説明

電気変速機を有する動力分岐付き無段変速トランスミッション

本発明は、構成要素が熱エンジン(130)を車両の駆動車輪(133)へ並列に連結する2つの動力経路の間に配分され、上記構成要素は少なくとも3つのエピサイクロイド歯車装置(137、138、141、142)と、2つの電気機械(131、132)と、少なくとも1つの減速装置(136、139、140、143)とを含み、制御手段がトランスミッションの動作モードに応じて2つの動力経路の間に動力を異なって配分する、少なくとも2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッションに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エンジンの任意の回転数に対して、後進のギヤ比から、車両の移動速度がゼロである「ニュートラル」と呼ばれる特有の位置を通って、前進のギヤ比まで、連続したギヤ比の変化を得ること可能にする、動力分岐付きトランスミッションに関する。
より正確には、本発明は、電気変速機及び複合歯車列と、動力をトランスミッションの動作モードに応じてトランスミッションの入口と出口の間に異なって配分する制御手段とに基づく、動力分岐付き無段変速トランスミッションを提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
動力分岐付きトランスミッションは、既知の動力分岐の3動作原理またはモードに基礎を置く。「入口結合」と呼ばれる第1のモードによれば、トランスミッションは、装置の入口で動力を分岐する一対の動力分岐ピニオンと、装置の出口で動力を結合するエピサイクロイド歯車装置「アセンブラー」とを有する。制御要素は変速機である。
「出口結合」と呼ばれる動力分岐付きトランスミッションにおいては、例えば装置の入口で動力を分岐するプラネタリー歯車装置と、装置の出口で動力を結合させる一対のピニオンとを有し、この場合も制御要素は変速機である。
最後に、「2点アダプテーション」と呼ばれる動力分岐付きトランスミッションにおいては、動力分岐の第1のエピサイクロイド歯車装置はトランスミッションの入口に配置することができるが、動力結合の第2のエピサイクロイド歯車装置はトランスミッションの出口に配置され、この場合も制御要素は変速機である。
従来の無段変速トランスミッション(Infinitely Variable Trabsmission、I.V.T)は、これらの3動作原理の1つまたは2つを用いる。
【0003】
米国特許公報US−5.558.589及びUS−5.935.035には、少なくとも2つのプラネタリー歯車装置と、2つのモード変更クラッチと、電気変速機とを組み合わせた、第1の動作モードとして出口結合の動力分岐原理を使用する、無段変速トランスミッションが記載されている。
これらの刊行物によれば、モード変更手段は、エピサイクロイド歯車装置の外に配置される。
2つの動作モードを設けることの利点は、トランスミッションのギヤ比の範囲の増大と、電気機械を基にして構成される電気変速機の寸法の減少の可能性とに存する。
しかしながら、これらの従来の2−モードのアーキテクチャにおいては、モード変更は、トランスミッションの出口に設けられた多板クラッチによって実行され、このため、ユーザによって不快に感じられるトルクの断続を伴う。
これらの刊行物に記載されたアーキテクチャの他の1つの問題は、特に少なくとも2つのクラッチと1つのブレーキの存在に関連する複雑さにある。
【0004】
本出願人の名による先行フランス国特許出願FR 01 04690には、動力分岐付きで、2動作モードの、同じタイプの通常のトランスミッションよりも簡単なアーキテクチャで、寸法が小さい電気機械を使用し、トルクの断続を伴わない、無段変速トランスミッションが記載されている。このフランス国特許出願FR 01 04690においては、モード変更は、2つの歯車装置の間に位置づけられたトランスミッションの内部の機械的な連結に干渉して実行される。このため、2つのエピサイクロイド歯車装置の間に2つの減速装置を設け、これらの減速装置は、第1の動作モードと第2の動作モードにおいてそれぞれ用いられる。これらの2つの減速装置は、同じ動力径路上の2つの歯車装置の間に並列に設けられる。
【0005】
従来技術のこれらの教示は、無段変速トランスミッション(I.V.T)は、車両の動力装置の中に容易に配置されるようにコンパクトでなければならないという点において問題がある。
さらに、このような無段変速トランスミッションは、大トルク、高出力を発生する熱エンジンに使用することは容易でなく、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのような、エンジンのタイプに適応させることも容易ではない。
次に、特にモード変更装置が多板クラッチの形で作られる場合には、ギヤボックスの修理及び整備の際に大きな問題を提起する、作動用の油圧回路の設計が難しいことが従来技術から分かる。
モード変更装置が機械式のギヤボックスの噛み合いクラッチを有する場合には、ギヤボックスの内部でモード変更装置を変更するための問題がある。
最後に、このようなギヤボックスのガソリン熱エンジンへの適応は、極めて高回転速度に関連する問題を提起し、幾つかの回転部材に機械的な強い応力が加えられる。
実際、ガソリンエンジンの回転数はディーゼルエンジンよりも高く、ギヤボックスの幾つかの部材はきわめて高速で回転する。
特に、詳細な説明の後で、速度の一部に高められた回転が加えられることのよる問題を理解することができるであろう。
【0006】
【特許文献1】米国特許公報US−5.558.589
【特許文献2】米国特許公報US−5.935.035
【特許文献3】フランス国特許出願FR 01 04690
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来技術における問題点を解決することを目的とする。
特に本発明は、電気変速機のための配置を容易にすることを可能にする手段を提供する。
モード変更装置は、油圧アクチュエータまたは電気機械アクチュエータを用いてより容易に制御可能であるように、ギヤボックスの周囲に配置することができる。
最後に、検討されたトランスミッションの構造は、ギヤボックスの回転速度を減少させることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明は、2接続の複合歯車列によって接続された、2つのエピサイクロイド歯車装置から構成された、主動力経路を有する動力分岐付き無段変速トランスミッションに関する。
【0009】
この構造によって、従来技術の2つの減速装置と単体歯車列を、2つの減速装置と複合歯車列からなるセットによって置き換えることも可能になった。
【0010】
また本発明は、構成要素が、熱エンジンを車両の駆動車輪へ並列に連結する2つの動力経路の間に配分され、上記構成要素は、2つのエピサイクロイド歯車装置と、2つの電気機械と、減速装置とを含み、制御手段が、トランスミッションの動作モードに応じて、2つの動力経路の間に動力を異なって配分する、2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッションに関する。上記動力分岐付き無段変速トランスミッションは、上記2つの動力経路の1つの上の、2つのエピサイクロイド歯車装置の1つと直列な、第3のエピサイクロイド歯車装置を有し、上記第3のエピサイクロイド歯車装置は、第1の動作モードにおいて、上記第3のエピサイクロイド歯車装置の全ての要素が同じ回転速度で回転するように、上記制御手段と協同する。
【0011】
また本発明は、動力分岐の主経路に沿って上記熱エンジンを車両の駆動車輪へ接続することを可能にする第1の複合歯車列と、動力の分岐を可能にする単体歯車列と、無段変速トランスミッションの少なくとも2つの動作モードの間のモード変更装置を実現するための第2の複合歯車列を含んでなる、無段変速トランスミッションを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の説明と添付図面によってよりよく理解されるであろう。これらの図面において:
図1、図2は、本発明が基礎を置く従来技術を示す図であり;
図3、図4は、それぞれ本発明の無段変速トランスミッションの原理図と運動学的な図であり;
図5、図6は、それぞれ本発明の1実施の形態の原理図と運動学的な図であり;
図7は、本発明の他の1つの実施の形態の原理図であり;
図8は、図7に示された本発明の他の1つの実施の形態の運動学的な図である。
【0013】
図1は、フランス国特許出願FR 01 04690の無段変速トランスミッションの原理図を示す。
図1のトランスミッションは、2つのエピサイクロイド歯車装置5、6と、7つの減速装置と、噛み合いクラッチまたは多板クラッチである2つのモード変更装置8、9と、一緒に変速機を構成する電気機械2、4とを含んで構成されている。
このトランスミッションには、入力と出力の4つの接続が設けられている。これらの接続は、それぞれ、熱エンジン1と、駆動車輪3と、2つの電気機械2、4とへ接続される。
熱エンジン1は、1つの減速装置1’へ接続される。駆動車輪3は、2つの減速装置3’へ接続される。変速機の第1の電気機械2は1つの減速装置7へ接続され、第2の電気機械4は1つの減速装置4’と2つのモード変更装置8、9へ接続される。
3つの減速装置が第1のエピサイクロイド歯車装置5へ接続される。4つの減速装置が第2のエピサイクロイド歯車装置6へ接続される。1つの減速装置8’がモード変更装置8へ、1つの減速装置9’がモード変更装置9へ接続される。
従って、図1に示されたトランスミッションは、7つの減速装置を有し、そのうちの5つは2つのエピサイクロイド歯車装置の間に配置され、2つはエピサイクロイド歯車装置の外部に配置される。
