151から抜き出されてカソード152内に導入される。リチウムイオン電池セル150が充電しているとき、リチウムは、カソード152から抜き出されてアノード151内に導入される。
【0033】
アノード151は、リチウムイオン155を貯蔵するように構成される。アノード151は、炭素含有材料または金属材料から形成することができる。アノード151は、酸化物、リン酸塩、フルオロリン酸塩、またはケイ酸塩をからなることがある。
【0034】
カソード152は、層状酸化物、例えばリチウムコバルト酸化物、ポリアニオン、例えばリチウム鉄リン酸塩、スピネル、例えばリチウムマンガン酸化物、またはTiS(二硫化チタン)から形成することができる。例示的な酸化物は、層状リチウムコバルト酸化物、または混合金属酸化物、例えばLiNiCo1−2XMnO、LiMnでよい。アノード151は大きな表面積を有することが望ましい。例示的なリン酸塩は、鉄カンラン石(LiFePO)、およびその異形体(LiFe1−XMgPO)、LiMoPO、LiCOPO、Li(PO、LiVOPO、LiMP、またはLiFe1.5である。例示的なフルオロリン酸塩は、LiVPOF、LiAlPOF、LiV(PO、LiCr(PO、LiCoPOF、LiNiPOF、またはNa(POでよい。例示的なケイ酸塩は、LiFeSiO、LiMnSiO、またはLiVOSiOでよい。
【0035】
セパレータ153は、短絡を防止するためにアノード151とカソード152を物理的に離隔して保ちながら、アノード151とカソード152の間でのイオン移動のためのイオンチャネルを供給するように構成される。セパレータ153は、酸化ポリエチレン(PEO)などの固体ポリマーでよい。
【0036】
電解質154は、一般にリチウム塩の溶液、例えば有機溶媒中のLiPF、LiBF、またはLiClOである。
【0037】
リチウムイオン電池セル150が放電するとき、リチウムイオン155は、アノード151からカソード152に移動して、アノード151とカソード152の間に接続された負荷156に電力供給するための電流を提供する。リチウムイオン電池セル150を使い切ったとき、アノード151とカソード152の間に充電器157を接続して、リチウムイオン155をアノード151に進めるための電流を提供することができる。リチウムイオン電池セル150に貯蔵されるエネルギー量は、アノード151に貯蔵されるリチウムイオン155の量によって決まるので、アノード151においてできるだけ大きな表面積を有することが望ましい。以下に説明する本発明の実施形態は、より大きい表面積を有する電極を製造するための方法および装置を提供する。
【0038】
図2は、本明細書で説明する実施形態による電極を形成するためのプロセス200の本明細書で説明する一実施形態による流れ図である。図3は、本明細書で説明する実施形態に従って形成された電極の概略断面図である。プロセス200は、プロセスステップ202〜212を含み、電極が基板220上に形成される。プロセス200は、本発明の実施形態によるシステムを用いて行うことができる。
【0039】
第1のプロセスステップ202は、基板220を提供するステップを含む。基板220は、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、可撓性材料、ステンレス鋼、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料からなることがある。可撓性基板は、ポリマー材料、例えばポリイミド(例えばDuPont CorporationによるKAPTON(商標))、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリレート、ポリカーボネート、シリコーン、エポキシ樹脂、シリコーン官能化エポキシ樹脂、ポリエステル(例えばE.I.du Pont de Nemours & Co.によるMYLAR(商標))、Kanegaftigi Chemical Industry Company製のAPICAL AV、UBE Industries, Ltd製のUPILEX、Sumitomo製のポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(例えばGeneral Electric Company製のULTEM)、およびポリエチレンナフタート(PEN)から構成することができる。いくつかの場合には、基板は、絶縁コーティングが上に設けられたステンレス鋼など、金属箔から構成することができる。あるいは、可撓性基板を、ポリマーコーティングで補強された比較的薄いガラスから構成することもできる。
【0040】
第2のプロセスステップ204は、任意選択で、基板の上に障壁層を堆積するステップを含む。障壁層222は、障壁層の上に後で堆積される材料が下にある基板内に拡散するのを防止または阻止するために堆積することができる。障壁層材料の例としては、耐火金属、および耐火金属窒化物、例えばタンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、およびそれらの混合物がある。障壁層材料の他の例としては、窒素を添加されたPVDチタン、ドープトシリコン、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化チタンケイ素、窒化タングステンケイ素、およびそれらの組合せがある。例示的な障壁層および障壁層堆積技法は、2002年1月28日出願の「Method of Depositing A Catalytic Seed Layer」という名称の米国特許出願公開第2003/0143837号にさらに記載されており、その特許公開を、本明細書で説明する実施形態と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込む。
【0041】
障壁層は、CVD法、PVD法、無電解堆積法、蒸着法、または分子ビームエピタキシ法によって堆積することができる。また、障壁層は、同じ技法または技法の組合せによって個々にまたは順次に堆積された多層被膜でもよい。
【0042】
第3のプロセスステップ206は、任意選択で、基板220の上にシード層224を堆積するステップを含む。シード層224は、その上への後続の材料堆積を補助する導電性金属からなる。シード層224は、好ましくは、銅シード層または銅の合金からなる。他の金属、特に貴金属も、シード層のために使用することができる。シード層224は、物理気相成長法、化学気相成長法、蒸着法、および無電解堆積法を含めた当技術分野で従来知られている技法によって障壁層の上に堆積することができる。
【0043】
第4のプロセスステップ208は、シード層224の上に柱状金属層226を形成するステップを含む。柱状金属層226の形成は、水素の発生により多孔質金属被膜が形成されるプロセス条件を確立することを含む。柱状金属層226の形成は、一般に、めっきチャンバ内で、適切なめっき溶液を使用して行われる。銅をめっきするために本明細書で説明するプロセスと共に使用することができる適切なめっき溶液は、少なくとも1つの銅源化合物、少なくとも1つの酸ベース電解質、および任意選択の添加剤を含むことができる。
【0044】
