説明

電気回収エンジン

【課題】十分な伝熱性能を有する低温排熱用熱交換器により、工場などの煙道から排出される200℃域の低温排熱からでも効率よく電気エネルギーに変換できる電気回収エンジンを提供すること。
【解決手段】本発明の電気回収エンジンは、一方のディスプレーサピストン20Aの膨張空間22Aと連通する一方のガス通路51Aと、他方のディスプレーサピストン20Bの膨張空間22Bと連通する他方のガス通路51Bと、一方のガス通路51A及び他方のガス通路51Bを加熱する熱媒体通路52とを形成する熱交換器50によって、一方のスターリングエンジンと他方のスターリングエンジンとを連結してユニット化したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スターリングエンジンを用いた電気回収エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、出力数kW〜数十kWのスターリングエンジンの実用開発が欧州をはじめとした諸外国で活発に進められている。しかし、これらの装置は、高コストな熱交換器や低メンテナンス性などの問題により民生レベルで広く普及するには至っていない。
また、国内においても、1980年代に国家プロジェクトとして『汎用スターリングエンジンの研究開発』が実施された。しかし、当時のスターリングエンジンは量産技術を活かしにくく、高コストな構造であったため、現在でもその研究成果が活用された製品は完成していないのが実情である。
一方、スターリングエンジンは理論熱効率が高い外燃機関であり、省エネルギー技術の分野で有望視されている。
既に、本発明者は、熱交換器での加熱温度を高くすることができ、この熱交換器における高温部と冷却器における低温部との連結による熱損失を抑えることで、熱効率に優れた高効率なスターリングエンジンを提案している(特許文献1)。
また、本発明者は、ディスプレーサピストン、パワーピストン、板バネなどの部品の寸法や角度、平面度などのばらつきを緩和して低コストのスターリングエンジン(特許文献2)、冷却効率の高い冷却器(特許文献3)、摺動損失を低減し、信頼性の高いスコッチ・ヨーク機構を用いたスターリングエンジン(特許文献4)、小型で高性能なアクチュエータを適用できるスターリングエンジン(特許文献5)、スターリングエンジンの効率を上げるための高効率な熱交換器(特許文献6、7、8)を提案している。
【特許文献1】特開2005−133653号公報
【特許文献2】特開2005−147061号公報
【特許文献3】特開2007−224855号公報
【特許文献4】特開2008−101501号公報
【特許文献5】特開2009−41426号公報
【特許文献6】特開2006−283658号公報
【特許文献7】特開2007−270789号公報
【特許文献8】特開2008−14218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまで大気中に捨てられてきた熱エネルギーを、電気エネルギーとして回収することは、省エネルギーに大きく貢献でき、利用価値も高い。特に、工場などの煙道から排出される熱は現在まで有効に利用できていない。
しかし、工場から出る排熱の温度領域は、必ずしも高温ではなく、100℃から300℃程度の低温域であることも最も多い。
低温排熱を用いるスターリングエンジンは、理論熱効率が低下し、高い発電出力を得ることは容易ではない。これは、理論熱効率が低くなるため、発電出力が低下する。そのため、低温排熱をエンジン内にできるだけ多くの熱エネルギーを取り込み、発電出力量を多くする必要がある。従って、低温排熱を用いるスターリングエンジンは、排熱と接する伝熱面積を、高温排熱を利用できる場合よりも非常に大きくとる必要がある。その結果、エンジン内の無効容積や流路抵抗が大きくなるために、出力低下となり、低温排熱からの電気回収を困難なものにしている。
【0004】
そこで本発明は、十分な伝熱性能を有する低温排熱用熱交換器により、工場などの煙道から排出される200℃域の低温排熱からでも無効容積や通路抵抗が小さく効率よく電気エネルギーに変換できる電気回収エンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の電気回収エンジンは、ディスプレーサピストンとパワーピストンとを同軸上に配置した一対のスターリングエンジンを備え、前記スターリングエンジンはそれぞれが再生器と冷却器とを有し、一方の前記スターリングエンジンの前記ディスプレーサピストンと、他方の前記スターリングエンジンの前記ディスプレーサピストンとを対向させて配置した電気回収エンジンであって、一方の前記ディスプレーサピストンの膨張空間と連通する一方のガス通路と、他方の前記ディスプレーサピストンの膨張空間と連通する他方のガス通路と、一方の前記ガス通路及び他方の前記ガス通路を加熱する熱媒体通路とを形成する熱交換器によって、一方の前記スターリングエンジンと他方の前記スターリングエンジンとを連結してユニット化したことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の電気回収エンジンにおいて、前記熱媒体通路を流れる熱媒体としてオイル又は溶融塩を用いたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の電気回収エンジンにおいて、前記熱交換器を、一方の前記ディスプレーサピストンのピストンヘッド側の外周部と、他方の前記ディスプレーサピストンのピストンヘッド側の外周部とに、リング状に配置したことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の電気回収エンジンにおいて、前記熱媒体通路に前記熱媒体を導入する導入口と、前記熱媒体通路から前記熱媒体を導出する導出口とを前記熱交換器の外周面に配置し、前記熱媒体通路を、対向する一対の前記ディスプレーサピストンの間には配置しないことