説明

電気式脱塩モジュール及び該モジュールを備えた装置

本発明の電気式脱塩装置(EDI)モジュールは、電極(13、14)間に配置する少なくとも一つの脱塩室(11)と少なくとも一つの濃縮室(12)とを区画する少なくとも一つのイオン交換膜を備えたものであって、各脱塩室及び各濃縮室にはイオン交換体が設けられ、ある脱塩室又は濃縮室に存在するイオン交換体が、イオン交換樹脂ビーズ(17)、又は、イオン交換繊維からなる少なくとも一つの不織布もしくは織布(21、22)のいずれかから構成され、かつ前記イオン交換樹脂ビーズ及び前記不織布もしくは織布の両方が該EDIモジュールに存在することによって特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電場の存在下で液体中のイオンを移動させる電気式脱塩(EDI)モジュールと装置に関する。特に、本発明は、高純度水もしくは超純水の製造のため、水溶液を精製するためのEDI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶液中のイオン及び分子を低減させることによって液体を精製する方法は、技術的に重要な分野であり、関心が持たれてきた。非常に多くの技術が、水溶液を精製するために使用されており、最もよく知られている方法は、蒸留、電気透析、逆浸透、液体クロマトグラフィー、膜濾過、及びイオン交換、並びに、EDIがある。
【0003】
EDIによって液体を処理するための装置及び方法は、最初に1955年にWatler等によって記述された(W. R. Walters、D. W. Weister及びL. J. MarekのIndustrial and Engineering Chemistry、第47巻、第1番、第61〜67頁、1955年、参照)。Kollsmanの米国特許第2,689,826号及び第2,815,320号は、電場の存在下でアニオン交換膜及びカチオン交換膜を透過して、イオンが脱塩室濃縮室へと移動することが記載されている。処理されている液体空間はイオンが枯渇する一方、隣接液体空間は移動したイオンが富化する。これらの特許の第2の特徴は、アニオン交換膜とカチオン交換膜の間に、マクロポーラスイオン交換樹脂を充填していることである。
【0004】
これらのイオン交換樹脂は膜間のイオン移動を容易にさせる通路として機能している。
【0005】
一般に、EDIモジュールに使用されるイオン交換樹脂は、一般に直径0.4〜0.6mmのビーズ(ポリスチレン等)の形態であり、例えば、Dow Chemical Company(ダウ・ケミカル社)、Sybron Chemicals(サイブロン・ケミカルズ社)、Purolite(ピュロライト社)、及びRohm-Haas(ローム・アンド・ハース社)から市販されている。更に、該ビーズは官能基が存在し、その種類によってアニオン交換機能及びカチオン交換機能を有する。カチオン交換樹脂に一般に用いられる官能基はスルホン酸基であり、アニオン交換樹脂は、一般に第四級アンモニウム基である。これらビーズは、複層床又は混床のいずれかでEDI装置の脱塩室及び濃縮室に充填される。複層床では、脱塩室及び濃縮室全体にアニオン交換樹脂層及びカチオン交換樹脂層が交互となるように充填され、脱塩室及び濃縮室は、アニオン交換膜及びカチオン交換膜によって隣接する室とは区画される。混床では、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂が均一に混合した状態となるように充填される。
【0006】
商業的に成功しているEDI装置及び方法は、特に、米国特許第4,465,573号、同第4,632,745号、同第4,636,296号、同第4,687,561号、同第4,702,810号、同第5,026,465号、同第5,376,253号、同第5,954,935号及び同第5,503,729号、及び国際特許出願第WO96/29133号に記載されている。これらの装置では、イオン交換体を充填した脱塩室とイオン交換体の無い濃縮室が示されている。該EDI装置では、複数の脱塩室及び濃縮室が配置された装置本体の両端に、アノード、カソードが納められた電極室があり、横方向に電流が流れる。米国特許第5,376,253号の場合は、装置の構成は、濃縮室及び脱塩室を内部に収容する円筒形態である。米国特許第5,954,935号の場合は、電極室は脱塩室によって形成されており、カソード室にはアニオン交換体、アノード室にはカチオン交換体が充填されている。この文献に開示される濃縮室は、イオン交換樹脂又は網状スペーサーが充填され、液体中の溶解塩類は、膜を透過して脱塩室から濃縮室に移動し、排出される。しかしながら、これらの装置の主な問題点は、カソード電極室内における不溶解性スケールの形成であり、これが発生すると該装置は時がたつにつれ正常運転できなくなる。
【0007】
どのような膜分離法においても、イオンが溶解度を超えて濃縮されると、膜面上でのスケール発生の可能性が存在する。特に、炭酸カルシウム(CaCO3)スケールは、カルシウムイオン及び炭酸イオンの濃度が溶解度を越えると容易に発生する。スケール発生のメカニズムは、次の式に示すように水中の炭酸ガスが水酸化物イオンによって炭酸又は重炭酸イオンとなりこれがカルシウムと反応し、炭酸カルシウムを形成するためである。