めっき溶液は、様々な配位子の少なくとも1つと錯体化またはキレート化された少なくとも1つの銅源化合物を含む。水などの配位子に対して非常に低い結合性を有する遊離銅イオンとは対照的に、錯体化された銅は、核に銅原子を含み、銅に対して強い結合性を有する配位子、官能基、分子、またはイオンによって取り囲まれる。錯体化される銅源は、めっき溶液に加えられる前にキレート化されて、例えばクエン酸銅にされ、またはインサイチュで、硫酸銅などの遊離銅イオン源とクエン酸やクエン酸ナトリウムなどの錯体化剤とを組み合わせることによって銅錯体が形成される。銅原子は、配位子との錯体化の前、その途中、またはその後に、0価、1価、または2価など任意の酸化状態でよい。したがって、本開示を通じて、特に区別または注釈しない限り、用語「銅」または元素記号「Cu」の使用は、銅金属(Cu)、1価の銅(Cu+1)、または2価の銅(Cu+2)の使用を含む。
【0045】
適切な銅源化合物の例としては、硫酸銅、リン酸銅、硝酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅、シュウ酸銅、銅EDTA、酢酸銅、ピロリン酸銅、およびそれらの組合せ、好ましくは硫酸銅および/またはクエン酸銅がある。特定の銅源化合物は、配位変形体を有することがある。例えば、クエン酸銅は、少なくとも1つの1価の銅原子、2価の銅原子、またはそれらの組合せと少なくとも1つのクエン酸配位子とを含むことがあり、Cu(C)、Cu(C)、Cu(C)、またはCu(Cを含むことがある。別の例では、銅EDTAは、少なくとも1つの1価の銅原子、2価の銅原子、またはそれらの組合せと少なくとも1つのEDTA配位子を含むことがあり、Cu(C1015)、Cu(C1014)、Cu(C1013)、Cu(C1012)、Cu(C1014)、またはCu(C1012)を含むことがある。めっき溶液は、約0.02M〜約0.8Mの範囲内、好ましくは約0.1M〜約0.5Mの範囲内の濃度で、1つまたは複数の銅源化合物または錯体化された金属化合物を含むことができる。例えば、約0.25Mの硫酸銅を銅源化合物として使用することができる。
【0046】
適切なスズ源の例は、可溶性スズ化合物でよい。可溶性スズ化合物は、第二スズ塩または第一スズ塩でよい。第二スズ塩または第一スズ塩は、硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、またはアルカノールスルホン酸塩でよい。例えば、浴可溶性スズ化合物は、以下の式の1つまたは複数の第一スズアルカンスルホン酸塩でよい。
(RSOSn
ここで、Rは、1〜12の炭素原子を含むアルキル基である。第一スズアルカンスルホン酸塩は、以下の式を有する第一スズメタンスルホン酸塩でよい。
【0047】


また、浴可溶性スズ化合物は、式SnSOの硫酸第一スズでもよい。
【0048】
また、可溶性スズ化合物の例には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、p−フェノールスルホン酸など有機スルホン酸のスズ(II)塩、ホウフッ化スズ(II)、スルホコハク酸スズ(II)、硫酸スズ(II)、酸化スズ(II)、塩化スズ(II)なども含めることができる。これらの可溶性スズ(II)化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
適切なコバルト源の例としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、エチレンジアミン四酢酸コバルト、アセチルアセトン酸コバルト(II)、アセチルアセトン酸コバルト(III)、グリシンコバルト(III)、およびピロリン酸コバルト、またはこれらの組合せから選択されるコバルト塩を挙げることができる。
【0050】
一実施形態では、めっき溶液は、銅源化合物および錯体化された銅イオンの代わりに、遊離銅イオンを含む。
【0051】
めっき溶液は、少なくとも1つまたは複数の酸ベース電解質を含むことができる。適切な酸ベース電解質系としては、例えば、硫酸ベース電解質、リン酸ベース電解質、過塩素酸ベース電解質、酢酸ベース電解質、およびそれらの組合せがある。適切な酸ベース電解質系としては、酸電解質、例えばリン酸、硫酸、およびそのアンモニウムおよびカリウム塩を含む酸電解質誘導体がある。また、酸ベース電解質系は、基板を処理するための所望のpHレベルを保つために組成物を緩衝することもできる。
【0052】
任意選択で、めっき溶液は、1つまたは複数のキレート化合物または錯体化合物を含有することができ、カルボキシレート基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、オキソ酸基、ヒドロキシル基とカルボキシレート基の混合物、およびそれらの組合せから選択される1つまたは複数の官能基を有する化合物を含むことができる。1つまたは複数のカルボキシレート基を有する適切なキレート化合物の例としては、クエン酸、酒石酸、ピロリン酸、コハク酸、シュウ酸、およびそれらの組合せがある。1つまたは複数のカルボキシレート基を有する他の適切な酸としては、酢酸、アジピン酸、酪酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、グルタル酸、グルコール酸、ギ酸、フマル酸、乳酸、ラウリン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、フタル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、ステアリン酸、吉草酸、キナルジン酸、グリシン、アントラニル酸、フェニルアラニン、およびそれらの組合せがある。適切なキレート化合物のさらなる例としては、1つまたは複数のアミンおよびアミド官能基を有する化合物、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジエチレントリアミン誘導体、ヘキサジアミン、アミノ酸、エチレンジアミン四酢酸、メチルホルムアミド、またはそれらの組合せがある。めっき溶液は、約0.02M〜約1.6Mの範囲内、好ましくは約0.2M〜約1.0Mの範囲内の濃度で1つまたは複数のキレート化剤を含むことができる。例えば、約0.5Mのクエン酸をキレート化剤として使用することができる。
【0053】
また、1つまたは複数のキレート化合物には、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびそれらの組合せなどの本明細書で説明するキレート化合物の塩を含むこともできる。キレート化合物の塩は、完全に、または一部のみ、前述のカチオン(例えばナトリウム)と酸性プロトンを含有し、例えばNa(C8−X)またはNaEDTAであり、ここでX=1〜4である。そのような塩は、銅源と組み合わさってNaCu(C)を生成する。適切な無機または有機酸塩の例としては、アンモニウムおよびカリウム塩、または有機酸、例えばシュウ酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、クエン酸2水素カリウム、クエン酸水素2カリウム、クエン酸3カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸アンモニウム、コハク酸カリウム、シュウ酸カリウム、およびそれらの組合せがある。また、1つまたは複数のキレート化合物には、錯体塩、例えば水和物(例えばクエン酸ナトリウム二水和物)を含むこともできる。
【0054】
このめっき溶液は銅をめっきするのに特に有用であるが、この溶液を、白金、タングステン、チタン、コバルト、金、銀、ルテニウム、スズ、それらの合金、およびそれらの組合せなど他の導電性材料を堆積するために使用することもできると考えられる。銅前駆体は、前述の金属と少なくとも1つの配位子を含有する前駆体、例えばクエン酸コバルト、硫酸コバルト、またはリン酸コバルトで置換される。
【0055】