熱エンジン1は、減速装置1’を介してエピサイクロイド歯車装置5、6のそれぞれへ接続される。駆動車輪3は、減速装置3’を介してエピサイクロイド歯車装置5へ接続される。
【0014】
このトランスミッションには、2点アダプテーションの2つのモードが設けられている。第1のモードにおいては、一方で2つの減速装置へ、他方で電気機械4へ接続された第1のモード変更装置8は開放される。従って、この第1の分岐はフリーであるが、第1のモード変更装置8と同様に2つの減速装置と電気機械4へ接続された第2のモード変更装置9からなる第2の分岐は閉じられる。
【0015】
図2は、図1の原理図を実際的に機械的に実現する形態を示す。
図2において、熱エンジン100は、中心軸101に連結される。中心軸101は、ピニオンとエピサイクロイド歯車装置が図式的に示されているギヤボックスの機構の全体を貫通する。電気変速機は、本質的に第1の電気機械102と第2の電気機械103からなる。
電気機械102、103は、モータとしても発電機としても動作することができ、望ましくは、バッテリーと大容量のキャパシタの少なくとも一方のような、電気エネルギー蓄積部品へ接続される。
最後に、ギヤボックスは、差動機105を介して、車両の駆動車輪104へ連結される。
【0016】
この発明のギヤボックスまたはトランスミッションは、第1のエピサイクロイド歯車装置111と第2のエピサイクロイド歯車装置116を本質的に有している。
【0017】
またこの発明のギヤボックスまたはトランスミッションは、モード変更装置も有している。
衛星歯車ゲート112が、適当な軸受けによって、中心軸101の周りに回転自由に装着されている。衛星歯車ゲート112の衛星歯車は、一方では、中心軸101と連動するプラネタリー歯車114と、他方では、中心軸101に設けられた軸受けの周りに自由に回転するクラウン歯車113と係合するように設けられる。
第1のエピサイクロイド歯車装置111の衛星歯車ゲート112は、電気変速機の第1の電気機械102と連動するピニオン109に連結されたチェーン110を介して外側の歯によって駆動される。
第1のエピサイクロイド歯車装置111のクラウン歯車113は、外側の歯122を有する。外側の歯122は、駆動車輪104へ接続される差動機105を駆動するピニオン121に係合される。
外側の歯122とピニオン121との係合によって、減速装置3’が実現される。
【0018】
第2のエピサイクロイド歯車装置116は、クラウン歯車117を有する。クラウン歯車117の第1の歯は、モード変更装置106によって駆動されるピニオン108と、チェーン115を介して連動させられる。
第2のエピサイクロイド歯車装置116のプラネタリー歯車119は、外側の歯と内側の歯を有する。
プラネタリー歯車119の内側の歯は、衛星歯車ゲート118の衛星歯車に係合され、プラネタリー歯車119の外側の歯は、無段変速トランスミッションの電気変速機の第2の電気機械103を駆動するピニオン120に係合される。
【0019】
クラウン歯車117は、外側の歯も有する。該外側の歯は、モード変更装置106によって制御されるもう1つのピニオン107に係合され、その結果、第1の電気機械102の出力軸が、ピニオン107またはピニオン108に選択的の係合されるようになる。モード変更装置106は:
−適当な駆動装置によって作動される噛み合いクラッチによって;
−または、適当なアクチュエータによって作動される2つのクラッチによって;
作成される。
このモード変更は、モード変更装置がピニオン107またはピニオン108を作動することに応じて、2つの異なる減速比K5とK6を導入し、2−モードの無段変速トランスミッションを実現するための2つの異なる動力経路を実現させることを可能にする。
【0020】
図3に、本発明の原理図を示す。
本発明の無段変速トランスミッションは、第1の動力経路と、第2の動力経路を有する。
【0021】
このような構造を実現するために、熱エンジン130は、減速装置136を介して、それぞれ本来の意味におけるギヤボックス134の第1のエピサイクロイド歯車装置137と第2のエピサイクロイド歯車装置138の、クラウン歯車C2と衛星歯車ゲートpsへ接続される。
【0022】
車両の駆動車輪133は、減速比Kの減速装置139を介して、ギヤボックス134へ接続される。減速装置139の1つの入口は、それぞれ第1のエピサイクロイド歯車装置137と第2のエピサイクロイド歯車装置138の、衛星歯車ゲートps2とクラウン歯車C1とへ接続される。
【0023】
第1のエピサイクロイド歯車装置137と第2のエピサイクロイド歯車装置138の全体が、合成エピサイクロイド歯車装置を構成する。
このように形成された、熱エンジン130を車両の駆動車輪133へ接続する動力経路が、主動力経路を構成する。
【0024】
上述したような2動作モードの間で選択されたモードにおいて、トランスミッションのギヤ比の連続した変化を実現するために、本発明の無段変速トランスミッションは、第1の電気機械131と第2の電気機械132からなる電気変速機を有する。
上述したように、電気機械は、電気エネルギー蓄積部品(図示しない)によって補完される。この電気エネルギー蓄積部品に、電気的及び機械的に可逆性の2つの電気機械131、132が接続される。
【0025】
第3のエピサイクロイド歯車装置141は、プラネタリー歯車pを有する。該プラネタリー歯車pは、第3のエピサイクロイド歯車装置141のプラネタリー歯車pと第4のエピサイクロイド歯車装置142のクラウン歯車Cが、ブレーキ144’を介して枠組みまたはその他の固定点145へ接続されるように、第4のエピサイクロイド歯車装置142のクラウン歯車Cへ連結される。
【0026】
第3のエピサイクロイド歯車装置141の衛星歯車ゲート自身は、ブレーキ144を介してこのような固定点145へ連結される。
【0027】
第4のエピサイクロイド歯車装置142は、プラネタリー歯車pを有する。該プラネタリー歯車pは、減速比がKe2の減速装置143を介して、本発明のトランスミッションの電気変速機の第2の電気機械132へ連結される。
【0028】
本発明の無段変速トランスミッションを制御するために、熱エンジンと、電気機械131、132と、本来の意味におけるギヤボックス134は、2−モード無段変速トランスミッションのコントローラ135を介して制御される。
コントローラ135は、所定の制約に応じる、動力装置の動作点のコントローラ146を有する。これらの制約は、特に車両の環境の状態、特に車両の速度と、先行して制御された動作点、及び、アクセルペダルの踏み込み角度のような運転者の制御、あるいは更に、例えば車両の速度を調整するオートマトンの制御に依存する。
【0029】
熱エンジン130の動作点のコントローラ147は、動力装置の動作点のコントローラ146から動作点の指令を受け、熱エンジン130の動作点を決定するアクチュエータに適した制御信号を作る。このようなアクチュエータは、1実施の形態においては、キャブレターのチョーク弁によって実現される。
【0030】
第1の電気機械131と第2の電気機械132の動作のコントローラ148は、各電気機械に対して、モータまたは発電機としての動作モードを決めることを可能にする。このコントローラは、各電気機械に対して決められた動作モードに応じて、回転速度とトルクの少なくとも一方、あるいは更に、誘導電圧と誘導電流の少なくとも一方を決める。望ましい1実施の形態においては、2つの可逆性の電気機械は、電気エネルギーの蓄積を管理する装置と協同する電気エネルギー蓄積器によって電気的に負荷をかけられる。コントローラ148は、コントローラ135から動作点の指令を受け、適当な電気機械の操作回路の制御信号を作る。このような操作回路は、モータの誘導電力の調整、あるいは更に、発電機の動作モードにおいて発生される電気エネルギーを方向付けることを可能にする。
【0031】
トランスミッションのモード変更のコントローラ149は、上述したように、コントローラ135の制御の下に、無段変速トランスミッションの少なくとも2つのモードの中から1つのモードが選ばれるように、第1のブレーキ144と第2のブレーキ144’の少なくとも一方の開または閉状態を決める。
【0032】
図4は、図3のギヤボックス134の原理図の、機械的な実施の形態を示す。この図は、回転軸156に関して対称な図のほぼ半分である。
【0033】
熱エンジン150は、ピニオン154へ接続され、歯車155によって、図3の減速装置136に類似の減速装置が作られる。
歯車155は、ギヤボックスの回転軸156の周りに回転自由に装着された軸受けに取り付けられる。
歯車155は、第2のエピサイクロイド歯車装置の衛星歯車ゲート159(図3のPS1)に連結される。第2のエピサイクロイド歯車装置は、このようにして、本発明の主動力経路を構成する歯車列の第1の歯車列を構成する。
第2のエピサイクロイド歯車装置は、プラネタリー歯車174(図3のP1)と、クラウン歯車161(図3のC1)を有する。
図3の第1のエピサイクロイド歯車装置137は、プラネタリー歯車162と(図3のP2)、衛星歯車ゲート(図3のPS2)と、クラウン歯車175(図3のC2)を有する。
第2のエピサイクロイド歯車装置138の衛星歯車ゲート159は、第1のエピサイクロイド歯車装置137のクラウン歯車175に連結される。
第2のエピサイクロイド歯車装置138のクラウン歯車161は、衛星歯車ゲート160に連結される。
【0034】
また、ギヤボックスの中心の回転軸156の周りに同軸に設けられるコンパクトに複合歯車列を作る。
図4には、説明を簡明にするために、この図式的な図の上部のみが示されている。
【0035】
車両の駆動車輪153は、軸から、ピニオン158を介して、第2のエピサイクロイド歯車装置138のクラウン歯車161に連結された、歯車157へ連結される。
歯車157は、ギヤボックスの出力ピニオンとして表示されている。
主動力経路は、このようにして、上記の組み立てられた歯車列によって、駆動車輪153を熱エンジン150へ連結することを可能にする。