-(1) CO2 + 2OH- → CO32- + H2
-(2) CO32- + H+ → HCO3- + H2
【0008】
濃縮室にカルシウムイオンが存在すると、炭酸カルシウムが析出する。炭酸カルシウムは、非常に水に溶解しにくく、わずか14mg/lしか溶けない。従って、EDI装置の濃縮室におけるカルシウムイオン濃度、pH、炭酸イオン濃度及び重炭酸イオン濃度が大きくなるほどスケールを生成し易くなる。
【0009】
EDI電極での反応及びEDIプロセスにおける水解によって、水素イオン(H+)とヒドロキシルイオン(OH-)が生成し、濃縮室のpH変化を起こす。ヒドロキシルイオンはスケール生成の原因となる。電極で生じる該反応は次に示され、ここで、アノード反応は(3)であり、カソード反応は(4)である。
2H2O → 4H+ + O2 + 4e- -(3)
2H2O + 2e- → 2OH- + H2 -(4)
【0010】
脱塩室内での水解によって、さらにEDIモジュール内の水酸化物イオンが増える。アニオン交換膜を透過した水酸化物イオンによって、濃縮室側のアニオン交換膜面上のpHは、スケール生成に充分な高い値となる。従って、生成したスケールは、EDIモジュール内の電気抵抗の急上昇を引き起こし、流路も閉塞し、処理水質の急激な低下をもたらす。
【0011】
EDI装置の前処理として、硬水軟化及び逆浸透等のように、スケール生成の原因となる、カルシウムイオンCa2+、重炭酸イオンHCO3-及び炭酸イオンCO32-の濃度を下げる技術がある。しかしながら、これらの装置のメンテナンスが不十分なため、しばしばEDI装置内のスケール生成が起きてしまうことがある。
【0012】
更に、商業化したEDI装置の例が、米国特許第5,154,809号、同第5,308,466号、同第5,316,637号及び同第5,593,563号に記載されている。これらの装置はすべて、樹脂ビーズの形態のイオン交換樹脂を収容する複数の脱塩室と、こちらも樹脂ビーズの形態のイオン交換樹脂を収容する複数の濃縮室とを利用する。しかしながら、後者の濃縮室において、アニオン及びカチオンに対する選択性は重要でない。米国特許第5,593,563号は、導電性粒子もしくは導電性ビーズをカソード電極室に充填することにより、カソード電極室内のスケール形成の問題に対処している。これらの導電性粒子もしくはビーズは、金属製であるかもしくは炭素から構成される。しかしながら、これらの装置のいくつかは、脱塩室及び濃縮室の両方でイオン交換樹脂の流動化が起こり、流路の正則や圧力上昇をもたらす結果、装置を運転できなくなる。
【0013】
別のイオン交換組成物は、上述したものと同様スルホン酸基が導入されたカチオン交換基、第四級アンモニウム基が導入されたアニオン交換基を含むポリマー繊維からなる織布の形状で製造される。これらポリマー繊維の基材としてセルロースやポリオレフィン等のように強度の強いポリマー材料が利用できる。(「S. Ezzahar、A. T. Cherif、J. Sandeaux、R. Sandeaux及びC. GavachのDesalination(脱塩)、第104巻、第227〜233頁、1996年;E. Dejean、E. Laktionov、J. Sandeaux、R. Sandeaux、G. Pourcelly及びC. GavachのDesalination(脱塩)、第114巻、第165〜173頁、1997年;E. Dejean、J. Sandeaux、R. Sandeaux及びC. GavachのSeparation Science and Technology、第33巻、第6番、第801〜818頁、1998年;E. Laktionov、E. Dejean、J. Sandeaux、R. Sandeaux、C. Gavach及びG. PourcellyのSeparation Science and Technology、第34巻、第1番、第69〜84頁、1999年」参照)。水中のイオンをイオン交換吸着させるため、所望の官能基がこれら繊維にグラフト(接ぎ木)される。米国特許第3,723,306号、同第5,152,896号及び同第5,885,453号、及び、仏国特許出願第1487391号、同第1492522号及び同第1522387号は、種々の材料へのグラフトによる官能基導入が示されており、イオン交換繊維が開発されてきた。
【0014】
ポリオレフィン繊維の表面に所望のイオン交換基を導入する別の技術としては、米国特許第5,346,924号及び同第5,531,899号に記載されるものと同様の不均一イオン交換材料の製造技術がある。該不均一イオン交換繊維は、適正量のポリオレフィンバインダーと適正量のアニオン及び/又はカチオンイオン交換材料とを混合し、これら成分を機械的に押しつぶして混合し、かつ、不均一イオン交換ポリマー繊維を熱的に押し出すかもしくは成形することにより、製造される。
【0015】