任意選択で、湿潤剤または抑制剤、例えばめっき溶液の導電率を低下させる電気抵抗添加剤を、約10ppm〜約2000ppmの範囲内、好ましくは約50ppm〜約1000ppmの範囲内で溶液に添加することができる。抑制剤は、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ポリマー、ポリカルボキシレートコポリマー、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレン(EO/PO)のポリエーテルまたはポリエステル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、エタノールアミド誘導体、またはそれらの組合せを含む。
【0056】
任意選択で、pH7未満、好ましくは約3〜約7、より好ましくは約4.5〜約6.5を実現するために、1種または複数種のpH調整剤がめっき溶液に添加される。pH調整剤の量は、様々な配合物中で他の成分の濃度が変えられるときに変えることができる。所与の濃度に関して、異なる化合物が異なるpHレベルを与えることがあり、例えば組成物は、所望のpHレベルを提供するために約0.1体積%〜約10体積%の塩基、例えば水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、またはそれらの組合せを含むことがある。1つまたは複数のpH調整剤は、カルボン酸、例えば酢酸、クエン酸、シュウ酸、リン酸塩含有成分、例えばリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム、無機酸、例えば硫酸、硝酸、塩酸、およびそれらの組合せを含む酸のクラスから選択することができる。
【0057】
本明細書で説明するめっき溶液の残部または残りは、極性溶媒などの溶媒である。水、好ましくは脱イオン水が、好ましい溶媒である。有機溶媒、例えばアルコールやグリコールも使用することができるが、一般には水溶液に含まれる。
【0058】
任意選択で、めっき溶液は、1つまたは複数の添加剤化合物を含むことができる。金属、すなわち銅を基板表面に堆積するためのめっき溶液の効果を改良するために、添加剤化合物は、限定はしないが、抑制剤、促進剤、均展剤、光沢剤、および安定剤を含めた電解質添加剤を含む。添加剤には、例えば、金属原子のイオン化速度を低下させて、それにより溶解プロセスを妨げることができるものや、光沢のある仕上がりの基板表面を提供することができるものがある。添加剤は、最大約15重量%または体積%の濃度でめっき溶液中に存在することがあり、めっき後の所望の結果に基づいて変えることができる。
【0059】
一実施形態では、めっき溶液は、少なくとも1つの銅源化合物、少なくとも1つの酸ベース電解質、および少なくとも1つの添加剤、例えばキレート化剤を含む。一実施形態では、少なくとも1つの銅源化合物が硫酸銅を含み、少なくとも1つの酸ベース電解質が硫酸を含み、キレート化合物がクエン酸塩を含む。
【0060】
柱状金属層226は、高いめっき速度の堆積プロセスを使用して形成される。堆積バイアスの電流密度は、電流密度が制限電流(i)を超えるように選択される。制限電流に達したとき、水素ガスの発生と、質量輸送制限されたプロセスにより生じる樹脂状結晶タイプの被膜成長とにより、柱状金属被膜が形成される。柱状金属層の形成中、堆積バイアスは通常、約10A/cm以下、好ましくは約5A/cm以下、より好ましくは約3A/cm以下の電流密度を有する。一実施形態では、堆積バイアスは、約0.5A/cm〜約3.0A/cmの範囲内、例えば約2.0A/cmの電流密度を有する。
【0061】
第5のプロセスステップ210は、柱状金属層226上に多孔質構造228を形成するステップを含む。柱状金属層の堆積よりも電圧および対応する電流密度を高めることによって、柱状金属層226上に多孔質構造228を形成することができる。堆積バイアスは通常、約10A/cm以下、好ましくは約5A/cm以下、より好ましくは約3A/cm以下の電流密度を有する。一実施形態では、堆積バイアスは、約0.5A/cm〜約3.0A/cmの範囲内、例えば約2.0A/cmの電流密度を有する。
【0062】
一実施形態では、多孔質構造228は、様々な形態の細孔性の1つまたは複数を備えることができる。一実施形態では、多孔質構造228は、約100ミクロン以下の細孔を有するマクロ細孔性構造を備え、マクロ細孔性構造の非孔質部分は、直径約2nm〜約50nmの孔を有する(メソ細孔性)。別の実施形態では、多孔質構造228は、約30ミクロンの細孔を有するマクロ細孔性構造を備える。さらに、多孔質構造228の表面がナノ構造を備えることができる。ミクロ細孔性と、メソ細孔性と、ナノ構造との組合せが、多孔質構造408の表面積を大幅に増加する。
【0063】
一実施形態では、多孔質構造228は、単一の材料、例えば銅、スズ、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、および他の適切な材料から形成することができる。別の実施形態では、多孔質構造228は、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、または他の適切な材料の合金からなることがある。
【0064】
図3に示されるように、任意選択で、多孔質構造228上にパッシベーション層230を形成するために第6の処理ステップ212を行うことができる。パッシベーション層230は、電気化学めっきプロセスによって形成することができる。パッシベーション層230により、形成される電極の容量が高くなり、サイクル寿命が長くなる。一実施形態では、多孔質構造228は銅とスズの合金からなり、パッシベーション層230はスズ被膜からなる。別の実施形態では、多孔質構造228はコバルトとスズの合金からなる。一実施形態では、リンスステップ後にパッシベーション層230にめっきするために構成された新たなめっき浴内に基板220を浸漬することによって、パッシベーション層230を形成することができる。
【0065】
本発明の実施形態は、プロセス200のステップ208、210、212を連続的に行うための処理システムを提供する。図4は、本明細書で説明する実施形態に従って多孔質電極を形成するための方法250の流れ図である。方法250における各ブロックは、一般に、別個の処理チャンバ内で行われる。処理される基板は、一般に、プロセスを完成するために1つのチャンバから次のチャンバへと順次処理される。
【0066】
ブロック252で、PVDプロセスまたは蒸着プロセスによってシード層を堆積された基板が、めっき前に酸化物、炭素、または他の汚染物質を除去するために、予備湿潤チャンバ内に位置決めされる。一般に、PVDプロセスに比べて蒸着プロセスのほうが低コストである。
【0067】
ブロック254で、柱状金属層を形成するために、予備湿潤された基板が、第1のめっきチャンバのめっき浴に浸漬される。
【0068】
ブロック256で、柱状金属層を上に形成された基板が、第1のめっきチャンバから取り出され、柱状金属層の上に多孔質層を形成するために第2のめっきチャンバのめっき浴内に浸漬される。
【0069】
一実施形態では、柱状金属層と多孔質層は、銅など同じ金属からなることがあり、第1のチャンバと第2のチャンバでのめっき浴は同様であるか、または化学的に適合性がある。別の実施形態では、多孔質層は、スズと銅の合金からなることがある。別の実施形態では、多孔質層は、コバルトとスズの合金からなることがある。別の実施形態では、多孔質層は、コバルトとスズと銅の合金からなることがある。
【0070】
ブロック258で、基板上の残留めっき溶液を除去するために、基板がリンスチャンバ内でリンスされる。
【0071】