【0036】
次に、第3のエピサイクロイド歯車装置141と第4のエピサイクロイド歯車装置142が図示されている。第3のエピサイクロイド歯車装置141と第4のエピサイクロイド歯車装置142は、第2の動力経路を作り、その変速機、モード変更装置、主動力経路への連結を可能にする。
本発明のギヤボックスの第3のエピサイクロイド歯車装置141は、プラネタリー歯車176(図3のPC)とクラウン歯車177(図3のCc)を有する。
第3のエピサイクロイド歯車装置141の衛星歯車ゲート168は、図3のブレーキ144に類似のブレーキ169へ連結される。
第4のエピサイクロイド歯車装置142には、ここでは衛星歯車ゲート163が設けられ、衛星歯車ゲート163は、プラネタリー歯車178をクラウン歯車179へ接続する。
【0037】
動力の分岐とモード変更装置による操作を実現するために、第3のエピサイクロイド歯車装置141のプラネタリー歯車176は、第4のエピサイクロイド歯車装置142のクラウン歯車179へ連結される。
同様に、第3のエピサイクロイド歯車装置141のクラウン歯車177は、第4のエピサイクロイド歯車装置のプラネタリー歯車178へ連結される。
このようにして、第3のエピサイクロイド歯車装置141のプラネタリー歯車176と、第4のエピサイクロイド歯車装置142のクラウン歯車179は、図3のブレーキ144’に類似のブレーキ170の第1のライニングに連結され、ブレーキ170のもう1つのライニングは、ギヤボックスのブレーキの固定点であるカバーに連結される。ブレーキのアクチュエータ(図示しない)は、トランスミッションの動作モードのコントローラ(135、149)の制御の下に、2つのライニングを接近または離隔させることによって、ブレーキを作動または不作動にさせることを可能にする。第4のエピサイクロイド歯車装置のクラウン歯車179(c、142)へ連結された,第3のエピサイクロイド歯車装置の衛星歯車ゲート168(ps、141)は、ブレーキ169の第1のライニングに連結される。ブレーキ169のもう1つのライニングは、ギヤボックスのブレーキの固定点であるカバーに連結される。衛星歯車ゲート168のブレーキ169に結合されたブレーキのアクチュエータ(図示しない)は、トランスミッションの動作モードのコントローラ(135、149)の制御の下に、2つのライニングを接近または離隔させることによって、ブレーキを作動または不作動にさせることを可能にする。
【0038】
ギヤボックスの回転軸156の、熱エンジン150と反対側の端部には、ピニオン171が設けられている。ピニオン171は、チェーン172とピニオン173を介して第2の電気機械152へ接続される。
ピニオン173は、第2の電気機械152の回転軸を駆動する。
【0039】
同様に、第1のエピサイクロイド歯車装置137のプラネタリー歯車162(図3)は、外側の歯165を有する。外側の歯165は、本発明の無段変速トランスミッションの電気変速機の第1の電気機械151の回転軸に連結されたピニオン167へ、チェーン166を介して接続される。
【0040】
このようにして、外側に第1、第2の電気機械を容易に付加することができ、モード変更装置が2つのブレーキ169、170によって本質的に構成される、ギヤボックスを機械的に作成した。
電気変速機の2つの電気機械151、152と、モード変更装置の2つのブレーキ169、170は、一体化することができる。
【0041】
他方では、大きな回転速度を有する要素は、大きな減速比を有して配置され、このことは、ギヤボックスに対する最大許容値を低下させることを可能にする。
【0042】
図5において、熱エンジン41は、熱エンジン41がプラネタリー歯車(入口にpの符号)を介して接続された第1のエピサイクロイド歯車装置45からなる、第1の動力経路から、機械的な動力を発生することができる。
第1のエピサイクロイド歯車装置の衛星歯車ゲートpsは、回転速度に減速比Kを適用する減速装置53を介して車両の駆動車輪43へ接続される。
熱エンジン41は、特に車両の駆動車輪43への他に、第1及び第2電気機械42、43へも、出力が第2のエピサイクロイド歯車装置46の衛星歯車ゲートpsへ接続された、減速比がKの減速装置51を有する、第2の動力経路によって、機械的な動力を伝達することができる。
第2のエピサイクロイド歯車装置46のプラネタリー歯車pは、第2の電気機械42のローターへ接続される。
【0043】
本発明によれば、この第2の動力経路に、第2のエピサイクロイド歯車装置46のクラウン歯車cへ接続される、第3のエピサイクロイド歯車装置47のクラウン歯車cを介して、第3のエピサイクロイド歯車装置47が第2のエピサイクロイド歯車装置46と直列に挿入される。
【0044】
2つの動力経路を再編成するように、第1のエピサイクロイド歯車装置45のクラウン歯車cと、第3のエピサイクロイド歯車装置47のプラネタリー歯車pが結合され、さらに減速比がKの減速装置52へ接続される。減速装置52は、もう1つの電気機械44へ接続される。
【0045】
本発明によれば、モード変更装置は、本質的に、ブレーキ48とクラッチ49を有する。ブレーキ48は、第3のエピサイクロイド歯車装置47の衛星歯車ゲートpsと無段変速トランスミッションのカバー50との間に配置され、クラッチ49は、第3のエピサイクロイド歯車装置47の衛星歯車ゲートpsと、第1のエピサイクロイド歯車装置45のクラウン歯車cと第3のエピサイクロイド歯車装置47のプラネタリー歯車pの共通点との間に配置される。
【0046】
このアーキテクチャにおいては、本発明の無段変速トランスミッションは、2つの動作モード:
−ブレーキが閉ざされているときに実現される第1のモード、
−クラッチが閉ざされているときに実現される第2のモード、
を有する。
【0047】
本発明の機能図によって、無段変速トランスミッションの、同じ出力で異なる最高回転数を有する異なるエンジンへの適応は、適当な減速比がKを選択することのみによって、減速装置51を適応させることのみによって実行される。
【0048】
クラッチ49が閉じられたときには、第3のエピサイクロイド歯車装置47のプラネタリー歯車pと衛星歯車ゲートpsは一括して結合され、第3のエピサイクロイド歯車装置47は1つのブロックとして回転する。プラネタリー歯車pと、クラウン歯車cと、衛星歯車ゲートpsを有する第3のエピサイクロイド歯車装置47の全ての要素は同じ速度で回転する。従って、第3のエピサイクロイド歯車装置47は、減速比を導入することはない。
ブレーキ48が締め付けられたときには、ブレーキ48が作用する第3のエピサイクロイド歯車装置47の要素、すなわち衛星歯車ゲートは固定され、第3のエピサイクロイド歯車装置47は、固定点であるカバー50に支持され、減速比を導入する。
また、この配置は、モード変更の際に、ブレーキ48とクラッチ49を一時的に閉じることを可能にする。
このようにして、トルクの通過を中断することのないモード変更装置を作ることができる。
【0049】
ブレーキ48が締め付けられたときには、第3のエピサイクロイド歯車装置47は、自身の比率、すなわち、クラウン歯車cの歯の数のプラネタリー歯車pの歯の数に対する比に等しい減速比をもたらす。
【0050】
クラッチ49が閉じられる第2のモードにおいては、第3のエピサイクロイド歯車装置47は、減速をもたらさない。
【0051】
本発明の無段変速トランスミッションは、その動作を制御するコントローラ80を有する。コントローラ80は、それを構成する複数のコントローラまたは制御回路とバスBで接続されている。
【0052】
コントローラ80は、所定の制約に応じる、動力装置の動作点のコントローラ81を有する。これらの制約は、特に車両の環境の状態、特に車両の速度と、先行して制御された動作点、及び、アクセルペダルの踏み込み角度のような運転者の制御、あるいは更に、例えば車両の速度を調整するオートマトンの制御に依存する。
【0053】
熱エンジン41の動作点のコントローラ82は、コントローラ81から動作点の指令を受け、熱エンジン41の動作点を決定するアクチュエータに適した制御信号を作る。このようなアクチュエータは、1実施の形態においては、キャブレターのチョーク弁によって実現される。
【0054】
第1の電気機械44と第2の電気機械42の動作のコントローラ83は、各電気機械に対して、モータまたは発電機としての動作モードを決めることを可能にする。このコントローラは、各電気機械に対して決められた動作モードに応じて、回転速度とトルクの少なくとも一方、あるいは更に、誘導電圧と誘導電流の少なくとも一方を決める。望ましい1実施の形態においては、2つの可逆性の電気機械は、電気エネルギーの蓄積を管理する装置と協同する電気エネルギー蓄積器によって電気的に負荷をかけられる。コントローラ83は、コントローラ81から動作点の指令を受け、適当な電気機械の操作回路の制御信号を作る。このような操作回路は、モータの誘導電力の調整、あるいは更に、発電機の動作モードにおいて発生される電気エネルギーを方向付けることを可能にする。
【0055】
トランスミッションのモード変更のコントローラ84は、上述したように、コントローラ81の制御の下に、無段変速トランスミッションの少なくとも2つのモードの中から1つのモードが選ばれるように、クラッチ49とブレーキ48の少なくとも一方の開または閉状態を決める。
【0056】
図6は、図5に示した本発明の実施の形態の運動学的な図を示す。
図5におけるものと同じ要素には同じ参照符号を付けた。
【0057】
2つの電気機械42、44は、熱エンジン41と同一の線上には配置されていない。これらは、無段変速トランスミッションIVTと、無段変速トランスミッションIVTを有する動力装置と、車両のエンジンを同時に取り込む収容計画に応じて決定される、正面図上における角度方向のずれを有して、エンジンの軸に沿って配置することができる。
【0058】