イオン交換ポリマー繊維を使用した商業的に成功しているEDI装置は、株式会社荏原製作所によって商品化されており、また、特に米国特許第5,308,467号、同第5,425,866号、同第5,738,775号、及びヨーロッパ特許出願第1069079号に記載されている。これらのEDI装置に用いられるポリマー繊維は、アニオン交換織布又はアニオン交換不織布、カチオン交換織布又はカチオン交換不織布、アニオン伝導性スペーサー及びカチオン伝導性スペーサーの形態であり、これらスペーサーもしくはスペーサー代替の分離繊維には、アニオン及びカチオン交換基がそれぞれ導入され、また、該スペーサーもしくはスペーサー代替の分離繊維は、特に上記織布又は不織布間に配置される。これらEDI装置は、アニオン及びカチオン交換織布又は不織布及びアニオン及びカチオン伝導性スペーサーを収容する複数の脱塩室と、アニオン及びカチオン伝導性スペーサーだけを収容する複数の濃縮室とを利用する。脱塩室と濃縮室は交互となり、また、アニオン交換膜及びカチオン交換膜によって画定される。これらの装置はまた、両端にアノードとカソードを含む二つの電極室を用いている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、これらのEDI装置の主要な課題は、これらが、高レベルの溶解CO2を含む水によってスケールの生成を起こしやすく、また低出力効率であることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、電気式脱塩モジュールの脱塩室と濃縮室内にイオン交換基を有する樹脂ビーズとイオン交換繊維からなる不織布もしくは織布とを共存させたことによる驚くべき発見に基づいている。即ち、該樹脂ビーズと該不織布もしくは織布を一緒に電気式脱塩モジュール内に充填することにより、処理水質の向上と長期安定性において従来技術よりもはるかに効果的な結果が得られるという知見に基づいている。
【0018】
従って、本発明は、電極間に位置する少なくとも一つの脱塩室と少なくとも一つの濃縮室を区画する少なくとも一つのイオン交換膜を備え、かつ各脱塩室及び各濃縮室にはイオン交換体が充填される電気式脱塩(EDI)モジュールであって、ある脱塩室又は濃縮室に存在するイオン交換体が、イオン交換樹脂ビーズ、又は、イオン交換繊維からなる少なくとも一つの不織布もしくは織布のいずれかから構成され、前記イオン交換樹脂ビーズ及び前記不織布もしくは織布の両方が該EDIモジュールに存在することによって特徴付けられるEDIモジュールに関する。
【0019】
前記各脱塩室及び各濃縮室は、好ましくは区画室で形成され、この場合、該EDIモジュールは、アニオン選択性イオン交換膜とカチオン選択性イオン交換膜それぞれによって二つの隣接する濃縮室から分離された少なくとも一つの脱塩室、又は、アニオン選択性イオン交換膜とカチオン選択性イオン交換膜それぞれによって二つの隣接する脱塩室から分離された少なくとも一つの濃縮室のいずれかを含む。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、EDIモジュールは、電極間に交互の脱塩室及び濃縮室を含み、各脱塩室が二つの濃縮室と隣接し、かつ、アニオン選択性イオン交換膜とカチオン選択性イオン交換膜それぞれによって該二つの濃縮室から分離され、各脱塩室及び各濃縮室にはイオン交換体が充填され、また、脱塩室に存在するイオン交換体がイオン交換樹脂ビーズから構成され、他方、濃縮室に存在するイオン交換体が、イオン交換繊維からなる少なくとも一つの不織布もしくは織布から構成されることによって特徴付けられる。
【0021】
別の実施形態によれば、EDIモジュールは、電極間に交互の脱塩室及び濃縮室を含み、各脱塩室が二つの濃縮室と隣接し、かつ、アニオン選択性イオン交換膜とカチオン選択性イオン交換膜それぞれによって該二つの濃縮室から分離され、各脱塩室及び各濃縮室にはイオン交換体が充填され、また、濃縮室に存在するイオン交換体がイオン交換樹脂ビーズから構成され、他方、脱塩室に存在するイオン交換体が、イオン交換繊維からなる少なくとも一つの不織布もしくは織布から構成されることによって特徴付けられる。
【0022】
更に、本発明の好ましい実施形態は、前記イオン交換体が、カチオン交換繊維よりなる織布または不織布と、アニオン交換繊維よりなる織布または不織布が対面配置し、かつ両者の間にイオン電導スペーサが配置された構成である。
【0023】
好ましくは、この場合、前記各組立体は、前記アニオン選択性イオン変換膜面にある織布もしくは不織布が前記アニオン交換繊維からなる織布もしくは不織布であり、かつ、カチオン選択性イオン交換膜面にある織布もしくは不織布が前記カチオン交換繊維からなる織布もしくは不織布であるように配列される。
【0024】
好ましくはまた、イオン交換可能なアニオン伝導スペーサー及びカチオン伝導スペーサーが、前記アニオン交換繊維からなる織布もしくは不織布と前記カチオン交換繊維からなる織布もしくは不織布との間に、それぞれこの順序で隣接し対面配置されることを特徴としている。
【0025】
特に有効な実施態様を以下に詳述する。
【0026】
有効性、経済性及び/又は製造容易性のため、次の点も好ましい。すなわち、
前記各スペーサーが網状スペーサー、好ましくは斜交網状スペーサーの形態である点、及び/又は、
前記織布もしくは不織布と前記スペーサーが互いに隣接して存在し、かつ好ましくはフレームに保持される点、及び/又は、