ブロック260で、パッシベーション薄膜を形成するために、基板が第3のめっきチャンバでのめっき浴内に浸漬される。一実施形態では、パッシベーション薄膜は、スズの薄膜からなることがある。
【0072】
ブロック262で、後続の処理のために、基板がリンス乾燥チャンバ内でリンスされて乾燥される。
【0073】
図5〜図8に、方法250を使用して電気化学電池またはキャパシタ用の電極の形成を行うために構成されたチャンバおよびシステムを示す。
【0074】
図5Aは、本発明の一実施形態によるめっきチャンバ400の概略側断面図である。めっきチャンバ400はめっき位置にある。図5Bは、基板移送位置でのめっきチャンバ400の概略側断面図である。
【0075】
めっきチャンバ400は、可撓性ベース301の上に形成されたシード層305または導電層の上に金属層306を形成するために構成される。一実施形態では、可撓性ベース301は、部分ごとにめっきチャンバ400に供給される。各部分を基板とみなすことができる。一般に、各基板は、処理後に可撓性ベース301の残りの部分から切断される。
【0076】
一実施形態では、めっきチャンバ400は、マスキングプレート410を使用して、シード層305の所望の領域の上に選択的に金属層306を堆積するように構成される。マスキングプレート410は、複数のアパーチャ413を有し、アパーチャ413は、電気化学的に堆積された材料をアパーチャ内に優先的に形成できるようにする。一実施形態では、マスキングプレート410は、可撓性太陽電池の受光側のために構成されたパターンを画定することができる。
【0077】
めっきチャンバ400は、一般に、ヘッドアセンブリ405と、可撓性基板アセンブリと、電極420と、電源450と、システム制御装置251と、めっきセルアセンブリ430とを含む。
【0078】
めっきセルアセンブリ430は、一般に、めっき領域435と電解質収集領域436を画定するセル本体431を含む。動作時、一般には、ポンプ440を使用して、電解質「A」を、電解質収集領域436から、電解質420と支持機構434の間に形成されたプレナム437を通し、マスキングプレート410に形成されたアパーチャ413を通し、その後、めっき領域435を隔てている堰432を越えてさらに電解質収集領域436に流すことが望ましい。
【0079】
一実施形態では、電極420は、セル本体431内に形成された1つまたは複数の支持機構434上に支持することができる。一実施形態では、電極420は複数の穴421を含み、これらの穴421により、プレナム437からめっき領域435に進む電解質「A」が、マスキングプレート410全体にわたって分散される一様な流れを有し、可撓性ベース301上の少なくとも1つの表面に接することができるようになる。ポンプ440によって生成される流体運動は、アパーチャ413の一端に露出された露出領域404での電解質成分の補給を可能にする。
【0080】
電極420は、電気めっき反応中に消耗される材料から形成することもできるが、非消耗材料から形成されることがより好ましい。非消耗電極は、白金またはルテニウム被覆チタンなど、金属層306の形成中にエッチングされない導電性材料から形成することができる。
【0081】
ヘッドアセンブリ405は、一般に、スラストプレート414とマスキングプレート410を含み、マスキングプレート410は、電気化学堆積プロセス中に電極420に対して可撓性ベース301の一部分を定位置に保つように適合される。一態様では、マスキングプレート410の上面418に形成された電気接点412に対してスラストプレート414および可撓性ベース301を付勢するために機械的アクチュエータ415が使用され、それにより、可撓性ベース301の表面上に形成されたシード層305と電源450との間にリード線451を介して電気接続を形成することができる。
【0082】
一実施形態では、図5Aに示されるように、電気接点412は、マスキングプレート410の表面上に形成される。別の実施形態では、電気接点412は、互いに離れた別個の導電性接点から形成することができ、これらの導電性接点は、可撓性ベース301がマスキングプレート410に対して付勢されるときに、マスキングプレート410に形成された凹部内に入れ子に配置される。電気接点412は、金属、例えば白金、金、もしくはニッケル、または別の導電性材料、例えば黒鉛、銅Cu、リン銅(CuP)、および白金被覆チタン(Pt/Ti)から形成することができる。
【0083】
可撓性基板アセンブリ460は、フィードアクチュエータに結合された送給ロール461と、巻取りアクチュエータに結合された巻取りロール462とを備える。可撓性基板アセンブリ460は、処理中に可撓性ベース301の一部分を送給してめっきチャンバ400内部で位置決めするために構成される。
【0084】
一態様では、送給ロール461は、シード層305が上に形成されているある量の可撓性ベース301を含む。巻取りロール462は、一般に、金属層306の後に、ある量の可撓性ベース301を含む。フィードアクチュエータと巻取りアクチュエータを使用して、可撓性ベース301に電気化学プロセスを施すことができるように可撓性ベース301を位置決めして所望の張力をかける。フィードアクチュエータと巻取りアクチュエータは、DCサーボモータ、ステッパモータ、機械的なばねと制動器、または、可撓性基板を所望の位置に位置決めして保持するためにめっきチャンバ400と共に使用することができる他のデバイスでよい。
【0085】
図5Bは、移送位置でのめっきチャンバ400を示す側断面図であり、シード層305を含む可撓性ベース301の所望の部分を、マスキングプレート410および電極420に対して所望の位置に位置決めすることができるようにし、それにより所望の部分に金属層306が形成される。一態様では、シード層305を含む可撓性ベース301の所望の部分を制御してヘッドアセンブリ405内部で位置決めするために、様々な従来のエンコーダまたは他のデバイスがフィードアクチュエータおよび/または巻取りアクチュエータに関連付けて使用される。
【0086】
図5Cは、上述した方法250と同様の方法を使用して電気化学電池またはキャパシタの電極をめっきするために構成されためっきシステム500を概略的に示す。
【0087】
めっきシステム500は、一般に、一列に配置された複数の処理チャンバを備え、それぞれが、連続する可撓性ベースの一部分の上に形成された基板511に対して1つの処理ステップを行うために構成される。
【0088】
めっきシステム500は、可撓性ベースの一部分の上に形成された基板511を予備湿潤するために構成された予備湿潤チャンバ501を備える。予備湿潤チャンバ501は、図5Aのめっきチャンバ400と同様の構造でよく、めっきプロセスに必要な電極420、マスキングプレート410、および電源450は備えない。
【0089】
めっきシステム500は、予備湿潤された後に基板511上に第1のめっきプロセスを行うために構成された第1のめっきチャンバ502をさらに備える。第1のめっきチャンバ502は、一般に、洗浄予備湿潤ステーションに並べて配置される。一実施形態では、第1のめっきプロセスは、基板511上に形成されたシード層上に柱状銅層をめっきするプロセスでよい。第1のめっきチャンバ502は、上述した図4Aのめっきチャンバ400と同様でよい。
【0090】
めっきシステム500は、第1のめっきチャンバ502に並べて配設された第2のめっきチャンバ503をさらに備える。第2のめっきチャンバ503は、第2のめっきプロセスを行うために構成される。一実施形態では、第2のめっきプロセスは、柱状銅層上に銅または合金の多孔質層を形成するプロセスである。第2のめっきチャンバ503は、上述した図4Aのめっきチャンバ400と同様でよい。
【0091】