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項2に記載の電気回収エンジンにおいて、排熱ガスダクトに設けた吸熱用熱交換器と、前記吸熱用熱交換器と前記熱交換器とを前記熱媒体が循環する配管とを設けたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載の電気回収エンジンにおいて、一方の前記ガス通路を、他方の前記スターリングエンジンの前記再生器と連通させ、他方の前記ガス通路を、一方の前記スターリングエンジンの前記再生器と連通させたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の電気回収エンジンにおいて、前記ガス通路を、対向する一対の前記ディスプレーサピストンの間に配置し、前記熱媒体通路を流れるガスの流れ方向を、前記ディスプレーサピストンの軸に直交する方向としたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項6に記載の電気回収エンジンにおいて、前記ガス通路を、複数の直管で構成し、それぞれの前記直管を円弧状に配置したことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1に記載の電気回収エンジンにおいて、一対の前記スターリングエンジンを0度の位相で同期運転させることを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項9に記載の電気回収エンジンにおいて、それぞれの前記パワーピストンにはそれぞれリニア発電機を取り付け、それぞれの前記ディスプレーサピストンにはそれぞれ制御モータを取り付けたことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項9に記載の電気回収エンジンにおいて、一方の前記パワーピストン及び一方の前記ディスプレーサピストンには一方のリニア発電機を取り付け、他方の前記パワーピストン及び他方の前記ディスプレーサピストンには他方のリニア発電機を取り付けたことを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項9に記載の電気回収エンジンにおいて、それぞれの前記パワーピストンにはそれぞれ回転式発電機を取り付け、それぞれの前記ディスプレーサピストンにはそれぞれ制御モータを取り付けたことを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項9に記載の電気回収エンジンにおいて、一方の前記パワーピストン及び一方の前記ディスプレーサピストンには一方の回転式発電機を取り付け、他方の前記パワーピストン及び他方の前記ディスプレーサピストンには他方の回転式発電機を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、一対のスターリングエンジンを対向配置することで、一層シンプルで高性能な構造となり、未利用な低温排熱からの電気回収を実現できる電気回収エンジンを提供することができる。
また、本発明は、低温排熱を利用する場合でも、無効容積や通路抵抗を小さくでき、そのため、効率よく電気エネルギーに変換できる電気回収エンジンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態による電気回収エンジンは、一方のディスプレーサピストンの膨張空間と連通する一方のガス通路と、他方のディスプレーサピストンの膨張空間と連通する他方のガス通路と、一方のガス通路及び他方のガス通路を加熱する熱媒体通路とを形成する熱交換器によって、一方のスターリングエンジンと他方のスターリングエンジンとを連結してユニット化したものである。本実施の形態によれば、一対のスターリングエンジンを対向させ、それぞれのスターリングエンジンに必要な熱交換器を一つの熱交換器で構成し、この熱交換器によって一対のスターリングエンジンを連結することで、2つの別々のスターリングエンジンと比較してシンプルな構成とすることができる。また、熱交換器の両側にスターリングエンジンが配置されるため、例えば、熱交換器を煙道中に配置してスターリングエンジンを煙道から突出させて施工できるため、排熱ガスダクトなどの煙道への施工性が良い。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、熱媒体通路に流れる熱媒体としてオイル又は溶融塩を用いたものである。本実施の形態によれば、オイル又は溶融塩を熱媒体として用いることで、特に低温排熱を利用する場合に、伝熱面積が小さくても十分な熱回収を行うことができ、熱交換器のデッドスペース、すなわち無効容積を少なくすることができる。そのため、圧力変化を高めることができ、図示動力を高め、発電出力を高めることができる。また、低温排熱の熱エネルギーを一旦、熱媒体に蓄熱するロスを熱伝導性のよい材料(SiCや銅材料等)で熱交換器を構成することで、熱交換器損失を小さくでき、熱媒体を使った熱交換器損失をカバーすることができるため、効率のよい電気回収エンジンを実現できる。
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、熱交換器を、一方のディスプレーサピストンのピストンヘッド側の外周部と、他方のディスプレーサピストンのピストンヘッド側の外周部とに、リング状に配置したものである。本実施の形態によれば、ディスプレーサピストンの膨張空間外周を加熱できるので熱効率を高めることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、熱媒体通路に熱媒体を導入する導入口と、熱媒体通路から熱媒体を導出する導出口とを熱交換器の外周面に配置し、熱媒体通路を、対向する一対のディスプレーサピストンの間には配置しないものである。本実施の形態によれば、オイル又は溶融塩を用いた小型の熱交換器をピストンヘッド間ではなくピストンヘッド外周だけに配置することで、ディスプレーサピストンの軸方向の長さを短くできる。