前記イオン交換繊維からなる各織布もしくは不織布が、繊維状の基材にイオン交換基を有するモノマーをグラフトすることにより、又は、イオン交換基に転換され得る基を有するモノマーでグラフトし、次いで、該基をイオン交換基に転換することにより、イオン交換基が導入された、前記スペーサーが存在する場合、該各スペーサーが、繊維または樹脂からなる基材にイオン交換基を有するモノマーでグラフトすることにより、又は、イオン交換基に転換され得る基を有するモノマーでグラフトし、次いで、該基をイオン交換基に転換することにより、イオン交換基が導入されたもの、及び/又は、
前記基材が、セルロース系材料もしくはポリオレフィン系材料である点、及び/又は、
前記カチオン交換繊維及び/又は前記カチオン伝導スペーサーがスルホン酸基を有し、前記アニオン交換繊維及び/又は前記アニオン伝導スペーサーが第四級アンモニウム基を有する点、及び/又は、
前記官能基が、放射線(UV線、X線、γ線、加速電子、β線もしくはα線)又はセリウムイオン等の化学試薬によって開始されるグラフト重合によって導入される点、及び/又は、
前記イオン交換繊維からなる各織布もしくは不織布が、イオン交換材料とポリオレフィン系バインダーとの混合物から構成される不均一繊維からなる基材を備え、前記スペーサーが存在する場合、該各スペーサが、樹脂、又はイオン交換材料とポリオレフィン系バインダーとの混合物から構成される不均一繊維からなる基材を備える点である。
【0027】
イオン交換樹脂ビーズに関しては、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂による混床や複層床が利用できるが、好ましくは混床がよい。このイオン交換樹脂ビーズは、ポリスチレン又はポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等のポリマーに、スルホン酸基が導入されたカチオン交換樹脂、第四級アンモニウム基が導入されたアニオン交換樹脂からなるものである。
【0028】
本発明の構成はまた、公知の精成、即ち前記各電極と該電極に近接した前記イオン交換膜によって画定された電極室、この場合、カソード電極室に導電性粒子、好ましくは炭素粒子及び/又は金属粒子が充填された構成も好適に利用できる。
【0029】
この応用によれば、スケール形成のリスクを最小にすることができる。
【0030】
別の応用によれば、カソード室内には、カソードと近接のカチオン交換膜との間の流れを確保するための少なくとも一つの網状スペーサーが存在している。
【0031】
好ましくは、この場合、前記カソード室内の各スペーサーはイオン交換基を有する。
【0032】
アノード室はまた、そのような場合、アノードと近接するアニオン交換膜との間の流れを維持する網状スペーサーの形態の少なくとも一つが存在しており、好ましくは、該各スペーサーはイオン交換基を有する。
【0033】
更に、前記電極室は、前記各電極に隣接する濃縮室又は脱塩室によって形成される。
【0034】
EDIモジュールはまた、複数の交互の脱塩室及び濃縮室を好ましく備え、また、各脱塩室に対する流路及び各濃縮室に対する流路が直列又は並列配列である。
【0035】
本発明はまた、上で定義したEDIモジュールを備えた高純度水もしくは超純水の製造のためのEDI装置に関する。
【0036】
本発明の機能及び利点を、付随図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1に示す実施形態において、本発明に従う電気式脱塩モジュール10は、二つの端子電極、すなわちカソード13とアノード14との間に脱塩(区画)室11と濃縮(区画)室12を、交互に配置している。
【0038】
各脱塩室11は、アニオン交換膜15とカチオン交換膜16によって二つの隣接する濃縮室12からそれぞれ分離されている。
【0039】
図示の実施例において、カソード13及びアノード14近接の交換膜は、カチオン膜16及びアニオン膜15によってそれぞれ構成される。これら後者のカチオン及びアニオン交換膜とそれぞれの電極13、14との間に位置付けられた室は濃縮室12であり、各濃縮室12は、カソード13及びアノード14をそれぞれ含んでいる。
【0040】
本発明によれば、これらの脱塩室11及び濃縮室12は、以下の態様でイオン交換体が充填される。
【0041】
1)各脱塩室11には、混床を形成するカチオン交換樹脂ビーズ及びアニオン交換樹脂ビーズが充填される。これらのイオン交換樹脂ビーズは、官能基を有する高分子(ポリマー)から形成され、該官能基は、カチオン交換体にはスルホン酸基及びアニオン交換体には第四級アンモニウム基である。
【0042】
2)カソード13を含む区画室を形成する濃縮室12には導電性ビーズ18が充填され、他方、アノード14を含む区画室を形成する濃縮室12は、アノードと隣り合うアニオン交換膜15との間の流れを維持する網状のスペーサー19を備える。実際には、このスペーサー19は、アニオン交換基がグラフトされたポリオレフィン樹脂網から形成される。更に詳しくは、第四級アンモニウム基がグラフト重合で導入されたポリエチレン樹脂網が使用される。
【0043】
そのようなスペーサーは、上記ヨーロッパ特許出願第EP 1 069 079号に記載されるものと同様である。
【0044】
3)残りの各濃縮室12にはサンドイッチ構造体20が充填され、各サンドイッチ構造体20は、アニオン交換繊維からなるシート状不織布21と、カチオン交換繊維からなるシート状不織布22と、アニオン伝導スペーサー23と、カチオン伝導スペーサー24とを備える。