めっきシステム500は、第2のめっきチャンバ503に並べて配設され、基板511から残留めっき溶液をリンスして除去するために構成されたリンスステーション504をさらに備える。リンスステーション504は、図5Aのめっきチャンバ400と同様の構造でよく、めっきプロセスに必要な電極420、マスキングプレート410、および電源450は備えない。
【0092】
めっきシステム500は、リンスステーション504に並べて配設された第3のめっきチャンバ505をさらに備える。第3のめっきチャンバ505は、第3のめっきプロセスを行うために構成される。一実施形態では、第3のめっきプロセスは、多孔質層の上に薄膜を形成するプロセスである。第3のめっきチャンバ505は、上述した図4Aのめっきチャンバ400と同様でよい。
【0093】
めっきシステム500は、第3のめっきチャンバ505に並べて配設され、めっきプロセス後に基板511をリンスして乾燥させ、後続の処理のために準備された基板511を提供するために構成されたリンス乾燥ステーション506をさらに備える。リンス乾燥ステーション506は、図5Aのめっきチャンバ400と同様の構造でよく、めっきプロセスに必要な電極420、マスキングプレート410、および電源450は備えない。一実施形態では、リンス乾燥ステーション506は、基板511がリンス乾燥チャンバ506から出たときに基板511に乾燥蒸気を当てるために構成された1つまたは複数の蒸気ジェット506aを備えることができる。
【0094】
処理チャンバ501〜506は、一般に、列に沿って配置され、それにより、基板511を、各チャンバの送給ロール5071〜6および巻取りロール5081〜6を介して各チャンバを通して順次処理することができる。一実施形態では、各基板511を1つ先のチャンバに移動させるために、基板移送ステップ中に送給ロール5071〜6と巻取りロール5081〜6を同時に作動させることができる。
【0095】
上のめっきシステム500の説明では、基板は実質的に水平姿勢で位置決めされる。しかし、例えば垂直向きや傾斜向きなど他の基板向きを、本発明の実施形態に従って使用することもできる。
【0096】
図6Aは、本発明の一実施形態によるめっきチャンバ600の概略側断面図である。めっきチャンバ600は、可撓性ベース601上に形成されたシード層602または導電層の上に金属層を形成するために構成される。図5Aのめっきチャンバ400と同様に、可撓性ベース601は、部分ごとにめっきチャンバ600に供給される。各部分を基板とみなすことができる。一般に、各基板は、処理後に可撓性ベース601の残りの部分から切断される。
【0097】
めっきチャンバ600は、一般に、処理体積604を画定するチャンバ本体603を備える。処理体積604は、処理体積604内にめっき溶液を定量供給するために構成された1つまたは複数の噴入口605と流体連絡する。また、処理体積604は、処理体積604からめっき溶液を除去するために構成された排出部606と流体連絡する。
【0098】
めっきチャンバ600は、可撓性ベース601を移動させ、処理するために可撓性ベース601の特定の部分を処理体積604内で位置決めするために構成された可撓性基板アセンブリ608を備える。可撓性基板アセンブリ608は、処理体積604の上に配設された送給ロール609と、処理体積604の底部付近に配設された底部ロール610と、処理体積604の上に配設された巻取りロール611とを備える。送給ロール609、底部ロール610、および巻取りロール611はそれぞれ、可撓性ベース601の一部分を保定するために構成される。可撓性基板アセンブリ608は、処理中に、可撓性ベース601の一部分を送給してめっきチャンバ600内部で位置決めするために構成される。
【0099】
一実施形態では、少なくとも送給ロール609および巻取りロール611がアクチュエータに結合される。フィードアクチュエータおよび巻取りアクチュエータを使用して、可撓性ベース601に電気化学プロセスを施すことができるように可撓性ベース601を位置決めして所望の張力をかける。フィードアクチュエータおよび巻取りアクチュエータは、DCサーボモータ、ステッパモータ、機械的なばねと制動器、または、可撓性基板を所望の位置に位置決めして保持するためにめっきチャンバ600と共に使用することができる他のデバイスでよい。
【0100】
また、めっきチャンバ600は、処理体積604内に配設されたアノードアセンブリ607を備える。一実施形態では、アノードアセンブリ607は、実質的に垂直向きで配設される。一実施形態では、アノードアセンブリ607は複数の穴を含むことがあり、これらの穴により、噴入口605から流れるめっき浴が、可撓性ベース601のめっき表面全体にわたって分散される一様な流れを有することができるようになる。
【0101】
アノードアセンブリ607は、電気めっき反応中に消耗される材料から形成することもできるが、非消耗材料から形成されることがより好ましい。非消耗電極は、白金またはルテニウム被覆チタンなど、可撓性ベース601の上への金属層の形成中にエッチングされない導電性材料から形成することができる。
【0102】
一実施形態では、めっきチャンバ600は、処理中に、シード層602の一領域を選択的に露出するように構成されたマスキングプレート613を備える。マスキングプレート613は、複数のアパーチャ614を有し、アパーチャ614は、電気化学的に堆積される材料をアパーチャ内に優先的に形成できるようにする。一実施形態では、マスキングプレート613は、可撓性太陽電池の受光側のために構成されたパターンを画定することができる。
【0103】
一実施形態では、めっきチャンバ600は、アノードアセンブリ607に実質的に平行に、処理体積604内に配設されたスラストプレート616を備える。スラストプレート616は、電気化学堆積プロセス中に、可撓性ベース601の一部分をアノードアセンブリ607に対して定位置に保持するために構成される。スラストプレート616は、可撓性ベース601の裏面に位置決めされ、アノードアセンブリ607およびマスキングプレート613は、可撓性ベース601の前面に位置決めされる。
【0104】
一実施形態では、スラストプレート616は、水平に可動である。移送段階中、スラストプレート616は、可撓性ベース601から離れるように移動され、マスキングプレート613もスラストプレート616も可撓性ベース601と接触しない。処理前、スラストプレート616とマスキングプレート613の少なくとも一方が他方に向けて移動され、間に可撓性ベース601を挟む。スラストプレート616は、可撓性ベース601がアノードアセンブリ607に実質的に平行となり、アノードアセンブリ607から所望の距離となることを保証する。
【0105】
一実施形態では、アノードアセンブリ607とマスキングプレート613の間に電源617が結合されて、めっきプロセスのための電気バイアスを提供する。一実施形態では、マスキングプレート613の表面上に複数の電気接点615が形成される。電源617は複数の電気接点615に結合され、電気接点615はその後、マスキングプレート613が可撓性ベース601に接触するときにシード層602に電気バイアスを提供する。複数の電気接点615は、互いに離れた別個の導電性接点から形成することができ、これらの導電性接点は、可撓性ベース601がマスキングプレート613に対して付勢されるときに、マスキングプレート613に形成された凹部内に入れ子に配置される。電気接点615は、金属、例えば白金、金、もしくはニッケル、または別の導電性材料、例えば黒鉛、銅Cu、リン銅(CuP)、および白金被覆チタン(Pt/Ti)から形成することができる。
【0106】