また、従来技術のアーキテクチャの第1のエピサイクロイド歯車装置45と第2のエピサイクロイド歯車装置46との間に、無段変速トランスミッションを特に延長することを強要することなく、第3のエピサイクロイド歯車装置47を挿入することができることが注目される。
【0059】
熱エンジン41の出力軸60は、歯車63と共に1つの軸に装着された歯車62によって構成される歯車列に組み込まれた歯車61に連結される。
歯車61と歯車62の歯の数の比は、本発明の無段変速トランスミッションを最大回転数において最適な領域内で動作させるような、速度の適応化に応じて変えられる、図5の減速装置と同等な減速装置をもたらすように適応させることができる。
熱エンジン41の出力軸60は、第1のエピサイクロイド歯車装置プラネタリー歯車45の軸の端に接続され、衛星歯車ゲート68は、熱エンジン41の出力軸60の周りを自由に回転し、衛星歯車69は、クラウン歯車70とプラネタリー歯車との間にはめ込まれる。
第1のエピサイクロイド歯車装置プラネタリー歯車45のクラウン歯車70は、第1の電気機械44のローター軸と連結されたピニオン72に係合される外側の歯を有する。
歯車71と歯車72の歯の数の間の減速比は、図5の減速装置52の減速比Ke1を合成することを可能にする。
【0060】
また、第1のエピサイクロイド歯車装置プラネタリー歯車45の衛星歯車ゲート68は、駆動車輪43に接続された差動機66の入力ピニオン65と係合される、第2の歯車64に軸方向に連結される第1の歯車67に係合される外側の歯を有する。
減速装置53(図5参照)に類似の減速比がKの減速装置も構成する。
【0061】
第1のエピサイクロイド歯車装置プラネタリー歯車45のクラウン歯車70、71は、第3のエピサイクロイド歯車装置47の衛星歯車ゲート74を通り抜ける軸73を介して、第3のエピサイクロイド歯車装置47のプラネタリー歯車76に連結される。
【0062】
第3のエピサイクロイド歯車装置47の衛星歯車ゲート74は、ブレーキ48によって作動されるライニングを有する。
【0063】
電気機械42は、第2のエピサイクロイド歯車装置46のプラネタリー歯車79に接続される出力軸を有する。第2のエピサイクロイド歯車装置46の衛星歯車ゲート81は、第3のエピサイクロイド歯車装置47のクラウン歯車77に連結されるクラウン歯車78に係合される。
【0064】
逆に、第2の動作モードにおいては、第1の分岐は閉じられ、第2の分岐が開かれる。
【0065】
図7は、本発明の無段変速トランスミッションのもう1つの原理図を示す。
熱エンジン230は、ギヤボックス234、すなわち本来の意味における無段変速トランスミッションにインプリメンテーションされた、第1の複合歯車列TAに接続される出力軸を有する。
第1の複合歯車列TAは、第1のエピサイクロイド歯車装置238を有する。熱エンジン230は、第1のエピサイクロイド歯車装置238のプラネタリー歯車P1を介して、第1のエピサイクロイド歯車装置238と接続される。
第1の複合歯車列TAの第1のエピサイクロイド歯車装置238の衛星歯車ゲートpsは、所定の減速比Kを適用する減速装置239へ接続され、減速装置239の出力は、車両の駆動車輪233へ接続される。
【0066】
他方、第1のエピサイクロイド歯車装置238の衛星歯車ゲートpsは、第1の複合歯車列TAの第2のエピサイクロイド歯車装置237の衛星歯車ゲートへ接続される。
第1のエピサイクロイド歯車装置238のクラウン歯車と、第2のエピサイクロイド歯車装置237のクラウン歯車は一緒に結合され、それらの共通の運動は、動力分岐の第2の経路のカップリングへ伝達される。
第2のエピサイクロイド歯車装置237のプラネタリー歯車P2自身は、エピサイクロイド歯車装置TBの衛星歯車ゲートpsへ接続される。エピサイクロイド歯車装置TBのプラネタリー歯車pは、第2の電気機械232の回転軸へ接続される。
【0067】
第1の電気機械231は、その出力軸を介して減速装置240へ連結される。減速装置240は、減速比KE1を適用し、第1のエピサイクロイド歯車装置238のクラウン歯車へと、第2のエピサイクロイド歯車装置237のクラウン歯車へ同時に結合され、更に第2の複合歯車列TCの第1のエピサイクロイド歯車装置のクラウン歯車へ接続される。
【0068】
第2の複合歯車列TCは、第2のエピサイクロイド歯車装置236も有する。第2の複合歯車列TCの、第1のエピサイクロイド歯車装置231と、第2のエピサイクロイド歯車装置236は、それらの衛星歯車ゲートとプラネタリー歯車が互いに連結されるように構成される。
2つの衛星歯車ゲートPSは、第1のブレーキ244を介して固定点である枠組みまたはシャーシに一時的に連結される。一方、第2のエピサイクロイド歯車装置236のクラウン歯車は、第2のブレーキ244’を介してシャーシすなわち固定点245へ連結される。
第2の複合歯車列TCの、第1、第2のエピサイクロイド歯車装置231、236のプラネタリー歯車は、エピサイクロイド歯車装置TBのクラウン歯車に接続される。
【0069】
ギヤボックス234は、コントローラ235によって制御される。コントローラ235は、伝達の計算機246と、熱エンジンのコントローラ247と、電気変速機のコントローラ248と、モード変更のコントローラ249を本質的に有している。
コントローラ235の様々な構成要素は、車両の動作状態の様々なセンサと、アクセルペダルの踏み込み角度のセンサのような運転者の意図の検出センサに接続される。運転者の意図の検出センサは、次いで、運転者の意図または意志の検出モジュールへ接続される。これらの連絡は、バスBを介して確保される。
【0070】
モード変更のコントローラ249は、第1のブレーキ244のアクチュエータへ伝達される第1の出力と、第2のブレーキ244’のアクチュエータへ連結される第2の出力を有する。
このようなモード変更のコントローラは、伝達の計算機246の指令に応じて、次の4つの状態:
2つの信号が共に活性化されない第1の状態、
2つの信号の一方または他方が活性化される第2または第3の状態、
2つの信号が共に活性化される第4の状態、
を取り得る出力信号を作る。
【0071】
電気変速機のコントローラ248は、少なくとも2つの制御信号と、電気機械231、232の各々への、4象限の電流−電圧Iの法則に従うそれらのそれぞれの動作点を決めるための制御信号との、少なくとも一方を発生する。
望ましくは、電気変速機は、モード変更のコントローラ249の制御の下に、充放電回路(図示しない)によって管理される、車両のバッテリーまたは大容量のキャパシタのような、電気エネルギー蓄積部品(図示しない)によって補完される。
【0072】
第2の複合歯車列TCと2つのブレーキ244、244’とから構成されたモード変更装置は、追加の軸を要することなく、モード変更を機械的に実現することを簡単化し、ギヤボックス234への電気機械の導入を容易にすることを可能にする。
従来技術で、クラッチがモード変更装置を作成するために用いられるときには、クラッチは必然的にギヤボックスの中心部に存在する必要があるが、本発明における第1のブレーキ244と第2のブレーキ244’は、ギヤボックス234の端部に配置することができる。
【0073】
第1の複合歯車列TAは、大きな減速比、特に特有の減速比をもたらすことができ、このことは、エピサイクロイド歯車装置231、236すなわち分岐歯車列の要素の回転速度を減少させることを可能にする。
【0074】
このようなアーキテクチャは、ブレーキの開放または締め付けに応じて、3つの作動状態を許容する。
第1の動作モードにおいては、第1のブレーキ244は、2つのエピサイクロイド歯車装置231、236の衛星歯車ゲートPSを不動にする。
第2のエピサイクロイド歯車装置236のクラウン歯車Cは自由に回転し、第1、第2のエピサイクロイド歯車装置231、236は、第1のエピサイクロイド歯車装置231のクラウン歯車と、共通の衛星歯車ゲートPSと、共通のプラネタリー歯車Pから構成された単体歯車列として動作する。
【0075】
第2の動作モードにおいては、モード変更装置は、第1のブレーキ244と第2のブレーキ244’の両者が締め付けられるように配置される。
従って、第2の複合歯車列TCの全ての要素は不動にされ、第2の複合歯車列TCは固定される。
この第2の動作モードにおいては、第1、第2の2つの電気機械231、232は、動力分岐の主動力経路に直接接続され、一方または他方、あるいは両方が、発電機としてもモータとしても動作することができる。
この配置は、モード変更の際にトランスミッションの機械的なブロックを止めることなく実行される。
【0076】
第3の動作モードにおいては、第1のブレーキ244は開放され、第2のブレーキ244’は締め付けられる。
このモードにおいては、減速比は、第2の複合歯車列TCのクラウン歯車Cと、衛星歯車ゲートPSと、プラネタリー歯車pとを含む全ての回転要素の歯の数の関数の混合ギヤ比である。
この配置において、トランスミッションは、実現可能な極めて大きな範囲の減速比を利用することができる。
【0077】
この原理図においては、熱エンジンは、減速することなく、主動力経路の第1の複合歯車列TAの入力の1つへ直接連結される。
従って、エピサイクロイド歯車装置は同一の軸上にあり、このことによって、トランスミッションは、強い動力諸元を有する縦方向の動力装置のアーキテクチャに特に適応化される。
【0078】
また、単体歯車列TBと第2の複合歯車列TCとから構成された第2の動力経路の二重の歯車列は、大きな減速範囲を得ることを可能にする。
【0079】
図8は、図7の原理図のギヤボックス234の機械的な配置を示す。
この図8において、図7におけるものと同一の要素には同じ参照符号が付けられており、説明は省略する。
【0080】
熱エンジン230の出力軸250は、第1の複合歯車列TAと、モードを変更する第2の複合歯車列TCと、2つの動力分岐経路を混成するエピサイクロイド歯車装置TBとの、共通の回転軸251と一列に配置されている。