本発明の第5の実施の形態は、第2の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、排熱ガスダクトに設けた吸熱用熱交換器と、吸熱用熱交換器と熱交換器とを熱媒体が循環する配管とを設けたものである。本実施の形態によれば、オイル又は溶融塩を熱媒体として排熱ガスダクトの熱をスターリングエンジンに搬送するため、高い熱効率で排熱を利用することができる。また、スターリングエンジンを排熱ガスダクトの配置に影響されずに施工できるために、施工性が良い。したがって、排気ガスダクトをエンジン設置が困難な高所や狭所の場所でも、レイアウトの自由度を高め、様々な排熱源に対応することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、一方のガス通路を、他方のスターリングエンジンの再生器と連通させ、他方のガス通路を、一方のスターリングエンジンの再生器と連通させたものである。本実施の形態によれば、一方のスターリングエンジンの膨張空間から導出させたガスを同じスターリングエンジンの再生器に戻すことなく、対向する他方のスターリングエンジンの再生器に導き、他方のスターリングエンジンの膨張空間から導出させたガスを同じスターリングエンジンの再生器に戻すことなく、対向する一方のスターリングエンジンの再生器に導くため、例えばガス通路をU字状に曲げる必要が無く、流路抵抗の少ないガス通路とすることができるため、圧力損失を低減し、効率を高めることができる。さらに、U字部のような曲げ部分がある場合と比較して、減肉することもなく、信頼性を高める。さらに、腐食性のガスに対して、溶射(金属、セラミックス)並びにコーティングをガス通路材料に施した場合でも、曲げ部がないことから、耐腐食性膜とガス通路材料との密着強度を高め、耐久性を向上させることができる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、ガス通路を、対向する一対のディスプレーサピストンの間に配置し、熱媒体通路を流れるガスの流れ方向を、ディスプレーサピストンの軸に直交する方向としたものである。本実施の形態によれば、排熱ガスダクトのような煙道に施工した場合に、煙道を流れるガスの排熱を効率よく回収することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第6の実施の形態による電気回収エンジンにおいてガス通路を、複数の直管で構成し、それぞれの直管を円弧状に配置したものである。本実施の形態によれば、排熱ガスダクトのような煙道を流れるガス流に対する抵抗を小さくでき、効率よく熱回収を行うことができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、一対のスターリングエンジンを0度の位相で同期運転させるものである。本実施の形態によれば、一対のスターリングエンジンの同期運転によって低振動化を図ることができる。
本発明の第10の実施の形態は、第9の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、それぞれのパワーピストンにはそれぞれリニア発電機を取り付け、それぞれのディスプレーサピストンにはそれぞれ制御モータを取り付けたものである。本実施の形態によれば、リニア発電機を用いることで回転式発電機と比較して伝達ロスが少なく高効率な電気回収が行えるとともに、それぞれの制御モータによって同期を容易に行うことができる。
本発明の第11の実施の形態は、第9の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、一方のパワーピストン及び一方のディスプレーサピストンには一方のリニア発電機を取り付け、他方のパワーピストン及び他方のディスプレーサピストンには他方のリニア発電機を取り付けたものである。本実施の形態によれば、リニア発電機を用いることで回転式発電機と比較して伝達ロスが少なく高効率な電気回収が行えるとともに、それぞれのリニア発電機の負荷を一定に保つことで同期を容易に行うことができる。
本発明の第12の実施の形態は、第9の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、それぞれのパワーピストンにはそれぞれ回転式発電機を取り付け、それぞれのディスプレーサピストンにはそれぞれ制御モータを取り付けたものである。本実施の形態によれば、パワーピストンとディスプレーサピストンとの位相が固定されているので同期を容易に行うことができる。
本発明の第13の実施の形態は、第9の実施の形態による電気回収エンジンにおいて、一方のパワーピストン及び一方のディスプレーサピストンには一方の回転式発電機を取り付け、他方のパワーピストン及び他方のディスプレーサピストンには他方の回転式発電機を取り付けたものである。本実施の形態によれば、パワーピストンとディスプレーサピストンとの位相が固定されているので同期を容易に行うことができる。
【実施例】
【0008】
以下本発明の一実施例による電気回収エンジンについて図面とともに説明する。
図1は本実施例による電気回収エンジンの外観斜視図、図2は同電気回収エンジンの要部断面斜視図、図3は同電気回収エンジンの断面図、図4は同電気回収エンジンの吸熱用熱交換器を示す断面図、図5は図4におけるX−X線による断面図である。
図1に示すように、本実施例による電気回収エンジンの密閉容器10は、円筒形状の胴部11と、胴部11の両端に配置された容器端部12A、12Bとで構成されている。ここで容器端部12A、12Bは、胴部11よりも大きな径の円筒形状で構成されている。
胴部11の長手方向の中央部外周面には、熱媒体を導入する熱媒体導入口13と、熱媒体を導出する熱媒体導出口14とが取り付けられている。