【0045】
不織布21及び22は対面関係で配置され、また、スペーサー23及び24は、それら二つの不織布間に置かれ、かつ、アニオン伝導スペーサー23の場合はアニオン交換不織布21の側面に位置付けられ、カチオン伝導スペーサー24の場合はカチオン交換不織布22の側面に位置付けられる。
【0046】
スペーサー23及び24は、更に詳しくは、イオン交換基がグラフトされた、すなわち、アニオン伝導スペーサー23にアニオン交換基が、カチオン伝導スペーサー24にカチオン交換基がグラフトされた、高分子量のポリオレフィンから形成された斜交網の形態である。
【0047】
不織布21及び22は、官能基がグラフトされた高分子量のポリオレフィン繊維から作り出される。これらのポリオレフィン繊維は、ここでは、ポリエチレン繊維及びポリプロピレン繊維であり、該繊維にグラフトされた官能基は、カチオン交換繊維の場合はスルホン酸基であり、アニオン交換繊維の場合は第四級アンモニウム基である。これらのグラフトされた繊維は、放射線、(ここではγ線)で誘起グラフト重合によって得られたものである。
【0048】
不織布21及び22とイオン伝導スペーサー23及び24は互いに密接して配置される点にも留意すべきである。
【0049】
更に、アニオン交換不織布21は、アニオン交換膜15の側面に配置され、他方、カチオン交換不織布22は、反対側のカチオン交換膜16の側面に配置される。
【0050】
各サンドイッチ構造体20は、対応する室12を形成するフレーム(図1には示さず)で保持され、このために該フレームには、イオン交換サンドイッチ構造体20と、更に詳しくはスペーサー23及び24と連通する入口及び出口が設けられる。
【0051】
この点に関する更なる詳細については、上記ヨーロッパ特許出願第EP-1-069 079号も参照され得る。
【0052】
図示の実施形態においては、濃縮室12へは破線25、脱塩室11へは実線26で直列通水される。
【0053】
従って、最後の脱塩室11から外部へ出る処理水(実線矢印27)は脱塩水であり、他方、最後の濃縮室12から外部に出る濃縮水(破線矢印28)は、脱塩室11を通過した水から抽出したイオンが濃縮されている。
【0054】
この点を更に詳しく考察すれば、除去されるべきイオンは、脱塩室11内に置かれた混合樹脂ビーズに吸着し、脱塩された水がその脱塩室11から出てくる。また、電位をかけることにより、該イオンは、次に、濃縮室12に向かって急速に移動し、濃縮室12において、濃縮され、排出される。
【0055】
一方のイオン交換不織布及びイオン伝導スペーサーの調製方法、及びEDIモジュールの構成についての更なる詳細は以下の通りである。
【0056】
イオン交換不織布の調製
表1は、下記の実験に使用したイオン交換不織布を製造する不織布基材の仕様を示す。該不織布基材は、ポリプロピレンコアとポリエチレンシースとからなる複合繊維の熱融解によって調製された。
表1
コア/シース ポリプロピレン/ポリエチレン
目付 50g/m2
厚さ 0.55mm
繊維径 15〜40μm
方法 熱融解
空隙率 91%
【0057】
表1の不織布試料は、窒素雰囲気中でγ線が照射され、次いで、メタクリル酸グリシジル(GMA)溶液に浸漬し、グラフト重合された。163%のグラフト率が得られた。その後、該グラフトされた不織布は、スルホン化のために亜硫酸ナトリウムとイソプロピルアルコールと水との混合溶液に浸漬された。このように処理した不織布のイオン交換容量の測定は、該不織布が、2.82meg/gの中性塩分解容量を有する強酸性カチオン交換不織布であることを示した。
【0058】
同じ不織布の別の試料は、窒素雰囲気中でγ線が照射され、その後、クロロメチルスチレン(CMS)溶液に浸漬し、グラフト重合され、148%のグラフト比率が得られた。グラフトされた不織布は、次に、第四級アンモニウム基を導入するためにトリメチルアミン10%の水溶液に浸漬された。該生成物は、2.49meg/gの中性塩分解容量を有する強塩基性アニオン交換不織布であった。
【0059】
イオン伝導スペーサーの調製
表2は、下記の実験に使用したイオン伝導スペーサーの基材として用いた斜交網の仕様を示す。
表2
構成材料 ポリエチレン
形状 斜交網
厚さ 0.8mm
網目開口 6mm×3mm
【0060】
表2で特定された斜交網基材の一試料は、窒素雰囲気中でγ線が照射され、その後、反応のためにメタクリル酸グリシジル(GMA)とジメチルホルムアミド(DMF)との混合溶液に浸漬され、53%のグラフト率が得られた。該グラフトされた網は、次に、スルホン化のために亜硫酸ナトリウムとイソプロピルアルコールと水との混合溶液に浸漬される。該生成物は、0.62meg/gの中性塩分解容量を有する強酸性カチオン伝導スペーサーであった。
【0061】
表2で特定された斜交網基材の別の試料は、すぐ上で述べたものと同じ条件下で照射され、反応のためにビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(VBTAC)とジメチルアクリルアミド(DMAA)と水との混合溶液に浸漬され、36%のグラフト比率が得られた。該生成物は、0.44meg/gの中性塩分解容量を有する強塩基性アニオン伝導スペーサーであった。
【0062】