従って、熱エンジン230は、介在する減速装置なしに、出力軸250によって、第1のエピサイクロイド歯車装置238(図7)のプラネタリー歯車PAへ直接接続される。
【0081】
衛星歯車ゲートPSは、二重で、第1の複合歯車列TAの第1、第2のエピサイクロイド歯車装置238、237に共通である。衛星歯車ゲートPSは、熱エンジン230の出力軸250の端部に固定されたエピサイクロイド歯車装置(図7の238)のプラネタリー歯車PAの上を回転しており、回転軸251の第1の部分に固定された、第1の複合歯車列TAの第2のエピサイクロイド歯車装置(図7の237)のプラネタリー歯車PAの上を回転している。
【0082】
回転軸251の第2の部分は、単体歯車列TBの衛星歯車ゲートPSを有する。
共通の回転軸251は、それぞれ回転自由で適当な軸受けに装着された:
−第1の複合歯車列TAの第1、第2の2つのエピサイクロイド歯車装置238、237に共通のクラウン歯車CA、及び第2の複合歯車列TCの第1のエピサイクロイド歯車装置231のクラウン歯車CC1;
−単体歯車列TBのクラウン歯車CBに連結された第2の複合歯車列TCのプラネタリー歯車PC;
を有する。
【0083】
この実施の形態においては、第1の複合歯車列TAの第1、第2の2つのエピサイクロイド歯車装置238、237のクラウン歯車CAは、衛星歯車ゲートPS上に搭載された衛星歯車SAの唯一のピニオンを駆動するための唯一の歯車を有する。衛星歯車ゲートPSの各衛星歯車SAは二重であり、換言すれば:
−第1のエピサイクロイド歯車装置238のプラネタリー歯車PAと、第1、第2の2つのエピサイクロイド歯車装置238、237に共通のクラウン歯車CAの唯一の歯車(ここでは内側の)との間に係合された第1のピニオン;
−共通の軸を介して第1のピニオンに連結され、第1の複合歯車列TAの第2のエピサイクロイド歯車装置237のプラネタリー歯車PAに係合された第2のピニオン;
を有する。
【0084】
第1の複合歯車列の衛星歯車ゲートPSは、熱エンジン230の出力軸250に設けられた適当な軸受けに回転自由に搭載される。衛星歯車ゲートPSは、車両の駆動車輪233に連結されたピニオン係合された入力歯車に連結される。
【0085】
この実施の形態においては、クラウン歯車CAは、電気変速機の第1の電気機械231のローター軸の端に装着されたピニオン253に係合される外側の歯も有する。
【0086】
この実施の形態においては、2つのエピサイクロイド歯車装置231、236に共通のプラネタリー歯車PCは、第2の複合歯車列TCの衛星歯車ゲートPS上に装着された衛星歯車SCの唯一のピニオンを駆動するための単一の外側の歯車を有する。衛星歯車ゲートPSの各衛星歯車SCは二重である。換言すれば、各衛星歯車SCは:
−一方ではプラネタリー歯車PCに、また第1の複合歯車列TAの共通のクラウン歯車CAに連結されたエピサイクロイド歯車装置231(図7)のクラウン歯車CC1の内側の歯に係合された第1のピニオン、;
−共通の軸によって第1のピニオンに連結され、第2の複合歯車列TCの第2のエピサイクロイド歯車装置236(図7)のクラウン歯車CC2の内側の歯に係合された第2のピニオン、
を有する。
【0087】
第2の複合歯車列の衛星歯車ゲートPSCは、第2の複合歯車列TCのプラネタリー歯車PCと、第2の複合歯車列のエピサイクロイド歯車装置(図7の231)のクラウン歯車CC1との間に回転自由に搭載される。
【0088】
回転軸251は、単体歯車列TBの衛星歯車ゲートPSを有する。衛星歯車ゲートPSは、プラネタリー歯車PBの上で回転する。プラネタリー歯車PBの軸252は、回転軸251及び熱エンジンの出力軸250と一直線上に配置され、第2の電気機械232に接続される。
【0089】
2つのブレーキ244、244’は、単体歯車列TBと第2の複合歯車列TCとの間に含まれる軸方向の間隔の中に、図式的に示されている。
第1のブレーキ244は、第2の複合歯車列TCの第2のエピサイクロイド歯車装置236のクラウン歯車CC2に連結された第1のライニングと、ギヤボックスのブレーキの固定点であるカバー245に連結された第2のライニングを有する。ブレーキのアクチュエータ(図示しない)が、トランスミッションのモード変更のコントローラ249の制御の下に、第1のブレーキ244が開放または締め付けされるように、第1のライニングと第2のライニングとの間に設けられる。
第2のブレーキ244’は、第2の複合歯車列TCの衛星歯車ゲートPSCに連結された第1のライニングと、ギヤボックスのブレーキの固定点であるカバー245に連結された第2のライニングを有する。ブレーキのアクチュエータ(図示しない)が、トランスミッションのモード変更のコントローラ249の制御の下に、第1のブレーキ244’が開放または締め付けされるように、第1のライニングと第2のライニングとの間に設けられる。
【0090】
モード変更装置は、このようなギヤボックスの軸方向または縦方向の幅を更に縮小するように、ギヤボックスの外部の設けることが可能である。この場合、2つのブレーキ244、244’は、中央の回転軸251から離隔される。
【0091】
モード変更装置は、コンパクトに作成され、第2の複合歯車列TC及びブレーキ244、244’、ブレーキの固定点245は、別々に設けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明が基礎を置く従来技術を示す図である。
【図2】本発明が基礎を置く従来技術を示す図である。
【図3】本発明の無段変速トランスミッションの原理図である。
【図4】本発明の無段変速トランスミッションの機械的な実施の形態を表す図である。
【図5】本発明の1実施の形態の原理図である。
【図6】本発明の1実施の形態の運動学的な図である。
【図7】本発明の他の1つの実施の形態の原理図である。
【図8】図7に示された本発明の実施の形態の運動学的な図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成要素が、熱エンジン(1)を車両の駆動車輪(3)へ並列に連結する2つの動力経路の間に配分され、上記構成要素は、2つのエピサイクロイド歯車装置(5、6)と、2つの電気機械(2、4)と、減速装置(7)とを含み、制御手段が、トランスミッションの動作モードに応じて、2つの動力経路の間に動力を異なって配分する、2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッションにおいて、複合歯車列(137、138)が配置される主動力経路と、それぞれ電気変速機の電気機械(131、132)に連結されたエピサイクロイド歯車装置(141、142)を有する第2の動力経路と、複数の動作モードの中から、上記無段変速トランスミッションの動作モードの少なくとも1つの動作モードが選択されるように、上記電気機械の1つに連結された上記エピサイクロイド歯車装置の1つの回転要素の少なくとも1つを選択的に不動化するためのモード変更装置とを有することを特徴とする、2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項2】
上記熱エンジン(130)は、減速装置(136)を介して、本来の意味におけるギヤボックス(134)の第1のエピサイクロイド歯車装置(137)のクラウン歯車(C2)と第2のエピサイクロイド歯車装置(138)の衛星歯車ゲート(ps)へ接続され、
上記車両の駆動車輪(133)は、減速比がKである減速装置(139)を介して上記ギヤボックス(134)へ接続され、上記減速装置(139)の入口は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(137)の衛星歯車ゲート(ps2)と上記第2のエピサイクロイド歯車装置(138)のクラウン歯車(C1)へ連結され、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(137)と上記第2のエピサイクロイド歯車装置(138)は、動力分岐の上記主動力経路に配置される構成エピサイクロイド歯車列を構成することを特徴とする、請求項1に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項3】
上記電気変速機の第1の電気機械(131)は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(137)のプラネタリー歯車(p2)と第3のエピサイクロイド歯車装置(141)のクラウン歯車(C)に連結された減速装置(140)へ接続され、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(141)のプラネタリー歯車(p)は、第4のエピサイクロイド歯車装置(142)のクラウン歯車(C)へ連結され、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(141)のプラネタリー歯車(p)と上記第4のエピサイクロイド歯車装置(142)のクラウン歯車(C)は、ブレーキ(144’)を介して固定点(145)へ接続され、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(141)の衛星歯車ゲートは、ブレーキ(144)を介して固定点(145)へ接続されることを特徴とする、請求項2に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項4】
上記電気変速機の第2の電気機械(132)は、減速比がKe2の減速装置(143)を介して、上記第4のエピサイクロイド歯車装置(142)のプラネタリー歯車(p)へ連結されることを特徴とする、請求項2に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項5】