また、胴部11の両端部外周面には、それぞれ冷却水を導入する冷却水導入口15A、15Bと、冷却水を導出する冷却水導出口16A、16Bが取り付けられている。
それぞれの容器端部12A、12Bには、容器端部12A、12B内部に配置されるリニア発電機用配線を取り出す配線接続部17A、17Bを設けている。
【0009】
次に、本実施例による電気回収エンジンの内部構成について、図2及び図3を用いて説明する。
胴部11の長手方向の中央部は端板18で区切られ(図2では端板18は省略)、胴部11内部には、この端板18を挟んで一対のシリンダ部19A、19Bが形成されている。
それぞれのシリンダ部19A、19B内には、ディスプレーサピストン20A、20Bが配置されている。
本実施例による電気回収エンジンは、一方のスターリングエンジンのディスプレーサピストン20Aと、他方のスターリングエンジンのディスプレーサピストン20Bとを対向させて配置している。
ディスプレーサピストン20A、20Bの軸方向にはパワーピストン21A、21Bが同軸上に配置されている。パワーピストン21A、21Bは容器端部12A、12B内に配置されている。
パワーピストン21A、21Bの外周には、パワーピストン21A、21Bとともに往復動作するインナーヨーク31A、31Bが固定されている。インナーヨーク31A、31Bは、円筒状に構成され、その外周には磁石32A、32Bが固定される。
インナーヨーク31A、31Bの外周部には、円筒状のアウターヨーク33A、33Bがインナーヨーク31A、31Bと所定のギャップを持って配置される。アウターヨーク33A、33Bの内周側にはコイル34A、34Bが固定されている。コイル34A、34Bと磁石32A、32Bとは対向して配置されている。磁石32A、32Bを有するインナーヨーク31A、31Bと、コイル34A、34Bを有するアウターヨーク33A、33Bによってリニア発電機30A、30Bが構成される。
胴部11内の、ディスプレーサピストン20A、20Bの外周部には、再生器41A、41B及び冷却器42A、42Bを備えている。再生器41A、41B及び冷却器42A、42Bは、リング状に構成されている。冷却器42Aには、冷却水導入口15Aと冷却水導出口16Aが接続され、冷却器42Bには、冷却水導入口15Bと冷却水導出口16Bが接続されている。
ディスプレーサピストン20Aの膨脹空間22Aは、シリンダ部19A、端板18、及びディスプレーサピストン20Aのピストンヘッドによって形成している。また、ディスプレーサピストン20Bの膨脹空間22Bは、シリンダ部19B、端板18、及びディスプレーサピストン20Bのピストンヘッドによって形成している。
なお、一対のスターリングエンジンを同期運転させる場合には、端板18を設けずに構成することもできる。この場合には、一方のディスプレーサピストン20Aの膨脹空間22Aと、他方のディスプレーサピストン20Bの膨脹空間22Bとは共通の膨張空間となる。
【0010】
熱交換器50は、胴部11の長手方向の中央部であって、一方のディスプレーサピストン20Aのピストンヘッド側の外周部と、他方のディスプレーサピストン20Bのピストンヘッド側の外周部とに、リング状に配置している。冷却器42A、42Bは、胴部11の両端に配置し、再生器41A、41Bは熱交換器50と冷却器42A、42Bとの間に配置している。
熱交換器50は、一方のディスプレーサピストン20Aの膨張空間22Aと連通する一方のガス通路51Aと、他方のディスプレーサピストン20Bの膨張空間22Bと連通する他方のガス通路51Bと、一方のガス通路51A及び他方のガス通路51Bを加熱する熱媒体通路52とを形成している。このように熱交換器50は、一方のガス通路51Aと他方のガス通路51Bとを一体に構成することで、一方のスターリングエンジンと他方のスターリングエンジンとを連結しており、ユニット化されている。
熱交換器50は、一方のディスプレーサピストン20Aのピストンヘッド側の外周部と、他方のディスプレーサピストン20Bのピストンヘッド側の外周部とに、リング状に配置し、熱媒体通路52は、対向する一対のディスプレーサピストン20A、20Bの間には配置していない。熱媒体通路52を流れる熱媒体にはオイルを用いている。また、排熱温度が高い場合は熱媒体に溶融塩を使用してもよい。
【0011】
一方のガス通路51Aは一方の再生器41Aと連通し、一方の再生器41Aは一方の冷却器42Aと連通し、一方の冷却器42Aは一方のディスプレーサピストン20Aの圧縮空間23Aと連通している。
また、他方のガス通路51Bは他方の再生器41Bと連通し、他方の再生器41Bは他方の冷却器42Bと連通し、他方の冷却器42Bは他方のディスプレーサピストン20Bの圧縮空間23Bと連通している。
ロッドの一端側は大径ロッド24A、24B、ロッドの他端側は小径ロッド25A、25Bで構成され、大径ロッド24A、24Bはディスプレーサピストン20A、20Bに固定され、小径ロッド25A、25Bは板バネ26A、26Bに連結されている。
容器端部12A、12Bは、パワーピストン21A、21B、リニア発電機30A、30Bを内部に収容する。
以上のように、一方のスターリングエンジンは、ディスプレーサピストン20A、パワーピストン21A、加熱部である熱交換器50、再生器41A、及び冷却器42Aによって構成され、他方のスターリングエンジンは、ディスプレーサピストン20B、パワーピストン21B、加熱部である熱交換器50、再生器41B、及び冷却器42Bによって構成されている。
【0012】