EDIモジュールの組立て
上記の方法で製造したイオン交換不織布及びイオン伝導スペーサーは、Millipore(ミリポア社)がシステム単位で市販するELIX(登録商標)で使用されるタイプのEDIモジュール(四つの脱塩室、三つの濃縮室、カソード室及びアノード室を備える)の濃縮室内に据え付けられた。
【0063】
ここで使用されるイオン交換樹脂ビーズは、Rohm & Haas(ローム・アンド・ハース社)又はDow Chemical(ダウ・ケミカル社)が製造し、それぞれ商品名AMBERLITE(登録商標)及びDOWEX(登録商標)(粒径=590±50μm)で販売されるカチオン及びアニオン交換樹脂ビーズである。導電性ビーズとしてここで用いられる炭素ビーズは、Rohm & Haas(ローム・アンド・ハース社)が製造し、商品名AMBERSORB(登録商標)で販売される(粒径=590±50μm)。各脱塩室の寸法は、220×35mm、厚さ3mmであり、各濃縮室は厚さ0.8mmであった。各アノード室及びカソード室は厚さ2.5mmであった。
【0064】
このようにして得た電気式脱塩モジュール(下記の構成Al及びA2)の性能は、従来の電気式脱塩モジュール(下記の構成B1、B2及びC)と比較された。構成A1及びA2(本発明)において、各室は、図1に示したように装填された。構成B1及びB2(従来)は、各濃縮室が、混床を形成するカチオン及びアニオン交換樹脂ビーズが充填された点を除き、A1及びA2と同じであった。構成C(従来)は、各脱塩室が各濃縮室と同じ態様で充填された点を除き、A1及びA2と同じであった。
【0065】
これらの装置を使用して、下記の条件下の供給水を用いて通水試験が行われた。供給水の流量は3リットル/時間であり、動作電流は70mAの定電流であった。各脱塩室及びアノード室、濃縮室及びカソード室に対しては、それぞれ図1に示すように直列で通水された。
【0066】
これらの電気式脱塩モジュールを組み込んだ超純水製造装置の運転条件は、以下のとおりである。
【0067】
動作モード
供給水の特性:
1)No.1逆浸透(RO)水
[CO2]=24mg/l
pH=5.5〜5.7
温度=20〜22℃
導電率=21.0μs・cm
2)No.2逆浸透(RO)水
[CO2]=32mg/l
pH=5.2
温度=18℃
導電率=16.5μs・cm
[Ca2+]=CaCO3として2.0〜3.0mg/l
【0068】
EDI動作モード:
動作モード1:EDI装置は、初日から第7日目まで1日24時間連続運転した。
動作モード2:EDI装置は、第7日目から第16日目まで、2時間の運転状態と2時間の停止(待機状態)とが交互となる動作モードであった。
動作モード3:EDI装置は、第16日目から第31日目まで、次の時間、すなわち、1:00〜3:00、5:00〜7:00、9:00〜11:00及び13:00〜15:00の間、運転状態であった。残りの時間は、該装置は停止状態(待機状態)であった。
動作モード4:EDI装置は、第31日目から第57日目まで、次の時間、すなわち、8:00〜10:00、14:00〜16:00及び20:00〜22:00の間、運転状態であった。残りの時間は、該装置は停止状態(待機状態)であった。
【0069】
これらの試験中に行われた物理的測定は、電圧及び電流値(エネルギー消費及びスケール形成)の測定と、これらのEDI装置が処理水の比抵抗(抵抗率)の測定であった。
【0070】
測定結果は、次の表1、2及び3と図2に示した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
あるEDIモジュールの電気インピーダンス(ohms)は、電流と電圧から計算される。インピーダンスが時間とともに安定的に増加することは正常である。膜(通常アニオン)に著しいスケール形成がある場合はいつも、該EDIモジュールを通る電荷もしくは電流の流れを遮る膜へのスケール析出の結果として、インピーダンスの急激な増加によって示される(すなわち、2日もしくは3日で50%増)。上記表に提示されたデータは、それらのEDIモジュールの膜面にスケール析出が全く無いか、もしくは該析出がごくわずかであることは明らかである。
【0075】
本発明の電気式脱塩モジュールの脱塩室及び濃縮室における二つのそれぞれ異なるイオン交換体構成によって次の利点がある。
【0076】
1)連続運転又は断続運転(ある期間の運転停止)において、既知の装置よりも長期間安定して高純度の超純水を製造できることは、世界中の既存の純粋設備に適用可能なことを示している。上記組合せによる相乗効果が特に顕著な効果を発揮している(表1及び図2参照)。
【0077】
2)電気式脱塩モジュール10を備えたEDI装置は、これまで既存の装置に流入させていた原水中の二酸化炭素およびカルシウムイオン濃度よりはるかに高いにもかかわらず、従来の濃度で運転されていた既存の装置より処理水質およびスケール生成面での悪影響は認められない。
【0078】
3)電気式脱塩モジュール10の濃縮室内における繊維の圧縮作用により、脱塩室内における混床のイオン交換樹脂ビーズの内部運動が抑制され、これにより、EDI装置が高作動圧力及び高原水流量で機能することが可能になる。
【0079】
4)複層のイオン交換体で構成された濃縮室と、混床のイオン交換樹脂で構成された脱塩室との両方の効果により濃縮室内のイオンの移動が改善される。