減速装置(136)が歯車(155)に係合されるピニオン(154)を有し、上記歯車(155)は、ギヤボックスの中央の回転軸(156)の周りに回転自由な軸受けに装着され、上記主動力経路を構成する歯車列の第2のエピサイクロイド歯車装置の衛星歯車ゲート(159;図4のPS1)に連結され、上記第2のエピサイクロイド歯車装置の衛星歯車ゲート(159)は、第1のエピサイクロイド歯車装置(137)のクラウン歯車(175)に連結され、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(138)のクラウン歯車(161)は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(137)の衛星歯車ゲート(160)に接続されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項6】
上記車両の駆動車輪(153)は、ピニオン(158)を介して、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(138)の上記クラウン歯車(161)に連結された歯車(157)へ連結されることを特徴とする、請求項5に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項7】
上記第2の動力経路は、上記電気変速機と、上記モード変更装置と、上記主動力経路とへの連結のための、第3のエピサイクロイド歯車装置(141)と第4のエピサイクロイド歯車装置(142)を有し、
上記第3のエピサイクロイド歯車装置(141)は、プラネタリー歯車(176、図4のP)と、クラウン歯車(177、図4のC)と、第2のブレーキ(169)に連結された衛星歯車ゲート(168)を有し、
上記第4のエピサイクロイド歯車装置(142)は、そのプラネタリー歯車(178)をそのクラウン歯車(179)へ連結する衛星歯車ゲート(163)を有し、
上記第3のエピサイクロイド歯車装置(141)の上記プラネタリー歯車(176)は、上記第4のエピサイクロイド歯車装置(142)の上記クラウン歯車(179)へ連結され、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(141)の上記クラウン歯車(177)は、上記第4のエピサイクロイド歯車装置(142)の上記プラネタリー歯車(178)へ連結され、
ギヤボックスの回転軸(156)の、熱エンジン(150)と反対側の端は、第2の電気機械(152)に接続されたピニオン(171)によって限られ、
上記複合歯車列の第1のエピサイクロイド歯車装置(図3の137)のプラネタリー歯車(162)は、外側の歯車(165)を有し、上記外側の歯車(165)は、上記電気変速機の第1の電気機械(151)のローター軸に連結されたピニオン(167)に連結される、
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項8】
上記第3のエピサイクロイド歯車装置(141)の上記プラネタリー歯車(176)と、上記第4のエピサイクロイド歯車装置(142)の上記クラウン歯車(179)は、ブレーキ(170;図3の144’)の第1のライニングに連結され、上記ブレーキ(170)の第2のライニングは、上記ギヤボックスのカバーに連結され、上記ブレーキのアクチュエータ(図示しない)が、上記トランスミッションの動作モードのコントローラ(135、149)の制御の下に上記2つのライニングを接近させて、上記ブレーキを作動または不作動にすることを可能にすることを特徴とする、請求項7に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項9】
上記第4のエピサイクロイド歯車装置(142)の上記クラウン歯車(cb、179)へ連結された、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(141)の上記衛星歯車ゲート(PSc、168)は、上記第2のブレーキ(169)の第1のライニングに接続され、上記第2のブレーキ(169)の第2のライニングは、上記ギヤボックスのカバーに連結され、上記衛星歯車ゲート(168)の上記第2のブレーキ(169)に連結された上記ブレーキのアクチュエータ(図示しない)が、上記トランスミッションの動作モードのコントローラ(135、149)の制御の下に上記2つのライニングを接近させて、上記ブレーキを作動または不作動にすることを可能にすることを特徴とする、請求項7に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項10】
動作を制御するコントローラ(135)を有し、上記動作を制御するコントローラ(135)は:
−所定の制約に応じる、動力装置の動作点のコントローラ(146);
−上記動作を制御するコントローラ(135)から動作点の指令を受け、上記熱エンジン(130)の動作点を決定するアクチュエータに適した制御信号を作る、上記熱エンジン(130)の動作点のコントローラ(147);
−各上記電気機械に対して、モータまたは発電機としての動作モード、回転速度とトルクの少なくとも一方、特に電気エネルギー蓄積器の管理装置との関連で誘導電圧と誘導電流の少なくとも一方を決めるための、上記第1の電気機械(131)と第2の電気機械(132)の動作のコントローラ(148)であって、上記コントローラ(148)は、上記動作を制御するコントローラ(135)から動作点の指令を受け、電気機械の操作回路に適した制御信号を作る、上記第1の電気機械(131)と第2の電気機械(132)の動作のコントローラ(148);
−上記動作を制御するコントローラ(135)の制御の下に、上記無段変速トランスミッションの少なくとも2つの動作モードの中から1つのモードが選ばれるように、第1のブレーキ(144)と第2のブレーキ(144’)の少なくとも一方の開または閉状態を決める、トランスミッションのモード変更のコントローラ(149);
を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項11】
構成要素が、熱エンジン(1)を車両の駆動車輪(3)へ並列に連結する2つの動力経路の間に配分され、上記構成要素は、2つのエピサイクロイド歯車装置(5、6)と、2つの電気機械(2、4)と、減速装置(7)とを含み、制御手段が、トランスミッションの動作モードに応じて、2つの動力経路の間に動力を異なって配分する、2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッションにおいて、上記2つの動力経路の1つの上の、2つのエピサイクロイド歯車装置(45、46)の1つと直列な、第3のエピサイクロイド歯車装置(47)を有し、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)は、第1の動作モードにおいて、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)の全ての要素(c、p、ps)が同じ回転速度で回転するように、上記制御手段(48、49)と協同することを特徴とする、2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項12】
上記第1の動力経路上で、上記車両の駆動車輪(43)が、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)の衛星歯車ゲートに、減速装置(53)を介して接続され、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)のプラネタリー歯車は、上記熱エンジン(41)の軸と直接接続され、上記第2の動力経路(51、47、46、44)は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)へ、上記エピサイクロイド歯車装置(45)のクラウン歯車によって接続されることを特徴とする、請求項11に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項13】
上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)のクラウン歯車(c)は、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(46)のクラウン歯車へ接続され、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)のプラネタリー歯車(p)は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)のクラウン歯車と第1の電気機械(44)のローターとへ、同時に連結されることを特徴とする、請求項11または12に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項14】
上記第2のエピサイクロイド歯車装置(46)の衛星歯車ゲートは、減速装置(51)を介して、上記熱エンジン(41)へ接続され、上記減速装置(51)の減速比は、上記減速装置(51)が連結される上記熱エンジン(41)に適した機械的な出力と回転数に適応可能であることを特徴とする、請求項13に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項15】
上記第2のエピサイクロイド歯車装置(46)のプラネタリー歯車は、第2の電気機械(42)のローターへ接続されることを特徴とする、請求項14に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項16】