上記構成において、熱交換器50での加熱によって、封入されている気体が膨張してディスプレーサピストン20A、20Bを端板18から離間する方向(端部方向)へ移動させる。ディスプレーサピストン20A、20Bの端部方向への移動によって、圧縮空間23A、23Bにあるガスが圧縮されてパワーピストン21A、21Bを端部方向へ移動させる。パワーピストン21A、21Bの端部方向への移動によって、気体はディスプレーサピストン20A、20Bの膨張空間22A、22Bから、熱交換器50、再生器41A、41B、及び冷却器42A、42Bを通過してディスプレーサピストン20A、20Bとパワーピストン21A、21Bとの間の圧縮空間23A、23Bに移動する。そしてディスプレーサピストン20A、20Bの端板18に近接する方向(中心方向)への移動によって圧縮空間23A、23Bが低圧になることで、パワーピストン21A、21Bは中心方向へ移動する。パワーピストン21A、21Bの中心方向への移動によって、圧縮空間23A、23Bの気体は、冷却器42A、42B、再生器41A、41B、及び熱交換器50を通過して、膨張空間22A、22Bに移動する。
このように、熱交換器50での加熱と冷却器42A、42Bでの冷却によって、気体は膨張収縮を行いながら膨張空間22A、22Bと圧縮空間23A、23Bを往復することで、ディスプレーサピストン20A、20Bを移動させるとともに、パワーピストン21A、21Bを移動させる。そして、パワーピストン21A、21Bの移動によって発電を行うことができる。
なお、本実施例による一対のスターリングエンジンは、同期運転させることが好ましい。
【0013】
次に、本実施例による電気回収エンジンの吸熱用熱交換器について、図4及び図5を用いて説明する。
吸熱用熱交換器60は排熱ガスダクト71の煙道中に設けられる。吸熱用熱交換器60は二重管シェルで構成され、二重管シェル内には排ガスを流す複数のチューブ61が設けられている。チューブ61の外周空間62が熱媒体の通路となり、この熱媒体の通路は、導入口63と導出口64を備えている。二重管シェルの外径は排熱ガスダクト71よりも大きく、チューブ61の総断面積を排熱ガスダクト71の断面積よりも大きくすることで、吸熱用熱交換器60を通過する排ガスの流通抵抗を小さくしている。また、導入口63を排ガス流れの下流側に、導出口64を排ガス流れの上流側に配置することで、熱媒体の流れと排ガス流れが対向流となるように構成されている。
なお、導入口63は図1から図3に示す熱媒体導出口14と配管で接続され、導出口64は図1から図3に示す熱媒体導入口13と配管で接続されており、熱媒体であるオイルは、吸熱用熱交換器60と熱交換器50とを循環する。
【0014】
次に、本実施例による電気回収エンジンの他の吸熱用熱交換器について、図6及び図7を用いて説明する。
図6は同電気回収エンジンの他の吸熱用熱交換器を示す断面図、図7は図6におけるX−X線による断面図である。
吸熱用熱交換器80は排熱ガスダクト71の煙道中に設けられる。吸熱用熱交換器80は二重管シェルで構成され、二重管シェル内の内周部には排ガスの流路空間が形成され、この排ガスの流路空間にフィン81が設けられている。フィン81は、複数の平板で構成され、それぞれの平板は、二重管シェルの管軸方向を長手方向として、内管に放射状に立設されている。二重管シェル内の外周部には、螺旋状の熱媒体通路82が形成されている。排ガスの流路空間における伝熱面積が十分である場合は、フィン81を設けることなく、排ガスの流路空間を貫通穴で構成してもよい。熱媒体通路82は、導入口83と導出口84を備えている。二重管シェルの外径は排熱ガスダクト71よりも大きく、フィン81間の排ガス流路の総断面積を排熱ガスダクト71の断面積よりも大きくすることで、吸熱用熱交換器80を通過する排ガスの流通抵抗を小さくしている。また、導入口83を排ガス流れの下流側に、導出口84を排ガス流れの上流側に配置することで、熱媒体の流れと排ガス流れが対向流となるように構成されている。
なお、導入口83は図1から図3に示す熱媒体導出口14と配管で接続され、導出口84は図1から図3に示す熱媒体導入口13と配管で接続されており、熱媒体であるオイルは、吸熱用熱交換器80と熱交換器50とを循環する。
【0015】
以下本発明の他の実施例による電気回収エンジンについて図面とともに詳細に説明する。
図8は本実施例による電気回収エンジンの概念構成図、図9は同電気回収エンジンの外観要部斜視図である。
本実施例による電気回収エンジンについても、一方のスターリングエンジンのディスプレーサピストン120Aと、他方のスターリングエンジンのディスプレーサピストン120Bとを対向させて配置し、ディスプレーサピストン120A、120Bの軸方向にはパワーピストン121A、121Bが同軸上に配置されている。
ディスプレーサピストン120A、120Bは、シリンダ部119A、119B内に配置されている。
パワーピストン121A、121Bには、リニア発電機130A、130Bを取り付けている。
ディスプレーサピストン120A、120Bの外周部には、再生器141A、141B及び冷却器142A、142Bを備えている。再生器141A、141B及び冷却器142A、142Bは、リング状に構成されている。冷却器142A、142Bには、冷却水導入口115A、115Bと冷却水導出口116A、116Bが接続されている。
ディスプレーサピストン120Aの膨脹空間122Aは、シリンダ部119A、端板118A、及びディスプレーサピストン120Aのピストンヘッドによって形成している。また、ディスプレーサピストン120Bの膨脹空間122Bは、シリンダ部119B、端板118B、及びディスプレーサピストン120Bのピストンヘッドによって形成している。
【0016】
熱交換器150は、一方のディスプレーサピストン120Aの端板118Aと、他方のディスプレーサピストン120Bの端板118Bとの間に配置している。冷却器142A、142Bは、シリンダ部119A、119Bの端部に配置し、再生器141A、141Bは熱交換器150と冷却器142A、142Bとの間に配置している。
熱交換器150は、一方のディスプレーサピストン120Aの膨張空間122Aと連通する一方のガス通路151Aと、他方のディスプレーサピストン120Bの膨張空間122Bと連通する他方のガス通路151Bと、一方のガス通路151A及び他方のガス通路151Bを加熱する熱媒体通路152とを形成している。このように熱交換器150は、一方のガス通路151Aと他方のガス通路151Bとを一体に構成することで、一方のスターリングエンジンと他方のスターリングエンジンとを連結しており、ユニット化されている。なお、熱媒体通路152は、工場に設置され、又は車輌が搭載している排気ガス通路や排熱ダクトを直接利用するものであってもよく、熱媒体通路152には排気ガスが熱媒体として流れる。