【0080】
5)エネルギー消費が低くかつ安定している。
【0081】
当然のことながら、本発明は、記述及び表示した実施形態には限定されず、他のどのような実施形態をも包含する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の好ましい実施形態を示す電気式脱塩モジュールの図である。
【図2】稼働36日目における、図1の電気式脱塩モジュール及び既存の電気式脱塩モジュールの性能を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0083】
10 電気式脱塩モジュール
11 脱塩室
12 濃縮室
13 カソード
14 アノード
15 アニオン選択性イオン交換膜
16 カチオン選択性イオン交換膜
19 スペーサー
20 サンドイッチ構造体
21 アニオン交換不織布
22 カチオン交換不織布
23 アニオン伝導スペーサー
24 カチオン伝導スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極(13、14)間に配置する少なくとも一つの脱塩室(11)と少なくとも一つの濃縮室(12)とを区画する少なくとも一つのイオン交換膜を備え、各脱塩室及び各濃縮室にはイオン交換体が設けられる電気式脱塩(EDI)モジュールであって、ある脱塩室又は濃縮室に存在するイオン交換体は、イオン交換樹脂ビーズ(17)、又は、イオン交換繊維からなる少なくとも一つの不織布もしくは織布(21、22)のいずれかから構成され、前記イオン交換樹脂ビーズ及び前記不織布もしくは織布の両方が該EDIモジュールに存在することを特徴とするEDIモジュール。
【請求項2】
前記各脱塩室及び各濃縮室は区画室で形成され、該EDIモジュールは、アニオン選択性イオン交換膜とカチオン選択性イオン交換膜それぞれによって二つの隣接する濃縮室から分離された少なくとも一つの脱塩室を含む請求項1に従うEDIモジュール。
【請求項3】
前記各脱塩室及び各濃縮室は区画室で形成され、該EDIモジュールは、アニオン選択性イオン交換膜とカチオン選択性イオン交換膜それぞれによって二つの隣接する脱塩室から分離された少なくとも一つの濃縮室を含む請求項1に従うEDIモジュール。
【請求項4】
電極間に交互の脱塩室及び濃縮室を含み、各脱塩室(11)が二つの濃縮室と隣接し、かつ、アニオン選択性イオン交換膜(15)とカチオン選択性イオン交換膜(16)それぞれによって該二つの濃縮室から分離され、各脱塩室及び各濃縮室にはイオン交換体が充填されたEDIモジュールであって、脱塩室に存在するイオン交換体はイオン交換樹脂ビーズ(17)から構成され、他方、濃縮室に存在するイオン交換体は、イオン交換繊維からなる少なくとも一つの不織布もしくは織布(21、22)から構成されることを特徴とするEDIモジュール。
【請求項5】
電極間に交互の脱塩室及び濃縮室を含み、各脱塩室が二つの濃縮室と隣接し、かつ、アニオン選択性イオン交換膜とカチオン選択性イオン交換膜それぞれによって該二つの濃縮室から分離され、各脱塩室及び各濃縮室にはイオン交換体が設けられるEDIモジュールであって、濃縮室に存在するイオン交換体はイオン交換樹脂ビーズから構成され、他方、脱塩室に存在するイオン交換体は、イオン交換繊維からなる少なくとも一つの不織布もしくは織布から構成されることを特徴とするEDIモジュール。
【請求項6】
前記イオン交換繊維からなる少なくとも一つの不織布もしくは織布から構成されるイオン交換体は、対面関係で配置される、アニオン交換繊維からなる織布もしくは不織布(21)及びカチオン交換繊維からなる織布もしくは不織布(22)と、イオン交換可能で、かつ前記アニオン及びカチオン交換繊維間に置かれる少なくとも一つのイオン伝導スペーサー(23、24)とを備えた少なくとも一つの組立体を形成する請求項2〜5のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項7】
前記各組立体は、前記アニオン選択性イオン交換膜面にある織布もしくは不織布が前記アニオン交換繊維からなる織布もしくは不織布であり、かつ、カチオン選択性イオン交換膜面に接する織布もしくは不織布が前記カチオン交換繊維からなる織布もしくは不織布であるように配列される請求項6に従うEDIモジュール。
【請求項8】
イオン交換可能なアニオン伝導スペーサー及びカチオン伝導スペーサーが、前記アニオン交換繊維からなる織布もしくは不織布と前記カチオン交換繊維からなる織布もしくは不織布との間に配置され、かつ、該アニオン交換繊維からなる織布もしくは不織布及び該カチオン交換繊維からなる織布もしくは不織布にそれぞれ隣接して位置付けられる請求項6又は7に従うEDIモジュール。
【請求項9】
前記各スペーサーは、網状スペーサー、好ましくは斜交網状スペーサーの形態である請求項6〜8のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項10】
組立体の前記織布もしくは不織布と前記スペーサーは互いに密接し、かつ好ましくはフレームに保持される請求項6〜9のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項11】