上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)の衛星歯車ゲートは、モード変更装置の起動によって、ギヤボックスのカバー(50)と上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)の衛星歯車ゲートとの間に設けられたブレーキ(48)を介して、上記カバー(50)に対して不動化されることを特徴とする、請求項13に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項17】
上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)の衛星歯車ゲート(ps)は、上記モード変更装置によって制御されるクラッチ(49)を介して、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)のプラネタリー歯車(p)へ接続されることを特徴とする、請求項16に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項18】
上記第2のエピサイクロイド歯車装置(46)と上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)は、共通のクラウン歯車(75)を有し、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)の衛星歯車ゲート(74)は、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)のプラネタリー歯車(76)の軸の周りを自由に回転し、該軸は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)のクラウン歯車の支持軸に接続され、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(46)の衛星歯車ゲート(81)は、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(46)のプラネタリー歯車(79)の軸の周りを自由に回転し、該軸は第2の電気機械(42)のローター軸に接続され、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)の衛星歯車ゲート(68)は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)のプラネタリー歯車の軸(60)の周りを自由に回転し、該軸(60)の両端は、上記熱エンジン(41)の軸と上記プラネタリー歯車にそれぞれ連結されることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1つに記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項19】
第1の電気機械(44)が、上記熱エンジン(41)と、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)と、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(46)と、上記第3のエピサイクロイド歯車装置(47)と、第2の電気機械(42)との共通の軸の外に配置され、上記第1の電気機械(44)のローター軸は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(45)のクラウン歯車(71)の外側の歯に係合されるピニオン(72)に連結されることを特徴とする、請求項18に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項20】
動作を制御するコントローラ(80)を有し、上記動作を制御するコントローラ(80)は:
−所定の制約に応じる、動力装置の動作点のコントローラ(81);
−上記動力装置の動作点のコントローラ(81)から動作点の指令を受け、上記熱エンジン(41)の動作点を決定するアクチュエータに適した制御信号を作る、上記熱エンジン(41)の動作点のコントローラ(82);
−各上記電気機械に対して、モータまたは発電機としての動作モード、回転速度とトルクの少なくとも一方、特に電気エネルギー蓄積器の管理装置との関連で誘導電圧と誘導電流の少なくとも一方を決めるための、上記第1の電気機械(44)と第2の電気機械(42)の動作のコントローラ(83)であって、上記コントローラ(83)は、上記動力装置の動作点のコントローラ(81)から動作点の指令を受け、電気機械の操作回路に適した制御信号を作る、上記第1の電気機械(44)と第2の電気機械(42)の動作のコントローラ(83);
−上記動力装置の動作点のコントローラ(81)の制御の下に、上記無段変速トランスミッションの少なくとも2つの動作モードの中から1つのモードが選ばれるように、クラッチ(49)とブレーキ(48)の少なくとも一方の開または閉状態を決める、トランスミッションのモード変更のコントローラ(84);
を有することを特徴とする、請求項11〜19のいずれか1つに記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項21】
構成要素が、熱エンジン(1)を車両の駆動車輪(3)へ並列に連結する2つの動力経路の間に配分され、上記構成要素は、2つのエピサイクロイド歯車装置(5、6)と、2つの電気機械(2、4)と、減速装置(7)とを含み、制御手段が、トランスミッションの動作モードに応じて、2つの動力経路の間に動力を異なって配分する、2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッションにおいて、動力分岐の主経路に沿って上記熱エンジン(230)を車両の駆動車輪(233)へ接続することを可能にする第1の複合歯車列(TA)と、動力の分岐を可能にする単体歯車列(TB)と、無段変速トランスミッションの少なくとも2つの動作モードの間のモード変更装置を実現するための第2の複合歯車列(TC)を含んでなることを特徴とする、2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項22】
上記第1の複合歯車列(TA)は、第1のエピサイクロイド歯車装置(238)を有し、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(238)に、上記熱エンジン(230)が、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(238)のプラネタリー歯車(P1)を介して接続され、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(238)の衛星歯車ゲート(ps)は、出力が上記車両の駆動車輪(233)に接続された減速装置(239)と、上記第1の複合歯車列(TA)の第2のエピサイクロイド歯車装置(237)の衛星歯車ゲートとへ接続され、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(238)のクラウン歯車と、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(237)のクラウン歯車は一緒に接続され、これらのクラウン歯車の共通の運動は、出力分岐の第2の経路上のカップリングへ伝達されることを特徴とする、請求項21に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項23】
上記第2のエピサイクロイド歯車装置(237)のプラネタリー歯車(P2)は、上記単体歯車列(TB)のエピサイクロイド歯車装置の衛星歯車ゲート(ps)へ接続され、上記単体歯車列(TB)のエピサイクロイド歯車装置のプラネタリー歯車(p)は、第2の電気機械(232)の回転軸へ接続され、上記トランスミッションの電気変速機の第1の電気機械(231)は、その出力軸を介して減速装置(240)へ連結され、上記減速装置(240)は、上記第1の複合歯車列(TA)の第1のエピサイクロイド歯車装置(238)のクラウン歯車と、上記第1の複合歯車列(TA)の第2のエピサイクロイド歯車装置(237)のクラウン歯車と、上記第2の複合歯車列(TC)の第1のエピサイクロイド歯車装置(231)のクラウン歯車(C1)へ接続され、上記第2の複合歯車列(TC)は、更に第2のエピサイクロイド歯車装置(236)を有し、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(231)の衛星歯車ゲートと上記第2のエピサイクロイド歯車装置(236)の衛星歯車ゲートが互いに接続され、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(231)のプラネタリー歯車と上記第2のエピサイクロイド歯車装置(236)のプラネタリー歯車が互いに接続されるように形成され、上記第2の複合歯車列(TC)の上記衛星歯車ゲート(PS)は、第1のブレーキ(244)を介して、一時的に固定点(245)である骨組みまたはシャーシへ連結され、一方、上記第2の複合歯車列(TC)の上記第2のエピサイクロイド歯車装置(236)のクラウン歯車(C2)は、第2のブレーキ(244’)を介して、固定点(245)へ連結することができ、上記第2の複合歯車列(TC)の上記第1のエピサイクロイド歯車装置(231)との記第2のエピサイクロイド歯車装置(236)のプラネタリー歯車は、上記単体歯車列(TB)のエピサイクロイド歯車装置のクラウン歯車へ接続されることを特徴とする、請求項22に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項24】
上記熱エンジン(230)の出力軸(250)は、主複合歯車列である上記第1の複合歯車列(TA)と、モード変更の複合歯車列である上記第2の複合歯車列(TC)と、2つの動力経路を合成する単体歯車列である上記単体歯車列(TB)の共通の回転軸(251)と一直線上にあり、