熱交換器150は、ガス通路151A、151Bを、対向する一対のディスプレーサピストン120A、120Bの間に配置し、熱媒体通路152を流れるガスの流れ方向を、ディスプレーサピストン120A、120Bの軸に直交する方向としている。
本実施例では、ガス通路151A、151Bを排熱ガスダクト171内に配置している。ガス通路151A、151Bは、複数の直管で構成し、それぞれの直管を円弧状に配置している。
本実施例による熱交換器150は、一方のガス通路151Aは他方の再生器141Bと連通し、他方の再生器141Bは他方の冷却器142Bと連通し、他方の冷却器142Bは他方のディスプレーサピストン120Bの圧縮空間123Bと連通している。
また、他方のガス通路151Bは一方の再生器141Aと連通し、一方の再生器141Aは一方の冷却器142Aと連通し、一方の冷却器142Aは一方のディスプレーサピストン120Aの圧縮空間123Aと連通している。
本実施例による電気回収エンジンは、それぞれのディスプレーサピストン120A、120Bにはそれぞれ制御モータ180A、180Bを取り付け、それぞれの制御モータ180A、180Bによって、一対のスターリングエンジンを0度の位相で同期運転させる。
【0017】
上記構成において、熱交換器150での加熱によって、封入されている気体が膨張してディスプレーサピストン120A、120Bを端板118A、118Bから離間する方向(端部方向)へ移動させる。
ここで、一方のディスプレーサピストン120Aの端部方向への移動によって、圧縮空間123Aにあるガスが圧縮されてパワーピストン121Aを端部方向へ移動させる。パワーピストン121Aの端部方向への移動によって、他方のディスプレーサピストン120Bの膨張空間122Bにある気体が、熱交換器150、再生器141A、及び冷却器142Aを通過してディスプレーサピストン120Aとパワーピストン121Aとの間の圧縮空間123Aに移動する。そしてディスプレーサピストン120Aの端板118Aに近接する方向(中心方向)への移動によって圧縮空間123Aが低圧になることで、パワーピストン121Aは中心方向へ移動する。パワーピストン121Aの中心方向への移動によって、一方の圧縮空間123Aの気体は、冷却器142A、再生器141A、及び熱交換器150を通過して、他方のディスプレーサピストン120Bの膨張空間122Bに移動する。
また、他方のディスプレーサピストン120Bの端部方向への移動によって、圧縮空間123Bにあるガスが圧縮されてパワーピストン121Bを端部方向へ移動させる。パワーピストン121Bの端部方向への移動によって、一方のディスプレーサピストン120Aの膨張空間122Aにある気体は、熱交換器150、再生器141B、及び冷却器142Bを通過してディスプレーサピストン120Bとパワーピストン121Bとの間の圧縮空間123Bに移動する。そしてディスプレーサピストン120Bの中心方向への移動によって圧縮空間123Bが低圧になることで、パワーピストン121Bは中心方向へ移動する。パワーピストン121Bの中心方向への移動によって、他方の圧縮空間123Bの気体は、冷却器142B、再生器141B、及び熱交換器150を通過して、一方のディスプレーサピストン120Aの膨張空間122Aに移動する。
【0018】
このように、熱交換器50での加熱と冷却器42A、42Bでの冷却によって、気体は膨張収縮を行いながら膨張空間22A、22Bと圧縮空間23A、23Bを往復することで、ディスプレーサピストン20A、20Bを移動させるとともに、パワーピストン21A、21Bを移動させる。そして、パワーピストン21A、21Bの移動によって発電を行うことができる。
特に、本実施例では、一方のスターリングエンジンの膨張空間122Aから導出させたガスを同じスターリングエンジンの圧縮空間123Aに戻すことなく、対向する他方のスターリングエンジンの圧縮空間123Bに導き、他方のスターリングエンジンの膨張空間122Bから導出させたガスを同じスターリングエンジンの圧縮空間123Bに戻すことなく、対向する一方のスターリングエンジンの圧縮空間123Aに導くため、ガス通路151A、151BをU字状に曲げる必要が無く、流路抵抗の少ないガス通路とすることができ、効率が高まるとともに、ガス通路151A、151Bを直管で構成できるため、U字部のような曲げ部分がある場合と比較して耐久性を向上させることができる。
【0019】
以下本発明の更に他の実施例による電気回収エンジンについて図面とともに説明する。
図10から図12は、それぞれ異なる実施例による電気回収エンジンの概念構成図である。下記の説明においては、図8と同一機能を有する構成には同一符号を付して説明を省略する。
図10に示す実施例は、図8に示す実施例における制御モータ180A、180Bの代わりに、ディスプレーサピストン120A、120Bの往復運動をリニア発電機130A、130Bに取り付けたパワーピストン121A、121Bから電気的に制御するものであり、リニア発電機130A、130Bの負荷制御を行う同期制御部190を設けている。
図11に示す実施例は、図8に示す実施例におけるリニア発電機130A、130Bの代わりに、クランク機構201A、201Bを介して回転式発電機200A、200Bを設けたものである。
図12に示す実施例は、図11に示す実施例における制御モータ180A、180Bの代わりに、クランク機構201A、201Bを介してディスプレーサピストン120A、120Bを回転式発電機200A、200Bに接続し、更に、回転式発電機200A、200Bの負荷制御を行う同期制御部190を設けたものである。
図10から図12に示す実施例による電気回収エンジンは、それぞれの構成によって一対のスターリングエンジンを0度の位相で同期運転させる。