別の実施形態では、電源617の代わりに電源617が、アノードアセンブリ607とシード層602の間に直接結合される。この構成は通常、シード層602が各部分(基板)内部で連続的であり、かつ部分ごとに隔離されているときに適用可能である。
【0107】
さらに別の実施形態では、電源617の代わりに電源617が、アノードアセンブリ607と送給ロール609の間に結合され、送給ロール609は可撓性ベース601と電気接触する。この構成は通常、可撓性ベース601が導電性であるときに適用可能である。
【0108】
図6Bは、本発明の一実施形態によるめっきチャンバ600cの概略側断面図である。めっきチャンバ600cは、可撓性ベース601の2つの部分を同時に処理するように構成されることを除いて、図6Aのめっきチャンバ600と同様である。この構成は、システムスループットをほぼ倍増させることができる。
【0109】
図6Cは、図6A〜図6Bの1つまたは複数のめっきチャンバを使用するめっきシステム700を概略的に示す。めっきシステム700は、上述した方法250と同様の方法を使用して電気化学電池またはキャパシタの電極をめっきするために構成される。
【0110】
めっきシステム700は、一般に、一列に配置された複数の処理チャンバを備え、それぞれが、連続する可撓性ベース710の一部分の上に形成された基板に対して1つの処理ステップを行うために構成される。
【0111】
めっきシステム700は、可撓性ベース710の一部分を予備湿潤するために構成された予備湿潤チャンバ701を備える。予備湿潤チャンバ701は、上述しためっきチャンバ600、600cと同様の構造でよく、めっきプロセスに必要なアノードアセンブリ607、マスキングプレート613、スラストプレート616、および電源617は備えない。
【0112】
めっきシステム700は、予備湿潤された後に可撓性ベース710の該部分に第1のめっきプロセスを行うために構成された第1のめっきチャンバ702をさらに備える。第1のめっきチャンバ702は、一般に、洗浄予備湿潤ステーションに並べて配設される。一実施形態では、第1のめっきプロセスは、可撓性ベース710の該部分に形成されたシード層上に柱状銅層をめっきするプロセスでよい。第1のめっきチャンバ702は、上述しためっきチャンバ600、600cと同様でよい。
【0113】
めっきシステム700は、第1のめっきチャンバ702に並べて配設された第2のめっきチャンバ703をさらに備える。第2のめっきチャンバ703は、第2のめっきプロセスを行うために構成される。一実施形態では、第2のめっきプロセスは、柱状銅層上に銅または合金の多孔質層を形成するプロセスである。第2のめっきチャンバ703は、上述しためっきチャンバ600、600cと同様でよい。
【0114】
めっきシステム700は、第2のめっきチャンバ703に並べて配設され、第2のめっきチャンバ703によって処理された可撓性ベース710の該部分から残留めっき溶液をリンスして除去するために構成されたリンスステーション704をさらに備える。リンスステーション704は、上述しためっきチャンバ600、600cと同様の構造でよく、めっきプロセスに必要なアノードアセンブリ607、マスキングプレート613、スラストプレート615、および電源617は備えない。
【0115】
めっきシステム700は、リンスステーション704に並べて配設された第3のめっきチャンバ705をさらに備える。第3のめっきチャンバ705は、第3のめっきプロセスを行うために構成される。一実施形態では、第3のめっきプロセスは、多孔質層の上に薄膜を形成するプロセスである。第3のめっきチャンバ705は、上述しためっきチャンバ600、600cと同様でよい。
【0116】
めっきシステム700は、第3のめっきチャンバ705に並べて配設され、めっきプロセス後に可撓性ベース710の該部分をリンスして乾燥するために構成されたリンス乾燥ステーション706をさらに備える。リンス乾燥ステーション706は、上述しためっきチャンバ600、600cと同様の構造でよく、めっきプロセスに必要なアノードアセンブリ607、マスキングプレート613、スラストプレート615、および電源617は備えない。一実施形態では、リンス乾燥ステーション706は、可撓性ベース710がリンス乾燥ステーション706から出るときに可撓性ベース710に乾燥蒸気を当てるために構成された1つまたは複数の蒸気ジェット706aを備えることができる。
【0117】
一般に、処理チャンバ701〜706は列に沿って配置され、それにより、可撓性ベース710の各部分を、各チャンバの送給ロール7071〜6および巻取りロール7081〜6を介して各チャンバを通して順次処理することができる。一実施形態では、1つ先のチャンバに可撓性ベース710の各部分を移動させるために、基板移送ステップ中に送給ロール7071〜6と巻取りロール7081〜6を同時に作動させることができる。
【0118】
図7Aは、本発明の一実施形態によるめっきチャンバ800の概略斜視図である。図7Bは、めっき位置での図7Aのめっきチャンバ800の概略側断面図である。
【0119】
めっきチャンバ800は、一般に、1つまたは複数の基板を実質的に垂直姿勢で処理するためのめっき浴を貯留するために構成された処理体積802を画定するチャンバ本体801を備える。処理体積802は、処理される基板の通過を可能にするように構成された上部開口802aを有する。めっきチャンバは、チャンバ本体801の側壁に配設された複数の噴入口803を備える。一実施形態では、複数の噴入口803を側壁にわたって分布させることができる。処理される基板に向けて湿潤溶液または洗浄溶液を噴霧するために複数の噴入口803を使用することもできる。複数の噴入口803は、めっき溶液源804に接続される。
【0120】
一実施形態では、めっきチャンバ800は、処理体積802から処理溶液を除去するために構成された排出部812をさらに備える。別の実施形態では、図7Bに示されるように、めっきチャンバ800は、処理体積802の上部開口802aから溢出するめっき溶液を貯留するために構成されたキャッチペン825を備えることができる。一実施形態では、キャッチペン825内に貯留されためっき溶液は、再使用のために、濾過してめっき溶液源804に流し戻すことができる。
【0121】
めっきチャンバ800は、実質的に垂直向きで処理体積802内に配設されたアノードアセンブリ805を備える。一実施形態では、アノードアセンブリ805は、保守または交換のために、処理体積802から取外し可能にすることができる。一実施形態では、アノードアセンブリ805は複数の穴を含むことができ、これらの穴により、噴入口803から流れるめっき浴が、処理体積802全体にわたって分散される一様な流れを有することができるようになる。
【0122】
アノードアセンブリ805は、電気めっき反応中に消耗される材料から形成することもできるが、非消耗材料から形成されることがより好ましい。非消耗電極は、白金またはルテニウム被覆チタンなど、めっき中にエッチングされない導電性材料から形成することができる。非消耗アノードの利点として、非消耗であることによる低コストおよび保守性、化学的不活性、優れた合金組合せ、優れたパルス条件が挙げられる。
【0123】
めっきチャンバ800は、図7Bに示されるように、1つまたは複数の基板808を移送し、1つまたは複数の基板808をめっき位置に位置決めするために構成されたカソードアセンブリ806をさらに備える。図7Aに示されるように、カソードアセンブリ806は、上部開口802aを通して、処理体積802内に下げることができる。
【0124】