上記熱エンジン(230)は、上記出力軸(250)によって、上記第1の複合歯車列(TA)の第1のエピサイクロイド歯車装置(図7の238)のプラネタリー歯車(PA)へ、減速装置を介することなく直接接続され、衛星歯車ゲート(PS)は、二重で、上記第1の複合歯車列(TA)の上記第1と第2のエピサイクロイド歯車装置(237、238)に共通しており、上記衛星歯車ゲート(PS)は、上記熱エンジン(230)の上記出力軸(250)の端に固定された上記第1のエピサイクロイド歯車装置(図7の238)のプラネタリー歯車(PA)上で回転し、また、上記回転軸(251)の第1の部分に固定された上記第1の複合歯車列(TA)の第2のエピサイクロイド歯車装置(図7の237)のプラネタリー歯車(PA)上で回転し、上記回転軸(251)の第2の部分は、上記出力軸(250)と一直線に配置されて、上記単体歯車列(TB)の衛星歯車ゲート(PS)を保持し、共通の上記回転軸(251)は、2つの軸受け上に回転自由に:
−上記第1の複合歯車列(TA)の上記第1と第2のエピサイクロイド歯車装置(237、238)に共通のクラウン歯車(CA)と、上記第2の複合歯車列(TC)の第1のエピサイクロイド歯車装置(231)のクラウン歯車(CC1);
−上記単体歯車列(TB)のクラウン歯車(CB)に連結された上記第2の複合歯車列(TC)のプラネタリー歯車(PC);
を、それぞれ保持することを特徴とする、請求項22または23に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項25】
上記第1の複合歯車列(TA)の上記第1と第2のエピサイクロイド歯車装置(237、238)のクラウン歯車(CA)は、上記衛星歯車ゲート(PS)上に装着された衛星歯車(SA)の唯一のピニオンを駆動するための歯を有し、上記衛星歯車ゲート(PS)の各衛星歯車(SA)は二重であり、換言すれば:
−上記第1のエピサイクロイド歯車装置(238)のプラネタリー歯車(PA)と、上記第1の複合歯車列(TA)の上記第1と第2のエピサイクロイド歯車装置(237、238)に共通のクラウン歯車(CA)の内側の歯との間に係合された第1のピニオン;
−それらに共通の軸を介して上記第1のピニオンに連結され、上記第1の複合歯車列(TA)の上記第2のエピサイクロイド歯車装置(237)のプラネタリー歯車(PA)に係合された第2のピニオン;
を有し、
上記第1の複合歯車列(TA)の上記衛星歯車ゲート(PS)は、上記熱エンジン(230)の上記出力軸(250)上に設けられた適当な軸受け上に回転自由に装着され、上記車両の駆動車輪(233)に連結されたピニオンに係合された歯車に連結されることを特徴とする、請求項24に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項26】
上記クラウン歯車(CA)は、外側の歯も有し、上記外側の歯は、上記電気変速機の第1の電気機械(231)のローター軸の端に装着されたピニオンと係合することを特徴とする、請求項25に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項27】
上記第2の複合歯車列(TC)の第1と第2の2つのエピサイクロイド歯車装置(231、236)に共通のプラネタリー歯車(PC)は、上記第2の複合歯車列(TC)の衛星歯車ゲート(PS)上に装着された衛星歯車(SC)の唯一のピニオンを駆動するための唯一の外側の歯を有し、上記衛星歯車ゲート(PSC)の各衛星歯車(SC)は二重であり、換言すれば:
−一方では、上記プラネタリー歯車(PC)に、また上記第1の複合歯車列(TA)に共通の上記クラウン歯車(CA)に連結された上記エピサイクロイド歯車装置(231)のクラウン歯車(CC1)の内側の歯に係合される第1のピニオン;
−それらに共通の軸を介して上記第1のピニオンに連結され、上記第2の複合歯車列(TC)の上記第2のエピサイクロイド歯車装置(236)のクラウン歯車(CC2)の内側の歯に係合される第2のピニオン;
を有し、
上記第2の複合歯車列(TC)の上記衛星歯車ゲート(PSC)は、上記プラネタリー歯車(PC)と、上記第2の複合歯車列(TA)の第1のエピサイクロイド歯車装置(231)のクラウン歯車(CC1)との間に回転自由に装着されることを特徴とする、請求項26に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項28】
上記回転軸(251)は、上記単体歯車列(TB)の衛星歯車ゲート(PS)を保持し、上記衛星歯車ゲート(PS)は、プラネタリー歯車(PB)上で回転し、上記プラネタリー歯車(PB)の軸は、上記出力軸(250)及び共通の上記回転軸(251)と一列に配置され、上記第2の電気機械(232)のローター軸に接続されることを特徴とする、請求項27に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項29】
上記モード変更装置は:
−第1のブレーキ(244)であって、上記第1のブレーキ(244)は、上記第2の複合歯車列(TC)の上記第2のエピサイクロイド歯車装置(236)のクラウン歯車(CC2)に連結された第1のライニングと、固定点(245)である上記ギヤボックスのカバーに連結された第2のライニングを有し、ブレーキのアクチュエータが、トランスミッションのモード変更のコントローラ(249)の制御の下に、上記第1のブレーキ(244)を開放または締め付けするように2つの上記ライニングの間に設けられる、第1のブレーキ(244);
−第2のブレーキ(244’)であって、上記第2のブレーキ(244’)は、上記第2の複合歯車列(TC)の衛星歯車ゲート(PSC)に連結された第1のライニングと、固定点(245)である上記ギヤボックスのカバーに連結された第2のライニングを有し、ブレーキのアクチュエータが、トランスミッションのモード変更のコントローラ(249)の制御の下に、上記第2のブレーキ(244’)を開放または締め付けするように2つの上記ライニングの間に設けられる、第2のブレーキ(244’);
を有することを特徴とする、請求項28に記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。
【請求項30】
バス(B)を介して、車両の動作状態の様々なセンサと、運転者の意図を検出するセンサと、複数のコントローラとに接続された、動作を制御するコントローラ(235)を有し、上記動作を制御するコントローラ(235)は:
−所定の制約に応じる、動力装置の動作点のコントローラ(246);
−上記動作を制御するコントローラ(235)から動作点の指令を受け、上記熱エンジン(230)の動作点を決定するアクチュエータに適した制御信号を作る、上記熱エンジン(230)の動作点のコントローラ(247);
−各上記電気機械に対して、モータまたは発電機としての動作モード、回転速度とトルクの少なくとも一方、特に電気エネルギー蓄積器の管理装置との関連で誘導電圧と誘導電流の少なくとも一方を決めるための、上記第1の電気機械(231)と第2の電気機械(232)の動作のコントローラ(248)であって、上記動作のコントローラ(248)は、上記動作を制御するコントローラ(235)から動作点の指令を受け、4象限における電流−電圧の法則Iにそれぞれ応じた電気機械の動作点を決めるための、電気機械の操作回路に適した制御信号を作る、上記第1の電気機械(231)と第2の電気機械(232)の動作のコントローラ(248);
−上記動作を制御するコントローラ(235)の制御の下に、上記無段変速トランスミッションの少なくとも3つの動作モードの中から1つのモードが選ばれるように、第1のブレーキ(244)と第2のブレーキ(244’)の少なくとも一方の開または閉状態を決める、トランスミッションのモード変更のコントローラ(84);
を有し、上記3つの動作モードの中において:
−第1の動作モードにおいては、上記第1のブレーキ(244)は、上記第2の複合歯車列(TC)の第1と第2の2つのエピサイクロイド歯車装置(231、236)の衛星歯車ゲート(PS)を固定し、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(236)のクラウン歯車(C)は自由に回転し、上記第2の複合歯車列(TC)は、上記第1のエピサイクロイド歯車装置(231)のクラウン歯車と、共通の衛星歯車ゲート(PS)と、共通のプラネタリー歯車(P)の、単体歯車列として動作し;
−第2の動作モードにおいては、上記モード変更装置は、上記第1と第2の2つのブレーキ(244、244’)が共に締め付けられるように配置され、上記第2の複合歯車列(TC)の全ての要素は固定され、その結果、上記2つの電気機械(231、232)は、上記動力分岐の主経路へ直接接続されるようになり、一方または他方、または両方が、発電機としてもモータとしても動作することができ;
−第3の動作モードにおいては、上記第1のブレーキ(244)は開放され、上記第2のブレーキ(244’)は締め付けられ、その結果、上記第2のエピサイクロイド歯車装置(236)のクラウン歯車(C)は制動され、支持点の役割をする;
ことを特徴とする、請求項21〜29のいずれか1つに記載の2動作モードを有する動力分岐付き無段変速トランスミッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−505448(P2006−505448A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550750(P2004−550750)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003317
【国際公開番号】WO2004/044456
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】