なお、図8及び図9に示した同期運転のための構成、及び図10から図12に示した同期運転のための構成は、図1から図3に示した実施例に適用することができる。
【0020】
本実施例による電気回収エンジンは、一方のディスプレーサピストン20A、120Aの膨張空間22A、122Aと連通する一方のガス通路51A、151Aと、他方のディスプレーサピストン20B、120Bの膨張空間22B、122Bと連通する他方のガス通路51B、151Bと、一方のガス通路51A、151A及び他方のガス通路51B、151Bを加熱する熱媒体通路52、152とを形成する熱交換器50、150によって、一方のスターリングエンジンと他方のスターリングエンジンとを連結してユニット化したことで、2つの別々のスターリングエンジンと比較してシンプルな構成とすることができる。また、熱交換器50、150の両側にスターリングエンジンが配置されるため、例えば、熱交換器50、150を煙道中に配置してスターリングエンジンを煙道から突出させて施工できるため、排熱ガスダクトなどの煙道への施工性が良い。
本実施例による電気回収エンジンは、熱媒体通路52に流れる熱媒体としてオイル又は溶融塩を用いたことで、特に低温排熱を利用する場合に、伝熱面積が小さくても十分な熱回収を行うことができ、熱交換器のデッドスペースを少なくすることができる。
本実施例による電気回収エンジンは、熱交換器50を、一方のディスプレーサピストン20Aのピストンヘッド側の外周部と、他方のディスプレーサピストン20Bのピストンヘッド側の外周部とに、リング状に配置したことで、ディスプレーサピストン20A、20Bの膨張空間23A、23Bの外周を加熱できるので熱効率を高めることができる。
本実施例による電気回収エンジンは、熱媒体通路52を、対向する一対のディスプレーサピストン20A、20Bの間には配置せず、熱媒体通路52に熱媒体を導入する導入口13と、熱媒体通路52から熱媒体を導出する導出口14とを熱交換器50の外周面に配置したことで、ディスプレーサピストン20A、20Bの軸方向の長さを短くできる。
本実施例による電気回収エンジンは、排熱ガスダクト71に設けた吸熱用熱交換器60、80と、吸熱用熱交換器60、80と熱交換器50とを熱媒体が循環する配管とを設けたことで、高い熱効率で排熱を利用することができるとともに、スターリングエンジンを排熱ガスダクトの配置に影響されずに施工できるために、施工性が良い。
本実施例による電気回収エンジンは、一方のガス通路151Aを、他方のスターリングエンジンの再生器141Bと連通させ、他方のガス通路151Bを、一方のスターリングエンジンの再生器141Aと連通させたことで、ガス通路151A、151BをU字状に曲げる必要が無く、流路抵抗の少ないガス通路151A、151Bとすることができ、効率が高まるとともに、U字部のような曲げ部分がある場合と比較して耐久性を向上させることができる。
本実施例による電気回収エンジンは、ガス通路150を、対向する一対のディスプレーサピストン120A、120Bの間に配置し、熱媒体通路152を流れるガスの流れ方向を、ディスプレーサピストン120A、120Bの軸に直交する方向としたことで、排熱ガスダクト171のような煙道に施工した場合に、煙道を流れるガスの排熱を効率よく回収することができる。
本実施例による電気回収エンジンは、ガス通路151A、151Bを複数の直管で構成し、それぞれの直管をリング状に配置したことで、排熱ガスダクト171のような煙道を流れるガス流に対する抵抗を小さくでき、効率よく熱回収を行うことができる。
本実施例による電気回収エンジンは、一対のスターリングエンジンを0度の位相で同期運転させることで、一対のスターリングエンジンの同期運転によって低振動化を図ることができる。
本実施例による電気回収エンジンは、それぞれのパワーピストン120A、120Bにはそれぞれリニア発電機130A、130Bを取り付け、それぞれのディスプレーサピストン120A、120Bにはそれぞれ制御モータ180A、180Bを取り付けたことで、回転式発電機200A、200Bと比較して伝達ロスが少なく高効率な電気回収が行えるとともに、それぞれの制御モータによって同期を容易に行うことができる。
本実施による電気回収エンジンは、一方のパワーピストン121A及び一方のディスプレーサピストン120Aには一方のリニア発電機130Aを取り付け、他方のパワーピストン121B及び他方のディスプレーサピストン120Bには他方のリニア発電機130Bを取り付けたことで、リニア発電機130A、130Bを用いることで回転式発電機200A、200Bと比較して伝達ロスが少なく高効率な電気回収が行えるとともに、それぞれのリニア発電機の負荷を一定に保つことで同期を容易に行うことができる。
本実施による電気回収エンジンは、それぞれのパワーピストン121A、121Bにはそれぞれ回転式発電機200A、200Bを取り付け、それぞれのディスプレーサピストン120A、120Bにはそれぞれ制御モータ180A、180Bを取り付けたことで、パワーピストン121A、121Bとディスプレーサピストン120A、120Bとの位相が固定されているので同期を容易に行うことができる。
本実施例による電気回収エンジンは、一方のパワーピストン121A及び一方のディスプレーサピストン120Aには一方の回転式発電機200Aを取り付け、他方のパワーピストン121B及び他方のディスプレーサピストン120Bには他方の回転式発電機200Bを取り付けたものである。本実施の形態によれば、パワーピストン121A、121Bとディスプレーサピストン120A、120Bとの位相が固定されているので同期を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の電気回収エンジンは、工場排熱のみならず、自動車や船舶等のエンジンの排熱にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例による電気回収エンジンの外観斜視図