可撓性基板は、太陽電池セルなど、いくつかのデバイスを製造する際に一般に使用されている。一実施形態では、カソードアセンブリ806は、めっきを施すために1つまたは複数の可撓性基板を支持するために構成される。一実施形態では、カソードアセンブリ806は、基板808に対する構造支持を提供するために構成された裏板810を備えることができる。
【0125】
上述したように、めっきプロセスは、一般に、基板808上に形成されたシード層809の上に金属層を形成するために行われる。カソードアセンブリ806は、シード層809がアノードアセンブリ805に面するように基板808を支持するために構成される。
【0126】
一実施形態では、カソードアセンブリ806は、処理中にシード層809の一領域を選択的に露出するように構成されたマスキングプレート807を備える。マスキングプレート807は複数のアパーチャ807aを有し、アパーチャ807aは、電気化学的に堆積される材料をアパーチャ内に優先的に形成することができるようにする。一実施形態では、マスキングプレート807は、可撓性太陽電池の受光側のために構成されたパターンを画定することができる。
【0127】
一実施形態では、めっきを施すために基板808とアノードアセンブリ805の間で所望の間隔を実現するために、アノードアセンブリ805とカソードアセンブリ806を互いに移動させることができる。
【0128】
電気めっき用のバイアスをかけるためにアノードアセンブリ805と基板808の間に電源811が結合される。一実施形態では、マスキングプレート807の表面上に複数の電気接点807bが形成される。一実施形態では、電源811を、マスキングプレート807の電気接点807bを介して基板808に接続することができる。電気接点807bは、金属、例えば白金、金、もしくはニッケル、または別の導電性材料、例えば黒鉛、銅Cu、リン銅(CuP)、および白金被覆チタン(Pt/Ti)から形成することができる。
【0129】
カソードアセンブリ806は、単一の基板または複数の基板を支持するように構成することができる。図7Cは、本発明の一実施形態によるカソードアセンブリ806の概略図である。図7Cに示されるカソードアセンブリ806は、4つの基板808を支持するように構成されている。カソードアセンブリ806は支持フレーム815を備え、支持フレーム815に基板808を取り付けることができる。
【0130】
図8A〜図8Bは、本発明の一実施形態によるめっきシステム900を概略的に示す。めっきシステム900は、図7Aのめっきチャンバ800と同様の構造の複数の処理チャンバを備える。めっきシステム900は、上述した方法250と同様の方法を使用して電気化学電池またはキャパシタの電極をめっきするために構成される。
【0131】
一般に、めっきシステム900は、一列に配置された複数の処理チャンバ901、902、903、904、905、906を備え、それぞれ、基板ホルダ907〜907に固定された基板に1つの処理ステップを施すために構成される。基板ホルダ907〜907は、基板移送メカニズム910によって処理チャンバ901〜906間で移送させることができる。
【0132】
一実施形態では、基板ホルダ907〜907は、上述しためっきチャンバ800のカソードアセンブリ806と同様である。
【0133】
一実施形態では、処理チャンバ901は、中に配設された基板を予備湿潤するために構成された予備湿潤チャンバでよい。
【0134】
処理チャンバ902は、処理チャンバ901内で予備湿潤された後に基板の該部分に第1のめっきプロセスを行うために構成されためっきチャンバでよい。一実施形態では、第1のめっきプロセスは、基板のシード層の上に柱状金属層を形成するために構成することができる。
【0135】
処理チャンバ903は、処理チャンバ902内でのめっきプロセス後に基板の該部分に第2のめっきプロセスを行うために構成されためっきチャンバでよい。第2のめっきプロセスは、柱状金属層の上に多孔質層を形成するために構成することができる。
【0136】
処理チャンバ904は、処理チャンバ903内での第2のめっきプロセス後に基板から残留めっき溶液をリンスして除去するために構成されたリンスチャンバでよい。
【0137】
処理チャンバ905は、第3のめっきプロセスを行うために構成されためっきチャンバでよい。一実施形態では、第3のめっきプロセスは、多孔質層の上に薄膜を形成するために構成される。
【0138】
処理チャンバ906は、第3のめっきプロセス後に基板をリンスおよび乾燥させるために構成されたリンス乾燥ステーションでよい。
【0139】
図8A〜図8Bは、処理中の基板移送シーケンスを示す。図8Aに示されるように、基板ホルダ907は、蒸気ジェット907aを有する処理チャンバ906から乾燥後に取り出すことができ、その一方で、基板移送メカニズム910が、各チャンバ内でプロセスが完了した後に処理チャンバ901〜905内の基板ホルダ907〜907を同時に引き上げるように定位置にある。
【0140】
図8Bで、基板移送メカニズム910は、処理チャンバ901〜905から基板ホルダ907〜907を引き上げ、列の下流へ次のチャンバに基板ホルダ907〜907を移動させる。処理チャンバ901が、新たな基板ホルダ907内に新たな基板が固定されるように準備される。
【0141】
基板移送メカニズム910は、それぞれ処理チャンバ902〜906に基板ホルダ907〜907を下げる。処理チャンバ901が、基板ホルダ907内に固定された基板を処理する。
【0142】
基板移送メカニズム910は引き返して、それぞれ処理チャンバ901〜905内にある基板ホルダ907および907〜907を引き上げる。基板ホルダ907内の基板は、めっきシステム900から出るように準備される。これらの移動ステップは、順次処理ステップのために繰り返される。
【0143】
上では本発明のいくつかの実施形態を対象としたが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態を考え出すことができ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大面積基板上に金属をめっきするための装置であって、
処理体積を画定するチャンバ本体であって、前記処理体積が、内部にめっき浴を貯留するために構成され、前記チャンバ本体が上側開口を有するチャンバ本体と、
前記処理体積内に前記めっき浴を形成するためにめっき溶液を分散するように構成された複数のジェットスプレーであって、前記チャンバ本体の側壁に対して開いている複数のジェットスプレーと、
前記処理体積から前記めっき浴を排出するために構成された排出システムと、
前記処理体積内に配設されるアノードアセンブリであって、実質的に垂直な姿勢で前記めっき浴内に浸漬されるアノードを備えるアノードアセンブリと、
前記処理体積内に配設されるカソードアセンブリとを備え、前記カソードアセンブリが、
1つまたは複数の大面積基板を前記処理体積内で前記アノードに実質的に平行に位置決めするために構成された基板ハンドラ、および、
前記1つまたは複数の大面積基板に電気バイアスを結合するために構成された接触機構と
を備える装置。
【請求項2】
前記カソードアセンブリが、前記1つまたは複数の大面積基板を前記めっき浴内に浸漬するように前記処理体積内に下げられ、前記1つまたは複数の大面積基板を前記めっき浴から取り出すように前記処理体積から持ち上げられるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接触機構が、前記1つまたは複数の大面積基板のめっき表面に対して位置決めされたマスキングプレートを備え、前記マスキングプレートが、めっきすべき前記1つまたは複数の大面積基板の部分を露出するように構成され、前記マスキングプレートが、