前記イオン交換繊維からなる各織布もしくは不織布は、繊維より作られた基材にイオン交換基を有するモノマーをグラフトすることにより、又は、イオン交換基に転換され得る基を有するモノマーをグラフトし、次いで、該基をイオン交換基に転換することにより、イオン交換官能基が導入されたものであり、前記スペーサーが存在する場合、該各スペーサーは、繊維又は樹脂より作られた基材にイオン交換基を有するモノマーをグラフトすることにより、又は、イオン交換基に転換され得る基を有するモノマーをグラフトし、次いで、該基をイオン交換基に転換することにより、イオン交換官能基が導入されたものである請求項1〜10のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項12】
前記基材は、セルロース系材料もしくはポリオレフィン系材料である請求項11に従うEDIモジュール。
【請求項13】
前記官能基は、放射線又は化学試薬によって開始されるグラフト重合によって導入される請求項11又は12に従うEDIモジュール。
【請求項14】
前記放射線源は、UV線、X線、γ線、加速電子、β線もしくはα線等の電離放射線である請求項13に従うEDIモジュール。
【請求項15】
前記化学試薬は、セリウムイオンを含む請求項13に従うEDIモジュール。
【請求項16】
前記カチオン交換繊維及び/又は前記カチオン伝導スペーサーはスルホン酸基を有し、前記アニオン交換繊維及び/又は前記アニオン伝導スペーサーは第四級アンモニウム基を有する請求項6〜15のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項17】
前記イオン交換繊維からなる各織布もしくは不織布は、イオン交換材料とポリオレフィン系バインダーとの混合物から構成される不均一繊維からなる基材を備え、前記スペーサーが存在する場合、該各スペーサは、樹脂、又はイオン交換材料とポリオレフィン系バインダーとの混合物から構成される不均一繊維からなる基材を備える請求項1〜9のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項18】
前記イオン交換樹脂ビーズは、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂によって、混床又は複層床、好ましくは混床を形成する請求項1〜17のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項19】
前記イオン交換樹脂ビーズは、官能基として、好ましくは、カチオン交換体にはスルホン酸基、アニオン交換体には第四アンモニウム基を有する、ポリスチレンもしくはスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等のポリマーから形成される請求項18に従うEDIモジュール。
【請求項20】
前記各電極と該電極近傍の前記イオン交換膜との間に電極室が形成される請求項2〜19のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項21】
カソード室が、導電性粒子、好ましくは炭素及び/又は金属の粒子を収容する請求項20に従うEDIモジュール。
【請求項22】
カソード室が、カソードと隣り合うカチオン選択性イオン交換膜との間の流れを確保するための少なくとも一つの網状スペーサーを含む請求項20に従うEDIモジュール。
【請求項23】
前記カソード室内の各スペーサーはイオン交換基を有する請求項22に従うEDIモジュール。
【請求項24】
アノード室が、アノードと隣り合うアニオン選択性イオン交換膜との間の流れを確保するための少なくとも一つの網状スペーサーを含む請求項20〜23のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項25】
前記アノード室内の各スペーサーはイオン交換基を有する請求項24に従うEDIモジュール。
【請求項26】
前記各電極に隣接する濃縮室又は脱塩室によって前記電極室を形成する請求項20〜25のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項27】
複数の交互の脱塩室及び濃縮室が配置されたEDIモジュールにおいて、各脱塩室への流れが直列又は並列、各濃縮室への流れが直列又は並列で通液される請求項2〜26のいずれか一に従うEDIモジュール。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一に記載されるEDIモジュールを備えた高純度水もしくは超純水の製造のためのEDI装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−516056(P2007−516056A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507353(P2005−507353)
【出願日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004112
【国際公開番号】WO2005/011849
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】