【図2】同電気回収エンジンの要部断面斜視図
【図3】同電気回収エンジンの断面図
【図4】同電気回収エンジンの吸熱用熱交換器を示す断面図
【図5】図4におけるX−X線による断面図
【図6】本実施例による電気回収エンジンの他の吸熱用熱交換器を示す断面図
【図7】図6におけるX−X線による断面図
【図8】本発明の他の実施例による電気回収エンジンの概念構成図
【図9】同電気回収エンジンの外観要部斜視図
【図10】本発明の更に他の実施例による電気回収エンジンの概念構成図
【図11】本発明の更に他の実施例による電気回収エンジンの概念構成図
【図12】本発明の更に他の実施例による電気回収エンジンの概念構成図
【符号の説明】
【0023】
20A、20B ディスプレーサピストン
21A、21B パワーピストン
22A、22B 膨脹空間
30A、30B リニア発電機
41A、41B 再生器
42A、42B 冷却器
50 熱交換器
120A、120B ディスプレーサピストン
121A、121B パワーピストン
122A、122B 膨脹空間
130A、130B リニア発電機
141A、141B 再生器
142A、142B 冷却器
150 熱交換器
180A、180B 制御モータ
190 同期制御部
200A、200B 回転式発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレーサピストンとパワーピストンとを同軸上に配置した一対のスターリングエンジンを備え、前記スターリングエンジンはそれぞれが再生器と冷却器とを有し、
一方の前記スターリングエンジンの前記ディスプレーサピストンと、他方の前記スターリングエンジンの前記ディスプレーサピストンとを対向させて配置した電気回収エンジンであって、
一方の前記ディスプレーサピストンの膨張空間と連通する一方のガス通路と、他方の前記ディスプレーサピストンの膨張空間と連通する他方のガス通路と、一方の前記ガス通路及び他方の前記ガス通路を加熱する熱媒体通路とを形成する熱交換器によって、一方の前記スターリングエンジンと他方の前記スターリングエンジンとを連結してユニット化したことを特徴とする電気回収エンジン。
【請求項2】
前記熱媒体通路を流れる熱媒体としてオイル又は溶融塩を用いたことを特徴とする請求項1に記載の電気回収エンジン。
【請求項3】
前記熱交換器を、一方の前記ディスプレーサピストンのピストンヘッド側の外周部と、他方の前記ディスプレーサピストンのピストンヘッド側の外周部とに、リング状に配置したことを特徴とする請求項2に記載の電気回収エンジン。
【請求項4】
前記熱媒体通路に前記熱媒体を導入する導入口と、前記熱媒体通路から前記熱媒体を導出する導出口とを前記熱交換器の外周面に配置し、前記熱媒体通路を、対向する一対の前記ディスプレーサピストンの間には配置しないことを特徴とする請求項3に記載の電気回収エンジン。
【請求項5】
排熱ガスダクトに設けた吸熱用熱交換器と、前記吸熱用熱交換器と前記熱交換器とを前記熱媒体が循環する配管とを設けたことを特徴とする請求項2に記載の電気回収エンジン。
【請求項6】
一方の前記ガス通路を、他方の前記スターリングエンジンの前記再生器と連通させ、他方の前記ガス通路を、一方の前記スターリングエンジンの前記再生器と連通させたことを特徴とする請求項1に記載の電気回収エンジン。
【請求項7】
前記ガス通路を、対向する一対の前記ディスプレーサピストンの間に配置し、前記熱媒体通路を流れるガスの流れ方向を、前記ディスプレーサピストンの軸に直交する方向としたことを特徴とする請求項6に記載の電気回収エンジン。
【請求項8】
前記ガス通路を、複数の直管で構成し、それぞれの前記直管を円弧状に配置したことを特徴とする請求項6に記載の電気回収エンジン。
【請求項9】
一対の前記スターリングエンジンを0度の位相で同期運転させることを特徴とする請求項1に記載の電気回収エンジン。
【請求項10】
それぞれの前記パワーピストンにはそれぞれリニア発電機を取り付け、それぞれの前記ディスプレーサピストンにはそれぞれ制御モータを取り付けたことを特徴とする請求項9に記載の電気回収エンジン。
【請求項11】
一方の前記パワーピストン及び一方の前記ディスプレーサピストンには一方のリニア発電機を取り付け、他方の前記パワーピストン及び他方の前記ディスプレーサピストンには他方のリニア発電機を取り付けたことを特徴とする請求項9に記載の電気回収エンジン。
【請求項12】
それぞれの前記パワーピストンにはそれぞれ回転式発電機を取り付け、それぞれの前記ディスプレーサピストンにはそれぞれ制御モータを取り付けたことを特徴とする請求項9に記載の電気回収エンジン。
【請求項13】
一方の前記パワーピストン及び一方の前記ディスプレーサピストンには一方の回転式発電機を取り付け、他方の前記パワーピストン及び他方の前記ディスプレーサピストンには他方の回転式発電機を取り付けたことを特徴とする請求項9に記載の電気回収エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−281294(P2010−281294A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136783(P2009−136783)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(エネルギー使用合理化技術戦略的開発、エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発、セラミックス製熱交換器と新形式リニア発電機を用いた次世代エンジンの開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)」
【出願人】(506065725)株式会社eスター (17)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)