めっきすべき領域を画定するように構成された複数の貫通穴を有する誘電体プレート本体と、
前記誘電体プレート本体に埋め込まれた複数の電気接点とを備え、前記複数の電気接点が電源と電気的に接続し、前記複数の電気接点が、前記1つまたは複数の大面積基板の表面と接触するように、かつ前記めっき浴に露出されないように構成された、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記基板ホルダが、前記マスキングプレートに対して1つまたは複数の大面積基板を押し付けるために構成されたスラストプレートをさらに備え、前記マスキングプレートと前記スラストプレートが、前記1つまたは複数の大面積基板の反対側に位置決めされた、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記カソードアセンブリが、
前記処理体積の外側に配設され、前記1つまたは複数の大面積基板が上に形成された可撓性ベースの一部分を保定するために構成された送給ロールと、
前記処理体積の底部の近くに配設され、前記可撓性ベースの一部分を保定するために構成された底部ロールと、
前記処理体積の外側に配設され、前記可撓性ベースの一部分を保定するために構成された巻取りロールとをさらに備え、
前記送給ロール、底部ロール、および巻取りロールが、前記処理体積の内外に1つまたは複数の大面積基板を移送するために構成され、前記可撓性ベースを取り扱うことによって前記1つまたは複数の大面積基板を前記処理体積内で保持する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記処理体積内に可動に配設されたスラストプレートであって、前記可撓性ベースの一部分を押すために構成されたスラストプレートと、
前記1つまたは複数の大面積基板のめっき表面に対して位置決めされたマスキングプレートとをさらに備え、前記マスキングプレートが、めっきすべき前記1つまたは複数の大面積基板の部分を露出するように構成され、前記マスキングプレートが、
めっきすべき領域を画定するために構成された複数の貫通穴を有する誘電体プレート本体と、
前記誘電体プレート本体に埋め込まれた複数の電気接点とを備え、前記複数の電気接点が電源と電気的に接続し、前記複数の電気接点が、前記1つまたは複数の大面積基板の表面と接触するように、かつ前記めっき浴に露出されないように構成された、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
アノードと1つまたは複数の大面積基板の表面上に形成された導電層との間に接続された電源をさらに備え、前記電源が、直接、または送給ロールを介して前記導電層に接続された、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
大面積基板のシード層を洗浄するために構成された予備湿潤チャンバと、
前記大面積基板の前記シード層上に第1の金属の柱状層を形成するために構成された第1のめっきチャンバと、
前記柱状層の上に多孔質層を形成するために構成された第2のめっきチャンバと、
前記大面積基板を洗浄および乾燥するために構成されたリンス乾燥チャンバと、
前記チャンバ間で前記大面積基板を移送するために構成された基板移送メカニズムとを備える基板処理システムであって、
前記第1および第2のめっきチャンバがそれぞれ、
処理体積を画定するチャンバ本体であって、前記処理体積が、内部にめっき浴を貯留するために構成され、前記チャンバ本体が上側開口を有するチャンバ本体と、
前記処理体積から前記めっき浴を排出するために構成された排出システムと、
前記処理体積内に配設されるアノードアセンブリであって、前記めっき浴内に浸漬されるアノードを備えるアノードアセンブリと、
前記処理体積内に配設されるカソードアセンブリとを備え、前記カソードアセンブリが、
1つまたは複数の大面積基板を前記処理体積内で前記アノードに実質的に平行に位置決めするために構成された基板ハンドラ、および、
前記1つまたは複数の大面積基板に電気バイアスを結合するために構成された接触機構
を備える基板処理システム。
【請求項9】
前記大面積基板が、連続する可撓性ベース上に形成され、各チャンバが、
前記処理体積の外側に配設され、前記可撓性ベースの一部分を保定するために構成された送給ロールと、
前記処理体積の底部の近くに配設され、前記可撓性ベースの一部分を保定するために構成された底部ロールと、
前記処理体積の外側に配設され、前記可撓性ベースの一部分を保定するために構成された巻取りロールとを備え、
前記基板移送メカニズムが、各チャンバの内外に1つまたは複数の大面積基板を移送するように前記可撓性ベースを移動させるため、および前記1つまたは複数の大面積基板を各チャンバの処理体積内で保持するために送給ロールおよび巻取りロールを作動するように構成された、請求項8に記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記大面積基板が、処理中に各チャンバ内に実質的に垂直に位置決めされ、各めっきチャンバが、前記処理体積内に可動に配設されたスラストプレートをさらに備え、前記スラストプレートが、前記1つまたは複数の大面積基板が前記アノードの近くに位置して前記アノードに実質的に平行となるように前記可撓性ベースの一部分を押すために構成された、請求項9に記載の基板処理システム。
【請求項11】
各めっきチャンバが、
前記1つまたは複数の大面積基板のめっき表面に対して位置決めされるマスキングプレートであって、めっきすべき前記1つまたは複数の大面積基板の部分を露出するように構成されたマスキングプレートをさらに備える、請求項10に記載の基板処理システム。
【請求項12】
前記基板ハンドラが、前記1つまたは複数の大面積基板を前記めっき浴内で保持するために構成された基板フレームを備え、前記基板ハンドラが、前記チャンバ間で移送されるように構成された、請求項8に記載の基板処理システム。
【請求項13】
前記1つまたは複数の基板が後続の処理ステップのために位置決めされるように、前記基板移送メカニズムが、前記基板フレームを各チャンバから同時に持ち上げ、前記基板フレームを前記チャンバの上で移送させ、各基板フレームを別のチャンバに下げるように構成された、請求項12に記載の基板処理システム。
【請求項14】
各めっきチャンバの接触機構が、前記1つまたは複数の大面積基板のめっき表面に対して位置決めされたマスキングプレートを備え、前記マスキングプレートが、めっきすべき前記1つまたは複数の大面積基板の部分を露出するように構成された、請求項12に記載の基板処理システム。
【請求項15】
前記第2のめっきチャンバ内に前記第1の金属の多孔質層を形成した後に前記大面積基板をリンスするために構成されたリンスチャンバであって、前記多孔質層が、マクロ細孔性とマイクロ細孔性の少なくとも1つを備えるリンスチャンバと、
前記多孔質層の上に第2の金属の層をめっきするために構成された第3のめっきチャンバと
をさらに備える、請求項9に記載の基板処理システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2012−510163(P2012−510163A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537629(P2011−537629)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065205
【国際公開番号】WO2010/059865
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】